<全体の構成>
図1は、本発明の実施例に係る遊技台としてのスロットマシン100の外観を示す正面図である。
図1に示すように、スロットマシン100の中央内部には、外周面に複数種類の絵柄(「7」、「Bar」、「ベル」、「リプレイ」等:図示省略)を配列した円筒状のリールが3個(左リール110、中リール111、右リール112)収納され、本体201の内部で回転できるように構成されている。本体201の両サイドには、取手部201cが設けられ、スロットマシン100の運搬の際に利用される。
前面扉101には、リール表示窓113が設けられており、リール110乃至112を正面から眺めると、これに施された絵柄がリール表示窓113から縦方向に3つ見えるようになっている。つまり、全リール110乃至112が停止した場合、遊技者は、3×3の合計9個の絵柄を見ることができる。これらのリール110乃至112が回転し、停止することにより、様々な絵柄の組み合せが表示されることになる。なお、本実施例では、3個のリールを備えているが、リールの数やリールの設置位置はこれに限定されるものではない。
各リール110乃至112の裏側には、リール表示窓113上に表示される個々の絵柄を照らすためのバックライト(図示せず)が配置されている。バックライトは、例えば、7色(赤、緑、青紫の三原色と、白色等をはじめとするこれらの混合色)の光を発することが可能であり、各原色に対応したLED等を含んで構成される。
入賞ライン表示ランプ120は、遊技毎に有効となる入賞ライン114を示すランプである。有効となる入賞ライン114は、スロットマシン100に投入された遊技媒体(本実施例ではメダルを想定する。)の枚数によって変化する。例えば、図1に示すように5本の入賞ライン114を有する場合、メダルを1枚投入したときは中段の水平入賞ライン、2枚投入したときは、上段の水平入賞ライン及び下段の水平入賞ラインを加えた3つの入賞ライン、3枚投入したときは更に2本の斜めの入賞ラインを加えた5ラインが有効となり、有効な入賞ライン114上に揃った絵柄の組み合せにより入賞が判断されることとなる。勿論、入賞ラインの数は5本に限定されるものではない。
スタートランプ121は、リール110乃至112が回転することができる状態にあることを遊技者に知らせるランプである。再遊技ランプ122は、入賞役である再遊技に入賞したとき(例えば、リプレイ−リプレイ−リプレイの再遊技絵柄の組み合せが入賞ライン114上に揃ったとき)、遊技者へ次の遊技が再遊技であることを知らせるランプである。再遊技の場合、次遊技において遊技媒体であるメダルの投入が免除される。告知ランプ123は、特別な入賞役(例えば、ビッグボーナス(BB)やレギュラーボーナス(RB))に内部当選した状態にあることを遊技者に報知するランプである。メダル投入ランプ124は、遊技開始にあたって遊技者にメダルの投入が必要であることを報知するランプである。メダル投入枚数表示ランプ125は、遊技者が投入したメダル枚数を表示するランプである。本実施例では、1回の遊技に最大3枚までメダル投入できるので、縦に配置した3つのランプを用いてメダル投入枚数を表示している。無論、ランプで表示する他に7セグメント表示器等で直接メダル投入枚数を表示してやることもできる。
払出枚数表示器126は、メダルの払い出しのある何らかの入賞役に入賞したとき、遊技者へ払い出されるメダルの枚数を表示する表示器である。遊技回数表示器127は、ビッグボーナスゲーム中の一般ゲームの回数等を表示する表示器である。貯留枚数表示器128は、電子的に貯留(クレジット)しているメダルの枚数を表示する表示器である。演出用ランプ129は、遊技の興趣を高めるための演出に使用されるランプである。
メダル投入ボタン131、132は、貯留されたメダルをスロットマシン100へ電子的に投入するための投入ボタンであり、いわゆるベットボタンと呼ばれているものである。本実施例では、最大メダル投入ボタン131(いわゆるマックスベットボタン)と、1回押下するごとに1枚のメダルを投入する1枚メダル投入ボタン132とを有し、これらのボタンのいずれかを押下することにより遊技に必要な1〜3枚のメダルがスロットマシン100へ電子的に投入される。2枚のメダルを投入する場合は、1枚メダル投入ボタン131を2回押下することとなる。投入されたメダル枚数分は、現在の貯留枚数から減算されて残枚数が貯留枚数表示器128に表示される。
メダル投入口ブロック133は、遊技を開始するに当たって遊技者が直接メダルを投入するための開口を有する。メダルを直接投入した際に、メダル投入口直下にあるメダルセレクターユニット(図示せず)内にメダルが詰まってしまった場合は、メダルキャンセルスイッチ133aを操作することによってメダルのつまりを解消させる。スタートレバー135は、遊技の開始操作として、リール110〜112の回転を開始させるレバー型のスイッチである。
