JP4445564B2 - 溶銑の脱硫方法 - Google Patents

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Description

本発明は、溶銑鍋内の溶銑中に浸漬フリーボードとインジェクションランスを浸漬して、該インジェクションランスから不活性ガスとCaO粉体を吹き込んで溶銑の脱硫を行う方法に関し、特にCaOの反応効率を高めるために金属Alを添加する溶銑の脱硫方法に関する。
高炉から出銑される溶銑には鋼の品質に悪影響を及ぼす硫黄(S)が多く含まれるため、溶銑予備処理の一工程として溶銑の脱硫処理が行われるが、近年においては、高級鋼製造に対する要請が高まり、より安価な低硫化処理方法が望まれている。
従来から溶銑の脱硫処理には安価なCaO(石灰)を主成分とする脱硫剤が広く使用されているが、脱硫反応に寄与するCaOの割合は一般に低い。そこで、脱硫反応効率を高めるために、蛍石(CaF)、ソーダ灰、マグネシウム(Mg)、カルシウムカーバイト(CaC)などの脱硫補助剤、脱硫剤が使用されている。しかしながら、蛍石の使用は処理後スラグへのフッ素(F)混入課題があり、また、ソーダ灰の使用は処理後スラグへのナトリウム(Na)混入があることから、スラグのリサイクルを考えた場合には、いずれも環境保全の観点から好ましくない。また、Mg、CaCの多量の使用は、生産コスト上望ましくない。このように、蛍石やソーダ灰等を使用せず、かつ安価な溶銑の脱硫処理技術が望まれている。
蛍石やソーダ灰、Mg、CaCを使用しない溶銑の脱硫方法としては、Alを添加する脱硫方法が古くから知られている(例えば、特許文献1、2参照)。そのうち特許文献1には、あらかじめAl濃度を溶銑のSiに対し0.01〜0.1倍、および脱硫されるSに対し0.2〜1.0倍の濃度になる様に溶銑にAlを添加した後に、脱硫剤であるCaOをキャリアガスとともに溶銑中に吹き込む溶銑の脱硫方法が開示されている。
しかしながら、Alを単独で添加するとスプラッシュが発生して操業上多くの困難を伴う。また、Alの事前添加の終了を待ってCaOの吹込みを行うので脱硫処理時間が延びることから、溶銑温度が低下して後工程において昇熱処理が必要となり生産コストも上昇する。
この問題を改善する方法として特許文献2には、溶銑のS含有量に応じて定められるCaO吹込量の15質量%(以下単に%と称す)相当量を吹き込むまでに、溶銑中のSi,S量に応じて定められる量のAlをCaOと同時にキャリアガスにより溶銑中に吹き込む溶銑の脱硫方法が提案されている。
しかしながら、この文献の方法は浸漬フリーボード等を使用することなく、大気中で処理している事から、大気中の酸素と添加したAlが反応して、CaOと反応することにより消費されるAl量が少なくなり、残留S濃度50ppm以下の水準まで脱硫することは事実上困難である(特許文献2の第3図参照)。
特開昭54−037020号公報 特開昭55−110711号公報
本発明の解決すべき課題は、低コストかつ短時間で残留S濃度50ppm以下への安定的な脱硫処理能力を達成し得る溶銑の脱硫方法を提供することである。
本発明者は、前記課題を解決すべく様々な実験的検討および理論的検討を重ねた結果、以下の技術的知見を得た。
(A)本発明の前提として、溶銑鍋内の溶銑中に浸漬フリーボードとインジェクションランスを浸漬して、当該インジェクションランスから不活性ガスとCaO粉体を吹き込んで溶銑を脱硫する溶銑の脱硫方法を基本とする。そして、CaOの反応効率を高めるために所定のタイミングで金属Alを添加する溶銑の脱硫方法を基本とする。
この場合、浸漬フリーボード内の酸素が不活性ガスと置換される前に金属Alを添加すると、添加した金属Alの大半が酸素と反応してAlに変化するので、CaOの反応効率向上に寄与できず、CaOの反応効率を高めるために添加した金属Alが無駄に消費される。
