JP4443988B2 - 放射性物質容器用状態検出装置 - Google Patents

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Description

本発明は,使用済燃料集合体,放射性廃棄物等の放射性物質を収容,輸送,あるいは保存する放射性物質容器の状態を検出する状態検出装置に関する。
原子炉における燃焼を終えた使用済燃料集合体を安全に長期的に保存する技術は,核燃料サイクルの確立のために重要な技術の一つである。使用済燃料集合体が生成された後,それを再処理施設によって再処理されるまでには,ある程度の時間が必要である。具体的には,使用済燃料集合体は,それが生成された後再処理されるまでに最長で60年間保存される可能性がある。従って,使用済燃料集合体は,再処理施設によって再処理されるまで長期に安全に保存される必要がある。
使用済燃料集合体を長期間保存する技術として,湿式貯蔵と乾式貯蔵があり,乾式貯蔵にはコンクリートキャスク,金属キャスク,ボールト貯蔵が知られている。コンクリートキャスクは,概略的には,使用済燃料集合体を収容する金属製のキャニスタ(内筒)と,そのキャニスタを収容するコンクリート製の外筒とから構成される。使用済燃料集合体は,キャニスタの内部に形成された密封空間に収容される。金属キャスクは,概略的には,放射性物質を収容する金属製の胴部と,一次蓋と二次蓋とからなる蓋部とから構成される。使用済燃料集合体は,胴部と蓋部とによって形成された密封空間に収容される。一方,ボールト貯蔵とは,使用済燃料集合体を収容する金属製のキャニスタを,除熱,及び放射線遮蔽を考慮した建屋内に高密度に並べる方法である。使用済燃料集合体は,キャニスタの内部に形成された密封空間に収容される。
使用済燃料集合体の保存にあたり考慮すべき事項としては,使用済燃料集合体がFP(核分裂生成物)などの高放射性物質に放射能及び発熱を含むことが挙げられる。キャスク及びキャニスタの主な役割は,使用済燃料集合体の放射能及び発熱を低減することである。使用済燃料集合体の発熱を低減するために,一般的には,以下の3つの技術が採用される。第1に,使用済燃料集合体が局所的に発生する熱を拡散するために,使用済燃料集合体を収容する密封空間(即ち,キャニスタ及び金属キャスクの内部)にはヘリウムガスが封じられる。第2に,使用済み燃料集合体の保存の間,キャスクは冷却される。更に,キャスク自体も発熱に耐えられるように設計される。
加えて,より安全に使用済燃料集合体を保存するために,使用済燃料集合体を収容する密封空間の密封性,即ち,キャスク及びキャニスタの密封性の確認が行われる。密封性を確認する最も有力な手段としては,キャスクから漏れ出る放射線を検出する放射線検出装置及びヘリウムガスのリークを検出するヘリウムリークディテクターが挙げられる。しかし,これらの装置の使用は,使用済燃料集合体を長期的に保存する密封空間の密封性を放射能漏洩のない早期に継続的に確認するためには好適でない。このため,キャスクの密封性を簡便に放射能漏洩のない早期に,且つ,低コストに確認するための装置の開発が求められている。
特許文献1は,キャスクの密封性を簡便に,且つ,低コストに確認するためのモニタリング装置を開示している。公知のそのモニタリング装置は,キャスクの温度変化及び圧力変化から,密封性の劣化を検知する。キャスクの密封性の劣化によってヘリウムガスの漏れが発生すると,キャスクの温度及び圧力は異常に低下する。公知のそのモニタリング装置は,この温度及び圧力の異常な低下を検知することにより,キャスクの異常を検出する。温度変化及び圧力変化からキャスクの密封性を確認することは,モニタリング装置を簡素化することを可能にし,キャスクの密封性を簡便に放射能漏洩のない早期に,且つ,低コストに確認するために有効である。
温度変化及び圧力変化からキャスクの密封性を確認するモニタリング装置では,キャスクの密封性の異常の検知の確実性を向上することが重要である。より具体的には,キャスクに微小なリークが発生したときでも,その微小なリークを検知できることが重要である。微小なリークでは,キャスクの時間あたりの温度変化及び圧力変化も小さいから,微小なリークに起因する温度変化及び圧力変化を正確に検知することが重要である。一方で,異常でない温度変化及び圧力変化を,キャスクの密封性の劣化に起因していないと正しく結論付けることも重要である。
このような背景から,放射性物質を収容する放射性物質容器の密封性の異常を,より確実に検知する技術の提供が求められている。
特開2002−48898号公報
本発明の目的は,放射性物質を収容する放射性物質容器の密封性の異常を,より確実に検知する技術を提供することにある。
上記の目的を達成するために,本発明は,以下に述べられる手段を採用する。その手段に含まれる技術的事項の記述には,[特許請求の範囲]の記載と[発明を実施するための最良の形態]の記載との対応関係を明らかにするために,[発明を実施するための最良の形態]で使用される番号・符号が付加されている。但し,付加された番号・符号は,[特許請求の範囲]に記載されている発明の技術的範囲の解釈に用いてはならない。
一の観点において,本発明による放射性物質容器用状態検出装置は,放射性物質を収容する複数の放射性物質容器(11,2’)の状態量(T,P)を取得する状態量取得手段(31,32,71)と,状態量(T,P)に基づいて複数の放射性物質容器(11,2’)の異常を判定する異常検出手段(34−9,73−9)とを備えている。異常検出手段(34−9,73−9)は,複数の放射性物質容器(11,2’)のうちの一の放射性物質容器(11,2’)の異常を,該一の放射性物質容器(11,2’)の状態量(T,P)と他の放射性物質容器(11,2’)の状態量(T,P)とに基づいて判定する。具体的には,異常検出手段(34−9,73−9)は,該一の放射性物質容器(11,2’)の状態量(T,P)に対応する特徴量の傾向と,他の放射性物質容器(11,2’)の状態量(T,P)に対応する特徴量の傾向とを比較して該一の放射性物質容器(11,2’)の異常を判定する。
当該放射性物質容器用状態検出装置は,異常の判定の対象である一の放射性物質容器(11,2’)の異常を,該一の放射性物質容器(11,2’)に加えて,他の放射性物質容器(11,2’)の補正状態量(T,P)に基づいて判定するため,より正確に異常の判定を行うことができる。
好適には,当該放射性物質容器用状態検出装置は,環境温度(T)を測定する環境温度測定手段(33,72)と,複数の放射性物質容器(11)のそれぞれについて,環境温度(T)と複数の放射性物質容器(11)を収容する貯蔵建屋(1)における複数の放射性物質容器(11)の位置とに基づいて状態量(T,P)を補正することによって補正状態量(TCi,P)を算出する補正状態量算出手段(34−2)とを備え,異常検出手段(34−9,73−9)は,放射性物質容器(11,2’)の異常を,補正状態量(TCi,P)から判断することが好適である。具体的には,補正状態量算出手段(34−1,73−1)は,前記貯蔵建屋の内部における冷却空気の流れの上流側にあるほど,状態量(Ti,P)と前記補正状態量(TCi,P)との差が大きくなるように,補正補正状態量(TCi,P)を算出することが好適である。このような方法は,特に,冷却空気が状態量に大きな影響を及ぼすボールト貯蔵における放射性物質容器(11)の密封性の異常の検知に有効である。
他の観点において,本発明による放射性物質容器用状態検出装置は,放射性物質を収容する放射性物質容器(11,2’)の状態量(T,P)を取得する状態量取得手段(31,32,71)と,環境温度(T)を測定する環境温度測定手段(33,72)と,状態量(T,P)に対応する状態量対応項と,環境温度(T)の状態量(T,P)に対する応答を表す応答波形対応項と,環境温度(T)の一次関数である環境温度補正項とを含む式を用いて補正状態量(TCi,P)を算出する補正状態量算出手段(34−1,73−1)と,補正状態量(TCi,P)に基づいて放射性物質容器(11,2’)の異常を判定する異常判定手段(34−2,73−2)とを備えている。かかる放射性物質容器用状態検出装置は,環境温度(T)の一次関数である環境温度補正項とを含む式を用いて補正状態量(TCi,P)を算出することにより,環境温度(T)が放射性物質容器(11,2’)を介さずに状態量(T,P)に及ぼす影響を補正状態量(TCi,P)に反映することができる。これにより,異常の判定に適切な補正状態量(TCi,P)を算出することができる。
更に他の観点において,本発明による放射性物質容器用状態検出装置は,放射性物質を収容する放射性物質容器(11,2’)の状態量(T,P)を取得する状態量取得手段(31,32,71)と,環境温度(T)を測定する環境温度測定手段(33,72)と,状態量(T,P)に対応する状態量対応項と,前記環境温度(T)の関数である補正項とを含む式を用いて補正状態量(TCi,P)を算出する補正状態量算出手段(34−1,73−1)と,補正状態量(TCi,P)に基づいて放射性物質容器(11,2’)の異常を判定する異常判定手段(34−2,73−2)とを備えている。補正状態量算出手段(34−1,73−1)は,環境温度(T)と補正状態量(TCi,P)とが無相関になるように補正項の係数を決定する。環境温度(T)と補正状態量(TCi,P)とが無相関になるように補正項の係数が決定されることにより,補正状態量(TCi,P)から環境温度(T)による影響が除去される。かかる補正状態量(TCi,P)を用いて放射性物質容器(11,2’)の異常を判定することにより,放射性物質容器(11,2’)の異常を的確に判定することが可能になる。
更に他の観点において,本発明による放射性物質容器用状態検出装置は,放射性物質を収容する放射性物質容器(11,2’)の状態量(T,P)を取得する状態量取得手段(31,32,71)と,環境温度(T)を測定する環境温度測定手段(33,72)と,状態量(T,P)の周波数スペクトルと,環境温度(T)の周波数スペクトルとを算出する周波数スペクトル算出手段(34−1,73−1)と,状態量(T,P)の周波数スペクトルと環境温度(T)の周波数スペクトルとから補正周波数スペクトルを求める補正スペクトル算出手段(34−1,73−1)と,補正周波数スペクトルを逆フーリエ変換することによって補正状態量(TCi,P)を算出する補正状態量算出手段(34−1,73−1)と,補正状態量(TCi,P)に基づいて放射性物質容器(11,2’)の異常を判定する異常判定手段(34−2,73−2)とを備えている。状態量(T,P)の周波数スペクトルと環境温度(T)の周波数スペクトルとから補正周波数スペクトルを求められ,その補正周波数スペクトルから補正状態量(TCi,P)を算出することにより,補正状態量(TCi,P)から環境温度(T)による影響が除去される。かかる補正状態量(TCi,P)を用いて放射性物質容器(11,2’)の異常を判定することにより,放射性物質容器(11,2’)の異常を的確に判定することが可能になる。
