JP4446009B1 - シワ形成リスク評価方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】非侵襲的な手段を用いて採取した皮膚角層を用いて、将来の皮膚老化リスクをとなる指標を提供する。
【解決手段】皮膚角層中のプロフィリン1蛋白質量を指標とする皮膚老化リスクの評価方法。
【選択図】図2

Description

皮膚老化リスクを予測する技術に関する。
本出願人は老化について従来より着目して研究開発を行っている。老化に伴って変動する蛋白質を見出して特許文献1(国際公開第07/023808号パンフレット)等を提案している。
プロフィリン1に関しては、プロフィリンの産生を阻害し、植物の生育修正を変更する技術(特許文献2:特開平11−69921号公報)、組織損傷の結果として放出された遊離アクチンにより生じる二次的組織損傷を抑制する技術(特許文献3:特開2005−41881号公報)、神経系障害、ニューロンの障害を検出、診断するマーカーとする技術(特許文献4:特開2007−532915号公報)、上皮性癌のバイオマーカーとする技術(特許文献5:特開2008−529008号公報)が知られている。
国際公開第07/023808号パンフレット 特開平11−69921号公報 特開2005−41881号公報 特開2007−532915号公報 特開2008−529008号公報
本発明は、非侵襲的な手段を用いて採取した皮膚角層を用いて、将来の皮膚老化リスクの指標を提供することを目的とする。
本発明の主な構成は、次のとおりである。
(1)皮膚角層中のプロフィリン1蛋白質量を指標とし、プロフィリン1蛋白質量が多いほどシワ形成リスクが高いと評価することを特徴とするシワ形成リスクの評価方法。
(2)皮膚角層から抽出したプロフィリン1蛋白質の量を、あらかじめ測定した被験者の年齢層の標準的プロフィリン蛋白質量と比較対比することを特徴とする(1)記載のシワ形成リスクの評価方法。
(3)皮膚角層が、非侵襲的なテープストリッピング手段によって採取された皮膚角層であることを特徴とする(1)又は(2)記載のシワ形成リスクの評価方法。
(4)45歳以降に形成されるシワ形成リスクが、45歳以前の被験者から採取した皮膚角層から検出したプロフィリン1蛋白質量を指標とするものであることを特徴とする()記載のシワ形成リスクの評価方法。
(5)採取される皮膚角層が、ほほ由来であることを特徴とする(4)に記載されたシワ形成リスクの評価方法。
(6)(1)〜(5)のいずれかに記載されたシワ形成リスクの評価方法を用いて、シワ形成リスクに影響を与える成分をスクリーニングする方法。
本発明は、生体内において広範囲に発現しているタンパク質であり、細胞内の細胞骨格構成タンパク質であるプロフィリン1が皮膚老化リスク評価の指標となることを明らかにしたものである。
特に、老化現象の対象として、シワ形成に着目した物である。ほほからテープストリッピング等の被侵襲的な手段により採取された皮膚角層を用いて、プロフィリン1を検出してその発現量を測定することにより、シワ形成などの将来予測をすることができる。特に、45歳以降に発生するシワ形成の予測に有効である。
将来のシワ形成などの老化現象を予防するために有効な化粧料を選択するなどの予防措置を講ずることができる。あるいは、シワ形成リスクなどの皮膚老化リスクに対する美容カウンセリングを的確に行うことができる。
本発明に用いるプロフィリン1(PFN1、Gene ID 5216)は、生体内において広範囲に発現しているタンパク質であり、細胞内の細胞骨格構成タンパク質であるアクチンの重合・脱重合を調節するタンパク質として知られている。
本願発明は、非侵襲的な手法により採取した皮膚角層中に存在するタンパク質であるプロフィリン1を計測した存在量に基づいて、当該皮膚角層の出所元となった人の将来の皮膚老化リスクを知ることができるものである。特に、若いときには表見されていなくても、45歳以降シワの発生状況が若いときのプロフィリン1の発現量に相関することを解明した。
本発明者は、年齢別にプロフィン1の発現量を高中低の3段階にモデル化することにより、45歳付近まではシワは同程度の増加傾向にあるが、45歳程度以降は高度プロフィン1群のシワ面積が加速するのに対して低度プロフィン1群のシワ面積は増加が抑制されることを明らかにすることができた。
