JP4436954B2 - 耐摩耗性等の表面特性に優れるプラスチック基複合材料およびその製造方法 - Google Patents

耐摩耗性等の表面特性に優れるプラスチック基複合材料およびその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、炭素繊維強化プラスチック、ガラス繊維強化プラスチックなどのプラスチック基複合材料に関し、とくに耐摩耗性や絶縁特性等の表面特性を改善した構造体などに用いられるプラスチック基複合材料およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
炭素繊維強化プラスチックやガラス繊維強化プラスチックなどの材料は、金属材料などに比べると比重が小さく、高い縦弾性係数をもち、とくに比強度に優れるという特徴がある。こうした繊維強化プラスチック材料については、従来、エンジニアリング用材料たとえば、航空機や自動車などの機械部品用材料、釣り竿などのスポーツ用具用材料などの分野で広く利用されている。とくに、機械強度特性や軽量で小さな慣性モーメント特性を示すという特長から、とくに近年では種々の産業機械装置におけるロール部材としての用途が期待されている。
【0003】
しかし、かかる繊維強化プラスチック材料は、構造体用強度部材としては優れた特性を示すものの、表面特性についてはなお克服すべき課題を多く残しているのが実情である。たとえば、その表面は、繊維が分散しているものの本質的に樹脂 (エポキシ樹脂等) が主体であることから、たとえば、耐摩耗性が不十分である。しかも、基材表面の耐熱性が樹脂自体の耐熱性に支配されるので使用温度にも制限があった。
【0004】
さらに、補強材として炭素繊維を分散させた強化プラスチック材料については、酸素の存在する高温環境下では酸化劣化が激しく、これを避けることができない。しかも、炭素繊維強化プラスチック材料の場合、炭素繊維が導電性を示し、繊維軸方向の体積抵抗率が10×10−4Ωcm程度であるから、高絶縁部材として使用することはできない。
【0005】
これに対し、従来、強化プラスチック材料の上述した問題点を克服するために、その表面に、溶射法によってアルミナ, アルミナ/チタニアなどの酸化物セラミックスを被覆したり、めっき法によって、金属NiやNi−Pのめっき被膜などで被覆する方法が提案されている。しかし、前者は、基材に対する接着力が不足し、一方後者は、硬さ特性に起因する耐摩耗性の不足が顕著であり、それぞれに克服すべき課題となっている。
もちろん、たとえば接着力の不足については、中間層を設けて基材と溶射皮膜との接着力を高める提案 (特開平2−26875号公報) はあるが、内挿繊維と溶射皮膜とを接合させることについてまでは考慮していない。
また、後者の耐摩耗性を向上させる提案としてはたとえば、繊維強化プラスチック製ロール素管の表面に無電解めっき層を形成する方法 (特開平4−96426号公報) 、繊維強化プラスチック製ロール素管の表面にふっ素樹脂微粒子を含有した複合めっき層を被覆する方法 (特開平4−292634号公報) を開示しているが、なお不充分な領域に止まっているのが実情である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
従って、従来の繊維強化プラスチック基材は、これを金属板や金属箔、紙、プラスチックフィルムなどの製造設備における搬送、案内などを司るロール部材に適用した場合、形状精度の低下あるいは表面への異種材の付着などが発生しやすく、繊維強化プラスチック基材本来の特性および寿命を発揮することができないという問題があった。
とくに、金属箔製造用ロールのように高絶縁性が求められるような場合、また、プラスチックフィルム製造用ロールのように一定の誘電率が求められるような場合に、炭素繊維強化プラスチック基材では体積抵抗率が小さく、これらの要求を十分に満たすことは困難である。
【0007】
また、かかる繊維強化プラスチック基材の表面にアルミナ、アルミナ/チタニアのセラミックス溶射皮膜や金属Ni, Ni−Pのめっき被膜などを被覆した材料についても、接着力の不足や耐摩耗性の不足が目立ち、繊維強化プラスチック基材としての本来の特性を発揮できていないのが実情である。
