JP4448929B2 - 可搬式のブロワ - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、塵埃や落ち葉等を吹き飛ばす、背負い式又は手持ち式等の可搬式のブロワに関し、特には低騒音で、作業性の良い可搬式のブロアに関する。
【0002】
【従来の技術】
近年、騒音に対する規制が厳しくなっており、ブロワに対しても騒音低減が要求されている。ブロワの騒音低減に関しては、従来より種々の提案がなされている。その一例としては、特開平11−201099号公報に開示されたものがある。図5は、同公報に記載された送風機の断面図であり、同図により以下従来技術を説明する。
【0003】
遠心送風機50には、サイレンサ60が取り付けられる。送風機50は、送風機ケーシング51の吸込口52から吸込んだ気体を羽根車53の回転によって周方向に加速している。羽根車53は、図示しない駆動手段により回転駆動される回転軸54にボルト固定されている。また、送風機ケーシング51の吸込口52の内側には、断面がほぼ双曲線を描く吸込管55の一端部がそのフランジをボルト固定して取り付けられ、この吸込管55の他端部が下流側の羽根車53の流入口56に連絡されている。
サイレンサ60は、この例では、全体が送風機ケーシング51とほぼ同じ程度の厚さの円盤状に形成され、送風機50の吸込口側ケーシング51aの外側に同軸に取り付けられている。サイレンサ60は、2枚の円板状の取付板61,62と、各取付板61,62の内側に取付けられた吸音材64a,64bとから構成され、これらの吸音材64a,64bによって空気を吸込口52に導入する内部流路Pが形成されている。吸音材は、例えばウレタンフォームのような自己形状保持可能な材料を用いており、これを所定の形状に加工成形して取付板61,62に固定している。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記構成においては、塵埃や落ち葉等を吹き飛ばして清掃する背負い式のエンジンブロワ、或いは手持ち式のエンジンブロワ等の可搬式小型ブロワに適用した場合に、以下のような問題点がある。
図1は、背負い式エンジンブロワ1の作業状況を示す斜視図である。同図において、エンジンブロワ2は、エンジン10と、このエンジン10の前方(作業者5側)に配設され、かつエンジン10により駆動されるブロワ20と、エンジン10及びブロワ20を搭載する架台3と、ブロワ20に接続され、風を吹き出す風管4とを備えている。作業者5は、ブロワ20の前方に設けられた架台3の背当て6を背中に当てて背負い式エンジンブロワ1を背負い、風管4を手に持った状態で送風し、塵埃や落ち葉等を吹き飛ばして清掃するようにしている。
【0005】
ところが、上記特開平11−201099号公報に開示された送風機50においては、サイレンサ60の空気の出口(送風機ケーシング51の吸込口52)と入口を連絡する内部流路Pを、自己形状保持可能なウレタンフォームよりなる吸音材64a,64bにより形成しているため、サイレンサ60の容積が大きくなり、重量も重くなる。さらに、送風機50の羽根車53の流入口56前方に、軸方向に沿って吸込管55を有している。したがって、送風機50及びサイレンサ60のファン回転軸方向の長さが長くなる。
【0006】
このため、上記のような送風機50及びサイレンサ60の構造を背負い式エンジンブロワ1に適用すると、重心位置が背当て6から後方にずれる、即ち作業者5から遠く離れることとなり、かつ重量も重くなるため、作業者5の背中に加わる後ろ向きのモーメントが大きくなって作業性を損なうという問題が生じる。また、手持ち式の場合においても、同様の理由により全体の場積が大きく、かつ重くなるため、作業性が低下するという問題が発生する。
【0007】
本発明は上記の問題点に着目し、ファン軸方向の長さが短く、かつ安価な低騒音の可搬式のブロワを提供することを目的としている。
【0008】
【課題を解決するための手段、作用及び効果】
上記目的を達成するために、本発明に係る可搬式のブロワの第1発明は、エンジンで駆動されるファンにより空気を送風する可搬式のブロワにおいて、ファンの空気吸入側の中心部に円錐状の第1突起部を設け、ファンを内設するボリュート室の空気吸入側に空気吸入孔を設けたブロワと、一端側に開口部を有する柱状部材の、ファン軸線を取り囲む周面部に空気取入口を有し、柱状部材の他端側の蓋部内面の中央部に前記第1突起部に対向する円錐状の第2突起部を設け、ブロワの空気吸入孔の外周部に前記開口部が取着されたガードネットとを備えた構成としている。
【0009】
第1発明によれば、ファンの中心部に設けた円錐状の第1突起部と、これに対向してガードネットの蓋部内面の中心部(即ちファン軸心部)に設けた円錐状の第2突起部とにより、ガードネットの周面部の空気取入口とブロワのボリュート室のファンとの間に滑らかな空気通路が形成される。したがって、外気がこの空気通路に沿って抵抗なく吸入され、整流されるので、ブロワの空気吸入口での騒音が大幅に低減される。
