JP3629416B2 - 遮音壁パネル - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、例えば高速道路、一般道路、鉄道等の車両走行に伴う騒音公害を防止するための遮音壁に使用されるパネルに関する。
【0002】
【従来技術とその課題】
この種の遮音壁パネルとして、図8に示す構造のものが一般的に汎用されている。すなわち、この遮音壁パネルは、アルミニウム等よりなるルーバー式表面板21の内側に、表面をポリフッ化ビニル等の合成樹脂フィルム22aで被覆したガラス繊維不織布(ガラスウール)からなる吸音材22を配置し、この吸音材22と背面板23との間に空気層24を設けたものであり、表面板21を騒音発生側(道路側)に臨ませ、そのルーバー開口21a…より内部に入射した騒音音波を吸音材22にて吸収減衰させ、もって道路等の外側周辺に伝播する騒音を低減するようになっている。
【0003】
しかしながら、上記の遮音壁パネルでは、表面板21のルーバー21b…による遮蔽作用があるため、パネル内側へ入射する音波の伝播方向が限られ、騒音の入射率が低い上、吸音材22が合成樹脂フィルム22aに包まれていることから、該吸音材22自体への騒音の入射率も低く、且つ吸収音波の周波数範囲も狭くなり、もって遮音効果が不充分であり、騒音公害を確実に防止できなかった。
【0004】
また、吸音材22を被覆する合成樹脂フィルム22aは、元来、雨水や洗浄水等が吸音材22中に滲み込むのを防止する防水機能と、吸音材22のガラス繊維が飛散するのを防ぐ飛散防止機能とを担うが、経時的に劣化が進行すると共に、車両走行に伴う振動や洗浄時に加わる負荷を受けるため、長期の使用中に破損することが多々あり、これによって内部のガラス繊維が飛散して環境破壊や健康被害を生じる懸念があり、また破損部分から入った水が吸音材22中に溜まって吸音性能の低下をきたすという問題があった。更に、表面板21は、アルミニウム等の金属であるため、外観的に周辺環境に対する違和感が大きく、着色塗装しても平滑な着色面となって無機的な印象を与え、周辺環境に調和させにくいという難点があった。
【0005】
本発明は、上述の事情に鑑みて、遮音壁パネルとして、内部への騒音の入射率が高い上、吸音層によって広い周波数範囲の騒音を効率よく吸収減衰でき、騒音公害の防止効果に優れ、しかも吸音層の素材が飛散したり、吸音層に雨水や洗浄水等が滲み込んで吸音性能の低下をきたす懸念がなく、また周辺環境によく調和した遮音壁を構成できるものを提供することを目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
上記目的を達成するために、本発明の請求項1に係る遮音壁パネルは、図面の参照符号を付して示せば、パネル厚み方向に順次、パンチングメタルよりなる表面板1、防水層2、中間空気層3、吸音層4、背側空気層5及び背面板6を有してなる遮音壁パネルにおいて、防水層2並びに吸音層4は合成繊維不織布よりなり、その厚みは、防水層2が3〜20mm、吸音層4は防水層2より大きい厚みとし、さらに防水層2は前記表面板1の開口部10…からの侵入水を捕捉して当該層2内を流下させるのに適する30〜70デニールの合成繊維よりなる嵩密度0.05〜0.2g/cm 3 の不織布により構成されたことを特徴としている。
【0007】
この遮音壁パネルPは、表面板1が騒音発生側(道路側)に向く形で側壁用支柱等に取り付けて遮音壁の壁面を構成するが、該表面板1がパンチングメタルよりなるため、パネル内側へ入射する音波の伝播方向を制約せず騒音の入射率が高い上、吸音層4が合成樹脂フィルム等に被包されておらず、その合成繊維不織布によって広い周波数範囲の音波を効率よく吸収減衰でき、且つ吸音層4を通り抜けた音波も背面板で反射し、再び当該吸音層4に入射して吸収減衰されることになり、また吸音層4の両側に存在する中間空気層3と背側空気層5によって吸音効果がより向上し、もって非常に優れた騒音防止効果を発揮する。
【0008】
