JP4448185B2 - 磁気抵抗効果素子の製造方法 - Google Patents

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本発明は磁気抵抗効果素子の製造方法に関し、特に、MR比の低下を防止するのに適した磁気抵抗効果素子の製造方法に関するものである。
DRAM並みの集積密度でSRAM並みの高速性を持ち、かつ無制限に書き換え可能なメモリとして注目されている集積化磁気メモリであるMRAM(magnetic random access memory)および磁気ヘッドには、例えばTMR(tunneling magnetoresistive)効果を生じさせる、主に数nm程度の非磁性または磁性の薄膜で積層された構成がある(以下「TMR素子」という)。
このTMR素子を構成する複数の磁性膜の各々については、個別にスパッタリングを利用して成膜が行われ、絶縁層については金属の酸化反応を利用して成膜が行われる。
TMR素子の基本構造を図5に示す。TMR素子101の基本構造は、前述の通り、絶縁層102の両側を強磁性層103,104で挟んだ構造となっている。強磁性層103,104のそれぞれで、矢印103a,104aは磁化の方向を示している。図6は、TMR素子101に対して電源105によって電圧Vを印加したときのTMR素子101における抵抗状態を説明するためのものである。印加される電圧Vに応じてTMR素子101は、強磁性層103,104のそれぞれの磁化の状態に応じて抵抗値を変えるという特性を有している。そして、図6の(A)に示されるように強磁性層103,104の磁化の方向が同一のときにはTMR素子101の抵抗値は最小となり、図6の(B)に示されるように、強磁性層103,104の磁化の方向が反対のときにはTMR素子101の抵抗値は最大となる。TMR素子101の最小抵抗値はRminで表し、TMR素子101の最大抵抗値はRmaxで表すものとする。ここで、一般に、センス電流を素子膜面に対して平行に流すCIP(Current−in−Plane)型の構造と、センス電流を素子膜面に対して垂直方向に流すCPP(Current Perpendicular to Plane)型の構造とがあるが、図5および図6は、CPP型の磁気抵抗効果素子の一例となる。
上記TMR素子101に関しては下記の「MR比(Magnetoro Resistance Ratio)」が定義される。
MR比=(Rmax−Rmin)/Rmin …(1)
次に、上記のような多層構造および抵抗特性を有するTMR素子に関して、MR比の特性劣化の観点で、従来の製造方法とその問題点を説明する。
MRAMや磁気ヘッドに内蔵されるTMR素子のごとき磁気抵抗効果素子は、製造工程上微細化の加工が行われ、例えばTMR素子を構成する上記磁性層をエッチングするとき、エッチングガスとして一酸化炭素と窒素化合物(例えばNH3:アンモニア)の混合ガス(CO+NH3)や水酸基を含むアルコール系エッチングガス(CH3OH)等が使用される。このとき、有機系材料であるレジストマスクを利用してエッチングを行うと、選択比がとれず、微細加工を行うことができないため、磁性膜に対して選択比がとれるTa,TiなどをハードマスクとしてRIE等によるエッチングを行うようにしている。特にTaはもともとTMR素子を構成する薄膜材料として使用されており、他の磁性材料と同一の工程上にあるスパッタリング法で積層することができる利点がある(特許文献1,2,3参照)。
しかしながら、TaやTiなどをハードマスクとして前述の各ガスにてエッチングを行うと、ガス中に含まれる酸素がハードマスクの表面と反応を起こし、ハードマスクの最表層に酸化膜を形成することになる。この状態を図7を参照して説明する。図7は、ハードマスクを形成する層としてTa層111を備えたTMR素子101の従来のドライエッチングのプロセス(A),(B),(C)を示している。TMR素子101において、特に、112は基板、113は下部電極である。
図7で、(A)の状態では、レジスト114を用いてTa層111をエッチングし、Ta層111のハードマスクを作ろうとするところである。(B)の状態ではその結果としてTa層111によるハードマスク111aが形成されている。(B)では、次にハードマスクとしてのTa層111aを用いてTMR素子を構成する各層に対してエッチングしようとする。このとき前述のガスが使用される。(C)では、TMR素子101がTa層111aをハードマスクとしてエッチングされた状態の一例が示される。この例では、フリー層115とバリア層116がエッチングされ、かつフリー層115の上にはハードマスクとしてのTa層111aが数十Åの厚みで残存している。
