JP4454054B2 - 硫黄化合物吸着体および硫黄化合物除去方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、空気中の硫黄化合物の除去や、都市ガス等の燃料ガス中の脱硫に用いる吸着体および硫黄化合物除去方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、様々な分野でガス中の硫黄化合物の除去が行われている。たとえば、空気の脱臭においては、空気中のメルカプタン化合物を、銅、マンガンなどの遷移金属酸化物により常温で酸化分解する方法が広く用いられている。しかしながら、この方法によると、メルカプタンが常温で部分酸化されジスルフィドとなることから、異臭が発生する。また、ジメチルスルフィド(以下、DMSとする)などメルカプタン以外の硫黄化合物の吸着特性は低い。
【0003】
燃料ガスなど酸素非共存雰囲気中の硫黄化合物の除去にも、様々な方法が用いられている。近年では、特に都市ガス中の有機硫黄系付臭剤を効果的に除去する方法が期待されている。例えば、都市ガス工事の際には、放出される都市ガスに付臭剤として含まれる硫黄化合物を除去することが必須となっている。また、都市ガスを燃料とする燃料電池では、RuやNiなどの水蒸気改質触媒の劣化を抑制するためにガスの脱硫が必要とされている。
天然ガスやコークス炉ガスには天然物からなる種々の硫黄化合物が含まれるのに対して、都市ガスは、本来無臭である。しかし、ガス漏れ対策から意図的に微量の有機硫黄系付臭剤が添加されている。添加される付臭剤は、供給会社により異なるが、日本ではターシャリーブチルメルカプタン(以下、TBMとする)、DMSおよびテトラヒドロチオフェンが多く用いられ、その濃度はいずれも数ppmである。一般に、都市ガスにはTBMとDMSの両方が添加されることが多い。
【0004】
これまで、酸素非共存雰囲気中の硫黄化合物の除去には、空気の脱臭と同様に、遷移金属酸化物によりメルカプタン化合物を常温で酸化分解する方法や、活性炭または添着活性炭に吸着する方法が広く用いられていた。都市ガスには硫黄化合物として既知の付臭剤が意図的に添加されていることから、これらの方法によって、天然ガス等と比べて容易に硫黄化合物を除去することができる。しかしながら、都市ガスにおいても、長期にわたって効率よく付臭剤を除去することは困難である。
【0005】
都市ガス中の付臭剤を活性炭によって除去すると、DMSはTBMよりも吸着体によって除去されにくいため、破過が早い。したがって、DMSをより効果的に吸着することができる吸着体が望まれている。また、活性炭は可燃性材料であり、加熱して再生することが困難であることから、吸着特性が低下すると活性炭を交換する必要がある。添着活性炭を用いる場合も、加熱すると吸着物と添着物が化学的に反応するため再生することができない。
【0006】
燃料電池における脱硫では、一般に燃料ガス中の硫黄化合物を300〜400℃で水添分解して硫化水素に転化させた後、酸化亜鉛に吸着させる、いわゆる水添脱硫法が用いられている。この方法によると、ガスを高温に加熱して処理する必要があるため、燃料電池の出力の低下は避けられない。燃料電池の排熱を利用してガスを加熱することもできるが、この場合、配管等、装置の構造が複雑になる。さらには、吸着させる酸化亜鉛が経時劣化すると、交換する必要もある。
【0007】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、ガス中の硫黄化合物とりわけ都市ガス中の付臭剤を、効率よく除去することができる硫黄化合物吸着体を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明のジメチルスルフィド除去方法は、MFI型ゼオライトを含む吸着体にジメチルスルフィドを含む燃料ガスを流通させて前記燃料ガス中のジメチルスルフィドを除去する工程を含み、前記MFI型ゼオライトは、H + を交換可能な陽イオンとして含み、前記MFI型ゼオライトの結晶の骨格構造を構成する元素がSiと、Si以外の金属Mであり、前記Siと前記金属Mとの原子比:Si/Mが50以下であり、前記金属Mは、FeまたはGaである。
前記吸着体は、無機バインダを含むのが好ましい。
前記無機バインダは、シリカであるのが好ましい。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明の硫黄化合物吸着体は、MFI型ゼオライトを含む。
