以下では、上述した本願発明の内容を明確にするために、次のような順序に従って実施例を説明する。
A.パチンコ機の装置構成:
A−1.全体構成:
A−2.遊技盤の表面構造:
A−3.裏面構造:
A−4.パチンコ機の制御回路の構成:
B.賞球動作の概要:
C.第1実施例の制御:
C−1.電源投入直後の動作:
C−2.制御開始準備動作:
C−3.遊技制御の概要:
C−3−1.ウォッチドッグタイマリセット処理:
C−3−2.普通図柄遊技開始判断処理:
C−3−3.普通図柄遊技処理:
C−3−4.普通電動役物遊技処理:
C−3−5.特別電動役物遊技処理:
C−4.電源断発生時処理:
C−5.特別遊技に関する処理:
C−5−1.特別図柄遊技開始判断処理:
C−5−2.特別図柄遊技処理:
C−5−3.疑似図柄表示処理:
D.第2実施例の制御:
D−1.遊技制御の概要:
D−2.特別遊技に関する処理:
D−2−1.特別図柄遊技開始判断処理:
D−2−2.特別図柄遊技処理:
E.第3実施例の制御:
E−1.特別図柄遊技処理:
E−2.特別図柄制御処理:
A.パチンコ機の装置構成 :
A−1.全体構成 :
先ず初めに、図1および図2を参照しながら本実施例のパチンコ機1の大まかな構造について説明する。図1は、パチンコ機1の前面側(すなわち、遊技者の側)から見たときのパチンコ機1の正面図である。また、図2は、パチンコ機1を斜め上方から見たときの斜視図である。図示されているように、パチンコ機1は主に、木製の板状体を略長方形の額縁状に組み立てて固着した外枠(本体枠とも言う)2と、外枠2の前面に開閉可能に軸支されたプラスチック製の中枠3と、中枠3の左端部で開閉可能に軸支されたプラスチック製の前面枠4と、前面枠4の下方に設けられた上皿部5および下皿部6と、中枠3の右側に設けられて前面枠4の施錠を行う施錠装置7と、中枠3の前面側に取り付けられた図示しない遊技盤などから構成されている。上皿部5は、前面枠4を施錠したときに前面枠4のちょうど下側に来る位置に、中枠3に対して開閉可能に軸着されている。また、下皿部6は、上皿部5の下方の位置で中枠3に取り付けられている。
図1に示されているように、前面枠4はパチンコ機1の前面の略2/3を占めており、そのほぼ中央部には略円形の開口部4aが形成されている。後述する遊技領域は、この開口部4aの内側に形成される。開口部4aの左方には略円弧状の左LED表示部4bが、更にその外側上方には左上LED表示部4dが設けられ、一方、開口部4aの右方には略円弧状の右LED表示部4cが、その外側上方には右上LED表示部4eが設けられている。また、開口部4aの上方で且つ、左LED表示部4bおよび右LED表示部4cの間には、略円形状の中上LED表示部4fが2つ並べて配置されている。これら2つの中上LED表示部4fの間には、2つの賞球LED表示部4gが設けられている。これらのLED表示部4d〜4gは、遊技効果を高めることなどを目的として、遊技の進行に応じて点灯および消灯あるいは点滅する。また、賞球LED表示部4gの上方には、略扇形状のエラーLED表示部4hが設けられている。更に、前面枠4の裏面側にはガラス枠41sが取り付けられており、ガラス枠41sには二枚のガラス板41rが装着されている(図2参照のこと)。パチンコ機1の遊技者は、このガラス板41rを介して遊技領域を目視することが可能となっている。遊技領域については、後ほど詳しく説明する。
前面枠4の下方に設けられた上皿部5には、複数の長孔を有する第1音声出力部5cと、皿外縁部5aと、パチンコ機1の内部の遊技球を上皿部5に排出するための排出口5bなどが設けられている。第1音声出力部5cには、遊技状態に応じて効果音あるいは音声などを発生するためのスピーカー400aと、後述する音量スイッチ基板12とが接続されている。尚、本実施例のスピーカー400aは、中高音用ユニット(ツィータ)および低音用ユニット(ウーハ)を含んだマルチウェイ方式とされており、第1音声出力部5cには、中高音用ユニット(ツィータ)が図示しないダクトを介して接続されている。また、低音用ユニット(ウーハ)は、第2音声出力部6dに図示しないダクトを介して接続されている。皿外縁部5aには玉抜きボタンや遊技球の貸出・返却ボタンなどが設けられている。また、本実施例の上皿部5には、前面左端側の部位に、2つの操作スイッチSW1およびSW2が設けられている。更に、上皿部5には、貯留されている遊技球を発射装置に供給するための図示しない供給装置や、遊技球を発射するための図示しない発射装置ユニットなどが設けられている。
上皿部5の下方に設けられた下皿部6には、略中央部に排出口6aが設けられており、下皿部6の左端には灰皿6bが、右端には発射ハンドル9が設けられている。排出口6aからは、パチンコ機1の内部から下皿部6に遊技球が排出されてくる。また、下皿部6の底面には図示しない球抜き孔が設けられている。球抜き孔は通常時には閉鎖されているが、下皿部6の略中央手前側に設けられた排出ノブ6cを操作して球抜き孔を開放状態とすれば、下皿部6に貯留された遊技球をパチンコ機1から排出することができる。排出ノブ6cは、通常は直立状態となっている。そして、排出ノブ6cの下端を奥側に押圧すると、ノブの動きに連動して球抜き孔が開放状態になると共に、排出ノブ6cは、傾倒状態でロックされる。これにより、球抜き孔は開放状態に保持され、下皿部6から遊技球が排出される。また、遊技者が、傾倒状態にある排出ノブ6cを奥側に押圧すると、ノブのロックが解除され、排出ノブ6cは直立状態に戻り、これにより球抜き孔は閉鎖状態に戻る。
発射ハンドル9は、遊技領域に向かって遊技球を射出する図示しない発射装置ユニットに接続されており、パチンコ機1の遊技者は発射ハンドル9を操作することによって遊技球の発射動作を制御することができる。発射ハンドル9には、遊技者がハンドルに触れていることを検出するタッチスイッチ9aが装着されており、その近傍には、遊技球の発射を一時的に停止するための発射停止スイッチ9bが装着されている。また、パチンコ機1の左端側には、プリペイドカードユニット13が設けられている。
次に、図2を参照しながら、中枠3の構成について説明する。中枠3は、枠体部3aと下板部3bとを備えている。このうち枠体部3aは、前述した前面枠4を施錠すると前面枠4がちょうど覆い被さるような位置に、すなわち中枠3の上端から下方に向かって略2/3の大きさを占める位置に設けられている。また、下板部3bは、上皿部5および下皿部6に対応する位置、すなわち中枠3の下端から上方に向かって略1/3の大きさを占める位置に設けられている。
枠体部3aの上部には、前面枠4の枠飾りランプ用レンズ4bに対応する位置に、図示しない複数個の遊技効果ランプと、前面枠4の枠飾りLED用レンズ4cに対応する位置に、図示しない賞球表示LEDと、同じく枠飾りLED用レンズ4eに対応する位置に、図示しないストップ表示LEDなどが設けられている。更に枠体部3aには、遊技効果ランプの点滅を制御するための枠飾りランプ基板4gと、賞球表示LEDの点滅を制御するための賞球表示LED基板4dと、ストップ表示LEDの点滅を制御するストップ表示LED基板4fなどの各種基板も取り付けられている。これら基板の詳細については後述する。
ここで、図1に示した各種のLED表示部4b〜4hを駆動する各種LED基板の位置関係について説明する。図3は、各種LED基板4i〜4oの位置関係を示す説明図である。図示されている各種LED基板4i〜4oは、中枠3の枠体部において、上述の各種LED表示部4b〜4hに対応する位置に設けられている。具体的には、左LED基板4iは左LED表示部4bに対応し、右LED基板4jは右LED表示部4cに対応し、左上LED基板4kは左上LED表示部4dに対応し、右上LED基板4lは右上LED表示部4eに対応している。また、中上LED基板4mは中上LED表示部4fに対応し、賞球LED基板4nは賞球LED表示部4gに対応し、エラーLED基板4oはエラーLED表示部4hに対応している。
A−2.遊技盤の表面構造 :
次に、遊技盤10の構成について説明する。図4は、遊技盤10の表面の構造を示した説明図である。図示するように遊技盤10は、木製で略長方形の板状体であって、中枠3の表面側に着脱可能に取り付けられているとともに、その背面側は後述する裏機構盤102(図5参照)によって覆われている。遊技盤10の表面には外レール14と内レール15とが設けられており、これらレールに囲まれた部分に、略円形状の遊技領域11が形成されている。
遊技領域11内には、遊技領域11内の略中央部に設けられた中央装置26と、遊技領域11の下部に設けられた変動入賞装置18と、中央装置26と変動入賞装置18との間に設けられた始動口(普通電動役物)17と、変動入賞装置18の左上方および右上方にそれぞれ設けられた左入賞口19および右入賞口20などが備えられている。また、左入賞口19と始動口17との間には普通図柄作動左ゲート36が、右入賞口20と始動口17との間には普通図柄作動右ゲート37が設けられている。更に、中央装置26の左右には一対のランプ風車24,25が設けられ、遊技領域11の左右両端部には縦円弧状の一対のサイドランプ38、39がそれぞれ相対称状に配設されている。これら各遊技装置の間および周辺には、多数の障害釘23が設けられている。
中央装置26には、各種図柄を表示可能な特別図柄表示装置27(抽選用図柄表示手段および演出用図柄表示手段)が設けられ、上部には普通図柄表示装置32が、そして特別図柄表示装置27と普通図柄表示装置32との間には、8個の丸形の赤色LEDを備えた特別図柄保留表示LED16a(保留数表示手段)が設けられている。また、普通図柄表示装置32には、7セグメント表示器32aと、普通図柄保留表示LED32bとが設けられている。
7セグメント表示器32aは1〜9の数字を変動表示可能となっており、前述した普通図柄作動左ゲート36あるいは普通図柄作動右ゲート37を遊技球が通過すると、変動表示を開始して、所定時間経過後に任意の数字で停止する。この時、停止した表示が所定の数字の場合には、始動口(普通電動役物)17が所定時間(例えば0.5秒)開放するようになっている。
普通図柄保留表示LED32bは、4個の丸形の赤色LEDで構成されており、7セグメント表示器32aの左右に2つずつ設けられている。7セグメント表示器32aの変動表示中に、遊技球が普通図柄作動左ゲート36あるいは普通図柄作動右ゲート37を通過した場合には、遊技球が通過したことを最大4個まで記憶しておき、現在の変動表示の停止後に、続いて7セグメント表示器32aの変動表示を行うことが可能となっている。
中央装置26の略中央(普通図柄表示装置32の下方)に設けられた特別図柄表示装置27の表面には、大きさが縦50〜120mm、横80〜200mmで平面略矩形状の表示画面271が設けられており、表示画面271には、その下縁側に横長に形成された副表示領域271A(抽選用図柄表示手段)と、表示画面271の大部分を占める主表示領域271B(演出用図柄表示手段)などが形成されている。始動口17において遊技球の入球が検知されると(始動入賞が検知されると)、遊技者にとって有利な特別遊技状態を開始するか否かを決定するために抽選が行われ、副表示領域271Aにおいては、「本図柄」(抽選用図柄)の変動および停止表示によって、その抽選の結果が表示される。また、主表示領域271Bにおいては、「疑似図柄」(演出用図柄)の変動・停止表示によって遊技が演出される。こうした特別図柄表示装置27において本図柄や疑似図柄の変動表示が行われた後、所定の組合せで停止表示されると、遊技者にとって有利な特別遊技状態が開始される。なお、以下では、本図柄と疑似図柄とをまとめて「特別図柄」と呼ぶことがあるものとする。
特別図柄の変動表示中や特別遊技状態中等に遊技球が始動口に入球した場合、その入球に伴う変動・停止表示は一旦保留されるが、こうした保留が発生するたびに、特別図柄保留表示LED16aの赤色LEDが左側から順次点灯する。そして、次の変動表示が開始されると、そのたびに保留数が消化されて点灯中の赤色LEDが一つ消灯される。このように、特別図柄保留表示LED16aは、赤色LEDの点灯数によって、現在の保留数を表示する機能を有している。
変動入賞装置18には、大入賞装置31と、その左右に左下入賞口21および右下入賞口22とがそれぞれ設けられており、左下入賞口21の下方には複数個の左下入賞口LED223が、また、右下入賞口22の下方には複数個の右下入賞口LED224が設けられている。これらLEDは飾りレンズによって覆われており、左下入賞口LED基板21f(図6参照)および右下入賞口LED基板22f(図6参照)によって点滅動作が制御されている。大入賞装置31を初めとして、これら全ては、前面側が略逆台形状に形成された基板34に装着されている。また、左下入賞口21の内部には左下入賞口通過検知スイッチ21s(図6参照)が、右下入賞口22の内部に右下入賞口通過検知スイッチ22s(図6参照)が設けられている。
大入賞装置31は、略中央に形成されて帯状に開口した大入賞口311と、この大入賞口311を開放・閉鎖する開閉板312と、この開閉板312を開閉するための大入賞口ソレノイド313(図6参照)と、大入賞口311に入賞した後に遊技球が通過する特定領域(V入賞口及び一般入賞口/図示略)と、図示しない連動杆と、入賞球を検知する入賞球検知スイッチ318(図6参照)と、裏箱(図示略)と、大入賞口中継基板(図示略)などから構成されている。前述した特別図柄表示装置27の表示画面271において本図柄の変動表示が行われた後、所定の大当り態様(以下、大当り図柄ということがある。)で本図柄が停止表示すると、遊技者にとって有利な特別遊技状態となって大入賞口311が開放される。
始動口(普通電動役物)17は、左右に一対の翼片部が開閉可能に構成されたいわゆるチューリップ式の始動口であり、その前面に設けられた飾りとともに、基板34に取り付けられている。始動口17の内部には、遊技球の入球を検知する始動口(普通電動役物)入球検知スイッチ17s(図6参照)と、翼片部を作動させるための始動口(普通電動役物)ソレノイド17c(図6参照)とが備えられている。一対の翼片部が左右に開くと、遊技球の入球可能性が大きくなる開放状態となる。また、一対の翼片部が直立すると、遊技球の入球可能性が小さくなる通常状態となる。
翼片部の開閉は次のようにして行われる。始動口17の左右に設けられた普通図柄作動左ゲート36、普通図柄作動右ゲート37のいずれかを遊技球が通過すると、普通図柄作動左ゲート36および普通図柄作動右ゲート37の内部にそれぞれ設けられた左、右普通図柄作動ゲート検知スイッチ36s、37s(図6参照)で検出され、普通図柄表示装置32に設けられた7セグメント表示器32aの変動表示が開始される。そして、所定時間経過後に、7セグメント表示器32aが所定の図柄で停止表示すると、所定時間(例えば、0.5秒間)だけ始動口17の翼片部が開放される。
前述したように、特別図柄表示装置27における特別図柄の変動表示は始動口(普通電動役物)17における遊技球の入球が検知されたことを条件として開始され、本図柄が所定の当り態様で停止表示すると大入賞口311が開放される。従って、遊技球が普通図柄作動左ゲート36あるいは普通図柄作動右ゲート37を通過し、7セグメント表示器32aに所定の図柄が停止表示されると、始動口17が開放状態となって入球し易くなり、特別図柄の変動が頻繁に開始され、延いては大入賞口311が開放し易くなる。
また、変動入賞装置18の上方左右に取り付けられた左入賞口19および右入賞口20の内部には、それぞれ左入賞口通過検知スイッチ19s(図6参照)、右入賞口通過検知スイッチ20s(図6参照)が設けられている。
遊技盤10の下方にはアウト口48が設けられ、そのアウト口48の下部にはバック球防止部材58が設けられており、遊技領域11に到達せず戻ってきた遊技球が再び発射位置に戻ることを防止している。一方、ファール球防止部材59は、内レール15の先端部に取り付けられ、返しゴム60は、ファール球防止部材59の位置とは略正反対側の、遊技盤10の右半分側の位置であって、外レール14に沿って嵌合状に取り付けられている。
以上、パチンコ機1の表面構造について説明したが、最後に上皿部5の前面左端部に設けられた2つの操作スイッチSW1,SW2の働きについて説明しておく。操作スイッチSW1、SW2は、表示画面271で表示される演出の形態を、選択する作用を有している。つまり、遊技者が、この操作スイッチSW1、SW2を操作すると、所定の条件の下、表示画面271で表示される演出の形態を変更することができる。このため、遊技者は、あたかも、表示画面271で表示される演出に実際に参加しているような気分を味わうことができる。
本パチンコ機1では、2つの操作スイッチSW1、SW2を備えると共に、一方の操作スイッチ(以下、「第1の操作スイッチ」という。)SW1が「演出モードの選択用スイッチ」とされ、他方の操作スイッチ(以下、「第2の操作スイッチ」という。)SW2が「演出モードの確定用スイッチ」とされている。遊技者が第1の操作スイッチSW1を操作すると、図柄の背景を変更するための表示が点滅を開始し、点滅を介してから所定の時間(例えば、5秒)内に、第2の操作スイッチSW2を操作すると、複数種類(例えば、10種類)の背景図柄から所望の背景を選択することができる。
また、図柄の背景を変更するための表示が点滅状態となった後に、当該所定の時間(例えば、5秒)内に、第1の操作スイッチSW1を再び操作すると、キャラクターを選択するための表示が点滅を開始し、点滅状態となってから所定の時間(例えば、5秒)内に、第2の操作スイッチSW2を操作すると、複数種類(例えば、3種類)のキャラクター図柄から所望のキャラクターを選択することができる。更に、背景やキャラクターを変更するための表示部分が点滅状態となってから所定の時間(例えば、5秒)放置すると、これらの点滅状態を終了し、現在選択している背景やキャラクターがそのまま選択され続けることになる。但し、遊技者がパチンコ機1によって行われる演出に参加するための参加手段は、この操作スイッチSW1、SW2に限定されるものではない。例えば、このような操作スイッチSW1、SW2や参加手段を遊技者が操作することで、スピーカー400aから発音される効果音を変更可能とすることもできる。
A−3.裏面構造 :
次に、パチンコ機1の裏面構造について説明する。図5は、本実施例のパチンコ機1の裏面構造を示した説明図である。本実施例では、パチンコ機1の裏面構造は、大きな裏機構盤102の上に各種装置が搭載された構造となっており、裏機構盤102は、一対のヒンジ103によって中枠3に開閉可能に軸支されている。図5では、ヒンジ103は、中枠3右側の上端付近および下端付近に示されている。
裏機構盤102には、遊技球が蓄えられる賞球タンク105と、賞球の払出を行う賞球払出装置109と、前述した特別図柄表示装置27が格納された蓋付きの裏ケース111と、後述する主制御基板340が格納された主制御基板ケース112と、前述した発射装置ユニットを制御する発射装置制御基板が格納された発射装置制御基板ケース113と、賞球払出装置109を制御する払出制御基板が格納された払出制御基板ケース118と、主制御基板340と各種スイッチ類とを中継する中継基板190などが搭載されている。