上記のごとく従来のドライエッチング方法では、最終的にTMR素子101の最上層にハードマスクであったTa層111aを表層に残すことになる。その後、真空中であるドライエッチング装置内で微細加工を終えたTMR素子101は一旦ドライエッチング装置の外、つまり大気に晒される状態になり、従ってTMR素子101は大気中に含まれる酸素に触れる環境に置かれることになる。そのため、エッチングのハードマスクとして用いたTa層をすべて除去せずに残すことで、磁性層の酸化などを保護する保護層の役割を持たせるようにしている。その結果、残存したハードマスクとしてのTa層111aの最表層は、たとえ前述のような酸素原子を含むエッチングガスを使用しない場合でも、真空中の微細加工から大気中へ開放する製造工程上、必然的に大気中の酸素と反応を起こし、ハードマスクが酸素と接する最表層には酸化膜(または酸化層)117が形成されることになる。
しかしながらTa層111aの最表層で酸化膜117が形成されると、その酸化膜117は絶縁層になる。TMR素子101の最表層で絶縁層が形成されると、寄生抵抗分が生じてしまうため、前述したMR比が低下することになる。このMR比の低下は、センス電流を素子膜面に対して平行方向に流すCIP型に比べ、センス電流を素子膜面に対して垂直方向に流すCPP型、つまり図7のようなTMR素子の方が顕著である。そのため、MR比の低下を防止するにはTa層111aの最表層の酸化膜117を除去することが必要となるが、前述のようにエッチングによる微細加工を終えたTMR素子を一旦ドライエッチング装置の外に出す際の、フリー層115を大気中酸素から保護する必要もある。この問題は、Taの代わりにTiをハードマスクとして使用する場合にも同様に起きる。
微細加工を終えたTMR素子は、一旦大気中に出された後、電極の形成等を行うため、次の製造工程に移される。
また本発明に関連する従来技術として特許文献4に開示される薄膜デバイスおよびその製造方法がある。この特許文献4の薄膜デバイスおよびその製造方法は、磁気ヘッドおよび磁気ヘッドの製造方法に関するものであり、主に目的とするところは、GMRにダメージ(エッチング)を与えずにリード電極を高選択的なドライエッチングによりパターニングすることとしている。
特許第3131595号公報 特開2002−38285号公報 特開2001−274144号公報 特開2001−28442号公報
本発明の課題は、TMR素子などの磁気抵抗効果素子を製造する従来の方法で、ドライエッチングによる微細加工後に保護層として残したハードマスクが製造工程上酸化され、その結果、絶縁層が形成されてMR比が低下し劣化してしまうのを防止するということである。
本発明の目的は、上記の課題に鑑み、真空中で行われるドライエッチングの微細加工の製造工程に特別な変更を加えることなく微細加工時に使用されるマスク材を二重に重ねて積層することで、製造工程中必然的に含まれる酸化過程により保護層の最表層に酸化層が形成されたとしても、MR比の低下を防止し、磁気抵抗効果素子としての性能を高く保持することができる磁気抵抗効果素子の製造方法を提供することにある。すなわち製造工程中に形成される当該酸化層が形成された保護層を導電性酸化物から形成される層として積極的に電極層として利用することができる磁気抵抗効果素子の製造方法を提供することにある。
本発明に係る磁気抵抗効果素子の製造方法は、上記目的を達成するために、次のように構成される。
第1の磁気抵抗効果素子の製造方法(請求項1に対応)は、少なくとも2層の磁性層を含む磁性多層膜からなる磁性抵抗効果素子の製造方法において、
最上層にTa層、上から2番目にRu(ルテニウム)、Rh(ロジウム)、Os(オスミウム)、Nb(ニオブ)、Ir(イリジウム)、及びRe(レニウム)のいずれか1つの金属からなる保護層を設けた磁性多層膜を形成し、
レジストパターンを用いて前記Ta層をエッチングして、Taのハードマスクを形成した後、
該Taのハードマスクを用いて、前記保護層及びこの保護層より下側の層を酸素原子を含むエッチングガスでエッチングし、該エッチングと共に、前記Taのハードマスクを除去して前記保護層を最上層として露出させることを特徴とする。
第2の磁気抵抗効果素子の製造方法(請求項2に対応)は、前記酸素原子を含むエッチングガスが、一酸化炭素と含窒素化合物の混合ガス、又は水酸基を少なくとも1つ含むアルコール系のガスであることを特徴とする。
