JP4448388B2 - 細胞試料管理システム - Google Patents

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本発明は、情報処理システム及び方法に関し、特に、再生医療や細胞治療等のための細胞培養プラントに用いて好適な情報処理システム及び方法に関する。
再生医療や細胞治療等のために用いられ情報処理システムについて従来から多数の特許が出願されている。
例えば、ヒューマンセルバンク(HCB(Human Cell Bank))、組織培養企業、薬品製造企業、病院、依頼者等から構成され、これらがインターネットに接続されている。HCB内にはメモリ、ホストコンピュータ、サーバが設置されている。メモリは依頼者から採取された細胞に関する情報を記憶し、ホストコンピュータはHCB全体を制御し、サーバはインターネットとのインターフェースを司る。基本的には依頼者とHCB等との間の情報のやり取りを仲介するサーバ、ホストコンピュータのソフトウエア動作に関するものであり、全ての情報はHCB内のメモリに一元的に蓄積、利用され、個人を識別するための識別情報(ID(Identification))は、インターネットやコンピュータ上の情報としてのみ記載されている(例えば、特許文献1参照)。なお、細胞試料そのものに付すIDデバイス等に関する記載は無い。
一方、自動化処理システムの処理対象(ワーク)の管理のためには、従来、バーコードが広く利用されている。医薬品の処方システムの例では、ワークである医薬品にバーコードを付して医薬品の投与前に処方と照合して投与ミスを防止する方法が検討されている。また最近は一般の自動化処理システムにおいてバーコードの代わりに不揮発性メモリを有するICタグ、特に無線通信機能を有し約100ビットのIDを記憶する不揮発性メモリを内蔵したRFID(Radio Frequency Identification)タグや、さらに書き換え可能な不揮発性メモリを内蔵したRFIDタグをワークに結合して工程管理する方法が検討されている。
例えば、磁気記憶装置を搭載した無線チップと、それを応用した流通管理システムが知られている(例えば、特許文献2参照)。このチップは流通品に一体に埋め込まれ、システムはデータベース部と、読み出し装置、書き込み装置等から構成される。データ書き込み装置はチップの磁気記憶装置に管理データを非接触で書き込み、この管理データはデータベースへ登録される。データ読み出し装置は、チップから管理データを読み出して、データベースに対して照合する。管理データの例として、製造、販売、保守等に関するデータが例示されている。データ書き込み装置を流通途中段階で用いることにより、流通途中で生じた変更を反映する構成も示されている。
また、類似する技術として、カードに内蔵されたIC(Integrated Circuit)タグを用いて、病院内の投薬管理を行うシステムが知られている(例えば特許文献3参照)。
ICタグはオーダーカード、患者カード、取扱者カード等に内蔵され、そのメモリには薬剤のオーダー管理情報等を記憶する。オーダー管理情報は同時に、サーバのDBに書き込み記録される。ピッキングされた薬剤のチェック時には、処方された薬剤のIDが読み取られると共に、オーダーカードのメモリ内のオーダー管理情報(オーダーに係る薬剤ID)が読み取られ、両情報はサーバに送られ、DB(Data Base)内のオーダー管理情報と照合判定される。オーダー管理情報とピッキングされた薬剤のIDが一致、すなわちピッキングが正確であればYes、不一致ならNoと判定され、それぞれチェックユニットに緑/赤の点灯表示がなされる。
さらに、処理対象に付したICタグ等を用いて工程管理を自動化するシステムも知られており、ICタグのメモリに管理データや管理情報等を記憶し、また同時にそれをシステムの制御装置のDBにも重複記録し、前者を後に読み出して後者と照合する構成が示されている(特許文献4、5参照)。
しかしながら、前記した従来技術について、両者を照合する意義が不明である。ICタグ内の管理データとシステムDB内の管理データを照合する場合において、一致確認の目的のためにはID番号だけでも同等の効果が発揮されることを考慮すると、ID以外に管理データもICタグに記憶する意義が不明である。
特許第3414704号明細書(段落0006〜0009、図1) 特開2003−243631号公報(段落0028〜0043、図2) 特開2002−269234号公報(段落0006、図4) 特開2003−276809号公報(段落0007、0008、図1) 特開2000−187713号公報(段落0009、図3)
前記した特許文献3〜5に示す自動化処理システムでは、システムのDBに処理対象に関する管理情報を記録し、処理対象に結合したICタグのメモリにも同じ管理情報を重複記録する構成は開示されている。しかしながら以下に示す問題があった。
すなわち、管理情報は個体識別情報としての作用しか持たないため、記憶容量が有効に利用されない。また、両者が食い違う場合を想定しておらず、適切な対応が取れないという問題があった。さらに、処理対象に関する管理情報が処理対象に結合するため、処理対象の紛失や盗難等の際に情報漏洩のリスクが高いという問題もあった。逆に、システム本体への不法侵入等により、システムのDBに記録されている管理情報が盗用されるリスクもあった。
本発明の課題は、特に、再生医療や細胞治療等のために用いられる細胞培養プラント等における細胞の管理において、品質管理の源となるパラメータを効率よく収集蓄積するとともに、それを有効に活用して品質管理を適切に行うと共に、情報流出のリスクを抑制して個人情報を適切に保護することのできる情報処理システム及び方法を提供することにある。
前記した課題を解決するために本発明は、患者から採取される細胞資料を細胞容器に入れて培養するプラントシステムと、その細胞資料の採取ならびに培養された細胞資料を管理運用する病院システムとを所定のネットワークで接続することにより構成される情報処理システムであって、
前記細胞資料を入れる各細胞容器には、通信手段および記憶手段を有するICタグが付されており、その記憶手段には、前記細胞容器のIDと、前記細胞資料の時系列ごとの環境データとが記憶され、
前記病院システムの病院サーバは、前記細胞容器のIDと、前記細胞資料が採取された患者のIDと、前記細胞資料を採取した医療者のIDとが対応づけて記憶される病院データベースを有し、
前記プラントシステムのプラントサーバは、前記細胞資料に施された前記細胞資料の培養に関する、前記環境データを含む履歴データが、前記細胞容器のIDに対応づけて記憶されるプラントデータベースを有し、
前記プラントサーバは、前記ICタグ内の前記記憶手段に格納されている環境データが前記プラントシステムの自動入荷装置によって読み取られて前記プラントサーバのデータベースに登録されると、その登録された環境データと、所定の細胞資料についての環境データの許容範囲を示す環境条件を照合することにより、前記ICタグが付されている前記細胞容器内の前記細胞資料が、正常に運搬されているか否かを判定して、その結果を出力し、
前記ICタグは、自装置内の前記環境データを計測するためのセンサから環境データを計測できたときには、その測定結果である環境データを、前記自装置内の記憶手段に記憶するとともに、前記ICタグが付されている細胞容器を収納する輸送用具の記憶手段にも記憶し、
前記ICタグとは別のICタグは、自装置内の前記センサから環境データを計測できないときには、前記別のICタグが付されている細胞容器を収納する前記輸送用具の記憶手段に記憶されている環境データを受信して、自装置の環境データとみなして前記自装置内の記憶手段に記憶し、
前記ICタグは、前記ICタグ内の記憶手段の記憶容量が残り少なくなったときに、前記ICタグと通信可能な追加のICタグを制御下のICタグとして自ICタグ内に登録してから、その登録されたICタグに対してデータの記録を指示するとともに、前記登録されたICタグを余剰と判断したときには、そのICタグの登録を自ICタグ内から削除し、
前記登録された追加のICタグは、前記登録元であるICタグからの指示に従い、前記追加のICタグ内の記憶手段に対して、データの記録処理を実行することを特徴とする
その他の手段は、後記する。
本発明によれば、細胞の管理において品質管理の鍵となるパラメータを効率よく収集記録するとともに、それを有効に活用して品質管理を適切に行うことができる。また、情報流出のリスクを抑制して個人情報を適切に保護する等の特長を備えた細胞の管理装置及び方法を提供することができる。
以下、本発明の「情報処理システム及び方法」を実施するための最良の形態(以下「実施形態」と記す)について、図面を参照しながら詳細に説明する。
≪第1の実施形態≫
まず、本発明の第1の実施形態を説明する。
図1は、第1の実施形態を説明するために引用したシステム構成図である。ここで、符号21は、細胞培養を行うプラントシステム、符号61は、採取ならびに培養された細胞を管理運用する病院システムであり、各々の内部にはLAN(Local Area Network)の回線があり、両者の間は、WAN(Wide Area Network)の回線によって接続される。この図1に示すように、本実施形態の情報処理システムは、プラントシステム21、病院システム61、ワーク1に担持されたICタグ(担体)4等を含んで構成される。
プラントシステム21は、第1のコンピュータとしてのプラントサーバ32を核に、第1の記憶装置としてのDB(Data Base)33他、図5を参照して後記する、自動入荷装置23、自動分注装置24、自動保存装置25、自動分離装置26、自動細胞培養装置27、自動分化装置28、自動検査装置29、自動梱包装置30、自動搬送装置31等(オンライン装置)をプラントの要素装置(適宜符号23〜31を付す)として備えている。
また、病院システム61は、第2のコンピュータとしての病院サーバ66を核に、第2の記憶装置としてのDB67(DB2)他、後記する端末(受付端末62、医師端末62’、診療室端末62”、図8参照)等、入出力機構を備える。
なお、両システムにおいて、全ての要素装置がWAN、LANによってシステムに統合されている必要はない。例えば、プラントシステム21と病院システム61との間で細胞を相互に輸送する輸送用具11(図4)が備わり、この輸送用具11は両システムとは直接回線で接続されない(オフライン装置)。
なお、ワーク#0〜#nは、ここでは、細胞試料が収容される細胞保管容器1とし、それぞれにICタグ4が貼付、実装、もしくは印刷されるものとする(ICタグ4が付されるものとする)。本実施形態のICタグ4は、少なくとも不揮発性の情報記憶素子と通信素子で構成される。情報記憶素子には、例えば細胞試料に関する情報、即ち管理情報や履歴情報等が記憶される。通信素子により、ICタグ4は病院システム61やプラントシステム21を構成する要素装置と無線通信等による通信を行い、上記情報を相互に交換する。システムを統括する情報処理システム(プラントサーバ、病院サーバ)はこの情報に基づいて最適な動作を行う。
本発明の好ましい実施形態において、プラントシステム21の構成装置23〜31は細胞試料に対して各種の処理を行う。その管理情報や履歴情報等は、プラントサーバ32によって集約され、第1の記憶装置としてのDB33に記憶される。即ちDB33には、オンライン装置毎に収集した装置の細胞に対する処理履歴が蓄積される。
また、細胞保管容器1に貼付されたICタグ4はプラントシステム21のオンライン装置23〜31やそれ以外のオフライン装置11との間で無線通信を行い、細胞試料が各装置において施された処理の履歴情報等がICタグ4(の情報記憶素子、以下同様)に記憶される。細胞保管容器1が病院システム61に輸送されて治療に使用される際、ICタグ4は病院システム61の構成装置62との間で無線通信を行い、細胞試料に関する情報は病院サーバ66によって読み出され、第2の記憶装置としてのDB67(DB2)に記録される。即ち、DB67には、細胞試料毎に収集した、細胞が装置によって施された処理の履歴、即ち被処理履歴が蓄積される。DB67の情報はICタグ4に記憶される情報と本質的に等価であり、それを複数のICタグ4について集約したものである。
図2は、前記した細胞保管容器の構成概略図である。本実施形態での細胞保管容器1は、チューブ2、蓋3、ICタグ4等から構成される。
図3は、第1の実施形態でのICタグの内部構成図である。ICタグ4は、アンテナ5、受信器6、送信器7、CPU8、不揮発性メモリ9、電源10等を備える。なお、電源配線やパッケージ等、本発明との関連が低い構成要素は図示を簡略化或いは省略した(以下同様)。
図4は、第1の実施形態での輸送用具の概略構成図である。輸送用具11には細胞保管容器1等が収納される凹部を形成し、凹部には温度センサ12を設置した。また輸送用具11は通信機構13、CPU14、電源15を備える。通信機構13は前記したアンテナ5、受信器6、送信器7の組み合わせと同様の構成を有し、前記ICタグ4のリーダ・ライタとしての機能を有する。ここで、蓋、側面や底面の壁の厚み、細胞保管容器1の保持部材、断熱材等の図示は省略した。
