JP2001240953A - 耐摩耗性等の表面特性に優れるプラスチック基複合材料およびその製造方法 - Google Patents

耐摩耗性等の表面特性に優れるプラスチック基複合材料およびその製造方法

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Abstract

(57)【要約】 【課題】耐摩耗性、非粘着性、非吸着性、高絶縁性など
の表面特性に優れた炭素繊維やガラス繊維で強化された
プラスチック基複合材料およびそれの有利な製造方法を
提供すること。 【解決手段】繊維強化プラスチック基材の表面に、その
基材構成成分である樹脂と同種の樹脂とセラミックス粒
子との混合物からなる中間層を介し、トップコートとし
て、酸化物セラミックスまたはそのサーメットからなる
溶射被覆層を形成してなるプラスチック基複合材料。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、炭素繊維強化プラ
スチック、ガラス繊維強化プラスチックなどのプラスチ
ック基複合材料に関し、とくに耐摩耗性や絶縁特性等の
表面特性を改善した構造体などに用いられるプラスチッ
ク基複合材料およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】炭素繊維強化プラスチックやガラス繊維
強化プラスチックなどの材料は、金属材料などに比べる
と比重が小さく、高い縦弾性係数をもち、とくに比強度
に優れるという特徴がある。こうした繊維強化プラスチ
ック材料については、従来、エンジニアリング用材料た
とえば、航空機や自動車などの機械部品用材料、釣り竿
などのスポーツ用具用材料などの分野で広く利用されて
いる。とくに、機械強度特性や軽量で小さな慣性モーメ
ント特性を示すという特長から、とくに近年では種々の
産業機械装置におけるロール部材としての用途が期待さ
れている。
【0003】しかし、かかる繊維強化プラスチック材料
は、構造体用強度部材としては優れた特性を示すもの
の、表面特性についてはなお克服すべき課題を多く残し
ているのが実情である。たとえば、その表面は、繊維が
分散しているものの本質的に樹脂 (エポキシ樹脂等) が
主体であることから、たとえば、耐摩耗性が不十分であ
る。しかも、基材表面の耐熱性が樹脂自体の耐熱性に支
配されるので使用温度にも制限があった。
【0004】さらに、補強材として炭素繊維を分散させ
た強化プラスチック材料については、酸素の存在する高
温環境下では酸化劣化が激しく、これを避けることがで
きない。しかも、炭素繊維強化プラスチック材料の場
合、炭素繊維が導電性を示し、繊維軸方向の体積抵抗率
が10×10−4Ωcm程度であるから、高絶縁部材とし
て使用することはできない。
【0005】これに対し、従来、強化プラスチック材料
の上述した問題点を克服するために、その表面に、溶射
法によってアルミナ, アルミナ/チタニアなどの酸化物
セラミックスを被覆したり、めっき法によって、金属Ni
やNi−Pのめっき被膜などで被覆する方法が提案されて
いる。しかし、前者は、基材に対する接着力が不足し、
一方後者は、硬さ特性に起因する耐摩耗性の不足が顕著
であり、それぞれに克服すべき課題となっている。もち
ろん、たとえば接着力の不足については、中間層を設け
て基材と溶射皮膜との接着力を高める提案 (特開平2−
26875号公報) はあるが、内挿繊維と溶射皮膜とを
接合させることについてまでは考慮していない。また、
後者の耐摩耗性を向上させる提案としてはたとえば、繊
維強化プラスチック製ロール素管の表面に無電解めっき
層を形成する方法 (特開平4−96426号公報) 、繊
維強化プラスチック製ロール素管の表面にふっ素樹脂微
粒子を含有した複合めっき層を被覆する方法 (特開平4
−292634号公報) を開示しているが、なお不充分
な領域に止まっているのが実情である。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】従って、従来の繊維強
化プラスチック基材は、これを金属板や金属箔、紙、プ
ラスチックフィルムなどの製造設備における搬送、案内
