JP2007033201A - 敏感肌の評価方法及びその評価キット - Google Patents

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Abstract

【課題】 敏感肌かどうかを簡便かつ確実に評価することができる生化学的指標を用いた新規な敏感肌の評価方法及びその評価キットを提供する。
【解決手段】 敏感肌由来の角質細胞におけるカルプロテクチンの存在量は、健常肌由来のそれに比べて有意に高いことを見出した。このとき用いる角質細胞は、テープストリッピングといった表皮の表層部分のみを採取する簡単な方法で採取することができる。また、本発明に用いる角質細胞は紫外線や化学物質等の刺激を与えることなくカルプロテクチンの存在量を測定できる。これらより、角質細胞におけるカルプロテクチンを指標として簡便に敏感肌を評価できる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、敏感肌かどうかを簡便かつ確実に評価することができる生化学的指標を用いた新規な敏感肌の評価方法及びその評価キットに関する。
敏感肌とは、明らかな皮膚病変なしに不利、有害な反応が起こりやすい肌として捉えられている。または、敏感肌は、健常肌より外界刺激に対する抵抗性が低く、容易に皮膚トラブルを生ずる肌とも言える。近年、敏感肌を意識する女性が増加する傾向にあり、化粧品等についてもより刺激の少ないものが要望されるようになってきている。また、化粧品によるスキンケア、ケミカルピーリングの施術等を実施するに際し、美容専門家が問診等を通じて、ユーザーの肌が敏感肌であるかどうかを評価し、その結果に応じて、ユーザーの肌に合った化粧品、ケミカルピーリング剤等が用いられている。
従来は、このように美容専門家による問診が必要とされたが、問診によらずとも、ユーザーの肌が敏感肌であるかどうかを評価することができれば、ユーザーの肌により適した化粧品やケミカルピーリング剤を簡単に選択することができ、それによって、皮膚の炎症等の肌トラブルや副作用を回避し、化粧品によるスキンケアやケミカルピーリングの施術等の有益性をより高めることができる。このため、問診によらずとも、敏感肌であるかどうかを客観的に判別する方法が求められている。
なお、ユーザーに負担を与えるため、敏感肌の評価という美容目的に、非特許文献1に開示されているような外科的に皮膚を摘出する方法を含ませることは適当ではない。
特許文献1には、マーカー遺伝子としてカルプロテクチンを用いて、皮膚へのUV照射傷害を評価する方法が開示されている。しかし、この方法は、UV照射傷害に関するものであり、敏感肌の評価方法ではない。また、この方法では評価にUV照射が必要であるため、簡便な方法とは言えない。
敏感肌であるかどうかを評価するための方法として、特許文献2に、顔の角質細胞と、体表に於ける露出回数の少ない部位の角質細胞とを採取し、これらの大きさの比を指標とし、肌質を鑑別する方法が開示されている。また、特許文献3には、年齢に対する標準角質細胞面積と被験者より採取した角質細胞の平均細胞面積との差を指標とする、肌の鑑別法が開示されている。しかし、これらの方法は大きさ・面積等の外観を評価するものであり、評価方法、定量化方法、各披験者の個体差に起因した誤差が発生する等の問題があった。
WO02/0909340号公報 特開2001−108674号公報 特開平11−304798号公報 M.Grewe, J Invest Delmatol 2000, vol 114, pp1108-1112 Eckert RT et al., J Invest Dermatol 2004, vol.123, pp23-33.