図5は、第1の実施形態でのプラントシステムの構成概略図である。自動化細胞培養のプラントシステム21は、パスボックス22、22’、自動入荷装置23、自動分注装置24、自動保存装置25、自動分離装置26、自動培養装置27、自動分化誘導装置28、自動検査装置29、自動梱包装置30等を含み、これら各要素装置の間で細胞試料や消耗品類を搬送する自動搬送装置31、プラントサーバ32等を備える。
プラントシステム21は、DB33(DB1)を備えるとともに、LAN34を経由して各要素装置22〜31と接続し、また、WAN35を経由して後記する病院サーバ66に接続されている。なお、信号線等は一部を除き図示を省略した。
図6は、第1の実施形態での自動培養装置の概略構成図である。自動培養装置27は内部空間を有し、内部空間には温度センサ12’が設置されている。自動培養装置27はベースステーション(図2のICタグ4との通信機器)41や、CPU42、LAN接続機構43等を備え、LAN接続機構43によりLAN34に接続し、さらにLAN34経由でプラントサーバ32(図1参照)に接続している。
自動培養装置27の内部空間は棚板44を収納し、棚板44の上に細胞培養容器51を設置している。なお、自動培養装置27の電源、前面の自動扉、恒温恒湿及び炭酸ガス濃度を維持する機構、信号線等は、説明を省略する。
図7は、第1の実施形態での細胞培養容器の概略構成図である。本実施形態での細胞培養容器51は、ガラス或いは樹脂製のフラスコ52、蓋53、ICタグ54から構成される。ICタグ54の内部構成は、前記した図2のICタグ4と同様であるので説明を省略する。
図8は、第1の実施形態における病院システムの構成概略図である。病院の受付には受付端末62が設置され、この受付端末62は、ベースステーション63と、バイオメトリック計測器64が接続され、また、LAN65を介して病院サーバ66に接続される。病院には同様に、医師端末62’、診療室端末62”、そして、図示しない検査室端末等が設置される。
病院システム61は、第2の記憶装置としてのDB67(DB2)を備え、また、LAN65以外にWAN35と接続し、前記の通りWAN35を介して図1のプラントサーバ32に接続されている。
以下、図1〜図9を参照しながら本発明なおける第1の実施形態の動作について説明する。本実施形態では、病院システム(病院)61において患者から採取された細胞試料は、プラントシステム21へ輸送され、このプラントシステム21において培養、分化誘導、精製、検査等の処理、操作を施された後、病院へ輸送され、病院において患者の治療に使用される。
細胞試料は、例えば患者本人から採取された、幹細胞や前駆細胞を含む試料であり、特に好ましくは皮膚細胞や骨髄の間葉系幹細胞が用いられる。治療対象は、皮膚、骨、軟骨、脂肪、腱、筋肉、角膜、血管、神経等の疾病或いは傷害による損傷や傷害等である。
図9に第1の実施形態についての処理手順が示されている(適宜図1〜図8参照)。ここでは、細胞試料の採取からプラントへの輸送と受領までの手順について、以下詳細に説明する。
[患者登録(患者カードの交付);S141]
まず、再生医療或いは細胞治療を受けるために病院を訪れた患者は、初診の場合は、病院の受付けで登録手続きを行い、患者カードの交付を受ける(S141)。再来院等、患者が患者カードを既に保有する場合は、このS141の登録手続きは省略する。
S141における登録の具体的手順は以下の通りである。まず、患者は、患者情報を受付端末62に入力する。患者情報としては、患者の氏名、住所、生年月日、識別情報(身分証明書ID、住民台帳ID、保険証ID、自動車運転免許証ID、パスポートID等)、本人確認情報(指静脈パターン、声紋、指紋、網膜パターン、パスワード、遺伝子情報)等の他、病歴や治療歴、以前の検査結果等がある。患者情報がICカード形式の身分証明書に記録されている場合は、受付端末62に接続されたベースステーション63を用いて、ICカードの通信機構を利用して入力する。また、本人確認情報のうち、指静脈パターン等のバイオメトリック情報については、受付端末62に接続されたバイオメトリック計測器64を用いて入力する。
図8の病院システム61のDB67(DB2)は、図10に示されるように、患者DB671、職員DB672、試料DB673等の各種データベースを記憶している他、IDマップ674を記憶している。病院サーバ66は、受付端末62から入力された患者情報に患者レコード番号を加えて患者レコードを作成する。この患者レコードには、その後、検査結果や診療経緯等、患者情報が追記される。
病院サーバ66は、患者レコードをDB67中の患者DB671と比較し、患者が新患である場合、その患者に患者IDを新規に割り当て、患者DB671に患者レコードを新規に登録する。患者IDは単なる識別記号であり患者情報を含まないため、DB67中のIDマップ674に患者レコード番号と患者IDとの対応関係を登録する。なお、IDマップ674には、上記の患者に関するIDマップ、即ち患者IDマップ6741の他、職員IDマップ6742、試料IDマップ6743、等が含まれる。
受付端末62は、患者に患者カード68交付の準備を行う。なお、患者カード68は、図3に示すICタグ4と同等のICタグを内蔵し、ICタグ(の不揮発性メモリ、以下同様)はカード固有のID(カードID)を規定値として記録している。
受付端末62は、ベースステーション63を経由して患者カード68のICタグからカードIDを読み出し、患者カード68のICタグに患者IDを追記する。そして、病院サーバ66は、カードIDと患者IDとの対応関係をDB67のIDマップ674に追記する。受付端末62は、患者に患者カード68交付し、患者は受付端末62から交付された患者カード68を以降携行する。以上が「患者登録;S141」の手順である。
なお、患者DB671のフィールド構成と内容の例を図11に、患者IDマップ6741のフィールド構成と内容の例を図22(a)に、患者カード68のフィールド構成例を図22(b)に示す。
[認証(ログイン);S142]
次に、患者は受付において患者カード68を用いて認証手続き(ログイン)を行う(S142)。ログインの手順は以下の通りである。
すなわち、患者は患者カード68を用い、そのICタグに記録されたカードIDと患者IDをベースステーション63経由で受付端末62に入力する。また、本人確認情報を(必要に応じてバイオメトリック計測器64を併用して)受付端末62に入力して認証を依頼する。病院サーバ66は、カードIDと患者IDについてDB67の患者IDマップ6741を参照して整合性を確認した上で、両IDに対応する患者レコード番号を患者IDマップ6741から求める。
そして、患者レコード番号により患者DB671を参照して患者情報のうち本人確認情報を求め、受付端末62に入力された本人確認情報と照合する。ここで両者が一致すれば認証成功とし、不一致の場合は失敗とする。認証の結果は受付端末62の図示しない表示装置等の出力装置を介して患者に通知し、失敗した場合は、再試行や登録のやり直し又は管理者への連絡を促す。
本人確認情報のうちどの情報を照合するかは状況に応じて最適に選択する(必要に応じてバイオメトリック情報を用いる)。ログイン後は、一定時間経過するか或いはログアウト操作(説明省略)を行うまでは、その端末62におけるセッションを継続する。患者は病院内の他部署や病院外の関連施設においても前記のログイン操作を必要に応じ適宜行う(以下同様のため説明を省略する)。
患者が以前に交付された患者カード68を持参しかなった場合の認証手続きは以下に従う。すなわち、患者は登録手続き同様の操作により患者情報を受付端末62に入力し、病院サーバ66は患者情報を元に患者DB671を参照して、患者レコード、患者レコード番号を求め、IDマップ674を参照して患者IDを求める。
受付端末62は、必要に応じて新しい患者カード68を患者に再交付する。そして、病院サーバ66は、IDマップ674のカードIDを改訂してその履歴を保存する(情報改訂や更新時の履歴保存は以下同様であり、説明を省略する)。さらに、古い患者カード68を無効とし、後日古い患者カード68を回収しその記録を消去して再利用する。以上が「認証(ログイン)S142」の手順である。
なお、前記したS141、S142に示す手順では、患者の登録、認証を例にとって説明したが、病院に勤務する医師、看護士、検査技師、受付等の職員も同様に各種端末装置62、62’、62”を用いて病院サーバ66に登録、認証を行うことができる。このため、病院システム61のDB67(DB2)は、患者DB671等以外に、前記したとおり職員DB672、IDマップ674を保持する。ちなみに、職員DB672は職員レコードを記録し、職員レコードは職員レコード番号と職員情報とからなる。職員DB672のフィールド構成と内容の例を図21に、職員IDマップ6742のフィールド構成と内容の例を図23(a)に、職員カードのフィールド構成例を図23(b)に示す。
病院サーバ66は、カードID、職員IDを記録した職員カード69を、端末を用いて職員に交付する。IDマップ674は、職員ID、カードID、職員レコード番号の対応関係を保持する。職員は、職員カード69を携行する。一方、患者が未成年或いは意識不明等の場合は、法令に則り、保護者による患者の代行を認める場合もある。この場合は保護者による代理ログインを認める。
[診療準備(患者レコード追記等);S143]
次に、診療準備(患者レコード追記)等が行われる(S143)。患者は、病院の医師や職員らからコンサルティングを受ける。医師は診療について患者に説明を行うとともに、診療方針に患者の合意が得られた場合、診察や検査を行う。医師と患者の間のやり取りや診察、検査結果等の診療経緯の記録を病院サーバ66の患者DB671の患者レコードに追記する。その控えを病院サーバ66の職員DB672の職員レコードに作業記録として追記する。
具体的に、まず医師は職員カード69を用いて、また患者は患者カード68を用いて診療室端末62”にログインする。ここで、医師から患者に診療方針概要と次のチェックポイントまでの手順詳細についての説明が行われる。患者からインフォームドコンセントが得られた場合、患者の既往歴等の調査、診察が行われる。また検査室や検査施設の協力を得て患者の体調、体質、平熱、感染症の検査等が行われる。そして、検査室や検査施設の検査技師等の職員により、図示しない検査装置或いは検査室の端末から、検査結果が入力される。診察や検査結果等から、診療の可否が医師により総合的に判断される。そして、可の場合、診療の詳細計画が医師らにより作成される。
前記した検査や判断結果、診療計画等の追加の患者情報が、職員ID、日付等とともに診療室端末62”に入力される。患者は、診療の詳細計画についてインフォームドコンセントを表明した場合、その旨診療室端末62”に入力する。
病院サーバ66は、前記した追加の患者情報と職員IDを、DB67(DB2)の患者DB671の該当する患者レコードに追記する。また、その控えを患者IDとともに職員DB672の職員レコードに作業記録として追記する。病院サーバ66は、追記完了報告を追記内容と共に医師端末62’や図示しない検査技師端末に通知する。この通知により、医師や検査技師が確認し、問題があれば必要に応じて訂正又は再検査が行われ、正しい情報をDB67(DB2)に記録する。以上が、「患者レコード追記S143」の手順である。そして、次の診療の詳細計画、次のチェックポイントまでの手順詳細について医師から患者に説明がなされる。次の診療の詳細計画等について、患者からインフォームドコンセントが得られた場合、その記録を前記したS143の追記の手順同様にDB67(DB2)に追記する(以下同様)。
[試料の病院サーバへの登録;S144]
次に、医師の監督指導の下で患者から採取された細胞試料が、細胞保管容器1に収納される。具体的に、患者と、病院の試料採取部門の医師、看護士は、前記第したS143の手順と同様の手順により診療室端末62”にログインする(以下同様)。
続いて、試料採取に関する患者の意向が医師により再確認される。患者から細胞を含む末梢血、臍帯血、皮膚、骨髄等の試料が医師の監督指導の下で採取された後、これらの試料は細胞保管容器1に収納される。細胞を取り扱う際は無菌環境下、滅菌材料を用いて行う(以下同様)。職員は、診療室端末62”に備わるベースステーション63"を用いて、細胞保管容器1を病院サーバ66に登録する(試料の病院サーバへの登録、S144)。登録の手順は前記したS141の患者登録の手順と類似である。
