図1〜図3は、本発明の実施形態に係る電子機器又は撮像装置としてのビデオカメラ1の外観を示す斜視図である。具体的には、図1(a)は、ビデオカメラ1を使用状態において正面側(被写体側)から見た斜視図、図1(b)は、ビデオカメラ1を使用状態において背面側(基本的な使用態様の撮影者側)から見た斜視図、図2(a)は、ビデオカメラ1を過渡状態(使用状態と後述する収納状態との間の状態)において背面側から見た斜視図、図2(b)は、ビデオカメラ1を収納状態において背面側から見た斜視図、図3は、ビデオカメラ1を収納状態且つバッテリ蓋を開けた状態において背面側からみた斜視図である。
ビデオカメラ1は、例えば、図1〜図3の紙面上方側を実際の上方側として、撮影者が右手で把持して使用することを基本的な使用態様として想定して構成されている。なお、以下では、図1〜図3の紙面上方、紙面下方、被写体側、被写体側とは反対側をそれぞれビデオカメラ1等の上方、下方、前方(前面側、正面側)、後方(背面側)ということがある。また、図1〜図3の紙面上下方向、正面側から背面側への方向(又はその逆の方向)、被写体側から見て左右方向をそれぞれビデオカメラ1等の上下方向、前後方向、左右方向ということがある。
ビデオカメラ1は、撮影等の処理を行うとともに基本的な使用態様において撮影者に把持される本体部3と、本体部3に対して移動可能に連結され、撮影中の画像や過去に記録された画像等の画像を表示する表示部5と、本体部3と表示部5とを連結する連結部7とを有している。本体部3は、被写体からの光の取り込み等を行うためのレンズ部9と、回路基板やバッテリが収納されるとともに基本的な使用態様において撮影者に把持される把持部11とを有している。把持部11は、概ね撮影者の掌に納まる大きさである。
図2(b)に示すように、ビデオカメラ1の非使用時には、ビデオカメラ1は、表示部5が本体部3に対して重ねられることにより折り畳まれている。そして、ビデオカメラ1を使用するときには、まず、図2(a)に示すように、表示部5が第1回転軸RA1回りの回転により本体部3に対して倒立され、次に、図1(b)に示すように、表示部5が第2回転軸RA2回りに回転される。表示部5は、例えば、第2回転軸RA2回りに、図2(a)に示す位置から図1(b)に示す位置を経由して画面5aが前方に向く位置までの270°の角度範囲で回転可能である。
ビデオカメラ1は、例えば、表示部5が図2(b)に示す状態と図2(a)に示す状態との間で遷移したことを検出するセンサ115(図29参照)を有しており、そのセンサの検出結果に基づいて、図2(a)の状態から図2(b)の状態に遷移すると電源をオフとし、図2(b)の状態から図2(a)の状態に遷移すると電源をオンする。
基本的な使用態様では、撮影者は、図1に示すように、表示部5の画面5aを本体部3の背面側に向ける。そして、本体部3の前方側を被写体に、本体部3の背面側を自分に向け、把持部11を右手により把持し、画面5aに映し出される画像を確認しながら、記録の開始や停止の操作を行う。このとき、画面5aの傾斜角(第2回転軸RA2回りの回転角度)は好みに応じて調整される。また、いわゆる自分撮りといわれる、撮影者が被写体となる使用態様では、撮影者は、画面5aを本体部3の前方に向ける。そして、本体部3の前方側を自分に向け、ビデオカメラ1の適宜な部位を把持し、画面5aに映し出される画像を確認しながら、記録の開始や停止の操作を行う。
ビデオカメラ1は、画像の再生のみに使用することも可能である。また、ビデオカメラ1は、画面5aを上方に向けた状態(図2(a)の状態から表示部5を第2回転軸RA2回りに180°回転させた状態)とし、その後、第1回転軸RA1回りに表示部5を本体部3へ重ねる方向へ回転させ、画面5aを外側へ露出した状態で折り畳むことも可能である。
以下では、表示部5が本体部3に重ねられている状態(例えば図2(b)の状態)を閉状態といい、表示部5が本体部3に対して倒立している状態(例えば図1及び図2(a)の状態)を開状態という。また、図2(a)に示すように、閉状態から表示部5が倒立しただけであり、表示部5が第2回転軸RA2回りに回転していない状態を開状態且つ非回転状態といい、表示部5が図2(a)の状態から第2回転軸RA2回りに回転した状態(例えば図1の状態)を開状態且つ回転状態という。閉状態のうち、図2(b)に示すように、画面5aが把持部11に対向する状態を収納状態という。
ビデオカメラ1は、図2(b)に示すように、閉状態において、全体の外形が、概ね、左右方向に薄い直方体状に形成されるように構成されている。具体的には以下のとおりである。
本体部3の外形(本体部3の本体筐体13)は、概ね、薄型直方体に、表示部5及び連結部7を収容するための凹部が形成された形状となっている。すなわち、本体部3の外形は、概ね、ビデオカメラ1の前後方向に直交する断面が前後方向に亘って一様になるように形成されるとともに、前方から見て、レンズ部9が表示部5側に突出することにより、P字状に形成されている。
連結部7の外形(連結筐体17)は、概ね、ビデオカメラ1の前後方向(第1回転軸RA1の軸方向)に延びる柱状(筒状)に形成されている。連結部7は、例えば、前後方向に直交する断面がD字状に形成され、第2回転軸RA2に直交して表示部5に対向する平面部7aを有している。連結部7は、本体部3のレンズ部9と把持部11との境界付近に位置し、本体部3の凹部の端部に収納されるように配置されている。連結部7の前後方向の長さは、表示部5の前後方向の長さと同等である。
表示部5の外形(表示筐体15)は、概ね、薄型直方体状に形成されている。表示部5は、連結部7の平面部7aに対して端面が対向するようにして連結部7に連結されている。表示部5の収納状態(図2(b))における前後方向の長さは概ね本体部3の前後方向の長さと同等であり、上下方向の長さは、本体部3の凹部の上下方向の長さから連結部7の上下方向の幅を差し引いた長さと同等である。
そして、表示部5及び連結部7全体は、概ね本体部3の把持部11に形成された凹部と同等の大きさであり、これらが当該凹部に収容されることにより、ビデオカメラ1は、収納状態において概ね薄型直方体状となる。換言すれば、前方から見て、レンズ部9と把持部11とにより、レンズ部9及び把持部11の並び方向(上下方向)に沿う一平面が形成されるとともに、レンズ部9と表示部5とにより、上下方向に沿う一平面が形成される。なお、ビデオカメラ1は、厳密には、上下方向の端面等が曲面状に形成され、丸みを帯びた形状となっている。すなわち、レンズ部9は前方から見て上方及び下方側が弧状に形成されており、また、把持部11は前方から見て下方側が弧状に形成されている。
ビデオカメラ1の筐体は、本体筐体13、表示筐体15及び連結筐体17により構成されており、適宜に開口が形成され、種々の操作部材等が露出している。具体的には、以下に例示するとおりである。
図1(a)に示すように、レンズ部9の前方側の端面には、被写体を撮像するためのレンズ41が露出する開口9aが形成されている。なお、レンズ41及び開口9aは、例えば、レンズ部9の左右方向及び上下方向の概ね中央に配置されている。従って、表示部5を収納する凹部を構成し、レンズ部9よりも左右方向の幅が小さい把持部11は、レンズ41に対して表示部5とは反対側へ偏って設けられていることになる。
また、図1(b)に示すように、レンズ部9の後方側の端面には、動画の録画の開始及び停止を指定するために押下される録画ボタン19と、ズームイン及びズームアウトを指定するために周方向にスライドされる円環状のズームレバー21と、撮影モードの切り換えを指定するために周方向にスライドされる円環状の切換レバー23とが設けられている。連結部7の後方側の端面には、静止画の撮影を行うために押下されるレリーズボタン25が設けられている。撮影者は、例えば、右手で把持部11を把持しつつ、親指で録画ボタン19、ズームレバー21、切換レバー23、レリーズボタン25を操作して動画又は静止画の撮影を行うことができる。
図1(b)に示すように、連結部7の平面部7aには、レリーズボタン25側に、レリーズボタン25に関する情報(例えば機能)を示す文字又は図形等の模様により形成された指標(本実施形態では文字「PHOTO」を例示)が設けられている。文字「PHOTO」は、例えば、シールが張られたり、塗装がなされたり、若しくは、平面部7aに凹凸が形成されることにより設けられている。図2(a)及び図2(b)に示されるように、閉状態から、開状態且つ非回転状態までの状態では、文字「PHOTO」は、表示部5に被覆されて視認できない。そして、図1(b)に示すように、表示部5が第2回転軸RA2回りに回転されて開状態且つ回転状態となると、文字「PHOTO」は露出されて視認可能となる。
撮影者がレリーズボタン25を操作しようとするのは、通常、開状態且つ回転状態であるから、文字「PHOTO」は、そのようなレリーズボタン25の一般的な使用状態においては視認され、それ以外の場合には視認されないことになる。また、上述のように、ビデオカメラ1は、図2(b)の状態では電源がオフされるから、レリーズボタン25に対する操作が無効であるときには、文字「PHOTO」は視認されないことになる。なお、ビデオカメラ1は、開状態且つ回転状態、若しくは、開状態且つ回転状態のうち文字「PHOTO」が露出する角度範囲に表示部5が位置する状態でのみ、レリーズボタン25に対する操作に応じて静止画を撮影し、それ以外の状態ではレリーズボタン25に対する操作を無視するように構成されてもよい。
