JP2005065749A - 遊技機 - Google Patents
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Abstract
【課題】遊技機の整備性を損なうことなくコネクタ部分で接続不良が発生することを防止する。
【解決手段】遊技の信号を司る主制御基板が、遊技球の払い出しに関わる情報をやりとりする信号ケーブルのコネクタを、該コネクタとは別体に設けられた抜け止め部材によって、着脱可能な状態で抜け止めする。遊技機の搬入時、据え付け時、整備時には、信号ケーブルのコネクタが緩んで接続不良を起こし、これによって遊技機の動作が不安定となることがある。これに対して、コネクタを着脱可能に抜け止めしておけば、遊技機の整備性を損なうことなく、コネクタの接続不良を確実に且つ簡便に回避することができ、遊技機の動作が不安定となることも防止することができる。
【選択図】 図27
【解決手段】遊技の信号を司る主制御基板が、遊技球の払い出しに関わる情報をやりとりする信号ケーブルのコネクタを、該コネクタとは別体に設けられた抜け止め部材によって、着脱可能な状態で抜け止めする。遊技機の搬入時、据え付け時、整備時には、信号ケーブルのコネクタが緩んで接続不良を起こし、これによって遊技機の動作が不安定となることがある。これに対して、コネクタを着脱可能に抜け止めしておけば、遊技機の整備性を損なうことなく、コネクタの接続不良を確実に且つ簡便に回避することができ、遊技機の動作が不安定となることも防止することができる。
【選択図】 図27
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は遊技機に関し、特にいわゆる第1種パチンコ機、第2種パチンコ機、第3種パチンコ機、またはアレンジボール遊技機等の弾球遊技機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、デジパチと呼ばれる第1種パチンコ機、羽根物と呼ばれる第2種パチンコ機、権利物と呼ばれる第3種パチンコ機、アレパチ(タイヨーエレック(株)登録商標)と呼ばれるアレンジボール遊技機などの遊技機として、遊技盤上に設けられた入賞口に向かって遊技球を発射し、発射した遊技球が首尾良く入賞口に入球したときに、所定数の遊技球が賞球として払い出される遊技機が知られている。この種の遊技機の枠体には、遊技盤や、遊技球を発射するための発射装置などが取り付けられており、遊技盤には入賞口や、障害物、役物などが設けられている。また、その背面側には、遊技全体の進行を制御する主制御基板や、主制御基板からのコマンドを受けて遊技球を払出したり、画像を表示したり、効果音を出力するといった制御をそれぞれ司る副制御基板などが設けられている。
【0003】
入賞口には遊技球の入球を検出するセンサが設けられており、遊技球が入球すると、センサはこれを検知して主制御基板に向けて信号を出力する。センサと主制御基板とは信号ケーブルで接続されており、主制御基板はセンサからの信号を受け取ると所定の処理を行った後、所定数の遊技球を払出す旨のコマンドを副制御基板に向けて出力する。出力されたコマンドは信号ケーブルを介して副制御基板に伝達され、副制御基板は賞球払出装置を制御して所定数の遊技球の払出しを行う。このように遊技機の背面側には、センサからの信号や各種コマンドを伝達するための多数の信号ケーブルが設けられており、これら信号ケーブルは、その両端がコネクタによってセンサや各種制御基板に接続されている。
【0004】
こうした遊技機では、センサからの信号ケーブルを抜き取って遊技球を不当に払い出させる行為を防ぐために、例えばコネクタ全体を箱の中に収納してしまう技術が提案されている(特許文献1)。
【0005】
【特許文献1】
特開2003−175237号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、遊技機の背面側には多数の信号ケーブルが設けられていることから、故意に抜き取るのではなくても、遊技機の据え付け時や整備時などに信号ケーブルを引っかけてしまうなどして、コネクタの取付部分に緩みが生じて軽微な接続不良を起こすことがある。このような軽微な接続不良が発生すると、遊技の停止にまでは至らないまでも動作が不安定になってしまうという問題がある。
【0007】
また、例えば前記センサと主制御基板とを接続する信号ケーブルのコネクタ取付部分に緩みが生じて、該コネクタの接続状態が一時的に非接続状態なる形態の接続不良が発生すると、主制御基板はこの接続不良をセンサによる遊技球の入球検知と誤認識してしまい、実際にはセンサに遊技球の入球が検知されていないにも関わらず、遊技球の払い出しが行われてしまうことがある。このように接続不良が原因で遊技球の払い出しが行われる不安定な動作は、遊技球を不正に払い出させる不正行為を招く恐れがある。
【0008】
もちろん、信号ケーブルを引っかけた程度では接続不良を起こすことのないように、コネクタを大きくて頑丈なものに変更してやれば、こうした問題を防ぐことはできるが、それほどに大きなコネクタに変更しようとすると制御基板の再設計が必要となってしまう。あるいは、小型のコネクタを用いたままでも、組立時に接着などの手段を用いてコネクタの雌側と雄側とを固着してしまえば、接続不良の発生を回避することはできるが、これでは遊技機の枠体から遊技盤や制御基板のみを付け替えることで遊技機の機種を変更することができなくなってしまう。
【0009】
本発明は、従来技術における上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的は、コネクタ部分で軽微な接続不良が発生することを回避して、遊技機の安定した動作を簡便に確保可能な技術の提供を目的とする。
【0010】
また本発明は、発生した接続不良を容易に発見することで、遊技機の安定した動作を簡便に確保可能な技術の提供も目的とする。
【0011】
更に本発明は、コネクタの取付部分を意図的にゆるめて接続不良を発生し易くしたり、信号ケーブルを抜き取るなどして遊技球を不正に払い出させる行為を、簡便に防止可能な技術の提供も目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上述した課題の少なくとも一部を解決するために、本発明の遊技機は次の構成を採用した。すなわち、
遊技盤面上に発射した遊技球が所定位置を通過することにより、所定数の遊技球を払い出す遊技機であって、
遊技の進行を司る主制御基板と、
前記遊技球の払い出しに関わる情報を前記主制御基板が外部とやりとりするための信号ケーブルと
を備え、
前記信号ケーブルの少なくとも一端に設けられたコネクタと該コネクタの相手部材とは、該コネクタとは別体に設けられた抜け止め部材によって、着脱可能な状態で抜け止めされていることを特徴とする。
【0013】
こうした遊技機では、遊技球を賞球として払い出す遊技が行われる関係上、払い出し動作が不安定となると、遊技の進行が大きく阻害されることになる。これに対して本願発明のように、主制御基板が払い出しに関わる情報をやりとりする信号ケーブルのコネクタを、該コネクタとは別体に設けられた抜け止め部材を用いて抜け止めしておけば、遊技機の据え付け時や整備時などに信号ケーブルを引っかけるなどして軽微な接続不良が発生し、遊技球の払い出し動作が不安定となることを、確実に且つ簡便に回避することができる。
【0014】
また、遊技機は一般に、遊技盤を変更してやれば、遊技機全体を取り替えずとも遊技内容を変更することが可能であるが、一般的に遊技盤を変更するためには主制御基板を取り外す必要がある。また、日常的に行われる遊技機の点検・整備時においても、主制御基板を取り外す必要がしばしば発生する。本願発明によれば、こうした信号ケーブルのコネクタは、相手部材に対して着脱可能に抜け止めされている。従って、必要に応じてコネクタを相手部材から取り外すことが可能となるので好適である。加えて、コネクタとは別体に設けられた抜け止め部材を利用すれば、コネクタと相手部材とを着脱可能に構成することも、更に、実際に着脱することも簡便に実施することができるので好ましい。
【0015】
更に、こうして抜け止め部材を用いてコネクタを抜け止めしておけば、仮に抜け止め部材が外れたり、緩んだ場合にも、遊技機の点検時にこれを容易に発見することができる。このため、コネクタの接続状態を常に適切な状態に保つことができるという利点も得られる。
【0016】
上記の遊技機においては、主制御基板が遊技球の払い出しに関わる情報を外部とやりとりする信号ケーブルの中で、特に主制御基板に情報を入力する信号ケーブルのコネクタを、該相手部材に対して着脱可能に抜け止めすることとしても良い。
【0017】
遊技機の構造上の理由から、主制御基板の入力側の信号ケーブルは出力側のケーブルよりも、整備中にケーブルを比較的引っかけてしまい易い位置にある。更に、入力側の信号ケーブルは遊技機の前面側に接続されている場合が多いので、入力側のコネクタには、遊技中に遊技機の前面側から伝わる振動が、出力側のコネクタよりも伝わり易い傾向にある。従って、主制御基板に情報を入力する信号ケーブルのコネクタを、着脱可能に抜け止めすることとしておけば、払い出し動作の動作不良を効果的に回避することが可能となる。
【0018】
また、発射された遊技球が所定位置を通過したことを検出する遊技球通過センサと、信号ケーブルとを接続するためのコネクタを、抜け止め部材を用いて着脱可能に抜け止めすることとしても良い。
【0019】
遊技球通過センサは遊技機の前面側に搭載される関係上、遊技中に振動を受け易く、従って軽微な接触不良が発生した場合には、振動によって動作が不安定となり易い傾向にある。このことから、遊技球通過センサと信号ケーブルとをつなぐコネクタを抜け止めしておけば、払い出し動作が不安定となることを効果的に回避することが可能となって好適である。
【0020】
上述した遊技機においては、信号ケーブルと主制御基板とを接続するためのコネクタを、主制御基板に対して着脱可能に抜け止めすることとしてもよい。
【0021】
このように、信号ケーブルと主制御基板とを接続するためのコネクタ部分で着脱可能としておけば、主制御基板を取り外す際に、信号ケーブルが主制御基板についてこないので、取り外し作業が容易になるという利点がある。
【0022】
加えて、主制御基板のコネクタは目に付き易いので、抜け止め部材が設けられていることも容易に認識されることになる。このように、抜け止め部材が設けられていれば、仮にコネクタ部分で軽微な接続不良を生じさせようと意図した場合でも、こうした意図を断念させることができるという効果もある。
【0023】
遊技球の払い出しに関わる情報をやりとりするための信号ケーブルを複数備える遊技機においては、これら全ての信号ケーブルのコネクタを、一体に形成された抜け止め部材を用いて、着脱可能に抜け止めすることとしても良い。ここで、信号ケーブルがそれぞれのコネクタで接続されている場合は、これら全てのコネクタを抜け止めすればよい。また、これら複数の信号ケーブルが1つのコネクタで主制御基板に接続されている場合は、このコネクタを抜け止めすればよい。
【0024】
このように、抜け止め部材が一体に形成されていれば、僅かな手間で抜け止め部材を取り付けることができるので、コネクタを簡便に抜け止めすることが可能となって好適である。
【0025】
また、抜け止め部材をコネクタの抜け方向から被せ、主制御基板に設けた貫通孔で抜け止め部材を固定されることによって、コネクタを抜け止めすることとしてもよい。
【0026】
こうすればコネクタを簡便に抜け止めすることが可能であるとともに、抜け止め部材も簡素な構造とすることができる。こうして簡素な構造であれば、抜け止め部材を小形化することができる。また、通常の基板についても、貫通孔を設けてやれば、コネクタを簡単に抜け止めすることが可能となるので好適である。
【0027】
あるいは、コネクタの抜け方向に対して交差する方向から、抜け止め部材をスライドさせるようにしてコネクタに被せ、主制御基板側と係合させてコネクタの抜け方向への移動を規制することによって、コネクタを抜け止めすることとしてもよい。
【0028】
このようにすれば、抜け止め部材はコネクタの抜け方向には動かないので、コネクタを着脱可能な状態で簡便に抜け止めすることが可能となって好ましい。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下では、上述した本願発明の内容を明確にするために、次のような順序に従って本願の実施例を説明する。
A.パチンコ機の装置構成:
A−1.全体構成:
A−2.遊技盤の表面構造:
A−3.裏面構造:
A−4.パチンコ機の制御回路の構成:
B.賞球動作の概要:
C.制御ジョブの概要:
C−1.主制御部メインジョブ:
C−2.普通図柄制御ジョブ:
C−3.特別図柄制御ジョブ:
C−4.サブ基板メインルーチン:
D.コネクタの抜け止め構造:
D−1.第1実施例の抜け止め部材:
D−2.第2実施例の抜け止め部材:
D−3.第3実施例の抜け止め部材:
D−4.第4実施例の抜け止め部材:
【0030】
A.パチンコ機の装置構成:
本発明は、いわゆる第1種パチンコ機、第2種パチンコ機、第3種パチンコ機、あるいはアレンジボール遊技機などの弾球遊技機一般に適用することができるが、以下では、デジパチと呼ばれるタイプの第1種パチンコ機(弾球遊技機)を例にとって本実施例につき説明する。
【0031】
A−1.全体構成:
先ず初めに、図1および図2を参照しながら本実施例のパチンコ機1の大まかな構造について説明する。図1は、パチンコ機1の前面側(すなわち、遊技者の側)から見たときのパチンコ機1の正面図である。また、図2は、パチンコ機1を斜め上方から見たときの斜視図である。図示されているように、パチンコ機1は主に、木製の板状体を略長方形の額縁状に組み立てて固着した外枠(本体枠とも言う)2と、外枠2の前面に開閉可能に軸支されたプラスチック製の中枠3と、中枠3の左端部で開閉可能に軸支されたプラスチック製の前面枠4と、前面枠4の下方に設けられた上皿部5および下皿部6と、中枠3の右側に設けられて前面枠4の施錠を行う施錠装置7と、中枠3の前面側に取り付けられた図示しない遊技盤などから構成されている。上皿部5は、前面枠4を施錠したときに前面枠4のちょうど下側に来る位置に、中枠3に対して開閉可能に軸着されている。また、下皿部6は、上皿部5の下方の位置で中枠3に取り付けられている。
【0032】
図1に示されているように、前面枠4はパチンコ機1の前面の略2/3を占めており、そのほぼ中央部には略円形の開口部4aが形成されている。後述する遊技領域は、この開口部4aの内側に形成される。開口部4aの左方には略円弧状の左LED表示部4bが、更にその外側上方には左上LED表示部4dが設けられ、一方、開口部4aの右方には略円弧状の右LED表示部4cが、その外側上方には右上LED表示部4eが設けられている。また、開口部4aの上方で且つ、左LED表示部4bおよび右LED表示部4cの間には、略円形状の中上LED表示部4fが2つ並べて配置されている。これら2つの中上LED表示部4fの間には、2つの賞球LED表示部4gが設けられている。これらのLED表示部4d〜4gは、遊技効果を高めることなどを目的として、遊技の進行に応じて点灯および消灯あるいは点滅する。また、賞球LED表示部4gの上方には、略扇形状のエラーLED表示部4hが設けられている。更に、前面枠4の裏面側にはガラス枠41sが取り付けられており、ガラス枠41sには二枚のガラス板41rが装着されている(図2参照のこと)。パチンコ機1の遊技者は、このガラス板41rを介して遊技領域を目視することが可能となっている。遊技領域については、後ほど詳しく説明する。
【0033】
前面枠4の下方に設けられた上皿部5には、複数の長孔を有する第1音声出力部5cと、皿外縁部5aと、パチンコ機1の内部の遊技球を上皿部5に排出するための排出口5bなどが設けられている。第1音声出力部5cには、遊技状態に応じて効果音あるいは音声などを発生するためのスピーカー400aと、後述する音量スイッチ基板12とが接続されている。尚、本実施例のスピーカー400aは、中高音用ユニット(ツィータ)および低音用ユニット(ウーハ)を含んだマルチウェイ方式とされており、第1音声出力部5cには、中高音用ユニット(ツィータ)が図示しないダクトを介して接続されている。また、低音用ユニット(ウーハ)は、後述する第2音声出力部6dに、図示しないダクトを介して接続されている。皿外縁部5aには玉抜きボタンや遊技球の貸出・返却ボタンなどが設けられている。また、本実施例の上皿部5には、前面左端側の部位に、2つの操作スイッチSW1およびSW2が設けられている。更に、上皿部5には、貯留されている遊技球を発射装置に供給するための図示しない供給装置や、遊技球を発射するための図示しない発射装置ユニットなどが設けられている。
【0034】
上皿部5の下方に設けられた下皿部6には、略中央部に排出口6aが設けられており、下皿部6の左端には灰皿6bが、右端には発射ハンドル9が設けられている。排出口6aからは、パチンコ機1の内部から下皿部6に遊技球が排出されてくる。また、下皿部6の底面には図示しない球抜き孔が設けられている。球抜き孔は通常時には閉鎖されているが、下皿部6の略中央手前側に設けられた排出ノブ6cを操作して球抜き孔を開放状態とすれば、下皿部6に貯留された遊技球をパチンコ機1から排出することができる。排出ノブ6cは、プルロック式のノブであり、通常は直立状態となっている。そして、排出ノブ6cの上端を手前側に倒すと、ノブの動きに連動して球抜き孔が開放状態となり、下皿部6から遊技球が排出される。また、遊技者が排出ノブ6cを押すとノブのロックが解除され、排出ノブ6cを直立状態に戻して、球抜き孔を閉鎖状態に戻すことができる。この排出ノブ6cの右側下面および左側下面には、前述した第2音声出力部6dが設けられている。
【0035】
発射ハンドル9は、遊技領域に向かって遊技球を射出する図示しない発射装置ユニットに接続されており、パチンコ機1の遊技者は発射ハンドル9を操作することによって遊技球の発射動作を制御することができる。発射ハンドル9には、遊技者がハンドルに触れていることを検出するタッチスイッチ9aが装着されており、その近傍には、遊技球の発射を一時的に停止するための発射停止スイッチ9bが装着されている。また、パチンコ機1の左端側には、プリペイドカードユニット13が設けられている。
【0036】
次に、図2を参照しながら、中枠3の構成について説明する。中枠3は、枠体部3aと下板部3bとを備えている。このうち枠体部3aは、前述した前面枠4を施錠すると前面枠4がちょうど覆い被さるような位置に、すなわち中枠3の上端から下方に向かって略2/3の大きさを占める位置に設けられている。また、下板部3bは、上皿部5および下皿部6に対応する位置、すなわち中枠3の下端から上方に向かって略1/3の大きさを占める位置に設けられている。
【0037】
枠体部3aの上部には、前面枠4の枠飾りランプ用レンズ4bに対応する位置に、図示しない複数個の遊技効果ランプと、前面枠4の枠飾りLED用レンズ4cに対応する位置に、図示しない賞球表示LEDと、同じく枠飾りLED用レンズ4eに対応する位置に、図示しないストップ表示LEDなどが設けられている。更に枠体部3aには、遊技効果ランプの点滅を制御するための枠飾りランプ基板4gと、賞球表示LEDの点滅を制御するための賞球表示LED基板4dと、ストップ表示LEDの点滅を制御するストップ表示LED基板4fなどの各種基板も取り付けられている。これら基板の詳細については後述する。
【0038】
ここで、図1に示した各種のLED表示部4b〜4hを駆動する各種LED基板の位置関係について説明する。図3は、各種LED基板4i〜4oの位置関係を示す説明図である。図示されている各種LED基板4i〜4oは、中枠3の枠体部において、上述の各種LED表示部4b〜4hに対応する位置に設けられている。具体的には、左LED基板4iは左LED表示部4bに対応し、右LED基板4jは右LED表示部4cに対応し、左上LED基板4kは左上LED表示部4dに対応し、右上LED基板4lは右上LED表示部4eに対応している。また、中上LED基板4mは中上LED表示部4fに対応し、賞球LED基板4nは賞球LED表示部4gに対応し、エラーLED基板4oはエラーLED表示部4hに対応している。
【0039】
A−2.遊技盤の表面構造:
次に、遊技盤10の構成について説明する。図4は、遊技盤10の表面の構造を示した説明図である。図示するように遊技盤10は、木製で略長方形の板状体であって、中枠3の表面側に着脱可能に取り付けられているとともに、その背面側は後述する裏機構盤102(図6参照)によって覆われている。遊技盤10の表面には外レール14と内レール15とが設けられており、これらレールに囲まれた部分に、略円形状の遊技領域11が形成されている。
【0040】
遊技領域11内には、略中央部に設けられて特別図柄表示装置27を備えた中央装置26と、遊技領域11の下部に設けられた変動入賞装置18と、中央装置26と変動入賞装置18との間に設けられた第一種始動口(普通電動役物)17と、変動入賞装置18の左上方および右上方にそれぞれ設けられた左入賞口19および右入賞口20などが備えられている。また、左入賞口19と第一種始動口17との間には普通図柄作動左ゲート36が、右入賞口20と第一種始動口17との間には普通図柄作動右ゲート37が設けられている。更に、中央装置26の左右には一対のランプ風車24,25が設けられ、遊技領域11の左右両端部には縦円弧状の一対のサイドランプ38、39がそれぞれ相対称状に配設されている。これら各遊技装置の間および周辺には、多数の障害釘23が設けられている。
【0041】
中央装置26には、その中央には前述の液晶表示装置(特別図柄表示装置)27が設けられ、上部には4個の赤色LEDから構成された特別図柄保留表示LED16aが設けられている。液晶表示装置27の表面には、大きさが縦50〜120mm、横80〜200mmで平面略矩形状の表示部271が設けられており、図柄可変表示部としての表示部271には、特別図柄(特別遊技識別情報)や時短に関する情報が表示される主表示部272と、普通図柄が表示される普通図柄表示部位32と、後述する確変に関する情報を表示する第4図柄が表示される第4図柄表示部位33が設けられている。主表示部272には左、中、右の3つ表示領域が設けられており、それぞれの領域に左図柄、中図柄、右図柄の3つの特別図柄を変動表示することが可能となっている。詳細には別図を用いて後述するが、本実施例のパチンコ機1では、これら特別図柄の変動表示後、停止した時の各図柄の組合せに応じて遊技状態を変化させることにより、遊技者の興趣を向上させることが可能となっている。また、普通図柄表示部位32は、上普通図柄表示部位32aと下普通図柄表示部位32bとから構成されており、それぞれの部位は赤色あるいは緑色に点灯可能となっている。尚、本実施例のパチンコ機1では、普通図柄表示部位32や第4図柄表示部位32は、表示部271内に設けられているが、これらを表示部271とは別に設けた表示部に設けることとしてもよい。
【0042】
