上記特許文献1に開示されている電気貯湯容器の場合、内容器として真空二重容器を用いているため、真空排気初期時のリーク(即ち、真空漏れ)については、工場等において温度検査機を用いて検出可能であるが、溶接不良等による非常に小さな穴からのスローリーク(即ち、ゆっくりとした真空漏れ)については検知不能であった。このようなスローリークが発生すると、内容器の保温力が低下するが、加熱手段を具備しているところから、実使用上あまり問題となっていなかった。
近年、地球温暖化に対する関心が高まり、家庭用電気機器の省エネ化が重要な課題となってきているなか、上記したように保温力が低下したままの電気貯湯容器を使用することは、地球的課題である省エネに反することとなる。
本願発明は、上記の点に鑑みてなされたもので、初期検査で見つからなかったスローリークを検出し、スローリークの発生をユーザに知らしめることを目的とするものである。
本願発明では、上記課題を解決するための第1の手段として、湯沸かし用の真空二重容器からなる内容器と、該内容器を加熱する加熱手段と、前記内容器の温度を検出する温度検出手段とを備えた電気貯湯容器において、前記温度検出手段の検出温度の温度変化が所定の基準値から外れている状態をスローリーク発生とするスローリーク判定手段と、該スローリーク判定手段によりスローリーク発生と判定された場合にその旨を報知する報知手段とを付設している。
上記のように構成したことにより、内容器の温度を検出する温度検出手段による検出温度の温度変化が所定の基準値から外れた場合にはスローリーク判定手段によりスローリーク発生と判定され、その旨が報知手段によりユーザに報知されることとなる。従って、使用中において、スローリークの発生(換言すれば、保温力低下)をユーザが容易に確認することができ、対策を取り易くなる。
本願発明では、さらに、上記課題を解決するための第2の手段として、上記第1の手段を備えた電気貯湯容器において、前記スローリーク判定手段による判定を、前記検出温度の降下時あるいは前記検出温度の安定時に行うこともでき、そのように構成した場合、温度検出手段による検出温度の変化を的確に把握することができるところから、スローリーク判定が的確なものとなる。
本願発明では、さらに、上記課題を解決するための第3の手段として、上記第1の手段を備えた電気貯湯容器において、前記温度変化の指標として、温度勾配を用いることもでき、そのように構成した場合、温度勾配を検出するだけでスローリーク判定を行うことができることとなり、スローリーク判定を容易に行うことができる。
本願発明では、さらに、上記課題を解決するための第4の手段として、上記第1の手段を備えた電気貯湯容器において、前記温度変化の指標として、所定温度に至るまでの時間を用いることもでき、そのように構成した場合、所定温度に至る時間を検出するだけでスローリーク判定を行うことができることとなり、スローリーク判定を容易に行うことができる。
本願発明では、さらに、上記課題を解決するための第5の手段として、上記第3又は第4の手段を備えた電気貯湯容器において、前記スローリーク判定手段による判定を、沸騰検知後あるいは魔法瓶保温時に行うこともでき、そのように構成した場合、温度検出手段による検出温度の変化を的確に把握することができるところから、スローリーク判定が的確なものとなる。
本願発明では、さらに、上記課題を解決するための第6の手段として、上記第1の手段を備えた電気貯湯容器において、前記温度変化の指標として、保温工程中における所定時間内の前記加熱手段のON/OFF回数を用いることもでき、そのように構成した場合、保温工程中における所定時間内の加熱手段のON/OFF回数を検出するだけでスローリーク判定を行うことができることとなり、スローリーク判定を容易に行うことができる。
本願発明では、さらに、上記課題を解決するための第7の手段として、上記第1の手段を備えた電気貯湯容器において、前記温度変化の指標として、保温工程中における前記加熱手段のON−ON時間、ON−OFF時間あるいはOFF−OFF時間を用いることもでき、そのように構成した場合、保温工程中における加熱手段のON−ON時間、ON−OFF時間あるいはOFF−OFF時間を検出するだけでスローリーク判定を行うことができることとなり、スローリーク判定を容易に行うことができる。
本願発明では、上記課題を解決するための第8の手段として、湯沸かし用の真空二重容器からなる内容器と、該内容器を加熱する加熱手段と、前記内容器の温度を検出する温度検出手段とを備えた電気貯湯容器において、前記内容器を構成する外筒外面に第2の温度検出手段を設けるとともに、該第2の温度検出手段の検出温度が予じめ設定された設定温度以上となった状態をスローリーク発生と判定する第2のスローリーク判定手段と、該第2のスローリーク判定手段によりスローリーク発生と判定された場合にその旨を報知する報知手段とを付設している。