防水層2は入射音波に対してある程度の吸収減衰作用を示すが、吸音層4より層厚が薄いから、入射音波の大部分は当該防水層2を通過して吸音層4において吸収減衰されることになる。しかして、降雨時や洗浄時には表面板1の開口部10…より水が防水層2へ入り込むが、吸音層4は中間空気層3によって防水層2から隔てられているから、防水層2から吸音層4へ水が浸透することはなく、またパネルP内の空気の圧力が外側からの風圧に抗するため、風によって雨水が防水層2を越えて吸音層4まで吹き込むことはなく、入り込んだ水は全て防水層2に捕捉されて当該防水層2の繊維間を通って流下し、吸音層4の吸音性能が水浸透によって低下する懸念はない。また防水層2は、30〜70デニールの合成繊維よりなる嵩密度0.05〜0.2g/cm 3 の不織布により構成されて、適度な目の粗さを有するために、雨水の捕捉性と流下性がより向上する。また、防水層2の厚さが3〜20mmであるから、薄い防水層2を通して吸音層4へ騒音が入射し易い。
【0009】
請求項2の発明では、上記請求項1の遮音壁パネルにおいて、吸音層4が10〜50デニールの合成繊維よりなる嵩密度0.03〜0.07g/cm3 の不織布にて構成されたものとしている。この場合、吸音層4が音波の吸収減衰性に適した密度を有することから、騒音防止効果がより向上する。
【0010】
請求項3の発明では、上記請求項1又は2の遮音壁パネルにおいて、吸音層4の厚さが30〜100mmである構成を採用したもので、吸音層4が適度な厚みであるために優れた吸音効果が得られる。
【0011】
請求項4の発明では、上記請求項1〜3のいずれかの遮音壁パネルにおいて、吸音層4が、不織布シート40を一定幅でジクザグ状に折り返して重ね、その折り返し幅Wを層厚としたものからなる構成としている。この場合、薄い不織布シート40を用いて厚みの大きい吸音層4を容易に形成できると共に、該吸音層4の厚みを自在に設定できる上、構造的に吸音層4の吸音性能もより優れたものとなる。
【0012】
請求項5の発明では、上記請求項1〜4のいずれかの遮音壁パネルにおいて、表面板のパネル表面側における開口面積比率が30〜75%である構成としているから、表面板1の自己保持強度を充分に確保して、且つ高い騒音入射率が得られる。
【0013】
請求項6の発明は、上記請求項1〜5のいずれかの遮音壁パネルにおいて、防水層2が着色されてなる構成としている。この構成では、表面板1の開口部11…より着色した該防水層2が露呈し、且つ表面板1はパンチングメタルであるために目立たず、もってパネル表面全体が着色した状態に視認される。
【0014】
請求項7の発明では、上記請求項1〜6のいずれかの遮音壁パネルにおいて、中間空気層3の位置に、防水層2の背面側を押さえる押さえ手段7…を具備する構成としているから、防水層2が表面板1の裏面側に接合した状態に安定に保たれることになる。
【0015】
請求項8の発明では、請求項7の遮音壁パネルにおいて、前記押え手段7は前記表面板1と同じようにその全面に開口孔7aを有する多孔板7から構成されているから、表面板1の開口部から防水層2を通過してパネル内側に入射する騒音は押え手段7によって制約を受けることなく吸音層4に入射させ、その音波の吸音層4による吸収効率を減退させることはない。
【0016】
請求項9の発明では、前記多孔板7に設けられた開口孔7aと前記表面板1に設けられる開口部10とが略同心状に配列されるため、表面板1の開口部10から入射した騒音は多孔板7で反射されることなく、その開口孔7aを通って吸音層4に効率よく入射され吸収減衰されることになる。
【0017】
請求項10の発明では、上記請求項1〜7のいずれかの遮音壁パネルにおいて、背面板6が吸音層4の背面に当接する内向き凸部60を有してなる構成としているから、この内向き凸部60による背面側からの支持によって吸音層4の形態が安定に保持される。
【0018】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に係る遮音壁パネルの一実施例について、図面を参照して具体的に説明する。図1は遮音壁パネルの縦断側面図、図2は該パネルを断層的に示す斜視図、図3該パネルの平面図である。
【0019】