賞球タンク105には底部にタンク球切れ検知スイッチ104が設けられており、球切れを検出することができる。賞球タンク105と賞球払出装置109とは、タンクレール106によって接続されており、図上でタンクレール106の右側には球抜きレバー107が設けられ、またタンクレール106の下流側には図示しない補給球切れ検知スイッチが設けられている。更に、賞球払出装置109の下流側には、球技球の振り分け部が設けられている。尚、図5では、図示が煩雑となることを避けるために、振り分け部の表示は省略されている。
また、主制御基板ケース112、中継基板190や、払出制御基板ケース118などの各種基板類は、裏機構盤102に回動自在に懸架された図示しない金属板に、着脱自在に装着されている。
裏機構盤102の右上端部には、ヒューズボックス119、電源スイッチ120、電源ターミナル基板121および大当り、発射装置制御、球切れ、扉開放、賞球、球貸し用等の遊技機枠用外部接続端子を備えた端子基板122が設けられている。尚、電源ターミナル基板121には、ラムクリア信号を発生させるためのラムクリアスイッチ(図示を省略)を接続してもよい。また、端子基板122の上側には、外部からの電力の供給を受けるための電源ケーブル123も配設されている。更に、払出制御基板ケース118からは接続ケーブル124が上方へ延出し、電源ケーブル125を備えたプリペイドカードユニット13に接続されている。また、裏機構盤102の略中央下端部には、下皿部用球通路部材126が設けられている。
A−4.パチンコ機の制御回路の構成 :
次に、本実施例のパチンコ機1の制御回路の構成について説明する。図6は、本実施例のパチンコ機1に搭載された電子制御装置130における制御回路の構成を示したブロック図である。図示されているように、電子制御装置130は、その機能に着目すると、主制御部140と、複数の副制御部とから構成されている。また副制御部は、主制御部140に直接に接続された第1次副制御部と、第1次副制御部を介して主制御部140に接続された第2次副制御部とから構成されている。主制御部140と第1次副制御部とは信号伝送経路500aによって接続されている。尚、パチンコ機の機種によっては、第1次副制御部と第2次副制御部とを介して主制御部140に接続される第3次副制御部が設けられている場合もある。
図示されているように、本実施例の電子制御装置130には、第1次副制御部として、払出制御部150と音声・ランプ制御部170とが設けられており、第2次制御部として、払出制御部150に接続された発射装置制御部193と、音声・ランプ制御部170に接続された図柄制御部160とが設けられている。
主制御部140から、払出制御部150および音声・ランプ制御部170へは、一方向形式若しくは双方向形式でデータが伝送される。また、本実施例では音声・ランプ制御部170から図柄制御部160へも一方向形式でデータが伝送されるものとして説明するが、音声・ランプ制御部170と図柄制御部160との間では双方向形式でデータを伝送することとしてもよい。
また、図6に示した破線の矢印は、各制御部140ないし180への電源供給経路を表している。図示されているように、電源は先ず初めに電源受電基板410に供給され、電源ユニット420で所定電圧に変換された後、分電基板430から各制御部140ないし180に電力が供給される。更に、電源投入時には、システムリセット信号が全制御基板に送信される。
詳細には後述するが、主制御部140は各種スイッチや検知器などからの情報を受け取って所定の演算を行った後、払出制御部150や音声・ランプ制御部170に各種のコマンドを出力するとともに、各種の基板やソレノイドなどに駆動信号を出力する。以下では、主制御部140や、払出制御部150、音声・ランプ制御部170、図柄制御部160、各種基板などの構成について順番に説明する。
主制御部140は、主制御基板ケース112に格納された主制御基板340によって主に構成されており、主制御基板ケース112は、不正行為者が容易に開閉できないような構造に形成されている。図7は、主制御基板340の構成を概念的に示した説明図である。図示されているように、主制御基板340は、CPU401を含む主回路部400と入出力回路部500とが、バスで接続されて相互にデータをやりとり可能に構成されている。主回路部400には、CPU401と、発振部1410と、リセット回路部1450と、CPU初期化回路部1460と、I/Oデコード回路部1420と、データバス安定化部1411と、第1外部入力回路部1430などが設けられている。主回路部400に搭載されたCPU401の構成については後述する。
CPU初期化回路部(制御初期化手段)1460は、ウォッチドッグタイマと呼ばれる専用回路によって主に構成されている。このウォッチドッグタイマは、電源が供給されると自動的に動作を開始し、CPU401を強制的に初期化する初期化信号を、所定の周期(Twd)でCPU401に向かって出力する。詳細には後述するが、遊技の進行中は、CPU401はCPU初期化回路部(制御初期化手段)1460に内蔵されたウォッチドッグタイマに向かってリセット信号を出力しており、CPU401がリセット信号を出力する周期は、ウォッチドッグタイマがCPU401に向かって初期化信号を出力する周期よりも短い周期(Trset)に設定されている。このために、CPU401が正常に動作していれば、強制的に初期化される前にウォッチドッグタイマをリセットすることができるので、CPU401が初期化されることはない。しかし、CPU401の動作に異常が生じると、初期化信号が出力される前にウォッチドッグタイマをリセットすることができなくなる。このため、CPU初期化回路部(制御初期化手段)1460から初期化信号が出力され、CPU401が強制的に初期化されるので、正常な動作状態に復帰することが可能となる。
また、本実施例の主制御部140には、リセット回路部(リセット信号出力手段)1450も設けられている。リセット回路部1450は、CPU401が起動時にセキュリティチェックなどの所定の動作を行っている間に、CPU初期化回路部1460に内蔵されたウォッチドッグタイマをリセットするためのリセット信号を、CPU401に代わって出力する。詳細な構成については後述するが、リセット回路部1450は、発振部1410からクロック信号を受け取って、適当な周期の信号に変換した後、ウォッチドッグタイマに向かってリセット信号を出力する。このため、CPU401が起動時にセキュリティチェックなどの所定の動作を行っている間に、ウォッチドッグタイマによって強制的に初期化されることを回避することができる。また、CPU401が起動して動作を開始した後は、リセット回路部1450はCPU401からの起動開始信号を受け取って、リセット信号の生成を停止する。すなわち、CPU401の起動後はCPU401自身がリセット信号を出力しない限り、ウォッチドッグタイマによって強制的に初期化される。このため、CPU401の動作に異常が生じた場合でも、正常な動作状態に復帰させることが可能となっている。尚、起動開始信号が出力されていなければ、CPU401が起動のための準備を行っているものと考えることができるから、起動開始信号を反転させれば、CPUが準備中であることを示す信号(準備動作信号)を得ることができる。すなわち、CPUの起動開始信号は、同時に、CPUの準備動作中を示す信号(準備動作信号)と解釈することができる。起動開始信号をこのように解釈すれば、リセット回路部1450は、CPUが準備動作信号を出力している期間だけ、CPUに代わってリセット信号を出力していることになる。
入出力回路部500には、外部端子部145が接続されており、この外部端子部145によってパチンコホールの「ホールコンピューター」に接続されている。主制御基板340はRAMクリア処理を実行するに際して、RAMクリア信号をONにした後、一定時間経過後に再びOFFとする動作を行うが、このRAMクリア信号は外部端子部145を介してパチンコホールのシステム等に報知されている。このため、不正行為者によってRAMクリア処理が実行された場合には、不正行為者に悟られることなく、パチンコホールの管理者側で不正行為を検知することが可能となっている。
また、入出力回路部500には、信号伝送経路500aを介して払出制御部150および音声・ランプ制御部170が接続されている(図6参照)。入出力回路部500は、払出制御部150や音声・ランプ制御部170での処理内容を指示する指令信号たるコマンドデータを、信号伝送経路500aを介して払出制御部150あるいは音声・ランプ制御部170に出力する。また、入出力回路部500からは、図柄制御部160での処理内容を指示するコマンドデータも出力される。図柄制御部160に対するコマンドデータは、一旦、音声・ランプ制御部170に向けて出力された後、音声・ランプ制御部170から信号伝達経路500bを経由して図柄制御部160に供給される。
加えて入出力回路部500には、始動口(普通電動役物)入球検知器(入球検知スイッチ)17sや、普通図柄表示装置基板32f、各種ソレノイド17c,313、右普通図柄作動ゲート通過検知器(右普通図柄作動ゲート通過検知スイッチ)37s、左普通図柄作動ゲート通過検知器(左普通図柄作動ゲート通過検知スイッチ)36sなどが接続されている。
図8は、主回路部400に搭載されたCPU401の詳細な構造を示した説明図である。図8に示すようにCPU401は、CPUコア480と、内蔵RAM481と、内蔵ROM482と、メモリ制御回路483と、クロック発生器484と、アドレスデコーダ485と、カウンタ/タイマ487と、パラレル入出力ポート488と、リセット/割り込みコントローラ489と、外部バスインターフェース490と、出力制御回路491などから構成されている。CPU401は、ワークエリアとしてRAM481を使用しながら、ROM482に格納された制御プログラムを実行することにより、パチンコ機1全体の作動制御(すなわち、遊技の基本進行制御)を司るとともに、ROM482に記憶された当否判定プログラムを実行することにより、当否判断制御を行う。
次に、払出制御部150の構成について説明する。払出制御部150は、払出制御基板ケース118に格納された払出制御基板350によって主に構成されている。図9は、払出制御基板350の構成を概念的に示した説明図である。前述した主制御基板340と同様に払出制御基板350も、主回路部600と入出力回路部700とがバスで相互にデータをやりとり可能に接続されて構成されている。入出力回路部700には信号伝送経路500aが接続されており、主制御基板340から出力された前述のコマンドデータは信号伝送経路500aを介して入出力回路部700に入力される。また、入出力回路部700には、賞球払出装置109や発射装置制御部193なども接続されている。
尚、払出制御部150の主回路部152にも、図7に示した主回路部400と同様に、CPUを初めとして、発振部や、リセット回路部、CPU初期化回路部などが搭載されている。そして、CPUの動作に異常が生じた場合には、CPU初期化回路部に内蔵されたウォッチドッグタイマからの初期化信号によってCPUが強制的に初期化され、その結果、正常な動作に復帰するように構成されている。かかる構成は、図7に示した構成と同様であるため、ここでは詳細な説明は省略する。
音声・ランプ制御部170は、スピーカー400aやランプ等の制御を主に行うための制御基板370と、制御基板370からの命令を受けて、ランプ等に駆動信号を出力するための駆動基板380の、主に2つの基板から構成されている。図10は、音声・ランプ制御部170の構成を概念的に示した説明図である。制御基板部370には、演算回路構成要素として、CPU171と、RAM172と、ROM173と、入出力ポート174と、サウンドジェネレータ176と、コネクタCN1が設けられており、これらがバス175で相互にデータをやりとり可能に接続されている。サウンドジェネレータ176は、予め記憶された音声データをゲームの進行に合わせて再生することで、スピーカー400aから各種の音声を出力する。尚、スピーカー400aから出力される音量は、音量スイッチ基板12によって調整可能となっている。
また、入出力ポート174には信号伝送経路500aが接続されている。前述した主制御部140が、特別図柄の変動・停止、リーチ発生、リーチ表示の態様、特別遊技態様、確率変動や時短などの遊技モードを指示する制御命令を出力すると、出力された各種の制御命令は信号伝送経路500aを介して入出力ポート174に入力される。制御基板370では、こうして制御命令を受け取ると、ROM173に予め記憶されているプログラムに従って所定の処理を行い、駆動基板380に向かって各種の命令を出力する。制御基板370と駆動基板380とは、コネクタCN1とコネクタCN2とで互いに接続されている。
駆動基板380には、各種LEDやランプなどを駆動するための駆動信号を発生させる駆動回路部382と、発生した駆動信号を、各種LED基板4d,4f,19f〜22fや、各種ランプ基板216f,262f、枠飾り基板4gなどに出力するためのコネクタ出力部384とが設けられている。これら各基板にランプあるいはLED等が1個または複数個接続されており、コネクタ出力部384から供給される駆動信号により、ゲームの進行に対応して点灯・消灯または点滅する。尚、コネクタ出力部384を、駆動回路部382とは別基板に設ける構成としても良い。こうすることで、各種LEDなどのランプの数や色が変更されても駆動回路部382の変更を要しない場合には、コネクタ出力部384のみを変更して対応することが可能となる。
また、パチンコ機1に、モータなどによって駆動される可動式役物が設けられている場合には、モータを駆動するための駆動回路を、駆動回路部382あるいはコネクタ出力部384に搭載することとしても良い。こうすれば、可動式役物の有無もしくは個数が変更された場合でも、容易に対応することが可能となる。
尚、音声・ランプ制御部170にも、CPUを初めとして、発振部(図示は省略)や、リセット回路部(図示は省略)、CPU初期化回路部(図示は省略)などが搭載されており、CPUの動作に異常が生じた場合には、CPU初期化回路部に内蔵されたウォッチドッグタイマからの初期化信号によってCPUが強制的に初期化され、その結果、正常な動作に復帰するように構成されている。かかる構成は、図7に示した構成と同様であるため、ここでは詳細な説明は省略する。
図柄制御部160は、図柄制御基板360によって主に構成されている。図11は、図柄制御部160の構成を概念的に示した説明図である。図示されているように図柄制御部160は、演算回路構成要素としてCPU161と、RAM162と、ROM163と、入出力ポート164と、駆動回路166とを備えており、これら演算回路構成要素がバス165により接続されて相互にデータをやりとり可能に構成されている。入出力ポート164には、信号伝送経路500bや特別図柄表示装置27、普通図柄表示装置32などが接続されている。CPU161は、RAM162をワークエリアとして使用しながら、ROM163に格納された制御プログラムを実行することにより、中央装置26の制御を行っている。
尚、図柄制御部160にも、他の制御部と同様に、CPUや、発振部、リセット回路部、CPU初期化回路部などが搭載されている。そして、CPUの動作に異常が生じた場合には、CPU初期化回路部に内蔵されたウォッチドッグタイマからの初期化信号によって強制的に初期化され、その結果、正常な動作に復帰するように構成されている。かかる構成は、図7に示した構成と同様であるため、詳細な説明は省略する。
中継基板190には、入賞球検知スイッチ318,19s〜22s等が接続されており、中継基板190の出力端子は、主制御部140の入出力回路部500と接続されている。
払出用端子基板191には、タッチスイッチ9a、発射停止スイッチ9b、ヴォリュームスイッチ192、タンク球切れ検知スイッチ104及び補給球切れ検知スイッチ108等が接続され、払出用端子基板191の出力端子は、図9に示す払出制御部150の入出力回路部153に接続されている。
以上のような構成の本実施例の電子制御装置130においては、遊技球が始動口17に入球すると、その情報が始動口入球検知スイッチ17sによって検知されて、主制御部140に入力される。遊技球が普通図柄作動左ゲート36あるいは普通図柄作動右ゲート37を通過すると、その情報が普通図柄作動口通過検知器36s,37sにより検知されて、主制御部140に入力される。また、入賞球検知スイッチ19s〜22s,318で遊技球の入球が検知されると、その情報は、中継基板190を介して主制御部140に入力される。主制御部140は、これらの情報を受け取って、普通図柄や特別図柄の変動開始コマンド、停止図柄指定コマンド、及び変動停止コマンドを送信する。これらのコマンドは、信号伝送経路500a、音声・ランプ制御部160、信号伝送経路500bを経由して図柄制御部160に供給される。図柄制御部160では、これらのコマンドを受けとると、そのコマンドに基づいて各図柄の変動停止表示に係る制御を行う。また、主制御部140は、図柄制御部160に出力するコマンドに同期させて、音声・ランプ制御部170にも所定のコマンドを送信する。こうして、図柄の表示と音声の出力とを併せて行うことによって各種の演出を行う。
B.賞球動作の概要 :
次に、本実施例のパチンコ機1の賞球動作について簡単に説明する。遊技球が大入賞口311に入球すると、大入賞口311の内部に設けられた入賞球検知スイッチ318がこれを検知して、入球を知らせる信号を信号ケーブルを介して主制御部140に出力する。信号を受け取ると、主制御部140は後述する処理を行って、払出制御部150に向かって15個分の遊技球を払い出す旨のコマンドを出力する。また、遊技球が始動口(普通電動役物)17に入球した場合は、始動口の内部に設けられた始動口入球検知スイッチ17sがこれを検知して、信号を信号ケーブルを介して主制御部140に出力する。この信号を受けて主制御部140は、後述する処理を行った後、6個分の遊技球を払い出す旨のコマンドを払出制御部150に向かって出力する。左右下入賞口など、他の入賞口に入球した場合は、内部に設けられた通過検出スイッチが入球を検知して、入球した旨の信号を信号ケーブルを介して主制御部140に出力する。主制御部140は、後述する処理を行って10個分の遊技球を払い出す旨のコマンドを払出制御部150に向かって出力する。これら賞球コマンドは、払出制御部150を作動指令対象とする指令信号として、遊技球の通過を検知した順番に従って信号伝送経路500aを介して送信される。払出制御部150は、こうして主制御部140から賞球コマンドを受け取って、賞球払出信号を出力することにより、賞球払出装置109を作動させて指示された個数分の賞球動作を行う。