ストップボタンユニット136には、3つのストップボタンが設けられている。各ストップボタンは、押下することによって対応するリール110乃至112を停止させるボタン型のスイッチである。各ストップボタンの内部にはランプ(図示せず)が設けられており、スタートレバー135が操作された後、リール110乃至112の停止操作が可能な状態になると全ランプが点灯し、遊技者に停止操作が可能になったことを報知する。各ストップボタンのランプは各ストップボタンが押下される毎に消灯する。無論、停止操作可能な状態とその他の状態とでランプの発光色を変化させるように構成することもできる。
精算ボタン138は、遊技者が獲得したメダルを精算して排出する精算処理を行う場合に押下されるボタンである。なお、精算ボタン138は、遊技者がメダル投入口ブロック133から投入したメダルのうち所定枚数(例えば3枚)以上のメダルまたは入賞により獲得したメダルを最大50枚まで貯留するか否かを切換える場合にも使用され、例えば、一回精算ボタン押下されて精算処理が行われると、非貯留モードが設定され、もう一度精算ボタン押下されると、貯留モードが設定される。ここに、メダルの貯留とは、メダルを直接払い出さずに、電子的にその枚数を後述する制御部に一時記憶しておくことを意味する。
キー孔139は、扉開閉用のキーを差し込む孔で、キーを差し込んで時計方向に回すとロックが解除され、スロットマシン100の前面扉101を開けることができる。メダル排出口165は、メダルを排出するための開口であり、入賞時に払い出されるメダルはここから排出される。排出されたメダルは、受皿160に溜まるようになっている。
上部ランプ190、サイドランプ151、152、中央ランプ153、154、腰部ランプ155、156、下部ランプ157、158は、遊技を盛り上げるための演出用のランプであり、遊技状態に応じて点灯/消灯/点滅する。本実施例では、受皿160を透光性材料で構成し、受皿取り付け面からランプ光を入射させることで上記演出用のランプと同様の効果を発揮させるように構成している。また、受皿160には、着脱可能に構成した灰皿ユニット170が設けられている。
ドットマトリクスLED表示装置180は、複数のLEDを2次元に配置した表示装置であり、遊技に関する各種の情報(ゲームを盛り上げるためキャラクター等を登場させるゲーム画面、スロットマシンの内部で異常が発生した場合にエラーの内容を表示するエラー画面など)を表示することができる。ドットマトリクスLED表示装置180に代えて、演出用のリールを装備してもよい。演出用のリールは、リール110〜112に対応させて3つ設けるようにしてもよい。
上部ランプ190の近傍の左右にスピーカの音孔(図示せず)を設けている。また、ストップボタンユニット136の直下に背面スピーカからの効果音を出力するための音孔が設けられている。背面スピーカの音孔には、装飾が施されたスピーカカバー173が装着され、ここから遊技の効果音が出力される。
<本体内部構造>
次に、本実施例のスロットマシン100の内部構成について説明する。
図2は、前面扉101を開いた状態(前面扉101は図示省略)にあるスロットマシン100の正面図であり、スロットマシン100の内部構成を示す図である。
図2に示すように、本体201は、キャビネット210内に、基板収納ケース500、リールユニット220、電源ボックス230、メダル払出装置240、補助収納ケース250、中央スピーカユニット260、副制御基板270、外部中継端子板290等が配設されている。
キャビネット210は、上部に排気口210aと下部に吸気口210bを有する木製の箱体である。キャビネット210内壁には、右側、左側、背面の各壁面にフレームグラウンド板が設けられている。フレームグラウンド板は、互いに電気的に接続され、キャビネット210内に配設された各装置のフレームグラウンドが接続される。これにより各装置のフレームグラウンドを同電位にするのと同時に、キャビネット内の各装置を静電気や電波と言った外部ノイズから保護することができる。キャビネット210内には、リールユニット220を在置するためのリールユニット固定板218が設けられている。リールユニット固定板218もフレームグウランド板に電気的に接続されている。
リールユニット220は、樹脂製のケース内にステッピングモータで駆動されるリール110乃至112を個別に着脱可能に取り付けられている。樹脂ケースの上面には、他の制御部と接続するための中継基板が装着されている。リールユニット220は、樹脂ケースで3本のリールをユニット化し、着脱を容易に行えるように構成している。
