JP2002251026A - 光電材料および電子写真感光体 - Google Patents

光電材料および電子写真感光体

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JP2002251026A JP2001046933A JP2001046933A JP2002251026A JP 2002251026 A JP2002251026 A JP 2002251026A JP 2001046933 A JP2001046933 A JP 2001046933A JP 2001046933 A JP2001046933 A JP 2001046933A JP 2002251026 A JP2002251026 A JP 2002251026A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】特に、高感度で帯電性に優れ、繰り返し使用に
対して安定である光電材料、および、当該光電材料を感
光層に利用した電子写真感光体を提供する。 【解決手段】特定の一般式でそれぞれ表される無置換フ
タロシアニンとアルキル基置換フタロシアニンとを1:
1〜500:1重量比で含有するフタロシアニン組成物
から成る光電材料、および、導電性支持体上に上記の光
電材料を含有する感光層が形成されている電子写真感光
体。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、光電材料および電
子写真感光体に関し、詳しくは、新規なフタロシアニン
組成物から成り且つ半導体レーザー及びLEDに対して
高い感度と低い残留電位を示す光電材料、および、当該
光電材料を電荷発生材料に利用した電子写真感光体に関
する。
【0002】
【従来の技術】近年、光源にレーザー光を使用したレー
ザープリンターは、高速化、高画質、ノンインパクト化
の利点を活かして広く普及するに至っている。特に半導
体レーザーを光源とする方式が主流であり、その光源波
長である780nm前後の長波長光に対して高感度な特
性を有する感光体が強く望まれている。
【0003】この様な状況の中、フタロシアニン化合物
は、比較的容易に合成できること、600nm以上の長
波長域に吸収ピークを有すること、中心金属や結晶形に
より分光感度が変化し、半導体レーザーの波長域で高感
度を示すものが幾つか発表されていること等から、精力
的に研究開発が行われてきている。
【0004】上記の様な目的に対して最も多く報告され
ているのは、チタニルフタロシアニンである。特開昭6
1−23248号公報、特開昭62−670943号公
報、特開昭62−272272号公報、特開平1−17
066号公報、特開平1−82046号公報、特開平2
−131243号公報、特開平3−35242号公報、
特開平3−220193号公報、特開平4−22487
2号公報、特開平5−17702号公報、特開平7−2
71073号公報などに数多くの技術開示がなされてい
る。
【0005】フタロシアニンのベンゼン核にアルキル基
を導入した化合物は、有機溶媒に可溶性である。特開平
4−184449号公報には、特定のチタニルフタロシ
アニンの塗布液に上記の様な可溶性フタロシアニンを含
有させて塗布することによって感光層を形成した電子写
真感光体が報告されている。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】一般に、電子写真感光
体用の感光層を始めとする各種の感光体に使用されるフ
タロシアニン等の光電材料としては、高感度で帯電性に
優れ、しかも、高温高湿環境下・低温低湿環境下でも感
度の変動が少なく且つ繰り返し使用に対して安定である
ものが望まれるが、未だこれらの条件を満足するフタロ
シアニンは提案されていない。本発明は、斯かる実情に
鑑みなされたものであり、その目的は、特に、高感度で
帯電性に優れ、繰り返し使用に対して安定である光電材
料、および、当該光電材料を感光層に利用した電子写真
感光体を提供する。
【0007】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明の第1
の要旨は、下記一般式(I)で表される無置換フタロシ
アニンと下記一般式(II)で表されるアルキル基置換フ