また、主制御部140は、上述した各種検知スイッチの出力に基づいて遊技状態を判断し、また、その遊技状態に基づいて当否判定を行うとともに、判定内容に応じて対応する図柄表示態様で画像表示制御を行うためのデータを読み込む。例えば、主制御部140は、始動口(普通電動役物)入球検知スイッチ17s、入賞球検知スイッチ318等の検知結果や、特別図柄当否判定用乱数の取得値などを使用して、「遊技が行われていない客待ちの状態」、「遊技は行われているが始動入賞がない状態(変動準備状態)」、「始動入賞があった状態」、および「特別遊技状態」などを判断する。また主制御部140は、始動入賞を検知すると乱数値に基づいて、遊技者にとって有利な特別遊技状態を発生させるか否かの当否判定(本図柄の当否判定)を行い、その判定結果に基づいて特別図柄の変動(リーチ表示態様を含む)や確定などの表示態様制御を行うための各種コマンドを出力する。これらコマンドは、前述した信号伝送経路500aを介して一旦、音声・ランプ制御部170に出力された後、音声・ランプ制御部170から信号伝送経路500bを介して図柄制御部160に送信される。
C.第1実施例の制御の概要 :
以下では、上述の構成を有するパチンコ機1において行われる制御の一実施例(第1実施例)を説明する。
C−1.電源投入直後の動作 :
以下では、パチンコ機1に電源が投入されたときに、電子制御装置130内のCPUが起動してパチンコ機1の制御が開始される様子について説明する。
図12は、パチンコ機1に電源を投入後、電子制御装置130によって遊技の制御が開始されるまでの大きな流れを示した説明図である。パチンコ機1に電源が投入されても、直ちに電子制御装置130のCPUが起動するのではなく、電源回路からCPUに向かって出力される初期化信号によって、先ずCPUが初期化される。かかる動作は、システム初期化動作(あるいはシステムリセット)と呼ばれ、システム初期化時に出力される初期化信号はシステム初期化信号と呼ばれることがある。CPUの初期化を行った後、今度はセキュリティチェックが行われる。セキュリティチェックとは、CPUがパチンコ機1の制御を開始するに当たって、プログラムや各種制御パラメータの格納された領域を含むメモリの内容をチェックして、プログラムや制御パラメータなどが不正に改変されていないかどうかを確認する作業である。パチンコ機1では、メーカーからの出荷後に不正に改造されるようなことがあってはならないため、遊技の制御を開始する前にセキュリティチェックを行うのである。尚、セキュリティチェックは、広いメモリ領域をチェックするため、チェック完了までにはある程度の時間が必要となる。
セキュリティチェックが終了すると、電子制御装置130に搭載されたCPUが起動する。上述したように、電子制御装置130には、主制御基板340を初めとして、音声・ランプ制御基板370や、図柄制御基板360などの多くの制御基板が搭載されており、これら制御基板の各々にCPUが搭載されている。これら全ての制御基板およびCPUについて説明するのでは、煩雑となってしまうため、ここでは主制御基板340に搭載されたCPU401を例に用いて説明するが、以下の説明は、他の制御基板についてもほぼ同様に適用することが可能である。
起動後のCPUは、大きくは遊技制御を開始するための動作と、パチンコ機1の遊技を制御する動作とを行う。遊技制御の実行中に割込が発生すると、タイマ割込処理や電源断処理なども行われる。また遊技制御中には、主制御基板340のCPU401から音声・ランプ制御基板370のCPUや、図柄制御基板360のCPUに向かって割込を発生させて、これらサブ基板に向かって各種の動作を指示する動作も行う。制御開始のための準備には、タイマ割込を発生させるために準備動作や、音声・ランプ制御基板や図柄制御基板などのサブ基板を初期化する動作も含まれる。以下では、主制御基板340のCPU401が起動した後に実施する制御開始準備動作や、遊技制御動作などについて、詳しく説明する。
C−2.制御開始準備動作 :
図13は、主制御基板340に搭載されたCPU401が起動直後に実施する制御開始準備処理の流れを示すフローチャートである。以下、フローチャートに従って、説明する。制御準備処理を開始すると、先ず初めにCPU401は、割込を受け付けない状態に設定する(S10)。これは、以下に行う制御準備処理は、適切な制御を行うための準備として実施するものであり、準備動作が完了する前は、例え割込が発生しても制御を適切な実行することができないので、準備動作が完了するまでは割込を受け付けない設定にしておくのである。
次いで、スタックポインタを設定する(S12)。スタックポインタとは、簡単に言えば、現在の処理を中断して別の処理を実施するときに、処理中のデータを一時的に退避するためのメモリ領域を指示する変数である。遊技制御が開始されると、割込が発生して処理が中断されることがあるので、そのときに中断した処理を再開するための各種データを退避しておくメモリ領域を設定しておくのである。
次いで、CPU401は、周辺ディバイスの初期設定を行う(S14)。ここでは、CTC(カウンター・タイマー・サーキット)やPIO(周辺機器インターフェース)などの各種ディバイスの初期設定を行う。遊技制御が実施されると、CTCを用いて定期的に(代表的には2msec毎)にタイマ割込を発生させ、各種スイッチの状態を検出したり、各種の乱数値を更新している。従って、CTCに、こうしたタイマ割込を発生させるための設定も、制御開始準備処理のS14において行う。
CPU401は、周辺ディバイスの設定に続いて、RAMクリアスイッチがONになっているか否かを検出する(S16)。電源投入時にRAMクリアスイッチがONになっていれば、遊技店の開店時に、店員がRAMクリアスイッチをONにしながら電源を投入したものと推測される。しかし、RAMクリアスイッチがONでない場合は(S16:no)、停電などの理由で電源が切断された可能性もあるので、バックアップフラグがONになっているか否かを検出する(S18)。そして、バックアップフラグがONになっている場合は(S18:yes)、停電などの理由で電源が切断されたため遊技が正常に終了されておらず、切断前の遊技状態を復旧する必要があると考えられる。そこで、以下のような、復旧動作を行う。
復旧動作を開始すると、初めにチェックサムを算出する(S20)。チェックサムは、大まかには次のようにして算出される。予め、所定のチェックサムデータを設定しておく。そして、メモリ上の対象領域に記憶されているデータについて、順次データを読み出してチェックサムデータとの排他的論理和を算出し、得られた値をチェックサムデータエリアに順次書き込んでいく。こうして対象領域に記憶されている全データについての排他的論理和を書き込んだら、書き込んだ領域の各ビットの値を反転させ、得られたデータをチェックサムとする。停電などの電源切断時に行われる電源断処理では、バックアップRAM領域のデータについてチェックサムが算出されて保存されている。従って、バックアップRAM領域に記憶されているデータが変更されていなければ、復旧動作時に算出したチェックサムは、電源断時に算出したチェックサムと同じ値になるはずである。
そこで、S20で算出したチェックサムと電源断時に保存しておいたチェックサムとが一致するか否かを判断する(S22)。両者が一致していれば(S22:yes)、バックアップRAM領域のデータは正しく保存されていると考えられる。この場合は、保存されているデータを読み出して電源断時の遊技状態を取得した後(S24)、バックアップフラグをOFFに設定する(S26)。そして、音声・ランプ制御基板370や、図柄制御基板360、払出制御基板350など(以下では、これら基板をサブ基板と呼ぶことがあるものとする)を電源断前の遊技状態に復旧させるべく、これら各種制御基板に対して電源断復旧時のコマンドを送信する(S28)。コマンドを送信する方法については別図を用いて後述する。その結果、電源断前の遊技状態が復元され、以降、遊技が継続される。
一方、S16においてRAMクリアスイッチがONであることが検出された場合は、通常の電源投入動作であると考えられるので、以下に示す通常の初期化動作を行う。また、RAMクリアスイッチはONになっていないが、バックアップフラグがONになっていない場合(S18:no)は、バックアップデータが存在しないと思われる。従って、この場合は、通常の電源投入動作ではないと考えられるが、やはり通常の初期化動作を行う。更に、バックアップフラグがONであり、バックアップデータが存在する場合でも、チェックサムが一致していない場合は(S22:no)、もはや、そのバックアップデータを使用することはできないでの、やはりこの場合も通常の初期化動作を行うことになる。
通常の初期化動作では、先ず初めにRAMの初期化を行う(S30)。すなわち、RAMの全領域に一旦「0」を書き込んだ後、RAM上の所定のアドレスに初期データを設定する処理を行う。
次いで、音声・ランプ制御基板370や図柄制御基板360などのサブ基板に向かって、初期コマンドを送信する(S32)。すなわち、主制御基板340で新たな遊技制御が開始されることに合わせて、音声・ランプ制御基板370や図柄制御基板360などにおいても新たな制御を開始するべく、サブ基板の制御状態を初期化するコマンドを送信するのである。
前述したように、制御開始準備処理では初めに割込が禁止状態に設定されているので、以上に説明した一連の動作を、確実に実施することができる。そして、全ての準備動作が終了したら、割込を許可状態に設定して(S34)、制御開始準備処理を終了し、遊技制御を開始する。尚、上述したように、本実施例の制御開始準備処理では、CPU401からCPU初期化回路部1460(図7参照)に向かってリセット信号を出力しておらず、後述する遊技制御処理中でリセット信号を出力している。従って、本実施例では、CPU401が上述の制御開始準備処理を行っている間も、リセット回路部1450からCPU初期化回路部1460に向かってリセット信号が出力されることになる。もっとも、制御開始準備処理を開始した段階で、一旦、CPU401からCPU初期化回路部1460にリセット信号を出力することとしても良い。この場合は、制御開始準備処理が開始されるまで(すなわち、セキュリティチェック中)の期間だけ、リセット回路部1450からCPU初期化回路部1460に向かってリセット信号が出力されることになる。
ここで、主制御基板340からサブ基板に向かってコマンドを送信する様子について説明しておく。図14は、主制御部140から音声・ランプ制御基板370に向かって、各種のコマンドが出力される様子を概念的に示した説明図である。主制御部140に設けられた主制御基板340は、1bitのストローブ信号と8bitのコマンドデータとを、音声・ランプ制御基板370に向かって出力する。音声・ランプ制御基板370では、ストローブ信号の立ち上がりのタイミングでコマンドデータを読み取ることにより、送信されたコマンドを確実に読み取ることができる。こうしてストローブ信号とともに供給されたコマンドは、必要に応じて直ちに音声・ランプ制御部170から図柄制御部160に転送される。前述した電源断復旧動作において出力される電源断復旧時のコマンドや、通常の初期化動作において出力される初期コマンドは、このようにして音声・ランプ制御基板370に送信され、更に音声・ランプ制御基板370から図柄制御基板360に転送される。その結果、遊技盤面上に設けられた中央装置26では適切な図柄が表示され、各種ランプ類やスピーカーは適切な状態に制御されることになる。
C−3.遊技制御の概要 :
主制御部基板340に搭載されたCPU401は、図13に示した制御準備開始処理を終了すると、パチンコ機1の遊技制御を開始する。図15は、主制御基板340に搭載されたCPU401が実行する遊技制御処理の大まかな流れを示すフローチャートである。図示されるように、遊技制御処理では、普通図柄遊技処理、普通電動役物遊技処理、特別図柄遊技処理、特別電動役物遊技処理などの各処理が繰り返し実行されている。一周の処理に要する時間は、ほぼ4msecとなっており、従って、これら各種の処理は約4msec毎に繰り返し実行されることになる。
また、前述したように、CTCは約2msec毎に割込を発生させるように設定されており、CTCによる割込が発生すると、各種乱数値の更新や、各種の遊技球検出スイッチなどの状態を検出する処理などが行われる。図15に示す遊技制御では、制御が一周する間に、ほぼ2回ずつ割込を発生させて各種乱数の更新や遊技状態の検出を行いつつ、普通図柄遊技処理、普通電動役物遊技処理、特別図柄遊技処理、特別電動役物遊技処理を実施する。そして、これら各処理中で、サブ基板に向けて各種コマンドを送信する。こうすることにより、パチンコ機1全体の遊技が進行することになる。以下、図15のフローチャートに従って、遊技制御処理について説明する。
C−3−1.ウォッチドッグタイマリセット処理 :
主制御基板340の主回路部400内に搭載されたCPU401は、遊技制御処理を開始すると、先ず初めにCPU初期化回路部1460に内蔵されたウォッチドッグタイマ(図7参照のこと)に向かってリセット信号を出力する(S90)。前述したように、CPU初期化回路部1460に内蔵されたウォッチドッグタイマは、電源が供給されると自動的に動作を開始し、CPU401を強制的に初期化する初期化信号を、所定の周期(Twd)で出力する。CPU401が初期化されてしまうと、再びセキュリティチェックから始めて、図13に示した制御開始準備処理をやり直さなければならず、遊技を進行させることができない。そこで、CPU401はS90において、CPU初期化回路部1460から初期化信号が出力される前にリセット信号を供給して、ウォッチドッグタイマ483の動作をリセットしておくのである。
C−3−2.普通図柄遊技開始判断処理 :
CPU初期化回路部1460に内蔵されたウォッチドッグタイマをリセットすると、主制御基板340のCPU401は、普通図柄遊技処理を開始するか否かを判断する(S100)。図16は、CPU401が普通図柄遊技処理を開始するか否かを判断するために行う処理(普通図柄遊技開始判断処理)を示したフローチャートである。普通図柄遊技処理を開始するか否かの判断に当たっては、初めに、普通図柄の保留に関わる処理を行う。具体的には、まず、普通図柄の保留数の表示コマンドを、音声・ランプ制御基板370および図柄制御基板360に向けて送信する(S101)。
ここで、普通図柄の保留数とは、原則として、7セグメント表示器32aの変動表示中に普通図柄作動左ゲート36あるいは普通図柄作動右ゲート37を通過した遊技球の個数を意味しており、前述の様に、最大4個まで記憶可能となっている。なお、この普通図柄の保留数は、RAM481内の普通図柄保留数メモリ(図示せず)に記憶される。また、普通図柄の保留数の表示コマンドは、普通図柄の保留数を普通図柄保留表示LED32bによって表示するために、主制御基板340から音声・ランプ制御基板370および図柄制御基板360に向けて出力されるコマンドである。パチンコ機1が動作を開始した当初においては、普通図柄の保留数は「0」であるため、普通図柄の保留数の表示コマンドが出力されても(S101)、普通図柄保留表示LED32bにおいて点灯する赤色LEDの個数は0個のまま保持される。一方、後述の処理によって普通図柄の保留数が増加し、再びS101の処理によって普通図柄の保留数の表示コマンドが出力されると、その保留数に対応する個数の赤色LEDが点灯され、普通図柄の保留数が加算表示されることになる。
普通図柄の保留数の表示コマンドを主制御基板340から音声・ランプ制御基板370および図柄制御基板360に向けて送信すると(S101)、次に、普通図柄作動左ゲート36または普通図柄作動右ゲート37のいずれかを遊技球が通過したか否かを判断する(S102)。遊技球が、左右いずれかの普通図柄作動ゲートを通過すると、ゲートに組み込まれた検出スイッチによって、通過を検知することができる。遊技球が通過していれば(S102:yes)、普通図柄の保留数が「4」以上か否かを判断する(S104)。そして、保留数が「4」に達していなければ(S104:no)、普通図柄の当否判定用乱数を取得し、この乱数をRAM481内の普通図柄当否判定用乱数メモリ(図示せず)に記憶すると共に、RAM481内の普通図柄保留数メモリ(図示せず)に記憶されている普通図柄の保留数を1つ加算する(S106)。なお、後述するように、普通図柄についての当否の判定は、こうして記憶された当否判定用乱数に基づいて行われる。一方、S104において、保留数が「4」に達している場合は(S104:yes)、普通図柄の当否判定用乱数の取得は行わない。すなわち、普通図柄の当否判定用乱数は、最大4つまで記憶することが可能となっている。普通図柄の保留に関わる処理とは、以上の様に、普通図柄の保留数を普通図柄保留表示LED32bに表示させ、その後、遊技球が普通図柄作動左ゲート36または普通図柄作動右ゲート37のいずれかを通過したことを検知して、普通図柄の当否判定用乱数を記憶するに至るまでの処理である。
なお、普通図柄当否判定用乱数メモリに普通図柄の当否判定用乱数が1個も記憶されていない状態、すなわち普通図柄の保留数が「0」の状態において、遊技球が普通図柄作動左ゲート36あるいは普通図柄作動右ゲート37を通過した場合、普通図柄の保留が発生するわけではない。しかし、上述したS106の処理においては、普通図柄の保留数に「1」を加算する設定となっている。このような処理を行う理由は、普通図柄の変動表示の開始条件として、遊技球の通過を一時的に記憶しておくためである。後述の様に、普通図柄の変動表示を開始すると、これに併せて普通図柄の保留数から「1」を減算するように設定されている。そのため、普通図柄の保留数が「0」から「1」に加算された後に再び行われるS101の処理において、普通図柄の保留数の表示コマンドが送信されるまでには、普通図柄の変動表示が開始されて普通図柄の保留数は「0」に戻ることになる。したがって、普通図柄の保留数が「0」の状態において、遊技球の通過を普通図柄の保留数として加算しても、実際には普通図柄保留表示LED32bの赤色LEDが点灯されることはない。
以上のようにして普通図柄の保留に関わる処理を終了したら、普通電動役物が作動中か否かを判断する(S108)。普通電動役物は、普通図柄遊技を行った結果として作動する役物である。従って、普通電動役物が作動中であれば(S108:yes)、重ねて普通図柄遊技を開始する必要はないので、普通図柄遊技は開始しないと判断する(すなわち、S100:no)。一方、普通電動役物が作動中でない場合は(S108:no)、普通図柄遊技を開始すると判断する(すなわち、S100:yes)。なお、S108の処理は、S102の処理において遊技球のゲート通過が検知されなかった場合であっても実行される。これは、普通図柄の保留数が残っている場合(すなわち「0」でない場合)に、普通電動役物が作動中でなければ、普通図柄遊技処理において普通図柄の変動表示を開始可能とするためである。