基板収納ケース500は、キャビネット210内の背面上部に取り付けられている透明な樹脂ケースで、内部空間にスロットマシン100の全体的な制御を行う主制御部300を構成する電気部品を実装した主制御基板503を収納している。基板収納ケース500の詳細については後述する。
電源ボックス230は、キャビネット210の背面の壁面に装着された金属製のケース内にスロットマシン100の各駆動部や制御部へ必要な電力を供給するための電源基板(図示せず)を収納している。また、電源ボックス230の電源スイッチ232、すなわちスロットマシン100の電源スイッチ232は、本実施例ではリールユニット固定板218の下部に別体で固定されている。電源スイッチ232と併せて設定値変更許可スイッチ234も併設されている。これは、各スイッチが操作し易いよう配慮してのことである。
設定値変更許可スイッチ234は、いわゆるキースイッチであり、キー孔に所定のキーを挿入して、時計回りに90度回転させるとオン状態となり、キーを戻して初期状態にするとオフ状態になる。電源スイッチ232は、つまみを上に向けると、オン状態になり、つまみを戻すとオフ状態になる。また、電源ボックス230の上端部には、コネクタを接続可能な受け口(図示せず)が複数個設けられている。受け口から接続ケーブルを介して、電力を各部に供給する。
また、キャビネット210の背面壁には、電源ボックス230とほぼ同形の通気孔が、キャビネット210の背面を貫通するように形成されている。更に、電源ボックス230の通気孔に対応する背面は、電源ボックス230の内部で発生した熱を外部へ効率よく排出できるような部材(本実施例ではパンチメタル)で構成されている。
メダル払出装置240は、メダルを払い出すための装置(いわゆるホッパー)である。メダル払出装置240は、DCモーターで駆動されメダルを1枚ずつ払い出すとともにメダルを払い出す毎に検出信号を出力する払出装置本体と、払出装置本体にメダルを供給するとともにメダルを蓄積するタンクとで構成されている。メダル払出装置240の横には、補助収納ケース250が置かれている。メダル払出装置240がメダルでいっぱいになると、余分なメダルは流れ落ち、補助収納ケース250内に蓄積される。
また、メダル払出装置240は、キャビネット210の底部に装着されたレール板上にスライド可能に設置されている。レール板のキャビネット210背面壁側にはコネクタが設けられている。コネクタには、メダル払出装置240に対する電力の供給や制御信号の送受信を目的としたケーブルが接続される。メダル払出装置240の背面には、このコネクタに接続可能なコネクタが配設されている。メダル払出装置240は、レール板の上を前後方向にスライドさせることが可能で、メダル払出装置240をレール板に沿って奥まで押し込むと、メダル払出装置240のコネクタがレール板のコネクタに接続されるようになっている。
背面スピーカユニット260は、キャビネット210の背面壁に設けられたスピーカと、スピーカからの効果音を前面扉101のスピーカカバー173まで案内するためのスピーカダクトとで構成されている。スピーカから出力される中低音は、スロットマシン100の背面から出力されるとともにスピーカダクトを介してスピーカカバー173からも出力される。
副制御基板270は、キャビネット210の側面に装着され、効果音、演出用ランプ、リールバックランプ、演出表示部等で実行される演出を制御する副制御部400を構成する電気部品を実装した制御基板である。副制御基板270は、後述の基板収納ケースに収納された主制御基板503の送信する制御コマンドに従って演出を制御する。
外部中継端子板290は、スロットマシン100から出力される遊技情報をホールコンピュータに送信するためのインターフェース基板である。外部中継端子板290から出力される遊技情報は、ホールコンピュータに送られて集計される。
<制御部>
図3を参照してスロットマシン100の制御部の構成について説明する。本実施例における制御部は、全体を制御する主制御部300と、遊技を盛り上げるための演出に関する制御等を遂行する副制御部400と、ドットマトリクスLED表示装置180を制御するドットマトリクスLED表示制御部(図示省略)で構成されている。
<主制御部300>
マイクロプロセッサ(以下、MainCPUと称す)310は、スロットマシン100における制御の中枢となるものであり、バス370を介して、周辺部との間で制御信号やデータの受渡しが行われる。
乱数発生器311は、内部抽選等に用いられる乱数を発生するもので、複数のカウンタ、クロック発振器、分周器及びラッチ回路等で構成される。乱数発生器311が発生した乱数値は、バス370を介して、RAM313の乱数記憶領域に記憶され、必要に応じてMainCPU310へ送られる。