高シリカ型ゼオライトの一種であるMFI型ゼオライトは、燃料ガス中すなわち炭化水素共存下において優れた硫黄化合物吸着特性を示す。また、MFI型ゼオライトは、低温の方が吸着特性が高い。したがって、硫黄化合物を吸着する際に加熱する必要がなく、水添脱硫法に比べて簡単な構造の装置で、効率的に硫黄化合物を除去することができる。
【0010】
ゼオライトは、WmZnO2n・sH2Oで表される含水ケイ酸塩であり、Wは交換可能な金属陽イオン、ZはSiとSi以外の元素Mである。ゼオライトは、結晶構造によって、A型ゼオライト、L型ゼオライト、β型ゼオライト、高シリカ型ゼオライト、フォージャサイト型ゼオライト等、種々の種類に分類される。硫黄化合物の吸着特性は、結晶構造により大きく異なる。
窒素希釈ガス中のDMS吸着試験によると、フォージャサイト型ゼオライト、β型ゼオライトおよびL型ゼオライトは、高い吸着特性を示し、高シリカ型ゼオライトの一種であるMFI型ゼオライトは、これらと比べて吸着特性は低い。しかし、燃料ガス中では、吸着特性の序列は大きく変わり、MFI型ゼオライトは、その他のゼオライトと比べて優れた吸着特性を示す。
MFI型ゼオライトのうちでも、結晶の骨格構造を構成する元素がSiとSi以外の金属MでありSi/Mモル比が小さく、酸量が多いMFI型ゼオライトが、優れた硫黄化合物吸着特性を示す。特に、Si/Mのモル比が250以下であることが好ましい。
【0011】
本発明の硫黄化合物吸着体の好ましい態様において、MFI型ゼオライトを構成するSi以外のもう一方の金属Mが、Al、FeおよびGaのいずれかであることが好ましい。
結晶構造にこれらの元素を含むMFI型ゼオライトは、これら以外の元素を含むMFI型ゼオライトと比べてさらに燃料ガス中の硫黄化合物吸着特性に優れる。
前述のように、ゼオライトには交換可能な陽イオンが存在する。特に、この陽イオンがH+であると、優れた硫黄化合物の除去特性を示す。これは、H+を陽イオンとして含むことにより、強酸点が増大するためであると考えられる。すなわち、強酸点を持つゼオライトが硫黄化合物の吸着に優れていると考えられる。
【0012】
本発明の硫黄化合物吸着体は、ペレットなどの成型体として使用することが好ましい。この場合、無機バインダを用いることが好ましい。セルロース化合物などの有機バインダを用いた吸着体は、再生させるために加熱すると有機バインダが燃焼し、吸着体の機械的強度は大幅に低下する。有機バインダの燃焼温度以下であれば極端な強度低下はみられないものの、例えばセルロース化合物の場合には約160℃で強度低下が起こり始めるなど、高温加熱は望ましくない。さらに加熱時に吸着体内部に生じる温度格差などを考えると、吸着体の機械的強度を維持しながら、十分に加熱再生させるのは困難である。
無機バインダとしては、シリカゾル、アルミナゾル、チタニアゾル等のコロイドを焼成したものや、粘土、セメント、石膏等を用いることができる。この中では、特に、シリカゾルを焼成することにより脱水されたシリカが優れている。アルミナゾル、粘土、アルミナセメント等を用いると、十分な機械的強度を有する成型体が得られない。また、Liシリケートや水ガラスを用いると、成型体の強度は向上するものの、吸着特性が低下する。無機バインダとしてシリカを用いることにより、吸着特性に優れ、機械的強度の高い成型体を得ることができる。
【0013】
吸着体中のゼオライトの比が、50〜90wt%であることが望ましい。吸着体中のゼオライトが50wt%より少ないと、十分な吸着特性が得られない。また、ゼオライトが90wt%よりも多いと、バインダの量が少なく、得られた成型体の強度が低く、被膜とした場合には充分な密着性が得られない。
本発明で用いられる吸着体は、銅酸化物、マンガン酸化物、銅とマンガンの複合酸化物、および白金族元素のいずれかを含むことが望ましい。
MFIゼオライト自体は、酸素共存雰囲気中のメルカプタンの除去特性が低いが、吸着体にさらにメルカプタン化合物の部分酸化活性を持つこれらの化合物および元素はメルカプタン化合物の部分酸化活性を添加することにより、酸素共存雰囲気中のメルカプタンの除去特性を大きく向上させることができる。特に、白金族元素は、アルミナなどの多孔質担体に高分散して担持させることにより、少量で十分な特性を得ることができる。メルカプタン化合物が部分酸化されると、ジスルフィドが生成されて新たな異臭発生源にもなりうるが、吸着体中のゼオライトの比を50〜90wt%とすることによって、新たに生成されたジスルフィドをゼオライトに吸着させて異臭の発生を防止することができる。