上記のように構成したことにより、内容器を構成する外筒外面の温度を検出する第2の温度検出手段による検出温度が予め設定された設定温度以上となった場合にはスローリーク判定手段によりスローリーク発生と判定され、その旨が報知手段によりユーザに報知されることとなる。従って、使用中において、スローリークの発生(換言すれば、保温力低下)をユーザが容易に確認することができ、対策を取り易くなる。
本願発明では、さらに、上記課題を解決するための第9の手段として、上記第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7又は第8の手段を備えた電気貯湯容器において、同種のスローリーク判定手段によるスローリーク発生判定を複数回行なってスローリーク判定を行い、あるいは異種のスローリーク判定手段によるスローリーク発生判定を併用してスローリーク判定を行うこともでき、そのように構成した場合、スローリーク判定の精度がより高くなるところから、スローリーク誤判定をほとんどなくすことができる。
本願発明では、さらに、上記課題を解決するための第10の手段として、上記第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8又は第9の手段を備えた電気貯湯容器において、前記報知手段によるスローリーク発生報知を、特定の操作に対応して行うようにすることもでき、そのように構成した場合、ユーザが必要とするときにのみ、スローリーク発生報知が得られることとなり、みだりにスローリーク発生報知がなされることがなくなる。
本願発明の第1の手段によれば、湯沸かし用の真空二重容器からなる内容器と、該内容器を加熱する加熱手段と、前記内容器の温度を検出する温度検出手段とを備えた電気貯湯容器において、前記温度検出手段の検出温度の温度変化が所定の基準値から外れている状態をスローリーク発生とするスローリーク判定手段と、該スローリーク判定手段によりスローリーク発生と判定された場合にその旨を報知する報知手段とを付設して、内容器の温度を検出する温度検出手段による検出温度の温度変化が所定の基準値から外れた場合にはスローリーク判定手段によりスローリーク発生と判定され、その旨が報知手段によりユーザに報知されるようにしたので、使用中において、スローリークの発生(換言すれば、保温力低下)をユーザが容易に確認することができ、対策を取り易くなるという効果がある。
本願発明の第2の手段におけるように、上記第1の手段を備えた電気貯湯容器において、前記スローリーク判定手段による判定を、前記検出温度の降下時あるいは前記検出温度の安定時に行うこともでき、そのように構成した場合、温度検出手段による検出温度の変化を的確に把握することができるところから、スローリーク判定が的確なものとなる。
本願発明の第3の手段におけるように、上記第1の手段を備えた電気貯湯容器において、前記温度変化の指標として、温度勾配を用いることもでき、そのように構成した場合、温度勾配を検出するだけでスローリーク判定を行うことができることとなり、スローリーク判定を容易に行うことができる。
本願発明の第4の手段におけるように、上記第1の手段を備えた電気貯湯容器において、前記温度変化の指標として、所定温度に至るまでの時間を用いることもでき、そのように構成した場合、所定温度に至る時間を検出するだけでスローリーク判定を行うことができることとなり、スローリーク判定を容易に行うことができる。
本願発明の第5の手段におけるように、上記第3又は第4の手段を備えた電気貯湯容器において、前記スローリーク判定手段による判定を、沸騰検知後あるいは魔法瓶保温時に行うこともでき、そのように構成した場合、温度検出手段による検出温度の変化を的確に把握することができるところから、スローリーク判定が的確なものとなる。
本願発明の第6の手段におけるように、上記第1の手段を備えた電気貯湯容器において、前記温度変化の指標として、保温工程中における所定時間内の前記加熱手段のON/OFF回数を用いることもでき、そのように構成した場合、保温工程中における所定時間内の加熱手段のON/OFF回数を検出するだけでスローリーク判定を行うことができることとなり、スローリーク判定を容易に行うことができる。
本願発明の第7の手段におけるように、上記第1の手段を備えた電気貯湯容器において、前記温度変化の指標として、保温工程中における前記加熱手段のON−ON時間、ON−OFF時間あるいはOFF−OFF時間を用いることもでき、そのように構成した場合、保温工程中における加熱手段のON−ON時間、ON−OFF時間あるいはOFF−OFF時間を検出するだけでスローリーク判定を行うことができることとなり、スローリーク判定を容易に行うことができる。