上記に述べた操作部材の他、ビデオカメラ1は、例えば、把持部11の表示部5が重ねられる面に各種の押しボタンが配置されている。当該面には、不図示のスピーカの放音口、ビデオカメラ1をリセットするときにピンなどが挿入される孔部なども形成されている。レンズ部9の上面には、不図示のマイクロフォンの収音口が開口している。
図3に示すように、本体部3の本体筐体13は、本体筐体13の大部分を構成する本体筐体主部27と、本体筐体主部27に対して開閉可能に連結される蓋体29とを有している。蓋体29が開かれると、バッテリ31を着脱するためのバッテリ収納部やメモリカード135(図29参照)を挿入するスロット133が露出される。
蓋体29は、例えば、把持部11の後方側の端面の大部分に亘って設けられている。蓋体29は、例えば、ヒンジ部材33を介して本体筐体主部27に連結されている。ヒンジ部材33は、本体筐体主部27に対して上下方向に延びる回転軸回りに回転可能に連結されるとともに、蓋体29に対して蓋体29に沿う水平方向にスライド移動可能に連結されている。
蓋体29は、開かれるときは、ヒンジ部材33に対して図3の紙面右側にスライドされることによりロックが解除された後、ヒンジ部材33とともに本体筐体主部27に対して回転される。閉じられるときは、逆に、ヒンジ部材33とともに本体筐体主部27に対して回転し、その後、ヒンジ部材33に対してスライド移動されてロックされる。
バッテリ31は、例えば、概ね直方体状に構成されており、本体筐体主部27に挿脱される。バッテリ31は、例えば、左右方向及び前後方向においては、把持部11と同等の大きさを有しており、上下方向においては、把持部11の半分程度の大きさを有して把持部11の下方側に配置されている。
図4及び図5は、ビデオカメラ1の開閉及び回転機構を説明する図である。具体的には、図4は、図2(b)に示す収納状態において連結部7及び表示部5の一部を分解して示す筐体外側(図2(b)の紙面左側)から見た斜視図であり、図5は、図4の状態から連結部7及び表示部5を組み立てた状態において連結部7及び表示部5の一部を図4の紙面裏側から見た斜視図である。
連結部7は、連結筐体17(図4及び図5では、連結筐体17の一部である連結筐体主部17aのみ示す。)等に収容されるヒンジ機構35を有している。ヒンジ機構35は、例えば、本体部3に固定される2つの第1ヒンジ部材35a、第1ヒンジ部材35aに対して第1回転軸RA1回りに回転可能に連結される第2ヒンジ部材35b、第2ヒンジ部材35bに対して第2回転軸RA2回りに回転可能に連結される第3ヒンジ部材35c、第3ヒンジ部材35cに固定されるとともに表示部5に固定される第4ヒンジ部材35d(図4)を有している。
第1ヒンジ部材35aは、例えば、ビデオカメラ1の上下方向(図4の紙面左上から紙面右下の方向)に見て、断面L字状に形成されており、本体部3の本体筐体13内に収納されて本体部3に固定される固定部35eと、本体筐体13から突出する突出部35fとを有している。固定部35eは、例えば、本体筐体13の表示部5が重ねられる面に沿う板状に形成されており、本体筐体13、又は、本体筐体13に固定された他の部材にネジなどの固定部材により固定される。突出部35fは、例えば、第1回転軸RA1に直交する板状に形成されている。
第2ヒンジ部材35bは、例えば、第1回転軸RA1の軸方向に延びる長尺状の部材により構成されている。第2ヒンジ部材35bは、第1ヒンジ部材35aのうち、突出部35fの本体部3から突出している部分に対して軸支されている。これにより、第1回転軸RA1は本体部3の外部に位置することになる。
第2ヒンジ部材35b、並びに、第1ヒンジ部材35a及び第3ヒンジ部材35cの一部は、連結筐体17に収容される。第1回転軸RA1が本体部3の外部に位置していることから、連結筐体17は、第2ヒンジ部材35b等を、第1回転軸RA1の軸周りだけでなく、軸方向においても覆うことができる。すなわち、連結筐体17は、第1回転軸RA1が貫通する端面を有したり、当該端面から露出するレリーズボタン25及びレリーズボタン25により押下される不図示のスイッチが配置されたり、本体部3の左右方向に亘る長さに形成されたりすることができる。
第3ヒンジ部材35cは、例えば、第2回転軸RA2の軸方向に延びる長尺状に形成され、連結筐体17から突出するとともに、表示筐体15(図4では、表示筐体15を構成するフロントケース15a及びリアケース15bのうちフロントケース15aのみを示す。)に挿入される。すなわち、第3ヒンジ部材35cは、表示筐体15の外部の第1回転軸RA1から表示筐体15内部へ延びており、第1回転軸RA1を表示筐体15の外部に位置させることを可能としている。
第4ヒンジ部材35dは、例えば、表示筐体15の、連結部7の平面部7aに対向する面に沿う板状に形成されており、表示筐体15に収容されるとともに、表示筐体15、又は、表示筐体15に固定された他の部材にネジなどの固定部材により固定される。
なお、第3ヒンジ部材35c及び第4ヒンジ部材35dは一体的に構成されてもよい。また、第3ヒンジ部材35cは、第2ヒンジ部材35bに対して第2回転軸RA2回りに回転不可能とされるとともに第4ヒンジ部材35d(表示筐体15)に対して第2回転軸RA2回りに回転可能に構成されてもよい。
図6は、ビデオカメラ1における開閉及び回転動作における筐体間の当接について説明する図であり、図6(a)はビデオカメラ1の正面図、図6(b)は図6(a)の一部拡大図である。
連結部7は、表示部5(第2回転軸RA2)が閉位置から90°倒立した状態までしか開方向へ回転しないように設計されている。しかし、実際の製品では、公差などから生じるガタツキにより、表示部5は閉位置から90°の位置よりも開方向へ若干移動する。そして、表示部5が、図6に示すように、レンズ部9の側面に当接する場合がある。この場合、表示部5が第2回転軸RA2回りに回転されると、レンズ部9の側面に傷が生じるおそれがある。そこで、ビデオカメラ1は、以下の構成を有している。
図7は、表示部5を連結部7に連結される側から見た斜視図である。
表示部5は、連結部7に対向する端面に保護部材37を有している。保護部材37は、本体筐体13の、表示部5が当接する部分よりも硬度が低い材料により構成されている。例えば、本体筐体13のうちレンズ部9における部分が金属により構成されているのに対し、保護部材37は樹脂により構成されている。
保護部材37の配置位置及び厚さ等は、表示部5が規定の角度(90°)よりも開かれようとするときに、保護部材37がレンズ部9と表示部5の連結部7に対向する端面との間のスペーサとして機能可能に(表示部5の端面が当接する前にレンズ部9に当接可能に)適宜に設定される。保護部材37は、例えば、概ね表示部5の端面に沿って延び、当該端面と同等の大きさを有する長尺状に形成されている。保護部材37は、例えば、ネジや接着剤等の固定部材により表示筐体15に固定されたり、表示筐体15のフロントケース15a及びリアケース15bに挟持されて表示筐体15に固定される。
図8は、ビデオカメラ1における開閉及び回転動作における筐体間の当接について説明する他の図であり、図8(a)はビデオカメラ1の正面図、図8(b)は表示部5側から見た斜視図である。
表示部5は、閉状態から開状態への過渡状態においても第2回転軸RA2回りに回転可能である。そして、過渡状態において表示部5が第2回転軸RA2回りに回転されると、表示部5が把持部11の側面に当接し、当該側面に傷S(図8(b))が生じるおそれがある。当該傷Sは、第2回転軸RA2を中心とする一筋の弧である。そこで、ビデオカメラ1は、以下の構成を有している。
図9(a)は、本体部3の一部分解斜視図である。本体部3の本体筐体13は、例えば、把持部11の表示部5が重ねられる面を構成する筐体構成部13aが金属により構成されている。そして、筐体構成部13aの表示部5が重ねられる面の一部(貼付エリア13b)には、装飾シート39が接着剤等により固定される。なお、貼付エリア13bは、例えば、把持部11の表示部5が重ねられる面の大部分を占めており、また、傷Sに対して傷Sの半径方向内側及び外側に跨っている。
図9(b)は、装飾シート39の平面図である。装飾シート39は、例えば、樹脂により構成されている。装飾シート39には、金属のスピン目の模様が設けられている。スピン目の模様は、金属に弧状の傷(微小な溝)を付けたような模様である。スピン目の模様は、例えば、装飾シート39に対する印刷により設けられており、装飾シート39に実際に弧状の溝が形成されてスピン目の模様が設けられているわけではない。スピン目は、第2回転軸RA2を中心としている。換言すれば、スピン目は、傷Sと同心円状に設けられている。
従って、傷Sが形成されても、傷Sはスピン目に埋もれて目立たない。なお、把持部11の表示部5が重ねられる面に設けられる各種の操作部材や開口は、傷Sが形成される位置(表示部5が当接する位置)と重複していない位置に設けられることが好ましい。
図10は、ビデオカメラ1のレンズ部9の開口9a(図1(a))を開閉するレンズバリア装置43を示すビデオカメラ1の正面側から見た斜視図である。図11は、レンズバリア装置43を分解して示すビデオカメラ1の背面側(内部側)から見た斜視図である。