一方、浸漬フリーボード内の酸素が不活性ガスに置換された後に金属Alを添加すると、前記した酸化による金属Alの損失が低減されるので、生石灰表面から発生する脱硫放出酸素をAlが消費し、生石灰表面にS吸収能の高い液相であるCaO−Alが形成され滓化されることから、脱硫処理能力が向上する。
例えば、360tの溶銑に対して、Al品位90%の金属Al:35kgの投入と、CaO品位98%のCaO:1300kgの吹込(吹込み速度:200kg/min)を行った場合、処理開始からの酸素分圧変化と処理効率とは図1に示す様な関係となる。尚、処理効率はCaO−k値(=ln(処理前S濃度/処理後S濃度)/単位溶銑量当りの生石灰量)で示す。
この図から、処理効率であるCaO−k値を0.5以上にするには、少なくとも浸漬フリーボード内の酸素分圧POが0.1MPa以下に達してから金属Alを溶銑中に添加する必要がある。望ましくは、CaO−k値は約0.55で飽和状態となるので、これにするには浸漬フリーボード内の酸素分圧POが0.01MPa以下に達してから金属Alを溶銑中に投入することが望ましい。
図1においてCaO粉体を溶銑中に吹込み始め(処理開始)てからおよそ30%の吹き込み割合に達した以降に金属Alを添加する場合にはCaO−k値が緩やかな勾配をもって低下する。換言すると、使用するCaO総量の30%を吹き込んだ後になって金属Alを添加したとしても、溶銑中に吹き込んだCaOはすでに溶銑の中を浮上して溶銑表面に積み重なった状態となっているため、溶銑内部においては前記した3CaO+3S+2Al→3CaS+Alの反応が進行せず、これにより処理効率を示すCaO−k値が低下する。
したがって、使用するCaO総量の30%を吹き込むまでの間に金属Alを溶銑に投入する必要がある。また、この金属Alの添加によってCaO粉体表面にはCaO−Alが形成されて低融点化するので、CaOと溶銑の濡れ性が向上してパーマネント反応の反応効率が向上する。したがって、使用するCaO総量の30%を吹き込むまでの間に金属Alを添加して、CaO滓化(CaO−Al形成)後のパーマネント反応による反応時間を確保しておく技術的意味合いもある。
(B)浮上後のCaO粉体の脱硫反応性を高く維持して上記パーマネント反応効率を高める観点からは、上記処理を行う前に溶銑鍋内の溶銑上にある高炉スラグを除滓することが望ましい。より具体的には、溶銑鍋内の溶銑中に浸漬フリーボードとインジェクションランスを浸漬する前に、溶銑鍋内の高炉スラグを排滓することが望ましい。つまり、添加する金属Alが高炉スラグにより酸化されることによる金属Alの損失を低減でき、これによりCaOの反応効率を高めることができる。
(C)金属Alの投入位置に関しては不活性ガスの吹き込みによる溶銑の撹拌で、その近傍の高炉スラグが排除され、溶銑表面が暴露状態となっている部分が発生することから、その部分に投入することが望ましい。これによって、スラグとの酸化反応による金属Alの損失を低減でき、CaOの反応効率も高めることができる。
(D)また、CaO粉体の反応効率を高める観点からは、例えば、塩焼石灰に代表される気孔径3μm以上のCaO粉体を吹き込むことが望ましい。CaO粉体表面の気孔内に溶銑が侵入することでCaO粉体と溶銑との接触面積が大幅に拡大して、CaOの反応効率を高めることができる。
(E)脱硫処理速度を上げる観点からは、脱硫処理初期にCaO粉体、金属Al、および金属Mgを併用することが望ましい。即ち、溶銑中にCaOの吹き込みが開始された段階から溶銑S濃度が100ppm以上の脱硫初期において、金属Alの投入と共に、インジェクションランスからCaO粉体に加えて金属Mgを吹き込むことが望ましい。金属Mgの脱硫処理能力は、100ppm以上の高S濃度域において、金属Al投入後のCaO粉体よりも脱S効率が脱硫材原単位で比較すると4倍以上高いので、金属Mgを併用することで処理速度を上げることができる。特に、溶銑に含まれるS濃度が高く処理時間が長時間になると想定される様な場合には有効である。