本願発明の第8の手段によれば、湯沸かし用の真空二重容器からなる内容器と、該内容器を加熱する加熱手段と、前記内容器の温度を検出する温度検出手段とを備えた電気貯湯容器において、前記内容器を構成する外筒外面に第2の温度検出手段を設けるとともに、該第2の温度検出手段の検出温度が予じめ設定された設定温度以上となった状態をスローリーク発生と判定する第2のスローリーク判定手段と、該第2のスローリーク判定手段によりスローリーク発生と判定された場合にその旨を報知する報知手段とを付設して、内容器を構成する外筒外面の温度を検出する第2の温度検出手段による検出温度が予め設定された設定温度以上となった場合にはスローリーク判定手段によりスローリーク発生と判定され、その旨が報知手段によりユーザに報知されるようにしたので、使用中において、スローリークの発生(換言すれば、保温力低下)をユーザが容易に確認することができ、対策を取り易くなるという効果がある。
本願発明の第9の手段におけるように、上記第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7又は第8の手段を備えた電気貯湯容器において、同種のスローリーク判定手段によるスローリーク発生判定を複数回行なってスローリーク判定を行い、あるいは異種のスローリーク判定手段によるスローリーク発生判定を併用してスローリーク判定を行うこともでき、そのように構成した場合、スローリーク判定の精度がより高くなるところから、スローリーク誤判定をほとんどなくすことができる。
本願発明の第10の手段におけるように、上記第1、第2、第3、第4、第5、第6、第7、第8又は第9の手段を備えた電気貯湯容器において、前記報知手段によるスローリーク発生報知を、特定の操作に対応して行うようにすることもでき、そのように構成した場合、ユーザが必要とするときにのみ、スローリーク発生報知が得られることとなり、みだりにスローリーク発生報知がなされることがなくなる。
以下、添付の図面を参照して、本願発明の幾つかのの好適な実施の形態について詳述する。
第1の実施の形態
図1ないし図3には、本願発明の第1の実施の形態にかかる電気貯湯容器の具体的構成が示されている。
この電気貯湯容器は、図1および図2に示すように、湯沸かし用の内容器3を備えた容器本体1と、該容器本体1の上部開口を開閉する蓋体2と、前記内容器3の底部を加熱する加熱手段である電気ヒータ4と、前記内容器3内のお湯を外部へ給湯するための給湯通路5と、該給湯通路5の途中に設けられたポンプ装置である電動ポンプ6とを備えて構成されている。
前記容器本体1は、外側面を構成する合成樹脂製の外ケース7と、内周面を構成する前記内容器3と、前記外ケース7の上部と内容器3の上部とを結合する合成樹脂製の環状の肩部材8と、底面を構成する合成樹脂製の底板9とからなっている。
前記内容器3は、ステンレス製の有底円筒形状の内筒10とステンレス製の略円筒形状の外筒11との間に真空空間12を形成してなる真空二重容器からなっており、その底部には、前記内筒10の底部のみからなる非真空部3aが形成されている。該非真空部3aの下面には、前記電気ヒータ4(例えば、雲母板に発熱体を保持させてなるマイカヒータ)が取り付けられている。符号13は内容器3の温度(換言すれば、湯温T)を検出する温度検出手段として作用する温度センサーである。
前記蓋体2は、合成樹脂製の上板14と該上板14に対して外周縁が嵌め合いにより結合された合成樹脂製の下板15とからなっており、前記肩部材8の後部に設けられたヒンジ受け16に対してヒンジピン17を介して開閉且つ着脱自在に支持されている。
また、この蓋体2には、電源が接続されていない状態でも給湯通路5を介しての給湯が可能なように、手動操作により駆動されるエアーポンプ18が配設されている。該エアーポンプ18は、前記蓋体2の略中央部に形成された円筒形状の凹部19内に配設されたベーローズタイプのものとされており、押圧板20を介しての押圧操作により加圧空気が内容器3内に吹き込まれ、該加圧空気の圧力により内容器3内のお湯が給湯通路5を介して外部へ押し出されることとなっている。符号21は蒸気排出通路、22は蒸気排出通路21の途中に配設された転倒止水弁である。
前記蓋体2における下板15には、金属製のカバー部材23が固定されており、該カバー部材23の外周縁には、蓋体2の閉蓋時において前記内容器3の給水口3bに圧接されるシールパッキン24が設けられている。
前記給湯通路5の途中であって前記内容器3の下方位置には、前記電動ポンプ6が配設されている。また、前記給湯通路5の途中であって満水位表示部25より上方位置には、転倒時止水弁26および前傾時止水弁27が設けられている。
上記構成の電気貯湯容器は、保温用ヒータ4Bへの通電制御を行う通常の保温モードの他に、沸騰用ヒータ4Aおよび保温用ヒータ4Bへの通電を停止した状態で保温する魔法瓶モードによる使用が可能となっている。