【0008】
そこで本発明は、従来技術が抱えている上述したような問題点を解決するためになされたものであって、耐摩耗性、非粘着性、非吸着性、高絶縁性あるいは耐熱性などの表面特性に優れた炭素繊維やガラス繊維で強化されたプラスチック基複合材料を提供することを目的とする。
本発明の他の目的は、プラスチック基材の表面に各種表面特性に優れかつ密着力の高い皮膜を有利に被覆形成する方法を提案することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】
上掲の目的の実現に向けて鋭意研究した結果、発明者らは、下記の要旨構成にかかるプラスチック基複合材料およびその製造方法が有効な課題解決手段となることを知見し、本発明を開発するに到った。
即ち、本発明は、繊維強化プラスチック基材の表面に、その基材構成成分である樹脂と同種の樹脂と、トップコートで用いられるものと同種のセラミックス粒子との混合物からなり、かつ基材成分と融合し合っていると共に、トップコートの溶射粒子が食い込んだ構造の焼成中間層を介し、トップコートとして、酸化物セラミックスまたはそのサーメットからなる溶射被覆層を形成してなる耐摩耗性等の表面特性に優れるプラスチック基複合材料である。
【0010】
本発明において、上記焼成中間層ならびにトップコートにおけるセラミックスが、AlO,ZrO,YO,SiO,TiO,MgOおよびCrOから選ばれたいずれか1種以上の酸化物セラミックスまたはこれらのセラミックスとCoやNi,Cr,Moまたはこれらの合金との酸化物サーメットであることが好ましく、
そして、トップコートは、それの体積抵抗率が10〜1013Ωcmの範囲内にある表面特性を示すものであることが好ましい。
【0011】
また、本発明は、繊維強化プラスチック基材の表面に、その基材構成成分である樹脂と同種の樹脂とセラミックス粒子との混合物を、粉体吹き付け法によって被覆したあと70〜120℃の温度で焼成して基材の樹脂成分と融合させてなる焼成中間層を形成し、次いでその焼成中間層の上に、酸化物セラミックスもしくはそのサーメットの粒子を溶射してトップコートを被覆形成すると共に、溶射粒子を該焼成中間層中に食い込ませることを特徴とするプラスチック基複合材料の製造方法を提案する。
【0012】
本発明にかかる製造方法において、上記セラミックス粒子としては、AlO,ZrO,YO,SiO,TiO,MgOおよびCrOから選ばれたいずれか1種以上の酸化物セラミックス、またはこれらのセラミックスのいずれか1種以上と、CoやNi,Cr,Moまたはこれらの合金とからなる酸化物サーメットを用いること、および焼成中間層形成手段として、圧縮空気によるスラリー吹き付け法を適用すると共に、トップコート形成手段としてプラズマ炎、ガス燃焼炎を用いた溶射法を適用することが好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】
本発明にかかるプラスチック基複合材料は、炭素繊維強化プラスチック等の基材を用い、その基材表面に下記の耐摩耗性溶射皮膜を形成してなるものであって、金属板, 紙, 樹脂フィルム等を製造するための各種ロール部材に用いられるものである。
上記の繊維強化プラスチック基材の望ましい条件としては、▲1▼寸法精度の経年変化が小さいこと (特に母線真直度に優れること) 、▲2▼耐摩耗性に優れること、▲3▼基材 (ロール) 表面に残滓が付着し難く剥離性が良好なこと、▲4▼表面が非吸着性であること、▲5▼高体積抵抗率を有する (電気絶縁性を有する) こと、などが挙げられる。
【0014】
これらの要求に応えられる繊維強化プラスチック基材として、本発明では、用途や要求性能に応じた強化プラスチック用樹脂と補強材とを適宜に選択使用することができる。例えば、補強材としては、ガラス繊維やカーボン繊維が重要であるが、そのほか、ウィスカ, アスベスト, マイカなどの無機材料やアラミト繊維、綿, 麻, レーヨン, ビニロン, テトロン, アクリルなどの各種の繊維も用いられる。