レンズバリア装置43は、ビデオカメラ1の非使用時等において、開口9aを閉じてレンズ41を保護するためのものである。レンズバリア装置43は、図11に示すように、開口9aを開閉する主動羽根45及び従動羽根47と、主動羽根45及び従動羽根47を駆動するための歯車列49及びモータ51と、モータ51の制御等を行うためのFPCアセンブリ53と、これらの部品を保持するためのフロントプレート55、センターベース57及びリアプレート59とを有している。
図12は、レンズバリア装置43の主動羽根45及び従動羽根47周辺を分解してビデオカメラ1の正面側から見た斜視図である。
フロントプレート55及びセンターベース57は、互いに対向して配置され、その間に主動羽根45及び従動羽根47を収納するように固定されるものである。例えば、センターベース57は、主動羽根45及び従動羽根47を収納可能な凹部が形成されるように、基部57a及び基部57aからフロントプレート55側へ突出する外周壁部57b等を有しており、フロントプレート55は、概ね板状に形成されており、センターベース57に被せられる。センターベース57は例えば樹脂により、フロントプレート55は例えば一枚の板金により構成され、センターベース57に形成されたボスをフロントプレート55に形成された孔部に挿入して位置決めし、ボスを溶融することなどにより、これらは互いに固定される。
フロントプレート55及びセンターベース57は、本体筐体13の正面側部分の内側面に対して、レンズ部9及び把持部11に跨って対向して配置されるものであり、正面側から見て、本体筐体13の正面側部分の形状と類似した形状となっている。すなわち、フロントプレート55及びセンターベース57は、正面側から見て、概ねP字状に形成されており、レンズ41を露出させるための開口55h及び57hが形成されたレンズ側部55c及び57cと、レンズ側部55c及び57cの下方側に隣接し、レンズ側部55c及び57cよりも左右方向の幅が小さい収容部55d及び57dを有している。なお、開口55h及び57hは、開口9aと概ね同等の大きさ及び形状に形成されている。
主動羽根45は、ビデオカメラ1の正面側から見て、開口9a(図1(a))の左上側の概ね半分を閉じるように構成されている。主動羽根45は、例えば、開口9aから露出してレンズ41の被覆を行う羽根本体45aと、羽根本体45aの下方側に位置し、従動羽根47と連結される羽根連結部45bとを有している。羽根本体45aは、正面から見て、概ね直角三角形に形成されており、斜辺(縁部45i)が開口9aを左上側と右下側とに概ね半分に分割するように配置されている。
従動羽根47は、ビデオカメラ1の正面側から見て、開口9a(図1(a))の右下側の概ね半分を閉じるように構成されている。従動羽根47は、例えば、開口9aから露出してレンズ41の被覆を行う羽根本体47aと、羽根本体47aの下方側に位置し、主動羽根45と連結される延在部47b及び47cとを有している。羽根本体47aは、正面から見て、概ね三角形(若しくは台形)に形成されており、斜辺(縁部47i)が開口9aを左上側と右下側とに概ね半分に分割するように配置されている。
主動羽根45は、上下方向に直線的且つ非回転でスライド移動するように構成されている。具体的には、例えば、センターベース57には、基部57aからフロントプレート55側に突出し、レンズ側部57cから収納部57dへ亘って上下方向に直線的に延びるレール57eが形成されており、主動羽根45には、センターベース57側に突出し、レール57eを左右方向に挟持する複数の突部45eA〜45eD(図17及び図18も参照。本実施形態では4個を例示。以下では、A〜Dを省略することがある。)が上下方向の複数位置(本実施形態では3箇所を例示)に形成されており、複数の突部45eがレール57eに案内されることにより、主動羽根45は、上下方向に直線的且つ非回転でスライド移動する。
従動羽根47は、主動羽根45に軸支されることにより、主動羽根45の上下方向のスライド移動に伴って上下方向に移動するとともに主動羽根45に対する重なりを変化させることができるように構成されている。具体的には、例えば、主動羽根45の羽根連結部45bには円形の孔部45fが形成されており、従動羽根47の延在部47bには円柱状の突部47fが形成されており、突部47fが孔部45fに回転可能に挿入されることにより(図13参照)、従動羽根47は主動羽根45に軸支される。
レンズバリア装置43は、主動羽根45及び従動羽根47を広げる方向(重なりを小さくする方向)に付勢する付勢部材としてのバネ61を有している。バネ61は、例えば、つる巻きバネにより構成されている。主動羽根45の羽根連結部45b及び従動羽根47の延在部47cには、バネ61が係止される突状のバネ係止部45g及び47gが形成されている。
図13は、主動羽根45、従動羽根47及びバネ61を互いに係止してセンターベース57に取り付けて(フロントプレート55を取り外して)正面側から見た斜視図である。
正面側から見て、主動羽根45の羽根本体45aは左側に、従動羽根47の羽根本体47aは右側に位置しているのに対し、バネ係止部45g及び47gは、これとは逆に、主動羽根45のバネ係止部45gが右側に、従動羽根47のバネ係止部47gが左側に位置している。また、バネ係止部45g及び47gは、軸支点(突部47f)に対して羽根本体45a及び47a側に位置している。従って、バネ61は、引張られた状態でバネ係止部45g及び47gに取り付けられると、引張力により羽根本体45a及び47aを開く方向(重なりが小さくなる方向)に主動羽根45及び従動羽根47を付勢する。
図14は、主動羽根45及び従動羽根47の動作を説明する図であり、図14(a)は、開口9a(図1(a))が閉じられてレンズ41が被覆されている状態を、図14(b)は、開口9aが開かれている(又は閉じられている)過程の状態を、図14(c)は、開口9aが開かれてレンズ41が露出された状態を示している。
図14(a)に示すように、閉状態では、主動羽根45の羽根本体45a及び従動羽根47の羽根本体47aはセンターベース57のレンズ側部57cに収容されている。羽根本体45a及び47aは広がっており、羽根本体45a及び47a全体の幅は、開口57h(開口9a)や収納部57dよりも大きい。なお、羽根本体45a及び47aの縁部45i及び47iは、45°よりも急傾斜であり(45°よりも鉛直に近く)、羽根本体45a及び47aのそれぞれの左右方向の幅は、開口57hの左右方向の径よりも小さい。
また、閉状態では、主動羽根45及び従動羽根47は、上端がセンターベース57の外周壁部57bの上方側部分に当接して上方側への移動が規制されている。主動羽根45の左右方向の移動や回転は、センターベース57のレール57eに主動羽根45の複数の突部45e(図12)が係合することにより規制されている。従動羽根47の左右方向の移動は、従動羽根47がバネ61により紙面右方向に付勢されるとともに、従動羽根47の羽根本体47aの右側縁部が外周壁部57bの側壁部57bbに当接することにより規制されている。
なお、側壁部57bbは、外周壁部57bのうち、センターベース57の紙面右側縁部に沿って上下方向に延びる部分であり、ビデオカメラ1の正面から見て、本体筐体13がP字状に形成されていることに合わせて、下方側(収納部57d側)が上方側(レンズ側部57c側)よりも左側(主動羽根45側)に位置するように、緩やかなZ字状に延びている。
図14(b)に示すように、主動羽根45は、直線的且つ非回転で下方側へスライド移動される。従動羽根47は、主動羽根45に軸支されているから、主動羽根45の下方側への移動に伴って、下方側へ移動する。このとき、従動羽根47の羽根本体47aは、センターベース57の側壁部57bbに当接して主動羽根45側への反力を受ける。羽根本体47aは、軸支点(突部47f)よりも上方側に位置しているから、従動羽根47は左回りに回転して主動羽根45に重なっていく。なお、このとき、バネ61は、例えば、徐々に伸びていく。そして、図14(c)に示す閉状態となる。
図14(c)に示すように、従動羽根47が主動羽根45に重なることにより、主動羽根45及び従動羽根47は閉状態のときよりも小さく折り畳まれている。これにより、主動羽根45の羽根本体45a及び従動羽根47の羽根本体47a全体としての左右方向の幅は、閉状態よりも小さくなり、レンズ側部57cよりも左右方向の幅が小さい収納部57dに収容される。
主動羽根45は、非回転でスライド移動したから、閉状態から向きは変化しておらず、左右方向の幅は開状態と閉状態とで変化していない。すなわち、主動羽根45の羽根本体45aの左右方向の幅は、羽根本体45aの上方側の左右方向に延びる縁部の長さのままである。主動羽根45は、羽根本体45aの左右方向の幅が、開口57hの左右方向の径よりも短いものの、収納部57d(把持部11)の幅よりも長い。しかし、上方側の左右方向に延びる縁部45jが、開口57hの下方側の直線状の縁部に隣接し、直角三角形の斜辺を形成する縁部45iが、センターベース57の側壁部57bbの、レンズ側部57cから収納部57dに掛けての傾斜部分に沿うことにより、すなわち、羽根本体45aの形状がレンズ側部57cと収納部57dとの間の形状に一致することにより、開口57hから完全に退避している。
