JP5065237B2 - アトピー性皮膚炎の局所病態の非侵襲的評価方法 - Google Patents

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Description

本発明は、アトピー性皮膚炎の局所病態を非侵襲的に評価する方法に関する。より詳しくは、本発明は、対象の任意の局所から採取された角層細胞中に存在するTARC (Thymus and activation-regulated chemokine) を蛍光標識し、蛍光法によってTARC発現量を定量し、TARC発現量からアトピー性皮膚炎の局所病態を評価する方法に関する。
アトピー性皮膚炎の治療は、主に外用ステロイド剤の投与により行われる。ステロイド剤には大きな副作用があるため、アトピー性皮膚炎の重篤度に応じて投与量等を厳密に制御しなければならない。
長期にわたるアトピー性皮膚炎の治療の間、症状は増悪軽快を繰り返し、治癒後は保湿剤により維持するが、再発することもあるため、頻繁に重篤度を診断する必要がある。
さらに、アトピー性皮膚炎は局所的に発症するため局所ごとの診断が必要である。
日本皮膚科学会および厚生労働省により治療ガイドラインが発表されたことにより、アトピー性皮膚炎の診断は容易になったとはいえ、日本皮膚科学会の治療ガイドラインが皮膚科専門医に対するものであり、厚生労働省のガイドラインが専門医に限らず臨床医一般に対するものであることから、必ずしも、アトピー性皮膚炎の症状とその重篤度に対する評価が客観的であるとはいえない。
また、アトピー性皮膚炎用の治療薬や保湿剤、またはアトピー性皮膚炎患者が安心して使用できる化粧品等の開発において、専門医からの診断結果を参照しなければならないため、開発に時間がかかる。
したがって、専門医による診断に頼らずに、簡便にアトピー性皮膚炎の重篤度を数値化する試みが行われてきた。
これまで、IgE、LDH、好酸球などがアトピー性皮膚炎の病態の指標とされてきたが、近年、TARCのアトピー性皮膚炎への関連性が指摘された。
TARCとは、特定の白血球を遊走させるケモカイン群(白血球走化性因子)の一つで、71個のアミノ酸より構成されるタンパク質であり、ケモカイン(C−Cモチーフ)リガンド17(CCL17)としても知られている。
このTARCがTh2細胞を病変局所に誘引してアレルギー反応を亢進させることで、アトピー性皮膚炎の病態形成に関与し、症状を増悪させると考えられている。
TARCの産生細胞としては、血管内皮細胞、樹状細胞、リンパ球、線維芽細胞、表皮角化細胞などがあり、特に、アトピー性皮膚炎では、主に表皮角化細胞からTARCが産生されることが知られている。
非特許文献1には、ELISA法を用いてアトピー性皮膚炎の患者から採取した角質層から抽出したTARCを測定する方法が開示されている。しかしながら、この方法では、アトピー性皮膚炎患者の未発症部位からTARCを検出することはできなかった。
非特許文献2には、血清中のIgE、LDH、末梢血好酸球数と比較して、血清TARC/CCL17値がアトピー性皮膚炎の重篤度と最も高い相関性を有することが示されている。しかしながら、この方法は血液採取が必要であり、侵襲的な方法のため、頻繁に測定することできない。また、全身的な測定であり、局所的な病態を観察するには適していない。
特許文献1には、アトピー性皮膚炎を特異的かつ非侵襲撃的に診断するために、テープストリッピング法を用いて採取した角層試料に含まれる神経成長因子などの存在量を測定する方法が開示されている。しかしながら、この方法もELISA法を用いていること、および採取した試料について細胞破砕を行って分画していることから、測定結果にバラツキがあることが予想される。
上記したように、これまでのアトピー性皮膚炎の診断は、血清中のTARCの測定を必要とするため侵襲性であり、かつ、全身症状の指標となるが局所病態の指標とはならなかった。
客観的要素および主観的要素の各項目につき評価したポイントを総合してアトピー性皮膚炎の重篤度を判定するSCORAD (Scoring of Atopic Dermatitis) という評価法が確立された。SCORADによれば、客観的要素として、皮疹範囲0〜100%(数値A)、重症度:紅斑、浮腫/丘疹、痂皮/滲出、苔癬化、掻破痕、皮膚の乾燥についてそれぞれ、3.重症、2.中等、1.軽症、0.なしで評価した合計ポイント(数値B)ならびに、主観的要素として、かゆみおよび不眠を0〜10で評価した合計ポイント(数値C)に基づき評価する。この方法は、主観的要素も含まれるため、アトピー性皮膚炎の重篤度を簡便かつ正確に評価することはできなかった。