これらに対し、マトリックスとなる合成樹脂としては、ポリエステル樹脂をはじめ、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、フラン樹脂などの熱硬化性樹脂が主に用いられる。一方、ポリプロピレン, ポリアミド, ポリカーボネート, ポリエチレンテレフタレート (PET)などの熱可塑性樹脂も用いられるが、これらは主としてエンジニアリング用としての性能を高めるために、ガラス短繊維で強化されることが多い。
なお、これらはプリプレグ法またはワインディング法によって所定の形に成形され、基材とする。
【0015】
かかる繊維強化プラスチック基材は、後述する中間層の形成に先立ち、アルミナ粒などの研削材で軽く研削し、粗面化することが好ましい。しかし、炭素繊維強化プラスチックやガラス繊維強化プラスチックなどの基材は、あまり強い粗面化を施すと、基材自体の表面形状が損なわれることが多いので、軽いブラスト処理を施すことが肝要である。
【0016】
次に、上記繊維強化プラスチック基材上には、焼成中間層(以下、単に「中間層」と略記して述べる)を形成する。この中間層の役割は、主として基材上に形成すべき所望の被覆層(トップコート)の良好な密着性を確保するために、その繋ぎ、即ち接着剤としての作用を付与することにあり、基本的に基材とトップコートの両方に相性の良いものが選ばれる。この意味において、この中間層は、プラスチック基材の樹脂成分と同種(全く同じでなくともよい)の樹脂と、トップコートで用いられるものと同種の微細なセラミックス粒子との混合物を、0.02〜0.3mm程度の厚さに被覆形成する。例えば、かかる中間層として、ガラス繊維強化エポキシ樹脂基材の表面に、熱可塑性エポキシ樹脂とAlOやSiO等の酸化物粒子(5〜50μm)の混合物を被覆した場合、その混合物の層からなる中間層はその後、焼成(キュアリング)すると、基材のエポキシ樹脂成分と中間層中のエポキシ樹脂とが互いに融合して強固に接着することが明らかである。
【0017】
しかも、このような中間層は、後工程においてこの層の表面に対してさらに最外層 (トップコート) が被覆されるとき、該中間層の一部を構成するエポキシ樹脂自体は、トップコート施工用溶射噴流の熱 (粒子衝突熱を含む) によって一部が軟化し、このとき該中間層中にトップコート成分の酸化物セラミックスやそのサーメットの溶射粒子が入り込んで固形化する。こうした機構により、酸化物セラミックスあるいは酸化物サーメット等の粒子が該中間層中に食い込んだ構造となり、その結果としてトップコート溶射皮膜とその下層の中間層との強固な接合状態が発現するのである。
図1は、こうした積層被覆構造を説明する模式図、図2は、本発明にかかるプラスチック基複合材料断面の光学顕微鏡写真である。
【0018】
上記中間層における樹脂成分とセラミックス粒子との混合割合は、樹脂:セラミックス粒子=70〜150 :20〜80、好ましくは90〜120 :30〜40程度とする。このような配合割合とした理由は、上記混合割合で形成した中間層の断面組織を観察した結果、生地中の粒子の分散形態が比較的均一になると認められたからである。
なお、両者の配合構成については、基材側に樹脂成分を多くする一方、トップコート側にセラミック粒子を多くする傾斜配合にしてもよいし、段階的に変わる配合としてもよい。
【0019】
上記中間層の施工後は、その中間層を、大気下において70〜120 ℃の温度で1時間程度焼成する。ここで、中間層を焼成する理由は、エポキシ樹脂などからなる樹脂の強度を高めるために行う。
【0020】
基材表面に中間層を被覆形成する方法としては、圧縮空気を用いたスラリー吹付け方法が有効であり、この方法により0.02〜0.3 mm、好ましくは0.05〜0.15mmの厚さに施す。このような厚さにする理由は、0.02mmよりも薄いと中間層の連続性を維持することができないし、一方、0.3 mmよりも厚いと中間層の剪断強度が低下するからである。
【0021】
次に、本発明においては、強化プラスチック基材に所望の表面特性、とくに耐摩耗性を付与するために、上記中間層の上にさらに、該中間層中に含まれる酸化物や炭化物のセラミックスまたはそれらのサーメットのうちから選ばれるいずれか1種以上の粉末を溶射してトップコートを施工する。たとえば、AlO,ZrO,YO,SiO,TiO,MgOおよびCrOから選ばれた1種以上の酸化物セラミックス、あるいはこれらのセラミックスとCo,Ni,Cr,Moまたはこれらの合金との混合物からなる酸化物サーメットを溶射する。これらの溶射皮膜は、硬度(Hv:600〜1300)が高く、耐摩耗性が向上する。なお、これら酸化物セラミックスまたはそのサーメットは、粒径10〜120μmのものをプラズマ炎、ガス燃焼炎を用いた溶射法により、大体0.05〜0.7mm厚、好ましくは0.1〜0.5mm厚に施工する。