上記の知見に基づき、本発明者は、低コストかつ短時間で残留S濃度50ppm以下の脱硫処理能力を達成し得る溶銑の脱硫方法に想到した。その要旨とするところは以下のとおりである。
(1)溶銑鍋内の溶銑中に浸漬フリーボードとインジェクションランスを浸漬して、該インジェクションランスから不活性ガスとCaO粉体を吹き込んで溶銑を脱硫する溶銑の脱硫方法において、前記浸漬フリーボード内への前記不活性ガス吹き込みにより酸素分圧が0.1MPa以下に達した後であって、かつ、使用するCaO総量の30質量%を吹き込むまでの間に、金属Alを溶銑面上に添加することを特徴とする溶銑の脱硫方法。
(2)溶銑鍋内の溶銑中に浸漬フリーボードとインジェクションランスを浸漬する前に、溶銑鍋内の高炉スラグが0.5t以下になるまで排滓することを特徴とする前記(1)に記載の溶銑の脱硫方法。
(3)前記インジェクションランスから不活性ガスとCaO粉体を吹き込みながら該インジェクションランスを溶銑鍋内の溶銑中に浸漬し、該浸漬後に於ける不活性ガスとCaO粉体の吹き込みにより形成される溶銑表面の暴露部分に金属Alを投入することを特徴とする前記(1)または(2)に記載の溶銑の脱硫方法。
(4)前記CaO粉体は気孔径が3μm以上であることを特徴とする前記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の溶銑の脱硫方法。
(5)前記インジェクションランスから不活性ガスとCaO粉体を吹き込み開始初期に前記金属Alの投入と共にインジェクションランスからCaO粉体に加えて金属Mgを吹き込むことを特徴とする前記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の溶銑の脱硫方法。
(イ)本発明に係るすべての脱硫方法は、浸漬フリーボード内の酸素分圧が0.1MPa以下に達した後から、使用するCaO総量の30%を吹き込むまでの間に、金属Alを溶銑中に投入するので、金属Alの酸化反応等による損失を低減でき、また、CaO滓化(CaO−Al形成)後のパーマネント反応による反応時間を確保することができる。したがって、添加する金属Alを有効に利用でき、これによりCaOの反応効率を高めることができる。
(ロ)溶銑鍋内の高炉スラグをあらかじめ排滓する本発明に係る脱硫方法によれば、高炉スラグとの酸化反応による金属Alの損失を低減でき、CaOの反応効率を高めることができる。換言すると、CaO粉体の脱硫反応性を高位に維持することができ、処理効率を高めることができる。
(ハ)更に、高炉スラグが溶銑表面を覆っていない暴露状態となった部分から直接溶銑内に金属Alを投入することにより、該金属Alと高炉スラグとの酸化反応による金属Alの損失を低減できる。
(ニ)気孔径3μm以上のCaO粉体を吹き込む本発明に係る脱硫方法によれば、CaO粉体と溶銑との接触面積が大幅に拡大して、CaO粉体の反応効率を高めることができる。
(ホ)CaO粉体、金属Al、および金属Mgを併用する本発明に係る脱硫方法によれば、脱硫処理時間を大幅に短縮できる。このため、溶銑に含まれるS濃度が高く処理時間が長くなると想定される様な場合に特に有効である。
(ヘ)以上のように、浸漬フリーボード内の酸素分圧と吹き込んだCaO量との関係において金属Alの添加タイミングを最適化した本発明に係る脱硫方法によれば、CaOの反応効率が向上して、低コストかつ短時間で残留S濃度50ppm以下の脱硫処理能力を達成することができる。
図2は本発明に係る脱硫方法を示す模式図であり、これを参照して本発明を実施するための最良の形態を説明する。
先ず、溶銑鍋3内の高炉スラグ2が0.5t(厚さ10mm)以下になる迄、該溶銑鍋3内の溶銑1上面に浮上している高炉スラグ2を除去した後、溶銑鍋3を浸漬フリーボード4の下方に移送する。