上記の磁気抵抗効果素子のうち、特にセンス電流を素子膜面に対して垂直方向に流すTMR素子では、そのドライエッチング装置による微細加工の過程で、保護層の最表層が、例えば酸素原子と反応したときに、絶縁物になるのではなく、導電物になり得る材料を用いて当該保護層を形成するので、MR比の低下を防止し、例えばTMR素子で形成されるMRAMや磁気ヘッド等の性能を高く保持することが可能となる。
本発明によれば次の効果を奏する。
本発明に係る磁気抵抗効果素子の製造方法によれば、MRAMや磁気ヘッド等として使用されるTMR素子等の磁気抵抗効果素子のドライエッチングによる微細加工を行う場合において、二重にした第二のマスク材が導電物になり得る材料であるので、第一のマスク材を完全にエッチングして完全に除去せずに残した第二のマスク材が保護層を兼ねた電極として形成されるため、良好なセンス電流が得られ、高いMR比を得ることができる。
さらに本発明に係る磁気抵抗効果素子の製造方法によれば、第二のマスク材をRuなどの導電性酸化物になり得る材料で形成することにより、所定のエッチングガスによるRIEエッチングに基づく微細加工で第一のマスク材は完全に除去しその下層の第二のマスク材は完全には除去せずに保護層として残し、最表層を導電性酸化物にすることができ、これをそのまま電極として用いることができる。これにより磁気抵抗効果素子を構成する磁性材料の微細加工の後で新たに電極を形成するための成膜工程を省略することができる。
以下に、本発明の好適な実施形態(実施例)を添付図面に基づいて説明する。
図1に、従来の製造工程(微細加工)中の磁気抵抗効果素子(TMR素子)の構造例(A)と対比させながら、本発明の実施形態に係る構造例(B)を示す。
従来の磁気抵抗効果素子(TMR素子)10の構造例(A)によれば、基板11の上に下部電極12が形成され、さらに当該下部電極12の上に、8層の磁気抵抗効果素子を構成する多層膜が形成される。この8層の多層膜は、最下層の第1層から最上層の第8層に向かって「Ta」,「PtMn」,「Pinned Layer」,「Ru」,「Pinned Layer」,「Barrier Layer」,「Free Layer」,「Ta」 の順序で磁性膜等が積層されている。第1層(Ta)は下地層であり、第2層(PtMn)は反強磁性層であり、第3層から第5層(Pinned Layer,Ru,Pinned Layer)から成る層は磁化固着層であり、第6層(Barrier Layer:バリア層)は絶縁層であり、第7層(Free Layer)はフリー層(磁化自由層)であり、第8層(Ta)は保護層となるハードマスクである。磁化固着層と絶縁層とフリー層によってTMR素子部13が形成される。
次に本発明の実施形態に係る磁気抵抗効果素子20の構造例(B)によれば、基板11の上に下部電極12が形成され、さらに当該下部電極12の上に、9層の磁気抵抗効果素子を構成する多層膜が形成される。この9層の多層膜では、最下層の第1層から最上層の第9層に向かって「Ta」,「PtMn」,「Pinned Layer」,「Ru」,「Pinned Layer」,「Barrier Layer」,「Free Layer」,「Ru(200Å)」,「Ta」の順序で磁性膜等が積層されている。第1層から第7層、および第9層の構成に関しては、上述した従来の磁気抵抗効果素子(A)の積層構造と同じである。すなわち第1層(Ta)は下地層であり、第2層(PtMn)は反強磁性層であり、第3層から第5層(Pinned Layer,Ru,Pinned Layer)から成る層は磁化固着層であり、第6層(Barrier Layer:バリア層)は絶縁層であり、第7層(Free Layer)はフリー層(磁化自由層)であり、第9層(Ta)は保護層となる第一のハードマスクである。この磁気抵抗効果素子では、最上層の第9層のTaはハードマスクとして使用され、磁化固着層と絶縁層とフリー層によりTMR素子部13が形成され、第8層(Ru)と第9層(Ta)により形成される。本発明の磁気抵抗効果素子によれば、第7層(Free Layer)と第9層(Ta)の間に電極として使用可能な保護層として第8層にRu(ルテニウム)の層15が挿入された構造となっている点に特徴がある。保護層15のRu層の厚みは例えば200Åである。
次に、図1の(B)で示した磁気抵抗効果素子20の製造工程での真空中で行われるドライエッチングプロセスを図2を参照して説明する。
エッチング装置としては、ここでは1ターンのアンテナを有するICPプラズマ装置を使用し、アンテナにはプラズマ用高周波電源と連結させて高周波電力(以下、ソース電力という)を印加し、また、エッチング処理の対象物であるTMR素子部がパターニングされたウエハにはセルフバイアス電圧(以下、バイアス電力という)をそれぞれ印加した。