図1において、符号28は蓋体2を容器本体1に対して閉止状態に保持するためのロック機構、29は後述する各種スイッチ類を備えた操作パネル部、30はスイッチ基板である。
前記操作パネル部29には、図2に示すように、給湯スイッチ31、ロック解除スイッチ32、再沸騰スイッチ33、保温選択スイッチ34、定量給湯時の湯量設定等を行う選択スイッチ35、液晶表示装置36、再沸騰表示灯37、保温表示灯38が設けられている。前記液晶表示装置36には、温度、沸騰残時間および湯量が交互に7セグメント表示され且つ後述するスローリーク発生表示が文字表示されるとともに、設定保温温度(98℃、90℃、まほうびん)を表示する三角形形状の表示灯39〜42が設けられている。
図3は、本実施の形態にかかる電気貯湯容器における電気的要素の結線状態を示すブロック図である。なお、既に説明した電気的要素については同一の符号を付して説明を省略する。
マイクロコンピュータユニット(以下、マイコンと略称する)43においては、各種スイッチ類31〜35、発振回路44、リセット回路45および温度センサー13からの信号が入力され、各種演算処理が行われ、制御信号が再沸騰表示灯37、保温表示灯38、液晶表示装置36、ブザー46、トライアック駆動回路47、リレー駆動回路48、IRG回路49、安定化電源回路50、ポンプ駆動回路51およびトライアック52に出力されることとなっている。符号53はタブ付きリレー、54は商用交流電源、55は温度ヒューズである。なお、電気ヒータ4は、沸騰用ヒータ4Aと保温用ヒータ4Bとからなっており、沸騰用ヒータ4Aはタブ付きリレー53により通電制御され、保温用ヒータ4Bはトライアック52により通電制御されることとなっている。
前記マイコン43は、前記温度センサー13による検出温度Tに基づいて沸騰用ヒータ4Aおよび保温用ヒータ4Bへの通電を制御する通常制御機能と、前記温度センサー13の検出温度Tの温度変化が所定の基準値から外れている状態をスローリーク発生とするスローリーク判定手段としての機能と、該スローリーク判定手段によりスローリーク発生と判定された場合にその旨を報知する報知手段としての機能とを備えている。
ついで、上記構成の電気貯湯容器におけるスローリーク判定および報知について、図4〜図8に示すフローチャートを参照して説明する。
(I) スローリーク判定I(図4のフローチャート参照)
この場合、保温モード中における湯温降下時間tをスローリーク判定における温度変化の指標としている。
ステップS1において保温モード中であることが確認されると、ステップS2において保温用ヒータ4BがOFFされたか否かの判定がなされる(換言すれば、保温設定温度の上限温度に内容器3の温度が達したか否かの判定がなされる)。ここで、肯定判定されると、ステップS3においてマイコン43に内蔵されたタイマのカウントが開始されるが、否定判定された場合には、保温用ヒータ4BがOFFされるまで待機する。その後ステップS4において保温用ヒータ4BがONされたか否かの判定がなされる(換言すれば、保温設定温度の下限温度に内容器3の温度が降下したか否かの判定がなされる)。ここで、肯定判定されると、ステップS5においてマイコン43に内蔵されたタイマのカウントが停止されるが、否定判定された場合には、保温用ヒータ4BがONされるまで待機する。
そして、ステップS6において前記タイマのカウント数(換言すれば、保温用ヒータ4BのOFFからONまでの時間)から湯温降下時間t(換言すれば、湯温Tが保温設定温度の上限温度から下限温度にまで降下するまでの時間)がマイコン43により演算される。
ついで、ステップS7において湯温降下時間tと設定時間tsとの比較がなされ、ここで、t>tsと判定されると、ステップS8へ進み、t>tsとの判定がN回(例えば、3回)あったか否かの判定がなされる。ここで、肯定判定された場合(換言すれば、t>tsとの判定がN回あったと判定された場合)には、ステップS9においてスローリークの発生が確定される。なお、ステップS7およびステップS8において否定判定された場合には、ステップS2に戻り、以下の制御が繰り返される。なお、設定時間tsを、保温温度に対応して複数設定し、これらの設定温度と湯温降下時間と比較するようにすることもでき、このようにした場合、スローリーク発生判定の精度が向上する。
ステップS9においてスローリークの発生が確定されると、ステップS10においてスローリークの発生が表示される。該スローリーク表示は、液晶表示装置36への表示で行ってもよいが、警告灯やブザー等によって報知してもよい。なお、このスローリーク表示を、通常においては表示せず、特定の操作(例えば、各種キー31〜35のうちの一つを長押しする操作、あるいは特別に設けた専用のキーの操作)に対応して行うようにすることもできる。このようにした場合、ユーザが必要とするときにのみ、スローリーク発生報知が得られることとなり、みだりにスローリーク発生報知がなされることがなくなる。このようにする理由は、スローリークが発生している電気貯湯容器でも、実使用上はあまり問題とならないためである。