相違点は、患者ではなく細胞試料の登録を行うこと、患者情報の代わりに細胞試料に関する試料情報(試料を提供した患者ID、診療並びに作業を監督指導した担当医師ID、採取作業を行った職員ID、試料採取部位、採取試料の種類と量、採取用具、採取日時、採取場所他)を職員が診療室端末62”に入力すること、病院サーバ66は試料情報に試料レコード番号を加えた試料レコードを作成し、DB67中の試料DB673に登録し、また試料に試料IDを割り当て、試料IDと試料レコード番号の対応関係を示す試料IDマップ6743をDB67(DB2)中に登録すること、患者カード交付の代わりに、細胞保管容器1に連結されたICタグ4(の不揮発性メモリ、以下同様)に試料IDを追記すること、ICタグ4が記録していた容器IDを試料IDマップ6743に追記すること、等である。以上が、「試料の病院サーバ66への登録」の手順である(S144)。なお、図24に、試料DB673に登録される試料レコードの構成例を示す。試料レコードの内、試料情報の履歴情報はレコード数可変のフィールドであり、後に順次追記される。また、図25(a)に、試料IDマップ6743に登録される試料IDマップの構成の例、図25(b)に、細胞保管容器のICタグ4のフィールド構成の例を示す。細胞保管容器のICタグ4の履歴情報は基本的に上記試料レコードの履歴情報と同じレコード数可変のフィールドであり、後に順次追記される。そのフィールド構成例を図25(c)に示した。履歴情報の内容はこの時点では空白であり、内容例については後に詳述する。
以上纏めると、病院システム61のDB67(DB2)には、患者情報が患者DB671に、職員情報が職員DB672に、試料情報が試料DB673に記録される。また、患者情報、患者ID、患者カードID相互間の対応関係、また職員情報、職員ID、職員カードID相互間の対応関係、さらに試料情報、試料ID、容器ID相互間の対応関係がIDマップ674中の患者IDマップ6741、職員IDマップ6742、試料IDマップ6743に記録される。
患者カード68や職員カード69のICタグにはカードIDと患者IDや職員IDが記録され、試料容器1のICタグ4には容器IDと試料IDが記録される。患者IDや試料IDは単なる記号であり、それ自体には患者情報や試料情報を含まない。これらのIDから対応する情報を検索するためには、ログインの手順を踏み、当該情報へのアクセス権があることの認証を受けた後、病院システム61のDB67(DB2)中のIDマップ674(具体的には患者IDマップ6741、試料IDマップ6743)を参照して当該レコード番号を得て、さらに当該レコード番号によって患者DB671や試料DB673を参照する必要がある。従って情報の秘匿性が高い。
[試料の輸送用具への登録;S145]
次に、病院システム61からプラントシステム21へ細胞試料を搬送する(S145)。以下、この搬送手順について詳細に説明する。
まず図4に示す輸送用具11の内部を予め所定の温度(低温)に設定する。細胞を入れた細胞保管容器1に内容物等の漏洩防止処置を施し、輸送用具11の凹部に収納する。さらに輸送用具11の凹部に温度変化を抑制する蓄冷材等を入れ、図示しない蓋を閉めてプラントシステム21へ向けて運搬する。
細胞保管容器1のICタグ4は輸送用具11のCPU14と通信機構13を介して交信を行い、輸送用具11に対して登録手続きを行う。輸送用具11における細胞保管容器1の登録手続きは、前記した「試料の病院サーバへの登録;S141」の手順と同様である。主な相違点は、登録操作に輸送用具11の通信機構13とCPU14の組み合わせを用いたこと、登録先が輸送用具11のCPU14(に付設した図示しない不揮発性メモリ、以下CPU付設メモリの説明はCPUと省略)であること、試料IDと容器IDを登録したこと、等である。なお、ここでは細胞保管容器1の数が1の場合を例に説明するが、複数の場合も通信の衝突回避のメカニズムを搭載した上で、個々の細胞保管容器1…について、それぞれ同様の手続きが行われる。以上が、「試料の輸送用具への登録;S145」の手順である。
[オフラインモニタリング(細胞保管容器);S146]
続いて、搬送中或いは細胞保管容器1を輸送用具11(図4参照)に設置してから取り出すまでの間、輸送用具11は、細胞保管容器1のモニタリングを行う(S146)。
具体的に、温度センサ12を用い、細胞保管容器1を収納した輸送用具11の凹部の温度計測を行う。すなわち、輸送用具11のCPU14は、温度センサ12の出力を定期的に読み取り、校正式を用いて温度に変換し、日時に対する温度データとして輸送用具11のCPU14に記録する。また、温度データを一定個数取得する度に、通信機構13を介して細胞保管容器1のICタグ4に日時と温度データを送信する。
細胞保管容器1に貼付されたICタグ4は、前記送信された日時と温度データを受信し、容器ID、場所(輸送用具11)、日時、データの種類(温度)等の測定条件と共に温度データを履歴情報フィールドに順次追記する。追記した1つの履歴情報の例を図25(c)に示した。以上の通り、輸送用具11に収納した細胞保管容器1が経験した温度のモニタリング結果、すなわち、輸送中の履歴情報がICタグ4に定期的に記録される。なお、ICタグ4や輸送用具11は、相互及び近傍との交信が可能なアンテナ5や通信機構13等を備えるが、特に輸送中は、LAN34、65や、WAN35との通信が途絶する。従って、細胞保管容器1のICタグ4はもちろん、輸送用具11(そのCPU14)はいずれのサーバ32、66から見てもオフライン状態にある。従って前記したモニタリングはオフラインモニタリングである。以上が「オフラインモニタリング;S146」の手順である。
[プラント受入れ、試料のプラントサーバへの登録;S147]
次に、プラントシステム21は、病院システム61から到着した細胞保管容器1を受入れる(S147)。以下、この受入れ手順について詳細に説明する(適宜図5等参照)。
まず、プラントシステム21は、到着した輸送用具11を、パスボックス22を介して内部に受入れる。パスボックス22において輸送用具11の外表面を除菌した後、この輸送用具11を自動入荷装置23に設置する。自動入荷装置23は、輸送用具11の中から細胞保管容器1を取り出し、容器表面を除菌した後、以下の登録動作を行う。
図26に示されるように、図5のプラントシステム21のDB33(DB1)は、プラントを構成する装置毎の装置データベース(自動搬送装置DB331、図示しない自動入荷装置DB332、、、自動培養装置DB337、、、等)を含む。他に、臨時試料データベースDB330、、、臨時試料IDマップ3301、を含む。
プラントシステム21の各要素装置22〜31は、図6に示す自動培養装置27と共通のシステム構成を有し、ベースステーション41やCPU42、LAN接続機構43等を備える。自動入荷装置23も同様であり、細胞保管容器1を設置した際、プラントシステム21(プラントサーバ32)に細胞保管容器1を臨時登録する。その手続きは前記した「試料の病院サーバ66への登録;S144」の手順と類似するが、以下の点が異なる。
すなわち、(イ)自動入荷装置23の図示しないベースステーションやCPUを用いて細胞保管容器1を登録したこと、
(ロ)病院サーバ66への登録ではなくプラントサーバ32への登録であること、
(ハ)試料IDは、細胞保管容器1のICタグ4に記憶した値を使用したこと、
(ニ)試料レコード番号として、病院とは独立に付した試料レコード番号(プラント試料レコード番号)を用いたこと、
(ホ)登録先のDBがプラントシステム21のDB33の臨時試料データベースDB330と、図示しない自動入荷装置DB332であること、
(ヘ)臨時試料データベースDB330へ登録した試料レコード(図27参照)は、プラント試料レコード番号と試料情報とからなる試料レコードであり、この試料情報として、試料ID、容器ID、履歴情報(本実施形態では輸送中のオフラインモニタリングにより取得し、細胞保管容器1のICタグ4に記憶されていた温度データとその測定条件等、具体的には図25(b)や(c)参照)を登録したこと、
(ト)臨時試料IDマップ3301にはプラント試料レコード番号、試料ID、容器ID相互間の対応関係を登録したこと(図28)、
(チ)自動入荷装置DB332へ登録した試料レコードは、プラント試料レコード番号と試料情報とからなる試料レコードであり、この試料情報として、試料の入荷に関する自動入荷装置23の稼働履歴(本実施形態では日時、場所(自動入荷装置)、試料ID、容器ID、入荷の事実、その他特記事項)を登録したこと、
である。
以上が、「プラント受入れ、試料のプラントサーバへの登録;S147」の手順である。
[オフライン履歴による品質管理;S148]
続いて、プラントサーバ32は、DB33の臨時試料データベースDB330に登録された試料レコードのうち輸送中の履歴情報を評価解析して、オフライン状況下において細胞試料が経験した温度条件を遡及調査する(S148)。そして、仕様の温度範囲(例えば−75〜−90℃)に収まっていることを確認し、細胞の品質管理におけるトレーサビリティを確保する。
図27の輸送中の履歴情報3に例示したように、温度が−50℃と仕様範囲からの逸脱が確認された場合、プラントサーバ32は、WAN35経由で病院サーバ66にその事実を試料ID、試料レコード等の詳細状況とともに連絡する。病院サーバ66は、試料IDから試料IDマップ6743を参照して(病院側の)試料レコード番号を得、試料レコード番号から病院システム61のDB67の試料DB673を参照して試料レコードを得、試料レコードの試料情報から担当医師IDと患者IDを得て、当該患者の細胞試料の輸送条件が仕様外であったことを温度データ等の詳細状況とともに担当医師に端末を介して連絡する。
細胞試料の安全性と有効性が報告を受けた医師により的確に判断され、安全又は有効でないと判断された場合は試料採取からやり直される。すなわち当該患者のインフォームドコンセントが得られた後に治療計画が再構築される。
この場合、病院サーバ66は、WAN35経由でプラントサーバ32に試料IDとともに細胞試料の廃棄を指示する。プラントサーバ32は、自動搬送装置31を動作させ、図示しない試料廃棄装置へ当該試料IDを有するICタグ4が付された細胞保管容器1を搬送する。試料廃棄装置は前記した「オフラインモニタリング;S147」の手順と類似の手順により、プラントサーバ32に細胞保管容器1の登録抹消を依頼するとともに、細胞保管容器1ごと細胞試料を倫理的に廃棄処分する。
プラントサーバ32は、登録抹消の依頼を受け、DB33の臨時試料データベースDB330から細胞保管容器1に対応する試料レコード、また臨時試料IDマップ3301から当該レコード(プラント試料レコード番号、試料ID、容器ID)の登録を抹消するとともに、抹消の事実をWAN35経由で病院サーバ66に連絡する。
病院サーバ66は、試料IDから試料IDマップを参照して試料レコード番号を得、試料DB673から試料レコードの登録を、また試料IDマップ6743から試料レコード番号、試料ID、容器IDの登録を抹消する。また、試料IDとともに細胞試料の廃棄の事実を医師端末62’経由で医師に連絡する。以降、「試料の病院サーバへの登録;S144」で説明した試料採取の手順からやり直される。
なお、当該細胞を入れた細胞保管容器が後に病院に届いた時点で、臨時試料データベースDB330、臨時試料IDマップ3301に登録された情報は、全てWAN35経由で病院サーバ66へ送信され、細胞保管容器に貼付されたICタグ4に記録された情報と比較、整合性確認が行われる。整合性確認の後、その情報は病院DB67(DB2)に登録され、プラントDB33(DB1)の臨時試料データベースDB330と臨時試料IDマップ3301に登録された情報は抹消する。
つまり、臨時試料データベースDB330、臨時試料IDマップ3301は、プラントシステムの構成要素ではない装置、器具類(本実施形態では輸送用具11)が収集した細胞試料に関する情報を臨時に保持するためのDBであり、その情報が病院DBに集約されるまでの臨時保管場所としての役割を果たし、その役割を果たした後は臨時試料データベースDB330、臨時試料IDマップ3301の当該登録内容は末梢される。
以上が、「オフライン履歴による品質管理;S148」の手順である。
なお、前記した説明では、オフラインモニタリングを実現する手段として、工程の処理対象にICタグ4を結合し、温度履歴をICタグ4に記録するオフラインの外部機構(輸送用具11)を採用し、外部機構として通信機構(電波による無線通信)、CPU、センサを組み込んだものを例示したが、本発明はこの構成に限定されない。
温度以外の履歴情報の例としては、例えば、細胞保管環境の気圧、炭酸ガス分圧、酸素ガス分圧、水蒸気圧、細胞を分散する培地の体積、pHや凍害防止剤その他の成分組成、培地中の気泡の有無、液体窒素やドライアイス等揮発性の保冷剤の残量、保存時間、容器の配置(天地、横転等)、容器蓋の開閉或いは密閉状態、輸送における移動距離、経路、振動、高度、速度や加速度、遠心分離や撹拌における加速度、環境の磁場、電場、放射線量、照度やそのスペクトル分布、細胞の形態、顕微鏡像、体積、数、表面マーカの発現量、等、細胞の安全性と品質に影響を及ぼす可能性がある各種パラメータをオフラインで記録できる。これらのパラメータを計測するセンサ等の計測手段を温度センサ12の代わりに又はそれと併用して、単独或いは複数使用し、これらのパラメータの履歴を管理情報として取得可能である。
