JP4436957B2 - 耐摩耗性に優れるプラスチック基複合材料およびその製造方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、炭素繊維強化プラスチック、ガラス繊維強化プラスチックなどのプラスチック基複合材料に関し、とくに耐摩耗性に優れた構造体などに用いられるプラスチック基複合材料およびその製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
炭素繊維強化プラスチックやガラス繊維強化プラスチックなどの材料は、金属材料などに比べると比重が小さく、高い縦弾性係数をもち、とくに比強度に優れるという特徴がある。こうした繊維強化プラスチック材料については、従来、エンジニアリング用材料たとえば、航空機や自動車などの機械部品用材料、釣り竿などのスポーツ用具用材料などの分野で広く利用されている。とくに、機械強度特性や軽量で小さな慣性モーメント特性を示すという特長から、とくに近年では種々の産業機械装置におけるロール部材としての用途が期待されている。
【0003】
しかし、かかる繊維強化プラスチック材料は、構造体用強度部材としては優れた特性を示すものの、表面特性についてはなお克服すべき課題を多く残しているのが実情である。たとえば、その表面は、繊維が分散しているものの本質的に樹脂 (エポキシ樹脂等) が主体であることから、耐摩耗性が不十分である。しかも、基材表面の耐熱性が樹脂自体の耐熱性に支配されるので使用温度にも制限があった。
【0004】
これに対し、従来、強化プラスチック材料の上述した問題点を克服するために、その表面に、溶射法によってアルミナ,アルミナ/チタニアなどの酸化物セラミックスを被覆したり、めっき法によって、金属NiやNi−Pのめっき被膜などで被覆する方法が提案されている。しかし、前者は、基材に対する接着力が不足し、一方後者は、硬さ特性に起因する耐摩耗性の不足が顕著であり、それぞれに克服すべき課題となっている。
もちろん、たとえば接着力の不足については、中間層を設けて基材と溶射皮膜との接着力を高める提案 (特開平2−26875号公報) はあるが、内挿繊維と溶射皮膜との接合を図ることについてまでは検討していない。
また、後者の耐摩耗性を向上させる提案としてはたとえば、繊維強化プラスチック製ロール素管の表面に無電解めっき層を形成する方法 (特開平4−96426号公報) 、繊維強化プラスチック製ロール素管の表面にふっ素樹脂微粒子を含有した複合めっき層を被覆する方法 (特開平4−292634号公報) を開示しているが、なお不充分な領域に止まっているのが実情である。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従って、従来の繊維強化プラスチック基材は、これを金属板や金属箔、紙、プラスチックフィルムなどの製造設備における搬送、案内などを司るロール部材に適用した場合、形状精度の低下あるいは表面への異種材の付着などが発生しやすく、繊維強化プラスチック基材本来の特性および寿命を発揮することができないという問題があった。
【0006】
また、かかる繊維強化プラスチック基材の表面にアルミナ、アルミナ/チタニアのセラミックス溶射皮膜や金属Ni, Ni −Pのめっき被膜などを被覆した材料についても、接着力の不足や耐摩耗性の不足が目立ち、繊維強化プラスチック基材としての本来の特性を発揮できていないのが実情である。
【0007】
そこで本発明は、従来技術が抱えている上述したような問題点を解決するためになされたものであって、耐摩耗性あるいは耐熱性などの表面特性に優れた炭素繊維やガラス繊維で強化されたプラスチック基複合材料を提供することを目的とする。
本発明の他の目的は、繊維強化プラスチック基材の表面に耐摩耗性,耐熱性および密着性に優れた皮膜を有利に被覆形成する方法を提案するところにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上掲の目的の実現に向けて検討した結果、発明者らは、下記の要旨構成にかかるプラスチック基複合材料およびその製造方法が有効な課題解決手段となることを知見し、本発明を開発するに到った。