この結果に基づき、プロフィン1の発現量を知ることにより若いときからシワ形成などの皮膚老化リスクを予測できることとなり、化粧料の選択などの予防措置を講ずることができる。また、45歳以降であっても、今後シワなどの老化の加速性を予想することが可能となる。その予想にあわせて、対策を検討することが可能となる。あるいは、化粧料選択のカウンセリングを科学的な根拠をもって行うことができる。
また高度プロフィン1の培養皮膚モデルを利用して、このプロフィン1タンパク質の発現量に影響を与える被検査物質を探索することにより、シワ形成などの老化を抑制できる薬剤をスクリーニングすることができる。
本願発明は、テープストリッピング等の被侵襲的な方法によって安全に容易に皮膚角層を採取して、その皮膚角層を短時間に注目するプロフィン1タンパク質の発現量を特定することができるので、化粧品売り場で簡単に測定して、その場で化粧料選択資料に利用することができる。このプロフィン1タンパク質の発現量を測定する機器は一体化して小型することができ、検出した結果と前記段階化した指標と比較して提示することができる。 更に、この結果に基づいて、適した化粧料やメニューを表示することもできる。
本発明は、医療目的以外の目的で、皮膚老化などの皮膚老化リスクを評価でき、それに基づいて医療以外の目的で対処措置を施すことができるものである。
プロフィリン1を皮膚角層から採取する方法
(1)テープストリッピング法による角層の採取
テープストリッピング法とは皮膚に粘着テープを貼り付けて、粘着テープを剥がすことにより、粘着面に粘着した角層を採取する方法である。
市販の粘着テープを用いて、例えばヒト頬部に粘着テープを押し付けることにより、角層を粘着テープに粘着させて採取することができる。市販の粘着テープとしてはアサヒバイオメッド社製角質チェッカー、モリテックス社製角層シール、PROMOTOOL社製角質チェッカー(ディスクタイプW、ディスクタイプG、PROタイプ)、Integral社製Corneofix、3M社製透明テープ、3M社製透明両面テープ等が挙げられる。
(2)抽出バッファー
粘着テープに粘着した角層からプロフィリン1を抽出するために抽出バッファーを用いる。抽出バッファーとして例えば以下の組成を挙げることができる。組成:50mM Tris-HCl (pH7.5)、120mM NaCl(塩化ナトリウム), 1mM Na3VO4(オルトバナジン酸ナトリウム)。
粘着テープで採取されてくる皮膚の角質層は角化細胞が分化したもので、細胞骨格系の蛋白質を多く含む。そのためプロフィリン1の抽出効率を上げるには、この抽出バッファーに適当な界面活性剤を含有させることが好ましい。界面活性剤としてはSDS(ラウリル硫酸ナトリウム、CH3(CH2)11OSO3Na)を使用することが好ましい。
(3)プロフィリン1の抽出
角層を採取した粘着テープを円筒容器に入れて、高速回転するホモジナイゼーション用のペッスル(以下、「ペッスル」と呼ぶ)を用いて粘着面を擦ることにより迅速なプロフィリン1の抽出が可能である。また、角層を採取した粘着テープを抽出バッファーに浸してスクレーパーで擦ってプロフィリン1を抽出しても良く、振盪法や超音波照射法を用いても良い。
粘着テープは粘着面を円筒容器内側に向けて、粘着面の反対面を円筒容器の内側に沿わせるようにして、円筒容器に入れる。粘着テープを粘着面の反対面を円筒容器の内側に沿わせて入れることにより、ペッスルにより容易に粘着面を擦ることができる。
ペッスルは、棒の先端に掻き取り可能な突起状、あるいはヘラ状の構造を有するものであればよい。ペッスルの構造としては、例えば、棒の先端に、棒の直径より大きい同心円筒を接続し、その円筒に軸と平行に複数の欠失部を設けることにより、円筒の円周上に並んだ複数のヘラ状構造(掻きとり部)を設けることができ、そのヘラで粘着テープを擦ることができる。市販品としてはHandy pestle (TOYOBO社、code HMX-301)等を用いることができる。Handy pestle (TOYOBO社、code HMX-301)の掻きとり部の直径は約7mmである。
(4)プロフィリン1抽出液の採集