上述したように、敏感肌であるかどうかを客観的に評価する方法が望まれている。その評価方法は、外科的に皮膚を摘出する、皮膚に刺激を与える等のユーザーに負担を与える方法ではないことが必要である。また、外観を評価するものではなく、生化学的指標を用いた評価方法が望ましい。そこで本発明は、ユーザーに負担を与えることなく、敏感肌かどうかを簡便かつ確実に評価することができる生化学的指標を用いた新規な敏感肌の評価方法及びその評価キットを提供することを目的とする。
上記課題を鑑みて鋭意検討した結果、テープストリッピングといった角層の表層部分のみを1枚の角質テープで採取する簡単な方法で獲得した角質細胞において、敏感肌由来の角質細胞のカルプロテクチンの存在量は、健常肌由来のそれに比べて有意に高いことを見出した。カルプロテクチンの存在量は、紫外線や化学物質等の刺激を皮膚へ与えることなく獲得した角質細胞から評価できる。このことより、カルプロテクチンを指標として簡便に敏感肌を評価するという本発明を完成するに到った。すなわち、本発明は、以下の通りである。
本発明の請求項1記載の敏感肌の評価方法は、角質細胞におけるカルプロテクチンの存在量の多寡を指標とすることを特徴とする。
本発明の請求項2記載の敏感肌の評価方法は、毛穴部近傍以外の角質細胞におけるカルプロテクチンの存在量の多寡を指標とすることを特徴とする。
本発明の請求項3記載の敏感肌の評価方法は、請求項1又は2記載の敏感肌の評価方法であって、角質細胞を採取する採取工程と、前記採取工程で採取された角質細胞におけるカルプロテクチンの存在量を測定する測定工程と、前記測定工程で測定されたカルプロテクチンの存在量を健常肌の角質細胞におけるカルプロテクチンの存在量と比較する比較工程と、を備えたことを特徴とする。
本発明の請求項4記載の敏感肌の評価方法は、被験者の評価対象部位の角質細胞を採取する採取工程と、前記採取工程で採取された角質細胞におけるカルプロテクチンの存在量を測定する測定工程と、前記測定工程で測定されたカルプロテクチンの存在量を健常肌を有する人の前記評価対象部位の角質細胞におけるカルプロテクチンの存在量と比較する比較工程と、を備えたことを特徴とする。
本発明の請求項5記載の敏感肌の評価キットは、角質細胞を採取するための採取手段と、角質細胞におけるカルプロテクチンの存在量を測定するための測定手段と、を備えたことを特徴とする。
本発明の請求項6記載の敏感肌の評価キットは、角質細胞を採取するための採取手段と、毛穴部近傍以外の角質細胞におけるカルプロテクチンの存在量を測定するための測定手段と、を備えたことを特徴とする。
本発明の請求項1記載の敏感肌の評価方法によれば、敏感肌は、健常肌にくらべて角質細胞におけるカルプロテクチンの存在量が有意に高いため、角質細胞におけるカルプロテクチンの存在量の多寡を指標として、簡便に肌が敏感肌であるかどうかを評価できる。
本発明の請求項2記載の敏感肌の評価方法によれば、角質細胞におけるカルプロテクチンの存在量として、毛穴部近傍以外の角質細胞におけるカルプロテクチンの存在量を測定することで、より確実に敏感肌の評価ができる。
本発明の請求項3記載の敏感肌の評価方法によれば、請求項1又は2記載の敏感肌の評価方法において、健常肌の角質細胞におけるカルプロテクチンの存在量を基準として、採取した角質細胞におけるカルプロテクチンの存在量を評価することにより、より正確に敏感肌の評価ができる。
本発明の請求項4記載の敏感肌の評価方法によれば、請求項1又は2記載の敏感肌の評価方法において、健常肌を有する人の同一評価対象部位から採取した角質細胞におけるカルプロテクチンの存在量を基準として、被験者の評価対象部位から採取した角質細胞におけるカルプロテクチンの存在量を評価することにより、より正確に敏感肌の評価ができる。
