JP4451331B2 - 電子写真感光体の製造方法 - Google Patents

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Description

本発明は電子写真感光体の製造に用いられる感光層形成用塗布液およびその製造方法に関する。
電子写真技術を応用した複写機やプリンター等の画像形成装置においては、当該装置の光源の波長領域に感度を有する電子写真感光体が多く使用されている。電子写真感光体としては、適当な結着樹脂からなる薄膜中に電荷発生材と電荷輸送材とを分散した単層型の感光層を備えた単層型感光体や、電荷発生材を含む電荷発生層と電荷輸送材を含む電荷輸送層とを積層した積層型感光体が知られている。
電荷発生物質(CGM)としては、半導体レーザーの発信波長域である780nm付近に感度を有する有機光導電性物質が注目されている。このような有機光導電性物質を電荷発生物質とする有機感光体(OPC)は多数提案されており、例えば、チタニルフタロシアニン化合物を電荷発生物質として用いた有機感光体が実用化されている。この種の有機感光体には、複写機やプリンターのデジタル化、高速化に伴い高感度、高安定性、及び耐久性が強く要求される。
このような電荷発生物質を用いて電子写真感光体を製造する場合は、一般に電荷発生物質を、溶媒、バインダーとともに分散して、感光層形成用塗布液を調製する。この塗布液の調製の際に用いられる溶媒としては、一般に、テトラヒドロフラン、エチルエーテル等のエーテル類、シクロヘキサノン、メチルエチルケトン等のケトン類、酢酸エチル、酢酸ブチル等のエステル類、トルエン、キシレン等の芳香族系溶媒、メタノール、エタノール等のアルコール類、クロロホルム、塩化メチレン等のハロゲン系溶媒等の揮発性溶媒が挙げられる。この感光層形成用塗布液を導電性支持体上に塗布することによって、感光層が形成され、電子写真感光体を製造することができる。
一方、この感光層形成用塗布液は長期間保存されることも想定されることから、初期の電子写真特性だけでなく、凝集、沈降等を起こさないといった塗布液の分散安定性も要求される。そのため、上記に示した溶媒の選択においても分散安定性の良い塗布液が作製される溶媒を選択することが重要である。特にフタロシアニン化合物を電荷発生物質として用いる場合は、長期保存により顔料の沈降、結晶変換等が生じやすく、そのため分散安定性の向上が切望されている。
これらの感光層形成用塗布液の調製においては、分散安定性の良い塗布液を調製することができる溶媒を選択することだけでなく、分散助剤等を添加して安定化させる方法も検討されている。例えば、α型オキシチタニルフタロシアニンを用いた電荷発生層形成用塗布液にポリジメチルシロキサンオイル(東芝シリコーン(株)製TSF451)等の分散助剤を添加して、塗膜ムラ(顔料の凝集)の抑制する報告がなされている(非特許文献1)。
また、特開平10−115940号公報(特許文献1)には、オキシチタニルフタロシアニンを用いた電荷発生層形成用塗布液に脂肪族アルコールまたは水を添加して分散し、凝集を抑制し、液の分散安定性を得る方法が開示されている。しかしアルコールや水を添加する方法は、電子写真特性を悪化させるような結晶変換を起こしてしまう電荷発生物質を用いる場合には適用できない。
特開2003−207911号公報(特許文献2)では、導電性支持体上に少なくとも感光層を有する電子写真感光体の製造方法において、前記感光層に用いられる電荷発生物質を含有する感光層形成用塗布液はN,N−ジメチルホルムアミドを含有することを特徴とする電子写真感光体の製造方法が提供されている。ここでは、電荷発生物質としてヒドロキシガリウムフタロシアニンが用いられており、長期保存可能な感光層形成用塗布液を提供できると記載されている。
電荷発生物質として例えば特許第3227094号または特開2004−212725号公報に記載のμ−オキソ架橋型金属フタロシアニン化合物を用いて、一般的に用いられる分散溶剤で分散し、感光層形成用塗布液を調製した電子写真感光体を製造したところ、分散安定性が悪く、長期保存可能な感光層形成用塗布液を得ることができないという問題が明らかとなった。
日本画像学会誌(旧電子写真学会誌126号、Vol.37、No.4、1998) 特開平10−115940号公報 特開2003−207911号公報
本発明は、前記課題を解決するためになされたものであり、電荷発生材料としてμ−オキソ架橋型金属フタロシアニン化合物を用いた場合において、電荷発生物質の凝集、沈降等を起こさない長期保存に適した感光層形成用塗布液の提供およびその塗布液の製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、
(a)μ−オキソ架橋型金属フタロシアニン化合物である電荷発生物質、
(b)シクロヘキサノン、および
(c)1,4−ジオキサン
を、(b)シクロヘキサノンと(c)1,4−ジオキサンとの重量組成比(b):(c)が25:75〜1:99の範囲で混合する工程、
を包含する、
導電性支持体上に感光層を有する電子写真感光体の製造に用いられる感光層形成用塗布液の製造方法、を提供するものであり、これにより上記目的が達成される。
また本発明は、
(a)μ−オキソ架橋型金属フタロシアニン化合物である電荷発生物質、
(b)シクロヘキサノン、および
(d)N,N−ジメチルホルムアミド