タロシアニンとを1:1〜500:1重量比で含有する
フタロシアニン組成物から成ることを特徴とする光電材
料に存する。
【0008】
【化3】
【0009】
【化4】
【0010】そして、本発明の第2の要旨は、導電性支
持体上に上記の光電材料を含有する感光層が形成されて
いることを特徴とする電子写真感光体に存する。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明を詳細に説明する。
先ず、本発明の光電材料について説明する。本発明の光
電材料は、前記一般式(I)で表される無置換フタロシ
アニンと前記一般式(II)で表されるアルキル基置換フ
タロシアニンとを含有するフタロシアニン組成物から成
る。
【0012】一般式(I)及び(II)で表される各フタ
ロシアニンは、その中心位置に金属原子を有するもの又
は有しないものの何れでもよい。一般式(I)及び(I
I)において、M1及びM2で示される中心金属として
は、例えば、Cu、Co、Ni、Fe、Zn、Ti、
V、Al、Ga、In、Si、Ge、Sn、Pb等が挙
げられる。これらの中では、Ti、V、Al、Ga、I
n、Si、Ge、Snが好ましく、その中でも、Ti、
In、Sn、Si、Gaが更に好ましい。また、中心金
属を有さないもの(M1及びM2が2個の水素原子であ
る、いわゆる無金属フタロシアニン)も好ましい。M1
とM2は同一でも異なっていてもよい。
【0013】中心金属の配位子としては、酸素原子、硫
黄原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基、アルコキシ基、
アルキルチオ基などが挙げられる。これらの中では、酸
素原子、ハロゲン原子、ヒドロキシ基が好ましい。ま
た、フタロシアニンは、配位子を有していてもよい中心
金属の価数によって電荷が残っている場合、対イオンを
伴って塩として存在していてもよい。
【0014】一般式(II)において、R1、R2、R3
4で表されるアルキル基としては、炭素数8以下のア
ルキル基、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル
基、イソプロピル基、t−ブチル基などが挙げられる。
これらの中では、メチル基、i−プロピル基またはt−
ブチル基が好まい。
【0015】一般式(II)において、整数k=l=m=
n=0の場合を除くとしたのは、当該フタロシアニンは
一般式(I)で表される無置換フタロシアニンに相当す
るからである。また、ベンゼン環に置換したアルキル基
の炭素数の合計を12以下としたのは次の理由による。
すなわち、上記条件を満足するアルキル基置換フタロシ
アニンは、有機溶媒にかなり難溶性の化合物であり、無
置換フタロシアニンとの組成物とした際に光電材料とし
ての好適な特性を示す。上記条件を満足するアルキル基
置換フタロシアニンとしては、例えば、R=メチル基で
あってk=l(エル)=m=n=1である化合物、R=
メチル基であってk=l(エル)=m=n=2である化
合物およびR=イソプロピル基であってk=l=m=n
=1である化合物などが挙げられる。ベンゼン環に置換
したアルキル基の炭素数の合計は好ましくは8以下であ
る。
【0016】上記の無置換フタロシアニンは、例えば、
モーザーおよびトーマスの「フタロシアニン化合物(Ph
thalocyanine Compounds)」等に記載されている公知の
方法で得ることが出来る。上記のアルキル基置換フタロ
シアニンは、原料として、アルキル基が置換したフタロ
ニトリル、1,3−ジイミノイソインドリン又はフタル
酸無水物を使用し、上記の無置換フタロシアニンと同様
の方法で得ることが出来る例えば、テトラメチルフタロ
シアニンの場合、メチルフタロニトリルと高沸点溶剤と
を混合し、これに金属ハロゲン化物、金属酸化物または
水素供給物質を加え、窒素雰囲気下で加熱反応させる方
法で合成することが出来る。
【0017】また、原料として、アルキル基の置換した
フタロニトリル、1,3−ジイミノイソインドリン又は
フタル酸無水物と無置換のフタロニトリル、1,3−ジ
イミノイソインドリン又はフタル酸との混合物を使用
し、上記のアルキル基置換フタロシアニンと同様の方法
により、アルキル基が置換したフタロシアニンの混合物
