以下では、上述した本願発明の内容を明確にするために、次のような順序に従って実施例を説明する。
A.パチンコ機の装置構成:
A−1.全体構成:
A−2.遊技盤の表面構造:
A−3.裏面構造:
A−4.パチンコ機の制御回路の構成:
B.賞球動作の概要:
C.第1実施例のパチンコ機の制御の概要:
C−1.初期化時の制御内容:
C−2.デモ演出時の制御内容:
C−3.遊技時の制御内容:
C−3−1.普通図柄制御ジョブ:
C−3−2.特別図柄制御ジョブ:
C−3−3.特別遊技関連ジョブ:
C−3−4.遊技中に行われる各種ルーチン:
C−3−5.特別遊技関連ルーチン:
D.第2実施例のパチンコ機の制御の概要:
D−1.初期化時の制御内容:
D−2.特別遊技時の制御内容:
E.遊技中機種指定コマンドの詳細:
F.第3実施例のパチンコ機の制御の概要:
A.パチンコ機の装置構成:
本発明は、いわゆるパチンコ機、回胴式遊技機、アレンジボール遊技機、あるいは雀球遊技機などの弾球遊技機一般に適用することができるが、以下では、いわゆるデジパチと呼ばれるタイプのパチンコ機(弾球遊技機)を例にとって、具体的に説明する。
A−1.全体構成:
先ず初めに、図1および図2を参照しながら本実施例のパチンコ機1の大まかな構造について説明する。図1は、パチンコ機1の前面側(すなわち、遊技者の側)から見たときのパチンコ機1の正面図である。また、図2は、パチンコ機1を斜め上方から見たときの斜視図である。図示されているように、パチンコ機1は主に、木製の板状体を略長方形の額縁状に組み立てて固着した外枠(本体枠とも言う)2と、外枠2の前面に開閉可能に軸支されたプラスチック製の中枠3と、中枠3の左端部で開閉可能に軸支されたプラスチック製の前面枠4と、前面枠4の下方に設けられた上皿部5および下皿部6と、中枠3の右側に設けられて前面枠4の施錠を行う施錠装置7と、中枠3の前面側に取り付けられた図示しない遊技盤などから構成されている。上皿部5は、前面枠4を施錠したときに前面枠4のちょうど下側に来る位置に、中枠3に対して開閉可能に軸着されている。また、下皿部6は、上皿部5の下方の位置で中枠3に取り付けられている。
図1に示されているように、前面枠4はパチンコ機1の前面の略2/3を占めており、そのほぼ中央部には略円形の開口部4aが形成されている。後述する遊技領域は、この開口部4aの内側に形成される。開口部4aの左方には略円弧状の左LED表示部4bが、更にその外側上方には左上LED表示部4dが設けられ、一方、開口部4aの右方には略円弧状の右LED表示部4cが、その外側上方には右上LED表示部4eが設けられている。また、開口部4aの上方で且つ、左LED表示部4bおよび右LED表示部4cの間には、略円形状の中上LED表示部4fが2つ並べて配置されている。これら2つの中上LED表示部4fの間には、2つの賞球LED表示部4gが設けられている。これらのLED表示部4d〜4gは、遊技効果を高めることなどを目的として、遊技の進行に応じて点灯および消灯あるいは点滅する。また、賞球LED表示部4gの上方には、略扇形状のエラーLED表示部4hが設けられている。更に、前面枠4の裏面側にはガラス枠41sが取り付けられており、ガラス枠41sには二枚のガラス板41rが装着されている(図2参照のこと)。パチンコ機1の遊技者は、このガラス板41rを介して遊技領域を目視することが可能となっている。遊技領域については、後ほど詳しく説明する。
前面枠4の下方に設けられた上皿部5には、複数の長孔を有する第1音声出力部5cと、皿外縁部5aと、パチンコ機1の内部の遊技球を上皿部5に排出するための排出口5bなどが設けられている。第1音声出力部5cには、遊技状態に応じて効果音あるいは音声などを発生するためのスピーカー400aと、後述する音量スイッチ基板12とが接続されている。尚、本実施例のスピーカー400aは、中高音用ユニット(ツィータ)および低音用ユニット(ウーハ)を含んだマルチウェイ方式とされており、第1音声出力部5cには、中高音用ユニット(ツィータ)が図示しないダクトを介して接続されている。また、低音用ユニット(ウーハ)は、後述する第2音声出力部6dに、図示しないダクトを介して接続されている。皿外縁部5aには玉抜きボタンや遊技球の貸出・返却ボタンなどが設けられている。また、本実施例の上皿部5には、前面左端側の部位に、2つの操作スイッチSW1およびSW2が設けられている。更に、上皿部5には、貯留されている遊技球を発射装置に供給するための図示しない供給装置や、遊技球を発射するための図示しない発射装置ユニットなどが設けられている。
上皿部5の下方に設けられた下皿部6には、略中央部に排出口6aが設けられており、下皿部6の左端には灰皿6bが、右端には発射ハンドル9が設けられている。排出口6aからは、パチンコ機1の内部から下皿部6に遊技球が排出されてくる。また、下皿部6の底面には図示しない球抜き孔が設けられている。球抜き孔は通常時には閉鎖されているが、下皿部6の略中央手前側に設けられた排出ノブ6cを操作して球抜き孔を開放状態とすれば、下皿部6に貯留された遊技球をパチンコ機1から排出することができる。排出ノブ6cは、プルロック式のノブであり、通常は直立状態となっている。そして、排出ノブ6cの上端を手前側に倒すと、ノブの動きに連動して球抜き孔が開放状態となり、下皿部6から遊技球が排出される。また、遊技者が排出ノブ6cを押すとノブのロックが解除され、排出ノブ6cを直立状態に戻して、球抜き孔を閉鎖状態に戻すことができる。この排出ノブ6cの右側下面および左側下面には、前述した第2音声出力部6dが設けられている。
発射ハンドル9は、遊技領域に向かって遊技球を射出する図示しない発射装置ユニットに接続されており、パチンコ機1の遊技者は発射ハンドル9を操作することによって遊技球の発射動作を制御することができる。発射ハンドル9には、遊技者がハンドルに触れていることを検出するタッチスイッチ9aが装着されており、その近傍には、遊技球の発射を一時的に停止するための発射停止スイッチ9bが装着されている。また、パチンコ機1の左端側には、プリペイドカードユニット13が設けられている。
次に、図2を参照しながら、中枠3の構成について説明する。中枠3は、枠体部3aと下板部3bとを備えている。このうち枠体部3aは、前述した前面枠4を施錠すると前面枠4がちょうど覆い被さるような位置に、すなわち中枠3の上端から下方に向かって略2/3の大きさを占める位置に設けられている。また、下板部3bは、上皿部5および下皿部6に対応する位置、すなわち中枠3の下端から上方に向かって略1/3の大きさを占める位置に設けられている。
枠体部3aの上部には、前面枠4の枠飾りランプ用レンズ4bに対応する位置に、図示しない複数個の遊技効果ランプと、前面枠4の枠飾りLED用レンズ4cに対応する位置に、図示しない賞球表示LEDと、同じく枠飾りLED用レンズ4eに対応する位置に、図示しないストップ表示LEDなどが設けられている。更に枠体部3aには、遊技効果ランプの点滅を制御するための枠飾りランプ基板4gと、賞球表示LEDの点滅を制御するための賞球表示LED基板4dと、ストップ表示LEDの点滅を制御するストップ表示LED基板4fなどの各種基板も取り付けられている。これら基板の詳細については後述する。
ここで、図1に示した各種のLED表示部4b〜4hを駆動する各種LED基板の位置関係について説明する。図3は、各種LED基板4i〜4oの位置関係を示す説明図である。図示されている各種LED基板4i〜4oは、中枠3の枠体部において、上述の各種LED表示部4b〜4hに対応する位置に設けられている。具体的には、左LED基板4iは左LED表示部4bに対応し、右LED基板4jは右LED表示部4cに対応し、左上LED基板4kは左上LED表示部4dに対応し、右上LED基板4lは右上LED表示部4eに対応している。また、中上LED基板4mは中上LED表示部4fに対応し、賞球LED基板4nは賞球LED表示部4gに対応し、エラーLED基板4oはエラーLED表示部4hに対応している。
A−2.遊技盤の表面構造:
次に、遊技盤10の構成について説明する。図4は、遊技盤10の表面の構造を示した説明図である。図示するように遊技盤10は、木製で略長方形の板状体であって、中枠3の表面側に着脱可能に取り付けられているとともに、その背面側は後述する裏機構盤102(図6参照)によって覆われている。遊技盤10の表面には外レール14と内レール15とが設けられており、これらレールに囲まれた部分に、略円形状の遊技領域11が形成されている。
遊技領域11内には、略中央部に設けられて特別図柄表示装置27を備えた中央装置26と、遊技領域11の下部に設けられた変動入賞装置18と、中央装置26と変動入賞装置18との間に設けられた始動口(普通電動役物)17と、変動入賞装置18の左上方および右上方にそれぞれ設けられた左入賞口19および右入賞口20などが備えられている。尚、以下では、普通電動役物を単に「始動口」と呼ぶことがあるものとする。また、左入賞口19と始動口17との間には普通図柄作動左ゲート36が、右入賞口20と始動口17との間には普通図柄作動右ゲート37が設けられている。更に、中央装置26の左右には一対のランプ風車24,25が設けられ、遊技領域11の左右両端部には縦円弧状の一対のサイドランプ38、39がそれぞれ相対称状に配設されている。これら各遊技装置の間および周辺には、多数の障害釘23が設けられている。尚、本実施例の特別図柄表示装置27は、本発明における図柄表示手段の一態様を構成している。
中央装置26には、その中央には前述の特別図柄表示装置27が設けられ、上部には普通図柄表示装置32が、そして特別図柄表示装置27と普通図柄表示装置32との間には、4個の赤色LEDから構成された特別図柄保留表示LED16aが設けられている。また、普通図柄表示装置32には、7セグメント表示器32aと、普通図柄保留表示LED32bとが設けられている。7セグメント表示器32aは1〜9の数字を変動表示可能となっており、前述した普通図柄作動左ゲート36あるいは普通図柄作動右ゲート37を遊技球が通過すると、変動表示を開始して、所定時間経過後に任意の数字で停止する。この時、停止した表示が所定の数字の場合には、始動口(普通電動役物)17が所定時間(例えば0.5秒)開放するようになっている。
普通図柄保留表示LED32bも、特別図柄保留表示LED16aと同様に4個の丸形の赤色LEDで構成されており、7セグメント表示器32aの左右に2つずつ設けられている。7セグメント表示器32aの変動表示中に、遊技球が普通図柄作動左ゲート36あるいは普通図柄作動右ゲート37を通過した場合には、遊技球が通過したことを最大4個まで記憶しておき、現在の変動表示の停止後に、続いて7セグメント表示器32aの変動表示を行うことが可能となっている。
中央装置26の略中央(普通図柄表示装置32の下方)に設けられた表示装置としての特別図柄表示装置27の表面には、大きさが縦50〜120mm、横80〜200mmで平面略矩形状の表示画面271が設けられており、表示画面271には、下縁側に横長に形成された主表示領域271Aと、表示画面271の大部分を占める演出用表示領域271Bとが設けられている。このうち、主表示領域271Aには、右端寄りの部分に本図柄表示部が形成され、略中央には特別図柄保留表示部が形成されている。なお、本図柄とは、識別図柄としての特別図柄の一態様である。また、演出用表示領域271Bには、左・中・右の3つ表示部と、その他の部分で構成される背景画面表示部とが形成されており、左・中・右の3つ表示部には、それぞれ左図柄・中図柄・右図柄の3つの特別図柄(識別図柄)を変動表示することが可能となっている。なお、演出用表示領域271Bに表示される3つの特別図柄は、朱表示領域271Aにて表示される本図柄と連動する演出用の識別図柄であり、以下、擬似図柄と表示することがある。この特別図柄表示装置27では、遊技者にとって有利な特別遊技状態を成立させるか否かの抽選結果の表示が、特別図柄(本図柄及び擬似図柄)の変動表示および停止表示によって行われる。
これら特別図柄の変動表示は、始動口(普通電動役物)17に遊技球が入賞することによって開始されるが、特別図柄の変動表示中に遊技球が入賞した場合には、最大4つまでの始動口17への入賞が、特別図柄表示装置27にて抽選結果の表示が未実施である保留として蓄えられる。特別図柄保留表示LED16aは、こうした保留が発生するたびに赤色LEDが順次シフトしながら点灯する。また、次の特別図柄の変動が開始されると、そのたびに保留数が消化されて点灯中の赤色LEDが一つ消灯する。このように特別図柄保留表示LED16aは、現在の保留数を表示する機能を有している。特別図柄の変動表示の詳細な内容については後述する。
変動入賞装置18は、大入賞装置31と、その左右に左下入賞口21および右下入賞口22とがそれぞれ設けられており、左下入賞口21の下方には複数個の左下入賞口LED223が、また、右下入賞口22の下方には複数個の右下入賞口LED224が設けられている。これらLEDは飾りレンズによって覆われており、左下入賞口LED基板21f(図6参照)および右下入賞口LED基板22f(図6参照)によって点滅動作が制御されている。大入賞装置31を初めとして、これら全ては、前面側が略逆台形状に形成された基板34に装着されている。また、左下入賞口21の内部には左下入賞口通過検知スイッチ21s(図6参照)が、右下入賞口22の内部に右下入賞口通過検知スイッチ22s(図6参照)が設けられている。
大入賞装置31は、略中央に形成されて帯状に開口した大入賞口311と、この大入賞口311を開放・閉鎖する開閉板312と、この開閉板312を開閉するための大入賞口ソレノイド313(図6参照)と、大入賞口311に入賞した後に遊技球が通過する特定領域(V入賞口及び一般入賞口/図示略)と、図示しない連動杆と、入賞球を検知する入賞球検知スイッチ318(図6参照)と、裏箱(図示略)と、大入賞口中継基板(図示略)などから構成されている。前述した特別図柄表示装置27の表示画面271で特別図柄の変動表示が開始され、所定の図柄で停止表示すると、遊技者にとって有利な特別遊技状態となって大入賞口311が開放される。ここで開閉板312および大入賞口ソレノイド313は、大入賞口開閉手段を構成している。
始動口(普通電動役物)17は、左右に一対の翼片部が開閉可能に構成されたいわゆるチューリップ式の始動口であり、その前面に設けられた飾りとともに、基板34に取り付けられている。始動口17の内部には、遊技球の通過を検出する始動口(普通電動役物)入賞検知スイッチ17s(図6参照)と、翼片部を作動させるための始動口(普通電動役物)ソレノイド17c(図6参照)とが備えられている。一対の翼片部が左右に開くと、遊技球の入賞可能性が大きくなる開放状態となり、一対の翼片部が立設され、遊技球の入賞可能性が小さくなる通常状態となる。
翼片部の開閉は次のようにして行われる。始動口17の左右に設けられた普通図柄作動左ゲート36、普通図柄作動右ゲート37のいずれかを遊技球が通過すると、普通図柄作動左ゲート36および普通図柄作動右ゲート37の内部にそれぞれ設けられた左、右普通図柄作動ゲート検知スイッチ36s、37s(図6参照)で検出され、普通図柄表示装置32に設けられた7セグメント表示器32aの変動表示が開始される。そして、所定時間経過後に、7セグメント表示器32aが所定の図柄で停止表示すると、所定時間(例えば、0.5秒間)だけ始動口17の翼片部が開放される。
前述したように、特別図柄表示装置27における特別図柄の変動表示は始動口(普通電動役物)17に遊技球が入賞することによって開始され、特別図柄が所定の図柄で停止表示すると大入賞口311が開放される。従って、遊技球が普通図柄作動左ゲート36あるいは普通図柄作動右ゲート37を通過し、7セグメント表示器32aに所定の図柄が表示されると、始動口17が開放状態となって入賞し易くなり、特別図柄の変動が頻繁に開始され、延いては大入賞口311が開放し易くなる。
また、変動入賞装置18の上方左右に取り付けられた左入賞口19および右入賞口20の内部には、それぞれ左入賞口通過検知スイッチ19s(図6参照)、右入賞口通過検知スイッチ20s(図6参照)が設けられている。
遊技盤10の下方にはアウト口48が設けられ、そのアウト口48の下部にはバック球防止部材58が設けられており、遊技領域11に到達せず戻ってきた遊技球が再び発射位置に戻ることを防止している。一方、ファール球防止部材59は、内レール15の先端部に取り付けられ、返しゴム60は、ファール球防止部材59の位置とは略正反対側の、遊技盤10の右半分側の位置であって、外レール14に沿って嵌合状に取り付けられている。
以上、パチンコ機1の表面構造について説明したが、最後に上皿部5の前面左端部に設けられた2つの操作スイッチSW1,SW2の働きについて説明しておく。操作スイッチSW1、SW2は、表示画面271で表示される演出の形態を、選択する作用を有している。つまり、遊技者が、この操作スイッチSW1、SW2を操作すると、所定の条件の下、表示画面271で表示される演出の形態を変更することができる。このため、遊技者は、あたかも、表示画面271で表示される演出に実際に参加しているような気分を味わうことができる。
本パチンコ機1では、2つの操作スイッチSW1、SW2を備えると共に、一方の操作スイッチ(以下、「第1の操作スイッチ」という。)SW1が「演出モードの選択用スイッチ」とされ、他方の操作スイッチ(以下、「第2の操作スイッチ」という。)SW2が「演出モードの確定用スイッチ」とされている。後述する疑似図柄表示が変動しているときに、遊技者が第1の操作スイッチSW1を操作すると、図柄の背景を変更するための表示が点滅を開始し、点滅を介してから所定の時間(例えば、5秒)内に、第2の操作スイッチSW2を操作すると、複数種類(例えば、10種類)の背景図柄から所望の背景を選択することができる。