また、ブロワの空気吸入孔の外周部に、ガードネットの前記第2突起部と反対側の開口部を直接取着している。これにより、ガードネットとブロワのボリュート室との間にダクト部(従来技術での吸込管55等)が無くなるので、ブロア全体を軽量で、かつコンパクトに構成することができ、ファン軸線方向の長さを短くできる。したがって、可搬式のブロワの重心位置が大きく一端側にずれることはなく、重量も軽く、小型にできるので、作業性を損なうことはない。例えば背負い式のエンジンブロワに適用した場合でも、重心位置が背当てから後方にずれることがないので、作業者の背中に加わる後ろ向きのモーメントを小さくでき、作業性を向上できる。
【0010】
第2発明は、第1発明の構成に基づき、前記ガードネットが成形樹脂よりなる構成としている。
【0011】
第2発明によれば、ガードネットを成形樹脂により構成したため、部材の肉厚を薄くすることが可能となる。これにより、第1発明の効果に加えて、ブロア全体をさらに軽量で、かつコンパクトに構成でき、操作性をさらに向上できる。
【0012】
第3発明は、第1又は第2発明の構成に基づき、前記ガードネットに設けられた第2突起部は、ガードネットと一体成形されている構成としている。
【0013】
第3発明によれば、ガードネットの円錐状の突起部を一体成形(例えば成形樹脂等により)するので、構成部品点数が少なくなる。これにより、生産管理や組立てが容易となるので製造コストを低減できると共に、コンパクトとなるので軽量化及び小型化ができる。
【0014】
第4発明は、第1又は第2発明の構成に基づき、前記ブロワのボリュート室に設けられた空気吸入孔の外周部に、ベルマウス状のファンネルを設けた構成としている。
【0015】
第4発明によれば、ボリュート室の空気吸入孔の外周部にベルマウス状のファンネルを設けたため、ファンとガードネットとの軸心部に設けられた円錐状の突起部と相まって、ガードネットの周面部の空気取入口からファンまでの空気流路はより一層滑らかに形成され、より大きな騒音低減効果を得ることができる。
【0016】
【発明の実施の形態】
以下に、本発明に係る可搬式のブロワの実施形態について、図面を参照して詳述する。尚、以下では、可搬式のブロワとして背負い式エンジンブロワ1を例に説明する。
【0017】
図1は背負い式エンジンブロワ1の作業状況を示す斜視図であり、図2は第1実施形態の可搬式のブロワの側面断面図である。
エンジンブロワ2は、エンジン10と、これに連結されたブロワ20とを備えている。エンジン10のクランク軸11にはブロワ20のファン21が取着されており、ファン21の空気吸入側の中央部には側面断面が略放物線をなす円錐状の第1突起部22が設けられている。ファン21の外周部には複数個の翼25が設けられている。ファン21はボリュート室23に内設されており、ボリュート室23に設けられた空気吸入孔24の外側には、樹脂を一端側に開口部を有する柱状に成形して構成したガードネット30の前記開口部が取着されている。ガードネット30は、その柱状の他端側にファン21の軸線X−Xにほぼ垂直な蓋部31を有しており、ファン21の軸線X−Xを取り囲む周面部32には複数の空気取入口33が設けられている。空気取入口33には、所定の間隔で、複数個の桟34が設けられている。蓋部31の中央部には、ファン21の第1突起部22に対向して、側面断面が略放物線をなす円錐状の突起部材36がネジ37により締着されており、第2突起部35を形成している。また、エンジン10及びブロワ20は架台3に取着されている。
尚、ガードネット30及び突起部材36は樹脂に限定されず、例えばアルミニウムや硬質ゴム等のような軽量部材により形成してもよい。
【0018】
次に、作用及び効果について説明する。
ファン21の円錐状の第1突起部22とガードネット30の蓋部31に締着された円錐状の第2突起部35とは対向して設けられ、第1突起部22の円錐頂点と第2突起部35(突起部材36)の円錐頂点とを近接させて設けている。したがって、ガードネット30の周面部32に設けられた空気取入口33とフアン21の翼25との間には、第1突起部22と第2突起部35との円錐状外側面に沿って滑らかな空気通路Sが形成される。また、ガードネット30の周面部32の各空気取入口33から吸込まれる空気は、エンジンブロワ2の軸線X−X上で衝突して乱れることなく、スムーズにファン21に向けて流れる。そのため、空気は空気通路Sに沿って抵抗なく取り込まれ、空気の乱流が無くなるので、騒音は低減される。
【0019】
また、ボリュート室23に設けられた空気吸入孔24の外側に直接ガードネット30が取着されており、図5で説明した従来技術において送風機50の羽根車53と内部流路Pを形成する吸音材64a,64bとの中間部に設けているダクト部(吸込管55)を無くした構成としている。さらに、ガードネット30は樹脂等の軽量部材を成形して構成されているため、肉厚を薄く、かつ軽量コンパクトにすることができる。したがって、エンジンブロワ2の軸線X−X方向の長さLが短くなり、架台3の背当て6からエンジンブロワ2の重心位置までの距離を短くすることができると共に、重量も軽くできる。これにより、作業者に後ろ向きの過大なモーメントが加わることがないので、作業性を向上できる。
【0020】
さらに、ガードネット30の周面部32に設けられた空気取入口33には、所定の間隔で複数個の桟34を設けているため、枯れ葉やごみ等の異物が進入するのを防止できると共に、手や指がファン21に触れることを防止できる。