を、(b)シクロヘキサノンと(d)N,N−ジメチルホルムアミドとの重量組成比(b):(d)が45:55〜1:99の範囲で混合する工程、
を包含する、
導電性支持体上に感光層を有する電子写真感光体の製造に用いられる感光層形成用塗布液の製造方法、も提供する。
上記(a)電荷発生物質が、下記構造式(I)
Figure 0004451331
(I)
で示されるμ−オキソ−ガリウムフタロシアニンダイマーであり、
このμ−オキソ−ガリウムフタロシアニンダイマーが、X線回折スペクトルにおいてCuKα特性X線に対するブラッグ角度(2θ±0.2°)の7.4°、9.9°、12.5°、12.9°、16.1°、17.5°、17.9°、18.5°、21.9°、22.2°、24.0°、25.1°、25.8°、28.2°、28.9°、30.0°、32.9°に回折ピークを示すのが好ましい。
また、上記(a)電荷発生物質が、下記構造式(II)
Figure 0004451331
(II)
[式中、Xは対アニオンを表す。]
で示されるμ−オキソ架橋型異種金属フタロシアニン化合物であり、
このμ−オキソ架橋型異種金属フタロシアニン化合物が、X線回折スペクトルにおいてCuKα特性X線に対するブラッグ角度(2θ±0.2°)の7.6°、10.1°、12.6°、13.0°、16.3°、17.7°、18.6°、22.3°、24.2°、25.3°、25.8°、28.5°、29.7°、33.0°に回折ピークを示すのも好ましい。
本発明は、上記の感光層形成用塗布液の製造方法により得られる、感光層形成用塗布液も提供する。
本発明はまた、上記の感光層形成用塗布液を塗布することにより得られる感光層を有する電子写真感光体も提供する。
本発明により、長期保存に適した感光層形成用塗布液が提供される。この感光層形成用塗布液は、長期保存後も電荷発生物質の凝集や沈降等を起こさず、また特性劣化を起こすこともない。さらにこの感光層形成用塗布液を用いて感光層を形成することにより、長期保存後も特性劣化を起こさない電子写真感光体を提供することができる。
本発明の感光層形成用塗布液は、導電性支持体上に感光層を有する電子写真感光体の製造に用いられるものである。そしてこの感光層形成用塗布液の1態様として、
(a)μ−オキソ架橋型金属フタロシアニン化合物である電荷発生物質、
(b)シクロヘキサノン、および
(c)1,4−ジオキサン、
を含有し、
(b)シクロヘキサノンと(c)1,4−ジオキサンとの重量組成比(b):(c)が25:75〜1:99の範囲である、感光層形成用塗布液が挙げられる。
また感光層形成用塗布液の他の1態様として、
(a)μ−オキソ架橋型金属フタロシアニン化合物である電荷発生物質、
(b)シクロヘキサノン、および
(d)N,N−ジメチルホルムアミド
を含有し、(b)シクロヘキサノンと(d)N,N−ジメチルホルムアミドとの重量組成比(b):(d)が45:55〜1:99の範囲である、感光層形成用塗布液が挙げられる。
上記のように、(b)シクロヘキサノンと(c)1,4−ジオキサン、または(b)シクロヘキサノンと(d)N,N−ジメチルホルムアミドを用いることにより、電子写真特性を悪化させるような結晶変換を起こすことなく、電荷発生物質の分散安定性を著しく向上させることができる。
感光層形成用塗布液が(b)シクロヘキサノンと(c)1,4−ジオキサンとを含む態様である場合、(b)シクロヘキサノンと(c)1,4−ジオキサンとの重量組成比(b):(c)は、10:90〜1:99であるのがより好ましい。この比率が25:75より小さい場合または1:99より大きい場合には、感光層形成用塗布液の分散およびその安定性への効果が小さくなる恐れがある。
また感光層形成用塗布液が(b)シクロヘキサノンと(d)N,N−ジメチルホルムアミドとを含む態様である場合は、(b)シクロヘキサノンと(d)N,N−ジメチルホルムアミドとの重量組成比(b):(d)は、33:67〜1:99であるのがより好ましい。この比率が45:55より小さい場合または1:99より大きい場合には、感光層形成用塗布液の分散およびその安定性への効果が小さくなる恐れがある。
(a)電荷発生物質
本発明において電荷発生物質として用いることができる材料として、μ−オキソ架橋型金属フタロシアニン化合物を挙げることができる。
μ−オキソ架橋型金属フタロシアニン化合物の中でも、下記構造式(I):
Figure 0004451331
で示されるμ−オキソ−ガリウムフタロシアニンダイマーを用いるのがより好ましい。
上記構造式(I)で示されるμ−オキソ−ガリウムフタロシアニンダイマーについて、X線回折スペクトルにおいてCuKα特性X線に対するブラッグ角度(2θ±0.2°)の7.4°、9.9°、12.5°、12.9°、16.1°、17.5°、17.9°、18.5°、21.9°、22.2°、24.0°、25.1°、25.8°、28.2°、28.9°、30.0°、32.9°に回折ピークを示すμ−オキソ−ガリウムフタロシアニンダイマーを用いるのがさらに好ましい。
μ−オキソ−ガリウムフタロシアニンダイマーは、一般に、以下に説明する方法により得ることができる。
まず、1-クロロナフタレン及びキノリンのような高沸点有機溶媒中、フタロニトリルもしくは1,3-ジイミノイソインドリンを塩化ガリウムと共に反応させ、クロロガリウムフタロシアニンを得る。反応物の精製は、熱時濾過後、熱DMFおよびDMFにより洗浄して行う。
