JP4452195B2 - 吸音装置 - Google Patents

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Description

本発明は、所定粒径のセラミック粒子を焼成して形成した吸音パネルを有する吸音装置に関するものであり、トンネルの内壁面、道路や線路の側方などに防音壁として使用するものである。
騒音は、国民生活を保全する観点から、生活に支障のない程度に低減することが求められており、鉄道や高速道路、工場などから発生する騒音対策として、下記特許文献1、2に記載された技術が提案されている。
特許文献1に記載された遮音壁パネルは、パンチメタルよりなる表面板、表面板の開口部から浸入水を捕捉して層内を流下させる合成繊維不織布からなる防水層、中間空気層、防水層よりも層厚の大きい合成繊維不織布からなる吸音層、背側空気層、背面板をパネル厚み方向に有したものである。また、特許文献2に記載された共鳴型吸音・遮音パネルは、金属製枠体内に複数の吸音材を空気層を介在させた状態で配列し、無機質粒子群を接着剤を介して連続空隙を有する板状体に加圧形成して吸音材を構成したものである。
特開2002−069940号公報 特開平6−129029号公報
吸音材として利用されるグラスウールなどの合成繊維不織布は、吸音率が高く、また、吸音する音の周波数帯も広い。ところが、吸音パネルは、戸外で使用されることが多く、高い耐久性や耐水性が必要となる。上述した特許文献1に記載された遮音壁パネルは、この合成繊維不織布を使用ており、高い耐久性や耐水性を確保する必要から、全体をパンチメタルから延出されたパネルにより全体を被覆すると共に、表面板の開口部から浸入水を捕捉して層内を流下させる防水層を設けており、構造が複雑となり、製造コストが増大してしまうという問題がある。また、グラスウール自体も経時および水分による劣化を起こして吸音率が減少してしまう。
また、特許文献2に記載された共鳴型吸音・遮音パネルは、吸音材を、無機質粒子群を接着剤により連続空隙を有する板状体に加圧形成して構成し、この吸音材を空気層を介在させて複数配列しており、構造が複雑化することなく、高い耐久性や耐水性を確保できる。しかし、吸音材の後方に空気層を設けた場合、その空気層の大きさに応じて減衰できる音の周波数が異なるものであり、特許文献2に記載された共鳴型吸音・遮音パネルでは、広い周波数帯において高い吸音率を確保することは困難である。
本発明は上述した課題を解決するものであり、構造を複雑化することなく広い周波数帯で高い吸音率を確保することのできる吸音装置を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するための本発明の吸音装置は、騒音の発生側に面して所定粒径のセラミック粒子の焼成体からなる吸音パネルと、該吸音パネルに対向して空気層を介して設けられた支持プレートとを具えた吸音装置において、前記支持プレートの表面に前記吸音パネルから所定間隔をあけて該吸音パネルよりも空隙率の高い第2の吸音材が設けられたことを特徴とするものである。
また、本発明の吸音装置では、前記吸音パネルの裏面にエキスパンドメタルが密着して固定され、前記吸音パネルと前記エキスパンドメタルと前記支持プレートとが重なった状態で、その周囲を支持フレームにより保持されることを特徴としている。
本発明の吸音装置によれば、騒音の発生側に面して所定粒径のセラミック粒子の焼成体からなる吸音パネルと、この吸音パネルに対向して空気層を介して設けられた支持プレートとから構成し、支持プレートの表面に吸音パネルから所定間隔をあけてこの吸音パネルよりも空隙率の高い第2の吸音材を設けたので、吸音パネルをセラミック粒子の焼成体から構成することで、構造を複雑化することなく高度な耐久性及び耐水性を確保することができると共に、吸音パネルの後方に空気層を介して空隙率の高い第2の吸音材が設けられたことで、広い周波数帯で高い吸音率を確保することができる。
また、本発明の吸音装置によれば、吸音パネルの裏面にエキスパンドメタルを密着して固定し、吸音パネルとエキスパンドメタルと支持プレートとが重なった状態で、その周囲を支持フレームにより保持するので、所定の剛性を確保することができる。
以下に添付図面を参照して、本発明に係る吸音装置の好適な実施例を詳細に説明する。なお、この実施例によりこの発明が限定されるものではない。
図1は、本発明の実施例1に係る吸音装置を表す一部を断面した概略図、図2は、実施例1の吸音装置の縦断面図、図3は、実施例1の吸音装置における1/3オクターブバンド中心周波数に対する残響音室吸音率を表すグラフ、図4は、実施例1の吸音装置が適用されたトンネルの概略図である。
