JP4438169B2 - 塗布装置および塗布部材の製造方法ならびにカラーフィルタの製造装置および製造方法 - Google Patents

塗布装置および塗布部材の製造方法ならびにカラーフィルタの製造装置および製造方法 Download PDF

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【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、塗布液の塗布装置および塗布部材の製造方法に係わり、特に、ガラス基板や金属基板などの硬質で平坦な枚葉形態の被塗布部材の表面に、塗布液を吐出口から吐出して、均一な厚みの塗布液の塗膜を形成する塗布装置およびこの塗布装置を用いて被塗布部材に塗膜を形成してなる塗布部材の製造方法、ならびに、これら装置および方法を用いたカラーフィルタの製造装置および製造方法に関する。
【0002】
【0003】
【発明の属する技術分野】
本発明は、塗布液の塗布装置および塗布部材の製造方法に係わり、特に、ガラス基板や金属基板などの硬質で平坦な枚葉形態の被塗布部材の表面に、塗布液を吐出口から吐出して、均一な厚みの塗布液の塗膜を形成する塗布装置およびこの塗布装置を用いて被塗布部材に塗膜を形成してなる塗布部材の製造方法、ならびに、これら装置および方法を用いたカラーフィルタの製造装置および製造方法に関する。
【0004】
【従来の技術】
カラー液晶ディスプレイ用のカラーフィルタは、被塗布部材としてのガラス基板上に、3原色の細かな格子模様を有しており、この格子模様は、ガラス基板上に黒色の塗膜を形成した後、そのガラス基板上を更に、赤、青、緑の3原色に塗り分けて製造される。
【0005】
それ故、カラーフィルタの製造には、ガラス基板上に、黒、赤、青、緑の塗布液を順次塗布し、それぞれの塗膜を順次形成する塗布工程が、不可欠である。
【0006】
この種の薄膜塗布工程には、従来、枚葉塗布装置として、スピナー、バーコータあるいはロールコータが使用されていたが、塗布液の消費量削減が可能で、塗膜物性の向上や基板の大板化への対応が比較的容易にできるという利点から、近年に至っては、ダイコータの使用が検討されている。
【0007】
ダイコータでは、被塗布部材表面に、塗布幅方向で均一な厚みの塗膜を形成し、かつ、塗布すじのない高品位な塗布面を得るには、被塗布部材と塗布ヘッドのリップ先端部との隙間(以後、クリアランスと称す)を長手方向で均一、かつ、適切な範囲に設定し、図6で示す液溜まりBを塗布幅方向で均一に形成する必要がある。このためのクリアランスの調整範囲は、塗布厚みの1〜10倍程度、具体的には、塗布厚みが30μm以下なら、50〜300μm程度であり、その長手方向のバラツキは、設定するクリアランスの大きさに対して、数%から十数%程度、具体的には数μmから十数μm程度まで、小さくしなければならない。
【0008】
このように非常に狭いクリアランスを、長手方向で均一に設定するための技術として、従来より塗布ヘッドおよびその保持手段の機械精度を高める工夫がなされてきた。つまり、塗布ヘッドおよび塗布ヘッドの保持手段におけるそれぞれの保持面が同一面になるよう製作することで塗布ヘッドの保持精度を高めたり、さらに、特開平7−256186号公報では、塗布ヘッドの吐出口側におけるリップ先端部の長手方向の真直度を高精度に仕上げることが、開示されている。
【0009】
しかしながら、生産性向上のため、被塗布部材が広幅化されるに伴い、例えば塗布ヘッドが1m以上に長尺化されると、特開平7−256186号公報で開示されているように、たとえ、リップ先端部の真直度を塗布幅方向で5μm以下に仕上げたとしても、塗布ヘッドをその保持手段に保持した際に、それぞれが自重で変形して生じる、自重たわみによる変形量(以下、自重たわみ量と称す)が、設定するクリアランスに対して無視できなくなるほど大きくなり、クリアランスが両端に対して中央が狭くなることで、塗布厚み精度が悪化したり、塗布すじが発生しやすくなり、製品の品質特性上、不都合が生じる。
【0010】
この塗布ヘッドが長尺になるほど問題になる、塗布ヘッドや保持手段の自重たわみ量を実質的にゼロ、すなわち、設定するクリアランスの大きさに対して、数%以内とするには、塗布ヘッドや保持部の断面積を大きくして、たわみに対する剛性を高めれば良いが、それに伴う塗布ヘッドや保持部の大型化や重量増加により、例えば塗布ヘッドの製作費用が著しく増大したり、ヘッドの交換や洗浄、組立分解作業に多大な労力が必要になる問題が発生する。また、塗布ヘッドを大型化するほど、その製作精度を高めることが困難となり、その結果、塗布厚み精度がかえって悪化するというジレンマにも陥る。
【0011】
そこで、特開平6−142588号公報や同10−328600号公報には、塗布ヘッドの背面から押圧によってヘッドを強制的に変形させることができる、クリアランス均一化機構を備えたダイコータが提案されている。
【0012】
しかしながら、クリアランス均一化機構を備えた特開平6−142588号公報や同10−328600号公報に提案されているダイコータでは、塗布ヘッドの交換毎に必要な、均一化機構とヘッドの脱着作業が煩わしく、押圧量を微調整する作業に熟練が必要なため、装置を立ち上げるまでに多大な時間を要するといった新たな問題が生じる。さらには、調整機構の装着に伴う剛性確保のために、必然的にダイコータのサイズも大きくなり、製作コストや設置スペースの増加などの問題も生じる。
【0013】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、上述した従来技術では解決出来ない問題点を解決するもので、その目的とするところは、塗布ヘッドの剛性アップによる重量や製作コストの増加、さらには作業性の悪化をまねくことなく、ヘッドの交換毎に煩わしいたわみ調整作業を作業者が行わなくとも、サイズの大きな被塗布部材に対して、塗布幅方向にわたって均一なクリアランスを容易に設定し、塗布厚み精度の高い塗布液の塗膜を容易に形成できる、塗布装置および塗布部材の製造方法を提供することにある。更に、これら塗布装置および塗布部材の製造方法を用いた、生産性の高い、カラーフィルタの製造装置および製造方法を提供することにある。