そして、図2(a)に示す位置から浸漬フリーボード4と共に耐火物で形成したインジェクションランス5を下降させ、該浸漬フリーボード4の下部を溶銑鍋3内の溶銑1内に浸漬させて、その降下を停止する(図2(b))。
前記の様に浸漬フリーボード4の下部が溶銑1に浸漬するとインジェクションランス5に不活性ガスとCaO粉体の供給を開始する。そして、該インジェクションランス5は、更に、降下させて、図2(c)に示すように該インジェクションランス5の下部を前記溶銑1の中へ浸漬した状態で、その降下を停止させる。この様に、該インジェクションランス5から不活性ガスと共にCaO粉体を吹き込みながら、該インジェクションランス5を溶銑中に浸漬させることが、インジェクションランス5の先端詰まりを防止出来るので望ましい。
尚、この際における不活性ガスとCaO粉体の吹き込み量については、溶銑1に含まれるS濃度、処理溶銑量、脱硫量等の条件に応じて異なるが、例えば、不活性ガスの吹き込み速度として11Nm/min、CaO粉体の吹き込み速度として200kg/minを用いることができる。また、前記不活性ガスとしては、窒素ガス、アルゴンガスを用いるのが望ましい。
この状態でインジェクションランス5から不活性ガスとCaO粉体の吹き込みを継続することにより、浸漬フリーボード4内の空気を排気管4aから順次排出する。そして、該浸漬フリーボード4内の酸素分圧が0.1MPa以下に成った状態で、かつ、前記CaO粉体の吹き込み量が吹き込み予定の総量の30%に達しない間に、図2(d)に示す様に、金属Alを投入口4bから投入する。
前記浸漬フリーボード4内の酸素分圧は、実機において予め、不活性ガスの吹き込み量と該浸漬フリーボード4内の酸素分圧の関係を求めておき、この関係を基にして決定しても良く、また、排気管4aに排ガス中酸素濃度計を設けて排気ガス中の酸素分圧を計測しても良く、さらには、下記式によって算定しても良い。
PO/PO(0) = exp(−VN2/V×T1)
PO = 0.2×exp(−VN2/V×T1)
PO(0) = 0.2(初期酸素分圧)
但し、
N2(吹き込み不活性ガス体積)= 吹き込み不活性ガス速度Nm/min×
(溶銑温度℃+273)/273 × 処理時間
(補正体積)= 浸漬フリーボード全体積 ×(1/4)
尚、浸漬フリーボード内の酸素分圧が0.1MPa以下に達しない状態で金属Alを添加すると、金属Alは軽量であるので溶銑内部にはなかなか沈み込まず、このため添加した金属Alの大半が大気中の酸素と反応して単独でAlに変化する。したがって、CaOの反応効率を高めるために添加した金属Alが無駄に消費され、CaOの反応効率向上に寄与できないことになる。
しかし、浸漬フリーボード内の酸素が不活性ガスに置換され、酸素分圧が0.1MPa以下に達した後に金属Alを添加すると、前記した酸化による金属Alの損失が殆どなくなるので、溶銑中では、3CaO+3S+2Al→3CaS+Alの反応式に従い、脱硫処理能力CaO−k値が向上する。より望ましくは、CaO−k値は約0.55で飽和するので、この範囲に対応する浸漬フリーボード内の酸素分圧が0.01MPa以下に達してから、図2(d)に示すように、金属Alを投入口4bから暴露している溶銑1上に投入を開始する。
そして、金属Alの添加を終了するタイミングは、使用するCaO総量の30%を吹き込むまでとする。この理由は、使用するCaO総量の30%を吹き込んだ後になって金属Alを添加したとしても、溶銑中に吹き込んだCaOは既に溶銑の中を浮上して溶銑表面に積み重なった状態となっているため、ここに金属Alを添加したとしても、溶銑表面に積み重なったCaOは活性化しないからである。