図1〜図3に示すように、この遮音壁パネルPは、正面視で横長の長方形をなし、パネル厚み方向に順次、アルミニウム等のパンチングメタルからなる表面板1、該表面板1の裏面側に当接した着色合成繊維の不織布からなる防水層2、中間空気層3、前記防水層よりも層厚の大きい合成繊維不織布からなる吸音層4、背側空気層5、及び背面板6を有している。
【0020】
このパネルPの上下端では、後述のように背面板6の前方延出部6a,6bに表面板1の上下の後方延出部1a,1bが外嵌するようになっている。
【0021】
表面板1は、上下の後方延出部1a,1bを除き、パネル表面側に臨む全面に多数の円形の開口部10…を均等に設けたものであり、パネル内への騒音の入射面積を大きくして且つ自己保持強度を確保する上で、パネル表面側における開口面積比率が30〜75%程度に設定されている。なお、この表面板1の開口部10…の内、最下位の配列分は前面から下側の後方延出部1bへ移行する曲がり部にかかるように配置しており、これによってバネル下縁に沿って並ぶ排水孔10a…を構成している。
【0022】
防水層2は、着色したポリ塩化ビニリデン繊維等の合成繊維からなる単層マット状の比較的に粗な不織布からなり、雨水や洗浄水等の侵入水を捕捉して当該層内で流下させることにより、内側の吸音層4に侵入水が付着・浸透するのを防ぐ機能を担っている。しかして、このような防水層2としては、防水機能を確実に発揮する上で好ましくは、不織布の合成繊維が30〜70デニール程度、嵩密度0.05〜0.2g/cm3 程度、層厚3〜20mm程度に設定される。
【0023】
吸音層4は、図4に示すように、ポリ塩化ビニリデン繊維等の合成繊維不織布のシート40を一定幅でジクザグ状に折り返して重ねたものからなり、その折り返し幅Wを層厚として折り線が垂直方向となる向きでパネルP内に配置しており、入射した広い周波数範囲の音波を効率よく吸収減衰させる機能を持っている。しかして、この吸音層4としては、高い吸音機能を発揮させる上で好ましくは、不織布の合成繊維が10〜50デニール程度、嵩密度0.03〜0.07g/cm3 程度、層厚3〜100mm程度に設定される。
【0024】
背面板6は、上下方向中間部に左右方向全長にわたる内向き凸部60を有し、該凸部60が背面側に当接することによって後述のように前記吸音層4をパネルP内で安定に保持している。
【0025】
また防水層2の背面側には押え部材7が設けられ、該押え部材7は、図2に示すように防水層2の背面側全域に当接する多孔板7からなり、該多孔板7の全域に均等に開口孔7aが設けられ、これらの開口孔7aは表面板1の開口部10と同心状に設けられている。また多孔板7の上下方向略中央位置に吸音層4に向かって突出する凸部70が形成される。また多孔板7の上下端部7b,7cは中間空気層3を囲繞するように略コ字状に折曲され、その先端部7dが更に吸音層4側にL字状に折曲している。
【0026】
しかして、表面板1の背面側に防水層2を当接配設し、しかるのちに押え手段7である多孔板を防水層2に当接させ、且つ多孔板7の上下コ字状端部7b,7cを表面板1の後方延出部1a,1bの裏面側に当接させた状態で、後方延出部1a,1bとコ字状端部7b,7cとを図示のようにスポット溶接9によって一体化し、これによって防水層2は、その表面側の表面板1と、背面側の押え手段7である多孔板7とに挟持されて強固に保持される。
【0027】
次に、背面板6の内側に吸音層4を、その上下端部が背面板6の前方延出部6a,6bの段部6a1 ,6b1 に当接し、且つその中央部が背面板6の凸部60に当接するようにして取り付け、この状態で多孔板7及び防水層2が前述のように一体的に取り付けられた表面板1を、その上下端部の後方延出部1a,1bの段部1a1 ,1b1 が背面板6の前方延出部6a,6bの段部6a1 ,6b1 を乗り越えるように外嵌して取り付ける。これによって、吸音層4の上下端部表面側に多孔板7のコ字状端部7b,7cの先端部7dが、またその中央部表面側に前記凸部70が図示のように夫々若干食い込むように当接する。
【0028】