【0014】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、鋭意研究を重ねた結果、上記目的を達成するためには、塗布ヘッドやその保持手段の自重たわみ量がクリアランスに影響しないように、塗布ヘッドや保持手段の各保持面や塗布ヘッドのリップ先端部を長手方向で特定の形状とすることが効果的であるとの知見を得、本発明を完成させるに至った。
【0015】
上記目的を達成する本発明に係る塗布装置の構成は、次の通りである。
【0016】
塗布液を吐出するための吐出口を備えた塗布ヘッドと、該塗布ヘッドを保持する保持手段と、該塗布ヘッドの吐出口に対向して被塗布部材を支持する支持手段と、塗布ヘッドまたは被塗布部材のいずれか一方を相対的に移動させる移動手段を備え、前記被塗布部材に前記塗布ヘッドの吐出口から吐出する塗布液の塗膜を形成する塗布装置において、前記保持手段および前記塗布ヘッドは、塗布ヘッドを保持するための保持面をそれぞれ有し、かつ、少なくとも一方の保持面は、塗布ヘッドの長手方向で同一面になく、さらに、前記保持手段および前記塗布ヘッドが有するそれぞれの前記保持面を互いに当接させることにより、塗布ヘッドの長手方向でクリアランスが略均一となるように前記保持手段と前記塗布ヘッドが固定されていることを特徴とする塗布装置。
【0017】
本発明に係るこの塗布装置によれば、塗布ヘッドやその保持手段の少なくとも一方の保持面が、塗布ヘッドの長手方向で同一面にないため、塗布ヘッドをその保持手段に取り付ける際に働くモーメントによって、塗布ヘッドや保持手段は、例えば、塗布ヘッドの自重たわみ量が、実質的にゼロ、すなわち、設定するクリアランスに対して、数%以下となる方向に変形することが可能である。したがって、作業者は塗布ヘッドの自重たわみなどを特に意識しなくとも、塗布ヘッドの長手方向の水平度さえ調整すれば、均一なクリアランスを容易に設定でき、例えば、塗布幅が1mを超えるような長尺の塗布ヘッドでも、塗布幅方向で均一な厚みの塗膜を容易に形成することができる。さらに、たわみに対する剛性を十分に確保しなくても良くなるため、塗布ヘッドを軽量化して、ヘッド交換作業や洗浄、組立分解作業などが容易に、かつ、短時間で実施でき、装置の稼働率が向上する。
【0018】
上述した本発明の塗布装置では、前記保持手段および/または前記塗布ヘッドの保持面は、塗布ヘッドの長手方向で離散的に3カ所以上であることが好ましく、さらに好ましくは、その各保持面の位置が鉛直方向に異なっていることが良い。
【0019】
この場合、塗布ヘッドやその保持手段に取り付けた際、それぞれを容易に変形させることができ、さらに、例えば、塗布ヘッドの自重たわみ量が、実質的にゼロ、すなわち、設定するクリアランスに対して、数%以下となる方向に変形させるための調整が容易に実施することができる。
【0020】
また、上記目的を達成する本発明に係る塗布装置は、次のような構成でも良い。
【0021】
塗布液を吐出するための吐出口を備えた塗布ヘッドと、該塗布ヘッド保持する保持手段と、該塗布ヘッドの吐出口に対向して被塗布部材を支持する支持手段と、塗布ヘッドまたは被塗布部材のいずれか一方を相対的に移動させる移動手段を備え、前記被塗布部材に前記塗布ヘッドの吐出口から吐出する塗布液の塗膜を形成する塗布装置において、塗布ヘッドの吐出口側が長手方向で凹型形状を有することを特徴とする塗布装置。
【0022】
本発明に係るこの塗布装置によれば、塗布ヘッドをその保持手段に取り付けた際に、それぞれが自重で中央が凸型にたわんだとしても、塗布ヘッドの吐出口側が長手方向で凹型形状をしているために、クリアランスの中央がその両端に対して狭くなる傾向を低減することができ、前述した本発明の塗布装置と同様の効果を発現する。
【0023】
そして、本発明の塗布ヘッドにおける吐出側の凹型形状は、同断面形状の塗布ヘッドを保持手段で保持したときの自重たわみ曲線と長手方向で線対称となる曲線に、略一致していることが好ましい。
【0024】
この場合、クリアランスを容易に均一に設定することができる。
【0025】
上述した本発明のこれら塗布装置においては、被塗布部材が、枚葉形態の部材であることが好ましい。
【0026】
この場合、枚葉部材、すなわち、金属、樹脂、ガラスなどからなる硬質の板状部材であり、本発明の塗布装置によって間欠的に塗膜が形成される部材上面に、厚さが均一で塗布むらのない、高品位の塗膜を広い領域で形成することができる。
【0027】
本発明に係るカラーフィルタの製造装置の構成は、次の通りである。
【0028】
上記本発明に係る塗布装置のいずれかにおける被塗布部材が、カラーフィルタ製造用被塗布部材からなることを特徴とするカラーフィルタの製造装置。
【0029】
このカラーフィルタの製造装置によれば、高品質なカラーフィルタを、サイズの大きなガラス基板から、効率良く製造することができる。
【0030】
さらに、本発明に係る塗布部材の製造方法の構成は、次の通りである。
【0031】
支持体上に支持されている被塗布部材に向かって、保持手段に保持されている塗布ヘッドの吐出口より塗布液を吐出しながら、塗布ヘッドまたは被塗布部材のいずれか一方を相対的に移動させて、被塗布部材上に塗膜を形成する塗布部材の製造方法において、塗布ヘッドの長手方向で同一面にない、前記保持手段および/または前記塗布ヘッドの保持面により塗布ヘッドを保持していることを特徴とする塗布部材の製造方法。
【0032】
本発明に係るこの塗布部材の製造方法によれば、上記本発明に係る塗布装置と同様な作用、すなわち、例えば、塗布幅が1mを超えるような被塗布部材に対しても、均一なクリアランスによって、厚さの均一な塗膜を有する塗布部材を製造することができる。
【0033】
