JP4433556B2 - 接着剤組成物、回路接続材料及び接続体 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、接着剤組成物、回路接続材料及び接続体に関する。
【0002】
【従来の技術】
2つの回路基板同士を接着すると共に、これらの電極間に電気的導通を得る接着剤については、スチレン系、ポリエステル系等の熱可塑性物質、エポキシ系、シリコーン系等の熱硬化性物質が知られている。この場合、接着剤中に導電性粒子を配合し加圧により接着剤の厚み方向に電気的接続を得るもの(例えば特開昭55−104007号公報)と、導電性粒子を用いずに接続時の加圧により電極面の微細凸凹の接触により電気的接続を得るもの(例えば特開昭60−262430号公報)とがある。
【0003】
以前は、これらの接着は比較的高温(140〜200℃)で短時間加圧することによって行われてきた。しかし、これらの接続温度140〜200℃を例えば100〜120℃とより低温度での接続が可能になると、接続体を構成する材料をより安価な耐熱性の低いものに切り替えられるため工業的に大変望ましく、また、接続体の熱膨張係数の違いにより接続される領域のずれを軽減することができるためより微細な接続が出来るようになる。従来用いていた熱硬化性の接着剤では、硬化反応をより確実に行うために通常は170℃以上の高温で接続を行っていたが、一般的に接続される2種の基板は材質が異なるためにそれぞれの熱膨張係数が異なり、狭ピッチの接続体を形成することが困難であった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
本発明の目的は、100〜120℃の低温度で、しかも短時間の硬化条件により接続が可能で加熱による基板の膨張をより抑制でき、微細化接続(高精細接続)、接続信頼性に優れる接続を可能とする接着剤組成物、回路接続材料及び接続体を提供することにある。
【0005】
【課題を解決するための手段】
本発明は、(A)エポキシ樹脂、(B)光照射によって塩基性物質を発生する化合物を必須として含有する接着剤組成物である。また、本発明は,(A)エポキシ樹脂、(B)光照射によって塩基性物質を発生する化合物に、さらに(C)1分子中にメルカプト基を1個以上有するチオール系化合物を含む接着剤組成物である。
そして、(A)エポキシ樹脂100重量部に対し、(B)光照射によって塩基性物質を発生する化合物を0.01〜30重量部配合すると好ましい接着剤組成物である。
また、(A)エポキシ樹脂100重量部に対し、(B)光照射によって塩基性物質を発生する化合物を0.01〜30重量部、(C)1分子中にメルカプト基を1個以上有するチオール系化合物を、メルカプト基の総量/エポキシ基の総量(当量比)=0.5/1.5〜1.5/0.5の比率で配合すると好ましい接着剤組成物である。
(B)光照射によって塩基性物質を発生する化合物がα−アミノアセトフェノン骨格を有する化合物であると好ましい。また、(C)1分子中にメルカプト基を1個以上有するチオール系化合物が、1分子中にメルカプト基を3個以上有し、炭素原子、硫黄原子及び水素原子のみから構成されるポリチオールであると好ましい。
本発明は、上記の接着剤組成物に、さらに導電性粒子を含む回路接続材料である。そして形態がフィルム状である回路接続材料であると好ましい。
また、本発明は、上記の接着剤組成物を用いて接続された接続体である。さらに、上記の回路接続材料を用いて接続された接続体である。
【0006】
【発明の実施の形態】
本発明において用いる(A)エポキシ樹脂は、分子内に2個以上のエポキシ基を有するものであれば特に制限はなく、公知のものを使用し得る。このような(A)エポキシ樹脂としては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールA/ビスフェノールF共重合型エポキシ樹脂等のビスフェノール系エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂等のノボラック型エポキシ樹脂、ビフェニルジグリシジルエーテル、トリグリシジルイソシアヌレート、ポリグリシジルメタクリレート、グリシジルメタクリレートとそれに共重合可能なビニル単量体との共重合体等が挙げられる。これらは単独又は2種以上を組み合わせて使用することもできる。これらの中で、分子量の異なるグレードが広く入手可能で、接着性や反応性等を任意に設定できる点から、ビスフェノール系エポキシ樹脂が好ましい。
【0007】
本発明に用いる(A)エポキシ樹脂のエポキシ当量は43〜1000が好ましく、50〜800がより好ましく、73〜600が特に好ましい。エポキシ当量が43未満又は1000を超えると、後に説明する電極の接続時に、接着強度が低下する傾向がある。これらの(A)エポキシ樹脂は、不純物イオン(Na+、Cl-等)や、加水分解性塩素を300ppm以下に低減した高純度品を用いることが、エレクトロンマイグレーション防止のために好ましい。