この状態で表面板1の上下の後方延出部1a,1bと背面板6の前方延出部6a,6bとを背面寄りでリベットS1 で固着することによって、吸音層4は多孔板7を介して表面板1と背面板6との間で強固に保持され、該吸音層4と多孔板7との間に所定の間隔の中間空気層3が形成され、吸音層4と背面板6との間も所定の間隔の背側空気層5が形成され、なお且つ多孔板7の凸部70が吸音層4の表面側に、また背面板6の凸部60が吸音層4の背面側に当接することによって両板7,6によって吸音層4が変形することがなく保持されると共に、前述の中間空気層3及び背側空気層5はその間隔が変化することなく維持される遮音壁パネルPの完成をみるのである。
【0029】
また、遮音壁パネルPの左右両側には、図5に示すように、パネル表面側に位置して上下方向略全長にわたる突縁部11と、パネル背面側の上部に位置して該突縁部11に対向する支柱取付片12aとが設けてある。そして、突縁部11は、防水層2の延長端部と、該防水層2の延長端部を挟んで表面側から裏面側に折曲形成された表面板1の側方延長部と、表面板1の裏面側に当接する側板8の張出片8aにて構成される。一方、支柱取付片12aは、側板8と、側板8の張出片8a及び表面板1とに夫々ねじS2 ,S3 によって固着されたコ字枠形金具12の側片部より構成され、その上縁より後方へ突出する孔付き突片12bを備えている。
【0030】
図6は上記構成の遮音壁パネルPを用いて構築した道路遮音壁の一例を示す。この道路遮音壁は、道路のコンクリート側壁13上に所定間隔置きに立設された横断面H型の各支柱14,14間に、複数枚の遮音壁パネルP…を表面板1が道路側に臨む向きで上下に段積みした形で取り付けることにより、連続した壁面を構成している。しかして、図7(イ)(ロ)に示すように、各支柱14は側片部14a,14bが壁面方向に沿う向きに配置しており、遮音パネルPは、左右の突縁部11,11をそれぞれ支柱14の道路側の側片部14aの外面側に被さるように配置し、支柱取付片12aに保持させた板ばね材からなる固定金具15を当該側片部14aの内面側に弾接させることにより、両側一対の支柱14,14に固定されている。
【0031】
なお、図7(ロ)に示すように、固定金具15は帯状の板ばね材を二重の楔形に曲成したものであり、孔付き基端部15bが支柱取付片12aの孔付き突片12b上に重なるように、楔形の本体部15aを支柱取付片12aと支柱14の側片部14aとの間に上方から圧入させる。しかして、重なった孔付き突片12bと孔付き基部15bの孔には、上下に段積みした複数枚の遮音壁パネルP…にわたってワイヤー16を挿通し、更に該ワイヤー16を隣接する壁面の遮音壁パネルP…に同様に挿通するようにして、所要区間の遮音壁パネルP…の全体を一体化させている。
【0032】
このような遮音壁では、遮音壁パネルPの表面板1がパンチングメタルよりなり、その開口部10には従来のルーバー式表面板21におけるルーバー21b(図8参照)のような遮蔽部がないため、パネル内側へ入射する音波の伝播方向が制約されず、騒音の入射率が高くなる上、吸音層4が合成樹脂フィルム等に被包されておらず、音波が直接に該吸音層4の合成繊維不織布に到達することから、この吸音層4によって広い周波数範囲の音波が効率よく吸収減衰され、且つ吸音層4を通り抜けた音波も背面板6で反射し、再び当該吸音層4に入射して吸収減衰されることになり、しかも吸音層4の両側に存在する中間空気層3と背側空気層5によって吸音効果がより向上することから、車両走行に伴う騒音を効果的に吸収し、もって非常に優れた騒音防止効果を発揮する。
【0033】
なお、中間空気層3については、これを設けていないパネル構成に比較し、吸音効果(遮音効果)が10%以上向上することが実験的に確認されている。また、防水層2もやはり合成繊維不織布からなるために入射音波に対してある程度の吸収減衰作用を示すが、吸音層4より低密度で層厚も薄いから、入射音波の大部分は当該防水層2を通過して吸音層4において吸収減衰されることになる。
【0034】