図2において、(A)の状態では、レジスト21を用いて最上層のTa層22をエッチングし、Ta層22のハードマスク(第一のマスク材)を作ろうとするところである。このエッチング条件は、処理チャンバである真空容器の内部圧力は0.8Paであり、ソース電力は500W、バイアス電力は70W、エッチングガスはCF4でその流量は50sccm(326mg/min)である。(B)の状態ではその結果としてTa層による第一のマスク材であるハードマスク23が形成されている。(B)では、次にハードマスク23としてのTa層を用いて例えば上記TMR素子部13の一部をエッチングしようとする。このときエッチングガスとして、例えば、一酸化炭素と窒素化合物の混合ガス(CO+NH3)、または水酸基を含むアルコール系エッチングガス(CH3OH)等が使用される。エッチングガスとしてCOとNH3の混合ガスを用いた場合のエッチング条件は、処理チャンバである真空容器の内部圧力は0.6Paであり、ソース電力は1000W、バイアス電力は300W、エッチングガスとしてCOガスの流量は25sccm(31.25mg/min)、NH3ガスの流量は75sccm(57.0mg/min)である。またエッチングガスとしてCH3OHガスを用いた場合、処理チャンバである真空容器の内部圧力は0.4Paであり、ソース電力は1000W、バイアス電力は200W、エッチングガスの流量は15sccm(18.75mg/min)である。(C)では、TMR素子部13がエッチングされた状態の一例が示される。この例ではフリー層24と絶縁層(バリア(Barrier)層)25がエッチングされ、かつこのTMR素子のエッチングの後に、またはTMR素子のエッチングと共にTaのハードマスク23を除去し、フリー層24の上にはRuの層15が最表層として露出するようになる。
すなわち、Taに対するRuの選択比は約10であるから、保護層15のRu層の厚みが例えば200Åである場合、第1層のTa(ハードマスク)を約20Åにすることでハードマスク(Ta)を残すことなく、Ru層を第二のマスク材として引き続きエッチングを行い、Ru層15の厚みを例えば保護層としての機能に必要な厚さ数十Å残してドライエッチングプロセスが完了する。
なお、上記のドライエッチングプロセスにおいて、状態(B)から状態(C)のドライエッチングプロセスでは下部電極12上のTaの層までエッチングすることもある(Ruのフリー層、バリア層およびピン層に対する選択比は1〜4程度である)。
ここで状態(B)から状態(C)のドライエッチングプロセスで、Taのハードマスク23の除去の方法としては2通りある。第1の除去方法は、上述のようにTMR素子のエッチングを行うときに、当該エッチングが完了したときにハードマスク23もすべて除去されるようにハードマスク23の膜厚を予め調整しておく方法である。第2の除去方法は、膜厚調整は行わず、TMR素子のエッチングの完了後に改めてハードマスク23を完全に除去するプロセスを実行する方法である。
磁気抵抗効果素子20の製造工程では、図2の(A)〜(C)で示されたエッチングガス中に酸素を含むドライエッチングプロセスが終了した後、さらに磁気抵抗効果素子20が大気に晒され、大気中の酸素原子がRuの層である第二のマスク材15の表面と反応して酸化物26の層(酸化膜)が形成されることになる。この酸化物26は、Ruの特性上、導電性酸化物となる。
図3の表(A)および表(B)のそれぞれに導電性酸化物の抵抗率[Ωm]と単体金属の抵抗率[Ωm]を示す。図3が示すように、導電性酸化物であるRuの酸化物RuO2は、単体金属であるTaとほぼ同等の抵抗率を有する。
従って、磁気抵抗効果素子20のTMR素子部のドライエッチングプロセスにおいて第二のマスク材15としてRuを使用し、最終的に第一のマスク23であるTaを完全に除去すると、その製造工程で最表層に導電性絶縁物26の層が形成され、前述したMR比の低下の原因を除去できるという利点を有する。図4は、図1と同様に基板からTMR素子部までの構成が同一な磁気抵抗効果素子を用いて、従来のようにエッチング後に保護層となる最表層にTaを使用した場合と、本発明の実施形態のようにエッチング後にRuが保護層になるようにした場合とのMR比特性の比較を示す。エッチング条件は、図2の実施形態で説明したように、一酸化炭素と窒素化合物の混合ガス(CO+NH3)または水酸基を含むアルコール系エッチングガス(CH3OH)のいずれを使用した場合の条件でもかまわないが、エッチング後に、最終的にTMR素子部であるFree Layer上に保護層として残るTaおよびRuの厚さがほぼ同じ(ここでは20〜30Å)になるようにした(エッチングガスはCH3OHガスを使用)。図4の比較で明らかなように、第二のマスク材であるRu保護層として使用した方がTaを使用する場合よりも約3倍に当る高いMR比が得られた。