従動羽根47は、回転しつつ平行移動したから、羽根本体47aの左右方向の幅が開状態と閉状態とで変化する。閉状態では、紙面右側において上下方向に延びていた縁部47kから、開口57hを斜めに分割するように延びていた縁部47iの下方側の端部までの距離により羽根本体47aの左右方向の幅が規定されている。開状態では、縁部47iが、レール57e(スライド方向)に概ね平行になっており、縁部47iから、縁部47kの下方側の端部により、羽根本体47aの閉状態における幅が規定されている。閉状態における幅は三角形の斜辺以外の一辺の長さ、開状態における幅は直角の頂点から斜辺への垂線の長さに相当すること、さらには、羽根本体47aは、直角となるべき頂点が面取りされて台形状に形成されていることから、開状態における幅は、閉状態における幅よりも小さい。従って、従動羽根47の回転は、従動羽根47の羽根本体47aを主動羽根45の羽根本体45a側へ移動させて羽根本体45aに重ねて、羽根本体45a及び47a全体の幅を小さくするだけでなく、従動羽根47の羽根本体47a自体の幅も小さくする。
また、軸支点(突部47f)は、延在部47bに設けられることにより、従動羽根47の羽根本体47aから離れた位置に設けられている。その結果、羽根本体47aの回転半径が大きくなり、羽根本体47aは効率的に主動羽根45側へ移動する。
図11に示すように、主動羽根45は、センターベース57に対して主動羽根45とは反対側に配置された歯車列49によって駆動される。歯車列49は、長手方向へ移動するラックギア63を有しており、当該ラックギア63が主動羽根45に連結されることにより、主動羽根45はスライド移動に必要な駆動力が伝達される。ラックギア63及び主動羽根45は、具体的には、以下のように連結される。
図15は、ラックギア63を示す図であり、図15(a)は、正面側(主動羽根45側)から見た斜視図、図15(b)は、背面側(歯車列49側)から見た斜視図、図15(c)は、平面図である。
ラックギア63は、複数の歯63zが直線状に配列されたギア本体63aと、ギア本体63aの上方側の一端寄りの位置において正面側に突出する突出部63bとを有している。突出部63bは、枝分かれして、ラックギア63をセンターベース57に係止するための第1係止部63cと、ラックギア63を主動羽根45と連結するための第2係止部63dとを有している。
図16は、センターベース57に対するラックギア63の取り付けを説明する図であり、図16(a)は、センターベース57及びラックギア63を背面側(歯車列49側)から見た分解斜視図であり、図16(b)は、センターベース57にラックギア63を取り付けた状態を示す背面側からの斜視図であり、図16(c)は、図16(b)のXVIc−XVIc線における断面図である。
センターベース57には、ラックギア63のギア本体63aを収容して上下方向に案内可能な案内溝57fが形成されている。案内溝57fは、歯車列49側(図16(a)及び図16(b)の紙面手前側、図16(c)の紙面下方側)に突出するリブが形成されることなどにより構成され、図16(a)及び図16(b)に示すように、開口57hよりも紙面右側(レンズ側部57cが収納部57dに対して突出する側とは反対側)に設けられ、センターベース57のレンズ側部57c及び収納部57dに亘って直線状に延びている。案内溝57fの長さは、例えば、ラックギア63の長さの概ね2倍である。
案内溝57fの底部には、ラックギア63の突出部63bが挿入されて案内されるスリット57gが形成されている。図16(a)及び図16(b)に示すように、スリット57gは、案内溝57fの概ね半分の長さで開口57h寄り配置され、開口57hよりも下方側に亘って延びている。スリット57gは、図16(a)に示すように、大部分の幅は、ラックギア63のギア本体63aの幅(正面側から見た幅)よりも小さく、且つ、突出部63bの、第1係止部63cよりも根元側の幅よりも大きい一定の大きさに設定されており、上端の一部に、幅がギア本体63a及び突出部63b(第1係止部63c)の幅よりも大きくなる拡径部が形成されている。
ラックギア63は、複数の歯63zが開口57h側(図16(a)〜図16(c)の紙面左側)になるように、突出部63bをスリット57gの上端の拡径部に挿入しつつ案内溝57f内に挿入される。図16(c)に示すように、ラックギア63の第1係止部63cは、突出部63bの中途からスリット57gの開口方向に交差する方向に突出しており、ラックギア63を案内溝57fに挿入して下方へスライドさせると、第1係止部63cとギア本体63aとにより案内溝57fの底部が挟まれ、ラックギア63は案内溝57fを摺動可能にセンターベース57に取り付けられる。また、第2係止部63dは、センターベース57から正面側(主動羽根45側)に突出する。
図17は、センターベース57及び主動羽根45等を正面側から見た分解斜視図である。上述のスリット57gは、例えば、主動羽根45を案内するためのレール57eよりも図17の紙面左側(センターベース57のレンズ側部57cが収納部57dよりも突出する側とは反対側)において開口している。そして、スリット57gからは、上述のように、ラックギア63の突出部63b(第2係止部63d)が突出している。第1係止部63cは、レール57eの側面に隣接又は当接している。
主動羽根45は、図17の紙面左側の縁部45kから図17の紙面左側へ突出する係止部45mを有している。係止部45mは、例えば、主動羽根45の下端側に形成されている。主動羽根45は、突部45eとレール57eとを嵌合させるようにセンターベース57に取り付けられる。そして、ラックギア63の突出部63bに対して以下のように連結される。
図18は、センターベース57を省略してラックギア63と主動羽根45との連結状態を示す斜視図であり、図18(a)は正面側から見た図、図18(b)は背面側から見た図である。
図18(a)に示すように、主動羽根45の係止部45m及びラックギア63の第2係止部63dには、弾性部材としてのバネ65が掛架される。バネ65は、例えば、つる巻きバネにより構成されている。係止部45mは第2係止部63dよりも下方側に位置しているから、主動羽根45が下方側へ、ラックギア63が上方側へ移動する、主動羽根45とラックギア63との相対移動は、バネ65の引張力により弾性的に規制される。
図18(b)に示すように、主動羽根45の、レール57eに案内される複数の突部45eのうちの突部45eBは、ラックギア63の、センターベース57に係合する第1係止部63cに対して、下方側から上方側へ当接して係合している。これにより、主動羽根45が上方側へ、ラックギア63が下方側へ移動する、主動羽根45とラックギア63との相対移動は、バネ65の引張力により規制される。
図19は、主動羽根45及びラックギア63の動作を説明する模式図である。なお、図19では、ラックギア63については、ギア本体63aの図示は省略し、第1係止部63c及び第2係止部63dのみを図示する。
図19(a)に示す開状態では、主動羽根45は、突部45eBがラックギア63の第2係止部63dに係合しており、上方側への移動が規制されている。また、バネ65の引張力により、上方側へ付勢されており、下方側への移動が規制されている。なお、このときのバネ65の引張力は適宜に設定されてよく、また、引張力(伸び)が0であってもよい。
図19(b)に示すように、閉状態とするために、ラックギア63を上方側へ移動させると、主動羽根45は、バネ65を介して引張り上げられ、上方側へ移動する。なお、このときのバネ65の長さLは、図19(a)の状態において、バネ65が、ある程度以上の引張力を発揮するように取り付けられていれば、図19(a)の状態と同一であり、図19(a)の状態において、バネ65の引張力が小さい若しくは0であれば、図19(a)の状態よりも、主動羽根45等を駆動するのに必要な力に相当する伸びだけ長くなる。
図19(c)に示すように、閉状態となる中途において、異物FBが開口9aの縁部と主動羽根45とに挟まると、主動羽根45は停止する。しかし、ラックギア63は、バネ65を伸ばしつつ上昇する。バネ65は、伸びΔLの増加に伴って、ラックギア63を停止させる力を徐々に増加させる。これにより、主動羽根45、ラックギア63、モータ51等に加わる衝撃を緩和することができる。
なお、バネ65のバネ定数やモータ51の駆動力等は、主動羽根45が大きな異物FBにより開位置から全く上昇しなくてもラックギア63が上端まで移動するように設定されていてもよいし、主動羽根45が停止したらラックギア63が所定長さだけ上昇して停止するように設定されていてもよい。
閉状態から開状態へ遷移する場合には、ラックギア63が下方側へ移動し、ラックギア63の第1係止部63cが主動羽根45の突部45eBに上方側から下方側へ係合することにより、主動羽根45は下方側へ移動する。
図20は、歯車列49の構成を説明する図であり、図20(a)は、歯車列49をセンターベース57に取り付けられた状態でビデオカメラ1の背面側から示す斜視図であり、図20(b)は、センターベース57を省略してビデオカメラ1の正面側から示す斜視図である。
歯車列49は、例えば、モータ51の出力軸51aに固定されるウォームギア67と、ウォームギア67に噛合するホイールギア69と、ホイールギア69に噛合する減速ギア71と、減速ギア71に噛合するカムギア73と、カムギア73に噛合するラック駆動ギア75とを有している。