MainCPU310には、入力インターフェース360及びバス370を介して、メダル投入ブロック134の投入口より投入されたメダルを検知するメダルセンサ320、スタートレバー135の操作を検知するスタートレバーセンサ321、ストップボタンのいずれかが押された場合、どのストップボタンが押されたかを検知するストップボタンセンサ322、及び、メダル投入ボタン131、132のいずれかが押下された場合、どのメダル投入ボタンが押されたかを検知するメダル投入ボタンセンサ323、精算ボタン138の押下に伴って動作する精算ボタンスイッチ324が接続されている。
ROM(リード・オンリー・メモリ)312は、各種制御を行うためのプログラムや、各種制御データ等を記憶する記憶手段の一つである。RAM(ランダム・アクセス・メモリ)313は、MainCPU310によって処理されるプログラムのワークエリアを有し、可変データ等を記憶する記憶手段の一つである。
また、リール110乃至112の回転と停止を行うモータ(図示省略)を制御するモータ制御部330、及び、メダル払出装置(いわゆるホッパー:図示省略)を制御するホッパー制御部331が、入出力インターフェース332及びバス370を介してMainCPU310に接続されている。
演出用ランプ・表示器類340とは、図1で示した入賞ライン表示ランプ120、スタートランプ121、再遊技ランプ122等のランプ類や、メダル投入枚数表示ランプ125、払出枚数表示器126、遊技回数表示器127等の各種表示器をまとめて表したもので、出力インターフェース342及びバス370を介してMainCPU310に接続されている。
出力インターフェース350は、MainCPU310の指示に基づき、各種のコマンドを副制御部400の入力インターフェース440へ送信する。コマンドには、例えば、メダルが投入されたことを示すコマンド、スタートレバーが操作されたことを示すコマンド、押されたストップボタンを示すコマンド、演出の内容(バックライト、上部ランプ、音声出力、ドットマトリクスLED表示装置等による演出の内容)を規定したコマンド等がある。
<副制御部400>
マイクロプロセッサ(以下、SubCPUと称す)410は、主制御部300から送信された各種コマンドを入力インターフェース440及びバス430を介して受信し、受信したコマンドの内容に応じて副制御部400全体を制御する。
ROM411は、副制御部400全体を制御するためのプログラムやデータ等を記憶する記憶手段の一つである。RAM412は、SubCPU410で処理されるプログラムのワークエリアを有し、可変データ等を記憶する記憶手段の一つである。
バックライト420は、リールの絵柄を照らすライトで、SubCPU410の指示に従って点灯/点滅/消灯する。演出用ランプ421は、上部ランプ190、サイドランプ151、152、中央ランプ153、154、腰部ランプ155、156、下部ランプ157、158、受皿ランプをまとめて表したもので、SubCPU410の指示に従って点灯/点滅/消灯する。バックライト420及び演出用ランプ421は、出力インターフェース422を介してバス430を経てSubCPU410と接続されている。
楽音信号形成部460は、SubCPU410から受け渡された制御信号やデータに基づいて、楽音信号を形成して出力する。この楽音信号は、アンプ461で増幅された後、スピーカ(具体的には上部スピーカ及び背面スピーカ)462から音として出力される。
出力インターフェース450は、SubCPU410の指示に基づき、各種制御データをドットマトリクスLED表示制御部(図示省略)へ送信する。この制御データに基づいて、ドットマトリクスLED表示制御部は、ドットマトリクスLED表示装置180を制御する。
<遊技の基本的制御>
図4は、本実施例のスロットマシン100における遊技の基本的制御を示すフローチャートである。遊技の基本的制御は、MainCPU310が中心になって行い、電源断等を検知しないかぎり、同図の処理を繰り返し実行する。
S101では、メダル投入処理として、メダルの投入数に応じた入賞ライン表示ランプの点灯等を行う。本書においてメダルの投入(遊技媒体の投入)とは、ベットボタンによる投入とメダル投入口からの投入のいずれも含む意味である。
S102では、遊技のスタート操作に関する処理を行う。スタートレバー135が操作された場合、投入されたメダル枚数を確定して、有効な入賞ライン114を確定する。
S103では、乱数発生器311で発生させた乱数を取得する。
S104では、ROM312に格納されている抽選データテーブルと、S103で取得した乱数値を用いて、入賞役の内部当選の当否を定める内部抽選を行う。なお、抽選データテーブルには、あらかじめ、BB、RB、小役等の抽選確率に応じたデータが格納されている。