などを司るロール部材に適用した場合、形状精度の低下
あるいは表面への異種材の付着などが発生しやすく、繊
維強化プラスチック基材本来の特性および寿命を発揮す
ることができないという問題があった。とくに、金属箔
製造用ロールのように高絶縁性が求められるような場
合、また、プラスチックフィルム製造用ロールのように
一定の誘電率が求められるような場合に、炭素繊維強化
プラスチック基材では体積抵抗率が小さく、これらの要
求を十分に満たすことは困難である。
【0007】また、かかる繊維強化プラスチック基材の
表面にアルミナ、アルミナ/チタニアのセラミックス溶
射皮膜や金属Ni, Ni−Pのめっき被膜などを被覆した材
料についても、接着力の不足や耐摩耗性の不足が目立
ち、繊維強化プラスチック基材としての本来の特性を発
揮できていないのが実情である。
【0008】そこで本発明は、従来技術が抱えている上
述したような問題点を解決するためになされたものであ
って、耐摩耗性、非粘着性、非吸着性、高絶縁性あるい
は耐熱性などの表面特性に優れた炭素繊維やガラス繊維
で強化されたプラスチック基複合材料を提供することを
目的とする。本発明の他の目的は、プラスチック基材の
表面に各種表面特性に優れかつ密着力の高い皮膜を有利
に被覆形成する方法を提案することにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】上掲の目的の実現に向け
て鋭意研究した結果、発明者らは、下記の要旨構成にか
かるプラスチック基複合材料およびその製造方法が有効
な課題解決手段となることを知見し、本発明を開発する
に到った。即ち、本発明は、繊維強化プラスチック基材
の表面に、その基材構成成分である樹脂と同種の樹脂と
セラミックス粒子との混合物からなる中間層を介し、ト
ップコートとして、酸化物セラミックスまたはそのサー
メットからなる溶射被覆層を形成してなる、耐摩耗性等
の表面特性に優れるプラスチック基複合材料である。
【0010】本発明において、上記中間層ならびにトッ
プコートにおけるセラミックスが、AlO, ZrO, Y
O, SiO, TiO, MgOおよびCrOから選ばれた
いずれか1種以上の酸化物セラミックスまたはこれらの
セラミックスとCoやNi, Cr,Moまたはこれらの合金との
酸化物サーメットであることが好ましく、そして、トッ
プコートは、それの体積抵抗率が 10〜1013Ωcmの
範囲内にある表面特性を示すものであることが好まし
い。
【0011】また、本発明は、繊維強化プラスチック基
材の表面に、その基材構成成分である樹脂と同種の樹脂
とセラミックス粒子との混合物を、粉体吹き付け法によ
って被覆して中間層を形成し、次いでその中間層の上
に、酸化物セラミックスもしくはそのサーメットの粒子
を溶射してトップコートを被覆形成することを特徴とす
るプラスチック基複合材料の製造方法を提案する。
【0012】本発明にかかる製造方法において、上記セ
ラミックス粒子としては、AlO,ZrO, YO, SiO
, TiO, MgOおよびCrOから選ばれたいずれか1
種以上の酸化物セラミックス、またはこれらのセラミッ
クスのいずれか1種以上と、CoやNi, Cr, Moまたはこれ
らの合金とからなる酸化物サーメットを用いること、お
よび中間層形成手段として、圧縮空気によるるスラリー
吹き付け法を適用すると共に、トップコート形成手段と
してプラズマ炎、ガス燃焼炎を用いた溶射法を適用する
ことが好ましい。
【0013】
【発明の実施の形態】本発明にかかるプラスチック基複
合材料は、炭素繊維強化プラスチック等の基材を用い、
その基材表面に下記の耐摩耗性溶射皮膜を形成してなる
ものであって、金属板, 紙, 樹脂フィルム等を製造する
ための各種ロール部材に用いられるものである。上記の
繊維強化プラスチック基材の望ましい条件としては、
寸法精度の経年変化が小さいこと (特に母線真直度に優
れること) 、耐摩耗性に優れること、基材 (ロー
ル) 表面に残滓が付着し難く剥離性が良好なこと、表
面が非吸着性であること、高体積抵抗率を有する (電
気絶縁性を有する) こと、などが挙げられる。
【0014】これらの要求に応えられる繊維強化プラス