また、図柄の背景を変更するための表示が点滅状態となった後に、当該所定の時間(例えば、5秒)内に、第1の操作スイッチSW1を再び操作すると、キャラクターを選択するための表示が点滅を開始し、点滅状態となってから所定の時間(例えば、5秒)内に、第2の操作スイッチSW2を操作すると、複数種類(例えば、3種類)のキャクター図柄から所望のキャクターを選択することができる。更に、背景やキャクターを変更するための表示部分が点滅状態となってから所定の時間(例えば、5秒)放置すると、これらの点滅状態を終了し、現在選択している背景やキャラクターがそのまま選択され続けることになる。
また、後述する疑似図柄表示がリーチ表示を行っているときや、表示画面271でいわゆる予告表示を行った後に、操作スイッチ(SW1及びSW2のうちの少なくとも一方)を操作すると、これらの表示の信頼性(実際の大当りとなる確率)を示す表示が表示画面271内に現れる。
ここで、本パチンコ機1が、複数段階で発展する「発展型」のリーチ表示を行う場合には、操作スイッチ(SW1及びSW2のうちの少なくとも一方)を以下のように用いることもできる。即ち、疑似図柄で発展のリーチ表示がなされる場合には、リーチ表示が発展するに従って表示する信頼度を高めることで、本パチンコ機1の遊技上の興趣をより一層高めることができる。例えば、信頼度が「30%」の「発展型」のリーチ表示において、発展の初期段階に操作スイッチ(SW1及びSW2のうちの少なくとも一方)を操作すると、リーチ表示の信頼度として実際よりも低い信頼度を表示する(例えば、10%)。そして、発展の中期段階に、操作スイッチを操作すると、初期段階のリーチ表示の場合よりも、高い値を示すが、実際よりも低い信頼度を表示する(例えば、20%)。更に、発展の最終段階で、操作スイッチを操作すると、実際の信頼度を表示することとすれば、遊技者は、リーチ表示の発展に沿って上昇する信頼度を、期待感をもって認識することができる。
但し、遊技者がパチンコ機1によって行われる演出に参加するための参加手段は、この操作スイッチSW1、SW2に限定されるものではない。例えば、このような操作スイッチSW1、SW2や参加手段を遊技者が操作することで、スピーカー400aから発音される効果音を変更可能とすることもできる。
A−3.裏面構造:
次に、パチンコ機1の裏面構造について説明する。図5は、本実施例のパチンコ機1の裏面構造を示した説明図である。本実施例では、パチンコ機1の裏面構造は、大きな裏機構盤102の上に各種装置が搭載された構造となっており、裏機構盤102は、一対のヒンジ103によって中枠3に開閉可能に軸支されている。図5では、ヒンジ103は、中枠3右側の上端付近および下端付近に示されている。
裏機構盤102には、遊技球が蓄えられる賞球タンク105と、賞球の払出を行う賞球払出装置109と、前述した液晶表示装置27が格納された蓋付きの裏ケース111と、後述する主制御基板340が格納された主制御基板ケース112と、前述した発射装置ユニットを制御する発射装置制御基板が格納された発射装置制御基板ケース113と、賞球払出装置109を制御する払出制御基板が格納された払出制御基板ケース118と、主制御基板340と各種スイッチ類とを中継する中継基板190などが搭載されている。
賞球タンク105には底部にタンク球切れ検知スイッチ104が設けられており、球切れを検出することができる。賞球タンク105と賞球払出装置109とは、タンクレール106によって接続されており、図上でタンクレール106の右側には球抜きレバー107が設けられ、またタンクレール106の下流側には図示しない補給球切れ検知スイッチが設けられている。更に、賞球払出装置109の下流側には、球技球の振り分け部が設けられている。尚、図5では、図示が煩雑となることを避けるために、振り分け部の表示は省略されている。
また、主制御基板ケース112、中継基板190や、払出制御基板ケース118などの各種基板は、裏機構盤102に回動自在に懸架された図示しない金属板に、着脱自在に装着されている。
裏機構盤102の右上端部には、ヒューズボックス119、電源スイッチ120、電源ターミナル基板121および大当り、発射装置制御、球切れ、扉開放、賞球、球貸し用等の遊技機枠用外部接続端子を備えた端子基板122が設けられている。尚、電源ターミナル基板121には、ラムクリア信号を発生させるためのラムクリアスイッチ(図示を省略)を接続してもよい。また、端子基板122の上側には、外部からの電力の供給を受けるための電源ケーブル123も配設されている。更に、払出制御基板ケース118からは接続ケーブル124が上方へ延出し、電源ケーブル125を備えたプリペイドカードユニット13に接続されている。また、裏機構盤102の略中央下端部には、下皿部用球通路部材126が設けられている。
A−4.パチンコ機の制御回路の構成:
次に、本実施例のパチンコ機1の制御回路の構成について説明する。図6は、本実施例のパチンコ機1に搭載された電子制御装置130における制御回路の構成を示したブロック図である。図示されているように、電子制御装置130は、その機能に着目すると、主制御部140と、複数の副制御部とから構成されている。また副制御部は、主制御部140に直接に接続された第1次副制御部と、第1次副制御部を介して主制御部140に接続された第2次副制御部とから構成されている。主制御部140と第1次副制御部とは信号伝送経路500aによって接続されている。尚、パチンコ機の機種によっては、第1次副制御部と第2次副制御部とを介して主制御部140に接続される第3次副制御部が設けられている場合もある。
図示されているように、本実施例の電子制御装置130には、第1次副制御部として、払出制御部150と音声・ランプ制御部170とが設けられており、第2次制御部として、払出制御部150に接続された発射装置制御部193と、音声・ランプ制御部170に接続された図柄制御部160とが設けられている。
主制御部140から、払出制御部150および音声・ランプ制御部170へは、一方向形式若しくは双方向形式でデータが伝送される。また、本実施例では音声・ランプ制御部170から図柄制御部160へも一方向形式でデータが伝送されるものとして説明するが、音声・ランプ制御部170と図柄制御部160との間では双方向形式でデータを伝送することとしてもよい。
また、図6に示した破線の矢印は、各制御部140ないし180への電源供給経路を表している。図示されているように、電源は先ず初めに電源受電基板410に供給され、電源ユニット420で所定電圧に変換された後、分電基板430から各制御部140ないし180に電力が供給される。更に、電源投入時には、後述するシステムリセット信号が全制御基板に送信される。
詳細には後述するが、主制御部140は各種スイッチや検知器などからの情報を受け取って所定の演算を行った後、払出制御部150や音声・ランプ制御部170に各種のコマンドを出力するとともに、各種の基板やソレノイドなどに駆動信号を出力する。以下では、主制御部140や、払出制御部150、音声・ランプ制御部170、図柄制御部160、各種基板などの構成について順番に説明する。
主制御部140は、主制御基板ケース112に格納された主制御基板340によって主に構成されており、主制御基板ケース112は、不正行為者が容易に開閉できないような構造に形成されている。図7は、主制御基板340の構成を概念的に示した説明図である。図示されているように、主制御基板340は、CPU401を含む主回路部400と入出力回路部500とが、バスで接続されて相互にデータをやりとり可能に構成されている。主回路部400には、CPU401と、発振部410と、リセット回路部450と、I/Oデコード回路部420と、データバス安定化部411と、第1外部入力回路部430などが設けられている。
図8は、CPU401の詳細な構造を示した説明図である。図8に示すようにCPU401は、CPUコア480と、内蔵RAM481と、内蔵ROM482と、メモリ制御回路483と、クロック発生器484と、アドレスデコーダ485と、ウオッチドッグタイマ486と、カウンタ/タイマ487と、パラレル入出力ポート488と、リセット/割り込みコントローラ489と、外部バスインターフェース490と、出力制御回路491などから構成されている。CPU401は、ワークエリアとしてRAM481を使用しながら、ROM482に格納された制御プログラムを実行することにより、パチンコ機1全体の作動制御(すなわち、遊技の基本進行制御)を司るとともに、ROM482に記憶された当否判定プログラムを実行することにより、当否判断制御を行う。
上述した主回路部400とともに主制御基板340を構成する入出力回路部500には、外部端子部145が接続されており、この外部端子部145によってパチンコホールの「ホールコンピューター」に接続されている。主制御基板340はRAMクリア処理を実行するに際して、RAMクリア信号をONにした後、一定時間経過後に再びOFFとする動作を行うが、このRAMクリア信号は外部端子部145を介してパチンコホールのシステム等に報知されている。このため、不正行為者によってRAMクリア処理が実行された場合には、不正行為者に悟られることなく、パチンコホールの管理者側で不正行為を検知することが可能となっている。
入出力回路部500には、信号伝送経路500aを介して払出制御部150および音声・ランプ制御部170が接続されている(図6参照)。入出力回路部500は、払出制御部150や音声・ランプ制御部170での処理内容を指示する指令信号たるコマンドデータを、信号伝送経路500aを介して払出制御部150あるいは音声・ランプ制御部170に出力する。また、入出力回路部500からは、図柄制御部160での処理内容を指示するコマンドデータも出力される。図柄制御部160に対するコマンドデータは、一旦、音声・ランプ制御部170に向けて出力された後、音声・ランプ制御部170から信号伝達経路500bを経由して図柄制御部160に供給される。
加えて入出力回路部500には、始動口(普通電動役物)入賞検知器(入賞検知スイッチ)17sや、普通図柄表示装置基板32f、各種ソレノイド17c,313、右普通図柄作動ゲート通過検知器(右普通図柄作動ゲート通過検知スイッチ)37s、左普通図柄作動ゲート通過検知器(左普通図柄作動ゲート通過検知スイッチ)36sなどが接続されている。
尚、本実施例では、主制御部140が格納されたプログラムに従って所定のコマンドを出力することによって、「機種コマンド出力手段」、「遊技コマンド出力手段」などが実現されている。
次に、払出制御部150の構成について説明する。払出制御部150は、払出制御基板ケース118に格納された払出制御基板350によって主に構成されている。図9は、払出制御基板350の構成を概念的に示した説明図である。前述した主制御基板340と同様に払出制御基板350も、主回路部600と入出力回路部700とがバスで相互にデータをやりとり可能に接続されて構成されている。入出力回路部700には信号伝送経路500aが接続されており、主制御基板340から出力された前述のコマンドデータは信号伝送経路500aを介して入出力回路部700に入力される。また、入出力回路部700には、賞球払出装置109や発射装置制御部193なども接続されている。
音声・ランプ制御部170は、スピーカー400aやランプ等の制御を主に行うための制御基板370と、制御基板370からの命令を受けて、ランプ等に駆動信号を出力するための駆動基板380の、主に2つの基板から構成されている。図10は、音声・ランプ制御部170の構成を概念的に示した説明図である。制御基板部370には、演算回路構成要素として、CPU171と、RAM172と、ROM173と、入出力ポート174と、サウンドジェネレータ176と、コネクタCN1が設けられており、これらがバス175で相互にデータをやりとり可能に接続されている。サウンドジェネレータ176は、予め記憶された音声データをゲームの進行に合わせて再生することで、スピーカー400aから各種の音声を出力する。尚、スピーカー400aから出力される音量は、音量スイッチ基板12によって調整可能となっている。
また、入出力ポート174には信号伝送経路500aが接続されている。前述した主制御部140が、特別図柄の変動・停止、リーチ発生、リーチ表示の態様、特別遊技態様、確率変動や時短などの遊技モードを指示する制御命令を出力すると、出力された各種の制御命令は信号伝送経路500aを介して入出力ポート174に入力される。制御基板370では、こうして制御命令を受け取ると、ROM173に予め記憶されているプログラムに従って所定の処理を行い、駆動基板380に向かって各種の命令を出力する。制御基板370と駆動基板380とは、コネクタCN1とコネクタCN2とで互いに接続されている。
駆動基板380には、各種LEDやランプなどを駆動するための駆動信号を発生させる駆動回路部382と、発生した駆動信号を、各種LED基板4d,4f,19f〜22fや、各種ランプ基板216f,262f、枠飾り基板4gなどに出力するためのコネクタ出力部384とが設けられている。これら各基板にランプあるいはLED等が1個または複数個接続されており、コネクタ出力部384から供給される駆動信号により、ゲームの進行に対応して点灯・消灯または点滅する。尚、コネクタ出力部384を、駆動回路部382とは別基板に設ける構成としても良い。こうすることで、各種LEDなどのランプの数や色が変更されても駆動回路部382の変更を要しない場合には、コネクタ出力部384のみを変更して対応することが可能となる。
また、パチンコ機1に、モータなどによって駆動される可動式役物が設けられている場合には、モータを駆動するための駆動回路を、駆動回路部382あるいはコネクタ出力部384に搭載することとしても良い。こうすれば、可動式役物の有無もしくは個数が変更された場合でも、容易に対応することが可能となる。
図柄制御部160は、特別図柄制御基板360によって主に構成されている。図11は、図柄制御部160の構成を概念的に示した説明図である。図示されているように図柄制御部160は、演算回路構成要素としてCPU161と、RAM162と、ROM163と、入出力ポート164と、駆動回路166とを備えており、これら演算回路構成要素がバス165により接続されて相互にデータをやりとり可能に構成されている。入出力ポート164には、信号伝送経路500aや特別図柄表示装置27が接続されている。CPU161は、RAM162をワークエリアとして使用しながら、ROM163に格納された制御プログラムを実行することにより、中央表示装置26の制御を行っている。
中継基板190には、入賞球検知スイッチ318,19s〜22s等が接続されており、中継基板190の出力端子は、主制御部140の入出力回路部500と接続されている。
払出用端子基板191には、タッチスイッチ9a、発射停止スイッチ9b、ヴォリュームスイッチ192、タンク球切れ検知スイッチ104及び補給球切れ検知スイッチ108等が接続され、払出用端子基板191の出力端子は、図9に示す払出制御部150の入出力回路部153に接続されている。
以上のような構成の本実施例の電子制御装置130においては、遊技球が始動口17に入賞すると、その情報が始動口入賞検知スイッチ17sによって検知されて、主制御部140に入力される。遊技球が普通図柄作動左ゲート36あるいは普通図柄作動右ゲート37を通過すると、その情報が普通図柄作動口通過検知器36s,37sにより検知されて、主制御部140に入力される。また、入賞球検知スイッチ19s〜22s,318で遊技球の入賞が検知されると、その情報は、中継基板190を介して主制御部140に入力される。主制御部140は、これらの情報を受け取って、変動コマンド、停止図柄コマンド、及び変動停止コマンドを送信する。これらのコマンドは、信号伝送経路500a、音声・ランプ制御部170、信号伝送経路500bを経由して図柄制御部160に供給される。図柄制御部160では、変動コマンドを受けとると、複数の変動態様から乱数等による抽選を行って変動態様を決定する。また、主制御部140は、図柄制御部160に出力するコマンドに同期させて、音声・ランプ制御部170にも所定のコマンドを送信する。こうして、図柄の表示と音声の出力とを併せて行うことによって各種の演出を行う。
B.賞球動作の概要:
次に、本実施例のパチンコ機1の賞球動作について簡単に説明する。遊技球が大入賞口311に入賞すると、大入賞口311の内部に設けられた入賞球検知スイッチ318がこれを検知して、入賞を知らせる信号を信号ケーブルを介して主制御部140に出力する。信号を受け取ると、主制御部140は後述する処理を行って、払出制御部150に向かって15個分の遊技球を払い出す旨のコマンドを出力する。また、遊技球が始動口(普通電動役物)17に入賞した場合は、始動口の内部に設けられた始動口入賞検知スイッチ17sがこれを検知して、信号を信号ケーブルを介して主制御部140に出力する。この信号を受けて主制御部140は、後述する処理を行った後、6個分の遊技球を払い出す旨のコマンドを払出制御部150に向かって出力する。左右下入賞口など、他の入賞口に入賞した場合は、内部に設けられた通過検出スイッチが入賞を検知して、入賞した旨の信号を信号ケーブルを介して主制御部140に出力する。主制御部140は、後述する処理を行って10個分の遊技球を払い出す旨のコマンドを払出制御部150に向かって出力する。これら賞球コマンドは、払出制御部150を作動指令対象とする指令信号として、遊技球の通過を検知した順番に従って信号伝送経路500aを介して送信される。払出制御部150は、こうして主制御部140から賞球コマンドを受け取って、賞球払出信号を出力することにより、賞球払出装置109を作動させて指示された個数分の賞球動作を行う。