得られたクロロガリウムフタロシアニンを加水分解することによりヒドロキシガリウムフタロシアニンを得る。具体的な操作は公知である。
例えば、クロロガリウムフタロシアニンを酸性もしくはアルカリ性溶液中で加水分解するか、濃硫酸によりアシッドペースティングを行うことにより、ヒドロキシガリウムフタロシアニンを得る。これらの方法は、例えば、特開平1−221459号公報及び特開平5−279591号公報に記載されている、公知の方法である。
濃硫酸を用いるアシッドペースティングとは、顔料を濃硫酸、好ましくは濃度90%以上の硫酸に溶解し、溶解物を氷水中に投入して、顔料を微細化及び精製する操作をいう。
次に、得られたヒドロキシガリウムフタロシアニンを水不混和性の高沸点有機溶媒中で加熱脱水することにより、μ−オキソ−ガリウムフタロシアニンダイマーを得ることができる。例えば、o-ジクロロベンゼンのような溶媒中、還流撹拌して、生成する水を反応系内から除去し、反応生成物を濾取し、DMFで洗浄し、DMFをメタノール等で置換後、乾燥、粉砕する。
但し、本発明では、以下のスキームに示すように、クロロガリウムフタロシアニン(Cl-GaPc)を濃硫酸を用いてアッシドペースティングを行い、その後、得られた青色固体を水不混和性の有機溶媒(例えばo-ジクロロベンゼン)中で加熱脱水する方法によってμ−オキソ−ガリウムフタロシアニンダイマー(PcGa-O-GaPc)を得る。
Figure 0004451331
上記の方法によれば、特異な結晶変態を有するダイマーが得られる。
こうして得られたダイマーを乾式粉砕することにより、アモルホス型ダイマーが得られる。なお、本発明において、「乾式粉砕」とは、溶媒を用いないで粉砕する操作をいう。「粉砕」とは、固体に機械的な力を加えて細分化することをいう。粉砕は、一般にボールミル、サンドミル、ペイントシェーカー、アトライターおよび自動乳鉢のような粉砕装置を用いて行う。必要に応じてガラスビーズ、スチールビーズ、ジルコニアビーズおよびアルミナビーズのような粉砕媒体を用いることができる。
乾式粉砕は、結晶変態の変化が進行しなくなるまで行う。一般に、室温で20〜100時間、好ましくは48〜72時間行われる。乾式粉砕工程が20時間を下回ると結晶変態の形成が不十分となり、100時間を上回って行っても一般に有意な効果が得られない。
例えば、試験用分散器(所謂ペイントシェーカー)を用い、試料7gに5mmφガラスビーズ80gを充填するような場合は、48〜72時間乾式粉砕を行う。
本発明の他のμ−オキソ−ガリウムフタロシアニンダイマーの新規な結晶変態は、上記の方法で得られたアモルホス型ダイマーを、所定の溶媒中で、湿式粉砕、又は加熱もしくは室温下で単純分散して得られる。
本発明において、「湿式粉砕」とは、溶媒の存在下に粉砕する操作をいう。一般に上記「乾式粉砕」と同様な粉砕装置を用いて行う。必要に応じてガラスビーズ、スチールビーズおよびアルミナビーズのような粉砕媒体を用いうる。「単純分散」とは、粉体を溶媒の存在下に撹拌して溶媒中に細粒として浮遊させることをいう。
湿式粉砕もしくは単純分散で用いる溶媒は、μ−オキソ−ガリウムフタロシアニンダイマーを溶解しないものである。所望の結晶変態に応じて、ケトン系、アルコール系、グリコール系、(ホルム)アミド系、ピロリドン系、エーテル系、酢酸エステル系及び芳香族系から選ばれる。
ケトン系溶媒としては、例えば、シクロヘキサノン、ジイソプロピルケトン、メチルエチルケトン(MEK)及びメチルイソブチルケトン(MIBK)等;アルコール系溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、プロパノールおよびイソプロパノールのような低級アルコール、アミルアルコール、ヘキシルアルコール及びオクチルアルコールのような一価のアルコール;グリコール系溶媒としては、例えば、エチレングリコール、ジエチレングリコール、トリエチレングリコール及びプロピレングリコールのようなアルキレングリコール;エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル及びプロピレングリコールモノメチルエーテルのようなアルキレングリコールモノアルキルエーテル(セロソルブ類);モノグライム、ジグライム、トリグライム及びテトラグライムのようなエチレングリコールジアルキルエーテル;(ホルム)アミド系溶媒としては、ジメチルホルムアミド(DMF)、ジメチルアセトアミド及びN-メチルピロリドン等;エーテル系溶媒としては、テトラヒドロフラン(THF)、ジオキサン、エチルエーテル及びブチルエーテルのような鎖状または環状のエーテル系溶媒;酢酸エステル系溶媒としては、酢酸エチル及び酢酸ブチル等;芳香族系溶媒としては、トルエン、o-キシレン及びテトラリンのような炭化水素系溶媒、o-ジクロロベンゼン、クロロナフタレン、ブロモナフタレン及びキノリンのような高沸点の芳香族炭化水素系溶媒;等が挙げられる。
これらの溶媒のうち、上記構造式(I)で示されるμ−オキソ−ガリウムフタロシアニンダイマーについて、X線回折スペクトルにおいてCuKα特性X線に対するブラッグ角度(2θ±0.2°)の7.4°、9.9°、12.5°、12.9°、16.1°、17.5°、17.9°、18.5°、21.9°、22.2°、24.0°、25.1°、25.8°、28.2°、28.9°、30.0°、32.9°に回折ピークを示すμ−オキソ−ガリウムフタロシアニンダイマーを得るのに用いられる溶媒としては、DMF、トルエン、酢酸エチル、トリグライム、特に好ましくはDMFのようなアミド系溶媒が挙げられる。