ウォームギア67は、モータ51の出力軸51a回りに出力軸51aと共に回転する。なお、モータ51は、例えば、センターベース57の下端において、出力軸51aを上方へ向けて固定されており、出力軸51a及びウォームギア67は、センターベース57に重なる位置に配置されるとともに、上下方向に延びる回転軸回りに回転可能である。
ホイールギア69、減速ギア71、カムギア73及びラック駆動ギア75は、例えば、センターベース57の基部57aから背面側へ突出する軸部が挿入されて、ビデオカメラ1の前後方向に延びる回転軸回りに回転可能に設けられている。これらのギアは、センターベース57の背面側に固定されるリアプレート59(図11)により、センターベース57の軸部からの抜けが防止される。
ホイールギア69は、例えば、ウォームギア67に噛合する大径部69aと、大径部69aよりも歯数が少ない小径部69b(図20(b))とを有している。ウォームギア67と大径部69aとの噛合により、モータ51の出力軸51aの、上下方向に延びる回転軸回りの回転は、ホイールギア69の、前後方向に延びる回転軸回りの回転に変換される。
減速ギア71は、ホイールギア69の小径部69bに噛合する、小径部69bよりも歯数の多い大径部71aと、大径部71aよりも歯数の少ない小径部71b(図20(a))とを有している。ホイールギア69の大径部69aよりもホイールギア69の小径部69bの歯数が少なく、さらには、ホイールギア69の小径部69bよりも減速ギア71の大径部71aの歯数が多いことから、減速ギア71は、ホイールギア69よりも低速で回転する。
図21〜図23は、カムギア73及びラック駆動ギア75を拡大して示す図である。図21〜図23は、互いに異なる状態を示している。図21(a)、図22(a)、図23(a)は、ビデオカメラ1の正面側から見た斜視図であり、図21(b)、図22(b)、図23(b)は、ビデオカメラ1の背面側から見た斜視図である。また、図24は、減速ギア71、カムギア73及びラック駆動ギア75を拡大して示す、図20(a)の紙面右側から見た斜視図である。
カムギア73及びラック駆動ギア75は、単純にラックギア63に動力を伝達するだけでなく、ラックギア63を精度良く停止させることができるように構成されている。具体的には、以下のとおりである。
カムギア73は、複数の幅広歯73zA及び幅狭歯73zBが円周方向に沿って配列されたギア部73aと、ギア部73aと同軸状に設けられたカム部73bとを有している。
幅狭歯73zBは、いわば、カムギア73の円周に亘って配列された複数の幅広歯73zAのうち、一部の範囲内の複数の幅広歯73zAの幅(回転軸方向の長さ)を削って形成されたかのように設けられており、歯幅以外(歯厚、ピッチ、歯たけ等)は、幅広歯73zAと同一である。また、複数の幅広歯73zAの幅(回転軸方向の長さ)を削ったかのような部分は、欠歯部73cとなっている。
なお、ギア部73aは、円周に亘って設けられた複数の第1歯73y(幅広歯73zAの、幅狭歯73zB側の約半分の部分)と、複数の第1歯73yと同軸状に配列された複数の第2歯73x(幅広歯73zAの残りの部分)とを有し、複数の第2歯73xが一部の範囲において省略されて、欠歯部73cが設けられるとともに、第1歯73yと第2歯73xとが一体的に形成されていると捉えられることもできる。以下では、ギア部73aを説明するときに、説明の便宜に応じて、適宜に、幅広歯73zA、幅狭歯73zB、第1歯73y、第2歯73xの語を用いる。
カムギア73のギア部73aは、図20(a)及び図24に示すように、減速ギア71の小径部71bに噛合可能である。なお、減速ギア71は、ギア部73aのうち第1歯73y及び第2歯73xの双方に噛合しているから、欠歯部73cの有無に関らず、ギア部73aに回転を伝達する。ギア部73aの歯数(第1歯73yの歯数)は、例えば、減速ギア71の小径部71bの歯数よりも多い。減速ギア71の大径部71aよりも減速ギア71の小径部71bは歯数が少なく、さらには、減速ギア71の小径部71bよりもカムギア73のギア部73aは歯数が多いから、カムギア73は減速ギア71よりも低速で回転する。
ラック駆動ギア75は、円周に亘って複数の歯が配列されたギア部75aと、ギア部75aと同軸状に設けられ、カムギア73のカム部73bに当接可能な摺動部75bとを有している。
ギア部75aは、カムギア73の第2歯73xに噛合可能である。ただし、カムギア73の第1歯73yには噛合していない。従って、ラック駆動ギア75は、カムギア73が回転方向の所定範囲に位置するときには、ラック駆動ギア75のギア部75aがカムギア73の第2歯73xに噛合することにより、カムギア73の回転が伝達されて回転し、それ以外の範囲では、ギア部75aがカムギア73の欠歯部73cに位置することにより、カムギア73の回転が伝達されない。なお、ギア部75aの歯数は、例えば、カムギア73の歯数(第1歯73yの歯数)と同等又はそれ以下であり、ラック駆動ギア75は、カムギア73と同等又はカムギア73よりも高速で回転する。
また、ラック駆動ギア75のギア部75aは、ラックギア63のギア本体63aに噛合している。従って、ラック駆動ギア75が回転することにより、ラックギア63は上下方向へ直動される。なお、ラック駆動ギア75のギア部75aの歯数は、例えば、ラックギア63の歯数よりも若干小さく(例えば、ギア部75aの歯数が18個なのに対して、ラックギア63の歯数が16個)、ラックギア63は、ラック駆動ギア75が1周弱すると、可動範囲の一端から他端へ移動する。
カムギア73のカム部73bは、カムギア73の半径方向に突出するとともに円周方向に延びる突条部により形成されている。カム部73bは、欠歯部73cが設けられている範囲(幅狭歯73zBの配置範囲)に亘って設けられている。より詳細には、カム部73bは、欠歯部73cの一端に隣接する幅広歯73zAから他端に隣接する幅広歯73zAまでの範囲に亘って設けられている。カム部73bは、例えば、全体に亘って、幅狭歯73zBの歯たけと同等の突出量で歯底から突出している。
ラック駆動ギア75の摺動部75bは、ラック駆動ギア75の半径方向へ突出し、円周方向に沿って配列された複数の爪部75cA、75cB、75cC(以下、A〜Cを省略することがある。)を有している。複数の爪部75cは、例えば、互いに同一の形状及び大きさに形成されており、等間隔で配置されている。爪部75cは、カムギア73のカム部73bの外周面に当接可能であるとともに、カムギア73の他の部分には当接不可能な突出量で突出している。
図21〜図23を参照して、カムギア73及びラック駆動ギア75の作用を説明する。
図21は、レンズバリア装置43が閉状態となっている状態、換言すれば、ラックギア63が上方側に位置している状態を示している(図20(a)も参照)。この状態において、カムギア73がラックギア63を上方へ移動させる方向(図21(a)において矢印y1により、図21(b)において矢印y2により示す方向)に回転しても、ラック駆動ギア75のギア部75aは、カムギア73の欠歯部73cに位置しており、ラック駆動ギア75は回転しない。また、ラック駆動ギア75の爪部75cB及び75cCがカムギア73のカム部73bに2点支持(係合)されて摺動することから、ラック駆動ギア75が慣性力等により回転することも防止されている。従って、ラックギア63は上方へ移動せず、定位置に保たれる。
図22は、図21の状態から、カムギア73が、レンズバリア装置43を開状態とする方向へ、換言すれば、ラックギア63を下方へ移動させる方向(図22(a)において矢印y3により、図22(b)において矢印y4により示す方向)に回転した状態を示している。この状態では、カムギア73の欠歯部73cに隣接する幅広歯73zA(第2歯73x)がラック駆動ギア75のギア部75aに噛合し始め、ラック駆動ギア75は回転する。この際、ラック駆動ギア75の爪部75cBは、カム部73bから離間し、爪部75cCは、カム部73bの非配置位置に入り込み、爪部75cは、ラック駆動ギア75の回転を許容する。
図23は、図22の状態から、カムギア73が更に矢印y3及びy4で示す方向へ回転して、レンズバリア装置43が開状態となった状態、換言すれば、ラックギア63が下方側に位置している状態を示している。この状態では、ラック駆動ギア75は、ギア部75aがカムギア73の欠歯部73cに位置し、カムギア73から動力が伝達されない。また、ラック駆動ギア75は、爪部75cA及び爪部75cBがカムギア73のカム部73bに2点支持されて摺動することから、慣性力等により回転することが防止されている。従って、ラックギア63は下方へ移動せず、定位置に保たれる。
なお、3つの爪部75cのうち中央の爪部75cBは、開状態と閉状態との双方において利用される。また、レンズバリア装置43の開状態から閉状態への遷移も閉状態から開状態への遷移と同様に行われる。すなわち、カムギア73が矢印y3及びy4とは逆方向へ回転することにより、カムギア73及びラック駆動ギア75は、図23の状態から図22の状態を経由して図21の状態へ遷移する。
図25は、歯車列49の位置検出方法を説明する斜視図である。レンズバリア装置43は、歯車列49の位置、ひいては、ラックギア63や主動羽根45の位置を検出するために、例えば、カムギア73の回転位置を検出するセンサ77を有している。