また、主制御部140は、上述した各種検知スイッチの出力に基づいて遊技状態を判断し、また、その遊技状態に基づいて当否判定を行うとともに、判定内容に応じて対応する図柄表示態様で画像表示制御を行うためのデータを読み込む。例えば、主制御部140は、始動口(普通電動役物)入賞検知スイッチ17s、入賞球検知スイッチ318等の検知結果や、特別図柄当否判定乱数の取得値などを使用して、「遊技が行われていない客待ちの状態」、「遊技は行われているが始動入賞がない状態(変動準備状態)」、「始動入賞があった状態」、および「特別遊技状態」などを判断する。また主制御部140は、始動入賞を検知すると乱数値に基づいて、遊技者にとって有利な特別遊技状態を発生させるか否かの当否判定(特別図柄の当否判定)を行い、その判定結果に基づいて特別図柄の変動(リーチ表示態様を含む)や確定などの表示態様制御を行うための各種コマンドを出力する。これらコマンドは、前述した信号伝送経路500aを介して一旦、音声・ランプ制御部170に出力された後、音声・ランプ制御部170から信号伝送経路500bを介して図柄制御部160に送信される。
C.第1実施例のパチンコ機の制御の概要:
次に、上述した電子制御装置130によって実行されるパチンコ機1の制御の内容について説明する。図6を用いて説明したように、電子制御装置130は、主制御部140を中心として、音声・ランプ制御部170、図柄制御部160、払出制御部150などによって構成されている。主制御部140は、パチンコ機1における遊技全体の進行を制御する。また、音声・ランプ制御部170や図柄制御部160、払出制御部150などは、主制御部140からの各種コマンドを受け取って、それぞれの処理を行う。このように、パチンコ機1は、主制御部140、音声・ランプ制御部170、図柄制御部160、払出制御部150などが役割分担しながら、それぞれの処理を並行して実行することで、全体として遊技が進行するように構成されている。以下では、これら各制御部が行う処理について説明するが、理解の便宜を図るために、主制御部140で実行される処理は「ジョブ」と呼び、音声・ランプ制御部170や、図柄制御部160などで実行される処理は「ルーチン」と呼んで区別するものとする。
図12は、主制御部メインジョブの流れを示すフローチャートである。かかるジョブは、主制御部140に搭載された主制御基板340によって実行されるジョブであり、パチンコ機1における遊技全体の進行を制御する根幹をなすジョブである。主制御部メインジョブは、パチンコ機1の電源が投入され、あるいはリセットスイッチが押された時に、主回路部401に内蔵されたCPU480が内蔵ROM482のブート領域に格納されているプログラムを読み出すことによって、自動的に開始される。パチンコ機1では主制御部メインジョブ以外にも多数のジョブが存在するが、これらジョブの多くは、所定の条件が成立すると主制御部メインジョブから呼び出されることによって実行される。以下では、図12のフローチャートに従って、主制御部メインジョブについて説明する。
C−1.初期化時の制御内容:
主制御部メインジョブを開始すると、先ず初めに初期化ジョブを実施する(S10)。図13は初期化ジョブの流れを示したフローチャートである。初期化ジョブでは、電源投入時に行われる所定の各種処理を行う(S12)。ここで、各種の処理とは、CPU480の動作チェックや割込モードの設定、カウンタ/タイマ487、ウォッチドッグタイマ486、パラレル入出力ポート488など、図8に示した主回路部401を構成する各種ディバイスを初期化する処理、更には、音声・ランプ制御部170や、払出制御部150、図柄制御部160などの各制御部を初期化する処理である。
次いで、主制御部140は、自らの機種あるいは遊技機としてのスペックの類別を指定するコマンド(機種指定コマンド)を、音声・ランプ制御部170に向かって出力する(S104)。尚、遊技機としてのスペックとは、後述する特別遊技状態を何ラウンドまで行うか、あるいは、いわゆる確変状態となる特別図柄の種類、あるいは、いわゆる時短を行う場合には時短の回数などの、遊技の進行に関する各種設定とすることができる。
図14は、主制御部140から音声・ランプ制御部170に向かって、機種指定コマンドが出力される様子を概念的に示した説明図である。パチンコ機1の機種あるいはスペックを表すデータは、主制御部140に内蔵されたROM482の所定アドレスに予め記憶されている。また、主制御基板340からは、ストローブ信号を出力するための1bit幅の信号線と、コマンドおよびコマンドに付随するデータ(以下では、これらをまとめてコマンドデータと呼ぶことがあるものとする)を出力するための8bit幅の信号線とが、音声・ランプ制御基板370に接続されている。
主制御基板340は、これら信号線を用いて次のようにしてコマンドを出力する。先ず、機種を表すデータを出力することを意味するコマンド(本実施例では、10h)を、パラレル出力ポート488に設定する。このパラレル出力ポート488は、上述した8bit幅の信号線に電気的に接続されている。尚、数値の後ろに付加された「h」は、その数値が16進数表示されていることを示している。次いで、主制御基板340は、ストローブ信号を出力するための信号線を低電圧状態から高電圧状態に変化させる。
音声・ランプ制御部370は、ストローブ信号の電圧が低電圧状態から高電圧状態に変化したタイミングで、8bit幅の信号線上に設定されているコマンドを読み込む。前述したように、主制御基板340は、「10h」をパラレル出力ポート488に設定した後にストローブ信号の電圧を切り換えるから、音声・ランプ制御基板370は、ストローブ信号の立ち上がりのタイミングでパラレル出力ポート488を読み込むことで、主制御基板340から出力されたコマンド「10h」を確実に読み込むことができる。音声・ランプ制御部170は、読み込んだコマンド「10h」を内蔵するCPU171によって解釈し、その結果、主制御部140から続いて機種データが出力されることを認識する。
主制御基板340は、コマンド「10h」を出力すると、今度はパチンコ機1の機種あるいはスペックを表すデータ「01h」を出力する。すなわち、内蔵ROM482の所定アドレスには、機種あるいはスペックを表すデータ「01h」が予め記憶されているので、このアドレスからデータ「01h」を読み出して、パラレル出力ポート488に設定する。その後、ストローブ信号を低電圧状態から高電圧状態に変更する。音声・ランプ制御基板370は、ストローブ信号が低電圧状態から高電圧状態に切り換わったことを検出して、パラレル出力ポート488に設定されている機種データ「01h」を読み込み、音声・ランプ制御基板370に内蔵されているRAM172の所定アドレスに記憶する。図14に示した音声・ランプ制御基板370には、主制御基板340から出力された機種データ「01h」が、RAM172の所定アドレスに記憶されている様子が概念的に表されている。図13のS14では、このようにして主制御基板340から音声・ランプ制御基板370に向かって機種指定コマンドを出力する処理を行う。
次いで、主制御部140は、音声・ランプ制御部170に向かって、初期図柄の表示を指示するコマンド(初期図柄表示コマンド)を出力する処理を行う(S16)。尚、初期図柄とは、パチンコ機1の電源投入時あるいはリセットボタンを押されたときに、普通図柄表示装置32や特別図柄表示装置27(図4を参照のこと)などに表示される図柄を言い、初期図柄表示コマンドとは、これら初期図柄の表示を図柄制御部160に対して指示するコマンドを言う。初期図柄表示コマンドの出力に際しても、前述した機種指定コマンドを出力する場合と同様に、1bit幅のストローブ信号と8bit幅のコマンドデータとを用いて行う。すなわち、主制御基板340はパラレル出力ポート488にコマンドデータを設定するとストローブ信号を低電圧状態から高電圧状態に切り換え、音声・ランプ制御基板370は、ストローブ信号の立ち上がりのタイミングでコマンドデータを読み取る。こうすることにより、初期図柄表示コマンドを確実に読み取ることが可能となる。尚、本実施例の遊技機では、主制御部140から音声・ランプ制御部170に向けて、後述する機種指定コマンドや、変動パターン指定コマンド、特別図柄指定コマンドなどの各種のコマンドを出力しており、これらコマンドは、主制御基板340から音声・ランプ制御基板370に向けて出力されている。従って、本実施例の主制御基板340は、本発明における機種コマンド出力手段、あるいは遊技コマンド出力手段の一態様を構成している。
主制御部140は、こうして機種指定コマンドおよび初期図柄表示コマンドを出力したら、図13に示した初期化ジョブを終了して、図12に示す主制御部メインジョブに復帰する。
一方、音声・ランプ制御部170および図柄制御部160では、主制御部140が上述した主制御部メインジョブを実施することと並行して、以下に示すような副制御部メインルーチンを実施する。かかるルーチンは、パチンコ機1の電源が投入されたり、あるいはリセットスイッチが押されたときに自動的に開始され、音声・ランプ制御部170および図柄制御部160が一体となって実施される処理である。尚、以下に説明する処理を「ルーチン」と呼ぶのは、かかる処理が音声・ランプ制御部170および図柄制御部160によって実行されることに対応したものである。
図15は、副制御部メインルーチンの流れを示すフローチャートである。ルーチンが開始されると、先ず初めに初期化ルーチンが実行される(S510)。図16は、初期化ルーチンの詳細な処理の流れを示すフローチャートである。初期化ルーチンでは、先ず初めに、主制御部140から機種指定コマンドを受け取ったか否かが判断される(S512)。主制御部140は、図14を用いて説明したようにして、機種指定コマンドを出力する。機種指定コマンドを受け取ったことが検出されたら(S512:yes)、パチンコ機1の機種あるいはスペックを表すデータ(機種データ)をRAM172の所定アドレスに記憶する(S514)。
尚、主制御部140から機種指定コマンドを直接受け取るのは、図14に示したように音声・ランプ制御部170であるが、音声・ランプ制御部170は主制御部140からコマンドを受け取ると、直ちに図柄制御部160にも転送する処理を行う。すなわち、後述するように、音声・ランプ制御部170および図柄制御部160では、主制御部140から各種のコマンドを受け取ると、機種データに応じて解釈することによって適切な制御を行う。そこで、機種指定コマンドによって送信されてきた機種データ(図14に示した例では「01h」)を、音声・ランプ制御部170および図柄制御部160にそれぞれ内蔵されたRAMの所定アドレスに記憶しておくのである。
こうして機種データを記憶すると、初期図柄表示コマンドを受け取ったか否かを判断する(S516)。ここでも、主制御部140から初期図柄表示コマンドを直接受け取るのは音声・ランプ制御部170であるが、音声・ランプ制御部170は受け取ったコマンドを図柄制御部160に直ちに転送する。そして、初期図柄表示コマンドを受け取ったと判断された場合は(S516:yes)、今度は、機種指定コマンドとともに供給された機種データを確認する(S518)。機種データは、パチンコ機の機種毎に固有の値が予め設定されており、機種指定コマンドとともに供給された機種データに基づいて、パチンコ機1の機種を確認することができる。
ここでは、パチンコ機の機種としては、「A」、「B」、「C」の3つの機種が存在し、それぞれの機種データが「00h」、「01h」、「02h」であったとする。そして、RAMの所定アドレスに記憶されている機種データが「00h」であれば、機種Aに対応する初期図柄を表示する(S520)。初期図柄としてどのような図柄を表示するかについてのデータは、図柄制御部160に内蔵されたRAMに機種毎に予め設定されており、かかるデータを読み出すことによって適切な初期図柄を表示することができる。一方、機種データとして「01h」が記憶されている場合は、同様に、RAMに設定されているデータを読み出すことにより機種Bに対応する初期図柄を表示する(S522)。また、機種データ「02h」が記憶されている場合は、同様にして機種Cに対応する初期図柄を表示する(S524)。こうして機種に応じた初期図柄を表示したら、図16に示した初期化ルーチンを終了して、副制御部メインルーチンに復帰する。
このように本実施例の初期化ルーチンでは、パチンコ機1の機種に応じて、それぞれ適切な初期図柄を表示している。しかし、図柄制御部160が受け取るのは、初期図柄表示コマンドのみであり、初期図柄の内容については、先に受け取った機種データに基づいて、図柄制御部160が適切な表示内容を選択して表示している。このため、主制御部140は、予め機種指定コマンドを送信しておきさえすれば、初期図柄の内容までは指定せずとも、初期図柄表示コマンドを送信するだけで、適切な初期図柄を表示させることができる。従って、主制御部140の制御内容を大幅に簡素化することができ、処理の負荷を大きく軽減することが可能となる。
また、各機種についての初期図柄の内容を表すデータを、図柄制御部160のRAMに予め記憶しておけば、図柄制御基板360を共通化することも可能となる。基板が共通となれば、製造時に基板の類別を識別する工数を省くことができ、更に誤った基板を組み付けるおそれもなくなるので、製造工程を大きく合理化することが可能となる。
C−2.デモ演出時の制御内容:
主制御部140では、初期化ジョブに続いて、デモ演出ジョブを開始する(図12のS12)。ここでデモ演出とは、パチンコ機1がいわゆる客待ち状態の時に、遊技客の注意を引きつけるために、普通図柄や特別図柄で特別に行われる表示あるいは、効果音の出力といった所定の演出を言う。
図17は、主制御部140で行われるデモ演出ジョブの流れを示すフローチャートである。デモ演出ジョブを開始すると、先ず初めに、発射ハンドル9に設けられたタッチスイッチ9a(図1を参照のこと)がONとなっているか否かを判断する(S122)。前述したように、遊技者が発射ハンドル9に触れていればタッチスイッチ9aはONになるから、タッチスイッチがONであれば(S122:yes)、客待ち状態ではないと判断される。そこで、このような場合はデモ演出は不要であり、直ちにデモ演出ジョブを終了して、主制御部メインジョブに復帰する。一方、タッチスイッチがOFFであれば(S122:no)、客待ち状態となっている可能性がある。そこで、タッチスイッチが継続してOFFとなっている経過時間を検出し(S124)、連続してOFFとなっている経過時間が、所定時間(例えば2分)に達しているか否かを判断する(S126)。経過時間が所定時間に達していない場合は(S126:no)、客待ち状態ではないと判断してデモ演出ジョブを終了する。経過時間が所定時間に達している場合は(S126:yes)、主制御部140はデモ演出コマンドを出力する(S128)。デモ演出コマンドは、図14を用いて前述した機種指定コマンドあるいは初期図柄表示コマンドと同様に、主制御基板340からストローブ信号とともに出力される。
一方、図12に示す主制御部メインジョブに並行して実行されている副制御部メインルーチンでは、上述したデモ演出ジョブが実行されている間に、デモ演出ルーチンが実行されている(図15のS530)。図18は、音声・ランプ制御部170および図柄制御部160で実行されるデモ演出ルーチンの流れを示すフローチャートである。
デモ演出ルーチンを開始すると、主制御部140からデモ演出コマンドが出力されたか否かを監視する(S532)。デモ演出コマンドが出力されたと判断された場合は(S532:yes)、デモ演出コマンドは、直ちに音声・ランプ制御部170から図柄制御部160へも転送され、次いで、音声・ランプ制御部170および図柄制御部160にそれぞれ内蔵されているRAMに記憶された機種データを確認する(S534)。
そして、機種データが「00h」であれば、機種Aに対応するデモ演出を実施する(S536)。すなわち、音声・ランプ制御部170は、機種Aのデモ演出用として予め記憶されていた所定の効果音を出力し、図柄制御部160は、機種Aのデモ演出用として予め記憶されていた所定の図柄を表示する処理を行う。一方、機種データとして「01h」が記憶されている場合は、同様に、RAMに設定されているデータを読み出すことにより機種Bに対応するデモ演出を行い(S538)、機種データ「02h」が記憶されている場合は、機種Cに対応するデモ演出を行う(S540)。こうして機種に応じたデモ演出を行ったら、図18に示したデモ演出ルーチンを終了して、副制御部メインルーチンに復帰する。
このように、本実施例のデモ演出ルーチンでは、パチンコ機1の機種に応じて、それぞれ適切なデモ演出を行うことが可能となっている。しかし、前述した初期化ルーチンと同様に、音声・ランプ制御部170および図柄制御部160が受け取るのは、デモ演出を行う旨を指示するデモ演出コマンドのみであり、デモ演出の内容については、機種データに基づいて、音声・ランプ制御部170および図柄制御部160が適切な演出内容を選択しており、主制御部140は、機種に応じた細かな演出内容を指示する必要がない。また、機種データは、パチンコ機1の電源投入時に既に供給されているので、デモ演出に際しては、改めて機種データを出力する必要もない。このため、主制御部140の制御内容を大幅に簡素化することができ、処理の負荷を大きく軽減することが可能となる。