輸送用具11以外の外部機構としては、例えば搬送、保管、遠心分離、撹拌、分散、開栓、密栓、分注、希釈、濃縮、加温、インキュベート、解凍、冷蔵、凍結、冷凍、保存等のための手作業或いは自動で使用される各種の包装、用具、器具、機械、装置等の装置類が適用可能であり、具体的には例えば恒温水槽、遠心分離器、炭酸ガスインキュベータ、製品パッケージ等が適用できる。本実施形態では病院システムやプラントシステムとの通信機構(LANやWAN)を最初から持たない輸送用具11を外部機構として例示して説明を行ったが、本発明はこの構成に限定されない。病院システムやプラントシステムとの通信機構を有する各種装置であっても、電波状況や回線状況の悪化によって通信が途絶したり、信頼性が低下した場合等においては、上記実施形態と同様にオフライン状態になることがある。この様な場合においても、上記同様の方式によりオフラインモニタリングを行ってその結果をICタグ4に記録することにより、各種パラメータの履歴を管理情報として取得可能である。
また、図8において、受付端末62、医師端末62’及び診療室端末62”を示したが、例えば、職員端末等を設けることとしてもよい。また、診療室端末62”を患者や職員が共用することとしたが、この診療室端末62”を患者用と職員用(医師、看護士、技師、…)とに分けてもよい。
また、通信機構としては、対応するICタグ4の内部のアンテナ5、受信器6、送信器7と外部機構の通信機構13とをセットで置き換えることにより、電波による無線通信以外の方式に置き換えることが可能である。例えば、無線方式なら電場、磁場、光(赤外線を含む)、音響波(超音波を含む)、有線方式ならシリアル又はパラレル方式の各種電気通信ケーブル、伝送バス、光通信ケーブル、等と各種接点、コネクタの組み合わせが利用できる。またCPUは適切な信号処理回路で代用可能である。
工程の処理対象(ワーク)としては本実施形態では細胞保管容器1を用いたが、それ以外の処理対象としては、例えば、細胞培養容器、シャーレ、培養用袋、マイクロキャリア等の培養用担体、遠心分離用容器、凍結保存容器、分析試料容器、血球計算盤、廃液容器、試薬容器、培地等の溶液の一時保存容器、各種容器の蓋、ピペット、スポイト、スプレー、フィルタ、送液チューブ、活栓、針、棚板、受け皿、ホルダー、梱包材、無菌袋、オートクレーブ用バッグ、ガーゼ、タオル、細胞そのもの等、細胞培養工程で処理に使用或いは併用されるあらゆる種類の対象に適用可能である。
以上説明のように、この第1の実施形態によれば、工程の処理対象(を収めた細胞保管容器)にICタグを結合し、オンライン工程ばかりでなく、オフライン工程において生じた管理情報(輸送中の履歴情報)もICタグに記録する外部機構(輸送用具)を新たに採用したため、このオフライン工程における履歴情報をICタグから読み出して解析することにより、従来、取得できなかったオフライン工程中における温度履歴等の環境情報等の履歴情報を正確かつ精密に遡及調査することができる。また、問題がある場合の適切な対処を実現できる。従って、本発明によれば、細胞の品質管理におけるトレーサビリティが飛躍的に向上し、細胞試料の安全性と有効性が格段に向上するという特有の効果が得られる。
≪第2の実施形態≫
次に、本発明の第2の実施形態を説明する。
図12は、第2の実施形態を説明するために引用したシステム構成図である。図1に示す第1の実施形態との差異は、符号1で示すワーク(ワーク#0…)に、温度等を計測する環境センサを備え、環境情報についても履歴を記録して活用する点にある。このため、ワーク1としての細胞保管容器1の構成要素の1つであるICタグ4が温度センサ付きのICタグ4’であることと、運搬用具11が温度センサ12を備えない運搬用具11’であること等の構成が、第1の実施形態とは異なる。以下、詳細を説明する。
図13は、本実施形態でのICタグの概略構成図である。ICタグ4’は、アンテナ5、受信器6、送信器7、制御回路8、不揮発性メモリ9、電源10を備えるところは第1の実施形態で使用したICタグ4(図3参照)と同様であるが、第2の実施形態のICタグ4’は温度センサ12’を備える点において、これを備えない第1の実施形態のICタグ4とは異なる。なお、図12において、符号12’で示される「入力機構」がICタグ4’が備える温度センサ12’である。
図14は、本実施形態での運搬用具の概略構成図である。運搬用具11’は凹部や、通信機構13、CPU14、電源15等を有するところは第1の実施形態で使用した運搬用具11と同様であるが、温度センサ12を備えない点が異なる。
以下、動作説明を行う。第2の実施形態では、構成が第1の実施形態と異なるのに対応して、細胞保管容器1’と運搬用具11’の動作もやや異なる。すなわち、本実施形態においても第1の実施形態同様、図9に示すS141〜S145及びS147〜S148と同様の手順を実行するが、このうちのS146に示す「オフラインモニタリング」の手順が異なる。以下、相違点について詳細に説明する。
この第2の実施形態によれば、輸送用具11’でなく細胞保管容器1’のICタグ4’に設けられた温度センサ12’を使用して温度モニタリングを行う。すなわち、細胞保管容器1’のICタグ4’のCPU8は、温度センサ12’の出力を定期的に読み取り、校正式を用いて温度に変換し、日時に対する温度データとして不揮発性メモリ9に記録する。以上により、輸送用具11’に収納した細胞保管容器1’が経験した温度のモニタリング結果、すなわち、輸送中の履歴情報が細胞保管容器1’のICタグ4’に定期的に記録される。
なお、輸送中は、細胞保管容器1’や輸送用具11’は、プラントサーバ32や病院サーバ66のいずれのサーバから見てもオフライン状態にあるため、このモニタリングはオフラインモニタリングである。さらに、温度モニタリングを実施するに当たって、輸送用具11’の機能を利用していないため、細胞保管容器1’が単独でモニタリングを遂行する。すなわち、細胞保管容器1’のICタグ4’によるスタンドアロンモニタリングである。以上が本実施形態における「スタンドアロンモニタリング;S146」の手順である。これは第1の実施形態のオフラインモニタリングを改変したものである。
この第2の実施形態によれば、個々の細胞保管容器1’がスタンドアロンでモニタリングを行うため、モニタリングに当たって輸送用具との通信が不要であり、システムやICタグ4’にとって、省電力、省コスト、低バッテリ負荷、小型、高レスポンス(高リアルタイム性)、環境への電磁ノイズ漏洩を抑制でき、また、通信不良等に由来する誤りを回避できる、という効果がある。
さらに、複数の細胞保管容器を用いる場合、個々の細胞保管容器1’のICタグ4’が備える温度センサ12’を用いてモニタリングを行うため、たとえ輸送用具の凹部内の温度に不均一性があっても、それぞれの細胞保管容器1’が実際に経験した温度履歴を正確にモニタリング可能である、という効果も得られる。また、輸送用具11’のCPU14や通信機構13、電源15等に故障が生じて輸送用具11’による温度計測やその結果の通信が不可能となっても、細胞保管容器1’がスタンドアロンで継続してモニタリング可能である。
また例えば、輸送用具11’が物理的に破損して細胞保管容器1’を他の臨時の(CPUや温度センサ等を備えない)輸送用具に移し替える等の非常事態においても、何ら問題なくスタンドアロンで継続して温度モニタリングを継続可能であり、対故障性が高い。さらに、この様な低機能の輸送用具を最初から用いても或いは輸送用具そのものを全く用いなくても、細胞保管容器1’は、スタンドアロンで温度をモニタリング可能である、という効果がある。
また本実施形態では、図9の「オフラインモニタリング;S146」の手順についてのみスタンドアロン化する場合について説明したが、その他の手順をスタンドアロン化することも可能である。例えば、プラントシステム21の各要素装置22、23、24…が全てオフラインかつ温度センサを具備しない場合であっても、細胞保管容器1’のICタグ4’が温度センサ12’を備えることにより、スタンドアロンで温度のモニタリングが可能である。
一方、個々の細胞保管容器1’のICタグ4’が計測した温度データを輸送用具11’に送信してそのCPU14に記録することが可能である。この場合、一部の細胞保管容器1’の温度センサ12’が故障した場合でも、少なくとも同一の輸送用具11’の内部における(他の細胞保管容器1’のICタグ4’で計測した)温度データを、温度センサ12’が故障した細胞保管容器1’へ送信して、そのICタグ4’に記録することにより、故障を回避してモニタリングを継続可能である。この方式は、故障時以外にも活用可能であり、例えば温度センサ12’を有するICタグ4’と有さないICタグ4とが混在する場合、前者から後者に情報を伝達することにより温度履歴等の履歴情報の共有化を図ることも可能である。
なお、この第2の実施形態においては、スタンドアロンモニタリングを実現する手段として、工程の処理対象(細胞保管容器1’)に、履歴情報(温度履歴)を計測する手段を備えたICタグ4’を結合する例を示したが、本発明はこの構成に限定されない。履歴情報、履歴情報の計測手段、処理対象としては前記した第1の実施形態で説明した様々なバリエーションが可能であり、もちろん通信機構、処理対象を収納する外部機構等についても同様である。
≪第3の実施形態≫
次に、本発明の第3の実施形態を説明する。
図15は、第3の実施形態を説明するために引用したシステム構成図である。第1、第2の実施形態と同様、病院システム61は、ワーク(細胞保管容器)1利用時に当該ワーク1からその被処理履歴等に関する情報を受信してDB67(DB2)に蓄積する。またプラントシステム21はその構成要素装置がワークに対して施した稼働履歴等の観点からの情報をDB33(DB1)に蓄積する。第1、第2の実施形態との差異は、必要に応じて病院システム61とプラントシステム21に問い合わせ、それぞれが持つデータベース、つまり、DB33(DB1)とDB67(DB2)の2つの情報源から得られる情報を照合し、情報の整合性を確認し、システム全体の信頼性を確保するための照合装置20を備えることにある。
なお、この照合装置20は、図示したように独立したサーバとして設置する他に、プラントシステム21或いは病院システム61が照合手段として内蔵しても構わない。以下詳細を説明する。
第3の実施形態では、前記した第1の実施形態(図9参照)における「オフライン履歴による品質管理;S148」の手順以降の手順、すなわち、プラントシステム21における細胞の各種処理と出荷、病院での受入れと治療に利用されるまでの手順の概略について、以下説明する。なお、プラントシステム21の構成の概略を示した図5他を適宜参照するものとする。
[プラントによる細胞処理;S149]
図16のフローチャートにその手順が示されるように、まず、ステップS149の「プラントによる細胞処理」が行われる。この処理では、プラントシステム21の要素装置である自動入荷装置23は、確認を終えた細胞保管容器1を自動搬送装置31に設置する。この際、プラントサーバ32は自動入荷装置DB332へ試料レコードを登録する。この試料レコードの試料情報として、試料の確認、搬送開始に関する自動入荷装置23の稼働履歴情報(本実施形態では日時、場所(自動入荷装置)、試料ID、容器ID、確認の事実、搬送開始の事実、その他特記事項)を追加登録した。以下、プラントに属する各種装置が例えば細胞試料に対して何らかの処理を行った場合、上記同様に、その事実を装置の稼働履歴情報として各装置DB331、332、、、の試料レコードに追加登録する(以下、説明は省略する)。自動搬送装置31は細胞保管容器1を自動分注装置24に搬送する。
自動分注装置24は、細胞保管容器1の蓋3を外し、チューブ2の中の細胞試料の一部を図示しない保存容器(構成は細胞保管容器1と同様)に分注する。全ての操作は無菌的に行われる(以下同様)。分注後、保存容器を自動保存装置25に搬送し、自動保存装置25は、後日検査や再培養等の必要が生じる時まで保存容器ごと細胞試料を凍結保存する。そして、検査や再培養の際は、自動保存装置25は保存容器ごと細胞試料を解凍し、自動搬送装置31がこの保存容器を自動検査装置29や自動分注装置24へ搬送する。骨髄細胞のDexter培養等の様に細胞試料をそのまま培養する場合は、自動分注装置24は、細胞保管容器1や保存容器の中の細胞試料を細胞培養容器51(図7参照)に分注し、自動搬送装置31が細胞試料を収納した細胞培養容器51を自動培養装置27へ搬送する。
細胞試料を比重や表面抗原等に基づいて事前に分離精製する場合は、自動分注装置24は、細胞保管容器1のチューブ2の蓋3を閉め(蓋3の開閉は以下説明省略)、自動搬送装置31が細胞保管容器1を自動分離装置26へ搬送する。
自動分離装置26は、細胞保管容器1の中の細胞試料に対して遠心分離、フローサイトメトリ(FACS)、磁気ビーズ、アフィニティクロマトグラフィ等の原理に基づく分離操作を適用し、骨髄由来単核細胞や幹細胞、前駆細胞等の精製細胞試料と、それ以外の成分とに分離する。また、回収された精製細胞試料を細胞培養容器51に収納する。精製細胞試料を収納した細胞培養容器51は、自動搬送装置31により自動培養装置27又は自動分化誘導装置28へ搬送される。