さらに、磁気抵抗効果素子20のTMR素子部のドライエッチングプロセス中に、最終的に第一のマスク材23のTaを完全に除去することで、その製造工程において最表層に導電性の酸化物26の層が形成されるため、この導電性の酸化物26の層は上部電極として使用することができる。そのために、従来の製造工程のごとく、上部電極を形成するため新たに製造工程上に設ける必要がなくなるという利点を有する。
上記のごとく磁気抵抗効果素子20の製造工程におけるTMR素子のドライエッチングプロセスでは、磁気ヘッドの第二のマスク材15として、酸素原子と反応して導電性酸化物になり得るRuという材料を用いるようにしたため、MR比の低下を防止し、かつ上部電極を導電性酸化物で代用することができるという効果が発揮される。
上記のRuと同様な特性を有する他の材料としては、Rh(ロジウム)、Os(オスミウム)、Nb(ニオブ)、Ir(イリジウム)、Re(レニウム)を挙げることができる。図3の表(A)の2行目以降に記載される通り、Rh,Os,Nb,Ir,Reの酸化物であるRhO2,OsO2,NbO,IrO2,ReO3も十分な導電性を有する導電性酸化物となる。なお図3では、比較のために、導電性を有する単体金属の抵抗率を示した表(B)を示している。
なお、上記の実施形態の説明では酸素原子と反応して導電性酸化物になり得る材料の例を説明したが、同様にして導電性を有する窒化物または炭化物等になり得る材料に関しても、同様に本発明の基本的な考え方を適用することができるのは勿論である。
以上の実施形態で説明された構成、形状、大きさ(厚さ)および配置関係については本発明が理解・実施できる程度に概略的に示したものにすぎず、また数値および各構成の組成(材質)については例示にすぎない。従って本発明は、説明された実施形態に限定されるものではなく、特許請求の範囲に示される技術的思想の範囲を逸脱しない限り様々な形態に変更することができる。
またエッチング装置として、いわゆる高密度プラズマ源と呼ばれるヘリコン型装置、2周波励起平行平板型プラズマ装置、マイクロ波型プラズマ装置等も利用することができる。
本発明は、TMR素子等の磁気抵抗効果素子の製造においてMR比の低下を防止するのに利用される。
従来の磁気抵抗効果素子の構造例(A)と、本発明の実施形態に係る磁気抵抗効果素子の構造例(B)を示す積層膜構造図である。 本発明の実施形態に係る磁気抵抗効果素子の製造工程でのドライエッチングプロセスを示す状態推移図である。 導電性酸化物と単体金属の抵抗率を示した表を表す図である。 実験結果で得られた、本発明のRuの保護層を用いた場合と従来のTaを用いた場合とのMR比特性の比較を示す図である。 TMR素子部の基本構造を示す縦断面図である。 TMR素子部における抵抗値の変化を説明する図である。 従来の磁気抵抗効果素子の製造工程でのドライエッチングプロセスを示し、その問題点を説明するための状態推移図である。
符号の説明
10 従来の磁気抵抗効果素子
11 基板
12 下部電極
13 TMR素子部
15 保護層
20 本発明の実施形態に係る磁気抵抗効果素子

Claims (2)

  1. 少なくとも2層の磁性層を含む磁性多層膜からなる磁性抵抗効果素子の製造方法において、
    最上層にTa層、上から2番目にRu(ルテニウム)、Rh(ロジウム)、Os(オスミウム)、Nb(ニオブ)、Ir(イリジウム)、及びRe(レニウム)のいずれか1つの金属からなる保護層を設けた磁性多層膜を形成し、
    レジストパターンを用いて前記Ta層をエッチングして、Taのハードマスクを形成した後、
    該Taのハードマスクを用いて、前記保護層及びこの保護層より下側の層を酸素原子を含むエッチングガスでエッチングし、該エッチングと共に、前記Taのハードマスクを除去して前記保護層を最上層として露出させることを特徴とする磁性抵抗効果素子の製造方法。
  2. 前記酸素原子を含むエッチングガスが、一酸化炭素と含窒素化合物の混合ガス、又は水酸基を少なくとも1つ含むアルコール系のガスであることを特徴とする請求項1に記載の磁性抵抗効果素子の製造方法。
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