補正スペクトル算出手段は,状態量(T,P)の周波数スペクトルから環境温度(T)の周波数スペクトルの少なくとも一部を減じることによって補正周波数スペクトルを求めることが好適である。
更に他の観点において,本発明による放射性物質容器用状態検出装置は,放射性物質を収容する放射性物質容器(11,2’)の状態量(T,P)を取得する状態量取得手段(31,32,71)と,環境温度(T)を測定する環境温度測定手段(33,72)と,放射性物質容器(11,2’)が正常である正常期間と,放射性物質容器(11,2’)の異常の判定の対象である判定対象期間とのそれぞれについて,状態量(T,P)に対応する状態量対応項と環境温度(T)の関数である補正項とを含む式を用いて補正状態量(TCi,P)を算出する補正状態量算出手段(34−1,73−1)と,異常判定手段(34−4,73−4)とを備えている。補正状態量算出手段(34−1,73−1)は,環境温度(T)と補正状態量(TCi,P)とが無相関になるように前記補正項の係数を決定する。異常判定手段(34−3,73−3)は,正常期間について求められた補正項の係数と,判定対象期間について求められた補正項の前記係数とから,放射性物質容器(11,2’)の異常を判定する。かかる放射性物質容器用状態検出装置によっても,放射性物質容器(11,2’)の異常を的確に判定することが可能である。この場合,補正項は,互いに異なる複数の伝達関数に対応する複数の項を含み,異常判定手段(34−3,73−3)は,正常期間について求められた複数の項の係数と,判定対象期間について求められた複数の項の係数とから,放射性物質容器(11,2’)の異常を判定することが好適である。
更に他の観点において,本発明による放射性物質容器用状態検出装置は,放射性物質を収容する放射性物質容器(11,2’)の状態量(T,P)を測定する状態量測定手段(31,32,71)と,環境温度(T)を測定する環境温度測定手段(33,72)と,環境温度(T)に基づいて放射性物質容器(11,2’)の状態量(T,P)に対応する状態量特徴量の正常値を,環境温度(T)の状態量(T,P)に対する応答を表す物理モデルを用いて推定する状態量推定手段(34−4,73−4)と,推定された前記正常値と,状態量取得手段(31,32,71)によって測定された状態量(T,P)に対応する状態量特徴量とに基づいて複数の放射性物質容器(11,2’)の異常を判定する異常検出手段(34−4,73−4)とを備えている。
更に他の観点において,本発明による放射性物質容器用状態検出装置は,放射性物質を収容する放射性物質容器(11,2’)の状態量(T,P)を取得する状態量取得手段(31,32,71)と,状態量(Ti,P)に対応する状態量特徴量の周波数スペクトルを算出する周波数スペクトル算出手段(34−5,73−5)と,周波数スペクトルに基づいて放射性物質容器(11,2’)の異常を判定する異常判定手段(34−5,73−5)とを備えている。該状態量特徴量としては,例えば,環境温度(T)に基づいて状態量(T,P)を補正することによって得られる補正状態量(TCi,P)と,補正状態量(TCi,P)に対応する特徴量とが使用され得る。
具体的には,周波数スペクトル算出手段(34−5,73−5)が算出する周波数スペクトルは,放射性物質容器(11,2’)が正常であるときの放射性物質容器(11,2’)の状態量(T,P)に対応する状態量特徴量の正常時周波数スペクトルと,放射性物質容器(11,2’)の異常の判定の対象である期間の放射性物質容器(11,2’)の状態量(T,P)に対応する状態量特徴量の判定対象期間周波数スペクトルとを含み,異常判定手段(34−5,73−5)は,正常時周波数スペクトルと判定対象期間周波数スペクトルとに基づいて放射性物質容器(11,2’)の異常を判定することが好適である。
更に他の観点において,本発明による放射性物質容器用状態検出装置は,放射性物質を収容する放射性物質容器(11,2’)の状態量(T,P)を測定する状態量測定手段と,環境温度(T)を測定する環境温度測定手段(33,72)と,外生入力として環境温度(T)を有し,出力として状態量(T,P)を有するARX(auto-regressive exogenous)モデルを同定するARXモデル同定手段(34−6,73−6)と,ARXモデルから放射性物質容器(11,2’)の状態量(T,P)のうちの環境温度(T)に依存しない成分を求め,求められた成分の白色検定を行い,白色検定の結果から放射性物質容器(11,2’)の異常を判定する異常判定手段(34−6,73−6)とを備えることが好適である。環境温度(T)が状態量(T,P)に及ぼす影響は,一般には雑音となる。しかし,当該放射性物質容器用状態検出装置は,環境温度(T)が状態量(T,P)に及ぼす影響を積極的に利用して,放射性物質容器(11,2’)の密封性の異常を判断することができる。
更に他の観点において,本発明による放射性物質容器用状態検出装置は,放射性物質を収容する放射性物質容器(11,2’)の状態量(T,P)を取得する状態量取得手段(31,32,71)と,状態量取得手段(31,32,71)によって得られる状態量(T,P)に対応する状態量特徴量が,放射性物質容器(11,2’)が正常であるときの前記放射性物質容器(11,2’)の状態量特徴量の集合と,前記放射性物質容器(11,2’)の密封性に異常があるときの前記放射性物質容器(11,2’)の状態量特徴量のグループとの何れに属するかを判別分析によって決定することにより,前記放射性物質容器(11,2’)の異常を判定する異常検出手段(34−7,73−7)とを備えている。状態量特徴量としては,例えば,環境温度(T)に基づいて状態量(T,P)を補正することによって得られる補正状態量(TCi,P),又は,補正状態量(TCi,P)から得られる特徴量であることが可能である。具体的には,異常検出手段(34−7,73−7)は,状態量取得手段(31,32,71)によって得られる状態量(T,P)に対応する状態量特徴量についてのマハラノビスの汎距離を算出し,算出されたマハラノビスの汎距離に基づいて放射性物質容器(11,2’)の異常を判定することが好適である。
更に他の観点において,本発明による放射性物質容器用状態検出装置は,放射性物質を収容する放射性物質容器(11,2’)の状態量(T,P)を測定する状態量測定手段(31,32,71)と,環境温度(T)を測定する環境温度測定手段(33,72)と,環境温度(T)の状態量(T,P)に対するインパルス応答を求め,インパルス応答の特徴量から前記放射性物質容器(11,2’)の異常を判定する異常判定手段(34−8,73−8)とを備えている。インパルス応答の特徴量としては,インパルス応答の減幅比及び,インパルス応答に対応するステップ応答から得られる時定数が使用され得る。
本発明によれば,放射性物質を収容する放射性物質容器の密封性の異常を,より確実に検知することができる。
第1 コンクリートキャスクと状態検出装置の構成
本発明の実施の一形態では,図1に示されているように,貯蔵建屋1の内部に並べられた複数のコンクリートキャスク2の密封性の劣化の発生の有無が,状態検出装置3によって検出される。以下では,状態の検出の対象であるコンクリートキャスク2の構成が説明された後,本実施の形態の状態検出装置3の構成と動作が詳細に説明される。
1.コンクリートキャスクの構成
図2に示されているように,コンクリートキャスク2は,概略的には,キャニスタ11と,そのキャニスタ11を収容するコンクリート容器21とから構成される。キャニスタ11は,胴部12と一次蓋13aと二次蓋13bとから構成されている。胴部12と一次蓋13aと二次蓋13bは,いずれも,ステンレス又は炭素鋼で形成されている。胴部12の上部開口は一次蓋13aと二次蓋13bとによって密封され,これにより,キャニスタ11の内部にはキャビティ14が形成されている。このキャビティ14に,使用済燃料集合体15を収容するバスケット16が収められる。キャニスタ11の内部には,使用済燃料集合体15が局部的に発生する熱を全体に拡散するために,ヘリウムガスが充填されている。使用済燃料集合体15が熱を発生すると,その近傍のヘリウムガスの温度が上昇する。この温度上昇により,ヘリウムガスが循環され,熱がキャニスタ11の全体に拡散される。自然循環を利用して熱を拡散するため,キャニスタ11の上部の温度は高くなり,下部の温度は低くなる。即ち,キャニスタ11の高さが異なる位置では,その温度が異なる。
コンクリート容器21は,いずれもコンクリート製の支持体22と側壁23と蓋体24とから構成されている。側壁23の上部及び下部には空気流通孔25が形成されている。コンクリートキャスク2を収容する設備内部の空気は空気流通孔25を通じてキャニスタ11に流通可能であり,これにより,キャニスタ11が冷却される。
コンクリート容器21の側壁23及び蓋体24には,これを貫通する検査孔26,27がそれぞれに形成されている。後述されるように,検査孔26,27は,キャニスタ11の表面温度を測定するための温度センサを挿入するために使用される。
2.状態検出装置3の構成
状態検出装置3は,温度センサ31,32と,環境温度センサ33と,演算装置34と,表示装置35とを備えている。
温度センサ31,32は,キャニスタ11の表面温度を逐次に測定するために使用される。温度センサ31,32は,コンクリート容器21に設けられた検査孔26,27に挿入されてキャニスタ11の表面に接触するように固定される。温度センサ31,32は,それぞれ設けられている高さが異なる。即ち,温度センサ31は,キャニスタ11の上部に接触され,上部の表面温度を測定するために使用される。一方,温度センサ32は,キャニスタ11の中央部に接触され,中央部の表面温度を測定するために使用される。温度センサ31,32としては,典型的には,熱電対,ペルチェ素子,測温抵抗体,赤外線温度計,放熱温度計が使用され得る。温度センサ31によって測定される表面温度(即ち,キャニスタ11の上部の表面温度)は,以後,表面温度Tと記載され,温度センサ32によって測定される表面温度(即ち,キャニスタ11の中央部の表面温度)は,以後,表面温度Tと記載される。特に時刻を特定したい場合には,時刻tにおける表面温度T,Tは,それぞれ,T(t),T(t)と表記される。
環境温度センサ33は,コンクリートキャスク2の周囲の環境温度Tを測定する。時刻tにおける環境温度Tは,T(t)と表記される。
演算装置34は,温度センサ31,32によって逐次に測定された表面温度T,Tと,環境温度センサ33によって逐次に測定された環境温度Tとを用いて,キャニスタ11の異常の有無を検知するコンピュータである。演算装置34には,補正温度算出モジュール34−1と,補正温度判定モジュール34−2と,補正係数判定モジュール34−3と,物理モデル判定モジュール34−4と,スペクトル解析モジュール34−5と,ARXモデル判定モジュール34−6と,判別分析モジュール34−7と,インパルス応答判定モジュール34−8と,群管理モジュール34−9とを含むソフトウェアプログラムがインストールされている。