【0014】
本発明の吸着体は、間欠的に加熱して再生させることにより、長期間にわたり使用できる。本発明の吸着体は、硫黄化合物を含まない気体を吸着体に流通させる方法、吸着体を加熱する方法、吸着体が存在する雰囲気を減圧する方法、またはこれらを組み合わせた方法によって再生することができるが、特に、硫黄化合物を含まない気体を吸着体に流通させながら加熱することにより、速やかに再生を行うことが可能である。
また、再生時に、吸着体から乖離した硫黄化合物を含む気体を酸化触媒により酸化することが望ましい。硫黄化合物を、酸化して酸性ガスである二酸化硫黄にすると、後工程で、アルカリ性水溶液に吸収させるなどの処理が容易になる。この場合、処理液の定期的な交換は必要となるが、二酸化硫黄を系外に排出しないため臭気源にならない。酸化触媒には、白金を含むことが好ましい。白金は、パラジウムやロジウムなど他の貴金属元素に比べて硫黄被毒を受けにくく、優れた酸化活性を長期間にわたり維持できる。
【0015】
【実施例】
以下、本発明の好ましい実施例を詳細に説明する。
【0016】
《参考例1》
MFI型ゼオライトの一例としてH−ZSM−5を用いた硫黄化合物吸着体について説明する。
H−ZSM−5(Si/Alモル比=25)を塊状に圧縮成型後、粒径2.0〜3.3mmのペレット状に破砕した。ついで、このペレット状ゼオライト1.8gを内径17mmの試料管に充填して吸着剤とした。これを試料1とする。
得られた吸着剤を前処理として窒素気流中500℃に1時間放置した後、室温で都市ガス(13A)を流速0.13m/sで試料管内に流通させて、炎光光度検出器(以下、FPDとする)を用いたガスクロマトグラフィにより吸着体の挙動を調べた。なお、用いた都市ガス中には、付臭剤としていずれも濃度2.4ppmのDMSおよびTBMが添加されていた。
【0017】
同様に、酸化銅(試料2)、二酸化マンガン(試料3)、硝酸銅と硝酸マンガンの混合水溶液を熱分解することにより調製したCuOを30wt%、MnO2を70wt%含む複合酸化物(試料4)、塩化白金酸水溶液に浸漬することにより調製された表面に白金を1wt%担持したγ−アルミナ(以下、Pt/Al2O3とする)(試料5)、Ca−A型ゼオライト(試料6)、K−L型ゼオライト(Si/Alモル比=3.1)(試料7)、Na−Y型ゼオライト(Si/Alモル比=2.9)(試料8)、13X(Si/Alモル比=1.3)(試料9)、フェリエライト(Si/Alモル比=9)(試料10)およびエリオナイト(Si/Alモル比=3)(試料11)と、アルカリ金属塩である炭酸カリウム(試料12)、アルカリ土類金属酸化物である酸化マグネシウム(試料13)および希土類金属酸化物である酸化セリウム(試料14)をそれぞれ同様に吸着剤に用いたときのガス付臭剤の吸着挙動を調べた。
付臭剤吸着挙動は、試料により大きく異なり、初期2〜4時間は優れた特性を示すが数時間後には試料を通過したガス中に残存する付臭剤濃度が急激に上昇した試料と、開始から10時間経過してもあまり付臭剤残存濃度が変化しない試料に分かれた。表1に、都市ガスの流通開始から9時間経過後の各試料の付臭剤除去率を示す。
【0018】
【表1】
【0019】
表1に示すように、MFI型ゼオライトであるH−ZSM−5は、都市ガス中の付臭剤を効果的に除去することができる。
【0020】
《参考例2》
ゼオライト結晶の骨格構造を構成する元素の含有比の影響について説明する。
骨格構造がSiとAlより構成され、そのSi/Alのモル比が種々異なるMFI型ゼオライトについて、参考例1と同様に、付臭剤の除去特性を調べた。ここで、Si/Alモル比を25、50、200、250または270としたゼオライトをそれぞれ水熱合成し、これらを全てH型としたのち、参考例1と同様の都市ガス付臭剤除去試験に供した。結果を表2に示す。
【0021】
【表2】
【0022】
表2に示すように、Si/Alモル比が250以下であるMFI型ゼオライトは、都市ガス中の付臭剤を効果的に吸着する。
アンモニア昇温脱離法(アンモニアTPD)により酸性質を調べたところ、Si/Mモル比が小さいゼオライトは吸着アンモニアが脱離する量が多いことが明らかになった。したがって、ゼオライトの酸性質が燃料ガス中の硫黄化合物除去に寄与していると考えられる。
