JP2009276245A - 持続性皮膚炎症性疾患の改善剤をスクリーニングする方法及びその改善剤 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、S100A8/A9に起因する持続性皮膚炎症性疾患の改善剤のスクリーニング方法及びその改善剤の提供を課題とする。
【解決手段】JNK(c−Jun N−Terminal Kinase)、p38及びNF−κB(Nuclear Factor−κB)からなる群から選ばれる少なくとも1つのシグナル伝達分子を指標とした、S100A8/A9に起因する持続性皮膚炎症性疾患の改善剤をスクリーニングする方法。
【選択図】図2
【解決手段】JNK(c−Jun N−Terminal Kinase)、p38及びNF−κB(Nuclear Factor−κB)からなる群から選ばれる少なくとも1つのシグナル伝達分子を指標とした、S100A8/A9に起因する持続性皮膚炎症性疾患の改善剤をスクリーニングする方法。
【選択図】図2
Description
本発明はS100A8/S100A9に起因する持続性皮膚炎症性疾患の改善剤を提供する。
過剰増殖や乾癬においてアップレギュレーションされるタンパク質として100A8およびS100A9が知られる。S100A8およびS100A9は、20を超えるメンバーから構成されるEF−ハンドカルシウム結合S100タンパク質ファミリーに属する(非特許文献1:Marenholz I et al., Biochem Biophys Res Commun (2004) 322:1111-1122)。どちらのタンパク質も好中球、活性化単球、およびマクロファージによって分泌され、それらの細胞の化学走性分子として機能し、炎症性細胞の漸増に関する正のフィードバックループに関与する(非特許文献2:Roth J et al., Trends Immunol (2003) 24:155-158)。S100A8およびS100A9陽性骨髄細胞は、炎症領域内に浸潤する最初の細胞である(非特許文献3:Odink K et al., Nature (1987) 330:80-82)。慢性関節リウマチ(非特許文献4:Liao H et al., Arthritis Rheum (2004) 50:3792-3803)、多発性硬化症(非特許文献5:Bogumil T et al., Neurosci Lett (1998) 247:195-197)、クローン病(非特許文献6:Lugering N, et al., Digestion (1995) 56:406-414)、および結合組織疾患(非特許文献7:Kuruto R, et al., J Biochem (Tokyo) (1990) 108:650-653)を含む多数のヒト炎症性疾患で高いS100A8およびS100A9血清レベルが観察されている。従って、S100A8およびS100A9は、炎症の誘導および伝播に重要な役割を担うと考えられている。
上皮細胞中でS100A8と100A9が果たす生物学的機能について、本発明者は以前、外因性S100A8とS100A9が複合体(S100A8/A9)を形成することで正常表皮角化細胞(NHK)を刺激して乾癬性病変などにおいて発現亢進される炎症性サイトカインを産生させ、さらにS100A8/A9誘導性サイトカインがNHK中でのS100A8およびS100A9の産生および分泌を刺激することを明らかにした(非特許文献8:J Cell Biochem. 2007 Nov 28, Epub ahead of print)。さらに、S100A8/A9自体がNHKの増殖を増強することも見出した。これらの結果は、主要メディエーターとしてS100A8/A9が関与するNHKの増殖と炎症の正のフィードバック機構の存在を明らかにした。即ち、S100A8/A9が炎症性サイトカインの産生を誘導して炎症性疾患を惹起し、その炎症が細胞増殖を誘導し、さらには細胞増殖が炎症を誘導するといったスパイラルを形成し、増殖・炎症が連鎖する持続性皮膚炎症性疾患、例えばアトピー性皮膚炎や乾癬などの原因となることが示唆された。
Biochem Biophys Res Commun (2004) 322:1111-1122
Trends Immunol (2003) 24:155-158
Nature (1987) 330:80-82
Arthritis Rheum (2004) 50:3792-3803
Neurosci Lett (1998) 247:195-197
Digestion (1995) 56:406-414
J Biochem (Tokyo) (1990) 108:650-653
J Cell Biochem. 2007 Nov 28, Epub ahead of print
Hum Genet (2002) 111:310-313
本発明は、S100A8/A9に起因する持続性皮膚炎症性疾患の改善剤のスクリーニング方法及びその改善剤の提供を課題とする。