しかし、使用するCaO総量の30%を吹き込む迄であると、溶銑表面に積み重なった状態のCaO粉体が少なく、添加して溶融した金属Alの殆どがCaO粉体と接触して、CaOの滓化(CaO粉体表面にCaO−Alが形成された状態)に消費されるため生石灰の利用効率が高まる。
図2(e)に示すように、金属Alの添加及び金属Mgの吹込みを、CaO粉体がCaO総量の30%を吹き込まれる迄に行い、かつ、所定量に達した段階で停止し、CaO粉体のみを吹き込む。
このCaO粉体吹き込み期間においても、前記溶融した金属Alは脱硫反応に寄与している状態を残りの処理時間のあいだ維持することができる。勿論、CaO総量の30%を吹き込んだ後に滓化したCaOについても、浮上してもなお脱硫反応に寄与することができるが、残された処理時間が短いために、その分だけ脱硫反応に寄与する時間が短くなる。
本発明においては、CaOの反応効率を最大限に高めるために前記の最適化したタイミングで金属Alを溶銑中に投入するが、該金属Alは溶銑鍋内の高炉スラグとも反応してAlに変化する。
したがって、CaO粉体の脱硫反応性を高位に維持して処理効率を高める観点からは、前記した様に、溶銑鍋内の溶銑中に浸漬フリーボードとインジェクションランスを浸漬する前に、溶銑鍋内の高炉スラグを排滓することが望ましい。これにより高炉スラグとの酸化反応による金属Alの損失を低減でき、CaOの反応効率を高めることができる。
なお、高炉スラグの残滓量としては少ないほど好ましく、0.5t以下にすることが望ましいが、前記溶銑鍋の直径にもよるが、排滓量が多くなれば成る程、排滓作業時間が長くなり過ぎて生産性を低下する恐れがあるので、0.1t以上とすることが好ましい。
また、CaO粉体の反応効率を高める観点からは、例えば、塩焼石灰に代表される気孔径3μm以上(好ましくは5μm以上)、直径30μm以下のCaO粉体を吹き込むことが望ましい。CaO粉体表面の気孔内に溶銑が侵入することでCaO粉体と溶銑との接触面積が大幅に拡大して、CaO−Al化する面積が拡大してAl添加効果をより顕著に発揮することができる。
なお、CaO粉体の粒径としては特に限定されるものではなく、例えば、粒径0.2mm以下の粉体を使用することができる。粒径0.2mm以下で前記した金属Alによる作用を顕著に発揮できる。
以上説明した本発明に係る脱硫方法は、フラックスとしてCaO粉体と金属Alを使用するものであるが、処理時間を短縮する観点からは、CaO粉体、金属Al、および金属Mgを併用することが望ましい。より具体的には、金属Alの投入時に、不活性ガスとCaO粉体に加えて金属Mgをインジェクションランスから吹き込むことが望ましい。金属Mgの脱硫処理能力はCaO粉体よりも高いので、金属Mgを併用することで脱硫処理時間を大幅に短縮できる。したがって、溶銑に含まれるS濃度に応じた量の金属Mgをインジェクションランスから吹き込むことで処理時間を調整することもできる。これは、溶銑に含まれるS濃度が高く処理時間がサイクルタイムを超過するような場合に特に有効である。
また、CaO粉体、金属Al、および金属Mgを併用することにより、CaO粉体と金属Mgのみで脱硫処理する場合と比較して金属Mgの使用量を大幅に削減することができる。これは、金属MgがS濃度が高い場合(0.01%以上)には非常に高い脱硫効率を示す一方、S濃度が低く(0.01%以下)なるにつれてその脱硫効率が低くなっていく特性を有するため、CaO粉体と金属Mgのみで脱硫処理する場合には大量の金属Mgを使用する必要があるのに対し、CaO粉体、金属Al、および金属Mgを併用する場合には、脱硫処理開始直後のS濃度が高いときには金属Mgがその高い脱硫処理能力を発揮し、処理時間の経過とともにS濃度が低くなってきたときには金属Alの添加によって活性化されたCaOが安定した脱硫処理能力を発揮するので、金属Mgの使用量を抑えることができるからである。したがって、CaO粉体、金属Al、および金属Mgを併用することで、処理時間の短縮のみならず生産コストの削減についても図ることができる。