図15に示した遊技制御処理のステップS100では、普通図柄遊技を開始するか否かを、以上のようにして判断する。そして、普通図柄遊技を開始すると判断した場合は(S100:yes)、以下に説明する普通図柄遊技処理を開始する(S150)。一方、普通図柄遊技を開始しないと判断した場合は(S100:no)、普通図柄遊技処理はスキップする。
C−3−3.普通図柄遊技処理 :
図17は、普通図柄遊技処理の流れを示したフローチャートである。普通図柄遊技処理を開始すると、先ず初めに、普通図柄が変動中か否かを判断する(S152)。図4を用いて前述したように、本実施例のパチンコ機1では中央装置26の上部に普通図柄表示装置32が設けられており、普通図柄表示装置32に搭載された7セグメント表示器32aを用いて普通図柄を変動表示可能となっている。普通図柄遊技処理を開始したら、先ず初めに、この7セグメント表示部32aが図柄を変動表示しているか否かを判断するのである。
普通図柄が変動中でない場合は(S152:no)、普通図柄が未だ変動していないか、若しくは変動表示後に停止図柄で停止表示されているかのいずれかであると考えられる。そこで、現在の状態が、普通図柄の停止図柄を所定期間表示させるべく設定された時間(停止表示時間)中であるか否かを判断する(S154)。後述するように、普通図柄の変動表示開始や変動表示の停止は、主制御基板340に搭載されたCPU401が出力するコマンドによって制御されている。このためCPU401は、現在の状態が普通図柄の停止表示時間中であるか否かを、内部の制御状態に基づいて容易に判断することができる。
そして、普通図柄の停止表示時間中ではないと判断された場合(S154:no)、すなわち、普通図柄が変動表示されておらず且つ普通図柄の停止図柄を表示中でもない場合は、普通図柄の保留数が「0」であるか否かを判断する(S156)。保留数が「0」でない場合、すなわち普通図柄の保留が残っている場合は(S156:no)、普通図柄の当否判定を行う(S158)。普通図柄の当否判定は、普通図柄の保留時に記憶しておいた当否判定用乱数値が、予め定めておいた当たり値と一致するか否かを判断することによって行う。すなわち、保留時に記憶した乱数値が当たり値と一致していれば、普通図柄の当たりと判断し、一致していなければ普通図柄の外れと判断する。
こうして普通図柄の当否判定を行ったら、主制御基板340のCPU401は、当否判定の結果に応じて、音声・ランプ制御基板370および図柄制御基板360に向かって普通図柄関連コマンドを出力する(S160)。普通図柄関連コマンドは、普通図柄遊技の進行に合わせて、各種ランプの点滅や効果音の出力などの各種演出を行うために、主制御基板340からサブ基板に向かって出力される各種コマンドである。
図18は、普通図柄関連コマンドとして設定されている各種コマンドを例示した説明図である。図示されているように、普通図柄の変動パターンには複数種類のパターンが用意されており、これら変動パターンに応じて、コマンドChp1,コマンドChp2,コマンドChp3,コマンドChp4などの各種の普通図柄変動パターン指定コマンドが設定されている。また、図柄の変動表示後は、種々の図柄で停止表示させることが可能であり、停止表示させる普通図柄に応じて、複数の普通図柄指定コマンドChs1,コマンドChs2,コマンドChs3,コマンドChs4などが設定されている。更に、普通図柄の変動表示を停止させるコマンド(普通図柄停止コマンドChstp )も設定されている。図17に示したS160では、先に実施した普通図柄の当否判定の結果に応じて、先ず、普通図柄変動パターン指定コマンドを送信し、次いで、普通図柄指定コマンドを送信する。こうして、主制御基板340から音声・ランプ制御基板370に向かって普通図柄関連コマンドを送信すると、音声・ランプ制御基板370は必要に応じて図柄制御基板360にコマンドを転送する。その結果、主制御基板340で普通図柄遊技が行われることに合わせて、音声・ランプ制御基板370および図柄制御基板360では、適切な演出が実施されることになる。
こうした普通図柄関連コマンドを出力することにより、7セグメント表示器32aにおいて普通図柄の変動表示が開始されれば、普通図柄の保留が1つ消化されることになるから、普通図柄の保留数から「1」を減算する(S161)。この様に、普通図柄関連コマンドを送信し、更に普通図柄の保留数から「1」を減算したら、図17に示した普通図柄遊技処理を終了して、図15に示す遊技制御処理に復帰する。なお、S161における普通図柄の保留数の減算後、再びS101(図16参照)の処理によって普通図柄の保留数の表示コマンドが音声・ランプ制御基板370に向かって送信されると、普通図柄保留表示LED32bでは減算後の普通図柄の保留数に対応する個数の赤色LEDが点灯表示され、これにより、普通図柄の保留数が減算表示される。
一方、S156で「yes」と判断された場合、すなわち、普通図柄の変動表示中ではなく、且つ普通図柄の停止表示時間中でもないが、普通図柄の保留数が「0」である場合は、S158ないしS161の処理を行うことなく、そのまま普通図柄遊技処理を終了して図15に示す遊技制御処理に復帰する。
またS152において、普通図柄が変動中であると判断された場合は(S152:yes)、既に送信済みの普通図柄関連コマンドに従って図柄が変動している最中であると考えられる。そこで、普通図柄変動時間が経過したか否かを判断する(S162)。すなわち、図18に示したように、普通図柄の変動パターンには複数種類のパターンが設定されており、図柄の変動時間は変動パターンに応じて予め決まっている。そこで、主制御基板340のCPU401は、普通図柄変動パターン指定コマンドを送信すると同時に、変動パターンに応じた図柄の変動時間を内部のタイマをセットしておく。S162では、こうしてセットされたタイマを参照することにより、普通図柄の変動時間が経過したか否かを判断する。
そして、未だ変動時間が経過していない場合は(S162:no)、そのまま普通図柄遊技処理を終了して、図15に示す遊技制御処理に復帰する。一方、変動時間が経過したと判断された場合は(S162:yes)、図18を用いて前述した普通図柄停止コマンドを送信する(S164)。更に、停止表示された普通図柄を遊技者が確認することができるように、普通図柄の停止表示時間を設定する(S166)。
次いで、普通図柄を停止表示させるべく設定された停止表示時間が経過したか否かを判断し(S168)、停止表示時間が経過していない場合は(S168:no)、そのまま普通図柄遊技処理を終了して図15に示す遊技制御処理に復帰する。
一方、停止表示時間が経過したと判断された場合は(S168:yes)、停止表示された普通図柄が普通電動役物を作動させることとなる図柄(当り図柄)であるか否かを判断する(S170)。もっとも、普通図柄の当否判定が当り判定であった場合は、普通電動役物の作動図柄が停止表示されるような普通図柄関連コマンドが送信されており、普通図柄はかかるコマンドに従って停止表示される。逆に当否判定が外れであった場合は、普通電動役物を作動させない図柄が停止表示されるような普通図柄関連コマンドが送信されており、かかるコマンドに従って普通図柄が停止表示される。このことから、普通電動役物が作動する図柄で停止するか否かは、普通図柄関連コマンドを送信する段階で既に定まっている。
停止表示された普通図柄が普通電動役物の作動図柄でない場合は(S170:no)、そのまま普通図柄遊技処理を終了して図15に示す遊技制御処理に復帰する。一方、停止表示された普通図柄が普通電動役物の作動図柄である場合は(S170:yes)、普通電動役物の作動を開始し(S172)、その後、普通図柄遊技処理を終了して図15に示す遊技制御処理に復帰する。本実施例のパチンコ機1では、普通電動役物が作動すると、始動口17が開放状態となる。
なお、S168の処理では、先ず、普通図柄の停止表示時間を計測するための計時カウンタをインクリメントし、その結果に基づいて、普通図柄の停止表示時間が経過したか否かについての判断が行われる。また、前述したS154の処理においても、この計時カウンタの値に基づいて、普通図柄の停止表示時間中であるか否かが判断される。そのため、計時カウンタの値が所定値に達するまでは、普通図柄の停止表示時間中であると判断され(S154:yes)、計時カウンタのインクリメントが繰り返し行われることになる(S168)。普通図柄遊技処理においては、このようにインクリメントされる計時カウンタによって、普通図柄の停止表示時間の計測が行われ、その後、計時カウンタの値が所定値に達すると、すなわち普通図柄の停止表示時間が経過すると(S168:yes)、S170の処理が行われる。
図15に示すように、遊技制御処理では、普通図柄遊技処理から復帰すると普通電動役物が作動中か否かを判断する(S190)。CPU401は、普通電動役物が作動中であれば、内部の制御状態に基づいてこれを容易に検出することができる。普通電動役物が作動中でなければ(S190:no)、普通電動役物遊技処理(S200)はスキップするが、普通電動役物が作動中であれば(S190:yes)、以下に説明する普通電動役物遊技処理を開始する(S200)。
C−3−4.普通電動役物遊技処理 :
図19は、普通電動役物遊技処理の流れを示すフローチャートである。以下、フローチャートに従って説明する。普通電動役物遊技処理では、先ず初めに、普通電動役物が所定の作動時間が経過したか否かを判断する(S202)。前述したように、普通電動役物が作動すると、始動口17に設けられた一対の翼片部が外側に向かって回動し、始動口が開放状態となるが、所定時間が経過すると、再び一対の翼片部が直立した通常の状態に復帰する。そこで、S202では、普通電動役物が予め設定しておいた作動時間に達したか否かを判断するのである。そして、作動時間に達したと判断された場合は(S202:yes)、普通電動役物の作動を停止した後、普通電動役物遊技処理を終了して図15に示した遊技制御処理に復帰する。
一方、始動口17は開放中に規定数の遊技球が入球すると、開放時間が設定時間に達していない場合でも、通常状態に復帰してしまう。このことと対応して、普通電動役物の作動時間が所定時間に達していない場合は(S202:no)、普通電動役物の規定数の入賞があったか否かを判断し(S204)、規定数の入賞があったと判断された場合は(S204:yes)、普通電動役物の作動を停止して、図19に示した普通電動役物遊技処理を終了する。逆に、規定数の入賞がないと判断された場合は(S204:no)、普通電動役物を作動させたまま、図19に示した普通電動役物遊技処理を終了して、図15に示す遊技制御処理に復帰する。
図15に示すように、遊技制御処理では、図19に示す普通電動役物遊技処理から復帰すると、特別図柄遊技処理を開始するか否かを判断する(S300)。その結果、特別図柄遊技処理を開始しないと判断された場合には(S300:no)、特別図柄遊技処理(S320)および疑似図柄表示処理(S360)をスキップし、逆に、特別図柄遊技処理を開始すると判断された場合には(S300:yes)、特別図柄遊技処理(S320)および疑似図柄表示処理(S360)を行う。
尚、特別図柄遊技処理を開始するか否かの判断は、始動口17に入球したか否か、或いは入球による保留があるか否かに関連している。このため、詳細については後述するが、S300の処理(特別図柄遊技開始判断処理)では、特別図柄の変動表示中等における始動口17への入球数を計数する処理等も行われる。S300に続いて行われるS320の特別図柄遊技処理では、本図柄の変動表示を開始するか否かの判断が、この計数結果に基づいて行われ、更に続くS360の疑似図柄表示処理では、疑似図柄の変動表示を開始するか否かの判断が、同じく、この計数結果に基づいて行われる。本実施例のパチンコ機1では、これらS300、S320、およびS360の処理が実行されることによって、抽選結果の表示に関する保留数が上限値に達した場合であっても遊技者の興趣の低下を抑制することが可能となっている。これらS300、S320、およびS360の処理の詳細については、別図を用いて後述する。
図15に示すように、遊技制御処理では、疑似図柄表示処理(S360)から復帰すると、条件装置が作動中か否かを判断する(S390)。前述したように条件装置は、役物連続作動装置を作動させることにより、いわゆる特別遊技状態を開始させる装置である。そこで、CPU401は、条件装置が作動中であれば、以下に説明する特別電動役物遊技処理を開始する(S400)。一方、条件装置が作動中でなければ(S390:no)、特別電動役物遊技処理(S400)はスキップする。
C−3−5.特別電動役物遊技処理 :
図20は、特別電動役物遊技処理における前半部分の処理の流れを示すフローチャートである。また、図21は、特別電動役物遊技処理における後半部分の処理の流れを示すフローチャートである。このような特別電動役物遊技処理が実行されることによって、いわゆる特別遊技状態が発生する。以下、図20および図21のフローチャートを参照しながら特別電動役物遊技処理について説明するが、その準備として、いわゆる特別遊技状態と呼ばれる遊技の内容について簡単に説明しておく。
図4を用いて前述したように、遊技盤の下方には大入賞口311が設けられており、この大入賞口311は通常の遊技状態では閉鎖されている。しかし、特別遊技状態が開始されると、大入賞口311が開放される。本明細書中で言う特別電動役物とは、大入賞口311を開放させる装置である。大入賞口311は他の入賞口に比べて大きく開口するため、大入賞口311が開放されると、遊技球が高い確率で入球することになる。大入賞口311は、一定期間だけ開放した後、あるいは所定数の遊技球が入球すると閉鎖されるが、開放中に、大入賞口311の内部に設けられた特定領域(いわゆるV入賞口)を遊技球が通過していると、再び開放状態となる。本明細書中で言う役物連続作動装置とは、大入賞口311を再び開放状態とする装置である。
こうして、大入賞口311の開放中に遊技球が特定領域を通過している限り、大入賞口311は、所定回数までは開放と閉鎖とを繰り返すことになる。大入賞口311が開放してから閉鎖するまでの遊技は、「ラウンド」と呼ばれる。そして、大入賞口311が所定回数まで開放するか(すなわち、所定回数のラウンドを消化するか)、あるいは遊技球が特定領域を通過することなく大入賞口311が閉鎖されたら、特別遊技状態が終了する。このような特別遊技状態は、図15に示した遊技制御処理において、図20および図21に示した特別電動役物遊技処理が繰り返し実行されることによって実現されている。以下、図20を参照することによって特別電動役物遊技処理の前半部分を説明し、図21を参照することにより、特別電動役物遊技処理の後半部分の処理について説明する。
図20に示されるように、特別電動役物遊技処理を開始すると、先ず初めに、大入賞口311が開放中か否かを判断する(S402)。大入賞口311は、通常の遊技状態では閉鎖されており、従って、特別電動役物遊技の開始直後も、大入賞口311は閉鎖状態となっている。そこで、大入賞口は開放中ではないと判断して(S402:no)、特定領域有効時間が終了したか否かを判断する(S416)。特定領域有効時間とは、大入賞口311内部に設けられた特定領域を、遊技球が通過したか否かを確認するための時間である。特別電動役物遊技処理が初めて開始されたときには、特定領域有効時間は終了していないから、S416では「no」と判断し、続いて、遊技球が特定領域を通過したか否かを判断する(S418)。特別電動役物遊技が開始された直後は、大入賞口311が閉鎖されており、従って遊技球が特定領域を通過することもないから、S418では「no」と判断して、そのまま特別電動役物遊技処理を終了し、図15に示す遊技制御処理に復帰する。
図15に示されているように、遊技制御処理に復帰すると、CPU初期化回路部に内蔵されているウォッチドッグタイマをリセットした後(S90)、普通図柄遊技処理を開始するか否か(S100)、普通電動役物の作動の有無(S190)、特別図柄遊技処理を開始するか否か(S300)を順次判断し、その結果、普通図柄遊技処理(S150)や普通電動役物遊技処理(S200)、特別図柄遊技処理(S350)などの処理をスキップして、再び、特別電動役物遊技処理(S400)に復帰する。
前述したように、特別電動役物遊技処理が開始された直後は、大入賞口311は閉鎖されているが、こうして図15の遊技制御処理を繰り返し行う間に、やがて大入賞口311が開放状態となる。その結果、特別電動役物遊技処理(S400)において、大入賞口が開放中と判断されるので(S402:yes)、続いて、特定領域を遊技球が通過したか否かを判断する(S404)。そして、遊技球が特定領域を通過している場合は(S404:yes)、役物連続作動装置が作動中か否かを判断する(S406)。前述したように、本実施例における役物連続作動装置とは、一旦閉鎖された大入賞口311を再び開放させる装置である。役物連続作動装置が作動中でなければ(S406:no)、役物連続作動装置の作動を開始する(S408)。役物連続作動装置が既に作動している場合は(S406:yes)、役物連続作動装置を重ねて作動させることの無いように、S408の処理はスキップする。
次いで、大入賞口311の開放時間が所定時間に達したか否かを判断する(S410)。前述したように、特別遊技では、大入賞口311が開放状態となるが、所定時間開放されるか、または大入賞口311に所定数の遊技球が入球すると閉鎖される。このことに対応して、S410では先ず大入賞口311の開放時間が所定時間に達したか否かを判断するのである。そして、開放時間が所定時間に達していれば(S410:yes)、大入賞口を閉鎖する(S414)。一方、開放時間が所定時間に達していない場合は(S410:no)、大入賞口311に入球した遊技球が規定数に達しているか否かを判断する(S412)。そして、遊技球が規定数に達した場合は(S412:yes)、大入賞口311を閉鎖する(S414)。しかし、規定数に達していない場合は、大入賞口311の開放時間が未だ所定時間に達しておらず、しかも大入賞口311に入球した遊技球も規定数に達していないと考えられるので、大入賞口311を開放させたまま、図20および図21に示す特別電動役物遊技処理を終了して、図15の遊技制御処理に復帰する。
遊技制御処理に復帰すると、先ず初めにCPU初期化回路部のウォッチドッグタイマをリセットした後(S90)、続く一連の判断を行って、再び特別電動役物遊技処理(S400)を開始する。こうした処理を繰り返している間に、大入賞口311は閉鎖され、S402において「no」と判断される。S402で「no」と判断されると、続いて特定領域有効時間が経過したか否かを判断する(S416)。前述したように、本実施例のパチンコ機1では、特定領域有効時間の間に遊技球が特定領域を通過した場合には、役物連続作動装置が作動するように構成されている。そして、特定領域有効時間が経過していない場合は(S416:no)、遊技球が特定領域を通過したか否かを判断し(S418)、通過していない場合は(S418:no)、そのまま特別電動役物遊技処理を終了して図15に示す遊技制御処理に復帰する。一方、遊技球が特定領域を通過している場合は(S418:yes)、役物連続作動装置が作動しているか否かを判断し(S420)、既に役物連続作動装置が作動している場合は(S420:yes)、そのまま特別電動役物遊技処理を終了し、未だ役物連続作動装置が作動していない場合は(S420:no)、役物連続作動装置を作動させた後(S422)、特別電動役物遊技処理を終了して図15に示す遊技制御処理に復帰する。