センサ77は、例えば、FPCアセンブリ53(図11)に設けられたホールセンサにより構成され、カムギア73の回転軸から所定距離離れた位置において、カムギア73のセンターベース57側の面に対向して配置されている。一方、カムギア73には、回転軸から前記の所定距離離れた位置に回転軸方向に貫通する孔部73h(図21(b)も参照)が設けられるとともに、孔部73h内に磁石79が設けられている。磁石79は、カムギア73の円周方向(接線方向)の一端側がN極、他端側がS極となるように設けられるとともに、図21に示す閉状態においては、N極及びS極の一方がセンサ77に対向し、図23に示す開状態においては、N極及びS極の他方がセンサ77に対向するように設けられている。従って、センサ77により、N極又はS極が検出されることにより、開状態又は閉状態におけるカムギア73の位置が検出される。なお、磁石79は、例えば、接着やスナップフィットによりカムギア73に取り付けられている。
図26は、図2(b)のXXVI−XXVI線における模式的な断面図である。なお、図26では、説明の便宜上、厳密にはXXVI−XXVI線の断面図には示されない部材も示している。
上述のように、ビデオカメラ1の本体部3は、レンズ部9と把持部11とを有している。レンズ部9では、レンズ41を保持するレンズ鏡筒85が配置されるから、筐体内に回路基板等を設けるスペースを大きく確保することは困難である。また、本体部3の下方側となる下側部83は、バッテリ31やフラッシュ用コンデンサ87等が配置されるから、筐体内に回路基板等を設けるスペースを大きく確保することは困難である。その結果、本体部3の中央側(把持部11の上方側)となる中央部81には、複数の回路基板が密集して配置されることになる。
具体的には、中央部81内では、ビデオカメラ1の左右方向に面する複数の回路基板(第1回路基板89、第2回路基板91及び第3回路基板93)が積層的に配置されるとともに、上下方向に面する第4回路基板95がレンズ部9側に配置されている。第1〜第3回路基板89.91、93は、例えば、上下方向及び前後方向において把持部11に亘るように広がっている。
このような回路基板が密集する中央部81において、回路基板に設けられた複数の電子部品97を効率的に冷却するために、ビデオカメラ1は、以下のような構成を有している。
図27は、本体筐体13内部、且つ、中央部81における一部の部材の分解斜視図である。なお、図27の紙面左側が表示部5側(図26の紙面右側)である。
第1回路基板89及び第2回路基板91は、例えば、硬質の樹脂をベースとしたリジッドタイプのプリント配線板により構成されており、両面に複数の電子部品97が実装されている。複数の電子部品97は、例えば、ICである。複数の電子部品97は、例えば、ビデオカメラ1の撮影に係る処理を実行する映像信号処理回路113(図29参照)や制御部111(図29参照)を構成しており、ビデオカメラ1の稼動に伴って発熱する。
第1回路基板89と第2回路基板91との間には、ポンプブロック99が設けられる。ポンプブロック99は、空気を吸引して送出するポンプ101(図26も参照)と、ポンプ101を収容するとともに空気の流路を構成するダクト103(図26も参照)と、ダクト103及び第1回路基板89に挟まれる第1シート105と、ダクト103及び第2回路基板91に挟まれる第2シート107とを有している。
ポンプ101は、例えば、圧電ポンプにより構成されており、不図示の圧電素子と、その圧電素子を収容するポンプ筐体101aとを有している。圧電素子に電圧が印加されると、圧電素子の振動により、ポンプ筐体101aに空気が吸引されてポンプ筐体101aから排出される。ポンプ筐体101aは、例えば、概ね薄型直方体状に形成されてダクト103に収容される部分と、当該部分から第1回路基板89側へ突出する排気管101bとを有している。排気管101bは、ダクト103の外部へ突出するとともに、図26に示すように、第1回路基板89も貫通し、本体筐体13の、表示部5が重ねられる面に開口する排気口13h(図1も参照)を介して本体筐体13外部に連通している。
ダクト103は、例えば、第1回路基板89及び第2回路基板91と同等の広さを有する薄型直方体状に形成されており、第1回路基板89及び第2回路基板91に対して積層的に配置される。ダクト103には、吸気を行うための吸気口103hがビデオカメラ1の後方側(図27の紙面手前側)の側面に形成されている。ダクト103は、例えば、熱伝達率の高い材料、例えば、金属により形成されている。なお、ダクト103は、第1回路基板89等のグランドラインに接続されて、ポンプ101の生成するノイズを閉じ込めるシールドとして機能してもよい。
第1シート105及び第2シート107は、例えば、弾性部材により構成されている。弾性部材は、例えば、シリコンゴムである。そして、第1シート105及び第2シート107は、ダクト103及び電子部品97に挟まれて、これらに密着(面接触)する。これにより、電子部品97の熱は効率的にダクト103に伝達される。なお、第1シート105及び第2シート107は、例えば、接着剤等の固定部材により、ダクト103又は電子部品97に取り付けられ、ビデオカメラ1が組み立てられることにより、ダクト103及び電子部品97に挟まれて密着する。
なお、ダクト103の第1回路基板89及び第2回路基板91に対向する面には、一の電子部品97の平面形状、又は、複数の電子部品97をグループ化した平面形状と概ね同一の平面形状に形成された、頂部が平面状の複数の突部103bが形成されている。複数の突部103bは、複数の電子部品97と複数の突部103bとの距離が互いに同等になるように設定されている。従って、第1シート105及び第2シート107は、複数の電子部品97に亘って共通に設けられることができる。
図28は、図26のXXVIII−XXVIII線における模式的な断面図である。なお、図28の紙面左側がビデオカメラ1の後方(蓋体29側)である。
ダクト103の内部には、矢印y11で示されるように、ポンプ101が吸引する空気の流路が形成されている。ダクト103は、流路内に突出するとともに流路に沿うように配置された複数のフィン103aを有している。なお、複数のフィン103aは、ポンプ101の周囲に沿って、配列又は延び、ポンプ101の周囲に亘って空気を流す流路の形成にも寄与している。
ポンプブロック99は、矢印y13で示すように、ビデオカメラ1の後方側から本体筐体13の外部から空気を取り入れる。具体的には、以下のとおりである。
図2及び図28に示すように、蓋体29には、蓋体29を貫通する吸気口29hが形成されている。吸気口29hは、例えば、把持部11の表示部5側且つ下方側に配置されており、基本的な使用態様において把持部11を把持する撮影者の右手により塞がれ難くなっている。吸気口29hは、例えば、上下方向に延びるスリット状に形成されている。
図3及び図28に示すように、蓋体29の内側には、ヒンジ部材33の板状部が対向しており、当該板状部と蓋体29との隙間により流路が形成されている。ヒンジ部材33には、吸気口29hよりも上方側(ポンプブロック99側)に連通孔33hが形成されており、本体筐体13の本体筐体主部27の連通孔33hに対向する位置には連通孔27hが形成されている。連通孔27hは、図28に示すように、ダクト103の吸気口103hに対向している。
従って、本体筐体13外の空気は、吸気口29h、蓋体29とヒンジ部材33との隙間、連通孔33h、連通孔27h及び吸気口103hを介してダクト103内に取り入れられる。このようにすることにより、部品点数を増加させることなく、吸気口29hを撮影者により塞がれ難い適宜な位置へ配置できる。
なお、吸気口29hは、比較的小さく形成されることにより、吸気口29hにおける流速を速くし、本体部3により暖められた本体部3近傍の空気ではなく、より低い温度の外気を吸気できる。これにより、ポンプブロック99における熱交換率を上げることができる。
図29は、ビデオカメラ1の信号処理系の構成を示すブロック図である。
ビデオカメラ1は、例えば、録画ボタン19やレリーズボタン25を含む操作部109からの信号に基づいてビデオカメラ1全体の動作の制御を行う制御部111と、映像に係る処理を行う映像信号処理回路113とを有している。制御部111及び映像信号処理回路113は、例えば、第1回路基板89及び第2回路基板91等の回路基板に実装された電子部品97(IC)により構成されている。
制御部111は、例えば、表示部5が開状態とされたときにレンズバリア装置43を開状態とし、表示部5が閉状態とされたときにレンズバリア装置43を閉状態とするように、表示部5の開閉を検出するセンサ115からの信号に基づいてモータドライバ117を介してモータ51の動作を制御する。なお、制御部111は、センサ77の検出信号に基づいて、開状態及び閉状態におけるカムギア73の位置を検知してモータ51の位置制御を行う。
また、制御部111は、例えば、操作部109からの信号や温度センサ119の検出結果等に基づいて、ドライバ121を介してポンプ101の動作を制御する。温度センサ119は、例えば、本体筐体13内且つ中央部81において設けられており、中央部81に密集して配置された回路基板の電子部品97の周囲の温度を検出する。