補正温度算出モジュール34−1は,表面温度T,Tから補正温度TC1,TC2を算出するプログラムである。ここで補正温度TC1,TC2とは,環境温度Tの変化が表面温度T,Tに与える影響をキャンセルするために導入される仮想的な温度である。補正温度TC1,TC2は,表面温度T,Tから,環境温度Tの変化による表面温度T,Tの変化に対応する成分を除くことによって得られる。
補正温度判定モジュール34−2,補正係数判定モジュール34−3,物理モデル判定モジュール34−4,スペクトル解析モジュール34−5,ARXモデル判定モジュール34−6,判別分析モジュール34−7,及びインパルス応答判定モジュール34−8は,各キャニスタ11の密封性の異常を判定するためのプログラムモジュールである。補正温度判定モジュール34−2は,補正温度算出モジュール34−1によって算出された補正温度TC1,TC2を用いてキャニスタ11の異常を検知するプログラムである。補正係数判定モジュール34−3は,補正温度TC1,TC2を算出する過程で算出される補正係数を用いてキャニスタ11の以上を判定するプログラムである。物理モデル判定モジュール34−4は,環境温度Tの表面温度T,Tへの応答を記述する物理モデルを用いてキャニスタ11の異常を検知するプログラムである。スペクトル解析モジュール34−5は,表面温度T,T,及び/又は補正温度TC1,TC2の周波数スペクトルから,キャニスタ11の密封性の異常を判定するプログラムである。ARXモデル判定モジュール34−6は,環境温度Tを外生入力とし,表面温度T,Tを出力とするARXモデルを同定し,同定されたARXモデルを用いてキャニスタ11の密封性の異常を判定するプログラムである。判別分析モジュール34−7は,表面温度T,Tの特徴量の判別分析によってキャニスタ11の密封性の異常を判定するプログラムである。インパルス応答判定モジュール34−8は,環境温度Tから表面温度T,Tへの伝達関数のインパルス応答を同定し,そのインパルス応答を用いてキャニスタ11の密封性の異常を判定するプログラムである。これらのモジュールによって行われる演算は,後に詳細に説明される。
群管理モジュール34−9は,ある一のキャニスタ11の密封性の異常の有無を,該一のキャニスタ11の傾向と,その周辺に位置するキャニスタ11の傾向とを比較することによって判定するプログラムである。群管理モジュール34−9は,補正温度判定モジュール34−2,補正係数判定モジュール34−3,物理モデル判定モジュール34−4,スペクトル解析モジュール34−5,ARXモデル判定モジュール34−6,判別分析モジュール34−7,及びインパルス応答判定モジュール34−8によって異常と判断されたキャニスタ11について,キャニスタ11の密封性の異常を判定する。群管理モジュール34−9は,キャニスタ11の密封性に異常があることを高い確度で確認するために使用される。
表示装置35は,演算装置34による検知結果を表示するために使用される。演算装置34によってキャニスタ11に異常が検知されると,その旨が表示装置35に表示される。
第2 キャニスタの状態判定方法
図3は,本実施の形態におけるキャニスタ11の状態判定方法を示すフローチャートである。
ステップS11:
所定の各測定時刻において,温度センサ31,32は,キャニスタ11の上部の表面温度Tと,キャニスタ11の中央部の表面温度Tとを測定し,環境温度センサ33は環境温度Tを測定する。以下では,最新の測定時刻は,時刻tと記述され,その時刻tにおいて測定された表面温度T,Tは,それぞれ,T(t),T(t)と記載される。
ステップS12:
測定された表面温度T,T,環境温度Tから,補正温度TC1,TC2が算出される。既述の通り,補正温度TC1,TC2とは,表面温度T,Tから環境温度Tの変動に対応する成分が除かれた仮想的な温度である。補正温度TC1,TC2の算出は,補正温度算出モジュール34−1によって行われる。補正温度TC1,TC2の算出方法としては,
・表面温度T,Tを補正式によって補正することによって補正温度TC1,TC2を算出する方法と,
・表面温度T,Tと環境温度Tの周波数スペクトルを用いて補正温度TC1,TC2を算出する方法
とが使用され得る。以下,これらの2つの方法が詳細に説明される。
(a)補正式による補正温度TC1,TC2の算出方法
当該算出方法では,時刻tにおける補正温度TC1(t),TC2(t)が,下記式(1A):
Ci(t)=T(t)−ΣKij・fij(T(t)), ・・・(1A)
によって算出される。ここで,iは,1又は2であり,jは,1以上m以下の整数(mは1以上の整数)であり,Σは,jについての和を表しており,fijは,環境温度Tの関数であり,式(1)の各Kijは,補正係数である。即ち,補正温度TCiは,m個の関数fijの和を用いて計算される。
式(1)の補正係数Kijは,時刻t,tk−1,tk−2,・・・,tk−nにおける補正温度TCiと環境温度Tとが無相関になるように決定される。ここで,tは,最新の測定時刻であり,tk−1,tk−2,・・・,tk−nは,それぞれ,1回前,2回前,・・・,n回前の測定時刻である。補正温度TCi(t)と環境温度T(t)とが無相関であるということは,補正温度TCi(t)が,表面温度T(t)から環境温度T(t)の影響を除いた成分であることを意味している。このようにして決定された補正温度TC1(t),TC2(t)は,キャニスタ11の漏洩の有無の評価に好適な指標である。
関数fij(T(t))は,環境温度Tの表面温度Tへの応答を表す関数Tcij(T(t))であることが好適である。即ち,時刻tにおける補正温度TC1(t),TC2(t)は,下記式(1B):
Ci(t)=T(t)−ΣKij・Tcij(T(t)), ・・・(1B)
によって得られることが好適である。具体的には,関数Tcij(T(t))は,環境温度Tの表面温度Tへの応答の伝達関数Xij(s)を用いた式(2):
cij(T(t))=L−1[Xij(s)・T(s)], ・・・(2)
によって得られることが好適である。ここで,T(s)は,環境温度T(t)のラプラス変換であり,L−1は,逆ラプラス変換を示す記号である。
環境温度Tに対する表面温度T,Tの応答を,補正係数が異なる(一つではない)m個の伝達関数の和であるとして近似することは,環境温度Tの表面温度T,Tへの影響をより適正に評価する上で好適である。コンクリートキャスク2は,異なる熱容量を有する複数の部材,即ち,温度変化の時定数が異なる複数の部材で構成される。従って,表面温度T,Tの応答を係数が異なる複数の伝達関数の和であるとして近似することは,環境温度Tの表面温度T,Tへの応答を,より適正に近似することを可能にする。
式(2)のXij(s)としては,最も単純には,時定数τijを有する一次遅れ要素の伝達関数が使用され得る。Xij(s)として時定数τijを有する一次遅れ要素の伝達関数が使用される場合,時定数τijは,好適には,相関法によって決定される。
図4は,相関法によって時定数τijを決定する手順を示すフローチャートである。各時定数τijについて,伝達関数Xij(s)の算出に使用される期間Πが決定される。期間Πは,表面温度Tに対応する伝達関数X1j(s)の時定数τ1jと,表面温度Tに対応する伝達関数XC2j(s)の時定数τ2jの決定に共通に使用される。期間Πの長さは,評価したい時定数の長さに応じて決定される;短期の変動を表す時定数を求めたい場合には,期間Πの長さは短く取られ,長期の変動を表す時定数を求めたい場合には,期間Πの長さは長く取られる。例えば,コンクリート容器21のように,大きな熱容量を有する部材の影響を表現する時定数を求めるためには,例えば,その長さが7日であるような長い期間Πが決定される。キャニスタ11のように,中程度の熱容量を有する部材の影響を表現する時定数を求めるためには,例えば,その長さが2日であるような中程度の期間Πが決定される。
更に,測定された環境温度T(t),表面温度T(t),T(t)からオフセット成分が除かれた後(ステップS01),白色化フィルタにより,雑音が除去される(ステップS02)。オフセット成分と雑音成分とが除去された環境温度T,表面温度T,Tは,それぞれ,環境温度Tf0(t),表面温度Tf1(t),Tf2(t)と表記される。
続いて,オフセット成分と雑音成分とが除去された環境温度Tf0(t)と,表面温度Tfi(t)との,期間Πについての相互相関関数RCij(τ)が求められる(ステップS03)。
更に,その相互相関関数Rcij(τ)から,インパルス応答が求められ(ステップS04),そのインパルス応答を積分することによってステップ応答が求められる(ステップS05)。そのステップ応答を一次遅れ要素として近似することにより,時定数τijが算出される(ステップS06)。このような過程で算出された時定数τi1,τi2,・・・が一次遅れ波形を表す伝達関数Xi1(t),Xi2(t),・・・の計算,即ち,時刻tの補正温度TCi(t)の算出に使用される。
式(1B)を用いて補正温度TCiが算出される場合,一層に適正な補正温度TCiを算出するためには,環境温度Tが温度センサ31,32に直接に及ぼす影響を表す項が導入されることが好適である。温度センサ31,32は,貯蔵建屋4内の雰囲気に曝されるため,環境温度Tは,温度センサ31,32が測定する表面温度T,Tに,(コンクリートキャスク2を介することなく)直接に影響を及ぼす。具体的には,式(1B)の代わりに,
Ci(t)=T(t)−ΣKij・TCij(T(t))−K’・{(T(t)−μT0j},
・・・(1C)
によって補正温度TC1,TC2が算出されることが好適である。ここで,μT0jは,期間Πにおける環境温度Tの平均値である。平均値μT0jの代わりに,過去一定期間(例えば1年間)の環境温度Tの平均値が使用されることも可能である。
本質的な問題ではないが,式(1B),(1C)によって補正温度TCiが算出される場合,補正温度TCiをキャニスタ11の温度を表す指標として有意義な値にするためには,環境温度Tの平均値がTτij(t)から減じられることが好適である;即ち,補正温度TCi(k)は,式(1B),(1C)を修正して得られる下記式(1B’),又は(1C’):
Ci(t)=T(t)−ΣKij・{Tτij(t)−μT0j}, ・・・(1B’)
Ci(t)=T(t)−ΣKij・{Tτij(t)−μT0j
−K’・{(T(t)−μT0j}・・・(1C’)
によって算出されることが好適である。ここで,μT0jは,上述されているように,期間Πにおける環境温度Tの平均値である。平均値μT0jの代わりに,過去一定期間(例えば1年間)の環境温度Tの平均値が使用されることも可能である。これにより,補正温度TCiは,キャニスタ11の温度に近い値になる。
(b)表面温度T,Tと環境温度Tの周波数スペクトルを用いた補正温度TC1,TC2の算出方法