そして、上述の本発明に係る塗布部材の製造方法においては、塗布ヘッドは長手方向で離散的に3カ所以上保持されていることが好ましく、さらに好ましくは、塗布ヘッドを保持する位置が、鉛直方向で異なる位置にあるのが良い。
【0034】
この場合、容易にかつ精度良く、塗布ヘッドやその保持手段の自重たわみが低減する方向に、塗布ヘッドやその保持手段を変形させて、塗布ヘッドを保持することができるため、例えば、塗布幅が1mを超えるような被塗布部材に対しても、速やかにクリアランスを均一に設定して、厚さの均一な塗膜を有する塗布部材を効率よく製造することができる。
【0035】
また、本発明に係る塗布部材の製造方法においては、次のような構成でも良い。
【0036】
支持体上に支持されている被塗布部材に向かって、保持手段に保持されている塗布ヘッドの吐出口より塗布液を吐出しながら、塗布ヘッドまたは被塗布部材のいずれか一方を相対的に移動させて、被塗布部材上に塗布液の塗膜を形成する塗布部材の製造方法において、吐出口側は長手方向に凹型形状の塗布ヘッドで塗膜を形成することを特徴とする塗布部材の製造方法。
【0037】
本発明に係るこの塗布部材の製造方法においても、上記本発明に係る塗布装置と同様な作用によって、厚さの均一な塗膜を有する塗布部材を製造することができる。
【0038】
さらに、前記凹型形状は、同断面形状の塗布ヘッドを保持手段で保持したときの自重たわみ曲線と長手方向で線対称となる曲線に、略一致させることが、好ましい。
【0039】
また、本発明に係る塗布部材の製造方法のいずれかにおける被塗布部材は、枚葉部材であることが好ましく、この場合、サイズの大きな枚葉部材でも、その表面に厚さが均一な高品位の塗膜を有する塗布部材を製造することができる。
【0040】
本発明に係るカラーフィルタの製造方法の構成は、次の通りである。
【0041】
上記発明に係る塗布部材の製造方法のいずれかにおける被塗布部材が、カラーフィルタ製造用被塗布部材からなることを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
【0042】
このカラーフィルタの製造方法によれば、サイズの大きなガラス基板などの透明基板に、厚みが均一で高品位の塗膜を容易に順次形成することができるため、カラーフィルタを効率良く製造することが可能となる。
【0043】
【発明の実施の形態】
以下、本発明を、その実施例を用いて、図面を参照しながら、更に説明する。
【0044】
図1は、本発明の塗布装置の一実施例であるダイコータの概略斜視図である。
【0045】
図2は、図1に示したダイコータを、塗布液の供給系および各作動部材の制御系をも含めて示す概略側面構成図である。
【0046】
図3は、図1に示したダイコータに使用されている、実施例1の塗布ヘッド透視図とホルダを模式的に示す斜視図であり、ヘッドと保持部は、それぞれ長手方向で離散的に3箇所の保持面を有している。
【0047】
図4は、図3の保持部に塗布ヘッドを保持した際、塗布ヘッドと保持部が変形して、自重たわみが小さくなった状態を模式的に示す斜視図である。
【0048】
図5は、塗布ヘッドや保持部の自重たわみによって、端部よりも中央が狭くなるクリアランスを均一にするため、リップ先端部を凹型形状に加工した、実施例2の塗布ヘッドを模式的に示す斜視図である。
【0049】
図6は、図1に示したダイコータに使用されている塗布ヘッドで塗布している状況を示す、横断面図である。
【0050】
図7は、塗布ヘッドや保持部の自重たわみを考慮しない、従来の塗布ヘッドと保持部の保持状態を示す概略斜視図である。
【0051】
図1に示したダイコータ(塗布装置)は、カラーフィルタの製造に用いられるものである。このダイコータは、基台2を備えている。基台2上には、一対のガイド溝レール4が設けられており、これらガイド溝レール4には、ステージ6が配置され、このステージ6の上面は、サクション面として構成されている。ステージ6は、一対のスライド脚8を介して、ガイド溝レール4上を水平方向に往復動自在に支持されている。
【0052】
一対のガイド溝レール4間には、ガイド溝レール4に沿って延びるケーシング12が配置されており、このケーシング12には、送り機構が内蔵されている。送り機構は、図2に示すように、ボールねじからなるフィードスクリュー14を有しており、フィードスクリュー14は、ステージ6の下面に固定されたナット状のコネクタ16にねじ込まれ、このコネクタ16を貫通して延びている。フィードスクリュー14の両端部は、図示しない軸受に回転自在に支持されており、その一端には、ACサーボモータ18が連結されている。なお、ケーシング12の上面または側面には、コネクタ16の移動を許容する開口が形成されているが、図1中にはその開口の図示は、省略されている。
【0053】
なお、ここでは、ステージ6が往復動する構成となっているが、これに限らず、後述する塗布ヘッド40が、ステージ6に対して、往復動する構成であってもよい。要は、ステージ6および塗布ヘッド40のうちの少なくとも一方が、他方に対して往復動すればよい。
【0054】
基台2の上面には、その一端側に、逆L字形のセンサ支柱20が配置されている。センサ支柱20は、その先端が一方のガイド溝レール4の上方まで延びており、その先端には、電動型の昇降アクチュエータ21が取り付けられている。この昇降アクチュエータ21には、厚みセンサ22が下向きにして取り付けられており、この厚みセンサ22としては、レーザ変位計、電子マイクロ変位計、超音波厚さ計などの、公知のセンサを使用することができる。
【0055】
更に、基台2の上面には、センサ支柱20よりも基台2の中央側に、同じく逆L字形をなしたダイ支柱24が配置されている。ダイ支柱24の先端は、一対のガイド溝レール4間の上方、すなわち、ステージ6の往復動経路の上方に位置し、その先端には、昇降機構26が取り付けられている。図1中には詳細に示されていないが、昇降機構26は、昇降ブラケットを備えており、この昇降ブラケットは、一対のガイドロッドに昇降自在に取り付けられている。これらガイドロッド間には、ボールねじからなるフィードスクリューが配置されており、このフィードスクリューは、昇降ブラケットのナット部にねじ込まれ、このナット部を貫通して延びている。フィードスクリューの上端部には、ACサーボモータ30が連結されており、このACサーボモータ30は、ケーシング28の上面に取り付けられている。なお、前述したガイドロッドおよびフィードスクリューは、ケーシング28に収容され、軸上を介して回転自在に支持されている。