レンズ41は、例えば、CCD等の受光素子123の受光面に光を結像させる。受光素子123は、受光した光に応じた電気信号をアンプ125を介してカメラ信号処理回路127に出力する。カメラ信号処理回路127は、受光素子123からの電気信号を所定のフォーマットの映像信号に変換して映像信号処理回路113に出力する。映像信号処理回路113は、操作部109からの信号等に基づく制御部111からの制御信号に基づいて、カメラ信号処理回路127からの映像信号に基づく映像を、モニタドライバ129を介して表示部5に表示させたり、インターフェース131を介してメモリカード135に記録したり、インターフェース137を介してテレビやプロジェクター等の他の機器へ出力する。
図30は、制御部111がポンプ101を制御するために実行する処理の手順を示すフローチャートである。この処理は、例えば、ビデオカメラ1の電源がオンにされてからオフにされるまで実行される。
ステップS1では、制御部111は、温度センサ119の検出した温度が、所定の最大許容温度Tmaxを超えたか否か判定する。最大許容温度Tmaxは、例えば、ビデオカメラ1の製造者により予め設定されて制御部111が保持している値であり、また、それ以上、温度センサ119の周囲における温度が上昇することが好ましくない温度である。制御部111は、検出温度が最大許容温度Tmaxを越えたと判定した場合は、ステップS6経由でステップS4に進み、ポンプ101を作動させ、又は、作動を継続し、検出温度が最大許容温度Tmaxを越えていないと判定した場合は、ステップS2に進む。ステップS6については後述する。
ステップS2では、制御部111は、温度センサ119の検出した温度が、冷却推奨温度Tminを超えたか否か判定する。冷却推奨温度Tminは、例えば、ビデオカメラ1の製造者により予め設定されて制御部111が保持している値であり、また、ポンプ101が駆動されて電子部品97の冷却が行われることが好ましいが、最大許容温度Tmaxよりも低い温度である。制御部111は、検出温度が冷却推奨温度Tminを越えていないと判定した場合は、ステップS5に進み、ポンプ101を停止させ、又は、ポンプ101の停止を継続し、検出温度が冷却推奨温度Tminを越えたと判定した場合は、ステップS3に進む。
ステップS3では、制御部111は、現在が動画の撮影中か否か判定する。制御部111は、操作部109からの信号に基づいてビデオカメラ1全体の動作を制御しているから、その制御に係るフラグなどを参照することにより、当該判定はなされる。なお、動画が撮影されている状態は、受光素子123に結像がなされ、受光素子123からの信号に基づく画像処理が連続的に行われている状態であり、動画をメモリカード135等に録画している状態だけでなく、動画を録画せずに表示部5に表示したり、他の機器に出力している状態を含む。なお、ステップS3では、動画の録画中か否かが判定されるようにしてもよい。
制御部111は、ステップS3において、撮影中でないと判定した場合は、ステップS4に進み、ポンプ101を作動させ、又は、作動を継続し、撮影中と判定した場合は、ステップS5に進み、ポンプ101を停止させ、又は、ポンプ101の停止を継続する。このように、撮影中においてはポンプ101を停止させることにより、ポンプ101の作動音が録音されることなどが防止される。
ただし、上述のように、検出温度が最大許容温度Tmaxを超えた場合には、撮影中か否かに関らずポンプ101は作動される。そこで、ステップS6では、制御部111は、ポンプ101の動作に係る情報を撮影者に報知する。例えば、表示部5にメッセージを表示したり、適宜な位置に配置されたLEDを点灯させたりすることにより、ポンプ101が作動中であることを知らせる。表示部5にメッセージを表示するときには、ポンプ101が作動中であることだけでなく、電子部品97を冷却するための一時的なものである等の適宜な説明を表示してもよい。このようなポンプ101の動作に係る情報を報知することにより、ポンプ101の作動音が録音されてしまうことなどに対する撮影者の理解を得ることができる。
なお、ステップS1〜S4は、比較的短い周期(例えば、0.1秒)で実行される。また、図30のフローチャートは、制御部111の動作の概略を示したものであり、適宜に修正されてよい。例えば、ステップS1の判定を毎回行うとすれば、温度センサ119の検出する温度が最大許容温度Tmaxや冷却推奨温度Tmin近傍であるときに、ポンプ101の作動と停止とが頻繁に繰り返されるおそれがあるから、検出温度が一度最大許容温度Tmax等を越えた後は、一定期間は検出温度に関らずポンプ101を作動させるようにしたり、最大許容温度Tmax等を低く再設定して不感帯を設けたりしてもよい。
以上の実施形態によれば、筐体連結構造の豊富化を図ることができる電子機器を提供できるという、第1の観点の効果が得られる。具体的には、以下のとおりである。
ビデオカメラ1は、本体筐体13と、表示筐体15と、本体筐体13及び表示筐体15を、第1回転軸RA1回りに開状態から閉状態へ折り畳み可能且つ第1回転軸RA1に直交する第2回転軸RA2回りに回転可能に連結する連結部7と、を有し、第1回転軸RA1は、本体筐体13及び表示筐体15の外部に位置していることから、従来にない筐体の連結構造が提供される。その結果、例えば、連結筐体17の、第1回転軸RA1が貫通する端面を本体筐体13及び表示筐体15から露出させたり、さらには、その端面にレリーズボタン25を設けて使い易さを向上したりすることができる。
連結部7は、本体筐体13に対して第1回転軸RA1回りに回転可能且つ表示筐体15に対して第2回転軸RA2回りに回転可能に連結される連結筐体17を有し、連結筐体17は、第1回転軸RA1の軸方向に延びる筒状に形成され、第1回転軸RA1が貫通する端面が本体筐体13及び表示筐体15から露出し、第1回転軸RA1に直交する断面の形状がD字状に形成されて第2回転軸RA2に直交して表示筐体15に対向する平面部7aを有することから、連結筐体17は、本体筐体13や表示筐体15に対する移動方向に沿った形状となり、換言すれば、連結筐体17は、ビデオカメラ1の開閉及び回転に適した形状となり、ビデオカメラ1全体として小型化を図り、開状態及び回転状態において表示筐体15を本体筐体13に近接させることなどができる。
連結筐体17の平面部7aには、閉状態において表示筐体15に対向して表示筐体15に被覆され、表示筐体15が閉状態から開状態へ遷移し且つ第2回転軸RA2回りに本体筐体13に対して回転されたときに露出する、レリーズボタン25に関する情報を示す指標としての文字「PHOTO」が設けられていることから、レリーズボタン25が使用される状況においてレリーズボタン25の操作を誘導する斬新なデザインが実現される。
表示筐体15の第2回転軸RA2の軸方向において連結部7に対向する面には、表示筐体15よりも硬度が低い保護部材としての保護部材37が設けられていることから、表示筐体15を本体筐体13に近接させることが可能な本実施形態の連結構造において、表示筐体15が本体筐体13に当接して傷が付くおそれを低減できる。また、連結筐体17がD字状であることから、保護部材37は、視認されがたく、また、連結筐体17と表示筐体15との隙間を好適に塞いでデザイン性を向上させることができる。
本体筐体13は、閉状態において表示筐体15が配置される凹部(把持部11の表示部5側の部分)と、当該凹部が形成されることにより構成された突部(レンズ部9の表示部5側の部分)とを有し、保護部材37は、開状態において表示筐体15が本体筐体13に対して第2回転軸RA2回りに回転したときに第2回転軸RA2の軸方向において表示筐体15とレンズ部9との間のスペーサとして機能可能に設けられ、本体筐体13のレンズ部9における部分よりも硬度が低い材料により形成されていることから、本体筐体13のレンズ部9における部分に傷が付くことが抑制される。なお、保護部材37に傷が付いても、保護部材37は視認されにくいことから、ビデオカメラ1の美観が損なわれるおそれは低い。
また、以上の実施形態によれば、羽根の収納場所を小さくできる撮像装置及び開閉装置を提供することができるという、第2の観点の効果が得られる。具体的には、以下のとおりである。
ビデオカメラ1は、レンズ41と、レンズ41の前面を覆う被覆位置とレンズ41の前面から退避した退避位置との間でスライド移動可能な第1の羽根としての主動羽根45と、主動羽根45に軸支されており、主動羽根45のスライド移動に伴って、主動羽根45と共に被覆位置と退避位置との間で移動するとともに退避位置において被覆位置におけるよりも主動羽根45に重なるように主動羽根45に対して回転する第2の羽根としての従動羽根47とを有することから、各羽根(45、47)の大きさと同等の収納場所が不要であるとともに、主動羽根45が回転するための軸支点を設ける必要も無く、羽根の収納場所を小さくすることができる。
ビデオカメラ1は、主動羽根45及び従動羽根47を広げる方向に付勢する付勢部材としてのバネ61と、主動羽根45及び従動羽根47が被覆位置から退避位置へ移動したときに、従動羽根47がバネ61の付勢力に抗して主動羽根45に重なる方向へ回転するように従動羽根47に当接する当接部としての側壁部57bbとを有することから、簡素な構成で従動羽根47を回転させる駆動力を得ることができる。
主動羽根45は、被覆位置と退避位置との間を直線的に且つ非回転でスライド移動することから、構成が簡素であるとともに、主動羽根45を回転可能とするスペースを設ける必要がない。