【0022】
本発明において、基材上に中間層ならびにトップコートを形成する他の利点は、とくに基材が炭素繊維強化プラスチック基材の場合、この基材に絶縁特性を付与することにある。というのは、炭素繊維強化プラスチックを構成する炭素繊維自体は、体積抵抗率が繊維長方向で10×10−4Ωcm程度であることから、絶縁抵抗性が劣る。しかし、その表面に、上記中間層を設けたうえで、さらに後述する酸化物セラミックスあるいは酸化物のサーメットの溶射皮膜からなるトップコートを施工することで、複合体としての体積抵抗率ρは 10〜1013Ωcm程度になり、良好な絶縁特性をもった材料に変えることができる。
【0023】
【実施例】
実施例1
この実施例は、炭素繊維強化プラスチック基材に電気絶縁性を付与する例を示すものである。供試した基材は、50mm×100 mm、厚さ7mmの角材である。
まず、上記基材はその平面度を修正するために、予め平面研削盤を用いて研削した。そして、中間層の施工に先立つ前処理として、被覆面を粗面化処理した。粗面化は、通常の金属基材に対するものにくらべ軽度とした。即ち、白色アルミナ質人造研削材WA#60を用い、駆動空気圧を0.2 〜0.3 MPa 、ブラスト距離を500 〜600 mmの条件を採用した。このときの基材表面粗さは、平均あらさRa:2μmであった。その後、被覆対象面にエポキシ樹脂:70wt%とSiO粒子 (30μm) 30wt%の混合物を、圧縮空気駆動ガンで、厚さ:0.03〜0.05mmとなるように吹き付け、中間層とした。
中間層の施工を完了した基材を電気炉内に装入し、大気下で80℃、1時間の焼成を行った。
次に、最外層 (トップコート) として、プラズマ溶射装置を用いて、AlO(99.9 wt%), AlO−2.3 wt%TiO, CrO (99.7wt%) , ZrO−14wt%YO溶射材料を、0.45〜0.55mm厚さに溶射被覆した。そして、被覆後人造ダイヤモンド砥石を用いて平面研削し、さらにラップ仕上げして、被膜厚さ0.25±0.05mm、平均あらさRa≦0.1 μmに仕上げた。このようにして製造した複合材料 (炭素繊維強化プラスチックス/中間層/溶射皮膜複合体) を図3に示す方法でその体積抵抗率を測定した。
【0024】
その結果を表1に示す。この表に示すとおり、本発明例については、いずれも高い体積抵抗率を示し、いわゆる炭素繊維強化プラスチック基材に高絶縁性を付与できることがわかった。
これに対して、比較例として溶射皮膜を形成していないCFRPについて同様の試験を行ったが、体積抵抗率ρは10−2Ωcm (20℃) 程度と小さく、電気絶縁性が悪いという結果を示した。
【0025】
【表1】
Figure 0004436954
【0026】
実施例2
この実施例は、炭素繊維強化プラスチックス製ロール表面の耐摩耗性について試験した例を報告するものである。供試した基材は、直径 150mm、面長1500mm、厚さ5 mmの円筒である。
まず、上記基材の円筒度精度を修正するために、円筒研削盤を用いて研削した。そして、中間層の施工に先立つ前処理として、被覆面の粗面化処理を行なった。粗面化は、通常の金属基材に対するものに比べ軽度とした。即ち、白色アルミナ質人造研削材WA#60を用い、駆動空気圧を0.2 〜0.3 MPa 、ブラスト距離を500 〜600 mmの条件を採用した。このときの基材表面あらさは、平均あらさRa:2μmであった。その後、被覆対象面にエポキシ樹脂70wt%とSiO粒子(30 μm) 30wt%の混合物を、圧縮空気駆動ガンで、厚さ:0.03〜0.05mmとなるように吹き付け、中間層とした。