S105では、S103で取得した乱数値を用いて、リール停止制御テーブルを選択し、リール110乃至112の回転を開始させる。
S106では、ストップボタンの受け付けが可能になり、いずれかのストップボタンが押されると、押されたストップボタンに対応するリールを、S105で選択したリール停止制御テーブルに基づいて停止させる。
S107では、入賞判定を行う。ここでは、有効化された入賞ライン114上に、入賞役に対応する絵柄組み合せが表示された場合にその入賞役に入賞したと判定する。例えば、有効化された入賞ライン114上に、例えば「ベル−ベル−ベル」が揃っていたならばベル入賞と判定する。また、例えば「青7−青7−青7」が揃っていたならばBB入賞と判定する。
S108では、払い出しのある何らかの入賞役に入賞していれば、その入賞役に対応する枚数のメダルを払い出す。
S109では、遊技状態を制御する。例えば、BB入賞時には、次の遊技からBBゲームが開始されるように準備をし、BB終了時には、次の遊技から通常の遊技が開始されるように準備させる。
<基板収納ケース>
次に、本実施例のスロットマシン100の基板収納ケース500について説明する。
基板収納ケース500は、内部の空間に回路基板(例えば、主制御基板503)を収納するための部材であって、例えば図6に示すように、第1のカバー部材510(以下、前部カバー部材510ということがある。)と、第2のカバー部材520(以下、後部カバー部材520ということがある。)とを組み合わせて構成する。これらの前部カバー部材510と後部カバー部材520とは、互いに分離可能であるが、後述する封印手段により、一旦封止したのちは、痕跡を残さずに分離できなくなるように構成してある。なお、前部カバー部材510及び後部カバー部材520は、透光性樹脂を用いて成形されており、内部に収納した主制御基板503を視認可能になっている。
前部カバー部材510と後部カバー部材520とは、組み合せることによって前記回路基板である主制御基板503を収納するための空間を形成する箱体となる。そして、前部カバー部材510及び後部カバー部材520のそれぞれには、両者を一体とするために必要な組付連結部531と組付係止部532とが形成されている。
前記組付連結部531は、前部カバー部材510側に設けられたフック部531aと後部カバー部材520側に設けられたヒンジ部531bとで構成されている。基板収納ケース500を組み立てる際には、先ず、これらのフック部531aとヒンジ部531bとを係合する。なお、この実施例では、前記組付連結部531は、下縁側に2箇所形成されている。
前記組付係止部532は、前部カバー部材510側に設けられた係止舌片部532aと後部カバー部材520側に設けられた舌片受部532bとで構成されている。基板収納ケース500を組み立てる際には、組付連結部531を組み合せ、前部カバー部材510と後部カバー部材520とを合わせて、組付係止部532の係止舌片部532aを舌片受部532bに係合させることで一体化することができる。なお、この実施例では、組付係止部532は、組付連結部531の反対側である上縁側に、2箇所形成されている。
そして、前部カバー部材510及び後部カバー部材520には、両者を分離できないように封印するための封印手段と基板収納ケース500をスロットマシン100のキャビネット210内に固定するためにケース固定手段とが形成されている。なお、キャビネット210の所定の位置に、後述するケース固定部材540を設け、このケース固定部材540に対してケース固定手段によって、基板収納ケース500を固定する。
前部カバー部材510には、主制御基板503のコネクタ部504と接続するための孔部511が所定の位置にそれぞれ設けられている。そして、各孔部511から接続コネクタを主制御基板503のコネクタ部504に接続し、主制御基板503と外部機器との接続を図っている。
なお、前部カバー部材510及び後部カバー部材520の内側には、主制御基板503を位置決めするための位置決めピン(図示せず)を設け、主制御基板503に設けられた位置決め孔(図示せず)に挿通されることにより位置決めして固定する。
前部カバー部材510及び後部カバー部材520には、互いに一体化したときに形成される案内部601、602をそれぞれに設ける。また、両者の各案内部601、602には、案内孔651、652をそれぞれに設ける。
そこで、例えば図6に示す実施例では、前部カバー部材510の上縁部分に、上方へ膨出する案内部601を設け、この案内部601に横方向に案内孔651を並べて開設してある。一方、後部カバー部材520には、前記前部カバー部材510の案内部601に対応する位置に、案内部602を設けると共に、前記前部カバー部材510の案内孔651に対応して案内孔652が開設してある。