実施例1において、図4に示すように、吸音装置11は、例えば、トンネルTの内壁面に取付けられることで、このトンネルT内を走行する車両の騒音を吸収・減衰するものである。この吸音装置11は、所定の大きさを有するパネル形状をなし、多数の吸音装置11がトンネルTの内壁面Twに沿って隙間なく取付けられている。
実施例1の吸音装置11は、図1及び図2に示すように、吸音パネル12と、エキスパンドメタル13と、支持プレート14と、支持フレーム15とから構成されている。吸音パネル12は、所定粒径のセラミック粒子の焼成体からなるものである。即ち、吸音パネル12は、例えば、粒径が0.5〜3.0mmの耐火セラミック粒子と、このセラミック粒子よりも融点が低い低融点ガラス質粒子とを混合し、プレス後、焼成することで、所定の大きさ、厚さに形成されており、空隙率は、30〜50%となっている。そのため、この吸音パネル12は、吸音材として従来から使用されてきたグラスウールなどに比べて、経年劣化がないことに加えて耐水性にも優れており、曲げ加工が容易であるため、トンネル内壁面Twに合わせて湾曲して製造することもできる。
エキスパンドメタル13は、格子状をなすステンレスプレートであり、吸音パネル12とほぼ同一形状をなし、且つ、厚さが薄く形成されており、吸音パネル12の裏面に密着して固定されることで、所定の剛性が確保されるようになっている。
支持プレート14は、吸音パネル12に対向してその後方に所定の間隔をあけて配置されており、吸音パネル12と支持プレート14との間に空気層A(A1,A2)が形成される。そして、この支持プレート14は、中央部に厚さ方向に段差が形成された凹凸形状をなすことで、吸音パネル12と支持プレート14との距離が異なる複数種類(本実施例では、2種類)の空気層A1,A2が設けられている。
即ち、支持プレート14は、外周部の第1平面部21に対して、中央部の第2平面部22が吸音パネル12側に変形した形状をなし、第1平面部21と第2平面部22とが平行とをなすように縦壁部23により連結されている。また、支持プレート14は、周縁部が吸音パネル12側に変形してエキスパンドメタル13の裏面に密着する取付部24が形成されている。この場合、第1平面部21と第2平面部22と縦壁部23とによって凹凸部が構成される。従って、吸音パネル12(エキスパンドメタル13)と支持プレート14の第1平面部21との間に距離の長い第1空気層A1が設けられると共に、吸音パネル12(エキスパンドメタル13)と支持プレート14の第2平面部22との間に距離の短い第2空気層A2が設けられることとなる。
支持フレーム15は、吸音パネル12とエキスパンドメタル13と支持プレート14とが重なった状態で、その周囲を保持するように固定されるものであり、矩形の枠型をなし、断面が略コ字形状をなしている。即ち、この支持フレーム15は、吸音パネル12の表面周縁部に密着する前縁部25と、支持プレート14の裏面周縁部に密着する後縁部26と、この前縁部25と後縁部26を連結して吸音パネル12とエキスパンドメタル13と支持プレート14の各端縁に密着する側縁部27とを有している。また、支持フレーム15の両側には、接合部28がそれぞれ一体に形成されており、各接合部28には取付プレート29が接合されている。
このように構成された本実施例の吸音装置11は、トンネル内壁面Twの所定の位置に固定される。即ち、支持プレート15の裏面及び各取付プレート29の下面がトンネル内壁面Twに密着した状態で、各取付プレート29を複数の取付ボルト30によりトンネル内壁面Twに固定する。
従って、トンネルT内を車両が走行することで騒音が発生すると、この騒音が吸音パネル12の空隙を通って空気層A1,A2内に入り込むことで、この音のエネルギが熱に変換されて減衰される。このとき、空気層A1,A2の長さが異なることで、複数種類の周波数帯の騒音を減衰することができる。即ち、図3に示すように、距離の長い第1空気層A1では、比較的高い周波数帯で高い吸音率を確保することができる一方、距離の短い第2空気層A2では、比較的低い周波数帯で高い吸音率を確保することができるものである。そのため、実施例1の吸音装置11のように、距離の異なる2つの空気層A1,A2を有していると、低周波及び高周波を含む比較的広い周波数帯で高い吸音率を確保することができるものである。本実施例では、道路吸音必要周波数領域(400Hz〜4000Hz)で、吸音率0.75以上を確保することができ、吸音パネル12に対して音が斜めから入る斜入射に対して高い吸音性を確保することができる。