特別図柄の変動表示は、第一種始動口(普通電動役物)17に遊技球が入球することによって開始されるが、特別図柄の変動表示中に遊技球が入球した場合には、最大4つまで入球が保留として蓄えられる。特別図柄保留表示LED16aは、こうした保留が発生するたびに赤色LEDが順次シフトしながら点灯する。また、次の特別図柄の変動が開始されると、そのたびに保留数が消化されて点灯中の赤色LEDが一つ消灯する。このように特別図柄保留表示LED16aは、現在の保留数を表示する機能を有している。特別図柄の変動表示の詳細な内容については後述する。
【0043】
変動入賞装置18は、大入賞装置31と、その左右に左下入賞口21および右下入賞口22とがそれぞれ設けられており、左下入賞口21の下方には複数個の左下入賞口LED223が、また、右下入賞口22の下方には複数個の右下入賞口LED224が設けられている。これらLEDは飾りレンズによって覆われており、左下入賞口LED基板21f(図6参照)および右下入賞口LED基板22f(図6参照)によって点滅動作が制御されている。大入賞装置31を初めとして、これら全ては、前面側が略逆台形状に形成された基板34に装着されている。また、左下入賞口21の内部には左下入賞口通過検知スイッチ21s(図6参照)が、右下入賞口22の内部に右下入賞口通過検知スイッチ22s(図6参照)が設けられている。
【0044】
大入賞装置31は、略中央に形成されて帯状に開口した大入賞口311と、この大入賞口311を開放・閉鎖する開閉板312と、この開閉板312を開閉するための大入賞口ソレノイド313(図6参照)と、大入賞口311に入賞した後に遊技球が通過する特定領域(V入賞口及び一般入賞口/図示略)と、図示しない連動杆と、入賞球を検知する入賞球検知スイッチ318(図6参照)と、裏箱(図示略)と、大入賞口中継基板(図示略)などから構成されている。前述した液晶表示装置27の表示部271で特別図柄の変動表示が開始され、所定の図柄で停止すると、大入賞口311が開放される。
【0045】
第一種始動口(普通電動役物)17は、左右に一対の翼片部が開閉可能に構成されたいわゆるチューリップ式の始動口であり、その前面に設けられた飾りとともに、基板34に取り付けられている。第一種始動口17の内部には、遊技球の通過を検出する第一種始動口(普通電動役物)入賞検知スイッチ17s(図6参照)と、翼片部を作動させるための第一種始動口(普通電動役物)ソレノイド17c(図6参照)とが備えられている。一対の翼片部が左右に開くと、遊技球の入球可能性が大きくなる開放状態となり、一対の翼片部が立設され、遊技球の入球可能性が小さくなる通常状態となる。
【0046】
翼片部の開閉は次のようにして行われる。第一種始動口17の左右に設けられた普通図柄作動左ゲート36、普通図柄作動右ゲート37のいずれかを遊技球が通過すると、普通図柄作動左ゲート36および普通図柄作動右ゲート37の内部にそれぞれ設けられた左、右普通図柄作動ゲート検知スイッチ36s、37s(図6参照)で検出され、表示部271の内部に設けられた上普通図柄表示部位32aおよび下普通図柄表示部位32bの変動表示が開始される。そして、これらの普通図柄表示部位32が所定の図柄(例えば、上普通図柄表示部位32aが赤色に点灯し、下普通図柄表示部位32bが緑色に点灯した状態)で停止すると、所定時間(例えば、0.5秒間)だけ第一種始動口17の翼片部が開放される。
【0047】
尚、この普通図柄表示部位32を、例えば、中央装置26の上部中央等に配置する普通図柄表示装置によって構成してもよい。この普通図柄表示装置としては、7セグメント表示器と、普通図柄保留表示とを有するものを例示できる。この7セグメント表示器としては、1〜9の奇数数字を変動表示させるもので、後述する左右の普通図柄作動ゲート36、37のいずれかを遊技球が通過することにより変動して、所定時間経過後に1種類の奇数数字が停止表示されるものを例示できる。そして、この普通図柄表示装置において、例えば「7」で停止表示すると、第一種始動口(普通電動役物)が所定時間(例えば、0.5秒)開放することとしてもよい。
【0048】
前述したように、液晶表示装置27における特別図柄の変動表示は第一種始動口(普通電動役物)17に遊技球が入球することによって開始され、特別図柄が所定の図柄で停止すると大入賞口311が開放される。従って、遊技球が普通図柄作動左ゲート36あるいは普通図柄作動右ゲート37を通過すると、第一種始動口17が開放状態となって入球し易くなり、特別図柄の変動が頻繁に開始され、延いては大入賞口311が開放し易くなる。
【0049】
また、変動入賞装置18の上方左右に取り付けられた左入賞口19および右入賞口20の内部には、それぞれ左入賞口通過検知スイッチ19s(図6参照)、右入賞口通過検知スイッチ20s(図6参照)が設けられている。
【0050】
遊技盤10の下方にはアウト口48が設けられ、そのアウト口48の下部にはバック球防止部材58が設けられており、遊技領域11に到達せず戻ってきた遊技球が再び発射位置に戻ることを防止している。一方、ファール球防止部材59は、内レール15の先端部に取り付けられ、返しゴム60は、ファール球防止部材59の位置とは略正反対側の、遊技盤10の右半分側の位置であって、外レール14に沿って嵌合状に取り付けられている。
【0051】
以上、パチンコ機1の表面構造について説明したが、最後に上皿部5の前面左端部に設けられた2つの操作スイッチSW1,SW2の働きについて説明しておく。操作スイッチSW1、SW2は、表示部271で表示される演出の形態を、選択する作用を有している。つまり、遊技者が、この操作スイッチSW1、SW2を操作すると、所定の条件の下、表示部271で表示される演出の形態を変更することができる。このため、遊技者は、あたかも、表示部271で表示される演出に実際に参加しているような気分を味わうことができる。
【0052】
本パチンコ機1では、2つの操作スイッチSW1、SW2を備えると共に、一方の操作スイッチ(以下、「第1の操作スイッチ」という。)SW1が「演出モードの選択用スイッチ」とされ、他方の操作スイッチ(以下、「第2の操作スイッチ」という。)SW2が「演出モードの確定用スイッチ」とされている。後述する疑似図柄表示が変動しているときに、遊技者が第1の操作スイッチSW1を操作すると、図柄の背景を変更するための表示が点滅を開始し、点滅を介してから所定の時間(例えば、5秒)内に、第2の操作スイッチSW2を操作すると、複数種類(例えば、10種類)の背景図柄から所望の背景を選択することができる。
【0053】
また、図柄の背景を変更するための表示が点滅状態となった後に、当該所定の時間(例えば、5秒)内に、第1の操作スイッチSW1を再び操作すると、キャラクターを選択するための表示が点滅を開始し、点滅状態となってから所定の時間(例えば、5秒)内に、第2の操作スイッチSW2を操作すると、複数種類(例えば、3種類)のキャクター図柄から所望のキャクターを選択することができる。更に、背景やキャクターを変更するための表示部分が点滅状態となってから所定の時間(例えば、5秒)放置すると、これらの点滅状態を終了し、現在選択している背景やキャラクターがそのまま選択され続けることになる。
【0054】
また、後述する疑似図柄表示がリーチ表示を行っているときや、表示部271でいわゆる予告表示を行った後に、操作スイッチ(SW1及びSW2のうちの少なくとも一方)を操作すると、これらの表示の信頼性(実際の大当りとなる確率)を示す表示が表示部271内に現れる。
【0055】
ここで、本パチンコ機1が、複数段階で発展する「発展型」のリーチ表示を行う場合には、操作スイッチ(SW1及びSW2のうちの少なくとも一方)を以下のように用いることもできる。即ち、疑似図柄で発展のリーチ表示がなされる場合には、リーチ表示が発展する従って表示する信頼度を高めることで、本パチンコ機1の遊技上の興趣をより一層高めることができる。例えば、信頼度が「30%」の「発展型」のリーチ表示において、発展の初期段階に操作スイッチ(SW1及びSW2のうちの少なくとも一方)を操作すると、リーチ表示の信頼度として実際よりも低い信頼度を表示する(例えば、10%)。そして、発展の中期段階に、操作スイッチを操作すると、初期段階のリーチ表示の場合よりも、高い値を示すが、実際よりも低い信頼度を表示する(例えば、20%)。更に、発展の最終段階で、操作スイッチを操作すると、実際の信頼度を表示することとすれば、遊技者は、リーチ表示の発展に沿って上昇する信頼度を期待感をもって認識することができる。
【0056】
但し、遊技者がパチンコ機1によって行われる演出に参加するための参加手段は、この操作スイッチSW1、SW2に限定されるものではない。例えば、このような操作スイッチSW1、SW2や参加手段を遊技者が操作することで、スピーカー400aから発音される効果音を変更可能とすることもできる。
【0057】
A−3.裏面構造:
次に、パチンコ機1の裏面構造について説明する。図5は、本実施例のパチンコ機1の裏面構造を示した説明図である。本実施例では、パチンコ機1の裏面構造は、大きな裏機構盤102の上に各種装置が搭載された構造となっており、裏機構盤102は、一対のヒンジ103によって中枠3に開閉可能に軸支されている。図5では、ヒンジ103は、中枠3右側の上端付近および下端付近に示されている。
【0058】
裏機構盤102には、遊技球が蓄えられる賞球タンク105と、賞球の払出を行う賞球払出装置109と、前述した液晶表示装置27が格納された蓋付きの裏ケース111と、後述する主制御基板340が格納された主制御基板ケース112と、前述した発射装置ユニットを制御する発射装置制御基板が格納された発射装置制御基板ケース113と、賞球払出装置109を制御する払出制御基板が格納された払出制御基板ケース118と、主制御基板340と各種スイッチ類とを中継する中継基板190などが搭載されている。
【0059】
賞球タンク105には底部にタンク球切れ検知スイッチ104が設けられており、球切れを検出することができる。賞球タンク105と賞球払出装置109とは、タンクレール106によって接続されており、図上でタンクレール106の右側には球抜きレバー107が設けられ、またタンクレール106の下流側には図示しない補給球切れ検知スイッチが設けられている。更に、賞球払出装置109の下流側には、球技球の振り分け部が設けられている。尚、図5では、図示が煩雑となることを避けるために、振り分け部の表示は省略されている。
【0060】
また、主制御基板ケース112、中継基板190や、払出制御基板ケース118などの各種基板は、裏機構盤102に回動自在に懸架された図示しない金属板に、着脱自在に装着されている。
【0061】
裏機構盤102の右上端部には、ヒューズボックス119、電源スイッチ120、電源ターミナル基板121および大当り、発射装置制御、球切れ、扉開放、賞球、球貸し用等の遊技機枠用外部接続端子を備えた端子基板122が設けられている。尚、電源ターミナル基板121には、ラムクリア信号を発生させるためのラムクリアスイッチ(図示を省略)を接続してもよい。また、端子基板122の上側には、外部からの電力の供給を受けるための電源ケーブル123も配設されている。更に、払出制御基板ケース118からは接続ケーブル124が上方へ延出し、電源ケーブル125を備えたプリペイドカードユニット13に接続されている。また、裏機構盤102の略中央下端部には、下皿部用球通路部材126が設けられている。
【0062】
A−4.パチンコ機の制御回路の構成:
次に、本実施例のパチンコ機1の制御回路の構成について説明する。図6は、本実施例のパチンコ機1に搭載された電子制御装置130における制御回路の構成を示したブロック図である。図示されているように、電子制御装置130は、その機能に着目すると、主制御部140と、複数の副制御部とから構成されている。また副制御部は、主制御部140に直接に接続された第1次副制御部と、第1次副制御部を介して主制御部140に接続された第2次副制御部とから構成されている。主制御部140と第1次副制御部とは信号伝送経路500aによって接続されている。尚、パチンコ機の機種によっては、第1次副制御部と第2次副制御部とを介して主制御部140に接続される第3次副制御部が設けられている場合もある。
【0063】
図示されているように、本実施例の電子制御装置130には、第1次副制御部として、払出制御部150と音声・ランプ制御部170とが設けられており、第2次制御部として、払出制御部150に接続された発射装置制御部193と、音声・ランプ制御部170に接続された図柄制御部160とが設けられている。
【0064】
主制御部140から、払出制御部150および音声・ランプ制御部170へは、一方向形式若しくは双方向形式でデータが伝送される。また、本実施例では音声・ランプ制御部170から図柄制御部160へも一方向形式でデータが伝送されるものとして説明するが、音声・ランプ制御部170と図柄制御部160との間では双方向形式でデータを伝送することとしてもよい。
【0065】
また、図6に示した破線の矢印は、各制御部140ないし180への電源供給経路を表している。図示されているように、電源は先ず初めに電源受電基板410に供給され、電源ユニット420で所定電圧に変換された後、分電基板430から各制御部140ないし180に電力が供給される。更に、電源投入時には、後述するシステムリセット信号が全制御基板に送信される。
【0066】
詳細には後述するが、主制御部140は各種スイッチや検知器などからの情報を受け取って所定の演算を行った後、払出制御部150や音声・ランプ制御部170に各種のコマンドを出力するとともに、各種の基板やソレノイドなどに駆動信号を出力する。以下では、主制御部140や、払出制御部150、音声・ランプ制御部170、図柄制御部160、各種基板などの構成について順番に説明する。
【0067】
主制御部140は、主制御基板ケース112に格納された主制御基板340によって主に構成されており、主制御基板ケース112は、不正行為者が容易に開閉できないような構造に形成されている。図7は、主制御基板340の構成を概念的に示した説明図である。図示されているように、主制御基板340は、CPU401を含む主回路部400と入出力回路部500とが、バスで接続されて相互にデータをやりとり可能に構成されている。主回路部400には、CPU401と、発振部410と、リセット回路部450と、I/Oデコード回路部420と、データバス安定化部411と、第1外部入力回路部430などが設けられている。
【0068】
図8は、CPU401の詳細な構造を示した説明図である。図8に示すようにCPU401は、CPUコア480と、内蔵RAM481と、内蔵ROM482と、メモリ制御回路483と、クロック発生器484と、アドレスデコーダ485と、ウオッチドッグタイマ486と、カウンタ/タイマ487と、パラレル入出力ポート488と、リセット/割り込みコントローラ489と、外部バスインターフェース490と、出力制御回路491などから構成されている。CPU401は、ワークエリアとしてRAM481を使用しながら、ROM482に格納された制御プログラムを実行することにより、パチンコ機1全体の作動制御(すなわち、遊技の基本進行制御)を司るとともに、ROM482に記憶された当否判定プログラムを実行することにより、当否判断制御を行う。
【0069】
上述した主回路部400とともに主制御基板340を構成する入出力回路部500には、外部端子部145が接続されており、この外部端子部145によってパチンコホールの「ホールコンピューター」に接続されている。主制御基板340はRAMクリア処理を実行するに際して、RAMクリア信号をONにした後、一定時間経過後に再びOFFとする動作を行うが、このRAMクリア信号は外部端子部145を介してパチンコホールのシステム等に報知されている。このため、不正行為者によってRAMクリア処理が実行された場合には、不正行為者に悟られることなく、パチンコホールの管理者側で不正行為を検知することが可能となっている。
【0070】
入出力回路部500には、信号伝送経路500aを介して払出制御部150および音声・ランプ制御部170が接続されている(図6参照)。入出力回路部500は、払出制御部150や音声・ランプ制御部170での処理内容を指示する指令信号たるコマンドデータを、信号伝送経路500aを介して払出制御部150あるいは音声・ランプ制御部170に出力する。また、入出力回路部500からは、図柄制御部160での処理内容を指示するコマンドデータも出力される。図柄制御部160に対するコマンドデータは、一旦、音声・ランプ制御部170に向けて出力された後、音声・ランプ制御部170から信号伝達経路500bを経由して図柄制御部160に供給される。
【0071】
加えて入出力回路部500には、第一種始動口(普通電動役物)入賞検知器(入賞検知スイッチ)17sや、普通図柄表示装置基板32f、各種ソレノイド17c,313、右普通図柄作動ゲート通過検知器(右普通図柄作動ゲート通過検知スイッチ)37s、左普通図柄作動ゲート通過検知器(左普通図柄作動ゲート通過検知スイッチ)36sなどが接続されている。
【0072】
尚、本実施例では、主制御部140に格納されたプログラムによって「本抽選手段」、「特別図柄抽選手段」、「普通図柄抽選手段」、「可変入賞手段制御手段」、「始動口制御手段」等を構成する。また、図柄制御部160、主制御部140、格納されたプログラムによって、「疑似抽選手段」、「判定手段」、「再抽選手段」、「可変表示制御手段」、「普通図柄表示制御手段」を構成している。
【0073】
次に、払出制御部150の構成について説明する。払出制御部150は、払出制御基板ケース118に格納された払出制御基板350によって主に構成されている。図9は、払出制御基板350の構成を概念的に示した説明図である。前述した主制御基板340と同様に払出制御基板350も、主回路部600と入出力回路部700とがバスで相互にデータをやりとり可能に接続されて構成されている。入出力回路部700には信号伝送経路500aが接続されており、主制御基板340から出力された前述のコマンドデータは信号伝送経路500aを介して入出力回路部700に入力される。また、入出力回路部700には、賞球払出装置109や発射装置制御部193なども接続されている。
【0074】
音声・ランプ制御部170は、スピーカー400aやランプ等の制御を主に行うための制御基板370と、制御基板370からの命令を受けて、ランプ等に駆動信号を出力するための駆動基板380の、主に2つの基板から構成されている。図10は、音声・ランプ制御部170の構成を概念的に示した説明図である。制御基板部370には、演算回路構成要素として、CPU171と、RAM172と、ROM173と、入出力ポート174と、サウンドジェネレータ176と、コネクタCN1が設けられており、これらがバス175で相互にデータをやりとり可能に接続されている。サウンドジェネレータ176は、予め記憶された音声データをゲームの進行に合わせて再生することで、スピーカー400aから各種の音声を出力する。尚、スピーカー400aから出力される音量は、音量スイッチ基板12によって調整可能となっている。
【0075】
また、入出力ポート174には信号伝送経路500aが接続されている。前述した主制御部140が、特別図柄の変動・停止、リーチ発生、リーチ表示の態様、特別遊技態様、確率変動や時短などの遊技モードを指示する制御命令を出力すると、出力された各種の制御命令は信号伝送経路500aを介して入出力ポート174に入力される。制御基板370では、こうして制御命令を受け取ると、ROM173に予め記憶されているプログラムに従って所定の処理を行い、駆動基板380に向かって各種の命令を出力する。制御基板370と駆動基板380とは、コネクタCN1とコネクタCN2とで互いに接続されている。
【0076】
駆動基板380には、各種LEDやランプなどを駆動するための駆動信号を発生させる駆動回路部382と、発生した駆動信号を、各種LED基板4d,4f,19f〜22fや、各種ランプ基板216f,262f、枠飾り基板4gなどに出力するためのコネクタ出力部384とが設けられている。これら各基板にランプあるいはLED等が1個または複数個接続されており、コネクタ出力部384から供給される駆動信号により、ゲームの進行に対応して点灯・消灯または点滅する。尚、コネクタ出力部384を、駆動回路部382とは別基板に設ける構成としても良い。こうすることで、各種LEDなどのランプの数や色が変更されても駆動回路部382の変更を要しない場合には、コネクタ出力部384のみを変更して対応することが可能となる。
【0077】
また、パチンコ機1に、モータなどによって駆動される可動式役物が設けられている場合には、モータを駆動するための駆動回路を、駆動回路部382あるいはコネクタ出力部384に搭載することとしても良い。こうすれば、可動式役物の有無もしくは個数が変更された場合でも、容易に対応することが可能となる。
【0078】
図柄制御部160は、特別図柄制御基板360によって主に構成されている。図11は、図柄制御部160の構成を概念的に示した説明図である。図示されているように図柄制御部160は、演算回路構成要素としてCPU161と、RAM162と、ROM163と、入出力ポート164と、駆動回路166とを備えており、これら演算回路構成要素がバス165により接続されて相互にデータをやりとり可能に構成されている。入出力ポート164には、信号伝送経路500aや特別図柄表示装置27が接続されている。CPU161は、RAM162をワークエリアとして使用しながら、ROM163に格納された制御プログラムを実行することにより、中央表示装置26の制御を行っている。
【0079】
中継基板190には、入賞球検知スイッチ318,19s〜22s等が接続されており、中継基板190の出力端子は、主制御部140の入出力回路部500と接続されている。
【0080】
払出用端子基板191には、タッチスイッチ9a、発射停止スイッチ9b、ヴォリュームスイッチ192、タンク球切れ検知スイッチ104及び補給球切れ検知スイッチ108等が接続され、払出用端子基板191の出力端子は、図9に示す払出制御部150の入出力回路部700に接続されている。
【0081】
以上のような構成の本実施例の電子制御装置130においては、遊技球が第一種始動口17に入球すると、その情報が第一種始動口入球検知スイッチ17sによって検知されて、主制御部140に入力される。遊技球が普通図柄作動左ゲート36あるいは普通図柄作動右ゲート37を通過すると、その情報が普通図柄作動口通過検知器36s,37sにより検知されて、主制御部140に入力される。また、入賞球検知スイッチ19s〜22s,318で遊技球の入球が検知されると、その情報は、中継基板190を介して主制御部140に入力される。主制御部140は、これらの情報を受け取って、変動コマンド、停止図柄コマンド、及び変動停止コマンドを送信する。これらのコマンドは、信号伝送経路500a、音声・ランプ制御部160、信号伝送経路500bを経由して図柄制御部160に供給される。図柄制御部160では、変動コマンドを受けとると、複数の変動態様から乱数等による抽選を行って変動態様を決定する。また、主制御部140は、図柄制御部160に出力するコマンドに同期させて、音声・ランプ制御部170にも所定のコマンドを送信する。こうして、図柄の表示と音声の出力とを併せて行うことによって各種の演出を行う。