また、μ−オキソ架橋型金属フタロシアニン化合物の中でも、下記構造式(II):
Figure 0004451331
(II)
[式中、Xは対アニオンを表す。]
で示されるμ−オキソ架橋型異種金属フタロシアニン化合物を用いるのも、より好ましい。
このμ−オキソ架橋型異種金属化合物は、中心金属原子であるTiの原子価に対応して正電荷(n)を帯びることがある。そのため、溶液中では通常、適当な対アニオン(X)を伴う形態で存在する。対アニオン(X)としては、例えばヒドロキシイオン(OH)、ハロゲンイオン(例えばCl)、硫酸水素イオン(HSO )等の1価の無機アニオン、あるいは硫酸イオン等の2価の無機アニオンが挙げられる。好ましくは、ヒドロキシイオン(OH)である。
そして、上記構造式(II)で示されるμ−オキソ架橋型異種金属フタロシアニン化合物について、X線回折スペクトルにおいてCuKα特性X線に対するブラッグ角度(2θ±0.2°)の7.6°、10.1°、12.6°、13.0°、16.3°、17.7°、18.6°、22.3°、24.2°、25.3°、25.8°、28.5°、29.7°、33.0°に回折ピークを示すμ−オキソ架橋型異種金属フタロシアニン化合物を用いるのがさらに好ましい。
μ−オキソ架橋型異種金属フタロシアニン化合物のうち、構造式(II)で示されるPcGa−O−TiPc[μ−オキソ架橋型ガリウムフタロシアニン/チタニウムフタロシアニン化合物]は、次のようにして合成することができる。すなわち、濃硫酸中に、ハロゲン化金属フタロシアニンであるクロロガリウムフタロシアニン(ClGaPc)1molとオキシ金属フタロシアニンであるチタニルフタロシアニン(O=TiPc)1molの混合物を加えて、5℃で2〜3時間反応させる。次いでこれを氷水中に分散した後、濾過、洗浄してウエットケーキを得る。得られたウエットケーキを再度水中に分散して、濾過、洗浄しウエットケーキを得、さらに酸根を除去するためにウエットケーキを水と25%アンモニア水に加えて精製することにより、[{PcGa−O−TiPc}OH]を得ることができる。
上記の方法により、本発明の電子写真感光体に含まれるμ−オキソ架橋型異種金属化合物を簡便且つ選択的に高収率で得ることができる。
上記の方法により得られるμ−オキソ架橋型異種金属化合物は、通常はアモルファスの形態で得られる。アモルファスの形態のμ−オキソ架橋型異種金属化合物を電荷発生材(CGM)として電子写真感光体に用いる場合、この化合物の形態を変換させて、X線回折スペクトルにおいて特定の回折ピークを示す結晶変態を有する化合物にして用いるのが好ましい。μ−オキソ架橋型異種金属化合物を、X線回折スペクトルにおいて特定の回折ピークを示す結晶変態(結晶形)を有する化合物に変換することによって、電荷発生材としての機能を有効に発揮させることができるからである。X線回折スペクトルの測定方法として、例えばX線回折(XRD)装置で、CuKα線源を用いてスペクトルを測定することができる。
このような形態の変換方法として、例えば、所定の有機溶媒中で、湿式粉砕する方法、又は加熱もしくは室温下で単純分散する方法が含まれる。これらの具体的な方法は上記と同様である。
湿式粉砕で用いる溶媒としては、上記した各種溶媒を用いることができる。そしてこれらの溶媒のうち、上記構造式(II)で示されるμ−オキソ架橋型異種金属フタロシアニン化合物について、X線回折スペクトルにおいてCuKα特性X線に対するブラッグ角度(2θ±0.2°)の7.6°、10.1°、12.6°、13.0°、16.3°、17.7°、18.6°、22.3°、24.2°、25.3°、25.8°、28.5°、29.7°、33.0°に回折ピークを示すμ−オキソ架橋型異種金属フタロシアニン化合物を得るのに用いられる溶媒としては、DMF、トルエン、酢酸エチル、トリグライム、特に好ましくはDMFのようなアミド系溶媒が挙げられる。
感光層形成用塗布液の製造方法および電子写真感光体
本発明の感光層形成用塗布液の製造方法の1態様として、
(a)μ−オキソ架橋型金属フタロシアニン化合物である電荷発生物質、
(b)シクロヘキサノン、および
(c)1,4−ジオキサン
を、(b)シクロヘキサノンと(c)1,4−ジオキサンとの重量組成比(b):(c)が25:75〜1:99の範囲で混合する方法が挙げられる。
また、本発明の感光層形成用塗布液の製造方法の他の1態様として、
(a)μ−オキソ架橋型金属フタロシアニン化合物である電荷発生物質、
(b)シクロヘキサノン、および
(d)N,N−ジメチルホルムアミド
を、(b)シクロヘキサノンと(d)N,N−ジメチルホルムアミドとの重量組成比(b):(d)が45:55〜1:99の範囲で混合する方法が挙げられる。
(a)電荷発生物質を分散させる方法としては、ボールミル、サンドミル、ペイントシェーカー等を用いる通常の分散法を採用することができる。混合時の温度は、通常室温下で行われる。
こうして得られる感光層形成用塗布液を塗布することによって、電子写真感光体を製造することができる。
本発明における電子写真感光体の層構成は、導電性支持体上に電荷発生物質と電荷輸送材を同時に含有する単一層からなる感光層を有する層構成、または導電性支持体上に電荷発生物質を含有する層と電荷輸送材を含有する層を積層してなる感光層を有する層構成がある。