自動培養装置27は、細胞培養容器51に収納された細胞試料或いは精製細胞試料を培養し、増殖する(この増殖した試料を「増殖細胞試料」と記す)。増殖細胞試料を収納した細胞培養容器51は、自動搬送装置31により自動分化誘導装置28又は自動検査装置29へ搬送される。自動分化誘導装置28は、細胞培養容器51に収納した精製細胞試料又は増殖細胞試料に分化誘導の処理を施し、目的の細胞又は組織に分化誘導する(この分化誘導した試料を「分化細胞試料」と記す)。そして、分化細胞試料を収納した細胞培養容器51を、自動搬送装置31により自動検査装置29へ搬送する。自動検査装置29は、保存容器中の細胞試料や、細胞培養容器51中の増殖細胞試料又は分化細胞試料について、以下の検査を行う。
すなわち、細菌、真菌、マイコプラズマ、ウイルス、プリオン等の各種病原体やエンドトキシンの否定試験を行う。また、目的外の変化、形質転換、染色体異常、がん化、脱分化、異分化等が無いことを形態学的特徴、増殖特性等の表現型、遺伝型の検査、機能解析等により確認する。さらに、増殖細胞試料又は分化細胞試料の細胞としての純度、機能、生育能力、活性、安定性等を評価する。そして、検査に合格した細胞試料を、自動搬送装置31によりパスボックス22’内の自動梱包装置30へ搬送する。
自動梱包装置30は、細胞試料を細胞保管容器1に収納、梱包し、輸送用具11に設置し、輸送用具11に収納された細胞保管容器1を、パスボックス22’から出荷する。以上が、「プラントによる細胞処理;S149」の手順である。
次に、プラントシステム21における個々の処理手順について詳細に説明する。ここでは、プラントシステム21において代表的工程である培養工程を例に説明する。
[培養工程;S150]
S150の培養工程は、図6に示す自動培養装置27において、図7の細胞培養容器51を用いて行われる。細胞培養容器51を構成するフラスコ52の内部に細胞試料等を適切な密度で培地とともに収納(播種)し、図示しない通気性のフィルタを有する蓋53を閉めた状態で、細胞培養容器51が図6の自動培養装置27の棚板44上に設置される。このとき、前記した第1の実施形態における「試料のプラントサーバへの登録;S147」の手順と類似の手順により、細胞培養容器51(のICタグ54)を自動培養装置27に登録する。主な相違点は、細胞培養容器51を、自動入荷装置23でなく自動培養装置27に対して登録したこと等である。
[オンラインモニタリング;S151]
次に、自動培養装置27は、図示しない扉を閉め、図示しない恒温恒湿機構を用いて内部空間内を37度、炭酸ガス濃度5%、相対湿度95%に維持し、この状態で、細胞培養容器51内の細胞を増殖させる。このとき、第1の実施形態における「オフラインモニタリング;S146」の手順と類似の手順により、自動培養装置27は細胞培養容器51のモニタリングを行う。
構成要素の違いに基づく相違点は、自動培養装置27の温度センサ12’(図6参照)を使って温度をモニタリングしたこと、細胞培養容器51のICタグ54(図7)に温度データを記録したことである。また、第3の実施形態特有の動作として、自動培養装置27は、CPU42(に付設した図示しないメモリ)に記録した温度データを、LAN接続機構43、LAN34を経由してプラントサーバ32の自動培養装置DB337に稼働履歴情報として登録する。すなわち、第1の実施形態では、輸送用具11はオフラインであったが、この第3の実施形態では自動培養装置27はオンラインであったこと、温度データは細胞培養容器51のICタグ54だけでなく、プラントシステム21のDB33(DB1)の自動培養装置DB337にも稼働履歴情報として記録した点が顕著に異なる。すなわち、第3の実施形態では、オンラインモニタリングを行い、その結果を細胞培養容器51のICタグ4とプラントサーバ32の両方に記録する。以上が「オンラインモニタリング;S151」の手順である。
ところで、Dexter培養の場合、細胞が接着した約1日後に自動培養装置27は、図示しない培地交換機構を用いて培地交換を行う。それ以外の場合も、所定時間間隔(約3日)ごとに培地交換が行われる。すなわち、細胞培養容器51から培地を除去し、新鮮な培地を供給する。培地交換よりも長い所定時間間隔(約7日)ごとに或いは図示しない細胞接着面積比率計測機構を用いて求めた細胞接着面積比率が所定の水準(約75%)に到達した時点において、自動培養装置27は、図示しない継代機構を用いて継代を行う。
すなわち、細胞を細胞培養容器51から剥離し、新しい容器(保存容器)に移して洗浄し、細胞数を計測し、細胞を適切な密度で培地に分散して、新しい(複数の)細胞培養容器51に播種する。
前記の培養、培地交換、継代のサイクルを所定の回数或いは所定の細胞数が得られるまで繰り返すことにより、培養工程が遂行される。培養中、自動培養装置27と細胞培養容器51は基本的に前記した「オンラインモニタリング;S151」の手順が実施される。なお、本実施形態での「オンラインモニタリング;S151」の手順は、「培養;S150」の手順に併せて実行されるものである。
[容器間の履歴継承;S153]
細胞培養容器51から細胞を取り出す工程においては、以下の手順により細胞培養容器51の情報を自動培養装置27へ登録する。すなわち、細胞培養容器51は、前記した「試料のプラントサーバへの登録;S147」の手順と類似の手順により、ICタグ54の情報が自動培養装置27とプラントサーバ32へ登録される。異なるのは、試料ID、容器IDだけでなく、それまでICタグ54が記録した履歴情報(オンラインモニタリングの結果を含む)を基本的に全て登録したことである。
取り出した細胞を新しい保存容器や新しい細胞培養容器51に入れる工程においては、前記と逆の手順により、自動培養装置27に記録した細胞培養容器51からの細胞に関する履歴情報を新しい保存容器や新しい細胞培養容器に登録する。両手順を組み合わせることにより、細胞培養容器から新しい保存容器や新しい細胞培養容器51に対し、細胞に関する履歴情報を継承することができる。以上が、「容器間の履歴継承;S153」の手順である。
[履歴情報の追記;S154]
なお、前記した「オンラインモニタリング;S151」の手順では、温度のオンラインモニタリング結果、「容器間の履歴継承;S153」の手順では、容器から別の容器に細胞を移す際に最初の容器に記録された履歴情報の継承を例にとって説明したが、この第3の実施形態では、これらの情報ばかりでなく、一般に自動培養装置27のあらゆる工程の動作や状態を表すパラメータを培養に関する履歴情報として、容器類のICタグ4、54、及びプラントシステム21のDB33の自動培養装置DB337にそれぞれ被処理、稼働履歴情報として記録される(追記される)。
ここで、パラメータの具体例としては、処理の日時、所要時間、温度、使用した装置、容器類、部品や試薬等の消耗品類の型式とロットのID、剥離した細胞の計測値、再播種時の細胞密度、等である。以上が、「履歴情報の追記;S154」の手順である。
以上の説明は、プラントシステム21における代表的工程である自動培養装置27における培養工程を例に説明したが、他の装置24、25、26…における各種工程についても同様の手順を適用する。これにより、輸送開始以降のオフライン、オンラインのモニタリング結果を含む、細胞に対する処理経緯と環境条件を示す履歴情報を、細胞を収納する容器51のICタグ54に記録、継承するとともに、プラントサーバ32の装置DB331、332、、、に記録する。
[試料の病院への搬送;S155]
続いて、輸送用具11に収納された細胞保管容器51をプラントシステム21のバスボックス22から取り出し、前記した「試料の輸送用具への登録;S145」と、「オフラインモニタリング;S146」の手順と同様の手順により、移植治療を行う病院(この病院を「移植病院」と記す)に搬送する。移植病院は、病院システム61における病院(つまりプラントシステム21を備える病院)と同一の場合もあるが、そうでない場合でも、移植病院の構成は病院システム61における病院と同様である。以上が、「試料の病院への搬送;S155」の手順である。
なお、以下の説明では、病院システム61が設置される病院も、前記した移植病院も同じ病院であるとする。
[試料の病院サーバへの登録;S156]
次に、病院は、「試料のプラントサーバへの登録;S147」と、「オフライン履歴による品質管理;S148」の手順と同様の手順により、到着した輸送用具11を、試料受入れ窓口を介して治療室に受入れる。構成要素の違いに基づく相違点は、登録動作を行うのが診療室端末62”であり、登録先が病院サーバ66のDB67(DB2)であり、登録する情報が試料ID、容器ID、往路、復路の輸送中のオフライン、オンラインのモニタリング結果(別の病院に搬送される場合は病院出発以降帰着するまでのモニタリング結果)を含む、細胞試料に関する全ての履歴情報を含む点である。具体的には、細胞試料の登録の際、試料情報として、細胞保管容器1のICタグ4に記録された試料ID、容器ID、履歴情報(以下「容器履歴情報」と記す)を読み出して、レコード番号を加えて試料レコード(以下「容器試料レコード」と記す)を作成し、DB67中の試料DB673(図10参照)に登録する。以上が、「試料の病院サーバへの登録;S156」の手順である。
なお、容器試料レコードの構成は、前記臨時試料DB330の試料レコード(図27)と同様であるが、履歴情報が、輸送中の履歴情報でなく、細胞試料に関する全ての履歴情報である点が異なる。
[履歴情報の同一性検証;S157]
続いて、病院サーバ66は、照合装置20に対し、当該容器履歴情報の整合性確認を依頼する。具体的には、当該容器の試料IDを含む容器試料レコードをWAN35を介して照合装置20に送信して、照合依頼する。照合装置20は病院サーバ66からの照合依頼を受け、図示しないDBに容器試料レコードを記録すると共に、プラントサーバ32に試料IDに対応する稼働履歴情報を問い合わせる。プラントサーバ32は、その試料IDを用いてDB33内の各装置DB331、332、、、を参照し、その試料に関する試料IDと履歴情報を含む試料情報を記載した試料レコードを検索、収集する。プラントサーバ32は、それらをまとめて、WAN35を介して照合装置20に返送する。
照合装置20は、プラントサーバ32から届いた試料レコードの試料情報に、レコード番号を加えて試料レコード(以下「プラント試料レコード」と記す)を作成し、臨時試料DBに記録する。
なお、プラント試料レコードの構成は、前記臨時試料DB330の試料レコードと同様であるが、履歴情報が、輸送中の履歴情報でなく、プラント内の各装置で施した細胞試料に関する稼働履歴情報の集合である点が異なる。
また、照合装置20は、容器試料レコードの容器履歴情報と、前記したプラント試料レコードの履歴情報(以下「プラント履歴情報」と記す)とを比較する(図27参照)。つまり、容器履歴情報とプラント履歴情報とを比較し、同一性を検証する。もし不一致が認められれば、両者に不整合性があると判断して「履歴情報の誤り訂正;S158」の手順を実行する。もし不一致が認められなければ、両者は整合性があると判断して「履歴情報の誤り訂正;S158」の手順をスキップする。何れの場合も、照合装置20は照合結果や誤り訂正の結果を病院サーバ66に回答し、臨時試料DBの内容は用済み後、抹消する。以上が、「履歴情報の同一性検証;S157」の手順である。なお、同一性の検証は、上記のごとく照合装置20で行うのではなく、病院システム61(病院サーバ66)やプラントシステム21(プラントサーバ32)で行ってもよい。
[履歴情報の誤り訂正;S158]
照合装置20は病院サーバ66に対し、容器履歴情報とプラント履歴情報との比較の結果不整合性が認められたことを通知する。例えば、データの欠落や値が異なる場合などである。病院サーバ66は当該細胞試料に関する情報の不整合性が検出された事実を、試料IDと共に医師に連絡し、詳細が判明するまでその細胞試料の利用を中断すべき旨警告すると共に、以下の手順により原因究明と対策を図る。すなわち、病院サーバ66は、当該試料IDを有する試料容器について前記の細胞試料の登録を再試行する様、職員に依頼する(例えば端末62’、62”の画面にメッセージを表示する)。再登録により得られた試料レコードが前回と違う場合は、再登録結果を照合装置20へ送信し、容器履歴情報とプラント履歴情報の同一性の再検証を依頼する。再登録の結果が前回と同じで(不整合性が)再現すれば、病院サーバ66は照合装置20に対し、不整合性再現の事実を連絡する。照合装置20はプラントサーバ32に対し、容器履歴情報とプラント履歴情報との不整合性が認められたことと、原因究明を依頼するメッセージを不整合性の確認された試料に関する試料レコードとともに送信する。
プラントサーバ32は、不整合性の報告とその原因究明依頼を受け、システムの運転モードを通常の運転モードから異常原因究明モードに移行し、緊急処理が必要な操作以外は一時的に休止する。プラント内の全ての容器類について、そのICタグの不揮発性メモリを読み出し、試料ID、容器ID、履歴情報等の試料情報を読み出して、レコード番号を付してそれぞれに対する容器試料レコードを作成する。なお、ここで作成される容器試料レコードは、前記したS156で病院サーバ66が作成する容器試料レコードと同等の構成をしているが、ここで作成される容器試料レコードには、病院(病院システム62)から通知された問題の試料レコードも含める。