【0056】
昇降ブラケットには、支持軸(図示せず)を介して、コ字形をなしたホルダ32が垂直面内で回転自在に取り付けられており、このホルダ32は、一対のガイド溝レール4の上方を、これらガイド溝レール4間に亘って水平に延びている。更に、昇降ブラケットには、ホルダ32の上方に水平バー36が固定されており、この水平バー36は、ホルダ32に沿って延びている。水平バー36の両端部には、空圧型の調整アクチュエータ38が、それぞれ取り付けられている。この調整アクチュエータ38は、水平バー36の下面から突出した伸縮可能なロッドを有しており、これら伸縮ロッドの下端は、ホルダ32の両端それぞれに当接されている。
【0057】
図3に示すように、ホルダ32の内側には、塗布ヘッド40を保持するためのコの字型をした保持部80が、両側の回転軸81を介して、取り付けられており、塗布ヘッド40と保持部80の長手方向で、それぞれ3つ備わる対保持部保持面84、対塗布ヘッド保持面82を介して、塗布ヘッド40は、保持部80へ腰掛けるようにボルト(図示しない)で保持される。なお、保持部80の両端におけるブロック83は、塗布ヘッド40の倒れ防止として機能する部材であり、塗布ヘッド40を取り付けたときは、塗布ヘッド40とブロック83は接触しておらず、わずかな隙間を設けている。
【0058】
保持部80に保持された塗布ヘッド40は、ホルダ32内で保持部80と一体で上向きに回転され、塗布液を吐出することで、内部の残留エアを排出するという、エア抜き作業が既に終了されている。
【0059】
図2で示されているように、塗布ヘッド40からは、塗布液の供給ホース42が延びており、この供給ホース42の先端は、シリンジポンプ44における電磁切り換え弁46の供給ポートに接続されている。電磁切り換え弁46の吸引ポートからは、吸引ホース48が延びており、この吸引ホース48の先端部は、塗布液を蓄えたタンク50内に挿入されている。
【0060】
シリンジポンプ44のポンプ本体52は、電磁切り換え弁46の切り換え作動により、供給ホース42および吸引ホース48の一方に、選択的に接続可能となっている。そして、これら電磁切り換え弁46およびポンプ本体52は、コンピュータ54に電気的に接続され、このコンピュータ54からの制御信号を受けて、それらの作動が制御されるようになっている。また、コンピュータ54は、前述した昇降アクチュエータ21および厚みセンサ22にもまた電気的に接続されている。
【0061】
更に、シリンジポンプ44の作動を制御するため、コンピュータ54には、シーケンサ56が電気的に接続されている。このシーケンサ56は、ステージ6側のフィードスクリュー14のACサーボモータ30の作動をシーケンス制御するものである。そのシーケンス制御のために、シーケンサ56には、ACサーボモータ18、30の作動状態を示す信号、ステージ6の移動位置を検出する位置センサ58からの信号、塗布ヘッド40の作動状態を検出するセンサ(図示せず)からの信号などが入力され、一方、シーケンサ56からは、シーケンス動作を示す信号が、コンピュータ54に出力されるようになっている。なお、位置センサ58を使用する代わりに、ACサーボモータ18にエンコーダを組み込み、このエンコーダから出力されるパルス信号に基づき、シーケンサ56にて、ステージ6の位置を検出することも可能である。また、シーケンサ56に、コンピュータ54による制御を組み込むことも可能である。
【0062】
図示されていないが、ダイコータには、ステージ6上に被塗布部材としての枚葉部材、例えば、カラーフィルタのためのガラス基板Aを供給するローダや、ステージ6からガラス基板Aを取り外すためのアンローダが備えられており、これらローダおよびアンローダには、その主要構成部分に、例えば、円筒座標系産業用ロボットが使用される。
【0063】
図1から明らかなように、前述した塗布ヘッド40は、ステージ6の往復動方向と直行する方向、すなわち、ステージ6の幅方向に水平に延びており、前述したように、その一部が長手方向でホルダ32の保持部80へ腰掛けるように保持されている。ここで、塗布ヘッド40の水平調整は、前述した水平バー36の両端に設けられた調整アクチュエータ38の伸縮ロッドを伸縮させ、ホルダ32をその支持軸回りに回転させることで行われる。
【0064】
前述した水平調整により、塗布ヘッド40が高々数百mmで短尺の場合には、クリアランスをある程度均一に設定することも可能であるが、特に塗布ヘッド40が1mを越すような長尺である場合には、図7に示すように、塗布ヘッド40や保持部80がその自重で変形してしまい、クリアランスの大きさに対して自重たわみ量が無視できないほど大きくなって、均一なクリアランスを設定することが不可能になる。
【0065】
そこで、図3に示す本実施例1では、離散的に3箇所配置した対塗布ヘッドおよび対保持部保持面82、84のぞれぞれにおいて、各保持面と隣り合う各保持面の端部を結んだ直線により形成される長手方向のプロファイルは、クリアランスが長手方向で略均一となるように、図8で示すような形状に設定されている。すなわち、対保持部保持面84により形成されるプロファイルは、各保持部保持面84が共通公差域において平面度公差が10μm以下、好ましくは5μm以下、さらに好ましくは2μm以下に設定されているため、直線的な形状をしており、対塗布ヘッド保持面82で形成されるプロファイルは、中央が高い凸型形状になるよう、中央保持面高さHcが端部保持面高さHeよりも高く設定されている。
【0066】