導電性支持体の基材としては、アルミニウム、ニッケル等の金属、金属蒸着フィルム等を用いることができ、ドラム状、シート状またはベルト状の形態で作製される。
感光体の製造方法を以下に説明する。単一層構造または積層構造からなる感光体、いずれの場合も、電荷発生物質を含む層を導電性支持体上に薄膜状に形成する。一般に、この時、結着樹脂を含む溶液に電荷発生物質を分散させた塗布液を調整し、それを支持体上に塗布、乾燥することにより電荷発生層を形成する。
電荷発生層の塗工手段としては、特に限定されることはなく、例えば、バーコーター、ディップコーター、スピンコーター、ローラーコーター等を適宜使用することができる。乾燥は、200〜30℃の温度で5分〜2時間、静止又は送風下で行うことができる。
結着樹脂は、広範な絶縁性樹脂から選択することができる。好ましい樹脂としては、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリアミド、ポリアリレート等の縮合系樹脂;ポリスチレン、ポリアクリレート、スチレン−アクリル共重合体、ポリアクリルアミド、ポリメタクリレート、ポリビニルブチラール、ポリアクリルニトリル、ポリアクリル−ブタジエン共重合体、ポリ塩化ビニル、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体等の付加重合体;ポリ−N−ビニルカルバゾール、ポリビニルアントラセン等の有機光導電性樹脂;ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、シリコン樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂等が挙げられる。これらは適宜混合して用いることができる。
本発明の電子写真感光体が、電荷発生層と電荷輸送層とを有する積層型感光体である場合は、電荷発生層における上記結着樹脂は、電荷発生物質1重量部に対して、0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜3重量部で用いられる。結着樹脂が10重量部以上で用いられると、電荷発生層における電荷発生物質の濃度が小さくなり光感度が悪くなる恐れがある。電荷発生層の膜厚は一般に10μm以下であり、好ましくは0.05〜5.0μmである。
本発明の電子写真感光体が、感光層が1つの層でなる単層型感光体である場合は、この感光層は結着樹脂と電荷発生物質と電荷輸送材とを有する。この感光層における結着樹脂は、電荷発生物質1重量部に対して、0.02〜20重量部、好ましくは0.05〜5重量部で用いられる。電荷輸送材は、電荷発生物質1重量部に対して、0.02〜20重量部、好ましくは0.05〜5重量部で用いられる。感光層の膜厚は一般に100μm以下であり、好ましくは10〜50μmである。
本発明の電子写真感光体が積層型感光体である場合は、次に電荷発生層の上部に、電荷輸送材を含む電荷輸送層を薄膜状に形成する。この薄膜形成法としては、電荷発生層と同様な塗工法が用いられ、電荷輸送材を、必要に応じて結着樹脂と共に溶媒に溶解し、電荷発生層の上部に均一に塗布し、その後乾燥させればよい。
本発明の電子写真感光体に用いることができる電荷輸送材としては、公知の、トリアリールアミン系化合物、オキサゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、ピラゾリン誘導体、ヒドラゾン誘導体、ヒドラジン誘導体、トリアジン誘導体、キナゾリン誘導体、スチリル系化合物、スチリルトリフェニールアミン系化合物、ブタジエン系化合物、カルバゾール系化合物、さらに、ベンゾフラン誘導体(化合物)等が挙げられる。
具体的には下記構造の電荷輸送材料が挙げられる。
Figure 0004451331
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Figure 0004451331
Figure 0004451331
(富士写真フィルム社製のCT−504)
Figure 0004451331
(富士写真フィルム社製のCT−501)
Figure 0004451331
Figure 0004451331
Figure 0004451331
Figure 0004451331
Figure 0004451331
Figure 0004451331
電荷輸送層を形成する結着樹脂としては、前記電荷発生層に使用されるものと同様なものが使用できる。電荷輸送層を形成する塗布液用の溶媒としては、例えば、メタノール、エタノール、イソプロパノール、ブタノール等のアルコール系溶媒;トルエン、キシレン、テトラリン等の芳香族系溶媒;ジクロルメタン、クロロホルム、トリクロルエチレン、四塩化炭素等のハロゲン系溶媒;酢酸エチル、酢酸プロピル等のエステル系溶媒;エチレングリコールモノエチルエーテル、ジオキサン、テトラヒドロフラン等のエーテル系溶媒;ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド等が挙げられる。
電荷輸送層における上記結着樹脂は、電荷輸送材1重量部に対して、0.1〜5重量部で用いられる。5重量部以上で用いられると、電荷輸送層における電荷輸送材の濃度が小さくなり光感度が悪くなる。電荷発生層の膜厚は、5〜100μmであり、好ましくは5〜70μmである。