また、各機種についてのデモ演出の内容を表すデータを、音声・ランプ制御部170および図柄制御部160のそれぞれのRAMに予め記憶しておけば、音声・ランプ制御部170や図柄制御基板360を共通化するができる。このため、遊技機の製造工程を大きく合理化することが可能となる。
C−3.遊技時の制御内容:
パチンコ機1の電源投入後、遊技客が遊技を開始するまでの間は、主制御部140は以上のような初期化ジョブ(図12のS10)およびデモ演出ジョブ(図12のS12)を行い、一方、音声・ランプ制御部170および図柄制御部160は、初期化ルーチン(図15のS510)およびデモ演出ルーチン(図15のS530)を行いながら、遊技の開始を待機している。そして、遊技客によって遊技が開始されると、主制御部140、音声・ランプ制御部170および図柄制御部160は、次のような制御を行う。尚、説明の便宜から、以下では、主制御部140が行う処理(主制御部メインジョブにおける処理)について初めに説明し、その後、音声・ランプ制御部170および図柄制御部160が行う処理(副制御部メインルーチンにおける処理)について説明する。
遊技客によって遊技が開始されると、図12に示した主制御部メインジョブは、先ず初めに、図4に示した普通図柄変動ゲート36,37を遊技球が通過したか否かを判断する(S14)。これらゲートを遊技球が通過した場合は(S14:yes)、普通図柄表示装置32における演出を制御するためのジョブ(普通図柄制御ジョブ)を開始する(S16)。普通図柄制御ジョブの内容については後ほど詳細に説明する。
次いで主制御部140は、遊技機に複数設けられた入賞口のいずれかに遊技球が入賞したか否かを判断する(S18)。前述したように、各入賞口の内部には入賞球の通過を検知するスイッチが設けられており、スイッチで検出された信号が信号ケーブルによって主制御基板340に伝達される。主制御部140は、いずれの信号ケーブルから信号が伝達されたかに基づいて、入賞のあった入賞口を容易に検出することができる。そして、入賞のあった入賞口に応じて、所定数の遊技球を払い出す旨の賞球コマンドを出力する(ステップS20)。賞球コマンドは、主制御部140から払出制御部150に向かって出力され、払出制御部150ではコマンドに従って賞球払出装置109を制御することにより、所定数の遊技球の払出を行う。もちろん、主制御部140から音声・ランプ制御部170にもコマンドを出力して、賞球に伴う所定の演出を行うこととしても良い。
続いて主制御部140は、遊技球の入賞した入賞口が始動口17か否かを判断する(S22)。そして、入賞した入賞口が始動口17である場合は(S22:yes)、始動入賞指定コマンドを出力する(S23)。始動入賞指定コマンドとは、遊技球が始動口17に入賞したことを指定するために、主制御部140から音声・ランプ制御部170に向かって出力されるコマンドである。音声・ランプ制御部170は、始動入賞指定コマンドを受け取ると、遊技盤10に設けられた所定のLEDを一定時間だけ点灯表示させることにより、始動口17への遊技球の入賞を演出する。
尚、本実施例のパチンコ機1が電源投入時に、パチンコ機の機種(あるいはスペック)を表す機種指定コマンドを、主制御部140から音声・ランプ制御部170に向かって出力していることは、図14を用いて前述した。詳細には後述するが、このように音声・ランプ制御部170にパチンコ機1の機種(あるいはスペック)を認識させておけば、音声・ランプ制御部170が機種あるいはスペックを判断して、適切な演出を行うことができるので、主制御部140の制御負担を大きく低減させることが可能となる。
更に、本実施例のパチンコ機1は、電源投入時だけでなく遊技中にも、制御の負担とならないタイミングを見計らって、パチンコ機の機種(あるいはスペック)を表すコマンドを出力している。本明細書中では、このような遊技中に機種(あるいはスペック)を出力するコマンドを、「遊技中機種指定コマンド」と呼ぶことにする。遊技中機種指定コマンドを出力することで、遊技中にも主制御部140から音声・ランプ制御部170に向かって機種(あるいはスペック)を出力しておけば、遊技中に、音声・ランプ制御部170(あるいは図柄制御部160など)への電力の供給が何らかの理由で一時的に途絶えた場合でも、遊技を続けながら機種(あるいはスペック)を再び取得することができるので、機種(あるいはスペック)に応じた適切な演出を行うことが可能である。
図12のS23において、主制御部140から音声・ランプ制御部170に出力される始動入賞指定コマンドは、本実施例のパチンコ機1では、上述した遊技中機種指定コマンドを兼ねたコマンドとなっている。遊技中機種指定コマンドを兼ねた始動入賞指定コマンドのコマンド構造、および、始動入賞指定コマンドに遊技中機種指定コマンドを兼ねることで、制御の負担とならずに機種(あるいはスペック)を出力することが可能な理由については、後ほど詳しく説明する。
主制御部140から音声・ランプ制御部170に向かって始動入賞指定コマンドを出力したら(S23)、今度は、内蔵RAM481内の特別図柄保留数メモリ(保留数計数手段)に記憶されている保留数が4以上か否かを判断し、その保留数が4に達していなければ(S24:no)、その保留数を1加算する(S26)。ここで、特別図柄保留数メモリ(保留数計数手段)に記憶される保留数は、特別図柄変動中もしくは特別遊技状態における始動口17への遊技球の入賞数に該当し、この入賞数は、特別図柄表示装置27にて、後述する特別図柄制御ジョブ(図22)の特別図柄当否判定処理(S164)の結果表示を行っていない数に該当する。次に、主制御部140は特別図柄当否判定乱数を発生し、その判定乱数値を内蔵RAM481内の特別図柄当否判定乱数メモリに記憶する(S28)。この特別図柄当否判定乱数メモリは、発生した判定乱数値を始動入賞の時系列にシフトメモリ形式で記憶されている。この後、特別図柄表示装置27の動作を制御するためのジョブ(特別図柄制御ジョブS34)、更には、特別遊技状態時の動作を制御するためのジョブ(特別遊技関連ジョブS36)を実施する。この特別図柄制御ジョブおよび特別遊技関連ジョブの内容については後述する。一方、ステップS24において保留数が4に達している場合は(S24:yes)、保留数を加算する処理をスキップする。
また、ステップS22において、入賞した入賞口が始動口17でない場合は(S22:no)、内蔵RAM481内の特別図柄保留数メモリに記憶されている保留数が0か否かを判断し(S30)、0でない場合は(S30:no)、特別図柄制御ジョブ(S34)および特別遊技関連ジョブ(S36)を行う。一方、保留数が0の場合は(S30:yes)、特別図柄制御ジョブや特別遊技関連ジョブは行わない。
以上の様な処理を行ったら、パチンコ機1の電源がOFFとされたか否かを判断し(S32)、電源がONであると判断された場合は(S32:no)、再びS12のデモ表示ジョブに戻って続く一連の処理を行う。これに対して、パチンコ機1の電源がOFFになったと判断された場合は(S32:yes)、主制御部メインジョブを終了する。こうして主制御部メインジョブを終了すると、遊技の進行が停止しパチンコ機1の遊技状態が終了する。
以下では、主制御部メインジョブの中で行われる各種ジョブ、すなわち普通図柄制御ジョブ(S16)、特別図柄制御ジョブ(S34)、および特別遊技関連ジョブ(S36)の各ジョブについて説明した後、これらジョブに並行して副制御部メインルーチンで行われる処理について説明する。
3−3−1.普通図柄制御ジョブ:
図19は、普通図柄制御ジョブの流れを示すフローチャートである。前述したように、この処理は、遊技球が普通図柄変動ゲートを通過すると、図12に示した主制御部メインジョブから呼び出されて開始されるジョブである。また、「ジョブ」という名称から分かるように、この処理は主制御部140によって実行される。
普通図柄制御ジョブを開始すると、先ず初めに普通図柄の当否判定を行い(S142)、続いて、当否の結果に応じた変動パターンと停止図柄とを決定する(S144)。当否判定およびこれらを決定する手法としては種々の方法を用いることができるが、本実施例のパチンコ機1では、乱数を利用した抽選を行うことによって、これらを決定する。また、ここでは変動パターンとして、普通図柄を変動表示させる時間を決定している。もちろん、より詳細な内容まで決定することも可能である。
こうして普通図柄の当否と、当否に応じた変動パターンおよび停止する普通図柄とを決定したら、これら決定内容に従って、普通図柄関連コマンドを音声・ランプ制御基板370に向かって出力する処理を行う(S146)。普通図柄関連コマンドとは、普通図柄制御のために主制御基板340から遊技の進行状況に応じて出力される各種の遊技コマンドであり、具体的には、普通図柄の変動パターンを指定するコマンド(普通図柄変動パターン指定コマンド)や、変動後に停止する普通図柄を指定するコマンド(普通図柄指定コマンド)、普通図柄の変動を停止させるコマンド(普通図柄停止コマンド)などの各種コマンドを言う。
図20は、これら普通図柄関連コマンドを一覧的に表示した説明図である。普通図柄の変動パターンに応じて、コマンドChp1 ,コマンドChp2 ,コマンドChp3 ,コマンドChp4 ・・・など、各種の指定コマンドが予め設定されている。また、変動後に停止させる普通図柄に応じて、コマンドChs1 ,コマンドChs2 ,コマンドChs3 ,コマンドChs4 ・・・などの各種の指定コマンドが設定されており、普通図柄の変動表示を停止させるためのコマンドとしては、コマンドChstpが設定されている。もちろん、表示されているコマンド以外に他のコマンドを設定しておくことも可能である。これらの普通図柄関連コマンドは、図8に示した主回路部401の内蔵ROM482に予め記憶されている。図19のステップS146では、ステップS142およびS144で決定した変動パターンおよび普通図柄に応じて、内蔵ROM482から対応するコマンドを読み出した後、音声・ランプ制御基板370に向かってストローブ信号とともに出力する処理を行う(図14を参照のこと)。
図21は、上述したステップS146において、主制御部140が各種の普通図柄関連コマンドを出力する様子を概念的に示した説明図である。普通図柄制御ジョブが開始されて、ステップS146の処理が初めて実行される場合は、先に決定しておいた普通図柄の変動パターン指定コマンドが、主制御基板340から出力される。図21に示した白抜きの矢印は、コマンドが出力されていることを模式的に示したものである。音声・ランプ制御基板370は、普通図柄の変動パターン指定コマンドを受け取ると、直ちに図柄制御基板360に転送する。音声・ランプ制御部170および図柄制御部160では、こうして受け取ったコマンドに基づいてそれぞれの処理が開始され、その結果、所定の効果音やランプの点滅をともなって普通図柄表示装置32の変動表示が開始される。
ここで、図12を用いて前述した主制御部メインジョブのS12からS32までの処理は、ほぼ4msec間隔で繰り返されており、従って、図19の普通図柄制御ジョブも約4msec間隔で実行される。初回の実行時には普通図柄の変動パターン指定コマンドを出力するが、2周目の実行時には、変動表示後に停止表示する普通図柄を指定するコマンド、すなわち普通図柄指定コマンドを出力する。図柄の指定が1回で良い場合、すなわち普通図柄表示装置32が同時には1つの図柄しか表示することができず、且つ変動開始後に1回だけ図柄を停止表示させる場合は、普通図柄指定コマンドは1回だけ出力される。しかし、普通図柄表示装置32が同時に複数の図柄を表示可能な場合、あるいは同時には1つの図柄しか表示できないものの変動表示と擬似的な停止とを何回か繰り返した後に最終的な普通図柄で停止表示する場合などには、普通図柄指定コマンドを複数回出力することになる。図21では、普通図柄表示装置32で同時に3つの普通図柄を表示可能な場合について表示している。この場合は、図19の普通図柄制御ジョブを2周目に実行する場合には、1桁目の普通図柄についての指定コマンドを出力し、3周目に実行する場合には2桁目の図柄についての指定コマンドを、4周目に実行する場合には3桁目の図柄の指定コマンドを出力する。こうして出力された普通図柄指定コマンドは、音声・ランプ制御基板370を介して図柄制御基板360に転送され、音声・ランプ制御基板370および図柄制御基板360では、それぞれのコマンドに合わせて所定の演出のための制御を実行する。
こうして普通図柄変動パターン指定コマンドと普通図柄指定コマンドとを出力したら、変動パターンに応じて定まる所定のタイミングで、普通図柄変動表示を停止するコマンド(普通図柄停止コマンド)を出力する。つまり、前述したように、当否判定を行って決定する変動パターンには、図柄の変動時間に関する情報を含んでいるので、図柄停止コマンドを出力するタイミングは、変動パターンに依存するのである。例えば、4秒間だけ図柄を変動させる変動パターンを選択していた場合、主制御部メインジョブが1回まわるために約4msecかかるから、100周目の実行時に図柄停止コマンドを出力すればよいことになる。
尚、図21において、主制御部140から出力される普通図柄停止コマンドChstpは、本実施例のパチンコ機1では、前述した遊技中機種指定コマンドを兼ねたコマンドとなっている。遊技中機種指定コマンドを兼ねた普通図柄停止コマンドChstpのコマンド構造、および、普通図柄停止コマンドChstpに遊技中機種指定コマンドを兼ねることで、制御の負担とならずに機種(あるいはスペック)を出力することが可能な理由については、後ほど詳しく説明する。
図19に示したステップS146の処理では、図20に示す各種の普通図柄関連コマンドを、以上に説明したようにして順番に出力する処理を行う。こうして、ステップS142およびS144で決定した内容に応じて各種の普通図柄関連コマンドを出力し、最後に図柄停止コマンドを出力したら、普通図柄制御ジョブを終了する。
尚、以上の説明では、音声・ランプ制御基板370および図柄制御基板360は、主制御基板340から出力された各種コマンドに従って、それぞれの処理を行うものとして説明した。しかし、パチンコ機1の電源投入時に供給された機種データを考慮しながら、主制御基板340から出力されたコマンドを解釈して、機種毎に演出の内容を異ならせるものとしてもよい。例えば、主制御基板340からのコマンドが表す詳細な演出の内容を、機種毎に予め設定しておき、コマンドを受け取ったら機種毎に設定されている内容の演出を行うこととしても良い。あるいは、主制御基板340から受け取ったコマンドを解釈するに際して、機種データを参照しながらコマンド解釈を行うこととしても良い。こうすれば、主制御基板340からは詳細な演出の内容を指示しなくても、音声・ランプ制御基板370および図柄制御基板360がコマンドを機種に応じて解釈し、機種に応じた適切な演出を行うことができる。従って、主制御部140における制御負荷を大幅に低減することが可能となるとともに、音声・ランプ制御基板370や図柄制御基板360の共通化を図って、基板の類別を減少させ、延いては、パチンコ機1の製造工程を大きく合理化することが可能となる。
3−3−2.特別図柄制御ジョブ:
次に、図12のステップS34に示した特別図柄制御ジョブの内容について説明する。図22は、特別図柄制御ジョブの流れを示すフローチャートである。この処理も、主制御部140によって開始される処理である。
特別図柄制御ジョブでは、先ず、特別遊技状態であるか否かを判断し(S162)、特別遊技状態でない場合には(S162:no)、特別図柄の当否判定を行い(S164)、続いて当否に応じた変動パターンと変動後に停止させる特別図柄とを決定する処理を行う(S166)。ステップS164の特別図柄の当否判定処理は、遊技者にとって有利な特別遊技状態を成立させるか否かの抽選処理であり、主制御部140の内蔵ROMに格納されたプログラムによって構成される特別図柄抽選手段によって行われる。このステップS164の処理は、図12のステップS28で記憶されている最も古い先頭の特別図柄当否判定乱数を読み出して、その読み出した判定乱数値と、内蔵ROM482内の大当り乱数メモリに記憶されている大当り乱数値との比較を行うものであり、両者が一致すれば当り判定となって、遊技者にとって有利な特別遊技状態が成立し、一致しなければ外れ判定となって、通常の遊技状態が維持される。尚、本実施例のパチンコ機1では、特別図柄に関する当否判定と普通図柄に関する当否判定とは、異なる乱数値を用いた別個の処理によって実施されている。こうすれば、特別図柄で更に複雑な演出を行う必要が生じた場合でも、容易に対応することが可能となる。もちろん、特別図柄の当否判定処理を利用して普通図柄の当否判定を行うことも可能である。また、特別図柄制御ジョブにおいても普通図柄制御ジョブと同様に、変動パターンとしては、特別図柄を変動表示させる時間を決定している。もちろん、より詳細な内容まで決定することとしても良い。