したがって、アトピー性皮膚炎の局所病態の重篤度を決定するための簡便かつ正確な非侵襲的評価方法が求められていた。
特許第3863462号明細書 E. Morita et al., Journal of Dermatological Science, (2004) 34, 237-240 玉置ら、日皮会誌:116(1),27−39,2006(平18)
本発明の目的は、アトピー性皮膚炎の局所病態の重篤度を決定するための簡便かつ正確な非侵襲的評価方法を提供することにある。
本発明は、アトピー性皮膚炎の局所病態を非侵襲的に評価する方法であって、
(a)非侵襲的な手法によって対象から採取された皮膚由来の角層細胞中に発現されたTARCを特異的に蛍光標識する工程;
(b)光学顕微鏡を用いる観察によって、観察視野中に存在するすべての角層細胞の画像を取得する工程;
(c)前記すべての角層細胞の画像をデジタル画像解析することによって、前記すべての角層細胞の面積を測定する工程;
(d)光学顕微鏡を用いる蛍光観察によって、前記工程(c)における観察視野と同一の観察視野中に存在する蛍光標識されたTARCの蛍光画像を取得する工程;
(e)前記蛍光標識されたTARCの蛍光画像をデジタル画像解析することによって、前記観察視野の蛍光強度を測定する工程;
(f)前記工程(e)において測定された蛍光強度を前記工程(c)で測定されたすべての角層細胞の面積で除して、TARC値を算出する工程
を含む方法を提供する。
本発明による方法の具体例において、前記TARCを特異的に蛍光標識する工程(a)が、
(a−1)非侵襲的な手法によって対象から採取された皮膚由来の角層細胞中に発現されたTARCに特異的に結合する抗TARC抗体と接触させる工程;および
(a−2)前記抗TARC抗体に特異的に結合する部位を有する蛍光発色団で前記TARCを特異的に蛍光標識する工程
を含む。
本発明による方法の具体例において、さらに、
(g)予め作成したTARC値とアトピー性皮膚炎の病態の重篤度との相関を参照して、工程(f)において得られたTARC測定値に基づき、アトピー性皮膚炎の局所病態の重篤度を決定する工程
を含む。
本発明による方法によれば、工程(e)において、前記蛍光標識されたTARCの蛍光画像の輝度をピクセルごとに黒から白の順序の0〜255グレーレベルで表示し;各グレーレベルを示すピクセル数を計数し;グレーレベルi以上のピクセル数のみ引用するために、グレーレベルに閾値iを設定し;グレーレベルx(i≦x≦255)を示すピクセル数をN(x)と表したとき、蛍光強度Fを式(1):
を用いて算出し;次いで、工程(c)で測定されたすべての角層細胞の面積を全角層細胞面積Sと定義し、TARC値を式(2):
を用いて算出する。
本発明による方法の工程(a)において、皮膚由来の角層細胞を採取するための非侵襲的な手法が、テープストリッピング法であることが好ましい。
本発明の方法によれば、非侵襲的な手法により採取した皮膚由来の角層細胞中に含まれるTARCを特異的に蛍光標識し、角層細胞の顕微鏡観察画像の画像解析によってTARC発現量を数値化することができる。
すなわち、本発明の方法は、非侵襲的な手法で試料を採取するので、対象に負担がかからず、かつ、画像解析を用いるので、信頼性の高いTARC値を得ることができる。
さらに、得られたTARC値からアトピー性皮膚炎の局所的病態の重篤度を評価することができる。特に、アトピー性皮膚炎が未発症の場合でも発症の可能性を発見することができる。
本発明によれば、重篤度の異なるアトピー性皮膚炎患者および健常者の皮膚から非侵襲的な手法で採取された角層細胞を蛍光免疫染色法によりTARC発現量を検出する。
TARC発現量は、角層細胞中に発現されたTARCを特異的に蛍光標識し、蛍光標識TARC由来の蛍光を蛍光顕微鏡観察により観察し、観察画像をデジタル画像解析ソフトウェアを用いて画像解析することにより測定する。
実験1:TARC発現量の評価
[本発明による蛍光免疫染色法]
本発明の蛍光染色法による測定手順を以下に示す。
第1の実施形態:
(1)角層細胞の採取
粘着テープを用いて対象の皮膚からテープストリッピング法により角層細胞を採取する。対象の皮膚から角層細胞を採取できれば、市販のいずれの粘着テープも用いることができる。
(2)角層細胞のスライドガラス上への固定
マイクロテストチューブにSDS−C12DMAO混合液を1ml入れる。角層細胞を採取した粘着テープを適当な長さ(例えば、5cm)に裁断し、SDS−C12DMAO溶液に浸漬する。恒温槽中、50℃にて一晩静置する。
その後、マイクロテストチューブから粘着テープを取り除く。8000g(9100rpm)にて、10分間遠心分離し、上清を取り除き、マイクロテストチューブの底部に沈殿したペレットを回収する。回収したペレットをSDS−C12DMAO混合液1mlに再懸濁し、遠心分離して上清を取り除いてペレットを得る工程を2回繰り返し、最後に、リン酸緩衝生理食塩水(PBS、pH7.4)1mlに再懸濁し、遠心分離して上清を取り除き、角層細胞のペレットを回収する。
回収した角層細胞のペレットにPBSを添加して撹拌し、角層細胞溶液を調製する。APS(アミノシラン)コートしたスライドガラスの中央部に角層細胞溶液を10μl滴下する。スライドガラスにドライヤーで冷風を15分間あてて乾燥する。
次に、スライドガラスを−20℃に冷却したアセトンに10分間浸漬して、角層細胞をスライドガラス上に固定する。スライドガラスを冷却アセトンから取り出し、ドライヤーで冷風を20分間あてて乾燥する。
(3)TARCの特異的蛍光標識
4℃のPBSにスライドガラスを5分間浸漬する。新たなPBSに交換し、再度スライドガラスを5分間浸漬する。
抗体の非特異的反応を防ぐため、3%牛血清アルブミン−PBS溶液を30分間反応させる。
直前に調製した1%牛血清アルブミン−PBS溶液で、抗TARC抗体を100倍希釈する。
湿室を作り、水気を切ったスライドガラスを並べる。抗TARC抗体溶液を150μlスライドガラス上に滴下して、細胞固定部位をすべて覆う。湿室に蓋をし、抗体反応を完了させるため、4℃にて一晩静置する。
4℃のPBSにスライドガラスを5分間浸漬する。新たなPBSに交換し、再度スライドガラスを5分間浸漬することを2回繰り返す。
直前に調製した1%牛血清アルブミン−PBS溶液で、FITC標識抗マウスIgGを100倍希釈する。
遮光した湿室を作り、水気を切ったスライドガラスを並べる。FITC標識抗マウスIgG溶液を150μlスライドガラス上に滴下して、細胞固定部位をすべて覆う。湿室に蓋をし、抗体反応を完了させるため、室温にて1時間静置する。
(4)顕微鏡観察用試料の最終調製
4℃のPBSにスライドガラスを5分間浸漬する。新たなPBSに交換し、再度スライドガラスを5分間浸漬することを2回繰り返す。
スライドガラスに蛍光染色用封入剤を1滴滴下し、カバーガラス(22×32mm)で覆い、カバーガラスの縁をマニキュアで固定する。マニキュアが乾燥したら、すぐに遮光保存する。
上記のごとく調製した角層細胞固定スライドガラスにつき、光学顕微鏡による可視光観察および蛍光観察を行う。
第2の実施形態:
第2の実施形態は、テープストリッピング法により角層細胞を採取し、角層細胞中に発現されたTARCを特異的に蛍光標識し、TARC発現量を蛍光観察により検出する点で、第1の実施形態とほぼ同様の手法であるが、角層細胞を採取した粘着テープから直接スライドガラスに角層細胞を固定する点で相違する。
以下、第1の実施形態と相違する点のみ説明する。
角層細胞を採取した粘着テープを直接スライドガラスに貼付する。スライドガラスをn−ヘキサンに一晩浸漬して、テープの粘着層を溶解させる。
テープの支持フィルムを除去すると、角層細胞のみがスライドガラスに残存する。この状態で、自然乾燥させる。
その後、4℃のPBSに5分間浸漬する洗浄工程を2回繰り返したあとは、第1の実施形態と同様に、抗TARC抗体で反応させ、FITC標識することによって、角層細胞固定スライドガラスを調製する。
上記のごとく調製した角層細胞固定スライドガラスにつき、光学顕微鏡による可視光観察および蛍光観察を行う。
[光学顕微鏡観察]
健常者およびアトピー性皮膚炎患者(軽微8人、軽症2人、中等症4人)の頬部から採取した角層細胞の顕微鏡観察画像を図1に示す。