一方、S416で「yes」と判断された場合、すなわち、大入賞口311が閉鎖されており、特定領域有効時間も既に経過している場合は、いわゆる特別遊技状態におけるラウンドが終了したものと考えられる。そこで、大入賞口311の開放中および特定領域有効時間中に、遊技球が特定領域を通過したか否かを判断する(S424)。そして、遊技球が特定領域を通過していない場合は(S424:no)、いわゆるパンク状態となって、役物連続作動装置を停止させる(S426)。
一方、遊技球が特定領域を通過している場合は(S424:yes)、大入賞口の閉鎖時間が終了したことを確認した後(S428:yes)、役物連続作動装置が作動中か否かを判断する(図21のS430)。役物連続作動装置が作動中であれば(S430:yes)、大入賞口311を開放させた後(S432)、特別電動役物遊技処理を終了して、図15に示した遊技制御処理に復帰する。一方、役物連続作動装置が作動していない場合は(S430:no)、いわゆるパンク状態となったか、もしくは所定ラウンドを消化した状態と考えられる。そこで、この場合は、条件装置の作動が、本図柄が特定図柄で停止表示されたことによるものか否かを判断する(S434)。ここで、条件装置とは、役物連続作動装置が作動するための条件となる装置である。また、特定図柄とは、本図柄の大当り図柄のうち、特別遊技状態が終了した後(条件装置が作動終了した後)、次の特別遊技状態が発生するまで(次に条件装置が作動開始するまで)の間、本図柄の当否判定における当り判定の確率を向上させる、いわゆる確変状態を発生させることとなる図柄(いわゆる確変図柄)のことである。そして、条件装置の作動が特定図柄によるものである場合は(S434:yes)、前述の確変状態を発生させるための確率変動機能を作動開始させた後(S436)、条件装置の作動を停止する(S438)。一方、条件装置の作動が特定図柄によるものでない場合は(S434:no)、直ちに条件装置の作動を停止した後(S446)、その停止した条件装置の作動開始時に確率変動機能が作動していたか否かを判断する(S448)。そして、条件装置の作動が確率変動機能の作動時ではないと判断された場合は(S48:no)、特別電動役物遊技処理を終了して、図15に示した遊技制御処理に復帰する。
以上のようにして条件装置の作動を停止した後(S438)、あるいは条件装置の作動が確率変動機能の作動中であると判断された場合は(S448:yes)、特別図柄の変動時間短縮機能を作動させ(S440)、続いて、普通図柄の変動時間短縮機能を作動させ(S442)、そして、普通電動役物開放延長機能を作動させた後(S444)、特別電動役物遊技処理を終了して、図15に示した遊技制御処理に復帰する。本実施例のパチンコ機1は、以上のような遊技制御処理を繰り返し行うことによって、遊技を進行させることが可能となっている。
C−4.電源断発生時処理 :
次に、パチンコ機1の遊技中に、停電などが発生して電源が予期せずに切断された場合に、遊技中の状態をバックアップデータとして記憶するための処理、すなわち電源断発生時処理について説明する。
図22は、電源断発生時処理の流れを示すフローチャートである。かかる処理は、電源から供給されている電圧が所定値以下に低下したことが検出されると、主制御基板340のCPU401に向かって割込が発生することによって開始される。かかる処理は、緊急を要する処理であるため、マスク不能の割込に設定されており、割込が発生した場合には直ちに実施される。
電源断発生処理が開始されると、先ず初めに、CPU401の全レジスタの内容が、RAM上のバックアップ領域に記憶される(S900)。次いで、スタックポインタの設定値もバックアップ領域に保存される(S902)。スタックポインタには、プログラムの開始アドレスが設定されている。従って、全レジスタの内容と、スタックポインタの内容とを保存しておけば、再びプログラムを開始する場合にも、同じ条件で、同じ箇所から開始させることができる。
次いで、賞球の払出装置109内に残存している賞球を確認するために、所定期間だけ賞球計数スイッチの出力を監視する処理を行う(S904)。尚、払出装置109内に残存している賞球があれば、この期間に通過した遊技球の数を検出して、記憶しておく。
その後、バックアップ領域に記憶されたバックアップデータについてチェックサムを算出し、得られた結果を記憶した後(S906)、バックアップフラグをONに設定する(S908)。そして最後に、RAMをアクセス禁止状態に設定して(S910)、電源断発生時処理を終了する。図13を用いて前述した制御開始準備処理において、バックアップフラグがONになっていると判断された場合は(図13のS18:yes)、このようにして保存されたバックアップデータを読み出すことにより、電源断前の遊技状態を復旧することが可能となる。
C−5.特別遊技に関する処理 :
図23は、特別図柄表示装置27の表示画面271を示す説明図である。前述の様に、本実施例のパチンコ機1においては、特別図柄表示装置27の表示画面271に、副表示領域271A、主表示領域271Bなどが設けられているが、このうち副表示領域271Aの右端寄りの領域には、2つの「本図柄」(1桁目本図柄および2桁目本図柄)を変動および停止表示可能な本図柄表示部R1,R2が形成されている。また、主表示領域271Bには、左・中・右の3つの疑似図柄表示部Q1〜Q3が形成されており、これらの疑似図柄表示部Q1〜Q3において、3つの「疑似図柄」(左疑似図柄、中疑似図柄、および右疑似図柄)を変動表示することが可能となっている。なお、特別図柄表示装置27の表示画面271には、前述の様に背景図柄やキャラクタ図柄なども表示されるが、図23では、図が煩雑となることを避けるため、背景図柄やキャラクタ図柄の表示を省略している。
本図柄や疑似図柄の変動表示は、遊技球が始動口17へ入球することを条件として開始されるが、図柄変動表示中や特別遊技状態中に始動口17への入球が発生した場合、現在進行中の図柄変動表示や特別遊技状態を中断したのでは、遊技者の興趣を損なってしまう。そこで、図柄変動表示中や特別遊技状態中に遊技球が始動口17に入球した場合、その入球に伴う図柄の変動表示および抽選結果の表示については、現在行われている図柄変動表示や特別遊技状態の完了後に行うべく一旦保留することにより、遊技者の興趣が損われることを回避している。
更に、本実施例のパチンコ機1は、抽選結果の表示に関する保留上限を超えて、始動口17への入球数を蓄積することができるよう構成されており、これにより、遊技者の興趣が低下することを抑制可能としている。こうした構成は、図15に示した遊技制御処理において行われる特別図柄遊技開始判断処理(S300)、特別図柄遊技処理(S320)、および疑似図柄表示処理(S360)によって実現されるため、以下、これらの処理について説明する。
C−5−1.特別図柄遊技開始判断処理 :
図15に示したように、遊技制御処理では、普通電動役物遊技処理(S200)から復帰すると、特別図柄遊技処理を行うか否かを判断する(S300)。図24は、特別図柄遊技を行うか否かを判断する処理の流れを示したフローチャートである。図16を用いて前述した普通図柄遊技処理を開始するか否かの判断時と同様に、特別図柄遊技処理を開始するか否かの判断に当たっても、先ず初めに、特別図柄の保留に関わる処理を行う。具体的には、まず、特図保留数の表示コマンドを、音声・ランプ制御基板370および図柄制御基板360に向けて送信する(S302)。
ここで、特図保留数とは、原則として、特別図柄の変動表示中(所定の停止表示期間中を含む)や特別遊技状態中などにおける始動口17への入球数、すなわち、始動口17内の始動口入球検知スイッチ17sによる遊技球の検知回数を示すもので、RAM481内の特図保留数メモリ(図示せず)に記憶される。なお、本実施例では、特図保留数の上限を「8」としている。また、特図保留数の表示コマンドは、特図保留数を特別図柄保留表示LED16aによって表示するために、主制御基板340から音声・ランプ制御基板370および図柄制御基板360に向けて出力されるコマンドである。前述した普通図柄の保留数と同様に、パチンコ機1が動作を開始した当初においては、特図保留数は「0」であり、そのため特図保留数の表示コマンドが出力されても(S302)、特別図柄保留表示LED16aにおいて点灯する赤色LEDの個数は0個のまま保持される。一方、後述の処理によって特図保留数が増加し、その後に再び行われるS302の処理によって特図保留数の表示コマンドが出力されると、その保留数に対応する個数の赤色LEDが点灯され、特図保留数の加算表示が行われることになる。
特図保留数の表示コマンドを主制御基板340から音声・ランプ制御基板370および図柄制御基板360に向けて送信すると(S302)、次に、始動口17に遊技球が入球したか否かを判断する(S304)。前述したように、始動口17の内部には遊技球の入球を検知する始動口入球検知スイッチ17sが組み込まれており、このスイッチによって始動口17に遊技球が入球したことを検知することが可能となっている。
始動口17に遊技球が入球している場合は(S304:yes)、特図保留数が「8」以上であるか否かを判断する(S306)。特図保留数が「8」に達していなければ(S306:no)、特図保留数に「1」を加算し(S308)、続いて、特図保留数が「4」を超えているか否かを判断する(S310)。ここで、特図保留数が「4」以下であれば(S310:no)、本図柄の当否判定用乱数を取得し、この乱数をRAM481内の本図柄当否判定用乱数メモリ(図示せず)に記憶する(S312)。前述した普通図柄の当否判定と同様に、本図柄についての当否判定も、こうして記憶された当否判定用乱数に基づいて行われる。一方、特図保留数が「4」を超えている場合は(S310:yes)、新たな当否判定用乱数の取得は行わない。すなわち、本図柄の当否判定用乱数が記憶されるのは、特図保留数が「1」〜「4」の場合であるから、普通図柄の当否判定用乱数と同様に、本図柄の当否判定用乱数について記憶されるのは最大4個までとなる。この様に、本実施例のパチンコ機1では、特図保留数を最大8個まで記憶することができるが、本図柄の当否判定用乱数を記憶するのは最大4個までとなる。従来のパチンコ機における保留数は、本図柄の当否判定用乱数を記憶している個数を表していることに鑑みれば、本実施例のパチンコ機1において特図保留数が「1」〜「4」までの値を取る場合、この特図保留数を、従来のパチンコ機1における保留数に相当する値と考えることもできる。特別図柄の保留に関わる処理とは、以上の様に、特図保留数を特別図柄保留表示LED16aに表示させ、その後、遊技球が始動口17に入球したことを検知して、本図柄の当否判定用乱数を記憶するに至るまでの処理である。
なお、本図柄当否判定用乱数メモリに本図柄の当否判定用乱数が1個も記憶されていない状態、すなわち特図保留数が「0」の状態において、遊技球が始動口17に入球したとしても保留が発生するわけではない。しかし、上述したS308の処理においては、特図保留数に「1」を加算する設定となっている。このような処理を行う理由は、特別図柄の変動表示の開始条件として、始動口17への入球を記憶しておくためである。後述の様に、疑似図柄の変動表示を開始すると、特図保留数から「1」を減算するように設定されている。そのため、特図保留数が「0」から「1」に加算された後に再び行われるS302の処理において、特図保留数の表示コマンドが送信されるまでには、本図柄および疑似図柄の変動表示が開始されて、特図保留数は「0」に戻ることになる。したがって、始動口17への入球が保留を発生させるものではない場合に、この入球を特図保留数として計数しても、実際には、特別図柄保留表示LED16aの赤色LEDが点灯されることはない。
以上のようにして特別図柄の保留に関わる処理を終了したら、条件装置が作動中か否かを判断する(S314)。条件装置とは、役物連続作動装置が作動するための条件となる装置であり、本図柄が大当り図柄(当選図柄)で停止表示されると作動を開始する装置である。条件装置は役物連続作動装置を作動させ、これによって、大入賞口311が連続して開放する遊技状態(いわゆる特別遊技状態)が開始される。S314において、条件装置が作動中と判断されれば(S314:yes)、重ねて特別遊技状態を開始することを避けるため、特別図柄遊技は開始しないと判断する(すなわち、S300:no)。一方、条件装置が作動中でない場合は(S314:no)、特別図柄遊技を開始すると判断する(すなわち、S300:yes)。なお、S314の処理は、遊技球が始動口17に入球した場合(S304:yes)はもちろんのこと、始動口17への入球が検知されなかった場合(S304:no)であっても実行される。これは、特図保留数が残っている場合に、特別図柄遊技処理において特別図柄(本図柄および疑似図柄)の変動表示を開始できるようにするためである。
図15に示した遊技制御処理のステップS300では、以上のようにして、特別図柄遊技を開始するか否かを判断する。そして、特別図柄遊技を開始すると判断した場合は(S300:yes)、以下に説明する特別図柄遊技処理を開始する(S320)。
C−5−2.特別図柄遊技処理 :
図25は、特別図柄遊技処理の流れを示したフローチャートである。特別図柄遊技処理は、本図柄の変動および停止表示を制御すると共に、本図柄が所定の大当り図柄で停止したことを条件として条件装置の作動を開始させる処理である。
図示されている様に、特別図柄遊技処理を開始すると、先ず初めに、本図柄が変動中であるか否かを判断する(S322)。図23を用いて前述したように、特別図柄表示装置27の副表示領域271Aには、本図柄表示部R1,R2が形成されており、2つの本図柄を変動表示することが可能となっている。
本図柄が変動中でない場合は(S322:no)、現在の状態が、本図柄を所定期間停止表示させるべく設定された停止表示時間中であるか否かを判断する(S324)。そして、本図柄が変動表示されておらず、かつ本図柄の停止表示時間中でもない場合は(S324:no)、続いて、特図保留数が「1」以上「4」以下であるか否かを判断する(S326)。その結果、特図保留数が「1」以上「4」以下である場合は(S326:yes)、本図柄の当否判定を開始する。
本実施例のパチンコ機1では、本図柄の当否判定に、当り判定の生じ易い確変状態と、通常の確率で当り判定が生じる非確変状態とが設けられている。そこで、本図柄の当否判定を開始するにあたっては、初めに確変状態に設定されているか否か(確率変動機能が作動中か否か)を判断し(S328)、確変状態であれば確変用の当否判定を行い(S330)、確変状態でなければ非確変用の当否判定を行う(S332)。本図柄の当否判定は、普通図柄の当否判定とほぼ同様の方法を用いて行う。すなわち、図24に示した特別図柄遊技開始判断処理のS312において記憶された当否判定用乱数値が、予め定めておいた当たり値と一致するか否かを判断し、乱数値が当たり値と一致していれば、本図柄の当たり(いわゆる大当たり)と判断し、一致していなければ本図柄の外れと判断する。確変中は、予め設定されている当たり値の種類が増加しているため、大当たりが生じ易くなっている。
こうして本図柄の当否判定を行ったら、主制御基板340のCPU401は、当否判定の結果に応じた本図柄関連コマンドを、音声・ランプ制御基板370および図柄制御基板360に向けて出力する(S334)。本図柄関連コマンドは、特別図柄遊技の進行に合わせて、各種ランプの点滅や効果音の出力などの各種演出を行うために、主制御基板340からサブ基板に向かって出力される各種コマンドである。
図26は、本図柄関連コマンドとして設定されている各種コマンドを例示した説明図である。前述した普通図柄の変動パターンと同様に、本図柄の変動パターンにも複数種類のパターンが用意されており、これら変動パターンに応じて、コマンドCtRp1 ,コマンドCtRp2 ,コマンドCtRp3 などの各種の本図柄変動パターン指定コマンドが設定されている。また、本実施例の特別図柄表示装置27では、2つの本図柄表示部R1,R2に、1桁目本図柄および2桁目本図柄を表示させることに対応して、これらの停止図柄を指定するコマンド、すなわち1桁目本図柄指定コマンドCtRs1 、2桁目本図柄指定コマンドCtRs2 が設定されている。更に、本図柄関連コマンドには、大当たり状態となったときに出力する効果音を指定するコマンド(大当たり効果音指定コマンドCLsF)や、いわゆる特別遊技状態のラウンド数を指定するコマンド(大当たりラウンド指定コマンドCLsR)や、本図柄の変動表示を停止させるコマンド(本図柄停止コマンドCtRstp)なども設定されている。
図25に示した特別図柄遊技処理のS334では、先に実施した本図柄の当否判定の結果に応じて、先ず、本図柄変動パターン指定コマンドを出力し、次いで、各種の本図柄指定コマンド、大当たりに伴う各種のコマンドを出力する。この様に出力された本図柄関連コマンドは、音声・ランプ制御基板370に受信され、必要に応じて音声・ランプ制御基板370から図柄制御基板360に転送される。その結果、主制御基板340で特別図柄遊技が行われることに合わせて、音声・ランプ制御基板370および図柄制御基板360では、適切な演出が実施されることになる。以上のようにして、本図柄関連コマンドを送信したら、図25に示した特別図柄遊技処理を終了して、図15に示す遊技制御処理に復帰する。
一方、S326で「no」と判断された場合、すなわち、本図柄が変動中ではなく、且つ本図柄の停止表示時間中でもないが、特図保留数が「0」であるか、あるいは「5」以上である場合は、本図柄の当否判定や本図柄関連コマンドの送信を行うことなく、そのまま特別図柄遊技処理を終了して、図15に示す遊技制御処理に復帰する。
また、S322において、本図柄が変動中であると判断された場合は(S322:yes)、既に送信済みの本図柄関連コマンドに従って図柄が変動している最中であると考えられる。そこで、本図柄の変動時間が経過したか否かを判断する(S366)。すなわち、本図柄の変動時間は変動パターンに応じて予め定められているので、変動パターン指定コマンドを送信すると同時にタイマをセットすることにより、所定の変動時間が経過したかを判断するのである。そして、未だ変動時間が経過していない場合は(S336:no)、そのまま特別図柄遊技処理を終了して、図15に示す遊技制御処理に復帰する。一方、変動時間が経過したと判断された場合は(S336:yes)、図26を用いて前述した本図柄停止コマンドを送信する(S338)。更に、特別図柄表示装置27上に停止表示された本図柄を遊技者が確認することができるように、本図柄の停止表示時間を設定する(S340)。