なお、上記電荷発生層または電荷発生層の上に、必要に応じて表面保護層を形成してもよい。また、電荷発生層、電荷発生層および/または表面保護層には、従来公知の増感剤;アミン系、フェノール系の酸化防止剤、ベンゾフェノン系等の紫外線吸収剤などの劣化防止剤;等の種々の添加剤を含有させることができる。
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらに限定されない。尚、特に断らない限り、「部」は重量部を表す。尚、本発明では、マックスサイエンス社製の自動X線回折システム「MXP3」を用いて、CuKα線によるX線回折スペクトルを測定した。
合成例1 μ−オキソ架橋型異種金属フタロシアニン化合物の合成
1−1 PcGa−O−TiPcの合成
濃硫酸358gを5℃以下に冷却し、温度を保ちながらクロロガリウムフタロシアニン6.1g(0.010mol)及びチタニルフタロシアニン5.7g(0.010mol)の混合物を加え、5℃で2時間攪拌した。水0.6L(リットル)、氷1.4Lに10℃以下で滴下し、2時間分散した。静置後、減圧濾過し、水道水2.0Lで振りかけ洗浄した。ウエットケーキと水道水0.2Lを3Lビーカーに仕込み、2時間室温分散した。減圧濾過後、水道水2.0Lで振りかけ洗浄した。ウエットケーキ、水0.2L、25%アンモニア水0.15Lを1Lセパラブルフラスコに仕込み、2時間分散した。減圧濾過後、湯2.0L、イオン交換水1.0Lで振りかけ洗浄した。ウエットケーキを70℃で乾燥し、下記構造の青色固体[化18]10.7g(収率91.0%)を得た。
Figure 0004451331
1−2 特定の回折ピークを示すμ−オキソ架橋型異種金属フタロシアニン化合物の合成
合成例1にて作成した上記構造の化合物1.50gを、DMF20ml中で、室温下20時間撹拌した後、濾取、洗浄、乾燥して、図1に示すXRDスペクトルを示す結晶変態を有する青色固体1.28gを得た。この化合物は、X線回折スペクトルにおいてCuKα特性X線に対するブラッグ角度(2θ±0.2°)の7.6°、10.1°、12.6°、13.0°、16.3°、17.7°、18.6°、22.3°、24.2°、25.3°、25.8°、28.5°、29.7°、33.0°に回折ピークを示した。
合成例2 μ−オキソ−ガリウムフタロシアニンダイマーの結晶変態
2−1 クロロガリウムフタロシアニンの合成
撹拌器、塩化カルシウム管などの必要器具を備えた1000mlのガラス製4口フラスコにフタロニトリル177.2gと1−クロルナフタレン820ml及び塩化ガリウム50.0gを仕込み、10時間還流下撹拌した。その後、還流を停止し、200℃程度まで放冷後熱時濾過して、熱ジメチルホルムアミド(DMF)3500ml、DMF3000mlを用いて振りかけ洗浄した。得られたウエットケーキをDMF800mlに再度分散し、5時間撹拌還流した後、熱濾過後、熱DMF2500ml、DMF2000mlを用いて振りかけ洗浄し、メタノール置換後乾燥して青色固体のクロロガリウムフタロシアニン125.0g(収率73.5%)を得た。
2−2 ダイマーの合成
こうして得られたクロロガリウムフタロシアニン10.0gを濃硫酸300gに温度を0〜5℃に保ちながら徐々に溶解させ、この温度で1時間撹拌した。これを氷水1500mlへ、温度が5℃を越えないように撹拌しながら注加し、注加終了後さらに2時間撹拌した。濾過、水洗後、1500mlのイオン交換水へ再分散し、再度濾過した。水洗後ウエットケーキを4%アンモニア水600mlに再分散して、6時間還流下撹拌した。濾過後、ケーキをイオン交換水で念入りに洗浄した後、減圧下、50℃で乾燥し、粉砕して8.72g(収率89.8%)の青色固体を得た。
次いで、o−ジクロロベンゼン130mlに得られた青色固体7.7gを加え、170〜180℃で撹拌した。予め付属させたリービッヒコンデンサーから、生成する水を煮沸により反応系内より除去した。水の生成が少なくなったらリービッヒコンデンサーを空冷コンデンサーに替え、3時間還流下、撹拌した。熱時濾過し、DMFによる振りかけ洗浄に引続き、メタノールによってケーキ中のDMFを置換した。乾燥、粉砕して、X線回析スペクトルにおいて結晶変態を有するμ−オキソ−ガリウムフタロシアニンダイマー7.1g(収率93.6%)を得た。
2−3 アモルホス型ダイマーの合成
こうして得られたμ−オキソ−ガリウムフタロシアニンダイマー7.0gと5mmφガラスビーズ80gを広口瓶に仕込み、試験用分散器(所謂ペイントシェーカー)を用いて2〜3日間乾式粉砕を行った。一部サンプリングし、結晶変態の変化が止まったところで、ふるいを用いてガラスビーズを分離し、6.8gのアモルホス型μ−オキソ−ガリウムフタロシアニンダイマーを青色固体として得た。
2−4 特定の回折ピークを示すμ−オキソ−ガリウムフタロシアニンダイマーの合成
こうして得られたアモルホス型μ−オキソ−ガリウムフタロシアニンダイマー1.0gにDMF30mlを加え、室温で、10〜12時間撹拌分散した。フタロシアニンダイマーを濾取し、酢酸エチルで置換後、減圧下乾燥し、0.84gのG型μ−オキソ−ガリウムフタロシアニンダイマーを青色固体として得た。この化合物のXRDスペクトルを図1に、FD−MSの結果を図2に示す。また、この化合物の元素分析の結果を表1に示す。
Figure 0004451331