即ち、本発明は、繊維強化プラスチック基材の表面に、その基材構成成分である樹脂と同種の樹脂およびセラミックス粒子の混合物からなり、かつ基材成分と融合し合っていると共に、トップコートの溶射粒子が食い込んだ構造の焼成中間層を介し、トップコートとして、炭化物サーメットからなる溶射被覆層を形成してなる耐摩耗性等の表面特性に優れるプラスチック基複合材料である。
【0009】
本発明において、上記焼成中間層におけるセラミックスが、Al2O3,ZrO2,Y2O3,SiO2,TiO2,MgOおよびCr2O3から選ばれる1種以上の酸化物、もしくはWC,Cr3C2,TiCおよびNbCから選ばれる炭化物であることが好ましく、そして、トップコートは、WC,Cr3C2,TiCおよびNbCから選ばれるいずれか1種以上の炭化物セラミックスと、Ni,CrおよびCoから選ばれる1種以上の成分および不可避的不純物成分で構成される炭化物サーメットからなるものであって、そして、そのトップコートは、表面の平均あらさRaが0.05〜8μm程度であり、硬さHvが800〜1300程度を示す特性を有することが好ましい。
【0010】
また、本発明では、繊維強化プラスチック基材の表面に、その基材構成成分である樹脂と同種の樹脂とセラミックス粒子との混合物を、粉体吹き付け法によって被覆したあと70〜120℃の温度で焼成して基材の樹脂成分と融合させてなる焼成中間層を形成し、次いでその焼成中間層の上に、炭化物サーメット粒子を溶射してトップコートを被覆形成すると共に、溶射粒子を該焼成中間層中に食い込ませることを特徴とするプラスチック基複合材料の製造方法を提案する。
【0011】
本発明にかかる上記製造方法において、焼成中間層で用いるセラミックス粒子が、Al2O3,ZrO2,Y2O3,SiO2,TiO2,MgOおよびCr2O3から選ばれる1種以上の酸化物もしくはWC,Cr3C2,TiCおよびNbCから選ばれる1種以上の炭化物であること、および焼成中間層形成手段として、圧縮空気によるスラリー吹き付け法を適用し、必要に応じてさらに大気下で70〜120℃にて焼成し、一方、トップコート形成手段としては、プラズマ炎、ガス燃焼炎を用いた溶射法を適用することが好ましい。なお、そのトップコートは、WC,Cr3C2,TiCおよびNbCから選ばれるいずれか1種以上の炭化物セラミックスと、Ni,CrおよびCoから選ばれる1種以上の成分および不可避の不純物成分で構成される炭化物サーメットを溶射することによって形成することが好ましい。
【0012】
【発明の実施の形態】
本発明にかかるプラスチック基複合材料は、炭素繊維強化プラスチック等を基材とし、その基材に下記の耐摩耗性等の表面特性に優れた皮膜を形成してなるものであって、金属板,金属箔,紙,樹脂フィルム製造用の各種ロール部材などとして用いられるものである。
繊維強化プラスチック基材の望ましい条件としては、▲1▼寸法精度の経年変化が小さいこと (特に母線真直度に優れること) 、▲2▼耐摩耗性に優れること、▲3▼基材 (ロール) 表面に残滓が付着し難く剥離性が良好なこと、▲4▼表面が非吸着性であること、などが挙げられる。
【0013】
これらの要求に応えられる繊維強化プラスチック基材として、本発明では、用途や要求性能に応じた強化プラスチック用樹脂と補強材とを適宜に選択使用することができる。例えば、補強材としては、ガラス繊維やカーボン繊維が重要であるが、そのほか、ウィスカ,アスベスト,マイカなどの無機材料やアラミト繊維、綿,麻,レーヨン,ビニロン,テトロン,アクリルなどの各種の繊維も用いられる。
これらに対し、マトリックスとなる合成樹脂としては、ポリエステル樹脂をはじめ、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、フラン樹脂などの熱硬化性樹脂が主に用いられる。一方、ポリプロピレン,ポリアミド,ポリカーボネート,ポリエチレンテレフタレート (PET)などの熱可塑性樹脂も用いられるが、これらは主としてエンジニアリング用としての性能を高めるために、ガラス短繊維で強化されることが多い。
なお、これらはプリプレグ法またはワインディング法によって所定の形に成形され、基材とされる。
【0014】