【0082】
B.賞球動作の概要:
次に、本実施例のパチンコ機1の賞球動作について簡単に説明する。遊技球が大入賞口311に入球すると、大入賞口311の内部に設けられた入賞球検知スイッチ318がこれを検知して、入球を知らせる信号を信号ケーブルを介して主制御部140に出力する。信号を受け取ると、主制御部140は後述する処理を行って、払出制御部150に向かって15個分の遊技球を払い出す旨のコマンドを出力する。また、遊技球が第一種始動口(普通電動役物)17に入球した場合は、始動口の内部に設けられた第一種始動口入賞検知スイッチ17sがこれを検知して、信号を信号ケーブルを介して主制御部140に出力する。この信号を受けて主制御部140は、後述する処理を行った後、6個分の遊技球を払い出す旨のコマンドを払出制御部150に向かって出力する。左右下入賞口など、他の入賞口に入球した場合は、内部に設けられた通過検出スイッチが入球を検知して、入球した旨の信号を信号ケーブルを介して主制御部140に出力する。主制御部140は、後述する処理を行って10個分の遊技球を払い出す旨のコマンドを払出制御部150に向かって出力する。これら賞球コマンドは、払出制御部150を作動指令対象とする指令信号として、遊技球の通過を検知した順番に従って信号伝送経路500aを介して送信される。払出制御部150は、こうして主制御部140から賞球コマンドを受け取って、賞球払出信号を出力することにより、賞球払出装置109を作動させて指示された個数分の賞球動作を行う。
【0083】
また、主制御部140は、上述した各種検知スイッチの出力に基づいて遊技状態を判断し、また、その遊技状態に基づいて当否判定を行うとともに、判定内容に応じて対応する図柄表示態様で画像表示制御を行うためのデータを読み込む。例えば、主制御部140は、第一種始動口(普通電動役物)入賞検知スイッチ17s、入賞球検知スイッチ318等の検知結果や、特別図柄当否判定乱数の取得値などを使用して、「遊技が行われていない客待ちの状態」、「遊技は行われているが始動入賞がない状態(変動準備状態)」、「始動入賞があった状態」、および「特別遊技状態」などを判断する。また主制御部140は、始動入賞を検知すると乱数値に基づいて当否判定を行い、その判定結果に基づいて特別図柄の変動(リーチ表示態様を含む)や確定などの表示態様制御を行うための各種コマンドを出力する。これらコマンドは、前述した信号伝送経路500aを介して一旦、音声・ランプ制御部170に出力された後、音声・ランプ制御部170から信号伝送経路500bを介して図柄制御部160に送信される。
【0084】
C.制御ジョブの概要:
C−1.主制御部メインジョブ:
次に、上述した電子制御装置130によって実行されるパチンコ機1の制御の内容について説明する。図12は、主制御部メインジョブの流れを示すフローチャートである。かかるジョブは、主制御部140に搭載された主制御基板340によって実行されるジョブであり、パチンコ機1における遊技全体の進行を制御する根幹をなすジョブである。主制御部メインジョブは、パチンコ機1の電源が投入され、あるいはリセットスイッチが押された時に、主回路部401に内蔵されたCPU480が内蔵ROM482のブート領域に格納されているプログラムを読み出すことによって、自動的に開始される。パチンコ機1では主制御部メインジョブ以外にも多数のジョブが存在するが、これらジョブの多くは、所定の条件が成立すると主制御部メインジョブから呼び出されることによって実行される。以下では、図12のフローチャートに従って、主制御部メインジョブについて説明する。
【0085】
主制御部メインジョブを開始すると、先ず初めに初期化ジョブを実施する(S10)。図13は初期化ジョブの流れを示したフローチャートである。初期化ジョブでは、電源投入時に行われる所定の各種処理を行った後(S12)、音声・ランプ制御部170に向かって初期図柄指定コマンドを出力する処理を行う(S14)。ここで、電源投入時に行われる各種処理とは、例えば主回路部401に内蔵されているCPU480の動作チェックやRAMの初期化を行ったり、音声・ランプ制御部や、払出制御部、図柄制御部などの各制御部を初期化する処理である。また、初期図柄とは、パチンコ機1の電源投入時あるいはリセットボタンを押されたときに、普通図柄表示装置32aや特別図柄表示装置27(図4を参照のこと)などに表示される図柄を言い、初期図柄指定コマンドとは、これら初期図柄の表示を図柄制御部160に対して指定するコマンドである。
【0086】
図14は、主制御部140から初期図柄指定コマンドが出力される様子を概念的に示した説明図である。主制御部140に設けられた主制御基板340は、1bitのストローブ信号と8bitのコマンドデータとを、音声・ランプ制御基板370に向かって出力する。音声・ランプ制御基板370では、ストローブ信号の立ち上がりのタイミングでコマンドデータを読み取ることにより、初期図柄指定コマンドを確実に読み取ることができる。尚、ここでは初期図柄指定コマンドを出力する場合について説明したが、主制御部140が出力する他のコマンドも同様の手順によって出力されている。こうしてストローブ信号とともに供給された初期図柄制定コマンドは、直ちに音声・ランプ制御部170から図柄制御部160に転送され、図柄制御部160の制御の下で普通図柄表示装置32aあるいは特別図柄制御装置27のそれぞれに初期図柄が表示される。
【0087】
以上の説明からも明らかなように、パチンコ機1では、主制御部140が所定の処理を行って各種のコマンドを出力し、このコマンドを受けて、音声・ランプ制御部170や図柄制御部160、払出制御部150など所定の処理を行うことによって遊技が進行する。換言すれば、主制御部140と、その他の各種制御部とは、互いに処理を分担しながら、パチンコ機1の動作を制御している。そこで、理解の便宜を図るために、以下では、主制御部140内で実施される処理は「ジョブ」と呼び、音声・ランプ制御部170や図柄制御部160などで行われる処理は「ルーチン」と呼んで区別することにする。例えば、図13に示した初期化ジョブ、あるいは図15に示したデモ表示ジョブは「ジョブ」という名前が示すように、いずれも主制御部140で実施される処理である。
【0088】
主制御部140は、以上のようにして初期化ジョブを終了したら、図12に示した主制御部メインジョブに復帰して、今度はデモ表示ジョブを開始する(S20)。ここでデモ表示とは、パチンコ機1がいわゆる客待ち状態の時に、遊技客の注意を引きつけるために、普通図柄や特別図柄で特別に行われる演出の表示を言う。
【0089】
図15は、デモ表示ジョブの流れを示すフローチャートである。デモ表示ジョブを開始すると、先ず初めに、発射ハンドル9に設けられたタッチスイッチ9a(図1を参照のこと)がONとなっているか否かを判断する(S22)。前述したように、遊技者が発射ハンドル9に触れていればタッチスイッチ9aはONになるから、タッチスイッチがONであれば(S22:yes)、客待ち状態ではないと判断される。そこで、このような場合はデモ表示は不要であり、直ちにデモ表示ジョブを終了して、主制御部メインジョブに復帰する。一方、タッチスイッチがOFFであれば(S22:no)、客待ち状態となっている可能性がある。そこで、タッチスイッチが継続してOFFとなっている経過時間を検出し(S24)、連続してOFFとなっている経過時間が、所定時間(例えば2分)に達しているか否かを判断する(S26)。経過時間が所定時間に達していない場合は(S26:no)、客待ち状態ではないと判断してデモ表示ジョブを終了する。経過時間が所定時間に達している場合は(S26:yes)、主制御部140はデモ指定コマンドを出力する(S28)。
【0090】
デモ指定コマンドは、図14を用いて前述した初期図柄指定コマンドと同様に、主制御基板340から音声・ランプ制御基板370に向かってストローブ信号とともに出力される。音声・ランプ制御部170は、受け取ったデモ指定コマンドを図柄制御部160に転送するとともに、スピーカやランプを駆動してデモ時の演出を行う。一方、図柄制御部160は、音声・ランプ制御部170からデモ指定コマンドを受け取ると、普通図柄制御装置32aや特別図柄制御装置27を制御して、所定のデモ表示を行う。
【0091】
主制御部メインジョブでは、以上のような一連の処理を終了すると、図4に示した普通図柄変動ゲート36,37を遊技球が通過したか否かを判断する(S30)。遊技球が通過している場合は(S30:yes)、普通図柄表示装置32aにおける演出を制御するためのジョブ(普通図柄制御ジョブ)を開始する(S40)。普通図柄制御ジョブの内容については後ほど詳細に説明する。
【0092】
次いで主制御部140は、遊技機に複数設けられた入賞口のいずれかに遊技球が入球したか否かを判断する(S50)。前述したように、各入賞口の内部には入賞球の通過を検知するスイッチが設けられており、スイッチで検出された信号が信号ケーブルによって主制御基板340に伝達される。主制御部140は、いずれの信号ケーブルから信号が伝達されたかに基づいて、入球のあった入賞口を容易に検出することができる。そして、入球のあった入賞口に応じて、所定数の遊技球を払い出す旨の賞球コマンドを出力する(ステップS60)。賞球コマンドは、主制御部140から払出制御部150に向かって出力され、払出制御部150ではコマンドに従って賞球払出装置109を制御することにより、所定数の遊技球の払出を行う。もちろん、主制御部140から音声・ランプ制御部170にもコマンドを出力して、賞球に伴う所定の演出を行うこととしても良い。
【0093】
続いて主制御部140は、遊技球の入球した入賞口が第一種始動口17か否かを判断する(S70)。そして、入球した入賞口が第一種始動口17である場合は(S70:yes)、特別図柄表示装置27における演出を制御するためのジョブ(特別図柄制御ジョブS80)、更には、大当り時に行われる種々の演出を制御するためのジョブ(大当り関連ジョブS90)を実施する。特別図柄制御ジョブの内容については後述する。大当り関連ジョブについては、本願発明とは直接的な関連性が薄いので、ここでは説明を省略する。入球した入賞口が第一種始動口17でない場合は(S70:no)、特別図柄制御ジョブや大当り関連ジョブは行わない。
【0094】
以上の様な処理を行ったら、パチンコ機1の電源がOFFとされたか否かを判断し(S95)、電源がONであると判断された場合は(S95:no)、再びS20のデモ表示ジョブに戻って続く一連の処理を行う。これに対して、パチンコ機1の電源がOFFになったと判断された場合は(S95:yes)、主制御部メインジョブを終了する。主制御部メインジョブが終了されると、遊技の進行が停止しパチンコ機1の遊技状態が終了する。
【0095】
以下では、普通図柄制御ジョブ(S40)、特別図柄制御ジョブ(S80)の各ジョブについて、順番に説明する。
【0096】
C−2.普通図柄制御ジョブ:
図16は、普通図柄制御ジョブの流れを示すフローチャートである。この処理は、遊技球が普通図柄変動ゲートを通過すると開始される。また、「ジョブ」という名称から分かるように、この処理は主制御部140によって実行される。
【0097】
普通図柄制御ジョブを開始すると、普通図柄についての当否判定を行って、変動パターンと変動後に停止させる普通図柄を決定する処理を行う(S42)。当否判定の手法としては種々の方法を用いることができるが、本実施例のパチンコ機1では、乱数を利用した抽選を行うことにより、これらを決定する。また、ここでは変動パターンとして、普通図柄を変動表示させる時間を決定している。もちろん、より詳細な内容まで決定することも可能である。
【0098】
普通図柄の変動パターンと停止する普通図柄とを決定したら、これら決定内容に従って、普通図柄関連コマンドを音声・ランプ制御基板370に向かって出力する処理を行う(S44)。普通図柄関連コマンドとは、普通図柄制御のために主制御基板340から出力される各種のコマンドであり、具体的には、普通図柄の変動パターンを指定するコマンド(普通図柄変動パターン指定コマンド)や、変動後に停止する普通図柄を指定するコマンド(普通図柄指定コマンド)、普通図柄の変動を停止させるコマンド(普通図柄停止コマンド)などの各種コマンドを言う。
【0099】
図17は、これら普通図柄関連コマンドを一覧的に表示した説明図である。普通図柄の変動パターンに応じて、コマンドChp1 ,コマンドChp2 ,コマンドChp3 ,コマンドChp4 ・・・など、各種の指定コマンドが予め設定されている。また、変動後に停止させる普通図柄に応じて、コマンドChs1 ,コマンドChs2 ,コマンドChs3 ,コマンドChs4 ・・・などの各種の指定コマンドが設定されており、普通図柄の変動表示を停止させるためのコマンドとしては、コマンドChstpが設定されている。もちろん、表示されているコマンド以外に他のコマンドを設定しておくことも可能である。これらの普通図柄関連コマンドは、図8に示した主回路部401の内蔵ROM482に予め記憶されている。図16のステップS44では、ステップS42で決定した変動パターンおよび普通図柄に応じて、内蔵ROM482から対応するコマンドを読み出した後、音声・ランプ制御基板370に向かってストローブ信号とともに出力する処理を行う(図14を参照のこと)。
【0100】
図18は、上述したステップS44において、主制御部140が各種の普通図柄関連コマンドを出力する様子を概念的に示した説明図である。普通図柄制御ジョブが開始されて、ステップS44の処理が初めて実行される場合は、先に決定しておいた普通図柄の変動パターン指定コマンドが、主制御基板340から出力される。図18に示した白抜きの矢印は、コマンドが出力されていることを模式的に示したものである。音声・ランプ制御基板370は、普通図柄の変動パターン指定コマンドを受け取ると、直ちに図柄制御基板360に転送する。音声・ランプ制御部170および図柄制御部160では、こうして受け取ったコマンドに基づいてそれぞれの処理が開始され、その結果、所定の効果音やランプの点滅をともなって普通図柄表示装置32aの変動表示が開始される。
【0101】
ここで、図12を用いて前述した主制御部メインジョブのS20からS95までの処理は、ほぼ4msec間隔で繰り返されており、従って、図16の普通図柄制御ジョブも約4msec間隔で実行される。初回の実行時には普通図柄の変動パターン指定コマンドを出力するが、2周目の実行時には、変動表示後に停止する普通図柄を指定するコマンド、すなわち普通図柄指定コマンドを出力する。図柄の指定が1回で良い場合、すなわち普通図柄表示装置32aが同時には1つの図柄しか表示することができず、且つ変動開始後に1回だけ図柄を停止させる場合は、普通図柄指定コマンドは1回だけ出力される。しかし、普通図柄表示装置32aが同時に複数の図柄を表示可能な場合、あるいは同時には1つの図柄しか表示できないものの変動表示と擬似的な停止とを何回か繰り返した後に最終的な普通図柄で停止する場合などには、普通図柄指定コマンドを複数回出力することになる。図18では、普通図柄表示装置32aで同時に3つの普通図柄を表示可能な場合について表示している。この場合は、図16の普通図柄制御ジョブを2周目に実行する場合には、1桁目の普通図柄についての指定コマンドを出力し、3周目に実行する場合には2桁目の図柄についての指定コマンドを、4周目に実行する場合には3桁目の図柄の指定コマンドを出力する。こうして出力された普通図柄指定コマンドは、音声・ランプ制御基板370を介して図柄制御基板360に転送され、音声・ランプ制御基板370および図柄制御基板360では、それぞれのコマンドに合わせて所定の演出のための制御を実行する。
【0102】
こうして普通図柄変動パターン指定コマンドと普通図柄指定コマンドとを出力したら、変動パターンに応じて定まる所定のタイミングで、普通図柄変動表示を停止するコマンド(普通図柄停止コマンド)を出力する。つまり、前述したように、当否判定を行って決定する変動パターンには、図柄の変動時間に関する情報を含んでいるので、図柄停止コマンドを出力するタイミングは、変動パターンに依存するのである。例えば、4秒間だけ図柄を変動させる変動パターンを選択していた場合、主制御部メインジョブが1回まわるために約4msecかかるから、100周目の実行時に図柄停止コマンドを出力すればよいことになる。
【0103】
図16に示したステップS44の処理では、図17に示す各種の普通図柄関連コマンドを、以上に説明したようにして順番に出力する処理を行う。こうして、S42で決定した内容に応じて各種の普通図柄関連コマンドを出力し、最後に図柄停止コマンドを出力したら、普通図柄制御ジョブを終了する。
【0104】
C−3.特別図柄制御ジョブ:
次に、特別図柄制御ジョブの内容について説明する。図19は、特別図柄制御ジョブの流れを示すフローチャートである。この処理は、遊技球が第一種始動口17を通過したときに、主制御部140によって開始される処理である。
【0105】
前述した普通図柄制御ジョブと同様に、特別図柄制御ジョブにおいても、ジョブを開始すると先ず初めに当否判定を行って、特別図柄の変動パターンと変動後に停止させる図柄とを決定する処理を行う(S82)。本実施例のパチンコ機1では、特別図柄に関する当否判定と普通図柄に関する当否判定とは、異なる乱数を用いた別個の処理によって実施されている。こうすれば、特別図柄で更に複雑な演出を行う必要が生じた場合でも、容易に対応することが可能となる。もちろん、特別図柄の当否判定処理を利用して普通図柄の当否判定を行うことも可能である。また、特別図柄制御ジョブにおいても普通図柄制御ジョブと同様に、変動パターンとしては、特別図柄を変動表示させる時間を決定している。もちろん、より詳細な内容まで決定することとしても良い。
【0106】
特別図柄の変動パターンと停止図柄とを決定したら、これら決定内容に従って、特別図柄関連コマンドを音声・ランプ制御基板370に向かって出力する処理を行う(S84)。特別図柄関連コマンドとは、特別図柄制御のために主制御基板340から出力される各種のコマンドであり、図8に示した主回路部401の内蔵ROM482に予め記憶されている。図20は、記憶されている各種の特別図柄関連コマンドを一覧的に表示した説明図である。特別図柄関連コマンドとしては、特別図柄の変動パターンを指定するコマンド(特別図柄変動パターン指定コマンド)や、変動後に停止する特別図柄を指定するコマンド(特別図柄指定コマンド)、特別図柄の変動を停止させるコマンド(特別図柄停止コマンド)、更には、大当り時にスピーカーから出力する効果音を指定するコマンド(大当り効果音指定コマンド)、大当り時に行われる特別遊技に関する各種コマンド(大当りラウンド指定コマンド、大入賞口カウント指定コマンド)などが設定されている。もちろん、これらコマンド以外に、他のコマンドを設定しておくことも可能である。
【0107】
図21は、ステップS84において、上述した特別図柄関連コマンドが主制御基板340から音声・ランプ制御基板370に向かって出力される様子を概念的に示した説明図である。前述した普通図柄制御ジョブと同様に、特別図柄制御ジョブにおいてもステップS84の処理が初めて実行される時には、特別図柄変動パターン指定コマンドが出力される。図21中に示された白抜きの矢印は、主制御部140の発するコマンドが、音声・ランプ制御部170あるいは図柄制御部160に供給されていることを模式的に示したものである。また、図21中で斜線が付された矢印は、音声・ランプ制御部170の発するコマンドが、図柄制御部160に供給されていることを模式的に示したものである。音声・ランプ制御部170から出力されるコマンドについては、後ほど詳しく説明する。
【0108】
特別図柄制御ジョブにおいても、音声・ランプ制御基板370は特別図柄変動パターン指定コマンドを受け取ると、直ちに図柄制御基板360に転送する。音声・ランプ制御部170および図柄制御部160では、こうして受け取ったコマンドに基づいて、後述する処理が開始される。
【0109】
特別図柄制御ジョブが1周目の処理を終了して、2周目にS84(図19参照のこと)の処理が実行されるときには、特別図柄の変動表示後に停止する左特別図柄を指定するコマンド(左特別図柄指定コマンドCtsL )を出力する。前述したように、主制御部メインジョブは一連の処理を完了するために約4msecかかるから、特別図柄変動パターン指定コマンドを出力してから、ほぼ4msec後に左特別図柄指定コマンドを出力することになる。更に、その約4msec後に3周目の処理が実行される時には、中特別図柄の指定コマンド(中特別図柄指定コマンドCtsM )が出力され、その約4msec後に4周目の処理が実行される時には、右特別図柄指定コマンドCtsR が出力されることになる。尚、図21に示した例では、特別図柄としては、左特別図柄、中特別図柄、右特別図柄の3つの図柄しか同時には表示できないものとして説明したが、もちろん、より多くの特別図柄を表示可能としても構わない。こうして特別図柄についての変動パターン指定コマンドと図柄指定コマンドとを出力したら、変動パターンに応じて定まる所定のタイミングで、特別図柄変動表示を停止するコマンド(特別図柄停止コマンドCtstp)を出力する。
【0110】
音声・ランプ制御部170および図柄制御部160は、こうして主制御部140から出力された特別図柄関連コマンドを受け取ると、直ちにコマンドを図柄制御部160に転送するとともに、受け取ったコマンドに応じて詳細な特別図柄変動の制御を開始する。以下では、こうした処理、すなわちサブ基板メインルーチンの内容について説明する。尚、前述したように、本明細書では主制御部140で行われる処理は「ジョブ」と呼び、音声・ランプ制御部170あるいは図柄制御部160で行われる処理は「ルーチン」と呼んで区別している。サブ基板メインルーチンは、「ルーチン」という名称が示すように、音声・ランプ制御部170および図柄制御部160によって一体的に実行される処理である。
【0111】
C−4.サブ基板メインルーチン:
図22は、サブ基板メインルーチンの流れを示したフローチャートである。かかる処理は、パチンコ機1の電源が投入あるいはリセットスイッチが押されて、図12に示した主制御部メインジョブ中で初期化ジョブが実行され、音声・ランプ制御部170および図柄制御部160が初期化されると、自動的に開始される処理である。
【0112】
サブ基板メインルーチンを開始すると、先ず初めに特別図柄変動パターン指定コマンドを受信したか否かを判断する(S102)。前述したように、特別図柄変動パターン指定コマンドとは、図19に示した特別図柄制御ジョブ中で主制御基板340から出力されるコマンドである。変動パターン指定コマンドを受信した場合は(S102:yes)、特別図柄の変動を開始する(S104)。もちろん、特別図柄の変動開始に合わせて、所定の効果音を出力しても良い。
【0113】
次いで、特別図柄指定コマンドを全て受信したか否かを判断する(S106)。図20および図21を用いて説明したように、特別図柄指定コマンドとしては、左図柄,中図柄,右図柄の3つの図柄について、それぞれ図柄指定コマンドが出力されるので、S106ではこれら全てのコマンドを受信したか否かを判断するのである。3つの特別図柄が全て指定されれば、大当り状態か否か、確変当りか否かなどの、特別図柄表示装置27を用いた詳細な演出内容を決定することができる。そこで、特別図柄演出ルーチンを開始し(S108)、続いて大当り演出ルーチンを行う(S110)。