次いで、本図柄の停止表示時間を計測するための計時カウンタをインクリメントし、そのインクリメントされた計時カウンタの値に基づいて、本図柄の停止表示時間が経過したか否かを判断する(S342)。また、前述したS324の処理においても、この計時カウンタの値に基づいて、本図柄の停止表示時間中であるか否かが判断されている。そのため、計時カウンタの値が所定値に達するまでは、本図柄の停止表示時間中であると判断され(S324:yes)、計時カウンタのインクリメントが繰り返し行われることになる(S342)。特別図柄遊技処理においては、このように計時カウンタをインクリメントすることによって本図柄の停止表示時間を計測している。
本図柄の停止表示時間が経過していない場合は(S342:no)、そのまま特別図柄遊技処理を終了して図15に示す遊技制御処理に復帰する。一方、停止表示時間が経過したと判断された場合は(S342:yes)、条件装置を作動させることになる当たり図柄で本図柄が停止表示されているか否かを判断する(S344)。もっとも、停止表示される本図柄は、図26を用いて説明した1桁目本図柄指定コマンドCtRs1 、2桁目本図柄指定コマンドCtRs2によって決定されることから、本図柄が大当り図柄で停止表示されるか否かは、S334の処理において本図柄関連コマンドを送信する段階で既に決まっていることになる。
本図柄が大当り図柄で停止表示されなかった場合は(S344:no)、そのまま特別図柄遊技処理を終了し、図15に示す遊技制御処理に復帰する。一方、本図柄が大当り図柄で停止表示された場合は(S344:yes)、条件装置の作動を開始した後(S346)、確変中か否かを判断する(S348)。そして、確変中でなければ(S348:no)、そのまま特別図柄遊技処理を終了し、確変中であると判断された場合は(S348:yes)、確変状態を停止すると共に(S350)、特別図柄遊技を終了して図15に示す遊技制御処理に復帰する。
以上の様に、特別図柄遊技処理においては、特別遊技状態を開始するか否かに関する抽選(本図柄の当否判定)の結果が、本図柄によって表示される。しかし、こうした本図柄による抽選結果の表示について、本実施例では特図保留数の上限を「8」としているにも関わらず、図24を用いて説明した様に、特図保留数が「1」以上「4」以下の場合に限って本図柄の変動・停止表示を行う設定となっている(S326、S334)。そこで、特図保留数が「4」を超えている場合には、その「4」を超えている分について、疑似図柄の変動・停止表示を行う。この点について、図27を用いて以下に説明する。
C−5−3.疑似図柄表示処理 :
図15に示したように、遊技制御処理では、特別図柄遊技処理(S320)から復帰すると、続いて、疑似図柄表示処理(S360)を開始する。図27は、疑似図柄表示処理の流れを示したフローチャートである。この疑似図柄表示処理は、疑似図柄の変動表示および停止表示を制御する処理である。
図示されている様に、疑似図柄表示処理を開始すると、先ず初めに疑似図柄が変動中であるか否かを判断する(S362)。図23を用いて前述したように、特別図柄表示装置27の主表示領域271Bには、3つの疑似図柄表示部Q1〜Q3が設けられており、この疑似図柄表示部Q1〜Q3内において、疑似図柄を変動表示することが可能となっている。
疑似図柄が変動中でない場合には(S362:no)、現在の状態が、疑似図柄の停止図柄を所定期間表示させるべく設定された停止表示時間中であるか否かを判断する(S364)。その結果、疑似図柄の変動中でもなく、かつ疑似図柄の停止表示時間中でもない場合は(S364:no)、特図保留数が「1」以上であるか否かを判断する(S366)。
特図保留数が「0」である場合には(S366:no)、図27に示した疑似図柄表示処理を終了し、図15に示した遊技制御処理に復帰するが、特図保留数が「1」以上であれば(S366:yes)、続いて、特図保留数が「4」以下であるか否かを判断する(S368)。
特図保留数が「1」以上「4」以下である場合(S368:yes)には、図25に示した特別図柄遊技処理のS330またはS332において、本図柄の当否判定が行われていると判断できる。そこで、この場合には、本図柄の当否判定の結果に対応した疑似図柄関連コマンドを、音声・ランプ制御基板370および図柄制御基板360に向けて出力する(S370)。疑似図柄関連コマンドは、疑似図柄の変動・停止表示を行うことによって特別図柄遊技を演出するために、主制御基板340から音声・ランプ制御基板370および図柄制御基板360に向けて出力されるコマンドである。
図28は、疑似図柄関連コマンドとして設定されている各種コマンドを例示した説明図である。前述した普通図柄や本図柄の変動パターンと同様に、疑似図柄の変動パターンにも複数種類のパターンが用意されており、これら変動パターンに応じて、コマンドCtQp1 ,コマンドCtQp2 ,コマンドCtQp3 などの各種の疑似図柄変動パターン指定コマンドが設定されている。また、本実施例の特別図柄表示装置27においては、3つの疑似図柄表示部Q1〜Q3に、左疑似図柄、中疑似図柄、および右疑似図柄が表示されることに対応して、これらの停止図柄を指定するコマンド、すなわち左疑似図柄指定コマンドCtQsL 、中疑似図柄指定コマンドCtQsM 、および右疑似図柄指定コマンドCtQsR などが設定されている。更に、疑似図柄関連コマンドには、疑似図柄の変動表示を停止させるコマンド(疑似図柄停止コマンドCtQstp)なども設定されている。
図27に示した疑似図柄表示処理のS370では、前述した本図柄の当否判定の結果に応じて、先ず、疑似図柄変動パターン指定コマンドを出力し、次いで、各種の疑似図柄指定コマンドを出力する。この様に出力された疑似図柄関連コマンドは、音声・ランプ制御基板370を経て、図柄制御基板360に転送される。その結果、特別図柄表示装置27の主表示領域271Bにおいては、本図柄の当否判定の結果に対応した変動パターンで、疑似図柄の変動表示による遊技の演出が行われる。
特図保留数が「5」以上「8」以下である場合には(S368:no)、図25に示した特別図柄遊技処理において、本図柄の当否判定が行われていないと判断できる。そこで、この場合には、外れ用疑似図柄関連コマンドを、音声・ランプ制御基板および図柄制御基板360に向けて出力する(S372)。外れ用疑似図柄関連コマンドは、前述の疑似図柄関連コマンドと同様に、特別図柄遊技の演出を行うべく主制御基板340から音声・ランプ制御基板370および図柄制御基板360に向けて出力されるコマンドであるが、専ら、外れ態様で疑似図柄を表示させるためのコマンドである。
図29は、外れ用疑似図柄関連コマンドとして設定されている各種コマンドを例示した説明図である。前述した各種図柄の変動パターンと同様に、外れ用疑似図柄の変動パターンにも複数種類のパターンが用意されており、これら変動パターンに応じて、コマンドCtFp1 ,コマンドCtFp2 などの各種の変動パターン指定コマンドが設定されている。また、3つの疑似図柄表示部Q1〜Q3に外れ態様で疑似図柄を停止表示させるため、それらの停止図柄を指定するコマンド、すなわち外れ用左疑似図柄指定コマンドCtFsL 、外れ用中疑似図柄指定コマンドCtFsM 、および外れ用右疑似図柄指定コマンドCtFsR などが設定されている。
図27に示した疑似図柄表示処理のS372では、先ず、外れ用疑似図柄変動パターン指定コマンドを出力し、次いで、各種の外れ用の疑似図柄指定コマンドを出力する。この様に出力された外れ用の疑似図柄関連コマンドは、上述の疑似図柄関連コマンドと同様に、音声・ランプ制御基板370を経て、図柄制御基板360に転送される。その結果、特別図柄表示装置27の主表示領域271Bにおいては、所定の外れ態様で、疑似図柄の変動表示が開始される。
S370またはS372の処理によって疑似図柄の変動表示を開始すると、特図保留数から「1」を減算し(S374)、その後、図27の疑似図柄表示処理を終了して、図15に示す遊技制御処理に復帰する。このように、特図保留数は、疑似図柄の変動表示が開始される毎に1つずつデクリメントされることから、換言すれば、「疑似図柄の変動・停止表示の保留回数」を表しているということができる。なお、S374における特図保留数の減算後、再びS302(図24参照)の処理によって特図保留数の表示コマンドが音声・ランプ制御基板370に向かって送信されると、特別図柄保留表示LED16aでは、減算後の特図保留数に対応する個数の赤色LEDが点灯表示され、これにより、特図保留数が減算表示される。
一方、S362において、疑似図柄が変動中であると判断された場合には(S362:yes)、次いで、疑似図柄の変動時間が経過した否かを判断する(S376)。本図柄の場合と同様に、疑似図柄の変動時間は変動パターンに応じて予め定められているので、変動パターン指定コマンドを送信すると同時にタイマをセットすることにより、所定の変動時間が経過したかを判断することができる。
疑似図柄の変動時間が未だ経過していない場合は(S376:no)、そのまま疑似図柄表示処理を終了して、図15に示す遊技制御処理に復帰する。一方、変動時間が経過したと判断された場合は(S376:yes)、図28を用いて前述した疑似図柄停止コマンドを送信すると共に(S378)、疑似図柄の停止表示時間を設定する(S380)。疑似図柄の停止表示時間は、特別図柄表示装置27上に停止表示された疑似図柄を遊技者が確認することができるように設定される時間である。
疑似図柄の停止表示時間を設定すると(S380)、続いて、疑似図柄の停止表時間を計測するための計時カウンタをインクリメントし(S382)、その後、疑似図柄表示処理を終了して、図15に示す遊技制御処理に復帰する。なお、前述したS364の処理においては、この計時カウンタの値に基づいて、疑似図柄の停止表示時間中であるか否かが判断されている。そのため、計時カウンタの値が所定値に達するまでは、疑似図柄の停止表示時間中であると判断され(S364:yes)、計時カウンタのインクリメントが繰り返し行われることになる(S382)。疑似図柄の停止表示時間も、前述した本図柄の停止表示時間の計測と同様に、このようにインクリメントされる計時カウンタによって計測される。
以上の様に、疑似図柄表示処理においては、特図保留数が「1」以上「8」以下の場合に疑似図柄の変動・停止表示が行われるが、そうした疑似図柄の変動・停止表示が1回行われる毎に、特図保留数が1ずつ消化される。すなわち、始動口17への入球数は、疑似図柄の保留数として計数されており、抽選結果表示に関する保留数の上限値(すなわち4回)を超えて、8回まで蓄積可能となっている。
図30は、図24に示した特別図柄遊技開始判断処理のS302が行われた結果、特別図柄保留表示LED16aにおいて特図保留数が表示された様子を示す説明図である。同図(a)に図示されている様に、特別図柄保留表示LED16aが8個点灯している場合、すなわち特図保留数が「8」である場合には、本図柄の変動表示は行われない。特図保留数が「5」以上である場合は、図25に示した特別図柄遊技処理のS326において「no」と判断され、本図柄の変動を開始させる処理(S334)がスキップされるからである。
これに対して、疑似図柄については、図27に示した疑似図柄表示処理によって変動・停止表示が行われ、これに伴って特図保留数から「1」が減算されると共に(S374)、特別図柄保留表示LED16aの点灯数も1つ減らされる(S302)。その後、疑似図柄の変動・停止表示が1回行われる毎に、特図保留数および特別図柄保留表示LED16aの点灯数が1つずつ減少し、図30(b)に図示されている様に、特図保留数が「5」となった場合においても、同様の動作が行われる。その結果、図30(c)に示されている様に特図保留数が「4」まで減少すると、図25に示した特別図柄遊技処理によって本図柄の変動・停止表示(すなわち抽選結果の表示)が初めて行われると共に、抽選結果に対応した態様で疑似図柄の変動・停止表示が行われる。このように、特図保留数が基準値「4」を超える場合は、本図柄の変動・停止表示を1回行うことに対応して、特図保留数が基準値未満となるまで、疑似図柄の変動・停止表示が複数回行われることになる。
一方、図30(c)および(d)に示されている様に、特図保留数が「4」以下である場合には、図25に示した特別図柄遊技処理のS326において「yes」と判断されるため、本図柄の変動を開始させるS334の処理が行われる。したがって、特図保留数が基準値「4」以下である場合には、本図柄の変動・停止表示が1回行われる毎に、疑似図柄の変動・停止表示も1回行われることになる。
以上の様に、本実施例のパチンコ機1においては、本図柄の保留数(すなわち抽選結果の表示に関する保留数)が上限値「4」に達している場合であっても、始動口17への新たな入球が発生したときには、この入球数を無駄にするのではなく、疑似図柄の保留数として蓄積することが可能となっている。したがって、遊技者の興趣の低下を抑制することができると共に遊技者が遊技を停止してしまうことを防ぐことができ、延いては遊技機の稼働率低下を抑制することが可能となる。
また、本実施例のパチンコ機1においては、始動口17へ遊技球が入球する度に、特図保留数が1個ずつ加算表示され、本図柄あるいは疑似図柄の変動が開始される度に、特図保留数が1個ずつ減算表示される。このように、特別図柄保留表示LED16aに表示される特図保留数を、始動口17への入球や図柄の変動表示に合わせて自然に増減させることができるので、遊技者に違和感を与えることなく、効果的に興趣を高めることができる。
なお、図24に示した特別図柄遊技開始判断処理のS308および図27に示した疑似図柄表示処理のS374によって、請求項における「保留数計数手段」が構成されている。
D.第2実施例の制御 :
第2実施例では、本図柄の変動・停止表示が行われる特別図柄表示装置27の副表示領域271Aの一部に特別図柄保留表示部16bを設けて、その保留表示部16bにより特図保留数を表示するものとしている。図31は、特別図柄保留表示部16bのうち、4個の表示部によって、本図柄の当否判定用乱数の記憶数(以下、「本保留数」ともいう)が表示され、残り4個の表示部によって、本保留数の上限値「4」を超える入球数(以下、「疑似保留数」ともいう)が表示されることを示す説明図である。前述した第1実施例においては、本保留数および疑似保留数の加算・減算表示は、主制御基板340から音声・ランプ制御基板370に送信される特図保留数表示コマンド(図24:S302)に基づいて行う構成となっている。これに対して、第2実施例では、本保留数および疑似保留数の加算表示と本保留数の減算表示は、主制御基板340から音声・ランプ制御基板370を介して図柄制御基板360に送信される特図保留数表示コマンドに基づいて行い、疑似保留数の減算表示は、音声・ランプ制御基板370から図柄制御基板360に送信される特図保留数表示コマンドに基づいて行う構成となっている。以下、こうした構成を実現するために実行される第2実施例の制御の内容について説明する。
D−1.遊技制御の概要 :
図32は、第2実施例のパチンコ機において実行される遊技制御処理の流れを示したフローチャートである。本実施例の遊技制御処理は、図15に示した第1実施例の遊技制御処理と比較すると、特別図柄遊技処理を開始するか否かの判断処理(S3000)および特別図柄遊技処理(S3040)の内容が異なっていると共に、図示されているように、疑似図柄表示処理を行わない点が異なっている。なお、S90〜S200までの処理の内容、およびS390、S400の処理の内容については、第1実施例の場合と同様であるので、ここでは説明を省略する。
D−2.特別遊技に関する処理 :
D−2−1.特別図柄遊技開始判断処理 :
図33は、第2実施例のパチンコ機1において、特別図柄遊技を行うか否かを判断する処理を示したフローチャートである。本図に示されている特別図柄遊技開始判断処理(S3000)も、図24を用いて説明した第1実施例の特別図柄遊技開始判断処理と同様に、普通電動役物遊技処理(S200)から復帰した後に実行される処理である。しかし、本実施例の特別図柄遊技開始判断処理(S3000)は、特図保留数の表示コマンドを送信するタイミングにおいて、第1実施例の特別図柄遊技開始判断処理と異なっている。
すなわち、本実施例の特別図柄遊技開始判断処理においては、先ず初めに、始動口17に遊技球が入球したか否かを判断し(S3002)、その結果、始動口17に遊技球が入球している場合は(S3002:yes)、特図保留数が「8」以上であるか否かを判断する(S3004)。そして、特図保留数が「8」に達していない場合に(S3004:no)、特図保留数に「1」を加算して(S3006)、特図保留数の表示コマンドを主制御基板340から音声・ランプ制御基板370を介して図柄制御基板360に向けて送信する(S3008)。このように、本実施例においては、始動口17に遊技球が入球し、かつ特図保留数が「8」未満である場合に、特図保留数に「1」を加えた上で特図保留数の表示コマンドを送信する。したがって、本実施例の特別図柄遊技開始判断処理においては、特図保留数が増加する場合は、特図保留数の表示コマンドが主制御基板340から音声・ランプ制御基板370を介して図柄制御基板360に送信されることになる。
ここで、特図保留数が「0」の状態において、遊技球が始動口17に入球したとしても保留が発生するわけではないが、遊技球が始動口17に入球すれば、特図保留数に「1」を加算する設定となっている。このような処理を行う理由は、第1実施例の場合と同様に、特別図柄の変動表示の開始条件として、始動口17への入球を特図保留数として記憶しておくためである。また、特図保留数が「0」から「1」に加算されたときには、その特図保留数を加算表示するための特図保留数表示コマンドが音声・ランプ制御基板370に送信されるが(S3008)、その後、直ちに特別図柄(本図柄・疑似図柄)が変動表示を開始すると、後述のように、特図保留数が「1」から「0」に減算されて(S3100)、その特図保留数の減算表示を行うための特図保留数表示コマンドが音声・ランプ制御基板370に送信される(S3034)。よって、特図保留数が「0」の状態において1個の遊技球が始動口17に入球した場合には、特別図柄保留表示部16bにおける保留数の加算表示が全く行われないか、もしくは遊技者が認識できない程度に一瞬加算表示されることとなるので、遊技者に対しては、特別図柄保留表示部16bによる保留数表示が行われていない(保留が発生していない)ものと認識させることができる。
特図保留数の表示コマンドを送信すると、次に、特図保留数が「4」を超えているか否かを判断し(S3010)、特図保留数が「4」以下であれば(S3010:no)、本図柄の当否判定用乱数を取得し、図示しない本図柄当否判定用乱数メモリに記憶する(S3012)。すなわち、本実施例においても、本図柄の当否判定用乱数は4個まで記憶可能となっている。