本発明者は、正常表皮角化細胞(NHK)においてS100A8/A9により活性化されるシグナル伝達経路の同定を試みた。ヒトホスホ−MAPKアレイ及びウェスタンブロットを用い、細胞増殖を誘導する様々なシグナル伝達分子の活性化をそのリン酸化を介して調べたところ、組換S100A8/A9の添加により30分以内において二つのストレス活性化タンパク質キナーゼ(SPAK)p38及びJNKが活性化(リン酸化)されることを見出した。一方、Akt(プロテインキナーゼB)やERK(細胞外シグナル調節キナーゼ)といった細胞増殖因子の活性化は認められなかった。また、免疫染色法によってシグナル伝達分子の活性化を調べたところ、組換S100A8/A9の存在下でNF−κBの活性化も認められた。
従って、S100A8/A9によるこれら特定のシグナル伝達分子の活性化を抑制できれば、S100A8/A9に起因する持続性皮膚炎症性疾患を予防・治療できることが見出され、本発明を完成するに至った。
従って、S100A8/A9によるこれら特定のシグナル伝達分子の活性化を抑制できれば、S100A8/A9に起因する持続性皮膚炎症性疾患を予防・治療できることが見出され、本発明を完成するに至った。
従って、本願は以下の発明を包含する:
(1)JNK(c−Jun N−Terminal Kinase)、p38及びNF−κB(Nuclear Factor−κB)からなる群から選ばれる少なくとも1つのシグナル伝達分子を指標とした、S100A8/A9に起因する持続性皮膚炎症性疾患の改善剤をスクリーニングする方法。
(2)表皮角化細胞にS100A8/S100A9の存在下で候補薬剤を作用させ、前記表皮角化細胞のJNK、p38及びNF−κBからなる群から選ばれる少なくとも1つのシグナル伝達分子の活性化を有意に抑制する候補薬剤をS100A8/A9に起因する持続性皮膚炎症性疾患の改善剤として選択する(1)の方法。
(3)JNK、p38及びNF−κBの全てを指標とした、(1)又は(2)に記載の方法。
(4)ローズアップルリーフエキス、イブキジャコウエキス、MOPS、D−プシコース並びに抗S100A8中和抗体及び抗S100A9中和抗体からなる群からばれる1種又は複数種の薬剤又は抗体を含有することからなる、S100A8/A9に起因する持続性皮膚炎症性疾患の改善剤。
(1)JNK(c−Jun N−Terminal Kinase)、p38及びNF−κB(Nuclear Factor−κB)からなる群から選ばれる少なくとも1つのシグナル伝達分子を指標とした、S100A8/A9に起因する持続性皮膚炎症性疾患の改善剤をスクリーニングする方法。
(2)表皮角化細胞にS100A8/S100A9の存在下で候補薬剤を作用させ、前記表皮角化細胞のJNK、p38及びNF−κBからなる群から選ばれる少なくとも1つのシグナル伝達分子の活性化を有意に抑制する候補薬剤をS100A8/A9に起因する持続性皮膚炎症性疾患の改善剤として選択する(1)の方法。
(3)JNK、p38及びNF−κBの全てを指標とした、(1)又は(2)に記載の方法。
(4)ローズアップルリーフエキス、イブキジャコウエキス、MOPS、D−プシコース並びに抗S100A8中和抗体及び抗S100A9中和抗体からなる群からばれる1種又は複数種の薬剤又は抗体を含有することからなる、S100A8/A9に起因する持続性皮膚炎症性疾患の改善剤。
本発明により、乾癬やアトピー性皮膚炎といった持続性炎症皮膚疾患の有効な治療薬の提供が可能となる。従来、アトピー性皮膚炎などの持続性炎症皮膚疾患の治療に有効とされているのはステロイド系薬剤や免疫抑制剤が主なものであるが、継続使用に問題があり、またその効果も限定的であった。その点で、本発明は持続性皮膚炎症性疾患に有効な画期的な薬剤の探索の実現を可能にする。
炎症に関与するインターロイキン遺伝子やシクロオキシゲナーゼー2遺伝子の発現誘導には、2つの転写因子が中心的な役割をしており、その一つがNF−κBである。もう一つの転写因子はAP−1であり、常にDNAに結合しており、リン酸化されることによって活性化される。JNKとP38はこのリン酸化を担うシグナル伝達分子である。このようにNF−κB、JNK及びP38はいずれも炎症性疾患との関与について知られており、それらの活性化を抑制できれば一過性の皮膚炎症性疾患を改善し得ることは当業者であれば容易類推し得ようが、それがS100A8/A9のような持続性を有することを特徴とする皮膚炎症性疾患の原因となる因子により活性化されることは本発明者が今般はじめて見出したものである。従って、NF−κB、JNK、P38の活性化を抑制できれば持続性皮膚炎症性疾患を改善し得ることは驚くべき事実である。
本発明のスクリーニング方法は、特に限定されるものではないが、例えばS100A8/A9の存在下で表皮角化細胞を候補薬剤とインキュベーションすることで表皮角化細胞に候補薬剤を作用させ、前記表皮角化細胞のJNK、p38及びNF−κBからなる群から選ばれる少なくとも1つのシグナル伝達分子、より好ましくはJNK、p38及びNF−κBの全ての活性化を、かかるシグナル伝達分子を作用させていないコントロールに比べ、有意に抑制する候補薬剤をS100A8/A9に起因する持続性皮膚炎症性疾患の改善剤として選択する、ことからなる。その評価基準として、例えば表皮角化細胞中のJNK、p38及びNF−κBの各々の活性化がコントロール中のそれらと比べ10%以上、又は20%以上、又は30%以上、又は50%以上、又は70%以上、又は100%抑制していたなら「有意に抑制する」、と判断してよい。