本発明の請求項5記載の敏感肌の評価キットによれば、角質細胞を採取するための採取手段と、角質細胞におけるカルプロテクチンの存在量を測定するための測定手段と、を備えたことにより、簡便に敏感肌の評価をできる敏感肌の評価キットを提供することができる。
本発明の請求項6記載の敏感肌の評価キットによれば、角質細胞を採取するための採取手段と、毛穴部近傍以外の角質細胞におけるカルプロテクチンの存在量を測定するための測定手段と、を備えたことにより、簡便に敏感肌の評価をできる敏感肌の評価キットを提供することができる。
以下、本発明について詳細に説明する。
本発明の敏感肌の評価方法は、角質細胞におけるカルプロテクチンの存在量を指標とすることを特徴とする。
カルプロテクチン(Calprotectin)とは一連のカルシウム応答性タンパク質として知られるS100タンパク質S100A8とS100A9が一分子ずつ対をなして生成するヘテロダイマーであり、シグナル伝達のメディエーターである。S100A8及びS100A9はいずれも好中球・単球に多く存在することが知られ、血管内皮細胞などに結合して炎症作用へ関与することがよく研究されている。血漿中のカルプロテクチン及びS100A8、S100A9は急性または恒常性炎症のマーカーとしても用いられている。一方、正常皮膚ではいずれの分子も毛包上皮や顆粒層で若干発現が認められるものの、一般に発現量は少ないとされている。しかしながら、S100A8及びS100A9は乾癬などの病態や、光線曝露やバリア破壊などの外界刺激により表皮中における発現が亢進することもよく知られている。アクチビンA高発現マウスは過増殖が特徴であるが炎症は認められないことから、S100A8、S100A9またはその両方が炎症以外に増殖反応に関与することが示唆されている(非特許文献2)。
本発明における敏感肌とは、明らかな皮膚病変なしに不利、有害な反応が起こりやすい肌である。また、健常肌より外界刺激に対する抵抗性が低く、容易に皮膚トラブルを生ずる肌とも言える。一方、健常肌とは、上記のような敏感肌の性質を示さない健康で正常な肌である。敏感肌においては、経皮水分蒸散量(TEWL)が高くなる、高周波伝導度(角層水分量)が低くなる等の傾向があることが知られている。また、敏感肌では、かぶれや肌荒れが起こる場合がある。
肌荒れとは広義における肌の劣化した状態を意味し、掻痒による掻破やアトピー性皮膚炎の悪化劣化の結果引き起こされる肌荒れ、乾燥による肌荒れ等が挙げられる。したがって、本発明でいう敏感肌と肌荒れは異なるものである。
本発明において角質細胞とは、皮膚の一番上にある角質を構成している細胞である。角質細胞は、体の外からの異物や刺激から皮膚を守る働きを有する。
本発明における評価対象部位は、角質細胞が入手できる部分であれば、いかなる部位をも包含しうるが、主な部位としては顔面の頬、額を挙げることができる。従来の方法に従い、これらの部位の皮膚由来の角質細胞を得ることができる。しかし、前述のように、外科的に皮膚を摘出する等の方法は、ユーザーに負担を与えるため、例えば、テープストリッピング、擦過等の簡便に角質細胞を得られる方法が好ましい。
こうして用意した各試料におけるカルプロテクチンの存在量は、従来から知られている方法で測定することができる。例えば、カルプロテクチンに対する抗体との反応に基づくエンザイムイムノアッセイ、ラジオイムノアッセイ、ウエスタンブロッティング等の方法を用いることができる。
各試料からカルプロテクチンをそれ自体既知の生化学的方法、たとえば凍結融解法、超音波破砕法等を介して可溶性画分を調製する抽出方法によってカルプロテクチンを抽出した後に、測定するのが好ましい。