を得、これを前記一般式(II)で表されるアルキル基置
換フタロシアニンとして使用することも出来る。更に、
上記方法でハロゲン化金属フタロシアニンを得、これを
公知の方法で加水分解することにより、オキシ化(又は
ヒドロキシ化)金属フタロシアニンやアルコキシ金属フ
タロシアニン等へ導いて前記の一般式(I)又は(II)
で表されるフタロシアニンとすることも出来る。
【0018】本発明の光電材料は、無置換フタロシアニ
ンとアルキル基置換フタロシアニンと含有するフタロシ
アニン組成物から成る。斯かるフタロシアニン組成物
は、両者を十分に混合することにより調製される。この
場合の無置換フタロシアニンとアルキル基置換フタロシ
アニンとの配合割合は、1:1〜500:1重量比、好
ましくは3:1〜200:1重量比である。フタロシア
ニン組成物は、ボールミル、アトライター、サンドミ
ル、ペイントシェカー等で機械的に混合する方法により
調製することが出来る。
【0019】本発明においては、例えば感光体としての
要求特性を満足させるため、上記のフタロシアニン組成
物に結晶レベルの混合処理を施すことも出来る。結晶レ
ベルの混合処理法としては、メタンスルホン酸、トリフ
ルオロ酢酸などのフタロシアニンを溶解する無機酸や有
機酸に溶解し、水、アルコール等の貧溶剤に注ぐアシッ
ドペースティング法やアシッドスラリー法が挙げられ
る。
【0020】また、結晶レベルで混合されたフタロシア
ニン組成物は、無置換フタロシアニンの存在下でアルキ
ル基置換フタロシアニンを合成する方法またはアルキル
基置換フタロシアニンの存在下で無置換フタロシアニン
を合成する方法により調製することも出来る。これらの
方法により調製されたフタロシアニン組成物を更に有機
溶剤で処理することにより結晶を成長させることも出来
る。結晶レベルで混合されたフタロシアニン組成物は、
無置換フタロシアニン及びアルキル基置換フタロシアニ
ンとは著しく異なる性質が発現される。
【0021】上記の様なフタロシアニン組成物から成る
本発明の光電材料が例えば電荷発生材料として優れた効
果を発揮する理由は、必ずしも明確ではないが、以下の
様に推定される。すなわち、溶媒中で微粒子化分散して
電子写真感光体用の塗布液を調製する際、個々の化合物
の結晶成長速度が抑えられ、その結果、特に微細なフタ
ロシアニン結晶が分散された塗布液が得られる。そし
て、斯かる塗布液を塗布して形成された感光層は、半導
体レーザー光などに対して高感度な特性を有し、しか
も、良好な繰り返し使用特性を発揮する。
【0022】次に、本発明の電子写真感光体について説
明する。本発明の電子写真感光体は、導電性支持体上に
上記の光電材料を含有する感光層が形成されていること
を特徴とする。感光層は、単層型構造であってもよく電
荷発生層および電荷輸送層からなる積層型構造であって
もよい。また、導電性支持体と感光層との間に下引き層
が形成されていてもよい。更に、単層型構造では感光層
上に、積層型構造では電荷輸送層上に表面保護層が設け
られていてもよい。
【0023】導電性支持体としては、電子写真感光体に
使用される従来公知のものを制限なく使用することが出
来る。例えば、アルミニウム、銅、ニッケル等の金属か
ら成るドラムやシート、これら金属の箔ラミネート物や
蒸着物が挙げられる。更に、金属粉末、カーボンブラッ
ク、ヨウ化銅、高分子電解質などの導電物質を適当なバ
インダーと共に塗布して導電処理したプラスティックフ
ィルム、プラスティックドラム、紙などが挙げられる。
また、金属粉末、カーボンブラック、炭素繊維などの導
電性物質を含有させて導電性としたプラスティックシー
トやドラム、酸化スズ、酸化インジウム等の導電性金属
酸化物層を表面に有するプラスティックフィルム等が挙
げられる。
【0024】下引き層は、導電性支持体からの不必要な
電荷の注入を阻止するために有効であり、感光層の帯電
を高める作用がある。更に、感光層と導電性支持体との
密着性を高める作用もある。下引き層の構成材料として
は、アルミニウム陽極酸化皮膜、酸化アルミニウム、水
酸化アルミニウム、酸化チタン、表面処理酸化チタン等
の無機物、ポリビニルアルコール、カゼイン、ポリビニ
ルピロリドン、ポリアクリル酸、セルロース類、ゼラチ
ン、デンプン類、ポリウレタン、ポリイミド、ポリアミ