プロフィリン1抽出液を約1分間静置し、泡を沈静化し、その後、円筒容器からプロフィリン1抽出液を吸引して採集することが好ましい。
(5)プロフィリン1蛋白質量の分析
得られたプロフィリン1抽出液中のプロフィリン1蛋白質量は、ELISA法、抗体チップ法、FRET法により定量分析することができる。
皮膚老化リスクの評価
シワ面積率{シワ面積率とは、日本化粧品工業連合会(http://www.jcia.org/)のガイドラインに従って、導き出されるシワ画像解析パラメータである。実際には、皮膚のレプリカを採取した後に、画像解析ソフトウェアを用いて形状補正を行い、形状補正された3次元形状からシワを抽出し、測定範囲に占める抽出されたシワの面積比率を算出した値で、画像解析ソフトウェアとしては、例えば、有限会社アサヒバイオメッドの反射用レプリカ解析システムASA−03−Rが例示できる}と最も良く相関する変数は年齢である。さらに、プロフィリン蛋白質量がシワ面積率の説明変数として有効であることが明らかとなった。
プロフィリン1蛋白質量が多い人ほど、シワ面積率が大きい傾向にある。特に、45歳以上で、プロフィリン1蛋白質量が多い人は、シワ面積率が大きく、プロフィリン1蛋白質量が少ない人はシワ面積率が小さくなる傾向が顕著となる。そこで、45歳以前に、皮膚角層中のプロフィリン1蛋白質量が平均の値よりも高い場合には、45歳を過ぎたときのシワ面積率の増大傾向が、その年齢層の平均と比べて強いと予測できる。一方、45歳以前に、皮膚角層中のプロフィリン1蛋白質量が平均の値よりも低い場合には、45歳を過ぎたときのシワ面積率の増大傾向が、その年齢層の平均よりも弱いと予測できる。
すなわち、45歳以前は、プロフィリン1蛋白質量の多少がシワ面積率にあまり影響していないが、皮膚角層中のプロフィリン1蛋白質量が多い人は45歳を超えたときにシワ面積率が増大するという皮膚老化リスクが高いと評価できる。
皮膚老化リスク低減剤のスクリーニング
また、プロフィリン1蛋白質量を減少させる成分を探索することにより、皮膚老化リスク低減剤をスクリーニングすることができる。例えば、ヌードマウスに紫外線を照射してシワを形成させる実験系において、プロフィリン1蛋白質量を減少させる成分を探索し、その成分を投与することによりシワ面積率が低減するか確認することができる。
1.被験者
表1に示す年齢構成、男女人数の191名に対して試験を実施した。
2.皮膚角層中のプロフィリン1蛋白質量の測定
2.1 テープストリッピングによる角層の採取
粘着テープとしてアサヒバイオメッド社製角質チェッカー(2.5cm×2.5cm)を用いた。被験者の顔面頬部に角質チェッカーを貼り、指先で軽く擦り付けて皮膚角層を角質チェッカーの粘着面に粘着させた。
2.2 プロフィリン1蛋白質の抽出
抽出バッファー:50mM Tris-HCl (pH7.5)、120mM NaCl,
1mM Na3VO4, 0.1%(w/v)SDS。
抽出バッファー量:200μL。
抽出容器:直径11mmの円筒容器。
円筒容器に粘着テープを粘着面の反対の面が容器の内壁に沿うようにして入れ、抽出バッファーを入れて、ミニ・コードレスグラインダー(フナコシ社 code13753E)にペッスルとしてHandy pestle (TOYOBO社、code HMX-301)を接続し、ペッスルを9000rpmで回転させて、円筒容器内壁に沿わせた粘着テープの粘着面を擦った。攪拌時間は30秒とした。
プロフィリン1蛋白質抽出液を約1分間静置し、泡を沈静化し、その後、円筒容器からプロフィリン1蛋白質抽出液を吸引して採集した。
3.プロフィリン1タンパク質量の測定
プロフィリン1タンパク質量は、プロフィリン1タンパク質抽出液に含まれるプロフィリン1タンパク質の相対値と抽出液中の全タンパク質の絶対量の両方の値を算出し、「プロフィリン1タンパク質の相対値」を「抽出液中の全タンパク質の絶対量」で割った、比率値(以下「プロフィリン1タンパク質量」とする)として算出を行った。
