JP4453950B2 - 自動2輪車用キャリヤ - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
この発明は自動2輪車のシート後方に位置するリヤカウル上に設けられたキャリヤであって、不使用時には外観されないようにリヤカウル内へ収納自在としたものに関する。
【0002】
【従来の技術】
自動2輪車へ荷物を積載するには、(1)2人乗用シートの後席に乗せる、(2)リヤカウル上へ直接乗せる、(3)キャリヤを設けてこの上へ乗せる、等の方法がある。また、(3)のバリエーションとして特開平9−76964号には、自動2輪車のキャリヤへ別体に構成された折りたたみ式の携帯用キャリヤを着脱自在に取付けて、必要により左右方向へ開いて積載面を拡大自在とするものが示されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
上記各タイプのうち、(1)の場合は、2人乗りができなくなる。(2)の場合は、リヤカウルの曲面上へ直接乗せると荷物が安定しにくい上に、意匠性が重視される部品であるため表面を傷つけぬように細心の注意が必要になる。(3)の場合は、非積載時にもキャリヤが取付けられているので、外観性向上につき配慮を求められる場合がある。また別体の携帯用キャリヤを使用する場合は、時に収納できる利点がある反面、その収納場所の確保と収納構造を考えなければならず、これが比較的スペースの限られた自動2輪車においては困難となる。そこで本願発明は不使用時に収納して外観性を向上できるとともに携行性に優れたキャリヤの提供を目的とする。
【0004】
【課題を解決するための手段】
上記課題を解決するため本願発明に係る自動2輪車用キャリヤは、シート後方に位置するリヤカウルの上にキャリヤを備えた自動2輪車において、前記リヤカウルの上面に開放部分を形成するとともに、前記キャリヤは不使用時の第1の面と使用時の第2の面とを備え、第1又は第2の面に反転自在とし、前記第1の面はキャリヤ不使用時に前記開放部分を覆うとともに前記リヤカウルと連続な面となり、前記第2の面は、キャリヤ使用時に前記開放部分からリヤカウルの上方へ突出して荷物の支持面となる、ことを特徴とする。
【0005】
また、このキャリヤの第1の面と第2の面との間に、前記キャリヤを反転するための回動中心軸を設けることができる。さらにこの回動中心軸を前記キャリヤの前後いずれかの一端部近傍に設けるとともに、前記回動中心軸が前記カウルの内面に沿ってスライドしつつ前記キャリヤを反転動作させるようにすることができる。
【0006】
【発明の効果】
本願発明のキャリヤは、不使用時の第1の面と使用時の第2の面とを備え、第1又は第2の面に反転自在としたので、キャリヤを使用しない場合には、積載面である第2の面側をリヤカウルの内側へ収納し、第1の面のみを外観面として表面に出してリヤカウルの開放部分を覆うとともに、リヤカウルと連続な面をなすことによりリヤカウルとの一体感が得られるので、キャリヤ不使用時における自動2輪車の外観性を向上させることができる。しかも、第2の面側をリヤカウルの内側へ収納することにより、収納スペースを容易に確保でき、常時携帯することに不便はなく、いつでも必要に応じて反転して使用することができる。
【0007】
一方、キャリヤを使用する場合には第2の面をリヤカウルの開放部から上方へ突出させて積載面とすることによってリヤカウルに傷などを生じさせることなく荷物を積載することができる。そのうえシートの後方へ別体に設けられるので、シートを荷物で占有することがなく、荷物積載時でも着座できる。
【0008】
さらに、回動中心軸を設けることによって、この回動中心軸を支点にして第1の面又は第2の面が上を向くようにキャリヤを反転回動させることが容易にとなる。このとき回動中心軸をキャリヤの前後方向一端部近傍に設け、リヤカウルの内面に沿ってスライドしつつキャリヤを反転させるようにすると、キャリヤの反転動作のために必要なリヤカウル内方空間を最小限にすることができる。
【0009】
【発明の実施の形態】
以下、図面に基づいて一実施例を説明する。図1はキャリヤ使用状態の斜視図、図2ははその側面図、図3はキャリヤ収納状態の前後方向断面図、図4は収納状態から使用状態へ反転途中を示す断面図、図5は使用状態になる直前の状態を示す断面図、図6はリヤカウルの裏面を示す斜視図、図7は収納状態を示す平面図、図8はキャリヤ使用時の平面図、図9は補助キャリヤ拡幅時の平面図である。