図5は,表面温度T,Tと環境温度Tの周波数スペクトルを用いて補正温度TC1,TC2を算出する方法を示すファンクションブロック図である。補正温度TC1,TC2は,表面温度T,Tから環境温度Tの変動の周波数成分をフィルタリングによって除くことによって得られる。具体的には,表面温度T,Tについて高速フールエ変換(FFT)が行われ(ステップS12−1),表面温度T,Tの周波数スペクトルが算出される。同様に,環境温度Tの周波数スペクトルが高速フールエ変換によって算出される(ステップS12−2)。得られた環境温度Tの周波数スペクトルが,フィルタリングの係数の決定に使用される。更に,表面温度T,Tの周波数スペクトルから環境温度Tの周波数スペクトルが減じられた周波数スペクトルがフィルタリングによって求められる(ステップS12−3)。ステップS12−3で求められた周波数スペクトルは,キャニスタ11の密封性の異常に対応する表面温度T,Tの変動の周波数スペクトルである。この周波数スペクトルを逆高速フーリエ変換することにより補正温度TC1,TC2が算出される(ステップS12−4)。
ステップS12−3で行われるフィルタリングでは,全周波数領域における環境温度Tの周波数スペクトルが減じられる必要はない。所望の周波数領域についてのみ,表面温度T,Tの周波数スペクトルから環境温度Tの周波数スペクトルが減じられて周波数スペクトルが求められることが可能である。
ステップS13:
図3に示されているように,補正温度TC1,TC2が算出された後,各キャニスタ11の密封性の異常の有無が判定される。ステップS13では,各キャニスタ11の密封性の異常が,下記の判定方法:
・補正温度に基づく異常判定
・補正係数に基づく異常判定
・物理モデルシミュレーションによる異常判定
・スペクトル解析による異常判定
・ARXモデルを用いた異常判定
・判別分析による異常判定
・インパルス応答を用いた異常判定
によって判定される。補正温度に基づく異常判定は,補正温度判定モジュール34−2によって行われ,補正係数に基づく異常判定は,補正係数判定モジュール34−3によって行われる。物理モデルシミュレーションによる異常判定は,物理モデル判定モジュール34−4によって行われ,スペクトル解析による異常判定は,スペクトル解析モジュール34−5によって行われる。同様に,ARXモデルを用いた異常判定は,ARXモデル判定モジュール34−6によって行われ,判別分析による異常判定は,判別分析モジュール34−7によって行われる。インパルス応答を用いた異常判定は,インパルス応答判定モジュール34−8によって行われる。以下では,これらの判定方法が詳細に説明される。
(a)補正温度に基づく異常判定
補正温度に基づく異常判定では,ステップS12において算出された補正温度TC1(t),TC2(t),又は,これらから得られる特徴量からキャニスタ11の密封性の異常を判断する。補正温度TC1(t),TC2(t)から得られる特徴量としては,補正温度TC1,TC2の時間変化率dTC1,dTC2,補正温度TC1,TC2の差ΔT(=TC1−TC2),補正温度TC1,TC2の過去値T C1,T C2と現在値T C1,T C2との差ΔTcp C1(=T C1−T C1),Tcp C2(=T C2−T C2)が挙げられる。具体的には,あるキャニスタ11の補正温度TC1(t),TC2(t)又は,これらから得られる特徴量が所定の正常領域に入っていない場合,補正温度判定モジュール34−2は,当該キャニスタ11が異常であると判断する。補正温度に基づく異常判定の好適な実施例については後述される。
(b)補正係数に基づく異常判定による異常判定
補正係数に基づく異常判定では,ステップS12の補正温度TC1,TC2の算出の過程で算出される補正係数Kijを用いてキャニスタ11の密封性の異常を判断する。既述の通り,補正係数Kijは環境温度Tと補正温度TC1,TC2とが無相関になるように決定される。キャニスタ11の漏洩が発生すると環境温度Tと補正温度TC1,TC2とを無相関にする補正係数Kijの値が変動するから,補正係数Kijの変動からキャニスタ11の密封性の異常を検知することができる。より具体的には,キャニスタ11の異常の判定の対象である判定対象期間について算出された補正係数Kijが,キャニスタ11の密封性に異常がないと判明している期間(正常期間)について算出された補正係数Kijと比較され,その比較結果から,キャニスタ11の密封性の異常が判断される。例えば,判定対象期間について算出された補正係数Ki1〜Kimを要素とするベクトルと,正常期間について算出された補正係数Ki1〜Kimを要素とするベクトルとの差の大きさが所定値よりも大きい場合に,キャニスタ11の密封性が異常であると判断される。
(c)物理モデルシミュレーション
図6を参照して,物理モデルシミュレーションによる異常判定では,環境温度Tの表面温度T,Tへの応答を表す物理モデルを用いて,キャニスタ11の密封性の異常を判断する。具体的には,まず,測定された環境温度Tと物理モデルとを用いて,キャニスタ11の密封性に異常がない場合の表面温度T,Tの推定値,即ち,推定正常値T^,T^が算出される。物理モデルとしては,最も単純には,システム同定によって得られる,環境温度Tの表面温度T,Tに対する応答の伝達関数が使用され得る。続いて,温度センサ31,32によって実際に測定された表面温度T,Tが推定正常値T^,T^と比較され,この比較結果から,キャニスタ11の密封性の異常の有無が判断される。具体的には,推定正常値T^,T^と測定された表面温度T,Tとの差の絶対値|T^−T|,|T^−T|の少なくとも一方が所定値よりも大きい場合に,キャニスタ11の密封性が異常であると判断される。絶対値|T^−T|,|T^−T|の両方が所定値よりも大きい場合に,キャニスタ11の密封性が異常であると判断されることも可能である。
以上に説明された物理モデルシミュレーションによる異常判定では,環境温度Tの変動の表面温度T,Tへの影響を考慮してキャニスタ11の密封性が異常であると判断することができる。
(d)スペクトル解析による異常判定
図7に示されているように,スペクトル解析による異常判定では,表面温度T,Tの周波数スペクトルからキャニスタ11の密封性の異常を判断する。キャニスタ11の密封性に異常が発生すると,表面温度T,Tの周波数スペクトルに変動が生じるから,表面温度T,Tの周波数スペクトルの変動からキャニスタ11の密封性の異常を検知することができる。
より具体的には,キャニスタ11の異常の判定の対象である判定対象期間,及びキャニスタ11の密封性に異常がないと判明している期間(正常期間)とのそれぞれについて,表面温度T,Tの周波数スペクトルが高速フーリエ変換によって算出される。更に,判定対象期間について算出された表面温度T,Tの周波数スペクトルが,キャニスタ11の密封性に異常がないと判明している期間(正常期間)について算出された周波数スペクトルと比較され,その比較結果から,キャニスタ11の密封性の異常が判断される。例えば,キャニスタ11の密封性に異常が発生すると,表面温度T,Tの周波数スペクトルの特定周波数領域のピーク位置に変動が生じる。判定対象期間の周波数スペクトルのピーク位置と,正常期間の周波数スペクトルのピーク位置との差から,キャニスタ11の密封性の異常が判断される。
表面温度T,Tのスペクトル解析による異常判定は,環境温度Tの変動に対応する成分が存在しない周波数領域の周波数スペクトルを比較してキャニスタ11の密封性の判断を行うことができるため,環境温度Tの影響を排除するために好適である。
表面温度T,Tの周波数スペクトルの代わりに,表面温度T,Tから得られる特徴量の周波数スペクトルが使用されることが可能である。例えば,表面温度T,Tの周波数スペクトルの代わりに,補正温度TC1,TC2の周波数スペクトルが使用されることも可能である。表面温度T,Tと同様に,キャニスタ11の密封性に異常が発生すると,補正温度TC1,TC2の周波数スペクトルに変動が生じる。従って,補正温度TC1,TC2の周波数スペクトルの変動からキャニスタ11の密封性の異常を検知することができる。
(e)ARXモデルを用いた異常判定
図8を参照して,ARXモデルを用いた異常判定では,環境温度Tを外生入力とし,表面温度T(iは,1,2の任意)を出力とするARXモデルがキャニスタ11の密封性の異常の検知に使用される。当該ARXモデルでは,キャニスタ11の密封性の異常による表面温度Tの変化の成分(漏洩成分)が外乱wとして考慮される。キャニスタ11の密封性に異常がない場合には,外乱wは,白色雑音になるはずである。しかし,キャニスタ11の密封性に異常がある場合には,外乱wは白色雑音にならない。この現象を利用して,キャニスタ11の密封性の異常が検知される。
具体的には,まず,表面温度Tの測定値と,環境温度Tの測定値とから,ARXモデルが推定される。環境温度Tの表面温度Tに対する応答の伝達関数B(z)/A(z)が算出され,その伝達関数の分母A(z)を用いて,外乱wが求められる。更に,外乱wの白色検定が行われる。ARXモデル判定モジュール34−5は,外乱wが白色雑音である場合には,キャニスタ11の密封性に異常はないと判断する。一方,外乱wが白色雑音でない場合には,ARXモデル判定モジュール34−5は,キャニスタ11の密封性に異常があると判断する。
以上に説明されたARXモデルを用いた異常判定では,環境温度Tの変動の表面温度T,Tへの影響を考慮してキャニスタ11の密封性が異常であると判断することができる。
(f)判別分析による異常判定
図9を参照して,判別分析による異常判定では,表面温度T,Tから得られる複数の特徴量についての判別分析により,キャニスタ11の密封性の異常の有無が判断される。特徴量としては,例えば,表面温度T,Tそのもの,表面温度T,Tの時間変化率,表面温度T,Tの差,補正温度TC1,TC2,補正温度TC1,TC2の時間変化率,補正温度TC1,TC2の差が使用され得る。
キャニスタ11が正常であるときと,キャニスタ11の密封性に異常があるときのそれぞれについて,判別分析に使用される特徴量が算出される。これにより,キャニスタ11が正常であるときの特徴量によるデータのグループと,キャニスタ11の密封性に異常があるときの特徴量によるデータのグループとが規定される。以下では,前者を正常グループと,後者を異常グループと呼ぶ。
新たに表面温度T,Tが測定されると,その表面温度T,Tから特徴量が算出され,その特徴量によるデータ,即ち,判別対象データが,正常グループと異常グループとのいずれに属するかが,判別分析によって判断される。具体的には,判別対象データ(即ち,新たに測定された表面温度T,Tの特徴量によるデータ)のマラハノビスの汎距離が,正常グループと異常グループとのそれぞれについて算出される。判別対象データは,算出されたマラハノビスの汎距離の短い方のグループに属すると判断される。
判別対象データが正常グループに属すると判断された場合には,キャニスタ11は正常であると判断され,判別対象データが異常グループに属すると判断された場合には,キャニスタ11の密封性は異常であると判断される。