このように実施例1の吸音装置にあっては、吸音装置11を、所定粒径のセラミック粒子の焼成体からなる吸音パネル12とエキスパンドメタル13と支持プレート14と支持フレーム15とから構成し、支持プレート14にて、外周部の第1平面部21に対して中央部の第2平面部22を吸音パネル12側に変形した凹凸形状とすることで、吸音パネル12と支持プレート14との間に距離の異なる2種類の空気層A1,A2を設けている。
従って、吸音パネル12をセラミック粒子の焼成体とすることで、吸音材として従来から使用されてきたグラスウールなどに比べて、経年劣化がないことに加えて耐水性にも優れており、構造を複雑化することなく高度な耐久性及び耐水性を確保することができる。また、吸音パネル12の後方に距離が異なる2種類の空気層A1,A2を設けたことで、広い周波数帯で高い吸音率を確保することができる。
図5は、本発明の実施例2に係る吸音装置を表す縦断面図である。なお、前述した実施例で説明したものと同様の機能を有する部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
実施例2において、図5に示すように、実施例2の吸音装置31は、吸音パネル12と、エキスパンドメタル13と、支持プレート32と、支持フレーム15とから構成されている。本実施例では、吸音パネル12、エキスパンドメタル13、支持フレーム15は前述した実施例1と同様の構成であり、支持プレート32のみの構成が相違しているため、この点について詳細に説明する。
支持プレート32は、吸音パネル12の後方に所定の間隔をあけて配置されており、厚さ方向に複数の段差が形成された凹凸形状をなすことで、吸音パネル12と支持プレート32との距離が異なる複数種類(本実施例では、5種類)の空気層A1〜A5が設けられている。
即ち、支持プレート32は、外周部と中央部の第1平面部33に対して、その間の部分が階段状をなすように第2〜5平面部34〜37が吸音パネル12側に変形した形状となっている。また、支持プレート32は、周縁部が吸音パネル12側に変形してエキスパンドメタル13の裏面に密着する取付部38が形成されている。この場合、第1平面部33から第5平面部37によって凹凸部が構成される。従って、吸音パネル12(エキスパンドメタル13)と支持プレート32との間に距離の異なる5種類の空気層A1〜A5が設けられることとなる。
このように構成された本実施例の吸音装置31にて、トンネルT内を車両が走行することで騒音が発生すると、この騒音が吸音パネル12の空隙を通って空気層A1〜A5内に入り込むことで、この音のエネルギが熱に変換されて減衰される。このとき、空気層A1〜A5の長さが異なることで、複数種類の周波数帯を含む比較的広い周波数帯で高い吸音率を確保することができ、道路吸音必要周波数領域(400Hz〜4000Hz)で、斜入射吸音率0.75以上を確保することができる。
このように実施例2の吸音装置にあっては、吸音装置31を、所定粒径のセラミック粒子の焼成体からなる吸音パネル12とエキスパンドメタル13と支持プレート32と支持フレーム15とから構成し、支持プレート32に階段状の5つの平面部33〜37を形成して凹凸形状とすることで、吸音パネル12と支持プレート32との間に距離の異なる5種類の空気層A1〜A5を設けている。
従って、吸音パネル12の後方に距離が異なる5種類の空気層A1〜A5を設けたことで、広い周波数帯で高い吸音率を確実に確保することができる。
図6は、本発明の実施例3に係る吸音装置の一部を切欠いた正面図、図7は、図6のVII−VII断面図である。なお、前述した実施例で説明したものと同様の機能を有する部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
実施例3において、図6及び図7に示すように、実施例3の吸音装置41は、吸音パネル12と、エキスパンドメタル13と、支持プレート42と、支持フレーム15とから構成されている。本実施例では、吸音パネル12、エキスパンドメタル13、支持フレーム15は前述した実施例1と同様の構成であり、支持プレート42のみの構成が相違しているため、この点について詳細に説明する。
支持プレート42は、吸音パネル12の後方に所定の間隔をあけて配置されており、厚さ方向に複数の段差としての傾斜部が形成された凹凸形状をなすことで、吸音パネル12と支持プレート42との距離が異なる複数種類(本実施例では、8種類)の空気層A1〜A8が設けられている。