チック基材として、本発明では、用途や要求性能に応じ
た強化プラスチック用樹脂と補強材とを適宜に選択使用
することができる。例えば、補強材としては、ガラス繊
維やカーボン繊維が重要であるが、そのほか、ウィス
カ, アスベスト, マイカなどの無機材料やアラミト繊
維、綿, 麻, レーヨン, ビニロン, テトロン, アクリル
などの各種の繊維も用いられる。これらに対し、マトリ
ックスとなる合成樹脂としては、ポリエステル樹脂をは
じめ、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、フラン樹脂など
の熱硬化性樹脂が主に用いられる。一方、ポリプロピレ
ン, ポリアミド, ポリカーボネート, ポリエチレンテレ
フタレート (PET)などの熱可塑性樹脂も用いられる
が、これらは主としてエンジニアリング用としての性能
を高めるために、ガラス短繊維で強化されることが多
い。なお、これらはプリプレグ法またはワインディング
法によって所定の形に成形され、基材とする。
【0015】かかる繊維強化プラスチック基材は、後述
する中間層の形成に先立ち、アルミナ粒などの研削材で
軽く研削し、粗面化することが好ましい。しかし、炭素
繊維強化プラスチックやガラス繊維強化プラスチックな
どの基材は、あまり強い粗面化を施すと、基材自体の表
面形状が損なわれることが多いので、軽いブラスト処理
を施すことが肝要である。
【0016】次に、上記繊維強化プラスチック基材上に
は、中間層を形成する。この中間層の役割は、主として
基材上に形成すべき所望の被覆層 (トップコート) の良
好な密着性を確保するために、その繋ぎ、即ち接着剤と
しての作用を付与することにあり、基本的に基材とトッ
プコートの両方に相性の良いものが選ばれる。この意味
において、この中間層は、プラスチック基材の樹脂成分
と同種 (全く同じでなくともよい) の樹脂と、トップコ
ートで用いられるものと同種の微細なセラミックス粒子
との混合物を、0.02〜0.3 mm程度の厚さに被覆形成す
る。例えば、かかる中間層として、ガラス繊維強化エポ
キシ樹脂基材の表面に、熱可塑性エポキシ樹脂とAlO
やSiO等の酸化物粒子 (5〜50μm) の混合物を被
覆した場合、その混合物の層からなる中間層はその後、
焼成 (キュアリング)すると、基材のエポキシ樹脂成分
と中間層中のエポキシ樹脂とが互いに融合して強固に接
着することが明らかである。
【0017】しかも、このような中間層は、後工程にお
いてこの層の表面に対してさらに最外層 (トップコー
ト) が被覆されるとき、該中間層の一部を構成するエポ
キシ樹脂自体は、トップコート施工用溶射噴流の熱 (粒
子衝突熱を含む) によって一部が軟化し、このとき該中
間層中にトップコート成分の酸化物セラミックスやその
サーメットの溶射粒子が入り込んで固形化する。こうし
た機構により、酸化物セラミックスあるいは酸化物サー
メット等の粒子が該中間層中に食い込んだ構造となり、
その結果としてトップコート溶射皮膜とその下層の中間
層との強固な接合状態が発現するのである。図1は、こ
うした積層被覆構造を説明する模式図、図2は、本発明
にかかるプラスチック基複合材料断面の光学顕微鏡写真
である。
【0018】上記中間層における樹脂成分とセラミック
ス粒子との混合割合は、樹脂:セラミックス粒子=70〜
150 :20〜80、好ましくは90〜120 :30〜40程度とす
る。このような配合割合とした理由は、上記混合割合で
形成した中間層の断面組織を観察した結果、生地中の粒
子の分散形態が比較的均一になると認められたからであ
る。なお、両者の配合構成については、基材側に樹脂成
分を多くする一方、トップコート側にセラミック粒子を
多くする傾斜配合にしてもよいし、段階的に変わる配合
としてもよい。
【0019】上記中間層の施工後は、その中間層を、大
気下において70〜120 ℃の温度で1時間程度焼成する。
ここで、中間層を焼成する理由は、エポキシ樹脂などか
らなる樹脂の強度を高めるために行う。
【0020】基材表面に中間層を被覆形成する方法とし
ては、圧縮空気を用いたスラリー吹付け方法が有効であ
り、この方法により0.02〜0.3 mm、好ましくは0.05〜0.