ビデオカメラ1は、レンズ41並びに主動羽根45及び従動羽根47を収容する本体筐体13を有し、本体筐体13は、レンズ41の前面側から見て、レンズ41を収容する第1構成部としてのレンズ部9(を構成する部分)と、当該部分に隣接する第2構成部としての把持部11(を構成する部分)とを有し、把持部11は、レンズ部9よりも、これらの並び方向(上下方向)に直交する方向(左右方向)の幅が狭く形成されるとともに、レンズ41に対して左右方向の一方側(表示部5とは反対側)へ偏っており、主動羽根45及び従動羽根47は、被覆位置において、主動羽根45が左右方向の表示部5とは反対側に、従動羽根47が左右方向の表示部5側に位置し、被覆位置から退避位置への移動では、レンズ部9側から把持部11側へ、左右方向の幅を従動羽根47の回転により表示部5とは反対側へ狭くしつつ移動することから、主動羽根45及び従動羽根47の好適な移動により、レンズ41の径を大きくしつつも、本体筐体13(把持部11)を小さくすることが可能となる。
ビデオカメラ1は、把持部11の表示部5側の面に重ねられる閉状態と、把持部11から離間する開状態との間で遷移可能に本体筐体13に連結される他の筐体としての表示筐体15を有し、本体筐体13及び表示筐体15は、閉状態において、表示部5とは反対側では、レンズ部9及び把持部11により上下方向に平行な一平面が形成され、表示部5側では、レンズ部9及び表示筐体15により上下方向に平行な一平面が形成されるように構成されていることから、主動羽根45及び従動羽根47の好適な移動により、収納状態における形状の単純化及び小型化が実現される。
主動羽根45は、レンズ41の前面側から見て、レンズ41の前面を覆う羽根本体45aが、把持部11側ほど左右方向の幅が表示部5とは反対側へ狭くなるように形成され、退避位置では、幅が広い側の一部がレンズ部9に、幅が狭い側の一部が把持部11に収容され、従動羽根47は、レンズ41の前面側から見て、レンズ41の前面を覆う羽根本体47aが、レンズ部9側ほど左右方向の幅が表示部5側へ狭くなるように形成され、被覆位置から退避位置への移動では、把持部11側を回転中心として回転することから、把持部11における、各羽根(45.47)それぞれの収納場所も小型化できる。すなわち、主動羽根45は、幅が広い部分がレンズ部9に収納されるから、把持部11は、主動羽根45と同等の幅を有していなくてもよい。また、従動羽根47は、先端側が回転軸側よりも回転角度に対する移動量が大きく、先端側が移動可能な領域を筐体内に確保することが難しいが、先端側ほど幅が狭いことから、先端側が移動可能な領域が確保されやすく、ひいては、従動羽根47全体の移動量を大きくすることができる。その結果、従動羽根47を主動羽根45へ重ねやすく、把持部11を細くしやすい。
ビデオカメラ1は、駆動源としてのモータ51と、モータ51の動力により駆動される被駆動部材としてのラックギア63と、ラックギア63と主動羽根45とを連結する弾性部材としてのバネ65とを有していることから、上述のように、異物が挟まったときなどの衝撃を緩和することができる。
ビデオカメラ1は、モータ51と、モータ51の動力を主動羽根45に伝達する、互いに噛合可能なカムギア73及びラック駆動ギア75と、有し、カムギア73及びラック駆動ギア75の一方(本実施形態ではカムギア73)には、主動羽根45が被覆位置及び退避位置の少なくとも一方(本実施形態では双方)に位置したときにカムギア73及びラック駆動ギア75の噛合が解除されるように欠歯部73cが設けられ、カムギア73及びラック駆動ギア75のうちモータ51側の歯車としてのカムギア73は、半径方向外側へ突出し、円周方向において欠歯部73cの配置範囲に亘って延びるカム部73bを有し、カムギア73及びラック駆動ギア75のうち主動羽根45側の歯車としてのラック駆動ギア75は、ラック駆動ギア75の回転を規制するように、カム部73bの円周方向に沿う面に対して円周方向へ摺動可能に係止される係止部としての爪部75cを有することから、モータの制御誤差や、カムギア73及びラック駆動ギア75に至るまでの機械誤差の影響を軽減して精度良く主動羽根45及び従動羽根47の位置制御を行うことができる。
また、以上の実施形態によれば、好適に電子部品の冷却を行うことができる電子機器を提供できるという、第3の観点の効果が得られる。具体的には、以下のとおりである。
ビデオカメラ1は、本体筐体13と、本体筐体13内において、互いに積層的に配置された第1回路基板89及び第2回路基板91と、これら回路基板間に配置され、第1回路基板89に実装された電子部品97及び第2回路基板91に実装された電子部品97に当接し、本体筐体13外の空気を吸引して本体筐体13外へ排出するポンプブロック99とを有することから、本体筐体13を介した熱の拡散に依存することなく、本体筐体13内部の回路基板を直接的且つ効率的に冷却することができる。
すなわち、ポンプブロック99は、2枚の回路基板間に配置されることにより、両側から回路基板の熱を受けることになり、温度が上昇しやすく、空気への伝熱が容易になる。また、熱せられるポンプブロック99を本体筐体13の中央に配置し、本体筐体13と分離することで、本体筐体13はポンプブロックからの熱で直接煽られることが無く、低い温度を保つことができる。
ポンプブロック99は、ポンプ101と、ポンプ101を収容するとともにポンプ101を収容する空間内に突出するフィン103aを有するダクト103と、ダクト103及び第1回路基板89の電子部品97に挟まれて密着する第1の伝熱部材としての第1シート105と、ダクト103及び第2回路基板91の電子部品97に挟まれて密着する第2の伝熱部材としての第2シート107と、を有することから、空気と電子部品97との間で広範囲且つ効率的に熱交換を行うことができる。
第1回路基板89及び第2回路基板91は、本体筐体13の所定面(表示部5が重ねられる面)に対して積層的に設けられ、ダクト103は、第1回路基板89及び第2回路基板91に沿う方向の流路を形成し、ポンプ101は、ダクト103の流路を介して吸引した空気を排気するための、第1回路基板89及び第2回路基板91の積層方向(左右方向)且つ本体筐体13の所定面側に延びてダクト103及び第1回路基板89を貫通する排気管101bを有し、本体筐体13の所定面には、排気管101bに接続される排気口13hが形成されていることから、吸引される空気と回路基板との熱交換をダクト103により効率的に行うとともに、熱せられた空気を第1回路基板89等に沿って流すことなく排気管101bにより本体筐体13外へ直接的に排気することができ、効率的に冷却ができる。特に、筐体の厚さ(本実施形態では左右方向の幅)が、筐体の縦及び横の長さの半分以下のような薄型形状の筐体において好適な冷却を行うことができる。
ビデオカメラ1は、動画の撮影を行う撮影部としてのレンズ部9と、ポンプブロック99による吸引及び送出を制御する制御部111と、を有し、電子部品97は、レンズ部9の撮影中に当該撮影に係る処理を実行して発熱し、制御部111は、レンズ部9の撮影中においては、ポンプブロック99の吸引及び送出を非撮影中に比較して制限することから、ポンプブロック99の作動による音響的なノイズや電気的なノイズが混入されることが抑制される。
本発明が適用される電子機器や撮像装置は、ビデオカメラに限定されない。例えば、携帯電話機、デジタルカメラ、ノートパソコン、PDA、ゲーム機であってもよい。また、本発明は、撮像機能を有しない電子機器に適用されてもよい。本発明が適用される開閉装置(実施形態ではレンズバリア装置43)は、レンズを保護することを目的とするものに限定されない。例えば、光路を開閉するシャッタ装置や減光フィルタ装置であってもよいし、通気口等の適宜な開口を開閉する装置であってもよい。
第1の羽根(実施形態では主動羽根45)は、直線的且つ非回転で移動するものに限定されない。スライド移動可能、すなわち、軸支されておらず、突条や溝部等の案内部に対して摺動することによる移動が可能なものであればよく、曲線状の経路に沿って移動してもよいし、平行移動に伴って回転してもよい。
開閉装置(実施形態ではレンズバリア装置43)において、羽根を広げる方向へ付勢する付勢部材(実施形態ではバネ61)、羽根を重ねる方向へ羽根に当接する当接部(実施形態では側壁部57bb)、駆動源(実施形態ではモータ51)等は本発明の必須要件ではない。例えば、付勢部材が羽根を閉じる方向へ付勢し、当接部が羽根を広げる方向へ当接してもよいし、付勢部材を省略してレールなどにより羽根の回転を制御してもよいし、駆動源を省略して手動で羽根を移動させてもよい。
ポンプブロックは、ポンプ及びポンプを収容するダクトを含んで構成されるものに限定されない。例えば、ポンプのケーシング自体がダクトを構成してもよい。また、ポンプは、圧電素子を含んで構成されるものに限定されず、例えば、ベーン形のものであってもよいし、いわゆる送風機に分類されるものであってもよい。
連結部の端面に設けられる操作部材(実施形態ではレリーズボタン25)は、押しボタンに限定されず、レバー等であってもよいし、また、その機能も静止画を撮像するものに限定されない。操作部材に関する情報を示す指標(実施形態では文字「PHOTO」)は、機能を説明するものに限定されず、例えば、操作方法や注意を示すものであってもよい。
冷却用のポンプの撮影中における非撮影中に比較した制限は、ポンプの停止に限定されない。例えば、撮影中においては非撮影中よりもポンプの吸引及び送出量を少なくするようにしてもよいし、撮影中においてはポンプを駆動するか否かの閾値となる温度を非撮影中よりも高く設定するようにしてもよい。