即ち、支持プレート42は、外側から螺旋状をなすように8つの傾斜部43〜50が吸音パネル12側に変形した形状となっている。また、支持プレート42は、周縁部が吸音パネル12側に変形してエキスパンドメタル13の裏面に密着する取付部51が形成されている。この場合、第1傾斜部43から第8傾斜部50によって凹凸部が構成される。従って、吸音パネル12(エキスパンドメタル13)と支持プレート42との間に距離の異なる8種類の空気層A1〜A8が設けられると共に、各空気層A1〜A8内で断続的に吸音パネル12と支持プレート42との間の距離が異なっている。
このように構成された本実施例の吸音装置41にて、トンネルT内を車両が走行することで騒音が発生すると、この騒音が吸音パネル12の空隙を通って空気層A1〜A8内に入り込むことで、この音のエネルギが熱に変換されて減衰される。このとき、空気層A1〜A8の長さが異なると共に、各空気層A1〜A8内で断続的にその距離が異なることで、比較的広い周波数帯で高い吸音率を確保することができ、道路吸音必要周波数領域(400Hz〜4000Hz)で、斜入射吸音率0.75以上を確保することができる。
このように実施例3の吸音装置にあっては、吸音装置41を、所定粒径のセラミック粒子の焼成体からなる吸音パネル12とエキスパンドメタル13と支持プレート42と支持フレーム15とから構成し、支持プレート42に連続して傾斜した複数の傾斜部43〜50を形成して凹凸形状とすることで、吸音パネル12と支持プレート42との間に距離の異なる複数種類の空気層A1〜A8を設けている。
従って、吸音パネル12の後方に距離が異なる複数種類の空気層A1〜A8を設けたことで、広い周波数帯で高い吸音率を確実に確保することができる。
図8は、本発明の実施例4に係る吸音装置の縦断面図である。なお、前述した実施例で説明したものと同様の機能を有する部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
実施例4において、図8に示すように、実施例4の吸音装置61は、吸音パネル12と、エキスパンドメタル13と、支持プレート14と、支持フレーム15とから構成されている。本実施例では、エキスパンドメタル13、支持プレート14、支持フレーム15は前述した実施例1と同様の構成であり、吸音パネル12のみの構成が相違しているため、この点について詳細に説明する。
吸音パネル12は、例えば、粒径が0.5〜3.0mmの耐火セラミック粒子と、このセラミック粒子よりも融点が低い低融点ガラス質粒子とを混合し、プレス後、焼成することで、所定の大きさ、厚さに形成されており、空隙率は、30〜50%となっている。そして、この吸音パネル12は、表面部に多数の凹部(凹凸部)12aが形成されることで、表面積が拡大されたものとなっている。なお、吸音パネル12の表面を波型形状とすることで、曲面状の凹凸部としても良い。
このように構成された本実施例の吸音装置61にて、トンネルT内を車両が走行することで騒音が発生すると、この騒音が吸音パネル12の表面に到達した後、空隙を通って空気層A1〜A8内に入り込むことで、この音のエネルギが熱に変換されて減衰される。このとき、吸音パネル12は多数の凹部12aが形成されることで、その表面積が拡大されており、異なる周波数の騒音を効率的に減衰することができる。また、空気層A1,A2の長さが異なることで、比較的広い周波数帯で高い吸音率を確保することができ、道路吸音必要周波数領域(400Hz〜4000Hz)で、斜入射吸音率0.75以上を確保することができる。
このように実施例4の吸音装置にあっては、吸音装置61を、所定粒径のセラミック粒子の焼成体からなる吸音パネル12とエキスパンドメタル13と支持プレート42と支持フレーム15とから構成し、吸音パネル12の表面部に多数の凹部12aを形成することで表面積を拡大している。従って、異なる周波数の騒音を効率的に減衰することができる。
図9は、本発明の実施例5に係る吸音装置の縦断面図である。なお、前述した実施例で説明したものと同様の機能を有する部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
実施例5において、図9に示すように、実施例5の吸音装置71は、吸音パネル12と、エキスパンドメタル13と、支持プレート14と、支持フレーム15とから構成されている。本実施例では、エキスパンドメタル13、支持プレート14、支持フレーム15は前述した実施例1と同様の構成であり、吸音パネル12のみの構成が相違しているため、この点について詳細に説明する。