JNKやp38の活性化を検出する手段は特に限定されるわけではないが、例えばそのリン酸化をウェスタンブロティング法で検出することで、あるいは免疫染色法により核への移行を観察することで検出することができる。また、NF−κBの活性化を検出する手段は特に限定されるわけではないが、例えば免疫染色法により核への移行を観察することで検出することができる。
培養表皮角化細胞は動物の表皮由来の表皮角化細胞を適当な培地、例えばEpiLife (クラボウ)中において培養されたものを用いることができる。細胞は、ヒトに限らず、マウス、ラット、ブタ等の表皮由来の細胞でも良いが、好ましくはヒト由来細胞を利用する。
S100A8およびA9
S100A8およびA9のアミノ酸配列およびそれをコードするDNA配列は例えばHum Genet (2002) 111:310-313(非特許文献9)に公開されている。本発明において使用できるS100A8およびA9は、通常ヒト由来の天然型、あるいは組み換えタンパク質であるが、活性を有すれば改変型、異種由来、もしくは非精製品を用いることができる。S100A8およびA9の組換タンパク質は、当業界周知の方法に従い、例えば単離したまたはPCRにより合成したS100A8又はA9遺伝子(cDNA)を例えばプラスミド、ウィルス等に挿入して発現ベクターを調製し、これを宿主細胞、例えば微生物、動物細胞又は植物細胞等の培養細胞に導入し、発現させることにより、大量調製することが可能である。
S100A8およびA9のアミノ酸配列およびそれをコードするDNA配列は例えばHum Genet (2002) 111:310-313(非特許文献9)に公開されている。本発明において使用できるS100A8およびA9は、通常ヒト由来の天然型、あるいは組み換えタンパク質であるが、活性を有すれば改変型、異種由来、もしくは非精製品を用いることができる。S100A8およびA9の組換タンパク質は、当業界周知の方法に従い、例えば単離したまたはPCRにより合成したS100A8又はA9遺伝子(cDNA)を例えばプラスミド、ウィルス等に挿入して発現ベクターを調製し、これを宿主細胞、例えば微生物、動物細胞又は植物細胞等の培養細胞に導入し、発現させることにより、大量調製することが可能である。
S100A8およびA9は表皮角化細胞と同種であることが好ましいが、異種であっても炎症性サイトカインを誘導し、表皮角化細胞を増殖可能であれば、使用することができる。S100A8および/またはA9は、水や培地、例えば表皮角化細胞の培養に適当な培地、例えば上記EpiLife(登録商標)培地に溶解し、培養系に添加する。添加量は、一概には規定できないが1ng/mlから1mg/ml程度、好ましくは10ng/mlから100μg/ml程度、より好ましくは100ng/mlから10μg/ml程度の濃度とする。S100A8および/またはA9の添加は、好ましくは塩化カルシウムの存在下で行う。S100A8および/またはA9の存在下でのインキュベーション時間、インキュベーション温度といった培養条件は特に制限されることはなく、好ましくは30〜37℃で1〜14時間、より好ましくは34〜37℃で2〜7時間、好ましくはCO25%の下でインキュベーションを行う。
本発明はさらに、ローズアップルリーフエキス、イブキジャコウエキス、MOPS及びD−プシコースからなる群から選ばれる1種又は複数種の薬剤を含有することからなる、S100A8/A9に起因する持続性皮膚炎症性疾患の改善剤を提供する。
・ローズアップルリーフエキス(Syzygium Jambos Leaf):フトモモ葉から採れるエキスで、高い抗酸化作用があり、紫外線や乾燥等の外的刺激から肌を保護する効果を有することで知られる。
・イブキジャコウエキス(Thymus serphyllum Linne subsp. serphyllum):シソ科タイム属に属する植物であり、線維質コラーゲンの分解減少を抑え、DNA断裂化抑制作用を有し、紫外線によるDNA損傷を防ぐ効果を有することで知られる。
・ローズアップルリーフエキス(Syzygium Jambos Leaf):フトモモ葉から採れるエキスで、高い抗酸化作用があり、紫外線や乾燥等の外的刺激から肌を保護する効果を有することで知られる。
・イブキジャコウエキス(Thymus serphyllum Linne subsp. serphyllum):シソ科タイム属に属する植物であり、線維質コラーゲンの分解減少を抑え、DNA断裂化抑制作用を有し、紫外線によるDNA損傷を防ぐ効果を有することで知られる。