プロフィリン1蛋白質の量の測定には、得られたプロフィリン1蛋白質抽出液に5倍量のSDS処理液{0.3 M Tris-HCl (pH6.8)、25%グリセロール、7.5%SDS、10%メルカプトエタノール}を加え、95℃、5分間ヒートブロック処理した後に、それぞれPVDF膜(アマシャムバイオサイエンス社)に正確に1μlを垂らし、3時間室温で乾燥させることで膜に固定化させた。その後、PVDF膜をブロッキング溶液(スキムミルクを5%の濃度になるように0.1%のポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレートを含むPBSで溶解した溶液)に浸し、4℃で一昼夜ブロッキングした。洗浄液{0.1%のポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノラウレートを含むPBS}で洗浄後、一次抗体{洗浄液で500ng/mlに調製したプロフィリン1に対するポリクローナル抗体(アブカム社)}に浸し、室温で1時間反応させた。洗浄後、二次抗体(洗浄液で250ng/mlに調製したホースラディッシュパーオキシダーゼ標識化抗ウサギイムノグロブリンG)に浸し、室温で1時間反応させた。洗浄後、ECLプラスウエスタンブロッティング検出試薬(アマシャムバイオサイエンス社)を用いて発光させ、X線フィルムに露光させた。ドット状に露光されたX線フィルムの黒化強度を画像解析ソフトであるImage J(NIH製、http://rsbweb.nih.gov/ij/)を用いて数値化、算出し、「プロフィリン1タンパク質の相対値」とした。
「抽出液中の全タンパク質の絶対量」の測定には、プロフィリン1タンパク質の相対値の測定の際と同様にPVDF膜への固定化を行い、さらに同じ膜に対して濃度が既知の牛血清アルブミン溶液(SIGMA)の固定化を複数濃度で行った。その後、固定化した膜上のタンパク質をCBB染色液(バイオラッド社)により染色し、ドット状に得られる青色の染色像を画像解析ソフトであるImage Jを用いて数値化し、既知濃度で固定化した牛血清アルブミン溶液の染色強度を用いて濃度算出を行い、「抽出液中の全タンパク質の絶対量」とした。
X線フィルムの黒化強度より得られた「プロフィリン1タンパク質の相対値」の値をPVDF膜のCBB染色像よりえられた「抽出液中の全タンパク質の絶対量」の値で割った値をプロフィリン1タンパク質量とした。
4.シワ面積率の測定
(有)アサヒバイオメッド製の反射型レプリカ採取キットを用いて、被験者の目尻のレプリカを採取した。レプリカ解析システムASA‐03RXDを用いて、採取したレプリカに角度27度からの平行光(LED光源)を照射し、シワの形状に応じた陰影画像をCCDカメラで撮像し、ASA‐03RXD付属のソフトウェアで画像処理することでレプリカ表面のシワ面積率{(μm/mm)×100}を計測した。
5.皮膚角層中のプロフィリン1蛋白質量の、シワ面積率の説明変数としての有効性
説明変数としての有効性は、シワ面積率を従属変数、最も当てはまりの良い重回帰式を求めることにより行った。当てはまりの良さを判定するには、AIC(Akaike’s Information Criterion:赤池情報量基準 岩崎学ら、実用統計用語事典 株式会社オーム社 2006年3月25日発行 21ページ)を使用した。AICは、「モデルの複雑さと、データとの適合度とのバランスを取る」ために使用される。例えば、ある測定データを統計的に説明するモデルを作成することを考える。この場合、パラメータの数や次数を増やせば増やすほど、その測定データとの適合度を高めることができる。しかし、その反面、ノイズなどの偶発的な(測定対象の構造と無関係な)変動にも無理にあわせてしまうため、同種のデータには合わなくなる(過適合問題)。この問題を避けるには、モデル化のパラメータ数を抑える必要があるが、実際にどの数に抑えるかは難しい問題である。AICは、この問題に一つの解を与える。具体的にはAIC最小のモデルを選択すれば、多くの場合、良いモデルが選択できる。
公式は次の式1の通りである。
AIC = -2Ln(L) + 2k ・・・・・・・・・・・・式1
ここでLは最大尤度、kは自由パラメータの数である。
AICはモデルの当てはまりを評価する一般的な手法であり、この値がより小さいとき、より当てはまりの良いモデルとして判定できる。シワ面積率を説明するモデルとして、以下の2つを考える。
yi= a + b1x1i + ei ( i =1, 2, 3,…, n ) ・・・・・・・・・・・式2