中間層被覆完了後の基材を電気炉内に装入し、大気下で80℃、1時間の焼成を行った。その後、最外層にトップコートとしてプラズマ溶射装置を用いて、酸化クロムの粉末 25 μmを厚さが0.5Ommになるように溶射被覆した。そして、被覆後人造ダイヤモンド砥石を用いて平面研削し、さらにラップ仕上げして、被膜厚さ0.25±0.05mm、平均あらさRa≦0.1 μmに仕上げた。このようにして製造した複合材料 (炭素繊維強化プラスチックス/中間層/溶射皮膜複合体) を、図4に示すような、JIS H8615に従うスガ式アブレッシブ摩耗試験法によって耐摩耗性について試験した。また、比較例として、溶射皮膜のないCFRP単独材について同様の試験を行った。
その結果を表2に示すが、比較例は1200回擦過後の試験片についての質量減が30mgにも達したのに対し、本発明例では上限でも4mgに止まり、比較両者の耐摩耗性には明らかな差が認められ、本発明例の方が優れていることが確かめられた。
【0027】
【表2】
Figure 0004436954
【0028】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、炭素繊維強化プラスチックやガラス繊維強化プラスチックの表面に対し、溶射法を用いて各種材料を被覆して改質するとき、あらかじめ繊維強化プラスチックの基材上に、エポキシ樹脂などの繊維強化プラスチックと同成分の樹脂とセラミックス粒子との混合物を被覆形成し、さらにその上に、酸化物セラミックス等をトップコートとして溶射被覆するものである。これによって、繊維強化プラスチック材料に対し、実用接着強度をもって酸化物セラミックス溶射皮膜を被覆形成することができ、その結果、これらの材料に耐摩耗性を付与することができると共に、誘電性を発現させることができ、ひいては、エンジニアリングや構造材料用として有用な繊維強化プラスチック材料を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる皮膜積層接着構造を示す模式図である。
【図2】本発明にかかる多層溶射皮膜断面の光学顕微鏡写真である。
【図3】体積抵抗率測定回路の模式図である。
【図4】耐摩耗性試験機の模式図である。

Claims (6)

  1. 繊維強化プラスチック基材の表面に、その基材構成成分である樹脂と同種の樹脂と、トップコートで用いられるものと同種のセラミックス粒子との混合物からなり、かつ基材成分と融合し合っていると共に、トップコートの溶射粒子が食い込んだ構造の焼成中間層を介し、トップコートとして、酸化物セラミックスまたはそのサーメットからなる溶射被覆層を形成してなる耐摩耗性等の表面特性に優れるプラスチック基複合材料。
  2. 焼成中間層ならびにトップコートにおけるセラミックスが、AlO,ZrO,YO,SiO,TiO,MgOおよびCrOから選ばれたいずれか1種以上の酸化物セラミックスであり、そのサーメットとは該酸化物セラミックスとCo,Ni,Cr,Moまたはこれらの合金とからなるものであることを特徴とする請求項1に記載のプラスチック基複合材料。
  3. トップコートは、それの体積抵抗率ρが10〜1013Ωcmの範囲内にある表面特性を示すものであることを特徴とする請求項1または2に記載のプラスチック基複合材料。
  4. 繊維強化プラスチック基材の表面に、その基材構成成分である樹脂と同種の樹脂とセラミックス粒子との混合物を、粉体吹き付け法によって被覆したあと70〜120℃の温度で焼成して基材の樹脂成分と融合させてなる焼成中間層を形成し、次いでその焼成中間層の上に、酸化物セラミックスもしくはそのサーメットの粒子を溶射してトップコートを被覆形成すると共に、溶射粒子を該焼成中間層中に食い込ませることを特徴とするプラスチック基複合材料の製造方法。
  5. 上記セラミックス粒子が、AlO,ZrO,YO,SiO,TiO,MgOおよびCrOから選ばれたいずれか1種以上の酸化物セラミックスであり、そのサーメットとは該酸化物セラミックスとCo,Ni,Cr,Moまたはこれらの合金とからなるものであることを特徴とする請求項4に記載の製造方法。
  6. 焼成中間層形成手段として、圧縮空気によるスラリー吹き付け法を適用すると共に、トップコート形成手段としてプラズマ炎、ガス燃焼炎を用いた溶射法を適用することを特徴とする請求項4または5に記載の製造方法。
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