【0114】
特別図柄演出ルーチン(S108)では、主制御部140から受け取った左・中・右の特別図柄の組合せが(図21参照のこと)、大当り図柄か否かを判断する。更に、大当り図柄である場合は、確変図柄か否か、再抽選を行うか否か、更には再抽選を行う場合には擬似的に表示する特別図柄をセットする処理も行う。尚、こうした判断は、主制御部140から受け取った各種の指定コマンドによって一義的に決定することもできるし、あるいはサブ基板メインルーチンの中で抽選を行って、より詳細な演出内容を決定することとしても良い。
【0115】
大当り演出ルーチン(S110)では、特別図柄演出ルーチンでの決定した内容、すなわち、大当りか否か、確変か否か、再抽選を行うか否か、更には擬似的に表示する特別図柄の決定内容に従って、表示部271(図4参照)における所定の演出表示を行う。また、こうした演出表示に併せて、各種の効果音を出力する制御を行う。
【0116】
以上の処理を行ったら、パチンコ機1の電源がOFFになっていないことを確認し(S112)、電源がOFFでなければステップS102に戻って続く一連の処理を行う。ステップS112において電源がOFFであると判断されたら、図22に示したサブ基板メインルーチンを終了する。
【0117】
以上に説明したように、本実施例のパチンコ機1は、主制御部140に設けられた主制御基板340が中心となり、各種センサからの信号や、各種コマンドを外部とやりとりしながら、各種基板類および各種機器が一体となって動作することにより遊技が進行する。こうした信号やコマンドのやりとりには、信号ケーブルが用いられるが、パチンコ機1の搬入時や整備時などに、信号ケーブルと基板やセンサ、各種機器とを接続するコネクタが緩み、接続不良が生じることがある。完全な接続不良であれば、パチンコ機1が動作しなくなることからこれを容易に知ることができるが、軽微な接続不良の場合には、パチンコ機1の動作が不安定となるが、一応は動作するため発見が困難なため、種々の不都合を引き起こす。そこで、本実施例では、以下に説明するような抜け止め対策をコネクタに施すことにより、こうした不都合の発生を簡便に且つ確実に回避することを可能としている。以下、本実施例で採用されているコネクタの抜け止め構造について説明する。
【0118】
D.コネクタの抜け止め構造:
図23は、主制御基板ケース112内に収容された主制御基板340を示す斜視図である。図示されているように、主制御基板340には、LSIチップや、抵抗器、コンデンサーなどの各種電子部品と、信号ケーブルに設けられたコネクタが接続されるコネクタ受け部342などが搭載されている。
【0119】
主制御基板340は、図5を用いて前述した主制御基板ケース112に収納されている。図24は、主制御基板340を主制御基板ケース112の構造、および主制御基板ケース112に主制御基板340が収納されている様子を示した説明図である。図示されているように、主制御基板ケース112は、主制御基板340を内部に収容可能に構成された基体112aと、この基体112aの内部に収容された主制御基板340を覆う蓋体112bとから構成されている。主制御基板340は、主制御基板ケース112に収容された状態において、その大部分が主制御基板ケース112の基体112aまたは蓋体112bによって覆われている。ただし、主制御基板340のうちコネクタ受け部342の周辺については主制御基板ケース112の外部に露出されているため、主制御基板340を主制御基板ケース112に収容した状態のまま、コネクタ343を着脱することが可能となっている。
【0120】
また、コネクタ受け部342は主制御基板340の上に複数設けられており、それぞれのコネクタ受け部342は、信号ケーブル344の一端に設けられたコネクタ343と着脱可能に構成されている。図25は、コネクタ受け部342にコネクタ343が嵌合されている様子を示す説明図である。このように、複数のコネクタ343を対応するコネクタ受け部342に嵌合することで、複数の信号ケーブル344と主制御基板340とが接続され、これにより、主制御基板340は、外部との間で、信号ケーブル344を介して、遊技球の払い出しに関わる情報を入出力することが可能となる。なお、本実施形態では、信号ケーブル344は、払い出しに関わる情報を主制御基板340に入力するためのものである。
【0121】
D−1.第1実施例の抜け止め部材:
図26は、第1実施例の抜け止め部材800によって、コネクタ343がコネクタ受け部342から抜けることを抑制している様子を示す説明図である。図26(a)に示すように、この抜け止め部材800は、他部材(コネクタ343、コネクタ受け部342、主制御基板340、主制御基板ケース112など)とは別体に構成されており、主制御基板ケース112の端縁部を挟持する挟持部800aと、コネクタ343をコネクタ受け部342への嵌合方向(挿入方向)に押さえるための押止部800bとを備えている。
【0122】
挟持部800aが主制御基板ケース112の端縁部を挟持するように、抜け止め部材800をコネクタ343の抜け方向に対して交差する方向(本実施形態では、主制御基板340と平行の方向)にスライドさせてやれば、図26(b)に示すように抜け止め部材800は主制御基板ケース112に係止させることができる。この時、押止部800bは、コネクタ343を押えて、コネクタ343の抜け方向への移動を規制するように構成されている。この様に、抜け止め部材800を主制御基板ケース112に係止することで、コネクタ343を抜け止め方向に押さえて、コネクタ受け部342から抜け難くすることができる。
【0123】
また、このような構成によれば、抜け止め部材800は、コネクタ343から離れる方向にスライドさせることにより容易に外すことができる。このため、整備等のために主制御基板340を取り外す際には、コネクタ343をコネクタ受け部342に対して自由に着脱することが可能である。
【0124】
以上の様に、抜け止め部材800によれば、コネクタ343のコネクタ受け部342への着脱を可能としつつ、コネクタ343がコネクタ受け部342から抜けるのを抑止することができる。そのため、主制御基板340を取り外し可能としつつ、払い出し動作が不安定になることを回避することができる。しかも、上記信号ケーブル344は、払い出しに関わる情報を主制御基板340に入力するためのものであることから、この信号ケーブル344のコネクタ343の抜けを抑制することで、払い出し動作が不安定となることを、より効果的に回避することができる。
【0125】
また、抜け止め部材800は、他部材とは別体に構成されているため、コネクタ343、コネクタ受け部342,主制御基板ケース112,主制御基板340には特別な加工を施さずとも、既存の部材をそのまま使用して簡便にコネクタ部分での接続不良の発生を回避することが可能である。
【0126】
また、上記のコネクタ343は、信号ケーブル344と主制御基板340とを接続するためのものであり、そのコネクタ343を、抜け止め部材800を用いて着脱可能に抜け止めすることとしている。そのため、主制御基板340の取り外しが容易となるとともに、主制御基板340のコネクタ部分は目に付き易いので、意図的にコネクタで軽微な接続不良を生じさせて、不正に遊技球の払い出しを受けるといった、いわゆるゴト行為を思いとどまらせる効果も得ることができる。
【0127】
また、信号ケーブル344が複数本備えられており、複数のコネクタ343を共通の抜け止め部材800(本実施形態では、1つの抜け止め部材800)によって抜け止めしていることから、僅かな手間で簡単に、払い出し動作の安定性を確保することも可能である。
【0128】
尚、以上では、信号ケーブル344は、払い出しに関わる情報を主制御基板340に「入力」するためのケーブルであるものとして説明したが、これに限られるものではなく、払い出しに関わる情報を主制御基板340から「出力」するため信号ケーブルのコネクタの抜けを防止する場合にも、同様にして抜け止めを図ることが可能なことは言うまでもない。また、抜け止め部材800は、挟持部800aが主制御基板ケース112の端縁部を挟持するようにして主制御基板ケース112に係止されるものとして説明したが、この様な態様に限られるものではない。例えば、挟持部800aが主制御基板340の端縁部を挟持するようにして、抜け止め部材800を主制御基板340に係止するものとしてもよい。
【0129】
D−2.第2実施例の抜け止め部材:
図27は、第2実施例の抜け止め部材810を用いて、コネクタ343を抜け止めしている様子を示す説明図である。図示されているように、第2実施例では、主制御基板340のコネクタ受け部342周辺に、主制御基板340に抜け止め部材810を係止させるための貫通孔340hが設けられている。そして、抜け止め部材810には、主制御基板340に形成された貫通孔340hに挿入可能な挿入部810aと、コネクタ受け部342に嵌合されたコネクタ343をその嵌合方向に押さえるための押止部810bとが形成されている。抜け止め部材810は、互いに嵌合したコネクタ343およびコネクタ受け部342の三方を囲うように側面部810cを有し、一方が開放された略コの字型に形成され、その内部に開放側からコネクタ343およびコネクタ受け部342を収容可能に構成されている。そして、押止部810bは、側面部810cに沿って略コの字形状に形成され、コネクタ343をより確実に押さえることが可能となっている。
【0130】
また、各挿入部810aの先端には、挿入部810aが貫通孔340hから抜けるのを防ぐため鉤状爪810dが設けられている。鉤状爪810dは、挿入部810aが貫通孔340hに挿入されると貫通孔340hの縁に係合し、これにより挿入部810aを貫通孔340hから抜け難くすることができる。そのため、コネクタ受け部342に嵌合した状態のコネクタ343に対してその抜け方向から抜け止め部材810を被せ、挿入部810aを貫通孔340hに挿入すると、抜け止め部材810が主制御基板340に係止されるとともに、押止部810bによってコネクタ343が嵌合方向に押さえられる。その結果、コネクタ343を簡便に且つ確実に抜け止めすることが可能となる。
【0131】
なお、図27に示されているように、鉤状爪810dは外側に向けて形成されている。このため、側面部810cを内側に撓ませることにより、鉤状爪810dと主制御基板340との係合を解除して、抜け止め部材810を外すことができる。この様に抜け止め部材810を外してやれば、コネクタ343を、コネクタ受け部342から自在に着脱することも可能となる。
【0132】
以上の様な第2実施例の抜け止め部材810は、構造が簡単であり、小型化が可能であるという利点を有している。このため、抜け止め構造を有していない基板についても、上述の様な貫通孔340hを新たに設けてやることで、コネクタ343の着脱性を確保しつつ、着脱可能にコネクタ343の抜けることを防止することが可能となる。
【0133】
D−3.第3実施例の抜け止め部材:
図28は、第3実施例の抜け止め部材820を用いてコネクタ343を抜け止めしている様子を示す説明図である。本実施例では、主制御基板340に抜け止め部材820を係止させるため、主制御基板340のコネクタ受け部342周辺に、係合部345が設けられている。図28(a)では、係合部345は、コネクタ343の抜け方向に対して交差する方向に設けられた挿入孔346を有している。また、図28(a)に示す抜け止め部材820には、挿入部820aと、押止部820bと、側面部820cとが形成されている。
【0134】
挿入部820aは、係合部345の挿入孔346に挿入可能に形成されている。押止部820bは、コネクタ343をコネクタ受け部342に嵌合した状態で、係合部345の挿入孔346に挿入部820aを挿入すると、コネクタ343をその嵌合方向に押止するような形状に形成されている。また、側面部820cは、互いに嵌合した状態のコネクタ343およびコネクタ受け部342の三方を囲い、残余の一方が開放された略コの字型に形成されており、その内部に開放側からコネクタ343およびコネクタ受け部342を収容可能な形状に形成されている。
【0135】
前述した押止部820bは、側面部820cの上端に沿って略コの字形状に形成されており、コネクタ343をより確実に押さえることが可能である。また挿入部820aは、側面部820cの互いに対向する部位の外側面に配設され、抜け止め部材820の開放端側に向けて延出するように形成されている。そして、各挿入部820aの先端には、挿入部820aが挿入孔346から抜けるのを防止するための突起820dが設けられている。この突起820dは、挿入孔346に挿入部820aを挿入すると挿入孔346の縁に係合し、これにより挿入部820aが挿入孔346から抜け難くする作用を有している。
【0136】
こうした図28(a)に示す抜け止め部材820を、コネクタ受け部342にコネクタ343を嵌合させた状態で、コネクタ343の抜け方向と交差する方向から被せ、挿入部820aを挿入孔346に挿入して係合させる。すると、抜け止め部材820が主制御基板340に係止されるとともに、押止部820bによってコネクタ343が嵌合方向に押さえられることになる。その結果、コネクタ343を確実に且つ簡便に抜け止めすることが可能となる。
【0137】
また、第3実施例の抜け止め部材は、次のような構成とすることも可能である。図28(b)は、こうした抜け止め部材821を示した説明図である。図28(b)に示した抜け止め部材821は、図28(a)に示した係合部345に換えて、主制御基板340に設けた貫通孔を係合部345hとしたものである。図28(b)に示されているように、この場合における抜け止め部材821は、図28(a)に示した抜け止め部材820の挿入部820aを、主制御基板340の端縁部を挟持するように形成された挟持片821aとし、図28(a)に示した挿入部820aの先端に設けられた突起820dを、係合部345h(貫通孔)の縁に係合する突起821dとした場合に相当する。
【0138】
この図28(b)に示した抜け止め部材821は、コネクタ受け部342にコネクタ343を嵌合させた状態でコネクタ343の抜け方向と交差する方向から被せ、挟持片821aにて主制御基板340の端縁部を挟持させて、突起821dを係合部345h(貫通孔)の縁に係合することにより、主制御基板340に装着される。図28(c)に示すように、このように抜け止め部材821を装着した状態では、抜け止め部材821は、挟持片821aの上面と主制御基板340の裏面との係合によりコネクタ343の抜け方向に動くことはできない。また、突起821dと係合部345との係合により、抜け止め部材821がコネクタ343の抜け方向と交差する方向にスライドすることもできず、抜け止め部材821の装着は確実なものとなる。
【0139】
以上に説明した様に、第3実施例においては、コネクタ343の抜け方向に対して交差する方向から、抜け止め部材820,821をスライドさせるようにしてコネクタ343に被せ、主制御基板340側と係合させてコネクタ343の抜け方向への移動を規制することとしている。すなわち、そもそも、抜け止め部材820,821は挿入孔346と挿入部820aとの係合、あるいは挟持片821aと主制御基板340との係合により、コネクタ343の抜け方向には動き得ないので、確実にコネクタ343の抜け止めを防止することができる。従って、挿入部820aあるいは挟持片821aに突起820d,821dが設けられていなくても、コネクタ343を抜け止めすることが可能である。もちろん、突起820d,821dを設けておけば、抜け止め部材820,821が確実に装着されていることを容易に確認することができるとともに、抜け止め部材820,821がスライドすることを回避することができるので、コネクタ343の確実な抜け止めが可能となる。
【0140】
また、第3実施例においても、挿入孔346と挿入部820aとの係合、あるいは挟持片821aと主制御基板340との係合を解除することにより、抜け止め部材820,821をコネクタ343から外すことができる。このため、適宜必要に応じて、コネクタ受け部342からコネクタ343を容易に着脱することが可能である。
【0141】
D−4.第4実施例の抜け止め部材:
次に、第4実施例の抜け止め部材830について説明する。第4実施例の抜け止め部材830を用いれば、遊技球通過センサ860に接続されたコネクタ850の抜け防止を図ることが可能である。この遊技球通過センサ860は、第一種始動口17に設けられる第一種始動口入賞検知スイッチ17sや、大入賞口311,左下・右下入賞口21,22などに設けられる入賞球検知スイッチ318,21s、22sとして用いられるものである。図29は、第4実施例の抜け止め部材830を用いて、コネクタ850を抜け止めしている様子を示した説明図である。
【0142】
図29に示されているように、抜け止め部材830には押止部830bが設けられており、抜け止め部材830を遊技球通過センサ860に装着すると、この押止部830bによって、コネクタ850をその嵌合方向に押さえることができる。そして、第一種始動口17や左下・右下入賞口21,22等の入賞口の背面側には、遊技球通過センサ860を装着するための取付部870が設けられており、その取付部870の開口端には、取付部870に挿入した遊技球通過センサ860を抜け止めするための係止爪871が設けられている。従って、この係止爪871を遊技球通過センサ860に装着した抜け止め部材830に係止するようにすれば、取付部870からの遊技球通過センサ860の抜け止めと、遊技球通過センサ860からの抜け止め部材830の抜け止めとを、併せて行うことができる。
【0143】
以上の様に、第4実施例の抜け止め部材830を用いた場合でも、遊技球通過センサ860からのコネクタ850の抜けることを抑制することができる。このため、遊技球通過センサ860に振動等が加わった場合でも、振動等に起因して接続不良が発生し、パチンコ機1の動作が不安定となることを確実に且つ簡便に回避することが可能となる。
【0144】
また、こうした第4実施例の抜け止め部材830においても、係止爪871の係止状態を解除して、抜け止め部材800を遊技球通過センサ860から外すことができる。このため、必要に応じて、コネクタ850を遊技球通過センサ860から容易に着脱することが可能である。
【0145】
以上、本発明についての各種の実施の形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲を逸脱しない限り、各請求項の記載文言に限定されず、当業者がそれらから容易に置き換えられる範囲にも及び、かつ、当業者が通常有する知識に基づく改良を適宜付加することができる。
【0146】
例えば、音声・ランプ制御部170に限らず、払出制御部150や、発射装置制御部193、図柄制御部160などの他の制御部も、制御基板と駆動基板とに分けて構成してもよい。こうして、機種に依存する部分を駆動基板で吸収してやれば、制御基板の共用化をより一層促進することが可能となるので好ましい。
【0147】
【発明の効果】
以上に説明したように、本願の各発明によれば、コネクタ部分で接続不良が発生することを回避して、遊技機の動作が不安定となることや、遊技球を不正に払い出す行為を、確実に且つ簡便に回避することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例によるパチンコ機を前面側(すなわち遊技者の側)から見た正面図である。
【図2】本発明の実施例によるパチンコ機を、前面枠を開いた状態で斜め上方から見たときの斜視図である。
【図3】本発明の実施例によるパチンコ機に搭載された各種LED基板の位置関係を示す説明図である。
【図4】本発明の実施例による遊技盤の表面の構造を示す説明図である。
【図5】本発明の実施例によるパチンコ機の裏面側の構造を示す説明図である。
【図6】本発明の実施例によるパチンコ機に搭載された電子制御装置における制御回路の構成を示すブロック図である。
【図7】本発明の実施例による主制御基板の構成を概念的に示す説明図である。
【図8】本発明の実施例によるCPUの詳細な構造を示す説明図である。
【図9】本発明の実施例による払出制御基板の構成を概念的に示す説明図である。
【図10】本発明の実施例による音声・ランプ制御部の構成を概念的に示す説明図である。
【図11】本発明の実施例による図柄制御部の構成を概念的に示す説明図である。
【図12】本実施例のパチンコ機における主制御部メインジョブの流れを示すフロー図である。
【図13】本実施例のパチンコ機における初期化ジョブの流れを示すフロー図である。
【図14】本実施例のパチンコ機において主制御部から初期図柄指定コマンドが出力される様子を概念的に示す説明図である。
【図15】本実施例のパチンコ機におけるデモ表示ジョブの流れを示すフロー図である。
【図16】本実施例のパチンコ機における普通図柄制御ジョブの流れを示すフロー図である。
【図17】本実施例のパチンコ機における普通図柄関連コマンドを一覧的に表示した説明図である。
【図18】本実施例のパチンコ機における主制御部140が各種の普通図柄関連コマンドを出力する様子を概念的に示す説明図である。
【図19】本実施例のパチンコ機における特別図柄制御ジョブの流れを示すフロー図である。
【図20】本実施例のパチンコ機における各種の特別図柄関連コマンドを一覧的に表示した説明図である。
【図21】本実施例のパチンコ機における特別図柄関連コマンドが主制御基板から音声・ランプ制御基板に向かって出力される様子を概念的に示す説明図である。
【図22】本実施例のパチンコ機におけるサブ基板メインルーチンの流れを示すフロー図である。
【図23】本実施例のパチンコ機における主制御基板340を示す斜視図である。
【図24】本実施例のパチンコ機において主制御基板が主制御基板ケースに収納されている様子を示す説明図である。
【図25】本実施例のパチンコ機におけるコネクタ受け部にコネクタが嵌合されている様子を示す説明図である。
【図26】本実施例のパチンコ機における第1実施例の抜け止め部材によってコネクタが抜け止めされている様子を示す説明図である。
【図27】本実施例のパチンコ機における第2実施例の抜け止め部材によってコネクタが抜け止めされている様子を示す説明図である。
【図28】本実施例のパチンコ機における第3実施例の抜け止め部材によってコネクタが抜け止めされている様子を示す説明図である。
【図29】本実施例のパチンコ機における第4実施例の抜け止め部材によってコネクタが抜け止めされている様子を示す説明図である。
【符号の説明】
1 …パチンコ機
10 …遊技盤
11 …遊技領域
17 …第一種始動口
26 …中央表示装置
27 …特別図柄表示装置
130…電子制御装置
140…主制御部
150…払出制御部
160…図柄制御部
170…音声・ランプ制御部
370…制御基板
380…駆動基板
【発明の属する技術分野】