一方、降雨時や洗浄時には表面板1の開口部10…より水が防水層2へ入り込むが、吸音層4は中間空気層3によって防水層2から隔てられているため、防水層2から吸音層4へ水が浸透することはなく、またパネル背面側は背面板6によって封鎖されてパネル背面への空気の抜け道がなく、パネルP内の空気の圧力が外側からの風圧に抗することになるため、風によって雨水が防水層2を越えて吸音層4まで吹き込むこともなく、入り込んだ水は全て防水層2に捕捉されて当該防水層2の繊維間を通って流下する。従って、吸音層4の吸音性能が水浸透によって低下する懸念はない。また、防水層2の繊維間を流下した水は、表面板1のバネル下縁に沿って並ぶ開口部である排水孔10a…より外部へ放出される。
【0035】
また、このような遮音壁では、遮音壁パネルPの表面板1の開口部10a…より着色した該防水層2が露呈し、且つ表面板1はパンチングメタルであるため、それ自体の金属部分の面積が小さくて目立たないため、ある程度の距離を置いて見た場合にパネル表面全体が着色した状態に視認される。従って、防水層2の色合いを適当に選択することにより、周辺環境によく調和した遮音壁とすることができる。
【0036】
なお、本発明では、吸音層4として、単層マット状の合成繊維不織布や、複数枚のマット状の不織布を積層した不織布も使用可能であるが、上記実施例のように合成繊維不織布のシート40を一定幅でジクザグ状に折り返して重ねた構造が特に吸音性能に優れることが判明している。
【0037】
防水層2を表面板1の裏面側に接合した状態で安定に保持するための押さえ手段としては、上記実施例では押さえ部材7して多孔板を用いているが、これに代えて防水層2の背面側に、例えば表面板1と同様のパンチングメタルを当該表面板1と孔の位置が合致するように配置したり、金属や合成繊維のネットを当接させたり、ピアノ線、針金、ワイヤー、樹脂線、紐等の線材を張り巡らす等、他の種々の手段を採用できる。
【0038】
その他、本発明の遮音壁パネルにおいては、表面板1と背面板6及び側板8の形状と相互の連結構造、表面板1のパンチングメタルの孔形状、背面板6の内向き凸部60の形態と数及び形成位置、支柱14に対する取付構造、パネル上下面及び左右側面の構成等、細部構成については実施例以外に種々設計変更可能である。
【0039】
【発明の効果】
請求項1の発明によれば、遮音壁パネルとして、パンチングメタルからなる表面板の裏面に合成繊維不織布からなる防水層が当接すると共に、内奥に配置する合成繊維不織布からなる吸音層の前後に空気層を有する構成であり、パネル内部への騒音の入射率が高い上、吸音層によって広い周波数範囲の騒音を効率よく吸収減衰できることから、騒音公害の防止効果に優れ、しかも吸音層の素材が飛散したり、吸音層に雨水や洗浄水等が滲み込んで吸音性能の低下をきたす懸念がないものが提供される。特に、この遮音壁パネルでは、防水層が、30〜70デニールの合成繊維よりなる嵩密度0.05〜0.2g/cm 3 の不織布により構成されて、適度な目の粗さを有するため、パネル内側へ侵入した雨水や洗浄水等の防水層による雨水の捕捉性と流下性がより向上する。また、防水層の厚さが3〜20mmであるから、薄い防水層を通して吸音層へ騒音が入射し易い。
【0040】
請求項2の発明によれば、上記の遮音壁パネルにおいて、吸音層が特定太さの合成繊維からなる特定の嵩密度の不織布であることから、吸音層による音波の吸収減衰性がよく、騒音防止効果がより向上する。
【0041】
請求項3の発明によれば、上記の遮音壁パネルにおいて、吸音層の厚さが特定範囲に設定されていることから、より優れた吸音効果が得られる。
【0042】
請求項4の発明によれば、上記の遮音壁パネルにおいて、吸音層が不織布シートを一定幅でジクザグ状に折り返して重ねたものであることから、厚みの大きい吸音層を容易に形成できると共に、該吸音層の厚みを自在に設定でき、且つ吸音層の吸音性能もより優れたものになる。
【0043】
請求項5の発明によれば、上記の遮音壁パネルにおいて、表面板のパネル表面側における開口面積比率が特定範囲にあることから、該表面板の自己保持強度を充分に確保して、且つ高い騒音入射率が得られる。
【0044】
請求項6の発明によれば、上記の遮音壁パネルとして、防水層が着色され、パネル表面全体が着色した状態に視認されることから、周辺環境によく調和した遮音壁を構成できるものが提供される。