15mmの厚さに施す。このような厚さにする理由は、0.02
mmよりも薄いと中間層の連続性を維持することができな
いし、一方、0.3 mmよりも厚いと中間層の剪断強度が低
下するからである。
【0021】次に、本発明においては、強化プラスチッ
ク基材に所望の表面特性、とくに耐摩耗性を付与するた
めに、上記中間層の上にさらに、該中間層中に含まれる
酸化物や炭化物のセラミックスまたはそれらのサーメッ
トのうちから選ばれるいずれか1種以上の粉末を溶射し
てトップコートを施工する。たとえば、AlO, Zr
O, YO, SiO, TiO, MgOおよびCrOから選
ばれた1種以上の酸化物セラミックス、あるいはこれら
のセラミックスとCo,Ni, Cr, Mo等との混合物からなる
酸化物サーメットを溶射する。これらの溶射皮膜は、硬
度 (Hv:600 〜1300) が高く、耐摩耗性が向上する。
なお、これら酸化物セラミックスまたはそのサーメット
は、粒径10〜120 μmのものをプラズマ炎、ガス燃焼炎
を用いた溶射法により、大体0.05〜0.7 mm厚、好まし
くは 0.1〜0.5 mm厚に施工する。
【0022】本発明において、基材上に中間層ならびに
トップコートを形成する他の利点は、とくに基材が炭素
繊維強化プラスチック基材の場合、この基材に絶縁特性
を付与することにある。というのは、炭素繊維強化プラ
スチックを構成する炭素繊維自体は、体積抵抗率が繊維
長方向で10×10−4Ωcm程度であることから、絶縁抵抗
性が劣る。しかし、その表面に、上記中間層を設けたう
えで、さらに後述する酸化物セラミックスあるいは酸化
物のサーメットの溶射皮膜からなるトップコートを施工
することで、複合体としての体積抵抗率ρは 10〜10
13Ωcm程度になり、良好な絶縁特性をもった材料に変
えることができる。
【0023】
【実施例】実施例1 この実施例は、炭素繊維強化プラスチック基材に電気絶
縁性を付与する例を示すものである。供試した基材は、
50mm×100 mm、厚さ7mmの角材である。まず、上記基材
はその平面度を修正するために、予め平面研削盤を用い
て研削した。そして、中間層の施工に先立つ前処理とし
て、被覆面を粗面化処理した。粗面化は、通常の金属基
材に対するものにくらべ軽度とした。即ち、白色アルミ
ナ質人造研削材WA#60を用い、駆動空気圧を0.2 〜0.
3 MPa 、ブラスト距離を500 〜600 mmの条件を採用し
た。このときの基材表面粗さは、平均あらさRa:2μm
であった。その後、被覆対象面にエポキシ樹脂:70wt%
とSiO粒子 (30μm) 30wt%の混合物を、圧縮空気駆
動ガンで、厚さ:0.03〜0.05mmとなるように吹き付け、
中間層とした。中間層の施工を完了した基材を電気炉内
に装入し、大気下で80℃、1時間の焼成を行った。次
に、最外層 (トップコート) として、プラズマ溶射装置
を用いて、AlO(99.9 wt%), AlO−2.3 wt%TiO
, CrO (99.7wt%) , ZrO−14wt%Y O溶射材
料を、0.45〜0.55mm厚さに溶射被覆した。そして、被覆
後人造ダイヤモンド砥石を用いて平面研削し、さらにラ
ップ仕上げして、被膜厚さ0.25±0.05mm、平均あらさRa
≦0.1 μmに仕上げた。このようにして製造した複合材
料 (炭素繊維強化プラスチックス/中間層/溶射皮膜複
合体) を図3に示す方法でその体積抵抗率を測定した。
【0024】その結果を表1に示す。この表に示すとお
り、本発明例については、いずれも高い体積抵抗率を示
し、いわゆる炭素繊維強化プラスチック基材に高絶縁性
を付与できることがわかった。これに対して、比較例と
して溶射皮膜を形成していないCFRPについて同様の
試験を行ったが、体積抵抗率ρは10−2Ωcm (20℃)
程度と小さく、電気絶縁性が悪いという結果を示した。
【0025】
【表1】
【0026】実施例2 この実施例は、炭素繊維強化プラスチックス製ロール表
面の耐摩耗性について試験した例を報告するものであ
る。供試した基材は、直径 150mm、面長1500mm、厚さ5
mmの円筒である。まず、上記基材の円筒度精度を修正す
るために、円筒研削盤を用いて研削した。そして、中間
層の施工に先立つ前処理として、被覆面の粗面化処理を
行なった。粗面化は、通常の金属基材に対するものに比
べ軽度とした。即ち、白色アルミナ質人造研削材WA#
60を用い、駆動空気圧を0.2 〜0.3 MPa 、ブラスト距離
を500 〜600 mmの条件を採用した。このときの基材表面
あらさは、平均あらさRa:2μmであった。その後、被
覆対象面にエポキシ樹脂70wt%とSiO粒子(30 μm) 3
0wt%の混合物を、圧縮空気駆動ガンで、厚さ:0.03〜
0.05mmとなるように吹き付け、中間層とした。中間層被
覆完了後の基材を電気炉内に装入し、大気下で80℃、1
時間の焼成を行った。その後、最外層にトップコートと
してプラズマ溶射装置を用いて、酸化クロムの粉末 25
μmを厚さが0.5Ommになるように溶射被覆した。そし