当否判定用乱数を記憶すると、続いて、条件装置が作動中か否かを判断する(S3014)。その結果、条件装置が作動中である場合には(S3014:yes)、重ねて特別遊技状態を開始することを避けるため、特別図柄遊技は開始しないと判断する(すなわち、S3000:no)。一方、条件装置が作動中でない場合は(S3014:no)、特別図柄遊技を開始すると判断する(すなわち、S3000:yes)。
図32に示した遊技制御処理のステップS3000では、以上のような処理を経ることによって、特別図柄遊技を開始するか否かを判断する。その結果、特別図柄遊技を開始すると判断した場合は(S3000:yes)、以下に説明する特別図柄遊技処理が開始される(S3020)。
D−2−2.特別図柄遊技処理 :
図34は、第2実施例の特別図柄遊技処理(S3020)の流れを示すフローチャートである。本実施例の特別図柄遊技処理も、第1実施例の特別図柄遊技処理と同様に、本図柄の変動および停止表示を制御すると共に、本図柄が所定の大当り図柄で停止したことを条件として条件装置の作動を開始させる処理である。本実施例の特別図柄遊技処理は、この点においては第1実施例の特別図柄遊技処理と共通しているが、特図保留数が上限値「4」を超えた場合において、本図柄の変動表示を開始する時期が第1実施例の場合と相違している。すなわち、第1実施例の特別図柄遊技処理では、特図保留数が「4」を超えた場合、先ず疑似図柄の変動および停止表示を行い、その後、特図保留数が「4」まで減少したことを条件として、本図柄の変動表示を開始する設定となっている。これに対して本実施例の特別図柄遊技処理では、特図保留数が「4」まで減少するのを待たずに本図柄の変動表示を開始し、疑似図柄の変動および停止表示が複数回行われている間、本図柄の1回の変動表示を継続的に行う構成となっている。以下、このような第2実施例の特別図柄遊技処理について説明する。
本実施例の特別図柄遊技処理においても、先ず初めに、本図柄が変動中であるか否かを判断し(S3022)、本図柄が変動中でない場合は(S3022:no)、本図柄を所定期間停止表示させるべく設定された停止表示時間中であるか否かを判断する(S3024)。そして、本図柄が変動表示されておらず、かつ本図柄の停止表示時間中でもない場合(S3024:no)、本実施例では、特図保留数が「1」以上であるか否かを判断する(S3026)。
その結果、特図保留数が「0」である場合には(S3026:NO)、そのまま特別図柄遊技処理を終了して、図32に示す遊技制御処理に復帰するが、特図保留数が「1」以上である場合は、まず本図柄の当否判定を行い、その後、この当否判定の結果と特図保留数とに応じた本図柄関連コマンドを送信する。すなわち、先ず確変状態に設定されているか否かを判断し(S3028)、確変状態であれば確変用の当否判定を行い(S3030)、一方、確変状態でなければ非確変用の当否判定を行う(S3031)。なお、図33を用いて説明したように、本図柄の当否判定用乱数を記憶することができる個数は4個までに制限されている。そのため、特図保留数が5以上の場合、S3030およびS3031の当否判定処理においては、本図柄当否判定用乱数メモリに記憶された4個の当否判定用乱数のうち最初に記憶された当否判定用乱数を用いて当否判定が行われる。
続いて、特図保留数が上限値「4」以下であるか否かを判断し(S3032)、その結果、「4」以下である場合には、本図柄の当否判定の結果に応じた「特図保留数4以下の時の本図柄関連コマンド」を音声・ランプ制御基板370に向けて出力し(S3033)、一方、「5」以上である場合には、本図柄の当否判定の結果に応じた「特図保留数5以上の時の本図柄関連コマンド」を出力する(S3035)。
図35は、第2実施例における本図柄関連コマンドを例示した説明図である。本実施例における本図柄関連コマンドも、第1実施例の場合と同様に、本図柄の当否判定結果に応じた各種の演出を行うために出力されるコマンドである。しかし、本実施例においては、図35に示すように、特図保留数が4以下の場合と5以上の場合とで異なる「本図柄変動パターン指定コマンド」が用いられている。本実施例の「本図柄変動パターン指定コマンド」は、本図柄の1回の変動時間を指定する機能に加えて、疑似図柄の変動回数を指定する機能を有している。具体的には、特図保留数が4以下の場合のコマンドCtRp1 ,CtRp2 ,CtRp3 ,...には、疑似図柄の1回の変動時間と同程度の時間が本図柄の変動時間として設定されている。一方、特図保留数が5以上の場合のコマンドLtRp1 ,LtRp2 ,LtRp3 ,...には、疑似図柄の複数回分の変動時間と同程度の時間が本図柄の変動時間として設定されている。
つまり、特図保留数が4以下の時は、本保留数が4以下、疑似保留数が0ということになるので、特図保留数が4以下の時に本図柄および疑似図柄の変動表示が1回行われると、特図保留数のうち本保留数が3、疑似保留数が0となり、特図保留数は本保留数と同じ3となる。そこで、特図保留数が4以下の時の本図柄変動パターン指定コマンドには、本図柄の1回の変動時間として、疑似図柄の変動表示を1回可能とする時間が設定されている。
一方、特図保留数が5以上の時は、本保留数が4、疑似保留数が1以上ということなので、特図保留数が5以上の時に本図柄および疑似図柄の変動表示が1回行われると、特図保留数のうちの本保留数が3,疑似保留数が1以上となり、特図保留数は4以上となる。つまり、特図保留数と本保留数とが一致しないことになる。そこで、特図保留数が5以上の時の本図柄変動パターン指定コマンドは、本図柄の1回の変動表示に対して疑似図柄の変動表示を何回行えば(疑似保留数を何個消化すれば)、特図保留数が本保留数と同じ3になるのかを基にして、本図柄の1回の変動時間が設定されている。例えば、特図保留数が5の場合、1回の本図柄の変動表示に対して疑似図柄が変動表示を2回行えば(疑似保留消化数=2)特図保留数が3になるので(5−3=2)、特図保留数が5の時の本図柄変動パターン指定コマンドには、本図柄の1回の変動時間として疑似図柄の変動表示を2回可能とする時間が設定されている。これと同様に、特図保留数が6の時の本図柄変動パターン指定コマンドには疑似図柄の変動表示を3回可能とする時間、特図保留数が7の時の本図柄変動パターン指定コマンドには疑似図柄の変動表示を4回可能とする時間、特図保留数が8の時の本図柄変動パターン指定コマンドには疑似図柄の変動表示を5回可能とする時間が、それぞれ設定されている。
このように本図柄の1回の変動時間(本図柄変動パターン指定コマンド)を特図保留数に応じて異ならせることにより、特図保留数が4以下の場合には、本図柄の1回の変動および停止表示に対して疑似図柄の変動および停止表示を1回行うと共に、特図保留数が5以上の場合には、本図柄の1回の変動および停止表示に対して疑似図柄の変動および停止表示を複数回行うことが可能となる。
図34に戻り、特別図柄遊技処理のS3033においては、まず、特図保留数4以下の時の本図柄変動パターン指定コマンドを出力し、次いで、1桁目本図柄指定コマンドおよび2桁目本図柄指定コマンドを順次出力する。この様に出力された「特図保留数4以下の時の本図柄関連コマンド」は、音声・ランプ制御基板370を介して、図柄制御基板360に送られる。その結果、特別図柄表示装置27の副表示領域271Aおよび主表示領域271Bにおいては、当否判定結果に応じた態様で、本図柄および疑似図柄の変動表示が開始される。
また、音声・ランプ制御基板370は、特別図柄遊技処理のS3033によって主制御基板340から出力された「特図保留数4以下の時の本図柄関連コマンド」を受信すると、以下に示す特図保留消化処理を実行する。
図36は、「特図保留数4以下の時の本図柄関連コマンド」が出力された場合に音声・ランプ制御基板370において実行される特図保留消化処理を示したフローチャートである。図示されているように、音声・ランプ制御基板370においては、通常変動パターン指定コマンドや1桁目および2桁目の本図柄指定コマンドなどを主制御基板340から受け取ったか否かの判断が所定時間毎に行われており(S3104)、それらのコマンドを受け取った場合には(S3104:yes)、疑似図柄関連コマンドが、音声・ランプ制御基板370から図柄制御基板360に送信される(S3106)。その結果、特別図柄表示装置27の主表示領域271Bにおいては、当否判定結果に対応する態様で、疑似図柄の変動および停止表示が1回行われることになる。
このように、特図保留数が「4」以下である場合には、本図柄の変動および停止表示が1回行われる間に、疑似図柄の変動および停止表示が1回行われ、その結果、特図保留数が「1」だけ消化されることになる。そこで、主制御基板340から本図柄関連コマンドを出力して本図柄および疑似図柄の変動表示を開始すると(S3033)、RAM481内の特図保留数メモリに記憶されている特図保留数から「1」を減算すると共に(S3034)、特別図柄保留表示部16bの表示数を1個減少させるべく、特図保留数の表示コマンドを、音声・ランプ制御基板370を介して図柄制御基板360に送信する(S3035)。これにより、本保留数が減算表示されることとなる。
一方、図34に示した特別図柄遊技処理のS3036においては、まず、特図保留数5以上の時の本図柄変動パターン指定コマンドを出力し、次いで、当否判定結果に応じた1桁目本図柄指定コマンドおよび2桁目本図柄指定コマンドを順次出力する。この様に出力された「特図保留数5以上の時の本図柄関連コマンド」は、音声・ランプ制御基板370を介して図柄制御基板360に送られ、その結果、特別図柄表示装置27の副表示領域271Aおよび主表示領域271Bにおいて、本図柄および疑似図柄の変動表示が開始される。
また、音声・ランプ制御基板370は、特別図柄遊技処理のS3036によって主制御基板340から出力された「特図保留数5以上の時の本図柄関連コマンド」を受信すると、以下に示す疑似保留消化処理を実行する。
図37は、音声・ランプ制御基板370において実行される疑似保留消化処理を示したフローチャートである。図示されているように、音声・ランプ制御基板370においては、「特図保留数5以上の時の本図柄関連コマンド」と、1桁目および2桁目の本図柄指定コマンドなどを主制御基板340から受け取ったか否かの判断が所定時間毎に行われており(S3204)、それらのコマンドを受け取った場合には(S3204:yes)、受信したコマンドに基づいて疑似保留消化数を決定する(S3206)。ここで、疑似保留消化数とは、当該疑似保留消化処理によって消化すべき疑似保留の個数であり、例えば特図保留数が「8」の場合、疑似保留消化数は「5(=8−3)」となる。なぜならば、上述の当否判定処理(S3030またはS3031)によって当否判定用乱数が1個(本保留数が1個)消化されたので、現在記憶されている当否判定用乱数の個数(本保留数)が「3」となっており、そのため特図保留数を5個消化すれば、特図保留数と本保留数を一致させることができるからである。なお、「特図保留数5以上の時の本図柄変動パターン指定コマンド」においては、本図柄の変動時間として、疑似図柄の複数回分の変動時間と同程度の時間が指定されているので、S3206の処理では、その指定されている変動時間に基づいて疑似保留消化数を決定することができる。
疑似保留消化数の決定を行うと、続いて、疑似図柄関連コマンドを、音声・ランプ制御基板370から図柄制御基板360に向けて送信する(S3208)。その結果、特別図柄表示装置27の主表示領域271Bにおいては、疑似図柄の変動および停止表示が1回行われることになる。そこで、保留消化数から「1」を減算すると共に(S3210)、特別図柄保留表示部16bの表示数を1個減少させるべく、特図保留数の表示コマンドを図柄制御基板360に送信する(S3212)。
特図保留数の表示コマンドを送信すると、続いて疑似保留消化数が残っているか否かを判断し(S3214)、疑似保留消化数が残っていない場合、すなわち疑似保留消化数が「0」である場合には(S3214:no)、図37に示した疑似保留消化処理を終了する。一方、疑似保留消化数が残っている場合には(S3214:yes)、再び、疑似図柄関連コマンドの送信(S3208)、疑似保留消化数の減算(S3210)、および特図保留数の表示コマンド(減算表示コマンド)の送信(S3212)を行う。このように、特図保留数が5以上の時に実行される疑似保留消化処理では、疑似図柄の変動・停止表示の実行回数だけ疑似保留数が消化される。
図34に戻り、S3036において「特図保留数5以上の時の本図柄関連コマンド」を送信すると、続いて、特図保留数に「3」を設定する(S3037)。特図保留数に「3」を設定する理由は、「特図保留数5以上の時の本図柄関連コマンド」を受信した音声・ランプ制御基板370において疑似保留消化処理が実行されると、その結果、特図保留数が「3」になるまで減算表示されることになるからである。
ここで、特図保留数が「4」である場合と「5」である場合とで疑似図柄の変動・停止表示の回数が異なっている様子を、図38および図39を参照しながら説明する。図38は、特図保留数が「4」以下である場合に、本図柄関連コマンドおよび疑似図柄関連コマンドが図柄制御基板360に送信される様子を示す説明図であり、これに対して図39は、特図保留数が「5」以上である場合に、本図柄関連コマンドおよび疑似図柄関連コマンドが図柄制御基板360に送信される様子を示す説明図である。
図38に示されているように、特図保留数が「4」以下である場合には、一組の本図柄関連コマンドが送信されることに対応して、一組の疑似図柄関連コマンドが送信されるので、その結果、本図柄の変動および停止表示が1回行われる間に、疑似図柄の変動および停止表示も1回行われることになる。特図保留数が「4」以下である場合の疑似図柄関連コマンドとしては、疑似図柄の1回の変動の終了時に停止表示する図柄を指定する疑似図柄指定コマンドと、疑似図柄の1回の変動中に行われる演出を指定する演出指定コマンドなどがある。
一方、図39に示されているように、特図保留数が「5」以上である場合には、1組の本図柄関連コマンドが送信されることに対応して、複数組の疑似図柄関連コマンドが送信されるので、その結果、本図柄の変動および停止表示が1回行われる間に、疑似図柄の変動および停止表示は複数回行われることになる。特図保留数が「5」以上である場合の疑似図柄関連コマンドとしては、複数回の疑似図柄変動毎の演出内容を指定する疑似演出指定コマンド、疑似図柄の変動終了時に停止表示する図柄を指定する疑似図柄指定コマンド、最終回を除く疑似図柄の変動を停止する疑似変動停止コマンド、2回目以降の疑似図柄の変動を開始する疑似変動開始コマンド、疑似図柄変動開始に基づいて特図保留数を減算表示する特図保留数減算表示コマンドなどがある。なお、図38および図39においては、図が煩雑となることを避けるため、特図保留数の減算表示コマンドについては図示を省略している。
図34に戻り、S3022の処理において、本図柄が変動表示中であると判断された場合には(S3022:yes)、既に送信済みの本図柄関連コマンドに従って図柄が変動している最中であると考えられる。そこで、この場合には、本図柄の変動時間が経過したか否かを判断する(S3038)。その結果、本図柄の変動時間が未だ経過していない場合には(S3038:no)、そのまま当該特別図柄遊技処理を終了して図32の遊技制御処理に戻るが、本図柄の変動時間が経過したと判断された場合には(S3038:yes)、図35に示した本図柄停止コマンドCtRstpの送信(S3039)を行い、更に、本図柄の停止表示時間を設定する(S3040)。
次いで、本図柄の停止表示時間が経過したか否かを判断する(S3042)。その結果、本図柄の停止表示時間が経過していない場合は(S3042:no)、そのまま特別図柄遊技処理を終了して図32の遊技制御処理に復帰するが、停止表示時間が経過したと判断された場合は(S3042:yes)、条件装置を作動させることになる当たり図柄で本図柄が停止表示されているか否かを判断する(S3044)。
本図柄が大当り図柄で停止表示されなかった場合は(S3044:no)、そのまま特別図柄遊技処理を終了し、図32に示す遊技制御処理に復帰する。一方、本図柄が大当り図柄で停止表示された場合は(S3044:yes)、条件装置の作動を開始し(S3046)、その後、確変中か否かを判断する(S3048)。そして、確変中でなければ(S3048:no)、そのまま特別図柄遊技処理を終了し、確変中であると判断された場合は(S3048:yes)、確変状態を停止し(S3050)、その後、特別図柄遊技を終了して図32に示す遊技制御処理に復帰する。
以上の様に、第2実施例のパチンコ機1においては、「4」以下の特図保留数(すなわち本保留数)の減算表示については、主制御基板340から送出される表示コマンドによって減算表示され、「5」以上の特図保留数(すなわち疑似保留数)については、音声・ランプ制御基板370から送出される表示コマンドによって減算表示される構成となっている。このように構成された第2実施例のパチンコ機1においても、本保留数が上限値「4」に達している場合に始動口17への新たな入球が発生した時には、この入球を無駄にするのではなく、疑似保留数として蓄積することができる。したがって、遊技者の興趣の低下を抑制することができると共に遊技者が遊技を停止してしまうことを防ぐことができ、延いては遊技機の稼働率低下を抑制することができる。
また、本実施例のパチンコ機1においても、始動口17へ遊技球が入球する度に、特図保留数(本保留数・疑似保留数)が1個ずつ加算表示され、本図柄あるいは疑似図柄の変動が開始される度に、特図保留数が1個ずつ減算表示される。このように、特別図柄保留表示部16bに表示される特図保留数を、始動口17への入球や図柄の変動表示に合わせて自然に増減させることができるので、遊技者に違和感を与えることなく、効果的に興趣を高めることができる。
また、本実施例においては、主制御基板340からの本図柄関連コマンドによって本図柄の変動および停止表示が実行され、音声・ランプ制御基板370からの疑似図柄関連コマンドによって疑似図柄の変動および停止表示が実行される構成となっている。こうした構成によれば、主制御基板340は、特図保留数が基準値より大きいか否かに関わらず同じ様にコマンドを出せばよいので、主制御基板340にかかる制御負荷を軽減することができる。
また、本実施例においては、主制御基板340から出力される本図柄関連コマンドに基づいて、音声・ランプ制御基板370が、疑似図柄の変動および停止表示に関する命令(すなわち、疑似図柄関連コマンド)を図柄制御基板360に出力する構成となっている。こうした構成によれば、本図柄の変動開始をトリガとして疑似図柄の変動表示を開始することができるので、音声・ランプ制御基板370における制御処理が複雑とならず、そのため、音声・ランプ制御基板370の処理負荷を軽減することができる。
E.第3実施例の制御 :