【0010】
図1及び図2示すように、2人乗りシート1における同乗者用である後席2の下方から後方へリヤカウル3が延出し、その上面4に形成された開口5から上方へキャリヤ6が突出している。
【0011】
キャリヤ6は、ゴム製等でクッション性があり、かつ摩擦係数の大きな材料からなる積載面7とその左右へ拡幅自在の補助キャリヤ8を備える。積載面7は本願発明における第2の面に相当し、その上に荷物9を支持する(図2)。またその大きさは開口5内へ入ることができるよう、開口5より一回り小さく形成される。
【0012】
キャリヤ6は反転自在であり、互いに間隔をもって平行な、積載面7、中間プレート10及び表面プレート11を備える。積載面7と中間プレート10の間には前後に筒状のガイド12がその軸線を左右方向へ向けてへ平行に設配置され、このガイド12内に補助キャリヤ8の一部が摺動自在に支持される。補助キャリヤ8は略コ字状のパイプ製であり、対向する一対の平行部を備え、この一対の平行部がそれぞれ前記ガイド12へ支持される。これら一対の平行部を内方へ押し込むと、補助キャリヤ8が平面視で積載面7の左右へ張り出しのない状態に収容される。
【0013】
また、補助キャリヤ8を左右へ引き出した使用状態では、積載面積が左右の補助キャリヤ8の上ま拡幅される。このときの引き出し量は補助キャリヤ8における一対の平行部の長さにより自由に設定されるが、左右の補助キャリヤ8は、収納時における互いの干渉がないように、前後へずらされている(図1、図9参照)。
【0014】
中間プレート10と表面プレート11の間は、前後に対で設けられた上下方向の脚部13により、中間プレート10と積載面7との間隔よりも大きく隔てられる。また前後一対の脚部13のうち、キャリヤ使用時の後側となる方の脚部13には、表面プレート11近傍に後から詳述する回動中心軸14が設けられ、リヤカウル3の内側と係合している。
【0015】
回動中心軸14は中間プレート10よりも表面プレート11側へ著しく接近した位置に設けられ、この偏った配置により、キャリヤ使用時には中間プレート10から積載面7の部分をリヤカウル3の上面4よりも上方へ大きく突出させて、荷物9が上面4へ接触しないようにし、不使用時には表面プレート11を上面4とほぼ面一になるようにすることができる(図3参照)。このときの表面プレート11における外観面が本願発明における第1の面に相当する。
【0016】
図3及び図6に示すように、リヤカウル3の内部で上面4の裏側には、開口5を挟んで一対のガイドレール15が前後方向へ長く設けられる。ガイドレール15は丸パイプ状等の適宜形状及び材料からなる部材であり、両端は上面4の表面側から取付けられるボルト16と、ガイドレール15に一体化されたナット部材16aによって上面4の裏側へ取付けられる。
【0017】
回動中心軸14は丸棒状の部材からなり、図3に明らかなように、不使用時前側(使用時後側)となる左右の脚部13からそれぞれ外側方へ突出し、開口5を囲む上面4の開口縁部17とガイドレール15との間に形成される空間内をガイドレール15上に乗って前後へ摺動し、不使用時には回動中心軸14が開口縁部17及びとガイドレール15の各前端部近傍に位置するようになっている。
【0018】
開口縁部17は表面プレート11の板厚程度の寸法分だけ一段低くなる段差をなし、表面プレート11は図3の不使用時に周囲を開口縁部17に重ねて、外観面となる表面側は上面4とほぼ面一になる。表面プレート11は上面4と同じ材料又は異なる材料で編成されるが、同じ塗装を施され外観上一体感を持たせている。
【0019】
また、図3の収納状態で回動中心軸14を支点にして後端側を持ち上げながら回動中心軸14をガイドレール15上に摺動させて後方へずらすと、図4に示すように、表面プレート11を前側から開口5内へ入れ、かつ積載面7を後側から開口5より上へ出すようにキャリヤ6を反転させることができる。反転後は図5に示すように回動中心軸14をガイドレール15の後端部まで移動させると、積載面7全体を開口5からその上方へ突出させた使用状態に変化する。
【0020】
この使用状態では表面プレート11の後端部がリヤカウルの上面4の裏側へ当接してキャリヤ6の反転回動を規制する。またキャリヤ6の前方移動は規制されず、回動中心軸14はガイドレール15の上を前方へ移動可能である。しかし、荷物9を乗せてロープ等により車体側へ荷物9とキャリヤ6を一緒に固定すれば、キャリヤ6は移動不納に固定されるので何ら使用上の問題はない。但し、公知の適宜係止機構を採用することにより、キャリヤ使用時並びに収納時における回動中心軸14の前後方向移動や回動を規制することは任意にできる。