ここで、平面度とは、JIS B 0621(1984)で定義されるものであり、「平面形体の幾何学的に正しい平面からの狂いの大きさ」を意味する。また、共通公差域とは、JIS B 0021(1984)に準拠するものであり、複数の離れた形体に共通の領域をもつ公差値が指定されていることを意味する。
【0067】
なお、本発明で定義する同一面とは、各保持面の平面度が、共通公差で10μm未満と非常に高精度に仕上げられている状態を指し、同一面でないとは、各保持面の平面度が共通公差域で10μm以上に設定されている状態を指す。
【0068】
また、上述の凸型形状は、塗布ヘッド40と保持部80を保持した際、塗布ヘッド40や保持部80の自重たわみ量が、クリアランスの大きさに対して数%以下まで小さくなるよう、予め設定しておくが、より好ましくは、ステージ6上面の平面精度や被塗布部材の長手方向の厚み形状なども考慮して設定しておく方が、さらにクリアランスのバラツキが小さくできるので良い。
【0069】
そして、対塗布ヘッド保持面82の個々の高さ設定は、保持面を構成する部位が保持部80と一体構造である場合には、保持部80を直接加工することで行うことができるが、好ましくは、保持面を構成する部位を取り外し自在にしておき、目標の凸型形状に応じて、それぞれの保持面を構成する部位の厚みを調整したり、保持部80と対塗布ヘッド保持面82の間にスペーサを挿入できるような構造にしておけば、事前の設定作業が迅速に行える。さらに、対塗布ヘッド保持面82を構成する部位を、与える温度によって体積が変化するバイメタル構造としておけば、それぞれの保持面を局所的に温調することで、個々の高さを自在に調整しておくことも可能である。
【0070】
また、保持部80と塗布ヘッド40の横断面は、長手方向のたわみに対する剛性がほぼ同一になるような形状に設計されている。この場合、保持部80と塗布ヘッド40を保持する際に、対塗布ヘッド保持面82が形成する凸型形状に応じて、保持部80と塗布ヘッド40は、作用反作用の関係により、それぞれ逆方向に、ほぼ同じ量だけ変形するため、迅速に自重たわみ量を実質的にゼロとする凸型形状が予測できる。
【0071】
なお、本実施例では、対塗布ヘッド保持面82を調節しているが、同様の調節を、対保持部保持面84に対して行っても良いし、両方に対して行っても良い。また、対塗布ヘッドおよび対保持部保持面82、84はそれぞれ離散的に3箇所配置しているが、その数は特に限定されるものではなく、必要に応じて増減することができる。また、離散的な配置ではなく、長手方向に連続的な保持面を1つ設ける構成でも良い。
【0072】
図5に示す本実施例2の塗布ヘッド40では、保持部80に保持した際の、塗布ヘッド40や保持部80の自重たわみ量が、実質的にゼロとなるように、リップ先端部70が自重でたわみ方向とは逆向きの凹型形状に加工されている。
【0073】
リップ先端部70の凹型形状は、背面からダイを強制的に押すことで、リップ先端部70を長手方向で凸型に変形させた状態で研削加工したり、回転定盤上で遊星回転するワークを研摩するラッピング加工機によってリップ先端部70を仕上げる場合には、回転定盤の温度分布を調整したり、前述の研削加工と同様、塗布ヘッド40を凸型に変形させた状態でラップするなど、公知の加工方法を適用。
することで設定することが可能である。
【0074】
本発明における塗布装置では、塗布ヘッド40を保持部80に保持した際の、自重たわみ量を予め測定しておき、そのたわみ量に応じて、上述した対塗布ヘッド保持面82の長手方向のプロファイルや、リップ先端部70の長手方向の形状を設定するものである。
【0075】
自重たわみ量を測定する方法は、特に限定されるものではないが、JIS B0621(1984)で定義される真直度、すなわち、「直線形体の幾何学的に正しい直線からの狂いの大きさ」を測定するために一般的に用いられる方法を適用することができる。
【0076】
例えば、塗布ヘッド40を保持部80に保持した後、市販の水準器やオートコリメータ、もしくはインジケータなどにより、塗布ヘッド40の上面41における長手方向の真直度を測定することで、自重たわみ量を算出することができる。
【0077】
この場合、対塗布ヘッドおよび対保持部保持面82、84の共通公差域における平面度は10μm以下、好ましくは5μm以下、さらに好ましくは2μm以下に設定しておき、かつ、上面41に対して、対保持部保持面84とリップ先端部70は、JIS B 0621(1984)で定義される平行度、すなわち、「基準となるデータム直線又はデータム平面に対して平行な幾何学的直線又は幾何学的平面からの平行であるべき直線形体又は平面形体からの狂いの大きさ」が10μm以下、好ましくは5μm以下になるよう加工しておくことが、自重たわみ量を精度良く算出するために、好ましい。
【0078】
水準器やオートコリメータにより真直度を測定する場合には、上面41の任意位置における長手方向の変位量を2点連鎖法によって測定し、そのデータを真直度に換算するためにJIS B 0621(1984)では最小領域法で処理するよう規定されているが、より一般的に用いられている両端基準法や最小二乗法などによって処理した真直度を自重たわみ量とすれば良い。インジケータにより測定する場合には、ステージ6上面を基準定盤として、上面41の真直度を測定し、自重たわみ量を算出すれば良い。
【0079】
なお、上述した真直度の測定方法の詳細は、例えば海文堂出版株式会社から出版されている「精密形状測定の実際」(中野健一著)に記されている。
【0080】
また、簡便な方法として、ステージ6の往復動方向の片端面に長手方向で両端と中央に最低3箇所、ステージ6上面からのリップ先端部70の距離を測定できる市販の距離センサを設置しておき(図示しない)、距離センサによって、ステージ6上面を基準とした、塗布ヘッド40や保持部80の自重たわみ量を測定しても良い。
【0081】