本発明は遊技機に関し、特にいわゆる第1種パチンコ機、第2種パチンコ機、第3種パチンコ機、またはアレンジボール遊技機等の弾球遊技機に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、デジパチと呼ばれる第1種パチンコ機、羽根物と呼ばれる第2種パチンコ機、権利物と呼ばれる第3種パチンコ機、アレパチ(タイヨーエレック(株)登録商標)と呼ばれるアレンジボール遊技機などの遊技機として、遊技盤上に設けられた入賞口に向かって遊技球を発射し、発射した遊技球が首尾良く入賞口に入球したときに、所定数の遊技球が賞球として払い出される遊技機が知られている。この種の遊技機の枠体には、遊技盤や、遊技球を発射するための発射装置などが取り付けられており、遊技盤には入賞口や、障害物、役物などが設けられている。また、その背面側には、遊技全体の進行を制御する主制御基板や、主制御基板からのコマンドを受けて遊技球を払出したり、画像を表示したり、効果音を出力するといった制御をそれぞれ司る副制御基板などが設けられている。
【0003】
入賞口には遊技球の入球を検出するセンサが設けられており、遊技球が入球すると、センサはこれを検知して主制御基板に向けて信号を出力する。センサと主制御基板とは信号ケーブルで接続されており、主制御基板はセンサからの信号を受け取ると所定の処理を行った後、所定数の遊技球を払出す旨のコマンドを副制御基板に向けて出力する。出力されたコマンドは信号ケーブルを介して副制御基板に伝達され、副制御基板は賞球払出装置を制御して所定数の遊技球の払出しを行う。このように遊技機の背面側には、センサからの信号や各種コマンドを伝達するための多数の信号ケーブルが設けられており、これら信号ケーブルは、その両端がコネクタによってセンサや各種制御基板に接続されている。
【0004】
こうした遊技機では、センサからの信号ケーブルを抜き取って遊技球を不当に払い出させる行為を防ぐために、例えばコネクタ全体を箱の中に収納してしまう技術が提案されている(特許文献1)。
【0005】
【特許文献1】
特開2003−175237号公報
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、遊技機の背面側には多数の信号ケーブルが設けられていることから、故意に抜き取るのではなくても、遊技機の据え付け時や整備時などに信号ケーブルを引っかけてしまうなどして、コネクタの取付部分に緩みが生じて軽微な接続不良を起こすことがある。このような軽微な接続不良が発生すると、遊技の停止にまでは至らないまでも動作が不安定になってしまうという問題がある。
【0007】
また、例えば前記センサと主制御基板とを接続する信号ケーブルのコネクタ取付部分に緩みが生じて、該コネクタの接続状態が一時的に非接続状態なる形態の接続不良が発生すると、主制御基板はこの接続不良をセンサによる遊技球の入球検知と誤認識してしまい、実際にはセンサに遊技球の入球が検知されていないにも関わらず、遊技球の払い出しが行われてしまうことがある。このように接続不良が原因で遊技球の払い出しが行われる不安定な動作は、遊技球を不正に払い出させる不正行為を招く恐れがある。
【0008】
もちろん、信号ケーブルを引っかけた程度では接続不良を起こすことのないように、コネクタを大きくて頑丈なものに変更してやれば、こうした問題を防ぐことはできるが、それほどに大きなコネクタに変更しようとすると制御基板の再設計が必要となってしまう。あるいは、小型のコネクタを用いたままでも、組立時に接着などの手段を用いてコネクタの雌側と雄側とを固着してしまえば、接続不良の発生を回避することはできるが、これでは遊技機の枠体から遊技盤や制御基板のみを付け替えることで遊技機の機種を変更することができなくなってしまう。
【0009】
本発明は、従来技術における上述した課題を解決するためになされたものであり、その目的は、コネクタ部分で軽微な接続不良が発生することを回避して、遊技機の安定した動作を簡便に確保可能な技術の提供を目的とする。
【0010】
また本発明は、発生した接続不良を容易に発見することで、遊技機の安定した動作を簡便に確保可能な技術の提供も目的とする。
【0011】
更に本発明は、コネクタの取付部分を意図的にゆるめて接続不良を発生し易くしたり、信号ケーブルを抜き取るなどして遊技球を不正に払い出させる行為を、簡便に防止可能な技術の提供も目的とする。
【0012】
【課題を解決するための手段】
上述した課題の少なくとも一部を解決するために、本発明の遊技機は次の構成を採用した。すなわち、
遊技盤面上に発射した遊技球が所定位置を通過することにより、所定数の遊技球を払い出す遊技機であって、
遊技の進行を司る主制御基板と、
前記遊技球の払い出しに関わる情報を前記主制御基板が外部とやりとりするための信号ケーブルと
を備え、
前記信号ケーブルの少なくとも一端に設けられたコネクタと該コネクタの相手部材とは、該コネクタとは別体に設けられた抜け止め部材によって、着脱可能な状態で抜け止めされていることを特徴とする。
【0013】
こうした遊技機では、遊技球を賞球として払い出す遊技が行われる関係上、払い出し動作が不安定となると、遊技の進行が大きく阻害されることになる。これに対して本願発明のように、主制御基板が払い出しに関わる情報をやりとりする信号ケーブルのコネクタを、該コネクタとは別体に設けられた抜け止め部材を用いて抜け止めしておけば、遊技機の据え付け時や整備時などに信号ケーブルを引っかけるなどして軽微な接続不良が発生し、遊技球の払い出し動作が不安定となることを、確実に且つ簡便に回避することができる。
【0014】
また、遊技機は一般に、遊技盤を変更してやれば、遊技機全体を取り替えずとも遊技内容を変更することが可能であるが、一般的に遊技盤を変更するためには主制御基板を取り外す必要がある。また、日常的に行われる遊技機の点検・整備時においても、主制御基板を取り外す必要がしばしば発生する。本願発明によれば、こうした信号ケーブルのコネクタは、相手部材に対して着脱可能に抜け止めされている。従って、必要に応じてコネクタを相手部材から取り外すことが可能となるので好適である。加えて、コネクタとは別体に設けられた抜け止め部材を利用すれば、コネクタと相手部材とを着脱可能に構成することも、更に、実際に着脱することも簡便に実施することができるので好ましい。
【0015】
更に、こうして抜け止め部材を用いてコネクタを抜け止めしておけば、仮に抜け止め部材が外れたり、緩んだ場合にも、遊技機の点検時にこれを容易に発見することができる。このため、コネクタの接続状態を常に適切な状態に保つことができるという利点も得られる。
【0016】
上記の遊技機においては、主制御基板が遊技球の払い出しに関わる情報を外部とやりとりする信号ケーブルの中で、特に主制御基板に情報を入力する信号ケーブルのコネクタを、該相手部材に対して着脱可能に抜け止めすることとしても良い。
【0017】
遊技機の構造上の理由から、主制御基板の入力側の信号ケーブルは出力側のケーブルよりも、整備中にケーブルを比較的引っかけてしまい易い位置にある。更に、入力側の信号ケーブルは遊技機の前面側に接続されている場合が多いので、入力側のコネクタには、遊技中に遊技機の前面側から伝わる振動が、出力側のコネクタよりも伝わり易い傾向にある。従って、主制御基板に情報を入力する信号ケーブルのコネクタを、着脱可能に抜け止めすることとしておけば、払い出し動作の動作不良を効果的に回避することが可能となる。
【0018】
また、発射された遊技球が所定位置を通過したことを検出する遊技球通過センサと、信号ケーブルとを接続するためのコネクタを、抜け止め部材を用いて着脱可能に抜け止めすることとしても良い。
【0019】
遊技球通過センサは遊技機の前面側に搭載される関係上、遊技中に振動を受け易く、従って軽微な接触不良が発生した場合には、振動によって動作が不安定となり易い傾向にある。このことから、遊技球通過センサと信号ケーブルとをつなぐコネクタを抜け止めしておけば、払い出し動作が不安定となることを効果的に回避することが可能となって好適である。
【0020】
上述した遊技機においては、信号ケーブルと主制御基板とを接続するためのコネクタを、主制御基板に対して着脱可能に抜け止めすることとしてもよい。
【0021】
このように、信号ケーブルと主制御基板とを接続するためのコネクタ部分で着脱可能としておけば、主制御基板を取り外す際に、信号ケーブルが主制御基板についてこないので、取り外し作業が容易になるという利点がある。
【0022】
加えて、主制御基板のコネクタは目に付き易いので、抜け止め部材が設けられていることも容易に認識されることになる。このように、抜け止め部材が設けられていれば、仮にコネクタ部分で軽微な接続不良を生じさせようと意図した場合でも、こうした意図を断念させることができるという効果もある。
【0023】
遊技球の払い出しに関わる情報をやりとりするための信号ケーブルを複数備える遊技機においては、これら全ての信号ケーブルのコネクタを、一体に形成された抜け止め部材を用いて、着脱可能に抜け止めすることとしても良い。ここで、信号ケーブルがそれぞれのコネクタで接続されている場合は、これら全てのコネクタを抜け止めすればよい。また、これら複数の信号ケーブルが1つのコネクタで主制御基板に接続されている場合は、このコネクタを抜け止めすればよい。
【0024】
このように、抜け止め部材が一体に形成されていれば、僅かな手間で抜け止め部材を取り付けることができるので、コネクタを簡便に抜け止めすることが可能となって好適である。
【0025】
また、抜け止め部材をコネクタの抜け方向から被せ、主制御基板に設けた貫通孔で抜け止め部材を固定されることによって、コネクタを抜け止めすることとしてもよい。
【0026】
こうすればコネクタを簡便に抜け止めすることが可能であるとともに、抜け止め部材も簡素な構造とすることができる。こうして簡素な構造であれば、抜け止め部材を小形化することができる。また、通常の基板についても、貫通孔を設けてやれば、コネクタを簡単に抜け止めすることが可能となるので好適である。
【0027】
あるいは、コネクタの抜け方向に対して交差する方向から、抜け止め部材をスライドさせるようにしてコネクタに被せ、主制御基板側と係合させてコネクタの抜け方向への移動を規制することによって、コネクタを抜け止めすることとしてもよい。
【0028】
このようにすれば、抜け止め部材はコネクタの抜け方向には動かないので、コネクタを着脱可能な状態で簡便に抜け止めすることが可能となって好ましい。
【0029】
【発明の実施の形態】
以下では、上述した本願発明の内容を明確にするために、次のような順序に従って本願の実施例を説明する。
A.パチンコ機の装置構成:
A−1.全体構成:
A−2.遊技盤の表面構造:
A−3.裏面構造:
A−4.パチンコ機の制御回路の構成:
B.賞球動作の概要:
C.制御ジョブの概要:
C−1.主制御部メインジョブ:
C−2.普通図柄制御ジョブ:
C−3.特別図柄制御ジョブ:
C−4.サブ基板メインルーチン:
D.コネクタの抜け止め構造:
D−1.第1実施例の抜け止め部材:
D−2.第2実施例の抜け止め部材:
D−3.第3実施例の抜け止め部材:
D−4.第4実施例の抜け止め部材:
【0030】
A.パチンコ機の装置構成:
本発明は、いわゆる第1種パチンコ機、第2種パチンコ機、第3種パチンコ機、あるいはアレンジボール遊技機などの弾球遊技機一般に適用することができるが、以下では、デジパチと呼ばれるタイプの第1種パチンコ機(弾球遊技機)を例にとって本実施例につき説明する。
【0031】
A−1.全体構成:
先ず初めに、図1および図2を参照しながら本実施例のパチンコ機1の大まかな構造について説明する。図1は、パチンコ機1の前面側(すなわち、遊技者の側)から見たときのパチンコ機1の正面図である。また、図2は、パチンコ機1を斜め上方から見たときの斜視図である。図示されているように、パチンコ機1は主に、木製の板状体を略長方形の額縁状に組み立てて固着した外枠(本体枠とも言う)2と、外枠2の前面に開閉可能に軸支されたプラスチック製の中枠3と、中枠3の左端部で開閉可能に軸支されたプラスチック製の前面枠4と、前面枠4の下方に設けられた上皿部5および下皿部6と、中枠3の右側に設けられて前面枠4の施錠を行う施錠装置7と、中枠3の前面側に取り付けられた図示しない遊技盤などから構成されている。上皿部5は、前面枠4を施錠したときに前面枠4のちょうど下側に来る位置に、中枠3に対して開閉可能に軸着されている。また、下皿部6は、上皿部5の下方の位置で中枠3に取り付けられている。
【0032】
図1に示されているように、前面枠4はパチンコ機1の前面の略2/3を占めており、そのほぼ中央部には略円形の開口部4aが形成されている。後述する遊技領域は、この開口部4aの内側に形成される。開口部4aの左方には略円弧状の左LED表示部4bが、更にその外側上方には左上LED表示部4dが設けられ、一方、開口部4aの右方には略円弧状の右LED表示部4cが、その外側上方には右上LED表示部4eが設けられている。また、開口部4aの上方で且つ、左LED表示部4bおよび右LED表示部4cの間には、略円形状の中上LED表示部4fが2つ並べて配置されている。これら2つの中上LED表示部4fの間には、2つの賞球LED表示部4gが設けられている。これらのLED表示部4d〜4gは、遊技効果を高めることなどを目的として、遊技の進行に応じて点灯および消灯あるいは点滅する。また、賞球LED表示部4gの上方には、略扇形状のエラーLED表示部4hが設けられている。更に、前面枠4の裏面側にはガラス枠41sが取り付けられており、ガラス枠41sには二枚のガラス板41rが装着されている(図2参照のこと)。パチンコ機1の遊技者は、このガラス板41rを介して遊技領域を目視することが可能となっている。遊技領域については、後ほど詳しく説明する。
【0033】
前面枠4の下方に設けられた上皿部5には、複数の長孔を有する第1音声出力部5cと、皿外縁部5aと、パチンコ機1の内部の遊技球を上皿部5に排出するための排出口5bなどが設けられている。第1音声出力部5cには、遊技状態に応じて効果音あるいは音声などを発生するためのスピーカー400aと、後述する音量スイッチ基板12とが接続されている。尚、本実施例のスピーカー400aは、中高音用ユニット(ツィータ)および低音用ユニット(ウーハ)を含んだマルチウェイ方式とされており、第1音声出力部5cには、中高音用ユニット(ツィータ)が図示しないダクトを介して接続されている。また、低音用ユニット(ウーハ)は、後述する第2音声出力部6dに、図示しないダクトを介して接続されている。皿外縁部5aには玉抜きボタンや遊技球の貸出・返却ボタンなどが設けられている。また、本実施例の上皿部5には、前面左端側の部位に、2つの操作スイッチSW1およびSW2が設けられている。更に、上皿部5には、貯留されている遊技球を発射装置に供給するための図示しない供給装置や、遊技球を発射するための図示しない発射装置ユニットなどが設けられている。
【0034】
上皿部5の下方に設けられた下皿部6には、略中央部に排出口6aが設けられており、下皿部6の左端には灰皿6bが、右端には発射ハンドル9が設けられている。排出口6aからは、パチンコ機1の内部から下皿部6に遊技球が排出されてくる。また、下皿部6の底面には図示しない球抜き孔が設けられている。球抜き孔は通常時には閉鎖されているが、下皿部6の略中央手前側に設けられた排出ノブ6cを操作して球抜き孔を開放状態とすれば、下皿部6に貯留された遊技球をパチンコ機1から排出することができる。排出ノブ6cは、プルロック式のノブであり、通常は直立状態となっている。そして、排出ノブ6cの上端を手前側に倒すと、ノブの動きに連動して球抜き孔が開放状態となり、下皿部6から遊技球が排出される。また、遊技者が排出ノブ6cを押すとノブのロックが解除され、排出ノブ6cを直立状態に戻して、球抜き孔を閉鎖状態に戻すことができる。この排出ノブ6cの右側下面および左側下面には、前述した第2音声出力部6dが設けられている。
【0035】
発射ハンドル9は、遊技領域に向かって遊技球を射出する図示しない発射装置ユニットに接続されており、パチンコ機1の遊技者は発射ハンドル9を操作することによって遊技球の発射動作を制御することができる。発射ハンドル9には、遊技者がハンドルに触れていることを検出するタッチスイッチ9aが装着されており、その近傍には、遊技球の発射を一時的に停止するための発射停止スイッチ9bが装着されている。また、パチンコ機1の左端側には、プリペイドカードユニット13が設けられている。
【0036】
次に、図2を参照しながら、中枠3の構成について説明する。中枠3は、枠体部3aと下板部3bとを備えている。このうち枠体部3aは、前述した前面枠4を施錠すると前面枠4がちょうど覆い被さるような位置に、すなわち中枠3の上端から下方に向かって略2/3の大きさを占める位置に設けられている。また、下板部3bは、上皿部5および下皿部6に対応する位置、すなわち中枠3の下端から上方に向かって略1/3の大きさを占める位置に設けられている。
【0037】
枠体部3aの上部には、前面枠4の枠飾りランプ用レンズ4bに対応する位置に、図示しない複数個の遊技効果ランプと、前面枠4の枠飾りLED用レンズ4cに対応する位置に、図示しない賞球表示LEDと、同じく枠飾りLED用レンズ4eに対応する位置に、図示しないストップ表示LEDなどが設けられている。更に枠体部3aには、遊技効果ランプの点滅を制御するための枠飾りランプ基板4gと、賞球表示LEDの点滅を制御するための賞球表示LED基板4dと、ストップ表示LEDの点滅を制御するストップ表示LED基板4fなどの各種基板も取り付けられている。これら基板の詳細については後述する。
【0038】
ここで、図1に示した各種のLED表示部4b〜4hを駆動する各種LED基板の位置関係について説明する。図3は、各種LED基板4i〜4oの位置関係を示す説明図である。図示されている各種LED基板4i〜4oは、中枠3の枠体部において、上述の各種LED表示部4b〜4hに対応する位置に設けられている。具体的には、左LED基板4iは左LED表示部4bに対応し、右LED基板4jは右LED表示部4cに対応し、左上LED基板4kは左上LED表示部4dに対応し、右上LED基板4lは右上LED表示部4eに対応している。また、中上LED基板4mは中上LED表示部4fに対応し、賞球LED基板4nは賞球LED表示部4gに対応し、エラーLED基板4oはエラーLED表示部4hに対応している。
【0039】
A−2.遊技盤の表面構造:
次に、遊技盤10の構成について説明する。図4は、遊技盤10の表面の構造を示した説明図である。図示するように遊技盤10は、木製で略長方形の板状体であって、中枠3の表面側に着脱可能に取り付けられているとともに、その背面側は後述する裏機構盤102(図6参照)によって覆われている。遊技盤10の表面には外レール14と内レール15とが設けられており、これらレールに囲まれた部分に、略円形状の遊技領域11が形成されている。
【0040】
遊技領域11内には、略中央部に設けられて特別図柄表示装置27を備えた中央装置26と、遊技領域11の下部に設けられた変動入賞装置18と、中央装置26と変動入賞装置18との間に設けられた第一種始動口(普通電動役物)17と、変動入賞装置18の左上方および右上方にそれぞれ設けられた左入賞口19および右入賞口20などが備えられている。また、左入賞口19と第一種始動口17との間には普通図柄作動左ゲート36が、右入賞口20と第一種始動口17との間には普通図柄作動右ゲート37が設けられている。更に、中央装置26の左右には一対のランプ風車24,25が設けられ、遊技領域11の左右両端部には縦円弧状の一対のサイドランプ38、39がそれぞれ相対称状に配設されている。これら各遊技装置の間および周辺には、多数の障害釘23が設けられている。
【0041】
中央装置26には、その中央には前述の液晶表示装置(特別図柄表示装置)27が設けられ、上部には4個の赤色LEDから構成された特別図柄保留表示LED16aが設けられている。液晶表示装置27の表面には、大きさが縦50〜120mm、横80〜200mmで平面略矩形状の表示部271が設けられており、図柄可変表示部としての表示部271には、特別図柄(特別遊技識別情報)や時短に関する情報が表示される主表示部272と、普通図柄が表示される普通図柄表示部位32と、後述する確変に関する情報を表示する第4図柄が表示される第4図柄表示部位33が設けられている。主表示部272には左、中、右の3つ表示領域が設けられており、それぞれの領域に左図柄、中図柄、右図柄の3つの特別図柄を変動表示することが可能となっている。詳細には別図を用いて後述するが、本実施例のパチンコ機1では、これら特別図柄の変動表示後、停止した時の各図柄の組合せに応じて遊技状態を変化させることにより、遊技者の興趣を向上させることが可能となっている。また、普通図柄表示部位32は、上普通図柄表示部位32aと下普通図柄表示部位32bとから構成されており、それぞれの部位は赤色あるいは緑色に点灯可能となっている。尚、本実施例のパチンコ機1では、普通図柄表示部位32や第4図柄表示部位32は、表示部271内に設けられているが、これらを表示部271とは別に設けた表示部に設けることとしてもよい。
【0042】
特別図柄の変動表示は、第一種始動口(普通電動役物)17に遊技球が入球することによって開始されるが、特別図柄の変動表示中に遊技球が入球した場合には、最大4つまで入球が保留として蓄えられる。特別図柄保留表示LED16aは、こうした保留が発生するたびに赤色LEDが順次シフトしながら点灯する。また、次の特別図柄の変動が開始されると、そのたびに保留数が消化されて点灯中の赤色LEDが一つ消灯する。このように特別図柄保留表示LED16aは、現在の保留数を表示する機能を有している。特別図柄の変動表示の詳細な内容については後述する。
【0043】
変動入賞装置18は、大入賞装置31と、その左右に左下入賞口21および右下入賞口22とがそれぞれ設けられており、左下入賞口21の下方には複数個の左下入賞口LED223が、また、右下入賞口22の下方には複数個の右下入賞口LED224が設けられている。これらLEDは飾りレンズによって覆われており、左下入賞口LED基板21f(図6参照)および右下入賞口LED基板22f(図6参照)によって点滅動作が制御されている。大入賞装置31を初めとして、これら全ては、前面側が略逆台形状に形成された基板34に装着されている。また、左下入賞口21の内部には左下入賞口通過検知スイッチ21s(図6参照)が、右下入賞口22の内部に右下入賞口通過検知スイッチ22s(図6参照)が設けられている。
【0044】
大入賞装置31は、略中央に形成されて帯状に開口した大入賞口311と、この大入賞口311を開放・閉鎖する開閉板312と、この開閉板312を開閉するための大入賞口ソレノイド313(図6参照)と、大入賞口311に入賞した後に遊技球が通過する特定領域(V入賞口及び一般入賞口/図示略)と、図示しない連動杆と、入賞球を検知する入賞球検知スイッチ318(図6参照)と、裏箱(図示略)と、大入賞口中継基板(図示略)などから構成されている。前述した液晶表示装置27の表示部271で特別図柄の変動表示が開始され、所定の図柄で停止すると、大入賞口311が開放される。
【0045】