また、この実施例では、案内孔651は、例えば図7に示すように、案内部601に設けた保持部610の中に形成してあり、この保持部610は、連結部611を介して案内部601に連絡している。言い換えると、案内孔651を設けた保持部610は、案内部601に開設した開口部の中に、連結部611を除いて独立しているといえる。なお、後述するようにして一体化した前部カバー部材510と後部カバー部材520とを開く場合には、この連結部611を切断すればよい。
そこで、前記したように、組付連結部531と組付係止部532とを利用して、前部カバー部材510と後部カバー部材520とを組み合わせると、各案内部601、602に設けた案内孔651、652が互いに連通して一つの案内孔650となる。
前部カバー部材510と、後部カバー部材520とを組み合わせ、案内部600を形成する際には、図9に示すように、例えば後部カバー部材520の案内部602にリブ603を突設し、前部カバー部材510側の案内部601の外側を覆うことにより、横から刃物で後述するピン状の結合部材620を切断されないようになっている。
封印手段とケース固定手段とは、前部カバー部材510と後部カバー部材520とが一体化した時に形成され、前部カバー部材510と後部カバー部材520とにそれぞれ設けられ、両者を組み合わせたときに機能する。
そこで、一体化した各案内部601、602同士を分離不能に連結する結合部材620、即ちセフティロックピンを、案内孔651、652に装着することにより、封印手段を構成する。この結合部材620は、例えば図7に示すように、支持部621の上端に鍔部622を有すると共に、下端に係止部623を有している。また、支持部621の側面には中抜き部624が開設してある。更に、図7に示した実施例では、2つの結合部材620が連結部材625によって連結してある。
次に、この結合部材620を詳細に説明する。セフティロックピンである結合部材620は、支持部621と、該支持部621の一方の端に設けられた鍔部622と、前記支持部621の他方の端に設けられて案内部601、602に係止する係止部623とが合成樹脂により一体に成形され、前記したように他の結合部材620と連結部材625を介して一体に成形される。
支持部621は、断面形状が例えば矩形の角柱状であって、この角柱の上端に断面形状が例えば楕円形の鍔部622が連設してある。なお、鍔部622の上面には、ドライバ等の工具を挿入可能な工具挿入溝626が形成してある。
一方、支持部621の下端に形成する係止部623は、長手方向の両端部から、斜め上方に向けて一対延出している。この係止部623は、弾性変形が可能であって、前記した案内孔651、652に挿入した場合に、縮径して案内孔651、652を通過可能である。そして、案内孔651、652を通過した後は、元の形状に復帰して拡がり、案内孔652の縁に係止する(図9参照)。
そこで、一旦、セフティロックピンとしての結合部材620を案内孔651、652に装着して、前部カバー部材510と後部カバー部材520とを一体化すると、係止部623が案内孔652の縁に係止するために、結合部材620を引き抜くことができなくなり、封印手段として機能する。
また、図7に示すように、2つの結合部材620を連結している連結部材625は、隣り合う結合部材620の鍔部622を連結する部材であって、ほゞS字型に屈曲する屈曲部6251と、屈曲部6251の上端を連結する直線部6252とを有し、屈曲部6251の下端が結合部材620の鍔部622に繋がっている。従って、鍔部622に設けた工具挿入溝626に、マイナスドライバ等の工具を挿入して、鍔部622を回転させると、鍔部622と屈曲部6251との接続部分が千切れて、結合部材620が連結部材625から分離する。
しかしながら、従来の結合部材620では、ドリル等の切削工具Tによって、結合部材620の中心に案内孔651、652の内径よりも僅かに小さな孔を開けて、言い換えると、切削工具Tによって結合部材620をほゞ削り取ってしまうと、係止部623の係止をいとも簡単に外すことができてしまい、結合部材620が封印手段として機能しなくなってしまう。
そこで、本発明では、案内孔651、652及び結合部材620の形状を、ドリル等の切削工具Tによって回転形状に切削しても、結合部材620が機能を失うことがなく、または切削した痕跡が残るため、前部カバー部材510と後部カバー部材520との不正な分離を不可能にするように構成した。