測定した塗布ヘッド40や保持部80の自重たわみ量を実質的にゼロ、すなわち設定するクリアランスに対して、10%未満、好ましくは、5%以下、さらに好ましくは2%以下とするために、実施例1では、前述した対塗布ヘッド保持面82の中央保持面高さHcと端部保持面高さHeの相対差(Hc−He)が、両端と中央部の最大変形量に対して約2倍に設定されており、さらには、ステージ6上面における塗布幅方向のうねりの平均値を考慮して設定されている。また、実施例2では、リップ先端部70の長手方向が、塗布ヘッド40や保持部80の自重たわみによる変形とは逆向きに、測定した自重たわみ量に応じて、中央が凹型形状に加工されている。
【0082】
図6に示す、本発明の塗布ヘッド40は、例えば1mを越すような、長尺なブロックであるフロントリップ59およびリアリップ60を備えており、これらフロントおよびリアリップ59、60は、ステージ6の往復動方向前後に位置して、互いに一体的に保持されている。塗布ヘッド40内の中央部分には、塗布液の供給ホース42に、内部通路を介して、常時接続されている、塗布液を塗布幅方向に拡幅するための拡幅路、すなわち、マニホールド62が形成されており、このマニホールド62は、ステージ6の往復動方向と直行する方向に延びている。
【0083】
マニホールド62からは、下方に向けてリップ間隙64が垂直に延び、塗布ヘッド40の下面に開口している。リップ間隙64の下端開口、つまり、吐出口66は、マニホールド62と同様に、ステージ6の往復動方向と直交する方向に延びている。具体的には、フロントリップ59とリアリップ60との間には、シム(図示しない)が介在されている。このシムの厚みにより、リップ間隙64および吐出口66の隙間、すなわち、ステージ6の往復動方向に沿う長さが、例えば、50μm以上、300μm以下に設定されている。
【0084】
次に、上述したダイコータを使用して行われる塗布部材(カラーフィルタ)の製造方法を説明する。
【0085】
まず、ダイコータにおける各作動部の原点復帰が行われると、ステージ6は、厚みセンサ22の下方に位置付けられ、また、タンク50から、吸引ホース48および供給ホース42を経て、塗布ヘッド40内のマニホールド68およびリップ間隙64内に至る経路内に、塗布液が満たされている。
【0086】
この状態で、図示しないローダからステージ6上にガラス基板Aが供給され、このガラス基板Aは、ステージ6上に、サクション圧を受けて保持される。このようにしてガラス基板Aのローディングが完了すると、厚みセンサ22が所定の位置まで下降し、ガラス基板Aの厚みが厚みセンサ22により測定される。測定後、厚みセンサ22は、元の位置まで上昇する。
【0087】
上述したガラス基板Aのローディングの開始と同時に、シリンジポンプ44の電磁切り換え弁46が、そのポンプ本体52に吸引ホース48を接続すべく、切り換え作動し、これにより、ポンプ本体52により、タンク50内の塗布液が、吸引ホース48を通じて、吸引される。シリンジポンプ44内に所定量の塗布液が吸引されると、電磁切り換え弁46は、ポンプ本体52と供給ホース42とを接続すべく、切換え作動する。そして、ステージ6は、塗布ヘッド40に向けて往動され、塗布ヘッド40の直前で、停止される。この後、塗布ヘッド40が下降し、図6に示すように、塗布ヘッド40のリップ先端部70とガラス基板Aの上面との間に、所定のクリアランス、すなわち、形成すべき塗膜の厚さ、すなわち塗布膜厚tに対して1〜10倍程度のクリアランスHが確保される。例えば、塗布膜厚tが40μm以下なら、クリアランスHは、50μm〜300μmの範囲が好ましく、より好ましくは、100μm〜150μmの範囲である。50μm未満の場合は、塗布ヘッド40や保持部80の自重たわみ量を小さくしたとしても、ガラス基板Aの厚さむらの影響により、塗布厚みの均一性が悪く、生産効率が落ちる。一方、300μmより大きい場合は、塗布開始部で縦すじなどの塗布欠陥が発生しやすくなる。なお、クリアランスHは、厚みセンサ22により測定したガラス基板Aの厚さを考慮し、ステージ6と塗布ヘッド40との間の距離を測定する距離センサ(図示せず)からの出力信号に基づき、塗布ヘッド40の下降位置が位置決めされることで、正確に設定される。
【0088】
次に、ステージ6を更に往動させ、ガラス基板Aの上面における塗膜の形成を、開始すべきスタートラインを塗布ヘッド40の吐出口66の直下に位置付け、ステージ6を一旦停止させる。
【0089】
このステージ6の一旦停止と実質的に同時に、シリンジポンプ44に塗布液の吐出動作を開始させ、塗布液を塗布ヘッド40に向けて供給する。これにより、塗布ヘッド40の吐出口66から、ガラス基板A上に、塗布液Lが吐出される。ここで、吐出口66は、その間隙が塗布ヘッド40の長手方向、つまり、ステージ6の往復動方向に沿って一定であるから、吐出口66からは、ガラス基板Aのスタートラインに沿って一様に塗布液Lが吐出され、この結果、塗布ヘッド40とガラス基板Aとの間には、塗布液の液溜まりB(図6)が、スタートラインに沿って形成される。
【0090】
この液溜まりBの形成と同時に、吐出口66からの塗布液Lの吐出を継続しながら、ステージ6を一定の速度で往動方向に進行させると、この液溜まりBを介して、ガラス基板Aの上面に塗布液Lの塗膜Dが連続的に形成される。
【0091】
従って、塗膜Dの厚みを均一にするためには、クリアランスHを長手方向で均一に設定して、塗布幅方向にわたって均一な液溜まりを形成することが重要である。
【0092】
ステージ6の進行に伴い、ガラス基板A上にて塗膜Dの形成を終了すべきフィニッシュラインが、塗布ヘッド40の吐出口66の直前位置に到達すると、この時点で、シリンジポンプ44の吐出動作が停止されても、ガラス基板A上の液溜まりの塗布液を消費しながら、塗膜Dの形成がフィニッシュラインまで継続される。なお、ガラス基板A上のフィニッシュラインが、塗布ヘッド40の吐出口74を通過した時点で、シリンジポンプ44の吐出動作を停止するようにしてもよい。
【0093】
ガラス基板A上のフィニッシュラインが、吐出口66を通過する時点または通過した時点で、シリンジポンプ44の吸引動作がわずかに行われ、これにより、塗布ヘッド40のリップ間隙64内の塗布液Lは、マニホールド62側に吸引される。