第一種始動口(普通電動役物)17は、左右に一対の翼片部が開閉可能に構成されたいわゆるチューリップ式の始動口であり、その前面に設けられた飾りとともに、基板34に取り付けられている。第一種始動口17の内部には、遊技球の通過を検出する第一種始動口(普通電動役物)入賞検知スイッチ17s(図6参照)と、翼片部を作動させるための第一種始動口(普通電動役物)ソレノイド17c(図6参照)とが備えられている。一対の翼片部が左右に開くと、遊技球の入球可能性が大きくなる開放状態となり、一対の翼片部が立設され、遊技球の入球可能性が小さくなる通常状態となる。
【0046】
翼片部の開閉は次のようにして行われる。第一種始動口17の左右に設けられた普通図柄作動左ゲート36、普通図柄作動右ゲート37のいずれかを遊技球が通過すると、普通図柄作動左ゲート36および普通図柄作動右ゲート37の内部にそれぞれ設けられた左、右普通図柄作動ゲート検知スイッチ36s、37s(図6参照)で検出され、表示部271の内部に設けられた上普通図柄表示部位32aおよび下普通図柄表示部位32bの変動表示が開始される。そして、これらの普通図柄表示部位32が所定の図柄(例えば、上普通図柄表示部位32aが赤色に点灯し、下普通図柄表示部位32bが緑色に点灯した状態)で停止すると、所定時間(例えば、0.5秒間)だけ第一種始動口17の翼片部が開放される。
【0047】
尚、この普通図柄表示部位32を、例えば、中央装置26の上部中央等に配置する普通図柄表示装置によって構成してもよい。この普通図柄表示装置としては、7セグメント表示器と、普通図柄保留表示とを有するものを例示できる。この7セグメント表示器としては、1〜9の奇数数字を変動表示させるもので、後述する左右の普通図柄作動ゲート36、37のいずれかを遊技球が通過することにより変動して、所定時間経過後に1種類の奇数数字が停止表示されるものを例示できる。そして、この普通図柄表示装置において、例えば「7」で停止表示すると、第一種始動口(普通電動役物)が所定時間(例えば、0.5秒)開放することとしてもよい。
【0048】
前述したように、液晶表示装置27における特別図柄の変動表示は第一種始動口(普通電動役物)17に遊技球が入球することによって開始され、特別図柄が所定の図柄で停止すると大入賞口311が開放される。従って、遊技球が普通図柄作動左ゲート36あるいは普通図柄作動右ゲート37を通過すると、第一種始動口17が開放状態となって入球し易くなり、特別図柄の変動が頻繁に開始され、延いては大入賞口311が開放し易くなる。
【0049】
また、変動入賞装置18の上方左右に取り付けられた左入賞口19および右入賞口20の内部には、それぞれ左入賞口通過検知スイッチ19s(図6参照)、右入賞口通過検知スイッチ20s(図6参照)が設けられている。
【0050】
遊技盤10の下方にはアウト口48が設けられ、そのアウト口48の下部にはバック球防止部材58が設けられており、遊技領域11に到達せず戻ってきた遊技球が再び発射位置に戻ることを防止している。一方、ファール球防止部材59は、内レール15の先端部に取り付けられ、返しゴム60は、ファール球防止部材59の位置とは略正反対側の、遊技盤10の右半分側の位置であって、外レール14に沿って嵌合状に取り付けられている。
【0051】
以上、パチンコ機1の表面構造について説明したが、最後に上皿部5の前面左端部に設けられた2つの操作スイッチSW1,SW2の働きについて説明しておく。操作スイッチSW1、SW2は、表示部271で表示される演出の形態を、選択する作用を有している。つまり、遊技者が、この操作スイッチSW1、SW2を操作すると、所定の条件の下、表示部271で表示される演出の形態を変更することができる。このため、遊技者は、あたかも、表示部271で表示される演出に実際に参加しているような気分を味わうことができる。
【0052】
本パチンコ機1では、2つの操作スイッチSW1、SW2を備えると共に、一方の操作スイッチ(以下、「第1の操作スイッチ」という。)SW1が「演出モードの選択用スイッチ」とされ、他方の操作スイッチ(以下、「第2の操作スイッチ」という。)SW2が「演出モードの確定用スイッチ」とされている。後述する疑似図柄表示が変動しているときに、遊技者が第1の操作スイッチSW1を操作すると、図柄の背景を変更するための表示が点滅を開始し、点滅を介してから所定の時間(例えば、5秒)内に、第2の操作スイッチSW2を操作すると、複数種類(例えば、10種類)の背景図柄から所望の背景を選択することができる。
【0053】
また、図柄の背景を変更するための表示が点滅状態となった後に、当該所定の時間(例えば、5秒)内に、第1の操作スイッチSW1を再び操作すると、キャラクターを選択するための表示が点滅を開始し、点滅状態となってから所定の時間(例えば、5秒)内に、第2の操作スイッチSW2を操作すると、複数種類(例えば、3種類)のキャクター図柄から所望のキャクターを選択することができる。更に、背景やキャクターを変更するための表示部分が点滅状態となってから所定の時間(例えば、5秒)放置すると、これらの点滅状態を終了し、現在選択している背景やキャラクターがそのまま選択され続けることになる。
【0054】
また、後述する疑似図柄表示がリーチ表示を行っているときや、表示部271でいわゆる予告表示を行った後に、操作スイッチ(SW1及びSW2のうちの少なくとも一方)を操作すると、これらの表示の信頼性(実際の大当りとなる確率)を示す表示が表示部271内に現れる。
【0055】
ここで、本パチンコ機1が、複数段階で発展する「発展型」のリーチ表示を行う場合には、操作スイッチ(SW1及びSW2のうちの少なくとも一方)を以下のように用いることもできる。即ち、疑似図柄で発展のリーチ表示がなされる場合には、リーチ表示が発展する従って表示する信頼度を高めることで、本パチンコ機1の遊技上の興趣をより一層高めることができる。例えば、信頼度が「30%」の「発展型」のリーチ表示において、発展の初期段階に操作スイッチ(SW1及びSW2のうちの少なくとも一方)を操作すると、リーチ表示の信頼度として実際よりも低い信頼度を表示する(例えば、10%)。そして、発展の中期段階に、操作スイッチを操作すると、初期段階のリーチ表示の場合よりも、高い値を示すが、実際よりも低い信頼度を表示する(例えば、20%)。更に、発展の最終段階で、操作スイッチを操作すると、実際の信頼度を表示することとすれば、遊技者は、リーチ表示の発展に沿って上昇する信頼度を期待感をもって認識することができる。
【0056】
但し、遊技者がパチンコ機1によって行われる演出に参加するための参加手段は、この操作スイッチSW1、SW2に限定されるものではない。例えば、このような操作スイッチSW1、SW2や参加手段を遊技者が操作することで、スピーカー400aから発音される効果音を変更可能とすることもできる。
【0057】
A−3.裏面構造:
次に、パチンコ機1の裏面構造について説明する。図5は、本実施例のパチンコ機1の裏面構造を示した説明図である。本実施例では、パチンコ機1の裏面構造は、大きな裏機構盤102の上に各種装置が搭載された構造となっており、裏機構盤102は、一対のヒンジ103によって中枠3に開閉可能に軸支されている。図5では、ヒンジ103は、中枠3右側の上端付近および下端付近に示されている。
【0058】
裏機構盤102には、遊技球が蓄えられる賞球タンク105と、賞球の払出を行う賞球払出装置109と、前述した液晶表示装置27が格納された蓋付きの裏ケース111と、後述する主制御基板340が格納された主制御基板ケース112と、前述した発射装置ユニットを制御する発射装置制御基板が格納された発射装置制御基板ケース113と、賞球払出装置109を制御する払出制御基板が格納された払出制御基板ケース118と、主制御基板340と各種スイッチ類とを中継する中継基板190などが搭載されている。
【0059】
賞球タンク105には底部にタンク球切れ検知スイッチ104が設けられており、球切れを検出することができる。賞球タンク105と賞球払出装置109とは、タンクレール106によって接続されており、図上でタンクレール106の右側には球抜きレバー107が設けられ、またタンクレール106の下流側には図示しない補給球切れ検知スイッチが設けられている。更に、賞球払出装置109の下流側には、球技球の振り分け部が設けられている。尚、図5では、図示が煩雑となることを避けるために、振り分け部の表示は省略されている。
【0060】
また、主制御基板ケース112、中継基板190や、払出制御基板ケース118などの各種基板は、裏機構盤102に回動自在に懸架された図示しない金属板に、着脱自在に装着されている。
【0061】
裏機構盤102の右上端部には、ヒューズボックス119、電源スイッチ120、電源ターミナル基板121および大当り、発射装置制御、球切れ、扉開放、賞球、球貸し用等の遊技機枠用外部接続端子を備えた端子基板122が設けられている。尚、電源ターミナル基板121には、ラムクリア信号を発生させるためのラムクリアスイッチ(図示を省略)を接続してもよい。また、端子基板122の上側には、外部からの電力の供給を受けるための電源ケーブル123も配設されている。更に、払出制御基板ケース118からは接続ケーブル124が上方へ延出し、電源ケーブル125を備えたプリペイドカードユニット13に接続されている。また、裏機構盤102の略中央下端部には、下皿部用球通路部材126が設けられている。
【0062】
A−4.パチンコ機の制御回路の構成:
次に、本実施例のパチンコ機1の制御回路の構成について説明する。図6は、本実施例のパチンコ機1に搭載された電子制御装置130における制御回路の構成を示したブロック図である。図示されているように、電子制御装置130は、その機能に着目すると、主制御部140と、複数の副制御部とから構成されている。また副制御部は、主制御部140に直接に接続された第1次副制御部と、第1次副制御部を介して主制御部140に接続された第2次副制御部とから構成されている。主制御部140と第1次副制御部とは信号伝送経路500aによって接続されている。尚、パチンコ機の機種によっては、第1次副制御部と第2次副制御部とを介して主制御部140に接続される第3次副制御部が設けられている場合もある。
【0063】
図示されているように、本実施例の電子制御装置130には、第1次副制御部として、払出制御部150と音声・ランプ制御部170とが設けられており、第2次制御部として、払出制御部150に接続された発射装置制御部193と、音声・ランプ制御部170に接続された図柄制御部160とが設けられている。
【0064】
主制御部140から、払出制御部150および音声・ランプ制御部170へは、一方向形式若しくは双方向形式でデータが伝送される。また、本実施例では音声・ランプ制御部170から図柄制御部160へも一方向形式でデータが伝送されるものとして説明するが、音声・ランプ制御部170と図柄制御部160との間では双方向形式でデータを伝送することとしてもよい。
【0065】
また、図6に示した破線の矢印は、各制御部140ないし180への電源供給経路を表している。図示されているように、電源は先ず初めに電源受電基板410に供給され、電源ユニット420で所定電圧に変換された後、分電基板430から各制御部140ないし180に電力が供給される。更に、電源投入時には、後述するシステムリセット信号が全制御基板に送信される。
【0066】
詳細には後述するが、主制御部140は各種スイッチや検知器などからの情報を受け取って所定の演算を行った後、払出制御部150や音声・ランプ制御部170に各種のコマンドを出力するとともに、各種の基板やソレノイドなどに駆動信号を出力する。以下では、主制御部140や、払出制御部150、音声・ランプ制御部170、図柄制御部160、各種基板などの構成について順番に説明する。
【0067】
主制御部140は、主制御基板ケース112に格納された主制御基板340によって主に構成されており、主制御基板ケース112は、不正行為者が容易に開閉できないような構造に形成されている。図7は、主制御基板340の構成を概念的に示した説明図である。図示されているように、主制御基板340は、CPU401を含む主回路部400と入出力回路部500とが、バスで接続されて相互にデータをやりとり可能に構成されている。主回路部400には、CPU401と、発振部410と、リセット回路部450と、I/Oデコード回路部420と、データバス安定化部411と、第1外部入力回路部430などが設けられている。
【0068】
図8は、CPU401の詳細な構造を示した説明図である。図8に示すようにCPU401は、CPUコア480と、内蔵RAM481と、内蔵ROM482と、メモリ制御回路483と、クロック発生器484と、アドレスデコーダ485と、ウオッチドッグタイマ486と、カウンタ/タイマ487と、パラレル入出力ポート488と、リセット/割り込みコントローラ489と、外部バスインターフェース490と、出力制御回路491などから構成されている。CPU401は、ワークエリアとしてRAM481を使用しながら、ROM482に格納された制御プログラムを実行することにより、パチンコ機1全体の作動制御(すなわち、遊技の基本進行制御)を司るとともに、ROM482に記憶された当否判定プログラムを実行することにより、当否判断制御を行う。
【0069】
上述した主回路部400とともに主制御基板340を構成する入出力回路部500には、外部端子部145が接続されており、この外部端子部145によってパチンコホールの「ホールコンピューター」に接続されている。主制御基板340はRAMクリア処理を実行するに際して、RAMクリア信号をONにした後、一定時間経過後に再びOFFとする動作を行うが、このRAMクリア信号は外部端子部145を介してパチンコホールのシステム等に報知されている。このため、不正行為者によってRAMクリア処理が実行された場合には、不正行為者に悟られることなく、パチンコホールの管理者側で不正行為を検知することが可能となっている。
【0070】
入出力回路部500には、信号伝送経路500aを介して払出制御部150および音声・ランプ制御部170が接続されている(図6参照)。入出力回路部500は、払出制御部150や音声・ランプ制御部170での処理内容を指示する指令信号たるコマンドデータを、信号伝送経路500aを介して払出制御部150あるいは音声・ランプ制御部170に出力する。また、入出力回路部500からは、図柄制御部160での処理内容を指示するコマンドデータも出力される。図柄制御部160に対するコマンドデータは、一旦、音声・ランプ制御部170に向けて出力された後、音声・ランプ制御部170から信号伝達経路500bを経由して図柄制御部160に供給される。
【0071】
加えて入出力回路部500には、第一種始動口(普通電動役物)入賞検知器(入賞検知スイッチ)17sや、普通図柄表示装置基板32f、各種ソレノイド17c,313、右普通図柄作動ゲート通過検知器(右普通図柄作動ゲート通過検知スイッチ)37s、左普通図柄作動ゲート通過検知器(左普通図柄作動ゲート通過検知スイッチ)36sなどが接続されている。
【0072】
尚、本実施例では、主制御部140に格納されたプログラムによって「本抽選手段」、「特別図柄抽選手段」、「普通図柄抽選手段」、「可変入賞手段制御手段」、「始動口制御手段」等を構成する。また、図柄制御部160、主制御部140、格納されたプログラムによって、「疑似抽選手段」、「判定手段」、「再抽選手段」、「可変表示制御手段」、「普通図柄表示制御手段」を構成している。
【0073】
次に、払出制御部150の構成について説明する。払出制御部150は、払出制御基板ケース118に格納された払出制御基板350によって主に構成されている。図9は、払出制御基板350の構成を概念的に示した説明図である。前述した主制御基板340と同様に払出制御基板350も、主回路部600と入出力回路部700とがバスで相互にデータをやりとり可能に接続されて構成されている。入出力回路部700には信号伝送経路500aが接続されており、主制御基板340から出力された前述のコマンドデータは信号伝送経路500aを介して入出力回路部700に入力される。また、入出力回路部700には、賞球払出装置109や発射装置制御部193なども接続されている。
【0074】
音声・ランプ制御部170は、スピーカー400aやランプ等の制御を主に行うための制御基板370と、制御基板370からの命令を受けて、ランプ等に駆動信号を出力するための駆動基板380の、主に2つの基板から構成されている。図10は、音声・ランプ制御部170の構成を概念的に示した説明図である。制御基板部370には、演算回路構成要素として、CPU171と、RAM172と、ROM173と、入出力ポート174と、サウンドジェネレータ176と、コネクタCN1が設けられており、これらがバス175で相互にデータをやりとり可能に接続されている。サウンドジェネレータ176は、予め記憶された音声データをゲームの進行に合わせて再生することで、スピーカー400aから各種の音声を出力する。尚、スピーカー400aから出力される音量は、音量スイッチ基板12によって調整可能となっている。
【0075】
また、入出力ポート174には信号伝送経路500aが接続されている。前述した主制御部140が、特別図柄の変動・停止、リーチ発生、リーチ表示の態様、特別遊技態様、確率変動や時短などの遊技モードを指示する制御命令を出力すると、出力された各種の制御命令は信号伝送経路500aを介して入出力ポート174に入力される。制御基板370では、こうして制御命令を受け取ると、ROM173に予め記憶されているプログラムに従って所定の処理を行い、駆動基板380に向かって各種の命令を出力する。制御基板370と駆動基板380とは、コネクタCN1とコネクタCN2とで互いに接続されている。
【0076】
駆動基板380には、各種LEDやランプなどを駆動するための駆動信号を発生させる駆動回路部382と、発生した駆動信号を、各種LED基板4d,4f,19f〜22fや、各種ランプ基板216f,262f、枠飾り基板4gなどに出力するためのコネクタ出力部384とが設けられている。これら各基板にランプあるいはLED等が1個または複数個接続されており、コネクタ出力部384から供給される駆動信号により、ゲームの進行に対応して点灯・消灯または点滅する。尚、コネクタ出力部384を、駆動回路部382とは別基板に設ける構成としても良い。こうすることで、各種LEDなどのランプの数や色が変更されても駆動回路部382の変更を要しない場合には、コネクタ出力部384のみを変更して対応することが可能となる。
【0077】
また、パチンコ機1に、モータなどによって駆動される可動式役物が設けられている場合には、モータを駆動するための駆動回路を、駆動回路部382あるいはコネクタ出力部384に搭載することとしても良い。こうすれば、可動式役物の有無もしくは個数が変更された場合でも、容易に対応することが可能となる。
【0078】
図柄制御部160は、特別図柄制御基板360によって主に構成されている。図11は、図柄制御部160の構成を概念的に示した説明図である。図示されているように図柄制御部160は、演算回路構成要素としてCPU161と、RAM162と、ROM163と、入出力ポート164と、駆動回路166とを備えており、これら演算回路構成要素がバス165により接続されて相互にデータをやりとり可能に構成されている。入出力ポート164には、信号伝送経路500aや特別図柄表示装置27が接続されている。CPU161は、RAM162をワークエリアとして使用しながら、ROM163に格納された制御プログラムを実行することにより、中央表示装置26の制御を行っている。
【0079】
中継基板190には、入賞球検知スイッチ318,19s〜22s等が接続されており、中継基板190の出力端子は、主制御部140の入出力回路部500と接続されている。
【0080】
払出用端子基板191には、タッチスイッチ9a、発射停止スイッチ9b、ヴォリュームスイッチ192、タンク球切れ検知スイッチ104及び補給球切れ検知スイッチ108等が接続され、払出用端子基板191の出力端子は、図9に示す払出制御部150の入出力回路部700に接続されている。
【0081】
以上のような構成の本実施例の電子制御装置130においては、遊技球が第一種始動口17に入球すると、その情報が第一種始動口入球検知スイッチ17sによって検知されて、主制御部140に入力される。遊技球が普通図柄作動左ゲート36あるいは普通図柄作動右ゲート37を通過すると、その情報が普通図柄作動口通過検知器36s,37sにより検知されて、主制御部140に入力される。また、入賞球検知スイッチ19s〜22s,318で遊技球の入球が検知されると、その情報は、中継基板190を介して主制御部140に入力される。主制御部140は、これらの情報を受け取って、変動コマンド、停止図柄コマンド、及び変動停止コマンドを送信する。これらのコマンドは、信号伝送経路500a、音声・ランプ制御部160、信号伝送経路500bを経由して図柄制御部160に供給される。図柄制御部160では、変動コマンドを受けとると、複数の変動態様から乱数等による抽選を行って変動態様を決定する。また、主制御部140は、図柄制御部160に出力するコマンドに同期させて、音声・ランプ制御部170にも所定のコマンドを送信する。こうして、図柄の表示と音声の出力とを併せて行うことによって各種の演出を行う。
【0082】
B.賞球動作の概要:
次に、本実施例のパチンコ機1の賞球動作について簡単に説明する。遊技球が大入賞口311に入球すると、大入賞口311の内部に設けられた入賞球検知スイッチ318がこれを検知して、入球を知らせる信号を信号ケーブルを介して主制御部140に出力する。信号を受け取ると、主制御部140は後述する処理を行って、払出制御部150に向かって15個分の遊技球を払い出す旨のコマンドを出力する。また、遊技球が第一種始動口(普通電動役物)17に入球した場合は、始動口の内部に設けられた第一種始動口入賞検知スイッチ17sがこれを検知して、信号を信号ケーブルを介して主制御部140に出力する。この信号を受けて主制御部140は、後述する処理を行った後、6個分の遊技球を払い出す旨のコマンドを払出制御部150に向かって出力する。左右下入賞口など、他の入賞口に入球した場合は、内部に設けられた通過検出スイッチが入球を検知して、入球した旨の信号を信号ケーブルを介して主制御部140に出力する。主制御部140は、後述する処理を行って10個分の遊技球を払い出す旨のコマンドを払出制御部150に向かって出力する。これら賞球コマンドは、払出制御部150を作動指令対象とする指令信号として、遊技球の通過を検知した順番に従って信号伝送経路500aを介して送信される。払出制御部150は、こうして主制御部140から賞球コマンドを受け取って、賞球払出信号を出力することにより、賞球払出装置109を作動させて指示された個数分の賞球動作を行う。
【0083】
また、主制御部140は、上述した各種検知スイッチの出力に基づいて遊技状態を判断し、また、その遊技状態に基づいて当否判定を行うとともに、判定内容に応じて対応する図柄表示態様で画像表示制御を行うためのデータを読み込む。例えば、主制御部140は、第一種始動口(普通電動役物)入賞検知スイッチ17s、入賞球検知スイッチ318等の検知結果や、特別図柄当否判定乱数の取得値などを使用して、「遊技が行われていない客待ちの状態」、「遊技は行われているが始動入賞がない状態(変動準備状態)」、「始動入賞があった状態」、および「特別遊技状態」などを判断する。また主制御部140は、始動入賞を検知すると乱数値に基づいて当否判定を行い、その判定結果に基づいて特別図柄の変動(リーチ表示態様を含む)や確定などの表示態様制御を行うための各種コマンドを出力する。これらコマンドは、前述した信号伝送経路500aを介して一旦、音声・ランプ制御部170に出力された後、音声・ランプ制御部170から信号伝送経路500bを介して図柄制御部160に送信される。