yi = a + b1x1i+ b2x2i + ei ( i =1, 2, 3,…, n ) ・・・・・式3

yi: シワ面積率
x1i: 年齢
x2i: プロフィリン1
ei: 測定誤差
上記2つのモデル(式2、式3)に対してAICを求めると、式2は1027.75、式3は939.9731となり、式3の方が、当てはまりが良いことが分かる。すなわち、シワ面積率を説明するには、年齢だけではなく、年齢とともにプロフィリン1を用いる方が当てはまりが良く、つまり精度が高くなることがわかった。このことはプロフィリン1がシワ面積率を推定する指標として有用であることに他ならない。さらに、式2、3の相関係数は各々、0.79、0.81であり、AICの結果と同様式3のほうがシワ面積率の説明精度が向上している。
また、式3で作成した重回帰モデルは以下の式4のとおりとなった。
y = -8.5 + 0.3x1 + 0.1x2 ・・・・・・・・・・・・式4

y: シワ面積率
x1: 年齢
x2: プロフィリン1
6.プロフィリン1タンパク質量による群分けとシワ面積率と年齢との相関
皮膚角層中のプロフィリン1タンパク質量量は計191名で2.5〜99.0の範囲で分布した。このプロフィリン1タンパク質量がシワ面積率に与える影響を調べるために、プロフィリン1タンパク質量が多い人(プロフィリン1タンパク質44.1〜99.0、64名)、中間の人(プロフィリン1タンパク質量25.1〜44.0、64名)、少ない人(プロフィリン1タンパク質量2.5〜25.0、63名)、いずれもほぼ等しい人数からなる3群に分けた。
それぞれの群において、シワ面積率と年齢の回帰直線を求めた。グラフを図1に示す。
プロフィリン1蛋白質量が多い群の回帰直線は次の式5である(y:シワ面積率、x:年齢)。
y=−9.0+0.36x ・・・・・・・・・・・・式5

プロフィリン1蛋白質量が中間の群の回帰直線は次の式6である。

y=−7.7+0.30x ・・・・・・・・・・・・式6

プロフィリン1蛋白質量が少ない群の回帰直線は次の式7である。

y=−5.4+0.24x ・・・・・・・・・・・・式7
シワ面積率が年齢に伴って増加することを示す回帰直線の傾きは、皮膚角層中のプロフィリン1タンパク質量が、多い群>中間の群>少ない群、となっており、プロフィリン1タンパク質量が多いほど皮膚老化リスクが高いことが分かる。皮膚角層中のプロフィリン1タンパク質量が多い群と少ない群に関してシワ面積率の差を共分散分析にて検定したところ、p<0.05で有意に皮膚角層中のプロフィリン1タンパク質量が多い群のほうが、シワ面積率が高いことが分かった。
さらに、皮膚角層中のプロフィリン1タンパク質量が多い群、中間の群、少ない群それぞれの測定データをLOWESS曲線で表した。LOWESS(Locally Weighted Scatterplot Smoother)は局所重み付け回帰関数を使用する、非常によく使用されているスムージング手法である。それぞれの群のデータとLOWESS曲線を作成した。各群のLOWESS曲線を図2にまとめた。図2から分かるように、各群のシワ面積率は45歳までは、ほぼ同様に増大するが、45歳を超えると皮膚角層中のプロフィリン1タンパク質量が多い群、中間の群、少ない群のシワ面積率の増大傾向に大きな差が生じることが分かる。従って、45歳以下であっても、皮膚角層中のプロフィリン1タンパク質量が平均の値よりも多い人は45歳を超えるとシワが増大する皮膚老化リスクが高いと予測できる。
シワ面積率と年齢の回帰直線示すグラフ。 皮膚角層中のプロフィリン1タンパク質量が多い群、中間の群、少ない群それぞれの測定データをLOWESS曲線で表したグラフ。

Claims (6)

  1. 皮膚角層中のプロフィリン1蛋白質量を指標とし、プロフィリン1蛋白質量が多いほどシワ形成リスクが高いと評価することを特徴とするシワ形成リスクの評価方法
  2. 皮膚角層から抽出したプロフィリン1蛋白質の量を、あらかじめ測定した被験者の年齢層の標準的プロフィリン蛋白質量と比較対比することを特徴とする請求項1記載のシワ形成リスクの評価方法。
  3. 皮膚角層が、非侵襲的なテープストリッピング手段によって採取された皮膚角層であることを特徴とする請求項1又は2記載のシワ形成リスクの評価方法。
  4. 45歳以降に形成されるシワ形成リスクが、45歳以前の被験者から採取した皮膚角層から検出したプロフィリン1蛋白質量を指標とするものであることを特徴とする請求項1記載のシワ形成リスクの評価方法。
  5. 採取される皮膚角層が、ほほ由来であることを特徴とする請求項4に記載されたシワ形成リスクの評価方法。
  6. 請求項1〜5のいずれかに記載されたシワ形成リスクの評価方法を用いて、シワ形成リスクに影響を与える成分をスクリーニングする方法。
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