上記抽出物は常法により得ることができ、例えばその起源となる植物を抽出溶媒とともに常温又は加熱して浸漬または加熱還流した後、濾過し、濃縮して得ることができる。抽出溶媒としては、通常抽出に用いられる溶媒であれば任意に用いることができ、例えば、水性溶媒、例えば水、生理食塩水、リン酸緩衝液、ホウ酸緩衝液、あるいは有機溶媒、例えばエタノール、プロピレングリコール、1,3−ブチレングリコール、グリセリン等のアルコール類、含水アルコール類、クロロホルム、ジクロルエタン、四塩化炭素、アセトン、酢酸エチル、ヘキサン等を、それぞれ単独あるいは組み合わせて用いることができる。好ましくは、溶媒として水が使用される。上記溶媒で抽出して得られた抽出物をそのまま、あるいは例えば凍結乾燥などにより濃縮したエキスを使用でき、また必要であれば吸着法、例えばイオン交換樹脂を用いて不純物を除去したものや、ポーラスポリマー(例えばアンバーライトXAD−2)のカラムにて吸着させた後、所望の溶媒で溶出し、さらに濃縮したものも使用することができる。
・MOPS(2−モルホリノプロパンスルホン):水溶性が高く、高濃度緩衝液を調製できるため、生化学の分野において広く利用される。
・D−プシコース:六炭糖およびケトースに分類される単糖であり、希少糖である。小腸α-グリコシダーゼを阻害し、ラットにおける炭水化物摂取後の血糖値上昇反応を抑制するといった効果が知られる。
・D−プシコース:六炭糖およびケトースに分類される単糖であり、希少糖である。小腸α-グリコシダーゼを阻害し、ラットにおける炭水化物摂取後の血糖値上昇反応を抑制するといった効果が知られる。
本発明の持続性皮膚炎症性疾患の改善剤は、S100A8/A9に起因する持続性皮膚炎症性疾患、例えばアトピー性皮膚炎、乾癬などの予防、治療といった改善等に有効な医薬品又は化粧品として利用できる。
本発明の持続性皮膚炎症性疾患の改善剤は、その使用目的に合わせて用量、用法、剤型を適宜決定することが可能である。例えば、本発明の持続性皮膚炎症性疾患の改善剤の投与形態は、経口、非経口、外用等であってよい。剤型としては、例えば錠剤、粉剤、カプセル剤、顆粒剤、エキス剤、シロップ剤等の経口投与剤、又は注射剤、点滴剤、若しくは坐剤等の非経口投与剤軟膏、クリーム、乳液、ローション、パック、浴用剤等の外用剤を挙げることができる。
本発明の持続性皮膚炎症性疾患の改善剤の上記薬剤の配合量は、用途に応じて適宜決定できるが、一般には阻害剤全量中、乾燥物として0.0001〜20.0質量%、好ましくは0.0001〜10.0質量%である。
また、持続性皮膚炎症性疾患の改善剤中には、上記薬剤以外に、例えば、通常の食品や医薬品に使用される賦形剤、防湿剤、防腐剤、強化剤、増粘剤、乳化剤、酸化防止剤、甘味料、酸味料、調味料、着色料、香料等、化粧品等に通常用いられる美白剤、保湿剤、油性成分、紫外線吸収剤、界面活性剤、増粘剤、アルコール類、粉末成分、色剤、水性成分、水、各種皮膚栄養剤等を必要に応じて適宜配合することができる。
さらに、本発明の持続性皮膚炎症性疾患の改善剤を皮膚外用剤として使用する場合、皮膚外用剤に慣用の助剤、例えばエデト酸二ナトリウム、エデト酸三ナトリウム、クエン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、グルコン酸等の金属封鎖剤、カフェイン、タンニン、ベラパミル、トラネキサム酸およびその誘導体、甘草抽出物、グラブリジン、カリンの果実の熱水抽出物、各種生薬、酢酸トコフェロール、グリチルリチン酸およびその誘導体またはその塩等の薬剤、ビタミンC、アスコルビン酸リン酸マグネシウム、アスコルビン酸グルコシド、アルブチン、コウジ酸等の美白剤、グルコース、フルクトース、マンノース、ショ糖、トレハロース等の糖類、レチノイン酸、レチノール、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール等のビタミンA類なども適宜配合することができる。
以下、具体例を挙げて、本発明を更に具体的に説明する。なお、本発明はこれにより限定されるものではない。
組換タンパク質の調製
S100A8およびS100A9のcDNAをPCRにより増幅させ、pGEX6P1(GE Healthcare Bio-Sciences社、米国、ニュージャージー州、ピスカタウェイ: BamH1-Xho1部位)にクローニングした。ベクターのヌクレオチド配列をDNAシーケンシングによって確認した。大腸菌(Escherichia coli)(BL21-Codon Plus - (DE3)-RIL; STRATAGENE社、米国、カリフォルニア州、ラ・ホーヤ)をこのベクター(pGEX6P1、pGEX6P1−S100A8及びpGEX6P1−S100A9)により形質転換させた。組換GST融合タンパク質は、グルタチオン-アガロース親和性クロマトグラフィーによって精製した。GSTは、PreScissionプロテアーゼ(GE Healthcare Bio-Sciences社)で切断することで遊離させ、グルタチオン−アガロース親和性クロマトグラフィーに吸着させて除去した。