吸音パネル12は、例えば、粒径が0.5〜3.0mmの耐火セラミック粒子と、このセラミック粒子よりも融点が低い低融点ガラス質粒子とを混合し、プレス後、焼成することで、所定の大きさ、厚さに形成されており、空隙率は、30〜50%となっている。そして、この吸音パネル12は、空気層A1,A2と外部とを挿通する複数の貫通孔12bが形成されている。
このように構成された本実施例の吸音装置71にて、トンネルT内を車両が走行することで騒音が発生すると、この騒音が吸音パネル12の表面に到達した後、空隙を通って空気層A1〜A8内に入り込むことで、この音のエネルギが熱に変換されて減衰される。このとき、高周波数帯の音は、吸音パネル12の表面で反射する可能性が高いが、吸音パネル12に多数の貫通孔12bが形成されることで、高周波数帯の音は各貫通孔12bを通って空気層A1,A2内に入り込むことで減衰することができる。また、空気層A1,A2の長さが異なることで、比較的広い周波数帯で高い吸音率を確保することができ、道路吸音必要周波数領域(400Hz〜4000Hz)で、斜入射吸音率0.75以上を確保することができる。
このように実施例5の吸音装置にあっては、吸音装置71を、所定粒径のセラミック粒子の焼成体からなる吸音パネル12とエキスパンドメタル13と支持プレート42と支持フレーム15とから構成し、吸音パネル12に多数の貫通孔12bを形成している。従って、比較的高い周波数帯の音は、各貫通孔12bを通って空気層A1,A2内に入り込むことで減衰されることとなり、広い周波数帯で高い吸音率を確実に確保することができる。
図10は、本発明の実施例6に係る吸音装置を表す縦断面図である。なお、前述した実施例で説明したものと同様の機能を有する部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
実施例6において、図10に示すように、実施例6の吸音装置81は、図示しないが、所定粒径のセラミック粒子の焼成体からなる吸音パネルとエキスパンドメタルとから構成された水平パネル形状をなしており、トンネルTの内壁面Twに固定することで、吸音パネルとトンネル内壁面Twとの間に空気層が設けられている。この場合、湾曲したトンネル内壁面Twに水平な吸音装置81を固定することで、吸音装置81とトンネル内壁面Twとの間に連続して距離の異なる空気層Aが設けられることとなる。なお、湾曲したトンネル内壁面Twに対して水平な吸音装置81を所定の角度をもって固定することで、吸音装置81とトンネル内壁面Twとの間に連続して距離の異なる空気層Aを設けてもよい。
このように構成された本実施例の吸音装置81にて、トンネルT内を車両が走行することで騒音が発生すると、この騒音が吸音装置41の空隙を通って空気層A内に入り込むことで、この音のエネルギが熱に変換されて減衰される。このとき、空気層Aの長さが異なることで、複数種類の周波数帯を含む比較的広い周波数帯で高い吸音率を確保することができ、道路吸音必要周波数領域(400Hz〜4000Hz)で、斜入射吸音率0.75以上を確保することができる。
このように実施例6の吸音装置にあっては、吸音装置81を、所定粒径のセラミック粒子の焼成体からなる吸音パネルとから構成し、湾曲したトンネル内壁面Twに水平な吸音装置81を固定することで、吸音装置81とトンネル内壁面Twとの間に連続して距離の異なる空気層Aを設けている。
従って、吸音パネル12の後方に連続して距離が異なる空気層Aを設けたことで、広い周波数帯で高い吸音率を確実に確保することができる。
図11は、本発明の実施例7に係る吸音装置の縦断面図である。なお、前述した実施例で説明したものと同様の機能を有する部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
実施例7において、図11に示すように、実施例7の吸音装置91は、吸音パネル12と、エキスパンドメタル13と、支持プレート92と、吸音材93、支持フレーム15とから構成されている。即ち、吸音パネル12は、所定粒径のセラミック粒子の焼成体からなるものであり、空隙率は、30〜50%となっている。エキスパンドメタル13は、格子状をなすステンレスプレートであり、吸音パネル12とほぼ同一形状をなしている。支持プレート92は、吸音パネル12に対向してその後方に所定の間隔をあけて配置されることで、吸音パネル12と支持プレート92との間に空気層Aが形成されており、周縁部が吸音パネル12側に変形してエキスパンドメタル13の裏面に密着する取付部94となっている。