特別図柄の変動パターンと停止図柄とを決定したら、これら決定内容に従って、特別図柄関連コマンドを音声・ランプ制御基板370に向かって出力する処理を行う(S168)。特別図柄関連コマンドとは、特別図柄制御のために主制御基板340から、遊技の進行状況に応じて出力される各種の遊技コマンドであり、図8に示した主回路部401の内蔵ROM482に予め記憶されている。図23は、記憶されている各種の特別図柄関連コマンドを一覧的に表示した説明図である。特別図柄関連コマンドとしては、特別図柄の変動パターンを指定するコマンド(特別図柄変動パターン指定コマンド)や、変動後に停止する特別図柄を指定するコマンド(特別図柄指定コマンド)、特別図柄の変動を停止させるコマンド(特別図柄停止コマンド)、更には、大当り時にスピーカーから出力する効果音を指定するコマンド(大当り効果音指定コマンド)、大当り時に行われる特別遊技に関する各種コマンド(大当りラウンド指定コマンド、大入賞口カウント指定コマンド)などが設定されている。もちろん、これらコマンド以外に、他のコマンドを設定しておくことも可能である。
また、前記した図22のステップS160において、特別遊技状態である場合には(S160:yes)、前記したステップS164〜S168の処理を行わずに、そのまま特別図柄制御ジョブを終了する。
図24は、図22のステップS168において、上述した特別図柄関連コマンドが主制御基板340から出力される様子を概念的に示した説明図である。前述した普通図柄制御ジョブと同様に、特別図柄制御ジョブにおいてもステップS168の処理が初めて実行される時には、特別図柄変動パターン指定コマンドが出力される。図24中に示された白抜きの矢印は、主制御部140の発するコマンドが、音声・ランプ制御部170あるいは図柄制御部160に供給されていることを模式的に示したものである。また、図24中で斜線が付された矢印は、音声・ランプ制御部170の発するコマンドが、図柄制御部160に供給されていることを模式的に示したものである。音声・ランプ制御部170から出力されるコマンドについては、後ほど詳しく説明する。
特別図柄制御ジョブにおいても、音声・ランプ制御基板370は特別図柄変動パターン指定コマンドを受け取ると、直ちに図柄制御基板360に転送する。音声・ランプ制御部170および図柄制御部160では、こうして受け取ったコマンドに基づいて、後述する処理が開始される。
特別図柄制御ジョブが1周目の処理を終了して、2周目にS168(図22参照のこと)の処理が実行されるときには、特別図柄の変動表示後に停止表示する左特別図柄を指定するコマンド(左特別図柄指定コマンドCtsL )を音声・ランプ制御基板370に向かって出力する。前述したように、主制御部メインジョブは一連の処理を完了するために約4msecかかるから、特別図柄変動パターン指定コマンドを出力してから、ほぼ4msec後に左特別図柄指定コマンドを出力することになる。更に、その約4msec後に3周目の処理が実行される時には、中特別図柄の指定コマンド(中特別図柄指定コマンドCtsM )が出力され、その約4msec後に4周目の処理が実行される時には、右特別図柄指定コマンドCtsR が出力されることになる。尚、図24に示した例では、特別図柄としては、左特別図柄、中特別図柄、右特別図柄の3つの図柄しか同時には表示できないものとして説明したが、もちろん、より多くの特別図柄を表示可能としても構わない。
以上のようにして、特別図柄についての変動パターン指定コマンドと図柄指定コマンドを出力したら、変動パターンに応じて定まる所定のタイミングで、特別図柄変動表示を停止するコマンド(特別図柄停止コマンドCtstp)を出力する。
尚、図24において、主制御部140から出力される特別図柄停止コマンドCtstpは、本実施例のパチンコ機1では、前述した遊技中機種指定コマンドを兼ねたコマンドとなっている。遊技中機種指定コマンドを兼ねた特別図柄停止コマンドCtstpのコマンド構造、および、特別図柄停止コマンドCtstpに遊技中機種指定コマンドを兼ねることで、制御の負担とならずに機種(あるいはスペック)を出力することが可能な理由については、後ほど詳しく説明する。
音声・ランプ制御部170および図柄制御部160は、こうして主制御部140から出力された特別図柄関連コマンドを受け取ると、直ちにコマンドを図柄制御部160に転送するとともに、受け取ったコマンドに応じて詳細な特別図柄変動の制御を開始する。音声・ランプ制御部170および図柄制御部160で行われるこれらの処理は、図15を用いて前述した副制御部メインルーチンによって実行される。音声・ランプ制御部170および図柄制御部160で行われる処理の内容については後述する。
3−3−3.特別遊技関連ジョブ:
図12に示したように、主制御部140は、以上のようにして特別図柄制御ジョブ(S34)を終了すると、続いて特別遊技関連ジョブ(S36)を開始する。図25は、特別遊技関連ジョブの流れを示したフローチャートである。以下、フローチャートに従って説明する。
特別遊技関連ジョブを開始すると、先ず初めに、特別遊技状態か否かを判断する(S182)。すなわち、特別遊技状態は、特別図柄の当否判定において当り判定となったときに発生することから、先ず初めに特別遊技状態か否かを確認するのである。そして、特別遊技状態であることが確認されたら(S182:yes)、特別遊技を開始する旨の遊技コマンドである大当り開始コマンドを、音声・ランプ制御基板370に向かって出力する(S184)。音声・ランプ制御基板370は大当り開始コマンドを受け取ると、そのコマンドを直ちに図柄制御基板360に転送する。こうして、大当り開始コマンドを出力したら、連続カウンタに「1」を設定することによって初期化を行う(S186)。一方、特別遊技状態でない場合は、後述する特別遊技を行うことなく、そのまま図25に示した特別遊技関連ジョブを終了する。
特別遊技状態であることが確認され、連続カウンタを初期化したら、図4に示した大入賞口311を開口させる旨の遊技コマンドである大入賞口開口コマンドを音声・ランプ制御基板370に向かって出力する(S188)。図4に示されているように、大入賞口は他の入賞口よりも大きく開口するので、大入賞口311を開口させれば、遊技球は大変入賞し易くなる。ここで言う「連続カウンタ」の値は、特別遊技状態における「ラウンド回数」に相当している。尚、大入賞口開口コマンドも、上述した大当り開始コマンドと同様に、音声・ランプ制御基板370から図柄制御基板360に転送される。このように特別遊技関連ジョブにおいて主制御基板340から音声・ランプ制御基板370に出力されたコマンドは、直ちに音声・ランプ制御基板370から図柄制御基板360に転送されるが、以下では、説明が煩雑となることを避けるために、音声・ランプ制御基板370から図柄制御基板360への転送については記述を省略する。すなわち、特に指示がない限り、主制御基板340から音声・ランプ制御基板370へ出力されたコマンドは、直ちに図柄制御基板360へも転送されるものとする。
大入賞口311を開口させると、開口時間が所定時間(例えば30秒間)に達したか否かを判断し(S190)、所定時間に達していない場合は更に、遊技球の入賞数が所定数に達したか否かを判断する(S192)。開口時間は主回路部401に内蔵されたタイマ487を用いて検出する。また、遊技球の入賞は、入賞球検知スイッチ318(図6参照)によって検出することができる。入賞数が所定数に達していない場合は(S192:no)、再びS188に戻って、開口時間が所定時間に達したか否かを判断する。こうした操作を何度も繰り返して、大入賞口311の開口時間が所定時間に達するか(S190:yes)、若しくは遊技球の入賞数が所定数に達したことが確認されたら(S192:yes)、大入賞口311を一旦閉鎖するべく大入賞口閉鎖コマンドを音声・ランプ制御基板370に向かって出力する(S194)。このように、大入賞口311が開口してから閉鎖するまでが1つのラウンドとなる。
大入賞口311を一旦閉鎖したら、所定の継続条件が成立しているか否かを判断する(S196)。本実施例のパチンコ機1では、大入賞口311の内部に設けられた特定領域(いわゆるV入賞口)を遊技球が通過していれば、継続条件が成立したものと判断される。もちろん、継続条件はこうした条件に限られるものではなく、他に適切な条件を設定しておくことができる。継続条件が成立していると判断された場合は(S196:yes)、連続カウンタの値に1を加算した後(S198)、連続カウンタが所定回数に達したか否かを判断する(S200)。所定回数は、機種Aあるいは機種Bのパチンコ機では15回に設定されており、機種Cでは14回に設定されている。そして、連続カウンタが所定回数に達していなければ(S200:no)、S186に戻って再び大入賞口311を開口させるべく大入賞口開口コマンドを出力して、第2ラウンドの特別遊技を開始する。
第2ラウンドにおいても、第1ラウンドと同様に、開口時間が所定時間に達したか否か(S190)、入賞数が所定数に達したか否か(S192)を判断する操作を繰り返し、開口時間が所定時間に達するか(S190:yes)若しくは入賞数が所定数に達したら(S192:yes)、大入賞口311を一旦閉鎖するべく大入賞口閉鎖コマンドを出力し(S194)、継続条件が成立しているか否かを判断する(S196)。そして、継続条件が成立していれば、連続カウンタを1つ増加させて、所定回数(機種Aあるいは機種Bであれば15回、機種Cであれば14回)に達したか否かを判断する。
このように、継続条件が成立している限りは、大入賞口の開口と閉鎖とを繰り返す操作を、所定のラウンド回数に達するまで繰り返す。一方、大入賞口311の閉鎖後に、継続条件が成立していないと判断された場合は(S196:no)、所定のラウンド回数に達する前に特別遊技を終了してしまう。このような状態は「パンク」と呼ばれることがある。以上のように、大入賞口311の開口と閉鎖とを所定ラウンド回数まで繰り返すか、若しくはパンク状態となるまで、図25に示した特別遊技関連ジョブを繰り返す。前述したように、所定ラウンド回数は機種Aあるいは機種Bのパチンコ機1では15回に設定されており、機種Cのパチンコ機1では14回に設定されているから、いわゆる「パンク」状態とはならない場合の最終ラウンドは、機種Aおよび機種Bについては15ラウンド、機種Cについては14ラウンドとなる。こうして、最終ラウンドに達するか、あるいはパンク状態となったら、特別遊技を終了させることを意味する大当り終了コマンドを音声・ランプ制御基板370に出力した後(S202)、図25に示した特別遊技関連ジョブを終了して、図12の主制御部メインジョブに復帰する。
以上に説明したように、特別遊技関連ジョブでは、初めに大当り開始コマンドを出力した後、特別遊技の進行に合わせて、大入賞口開口コマンドと大入賞閉鎖コマンドとを、音声・ランプ制御基板370に向かって交互に繰り返し出力する。主制御部140が、こうした特別遊技関連ジョブを実行することと並行して、音声・ランプ制御部170および図柄制御部160では、後述する特別遊技関連ルーチンが実行されており、主制御基板340から、遊技の進行状況に応じて出力された遊技コマンドに基づいて、特別遊技に関する所定の各種演出を行う。
3−3−4.遊技中に行われる各種ルーチン:
以上に説明したように、主制御部140は、上述した主制御部メインジョブを繰り返し行いながら、音声・ランプ制御部170および図柄制御部160に対して各種のコマンドを出力する。一方、音声・ランプ制御部170および図柄制御部160は、主制御部140で行われる主制御部メインジョブに並行して、図15に示した副制御部メインルーチンを実行している。そして、副制御部メインルーチンでは、主制御部メインジョブで主制御部140から出力される各種コマンドを受け取って、次のような処理を行う。以下では、再び図15を参照しながら、音声・ランプ制御部170および図柄制御部160が遊技中に行う各種ルーチンについて説明する。
前述したように、副制御部メインルーチンは初期化ルーチン(図15のS510)を行った後、遊技客によって遊技が開始されるまでの間、デモ演出ルーチン(S530)を実行して、主制御基板340からコマンドが出力されたか否かを判断し(S532)、コマンドが出力されていない場合は(S532:no)、デモ演出ルーチンを行う。図12の主制御部メインジョブで説明したように、遊技客によって遊技が開始されると変動パターン指定コマンドが出力されるから(図22参照のこと)、こうした処理を行うことで、副制御部メインルーチンは、主制御基板340から変動パターン指定コマンドが出力されることを、デモ演出ルーチンを行いながら待機していることになる。
そして、変動パターン指定コマンドを受信すると(S532:yes)、特別図柄の変動を開始する(S534)。もちろん、特別図柄の変動開始に合わせて、所定の効果音を出力しても良い。
次いで、特別図柄指定コマンドを全て受信したか否かを判断する(S536)。図23および図24を用いて説明したように、特別図柄指定コマンドとしては、左図柄,中図柄,右図柄の3つの図柄について、それぞれ図柄指定コマンドが出力されるので、S536ではこれら全てのコマンドを受信したか否かを判断するのである。3つの特別図柄が全て指定されれば、大当り状態か否か、確変当りか否かなどの、特別図柄表示装置27を用いた詳細な演出内容を決定することができる。そこで、特別図柄演出ルーチン(S540)、大当り演出ルーチン(S550)を行う。後述する特別遊技関連ルーチン(S600)は、大当り演出ルーチンの終了後に開始される。
特別図柄演出ルーチン(S540)では、主制御部140から受け取った左・中・右の特別図柄の組合せが(図24参照のこと)、大当り図柄か否かを判断する。更に、大当り図柄である場合は、確変図柄か否か、再抽選を行うか否か、更には再抽選を行う場合には擬似的に表示する特別図柄をセットする処理も行う。尚、こうした判断は、主制御部140から受け取った各種の指定コマンドによって一義的に決定することもできるし、あるいは副制御部メインルーチンの中で抽選を行って、より詳細な演出内容を決定することとしても良い。
大当り演出ルーチン(S550)では、特別図柄演出ルーチンでの決定した内容、すなわち、大当りか否か、確変か否か、再抽選を行うか否か、更には擬似的に表示する特別図柄の決定内容に従って、表示画面271(図4参照)における所定の演出表示を行う。また、こうした演出表示に併せて、各種の効果音を出力する制御を行う。
3−3−5.特別遊技関連ルーチン:
図26は、特別遊技関連ルーチンの流れを示すフローチャートである。かかるルーチンは、特別図柄制御ジョブ(図12のS34)を受けて行われる特別図柄演出ルーチン(図15のS540)および大当り演出ルーチン(図15のS550)に続いて行われることからも明らかなように、主制御部140が特別遊技関連ジョブ(図12のS36)を行うことと並行して実施されるルーチンである。以下、フローチャートに従って説明する。
特別遊技関連ルーチンを開始すると、先ず初めに、主制御基板340から大当り開始コマンドを受け取ったか否かを判断して、大当り開始コマンドを受け取るまで判断を繰り返しながら待機する(S602)。そして、主制御基板340から大当り開始コマンドを受け取ったら(S602:yes)、パチンコ機の機種に応じた最終ラウンド数を取得する(S604)。すなわち、図25に示した特別遊技関連ジョブで説明したように、特別遊技は所定の継続条件が満たされていれば、所定回数に達するまで繰り返し行われる。この所定回数は、機種Aあるいは機種Bのパチンコ機であれば15回に設定されており、機種Cのパチンコ機であれば14回に設定されている。そして、特別遊技関連ジョブでは、機種に応じて定められたラウンド数に達したら特別遊技関連ジョブを終了する。このことに対応して、特別遊技関連ルーチンでも、最終ラウンド数を予め取得しておくのである。
音声・ランプ制御基板370および図柄制御基板360にそれぞれ内蔵されているRAMには、パチンコ機の各機種についての最終ラウンド数が記憶されている。すなわち、機種Aおよび機種Bについては最終ラウンド数が15であり、機種Cについては最終ラウンド数が14である旨が記憶されている。特別遊技関連ルーチンのS604では、パチンコ機の電源投入時に受け取って記憶されている機種データ(図16参照のこと)を参照して、対応する機種の最終ラウンド数をRAMから読み出す処理を行う。
次いで、連続カウンタに「1」を設定することによってカウンタの初期化を行った後(S606)、主制御基板340から大入賞開口コマンドを受け取ったか否かを判断する(S608)。未だ大入賞開口コマンドを受け取っていない場合は(S608:no)、開口コマンドを受け取るまで判断を繰り返しながら待機する。そして、大入賞開口コマンドを受け取ったら(S608:yes)、今度は、最終ラウンドに達したか否かを判断する(S610)。最終ラウンドに達したか否かは、連続カウンタの値が、先に取得した最終ラウンド数に達したか否かによって判断する。すなわち、連続カウンタの値が最終ラウンド数に達していなければ、未だ最終ラウンドではないと判断され、連続カウンタの値が最終ラウンド数に達したら、最終ラウンドであると判断することができる。
そして、最終ラウンドではないと判断された場合は(S610:no)、通常ラウンドの特別遊技時に行われる所定の演出を実施する(S612)。具体的には、音声・ランプ制御部170では通常ラウンド用の効果音を出力し、図柄制御部160では通常ラウンド用の図柄を表示する。一方、S610で最終ラウンドと判断された場合は(S610:yes)、最終ラウンドの特別遊技時に行われる所定の演出を実施する(S614)。すなわち、音声・ランプ制御部170および図柄制御部160では最終ラウンド用の効果音および図柄をそれぞれ出力する。