アトピー性皮膚炎の重篤度は、日本皮膚科学会による治療ガイドラインに準じて、皮膚科専門医が評価した。今回の評価においては、軽微、軽症、中等症に分類した。また、健常者とは、アトピー性皮膚炎の発症の経験がなく、評価時点で自覚症状も発症もしていない者をいう。
本発明においては、対象の任意の局部から皮膚を採取することができるが、症状が小さい部位でのアトピー性皮膚炎の病態を数値化できるか否かを確認する目的のため、ここでは、対象に共通して症状が軽い部位である頬部から角層細胞を採取した。
左カラムは、角層細胞の明視野画像を示し、中央カラムは、FITC標識TARC由来の蛍光発光波長領域の光を通過させるバンドパスフィルターを用いて取得した抗TARC抗体陽性細胞の蛍光画像である。右カラムは、同一視野で取得した角層細胞の明視野画像と陽性細胞の蛍光画像を重複させた合成画像である。また、上段は健常者由来の角層細胞の観察画像を示し、中段はアトピー性皮膚炎患者由来の角層細胞の観察画像を示す。さらに、下段は中段の観察画像の2倍拡大図を示す。
デジタル画像解析ソフトを用いて、角層細胞の観察画像を解析して、観察視野に含まれるすべての角層細胞の占める面積をピクセル数で計数した。この数値を「全角層細胞面積S」と定義する。
角層細胞の観察には、染色などの処理を行うことなく細胞の全景を観察できる手法を用い、明視野観察、暗視野観察、位相差観察、微分干渉観察等の可視光観察が含まれる。
デジタル画像解析ソフトを用いて、角層細胞の観察画像と同一の視野で観察された蛍光画像の輝度をピクセルごとに黒から白の順序の0〜255グレーレベルで表示する。
次に、各グレーレベル(0〜255)を示すピクセル数を計数する。このとき、グレーレベルに閾値iを設定してグレーレベルi以上のピクセル数のみ引用することができる。
グレーレベルごとに、グレーレベルにそのグレーレベルを示すピクセル数を乗じた積を求め、これら積の総和を「蛍光強度F」と定義する。より具体的には、グレーレベルx(i≦x≦255)を示すピクセル数をN(x)と表したとき、本発明における蛍光強度Fは、式(1)で算出される。
本発明において、上記定義された蛍光強度Fを全角層細胞面積Sで除して得られた値を「TARC値」と定義し(式2)、この値をTARCの発現量を示すパラメータとして用いる。すなわち、本発明において、すべての角層細胞が均一に蛍光発光したと仮定した場合の平均輝度でTARC発現量を表現する。
本発明において、デジタル画像解析ソフトとしてPhotoshop(アドビ社製)を用いたが、上記の全角層細胞面積Sおよび蛍光強度Fを求めることができるプログラムを備えたソフトウェアであれば、本発明に用いることができる。
[ELISA法による測定]
同一対象につき、従来のELISA法を用いて角層細胞に含まれるTARC濃度を測定した。ELISA法による測定手順を以下に示す。
粘着テープを用いて対象の頬部からテープストリッピング法により角層細胞を採取する。採取した角層細胞をPBS(pH7.4)に浸漬する。氷上で細胞破砕処理をし、遠心分離によって上清を回収する。ELISA法により上清中のTARC濃度を測定する。
本発明の蛍光免疫法および従来のELISA法の双方によりTARC発現量を評価した結果を表1に示す。
いずれの対象についても、TARC発現量はELISA法の検出限界(7pg/mL)未満であり、測定不能であった。検出限界は検量線から得られた数値である。なお、一般的なELISA検出キットでは100〜200pg/mlを検出限界としている。
一方、本発明の蛍光免疫測定法では、軽微のアトピー性皮膚炎患者でもTARC値を測定することが可能であった。
本発明で用いた試薬を以下に示す。
抗TARC抗体:Mouse anti-human CCL17-TARC monoclonal antibody(R & D systems, Catalog Number MAB364)
FITC標識抗マウスIgG:Anti Mouse IgG(H+L)(Polycsiences, Inc., Catalog Number 23806-2)
SDS−C12DMAO混液:20mMのドデシル硫酸ナトリウムおよび80mMのN,N−ジメチルドデシルアミンオキシドの混合液
PBS:水1L中、8gのNaCl、2.9gのNaHPO・12HO、0.2gのKClおよび0.2gのKHPOを溶解した溶液、pH7.4
実験2:TARC値によるアトピー性皮膚炎の病態評価