吸音材93は、支持プレート92の表面に吸音パネル12から所定間隔をあけて設けられている。この吸音材93は、吸音パネル12よりも空隙率の高い第2の吸音材として、例えば、グラスウールなどの合成繊維不織布である。支持フレーム15は、吸音パネル12とエキスパンドメタル13と支持プレート92とが重なった状態で、その周囲を保持するように固定されるものである。
このように構成された本実施例の吸音装置91にて、トンネルT内を車両が走行することで騒音が発生すると、この騒音が吸音パネル12の表面に到達した後、空隙を通って空気層A内に入り込むことで、この音のエネルギが熱に変換されて減衰される。また、この空気層A内に入り込んだ音は、吸音材93により減衰される。このとき、低周波数帯の音は、吸音パネル12及び空気層Aにより減衰され、高周波数帯の音は、空気層Aで吸音材93により減衰されることとなり、比較的広い周波数帯で高い吸音率を確保することができ、道路吸音必要周波数領域(400Hz〜4000Hz)で、斜入射吸音率0.75以上を確保することができる。
このように実施例7の吸音装置にあっては、吸音装置91を、所定粒径のセラミック粒子の焼成体からなる吸音パネル12とエキスパンドメタル13と支持プレート92と吸音パネル12よりも空隙率の高い吸音材93と支持フレーム15とから構成し、吸音パネル12と支持プレート92との間に空気層Aを設けると共に、支持プレート92の表面に吸音材93を配置している。従って、比較的低い周波数帯の音は、吸音パネル12及び空気層Aで減衰され、比較的高い周波数帯の音は、吸音材93で減衰されることとなり、広い周波数帯で高い吸音率を確実に確保することができる。
図12は、本発明の実施例8に係る吸音装置の縦断面図である。なお、前述した実施例で説明したものと同様の機能を有する部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
実施例8において、図12に示すように、実施例8の吸音装置101は、吸音パネル12と、エキスパンドメタル13と、支持プレート102と、支持フレーム15と、吸音材103から構成されている。即ち、吸音パネル12は、所定粒径のセラミック粒子の焼成体からなるものであり、空隙率は、30〜50%となっている。エキスパンドメタル13は、格子状をなすステンレスプレートであり、吸音パネル12とほぼ同一形状をなしている。支持プレート102は、吸音パネル12に対向してその後方に所定の間隔をあけて配置されることで、吸音パネル12と支持プレート102との間に空気層Aが形成されており、周縁部が吸音パネル12側に変形してエキスパンドメタル13の裏面に密着する取付部104となっている。
吸音材103は、吸音パネル12の表面に設けられており、この吸音材103は、吸音パネル12よりも空隙率の高い第3の吸音材として、例えば、粒径が1ミクロン以下のセラミック粒子をプレス後に焼成することで、所定の大きさ、厚さに形成されている。
このように構成された本実施例の吸音装置101にて、トンネルT内を車両が走行することで騒音が発生すると、この騒音が吸音パネル12の表面に到達した後、空隙を通って空気層A内に入り込むことで、この音のエネルギが熱に変換されて減衰される。即ち、高周波数帯の音は、吸音材103を通過したときに減衰され、低周波数帯の音は、吸音パネル12を通過したときに減衰されることとなり、比較的広い周波数帯で高い吸音率を確保することができ、道路吸音必要周波数領域(400Hz〜4000Hz)で、斜入射吸音率0.75以上を確保することができる。
このように実施例8の吸音装置にあっては、吸音装置101を、所定粒径のセラミック粒子の焼成体からなる吸音パネル12とエキスパンドメタル13と支持プレート102と支持フレーム102と吸音パネル12よりも空隙率の高い吸音材103とから構成し、吸音パネル12の表面に吸音材103を設けると共に、吸音パネル12と支持プレート102との間に空気層Aを設けている。従って、比較的高い周波数帯の音は、吸音材93で減衰され、比較的低い周波数帯の音は、吸音パネル12で減衰されることとなり、広い周波数帯で高い吸音率を確実に確保することができる。
図13は、本発明の実施例9に係る吸音装置を表す縦断面図である。なお、前述した実施例で説明したものと同様の機能を有する部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