このため、本発明においては、各案内孔651、652及び該案内孔651、652に嵌挿される部分の結合部材620を、一断面において、外形線上の少なくとも2点に接する円の外側に残余部分Pを備えるように形成した。例えば、図8に示すように、楕円形の案内孔651、652と、この案内孔651、652に嵌合する楕円形の鍔部622と、この鍔部622の下方に延設した角柱状の支持部621とを設ける。このとき、支持部621の長手方向の長さL1を、案内孔651、652の短軸方向の長さL2よりも長く、即ちL1>L2に設定する。
このように設定することで、例えば、案内孔651、652において短軸上の2点に接する円と一致する孔を穿設可能なドリル(このときの直径をφ1とする)によって、結合部材620を切削すると、即ち鍔部622及び支持部621に孔を開けても、孔の周囲に残余部分Pが残ってしまう。一方、更に大きな孔を開けるべくφ2(φ2>φ1)のドリルを用いると、案内部601、602、即ちこの実施例では保持部610まで切削していまい、結果的に、案内部601、602を破壊することになってしまう。
従って、基板収納ケース500に収納した主制御基板503に不正な改造を加えるなどの不正行為を未然に防止することができる。
前記した案内部601、602には、ケース固定手段を構成するかしめピンを装着するために装着孔630が設けてある。この装着孔630は、前部カバー部材510と後部カバー部材520とを組み合わせて形成するものであり、例えば図9に示すように、後部カバー部材側の装着孔632と、前部カバー部材510側の装着孔631とを、連通させて構成する。
装着孔630に装着するかしめピン660は、例えば図9に示すように、同図において下端側に形成した頭部661と、この頭部661の基端側に設けた小係止爪662と、この頭部661よりも小径に形成した首部663と、この首部663に連続して前記頭部661とほゞ同径に形成した胸部664と、この胸部664よりも小径で比較的長くに形成した腰部665と、この腰部665から延出する大係止爪666と、前記腰部665を支える小台座部667と、該小台座部667より大径に形成した大台座部668とを有している。
大台座部668には、ドライバ等の工具の先端を挿入する工具挿入溝669が設けてある。また、大台座部668には接続部材670の一端が設けてあり、隣接するかしめピン660同士が接続部材670を介して互いに接続してある。
図9に示した状態は、かしめピン660がケース固定部材540の嵌入孔(図示せず)に嵌入する前の状態であって、同図に示した状態から、かしめピン660を装着孔630に押し込むと、大台座部668が装着孔630の入口部に嵌入すると共に、先端の頭部661が装着孔630から突出して、ケース固定部材540の嵌入孔に嵌入することになる。このとき、小係止爪662及び大係止爪666がそれぞれ装着孔630の段部633に係止するため、かしめピン660が抜けなくなる。
前記したようなケース固定手段としてのかしめピン660は、本実施例では4箇所設けられている。ケース固定手段は、基板収納ケース500をキャビネット210に固定する際に1箇所使用される。従って、基板収納ケース500は、スロットマシン100のケース固定部材540に4回固定することができることになる。
次に、基板収納ケース500の組付方法を説明する。
基板収納ケース500のキャビネット210に対する組み付けは、前記したように、ケース固定部材540を介して行なわれる。
図10に示すように、前部カバー部材510と後部カバー部材520とを組み合わせて一体化した基板収納ケース500を、ケース固定部材540の前面に臨ませる。ケース固定部材540には取付係止部541が設けてあるので、この取付係止部541に、基板収納ケース500に設けた係止突起505を合せて嵌合させる。なお、図示の実施例では、ケース固定部材540の左側縁に二つの取付係止部541が、右側の上縁部分に一つの取付係止部541が、それぞれ設けてあり、これらに対応して基板収納ケース500にも、係止突起505が3箇所に形成してある。
上記のようにして、基板収納ケース500の位置決めが完了したら、かしめピン660をかしめ孔542に押し込んでかしめる。
また、図10に示す実施例では、ケース固定部材540の下縁の左右に、ハーネスカバー部材543が、ヒンジを介して開閉可能に蝶着されている。このハーネスカバー部材543は、基板収納ケース500の孔から露出しているコネクタ部504を覆う部材である。
そこで、主制御基板503に設けたコネクタ部504に、ハーネス(図示せず)を接続したのち、この接続部分をハーネスカバー部材543で覆い、当該ハーネスカバー部材543とケース固定部材540とを、ネジ644aや南京錠644b等の施錠装置644、或いはかしめたワイヤー644c等により固定する。なお、これらを併用して、ネジ644aによりハーネスカバー部材543を固定したのち、施錠装置644により施錠するとよい。なお、このとき使用する施錠装置644やワイヤー等は、遊技店が任意に用意したものを使用でき、遊技店が独自に不正行為を防止できる。