その後、ステップS11において保温用ヒータ4Bへの通電が停止され、制御は終了する。なお、スローリークが発生している電気貯湯容器でも、実使用上はあまり問題とならないところから、保温用ヒータ4Bへの通電を停止することなく、使用を継続することもできる。
上記のようにしたことにより、保温モードにおいて内容器3の温度を検出する温度センサー13による検出温度の温度変化(例えば、湯温降下時間t)が所定の基準値(例えば、設定時間ts)から外れた場合(例えば、t>tsとなった場合)にはスローリーク判定手段によりスローリーク発生と判定され、その旨が報知手段(例えば、液晶表示装置36)によりユーザに報知されることとなる。従って、使用中において、スローリークの発生(換言すれば、保温力低下)をユーザが容易に確認することができ、対策を取り易くなる。しかも、スローリーク判定手段によるスローリーク発生判定を複数回(例えば、3回)行なってスローリーク判定を行うようにしているため、スローリーク判定の精度がより高くなるところから、スローリーク誤判定をほとんどなくすことができる。
(II) スローリーク判定II(図5のフローチャート参照)
この場合、保温モード中における湯温降下勾配Cをスローリーク判定における温度変化の指標としている。
ステップS1において保温モード中であることが確認されると、ステップS2において保温用ヒータ4BがOFFされたか否かの判定がなされる。ここで、肯定判定されると、ステップS3において温度センサー13により湯温T1が測定され、マイコン43に入力されるが、否定判定された場合には、保温用ヒータ4BがOFFされるまで待機する。その後ステップS4において保温用ヒータ4BがONされたか否かの判定がなされる。ここで、肯定判定されると、ステップS5において温度センサー13により湯温T2が測定され、マイコン43に入力されるが、否定判定された場合には、保温用ヒータ4BがONされるまで待機する。
そして、ステップS6においてマイコン43に内蔵されているタイマにより保温用ヒータ4BのOFF時間tが測定され、マイコン43に入力される。次に、ステップS7において前記湯温T1,T2と前記OFF時間tとから、湯温降下勾配C=(T1−T2)/tがマイコン43により演算される。
ついで、ステップS8において湯温降下勾配Cと設定勾配Csとの比較がなされ、ここで、C>Csと判定されると、ステップS9へ進み、C>Csとの判定がN回(例えば、3回)あったか否かの判定がなされる。ここで、肯定判定された場合(換言すれば、C>Csとの判定がN回あったと判定された場合)には、ステップS10においてスローリークの発生が確定される。なお、ステップS8およびステップS9において否定判定された場合には、ステップS2に戻り、以下の制御が繰り返される。なお、設定勾配Csを、保温温度に対応して複数設定し、これらの設定温度と湯温降下時間と比較するようにすることもでき、このようにした場合、スローリーク発生判定の精度が向上する。
ステップS10においてスローリークの発生が確定されると、ステップS11においてスローリークの発生が表示される。該スローリーク表示は、液晶表示装置36への表示で行ってもよいが、警告灯やブザー等によって報知してもよい。なお、このスローリーク表示を、通常においては表示せず、特定の操作(例えば、各種キー31〜35のうちの一つを長押しする操作、あるいは特別に設けた専用のキーの操作)に対応して行うようにすることもできる。このようにした場合、ユーザが必要とするときにのみ、スローリーク発生報知が得られることとなり、みだりにスローリーク発生報知がなされることがなくなる。このようにする理由は、スローリークが発生している電気貯湯容器でも、実使用上はあまり問題とならないためである。
その後、ステップS12において保温用ヒータ4Bへの通電が停止され、制御は終了する。なお、スローリークが発生している電気貯湯容器でも、実使用上はあまり問題とならないところから、保温用ヒータ4Bへの通電を停止することなく、使用を継続することもできる。
上記のようにしたことにより、保温モードにおいて内容器3の温度を検出する温度センサー13による検出温度の温度変化(例えば、湯温降下勾配C)が所定の基準値(例えば、設定勾配Cs)から外れた場合(例えば、C>Csとなった場合)にはスローリーク判定手段によりスローリーク発生と判定され、その旨が報知手段(例えば、液晶表示装置36)によりユーザに報知されることとなる。従って、使用中において、スローリークの発生(換言すれば、保温力低下)をユーザが容易に確認することができ、対策を取り易くなる。しかも、スローリーク判定手段によるスローリーク発生判定を複数回(例えば、3回)行なってスローリーク判定を行うようにしているため、スローリーク判定の精度がより高くなるところから、スローリーク誤判定をほとんどなくすことができる。