実施例9において、図13に示すように、実施例9の吸音装置111は、所定粒径のセラミック粒子の焼成体からなる吸音パネル12と、エキスパンドメタル13と、支持プレート14と、支持フレーム112とから構成されている。支持プレート14の中央部を吸音パネル12側に変形した凹凸形状とすることで、吸音パネル12と支持プレート14との間に距離の異なる2種類の空気層を設けている。
そして、本実施例では、支持フレーム112が単独で起立できるように、下部に設置台113が固定されている。従って、吸音装置111は、この支持フレーム112により起立した状態で設置することができ、道路の両側などに防音壁として利用可能となっている。
このように実施例9の吸音装置にあっては、吸音装置111を、吸音パネル12とエキスパンドメタル13と支持プレート14とを重ねて支持フレーム112により単独で起立できるようにしている。従って、吸音装置111を道路などに防音壁として使用することができ、用途を拡大することができる。
図14は、本発明の実施例10に係る吸音装置を表す縦断面図である。なお、前述した実施例で説明したものと同様の機能を有する部材には同一の符号を付して重複する説明は省略する。
実施例10において、図14に示すように、実施例10の吸音装置121は、吸音パネルとエキスパンドメタルと支持プレートとが重ねた状態で支持フレームにより支持されており、吸音パネルと支持プレートとの間に距離の異なる2種類の空気層が設けられている。そして、本実施例では、この吸音装置121が、道路の側方に支柱122により連続して壁をなすように設置されている。
このように実施例10の吸音装置にあっては、吸音装置121を、吸音パネルとエキスパンドメタルと支持プレートとを重ねて支持フレームにより支持して構成し、この吸音装置121を支柱122により連続して壁をなすように設置している。従って、吸音装置121を道路などに防音壁として使用することができ、用途を拡大することができる。
なお、上述の実施例では、吸音装置を、吸音パネルとエキスパンドメタルと支持プレートと支持フレームにより構成したが、吸音パネルと空気層を確保するための支持プレートまたは壁部があればよく、吸音パネルだけで強度が確保できれば、エキスパンドメタルは不要となる。また、このエキスパンドメタルを設ける場合には、吸音パネルの裏面ではなく、表面に装着しても良い。更に、吸音装置を複数重ねて設けても良い。
本発明に係る吸音装置は、吸音パネルの後方に距離が異なる複数種類の空気層を設けて広い周波数帯出高い吸音率を確保するものであり、いずれの場所でも高性能の吸音装置として適用することができる。
本発明の実施例1に係る吸音装置を表す一部を断面した概略図である。 実施例1の吸音装置の縦断面図である。 実施例1の吸音装置における1/3オクターブバンド中心周波数に対する残響音室吸音率を表すグラフである。 実施例1の吸音装置が適用されたトンネルの概略図である。 本発明の実施例2に係る吸音装置の縦断面図である。 本発明の実施例3に係る吸音装置の一部を切欠いた正面図である。 図6のVII−VII断面図である。 本発明の実施例4に係る吸音装置の縦断面図である。 本発明の実施例5に係る吸音装置の縦断面図である。 本発明の実施例6に係る吸音装置を装着したトンネル断面図である。 本発明の実施例7に係る吸音装置の縦断面図である。 本発明の実施例8に係る吸音装置の縦断面図である。 本発明の実施例9に係る吸音装置の縦断面図である。 本発明の実施例10に係る吸音装置の縦断面図である。
符号の説明
11,31,41,61,71,81,91,101 吸音装置
12 吸音パネル
12a 凹部(凹凸部)
12b 貫通孔
13 エキスパンドメタル
14,32,43 支持プレート
15,92,102 支持フレーム
93 第2の吸音材
103 第3の吸音材
A,A1〜A8 空気層
T トンネル
Tw トンネル内壁面

Claims (2)

  1. 騒音の発生側に面して所定粒径のセラミック粒子の焼成体からなる吸音パネルと、該吸音パネルに対向して空気層を介して設けられた支持プレートとを具えた吸音装置において、前記支持プレートの表面に前記吸音パネルから所定間隔をあけて該吸音パネルよりも空隙率の高い第2の吸音材が設けられたことを特徴とする吸音装置。
  2. 請求項1に記載の吸音装置において、前記吸音パネルの裏面にエキスパンドメタルが密着して固定され、前記吸音パネルと前記エキスパンドメタルと前記支持プレートとが重なった状態で、その周囲を支持フレームにより保持されることを特徴とする吸音装置。
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