S100A8およびS100A9のcDNAをPCRにより増幅させ、pGEX6P1(GE Healthcare Bio-Sciences社、米国、ニュージャージー州、ピスカタウェイ: BamH1-Xho1部位)にクローニングした。ベクターのヌクレオチド配列をDNAシーケンシングによって確認した。大腸菌(Escherichia coli)(BL21-Codon Plus - (DE3)-RIL; STRATAGENE社、米国、カリフォルニア州、ラ・ホーヤ)をこのベクター(pGEX6P1、pGEX6P1−S100A8及びpGEX6P1−S100A9)により形質転換させた。組換GST融合タンパク質は、グルタチオン-アガロース親和性クロマトグラフィーによって精製した。GSTは、PreScissionプロテアーゼ(GE Healthcare Bio-Sciences社)で切断することで遊離させ、グルタチオン−アガロース親和性クロマトグラフィーに吸着させて除去した。
抗S100A8中和抗体、抗S100A9中和抗体
リコンビナントS100A8又はS100A9を用いて、常法に従いウサギに免疫し、抗S100A8中和抗体、抗S100A9中和抗体を作製した。IgG分画をProteinGカラムにて精製し、以下の実験に用いた。
リコンビナントS100A8又はS100A9を用いて、常法に従いウサギに免疫し、抗S100A8中和抗体、抗S100A9中和抗体を作製した。IgG分画をProteinGカラムにて精製し、以下の実験に用いた。
ヒトホスホ−MAPKアレイ
ヒトホスホ−MAPKアレイキット(ARY002, R&D Systems, Inc)を用いて、S100A8/A9により活性化される分子を網羅的に探索した。
正常ヒト表皮角化細胞(KK-4009, KURABO)をEpiLife(登録商標)-KG2培地(M-EPI-2150,KURABO)中、恒湿、CO2 5%、37℃において培養した。終密度70〜80%の細胞をEpiLife(登録商標)培地(M-EPI-500-CA, KURABO)に置換した。20時間後にS100A8/A9のリコンビナントタンパク質を10ug/ml添加し、恒湿、CO2 5%、37℃において培養した。30分後に、ヒトホスホ−MAPKアレイキットに付属のLysisバッファーに溶解させ、不溶性画分を14,000rpmにて15分、4℃での遠心分離操作により除去した。可溶性画分中の総タンパク質量を定量後、300ugを用い、添付の説明書に従ってアレイ実験を行った。その結果を図1に示す。
ヒトホスホ−MAPKアレイキット(ARY002, R&D Systems, Inc)を用いて、S100A8/A9により活性化される分子を網羅的に探索した。
正常ヒト表皮角化細胞(KK-4009, KURABO)をEpiLife(登録商標)-KG2培地(M-EPI-2150,KURABO)中、恒湿、CO2 5%、37℃において培養した。終密度70〜80%の細胞をEpiLife(登録商標)培地(M-EPI-500-CA, KURABO)に置換した。20時間後にS100A8/A9のリコンビナントタンパク質を10ug/ml添加し、恒湿、CO2 5%、37℃において培養した。30分後に、ヒトホスホ−MAPKアレイキットに付属のLysisバッファーに溶解させ、不溶性画分を14,000rpmにて15分、4℃での遠心分離操作により除去した。可溶性画分中の総タンパク質量を定量後、300ugを用い、添付の説明書に従ってアレイ実験を行った。その結果を図1に示す。
図の表中、S100A8/A9の添加によりリン酸化強度が変化しない又は減少したものを「−」、若干上昇したものを「+」、有意に上昇ものを「++」と表記した。この表から、p38のサブユニットであるp38α(++)、p38β(+)、p38δ(+)のリン酸化が認められた。その他のシグナル分子でリン酸化の上昇が認められたものはなかった。
シグナル伝達分子の活性化状態の確認
S100A8/A9により活性化される分子をウェスタンブロット法により検証した。JNKに関しては検出成度の点から、JNKの下流のc−Junのリン酸化を指標としてJNKの活性化状態を評価した。
正常ヒト表皮角化細胞(KK-4009, KURABO)をEpiLife(登録商標)-KG2培地(M-EPI-2150,KURABO)中、恒湿、CO2 5%、37℃において培養した。終密度70〜80%の細胞をEpiLife(登録商標)培地(M-EPI-500-CA, KURABO)に置換した。20時間後にS100A8/A9のリコンビナントタンパク質を10ug/ml添加し、恒湿、CO2 5%、37℃において培養した。15分後、30分後に、50mM Hepes(pH 7.5)、150mM NaCl、1.5mM MgCl2、1mM EGTA、10% Glycerol、1% Triton-X-100、10mM NaF、1mM Na3VO4、1mM PMSFを含有する抽出バッファーに溶解させ、不溶性画分を14,000rpmにて15分、4℃での遠心分離操作により除去した。可溶性画分中の総タンパク質量を定量し、すべてのサンプルの総タンパク質量を同程度にそろえた。