【0084】
C.制御ジョブの概要:
C−1.主制御部メインジョブ:
次に、上述した電子制御装置130によって実行されるパチンコ機1の制御の内容について説明する。図12は、主制御部メインジョブの流れを示すフローチャートである。かかるジョブは、主制御部140に搭載された主制御基板340によって実行されるジョブであり、パチンコ機1における遊技全体の進行を制御する根幹をなすジョブである。主制御部メインジョブは、パチンコ機1の電源が投入され、あるいはリセットスイッチが押された時に、主回路部401に内蔵されたCPU480が内蔵ROM482のブート領域に格納されているプログラムを読み出すことによって、自動的に開始される。パチンコ機1では主制御部メインジョブ以外にも多数のジョブが存在するが、これらジョブの多くは、所定の条件が成立すると主制御部メインジョブから呼び出されることによって実行される。以下では、図12のフローチャートに従って、主制御部メインジョブについて説明する。
【0085】
主制御部メインジョブを開始すると、先ず初めに初期化ジョブを実施する(S10)。図13は初期化ジョブの流れを示したフローチャートである。初期化ジョブでは、電源投入時に行われる所定の各種処理を行った後(S12)、音声・ランプ制御部170に向かって初期図柄指定コマンドを出力する処理を行う(S14)。ここで、電源投入時に行われる各種処理とは、例えば主回路部401に内蔵されているCPU480の動作チェックやRAMの初期化を行ったり、音声・ランプ制御部や、払出制御部、図柄制御部などの各制御部を初期化する処理である。また、初期図柄とは、パチンコ機1の電源投入時あるいはリセットボタンを押されたときに、普通図柄表示装置32aや特別図柄表示装置27(図4を参照のこと)などに表示される図柄を言い、初期図柄指定コマンドとは、これら初期図柄の表示を図柄制御部160に対して指定するコマンドである。
【0086】
図14は、主制御部140から初期図柄指定コマンドが出力される様子を概念的に示した説明図である。主制御部140に設けられた主制御基板340は、1bitのストローブ信号と8bitのコマンドデータとを、音声・ランプ制御基板370に向かって出力する。音声・ランプ制御基板370では、ストローブ信号の立ち上がりのタイミングでコマンドデータを読み取ることにより、初期図柄指定コマンドを確実に読み取ることができる。尚、ここでは初期図柄指定コマンドを出力する場合について説明したが、主制御部140が出力する他のコマンドも同様の手順によって出力されている。こうしてストローブ信号とともに供給された初期図柄制定コマンドは、直ちに音声・ランプ制御部170から図柄制御部160に転送され、図柄制御部160の制御の下で普通図柄表示装置32aあるいは特別図柄制御装置27のそれぞれに初期図柄が表示される。
【0087】
以上の説明からも明らかなように、パチンコ機1では、主制御部140が所定の処理を行って各種のコマンドを出力し、このコマンドを受けて、音声・ランプ制御部170や図柄制御部160、払出制御部150など所定の処理を行うことによって遊技が進行する。換言すれば、主制御部140と、その他の各種制御部とは、互いに処理を分担しながら、パチンコ機1の動作を制御している。そこで、理解の便宜を図るために、以下では、主制御部140内で実施される処理は「ジョブ」と呼び、音声・ランプ制御部170や図柄制御部160などで行われる処理は「ルーチン」と呼んで区別することにする。例えば、図13に示した初期化ジョブ、あるいは図15に示したデモ表示ジョブは「ジョブ」という名前が示すように、いずれも主制御部140で実施される処理である。
【0088】
主制御部140は、以上のようにして初期化ジョブを終了したら、図12に示した主制御部メインジョブに復帰して、今度はデモ表示ジョブを開始する(S20)。ここでデモ表示とは、パチンコ機1がいわゆる客待ち状態の時に、遊技客の注意を引きつけるために、普通図柄や特別図柄で特別に行われる演出の表示を言う。
【0089】
図15は、デモ表示ジョブの流れを示すフローチャートである。デモ表示ジョブを開始すると、先ず初めに、発射ハンドル9に設けられたタッチスイッチ9a(図1を参照のこと)がONとなっているか否かを判断する(S22)。前述したように、遊技者が発射ハンドル9に触れていればタッチスイッチ9aはONになるから、タッチスイッチがONであれば(S22:yes)、客待ち状態ではないと判断される。そこで、このような場合はデモ表示は不要であり、直ちにデモ表示ジョブを終了して、主制御部メインジョブに復帰する。一方、タッチスイッチがOFFであれば(S22:no)、客待ち状態となっている可能性がある。そこで、タッチスイッチが継続してOFFとなっている経過時間を検出し(S24)、連続してOFFとなっている経過時間が、所定時間(例えば2分)に達しているか否かを判断する(S26)。経過時間が所定時間に達していない場合は(S26:no)、客待ち状態ではないと判断してデモ表示ジョブを終了する。経過時間が所定時間に達している場合は(S26:yes)、主制御部140はデモ指定コマンドを出力する(S28)。
【0090】
デモ指定コマンドは、図14を用いて前述した初期図柄指定コマンドと同様に、主制御基板340から音声・ランプ制御基板370に向かってストローブ信号とともに出力される。音声・ランプ制御部170は、受け取ったデモ指定コマンドを図柄制御部160に転送するとともに、スピーカやランプを駆動してデモ時の演出を行う。一方、図柄制御部160は、音声・ランプ制御部170からデモ指定コマンドを受け取ると、普通図柄制御装置32aや特別図柄制御装置27を制御して、所定のデモ表示を行う。
【0091】
主制御部メインジョブでは、以上のような一連の処理を終了すると、図4に示した普通図柄変動ゲート36,37を遊技球が通過したか否かを判断する(S30)。遊技球が通過している場合は(S30:yes)、普通図柄表示装置32aにおける演出を制御するためのジョブ(普通図柄制御ジョブ)を開始する(S40)。普通図柄制御ジョブの内容については後ほど詳細に説明する。
【0092】
次いで主制御部140は、遊技機に複数設けられた入賞口のいずれかに遊技球が入球したか否かを判断する(S50)。前述したように、各入賞口の内部には入賞球の通過を検知するスイッチが設けられており、スイッチで検出された信号が信号ケーブルによって主制御基板340に伝達される。主制御部140は、いずれの信号ケーブルから信号が伝達されたかに基づいて、入球のあった入賞口を容易に検出することができる。そして、入球のあった入賞口に応じて、所定数の遊技球を払い出す旨の賞球コマンドを出力する(ステップS60)。賞球コマンドは、主制御部140から払出制御部150に向かって出力され、払出制御部150ではコマンドに従って賞球払出装置109を制御することにより、所定数の遊技球の払出を行う。もちろん、主制御部140から音声・ランプ制御部170にもコマンドを出力して、賞球に伴う所定の演出を行うこととしても良い。
【0093】
続いて主制御部140は、遊技球の入球した入賞口が第一種始動口17か否かを判断する(S70)。そして、入球した入賞口が第一種始動口17である場合は(S70:yes)、特別図柄表示装置27における演出を制御するためのジョブ(特別図柄制御ジョブS80)、更には、大当り時に行われる種々の演出を制御するためのジョブ(大当り関連ジョブS90)を実施する。特別図柄制御ジョブの内容については後述する。大当り関連ジョブについては、本願発明とは直接的な関連性が薄いので、ここでは説明を省略する。入球した入賞口が第一種始動口17でない場合は(S70:no)、特別図柄制御ジョブや大当り関連ジョブは行わない。
【0094】
以上の様な処理を行ったら、パチンコ機1の電源がOFFとされたか否かを判断し(S95)、電源がONであると判断された場合は(S95:no)、再びS20のデモ表示ジョブに戻って続く一連の処理を行う。これに対して、パチンコ機1の電源がOFFになったと判断された場合は(S95:yes)、主制御部メインジョブを終了する。主制御部メインジョブが終了されると、遊技の進行が停止しパチンコ機1の遊技状態が終了する。
【0095】
以下では、普通図柄制御ジョブ(S40)、特別図柄制御ジョブ(S80)の各ジョブについて、順番に説明する。
【0096】
C−2.普通図柄制御ジョブ:
図16は、普通図柄制御ジョブの流れを示すフローチャートである。この処理は、遊技球が普通図柄変動ゲートを通過すると開始される。また、「ジョブ」という名称から分かるように、この処理は主制御部140によって実行される。
【0097】
普通図柄制御ジョブを開始すると、普通図柄についての当否判定を行って、変動パターンと変動後に停止させる普通図柄を決定する処理を行う(S42)。当否判定の手法としては種々の方法を用いることができるが、本実施例のパチンコ機1では、乱数を利用した抽選を行うことにより、これらを決定する。また、ここでは変動パターンとして、普通図柄を変動表示させる時間を決定している。もちろん、より詳細な内容まで決定することも可能である。
【0098】
普通図柄の変動パターンと停止する普通図柄とを決定したら、これら決定内容に従って、普通図柄関連コマンドを音声・ランプ制御基板370に向かって出力する処理を行う(S44)。普通図柄関連コマンドとは、普通図柄制御のために主制御基板340から出力される各種のコマンドであり、具体的には、普通図柄の変動パターンを指定するコマンド(普通図柄変動パターン指定コマンド)や、変動後に停止する普通図柄を指定するコマンド(普通図柄指定コマンド)、普通図柄の変動を停止させるコマンド(普通図柄停止コマンド)などの各種コマンドを言う。
【0099】
図17は、これら普通図柄関連コマンドを一覧的に表示した説明図である。普通図柄の変動パターンに応じて、コマンドChp1 ,コマンドChp2 ,コマンドChp3 ,コマンドChp4 ・・・など、各種の指定コマンドが予め設定されている。また、変動後に停止させる普通図柄に応じて、コマンドChs1 ,コマンドChs2 ,コマンドChs3 ,コマンドChs4 ・・・などの各種の指定コマンドが設定されており、普通図柄の変動表示を停止させるためのコマンドとしては、コマンドChstpが設定されている。もちろん、表示されているコマンド以外に他のコマンドを設定しておくことも可能である。これらの普通図柄関連コマンドは、図8に示した主回路部401の内蔵ROM482に予め記憶されている。図16のステップS44では、ステップS42で決定した変動パターンおよび普通図柄に応じて、内蔵ROM482から対応するコマンドを読み出した後、音声・ランプ制御基板370に向かってストローブ信号とともに出力する処理を行う(図14を参照のこと)。
【0100】
図18は、上述したステップS44において、主制御部140が各種の普通図柄関連コマンドを出力する様子を概念的に示した説明図である。普通図柄制御ジョブが開始されて、ステップS44の処理が初めて実行される場合は、先に決定しておいた普通図柄の変動パターン指定コマンドが、主制御基板340から出力される。図18に示した白抜きの矢印は、コマンドが出力されていることを模式的に示したものである。音声・ランプ制御基板370は、普通図柄の変動パターン指定コマンドを受け取ると、直ちに図柄制御基板360に転送する。音声・ランプ制御部170および図柄制御部160では、こうして受け取ったコマンドに基づいてそれぞれの処理が開始され、その結果、所定の効果音やランプの点滅をともなって普通図柄表示装置32aの変動表示が開始される。
【0101】
ここで、図12を用いて前述した主制御部メインジョブのS20からS95までの処理は、ほぼ4msec間隔で繰り返されており、従って、図16の普通図柄制御ジョブも約4msec間隔で実行される。初回の実行時には普通図柄の変動パターン指定コマンドを出力するが、2周目の実行時には、変動表示後に停止する普通図柄を指定するコマンド、すなわち普通図柄指定コマンドを出力する。図柄の指定が1回で良い場合、すなわち普通図柄表示装置32aが同時には1つの図柄しか表示することができず、且つ変動開始後に1回だけ図柄を停止させる場合は、普通図柄指定コマンドは1回だけ出力される。しかし、普通図柄表示装置32aが同時に複数の図柄を表示可能な場合、あるいは同時には1つの図柄しか表示できないものの変動表示と擬似的な停止とを何回か繰り返した後に最終的な普通図柄で停止する場合などには、普通図柄指定コマンドを複数回出力することになる。図18では、普通図柄表示装置32aで同時に3つの普通図柄を表示可能な場合について表示している。この場合は、図16の普通図柄制御ジョブを2周目に実行する場合には、1桁目の普通図柄についての指定コマンドを出力し、3周目に実行する場合には2桁目の図柄についての指定コマンドを、4周目に実行する場合には3桁目の図柄の指定コマンドを出力する。こうして出力された普通図柄指定コマンドは、音声・ランプ制御基板370を介して図柄制御基板360に転送され、音声・ランプ制御基板370および図柄制御基板360では、それぞれのコマンドに合わせて所定の演出のための制御を実行する。
【0102】
こうして普通図柄変動パターン指定コマンドと普通図柄指定コマンドとを出力したら、変動パターンに応じて定まる所定のタイミングで、普通図柄変動表示を停止するコマンド(普通図柄停止コマンド)を出力する。つまり、前述したように、当否判定を行って決定する変動パターンには、図柄の変動時間に関する情報を含んでいるので、図柄停止コマンドを出力するタイミングは、変動パターンに依存するのである。例えば、4秒間だけ図柄を変動させる変動パターンを選択していた場合、主制御部メインジョブが1回まわるために約4msecかかるから、100周目の実行時に図柄停止コマンドを出力すればよいことになる。
【0103】
図16に示したステップS44の処理では、図17に示す各種の普通図柄関連コマンドを、以上に説明したようにして順番に出力する処理を行う。こうして、S42で決定した内容に応じて各種の普通図柄関連コマンドを出力し、最後に図柄停止コマンドを出力したら、普通図柄制御ジョブを終了する。
【0104】
C−3.特別図柄制御ジョブ:
次に、特別図柄制御ジョブの内容について説明する。図19は、特別図柄制御ジョブの流れを示すフローチャートである。この処理は、遊技球が第一種始動口17を通過したときに、主制御部140によって開始される処理である。
【0105】
前述した普通図柄制御ジョブと同様に、特別図柄制御ジョブにおいても、ジョブを開始すると先ず初めに当否判定を行って、特別図柄の変動パターンと変動後に停止させる図柄とを決定する処理を行う(S82)。本実施例のパチンコ機1では、特別図柄に関する当否判定と普通図柄に関する当否判定とは、異なる乱数を用いた別個の処理によって実施されている。こうすれば、特別図柄で更に複雑な演出を行う必要が生じた場合でも、容易に対応することが可能となる。もちろん、特別図柄の当否判定処理を利用して普通図柄の当否判定を行うことも可能である。また、特別図柄制御ジョブにおいても普通図柄制御ジョブと同様に、変動パターンとしては、特別図柄を変動表示させる時間を決定している。もちろん、より詳細な内容まで決定することとしても良い。
【0106】
特別図柄の変動パターンと停止図柄とを決定したら、これら決定内容に従って、特別図柄関連コマンドを音声・ランプ制御基板370に向かって出力する処理を行う(S84)。特別図柄関連コマンドとは、特別図柄制御のために主制御基板340から出力される各種のコマンドであり、図8に示した主回路部401の内蔵ROM482に予め記憶されている。図20は、記憶されている各種の特別図柄関連コマンドを一覧的に表示した説明図である。特別図柄関連コマンドとしては、特別図柄の変動パターンを指定するコマンド(特別図柄変動パターン指定コマンド)や、変動後に停止する特別図柄を指定するコマンド(特別図柄指定コマンド)、特別図柄の変動を停止させるコマンド(特別図柄停止コマンド)、更には、大当り時にスピーカーから出力する効果音を指定するコマンド(大当り効果音指定コマンド)、大当り時に行われる特別遊技に関する各種コマンド(大当りラウンド指定コマンド、大入賞口カウント指定コマンド)などが設定されている。もちろん、これらコマンド以外に、他のコマンドを設定しておくことも可能である。
【0107】
図21は、ステップS84において、上述した特別図柄関連コマンドが主制御基板340から音声・ランプ制御基板370に向かって出力される様子を概念的に示した説明図である。前述した普通図柄制御ジョブと同様に、特別図柄制御ジョブにおいてもステップS84の処理が初めて実行される時には、特別図柄変動パターン指定コマンドが出力される。図21中に示された白抜きの矢印は、主制御部140の発するコマンドが、音声・ランプ制御部170あるいは図柄制御部160に供給されていることを模式的に示したものである。また、図21中で斜線が付された矢印は、音声・ランプ制御部170の発するコマンドが、図柄制御部160に供給されていることを模式的に示したものである。音声・ランプ制御部170から出力されるコマンドについては、後ほど詳しく説明する。
【0108】
特別図柄制御ジョブにおいても、音声・ランプ制御基板370は特別図柄変動パターン指定コマンドを受け取ると、直ちに図柄制御基板360に転送する。音声・ランプ制御部170および図柄制御部160では、こうして受け取ったコマンドに基づいて、後述する処理が開始される。
【0109】
特別図柄制御ジョブが1周目の処理を終了して、2周目にS84(図19参照のこと)の処理が実行されるときには、特別図柄の変動表示後に停止する左特別図柄を指定するコマンド(左特別図柄指定コマンドCtsL )を出力する。前述したように、主制御部メインジョブは一連の処理を完了するために約4msecかかるから、特別図柄変動パターン指定コマンドを出力してから、ほぼ4msec後に左特別図柄指定コマンドを出力することになる。更に、その約4msec後に3周目の処理が実行される時には、中特別図柄の指定コマンド(中特別図柄指定コマンドCtsM )が出力され、その約4msec後に4周目の処理が実行される時には、右特別図柄指定コマンドCtsR が出力されることになる。尚、図21に示した例では、特別図柄としては、左特別図柄、中特別図柄、右特別図柄の3つの図柄しか同時には表示できないものとして説明したが、もちろん、より多くの特別図柄を表示可能としても構わない。こうして特別図柄についての変動パターン指定コマンドと図柄指定コマンドとを出力したら、変動パターンに応じて定まる所定のタイミングで、特別図柄変動表示を停止するコマンド(特別図柄停止コマンドCtstp)を出力する。
【0110】
音声・ランプ制御部170および図柄制御部160は、こうして主制御部140から出力された特別図柄関連コマンドを受け取ると、直ちにコマンドを図柄制御部160に転送するとともに、受け取ったコマンドに応じて詳細な特別図柄変動の制御を開始する。以下では、こうした処理、すなわちサブ基板メインルーチンの内容について説明する。尚、前述したように、本明細書では主制御部140で行われる処理は「ジョブ」と呼び、音声・ランプ制御部170あるいは図柄制御部160で行われる処理は「ルーチン」と呼んで区別している。サブ基板メインルーチンは、「ルーチン」という名称が示すように、音声・ランプ制御部170および図柄制御部160によって一体的に実行される処理である。
【0111】
C−4.サブ基板メインルーチン:
図22は、サブ基板メインルーチンの流れを示したフローチャートである。かかる処理は、パチンコ機1の電源が投入あるいはリセットスイッチが押されて、図12に示した主制御部メインジョブ中で初期化ジョブが実行され、音声・ランプ制御部170および図柄制御部160が初期化されると、自動的に開始される処理である。
【0112】
サブ基板メインルーチンを開始すると、先ず初めに特別図柄変動パターン指定コマンドを受信したか否かを判断する(S102)。前述したように、特別図柄変動パターン指定コマンドとは、図19に示した特別図柄制御ジョブ中で主制御基板340から出力されるコマンドである。変動パターン指定コマンドを受信した場合は(S102:yes)、特別図柄の変動を開始する(S104)。もちろん、特別図柄の変動開始に合わせて、所定の効果音を出力しても良い。
【0113】
次いで、特別図柄指定コマンドを全て受信したか否かを判断する(S106)。図20および図21を用いて説明したように、特別図柄指定コマンドとしては、左図柄,中図柄,右図柄の3つの図柄について、それぞれ図柄指定コマンドが出力されるので、S106ではこれら全てのコマンドを受信したか否かを判断するのである。3つの特別図柄が全て指定されれば、大当り状態か否か、確変当りか否かなどの、特別図柄表示装置27を用いた詳細な演出内容を決定することができる。そこで、特別図柄演出ルーチンを開始し(S108)、続いて大当り演出ルーチンを行う(S110)。
【0114】
特別図柄演出ルーチン(S108)では、主制御部140から受け取った左・中・右の特別図柄の組合せが(図21参照のこと)、大当り図柄か否かを判断する。更に、大当り図柄である場合は、確変図柄か否か、再抽選を行うか否か、更には再抽選を行う場合には擬似的に表示する特別図柄をセットする処理も行う。尚、こうした判断は、主制御部140から受け取った各種の指定コマンドによって一義的に決定することもできるし、あるいはサブ基板メインルーチンの中で抽選を行って、より詳細な演出内容を決定することとしても良い。
【0115】
大当り演出ルーチン(S110)では、特別図柄演出ルーチンでの決定した内容、すなわち、大当りか否か、確変か否か、再抽選を行うか否か、更には擬似的に表示する特別図柄の決定内容に従って、表示部271(図4参照)における所定の演出表示を行う。また、こうした演出表示に併せて、各種の効果音を出力する制御を行う。
【0116】
以上の処理を行ったら、パチンコ機1の電源がOFFになっていないことを確認し(S112)、電源がOFFでなければステップS102に戻って続く一連の処理を行う。ステップS112において電源がOFFであると判断されたら、図22に示したサブ基板メインルーチンを終了する。
【0117】
以上に説明したように、本実施例のパチンコ機1は、主制御部140に設けられた主制御基板340が中心となり、各種センサからの信号や、各種コマンドを外部とやりとりしながら、各種基板類および各種機器が一体となって動作することにより遊技が進行する。こうした信号やコマンドのやりとりには、信号ケーブルが用いられるが、パチンコ機1の搬入時や整備時などに、信号ケーブルと基板やセンサ、各種機器とを接続するコネクタが緩み、接続不良が生じることがある。完全な接続不良であれば、パチンコ機1が動作しなくなることからこれを容易に知ることができるが、軽微な接続不良の場合には、パチンコ機1の動作が不安定となるが、一応は動作するため発見が困難なため、種々の不都合を引き起こす。そこで、本実施例では、以下に説明するような抜け止め対策をコネクタに施すことにより、こうした不都合の発生を簡便に且つ確実に回避することを可能としている。以下、本実施例で採用されているコネクタの抜け止め構造について説明する。