ド等の有機物、その他、有機ジルコニウム化合物、チタ
ニウムキレート化合物、チタニウムアルコキシド化合
物、有機チタニウム化合物、シランカップリング剤など
が挙げられる。下引き層の膜厚は、通常0.1〜20m
m、好ましくは0.1〜10mmの範囲である。
【0025】積層型構造の感光層場合、電荷発生層は、
本発明の光電材料および結着樹脂から構成される。本発
明では他の電荷発生物質を併用してもよい。併用できる
電荷発生物質としては、例えば、アゾ化合物、アントラ
キノン系化合物、ペリレン系化合物、多環キノン系化合
物、スクアリック酸メチン系化合物などが挙げられ、前
記とは異るフタロシアニン系化合物も使用し得る。
【0026】電荷発生層の結着樹脂は各種の絶縁性樹脂
から選択することが出来る。具体的には、スチレン、酢
酸ビニル、塩化ビニル、塩化ビニリデン、アクリル酸エ
ステル、メタクリル酸エステル、アクリルアミド、アク
リロニトリル、ビニルアルコール、エチルビニルエーテ
ル、ビニルピリジン等のビニル化合物の重合体および共
重合体、フェノキシ樹脂、ポリスルホン、ポリビニルア
セタール、ポリビニルブチラール、ポリカーボネート、
ポリエステル、ポリアミド、ポリウレタン、セルロース
エステル、セルロースエーテル、エポキシ樹脂、ケイ素
樹脂、アルキッド樹脂、ポリアリレート等が挙げられ
る。
【0027】結着樹脂の使用割合は、光電材料100重
量部に対し、通常1〜1000重量部、好ましくは10
〜400重量部の範囲である。光電材料の割合が高すぎ
る場合は、後述する塗布液の安定性が低下する傾向にあ
り、低くすぎる場合は、電子写真感光体における残留電
位が高くなる傾向にある。
【0028】電荷発生層を形成する塗布液は、次の様に
して調製することが出来る。適当な有機溶剤に上記の結
着樹脂を溶解し、これに前記の光電材料を分散(一部溶
解してもよい)させる。
【0029】有機溶剤としては、テトラヒドロフラン、
ジオキサン、エチレングリコールモノメチルエーテル等
のエーテル類、アセトン、メチエチルケトン、シクロヘ
キサノン等のケトン類、トルエン、キシレン等の芳香族
炭化水素、モノクロロベンゼン、ジクロロベンゼン等の
ハロゲン化芳香族炭化水素、塩化メチレン、クロロホル
ム、四塩化炭素、ジクロロエタン、トリクロロエタン等
のハロゲン化脂肪族炭化水素、メタノール、エタノー
ル、イソプロパノール等のアルコール類、酢酸メチル、
酢酸エチル等のエステル類、N、N−ジメチルホルムアミ
ド、 N、N−ジメチルアセトアミド等のアミド類、ジメ
チルスルホキシド等のスルホキシド類などが挙げられ
る。
【0030】光電材料の分散には、例えば、ボールミ
ル、サンドグラインドミル、遊星ミル、ロールミル、ペ
イントシェーカー等を使用することが出来る。光電材料
と結着樹脂との割合は、特に制限されないが
【0031】電荷発生層は導電性支持体に塗布液を塗布
した後に乾燥することにより形成される。塗布液の塗布
は、ディップコーティング法、スプレーコーティング
法、スピナーコーティング法、ビードコーティング法、
ワイヤーバーコーティング法、ブレードコーティング
法、ローラーコーティング法、カーテンコーティング
法、リングコーティング法等のコーティング法により行
われ、塗布液の乾燥は、25〜250℃の温度で5分〜
3時間の範囲で静止または送風下で行われる。また、形
成される電荷発生層の膜厚は、通常0.1〜5mm、好
ましくは0.3〜3mmである。
【0032】電荷輸送層は、電荷輸送材料および結着樹
脂、必要に応じて使用される酸化防止剤などの添加物よ
り構成される。電荷輸送材料は一般に電子輸送材料とホ
ール輸送材料の2種に分類されるが、本発明の電子写真
感光体は何れも使用することが出来、また、その混合物
も使用できる。
【0033】電子輸送材料としては、ニトロ基、シアノ
基、カルボニル基などの電子吸引性基を有する電子受容
性化合物、例えば、2、4、7ートリニトロフルオレノ
ン、 2、4、5、7−テトラニトロフルオレノン等のニト
ロ化フルオレノン、テトラシアノキノジメタン、ジフェ
ノキノン等のキノン類が挙げられる。
【0034】ホール輸送材料としては、電子授与性の有
機光電性化合物、例えば、カルバゾール系、インドール
系、イミダゾール系、オキサゾール系、チアゾール系、