て、被覆後人造ダイヤモンド砥石を用いて平面研削し、
さらにラップ仕上げして、被膜厚さ0.25±0.05mm、平均
あらさRa≦0.1 μmに仕上げた。このようにして製造し
た複合材料 (炭素繊維強化プラスチックス/中間層/溶
射皮膜複合体) を、図4に示すような、JIS H86
15に従うスガ式アブレッシブ摩耗試験法によって耐摩
耗性について試験した。また、比較例として、溶射皮膜
のないCFRP単独材について同様の試験を行った。そ
の結果を表2に示すが、比較例は1200回擦過後の試験片
についての質量減が30mgにも達したのに対し、本発明
例では上限でも4mgに止まり、比較両者の耐摩耗性には
明らかな差が認められ、本発明例の方が優れていること
が確かめられた。
【0027】
【表2】
【0028】
【発明の効果】以上説明したように、本発明は、炭素繊
維強化プラスチックやガラス繊維強化プラスチックの表
面に対し、溶射法を用いて各種材料を被覆して改質する
とき、あらかじめ繊維強化プラスチックの基材上に、エ
ポキシ樹脂などの繊維強化プラスチックと同成分の樹脂
とセラミックス粒子との混合物を被覆形成し、さらにそ
の上に、酸化物セラミックス等をトップコートとして溶
射被覆するものである。これによって、繊維強化プラス
チック材料に対し、実用接着強度をもって酸化物セラミ
ックス溶射皮膜を被覆形成することができ、その結果、
これらの材料に耐摩耗性を付与することができると共
に、誘電性を発現させることができ、ひいては、エンジ
ニアリングや構造材料用として有用な繊維強化プラスチ
ック材料を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる皮膜積層接着構造を示す模式図
である。
【図2】本発明にかかる多層溶射皮膜断面の光学顕微鏡
写真である。
【図3】体積抵抗率測定回路の模式図である。
【図4】耐摩耗性試験機の模式図である。
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 田中 愛 兵庫県神戸市東灘区深江北町4丁目13番4 号 トーカロ株式会社内 Fターム(参考) 4F100 AD00B AD03C AD11A AK01B AK53A AK53B BA03 BA07 BA10A BA10C DE01B DH02A EH56C EH612 JG04C JK09 YY00C 4K031 AA08 AB02 AB08 AB11 BA05 CB14 CB22 CB23 CB42 CB43 CB48 DA01 DA04

Claims (6)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 繊維強化プラスチック基材の表面に、そ
    の基材構成成分である樹脂と同種の樹脂とセラミックス
    粒子との混合物からなる中間層を介し、トップコートと
    して、酸化物セラミックスまたはそのサーメットからな
    る溶射被覆層を形成してなる耐摩耗性等の表面特性に優
    れるプラスチック基複合材料。
  2. 【請求項2】 中間層ならびにトップコートにおけるセ
    ラミックスが、AlO, ZrO, YO, SiO, Ti
    O, MgOおよびCrOから選ばれたいずれか1種以上
    の酸化物セラミックスであり、そのサーメットとは該酸
    化物セラミックスとCo, Ni, Cr, Mo等とからなるもの
    であることを特徴とする請求項1に記載のプラスチック
    基複合材料。
  3. 【請求項3】 トップコートは、それの体積抵抗率ρが
    10〜1013Ωcmの範囲内にある表面特性を示すもの
    であることを特徴とする請求項1または2に記載のプラ
    スチック基複合材料。
  4. 【請求項4】 繊維強化プラスチック基材の表面に、そ
    の基材構成成分である樹脂と同種の樹脂とセラミックス
    粒子との混合物を、粉体吹き付け法によって被覆して中
    間層を形成し、次いでその中間層の上に、酸化物セラミ
    ックスもしくはそのサーメットの粒子を溶射してトップ
    コートを被覆形成することを特徴とするプラスチック基
    複合材料の製造方法。
  5. 【請求項5】 上記セラミックス粒子が、AlO, ZrO
    , YO, SiO,TiO, MgOおよびCrOから選ば
    れたいずれか1種以上の酸化物セラミックスであり、そ
    のサーメットとは該酸化物セラミックスとCo, Ni, Cr,
    Mo等とからなるものであることを特徴とする請求項4に
    記載の製造方法。
  6. 【請求項6】 中間層形成手段として、圧縮空気による
    るスラリー吹き付け法を適用すると共に、トップコート
    形成手段としてプラズマ炎、ガス燃焼炎を用いた溶射法
    を適用することを特徴とする請求項4または5に記載の
    製造方法。
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