敏感肌は、健常肌にくらべて角質細胞におけるカルプロテクチンの存在量が有意に高いため、角質細胞におけるカルプロテクチンの存在量の多寡を指標として、簡便に肌が敏感肌であるかどうかを評価できる。本発明に用いる角質細胞は、テープストリッピングといった角層の表層部分のみを1枚の角質テープで採取する簡単な方法で採取することができる。また、本発明は、皮膚に紫外線や化学物質等の刺激を与えることなくカルプロテクチンの存在量を測定できる。このため、ユーザーに負担を与えることなく、ユーザーの肌が敏感肌であるかどうかを評価することができるため、ユーザーの肌により適した化粧品やケミカルピーリング剤を簡単に選択することができ、それによって、皮膚の炎症等の肌トラブルや副作用を回避し、化粧品によるスキンケアやケミカルピーリングの施術等の有益性をより高めることができる。
また、本発明の敏感肌の評価方法は、毛穴部近傍以外の角質細胞におけるカルプロテクチンの存在量の多寡を指標とする。健常肌由来の角質細胞では、毛穴部近傍以外の角質細胞においてカルプロテクチンをほとんど検出できないのに対して、敏感肌由来の角質細胞では、毛穴部近傍以外の角質細胞においてもカルプロテクチンが検出できる。例えば、カルプロテクチンを認識するカルプロテクチン抗体と、カルプロテクチン抗体を認識する蛍光性色素で標識された二次抗体カルプロテクチンとを、角質細胞と反応させ、これを蛍光顕微鏡で観察することで、毛穴部近傍以外の角質細胞におけるカルプロテクチンの存在を視覚的に確認し、それを指標とすることで、より確実に敏感肌の評価ができる。
本発明の敏感肌の評価方法は、角質細胞を採取する採取工程と、前記採取工程で採取された角質細胞におけるカルプロテクチンの存在量を測定する測定工程と、前記測定工程で測定されたカルプロテクチンの存在量を健常肌の角質細胞におけるカルプロテクチンの存在量と比較する比較工程と、を備えるものである。以下にこの評価方法について説明する。
まず、上記のようにして測定されたカルプロテクチンの存在量を健常肌の角質細胞におけるカルプロテクチンの存在量と比較する。また、被験者のある評価対象部位の角質細胞におけるカルプロテクチンの存在量を測定し、測定されたカルプロテクチンの存在量を、健常肌を有する人の同一評価対象部位の角質細胞におけるカルプロテクチンの存在量と比較してもよい。健常肌を有する人の角質細胞のカルプロテクチンの存在量は、複数人の健常肌を有する人からのデータの平均値を使用することによって、より客観的な評価ができる。
このように比較した結果、測定されたカルプロテクチンの存在量が、健常肌のカルプロテクチンの存在量より有意に大きい場合には、敏感肌を有すると評価する。この健常肌は、カルプロテクチンを測定する者から採取してもよく、カルプロテクチンを測定する者と異なる者から採取してもよい。
また、被験者のある評価対象部位の角質細胞におけるカルプロテクチンの存在量が、健常肌を有する人の同一評価対象部位の角質細胞におけるカルプロテクチンの存在量より有意に大きい場合にも、敏感肌を有すると評価する。
敏感肌を有すると評価する場合、測定されるカルプロテクチンの存在量の程度により、敏感肌の程度を評価できる。すなわち、測定されるカルプロテクチンの存在量が健常肌のそれと比較して著しく多い場合は、その肌は、敏感肌の性質を強く示し、健常肌より外界刺激に対する抵抗性が顕著に低く、きわめて容易に皮膚トラブルを生ずる敏感肌であると評価できる。また、測定されるカルプロテクチンの存在量が健常肌のそれと比較して少量だけ増加している場合は、その肌は、健常肌より外界刺激に対する抵抗性が低く皮膚トラブルを生ずるという敏感肌であるものの、その性質を強く示さないと評価できる。