【0118】
D.コネクタの抜け止め構造:
図23は、主制御基板ケース112内に収容された主制御基板340を示す斜視図である。図示されているように、主制御基板340には、LSIチップや、抵抗器、コンデンサーなどの各種電子部品と、信号ケーブルに設けられたコネクタが接続されるコネクタ受け部342などが搭載されている。
【0119】
主制御基板340は、図5を用いて前述した主制御基板ケース112に収納されている。図24は、主制御基板340を主制御基板ケース112の構造、および主制御基板ケース112に主制御基板340が収納されている様子を示した説明図である。図示されているように、主制御基板ケース112は、主制御基板340を内部に収容可能に構成された基体112aと、この基体112aの内部に収容された主制御基板340を覆う蓋体112bとから構成されている。主制御基板340は、主制御基板ケース112に収容された状態において、その大部分が主制御基板ケース112の基体112aまたは蓋体112bによって覆われている。ただし、主制御基板340のうちコネクタ受け部342の周辺については主制御基板ケース112の外部に露出されているため、主制御基板340を主制御基板ケース112に収容した状態のまま、コネクタ343を着脱することが可能となっている。
【0120】
また、コネクタ受け部342は主制御基板340の上に複数設けられており、それぞれのコネクタ受け部342は、信号ケーブル344の一端に設けられたコネクタ343と着脱可能に構成されている。図25は、コネクタ受け部342にコネクタ343が嵌合されている様子を示す説明図である。このように、複数のコネクタ343を対応するコネクタ受け部342に嵌合することで、複数の信号ケーブル344と主制御基板340とが接続され、これにより、主制御基板340は、外部との間で、信号ケーブル344を介して、遊技球の払い出しに関わる情報を入出力することが可能となる。なお、本実施形態では、信号ケーブル344は、払い出しに関わる情報を主制御基板340に入力するためのものである。
【0121】
D−1.第1実施例の抜け止め部材:
図26は、第1実施例の抜け止め部材800によって、コネクタ343がコネクタ受け部342から抜けることを抑制している様子を示す説明図である。図26(a)に示すように、この抜け止め部材800は、他部材(コネクタ343、コネクタ受け部342、主制御基板340、主制御基板ケース112など)とは別体に構成されており、主制御基板ケース112の端縁部を挟持する挟持部800aと、コネクタ343をコネクタ受け部342への嵌合方向(挿入方向)に押さえるための押止部800bとを備えている。
【0122】
挟持部800aが主制御基板ケース112の端縁部を挟持するように、抜け止め部材800をコネクタ343の抜け方向に対して交差する方向(本実施形態では、主制御基板340と平行の方向)にスライドさせてやれば、図26(b)に示すように抜け止め部材800は主制御基板ケース112に係止させることができる。この時、押止部800bは、コネクタ343を押えて、コネクタ343の抜け方向への移動を規制するように構成されている。この様に、抜け止め部材800を主制御基板ケース112に係止することで、コネクタ343を抜け止め方向に押さえて、コネクタ受け部342から抜け難くすることができる。
【0123】
また、このような構成によれば、抜け止め部材800は、コネクタ343から離れる方向にスライドさせることにより容易に外すことができる。このため、整備等のために主制御基板340を取り外す際には、コネクタ343をコネクタ受け部342に対して自由に着脱することが可能である。
【0124】
以上の様に、抜け止め部材800によれば、コネクタ343のコネクタ受け部342への着脱を可能としつつ、コネクタ343がコネクタ受け部342から抜けるのを抑止することができる。そのため、主制御基板340を取り外し可能としつつ、払い出し動作が不安定になることを回避することができる。しかも、上記信号ケーブル344は、払い出しに関わる情報を主制御基板340に入力するためのものであることから、この信号ケーブル344のコネクタ343の抜けを抑制することで、払い出し動作が不安定となることを、より効果的に回避することができる。
【0125】
また、抜け止め部材800は、他部材とは別体に構成されているため、コネクタ343、コネクタ受け部342,主制御基板ケース112,主制御基板340には特別な加工を施さずとも、既存の部材をそのまま使用して簡便にコネクタ部分での接続不良の発生を回避することが可能である。
【0126】
また、上記のコネクタ343は、信号ケーブル344と主制御基板340とを接続するためのものであり、そのコネクタ343を、抜け止め部材800を用いて着脱可能に抜け止めすることとしている。そのため、主制御基板340の取り外しが容易となるとともに、主制御基板340のコネクタ部分は目に付き易いので、意図的にコネクタで軽微な接続不良を生じさせて、不正に遊技球の払い出しを受けるといった、いわゆるゴト行為を思いとどまらせる効果も得ることができる。
【0127】
また、信号ケーブル344が複数本備えられており、複数のコネクタ343を共通の抜け止め部材800(本実施形態では、1つの抜け止め部材800)によって抜け止めしていることから、僅かな手間で簡単に、払い出し動作の安定性を確保することも可能である。
【0128】
尚、以上では、信号ケーブル344は、払い出しに関わる情報を主制御基板340に「入力」するためのケーブルであるものとして説明したが、これに限られるものではなく、払い出しに関わる情報を主制御基板340から「出力」するため信号ケーブルのコネクタの抜けを防止する場合にも、同様にして抜け止めを図ることが可能なことは言うまでもない。また、抜け止め部材800は、挟持部800aが主制御基板ケース112の端縁部を挟持するようにして主制御基板ケース112に係止されるものとして説明したが、この様な態様に限られるものではない。例えば、挟持部800aが主制御基板340の端縁部を挟持するようにして、抜け止め部材800を主制御基板340に係止するものとしてもよい。
【0129】
D−2.第2実施例の抜け止め部材:
図27は、第2実施例の抜け止め部材810を用いて、コネクタ343を抜け止めしている様子を示す説明図である。図示されているように、第2実施例では、主制御基板340のコネクタ受け部342周辺に、主制御基板340に抜け止め部材810を係止させるための貫通孔340hが設けられている。そして、抜け止め部材810には、主制御基板340に形成された貫通孔340hに挿入可能な挿入部810aと、コネクタ受け部342に嵌合されたコネクタ343をその嵌合方向に押さえるための押止部810bとが形成されている。抜け止め部材810は、互いに嵌合したコネクタ343およびコネクタ受け部342の三方を囲うように側面部810cを有し、一方が開放された略コの字型に形成され、その内部に開放側からコネクタ343およびコネクタ受け部342を収容可能に構成されている。そして、押止部810bは、側面部810cに沿って略コの字形状に形成され、コネクタ343をより確実に押さえることが可能となっている。
【0130】
また、各挿入部810aの先端には、挿入部810aが貫通孔340hから抜けるのを防ぐため鉤状爪810dが設けられている。鉤状爪810dは、挿入部810aが貫通孔340hに挿入されると貫通孔340hの縁に係合し、これにより挿入部810aを貫通孔340hから抜け難くすることができる。そのため、コネクタ受け部342に嵌合した状態のコネクタ343に対してその抜け方向から抜け止め部材810を被せ、挿入部810aを貫通孔340hに挿入すると、抜け止め部材810が主制御基板340に係止されるとともに、押止部810bによってコネクタ343が嵌合方向に押さえられる。その結果、コネクタ343を簡便に且つ確実に抜け止めすることが可能となる。
【0131】
なお、図27に示されているように、鉤状爪810dは外側に向けて形成されている。このため、側面部810cを内側に撓ませることにより、鉤状爪810dと主制御基板340との係合を解除して、抜け止め部材810を外すことができる。この様に抜け止め部材810を外してやれば、コネクタ343を、コネクタ受け部342から自在に着脱することも可能となる。
【0132】
以上の様な第2実施例の抜け止め部材810は、構造が簡単であり、小型化が可能であるという利点を有している。このため、抜け止め構造を有していない基板についても、上述の様な貫通孔340hを新たに設けてやることで、コネクタ343の着脱性を確保しつつ、着脱可能にコネクタ343の抜けることを防止することが可能となる。
【0133】
D−3.第3実施例の抜け止め部材:
図28は、第3実施例の抜け止め部材820を用いてコネクタ343を抜け止めしている様子を示す説明図である。本実施例では、主制御基板340に抜け止め部材820を係止させるため、主制御基板340のコネクタ受け部342周辺に、係合部345が設けられている。図28(a)では、係合部345は、コネクタ343の抜け方向に対して交差する方向に設けられた挿入孔346を有している。また、図28(a)に示す抜け止め部材820には、挿入部820aと、押止部820bと、側面部820cとが形成されている。
【0134】
挿入部820aは、係合部345の挿入孔346に挿入可能に形成されている。押止部820bは、コネクタ343をコネクタ受け部342に嵌合した状態で、係合部345の挿入孔346に挿入部820aを挿入すると、コネクタ343をその嵌合方向に押止するような形状に形成されている。また、側面部820cは、互いに嵌合した状態のコネクタ343およびコネクタ受け部342の三方を囲い、残余の一方が開放された略コの字型に形成されており、その内部に開放側からコネクタ343およびコネクタ受け部342を収容可能な形状に形成されている。
【0135】
前述した押止部820bは、側面部820cの上端に沿って略コの字形状に形成されており、コネクタ343をより確実に押さえることが可能である。また挿入部820aは、側面部820cの互いに対向する部位の外側面に配設され、抜け止め部材820の開放端側に向けて延出するように形成されている。そして、各挿入部820aの先端には、挿入部820aが挿入孔346から抜けるのを防止するための突起820dが設けられている。この突起820dは、挿入孔346に挿入部820aを挿入すると挿入孔346の縁に係合し、これにより挿入部820aが挿入孔346から抜け難くする作用を有している。
【0136】
こうした図28(a)に示す抜け止め部材820を、コネクタ受け部342にコネクタ343を嵌合させた状態で、コネクタ343の抜け方向と交差する方向から被せ、挿入部820aを挿入孔346に挿入して係合させる。すると、抜け止め部材820が主制御基板340に係止されるとともに、押止部820bによってコネクタ343が嵌合方向に押さえられることになる。その結果、コネクタ343を確実に且つ簡便に抜け止めすることが可能となる。
【0137】
また、第3実施例の抜け止め部材は、次のような構成とすることも可能である。図28(b)は、こうした抜け止め部材821を示した説明図である。図28(b)に示した抜け止め部材821は、図28(a)に示した係合部345に換えて、主制御基板340に設けた貫通孔を係合部345hとしたものである。図28(b)に示されているように、この場合における抜け止め部材821は、図28(a)に示した抜け止め部材820の挿入部820aを、主制御基板340の端縁部を挟持するように形成された挟持片821aとし、図28(a)に示した挿入部820aの先端に設けられた突起820dを、係合部345h(貫通孔)の縁に係合する突起821dとした場合に相当する。
【0138】
この図28(b)に示した抜け止め部材821は、コネクタ受け部342にコネクタ343を嵌合させた状態でコネクタ343の抜け方向と交差する方向から被せ、挟持片821aにて主制御基板340の端縁部を挟持させて、突起821dを係合部345h(貫通孔)の縁に係合することにより、主制御基板340に装着される。図28(c)に示すように、このように抜け止め部材821を装着した状態では、抜け止め部材821は、挟持片821aの上面と主制御基板340の裏面との係合によりコネクタ343の抜け方向に動くことはできない。また、突起821dと係合部345との係合により、抜け止め部材821がコネクタ343の抜け方向と交差する方向にスライドすることもできず、抜け止め部材821の装着は確実なものとなる。
【0139】
以上に説明した様に、第3実施例においては、コネクタ343の抜け方向に対して交差する方向から、抜け止め部材820,821をスライドさせるようにしてコネクタ343に被せ、主制御基板340側と係合させてコネクタ343の抜け方向への移動を規制することとしている。すなわち、そもそも、抜け止め部材820,821は挿入孔346と挿入部820aとの係合、あるいは挟持片821aと主制御基板340との係合により、コネクタ343の抜け方向には動き得ないので、確実にコネクタ343の抜け止めを防止することができる。従って、挿入部820aあるいは挟持片821aに突起820d,821dが設けられていなくても、コネクタ343を抜け止めすることが可能である。もちろん、突起820d,821dを設けておけば、抜け止め部材820,821が確実に装着されていることを容易に確認することができるとともに、抜け止め部材820,821がスライドすることを回避することができるので、コネクタ343の確実な抜け止めが可能となる。
【0140】
また、第3実施例においても、挿入孔346と挿入部820aとの係合、あるいは挟持片821aと主制御基板340との係合を解除することにより、抜け止め部材820,821をコネクタ343から外すことができる。このため、適宜必要に応じて、コネクタ受け部342からコネクタ343を容易に着脱することが可能である。
【0141】
D−4.第4実施例の抜け止め部材:
次に、第4実施例の抜け止め部材830について説明する。第4実施例の抜け止め部材830を用いれば、遊技球通過センサ860に接続されたコネクタ850の抜け防止を図ることが可能である。この遊技球通過センサ860は、第一種始動口17に設けられる第一種始動口入賞検知スイッチ17sや、大入賞口311,左下・右下入賞口21,22などに設けられる入賞球検知スイッチ318,21s、22sとして用いられるものである。図29は、第4実施例の抜け止め部材830を用いて、コネクタ850を抜け止めしている様子を示した説明図である。
【0142】
図29に示されているように、抜け止め部材830には押止部830bが設けられており、抜け止め部材830を遊技球通過センサ860に装着すると、この押止部830bによって、コネクタ850をその嵌合方向に押さえることができる。そして、第一種始動口17や左下・右下入賞口21,22等の入賞口の背面側には、遊技球通過センサ860を装着するための取付部870が設けられており、その取付部870の開口端には、取付部870に挿入した遊技球通過センサ860を抜け止めするための係止爪871が設けられている。従って、この係止爪871を遊技球通過センサ860に装着した抜け止め部材830に係止するようにすれば、取付部870からの遊技球通過センサ860の抜け止めと、遊技球通過センサ860からの抜け止め部材830の抜け止めとを、併せて行うことができる。
【0143】
以上の様に、第4実施例の抜け止め部材830を用いた場合でも、遊技球通過センサ860からのコネクタ850の抜けることを抑制することができる。このため、遊技球通過センサ860に振動等が加わった場合でも、振動等に起因して接続不良が発生し、パチンコ機1の動作が不安定となることを確実に且つ簡便に回避することが可能となる。
【0144】
また、こうした第4実施例の抜け止め部材830においても、係止爪871の係止状態を解除して、抜け止め部材800を遊技球通過センサ860から外すことができる。このため、必要に応じて、コネクタ850を遊技球通過センサ860から容易に着脱することが可能である。
【0145】
以上、本発明についての各種の実施の形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲を逸脱しない限り、各請求項の記載文言に限定されず、当業者がそれらから容易に置き換えられる範囲にも及び、かつ、当業者が通常有する知識に基づく改良を適宜付加することができる。
【0146】
例えば、音声・ランプ制御部170に限らず、払出制御部150や、発射装置制御部193、図柄制御部160などの他の制御部も、制御基板と駆動基板とに分けて構成してもよい。こうして、機種に依存する部分を駆動基板で吸収してやれば、制御基板の共用化をより一層促進することが可能となるので好ましい。
【0147】
【発明の効果】
以上に説明したように、本願の各発明によれば、コネクタ部分で接続不良が発生することを回避して、遊技機の動作が不安定となることや、遊技球を不正に払い出す行為を、確実に且つ簡便に回避することが可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例によるパチンコ機を前面側(すなわち遊技者の側)から見た正面図である。
【図2】本発明の実施例によるパチンコ機を、前面枠を開いた状態で斜め上方から見たときの斜視図である。
【図3】本発明の実施例によるパチンコ機に搭載された各種LED基板の位置関係を示す説明図である。
【図4】本発明の実施例による遊技盤の表面の構造を示す説明図である。
【図5】本発明の実施例によるパチンコ機の裏面側の構造を示す説明図である。
【図6】本発明の実施例によるパチンコ機に搭載された電子制御装置における制御回路の構成を示すブロック図である。
【図7】本発明の実施例による主制御基板の構成を概念的に示す説明図である。
【図8】本発明の実施例によるCPUの詳細な構造を示す説明図である。
【図9】本発明の実施例による払出制御基板の構成を概念的に示す説明図である。
【図10】本発明の実施例による音声・ランプ制御部の構成を概念的に示す説明図である。
【図11】本発明の実施例による図柄制御部の構成を概念的に示す説明図である。
【図12】本実施例のパチンコ機における主制御部メインジョブの流れを示すフロー図である。
【図13】本実施例のパチンコ機における初期化ジョブの流れを示すフロー図である。
【図14】本実施例のパチンコ機において主制御部から初期図柄指定コマンドが出力される様子を概念的に示す説明図である。
【図15】本実施例のパチンコ機におけるデモ表示ジョブの流れを示すフロー図である。
【図16】本実施例のパチンコ機における普通図柄制御ジョブの流れを示すフロー図である。
【図17】本実施例のパチンコ機における普通図柄関連コマンドを一覧的に表示した説明図である。
【図18】本実施例のパチンコ機における主制御部140が各種の普通図柄関連コマンドを出力する様子を概念的に示す説明図である。
【図19】本実施例のパチンコ機における特別図柄制御ジョブの流れを示すフロー図である。
【図20】本実施例のパチンコ機における各種の特別図柄関連コマンドを一覧的に表示した説明図である。
【図21】本実施例のパチンコ機における特別図柄関連コマンドが主制御基板から音声・ランプ制御基板に向かって出力される様子を概念的に示す説明図である。
【図22】本実施例のパチンコ機におけるサブ基板メインルーチンの流れを示すフロー図である。
【図23】本実施例のパチンコ機における主制御基板340を示す斜視図である。
【図24】本実施例のパチンコ機において主制御基板が主制御基板ケースに収納されている様子を示す説明図である。
【図25】本実施例のパチンコ機におけるコネクタ受け部にコネクタが嵌合されている様子を示す説明図である。
【図26】本実施例のパチンコ機における第1実施例の抜け止め部材によってコネクタが抜け止めされている様子を示す説明図である。
【図27】本実施例のパチンコ機における第2実施例の抜け止め部材によってコネクタが抜け止めされている様子を示す説明図である。
【図28】本実施例のパチンコ機における第3実施例の抜け止め部材によってコネクタが抜け止めされている様子を示す説明図である。
【図29】本実施例のパチンコ機における第4実施例の抜け止め部材によってコネクタが抜け止めされている様子を示す説明図である。
【符号の説明】
1 …パチンコ機
10 …遊技盤
11 …遊技領域
17 …第一種始動口
26 …中央表示装置
27 …特別図柄表示装置
130…電子制御装置
140…主制御部
150…払出制御部
160…図柄制御部
170…音声・ランプ制御部
370…制御基板
380…駆動基板
Claims (7)
- 遊技盤面上に発射した遊技球が所定位置を通過することにより、所定数の遊技球を払い出す遊技機であって、
遊技の進行を司る主制御基板と、
前記遊技球の払い出しに関わる情報を前記主制御基板が外部とやりとりするための信号ケーブルと
を備え、
前記信号ケーブルの少なくとも一端に設けられたコネクタと該コネクタの相手部材とは、該コネクタとは別体に設けられた抜け止め部材によって、着脱可能な状態で抜け止めされていることを特徴とする遊技機。 - 請求項1記載の遊技機であって、
前記抜け止め部材は、前記払い出しに関わる情報を前記主制御基板に入力する信号ケーブルのコネクタを、該コネクタの相手部材に対して着脱可能に抜け止めする部材であることを特徴とする遊技機。 - 請求項2記載の遊技機であって、
前記発射された遊技球が前記所定位置を通過したことを検出する遊技球通過センサを備え、
前記抜け止め部材は、前記信号ケーブルと前記遊技球通過センサとを接続するためのコネクタを、該遊技球通過センサに対して着脱可能に抜け止めする部材であることを特徴とする遊技機。 - 請求項1または請求項2に記載の遊技機であって、
前記抜け止め部材は、前記信号ケーブルと前記主制御基板とを接続するためのコネクタを、該主制御基板に対して着脱可能に抜け止めする部材であることを特徴とする遊技機。 - 請求項4記載の遊技機であって、
前記遊技球の払い出しに関わる情報をやりとりするための前記信号ケーブルを複数備え、
前記抜け止め部材は、全ての前記信号ケーブルのコネクタを抜け止めするとともに、一体に形成された部材であることを特徴とする遊技機。 - 請求項4記載の遊技機であって、
前記抜け止め部材は、前記コネクタの抜け方向から該コネクタに被せられ、前記主制御基板に設けられた貫通孔で固定されることによって、該コネクタを抜け止めする部材であることを特徴とする遊技機。 - 請求項4記載の遊技機であって、
前記抜け止め部材は、前記コネクタの抜け方向に対して交差する方向からスライドさせて該コネクタに被せられるとともに、前記主制御基板側と係合して該コネクタの抜け方向への移動が規制されることにより、該コネクタを抜け止めする部材であることを特徴とする遊技機。
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