可溶性画分をSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動で分離し、抗リン酸化ERK抗体(44-680G, BIOSOURCE、希釈率1/1000)、抗ERK抗体(AB3053, CHEMICON、希釈率1/2000)、抗リン酸化p38抗体(#9211、Cell Signaling Technology, Inc., 希釈率1/500)、抗p38抗体(#05-454、UPSTATE、希釈率1/400)、抗リン酸化c-Jun抗体(#9261、Cell Signaling Technology, Inc., 希釈率1/1000)、抗c-Jun抗体(#9165、Cell Signaling Technology, Inc., 希釈率1/1000)、抗リン酸化Akt抗体(#9271、Cell Signaling Technology, Inc., 希釈率1/1000)、抗Akt抗体(#9272、Cell Signaling Technology, Inc., 希釈率1/1000)で標識した。二次抗体には、抗ウサギHRP標識二次抗体(NA9340, GEヘルスケアバイオサイエンス、1/10000)、または、抗マウスHRP標識二次抗体(NA9310, GEヘルスケアバイオサイエンス、1/5000)を用いた。検出には、ECL Plus ウェスタンブロット検出試薬(RPN2132、 GEヘルスケアバイオサイエンス)を用いた。
S100A8/A9により活性化される分子をウェスタンブロット法により検証した。JNKに関しては検出成度の点から、JNKの下流のc−Junのリン酸化を指標としてJNKの活性化状態を評価した。
正常ヒト表皮角化細胞(KK-4009, KURABO)をEpiLife(登録商標)-KG2培地(M-EPI-2150,KURABO)中、恒湿、CO2 5%、37℃において培養した。終密度70〜80%の細胞をEpiLife(登録商標)培地(M-EPI-500-CA, KURABO)に置換した。20時間後にS100A8/A9のリコンビナントタンパク質を10ug/ml添加し、恒湿、CO2 5%、37℃において培養した。15分後、30分後に、50mM Hepes(pH 7.5)、150mM NaCl、1.5mM MgCl2、1mM EGTA、10% Glycerol、1% Triton-X-100、10mM NaF、1mM Na3VO4、1mM PMSFを含有する抽出バッファーに溶解させ、不溶性画分を14,000rpmにて15分、4℃での遠心分離操作により除去した。可溶性画分中の総タンパク質量を定量し、すべてのサンプルの総タンパク質量を同程度にそろえた。可溶性画分をSDS−ポリアクリルアミドゲル電気泳動で分離し、抗リン酸化ERK抗体(44-680G, BIOSOURCE、希釈率1/1000)、抗ERK抗体(AB3053, CHEMICON、希釈率1/2000)、抗リン酸化p38抗体(#9211、Cell Signaling Technology, Inc., 希釈率1/500)、抗p38抗体(#05-454、UPSTATE、希釈率1/400)、抗リン酸化c-Jun抗体(#9261、Cell Signaling Technology, Inc., 希釈率1/1000)、抗c-Jun抗体(#9165、Cell Signaling Technology, Inc., 希釈率1/1000)、抗リン酸化Akt抗体(#9271、Cell Signaling Technology, Inc., 希釈率1/1000)、抗Akt抗体(#9272、Cell Signaling Technology, Inc., 希釈率1/1000)で標識した。二次抗体には、抗ウサギHRP標識二次抗体(NA9340, GEヘルスケアバイオサイエンス、1/10000)、または、抗マウスHRP標識二次抗体(NA9310, GEヘルスケアバイオサイエンス、1/5000)を用いた。検出には、ECL Plus ウェスタンブロット検出試薬(RPN2132、 GEヘルスケアバイオサイエンス)を用いた。
図2および図3がそれぞれ示すとおり、S100A8/A9によるp38及びJNKの活性化が確認された。
JNK1及びNF-κB(P50)の免疫染色
正常ヒト表皮角化細胞(KK-4009, KURABO)をEpiLife(登録商標)-KG2培地(M-EPI-2150,KURABO)中、恒湿、CO2 5%、37℃において培養した。終密度70〜80%の細胞をEpiLife(登録商標)培地(M-EPI-500-CA, KURABO)に置換した。24時間後、S100A8/A9を終濃度10ug/mlになるように培地に添加し、1時間インキュベートした。PBSで2回洗浄後、冷メタノール(-20度C)で20分間固定した。PBSで洗浄後、3%過酸化水素水中で20分間振とうし、内在性のペルオキシダーゼをブロック、水、PBSで2回洗浄後、ブロッキング試薬で細胞を覆い、30分室温でインキュベートした。PBSで1回洗浄後、抗JNK1抗体(サンタクルーズ社)、もしくは抗NF-κB(P50)(サンタクルーズ社)抗体で一晩インキュベートした。PBSで3回洗浄後、AlexaFluor488抗ウサギIgG抗体を用い、室温で1時間インキュベートし、PBSで3回洗浄後、核染色剤DAPIを含むVecta Shieldを用いて封入し蛍光顕微鏡で観察した。
また、NF-κB(P50)の核移行(活性化)阻害剤であるパルセノリドを予め添加しておくことにより、S100A8/A9による活性化が影響を受けるかどうかを検討した。