オキサジアゾール系、ピラゾール系、ピラゾリン系、チ
アジアゾール系、ベンゾオキサゾール系、ベンゾチアゾ
ール系、ナフトチアゾール系等の複素環化合物、ジフェ
ニルメタン等のジアリールアルカン誘導体、トリフェニ
ルメタン等のトリアリールアルカン誘導体、トリフェニ
ルアミン等のトリアリールアミン誘導体、フェニレンジ
アミン誘導体、N−フェニルカルバゾール誘導体、スチ
ルベン等のジアリールエチレン誘導体、ヒドラゾン系誘
導体、ジアルキルアミノ基、ジフェニルアミノ基の様な
置換アミノ基、アルコキシ基、アルキル基の様な電子供
与基(+M効果を有する置換基)、これらの電子供与基
が置換した芳香族環基が置換した電子授与性の大きな化
合物などが挙げられる。
【0035】また、ポリビニルカルバゾール、ポリグリ
シジルカルバゾール、ポリビニルピレン、ポリビニルフ
ェニルアントラセン、ポリビニルアクリジン、ピレンー
ホルムアルデヒド樹脂など、上記化合物からなる基を主
鎖または側鎖に有する重合体も挙げられる。
【0036】特に、以下の(A−1)〜(A−14)、
(B−1)〜(B−8)、(C−1)〜(C−7)、
(D−1)〜(D−3)に示す化合物が電荷輸送材料と
して好適に使用される。
【0037】
【化5】
【0038】
【化6】
【0039】
【化7】
【0040】
【化8】
【0041】
【化9】
【0042】
【化10】
【0043】
【化11】
【0044】
【化12】
【0045】
【化13】
【0046】また、電荷輸送層に使用される結着樹脂と
しては、前記した電荷発生層に使用されるものと同様の
絶縁性樹脂が使用できる。電荷輸送材料と結着樹脂との
割合は、特に制限されないが、前記電荷輸送材料100
重量部に対する結着樹脂の割合は、通常20〜3000
重量部、好ましくは50〜1000重量部の範囲であ
る。電荷輸送層は、上記の電荷輸送材料および結着樹脂
を前記した電荷発生層に使用されるものと同様の有機溶
剤を使用して塗布液を調整した後、前記と同様の方法に
より塗布し、乾燥することによって形成することが出来
る。また、電荷輸送層の膜厚は、通常5〜50mm、好
ましくは10〜40mmである。
【0047】電子写真感光体が単層型構造を有する場
合、感光層は、前記の光電材料、電荷輸送材料、結着樹
脂から構成され、電荷輸送材料および結着樹脂は、前記
と同様なものが使用される。感光層は、必要に応じ、酸
化防止剤、増感剤などの各種添加物を含んでいてもよ
い。光電材料および電荷輸送材料と結着樹脂との割合
は、光電材料および電荷輸送材料10重量部に対して結
着樹脂2〜300重量部、光電材料と電荷輸送材料との
割合は、光電材料1重量部に対して電荷輸送材料0.0
1〜100重量部の範囲が適当である。そして、前記と
同様に塗布液を調整した後、塗布、乾燥することによっ
て感光層が得られる。
【0048】
【実施例】以下、実施例によって、本発明を更に具体的
に説明するが、本発明は、その要旨を超えない限り以下
の実施例によって制限されるものではない。なお、以下
の諸例において、単に「部」とあるのは「重量部」を意
味する。
【0049】合成例1 特開平9−104829号公報の実施例1に記載の方法
に従ってオキシチタニウムフタロシアニンを合成した。
【0050】すなわち、先ず、温度計、攪拌器、還流冷
却器を備えた1L反応フラスコに、オルトフタロジニト
リル92.0gとα−クロロナフタレン600mlを仕
込み、攪拌下、四塩化チタン20mlを滴下した。滴下
後に昇温し、200〜220℃で5時間反応させた後に
放冷し、130℃で熱濾過し、120℃に加熱したα−
クロロナフタレン400ml、続いてメタノール200
mlで洗浄乾燥してジクロロチタニウムフタロシアニン
(TiCl2 Pc)の青色粉末61.3gを得た。
【0051】次いで、温度計、攪拌器、還流冷却器を備
えた200ml反応フラスコに、TiCl2 Pc10.
0g(0.01584mol)と、脱酸剤としてγ−ピ
コリン2.95g(0.03168mol)、N−メチ
ルピロリドン98mlに対して水2mlを混合した混合
溶媒100mlを仕込み、135℃(還流状態)に昇温
して3時間攪拌した後、100℃に冷却して濾過し、得
られたケーキをメタノールで洗浄後乾燥してβ型オキシ
チタニウムフタロシアニン(TiOPc)青色粉末5.