マラハノビスの汎距離が算出される代わりに,判別対象データが正常グループと異常グループのいずれに属するかを判別する判別式が予め用意されることも可能である。この判別式により,判別対象データが正常グループに属すると判断される領域と,異常グループに属すると判断される領域との境界36が規定される。
かかる判別分析による異常判定は,様々な特徴量に基づいてキャニスタ11の異常を判断することが可能であり,異常判定の確実性に優れている。
(g)インパルス応答を用いた異常判定
図10を参照して,インパルス応答を用いた異常判定では,環境温度Tから表面温度T,Tへの伝達関数のインパルス応答を同定し,そのインパルス応答を用いてキャニスタ11の密封性の異常を判定する。環境温度Tから表面温度T,Tへの伝達関数のインパルス応答は,キャニスタ11の密封性の異常の有無によって異なるから,インパルス応答からキャニスタ11の密封性の異常を判定することができる。インパルス応答の同定は,補正温度TC1,TC2の算出と同様に,相関法によって行われることが好適である。
具体的には,キャニスタ11の異常の判定の対象である判定対象期間,及びキャニスタ11の密封性に異常がないと判明している期間(正常期間)とのそれぞれについて,環境温度Tと表面温度Tとの相互相関関数R(τ)が求められ,その相互相関関数Rcij(τ)から,判定対象期間と正常期間とのそれぞれについてのインパルス応答が同定される。同定されたインパルス応答から得られる特徴量の比較により,キャニスタ11の密封性が異常であるか否かが判断される。
インパルス応答から得られる特徴量としては,例えば,減衰比,及び当該インパルス応答に対応するステップ応答の時定数が使用され得る。ステップ応答の時定数を用いてインパルス応答の比較が行われる場合,得られたインパルス応答を積分することによってステップ応答が得られ,そのステップ応答を一次遅れ要素と近似することによって時定数が得られる。
インパルス応答を用いた異常判定は,環境温度Tの変動の表面温度T,Tへの影響を考慮してキャニスタ11の密封性が異常であると判断することができる点において有利である。
ステップS14,S15:
図3に戻って,ステップS13において,全キャニスタ11の密封性に異常が見出されなかった場合には,表示装置35に全キャニスタ11が正常である旨が表示される(ステップS14,S15)。一方,密封性に異常が見出されたキャニスタ11が存在する場合には,ステップS16が行われる。
ステップS16:
ステップS16では,ステップS13において密封性に異常が見出されたキャニスタ11の異常の存在が,当該キャニスタ11の傾向を,その周辺に位置するキャニスタ11の傾向と比較することによって確認される。ステップS13において密封性に異常が見出されたキャニスタ11は,以下,異常判定キャニスタと呼ばれ,異常判定キャニスタの周辺に位置するキャニスタ11は,周辺キャニスタと呼ばれる。
具体的には,異常判定キャニスタの表面温度T,Tの特徴量の傾向と,周辺キャニスタの特徴量の傾向とが比較される。表面温度T,Tの特徴量としては,例えば,表面温度T,Tそのもの,表面温度T,Tの時間変化率,表面温度T,Tの差,補正温度TC1,TC2,補正温度TC1,TC2の時間変化率,補正温度TC1,TC2の差が使用され得る。比較の結果,異常判定キャニスタの表面温度T,Tの特徴量の傾向が,周辺キャニスタの特徴量の傾向と異なると判断される場合には,最終的に,異常判定キャニスタの密封性に異常があると判断される。異常判定キャニスタの表面温度T,Tの特徴量の傾向が,周辺キャニスタの特徴量の傾向と異なると判断されない場合には,異常判定キャニスタに異常があるとは結論付けられない。
ステップS17:
ステップS17では,ステップS16における判定の結果が表示装置35に表示される。最終的に,異常判定キャニスタの密封性に異常があると判断された場合には,いずれのキャニスタ11が異常であると判断されたことが表示される。異常判定キャニスタの密封性に異常があると結論付けることができない場合には,その旨が表示される。
第3 補正温度に基づくキャニスタの異常判定
以下では,補正温度に基づく異常判定の好適な実施例が説明される。補正温度に基づく異常判定は,以下の4つの判定方法:
・補正温度TC1,TC2の統計処理による異常判定
・補正温度TC1,TC2の時間変化率dTC1,dTC2の統計処理による異常判定
・補正温度TC1,TC2の温度差ΔT(=TC1−TC2)の統計処理による異常判定
・補正温度TC1,TC2の長期的変化に基づく異常判定
から構成される。以下では,4つの判定方法のそれぞれが説明される
(a) 補正温度TC1,TC2の統計処理による状態判定
図13は,補正温度TC1,TC2の統計処理によってキャニスタ11の異常を検知する処理を示すフローチャートである。当該処理では,測定時刻tの直近の一定期間Γにおける補正温度TC1,TC2の平均値μTC1,μTC2及び標準偏差σTC1,σTC2が算出される(ステップS21,S22)。最も典型的には,期間Γは,tk−N≦t≦tk−1なる期間と定められる。ここで,時刻tk−1は,測定時刻tの直前の測定時刻であり,同様に,時刻tk−Nは,測定時刻tのN回前の測定時刻である。この場合,平均値μTC1,μTC2及び標準偏差σTC1,σTC2は,下記式(3a),(3b)で表される。
Figure 0004443988
例えば,一定期間Γは,その始期である時刻tk−Nが測定時刻tの2日前になるように設定される。
続いて,ステップS21,S22で算出された平均値μTC1,μTC2及び標準偏差σTC1,σTC2から,正常温度領域が決定される(ステップS23)。正常温度領域とは,キャニスタ11が正常と判断される補正温度TC1,TC2の範囲である。本実施の形態では,補正温度TC1,TC2それぞれの正常温度領域RTC1,RTc2は,
TC1:μTC1−n・σTC1<TC1<μTC1+n・σTC1, ・・・(4a)
TC2:μTC2−n・σTC2<TC2<μTC2+n・σTC2, ・・・(4b)
と算出される。nは,経験的には,2又は3であることが好適である。しかしながら,nは,最適な任意の値を取り得る。
留意されるべきことは,補正温度TC1,TC2の平均値及び標準偏差の算出に使用される一定期間Γは,測定時刻が到来する毎にずれていき,従って,正常温度領域も,通常,測定時刻が到来する毎に変化していくことである。例えば,時刻tの次の測定時刻tk+1については,期間Γk+1は,tk−N+1≦t≦tなる期間と定められる。従って,次の測定時刻tk+1が到来すると,平均値μTC1,μTC2及び標準偏差σTC1,σTC2が新たに算出され,更に,正常温度領域RTC1,RTC2も新たに決定される。これを明確にするために,必要がある場合には,時刻tについて定められた正常温度領域を,それぞれ,RTC1(t),RTC2(t)と記載することにする。
続いて,補正温度判定モジュール34−2は,補正温度TC1(t),TC2(t)が,正常温度領域RTC1(t),RTC2(t)の下限を下回るか否かに応じて,キャニスタ11が正常か否かを判断する(ステップS24)。具体的には,補正温度判定モジュール34−2は,補正温度TC1,TC2の少なくとも一方が,今回を含めて過去m回連続して正常温度領域の下限を下回る場合に,キャニスタ11に異常があると判断する(ステップS25);即ち,補正温度判定モジュール34−2は,補正温度TC1,TC2の少なくとも一方が,「0以上m−1以下の任意のpについて,補正温度TCi(tk−p)が,正常温度領域RTCi(tk−p)の下限を下回る」という条件を満足する場合,キャニスタ11の密封性に異常があると判断する。この代わりに,補正温度TC1,TC2の両方が今回を含めて過去m回連続して正常温度領域から外れている場合に,キャニスタ11に異常があると判断してもよい。一方で,補正温度判定モジュール34−2は,補正温度TCi(t)が正常温度領域RTCi(t)の上限を今回を含めて過去m回連続して上回る場合,センサ異常あるいは計測系の異常があると判断する。これらの条件を満足しない場合,補正温度判定モジュール34−2は,各キャニスタ11が正常であると判断する(ステップS26)。
図14は,補正温度TC1の統計処理による状態判定方法の具体的事例を示すグラフである。補正温度TC1が逐次に算出され,算出された補正温度TC1を用いて,平均値μTC1,標準偏差σTC1が逐次に算出される。この平均値μTC1,標準偏差σTC1を用いて,正常温度領域RTC1が逐次に決定される。当該事例では,時刻tにおいてキャニスタ11に漏れが発生し,内部のガス圧力が低下し始めている。これに応答して,補正温度TC1が急激に低くなり始める。補正温度TC1の変動に伴う正常温度領域RTC1の変化は,緩やかであるため,補正温度TC1は正常温度領域RTC1から外れる。本事例では,時刻tにおいて,補正温度TC1が正常温度領域RTC1から外れる。その後,補正温度TC1が正常温度領域RTC1から外れるという事象がm回連続して起こると,即ち,補正温度TC1が正常温度領域RTC1から外れる状態がある程度維持されると,補正温度判定モジュール34−2は,キャニスタ11に漏れが発生したと判断する。
このようにしてキャニスタ11の密封性を判断することの有効性は,正常温度領域RTC1,RTc2を逐次に的確に決定できることにある。キャニスタ11の温度は,その密封性が正常であっても,長期的に保存されている間に徐々に低下していく。これは,ある固定された閾値を決定することによって,キャニスタ11の表面温度が異常に低下したか否かを判断することが困難であることを意味する。本実施の形態の補正温度TC1,TC2の統計処理による状態判定方法では,一定期間Γにおける正常の範囲の変動,即ち,平均値を中心とする上下n・σTC1の間の変動よりも大きな変動が発生した場合に,キャニスタ11の密封性に異常が発生したと判断される。これにより,キャニスタ11の密封性の判断基準を動的に的確に決定し,キャニスタ11の密封性を的確に判断することができる。
(b) 補正温度変化率dTC1,dTC2の統計処理による状態判定
図15は,補正温度変化率dTC1,dTC2の統計処理によってキャニスタ11の異常を検知する処理を示すフローチャートである。当該方法では,時刻tについて算出された補正温度TC1,TC2から,時刻tにおける補正温度の変化率dTC1(t),dTC1(t)が算出される(ステップS31)。
続いて行われる処理は,補正温度TC1,TC2の代わりに補正温度変化率dTC1,dTC2が使用される点以外,補正温度TC1,TC2の統計処理による状態判定方法で行われる処理と同一である。具体的には,測定時刻tの直近の一定期間Γにおける補正温度変化率dTC1,dTC2の平均値μdTC1,μdTC2及び標準偏差σdTC1,σdTC2が算出される(ステップS32,S33)。
続いて,ステップS32,S33で算出された平均値μdTC1,μdTC2及び標準偏差σdTC1,σdTC2から,正常温度変化率領域RdTC1,RdTc2が決定される(ステップS34)。本実施の形態では,補正温度変化率dTC1,dTC2それぞれの正常温度変化率領域RdTC1,RdTc2は,