【0021】
次に、本実施例の作用を説明する。図3及び図7に示すように、収納状態では積載面7側はリヤカウル3内へ収納され、表面プレート11が上面4とほぼ面一に開口5を覆うので、表面プレート11はあたかもリヤカウル3の一部として上面4と連続する一体化された部分のように見え、デザイン処理されたリヤカウル3のみとして外観されることになるので、収納時の外観性を良好にする。
【0022】
この状態から反転させるには、図4に示すように回動中心軸14をガイドレール15上で後方へずらしながら回動中心軸14を支点にして表面プレート11の前端側を下に向けて回動する。
【0023】
これによりキャリヤ6が反転し、図5に示すように、中間プレート10が上面4よりも上方になるよう積載面7側が開口5から上方へ突出する。このまま、回動中心塾14を後方へ移動させてガイドレール15後端部まで移動し、表面プレート11をガイドレール15と略平行にすると、図2及び図3のキャリヤ使用状態となる。
【0024】
この状態では図8に示すように、平面視で積載面7が開口縁部17の内側に位置するので、積載面7程度の小さい荷物であれば、この上に積載可能である。また、大きな荷物を積載するには図9に示すように補助キャリヤ8を左右へ引き出して拡幅する。これにより支持面積を大幅に拡張できるので、大きな荷物9を安定して支持できる。しかも、積載面7が上面4から上方へ突出しているので、荷物9が上面4と接触せず、塗装されたデザイン面である上面4を傷つけないようにできる。
【0025】
しかも、左右の補助キャリヤ8を互いに前後へずらして配置させたので、補助キャリヤ8を積載面7と中間プレート10の間にへ押し込んで収納するときに相手側と干渉しない。このため各一対の平行部をそれぞれ積載面7と中間プレート10の間へ十分に長く入れることができ、それだけ補助キャリヤ8の使用時における拡幅面積を大きくできる。
【0026】
そのうえ、回動中心軸14をガイドレール15上へ摺動させながら反転させるので、反転動作をスムーズにできる。しかも、反転動作に必要なリヤカウル3内の空間を必要最小限にできる。
【0027】
なお、本願発明は上記実施例に限定されず、種々に変形や応用が可能である。まず、キャリヤは反転するときスライドさせながらではなく着脱式として、リヤカウル3から一旦取り外して反転させ、その後再び取付けるようにすることもできる。また、補助キャリヤ8は引き出し式でなく折りたたみ式等に適宜変更できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施例に係るキャリヤの使用状態斜視図
【図2】その側面図
【図3】キャリヤ収納状態の前後方向断面図
【図4】収納状態から使用状態へ反転途中を示す断面図
【図5】使用状態になる直前の状態を示す断面図
【図6】リヤカウルの裏面を示す斜視図
【図7】収納状態を示す平面図
【図8】キャリヤ使用時の平面図
【図9】補助キャリヤ拡幅時の平面図
【符号の説明】
1:2人乗りシート、2:後席、3:リヤカウル、4:上面、5:開口、6:キャリヤ、7:積載面、8:補助キャリヤ、11:表面プレート、14:回動中心軸、15:ガイドレール、17:開口縁部
Claims (3)
- シート後方に位置するリヤカウルの上にキャリヤを備えた自動2輪車において、前記リヤカウルの上面に開放部分を形成するとともに、前記キャリヤは不使用時の第1の面と使用時の第2の面とを備え、第1又は第2の面に反転自在とし、前記第1の面はキャリヤ不使用時に前記開放部分を覆うとともに前記リヤカウルと連続な面となり、前記第2の面は、キャリヤ使用時に前記開放部分からリヤカウルの上方へ突出して荷物の支持面となる、ことを特徴とする自動2輪車用キャリヤ。
- 前記キャリヤの第1の面と第2の面との間に、前記キャリヤを反転するための回動中心軸を設けたことを特徴とする請求項1に記載した自動2輪車用キャリヤ。
- 前記回動中心軸が前記キャリヤの前後いずれかの一端部近傍に設けられているとともに、前記回動中心軸が前記カウルの内面に沿ってスライドしつつ前記キャリヤを反転動作させることを特徴とする請求項2に記載した自動2輪車用キャリヤ。
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