以上で説明した第2実施例の音声・ランプ制御基板370においては、特図保留数4以下の場合と5以上の場合とで、別個の処理を実行する構成となっている。すなわち、第2実施例の音声・ランプ制御基板370では、特図保留数4以下の時の本図柄関連コマンドを受信した場合には、図36に示す特図保留消化処理によって疑似図柄関連コマンドを図柄制御基板360に送信し、一方、特図保留数5以上の時の本図柄関連コマンドを受信した場合には、図37に示す疑似保留消化処理によって疑似図柄関連コマンドを図柄制御基板360に送信する構成となっている。これに対して、第3実施例の音声・ランプ制御基板370においては、本図柄関連コマンドが特図保留数「4」以下の時のものであるか特図保留数「5」以上の時のものであるかに関わらず、共通の処理(特別図柄制御処理)によって、本図柄関連コマンドに応じた疑似図柄関連コマンドを図柄制御基板360に送信する構成となっている。また、第3実施例においては、主制御基板340において実行される特別図柄遊技処理の内の一部の処理についても、第2実施例とは異なっている。以下、この様な第3実施例について説明する。
E−1.特別図柄遊技処理 :
図40は、第3実施例の主制御基板340において実行される特別図柄遊技処理を説明するためのフローチャートである。なお、本実施例においても、所定時間毎に遊技制御処理を実行し、その遊技制御処理の中で特別図柄遊技処理を実行するが、遊技処理全体の流れは、図32に示した第2実施例の遊技制御処理と同様であるので、遊技制御処理については説明を省略する。また、図40においては、図が煩雑となることを避けるため、第2実施例と同様の処理については図示を省略している。
図40に示されているように、本実施例の特別図柄遊技処理では、当否判定を行った後、本図柄変動パターン決定処理を行う(S4010)。本図柄変動パターン決定処理では、まず特図保留数が4以下であるか否かを判断し(S4012)、その結果、特図保留数が4以下である場合には(S4012:yes)、本図柄の変動パターンとして「通常変動パターン」を選択し(S4014)、一方、特図保留数が5以上の場合には(S4012:no)、本図柄の変動パターンとして「疑似保留消化用変動パターン」を選択する(S4016)。なお、本図柄変動パターン決定処理(S4010)に先立って行われる当否判定処理は、第2実施例の特別図柄遊技処理における当否判定処理(S3028〜S3031)と同様の処理であるので、ここでは説明を省略する。
ここで、特図保留数が4以下の場合に選択される通常変動パターンは、本図柄の1回の変動時間を指定すると共に、疑似図柄の変動回数1回と演出内容を指定するものである。第2実施例においても説明したように、特図保留数が4以下の時は、本保留数が4以下、疑似保留数が0ということになるので、特図保留数が4以下の時に本図柄および疑似図柄の変動表示が1回行われると、特図保留数のうち本保留数が3、疑似保留数が0となり、特図保留数は本保留数と同じ3となる。そこで、特図保留数が4以下の時には、本図柄の1回の変動時間を指定すると共に、疑似図柄の変動回数1回と演出内容を指定する「通常変動パターン」が、本図柄変動パターンとして選択されるのである。
一方、特図保留数が5以上の場合に選択される疑似保留消化用変動パターンは、本図柄の1回の変動時間を指定するとともに、現在の疑似保留数分に対応した疑似図柄の変動回数(疑似変動回数)および各変動毎との演出内容を指定するものである。特図保留数が5以上の時は、本保留数が4、疑似保留数が1以上ということなので、特図保留数が5以上の時に本図柄および疑似図柄の変動表示が1回行われると、特図保留数のうちの本保留数が3,疑似保留数が1以上となり、特図保留数は4以上となる。つまり、特図保留数と本保留数とが一致しないことになる。そこで、特図保留数が5以上の時に選択される疑似保留消化用変動パターンは、本図柄の1回の変動表示に対して疑似図柄の変動表示を何回行えば(疑似保留数を何個消化すれば)、特図保留数が本保留数と同じ3になるのかを基にして、本図柄の1回の変動時間を指定するものとなっている。例えば、特図保留数が5の場合、1回の本図柄の変動表示に対して疑似図柄が変動表示を2回行えば(疑似保留消化数=2)特図保留数が3になるので(5−3=2)、特図保留数が5の時の本図柄変動パターン指定コマンドには、本図柄の1回の変動時間として疑似図柄の変動表示を2回可能とする時間が設定されている。
このように、本図柄変動パターン決定処理(S4010)によって本図柄の変動パターンを決定したら、この変動パターンを指定する本図柄変動パターン指定コマンドを、音声・ランプ制御基板370を介して図柄制御基板260に送信する(S4020)。すると、特別図柄表示装置27の副表示領域271Aおよび主表示領域271Bにおいては、本図柄および疑似図柄の変動表示が開始されるので、特図保留数から「1」を減算すると共に(S4030)、特図保留数の表示コマンドを音声・ランプ制御基板370に送信することにより(S4040)、特別図柄保留表示部16bの表示数を1個減少させる。なお、減算された後の特図保留数が「4」以上である場合には、特図保留数が本保留数(=3)に一致するまで、疑似図柄の変動表示が行われることになる。そこで、減算された後の特図保留数が「3」以下であるか否かを判断し(S4050)、特図保留数が「3」以下である場合は(S4050:yes)、そのまま図40の特別図柄遊技処理を終了するが、特図保留数が「4」以上である場合には(S4050:no)、特図保留数に「3」を設定し(S4060)、その後、図40の特別図柄遊技処理を終了する。
E−2.特別図柄制御処理 :
図41は、第3実施例の音声・ランプ制御基板370において実行される特別図柄制御処理を示すフローチャートである。特別図柄制御処理は、所定時間毎に起動される処理であり、起動されると、先ず本図柄変動パターン指定コマンドを受信したか否かを判断し(S4110)、本図柄変動パターン指定コマンドを受信した場合には(S4110:yes)、そのコマンドを図柄制御基板360に転送する(S4120)。すると、図柄制御基板360は、受信した本図柄変動パターン指定コマンドに基づいて特別図柄表示装置27を制御することにより、本図柄の変動表示を開始する。
音声・ランプ制御基板370は、本図柄変動パターン指定コマンドを図柄制御基板360に転送すると(S4120)、続いて、本図柄指定コマンドを受信したか否かを判断する(S4130)。なお、本図柄変動パターン指定コマンドを受信していない場合には(S4110:no)、本図柄の変動中であるか否かを判断し(S4140)、その結果、本図柄の変動中であれば(S4140:yes)、すでに本図柄変動パターン指定コマンドが図柄制御基板360に送信されたものと考えられる。そこで、本図柄変動パターン指定コマンドを受信していないが、本図柄の変動中である場合には(S4140:yes)、本図柄指定コマンドを受信したか否かについての判断を行う(S4130)。
本図柄指定コマンドを受信した場合(S4130:yes)、その受信したコマンドを図柄制御基板360に転送する(S4150)。すると、本図柄指定コマンドを受信した図柄制御基板360は、当該コマンドに基づいて本図柄の停止表示図柄を設定する。
音声・ランプ制御基板370は、本図柄指定コマンドを図柄制御基板360に転送すると(S4150)、続いて、以下に説明する疑似図柄表示態様決定処理を実行する(S4160)。
図42は、疑似図柄表示態様決定処理の流れを示すフローチャートである。疑似図柄表示態様決定処理(S4160)は、主制御基板340から受信した本図柄変動パターン指定コマンドに基づいて、疑似図柄の表示態様を決定するための処理である。図示されているように、疑似図柄表示態様決定処理が開始されると、まず、本図柄変動パターン指定コマンドが、特図保留数4以下の時のコマンド(「通常変動パターン」を指定するコマンド)であるか、特図保留数5以上の時のコマンド(「疑似保留消化用変動パターン」を指定するコマンド)であるかを判断する(S4210)。そして、この判断結果、受信した本図柄変動パターン指定コマンドおよび本図柄指定コマンドなどに基づき後述のテーブルを参照して、疑似図柄の表示態様を選択する(S4220、S4230)。疑似図柄の表示態様には、疑似図柄変動回数、疑似図柄変動時間および疑似図柄演出内容が含まれ、本図柄の通常変動パターンに対応する「通常変動用表示態様」と、本図柄の疑似保留消化用変動パターンに対応する「疑似保留消化用表示態様」がある。
図43は、本図柄の「通常変動パターン」と疑似図柄の「通常変動用表示態様」との対応関係が記録された通常変動用テーブルの内容を示す説明図である。このテーブルは、音声・ランプ制御基板370上のROM173に予め格納されているテーブルであり、本図柄変動パターン指定コマンドが特図保留数4以下の時のコマンドである場合に参照される。例えば、本図柄変動パターン指定コマンドで指定された本図柄変動パターンが「変動パターン4B」である場合、本図に示す通常変動用テーブルが参照され、その結果、疑似図柄の表示態様として、「変動回数:1回、変動時間:25秒、演出内容:リーチなし外れ」といった内容の表示態様が選択されることになる。
図44は、本図柄の「疑似保留消化用変動パターン」と疑似図柄の「疑似保留消化用表示態様」との対応関係が記録された疑似保留消化用テーブルの内容を示す説明図である。このテーブルも、音声・ランプ制御基板370上のROM173に予め格納されているテーブルであるが、本図柄変動パターン指定コマンドが特図保留数5以上の時のコマンドである場合に参照される。例えば、本図柄変動パターン指定コマンドで指定された本図柄変動パターンが「変動パターン6B」である場合、本図に示す疑似保留消化用テーブルが参照される。その結果、疑似図柄の表示態様として、「変動回数:3回、1回目の変動時間:7秒、2回目の変動時間:30秒、3回目の変動時間:90秒、1回目の演出内容:リーチなし外れ、2回目の演出内容:ノーマルリーチ外れ、3回目の演習内容:スーパーリーチ当り」といった内容の表示態様が選択されることになる。
図42に戻り、本図柄変動パターン指定コマンドが特図保留数4以下の時のものである場合は(S4210:yes)、図43に示した通常変動用テーブルが参照され、その結果、疑似図柄の表示態様として「通常変動用表示態様」の1つが選択される(S4220)。一方、変動パターン本図柄変動パターン指定コマンドが特図保留数5以上の時のものである場合は(S4210:no)、図44に示した疑似保留消化用テーブルが参照され、その結果、疑似図柄の表示態様として「疑似保留消化用表示態様」の1つが選択される(S4230)。
このように疑似図柄の表示態様を選択したら、続いて、疑似図柄の停止表示図柄を決定する(S4240)。なお、選択した表示態様が疑似保留消化用変動態様である場合には、複数回の疑似図柄変動毎の停止図柄を決定する。このとき、最終回の疑似図柄変動における停止図柄は、本図柄指定コマンドに基づいて決定された停止図柄(すなわち、本図柄の当否判定結果に対応する図柄)となる(S4240)。
以上の様に疑似図柄の表示態様や疑似図柄の停止図柄などを決定したら、その決定した内容を指定するための疑似図柄関連コマンドを設定し(S4250)、その後、図42に示す疑似図柄表示態様決定処理を終了して、図41の特別図柄制御処理に復帰する。
疑似図柄表示態様決定処理から特別図柄制御処理に復帰すると、上記のS4250の処理で設定した疑似図柄関連コマンドを、図柄制御基板360に送信する(S4170)。送信される疑似図柄関連コマンドの内容は、通常変動用表示態様に対応するものと、疑似保留消化用表示態様に対応するものとで異なる。通常変動用表示態様に対応する疑似図柄関連コマンドとしては、疑似図柄の1回の変動の終了時に停止表示する図柄を指定する疑似図柄指定コマンドと、疑似図柄の1回の変動中に行われる演出を指定する演出指定コマンドがある。一方、疑似保留消化用表示態様に対応する疑似図柄関連コマンドとしては、複数回の疑似図柄変動毎の演出内容を指定する疑似演出指定コマンド、最終回を除く疑似図柄の変動終了時に停止表示する図柄を指定する疑似図柄指定コマンド、最終回を除く疑似図柄の変動を停止する疑似変動停止コマンド、2回目以降の疑似図柄の変動を開始する疑似変動開始コマンド、2回目以降の疑似図柄変動開始に基づいて特図保留数を減算表示する特図保留数減算表示コマンドなどがある。
本実施例では、この様な各種の疑似図柄関連コマンドによって、疑似図柄による演出が制御される。また、疑似図柄の1回目の変動開始時には、主制御基板340から出力される特図保留数表示コマンド(図40:S4040)によって特図保留数の減算表示(すなわち、本保留数の減算表示)が行われるが、疑似図柄の2回目以降の変動開始時には、音声・ランプ制御基板370から出力される上記特図保留数減算表示コマンドによって、特図保留数の減算表示(すなわち、疑似保留数の減算表示)が行われる。
疑似図柄関連コマンドを図柄制御基板360に送信すると(S4170)、続いて、本図柄停止コマンドを主制御基板340から受信したか否かを判断する(S4180)。尚、S4130において、本図柄指定コマンドを受信していないと判断された場合(S4130:no)、疑似図柄関連コマンドを新たには設定しないが、未送信の疑似図柄関連コマンドが残っている可能性がある。そこで、未送信の疑似図柄関連コマンドがあるかないかを判断し(S4190)、未送信の疑似図柄関連コマンドがある場合には(S4190:yes)、その疑似図柄関連コマンドを図柄制御基板360に送信し(S4170)、その後、S4180に移行する。一方、未送信の疑似図柄関連コマンドがなければ(S4190:no)、S4170の処理をスキップして、S4180の処理に移行する。
S4180の結果、本図柄停止コマンドを受信していない場合には(S4180:no)、図41に示す特別図柄制御処理を一旦終了するが、本図柄停止コマンドを受信した場合には(S4180:yes)、そのコマンドを図柄制御基板360に転送する(S4200)。その結果、特別図柄表示装置27の副表示領域271Aおよび主表示領域271Bにおいて、本図柄および疑似図柄の停止表示が行われる。
以上の様に構成された第3実施例のパチンコ機においても、本保留数が上限値「4」に達している場合に始動口17への新たな入球が発生した時には、この入球を無駄にするのではなく、疑似保留数として蓄積することができる。したがって、遊技者の興趣の低下を抑制することができると共に遊技者が遊技を停止してしまうことを防ぐことができ、延いては遊技機の稼働率低下を抑制することができる。
また、本実施例のパチンコ機1においても、始動口17へ遊技球が入球する度に、特図保留数(本保留数・疑似保留数)が1個ずつ加算表示され、本図柄あるいは疑似図柄の変動が開始される度に、特図保留数が1個ずつ減算表示される。このように、特別図柄保留表示部16bに表示される特図保留数を、始動口17への入球や図柄の変動表示に合わせて自然に増減させることができるので、遊技者に違和感を与えることなく、効果的に興趣を高めることができる。
また、本実施例においても、主制御基板340からの本図柄関連コマンドによって本図柄の変動および停止表示が実行され、音声・ランプ制御基板370からの疑似図柄関連コマンドによって疑似図柄の変動および停止表示が実行される。こうした構成によれば、主制御基板340は、特図保留数が基準値より大きいか否かに関わらず同じ様にコマンドを出せばよいので、主制御基板340にかかる制御負荷を軽減することができる。
また、本実施例においても、主制御基板340から出力される本図柄関連コマンドに基づいて、音声・ランプ制御基板370が、疑似図柄の変動および停止表示に関する命令(すなわち、疑似図柄関連コマンド)を図柄制御基板360に出力する。こうした構成によれば、本図柄の変動開始をトリガとして疑似図柄の変動表示を開始することができるので、音声・ランプ制御基板370における制御処理が複雑とならず、そのため、音声・ランプ制御基板370の処理負荷を軽減することができる。
以上、本発明について各種の実施の形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲を逸脱しない限り、各請求項の記載文言に限定されず、当業者がそれらから容易に置き換えられる範囲にも及び、かつ、当業者が通常有する知識に基づく改良を適宜付加することができる。
例えば、上記実施例では、基準値が本図柄の保留上限と同じ値(すなわち「4」)に設定されている。しかし、これに限られるものではなく、本図柄の保留上限よりも小さい値に基準値を設定してもよい。
また、上記実施例においては、特図保留数が基準値を超えた場合、本図柄の変動・停止表示を1回行うことに対応して、特図保留数が基準値未満となるまで、疑似図柄の変動・停止表示を繰り返し行うように設定されている。しかし、こうした態様に限られるものではなく、本図柄の1回の変動・停止表示に対して、疑似図柄の変動・停止表示を一定回数(例えば3回)ずつ行うように構成してもよい。この場合、疑似図柄の変動表示回数に応じて基準値を設定すれば、本図柄の保留数を上限値以下に制限することができる。
また、上記実施例においては、始動口17への入球数を8個まで蓄積できるように構成されている。しかし、これに限られるものではなく、抽選結果表示についての保留上限よりも多くの入球数を、特図保留数として蓄積することができればよい。
また、上記実施例においては、特別図柄表示装置27での図柄(本図柄、疑似図柄、背景図柄、キャラクタ図柄等)の表示制御や、保留数(普通図柄の保留数、特図保留数)の表示制御、および普通図柄表示装置32での普通図柄の表示制御は図柄制御部160で行われる。しかし、これに限られるものではなく、特別図柄表示装置27における本図柄の表示制御および本保留数の表示制御と、普通図柄表示装置32における普通図柄の表示制御とを主制御部140で行い、特別図柄表示装置27における疑似保留数や疑似図柄や背景図柄やキャラクタ図柄等の演出専用図柄の表示制御のみを図柄制御部160で行うようにしてもよい。
また、上記実施例においては、主制御部140の入出力回路部500に接続された外部端子145(図7参照)からホールコンピュータに対して、大当りを発生させるか否かの当否判定の実行回数に相当する特別図柄の変動回数や、大当りの発生回数などの情報を出力するものとし、パチンコホールの管理者は、それらの情報を基にホール内のパチンコ機の稼働状況を把握できるようにしている。そして、上記実施例では、外部端子部145からホールコンピュータに出力される特別図柄の変動回数として、本図柄の変動回数を出力するものとしている。これは、当否判定に係る特別図柄の変動・停止表示は本図柄の変動・停止表示に相当するからである。つまり、特図保留数が基準値を超えたときの疑似図柄の変動回数は、本図柄1回に対して複数回となるため、この疑似図柄の変動回数をホールコンピュータに出力すると、特別図柄の変動回数が当否判定の実行回数と対応しなくなり、パチンコ機の正確な稼働状況が把握できなくなるからである。