(III) スローリーク判定III(図6のフローチャート参照)
この場合、魔法瓶モード中(沸騰用および保温用ヒータ4A,4Bへの通電が停止されている状態)における湯温降下時間tをスローリーク判定における温度変化の指標としている。
ステップS1において魔法瓶モード中であることが確認されると、ステップS2において温度センサー13による湯温T1の測定が行われ、当該湯温T1がマイコン43に入力され、ステップS3においてマイコン43に内蔵されたタイマのカウントが開始される。その後ステップS4において前記湯温T1から予め決められた一定温度T0との差温(T1−T0=T2)がマイコン43により演算され、ステップS5において温度センサー13による検出温度がT2に到達したか否かの判定がなされる。ここで、肯定判定された場合、ステップS6に進み、マイコン43に内蔵されたタイマのカウントが停止されるが、否定判定された場合には、温度センサー13による検出温度がT2に到達するまで待機する。
そして、ステップS7において前記タイマのカウント数(換言すれば、温度センサー13による検出温度がT2に到達するまでの時間)により湯温降下時間tがマイコン43により演算される。
ついで、ステップS8において湯温降下時間tと設定時間tsとの比較がなされ、ここで、t>tsと判定されると、ステップS9へ進み、t>tsとの判定がN回(例えば、3回)あったか否かの判定がなされる。ここで、肯定判定された場合(換言すれば、t>tsとの判定がN回あったと判定された場合)には、ステップS10においてスローリークの発生が確定される。なお、ステップS8およびステップS9において否定判定された場合には、ステップS2に戻り、以下の制御が繰り返される。なお、設定時間tsを、保温温度に対応して複数設定し、これらの設定温度と湯温降下時間と比較するようにすることもでき、このようにした場合、スローリーク発生判定の精度が向上する。
ステップS10においてスローリークの発生が確定されると、ステップS11においてスローリークの発生が表示される。該スローリーク表示は、液晶表示装置36への表示で行ってもよいが、警告灯やブザー等によって報知してもよい。なお、このスローリーク表示を、通常においては表示せず、特定の操作(例えば、各種キー31〜35のうちの一つを長押しする操作、あるいは特別に設けた専用のキーの操作)に対応して行うようにすることもできる。このようにした場合、ユーザが必要とするときにのみ、スローリーク発生報知が得られることとなり、みだりにスローリーク発生報知がなされることがなくなる。このようにする理由は、スローリークが発生している電気貯湯容器でも、実使用上はあまり問題とならないためである。
その後、ステップS12において保温用ヒータ4Bへの通電が停止され、制御は終了する。なお、スローリークが発生している電気貯湯容器でも、実使用上はあまり問題とならないところから、保温用ヒータ4Bへの通電を停止することなく、使用を継続することもできる。
上記のようにしたことにより、保温モードにおいて内容器3の温度を検出する温度センサー13による検出温度の温度変化(例えば、湯温降下時間t)が所定の基準値(例えば、設定時間ts)から外れた場合(例えば、t>tsとなった場合)にはスローリーク判定手段によりスローリーク発生と判定され、その旨が報知手段(例えば、液晶表示装置36)によりユーザに報知されることとなる。従って、使用中において、スローリークの発生(換言すれば、保温力低下)をユーザが容易に確認することができ、対策を取り易くなる。しかも、スローリーク判定手段によるスローリーク発生判定を複数回(例えば、3回)行なってスローリーク判定を行うようにしているため、スローリーク判定の精度がより高くなるところから、スローリーク誤判定をほとんどなくすことができる。
(IV) スローリーク判定IV(図7のフローチャート参照)
この場合、魔法瓶モード(沸騰用および保温用ヒータ4A,4Bへの通電が停止されている状態)中における湯温降下勾配Cをスローリーク判定における温度変化の指標としている。
ステップS1において魔法瓶モード中であることが確認されると、ステップS2において温度センサー13による湯温T1の測定が行われ、当該湯温T1がマイコン43に入力され、ステップS3においてマイコン43に内蔵されたタイマのカウントが開始される。その後ステップS4において一定時間t(例えば、タイマの時限)が経過したと判定されると、ステップS5においてタイマのカウントが停止され、ステップS6において温度センサー13により湯温T2が測定され、マイコン43に入力される。