次に、プラントサーバ32は各試料IDを用いて装置DB331、332、、、を参照し、各試料に関する履歴情報を記載したプラント試料レコードを得る。プラントサーバ32はプラント試料レコードと容器試料レコードとを比較する。ここで、両者のレコードに共通のデータが記録されていた場合、そのデータが生じた場所の組み合わせ(要素装置と容器)毎に、両データ比較する。その比較結果(一致、不一致)に基づき、図17に例示する比較マップが作成される。
図17において、縦軸は個々の要素装置(23〜31)、横軸は個々の容器(#0〜#n)を示し、表中の各欄は、データが生じた場所の組み合わせ、○や×は容器試料レコードとプラント試料レコードから得たデータの一致、不一致を示す。この例の場合、ほとんどの比較結果は一致しているが、特に要素装置(自動培養装置)27における比較結果に不一致が多いという結果になっている。従って、個々の要素装置、容器の信頼性水準を同等と仮定した場合、このケースでは、要素装置27の記録した履歴情報の信頼性だけが低く、その他の要素装置、容器の記録した履歴情報の信頼性が高いとする仮説の妥当性が高い。そこでプラントサーバ32はこの検討結果(仮説)を照合装置20へ送信する。プラントサーバ32は自動培養装置27の低信頼性の可能性をオペレータに報告し、この装置から優先的に原因究明と対策を行うようにオペレータに依頼する。
この情報に基づき、オペレータが自動培養装置27の誤動作原因を的確に究明して故障を修理した後、プラントサーバ32は、可能な範囲で復旧動作を行う。すなわち、システムの運転モードを異常原因究明モードから通常の運転モードへ復帰させる。また、この例のように、要素装置27の異常がほぼ確実な場合は、プラントサーバ32は、各プラント試料レコードにおいて自動培養装置27が記録した履歴情報を棄却し、照合装置20に容器試料レコードを問い合わせる。照合装置20はプラントサーバ32に容器試料レコードを送信する。プラントサーバ32は、容器試料レコード中に対応する履歴情報がある場合、それを用いてプラント試料レコードを訂正し、その結果を照合装置20へ送信する。照合装置20は、訂正されたプラント試料レコードで従来のプラント試料レコードを置き換え、新しいプラント履歴情報と、容器履歴情報との同一性を再度検証する。ここで、不一致が消失すれば、照合装置20は誤り訂正が成功したと判断し、不一致が残った場合、誤り訂正に失敗したと判断する。何れの場合もその判断結果を記録に残すとともに、病院サーバ66、プラントサーバ32へその判断結果と、訂正成功の場合は訂正後の履歴情報を送信する。
訂正成功の場合、病院サーバ66は、訂正されたプラント試料レコードで従来のプラント試料レコードを置き換える。成否何れの場合も病院サーバ66は訂正成否を記録すると共に、その旨を、(また訂正があれば訂正前後の内容とともに)(例えば画面にメッセージを表示することにより)医師に連絡する。またプラントサーバ32は訂正成否を記録すると共に、次の動作から処理を再開する。この段階において、容器試料レコードとプラント試料レコード、また容器履歴情報とプラント履歴情報は一致するため、以下それぞれ「試料レコード」、「履歴情報」と記す。以上が、「履歴情報の誤り訂正;S158」の手順である。
[移植経過の追記;S159]
引き続き、病院の治療室に受入れた細胞試料に関して、その安全性、有効性が医師により検証される。具体的に、医師は医師端末62’又は診療室端末62”にログインする。そして、前記した細胞試料に関する容器ID、試料IDからその試料レコードの履歴情報が参照される。細胞試料の試料IDに対応する元の細胞の患者IDと、治療対象の患者IDとの比較により細胞が本人由来のものであることが確認されるか或いは患者本人と白血球抗原等の型が同じか類似で、かつ両者からインフォームドコンセントが得られており、その患者に移植するにふさわしい細胞であることが確認される。
また細胞試料が適切な条件下で運搬、処理されたこと、検査結果が適正であること、不適切なパラメータや重要な情報の矛盾や欠落が無いことが確認される。さらに、[履歴情報の同一性検証;S157]の手順において不整合性が確認されたり、「履歴情報の誤り訂正;S158」の手順に示した誤り訂正があった場合、不整合性や誤りの程度や軽重、訂正の成否、誤り訂正の信頼性等が医師により評価され、治療に適する細胞であるかどうかが判断される。そして、細胞の安全性、有効性の確認がなされた後、移植医療が行われる。具体的には、患者の治療の意向が医師により事前に再確認され、さらに、前記した細胞保管容器1に収納された細胞を用いて患者に移植治療が行われる。そして、「試料の病院サーバへの登録;S144」と類似の手順により、その治療経緯(使用した細胞試料の試料IDや使用量、使用方法を含む)を患者DBの患者レコードに、またその控えを職員DBの職員レコードに作業記録として追記する。以上が、「移植経緯の追記;S159」の手順である。
[術後経過の追記;S160]
最後に、患者の術後経過の追跡調査が行われる。この手順は前記した「移植経緯の追記;S159」の手順と同様である。異なるのは、治療後の経過観察と行われた処置に関する記録を病院サーバの患者DBの患者レコードに追記し、またその控えを病院サーバの職員DBの職員レコードに作業記録として追記することである。以上が、「術後経緯の追記;S160」の手順である。
なお、図17に例示した「履歴情報の誤り訂正;158」において、要素装置27に関する比較結果に不一致が多い結果となったため、照合装置20は、当該要素装置27の信頼性が低いという判断を下したが、場合によっては、不一致が要素装置よりも容器との関連性が高く、例えば、病院に搬送した容器(容器#n)の列に不一致が多い結果となる場合もある。この場合、照合装置20は、この容器#nの信頼性が低いという判断を下し、要素装置が記録したプラント試料レコードの内容により、容器#nの容器試料レコードを改訂する操作を行い、誤り訂正を行うことができる。
誤りの程度が軽微な場合、例えば、オンラインモニタリングした温度データが、容器側の方が装置側よりも常に0.1度低く記録されていた等の場合は、誤りを訂正したまま処理を続行できる可能性があるが、より重大な誤りが判明した場合や、誤り訂正の信頼性が低い場合は、その細胞を治療に適用するのはリスクが高い可能性がある。多重化された履歴情報の時系列的な解析により、装置或いは容器の誤動作がある期間に限定して発生し、それ以前と以降は正常に動作していたことが判明した場合は、誤動作期間以外に当該装置或いは容器を使用して処理或いは保存が行われた細胞についてのみ継続使用し、誤動作期間中に処理された細胞を棄却することが出来る。
また、第3の実形態では、要素装置と細胞容器の2次元に情報を多重化する例をとって説明したが、さらに、試薬容器、ディスポ(使い捨て)のプラスチックウエア等、他の系統の要素にICタグを搭載して記録の多重度をより高め、3次元、4次元の解析を行うことにより、より高度な信頼性確保も可能である。何れにしろ、多重化して記録したデータ間で相反が確認された場合は、その事実が医師に連絡され、誤り訂正した結果に基づいて処理を続行するかどうかは、最終的に医師により適切に判断される。
なお、第3の実施形態での履歴情報の多重化は、細胞に関する履歴情報の誤りを訂正する用途以外にも、本来一致すべき多重化された情報の不一致を検出することにより、システムの信頼性そのものを評価する用途に使用可能である。例えば、ダミーの標準細胞をシステムで処理し、多重化された履歴情報の比較検討等によりシステムの信頼性が十分高いか否かを評価確認することが出来る。標準細胞によりシステムの信頼性を確認した上で患者の細胞を処理することにより、患者の細胞を無駄にするリスクを低減可能であり、また患者細胞の処理後に標準細胞によりシステムの信頼性を確認することにより、患者細胞の処理が高信頼性のシステムにより行われたことの傍証を得ることが出来る。
この第3の実施形態のS156、S157の手順において、目的細胞を収納する容器で記録した容器履歴情報は最終的に病院サーバ66に、また要素装置で記録したプラント履歴情報は最終的にプラントサーバ32に集約した後、両情報を照合装置20に送信し、照合装置20において両情報の比較を行った。この様に、本実施形態において、細胞に関する容器履歴情報はそれを利用する病院サーバ66、またプラントの要素装置に関するプラント履歴情報はその生成元であるプラントサーバ32に集約するのが基本である。
但し、照合は照合装置20を用いずとも、サーバ32、66においても実施可能である。
以上説明した第3の実施形態の動作を纏めると、運搬やプラントシステム21(図5参照)における処理の履歴情報に関して、個々の細胞についての履歴情報については細胞を収納する容器のICタグに記録し、最終的に病院システム61のDB67の試料DB673(図10参照)に容器試料レコードとして蓄積した。一方、個々の要素装置22、23…で記録した履歴情報については、各要素装置22、23…のCPUに付随するメモリに記録し、最終的にプラントシステム21のDB33にプラント試料レコードとして蓄積した。
すなわち、同一の情報を2系統の独立したルートで記録、回収し、同一情報の複数箇所への多重記録(ミラーリング)を行った。多重化した情報を適切な時期に照合して整合性を確認することにより、情報の信頼性を確保できる。
さらに、万一、両者が相反した場合は、情報源から再度情報を取得して間違いがないか再確認している。それでも不一致が残った場合、システムを構成する全ての要素、すなわち容器51…や要素装置22…等について、それぞれが記録する情報を相互に比較して信頼性評価が行われる。すなわち、比較の結果、特に不一致の多い結果を生じた容器又は要素装置22…が確認された場合、その要素の信頼性が低いと判断される。
そして、低信頼性が疑われた要素から優先的に確認と改善を行うことにより、システムの信頼性を効率よく回復することができる。さらに、低信頼性要素の記録内容を、別系統に重複記録された内容で置き換えることにより誤り訂正が行われる。従って、情報を多重化しない従来技術や、多重化した情報の有効活用法を備えない従来技術と比較して信頼性が高く、また故障からの回復も容易であるという効果が得られる。以上説明のように、この第3の実施形態によれば、情報の多重化により高水準の信頼性を達成できるという特有の効果が得られる。
≪第4の実施形態≫
続いて、本発明の第4の実施形態を説明する(適宜図1〜図18参照)。
図18は、第4の実施形態を説明するために引用したシステム構成図である。ここでは、ワーク1(細胞保管容器1内の細胞)に関する検査データ等の管理データを分割して一部の情報を細胞保管容器1に貼付されたICタグ4に転送して、ICタグ4が内蔵する不揮発性メモリに記録し、残りの情報をプラントシステム21のDB33(DB1)に記録している。
分割に当たっては、情報断片の一方のみでは意味を成さない様に分割した。このため、情報断片の一方について通信やDB盗聴或いは細胞保管容器1の盗難や紛失があっても、他方が揃わない限り患者(細胞)に関する個人情報が明らかになることはなく、セキュリティが相対的に高くなる。この第4の実施形態は、患者カードや意思カード、施設カードをワーク1に加えて分割数を増やし、また、暗号化と組み合わせることで一層セキュリティ性が増す。以下詳細に説明を行う。
この第4の実施形態は、前記した第3の実施形態と類似するが、以下の点が異なる。すなわち、第4の実施形態においては、プラントにおけるオンライン装置(自動入荷装置23〜自動梱包装置30)において生じたモニタリング結果を含む履歴情報を、細胞保管容器1のICタグ4と要素装置のCPUに多重記録する代わりに(ミラーリングする代わりに)、分割して2つの情報断片としている。断片化の方法としては元情報のストライピングを行うことで実現している。具体的には、分割対象の情報を偶数ビットと奇数ビットに分け、2バイトずつ、偶数ビットからなる1バイト、奇数ビットからなる1バイトに分割した。ここでは、前者情報断片を第1の情報断片、後者の情報断片を第2の情報断片と記す。第1の情報断片及び第2の情報断片をそれぞれICタグ4とプラントシステム21のDB33(DB1)とに2分割して記録している。
図19(a)に第4の実施形態の処理手順が示されている。
この第4の実施形態ではオンラインモニタリングを行い(図16のS151)、オンラインモニタリングの結果である履歴情報を2つの情報断片に分割し、片方を細胞培養容器51のICタグ54に、また残りの片方をプラントシステム21のDB33に分割記録している(S162)。その結果、「試料の病院サーバへの登録;S156」の類似の手順において、DB67に作成される容器試料レコードの容器履歴情報は、ICタグ54に記録された第1の情報断片となる。
また、前記した第3の実施形態における「履歴情報の同一性検証;S157」と類似の手順は、この第4の実施形態においては、「移植経緯の追記;S159」の手順の準備の一環として行い、また「履歴情報の誤り訂正;S158」の手順実行は行わない。すなわち、医師が細胞試料に関する履歴情報を参照する時点において初めて以下のプラントからの情報取得の手順が実行される。