以上より、本化合物は、μ−オキソ−ガリウムフタロシアニンダイマーであることを確認した。また、X線回析スペクトルから、ブラッグ角度(2θ±0.2゜)の7.4°、9.9°、12.5°、12.9°、16.1°、17.5°、17.9°、18.5°、21.9°、22.2°、24.0°、25.1°、25.8°、28.2°、28.9°、30.0°、32.9°に回折ピークを示す結晶変態であることが確認された。
参考例1
合成例1で得られたμ−オキソ架橋型異種金属フタロシアニン化合物結晶0.2部とポリビニルブチラール樹脂(商品名:エスレックBH−3、積水化学工業社製)0.2部、3mmφガラスビーズ50部、シクロヘキサノン6部および1,4−ジオキサン58部を広口瓶に加え、ペイントシェーカーで3時間ミリングし、感光層形成用塗布液を調製した。これをアルミニウム板上に膜厚が0.5μmになるようバーコーダーを用いて製膜し、風乾させて電荷発生層を形成した。
次に電荷輸送材料としてp−(N,N’−ジフェニルアミノ)ベンズアルデヒド−N’−メチル−N’−フェニルヒドラゾン(富士フィルム社製CT−501)4.5部、ポリカーボネート樹脂(帝人社製パンライトL−1250)4.5部および塩化メチレン51部を広口瓶に入れ、超音波分散により均一な溶液を調製した。これを電荷発生層の上にバーコーダーを用いて塗布し、80℃で3時間乾燥して、膜厚60μmの電荷輸送層を形成した積層型有機感光体(片)を作製した。
参考例2
シクロヘキサノンおよび1,4−ジオキサンの添加量をシクロヘキサノン3部および1,4−ジオキサン60部とした以外は参考例1に従って感光体片を作製した。
参考例3
シクロヘキサノンおよび1,4−ジオキサンの添加量をシクロヘキサノン2部および1,4−ジオキサン63部とした以外は参考例1に従って感光体片を作製した。
実施例4
1,4−ジオキサンをN,N−ジメチルホルムアミドとし、その添加量をシクロヘキサノン20部およびN,N−ジメチルホルムアミド40部とした以外は参考例1に従って感光体片を作製した。
実施例5
1,4−ジオキサンをN,N−ジメチルホルムアミドとし、その添加量をシクロヘキサノン11部およびN,N−ジメチルホルムアミド48部とした以外は参考例1に従って感光体片を作製した。
実施例6
1,4−ジオキサンをN,N−ジメチルホルムアミドとし、その添加量をシクロヘキサノン6部およびN,N−ジメチルホルムアミド53部とした以外は参考例1に従って感光体片を作製した。
参考例7
μ−オキソ架橋型異種金属フタロシアニン化合物結晶を合成例2で得られたμ−オキソ−ガリウムフタロシアニンダイマー結晶とした以外は参考例1に従って感光体片を作製した。
参考例8
μ−オキソ架橋型異種金属フタロシアニン化合物結晶を合成例2で得られたμ−オキソ−ガリウムフタロシアニンダイマー結晶とし、さらにシクロヘキサノンおよび1,4−ジオキサンの添加量をシクロヘキサノン3部および1,4−ジオキサン60部とした以外は参考例1に従って感光体片を作製した。
実施例9
μ−オキソ架橋型異種金属フタロシアニン化合物結晶を合成例2で得られたμ−オキソ−ガリウムフタロシアニンダイマー結晶とし、さらに1,4−ジオキサンをN,N−ジメチルホルムアミドとし、その添加量をシクロヘキサノン20部およびN,N−ジメチルホルムアミド40部とした以外は参考例1に従って感光体片を作製した。
比較例1
シクロヘキサノンおよび1,4−ジオキサンの添加量をシクロヘキサノン29部および1,4−ジオキサン32部とした以外は参考例1に従って感光体片を作製した。
比較例2
シクロヘキサノンおよび1,4−ジオキサンの添加量をシクロヘキサノン19部および1,4−ジオキサン44部とした以外は参考例1に従って感光体片を作製した。
比較例3
1,4−ジオキサンをN,N−ジメチルホルムアミドとし、その添加量をシクロヘキサノン30部およびN,N−ジメチルホルムアミド30部とした以外は参考例1に従って感光体片を作製した。
比較例4
1,4−ジオキサンもしくはN,N−ジメチルホルムアミドの添加量を無添加とし、シクロヘキサノン59部とした以外は参考例1に従って感光体片を作製した。
比較例5
シクロヘキサノンの添加量を無添加とし、1,4−ジオキサン65部とした以外は参考例1に従って感光体片を作製した。
比較例6
シクロヘキサノンの添加量を無添加とし、1,4−ジオキサンをN,N−ジメチルホルムアミドとし、その添加量を59部とした以外は参考例1に従って感光体片を作製した。
比較例7
μ−オキソ架橋型異種金属フタロシアニン化合物結晶をμ−オキソ−ガリウムフタロシアニンダイマー結晶とし、さらにシクロヘキサノンの添加量を無添加とし、1,4−ジオキサン65部とした以外は参考例1に従って感光体片を作製した。
比較例8
μ−オキソ架橋型異種金属フタロシアニン化合物結晶をμ−オキソ−ガリウムフタロシアニンダイマー結晶とし、さらにシクロヘキサノンの添加量を無添加とし、1,4−ジオキサンをN,N−ジメチルホルムアミドとし、その添加量を59部とした以外は参考例1に従って感光体片を作製した。
感光体の評価
上記実施例4、5、6、9、参考例1、2、3、7、8及び比較例1〜8において作製した感光体片につき、電子写真特性の測定を行った。測定は、静電気試験測定装置ペーパーアナライザーEPA−8200(川口電機社製)を用い、まず−8.0KVでSTAT3モードにて帯電し、2秒間暗所放置後、5.0lxの白色光を10秒間照射して、帯電電位(Vmax)、暗減衰率(%)、残留電位(Vre.)半減露光量感度(E1/2)について測定し、評価した。さらに分散安定性について目視にて評価した結果も併せて評価した。以上の測定結果を表2にまとめた。