【0045】
請求項7の発明によれば、上記の遮音壁パネルにおいて、防水層の背面側を押さえる押さえ手段を具備することから、層厚の薄い防水層が表面板の裏面側に接合した状態に安定に保たれるという利点がある。
【0046】
請求項8の発明によれば、前記押え手段は前記表面板と同じようにその全面に開口孔を有する多孔板から構成されているから、表面板の開口部から防水層を通過してパネル内側に入射する騒音は押え手段によって制約を受けることなく吸音層に入射させ、その音波の吸音層による吸収効率を減退させることはない。
【0047】
請求項9の発明によれば、前記多孔板に設けられた開口孔と前記表面板に設けられる開口部とが略同心状に配列されることによって表面板の開口部から入射した騒音は多孔板で反射されることなく、その開口孔を通って吸音層に効率よく入射され吸収減衰されることになる。
【0048】
請求項10の発明によれば、上記の遮音壁パネルにおいて、背面板が吸音層の背面に当接する内向き凸部を有することから、吸音層の形態が安定に保持されるという利点がある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例に係る遮音壁パネルの縦断側面図である。
【図2】同遮音壁パネルの内部構造を断層的に示す斜視図である。
【図3】同遮音壁パネルの平面図である。
【図4】同遮音壁パネル内の吸音層の横断面図である。
【図5】同遮音壁パネルの側端部を示す一部破断平面図である。
【図6】同遮音壁パネルを用いた遮音壁の平面図である。
【図7】同遮音壁の支柱に対する遮音壁パネルの取付部を示し、(イ)は横断平面図、(ロ)は縦断側面図である。
【図8】従来の遮音壁パネルの縦断側面図である。
【符号の説明】
P 遮音壁パネル
1 表面板
2 防水層
3 中間空気層
4 吸音層
5 背側空気層
6 背面板
7 押さえ手段(多孔板)
7a 開口孔
70 凸部
10 開口部
40 不織布シート
60 内向き凸部
Claims (10)
- パネル厚み方向に順次、パンチングメタルよりなる表面板、防水層、中間空気層、吸音層、背側空気層及び背面板を有してなる遮音壁パネルにおいて、防水層並びに吸音層は合成繊維不織布よりなり、その厚みは、防水層が3〜20mm、吸音層は防水層より大きい厚みとし、さらに防水層は前記表面板の開口部からの侵入水を捕捉して当該層内を流下させるのに適する30〜70デニールの合成繊維よりなる嵩密度0.05〜0.2g/cm 3 の不織布により構成されたことを特徴とする遮音壁パネル。
- 吸音層は、10〜50デニールの合成繊維よりなる嵩密度0.03〜0.07g/cm 3 の不織布により構成されたことを特徴とする請求項1記載の遮音壁パネル。
- 吸音層の厚さが30〜100mmであることを特徴とする請求項1又は2に記載の遮音壁パネル。
- 吸音層が、不織布シートを一定幅でジクザグ状に折り返して重ね、その折り返し幅を層厚としたものからなることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の遮音壁パネル。
- 表面板のパネル表面側における開口面積比率が30〜75%であることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の遮音壁パネル。
- 防水層が着色されてなることを特徴とする請求項1〜5のいずれかに記載の遮音壁パネル。
- 中間空気層の位置に、防水層の背面側を押さえる押さえ手段を具備してなることを特徴とする請求項1〜6のいずれかに記載の遮音壁パネル。
- 前記押え手段は、前記表面板と同じようにその全面に開口孔を有してなる多孔板からなることを特徴とする請求項7に記載の遮音壁パネル。
- 前記多孔板に設けられる開口孔は前記表面板に設けられる開口部と略同心状に配列されてなることを特徴とする請求項8に記載の遮音壁パネル。
- 背面板が吸音層の背面に当接する内向き凸部を有してなることを特徴とする請求項1〜9のいずれかに記載の遮音壁パネル。
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