プラントサーバ32は、プラント試料レコードのプラント履歴情報(すなわち第2の情報断片)を病院サーバ66に送信し、病院サーバ66はそれを医師端末62’又は診療室端末62”に送信している。端末62’、62”は、分割された情報を再結合し、元の情報である完全な履歴情報を再構成し(S163)、それを含む試料レコードを表示する。細胞試料の安全性、有効性は、この履歴情報を含む情報に基づいて医師により検証され、適切であると判断されれば移植医療に使用される。
前記した手順により再構成された完全な履歴情報は、医師のログインの間だけ医師端末又は診療室端末に保持され、医師のログオフ後は消去され、また再構成された履歴情報の医師による参照の記録は病院サーバの職員レコードに記録される。以降の動作は、第3の実施形態で示したS159の手順と同様である。
すなわち、履歴情報は病院システム66のDB67にもプラントシステム21のDB33にも完全な形では保持されず、有効な権限を持ち、正式なログイン手続きを踏んだ職員だけが再構成して参照でき、またその事実が記録される。このため、例え、細胞保管容器1の紛失や盗難に遭い或いは病院サーバ66やプラントサーバ32への不法侵入等があっても、それぞれ単独なら意味をなさない情報断片が漏洩する可能性はあっても、細胞に関する完全な履歴情報の秘匿性は守られる。従って、この第4の実施形態は、履歴情報の秘匿性が高く、情報漏洩に対する安全性が高い。細胞容器は複数の施設の間を輸送され、紛失や盗難等による悪用のリスクがあるため、細胞容器に付したICタグに情報を記録する方式を採用する本発明において、本実施形態は顕著な効果を提供する。
本実施形態では、プラントにおいて発生した温度モニタリング結果に関する履歴情報の分割記録と再構成を例にとって説明したが、本発明の適用対象はこの例に限定されない。
分割記録される情報の種類としては、本発明で記録される可能性のある全ての情報が対象である。例えば、氏名、住所、生年月日、識別情報(身分証明書ID、住民台帳ID、保険証ID、自動車運転免許証ID、パスポートID等)、本人確認情報(指静脈パターン、声紋、指紋、網膜パターン、パスワード、遺伝子情報)等の他、病歴や治療歴、以前の検査結果、検査結果、診療経緯、治療経緯、等の患者情報、また、医師、看護士、検査技師、受付等の職員に関する前記同様並びに作業記録を含む職員情報、採取した細胞試料に関する試料情報(試料を提供した患者ID、麻酔や採取作業を監督指導した医師ID、作業を行った職員ID、試料採取部位、採取試料の種類と量、採取用具、採取日時、採取場所、他)、運搬中及びプラントにおけるオフライン並びにオンラインのモニタリング情報、プラントにおける各種の細胞処理条件並びに環境パラメータ等の管理情報、細胞の検査結果や品質管理結果等の履歴情報である。
再生医療や細胞治療等において、患者自身や細胞に関する診断や検査結果等は特に高水準の秘匿性が要求されるため、本実施形態が特に好適に適用可能である。
また、本実施形態では履歴情報をビットの偶数奇数に応じて2等分に分割したが、各情報断片がそれぞれ単独では意味をなさない条件を満たせば、それ以外の断片化法による分割も可能である。また本実施形態では履歴情報そのものを分割する例について説明したが、履歴情報を暗号化し、その暗号鍵と、暗号化情報とに分割することも可能である。また暗号化した上で暗号化情報を分割し、鍵、第1の情報断片及び第2の情報断片を3カ所に分散記録すること等も可能である。
さらに、この第4の実施形態では、情報の記録場所として、第1の情報断片は細胞培養容器51のICタグ54から細胞保管容器1のICタグ4へ継承し、さらに病院システム61のDB67に容器試料レコードとして登録し、また第2の情報断片は自動培養装置27のCPU42からプラントサーバ32に送信しプラントシステム21のDB33の試料レコードとして登録したが、用途に応じて様々な方式が採用可能である。例えば、第1の情報断片は患者カード、職員カード等のICタグに記録することが可能である。また第2の情報断片を病院システム61のDB67に記録することが可能である。具体的には、採取した細胞試料に関する試料情報を暗号化し、その鍵情報を分割して片方を患者カードのICタグ、残りの鍵情報を医師カードのICタグ、暗号化情報を病院サーバ66を介してDB67に記録し、患者、医師が例えば同時に端末62’、62”(図8参照)にログインして両者合意の下で初めて試料情報を解読、参照できるようにすることが可能である。
以上説明したように、この第4の実施形態によれば、履歴情報の分割により高水準の秘匿性を実現できるという特有の効果が得られる。
≪第5の実施形態≫
次に、本発明の第5の実施形態を説明する(適宜図1〜図19参照)。
第5の実施形態は、前記した第3の実施形態及び第4の実施形態と類似するが、以下の点が異なる。すなわち、第5の実施形態において、図示しないICタグ保存装置及びICタグ着脱装置に保持されたICタグをプラントシステム21が備えている。また、第3の実施形態の動作に加え、ICタグ4、54の記憶容量のスケーラブルな増減の動作が付加されている。以下、第5の実施形態でのICタグの記憶機能のスケーラブルな増減動作について説明する。
図19(b)にその処理手順がフローチャートで示されている。すなわち、第3の実施形態における「オンラインモニタリング;S151」の手順において、細胞培養容器51のICタグ54に温度データを記録した際、ICタグ54は残りの記憶容量(残容量)を確認する(S164)。ここで、残容量の枯渇の恐れがあり、追加の記憶容量が必要と判断された場合(不足)、細胞培養容器51のICタグ54(そのCPU)は、ICタグの容量動的拡張(S165)の手順を実行し、また残容量が余剰と判断した場合(余剰)は、そのままステップS153に移行してもよいが、ステップS164において、容量が余剰と判断された場合は、後記するようにICタグ54の削減の手順を実行するとなお好適である(S166)。
ICタグの追加の手順は以下の通りである。細胞培養容器51のICタグ54は、通信機構、プラントを構成する各要素装置22〜30、プラントサーバ32を介して、図示しないICタグ保存装置にICタグ追加の依頼を送信する。ICタグ保存装置は、未使用のICタグの在庫を確認し、在庫があれば、細胞培養容器51のICタグ54に、対応可能である旨送信するとともに、図示しない未使用のICタグの搬送を自動搬送装置31に依頼する。このことにより、自動搬送装置31は、追加のICタグを細胞培養容器51へ搬送し、既存のICタグ54の近傍に連結する(近傍に置く)。
続いて、追加のICタグはICタグ54と通信を行い、図16に示す「試料の病院サーバへの登録;S156」の手順と類似の動作により、ICタグ54に登録する。主要な相違点は、登録するのが細胞培養容器51のICタグ54ではなく、追加のICタグであること、登録先が病院サーバ66でなくICタグ54であることである。以上が「ICタグの容量動的拡張;S165」手順である。
以降、追加のICタグは、ICタグ54の制御下に入り、その指示に基づき動作を行う。例えば、ICタグ54は、必要に応じてその不揮発性メモリ内の情報の記録を追加のICタグに指示する。具体的に、ICタグ54の情報の一部又は全部を、そのまま或いは暗号化して、追加のICタグに送信し、追加のICタグはその情報を受信して不揮発性メモリに記録する。また、ICタグ54は、必要に応じて情報の報告を追加のICタグに指示し、両ICタグは、前記と逆の手順により情報を送受する。
さらに追加記憶容量が必要となった場合は、2以上の追加のICタグを同様に動員して活用することができる。以上により、ICタグ54は、実質的に追加のICタグの不揮発性メモリをあたかも自身(ICタグ54)が有する不揮発性メモリと同様に利用することができ、見かけ上、記憶容量を動的かつスケーラブルに拡張したことになる。
なお、ICタグの削減を行うことができるが、その手順は、前記した処理と類似する。すなわち、ステップS164において、ICタグ54が追加のICタグの不揮発性メモリの使用予定が無く、余剰と判断された際、ICタグ54は追加のICタグの登録を抹消する。そして、図示しないICタグ着脱装置にICタグ削減の依頼を送信し、自動搬送装置31は、登録解除された追加のICタグを細胞培養容器51から脱着し、図示しないICタグ保存装置宛て搬送する。このとき、ICタグ保存装置は、自動搬送装置31から追加のICタグを受領し、初期化して追加依頼があるまで保存することになる。ICタグの削減を行うことにより、有休となっているICタグを解放し、必要とされる別の場所へダイナミックに転用することが出来るため、その有効活用が図れる、という効果がある。
以上が、「ICタグ容量の動的拡張;S165」処理であり、このことにより、ICタグ54は、その記憶機能を必要に応じて柔軟かつ動的に拡張(縮減)することが可能になる。なおこの第5の実施形態では、細胞培養容器に設けたICタグの記憶機能のスケーラブルかつ動的な拡張、縮減動作について、温度データの記憶容量の動的増加を例に説明したが、本発明の主旨はこの例に限定されず、記憶する情報、増減するICタグの機能とその所在、メモリの所在、増減するための機構、動作原理等について様々な実施形態が適用可能である。
例えば、ICタグに記録する情報は温度データばかりでなく、その他のオンライン、オフラインで取得したデータ、履歴情報、試料情報、患者情報、職員情報等の情報を記録、追記するために、ICタグの記憶機構を動的に拡張可能である。もちろん、前記した第4の実施形態のように、情報を分割或いは暗号化する方法と組み合わせて秘匿性を高めることも可能である。
ちなみに、記憶容量の動的増加の目的は、記憶すべきデータ量の拡大に対応する目的に限定されない。その他の用途としては、書き込み時に同一データを複数のICタグへ重複して記憶し、読み出し時にはそれらを照合して誤りを検出し或いは多重度が3以上の場合は多数決等の方法により最も確からしいデータを復元すること等により、信頼性向上を図ることができる(ICタグのミラーリング)。また、書き込み時に同一データを分割して情報断片とし、それを複数のICタグへ分散記憶させ、さらに複数の場所で分散保管し、読出し時に各情報断片を統合して元のデータを再構築することにより、秘匿性向上と見かけ上の記憶容量の増大を図ることができる(ICタグのストライピング)。
なお、増減するICタグの機能は記憶機能に限定されない。前記した実施形態では、ICタグが内蔵する不揮発メモリによる記憶機能を増減の対象としたが、それ以外のICタグの機能として、計算、解析、予測、推論等のCPUの演算機構等も動的に拡張可能である。すなわち、各種の量的なスケーラビリティが高い。
また、近距離及び遠距離の通信機構、温度やpH、加速度等第1の実施形態に例示した各種パラメータの計測機構、各種アクチュエータによる駆動機構、電源等の機能を拡張可能である。これらの機能を実現する要素部品を追加のICタグに搭載してICタグ54を補佐させることも可能である。換言すると質的なスケーラビリティが高い。
なお、この第5の実施形態では、ICタグ保存装置と自動搬送装置の組み合わせにより追加のICタグを細胞培養容器51へ着脱したが、本発明による機能の増減の方法はこの方式に限定されない。例えば、自動搬送装置31や各要素装置22…の少なくとも1つが予備の追加のICタグの保管機構と、その着脱機構を備えることが可能である。また、ICタグ54の依頼を受け(例えばプラントサーバ32を介して依頼を通知され)、オペレータが追加のICタグの着脱を手作業で行う方式も可能である。
また、追加のICタグの所在をICタグ54の近傍とすることは必須でない。ICタグ54と追加のICタグが互いに通信可能な範囲であれば、細胞培養容器の任意の場所へ追加のICタグを設置可能である。また、細胞培養容器51が設置される要素装置22…の通信機構を介して通信を行うことにより、追加のICタグを細胞培養容器から離して設置することも可能である。例えば、温度計測機構を有する追加のICタグをプラントシステム21内の次の工程を行う要素機械22…に設置依頼(すなわち派遣)し、工程開始前に目的装置の温度が所定の値に到達していることをリモートセンシングして事前確認することも可能である。
また、追加のICタグをICタグ保存装置に設置したままICタグ54に登録し、ICタグ54の記憶を補助することも可能である。さらに、記録の待避先として追加のICタグの不揮発性メモリの代わりに、プラントシステム21や病院システム61のDB33やDB67等の記憶装置を利用することも可能である。
動作原理としてこの第5の実施形態では、ICタグ54が主体となって状況を判断し各種動作を指示する場合を例に説明したが、他の方法も可能である。ICタグ54を付した細胞培養容器51を処理する要素装置22…のCPUが主体となり判断を行い、ICタグ54や追加のICタグの分担記憶等の動作を指示してもよい。逆に、例えば、特開平10−062426号公報に記載されるように、ICタグ54や追加のICタグの不揮発性メモリに協調分散動作のための基本ソフトウエアを搭載し、複数のICタグ間の通信を通して互いに自律的かつ協調的に動作させて、動的に主体を決定することにより、より柔軟にICタグの機能を分担させることも可能である。
以上説明のように、この第5の実施形態によれば、ICタグの記憶容量を動的に増減可能であるため、量的、質的にスケーラビリティが高いという特有の効果が得られる。