そして、ステップS7において前記湯温T1,T2と前記一定時間tとから、湯温降下勾配C=(T1−T2)/tがマイコン43により演算される。
ついで、ステップS8において湯温降下勾配Cと設定勾配Csとの比較がなされ、ここで、C>Csと判定されると、ステップS9へ進み、C>Csとの判定がN回(例えば、3回)あったか否かの判定がなされる。ここで、肯定判定された場合(換言すれば、C>Csとの判定がN回あったと判定された場合)には、ステップS10においてスローリークの発生が確定される。なお、ステップS8およびステップS9において否定判定された場合には、ステップS2に戻り、以下の制御が繰り返される。なお、設定勾配Csを、保温温度に対応して複数設定し、これらの設定温度と湯温降下時間と比較するようにすることもでき、このようにした場合、スローリーク発生判定の精度が向上する。
ステップS10においてスローリークの発生が確定されると、ステップS11においてスローリークの発生が表示される。該スローリーク表示は、液晶表示装置36への表示で行ってもよいが、警告灯やブザー等によって報知してもよい。なお、このスローリーク表示を、通常においては表示せず、特定の操作(例えば、各種キー31〜35のうちの一つを長押しする操作、あるいは特別に設けた専用のキーの操作)に対応して行うようにすることもできる。このようにした場合、ユーザが必要とするときにのみ、スローリーク発生報知が得られることとなり、みだりにスローリーク発生報知がなされることがなくなる。このようにする理由は、スローリークが発生している電気貯湯容器でも、実使用上はあまり問題とならないためである。
その後、ステップS12において保温用ヒータ4Bへの通電が停止され、制御は終了する。なお、スローリークが発生している電気貯湯容器でも、実使用上はあまり問題とならないところから、保温用ヒータ4Bへの通電を停止することなく、使用を継続することもできる。
上記のようにしたことにより、魔法瓶モードにおいて内容器3の温度を検出する温度センサー13による検出温度の温度変化(例えば、湯温降下勾配C)が所定の基準値(例えば、設定勾配Cs)から外れた場合(例えば、C>Csとなった場合)にはスローリーク判定手段によりスローリーク発生と判定され、その旨が報知手段(例えば、液晶表示装置36)によりユーザに報知されることとなる。従って、使用中において、スローリークの発生(換言すれば、保温力低下)をユーザが容易に確認することができ、対策を取り易くなる。しかも、スローリーク判定手段によるスローリーク発生判定を複数回(例えば、3回)行なってスローリーク判定を行うようにしているため、スローリーク判定の精度がより高くなるところから、スローリーク誤判定をほとんどなくすことができる。
(V) スローリーク判定V(図8のフローチャート参照)
この場合、魔法瓶モード(沸騰用および保温用ヒータ4A,4Bへの通電が停止されている状態)中における10秒単位の温度データ(2秒毎の温度データ×5)を測定し、これを3回繰り返して得られた温度データA,B,C,Dから、C−Aから差温αを求め、該差温αの平均値と安全率とから基準値βを求め、D−Aと基準値βとの比較によりスローリーク判定を行うこととなっている。
ステップS1において魔法瓶モード中であることが確認されると、ステップS2において温度センサー13により10秒単位の温度データ(2秒毎の温度データ×5)を測定し、これを3回繰り返して得られた温度データA,B,C,Dを測定し、該温度データA,B,C,Dがマイコン43に入力される。次に、ステップS3においてC−A=αがマイコン43により演算され、ステップS4においてΣα/n(平均値)×安全率=βがマイコン43により演算される。
ついで、ステップS5においてD−Aとβとの比較がなされ、ここで、否定判定された場合、ステップS6において回数nに1を加算して、ステップS2に戻り、その後の制御が繰り返されるが、肯定判定された場合には、ステップS7においてスローリークの発生が確定されると、ステップS8においてスローリークの発生が表示される。該スローリーク表示は、液晶表示装置36への表示で行ってもよいが、警告灯やブザー等によって報知してもよい。なお、このスローリーク表示を、通常においては表示せず、特定の操作(例えば、各種キー31〜35のうちの一つを長押しする操作、あるいは特別に設けた専用のキーの操作)に対応して行うようにすることもできる。このようにした場合、ユーザが必要とするときにのみ、スローリーク発生報知が得られることとなり、みだりにスローリーク発生報知がなされることがなくなる。このようにする理由は、スローリークが発生している電気貯湯容器でも、実使用上はあまり問題とならないためである。