本発明の敏感肌の評価キットは、角質細胞を採取するための採取手段と、角質細胞におけるカルプロテクチンの存在量を測定するための測定手段とを備える。角質細胞におけるカルプロテクチンの存在量を測定するための測定手段の代わりに、毛穴部近傍以外の角質細胞におけるカルプロテクチンの存在量を測定するように測定手段を構成してもよい。角質細胞を採取するための採取手段は、角質細胞を採取できる手段であれば特に限定されない。例えば、上記のように角質テープ等を、角質細胞を採取するための採取手段としてもよい。この手段を実施するために、キットに、例えば角質テープを含ませることができる。角質細胞におけるカルプロテクチンの存在量を測定するための測定手段としては、カルプロテクチンの存在量を測定できる手段であれば特に限定されない。例えば、上記のようにカルプロテクチンに対する抗体との反応に基づくエンザイムイムノアッセイを行うための試薬や器具を、カルプロテクチンの存在量を測定するための測定手段としてもよい。この手段を実施するために、キットに、例えばカルプロテクチンを認識するカルプロテクチン抗体と、カルプロテクチン抗体を認識する標識された二次抗体とを測定手段として含ませることができる。さらに、本発明の敏感肌の評価キットには、上記手段の実施を容易にする、試薬類(例えば、緩衝剤等)や器具(マイクロタイタープレート、ピペット等)を含めることができる。
以下、具体的な実施例について説明するが、本発明は下記の実施例に限定されるものではない。
(実験1)経皮水分蒸散量(TEWL)測定
本人が敏感肌と感じる被験者(10名)および健常者(9名)に洗顔を行ってもらい、その30分後に経皮蒸散水分量(TEWL)をCourage&Khazaka社製テバメーター(TM210)で測定した。敏感肌を有すると自己申告した被験者(10名)を敏感肌群、健常肌を有すると自己申告した健常者(9名)を健常肌群とした。
(実験2)角質細胞中のカルプロテクチン定量
実験1の測定後、被験者及び健常者から角質テープにより角質細胞を採取した。角質細胞を採取した角質テープ(25×45mm)を2mm角程度に細切してPBS750μL中に分散させ、氷冷下超音波破砕後4℃にて遠心して得られた上清を定量用のサンプルとした。PROTEIN Assay,Bradford法(BIO−RAD)により検定した総タンパク質濃度は693±37ng/mL程度であった。この溶液100μLについてMRP8/14EIA(Buhlmann Laboratories AG製)を用いて、マニュアルに従い定量を行った。
(実験1)及び(実験2)の結果
実験2で得たカルプロテクチン量を敏感肌群と健常肌群で比較した。図1は、敏感肌及び健常肌の角質細胞におけるカルプロテクチンの存在量を示した図である。敏感肌群で有意に顔面角質細胞のカルプロテクチン量が高いことが明らかになった。
さらに、実験1で得たTEWLを敏感肌群と健常肌群で比較した。敏感肌群で有意に顔面角質細胞のTEWLが多かった(図2の表)。前述のように、敏感肌では、皮膚バリア機能の指標として測定するTEWLが増加する傾向があることが知られており、図2の結果はそれに合致する。被験者及び健常者から得られたTEWLとカルプロテクチン量の相関を調べたところ、比較的よい相関が得られた(図2のグラフ)。
以上のことより、敏感肌由来の角質細胞中のカルプロテクチンの存在量は、健常肌のそれに比べて有意に高く、カルプロテクチンと敏感肌を関連付けることができることが明らかになった。
(実験3)角質細胞中のカルプロテクチン免疫染色
洗顔の15分後、医療用アロンアルファA(三共製薬)をシランコートスライド上に少量(約直径3mm程度)出して、直ちに対象の評価部位に軽く接着させ3分間保持したのち、ゆっくりと剥がして角質細胞を採取した。これをエタノール2分、洗浄(PBS溶液に3分)、3%PFA含有PBS溶液10分、洗浄(PBS溶液に5〜10分を3回繰返し)、0.1%トリトンX−100含有PBS溶液10分、洗浄(PBS溶液に5〜10分を3回繰返し)、10%ヤギ血清(ニチレイ)で1時間ブロッキングした後、マウス抗ヒトMRP8/14モノクローナル抗体T−1023(BMA Biomedicals AG)1μg/mLのPBS希釈液を4℃で一晩反応させた。洗浄(PBS溶液に5〜10分を3回繰返し)後、Alexa Fluor 488標識抗マウスIgG抗体の200倍希釈PBS溶液を1時間反応させた。