【0021】
なお、本実施形態においては、ファン21に設けられた第1突起部22は一体構成となっているが、ファン21と別部材としてファン21に取着する構成としてもよい。
【0022】
図3は、第2実施形態に係る可搬式のブロワ例のエンジンブロワ2aの側面断面図である。以下では、図2に示した第1実施形態の構成と同一の部材には同一符号を付して説明を省略し、異なる部分についてのみ説明する。
同図において、ガードネット30aの蓋部31には側面断面が略放物線をなす円錐状の第2突起部35が一体に形成されており、ガードネット30aは前実施形態と同様に樹脂等の軽量部材の一体成形品により構成されている。
したがって、構造が簡単で、部品点数が少ないので、生産管理や組立てが容易となり、製造コストを低減できる。また、コンパクトに構成できるので、軽量化及び小型化ができる。その他の作用及び効果は第1実施形態と同様なので、説明は省略する。
【0023】
図4は、第3実施形態に係る可搬式のブロワ例のブロワ20部の側面断面図である。以下では、第1、第2実施形態の構成と同一の部材には同一符号を付して説明は省略し、異なる部分についてのみ説明する。
同図において、エンジンブロワ2bのボリュート室23の空気吸入孔24の外周部の空気吸入側には、ベルマウス状を成す環状のファンネル40がネジ41により締着されている。
このファンネル40により、空気通路Sは前記第1、第2実施形態のものよりも更に空気の流れが滑らかとなり、騒音は一層低減される。本出願人の実験結果によると、例えば第2突起部35及びファンネル40を備えていない構成に比して、ブロワ20の周囲の騒音レベルを約4dB低減することができた。他の作用及び効果は、前記第1、第2実施形態と同様である。
なお、本実施形態ではファンネル40はボリュート室23と別部材となっているが、これに限定されず、一体構成としてもよい。
【0024】
以上説明したように、本発明によると、ファンの中心部に設けた円錐状の第1突起部と、これに対向してガードネットの蓋部内面のファン軸心部に設けた円錐状の第2突起部とにより、ガードネットの周面部の空気取入口とボリュート室のファンとの間に滑らかな空気通路が形成される。したがって、ブロワの空気吸入口での騒音が大幅に低減される。また、ガードネットを成形樹脂等により構成し、さらに、ブロワの空気吸入孔の外周部にガードネットの第2突起部と反対側の開口部を直接取着している。これらにより、ブロア全体を軽量で、かつコンパクトに構成することができ、ファン軸線方向の長さを短くできる。したがって、可搬式のブロワの重心位置が大きく一端側にずれることはなく、重量も軽く、小型にできるので、作業性を向上できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】背負い式エンジンブロワの作業中の状態を示す斜視図である。
【図2】本発明の第1実施形態に係る可搬式のブロワの側面断面図である。
【図3】本発明の第2実施形態に係る可搬式のブロワの側面断面図である。
【図4】本発明の第3実施形態に係る可搬式のブロワのブロア部側面断面図である。
【図5】従来技術に係る送風機の断面図である。
【符号の説明】
2,2a,2b:エンジンブロワ、10:エンジン、20:ブロワ、21:ファン、22:第1突起部、23:ボリュート室、24:空気吸入孔、30,30a:ガードネット、31:蓋部、32:周面部、33:空気取入口、35:第2突起部、36:突起部材、40:ファンネル、50:遠心送風機、52:吸込口、53:羽根車、55:吸込管、56:流入口、60:サイレンサ、61,62:取付板、64a,64b:吸音材。

Claims (4)

  1. エンジンで駆動されるファンにより空気を送風する可搬式のブロワにおいて、
    ファン(21)の空気吸入側の中心部に円錐状の第1突起部(22)を設け、ファン(21)を内設するボリュート室(23)の空気吸入側に空気吸入孔(24)を設けたブロワ(20)と、
    一端側に開口部を有する柱状部材の、ファン(21)軸線を取り囲む周面部(32)に空気取入口(33)を有し、柱状部材の他端側の蓋部(31)内面の軸心部に前記第1突起部(22)に対向する円錐状の第2突起部(35)を設け、ブロワ(20)の空気吸入孔(24)の外周部に前記開口部が取着されたガードネット(30)と
    を備えたことを特徴とする可搬式のブロワ。
  2. 請求項1記載の可搬式のブロワにおいて、
    前記ガードネット(30)が成形樹脂よりなることを特徴とする可搬式のブロワ。
  3. 請求項1又は2記載の可搬式のブロワにおいて、
    前記ガードネット(30)に設けられた第2突起部(35)は、ガードネット(30)と一体成形されていることを特徴とする可搬式のブロワ。
  4. 請求項1又は2記載の可搬式のブロワにおいて、
    前記ブロワ(20)のボリュート室(23)に設けられた空気吸入孔(24)の外周部に、ベルマウス状のファンネル(40)を設けた
    ことを特徴とする可搬式のブロワ。
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