【0094】
同時に、塗布ヘッド40は、元の位置まで上昇され、塗布ヘッド40から塗布液Lの吐出工程が終了する。次に、シリンジポンプ44に、吸引動作と同じ量だけ吐出動作を与えて、塗布ヘッド40のリップ間隙64に空気が残らないようにした後、電磁切り換え弁46は、ポンプ本体52と吸引ホース48とを接続すべく、切り換え動作し、これにより、ポンプ本体52に、タンク50内の塗布液が、吸引ホース48を通じて、吸引される。シリンジポンプ44内に所定量の塗布液が吸引されると、シリンジポンプ44の電磁切り換え弁46は、ポンプ本体52と供給ホース42とを接続すべく、切り換え作動する。なお、塗布ヘッド40の上昇位置にて、リップ先端部70に付着している塗布液Lが、クリーナ(図示せず)により拭き取られる。
【0095】
一方、ステージ6の往動は、塗布液Lの吐出工程が終了しても継続されており、ステージ6がガイド溝レール4の終端に到達した時点で、その往動が停止される。この状態で、塗膜Dが形成されたガラス基板Aは、そのサクションによる吸着が解除されて後、アンローダによりステージ6上から取り外される。この後、ステージ6は、復動され、図1に示す初期位置に戻されて、一連の塗布工程が終了する。初期位置にて、ステージ6は、新たなガラス基板がローディングされるまで待機する。
【0096】
上述したガラス基板A上への塗膜Dを形成するダイコータは、塗布ヘッド40を保持部80の自重たわみやステージ6上面の平面精度の影響を少なくできる前述した塗布ヘッド40や保持部80を備えているため、塗布幅方向で均一なクリアランスHを容易に設定することが可能となり、塗布ヘッド40の剛性アップに伴う重量増加や、作業者が特別な調整作業を行うこともなく、サイズの大きなガラス基板上に、その塗膜Dを均一に形成することができ、カラーフィルタの製造に好適なものとなる。
【0097】
以上において、本発明の塗布装置や塗布部材の製造方法における実施例を説明したが、本発明に係る塗布装置の具体的な構成は、この実施例に限られるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で設計変更が可能であり、さらに、本発明に係る被塗布部材の製造方法に適用する被塗布部材としては、上述したガラス基板だけでなく、金属板などの枚葉部材や、フィルムなどのウエブや金属箔などの連続的に連なる部材でも良く、製造される塗布部材としては、プラズマディスプレイ用部材、版材などであっても良い。また、その塗布液としては、水や有機溶媒に高分子材料や無機物を溶解または分散させたものなどが、適用できる。
【0098】
【実施例】
ダイコータにおいて、サイズが非常に大きなガラス基板、例えば、縦横1100mm×960mm、厚み0.7mmの基板に、塗布液を均一に塗布するためには、前述したように、長手方向で均一なクリアランスを設定できるよう、塗布ヘッドを塗布ヘッド保持部に保持することが重要である。
【0099】
表1では、塗布幅が1100mmである本発明の塗布装置によって、上述のガラス基板に塗膜Dを形成したときの、塗布幅方向における膜厚精度を、従来の塗布装置と比較した結果を示す。
【0100】
なお、本実施例および比較例では、スリットダイ40の離散的に3箇所配置された対保持部保持面84は、それぞれの平面度が共通公差域で1.6μm、かつ、各保持面により形成される直線的なプロファイルがリップ先端部70に対して5μmの平行度になるように設定されている。
【0101】
次に、塗布ヘッド40や保持部80の自重たわみ量を測定するため、それぞれの対塗布ヘッド保持面82の平面度が共通交差域で1.8μmとした。そして、保持部80に保持した塗布ヘッド40における上面41の長手方向6箇所の変位量を、市販の水準器『新潟精機(株)製レベルニック精密級電子水準器DL−S3』を用いて、2点連鎖法により測定し、得られた変位量を両端基準法で換算すると、塗布ヘッドや保持部の自重たわみは中央が下向きに凸型分布をしており、自重たわみ量は18μmあった。
【0102】
実施例1−1では、対塗布ヘッド保持面82の中央保持面高さHcと端部保持面高さHeの相対差(Hc−He)が36μmとなるよう、両端の保持面の厚みを予め調節しておくことで、塗布ヘッド40を保持部80に保持した際の、塗布ヘッドや保持部の自重たわみ量は1.8μmになった。なお、塗布ヘッド40のリップ先端部70の真直度は2μmであった。
【0103】
実施例1−2では、ステージ6上面において、往復動方向3箇所における塗布幅方向の真直度を平均することで算出した平均真直度分布が、中央で6μm凸型の傾向にあったため、さらに、中央保持面高さHcと端部保持面高さHeの相対差(Hc−He)が48μmとなるように、両端の保持面の厚みを予め調節しておき、塗布を行った。なお、塗布ヘッド40は実施例1−1と同じものを使用した。
【0104】
実施例2では、対塗布ヘッド保持面の中央と両端部の相対差(Hc−He)を1.5μmに設定した後、リップ先端部における長手方向が中央で最大18μm凹型となる形状に予め加工しておいた塗布ヘッド40によって、塗布を行った。
【0105】
また、比較例として、塗布ヘッドや保持部の自重たわみを考慮しない、図7で示す保持状態によって塗布を行った。この場合の自重たわみ量は、前述のとおり18μmであった。
【0106】
なお、この実験では、リップ間隙64の隙間を100μm、クリアランスHを100μm、形成すべき塗膜Dの塗布厚みtを25μm、塗布速度は6m/分に設定した。
【0107】
また、塗布液として、ピグメントレッド177とガラスビーズをγ−ブチロラクトンへホモジナイザーによって分散処理した後、濾過によりガラスビーズを除去した顔料分散液にポリアミック酸のγ−ブチロラクトン溶液を粘度が15mPa・sとなるよう適宜添加、混合したカラーペーストを使用した。
【0108】
【表1】
Figure 0004438169
【0109】