次いで、大入賞口閉鎖コマンドを受け取ったか否かを判断する(S616)。そして、未だ閉鎖コマンドを受け取っていなければ、コマンドを受け取るまで、かかる判断を繰り返す。すなわち、図25を用いて前述したように、特別遊技関連ジョブでは大入賞口311の開放時間が所定時間に達するか(図25のS190:yes)、あるいは入賞数が所定数に達すると(図25のS192:yes)、大入賞口311を一旦閉鎖するべく大入賞口閉鎖コマンドが出力されるので、特別遊技関連ルーチンでは、かかる閉鎖コマンドが出力されるまで待機しているのである。
そして、大入賞閉鎖コマンドを受け取ったら(S616:yes)、連続カウンタの値を1つ増加させた後(S618)、大当り終了コマンドを受け取ったか否かを判断する(S620)。すなわち、前述したように特別遊技関連ジョブでは、特別遊技状態を終了する場合には大当り終了コマンドが出力されることから、特別遊技関連ルーチンのS620では、大当り終了コマンドを受け取ったか否かを判断するのである。そして、大当り終了コマンドを受け取っていない場合は(S620:no)、新たなラウンドが開始されるものと考えられるので、S608に戻って、大入賞開口コマンドが出力されるまで待機する。一方、S620で大当り終了コマンドを受け取った場合は(S620:yes)、図26に示した特別遊技関連ルーチンを終了する。
以上に説明したように、本実施例のパチンコ機1は、機種Aあるいは機種Bについては15ラウンドまで特別遊技が行われ、機種Cについては14ラウンドまで特別遊技が行われる。そして、最終ラウンドでは、例え所定の継続条件を満たした場合でも新たなラウンドには入らないことを、遊技者が容易に認識できるように、それまでのラウンド時とは異なる効果音が出力され、異なる図柄が表示される。これを音声・ランプ制御基板370および図柄制御基板360の側から見れば、パチンコ機が機種Aあるいは機種Bである場合は、14ラウンドから15ラウンドに入った時に効果音および図柄を変更すればよいが、パチンコ機が機種Cである場合は、13ラウンドから14ラウンドに入ったときに、効果音および図柄を変更しなければならず、従って、通常であれば、音声・ランプ制御基板370や図柄制御基板360の類別を増やして、機種毎に適切な基板を組み込むことが必要となる。
しかし、上述したように本実施例のパチンコ機1では、パチンコ機の機種あるいはスペックを表す機種データを、パチンコ機1の電源投入時に主制御基板340から出力しておくことで、音声・ランプ制御基板370および図柄制御基板360で機種の違いを吸収し、基板の類別がいたずらに増加することを回避することが可能となっている。すなわち、電源投入時に行われる初期化ジョブにおいて、主制御基板340から音声・ランプ制御基板370および図柄制御基板360に向かって機種データを出力しておく。そして、音声・ランプ制御基板370および図柄制御基板360では、主制御基板340から出力される各種のコマンドを、機種データを考慮しながら解釈することで、機種に応じて適切な制御を行うことが可能となっている。
例えば、上述した特別遊技関連ルーチンでは、電源投入時に供給された機種データに基づいて、パチンコ機の機種に応じた最終ラウンド数を取得し、最終ラウンドが開始されたと判断した場合は、演出内容を通常ラウンドの演出から最終ラウンド用の演出に変更する。すなわち、機種Aあるいは機種Bであれば、最終ラウンド数として15を取得し、15ラウンド目が開始されたら演出内容を最終ラウンド用の演出に変更し、機種Cであれば14ラウンド目が開始されたら最終ラウンド用の演出に変更する。こうすれば、音声・ランプ制御基板370や図柄制御基板360の類別を増やさずとも、機種に応じた適切なタイミングで、特別遊技の演出内容を切り換えることができる。
また、音声・ランプ制御基板および図柄制御基板360での制御内容に機種データを反映させることとすれば、基板の類別を増やすことなく、演出内容を機種に応じて柔軟に変更することも可能となる。すなわち、例えば、機種A、機種B、機種Cのそれぞれについての演出内容を、音声・ランプ制御基板および図柄制御基板360の内蔵ROMに予め記憶しておく。そして、実際に演出を行うにあたっては、機種に応じた演出内容をROMから読み出して、各種演出を行うこととしてもよい。こうすれば、例えば、特別遊技の通常ラウンド時の演出や最終ラウンドの演出を機種毎に異なる態様で行うといった制御も、基板の類別を増加させることなく容易に実現することが可能となる。
更には、コマンドの解釈自体を、機種を考慮しながら行うこととしても良い。すなわち、同じコマンドであっても、機種データが異なれば、異なって解釈されることとしても良い。例えば、機種データが「00h」である場合は効果音を出力するコマンドと解釈され、機種データが「01h」である場合はランプを点滅するコマンドと解釈され、機種データが「02h」である場合は所定の図柄を表示するコマンドと解釈されるものとしてもよい。こうすれば、音声・ランプ制御基板370や図柄制御基板360の類別を増やさずとも、機種に応じた最適な演出を柔軟に実現することができる。加えて、音声・ランプ制御基板370や図柄制御基板360の類別が減少すれば、誤った基板が組み付けられることを回避することができるだけでなく、パチンコ機の製造工程を大きく合理化することが可能となる。
D.第2実施例のパチンコ機の制御の概要:
以下では、第2実施例のパチンコ機の制御内容について説明する。第2実施例の制御では、上述した第1実施例に対して、初期化時の制御と、特別遊技時の制御内容とが大きく異なるが、他の制御についてはほぼ同様である。以下では、これら第1実施例に対する相違点を中心に第2実施例の制御について説明する。
D−1.初期化時の制御内容:
図27は、第2実施例のパチンコ機において、主制御部140が初期化時に行う制御(初期化ジョブ)の流れを示すフローチャートである。かかるジョブも、前述した第1実施例の初期化ジョブ(図12のS10)と同様に、主制御部メインジョブを開始すると初めに実施されるジョブである。以下、図27のフローチャートに従って、第2実施例の初期化ジョブについて説明する。
第2実施例の初期化ジョブにおいても第1実施例のジョブと同様に、先ず初めに電源投入時処理、すなわち、CPU480の動作チェックや割り込みモードの設定、カウンタ/タイマ487、更には音声・ランプ制御部170や図柄制御部160などの各制御部を初期化する処理を行う(S252)。
次いで主制御部140は、バックアップデータがあるか否かを判断する(S254)。バックアップデータとは、パチンコ機の電源が、正常な手順を踏むことなく突然切断されたとき等に、電源切断前の状態を復元するべく記憶されているデータである。電源が突然切断されてバックアップデータを記憶する場合はバックアップフラグが設定されるので、主制御部140はバックアップフラグが設定されているか否かを確認することにより、バックアップデータの有無を判断することができる。
そして、バックアップデータが記憶されていない場合は(S254:no)、音声・ランプ制御部170に向かって、初期図柄表示コマンド(例えば、89h)を出力し(S256)、続いて、機種を表すデータ(機種データ)を音声・ランプ制御部170に出力する(S58)。一方、バックアップデータが記憶されている場合は(S254:yes)、初期図柄表示コマンド(89h)ではなく、復帰画面指定コマンド(例えば、8Ah)を出力した後(S260)、機種データを音声・ランプ制御部170に出力する(S262)。
すなわち、前述した第1実施例の初期化ジョブでは、機種データの出力に先立って、機種データが出力されることを意味する機種指定コマンド(前述した例では、10h)を出力してから機種データを出力していたが、第2実施例の初期化ジョブでは、機種指定コマンドの代わりに初期図柄表示コマンドあるいは復帰画面指定コマンドを出力した後、直ちに機種データを出力するのである。第1実施例の機種指定コマンドと同様に、初期図柄表示コマンドあるいは復帰画面指定コマンドも、電源投入時あるいは電源復帰時にだけ出力されるコマンドであるから、これらコマンドに続けて機種データを出力することにすれば、機種指定コマンドを出力せずとも機種データを出力することができ、その分だけ、初期化ジョブを迅速に実施することが可能となる。
復帰画面指定コマンドに続いて機種データを出力したら(S262)、バックアップしておいた左図柄・中図柄・右図柄の各図柄指定コマンドを音声・ランプ制御部170に出力した後(S264)、第2実施例の初期化ジョブを終了して主制御部メインジョブに復帰する。
尚、左図柄・中図柄・右図柄の各図柄指定コマンドは、通常は変動パターン指定コマンドの後に出力されるコマンドであるため、音声・ランプ制御部170が変動パターン指定コマンドを受け取ることなく、これら図柄指定コマンドを受け取った場合には、コマンド順序が異常であるとしてエラーとなってしまう。しかし、復帰画面指定コマンドが出力された場合には、電源断からの復帰に伴う例外的な処理として、変動パターン指定コマンドを受け取ることなく左図柄・中図柄・右図柄の各図柄指定コマンドを受けとった場合でもエラーとなることはない。
また、以上の説明では、初期図柄表示コマンド(89h)あるいは復帰画面指定コマンド(8Ah)を出力した後に、機種データを出力するものとした。しかし、これらを一体のコマンドデータとして一度に出力することとしても良い。すなわち、バックアップデータがない場合は、1バイト分の初期図柄表示コマンドと1バイト分の機種データとを繋げた2バイトのコマンドデータを出力し、バックアップデータがある場合は、復帰が面指定コマンドと機種データとを繋げた2バイトのコマンドデータを出力することとしても良い。このように、コマンドと機種データとをコマンドデータとして一度に出力すれば、迅速に出力することが可能となる。
D−2.特別遊技時の制御内容:
上述した第1実施例では、特別遊技の最大ラウンド回数が、パチンコ機の機種によって異なっているものとして説明した(機種A,Bが15回で、機種Cが14回)。このような場合でも、音声・ランプ制御部170あるいは図柄制御部160に対して予めパチンコ機の機種データを出力しておけば、これら制御部ではラウンド回数に応じて演出内容を変更することができるので、主制御部から演出内容の変更を一々指示する必要が無くなり、主制御部の制御負荷を大きく軽減することが可能となる。
もっとも、予め機種データを出力しておくことによって得られるこうしたメリットは、最大ラウンド回数が機種毎に異なる場合に限られるものではない。むしろ、機種毎に遊技性が異なっており、それに伴って演出内容も大きく異なるような場合に、より大きなメリットを得ることができる。以下に説明する第2実施例では、パチンコ機の機種Cについては、他の機種A,Bとは異なり、次のような特別な遊技を行うものとする。すなわち、機種Cでは、大当り発生時の特別図柄の種類に関係なく、大入賞口を開口させる大当り状態の遊技が最終ラウンドを終了したら、その時点から特別図柄が所定回数(例えば50回)変動するまで、特別図柄の当否判定を当たり判定となる確率が高い(例えば1/75)高確率状態(確変状態)で行うとともに、特別図柄の変動時間を短縮させる制御を行うものとする。更に、高確率状態の間に大当りが発生しなかった場合には、高確率状態終了後、特別図柄の当否判定を通常の確率(例えば1/300)である低確率状態(通常状態)で行うとともに、特別図柄が高確率状態終了時から所定回数(例えば100回)変動するまで特別図柄の変動時間を短縮させる制御を行うものとする。一方、機種A,Bでは、大当り発生時の特別図柄の種類が確変図柄(例えば、1,3,5,7,9)であった場合は、その大当り遊技が終了してから次回の大当り遊技が発生するまで特別図柄の当否判定を高確率状態で行い、高確率状態における大当り発止時の特別図柄の種類が非確変図柄(例えば、0,2,4,6,8)であった場合は、その大当り遊技が終了したら、次回の大当り遊技が発生するまで特別図柄の当否判定を低確率状態で行うとともに、所定回数(例えば100回)だけ当否判定時の図柄変動時間を短縮させる制御を行うものとする。更に、機種Bでは、低確率状態(通常状態)における大当り発生時の特別図柄の種類が通常図柄(例えば、0,2,4,6,8)であった場合も、その大当り遊技が終了したら、次回の大当り遊技が発生するまで特別図柄の当否判定を低確率状態で行うとともに、所定回数(例えば100回)だけ当否判定時の図柄変動時間を短縮させる制御を行うものとする。このように、機種Cだけ他の機種A,Bとは大きく異なる遊技を行う場合であっても、主制御部140から音声・ランプ制御部170および図柄制御部160に向かって、機種データを予め出力しておけば、主制御部140から詳細な制御内容を指示せずとも、機種に応じて適切な演出を行うことが可能となる。以下、こうした第2実施例における特別遊技時の制御内容について説明する。
図28は、第2実施例において、機種Cの主制御部140が行う特別遊技関連ジョブの流れを示すフローチャートである。機種A,機種Bで行われる特別遊技関連ジョブの内容は、図25を用いて説明した第1実施例と同様である。以下、フローチャートに従って説明する。
機種Cにおいても、他の機種と同様に、特別遊技関連ジョブを開始すると、先ず初めに大当りか否か、すなわち特別遊技状態か否かを確認する(S302)。そして、大当り状態である場合は、所定期間だけ大入賞口を開口させる(S304)。詳細には、図25を用いて説明したように、大入賞口開口コマンドを出力し、所定時間の経過あるいは所定個数の入賞が確認されたら大入賞口閉鎖コマンドを出力する。
次いで、所定の継続条件が成立したか否かを判断し(S306)、継続条件が成立していれば(S306:yes)、所定ラウンド回数に達したか否かを判断する(S308)。ここで所定の継続条件とは、前述した第1実施例と同様に、大入賞口311の内部に設けられた特定領域(いわゆるV入賞口)を遊技球が通過していることを言う。また、所定ラウンド回数とは、機種Cについては14ラウンドに設定されている。
そして、継続条件が成立しており(S306:yes)、且つ、所定ラウンド回数に達していなければ(S308:no)、再びS304に戻って所定期間だけ大入賞口を開口させる。一方、継続条件が成立していないか(S306:no)、所定ラウンド回数に達した場合(S308:yes)は、大入賞口311を開口させる大当り遊技を終了して、確変遊技を開始する(S310)。確変遊技とは、特別図柄の抽選時に図柄変動の時間を短縮するとともに、大当りとなる確率が高い値(例えば1/70)に設定された高確率状態で行う遊技である。
第2実施例の機種Cでは、大当り遊技終了後、特別図柄の変動を所定回数(例えば50回)行うまでの期間は、確変遊技を行う設定になっている。そこで、確変遊技を開始したら、特別図柄の変動を行う度に、所定回数変動したか否かを判断する(S312)。
そして、所定回数の変動を行ったと判断されたら(S312:yes)、確変遊技を終了して今度は時短遊技を開始する(S314)。時短遊技とは、特別図柄の抽選時に図柄変動の時間を短縮した状態で行う遊技である。時短遊技を行うと、当否判定の結果が速やかに得られるので、保留数を効率よく消化することができる。更に、始動口17の開口時間も長くなるので遊技球が入賞し易くなり、図柄変動時間が短縮化されたことと相まって、特別図柄の抽選を短時間に数多く行うことができ、延いては大当り状態になり易い遊技状態となる。尚、時短遊技は、通常の遊技状態と同様に、特別図柄の抽選時に大当りとなる確率が通常の値(例えば1/300)に設定された低確率状態で行われる。
第2実施例の機種Cでは、確変遊技の終了後、特別図柄の変動を所定回数(例えば100回)行うまでの期間は、時短状態の遊技を行う設定になっている。そこで、時短遊技を開始したら、特別図柄の変動を行う度に、所定回数変動したか否かを判断する(S316)。そして、所定回数の変動を行ったと判断されたら(S316:yes)、時短状態での遊技も終了して、特別遊技関連ジョブを終了する。
このように、第2実施例の機種Cについては、大当り状態の終了後、確変状態、時短状態と、遊技状態が特別図柄の変動回数に応じて変化していく。音声・ランプ制御部170および図柄制御部160では、遊技状態が変化することに合わせて、その変化を遊技者に認識させるために演出内容も切り換えていく必要がある。第2実施例の音声・ランプ制御部170および図柄制御部160は、次のような制御を行っているので、主制御部140が一々コマンドを出力せずとも、こうした切り替えを行うことが可能である。以下、第2実施例の音声・ランプ制御部170および図柄制御部160が行う特別遊技関連ルーチンについて説明する。
図29は、特別遊技関連ルーチンの流れを示すフローチャートである。かかるルーチンは、第2実施例の機種Cの主制御部140が、上述した特別遊技関連ジョブを実行することと並行して、音声・ランプ制御部170および図柄制御部160によって実施されるルーチンである。
第2実施例の特別遊技関連ルーチンを開始すると、先ず初めに、主制御部140から大当り開始コマンドを受け取ったか否かを判断する(S702)。未だ、大当り開始コマンドを受け取っていなければ、開始コマンドが出力されるまで待機しておき、大当り開始コマンドを受け取ったら(S702:yes)、機種に応じた最終ラウンド数を取得する(S704)。第2実施例においても第1実施例と同様に、機種Aおよび機種Bについては15ラウンドが最終ラウンドであり、機種Cについては14ラウンドが最終ラウンドに設定されている。