dTC1:μdTC1−n・σdTC1<dTC1<μdTC1+n・σdTC1, ・・・(5a)
dTC2:μdTC2−n・σdTC2<dTC2<μTdC2+n・σdTC2, ・・・(5b)
と決定される。nは,例えば,2又は3であることが好適である。しかしながら,nは最適な任意の値を取り得る。
続いて,補正温度判定モジュール34−2は,補正温度変化率dTC1(t),dTC2(t)が,正常温度領域RdTC1(t),RdTc2(t)の下限を下回るか否かに応じて,キャニスタ11が正常か否かを判断する(ステップS35)。具体的には,補正温度判定モジュール34−2は,補正温度変化率dTC1,dTC2の少なくとも一方が,今回を含めて過去m回連続して正常温度領域RdTC1,RdTc2の下限を下回る場合,キャニスタ11の密封性に異常があると判断する(ステップS36);即ち,補正温度判定モジュール34−2は,補正温度TC1,TC2の少なくとも一方が,「0以上m−1以下の任意のpについて,補正温度変化率dTCi(tk−p)が,正常温度変化率領域RdTCi(tk−p)の下限を下回る」という条件を満足する場合,キャニスタ11の密封性に異常があると判断する。その代わりに,補正温度判定モジュール34−2は,補正温度変化率dTC1,dTC2の両方が,今回を含めて過去m回連続して正常温度領域RdTC1,RdTc2から外れている場合,キャニスタ11の密封性に異常があると判断してもよい。一方で,補正温度判定モジュール34−2は,補正温度変化率dTCi(t)が正常温度領域RTCi(t)の上限を今回を含めて過去m回連続して上回る場合,センサ異常あるいは計測系の異常があると判断する。これらの条件を満足しない場合,補正温度判定モジュール34−2は,キャニスタ11が正常であると判断する(ステップS37)。
図17は,補正温度変化率dTC1の統計処理による状態判定方法の具体的事例を示すグラフである。補正温度変化率dTC1が逐次に算出され,算出された補正温度変化率dTC1を用いて,平均値μdTC1,標準偏差σdTC1が逐次に算出される。この平均値μdTC1,標準偏差σdTC1を用いて,正常温度変化率領域RdTC1が逐次に決定される。当該事例では,時刻tにおいてキャニスタ11に漏れが発生し,表面温度Tが低下し始めている。これに応答して,補正温度TC1が急激に低くなり始め,これに伴い,補正温度変化率dTC1が大きく変化している。補正温度変化率dTC1による正常温度変化率領域RdTC1の変化は,緩やかであるため,補正温度変化率dTC1は正常温度変化率領域RdTC1から外れる。本事例では,時刻tにおいて,補正温度変化率TC1が正常温度変化率領域RdTC1から外れる。その後,補正温度変化率dTC1が正常温度変化率領域RdTC1から外れるという事象がm回連続して起こると,即ち,補正温度変化率dTC1が正常温度変化率領域RdTC1から外れる状態がある程度維持されると,補正温度判定モジュール34−2は,キャニスタ11に漏れが発生したと判断する。
補正温度変化率dTC1の統計処理による状態判定方法の有利性は,キャニスタ11の漏れが発生して以後,キャニスタ11の異常の検出に要するまでの時間が短いことである。図17から理解されるように,キャニスタ11の漏れが発生すると,その補正温度変化率dTC1は瞬間的に変化し,速やかに正常温度変化率領域RdTC1から外れる。このため,補正温度変化率dTC1の統計処理による状態判定方法は,短時間でキャニスタ11の異常を検出することができる。
(c) 温度差ΔT(=TC1−TC2)の統計処理による状態判定
図18は,補正温度TC1,TC2の差ΔTの統計処理によってキャニスタ11の異常を検知する処理を示すフローチャートである。キャニスタ11の表面温度T,Tは,キャニスタ11の密封性に異常が発生すると変化するから,補正温度TC1,TC2も表面温度T,Tの変化に伴って変化する。補正温度判定モジュール34−2は,この補正温度TC1,TC2の変化を捉えることにより,キャニスタ11の密封性の異常を検知する。
当該処理では,時刻tについて算出された補正温度TC1,TC2から,時刻tにおける補正温度TC1,TC2の差ΔT(t)(=TC1(t)−TC2(t))が算出される。(ステップS41)。
続いて行われる処理は,補正温度TC1,TC2の代わりに温度差ΔTが使用される点以外,補正温度TC1,TC2の統計処理による状態判定方法で行われる処理と同一である。具体的には,測定時刻tの直近の一定期間Γにおける温度差ΔTの平均値μΔTC及び標準偏差σΔTCが算出される(ステップS42,S43)。
続いて,ステップS42,S43で算出された平均値μΔTC及び標準偏差σΔTCから,正常温度差領域RΔTCが決定される(ステップS44)。本実施の形態では,正常温度差領域RΔTCは,
ΔTC:μΔTC−n・σΔTC<ΔT<μΔTC+n・σΔTC, ・・・(6)
と決定される。nは,経験的には,2又は3であることが好適である。しかしながら,nは最適な任意の値を取り得る。
続いて,補正温度判定モジュール34−2は,温度差ΔT(t)が,正常温度差領域RΔTC(t)の下限を下回るか否かに応じて,キャニスタ11が正常か否かを判断する(ステップS45)。具体的には,補正温度判定モジュール34−2は,温度差ΔTが,今回を含めて過去m回連続して正常温度差領域RΔTCの下限を下回る場合,キャニスタ11の密封性に異常があると判断する(ステップS46);即ち,補正温度判定モジュール34−2は,温度差ΔTが「0以上m−1以下の任意のpについて,温度差ΔT(tk−p)が,正常温度差領域RΔTC(tk−p)の下限を下回る」という条件を満足する場合,キャニスタ11の密封性に異常があると判断する。一方で,補正温度判定モジュール34−2は,温度差ΔT(t)が,正常温度差領域RΔTC(t)の上限を今回を含めて過去m回連続して上回る場合,センサ異常あるいは計測系の異常があると判断する。これらの条件を満足しない場合,補正温度判定モジュール34−2は,キャニスタ11が正常であると判断する(ステップS47)。
(d) 長期的変化の検出による状態判定
図18は,補正温度TC1,TC2の長期的変化の検出によってキャニスタ11の異常を検知する処理を示すフローチャートである。
当該処理では,所定の基準期間Γにおける,補正温度TC1,TC2の標準偏差σ TC1,σ TC2が算出される(ステップS51)。基準期間Γとしては,キャニスタ11の密封性が安定して保たれていると判明している期間が選ばれる。即ち,標準偏差σ TC1,σ TC2は,キャニスタ11が安定状態にあるときの補正温度TC1,TC2のバラツキである。基準期間Γは,固定であることが可能である。例えば,保存が開始された直後の所定の期間が基準期間Γと定められることが可能である。また,測定時刻tから相対的に決定されることも可能である。例えば,時刻tの2年前から1年前までの期間が,基準期間Γとして決定されることも可能である。基準期間Γが固定である場合には,測定時間の到来毎に,標準偏差σ TC1,σ TC2が算出される必要はない;標準偏差σ TC1,σ TC2の算出は,一度行われれば充分である。
続いて,補正温度TC1,TC2から,補正温度の現在値T C1,T C2と過去値T C1,T C2とが決定される(ステップS52)。現在値T Ciとは,最新の測定時刻tの補正温度TCi(t)から決定される値であり,過去値T Ciとは,最新の測定時刻tから所定の時間τSTDだけ前の測定時刻tk’(=t−τSTD)の補正温度TCi(tk’)から決定される値である。典型的には,現在の測定時刻tから1ヶ月,6ヶ月,1年前,2年前,3年前等の時刻が,時刻tk’として選択される。現在値T Ci,過去値T Ciは,それぞれ,補正温度TCi(t),TCi(tk’)そのものであることが可能である。
バラツキの影響をなくすためには,最新に得られるN’個の補正温度TCiの平均値が現在値T Ciとして使用され,時刻tk’−N−1以降時刻tk’までに得られるN’個の補正温度TCiの平均値が過去値T Ciとして使用されることが好適である;即ち,現在値T Ci,過去値T Ciは,それぞれ,下記式(7a),(7b):
Figure 0004443988
によって算出されることが好適である。
続いて,補正温度TC1の現在値T C1と過去値T C1との差ΔTcp C1(=T C1−T C1)と,補正温度TC2の現在値T C2と過去値T C2との差ΔTcp C2(=T C2−T C2)が算出される(ステップS53)。
差ΔTcp Ciは,時刻tk’から時刻tまでの補正温度TCiの低下分であり,従って,キャニスタ11に微小なリークがあることを検出するために好適なパラメータである。時間差τSTD(=t−tk’)を適切に設定すれば,例えば,τSTDを1ヶ月乃至6ヶ月程度に設定すれば,キャニスタ11の異常がない場合には,差ΔTcp Ciは0に近い値になることが期待される;1ヶ月乃至6ヶ月程度では,キャニスタ11の本質的な温度の低下は,ほぼ0であるからである。逆に,図20に示されているように,差ΔTcp Ciが増大するという現象は,時刻tk’から時刻tまでに補正温度TCiが低下していることを示しており,従って,キャニスタ11に時間差τSTDのオーダーで圧力が減少するような微小なリークがあることを意味している。
補正温度判定モジュール34−2は,ステップS53で算出される差ΔTcp C1,差ΔTcp C2の変化に基づいて,キャニスタ11の異常の有無を判定する(ステップS54)。具体的には,補正温度判定モジュール34−2は,所定の基準期間Γにおける,補正温度TC1,TC2の標準偏差σ TC1,σ TC2から,正常温度差領域Rcp C1,Rcp C2を決定する。典型的には,補正温度判定モジュール34−2は,正常温度差領域Rcp C1,Rcp C2
cp C1:−n・σ TC1<ΔTcp C1<n・σ TC1
cp C2:−n・σ TC2<ΔTcp C2<n・σ TC2
と決定する。nは,経験的には,2又は3であることが好適である。しかしながら,nは最適な任意の値を取り得る。そして,補正温度判定モジュール34−2は,差ΔTcp C1,差ΔTcp C2の少なくとも一方が,今回を含めて過去m回連続して正常温度差領域Rcp C1,Rcp C2の上限を上回る場合,キャニスタ11の密封性に異常があると判断する(ステップS55);即ち,補正温度判定モジュール34−2は,差ΔTcp C1,差ΔTcp C2の少なくとも一方が,「0以上m−1以下の任意のpについて,差ΔTcp Ciが,正常温度差領域Rcp Ciの上限を上回る」という条件を満足する場合,キャニスタ11の密封性に異常があると判断する。その代わりに,補正温度判定モジュール34−2は,差ΔTcp C1,差ΔTcp C2の両方が,今回を含めて過去m回連続して正常温度差領域Rcp C1,Rcp C2の上限を上回る場合,キャニスタ11の密封性に異常があると判断してもよい。これらの条件を満足しない場合,補正温度判定モジュール34−2は,キャニスタ11が正常であると判断する(ステップS56)。