≪第6の実施形態≫
最後に、本発明の第6の実施形態を説明する(適宜図1〜図20参照)。
第6の実施形態は、前記した第1、第3の実施形態と類似するが、以下の点が異なる。すなわち、この第6の実施形態においては、細胞保管容器1に試料情報や履歴情報等、細胞試料の品質管理のために遡及的に利用される過去の情報ばかりでなく、その細胞試料に対して将来適用されるべき処理のパラメータや手順、アルゴリズム等の情報を記録する点が異なる。
この第6の実施形態での自動培養装置27(図6等参照)の動作パラメータの配信について以下説明する。図20にその動作フローチャートが示されている。すなわち、本実施形態においては、前記した第1の実施形態における「試料の病院サーバへの登録;S144」の手順において、細胞保管容器1に設けられたICタグ4に試料IDを追記すると同時に、患者情報のうち、平熱をICタグ4に追記している(「試料への特定の条件、アルゴリズムを記録;S172」)。ここでは、患者の平熱は35.8度とする。
そして、前記した第3の実施形態における「オンラインモニタリング;S151」の手順(図16参照)において、細胞培養容器51(のICタグ54)を自動培養装置27に登録する際、前記した平熱を併せて登録(配信)する(「装置への条件、アルゴリズムの配信;S173」)。
続いて、自動培養装置27の棚板44上に細胞培養容器51を収納し、扉を閉め、恒温恒湿機構を用いて内部空間内を前記した平熱(35.8度)、炭酸ガス濃度5%、相対湿度95%に維持して培養を行う。すなわち、本実施形態によれば、培養条件として既定の37度ではなく、患者の平熱である35.8度を採用することができる構成である点が、前記した第1、第3の実施形態と異なる。もちろん、他の患者の細胞についても前記と同様の手順により、それぞれの患者の平熱を用いて培養を行うことができる(「テーラメイド培養;S174」)。
すなわち、患者の体内における通常の温度条件をICタグが培養装置に登録(配信)することにより、個々の細胞に最適な条件におけるテーラメイド培養が可能となる。
なお、本実施形態では患者の平熱をICタグに記憶して培養装置に配信することにより培養温度の自動的最適化を実現したが、本発明の主旨はこの実施形態に限定されない。
温度以外のパラメータとしては、炭酸ガス濃度、酸素濃度、使用する培養容器の種類、初期及び継代時の播種密度、培地交換頻度、継代頻度、継代回数、培養時間の上限、必要な細胞数、血清濃度やpH、成長因子濃度等の培地組成、剥離液組成、剥離条件、回収液組成や回収容器の種類、回収方法等の回収条件、等を含む自動培養装置における培養条件、自動保存装置における保存液や保存容器の種類、保存方法等の保存条件、分化誘導培地組成等の分化誘導条件、自動検査装置における検査項目、自動梱包装置の梱包方法、その他プラントを構成する各要素装置を運転する上で必要となるあらゆるパラメータが考えられる。そして、その細胞にとって最適な処理や操作を実現するためのパラメータ値をICタグに記録して要素装置に配信することにより、テーラメイドプラントが実現可能である。
また、パラメータの配信先としてプラントシステム21の要素装置22…等を例に説明したが、他の装置類への情報配信も可能である。例えば、プラントシステム21と病院システム61との間の輸送に用いる輸送用具11(図4参照)の設定温度等の動作パラメータをICタグ4が記録して輸送用具11に配信すること、また、病院内における図示しない各種要素装置へのパラメータ配信も可能である。
さらに、単なるパラメータ以外に、各要素装置22…を運転するための運転手順についても配信が可能である。また、複雑かつ非定型的な処理、操作手順が必要となる場合は、各要素装置22…を運転するための運転アルゴリズムをソースコード、オブジェクト或いはライブラリ等各種形式によるソフトウエアとしても配信可能である。究極的な例としては、プラントには予め動作パラメータ類を搭載せず、パラメータ、手順、アルゴリズムを、例えば細胞保管容器1に設置したICタグ4に記録して各要素装置22…に配信し、各装置を制御することも可能である。この場合、プラントのサーバは、複数の細胞保管容器からの処理依頼をアレンジすることにより、リソースの取り合いや譲り合いによるデッドロックを防止し、一部の容器の利己的行動の牽制や故障容器の排除等により全体調和を実現し、効率的な制御を実現する。この究極の構成を用いることにより、各要素装置ばかりでなく、プラントシステム21や病院システム61を含めたシステム全体が動的にプログラム可能となり、個々の細胞に最適な処理、操作を施せるテーラメイド培養システムが実現する。
以上説明のように、この第6の実施形態によれば、各要素装置22…の運転条件、運転手順、運転アルゴリズム等をICタグに記録し、各装置に配信することにより、細胞にとって最適な条件における培養、処理、操作が可能になる、すなわち柔軟な運用が可能であるという効果が得られる。
なお、前記した第1〜第6の実施形態は、再生医療プラントへの応用を主に例にとって説明したが、本発明の応用は再生医療のための細胞培養プラント分野に限定されるわけではなく、各種の研究向け、製薬向け等の細胞培養システムはもちろん、細胞以外の各種の製造プラントや生産システム、物流システム等へも同様に応用が可能である。また、病院内での患者案内システム、自動運転システム等、処理を受ける被処理体と処理を行う処理装置とを含むあらゆるシステムに同様に適用可能である。
これらの場合、前記した実施形態のワークとしての容器に対応するものは、処理を受ける被処理体もしくはそのための容器や荷札である。また、前記した各実施形態における各処理装置に対応するものは、処理を行う処理体、すなわち工場の自動製造装置群や搬送装置群、荷物等の集配送装置群、患者案内システム、自動運転補助システム等である。本発明の特徴は、これらのシステムに容易に応用でき、前記した各実施形態と同様の効果が得られることである。
本発明の第1の実施形態を説明するために引用したシステム構成図である。 本発明の第1の実施形態における細胞保管容器の構成概略図である。 本発明の第1の実形態におけるICタグの概略構成図である。 本発明の第1の実施形態における輸送用具の概略構成図である。 本発明の第1の実施形態におけるプラントシステムの構成概略図である。 本発明の第1の実施形態における自動培養装置の概略構成図である。 本発明の第1の実施形態における細胞培養容器の概略構成図である。 本発明の第1の実施形態における病院システムの構成概略図である。 本発明の第1、第2の実施形態における処理手順を示すフローチャートである。 本発明の各実施形態における病院システムのDBの構成の一例を示す図である。 患者DBにおける患者レコードのフィールド構成と内容の例を示す図である。 本発明の第2の実施形態を説明するために引用したシステム構成図である。 本発明の第2の実施形態におけるICタグの概略構成図である。 本発明の第2の実施形態における輸送用具の概略構成図である。 本発明の第3の実施形態を説明するために引用したシステム構成図である。 本発明の第3の実施形態における処理手順を示すフローチャートである。 本発明の第3の実施形態において用いられる比較マップの一例を示す図である。 本発明の第4の実施形態を説明するために引用したシステム構成図である。 本発明の第4、第5の実施形態における処理手順を示すフローチャートである。 本発明の第6の実施形態における処理手順を示すフローチャートである。 職員DBにおける職員レコードのフィールド構成と内容の例を示す図である。 (a)は患者IDマップのフィールド構成と内容の例を示す図であり、(b)は患者カードのフィールド構成と内容の例を示す図である。 (a)は職員IDマップのフィールド構成と内容の例を示す図であり、(b)は職員カードのフィールド構成と内容の例を示す図である。 試料DBにおける試料レコードのフィールド構成の例を示す図である。 (a)は試料IDマップのフィールド構成と内容の例を示す図であり、(b)は細胞保管容器のICタグのフィールド構成とないよい宇野例を示す図であり、(c)はICタグの履歴情報のフィールド構成と内容の例を示す図である。 図5のプラントシステムのDB(DB1=プラントDB)を示す図である。 臨時試料DBにおける試料レコードのフィールド構成と内容の例を示す図である。 臨時試料IDマップのフィールド構成例を示す図である。
符号の説明
1 ワーク(細胞保管容器)
4、4’、54、54’ ICタグ(担体)
12、12’ 温度センサ(環境センサ)
22〜31 要素装置
32 プラントサーバ(第1のコンピュータ)
33 DB1(第1の記憶装置)
66 病院サーバ(第2のコンピュータ)
67 DB2(第2の記憶装置)

Claims (5)

  1. 患者から採取される細胞資料を細胞容器に入れて培養するプラントシステムと、その細胞資料の採取ならびに培養された細胞資料を管理運用する病院システムとを所定のネットワークで接続することにより構成される情報処理システムであって、
    前記細胞資料を入れる各細胞容器には、通信手段および記憶手段を有するICタグが付されており、その記憶手段には、前記細胞容器のIDと、前記細胞資料の時系列ごとの環境データとが記憶され、
    前記病院システムの病院サーバは、前記細胞容器のIDと、前記細胞資料が採取された患者のIDと、前記細胞資料を採取した医療者のIDとが対応づけて記憶される病院データベースを有し、
    前記プラントシステムのプラントサーバは、前記細胞資料に施された前記細胞資料の培養に関する、前記環境データを含む履歴データが、前記細胞容器のIDに対応づけて記憶されるプラントデータベースを有し、
    前記プラントサーバは、前記ICタグ内の前記記憶手段に格納されている環境データが前記プラントシステムの自動入荷装置によって読み取られて前記プラントサーバのデータベースに登録されると、その登録された環境データと、所定の細胞資料についての環境データの許容範囲を示す環境条件を照合することにより、前記ICタグが付されている前記細胞容器内の前記細胞資料が、正常に運搬されているか否かを判定して、その結果を出力し、
    前記ICタグは、自装置内の前記環境データを計測するためのセンサから環境データを計測できたときには、その測定結果である環境データを、前記自装置内の記憶手段に記憶するとともに、前記ICタグが付されている細胞容器を収納する輸送用具の記憶手段にも記憶し、
    前記ICタグとは別のICタグは、自装置内の前記センサから環境データを計測できないときには、前記別のICタグが付されている細胞容器を収納する前記輸送用具の記憶手段に記憶されている環境データを受信して、自装置の環境データとみなして前記自装置内の記憶手段に記憶し、
    前記ICタグは、前記ICタグ内の記憶手段の記憶容量が残り少なくなったときに、前記ICタグと通信可能な追加のICタグを制御下のICタグとして自ICタグ内に登録してから、その登録されたICタグに対してデータの記録を指示するとともに、前記登録されたICタグを余剰と判断したときには、そのICタグの登録を自ICタグ内から削除し、
    前記登録された追加のICタグは、前記登録元であるICタグからの指示に従い、前記追加のICタグ内の記憶手段に対して、データの記録処理を実行することを特徴とする
    細胞試料管理システム。
  2. 前記ICタグは、さらに、前記細胞試料の培養に必要なデータとして、将来前記細胞試料に適用されるべき培養処理のパラメータの情報、培養処理の手順の情報、および、培養処理のアルゴリズムの情報のうちの少なくとも1つの情報を、自装置内の記憶手段に記憶し、前記細胞容器内の前記細胞試料を培養する培養装置に対して、前記細胞試料の培養に必要なデータを通知することを特徴とする
    請求項1に記載の細胞試料管理システム。
  3. 前記ICタグは、前記環境データを前記自装置内の記憶手段に記憶するときに、前記環境データに対して暗号化処理を行ってから記憶することを特徴とする
    請求項1または請求項2に記載の細胞試料管理システム。
  4. 複数の前記ICタグは、同じデータをそれぞれの前記ICタグ内の記憶手段に対して重複して記憶し、前記同じデータの読み出し時に、各前記ICタグ内の記憶手段からそれぞれ読み出したデータを照合して、前記同じデータを取得することを特徴とする
    請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の細胞試料管理システム。
  5. 複数の前記ICタグは、所定のデータを分割してデータ断片とし、各データ断片をそれぞれの前記ICタグ内の記憶手段に対して記憶し、前記所定のデータの読み出し時に、複数の前記ICタグ内の記憶手段からそれぞれ読み出した各データ断片を統合して前記所定のデータを再構築することを特徴とする
    請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の細胞試料管理システム。
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