【0023】
《実施例1》
ゼオライト結晶の骨格構造を構成する元素種の影響について説明する。
参考例2で合成したものと同様で、Alの代わりにFe、Ga、MnまたはVを骨格構造に含むゼオライトを合成した。なお、いずれも金属種MのSi/Mモル比は25とした。このゼオライトを全てH型として、参考例1と同様の都市ガス付臭剤除去試験に供した。結果を表3に示す。
【0024】
【表3】
【0025】
表3に示すように、骨格構造を構成するSi以外の元素がAl、FeおよびGaのいずれかであるMFI型ゼオライトが優れた吸着特性を有する。
【0026】
《参考例3》
ゼオライト中に含まれる陽イオンの影響について説明する。
参考例2において用いたSi/Alモル比を50としたゼオライトと同様のMFI型ゼオライトにおいて、陽イオンをイオン交換法によりH+、Na+、K+またはCu2+とした試料を調製し、参考例1と同様の都市ガス付臭剤除去試験に供した。その結果を表4に示す。
【0027】
【表4】
【0028】
表4に示すように、陽イオンがH+であるゼオライトが、燃料ガス中の硫黄化合物の除去特性に優れたを示す。
【0029】
《参考例4》
吸着体の強度を確保するためには、ゼオライトをバインダとともにペレット状に成型することが望ましい。本参考例では、有機系および無機系のバインダを用いて成型した吸着体の強度について説明する。
H−ZSM−5(Si/Alモル比=25)、シリカゾルおよび水を、最終固形分においてH−ZSM−5とシリカの重量比が80:20となるように混練し、直径1cmの球体を作製後、500℃で1時間焼成した。
【0030】
同様に、H−ZSM−5(Si/Alモル比=25)、ヒドロキシエチルセルロースおよび水から、最終固形分においてH−ZSM−5とヒドロキシエチルセルロースの重量比が80:20となる組成の球体を作製し、500℃で1時間焼成した。
得られた球体の強度を所定の高さより落下させ、球体の破損の有無を確認した。その結果、シリカゾルを用いた試料は、50cmの落下試験に耐え得る強度を有していたのに対し、ヒドロキシエチルセルロースを用いた試料は、わずかな衝撃で破壊された。これは、ヒドロキシエチルセルロースが燃焼し結合力を失ってしまったためである。したがって、充分な機械的強度を得るためには、無機バインダを用いることが望ましい。
【0031】
《参考例5》
バインダ種と成型体の強度の関係を調べるため、以下の実験を行った。
H−ZSM−5(Si/Alモル比=25)、30wt%のシリカを含むシリカゾルおよび水を、最終固形分においてゼオライトとシリカの重量比が80:20となるように混練した。ついで、この混合物を、内径20mmの円筒形の金型に入れて圧縮成型し、さらに500℃で1時間焼成した。得られたコイン型の成型物を厚さが5mmになるようにサンドペーパーで削った後、抗折力試験に供した。
【0032】
抗折力試験は、円筒形の台の上に設けられた内径15mmの穴の上に、試料をその中心が円筒形の台の中心と一致するように水平に設置し、試料の中心に向けて上方から、電子式万能試験機により直径4mmの鉄球を初速3mm/minで落下させるもので、試料が破壊されたときに試料に加わった力を求めた。
また、バインダとして、シリカゾルに代えてアルミナゾル、ベントナイト、Liシリケート、水ガラスまたはアルミナセメントを用いて、それぞれ同様に焼成後の固形分が20wt%になるようにコイン型成型物を作製し、その抗折力を求めた。
さらに、これらの硫黄化合物除去能力を調べるため、得られた各コイン型成型物を破砕し、参考例1と同様の方法で都市ガス付臭剤除去試験に供した。これらの結果を表5に示す。
【0033】
【表5】
【0034】
表5に示すように、アルミナゾル、ベントナイトまたはアルミナセメントをバインダに用いた成型体は、シリカゾルを用いた成型体と比べて機械的強度が低い。一方、Liシリケートや水ガラスを用いた成型体は、高い機械的強度を示すものの、硫黄化合物の吸着特性は著しく低い。すなわち、無機バインダとしてシリカを用いることにより、吸着特性が高く、かつ強固な硫黄化合物吸着体を得ることができる。
【0035】
《参考例6》
上記のように、MFI型ゼオライトを含む吸着体を用いることにより、酸素非共存雰囲気下で効率よく硫黄化合物を除去することができる。しかし、空気など酸素共存雰囲気においては、MFI型ゼオライト単独では高い硫黄化合物吸着特性が得られない。本参考例では、酸素共存雰囲気下でも高い硫黄化合物吸着特性を示す吸着体について説明する。