正常ヒト表皮角化細胞(KK-4009, KURABO)をEpiLife(登録商標)-KG2培地(M-EPI-2150,KURABO)中、恒湿、CO2 5%、37℃において培養した。終密度70〜80%の細胞をEpiLife(登録商標)培地(M-EPI-500-CA, KURABO)に置換した。24時間後、S100A8/A9を終濃度10ug/mlになるように培地に添加し、1時間インキュベートした。PBSで2回洗浄後、冷メタノール(-20度C)で20分間固定した。PBSで洗浄後、3%過酸化水素水中で20分間振とうし、内在性のペルオキシダーゼをブロック、水、PBSで2回洗浄後、ブロッキング試薬で細胞を覆い、30分室温でインキュベートした。PBSで1回洗浄後、抗JNK1抗体(サンタクルーズ社)、もしくは抗NF-κB(P50)(サンタクルーズ社)抗体で一晩インキュベートした。PBSで3回洗浄後、AlexaFluor488抗ウサギIgG抗体を用い、室温で1時間インキュベートし、PBSで3回洗浄後、核染色剤DAPIを含むVecta Shieldを用いて封入し蛍光顕微鏡で観察した。
また、NF-κB(P50)の核移行(活性化)阻害剤であるパルセノリドを予め添加しておくことにより、S100A8/A9による活性化が影響を受けるかどうかを検討した。
図4はJNK1のS100A8/A9による活性化を示す。免疫染色されたJNK1は当初は散在して観察されたが、期間が経過するにつれ小さいスポットに集中することが観察され、JNK1が活性化されて核に移行しているのが認められた。
図5はNF-κB(P50)のS100A8/A9による活性化を示す。一時間において、免疫染色されたNF-κB(P50)は、S100A8/A9の不在下のコントロールでは散在していたが、S100A8/A9の存在下では小さいスポットに集中することが観察され、NF-κBが活性化されて核に移行しているのが認められた。なお、この活性化(核移行)はNF-κBの阻害剤であるパルセニリドにより抑制されるのが観察された。
図5はNF-κB(P50)のS100A8/A9による活性化を示す。一時間において、免疫染色されたNF-κB(P50)は、S100A8/A9の不在下のコントロールでは散在していたが、S100A8/A9の存在下では小さいスポットに集中することが観察され、NF-κBが活性化されて核に移行しているのが認められた。なお、この活性化(核移行)はNF-κBの阻害剤であるパルセニリドにより抑制されるのが観察された。
薬剤添加実験
S100A8/A9によるシグナル伝達を阻害する薬剤や抗体の探索するため、薬剤や抗体添加時のS100A8/A9によるサイトカイン産生能を検証した。
正常ヒト表皮角化細胞(KK-4009, KURABO)をEpiLife-KG2培地(M-EPI-2150,KURABO)中、恒湿、CO2 5%、37℃において培養した。終密度70〜80%の細胞をEpiLife(登録商標)培地(M-EPI-500-CA, KURABO)に置換した。20時間後に、薬剤又は抗体を含むEpiLife(登録商標)培地に置換し、さらに1時間後に薬剤又は抗体とS100A8/A9を含むEpiLife(登録商標)培地に置換した。用いた薬剤は、リポ酸(終濃度0.1%)、ローズアップルリーフエキス(終濃度0.1%)、イブキジャコウエキス(終濃度0.1%)、MOPS(終濃度0.01%)、D−プシコース(終濃度0.01%)、D−フルクトース(終濃度0.01%)。また、抗体は、方法(2)に記載した抗S100A8中和抗体(終濃度10ug/ml)、抗S100A9中和抗体(終濃度10ug/ml)を用いた。
S100A8/A9によるシグナル伝達を阻害する薬剤や抗体の探索するため、薬剤や抗体添加時のS100A8/A9によるサイトカイン産生能を検証した。
正常ヒト表皮角化細胞(KK-4009, KURABO)をEpiLife-KG2培地(M-EPI-2150,KURABO)中、恒湿、CO2 5%、37℃において培養した。終密度70〜80%の細胞をEpiLife(登録商標)培地(M-EPI-500-CA, KURABO)に置換した。20時間後に、薬剤又は抗体を含むEpiLife(登録商標)培地に置換し、さらに1時間後に薬剤又は抗体とS100A8/A9を含むEpiLife(登録商標)培地に置換した。用いた薬剤は、リポ酸(終濃度0.1%)、ローズアップルリーフエキス(終濃度0.1%)、イブキジャコウエキス(終濃度0.1%)、MOPS(終濃度0.01%)、D−プシコース(終濃度0.01%)、D−フルクトース(終濃度0.01%)。また、抗体は、方法(2)に記載した抗S100A8中和抗体(終濃度10ug/ml)、抗S100A9中和抗体(終濃度10ug/ml)を用いた。
サイトカイン産生能については、下記の方法に準じて行った。