続いて、主制御部140から大入賞口開口コマンドが出力されたか否かを判断し(S706)、大入賞口開口コマンドを受け取ったら、最終ラウンドか否かを判断する(S708)。すなわち、パチンコ機1が機種Aあるいは機種Bであれば、15ラウンド目か否かを判断し、機種Cであれば、14ラウンド目か否かを判断するのである。
そして、未だ最終ラウンドに達していないと判断した場合は(S708:no)、通常ラウンド用の演出を実施した後(S710)、再び大入賞開口コマンドが出力されたか否かを判断し(S706)、開口コマンドが出力されるまで待機する。こうした操作を繰り返し、最終ラウンドに達したら(S708:yes)、最終ラウンド用の演出を実施する(S712)。
最終ラウンド用の演出を終了したら、今度は、パチンコ機が機種Cか否かを判断する(S714)。前述したように、パチンコ機の電源投入時あるいは復電時に主制御部140から音声・ランプ制御部170および図柄制御部160に向かって機種データが出力されているので、かかるデータを参照することにより、機種Cか否かを容易に判断することができる。
そして、機種Cではないと判断された場合は(S714:no)、そのまま特別遊技関連ルーチンを終了し、この後、大当り発生時の特別図柄の種類(確変図柄または非確変図柄)や遊技状態(確変状態または通常状態)に応じた演出制御を行う。一方、機種Cと判断された場合は(S714:yes)、更に続く一連の処理を行う。すなわち、前述したように第2実施例では、機種Cの場合は、大当り発生時の特別図柄の種類に関係なく大当り状態が終了してもそのまま特別遊技を終了せずに、特別図柄の変動回数に応じて確変遊技、時短遊技と遊技状態を変化させるので、大当り状態が終了したら、パチンコ機が機種Cか否かを判断するのである。
S714でパチンコ機が機種Cと判断された場合は、確変状態となったことを遊技者に報知させるべく、確変用の演出を開始する(S716)。続いて、特別図柄の変動を所定回数行ったか否かを判断する(S718)。前述したように、第2実施例における機種Cでは、大当り状態終了後、変動を所定回数(例えば50回)行うまでは確変状態で遊技を実行する設定になっているので、変動回数が所定回数に達したか否かを判断するのである。そして、変動回数が所定回数に達したと判断されたら(S718:yes)、遊技状態が時短遊技に切り換わったことを遊技者に報知させるべく、今度は、時短用の演出を開始する(S720)。前述したように、時短状態での遊技は、特別図柄の変動を所定回数(例えば100回)行うまでの期間だけ実施される設定となっている。そこで、時短用の演出を開始したら、特別図柄の変動を所定回数(例えば100回)行ったか否かを判断し(S722)、変動を所定回数行うまで時短状態の演出を継続する。そして、所定回数の変動を行ったと判断されたら(S722:yes)、第2実施例の特別遊技関連ルーチンを終了する。
以上に説明した第2実施例の特別遊技関連ルーチンでは、パチンコ機が機種Cである場合は、大当り遊技終了後の演出内容が前述したように大当り発生時の特別図柄の種類に関係なく、特別図柄の変動回数に応じて「確変状態」から「時短状態」に続けて切り換わっていくのに対し、パチンコ機が機種Aまたは機種Bである場合、前述したように大当り遊技終了後は大当り発生時の特別図柄の種類(確変図柄または非確変図柄)や遊技状態(確変状態または通常状態)に応じた演出制御を行うこととなり、大当り遊技終了後の演出内容は「確変状態」または「時短状態」または「通常状態」のうちのどれか一つとなるので、「確変状態」から「時短状態」に続けて切り換わることはない。このように、機種A,Bとは全く異なる態様で演出内容が切り換わる機種Cの場合でも、予め機種データを出力しておくことで、主制御部140から切り替えを指示するためのコマンドを出力することなく演出内容を切り換えることが可能となる。すなわち、上述した説明では、機種Cであれば最終ラウンドが14ラウンドで、確変状態での特別図柄の変動回数が50回、時短状態での特別図柄の変動回数が100回と決まっているので、主制御部140からは一々演出内容を指示するコマンドを出力せずとも、音声・ランプ制御部170および図柄制御部160が記憶している機種データに基づいて、自律的に演出内容を切り換えることができる。
その結果、主制御部140の制御負荷を軽減することが可能となる。また、音声・ランプ制御部170および図柄制御部160が自律的に演出内容を切り換えることができるので、各機種の基板を共通化して、同じ音声・ランプ制御基板370および図柄制御基板360を使用することも可能となる。
E.遊技中機種指定コマンドの詳細:
以上に詳しく説明したように、本実施例のパチンコ機1では、主制御部から音声・ランプ制御部170に向かって、パチンコ機の機種(あるいはスペック)を表す機種指定コマンドを出力することで、音声・ランプ制御部170および図柄制御部160に機種(あるいはスペック)を認識させ、これにより、主制御部140の制御負荷の軽減と、各機種の基板の共通化とを図っている。もっとも、各種基板に電力を供給するコネクタの接触不良などの理由から、音声・ランプ制御部170や図柄制御部160などのいわゆる副制御部のみ電力の供給が途絶えてしまうことが生じ得る。また、各基板に設けられているバックアップ電源の容量の違いから、遊技店の停電時に主制御部140のデータは失われなかったものの、音声・ランプ制御部170や図柄制御部160などの副制御部に記憶されているデータのみが失われてしまう場合も生じ得る。このような場合を考慮して、本実施例のパチンコ機1では、遊技中にも、制御の負担とならないタイミングを見計らって遊技中機種指定コマンドを出力している。このため、本実施例のパチンコ機1では、遊技中にも、音声・ランプ制御部170や図柄制御部160が、機種(あるいはスペック)の情報を取得することが可能であり、機種に応じて演出内容を適切に切り換えることができる。以下では、こうした遊技中機種指定コマンドについて詳しく説明する。
図30(a)は、本実施例のパチンコ機1において、主制御部140から音声・ランプ制御部170に向かって出力される遊技中機種指定コマンドを一覧的に示した説明図である。図示されているように、本実施例のパチンコ機1では遊技中機種指定コマンドとして、「始動入賞指定コマンド」と、「普通図柄停止コマンド」と、「特別図柄停止コマンド」の3種類のコマンドが設けられている。ここで、前述したように、始動入賞指定コマンドとは、遊技球が始動口17に入賞したことを指定するために、主制御部140から音声・ランプ制御部170に向かって出力されるコマンドである。また、普通図柄停止コマンドとは、普通図柄の変動表示を停止させるために主制御部140から出力されるコマンドであり、特別図柄停止コマンドとは、特別図柄の変動表示を停止させるために、主制御部140から出力されるコマンドである。
先ず、始動入賞指定コマンドについて説明すると、機種Aのパチンコ機1では、始動入賞指定コマンドとして「A900h」を出力し、機種Bのパチンコ機1では「A901h」を、機種Cのパチンコ機1では「A902h」を出力する。尚、「h」とは16進数表示されていることを表している。これらコマンドのうち、上位の1バイト分はいずれも「A9h」と同じ値となっている。この上位の1バイトは、遊技球が始動口17に入賞したことを表している部分、いわばこのコマンドを、始動入賞指定コマンドたらしめている部分(コマンドの本体部分)である。また、上述した3つのコマンドの下位1バイトは、機種Aについては「00h」、機種Bについては「01h」、機種Cについては「02h」と、いずれも各機種の機種データと一致している。すなわち、本実施例のパチンコ機1における始動入賞指定コマンドは、コマンドの本体部分に相当する上位1バイトのデータと、機種データを表す下位1バイトのデータとが合成された合計2バイトのデータとなっている。
また、普通図柄停止コマンドについては、機種Aのパチンコ機1では「9700h」を出力し、機種Bのパチンコ機1では「9701h」を、機種Cのパチンコ機1では「9702h」を出力する。これら3つのコマンドで共通している上位1バイトのデータ「97h」は、普通図柄の変動表示を停止させることを意味している部分(コマンドの本体部分)である。また、下位1バイトのデータは、それぞれの機種データと一致している。すなわち、普通図柄停止コマンドは、コマンドの本体部分に相当する上位1バイトのデータと、機種データを表す下位1バイトのデータとが合成された合計2バイトのデータとなっている。
更に、特別図柄停止コマンドについては、機種Aのパチンコ機1では「8700h」を、機種Bのパチンコ機1では「8701h」を出力し、機種Cのパチンコ機1では「8702h」を出力する。これら3つのコマンドで共通している上位1バイトのデータ「87h」は、特別図柄の変動表示を停止させることを意味しており、このコマンドを特別図柄停止コマンドたらしめている部分(コマンドの本体部分)である。また、下位1バイトのデータは、それぞれの機種データと一致している。
このように、本実施例のパチンコ機1における始動入賞指定コマンド、普通図柄停止コマンド、特別図柄停止コマンドは、いずれも、コマンドの本体部分に相当する上位1バイトのデータと、機種データに相当する下位1バイトのデータとが合成された構造となっている。従って、本実施例のパチンコ機1では、遊技中にこれら始動入賞指定コマンド、普通図柄停止コマンド、特別図柄停止コマンドを出力する度に、パチンコ機1の機種を指定することが可能となっており、遊技中機種指定コマンドとして機能していることになる。その結果、音声・ランプ制御部170や図柄制御部160などで記憶されている機種に関する情報が、遊技中に何らかの原因で消えてしまった場合でも、遊技球が始動口17に入賞する度に、そして普通図柄や特別図柄が停止する度に、機種に関する情報を取得して適切な演出を行うことが可能となる。
また、始動入賞指定コマンド、普通図柄停止コマンド、特別図柄停止コマンドを遊技中機種指定コマンドとしておけば、主制御部140や、音声・ランプ制御部170、図柄制御部160などにおける制御負荷を増加させることなく、機種に関する情報を出力することが可能である。以下では、この点について説明する。
図30(b)は、一般的なパチンコ機における始動入賞指定コマンド、普通図柄停止コマンド、特別図柄停止コマンドを示している。図示されているように、これら3つのコマンドは、上位1バイトにはそれぞれのコマンドに対応する値が設定されているが、下位の1バイトはいずれも「00h」となっている。これは、これら3つのコマンドは、いずれも単純な内容しか表していないため、1バイトあればコマンドの内容を十分に表現可能であることによる。
例えば、始動入賞指定コマンドは、単に遊技球が始動口17に入賞したことを伝達するだけであり、普通図柄停止コマンドは普通図柄の変動表示を停止させる旨を、特別図柄停止コマンドは特別図柄の変動表示を停止させる旨を指示しているに過ぎない。これに対して、例えば図23に示した左特別図柄指定コマンドであれば、上位1バイトには左特別図柄指定コマンドであることを示す値「84h」となり、下位の1バイトには指定する図柄を特定するための値が来る。このように、多くのコマンドでは内容を表すために通常2バイトが必要となるのに対し、始動入賞指定コマンド、普通図柄停止コマンド、特別図柄停止コマンドについては、上位1バイトあればコマンドの内容を表すことができる。すなわち、下位1バイトは使われていない状態となっている。この使われていない下位1バイトに機種データを組み込んでおいたとしても、主制御部140がコマンドを出力する手間は同じであり、何ら制御負荷を増加させることはない。また、音声・ランプ制御部170や図柄制御部160などの副制御部にとっても、機種データを受け取るために、特別のコマンドを受ける必要が生じるわけではなく、従って、音声・ランプ制御部170や図柄制御部160の制御負荷を増加させるわけでもない。
このように、本実施例では、2バイトのコマンドデータの中で、使用されていないバイトに機種データを組み込んで、遊技中機種指定コマンドとしての機能を持たせることにより、何ら制御負荷を増加させることなく、遊技中に機種の情報を音声・ランプ制御部170や図柄制御部160などに出力することを可能としているのである。
尚、以上の説明では、始動入賞指定コマンド、普通図柄停止コマンド、特別図柄停止コマンドの3つのコマンドに、遊技中機種指定コマンドとして機能を持たせているが、もちろん、他にも、使用されていないバイトを含むコマンドがあれば、そのコマンドに機種データを組み込んで、遊技中機種指定コマンドとして機能させることも可能である。もっとも、始動入賞指定コマンド、普通図柄停止コマンド、特別図柄停止コマンドの3つのコマンドは、遊技中に頻繁に出力されるコマンドであることから、これらのコマンドに遊技中機種指定コマンドの機能を組み込んでおけば、速やかに機種データを供給することが可能となるので好ましい。更に、始動口17への遊技球の入賞は、他の多くの演出のきっかけとなることから、始動入賞指定コマンドに機種データを組み込んでおけば、多くの場合に、演出が開始される前に機種データを供給することが可能となるという利点も得ることができる。
F.第3実施例のパチンコ機の制御の概要 :
また、遊技機の機種あるいはスペックの違いによって、大当りが発生することとなる特別図柄の組合せ数のうち、確変機能が作動することとなる特別図柄の組合せ数が占める割合、(いわゆる確変突入率)が異なる値に設定とされる場合がある。確変突入率が異なる機種間では、特別図柄表示装置27に表示される特別図柄(疑似図柄)の設定も異なるが、主制御部140から音声・ランプ制御部170に向かって機種指定コマンドを出力することにより、音声・ランプ制御部170がパチンコ機の機種(あるいはスペック)を認識可能としておけば、異なる機種間(あるいは異なるスペック間)で音声・ランプ制御部170の構成を共通化することが可能となる。以下では、かかる第3実施例について説明する。
図31は、第3実施例のパチンコ機で行われる特別図柄制御ジョブの流れを示すフローチャートである。かかるジョブは、図22を用いて前述した第1実施例の特別図柄制御ジョブと同様に、図12に示した主制御部メインジョブの中で主制御部140によって実行されるジョブである。以下、フローチャートに従って説明する。
第3実施例の特別図柄制御ジョブを開始すると、先ず初めに、現在の遊技状態が特別遊技状態であるか否かを判断し(S402)、特別遊技中でないと判断された場合は(S402:no)、後述するように当否の判定に続く一連の処理を行う。一方、特別遊技中であると判断された場合は(S402:yes)、当否判定に続く処理を行うことなく、図31に示す特別図柄制御ジョブを抜けて、図12の主制御部メインジョブに復帰する。
S402において特別遊技中でないと判断された場合は(S402:no)、当否の判定に先立って、現在の遊技状態が確変中か否かを判断する(S404)。これは、前述したように確変中は低確率状態(通常状態、時短状態)に比べて、当否判定結果が当りになる確率が高い確率に設定されていることに対応したものである。そして、確変中であると判断された場合は(S404:yes)、大当りの確率が高めに設定された状態で、特別図柄の当否判定を行う(S406)。一方、確変中でないと判断された場合は(S404:no)、大当りの確率が通常の値に設定された状態で、特別図柄の当否判定を行う(S408)。
本実施例の遊技機では、特別図柄の当否の判定は、次のような当否判定テーブルを参照することによって行っている。図32は、特別図柄の当否判定を行うために参照する当否判定テーブルを概念的に示した説明図である。図示されているように、当否判定テーブルには、図32(b)に示す確変用のテーブルと図32(a)に示す非確変用のテーブルとが用意されており、それぞれのテーブルには、特別図柄の当否判定を行うために取得された乱数(特別図柄当否判定乱数)に対して、「通常当り」、「確変当り」、「外れ」の何れかの当否判定結果が対応付けて記憶されている。また、図32(a)と図32(b)とを比較すれば明らかなように、確変中に参照される当否判定テーブルは、非確変中に参照される当否判定テーブルよりも当りの確率が高くなっている。図31に示した特別図柄制御ジョブのS406あるいはS408では、確変中か否かに応じて図32に示した当否判定テーブルを参照することにより、当否の結果が、通常当り、確変当り、外れの何れであるかを決定する処理を行う。
尚、図32に例示したテーブルでは、通常当りが発生する確率と、確変当りが発生する確率とが同じ確率に設定されている。これは、第3実施例の機種(またはスペック)が、いわゆる確変突入率が50%に設定されていることに対応したものである。従って、確変突入率が異なる値に設定された機種では、特別図柄当否判定乱数と当否判定結果との対応関係も、それに応じて異なった設定となっている。
こうして特別図柄の当否判定を行ったら、特別図柄関連コマンドを音声・ランプ制御基板370に向かって出力するための一連の処理を行う。すなわち、先ず初めに、特別図柄を変動表示させるパターン(変動パターン)を決定する(S410)。変動パターンは、特別図柄の当否に応じて抽選を行うことにより、決定することができる。
次いで、決定した特別図柄の変動パターンを指定するコマンド(変動パターン指定コマンド)を、音声・ランプ制御部170に出力した後(S412)、パチンコ機の機種(あるいはスペック)を示すコマンド(機種指定コマンド)を音声・ランプ制御部170に出力する(S414)。第3実施例では、パチンコ機の機種として、機種Aおよび機種Bの2つの機種が設定されており、機種Aの場合には機種指定コマンドとして「8D00h」が出力され、機種Bの場合には「8D01h」が出力されるものとする。ここで、「h」はいわゆる16進数表示されていることを示し、「8Dh」はコマンドが機種指定コマンドであり、続く1バイトのデータが機種を表していることを示している。また、「8Dh」に続く「00h」は機種Aであることを示し、「01h」は機種Bであることを示している。