以上に説明された,現在値T Ciと過去値T Ciとの差ΔTcp Ciに基づくキャニスタ11の密封性の異常の検知の有利性は,時間τSTD程度の時間をかけてキャニスタ11の圧力が低下しつづけるような微小なリークを検出できることにある。この利点は,上述された3つの方法では原理的に達成することが困難であり,上記の3つの方法と,長期的変化の検出による状態判定とを併用することは,キャニスタ11の密封性の異常の検知を,一層に確実にするため好適である。
第4 補足と変形例
1.ボールト貯蔵への適用
本実施の形態の状態検出装置2は,ボールト貯蔵におけるキャニスタ11の漏洩の有無の判断にも使用され得る。ボールト貯蔵とは,コンクリート容器21を使用せずに,キャニスタ11を貯蔵建屋1の内部に並べる貯蔵方法である。この場合にも,キャニスタ11の表面温度が測定され,その表面温度から上記と同様の演算により,キャニスタ11の密封性の異常の検知が行われる。
但し,ボールト貯蔵におけるキャニスタ11の密封性の異常の検知が行われる場合には,補正温度の算出の際に,キャニスタ11の位置に依存する補正項が追加されることが好適である。これは,ボールト貯蔵では,貯蔵建屋1の内部に流されている冷却空気の存在により,キャニスタ11の表面温度T,Tがキャニスタ11の位置によって影響を受けやすいからである。図11に示されているように,ボールト貯蔵では,キャニスタ11が貯蔵建屋1の内部で露出され,冷却空気が直接にキャニスタ11に触れる。これは,冷却空気の上流側に位置するキャニスタ11の表面温度は,キャニスタ11の漏洩の有無に無関係に相対的に低く,下流側に位置するキャニスタ11の表面温度はキャニスタ11の漏洩の有無に無関係に相対的に高いことを意味している。従って,かかる冷却空気の流れの影響をキャンセルするためには,補正温度を算出する演算式に,キャニスタ11の位置に依存する補正項を含めることが好適である。
具体的には,式(1A)に基づいて各キャニスタ11の補正温度を算出する場合には,下記式(3A):
Ci(t)=T(t)−ΣKij・fij(T(t))+g(x),
・・・(3A)
によって各キャニスタ11の補正温度が算出されることが好適である。ここでxは,補正温度が算出されるキャニスタ11の位置であり,g(x)は,キャニスタ11の位置xの関数である。関数g(x)は,キャニスタ11の位置xが冷却空気の上流に位置するほど大きくなるように定められている。他の式(1B),(1C),(1B’),(1C’)に基づいて各キャニスタ11の補正温度が算出される場合も同様である。
2.金属キャスクへの適用
本実施の形態の状態検出装置3が金属キャスクの密封性の異常の検出にも適用可能であることは当業者には自明的である。
金属キャスクの密封性の異常の検出を行う場合には,表面温度の代わりに,その内部の圧力から密封性の異常の検出を行うことが可能であり,また,圧力を使用することが好適である。金属キャスクは,コンクリートキャスクのキャニスタとは異なり,その内部の圧力を直接に測定可能である。金属キャスク3の漏れの発生は,そのまま圧力の変化に直接に結びつくから,金属キャスクの内部の圧力に基づいて金属キャスク3に密封性の異常を検出することは,その密封性の異常の発生を確実に検出するために好適である。
図12は,金属キャスク2’及び,金属キャスク2’の内部の圧力から密封性の異常の検出を行う状態検出装置3’の構成を示すブロック図である。
金属キャスク2’は,概略的には,胴部61と,一次蓋62a,二次蓋62bとを備えている。胴部61と,一次蓋62a,二次蓋62bは,いずれも,ステンレス又は炭素鋼で形成されている。胴部61の上部開口は,一次蓋62aによって密封され,更に,二次蓋62bが一次蓋62aを覆うように固定される。胴部61と一次蓋62aとにより,キャビティ63が形成され,そのキャビティ63に使用済燃料集合体64を収容するバスケット65が収められる。一次蓋62aと二次蓋62bとの間には,圧力を緩衝させる空間である圧力障壁66が形成されている。二次蓋62bは,それを貫通する検査孔67が設けられている。検査孔67は,後述されるように,圧力障壁66の圧力を計測する圧力センサを挿入するための開口である。キャビティ63と圧力障壁66にはヘリウムガスが充填されている。ヘリウムガスは,その対流により,使用済燃料集合体64の発熱をキャビティ63の全体に拡散する役割を果たす。
状態検出装置3’は,圧力センサ71と,環境温度センサ72と,演算装置73と,表示装置74とを備えている。圧力センサ71は,圧力障壁66の圧力Pを逐次に測定するために使用される。圧力センサ71は,二次蓋62bに設けられた検査孔67に挿入され,その先端は,圧力障壁66に到達するように二次蓋62bに固定される。圧力センサ71と二次蓋66との間はシール構造によって封じられ,検査孔67は完全に密封される。圧力障壁66の内部の圧力はどの位置でも一定であるから,(温度センサ31,32とは異なり)圧力センサ71が異なる高さの位置に設けられる必要はない。環境温度センサ72は,金属キャスク1の周囲の環境温度Tを測定する。
演算装置73は,圧力センサ71によって逐次に測定された圧力Pと,環境温度センサ33によって逐次に測定された環境温度Tとを用いて,金属キャスク3の異常の有無を検知するコンピュータである。演算装置73には,補正温度算出モジュール73−1と,補正温度判定モジュール73−2と,補正係数判定モジュール73−3と,物理モデル判定モジュール73−4と,スペクトル解析モジュール73−5と,ARXモデル判定モジュール73−6と,判別分析モジュール73−7と,インパルス応答判定モジュール73−8と,群管理モジュール73−9とを含むコンピュータプログラムがインストールされている。これらのモジュールは,表面温度Tの代わりに圧力Pを使用し,補正温度TCiを補正圧力Pに読み替える点以外,補正温度算出モジュール34−1と,補正温度判定モジュール34−2と,補正係数判定モジュール34−3と,物理モデル判定モジュール34−4と,スペクトル解析モジュール34−5と,ARXモデル判定モジュール34−6と,判別分析モジュール34−7と,インパルス応答判定モジュール34−8と,群管理モジュール34−9と同様の演算を行う。補正圧力Pは,補正温度TCiと同様に,金属キャスク3の圧力から環境温度Tの影響を取り除いた仮想的な圧力である。金属キャスク2’の圧力Pが計測され,その圧力Pから補正圧力Pが算出される。圧力P,及び補正圧力Pに基づいて,金属キャスク3の密封性の異常の有無が判断される。このような演算が可能であることは,圧力Pと温度Tとが,近似的に,
PV=nRT,
の関係にあることを考えれば,当業者には自明的である。
図13は,金属キャスク2’の状態判定方法を示すフローチャートである。所定の各測定時刻において,金属キャスク2’の圧力障壁66の圧力Pが測定される(ステップS11’)。更に,測定された圧力P,環境温度Tから,補正圧力Pが算出される(ステップS12’)。補正圧力Pは,表面温度TCiが圧力Pに読み替えられ,補正温度TCiが補正圧力Pに読み替えられた式(1A)乃至(1C),(1B’),(1C)から算出されることが可能であり,補正温度TCiと同様に,圧力P,環境温度Tの周波数スペクトルからさん種つされることが可能である。
更に,圧力P及び補正圧力Pから,各金属キャスク2’の密封性が異常であるか否から判断される(ステップS13’)。各金属キャスク2’の密封性の異常の判断は,補正温度判定モジュール34−2と,補正係数判定モジュール34−3と,物理モデル判定モジュール34−4と,スペクトル解析モジュール34−5と,ARXモデル判定モジュール34−6と,判別分析モジュール34−7と,インパルス応答判定モジュール34−8とによって行われる。
ステップS13’において,全金属キャスク2’の密封性に異常が見出されなかった場合には,表示装置74に全金属キャスク2’が正常である旨が表示される(ステップS14’,S15’)。一方,密封性に異常が見出された金属キャスク2’が存在する場合には,ステップS16’が行われる。
ステップS16’では,ステップS13’において密封性に異常が見出された金属キャスク2’の異常が,当該金属キャスク2’の特徴量の傾向とその周辺に位置する金属キャスク2’の特徴量の傾向とを比較することによって確認される。具体的な手順は,上述された異常判定キャニスタの異常の確認の手順と同様である。
ステップS17では,ステップS16’における判定の結果が表示装置74に表示される。ある金属キャスク2’の密封性に異常があると最終的に判断された場合には,いずれの金属キャスク2’が異常であると判断されたことが表示される。金属キャスク2’の密封性に異常があると結論付けることができない場合には,その旨が表示される。
図1は,本発明による状態検出装置の実施の一形態を示す概念図である。 図2は,本実施の形態におけるコンクリートキャスク及び状態検出装置の構成を示すブロック図である。 図3は,本実施の形態におけるキャニスタの状態判定方法を示すフローチャートである。 図4は,環境温度の表面温度に対する応答を近似する一次遅れ要素の時定数を同定する手順を示すフローチャートである。 図5は,補正温度を算出する手順を示すフローチャートである。 図6は,物理モデルシミュレーションによる異常判定の手順を説明する概念図である。 図7は,スペクトル解析による異常判定を説明するグラフである。 図8は,ARXモデルを用いた異常判定を説明する概念図である。 図9は,判別分析を用いた異常判定を説明する概念図である。 図10は,インパルス応答を用いた異常判定を説明する概念図である。 図11は,ボールト貯蔵の概念図である。 図12は,金属キャスクの異常を判定するための状態検出装置の構成を示すブロック図である。 図13は,金属キャスクの異常を判定するための状態検知方法を説明するフローチャートである。 図14は,好適な実施例において,補正温度の統計処理によってキャニスタの密封性の異常を検出する処理を示すフローチャートである。 図15は,補正温度の統計処理によるキャニスタの密封性の異常の検出の具体例を示すグラフである。 図16は,好適な実施例において,補正温度の変化率の統計処理によってキャニスタの密封性の異常を検出する処理を示すフローチャートである。 図17は,補正温度の変化率の統計処理によるキャニスタの密封性の異常の具体例を示すグラフである。 図18は,高さが異なる2点について求められた補正温度の差の統計処理によってキャニスタの密封性の異常を検出する処理を示すフローチャートである。 図19は,長期的な温度変化を検知することによってキャニスタの密封性の異常を検出する処理を示すフローチャートである。 図20は,長期的な温度変化を検知することによるキャニスタの密封性の異常の具体例を示すグラフである。
符号の説明
1:貯蔵建屋
2:コンクリートキャスク
2’:金属キャスク
3,3’:状態検出装置
11:キャニスタ