実験1によって、本発明の方法により得られたTARC値がアトピー性皮膚炎の病態評価に使用できる可能性が示されたので、TARC値とアトピー性皮膚炎の重篤度との関連性を調べた。
改めて、健常者(10人)およびアトピー性皮膚炎患者(軽微・軽症28人、中等症6人)の頬部から角層細胞を採取して、TARC値を算出した。
得られた結果を図2に示す。
図2から分かるように、健常者、軽微・軽症のアトピー性皮膚炎患者および中等症のアトピー性皮膚炎患者の間で、TARC値に高い相関性が見られた。各重篤度の対象から得られたTARC値の差は、スチューデントの検定により、有意であることが確認された。
実験3:TARC値によるアトピー性皮膚炎の局所病態評価
本発明の評価方法により、アトピー性皮膚炎の局所病態を評価することができることを示すために、同一対象において、発症の程度が異なる部位から採取した角層細胞につきTARC値を測定した。
日本皮膚科学会による治療ガイドラインに準じて、皮膚科専門医が重症であると評価したアトピー性患者5人につき、SCORADの客観的要素である重症度スコアに準じて、角層細胞の採取部位ごとに重症度スコアを求めた。この実験における重症度スコアとして、紅斑、浮腫/丘疹、痂皮/滲出、苔癬化、掻破痕、皮膚の乾燥およびその他についてそれぞれ、3.重症、2.中等、1.軽症、0.なしで評価した合計ポイントを用いた。
重症度スコアおよびTARC値の結果を表2に示す。
表2の結果から、本発明の評価法により、アトピー性皮膚炎の局所的病態の重篤度を簡便かつ正確に評価することができた。
健常者およびアトピー性皮膚炎患者の頬部から採取した角層細胞の顕微鏡観察画像。 本発明の方法によって得られたTARC値とアトピー性皮膚炎の病態の重篤度との相関性を示すグラフ。

Claims (5)

  1. アトピー性皮膚炎の局所病態を非侵襲的に評価する方法であって、
    (a)非侵襲的な手法によって対象から採取された皮膚由来の角層細胞中に発現されたTARCを特異的に蛍光標識する工程;
    (b)光学顕微鏡を用いる観察によって、観察視野中に存在するすべての角層細胞の画像を取得する工程;
    (c)前記すべての角層細胞の画像をデジタル画像解析することによって、前記すべての角層細胞の面積を測定する工程;
    (d)光学顕微鏡を用いる蛍光観察によって、前記工程(c)における観察視野と同一の観察視野中に存在する蛍光標識されたTARCの蛍光画像を取得する工程;
    (e)前記蛍光標識されたTARCの蛍光画像をデジタル画像解析することによって、前記観察視野の蛍光強度を測定する工程;
    (f)前記工程(e)において測定された蛍光強度を前記工程(c)で測定されたすべての角層細胞の面積で除して、TARC値を算出する工程
    を含む方法。
  2. 前記TARCを特異的に蛍光標識する工程(a)が、
    (a−1)非侵襲的な手法によって対象から採取された皮膚由来の角層細胞中に発現されたTARCに特異的に結合する抗TARC抗体と接触させる工程;および
    (a−2)前記抗TARC抗体に特異的に結合する部位を有する蛍光発色団で前記TARCを特異的に蛍光標識する工程
    を含む請求項1に記載の方法。
  3. さらに、
    (g)予め作成したTARC値とアトピー性皮膚炎の病態の重篤度との相関を参照して、工程(f)において得られたTARC測定値に基づき、アトピー性皮膚炎の局所病態の重篤度を決定する工程
    を含む請求項1に記載の方法。
  4. 工程(e)において、前記蛍光標識されたTARCの蛍光画像の輝度をピクセルごとに黒から白の順序の0〜255グレーレベルで表示し;各グレーレベルを示すピクセル数を計数し;グレーレベルi以上のピクセル数のみ引用するために、グレーレベルに閾値iを設定し;グレーレベルx(i≦x≦255)を示すピクセル数をN(x)と表したとき、蛍光強度Fを式(1):
    を用いて算出し;次いで、工程(c)で測定されたすべての角層細胞の面積を全角層細胞面積Sと定義し、TARC値を式(2):
    を用いて算出する、請求項1に記載の方法。
  5. 工程(a)において、皮膚由来の角層細胞を採取するための非侵襲的な手法が、テープストリッピング法である請求項1に記載の方法。
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