8gを得た。
【0052】合成例2 合成例1において、原料のオルトフタロジニトリルに代
えて4−メチルフタロニトリルを使用することにより、
テトラメチルオキシチタニウムフタロシアニンを得た。
構造解析はマススペクトル(ネガティブ測定)、IR
(KBr法)、元素分析で行った。マススペクトルでは
m/z:632にテトラメチルオキシチタニウムフタロ
シアニンのピークが確認された。IRスペクトル(図
1)では、1614、1493、1327、1276、
1163、1135、1076、968、931、82
1、769、747、722、628cm-1に吸収がみ
られた。元素分析の結果を以下に示すが、計算値とほぼ
一致している。これにより合成物はテトラメチルオキシ
チタニウムフタロシアニンと確認された。
【0053】
【表1】
【0054】合成例3 窒素雰囲気下、オルトフタロジニトリル18.07gを
n−アミルアルコール120ml中に加え、次に1,8
−ジアザビシクロ−(5,4,0)−7−ウンデセン2
1.47を添加した。これを昇温し、攪拌しながら約1
45℃で4時間加熱環流させた。放冷後、生成物を10
0〜130℃の温度範囲で熱ろ過し、N−メチルピロリ
ドン、メタノールの順で洗浄した後、更に、N−メチル
ピロリドン、水、メタノールでそれぞれ熱懸濁洗浄した
後に乾燥し、無金属フタロシアニン8.78gを得た。
更に、この無金属フタロシアニン5gを直径1mmのガ
ラスビーズ40mlと共に100mlの容器に入れ、ペ
イントシェーカーで20時間乾式摩砕し、顔料をビーズ
から分離した。
【0055】合成例4 合成例3において、原料のオルトフタロジニトリルに代
えて4−メチルフタロニトリルを使用することにより、
テトラメチル無金属フタロシアニン8.64gを得た。
構造解析はマススペクトル(ネガティブ測定)、IR
(KBr法)、元素分析で行った。マススペクトルでは
m/z:570にテトラメチル無金属タロシアニンのピ
ークが確認された。IRスペクトル(図2)では161
7、1501、1333、1317、1270、109
8、1013、918、903、885、818、75
2、706、638cm-1に吸収がみられた。元素分析
の結果を以下に示すが、計算値とほぼ一致している。こ
れにより合成物はテトラメチル無金属フタロシアニンと
確認された。
【0056】
【表2】
【0057】更に、このテトラメチル無金属フタロシア
ニン5gを直径1mmのガラスビーズ40mlと共に1
00mlの容器に入れ、ペイントシェーカーで20時間
乾式摩砕し、顔料をビーズから分離した。
【0058】合成例5 特開平10−88023号公報の合成例1記載の方法に
従ってクロロガリウムフタロシアニンを合成した。
【0059】すなわち、撹拌器、塩化カルシウム管など
の必要器具を備えた1000mlのガラス製4口フラス
コにフタロニトリル177.2gと1−クロルナフタレ
ン820ml及び塩化ガリウム50.0gを仕込み、1
0時間還流下撹拌した。その後、還流を停止し、200
℃程度まで放冷後に熱時濾過して、熱ジメチルホルムア
ミド(DMF)3500ml、DMF3000mlを使
用して振り掛け洗浄した。得られたウエットケーキをD
MF800mlに再度分散し、5時間撹拌還流した後に
熱濾過し、熱DMF2500ml、DMF2000ml
を使用して振り掛け洗浄し、メタノール置換後に乾燥し
て青色固体のクロロガリウムフタロシアニン125.0
g(収率73.5%)を得た。
【0060】合成例6 合成例1において、原料フタロジニトリルに代えて4−
メチルフタロニトリルを使用することにより、テトラメ
チルクロロガリウムフタロシアニンを得た。構造解析は
マススペクトル(ネガティブ測定)、IR(KBr
法)、元素分析で行った。マススペクトルではm/z:
674にテトラメチルクロロガリウムフタロシアニンの
ピークが確認された。IRスペクトル(図3)では、1
507、1407、1337、1278、1167、1
138、1089、934、821、774、747、
726cm-1に吸収がみられた。元素分析の結果を以下
に示すが、計算値とほぼ一致している。これにより合成