かかる繊維強化プラスチック基材は、後述する中間層の形成に先立ち、アルミナ粒などの研削材で軽く研削し、粗面化することが好ましい。しかし、炭素繊維強化プラスチックやガラス繊維強化プラスチックなどの基材は、あまり強い粗面化を施すと、基材自体の表面形状が損なわれることが多いので、軽いブラスト処理を施すことが肝要である。
【0015】
次に、上記繊維強化プラスチック基材上には、焼成中間層(以下、単に「中間層」と略記して述べる)を形成する。この中間層の役割は、主として基材上に形成すべき所望の被覆層(トップコート)の良好な密着性を確保するために、その繋ぎ、即ち接着剤としての作用を担うことにあり、基本的には基材とトップコートの両方に相性の良いものが選ばれる。
この意味において、この中間層は、プラスチック基材の樹脂成分と同種(全く同じでなくともよい)の樹脂と、酸化物あるいは炭化物の微細セラミックス粒子との混合物を、0.02〜0.3mm程度の厚さに被覆形成する。
例えば、かかる中間層として、ガラス繊維強化エポキシ樹脂基材の表面に、熱可塑性エポキシ樹脂とAl2O3やSiO2等の酸化物粒子(5〜50μm)の混合物を被覆した場合、その混合物の層からなる中間層はその後、焼成(キュアリング)すると、基材のエポキシ樹脂成分と中間層中のエポキシ樹脂とが互いに融合して強固に接着することが明らかである。
【0016】
しかも、このような中間層は、後工程においてこの層の表面に対してさらに最外層 (トップコート) が被覆されるとき、該中間層の一部を構成するエポキシ樹脂自体は、トップコート施工用溶射噴流の熱 (粒子衝突熱を含む) によって一部が軟化し、このとき該中間層中にトップコート成分の炭化物サーメットの溶射粒子が入り込んで固形化する。こうした機構により、炭化物セラミックスあるいは炭化物サーメット等の粒子が該中間層中に食い込んだ構造となり、その結果としてトップコート溶射皮膜とその下層の中間層との強固な接合状態が発現するのである。
図1は、こうした積層被覆構造を説明する模式図、図2は、本発明にかかるプラスチック基複合材料断面の光学顕微鏡写真である。
【0017】
上記中間層における樹脂成分とセラミックス粒子との混合割合は、樹脂:セラミックス粒子=70〜150 :20〜60、好ましくは90〜120 :30〜40程度とする。このような配合割合とした理由は、上記混合割合で形成した中間層の断面組織を観察した結果、生地中の粒子の分散形態が比較的均一になると認められたからである。
なお、両者の配合構成については、基材側に樹脂成分を多くする一方、トップコート側にセラミック粒子を多くする傾斜配合にしてもよいし、段階的に変わる配合としてもよい。
【0018】
上記中間層の施工後は、その中間層を、大気下において70〜120 ℃の温度で1時間程度焼成する。ここで、中間層を焼成する理由は、エポキシ樹脂などからなる樹脂の強度を高めるために行う。
【0019】
基材表面に中間層を被覆形成する方法としては、圧縮空気を用いたスラリー吹付け方法が有効であり、この方法により0.02〜0.3 mm、好ましくは0.05〜0.15mmの厚さに施す。このような厚さにする理由は、0.02mmよりも薄いと中間層の連続性を維持することができないし、一方、0.3 mmよりも厚いと中間層の剪断強度が低下するからである。
【0020】
次に、本発明においては、強化プラスチック基材に所望の表面特性、とくに耐摩耗性,耐熱性等を付与するために、上記中間層の上にさらに、炭化物サーメットの粉末を溶射してトップコートを施工する。
たとえば、WC,Cr3C2,TiCおよびNbCのうちから選ばれた1種以上の炭化物セラミックスとCo,Ni,Cr,Mo等の金属,合金との混合物からなる炭化物サーメットを溶射する。これらの溶射皮膜は、硬度 (Hv:800 〜1300) が高く、耐摩耗性表面として効果がある。
なお、これら炭化物サーメットは、粒径10〜120 μmのものをプラズマ炎、ガス燃焼炎を用いた溶射法により、大体0.05〜0.7 mm厚、好ましくは 0.1〜0.5 mm厚に施工する。
【0021】
本発明において、中間層の上に被覆形成したトップコートは、平均表面粗さRaを0.05〜8μmにする。その理由はつぎの通りである。