図12は、結合部材620、即ちセフティロックピンの他の実施例を示す斜視図である。この実施例においては、係止部623が、長軸方向と平行するように延出してある。このように、係止部623の向きを変えることにより、より除去し難くすることができる。なお、前記した実施例と同じ機能を備える部位は、同一符号を付して説明を省略する。
図13は、本発明における案内孔650(前部カバー部材510側の案内孔651と、後部カバー部材520側の案内孔652とを組み合わせたもの)と、結合部材620であるセフティロックピンの形状の変形例を示す断面図である。
図13(a)に示す例では、セフティロックピン620aの断面形状を楕円形とすることで、短軸方向の長さを直径とする孔を穿設した場合に、長軸方向に残余部分が残るようにしたものである。
図13(b)に示す例では、セフティロックピン620bの断面形状を、絞り形状としたものである。即ち、横長な矩形の長辺部分を、中央において互いに接近するように屈曲させたものである。言い換えると、短辺側の幅を狭くして、最小幅を更に小さくしたものである。このように、最小幅を小さくすれば、この最小幅部分に孔を開けた場合に、残余部分が更に多くなる。
図13(c)に示す例では、セフティロックピン620cを中抜き形状としたものである。即ち、2本の円柱を、間隔を開けて並立させたものである。このようにすれば、2本の円柱の間にドリルを立てても、円柱の一部を切削できるだけであって、残余部分が大きく残ることになる。なお、円柱を3本以上とすることもできる。また、円柱に限ることなく、角柱とすることも可能である。
図13(d)に示す例では、矩形のセフティロックピン620dを、ほゞ一対角線に沿って二分割したものである。言い換えると、ほゞ直角三角形状の角柱を、互いに対向させて配置したといってもよい。このようにしても、孔を穿設する際に、残余部分が残ってしまうし、大きな孔を開ければ、案内部601、602まで切削してしまい、痕跡が残ってしまう。
図14は、セフティロックピン620に設けた中抜き部624に、切削阻止部材627を嵌め込んだものである。切削阻止部材627は、金属製、例えば鉄製の円柱体であって、この切削阻止部材627に切削工具であるドリルの刃先があたると、当該切削阻止部材627がドリルと共に回転するので、即ちドリルが空回りしてしまうので、それ以上切削することができなくなる。
図15は、案内部601、602に切断部604を設けたものである。この実施例においては、4箇所に切断部604が設けてあり、この切断部604から切断することにより、セフティロックピン620を外すことができるようになっている。勿論、切断部604を切断してセフティロックピン620を外すということは、正規に許可された場合に限られる。
図16は、図15の平面図であって、前記したように、切断部604を正面に設け、かつ側面(上面)からセフティロックピン620を嵌入させることで、切断部604と封印の状態を正面から確認し易くなる。また、ケース固定部材540に装着することにより、鍔部622がケース固定部材540に埋設されてしまい、封印を実質的に除去できなくなる。
図17は、図15及び図16に示す実施例におけるセフティロックピン620の断面図である。この実施例では、セフティロックピン620の最大幅を変えずに、最小幅を段階的に減少させている。即ち、セフティロックピン620の鍔部622に連なる第1の支持部621aの幅が一番大きく、次に第2の支持部621bの幅が大きく、第3の支持部621cの幅が一番小さい。
そこで、案内部601の案内孔6511、6512、6513、6541、及び案内部602の案内孔6521、6522を、前記セフティロックピン620の各支持部621a、621b、621cに対応させて設ける。
このようにすれば、不正行為の防止効果を落とすことなく、セフティロックピン620の小型化が可能である。また、図17に示す実施例では、連結部材625の中間に係止ピン6253を設け、この係止ピン6253を、案内部600に設けた係止孔680に係止させ、セフティロックピン620の紛失を防止するようになっている。
図18は、図15及び図16に示す実施例におけるセフティロックピン620の側方からの断面図である。この実施例では、前部カバー部材510と後部カバー部材520とを組み合わせた案内部601、602に、横方向の案内孔651、652を設け、セフティロックピン620を横方向から挿入したものである。この実施例によっても、セフティロックピン620を切削することが困難で、不正な改造を防止できる。
以上、本発明を図示の実施例について説明したが、本発明は前記した各実施例に限定されるものではなく、特許請求の範囲に記載した構成を変更しない限り適宜に実施できる。