その後、ステップS9において保温用ヒータ4Bへの通電が停止され、制御は終了する。なお、スローリークが発生している電気貯湯容器でも、実使用上はあまり問題とならないところから、保温用ヒータ4Bへの通電を停止することなく、使用を継続することもできる。
上記のようにしたことにより、魔法瓶モードにおいて10秒単位の温度データ(2秒毎の温度データ×5)を測定し、これを3回繰り返して得られた温度データA,B,C,Dから、C−Aから差温αを求め、該差温αの平均値と安全率とから基準値βを求め、D−Aと基準値βとの比較によりスローリーク判定を行うこととなっているため、スローリーク判定の精度がより高くなるところから、スローリーク誤判定をほとんどなくすことができる。なお、この場合においても、スローリーク判定手段によるスローリーク発生判定を複数回(例えば、3回)行なってスローリーク判定を行うようにしてもよい。
第2の実施の形態
図9および図10には、本願発明の第2の実施の形態にかかる電気貯湯容器が示されている。
この場合、内容器3を構成する外筒11の外面適所に、第2の温度検出手段として作用するICチップ56が付設されており、該ICチップ56と双方向通信可能な部品(例えば、マイコン43)とデータの送受信可能な部品を設け、受け取ったデータにより温度検出を行うこととなっている。なお、ICチップ56に代えて、通常の温度センサー(例えば、サーミスタを具備した温度センサー)を用いることもできる。その他の構成は、第1の実施の形態におけると同様なので説明を省略する。
ついで、上記構成の電気貯湯容器におけるスローリーク判定および報知について、図11に示すフローチャートを参照して説明する。
ステップS1において運転中であることが確認されると、ステップS2においてICチップ56により外筒11の外面温度Ticが測定され、当該温度Ticがマイコン43に入力される。ついで、ステップS3において前記外面温度Ticと設定温度Ticsとの比較がなされ、ここで、Tic≦Ticsと判定されると、ステップS4へ進み、Tic≦>Ticsとの判定がN回(例えば、3回)あったか否かの判定がなされる。ここで、肯定判定された場合(換言すれば、Tic≦>Ticsとの判定がN回あったと判定された場合)には、ステップS5においてスローリークの発生が確定される。なお、ステップS3およびステップS4において否定判定された場合には、ステップS2に戻り、以下の制御が繰り返される。
ステップS5においてスローリークの発生が確定されると、ステップS6においてスローリークの発生が表示される。該スローリーク表示は、液晶表示装置36への表示で行ってもよいが、警告灯やブザー等によって報知してもよい。なお、このスローリーク表示を、通常においては表示せず、特定の操作(例えば、各種キー31〜35のうちの一つを長押しする操作、あるいは特別に設けた専用のキーの操作)に対応して行うようにすることもできる。このようにした場合、ユーザが必要とするときにのみ、スローリーク発生報知が得られることとなり、みだりにスローリーク発生報知がなされることがなくなる。このようにする理由は、スローリークが発生している電気貯湯容器でも、実使用上はあまり問題とならないためである。
その後、ステップS7において沸騰用および保温用ヒータ4Aおよび4Bへの通電が停止され、制御は終了する。なお、スローリークが発生している電気貯湯容器でも、実使用上はあまり問題とならないところから、沸騰用および保温用ヒータ4A,4Bへの通電を停止することなく、使用を継続することもできる。
上記のようにしたことにより、運転中において内容器3を構成する外筒11の外面温度を検出するICチップ56による検出温度が設定温度Tics以上となった場合にはスローリーク判定手段によりスローリーク発生と判定され、その旨が報知手段(例えば、液晶表示装置36)によりユーザに報知されることとなる。従って、使用中において、スローリークの発生(換言すれば、保温力低下)をユーザが容易に確認することができ、対策を取り易くなる。しかも、スローリーク判定手段によるスローリーク発生判定を複数回(例えば、3回)行なってスローリーク判定を行うようにしているため、スローリーク判定の精度がより高くなるところから、スローリーク誤判定をほとんどなくすことができる。
ところで、本実施の形態におけるスローリーク判定と前述の第1の実施の形態におけるスローリーク判定とを併用してスローリーク判定を行うこともでき、そのようにした場合、スローリーク判定の精度がより高くなるところから、スローリーク誤判定をほとんどなくすことができる。
なお、スローリーク判定は、スローリーク発生が確定するまで毎回行われ、スローリーク発生確定後は行われない。
本願発明は、上記各実施の形態に限定されるものではなく、発明の要旨を逸脱しない範囲において適宜設計変更可能なことは勿論である。