繊維強化プラスチック基材を種々の用途、例えば工業材料の搬送,案内媒体の分野で使用するときには、摩擦特性の付与,ロール体としての母線真直度,さらには表面封孔処理剤などの表面処理剤の担持部形成などのため、表面を種々のあらさにする必要が生じる。そして、本発明の場合、最外層の炭化物サーメット皮膜がそれらの機能を担うものである。例えば、面の平滑性からすると、工業的に経済的な研削ラップ量による形成あらさRaの下限は0.05μmが好ましい。一方、8μmを越えると、皮膜固有のうねりが大きくなって、例えばロール体母線の真直度が低下するので、0.05〜8μmとした。
【0022】
【実施例】
実施例1
この実施例は、炭素繊維強化プラスチック基材の耐摩耗性について行った試験の結果を報告するものである。供試した基材は、50mm×100 mm、厚さ7mmの角材である。
まず、上記基材はその平面度を修正するために、予め平面研削盤を用いて研削した。そして、中間層の施工に先立つ前処理として、被覆する面を粗面化処理した。この粗面化処理は、通常の金属基材に対するものにくらべ軽度とした。即ち、白色アルミナ質人造研削材WA#60を用い、駆動空気圧を0.2 〜0.3 MPa 、ブラスト距離を500 〜600 mmの条件で行った。このときの基材表面粗さは、平均粗さRa:2μmであった。その後、被覆対象面にエポキシ樹脂70wt%とSiO2粒子 (30μm) 30wt%の混合物を、圧縮空気駆動ガンで、厚さ:0.03〜0.05mmとなるように吹き付け、中間層とした。
次に、中間層の施工を完了した基材を電気炉内に装入し、大気下で80℃、1時間の焼成を行った。
その後、最外層 (トップコート) として、高速ガス炎溶射装置を用いて、WC−12wt%Co,WC−20wt%Cr3C2-7Ni,WC−10wt%Co-4wt%Cr,Cr3C2-25wt%NiCr,Cr3C2-20wt%NiCr,WC・TiC−17wt%Niの各溶射材料を、0.15〜0.25mm厚さに溶射して被覆した。そして、その被覆処理の後、人造ダイヤモンド砥石を用いて平面研削を行い、さらにラップ研磨仕上げして、皮膜厚さ0.10±0.05mm、平均粗さRa≦0.1 μmに仕上げた。
このようにして製造した複合材料 (炭素繊維強化プラスチックス/中間層/溶射皮膜複合体) を、図3に示す方法で、耐アグレッシブ摩耗性を測定した (摩擦輪:50mmφ×12mmW ,荷重:31.85N) 。
【0023】
その結果、表1に示すような1200回擦過後の試験片質量減 (mg) に関する測定値が得られた。その結果によると、質量減は僅か2〜12mgであり、炭素繊維強化プラスチック基材への耐摩耗性付与の効果が認められた。
これに対して、比較例として、何の表面処理も施していない炭素繊維強化プラスチック基材についての表面の耐摩耗性について同様の試験を行ったが、この材料の場合、摩耗減量は30mgにも達し、耐摩耗性が低いという結果を示した。
【0024】
【表1】
【0025】
実施例2
炭素繊維強化プラスチック材における本発明による表面耐摩耗性付与の実施態様を示す。準備した基材の寸法は50mm角、厚さ5mmである。中間層被覆に先立つ前処理として、被覆面の粗面化処理を行った。粗面化は通常の金属材料に対するものに比べ軽度とした。すなわち、白色アルミナ質人造研削材WA#60を用い、駆動空気圧を 0.2〜0.3 MPa、ブラスト距離を 500〜600 mmとした。このときの基材表面あらさは算術平均あらさRa:2μmであった。続いて、被覆対象面にエポキシ樹脂70wt%とSiO2粒子 (30μm) 30wt%の混合物を圧縮空気駆動ガンで厚さ0.03〜0.05mmに吹き付けて中間層とした。
【0026】
上記中間層の被覆完了後、基材を電気炉に挿入し、大気下で50,80,120 ,200 ℃の4温度水準でいずれも1時間の焼成を行った。また、焼成しない水準も準備した。