(実験3)の結果
顕微鏡の写真を表したのが図3である。上段は、敏感肌の角質細胞の同一部位を蛍光顕微鏡(上段左)及び光学顕微鏡(上段右)で観察した結果の写真である。下段は、健常肌の角質細胞の同一部位を蛍光顕微鏡(下段左)及び光学顕微鏡(下段右)で観察した結果の写真である。カルプロテクチンが存在している箇所では、Alexa Fluor 488標識抗マウスIgG抗体により蛍光を発する。カルプロテクチンが存在している代表的な部位を矢印で示した(毛穴部近傍、毛穴部近傍以外の角質細胞)。
蛍光顕微鏡の写真を比較すると、毛穴部近傍では、健常肌でも敏感肌でもカルプロテクチンが存在することが確認できた。一方、毛穴部近傍以外の角質細胞では、敏感肌のみでカルプロテクチンが認められた。角質テープでは毛穴の深部の蛋白質までは採取しにくいことを考えると、角質テープにより採取・検出されたカルプロテクチンは毛穴部近傍以外に存在するものであると考えられ、すなわち、敏感肌群では毛穴部近傍以外の角質細胞におけるカルプロテクチン量が亢進していると推定された。
敏感肌及び健常肌の角質細胞におけるカルプロテクチンの存在量を示した図である。グラフの点は、それぞれ被験者及び健常者のカルプロテクチンの存在量を示す。 敏感肌及び健常肌の角質細胞におけるTEWLの群間比較の結果と、敏感肌及び健常肌の角質細胞におけるカルプロテクチン量とTEWLの相関を示した図である。 敏感肌及び健常肌の角質細胞の顕微鏡写真を示した図である。上段は、敏感肌の角質細胞の同一部位を蛍光顕微鏡(上段左)及び光学顕微鏡(上段右)で観察した結果の写真である。下段は、健常肌の角質細胞の同一部位を蛍光顕微鏡(下段左)及び光学顕微鏡(下段右)で観察した結果の写真である。カルプロテクチンが存在している代表的な部位を矢印で示した(毛穴部近傍、毛穴部近傍以外の角質細胞)。

Claims (6)

  1. 角質細胞におけるカルプロテクチンの存在量の多寡を指標とすることを特徴とする敏感肌の評価方法。
  2. 毛穴部近傍以外の角質細胞におけるカルプロテクチンの存在量の多寡を指標とすることを特徴とする敏感肌の評価方法。
  3. 角質細胞を採取する採取工程と、前記採取工程で採取された角質細胞におけるカルプロテクチンの存在量を測定する測定工程と、前記測定工程で測定されたカルプロテクチンの存在量を健常肌の角質細胞におけるカルプロテクチンの存在量と比較する比較工程と、を備えたことを特徴とする請求項1又は2記載の敏感肌の評価方法。
  4. 被験者の評価対象部位の角質細胞を採取する採取工程と、前記採取工程で採取された角質細胞におけるカルプロテクチンの存在量を測定する測定工程と、前記測定工程で測定されたカルプロテクチンの存在量を健常肌を有する人の前記評価対象部位の角質細胞におけるカルプロテクチンの存在量と比較する比較工程と、を備えたことを特徴とする請求項1又は2記載の敏感肌の評価方法。
  5. 角質細胞を採取するための採取手段と、角質細胞におけるカルプロテクチンの存在量を測定するための測定手段と、を備えたことを特徴とする敏感肌の評価キット。
  6. 角質細胞を採取するための採取手段と、毛穴部近傍以外の角質細胞におけるカルプロテクチンの存在量を測定するための測定手段と、を備えたことを特徴とする敏感肌の評価キット。



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