【0008】
本発明で用いる(B)光照射によって塩基性物質を発生する化合物は、紫外線や可視光などの光照射によって分子構造が変化したり、あるいは分子内で開裂が起こることによって、速やかに1種類あるいはそれ以上の塩基性物質もしくは塩基性物質に類似する物質を生成し、この生成した塩基性物質が(A)エポキシ樹脂と反応し、架橋した後に硬化物となる。ここでいう塩基性物質は、1級アミン類、2級アミン類、3級アミン類ならびにこれらのアミン類が1分子中に2個以上存在するポリアミン類及びその誘導体、イミダゾール類、ピリジン類、モルホリン類及びその誘導体であり、2種類以上の(B)光照射によって塩基性物質を発生する化合物を併用してもよい。
【0009】
本発明で用いる(B)光照射によって塩基性物質を発生する化合物としては、α−アミノアセトフェノン骨格を有する化合物を好適に用いることができる。該骨格を有する化合物は分子中にベンゾインエーテル結合を有しているため、光照射によって分子内で容易に開裂し、これが塩基性物質として作用する。α−アミノアセトフェノン骨格を有する化合物の具体例としては、1−(4−モルホリノベンゾイル)−1−ベンジル−1−ジメチルアミノプロパン(イルガキュア369、チバスペシャリティケミカルズ社製商品名)や1−(4−メチルチオベンゾイル)−1−メチル−1−モルホリノエタン(イルガキュア907、チバスペシャリティケミカルズ社製商品名)などの市販の化合物またはその溶液を用いることができる。光照射によって塩基性物質を発生する化合物の配合量は、(A)エポキシ樹脂100重量部に対して、(B)光照射によって塩基性物質を発生する化合物を0.01〜30重量部配合することが好ましい。0.01重量部未満では、硬化不足となり、接着力に劣るようになり、30重量部を超えると比較的低分子量物が多くなるため表面にしみ出し接着力が低下したりすることがある。
【0010】
本発明で用いる(C)1分子中にメルカプト基を1個以上有するチオール系化合物は公知のものを使用することができる。接着剤硬化物の緒物性を向上するには、1分子中にメルカプト基を2個以上有するポリチオール化合物が好ましい。また、軟化点の比較的高い接着体を得るためや保存安定性の低下を抑制したり、硬化時に硫化水素の発生により硬化物が発泡体となることを防止するためには、1分子中にメルカプト基を3個以上有し、炭素原子、硫黄原子及び水素原子のみから構成されるポリチオール化合物を用いるのがより好ましい。この場合、硬化時に硫化水素の発生等を防止するため、ポリチオール系化合物中に、水酸基やエステル結合などの酸素原子を構成原子として含む水酸基、エステル結合を有するポリチオール化合物は使用してはならない。
【0011】
1分子中にメルカプト基を3個以上有し、炭素原子、硫黄原子及び水素原子のみから構成されるポリチオール化合物としては、例えば、下記一般式(I)で表される化合物が挙げられる(式中、Rは炭素数3〜18のm価の炭化水素基を示し、mは3〜10の整数である)。
【化1】
ここで、炭素数3〜18のm価の炭化水素基としては、直鎖状の鎖式炭化水素基、炭素鎖に枝のある鎖式炭化水素基、2以上の環を含んでいてもよい脂環式炭化水素基、2以上の環を含んでいてもよい芳香族炭化水素基、脂環式炭化水素に1以上の鎖状炭素骨格が結合した基、芳香族炭化水素に1以上の鎖状炭素骨格が結合した基、1以上の脂環式炭化水素と1以上の芳香族炭化水素とが結合した基等が挙げられる。
【0012】
一般式(l)で表される化合物としては、具体的に、ペンタエリスリチオール、トリメルカプトメチルプロパン等のアルキルメルカプタン、1,3,5−トリメルカプトベンゼン等の芳香族メルカプタン、1,3,5−トリメルカプトメチルベンゼン等の芳香族アルキルメルカプタン等が挙げられる。また、ポリチオールは硬化時の加熱によって蒸発すると、エポキシとの反応当量が保てないので、その沸点は150℃以上であることが望ましい。
【0013】
本発明で用いる(C)1分子中にメルカプト基を1個以上有するチオール系化合物の分子量を官能基数で割った値(SH当量)は36〜1000が好ましく、36〜800がより好ましく、36〜600が特に好ましい。SH当量が36未満又は1000を超えると、後に説明する電極の接続時に、接着強度が低下する傾向がある。
【0014】
(C)1分子中にメルカプト基を1個以上有するチオール系化合物の使用量は、(A)エポキシ樹脂に対して、(C)1分子中にメルカプト基を1個以上有するチオール系化合物のメルカプト基の総量/エポキシ基の総量(当量比)=0.5/1.5〜1.5/0.5の比率となるようにすることが好ましく、0.8/1.2〜1.2/0.8の比率となるようにすることがより好ましい。この比率が、0.5/1.5未満の場合及び1.5/0.5を超える場合には未反応のエポキシ基やメルカプト基が硬化反応後の接続体に多量に残存することとなり、接着強度を低下させる傾向がある。(C)1分子中にメルカプト基を1個以上有するチオール系化合物の形態は、その他の成分との混合性を考慮すると固体のものよりは液状のものが操作性が高いことから望ましいが、液状のものに制限されるものではない。