次に、本発明の実施例を表1を参照して説明するが、本実施例の条件は、本発明の実施可能性および顕著な効果を立証するために採用した条件であり、本発明は、この条件に限定されるものではない。本実施例は、直径5m、高さ6mの溶銑鍋、直径3m、高さ8mの浸漬フリーボードを使用した。更に、インジェクションランスの浸漬深さを2.2mとし、キャリアガスとしてNガスを用い、その流量は11Nm/minとした。また、浸漬フリーボードの上部より添加する金属Alの平均粒度は30mm、CaO粉体と同時にインジェクションランスから吹き込む金属Mgの粒度は300μmアンダーである。またCaO粉体は発明例3と4を除いて平均気孔径1μm程度の通常の生石灰を使用した。
比較例1は、金属Alの添加開始時期が早く、即ち、浸漬フリーボード内の酸素分圧が0.1MPaより高いときに添加した例であり、比較例2は、金属Alの添加開始タイミングが遅く、即ち、CaOの総使用量の30質量%を超えた時期より添加した例であり、比較例3は金属Alの添加が無く、処理初期のみ金属Mgを吹き込んだ例であり、更に、比較例4は金属Alの添加位置が溶銑表面上ではなく高炉滓上である例であり、何れも脱硫率が悪いものであった。
一方、発明例1〜6は、何れも本発明条件を満足するものであり、各比較例に比して良好な脱硫率を得る事が出来た。
発明例1は浸漬フリーボードを浸漬する際に於ける溶銑鍋内の高炉滓の排出が不足して残高炉滓量が多く、発明例2に比較して若干脱硫率が低下した。また、発明例3は平均気孔径が5μmの塩焼きCaO粉体を使用したので、良好な脱硫率を得ることが出来た。更に、発明例5は脱硫初期に金属Mgを併用したので、良好な脱硫率を得ることが出来ると共に金属Mgを使用しなかった発明例6に比較して脱硫処理時間も短縮できる。
Figure 0004445564
処理開始からの酸素分圧変化と処理効率の関係を示す図である。 本発明に係る脱硫方法を示す模式図である。
符号の説明
1 溶銑 2 高炉、脱Sスラグ
3 溶銑鍋 4 浸漬フリーボード
4a 排気管 4b 投入口
5 インジェクションランス 6 金属Al

Claims (5)

  1. 溶銑鍋内の溶銑中に浸漬フリーボードとインジェクションランスを浸漬して、該インジェクションランスから不活性ガスとCaO粉体を吹き込んで溶銑を脱硫する溶銑の脱硫方法において、前記浸漬フリーボード内への前記不活性ガス吹き込みにより酸素分圧が0.1MPa以下に達した後であって、かつ、使用するCaO総量の30質量%を吹き込むまでの間に、金属Alを溶銑面上に添加することを特徴とする溶銑の脱硫方法。
  2. 溶銑鍋内の溶銑中に浸漬フリーボードとインジェクションランスを浸漬する前に、溶銑鍋内の高炉スラグが0.5t以下になるまで排滓することを特徴とする請求項1に記載の溶銑の脱硫方法。
  3. 前記インジェクションランスから不活性ガスとCaO粉体を吹き込みながら該インジェクションランスを溶銑鍋内の溶銑中に浸漬し、該浸漬後に於ける不活性ガスとCaO粉体の吹き込みにより形成される溶銑表面の暴露部分に金属Alを投入することを特徴とする請求項1または2に記載の溶銑の脱硫方法。
  4. 前記CaO粉体は気孔径が3μm以上であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の溶銑の脱硫方法。
  5. 前記インジェクションランスから不活性ガスとCaO粉体を吹き込み開始初期に前記金属Alの投入と共にインジェクションランスからCaO粉体に加えて金属Mgを吹き込むことを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項に記載の溶銑の脱硫方法。
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