12:胴部
13a:一次蓋
13b:二次蓋
14:キャビティ
15:使用済燃料集合体
16:バスケット
21:コンクリート容器
22:支持体
23:側壁
24:蓋体
25:空気流通孔
26,27:検査孔
31,32:温度センサ
33:環境温度センサ
34:演算装置
34−1:補正温度算出モジュール
34−2:補正温度判定モジュール
34−3:補正係数判定モジュール
34−4:物理モデル判定モジュール
34−5:スペクトル解析モジュール
34−6:ARXモデル判定モジュール
34−7:判別分析モジュール
34−8:インパルス応答判定モジュール
34−9:群管理モジュール
35:表示装置
61:胴部
62a:一次蓋
62b:二次蓋
63:キャビティ
64:使用済燃料集合体
65:バスケット
66:圧力障壁
67:検査孔
71:圧力センサ
72:環境温度センサ
73:演算装置
73−1:補正圧力算出モジュール
73−2:補正圧力判定モジュール
73−3:補正係数判定モジュール
73−4:物理モデル判定モジュール
73−5:スペクトル解析モジュール
73−6:ARXモデル判定モジュール
73−7:判別分析モジュール
73−8:インパルス応答判定モジュール
73−9:群管理モジュール
74:表示装置

Claims (13)

  1. 放射性物質を収容する複数の放射性物質容器の表面温度又は内部圧力である状態量を取得する状態量取得手段と,
    環境温度を測定する環境温度測定手段と,
    前記環境温度に基づいて前記状態量を補正することによって補正状態量を算出する補正状態量算出手段と,
    前記補正状態量に基づいて前記複数の放射性物質容器の異常を判定する異常検出手段
    とを備え,
    前記補正状態量算出手段は,前記複数の放射性物質容器を収容する貯蔵建屋における前記複数の放射性物質容器の位置に基づいて前記複数の放射性物質容器の前記補正状態量を算出する
    放射性物質容器用状態検出装置。
  2. 請求項に記載の放射性物質容器用状態検出装置であって,
    前記補正状態量算出手段は,前記貯蔵建屋の内部における冷却空気の流れの上流側にあるほど,前記状態量と前記補正状態量との差が大きくなるように,前記補正状態量を算出する
    放射性物質容器用状態検出装置。
  3. 請求項1に記載の放射性物質容器用状態検出装置であって,
    前記異常検出手段は,前記複数の放射性物質容器のうちの一の放射性物質容器の異常を,前記一の放射性物質容器の前記状態量と他の放射性物質容器の前記状態量とに基づいて判定する
    放射性物質容器用状態検出装置。
  4. 請求項に記載の放射性物質容器用状態検出装置であって,
    前記異常検出手段は,前記一の放射性物質容器及び前記他の放射性物質容器の前記状態量に対応する特徴量を,前記状態量そのもの,前記状態量の時間変化率,前記補正状態量,前記補正状態量の時間変化率のいずれかとして決定し,
    前記異常検出手段は,前記一の放射性物質容器の前記状態量に対応する特徴量の傾向と,前記他の放射性物質容器の前記状態量に対応する特徴量の傾向とを比較して前記一の放射性物質容器の異常を判定する
    放射性物質容器用状態検出装置。
  5. 請求項3に記載の放射性物質容器用状態検出装置であって,
    前記状態量は,前記一の放射性物質容器及び前記他の放射性物質容器の第1位置における第1表面温度と,前記一の放射性物質容器及び前記他の放射性物質容器の前記第1位置と異なる高さの第2位置における第2表面温度とを含み,
    前記補正状態量算出手段は,前記環境温度に基づいて前記第1表面温度及び前記第2表面温度を補正することによって第1補正温度及び第2補正温度を算出し,
    前記異常検出手段は,前記一の放射性物質容器及び前記他の放射性物質容器それぞれの前記状態量に対応する特徴量を,前記一の放射性物質容器及び前記他の放射性物質容器それぞれの前記第1表面温度と前記第2表面温度の差又は前記第1補正温度と前記第2補正温度の差として決定し,
    前記異常検出手段は,前記一の放射性物質容器の前記状態量に対応する特徴量の傾向と,前記他の放射性物質容器の前記状態量に対応する特徴量の傾向とを比較して前記一の放射性物質容器の異常を判定する
    放射性物質容器用状態検出装置。
  6. 放射性物質を収容する放射性物質容器の表面温度測定して取得する温度センサと,
    環境温度を測定する環境温度測定手段と,
    時刻tにおける前記表面温度に一致する状態量対応項と,前記環境温度の前記表面温度への応答を表す項である応答波形対応項と,前記環境温度の一次関数である環境温度補正項とを含む式を用いて時刻tにおける補正温度を算出する補正温度算出手段と
    前記補正温度に基づいて前記放射性物質容器の異常を判定する異常判定手段
    とを備えた
    放射性物質容器用状態検出装置。
  7. 放射性物質を収容する放射性物質容器の表面温度又は内部圧力である状態量を取得する状態量取得手段と,
    環境温度を測定する環境温度測定手段と,
    前記状態量に一致する状態量対応項と,前記環境温度の関数である補正項とを含む式を用いて補正状態量を算出する補正状態量算出手段と
    前記補正状態量に基づいて前記放射性物質容器の異常を判定する異常判定手段
    とを備え,
    前記補正状態量算出手段は,前記環境温度と前記補正状態量とが無相関になるように前記補正項の係数を決定する
    放射性物質容器用状態検出装置。
  8. 放射性物質を収容する放射性物質容器の表面温度又は内部圧力である状態量を取得する状態量取得手段と,
    環境温度を測定する環境温度測定手段と,
    前記状態量の周波数スペクトルと,前記環境温度の周波数スペクトルとを算出する周波数スペクトル算出手段と,
    前記状態量の周波数スペクトルと前記環境温度の周波数スペクトルとから補正周波数スペクトルを求める補正スペクトル算出手段と,
    前記補正周波数スペクトルから補正状態量を算出する補正状態量算出手段と,
    前記補正状態量に基づいて前記放射性物質容器の異常を判定する異常判定手段
    とを備え
    前記補正スペクトル算出手段は,前記状態量の周波数スペクトルから前記環境温度の周波数スペクトルの少なくとも一部を減じることによって前記補正周波数スペクトルを求める
    放射性物質容器用状態検出装置。
  9. 放射性物質を収容する放射性物質容器の表面温度又は内部圧力である状態量を取得する状態量取得手段と,
    環境温度を測定する環境温度測定手段と,
    前記放射性物質容器が正常である正常期間と,前記放射性物質容器の異常の判定の対象である判定対象期間とのそれぞれについて,前記状態量に一致する状態量対応項と前記環境温度の関数である補正項とを含む式を用いて補正状態量を算出する補正状態量算出手段

    異常判定手段
    とを備え,
    前記補正項は,互いに異なる複数の伝達関数に対応する複数の項を含み,
    前記補正状態量算出手段は,前記環境温度と前記補正状態量とが無相関になるように前記補正項の前記複数の項それぞれの係数である補正係数を決定し,
    前記異常判定手段は,前記正常期間について求められた前記補正項の前記複数の項それぞれの前記補正係数を要素とするベクトルと,前記判定対象期間について求められた前記補正項の前記複数の項それぞれの前記補正係数を要素とするベクトルの差の大きさが所定値よりも大きい場合に,前記放射性物質容器異常であると判定する
    放射性物質容器用状態検出装置。
  10. 射性物質を収容する放射性物質容器の表面温度又は内部圧力である状態量を取得する状態量取得手段と,
    前記状態量そのもの,又は,前記環境温度に基づいて前記状態量を補正することによって得られる補正状態量である状態量特徴量の周波数スペクトルを算出する周波数スペクトル算出手段と,
    前記周波数スペクトルに基づいて前記放射性物質容器の異常を判定する異常判定手段
    とを備え
    前記周波数スペクトル算出手段が算出する前記周波数スペクトルは,
    前記放射性物質容器が正常であるときの前記態量特徴量の正常時周波数スペクトルと,
    前記放射性物質容器の異常の判定の対象である期間の前記態量特徴量の判定対象期間周波数スペクトルとを含み,
    前記異常判定手段は,前記正常時周波数スペクトルと前記判定対象期間周波数スペクトルとを比較し,前記正常時周波数スペクトルのピーク位置と前記判定対象期間周波数スペクトルのピーク位置との差から前記放射性物質容器の異常を判定する
    放射性物質容器用状態検出装置。
  11. 放射性物質を収容する放射性物質容器の表面温度又は内部圧力である状態量を測定する状態量測定手段と,
    環境温度を測定する環境温度測定手段と,
    力として前記環境温度を有し,出力として前記状態量を有するARX(auto-regressive exogenous)モデルを同定するARXモデル同定手段と,
    前記ARXモデルから前記放射性物質容器の状態量のうちの前記環境温度に依存しない成分を求め,求められた前記成分の白色検定を行い,前記白色検定において前記成分が白色雑音でないと判断した場合,前記放射性物質容器異常があると判定する異常判定手段
    とを備えた
    放射性物質容器用状態検出装置。
  12. 放射性物質を収容する放射性物質容器の表面温度又は内部圧力である状態量を測定する状態量測定手段と,
    環境温度を測定する環境温度測定手段と,
    前記環境温度の前記状態量に対するインパルス応答を求め,前記放射性物質容器が正常であるときの前記インパルス応答の減衰比と前記放射性物質容器の異常の判定の対象である期間の前記インパルス応答の減衰比とから前記放射性物質容器の異常を判定する異常判定手段
    とを備え,
    前記異常判定手段は,前記放射性物質容器が正常であるときの前記インパルス応答の減衰比と前記放射性物質容器の異常の判定の対象である期間の前記インパルス応答の減衰比とを比較して前記放射性物質容器の異常を判定する
    放射性物質容器用状態検出装置。
  13. 放射性物質を収容する放射性物質容器の表面温度又は内部圧力である状態量を測定する状態量測定手段と,
    環境温度を測定する環境温度測定手段と,
    前記環境温度の前記状態量に対するインパルス応答を求め,前記インパルス応答に対応するステップ応答から得られる時定数から前記放射性物質容器の異常を判定する異常判定手段
    とを備え,
    前記異常判定手段は,前記放射性物質容器が正常であるときの前記インパルス応答に対応するステップ応答から得られる時定数と前記放射性物質容器の異常の判定の対象である期間の前記インパルス応答に対応するステップ応答から得られる時定数とを比較して前記放射性物質容器の異常を判定する
    放射性物質容器用状態検出装置。
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