薬剤又は抗体とS100A8/A9を含むEpiLife(登録商標)培地に置換し、3時間後に、PBSで2回洗浄し、その後、ISOGEN(311-02501、ニッポンジーン)を用い、RNAを単離した。SuperScript(登録商標) II Reverse Transcriptase (18064-014、Invitrogen)を用い、cDNAに逆転写した。Quantitect SYBR Green PCR Kit(204143、QIAGEN)を用いて、ライトサイクラーソフトウェア(Roche)によりIL8とG3PDHのcDNA量を定量した。用いたプライマーの配列は以下のとおりである。
IL-8 Forward primer:TCAGAGACAGCAGAGCACACA(配列番号1)
IL-8 Reverse primer:AATCAGGAAGGCTGCCAA(配列番号2)
G3PDH Forward primer:GGTGAAGGTCGGAGTCAACGGATTTGGTCG(配列番号3)
G3PDH Reverse primer:TATTGGAACATGTAAACCATGTAGTTGAGG(配列番号4)
IL8 cDNA量をG3PDH cDNA量で除したものをIL8発現量とした。
薬剤又は抗体とS100A8/A9を含むEpiLife(登録商標)培地に置換し、3時間後に、PBSで2回洗浄し、その後、ISOGEN(311-02501、ニッポンジーン)を用い、RNAを単離した。SuperScript(登録商標) II Reverse Transcriptase (18064-014、Invitrogen)を用い、cDNAに逆転写した。Quantitect SYBR Green PCR Kit(204143、QIAGEN)を用いて、ライトサイクラーソフトウェア(Roche)によりIL8とG3PDHのcDNA量を定量した。用いたプライマーの配列は以下のとおりである。
IL-8 Forward primer:TCAGAGACAGCAGAGCACACA(配列番号1)
IL-8 Reverse primer:AATCAGGAAGGCTGCCAA(配列番号2)
G3PDH Forward primer:GGTGAAGGTCGGAGTCAACGGATTTGGTCG(配列番号3)
G3PDH Reverse primer:TATTGGAACATGTAAACCATGTAGTTGAGG(配列番号4)
IL8 cDNA量をG3PDH cDNA量で除したものをIL8発現量とした。
その結果を図6、7及び8に示す。
図6に示すとおり、コントロール(試験薬剤不在下)に比べ、ローズアップルリーフエキス又はイブキジャコウエキスの存在下では、S100A8/A9によるサイトカイン産生が抑制されることが認められた。なお、抗酸化剤効果を有することで知られるリポ酸にはそのような効果は認められなかった。
図7は、コントロールに比べ、MOPSやD−プシコースの存在下で、S100A8/A9によるサイトカイン産生が抑制されることを示す。なお、抗酸化剤効果を有することで知られるD−フルクトースにはそのような効果は認められなかった。
図8には、コントロールに比べ、抗S100A8中和抗体の存在下で、S100A8/A9によるサイトカイン産生が抑制されることを示す。
図6に示すとおり、コントロール(試験薬剤不在下)に比べ、ローズアップルリーフエキス又はイブキジャコウエキスの存在下では、S100A8/A9によるサイトカイン産生が抑制されることが認められた。なお、抗酸化剤効果を有することで知られるリポ酸にはそのような効果は認められなかった。
図7は、コントロールに比べ、MOPSやD−プシコースの存在下で、S100A8/A9によるサイトカイン産生が抑制されることを示す。なお、抗酸化剤効果を有することで知られるD−フルクトースにはそのような効果は認められなかった。
図8には、コントロールに比べ、抗S100A8中和抗体の存在下で、S100A8/A9によるサイトカイン産生が抑制されることを示す。
Claims (4)
- JNK(c−Jun N−Terminal Kinase)、p38及びNF−κB(Nuclear Factor−κB)からなる群から選ばれる少なくとも1つのシグナル伝達分子を指標とした、S100A8/A9に起因する持続性皮膚炎症性疾患の改善剤をスクリーニングする方法。
- 表皮角化細胞にS100A8/S100A9の存在下で候補薬剤を作用させ、前記表皮角化細胞のJNK、p38及びNF−κBからなる群から選ばれる少なくとも1つのシグナル伝達分子の活性化を有意に抑制する候補薬剤をS100A8/A9に起因する持続性皮膚炎症性疾患の改善剤として選択する、請求項1記載の方法。
- JNK、p38及びNF−κBの全てを指標とした、請求項1又は2に記載の方法。
- ローズアップルリーフエキス(Syzygium Jambos Leaf)、イブキジャコウエキス(Thymus serphyllum Linne subsp. serphyllum)、MOPS(2−モルホリノプロパンスルホン)、D−プシコース並びに抗S100A8中和抗体及び抗S100A9中和抗体からなる群から選ばれる1種又は複数種の薬剤又は抗体を含有することからなる、S100A8/A9に起因する持続性皮膚炎症性疾患の改善剤。
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