暗減衰率の測定は、帯電直後の表面電位(V=Vmax)及び2秒間暗所放置後の表面電位(V)を測定し、次の式より暗減衰率を求めた。
暗減衰率=100×(V−V)/V
さらにバンドパス干渉フィルターを用いて450〜900nmの間において50nm間隔で照射光の波長を変化させること以外は上述の感光体特性測定と同様にして、分光感度測定を行った。露光エネルギーは1.00μWとした。それぞれの波長における初期帯電量(Vmax [V])および半減露光感度(E1/2 [μJ/cm])を測定した。
なお、実施例4と比較例4について分光感度測定を行った結果を図3に示す。図3からも分かるとおり、実施例においては明らかに分光感度特性の向上がみられた。
分散安定性については、実施例および比較例に記載した方法により感光層形成用塗布液を調製した後、概ね数時間で固液の分離を確認できた場合を×とし、1ヶ月以上に渡って均一な分散状態を示した場合を◎とし、2週間〜1ヶ月で固液の分離が確認できた場合を○とし、5日〜2週間で固液の分離が確認できた場合を△とした。
感光特性評価については、電荷発生剤が同一のものを基準として評価した。この基準として、分散液が単一成分(100%)のものであって、分散性は悪いが感光特性は良好な比較例のものを基準とした。μ−オキソ架橋型異種金属フタロシアニン化合物を含む感光層形成用塗布液においては、比較例4を基準として評価した。また、μ−オキソ−ガリウムフタロシアニンダイマーを含む感光層形成用塗布液においては、比較例7を基準として評価した。半減露光量感度が同等なものを○、向上したものを◎、劣化したものを×とした。
総合評価について、以下の基準に従って評価した:
分散安定性および感光特性いずれも◎の時を、総合評価◎とした。
分散安定性および感光特性いずれも○の時を、総合評価○とした。
分散安定性または感光特性のどちらかが△の時を、総合評価△とした。
分散安定性または感光特性のどちらかに×がある時を、総合評価×とした。
Figure 0004451331
*表中、対アニオン「X」は「OH」である。

本発明によれば、電荷発生物質としてμ−オキソ架橋型金属フタロシアニン化合物を用いた場合、1,4−ジオキサン/シクロヘキサノン混合液もしくはN,N−ジメチルホルムアミド/シクロヘキサノン混合液で分散させた感光層形成用塗布液は、分散安定性が著しく向上し、そして長期保存する場合においても安定に保存することができた。
本発明により、長期保存に適した感光層形成用塗布液が提供される。この感光層形成用塗布液は、長期保存後も電荷発生物質の凝集や沈降等を起こさず、また特性劣化を起こすこともない。さらにこの感光層形成用塗布液を用いて感光層を形成することにより、長期保存後も特性劣化を起こさない電子写真感光体を提供することができる。
合成例1および合成例2で得られた化合物のXRDスペクトルを示す。 合成例2で得られた化合物のFD−MSスペクトルを示す。 実施例4と比較例4について分光感度測定を行った結果を示すグラフである。

Claims (4)

  1. (a)μ−オキソ架橋型金属フタロシアニン化合物である電荷発生物質、
    (b)シクロヘキサノン、および
    (d)N,N−ジメチルホルムアミドを、
    (b)シクロヘキサノンと(d)N,N−ジメチルホルムアミドとの重量組成比(b):(d)が3367〜1:99の範囲で混合する工程、
    を包含する、
    導電性支持体上に感光層を有する電子写真感光体の製造に用いられる感光層形成用塗布液の製造方法。
  2. 前記(a)電荷発生物質が、下記構造式(I)
    Figure 0004451331
    (I)
    で示されるμ−オキソ−ガリウムフタロシアニンダイマーであり、
    該μ−オキソ−ガリウムフタロシアニンダイマーが、X線回折スペクトルにおいてCuKα特性X線に対するブラッグ角度(2θ±0.2°)の7.4°、9.9°、12.5°、12.9°、16.1°、17.5°、17.9°、18.5°、21.9°、22.2°、24.0°、25.1°、25.8°、28.2°、28.9°、30.0°、32.9°に回折ピークを示す、
    請求項記載の感光層形成用塗布液の製造方法。
  3. 前記(a)電荷発生物質が、下記構造式(II)
    Figure 0004451331
    (II)
    [式中、Xは対アニオンを表す。]
    で示されるμ−オキソ架橋型異種金属フタロシアニン化合物であり、
    該μ−オキソ架橋型異種金属フタロシアニン化合物が、X線回折スペクトルにおいてCuKα特性X線に対するブラッグ角度(2θ±0.2°)の7.6°、10.1°、12.6°、13.0°、16.3°、17.7°、18.6°、22.3°、24.2°、25.3°、25.8°、28.5°、29.7°、33.0°に回折ピークを示す、
    請求項記載の感光層形成用塗布液の製造方法。
  4. 請求項1〜いずれかに記載の感光層形成用塗布液の製造方法により得られる、感光層形成用塗布液。
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