表1から明らかなように、本発明のダイコータでは、塗布ヘッドや保持部の自重たわみを小さくできるため、クリアランスを均一に設定でき、塗布幅が1mを超える場合でも、塗布厚みが均一な塗布部材が製造可能になることがわかる。
【0110】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明の塗布装置および塗布部材の製造方法、ならびに、カラーフィルタの製造装置および製造方法によれば、例えば、塗布幅が1mを超えるような、サイズの大きなガラス基板に塗布液を塗布する場合においても、塗布ヘッドや塗布ヘッド保持部の自重による変形やステージ6上面の平面精度の影響が小さくできるように、予め塗布ヘッドや塗布ヘッド保持部、もしくは、リップ先端部の長手方向の形状が設定されているため、煩わしいたわみ調整や剛性を高めるために塗布ヘッドを大型化する必要もなく、作業者が均一なクリアランスを容易、かつ迅速に設定することができ、塗布幅方向で均一な塗布液の塗膜を形成することが可能となる。この結果、被塗布部材が、枚葉部材、つまり、カラーフィルタ用のガラス基板である場合には、高品質なカラーフィルタを効率良く得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の一実施例であるダイコータの概略斜視図である。
【図2】図1のダイコータを塗布液の供給系および各作動部材の制御系をも含めて示した概略側面構成図である。
【図3】図1のダイコータに使用されている塗布ヘッドとホルダを示す概略斜視図である。
【図4】図3の保持部に塗布ヘッドを保持した際、塗布ヘッドと保持部が変形して、自重たわみが小さくなった状態を模式的に示す斜視図である。
【図5】本発明における自重たわみによる変形量を無視できる塗布ヘッドの概略斜視図である。
【図6】図1に示されたダイコータに使用されている塗布ヘッドの塗布状態を示す横断面図である。
【図7】塗布ヘッドや保持部の自重たわみを考慮しない、従来の塗布ヘッドと保持部の保持状態を示す概略斜視図である。
【図8】実施例1における対塗布ヘッド保持面、対保持部保持面の幾何学的な形状の一例を示す図である。
【符号の説明】
2:基台
4:ガイド溝レール
6:ステージ(支持手段)
8:スライド脚
12:ケーシング
14:フィードスクリュー
16:コネクタ
18:ACサーボモータ
20:センサ支柱
21:昇降アクチュエータ
22:厚みセンサ
24:ダイ支柱
26:昇降装置
28:ケーシング
30:ACサーボモータ
32:ホルダ
36:水平バー
38:調整アクチュエータ
40:塗布ヘッド
42:供給ホース
44:シリンジポンプ(供給手段)
46:電磁切り換え弁
48:吸引ホース
50:タンク
52:ポンプ本体
54:コンピュータ
56:シーケンサ
58:位置センサ
59:フロントリップ
60:リアリップ
62:マニホールド
64:リップ間隙
66:吐出口
70:リップ先端部
80:保持部(保持手段)
82:対塗布ヘッド保持面
84:対保持部保持面
A:ガラス基板(被塗布部材)
B:液溜まり

Claims (10)

  1. 塗布液を吐出するための吐出口を備えた塗布ヘッドと、該塗布ヘッドを保持する保持手段と、該塗布ヘッドの吐出口に対向して被塗布部材を支持する支持手段と、塗布ヘッドまたは被塗布部材のいずれか一方を相対的に移動させる移動手段を備え、前記被塗布部材に前記塗布ヘッドの吐出口から吐出する塗布液の塗膜を形成する塗布装置において、前記保持手段および前記塗布ヘッドは、塗布ヘッドを保持するための保持面をそれぞれ有し、かつ、少なくとも一方の保持面は、塗布ヘッドの長手方向で同一面になく、さらに、前記保持手段および前記塗布ヘッドが有するそれぞれの前記保持面を互いに当接させることにより、塗布ヘッドの長手方向でクリアランスが略均一となるように前記保持手段と前記塗布ヘッドが固定されていることを特徴とする塗布装置。
  2. 前記保持手段および/または前記塗布ヘッドの保持面は、塗布ヘッドの長手方向で離散的に3カ所以上有することを特徴とする請求項1に記載の塗布装置。
  3. 前記保持手段および/または前記塗布ヘッドの各保持面は、鉛直方向に位置が異なることを特徴とする請求項2に記載の塗布装置
  4. 前記被塗布部材が、枚葉形態の部材であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の塗布装置。
  5. 請求項1〜のいずれかに記載の塗布装置における被塗布部材が、カラーフィルタ製造用被塗布部材からなることを特徴とするカラーフィルタの製造装置。
  6. 支持体上に支持されている被塗布部材に向かって、保持手段に保持されている塗布ヘッドの吐出口より塗布液を吐出しながら、塗布ヘッドまたは被塗布部材のいずれか一方を相対的に移動させて、被塗布部材上に塗膜を形成する塗布部材の製造方法において、前記保持手段および前記塗布ヘッドは、塗布ヘッドを保持するための保持面をそれぞれ有し、かつ、少なくとも一方の保持面は、塗布ヘッドの長手方向で同一面上になく、さらに、前記保持手段および前記塗布ヘッドが有するそれぞれの前記保持面を互いに当接させることにより、塗布ヘッドの長手方向でクリアランスが略均一となるように前記保持手段と前記塗布ヘッドが固定されていることを特徴とする塗布部材の製造方法。
  7. 前記保持面が離散的に3カ所以上あることを特徴とする請求項に記載の塗布部材の製造方法。
  8. 前記保持手段および/または前記塗布ヘッドの各保持面は、鉛直方向に位置が異なることを特徴とする請求項に記載の塗布部材の製造方法。
  9. 請求項6〜8のいずれかに記載の塗布部材の製造方法における被塗布部材が、枚葉部材であることを特徴とする塗布部材の製造方法。
  10. 請求項6〜8のいずれかに記載の塗布部材の製造方法における被塗布部材が、カラーフィルタ製造用被塗布部材からなることを特徴とするカラーフィルタの製造方法。
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