物はテトラメチルクロロガリウムフタロシアニンと確認
された。
【0061】
【表3】
【0062】実施例1 合成例1で合成したオキシチタニウムフタロシアニン1
9部と合成例2で合成したテトラメチルオキシチタニウ
ムフタロシアニン1部を混合して、フタロシアニン組成
物とした。
【0063】実施例2 合成例1で合成したオキシチタニウムフタロシアニン1
99部と合成例2で合成したテトラメチルオキシチタニ
ウムフタロシアニン1部を混合物5gを採り、5℃以下
に保った濃硫酸150gに少しずつ添加後、1時間攪拌
した。これを氷水1l部に徐々にあけ、更に、1時間攪
拌した。析出物を濾取後、水1l部で4〜5回懸洗して
酸を除いて水ウエットケーキを得、これをN−メチルピ
ロリドン200mlで懸洗し濾取してN−メチルピロリ
ドンウエットケーキとした。このウエットケーキをN−
メチルピロリドン200mlに懸濁させ140〜145
℃で2時間熱懸濁洗浄した。これを濾取し、メタノール
で洗浄後に乾燥してフタロシアニン組成物を得た。
【0064】実施例3 実施例2おいて、オキシチタニウムフタロシアニンを4
9部、テトラメチルオキシチタニウムフタロシアニンを
1部に変更した以外は、実施例2と同様に処理してフタ
ロシアニン組成物を得た。
【0065】実施例4 実施例2において、オキシチタニウムフタロシアニンを
19部、テトラメチルオキシチタニウムフタロシアニン
を1部に変更した以外は、実施例2と同様にしてフタロ
シアニン組成物を得た。
【0066】実施例5 実施例2において、オキシチタニウムフタロシアニンを
9部、テトラメチルオキシチタニウムフタロシアニンを
1部に変更した以外は、実施例2と同様にしてフタロシ
アニン組成物を得た。
【0067】実施例6 実施例2において、オキシチタニウムフタロシアニンを
4部、テトラメチルオキシチタニウムフタロシアニンを
1部に変更した以外は、実施例2と同様にしてフタロシ
アニン組成物を得た。
【0068】実施例7 合成例3で合成した無金属フタロシアニン19部と合成
例4で合成したテトラメチル無金属フタロシアニン1部
を混合してフタロシアニン組成物とした。
【0069】実施例8 合成例5で合成したクロロガリウムフタロシアニン19
部と合成例6で合成したテトラメチルクロロガリウムフ
タロシアニン1部の混合物5gを採り、直径1mmのガ
ラスビーズ40mlと共に100mlの容器に入れ、ペ
イントシェーカーで20時間乾式摩砕した。顔料をビー
ズから分離した後、N−メチルピロリドン200mlに
懸濁させ100℃で2時間熱懸濁洗浄した。これを濾取
し、メタノールで洗浄後乾燥してフタロシアニン組成物
を得た。
【0070】実施例9 合成例1で合成したオキシチタニウムフタロシアニン1
9部と合成例6で合成したテトラメチルクロロガリウム
フタロシアニン1部の混合物5gを採り、直径1mmの
ガラスビーズ40mlと共に100mlの容器に入れ、
ペイントシェーカーで20時間乾式摩砕した。顔料をビ
ーズから分離した後、N−メチルピロリドン200ml
に懸濁させ100℃で2時間熱懸濁洗浄した。これを濾
取し、メタノールで洗浄後乾燥してフタロシアニン組成
物を得た。
【0071】実施例1〜9で得られた本発明の光電材料
(フタロシアニン組成物)につき、その内容を表4にま
とめた。
【0072】
【表4】
【0073】実施例10 (電子写真感光体の作成)実施例1で得たフタロシアニ
ン混合物1.6gをジメトキシエタン30gに加え、サ
ンドグラインドミルで2時間粉砕、微粒子化分散処理を
行った。次に、ジメトキシエタン16gと4−メトキシ
−4−メチルペンタノン−2を6g加え希釈し、更に、
ポリビニルブチラール(電気化学工業(株)製、デンカ
ブチラール#6000C)0.4gとフェノキシ樹脂
(ユニオンカーバイド(株)製、UCAR)0.4gを
ジメトキシエタン7gに溶解した液と混合し、分散液を
得た。
【0074】アルミニウム蒸着されたポリエステルフィ
ルム上に上記の分散液を乾燥後の重量が0.4g/m2
になる様にワイヤーバーで塗布した後、乾燥して電荷発
生層を形成させた。次に、この電荷発生層の上に、下記