その後、最外層 (トップコート) として、高速ガス炎溶射装置を用いて、WC−12wt%Coを、0.15〜0.25mm厚さに溶射して被覆した。そしてその処理の後、人造ダイヤモンド砥石を用いて平面研削を試みた。その結果、焼成温度50℃,200℃および焼成しない水準では、研削中に溶射皮膜が中間層から剥離した。焼成温度80℃,120 ℃の温度水準では研削が実行でき、さらにラップ研磨仕上げして、皮膜厚さ0.10±0.05mm、算術平均あらさRa≦0.1 μmに到達できた。このようにして作製した複合材料 (炭素繊維強化プラスチックス/中間層/溶射皮膜複合体) を、スガ式アブレッシブ摩耗試験法によって耐摩耗特性を調査した。その結果、表2に示すように、比較例の炭素繊維強化プラスチックス材に比べ、表面耐摩耗性の明らかな向上が認められた。このほか、WC−10wt%Co−4wt%Cr、Cr3C2−25wt%NiCr、Cr3C2−20wt%NiCr、WC/TiC−17wt%Niの各溶射材料でも同様の結果を得ることができた。
【0027】
【表2】
【0028】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明は、プラスチック基材の表面に対し、該基材上に予めエポキシ樹脂などの繊維強化プラスチックと同種成分の樹脂とセラミックス粒子との混合物を被覆形成し、さらにその上に、炭化物サーメットをトップコートとして溶射被覆したものであるから、基材表面の耐摩耗性や耐熱性を著しく向上させることができると共に、皮膜の密着性にも優れることから、エンジニアリング用材料あるいは構造用材料として有用な繊維強化プラスチック材料を得ることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明にかかる皮膜積層接着構造を示す模式図である。
【図2】本発明にかかる多層溶射皮膜断面の光学顕微鏡写真である。
【図3】耐摩耗性試験機の模式図である。
Claims (8)
- 繊維強化プラスチック基材の表面に、その基材構成成分である樹脂と同種の樹脂およびセラミックス粒子の混合物からなり、かつ基材成分と融合し合っていると共に、トップコートの溶射粒子が食い込んだ構造の焼成中間層を介し、トップコートとして、炭化物サーメットからなる溶射被覆層を形成してなる耐摩耗性等の表面特性に優れるプラスチック基複合材料。
- 焼成中間層におけるセラミックスが、Al2O3,ZrO2,Y2O3,SiO2,TiO2,MgOおよびCr2O3から選ばれる1種以上の酸化物、もしくはWC,Cr3C2,TiCおよびNbCから選ばれる炭化物であることを特徴とする請求項1に記載のプラスチック基複合材料。
- 上記トップコートは、WC,Cr3C2,TiCおよびNbCから選ばれるいずれか1種以上の炭化物セラミックスと、Ni,CrおよびCoから選ばれる1種以上の成分および不可避的不純物成分で構成される炭化物サーメットの溶射層であることを特徴とする請求項1に記載のプラスチック基複合材料。
- 上記トップコートは、その表面の平均あらさRaが0.05〜8μmであり、硬さHvが800〜1300の特性を有することを特徴とする請求項1または3に記載のプラスチック基複合材料。
- 繊維強化プラスチック基材の表面に、その基材構成成分である樹脂と同種の樹脂とセラミックス粒子との混合物を、粉体吹き付け法によって被覆したあと70〜120℃の温度で焼成して基材の樹脂成分と融合させてなる焼成中間層を形成し、次いでその焼成中間層の上に、炭化物サーメット粒子を溶射してトップコートを被覆形成すると共に、溶射粒子を該焼成中間層中に食い込ませることを特徴とするプラスチック基複合材料の製造方法。
- 焼成中間層で用いるセラミックス粒子が、Al2O3,ZrO2,Y2O3,SiO2,TiO2,MgOおよびCr2O3から選ばれる1種以上の酸化物もしくはWC,Cr3C2,TiCおよびNbCから選ばれる1種以上の炭化物であることを特徴とする請求項5に記載の製造方法。
- 焼成中間層形成手段としては、圧縮空気によるスラリー吹き付け法を適用すると共に、必要に応じてその中間層は大気下で70〜120℃で焼成し、一方、トップコート形成手段としては、プラズマ炎、ガス燃焼炎を用いた溶射法を適用することを特徴とする請求項5または6に記載の製造方法。
- 上記トップコートは、WC,Cr3C2,TiCおよびNbCから選ばれるいずれか1種以上の炭化物セラミックスと、Ni,CrおよびCoから選ばれる1種以上の成分および不可避の不純物成分で構成される炭化物サーメットを溶射することによって形成することを特徴とする請求項7に記載の製造方法。
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