こうして機種指定コマンドを出力したら、続いて、当否判定の結果に応じて停止表示すべき特別図柄(本図柄)を決定して、決定した特別図柄を指定するコマンド(特別図柄指定コマンド)を出力する(S416)。ここで本図柄とは、図4を用いて前述したように、特別図柄表示装置27の表示画面271の下方に設けられた主表示領域271Aに、小さく表示される特別図柄である。
図33は、主表示領域271Aに特別図柄(本図柄)が表示されている様子を示している。図示されているように、本実施例のパチンコ機では、特別図柄(本図柄)は、円形が3つの領域に塗り分けられた図柄として表示されており、これら3つの領域は、それぞれ「赤」、「緑」、「青」の何れかの色で塗り分けられている。3つの領域がそれぞれ3色の中の何れかを取り得るから、結局、本図柄としては、3×3×3=27通りの図柄を表示することが可能となっている。
図34は、特別図柄(本図柄)の取り得る27通りの図柄を例示した説明図である。図示されているように各図柄には、「00h」から「1Ah」までの図柄番号が設定されており、図柄番号によって何れの本図柄を表示するかを指定することが可能となっている。また、これら27通りの本図柄は、それぞれ当否判定の結果に応じて予め対応付けられている。
図35は、27通りの特別図柄(本図柄)が当否判定の結果に対応付けられている様子を例示した説明図である。図示されているように、機種Aのパチンコ機では、いわゆる「確変当り」には「00h」〜「0Ch]の13通りの本図柄が対応付けられており、いわゆる「通常当り」には「0Dh」〜「19h」までの13通りの本図柄が対応付けられており、「外れ」には「1Ah」の本図柄が対応付けられている。このように、確変当りと通常当りとで本図柄が同数ずつ対応付けられているのは、機種Aでは、いわゆる確変突入率が50%に設定されていることに対応したものである。また、機種Bのパチンコ機では、「確変当り」には「00h」〜「11h」までの18通りの本図柄が対応付けられており、「通常当り」には「12h」〜「19h」までの8通りの本図柄が対応付けられており、「外れ」には「1Ah」の本図柄が対応付けられている。このように、確変当りに対応付けられた本図柄数と通常当りに対応付けられた本図柄数が、それぞれ「18」と「8」なっているのは、機種Bの確変突入率が約70%に設定されていることに対応したものである。
図31に示したS416では、こうした対応関係に基づき、パチンコ機の機種と当否判定結果との組合せに応じて、対応する本図柄を抽選によって決定した後、決定した本図柄を指定する特別図柄指定コマンドを、音声・ランプ制御部170に向かって出力する処理を行う。尚、本実施例においては、特別図柄指定コマンドは、特別図柄指定コマンドであることを表す先頭バイト(本実施例では「84h」)に、図34に示した本図柄の図柄番号を示す1バイトデータを組み合わせた合計2バイトのデータとして出力される。
こうして特別図柄指定コマンドを出力したら、最後に、本図柄および疑似図柄を停止するコマンド(特別図柄停止コマンド)を音声・ランプ制御部170に向かって出力した後(S418)、図31に示す特別図柄制御ジョブを終了して、図12の主制御部メインジョブに復帰する。
以上に説明したように、第3実施例の特別図柄制御ジョブでは、パチンコ機の機種を示すコマンドと、特別図柄(本図柄)を示すコマンドとを音声・ランプ制御部170に向かって出力しており、音声・ランプ制御部170では、副制御部メインルーチンを実行することにより、主制御部140から受け取った機種および本図柄に基づいて、表示画面271に表示すべき特別図柄(疑似図柄)の具体的な表示態様を決定する処理を行っている。以下では、第3実施例の音声・ランプ制御部170によって実行される副制御部メインルーチンについて説明する。
図36は、第3実施例の副制御部メインルーチンで行われる処理の前半部分を示すフローチャートである。また、図37は、副制御部メインルーチンの後半部分の処理を示すフローチャートである。以下、フローチャートに従って説明する。
第3実施例の副制御部メインルーチンにおいても、図15に示した第1実施例のルーチンと同様に、処理を開始すると先ず初めに初期化ルーチンを行った後(S510)、デモ演出ルーチンを行う(S530)。これらの処理は、前述した第1実施例における処理と全く同様であるため、ここでは説明を省略する。
続いて、変動パターン指定コマンドおよび機種指定コマンドを、主制御部140から受信したか否かを判断する(S5002)。すなわち前述したように、遊技者によって遊技が開始されると、主制御部140では図31を用いて前述した特別図柄制御ジョブが実行されて、変動パターン指定コマンドおよび機種指定コマンドが出力されるので、音声・ランプ制御部170では、これらのコマンドを主制御部140から受信したか否かを判断する。そして、これらコマンドを受け取っていない場合は(S5002:no)、未だ客待ち状態であると判断して、デモ演出ルーチンを実行した後(S530)、再び、変動パターン指定コマンドおよび機種指定コマンドを受信したか否かを判断する(S5002)。こうした処理を繰り返すうちに遊技者による遊技が開始され、その結果、主制御部140から出力された変動パターン指定コマンドおよび機種指定コマンドを受け取ったと判断したら(S5002:yes)、特別図柄(すなわち主表示領域271Aに表示された本図柄、および表示画面271に表示された疑似図柄)の変動表示を開始する(S5004)。
特別図柄の変動表示を開始すると、次は、特別図柄指定コマンドを受け取ったか否かを判断する(S5006)。前述したように特別図柄指定コマンドは、主表示領域271Aに変動表示されている本図柄を、図34に示した27通りの中の何れの図柄で停止させるかを指定する2バイトのコマンドであり、先頭バイトは、そのコマンドが特別図柄指定コマンドであることを表す「84h」となっている。図36のS5006では、「84h」から始まるコマンドを受け取ったか否かを判断し、受け取っていない場合は(S5006:no)、特別図柄指定コマンドを受け取るまで待機する。そして、特別図柄指定コマンドを受け取ったことを確認したら(S5006:yes)、表示画面271で変動表示されている疑似図柄の停止図柄(停止特別図柄)を決定する処理を開始する(S5008)。
停止表示する疑似図柄(停止特別図柄)の決定に際しては、音声・ランプ制御基板370のROM173に記憶されている対応テーブルを参照しながら、主制御部140から受け取った機種指定コマンドおよび特別図柄指定コマンドに基づいて決定する。図38は、音声・ランプ制御基板370のROM173に記憶されている対応テーブルを概念的に示した説明図である。図示されているように対応テーブルには、機種指定コマンドと特別図柄指定コマンドとの組合せに対応付けて、疑似図柄を何れの図柄で停止させればよいかが予め設定されている。
例えば、機種指定コマンドが「8D00h」であり(パチンコ機は機種A)、特別図柄指定コマンドが「8400h」である場合は、いわゆる確変当り状態であって、疑似図柄は「1」を表した図柄をゾロ目の状態で、赤色で表示する旨が設定されている。また、機種指定コマンドが「8D00h」であり、特別図柄指定コマンドが「840Dh」である場合は、いわゆる通常当り状態であって、疑似図柄は「0」を表した図柄をゾロ目の状態で、青色で表示する旨が設定されている。更に、機種指定コマンドが「8D00h」であり、特別図柄指定コマンドが「841Ah」である場合は外れであり、疑似図柄は、いわゆるバラケ目となる図柄を抽選によって決定する旨が設定されている。結局、図38の対応テーブルには、機種指定コマンドが「8D00h」(すなわち、パチンコ機が機種A)である場合は、「8400h」〜「840Ch」の特別図柄指定コマンドに対しては、「1」、「3」、「5」、「7」、「9」の何れかのゾロ目の図柄を赤色で表示し、一方、「840Dh」〜「8419h」の特別図柄指定コマンドに対しては、「0」、「2」、「4」、「6」、「8」の何れかのゾロ目の図柄を青色で表示し、特別図柄指定コマンド「841Ah」に対しては、バラケ目を表示する旨が設定されている。
同様に、機種指定コマンドが「8D01h」である場合(パチンコ機は機種B)は、次のように設定されている。先ず特別図柄指定コマンドが「8400h」である場合は、いわゆる確変当り状態であって、疑似図柄は「0」を表した図柄をゾロ目の状態で、赤色で表示する。また、特別図柄指定コマンドが「8412h」である場合は、いわゆる通常当り状態であって、疑似図柄は「2」を表した図柄をゾロ目の状態で、青色で表示する旨が設定されている。更に、特別図柄指定コマンドが「841Ah」である場合は外れであり、疑似図柄は、いわゆるバラケ目となる図柄を抽選によって決定する旨が設定されている。結局、図38の対応テーブルには、機種指定コマンドが「8D01h」(すなわち、パチンコ機が機種B)である場合は、「8400h」〜「8411h」の特別図柄指定コマンドに対しては、「0」、「1」、「3」、「5」、「7」、「8」、「9」の何れかのゾロ目の図柄を赤色で表示し、一方、「8412h」〜「8419h」の特別図柄指定コマンドに対しては、「2」、「4」、「6」の何れかのゾロ目の図柄を青色で表示し、特別図柄指定コマンド「841Ah」に対しては、バラケ目を表示する旨が設定されている。
図38に設定されているこうした対応関係は、主制御部140から出力される特別図柄指定コマンドと当否判定結果との対応関係に応じたものとなっている。例えばパチンコ機が機種Aである場合、図35を用いて前述したように、当否判定結果が確変当りであれば「00h」〜「0Ch」の中から本図柄が選択され、当否判定結果が通常当りであれば「0Dh」〜「19h」の中から本図柄が選択され、当否判定結果が外れであれば、本図柄は必ず「1Ah」が選択される。このことと対応して、図38に示した対応テーブルにおいても機種指定コマンドが「8D00h」(すなわちパチンコ機が機種A)である場合には、「8400h」〜「840Ch」の特別図柄指定コマンドに対しては、「1」、「3」、「5」、「7」、「9」の何れかのゾロ目の図柄を、確変当りを表す赤色で表示し、一方、「840Dh」〜「8419h」の特別図柄指定コマンドに対しては、「0」、「2」、「4」、「6」、「8」の何れかのゾロ目の図柄を、通常当りを表す青色で表示し、特別図柄指定コマンド「841Ah」に対しては、外れを表すバラケ目を表示する旨が設定されている。また、機種Aでは、確変突入率が50%に設定されていることに対応して、確変当り時に表示されるゾロ目の図柄は、「0」〜「9」までの10通りの図柄の中から選択された5通りの図柄の何れかに設定されている。
同様に、パチンコ機が機種Bである場合は、当否判定結果が確変当りであれば「00h」〜「11h」の中から本図柄が選択され、当否判定結果が通常当りであれば「12h」〜「19h」の中から本図柄が選択され、当否判定結果が外れであれば、本図柄は必ず「1Ah」が選択される(図35参照のこと)。このことと対応して図38に示した対応テーブルにおいても、機種指定コマンドが「8D01h」(すなわちパチンコ機が機種B)である場合には、「8400h」〜「8411h」の特別図柄指定コマンドに対しては、「0」、「1」、「3」、「5」、「7」、「8」、「9」の何れかのゾロ目の図柄を、確変当りを表す赤色で表示し、一方、「8412h」〜「8419h」の特別図柄指定コマンドに対しては、「2」、「4」、「6」の何れかのゾロ目の図柄を、通常当りを表す青色で表示し、特別図柄指定コマンド「841Ah」に対しては、外れを表すバラケ目を表示する旨が設定されている。また、機種Bでは、確変突入率が70%に設定されていることに対応して、確変当り時に表示されるゾロ目の図柄は、「0」〜「9」までの10通りの図柄の中から選択された7通りの図柄の何れかに設定されている。
図36に示した副制御部メインルーチンのS5008では、図38に例示した対応テーブルを参照しながら、機種指定コマンドおよび特別図柄指定コマンドの組合せに応じて、疑似図柄の停止図柄を決定する処理を行う。
こうして疑似図柄の停止図柄を決定したら(S5008)、主制御部140から特別図柄停止コマンドを受信したか否かを判断し(S5010)、未だ停止コマンドを受信していない場合は(S5010:no)、コマンドを受信するまで、特別図柄(本図柄および疑似図柄)を変動表示させたままの状態で待機する。そして、特別図柄指定コマンドを受け取ったことが確認されたら(S5010:yes)、本図柄および疑似図柄の変動表示を停止させる(図37のS5012)。
次いで、大当りが発生したか否かを判断する(S5014)。かかる判断は、主制御部140から受け取った特別図柄指定コマンドに基づいて容易に行うことができる。すなわち、当否判定結果が当りの場合には、「8400h」〜「8419h」の何れかの特別図柄指定コマンドが出力されるので、受け取ったコマンドがこれらのコマンドに該当しているか否かに基づいて、当否判定結果が当りか否か(すなわち大当りが発生したか否か)を判断することができる。
大当りが発生したと判断された場合は(S5014:yes)、前述した大当り演出ルーチン(S550)および特別遊技関連ルーチン(S600)を行う。これらのルーチンは、前述した第1実施例における処理と同様であるため、ここでは説明を省略する。一方、大当りではないと判断された場合は(S5014:no)、大当り演出ルーチン(S550)および特別遊技関連ルーチン(S600)はスキップする。
以上のような処理を行ったら、最後に、電源のスイッチがOFFにされたか否かを判断し(S5016)、電源がOFFになっていなければ(S5016:no)、再びデモ演出ルーチン(図36のS530)に戻って、上述した続く一連の処理を繰り返す。一方、電源がOFFにされたと判断された場合には(S5016:yes)、図36に示した第3実施例の副制御部メインルーチンを終了する。
以上に説明した第3実施例においては、主制御部140から機種指定コマンドと特別図柄指定コマンドとを出力しておき、音声・ランプ制御部170で本図柄に対応する疑似図柄の表示態様を決定するに際しては、主制御部140から出力された機種指定コマンドと特別図柄指定コマンドとに基づいて決定している。このため音声・ランプ制御部170では、特別図柄指定コマンドと疑似図柄との表示態様とを、機種に応じて自由に設定しておくことが可能である。例えば、同じ特別図柄指定コマンド「840Eh」を受け取った場合でも、機種Aであれば通常当り状態を表す青色で「2」のゾロ目を表示し、機種Bであれば確変当り状態を表す赤色で「0」のソロ目を表示するといったように、機種に応じて異なる疑似図柄を表示させることが可能である。もちろん、このように機種間で疑似図柄の表示態様を自由に変更することができれば、機種間で確変突入率が異なっている場合でも、音声・ランプ制御基板370や図柄制御基板360については同じ制御基板を使用することができる。
このように機種間で音声・ランプ制御基板370や図柄制御基板360などを共用することができれば、これらを機種毎に開発する必要が無くなるので、開発作業を大幅に効率化することが可能となる。更に、機種間で制御基板を共通化しておけば、生産すべき基板の種類を減少させることができるので、生産効率の向上および、ROMなどの部品の誤組み付けを大きく減少させることが可能となる。
また、上述した第3実施例においては、機種指定コマンドは、特別図柄の変動開始時に音声・ランプ制御部170に向かって出力されている。このため、停電や配線の接続不良など、何らかの理由で音声・ランプ制御基板370の電源が瞬間的に切断された場合でも、電断復帰後の図柄の変動開始時に機種指定コマンドを受け取って、機種に対応する適切な疑似図柄を決定することが可能となる。
尚、以上に説明した第3実施例では、主制御部140から供給された特別図柄指定コマンドに基づいて疑似図柄を決定する際に、機種指定コマンドの内容を考慮するものとした。もちろん、特別図柄指定コマンドから疑似図柄を決定する場合だけでなく、例えば、変動パターン指定コマンドから実際の変動パターンを決定する際にも、機種指定コマンドの内容を考慮することとしても構わない。こうすれば、機種に応じて具体的な演出内容を異ならせながらも、音声・ランプ制御基板370を初めとする各種基板を共通化することが可能となる。
なお、前述した第3実施例では特別図柄当否判定乱数を用いて、通常当り、確変当り、外れを決定していたが、特別図柄当否判定乱数によっては、当りか外れかだけを決定し、当りの場合には、さらに別の乱数(当り特別図柄乱数)を用いて、通常当りか確変当りかを決定することとしてもよい。
以上、本発明についての各種の実施の形態を説明したが、本発明はこれに限定されるものではなく、各請求項に記載した範囲を逸脱しない限り、各請求項の記載文言に限定されず、当業者がそれらから容易に置き換えられる範囲にも及び、かつ、当業者が通常有する知識に基づく改良を適宜付加することができる。
例えば、上述した実施例では、初期図柄やデモの表示、あるいは特別遊技関連の演出に際して、機種データを考慮するものとして説明したが、これらに限らず、例えば、普通図柄や特別図柄の表示、あるいは疑似図柄の表示、各種抽選に伴う演出など、種々の制御においても機種データを考慮しながら行うこととしても良い。