に示すヒドラゾン化合物(a)5.6gと下記に示すヒ
ドラゾン化合物(b)1.4g及びポリカーボネート樹
脂(三菱化学(株)製、ノバレックス7030A)10
gをTHF62gに溶解させた溶液をアプリケーターに
より塗布し、乾燥後の膜厚が20mmとなる様に電荷輸
送層を設けた。
【0075】
【化14】
【0076】実施例11〜18 実施例10において、実施例1で得たフタロシアニン混
合物に代えて、実施例2〜9で得たフタロシアニン混合
物を使用した以外は、実施例10と同様にして電子写真
感光体を作成した。
【0077】比較例1 実施例10において、実施例1で得たフタロシアニン混
合物に代えて、合成例1で合成したオキシチタニウムフ
タロシアニンを使用した以外は、実施例10と同様にし
て電子写真感光体を作成した。
【0078】比較例2 実施例10において、実施例1で得たフタロシアニン混
合物に代えて、合成例3で合成した無金属フタロシアニ
ンを使用した以外は、実施例10と同様にして電子写真
感光体を作成した。
【0079】比較例3 実施例10において、実施例1で得たフタロシアニン混
合物に代えて、合成例5で合成したクロロガリウムフタ
ロシアニンを使用した以外は、実施例10と同様にして
電子写真感光体を作成した。
【0080】(電子写真感光体の評価)次に、上記の電
子写真感光体を感光体特性測定装置に装着して、表面電
位が−700Vになる様に帯電させた後、780nmの
光を照射した際の半減露光量(E1/2感度)、−70
0Vに帯電して5秒放置後の電荷保持率(DDR5)、
660nmのLED光除電後の残留電位を測定した。繰
り返し安定性は帯電−除電を30000回繰り返し、1
回目と30000回後の表面電位の差(△V)でみた。
その結果を表5に示す。
【0081】
【表5】
【0082】表5に示す通り、無置換フタロシアニンと
アルキル基置換フタロシアニンとを含有するフタロシア
ニン組成物から成る本発明の光電材料は、無置換フタロ
シアニン単独の特性より良好な感度を示すことが判る。
すなわち、本発明の光電材料は高感度であり、電荷保持
率、繰り返しの電位安定性に優れている。
【0083】
【発明の効果】以上詳述した様に、本発明の光電材料
は、高感度であり、電荷保持性、繰り返し安定性に優れ
ており、プリンター、ファクシミリ、デジタル複写機に
有効に使用することが出来る。
【図面の簡単な説明】
【図1】合成例2のテトラメチルオキシチタニウムフタ
ロシアニンのIRスペクトル図
【図2】合成例4のテトラメチル無金属フタロシアニン
のIRスペクトル図
【図3】合成例6のテトラメチルクロロガリウムフタロ
シアニンのIRスペクトル図
【手続補正書】
【提出日】平成13年2月23日(2001.2.2
3)
【手続補正1】
【補正対象書類名】明細書
【補正対象項目名】0042
【補正方法】変更
【補正内容】
【0042】
【化10】

Claims (5)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 下記一般式(I)で表される無置換フタ
    ロシアニンと下記一般式(II)で表されるアルキル基置
    換フタロシアニンとを1:1〜500:1重量比で含有
    するフタロシアニン組成物から成ることを特徴とする光
    電材料。 【化1】 【化2】
  2. 【請求項2】 一般式(II)におけるベンゼン環に置換
    したアルキル基の炭素数の合計が8以下である請求項1
    記載の光電材料。
  3. 【請求項3】 一般式(II)におけるR1〜R4がメチル
    基である請求項1記載の光電材料。
  4. 【請求項4】 一般式(I)及び(II)におけるM1及
    び/又はM2が2個の水素原子またはTi、In,S
    n、Si、Gaの群から選択される1種である請求項1
    〜3記載の光電材料。
  5. 【請求項5】 導電性支持体上に請求項1〜4の何れか
    に記載の光電材料を含有する感光層が形成されているこ
    とを特徴とする電子写真感光体。
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