参考例1で用いた試料2〜5すなわち、酸化銅、二酸化マンガン、銅マンガン複合酸化物およびPt/Al2O3について、それぞれメチルメルカプタンの除去量を求めた。
【0036】
併せて、遷移金属酸化物として、Crの硝酸塩の水溶液を熱分解して得られた酸化クロム(添加物a)、Coの硝酸塩の水溶液を熱分解して得られた酸化コバルト(添加物b)、Niの硝酸塩の水溶液を熱分解して得られた酸化ニッケル(添加物c)、硝酸パラジウム水溶液に浸漬して表面にパラジウムを1wt%担持させたγ−アルミナ(Pd/Al2O3とする)(添加物d)、硝酸ロジウム水溶液に浸漬して表面にロジウムを1wt%担持させたγ−アルミナ(Ph/Al2O3とする)(添加物e)をそれぞれ用いて、H−ZSM−5(Si/Alモル比=25)とシリカとこれら添加物の重量比が70:20:10となるように混合し、300℃で1時間焼成して得られた試料A〜Eについて、それぞれメチルメルカプタンの除去量を求めた。
また、上記添加物に代えてアルカリ金属塩である炭酸カリウム(添加物f)、アルカリ土類金属酸化物である酸化マグネシウム(添加物g)および希土類金属酸化物である酸化セリウム(添加物h)をそれぞれ添加した試料F〜Hを吸着体に用いて、メチルメルカプタンの除去量を求めた。
併せてH−ZSM−5とシリカを80:20の重量比で含む試料iのメチルメルカプタンの除去量を求めた。
【0037】
試料A〜Iは、合成後、粉砕し、さらに加圧して塊状に成型した。ついで、これを破砕して、1〜2mmのペレットとした。
このペレット状の試料を内径17mmの試料管に0.02g充填して吸着剤とし、常圧流通式の吸着試験装置に装着した。試験管に濃度10ppmのメチルメルカプタンを含む空気を3リットル/分で流通させ、試料の前後のガスのメチルメルカプタン濃度の経時変化をFPDを用いたガスクロマトグラフィで調べた。なお、試料管を25℃に保たれた恒温槽に入れることにより吸着温度を一定にした。
試料に空気を流通させると、徐々に試料下流のメチルメルカプタン濃度は増加した。実験開始から1000分間のメチルメルカプタンの除去量を表6に示す。
【0038】
【表6】
【0039】
表6に示すように、銅酸化物(試料2)、マンガン酸化物(試料3)、銅とマンガンの複合酸化物(試料4)、白金族元素(試料5)を含む吸着体が、酸素が存在する雰囲気中で優れたメルカプタンの除去特性を示すことがわかる。
【0040】
《参考例7》
参考例1で都市ガス付臭剤除去試験を10時間行ったH−ZSM−5について、都市ガス供給を停止し、都市ガス供給と逆方向から空気を0.13m/sで流通させながら、500℃で5時間加熱した。その後、500℃の前処理を行わずに、参考例1と同じ方法で都市ガス付臭剤吸着試験を行った。1回目の試験では9時間経過後のDMS除去率が47%、TBM除去率が34%であったのに対し、2回目の試験では、9時間経過後のDMS除去率は45%、TBM除去率は35%であった。すなわち、加熱の前後において吸着特性にほとんど変化は認められなかった。これより、加熱することにより吸着体を再生することができる。
【0041】
【発明の効果】
本発明の吸着体および除去方法を用いることにより、ガス中の硫黄化合物、とりわけ燃料ガス中の硫黄化合物を長期間にわたって効果的に除去することができる。したがって、暖房、給湯、乾燥、調理、冷蔵、空調用機器等における硫黄化合物の脱臭に優れた吸着体を提供することができる。
Claims (3)
- MFI型ゼオライトを含む吸着体にジメチルスルフィドを含む燃料ガスを流通させて前記燃料ガス中のジメチルスルフィドを除去する工程を含み、
前記MFI型ゼオライトは、H + を交換可能な陽イオンとして含み、
前記MFI型ゼオライトの結晶の骨格構造を構成する元素がSiと、Si以外の金属Mであり、
前記Siと前記金属Mとの原子比:Si/Mが50以下であり、
前記金属Mは、FeまたはGaであるジメチルスルフィド除去方法。 - 前記吸着体は、無機バインダを含む請求項1記載のジメチルスルフィド除去方法。
- 前記無機バインダは、シリカである請求項2記載のジメチルスルフィド除去方法。
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