【0015】
本発明のエポキシ樹脂組成物には、必要に応じて硬化促進剤を添加できる。このような硬化促進剤としては、エポキシ基同士またはエポキシ基とメルカプト基との反応を促進する活性を示すものであれば特に制限なく使用することができ、前述の(B)光照射によって塩基性物質を発生する化合物が、保存安定性の点からとりわけ好ましい。また必要に応じて、例えば2−メチルイミダゾール、2−エチルイミダゾール、2−プロピルイミダゾール等のアルキルイミダゾール化合物、フェニルイミダゾール、ナフチルイミダゾール等のアリールイミダゾール化合物、2−アミノエチルイミダゾール、2−アミノプロピルイミダゾール等のアミノアルキルイミダゾール化合物、アジピン酸ジヒドラジド、エイコサン-2-酸ジヒドラジド、7,11-オクタデカジエン-1,18-ジカルボヒドラジド、1,3-ビス(ヒドラジノカルボエチル)-5-イソプロピルヒダントイン等のヒドラジド化合物、アミンイミド、ポリアミン、ジシアンジアミド、第三ホスフィン類、第四アンモニウム塩、第四ホスホニウム塩等を用いることもできる。これらは単独または2種以上を組み合わせて使用することができる。これらの硬化促進剤は、ポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂等の高分子物質や、ニッケル、銅等の金属薄膜及びケイ酸カルシウム等の無機物で被覆してマイクロカプセル化されたものや、当量のエポキシ樹脂と反応させてアダクト体にされたものであってもよく、そのようなものは、可使時間延長の点から好ましい。
【0016】
これらの硬化促進剤により、(C)1分子中にメルカプト基を1個以上有するチオール系化合物の活性を触媒的に高め、速硬化性が得られ、硬化させる際の加熱温度を低下させても必要な接着強度を得ることができ、しかも、接続される材料の熱膨張による導電部のずれを最小限に押さえることが可能となる。
【0017】
硬化促進剤を使用する場合、その使用量は、(A)エポキシ樹脂の100重量部に対して0.01〜200重量部とすることが好ましく、0.1〜100重量部とすることがより好ましく、0.5〜50重量部とすることが特に好ましい。この量が、0.01重量部未満では、硬化促進効果が不十分となる傾向があり、200重量部を超えると、相溶性が低下する傾向がある。
【0018】
本発明の接着剤組成物には、さらに、ビスフェノールA及び/又はビスフェノールFとエピクロルヒドリンとを反応させることにより得られる下記一般式(II)で表される構造を持つ高分子量の化合物であるフェノキシ樹脂を添加してもよい。
【化2】
(式中、R1及びR2は、各々独立に水素原子又はメチル基を示し、nは正の整数を示す)
【0019】
フェノキシ樹脂としては、ビスフェノールA型フェノキシ樹脂やビスフェノールF型フェノキシ樹脂、ビスフェノールA・ビスフェノールF共重合型フェノキシ樹脂等の汎用フェノキシ樹脂が挙げられる。このようなフェノキシ樹脂は、エポキシ樹脂と構造が似ていることから相溶性が良く、また接着性も良好である。分子量の大きいほどフィルム形成性が容易に得られ、また接続時の流動性に影響する溶融粘度を広範囲に設定することができる。フェノキシ樹脂は、その重量平均分子量として、10,000〜150,000のものがあり、これらのうち10,000〜80,000のものが好ましい。この値が、10,000未満ではフィルム形成性が劣る傾向にあり、また150,000を超えると他の成分との相溶性が悪くなる傾向がある。フェノキシ樹脂を使用する場合、その使用量としてはエポキシ樹脂100重量部に対して20〜320重量部とすることが好ましい。この使用量が、20重量部未満又は320重量部を超える場合は、フィルム形成性が低下する傾向がある。
【0020】
この他、フィルム形成能を発現し、エポキシ樹脂との相溶性がある程度備わっている高分子樹脂であれば制限なく用いることができ、例えばポリウレタン樹脂、ポリエステル樹脂、ポリビニルブチラール樹脂、SBS樹脂及びそのエポキシ変性体、SEBS樹脂及びその変性体などを用いることができ、これらや前述のフェノキシ樹脂は単独あるいは2種類以上を混合して用いることができる。その際、混合する樹脂同士が完全に相溶するか、もしくはミクロ相分離が生じて白濁する状態であれば接着剤組成物としては好適に用いることができる。
【0021】
本発明の接着剤組成物に用いる導電性粒子としては、Au、Ag、Ni、Cu、はんだ等の金属粒子やカーボン等が挙げられる。また、非導電性のガラス、セラミック、プラスチック等を核とし、この核に前記金属、金属粒子やカーボンを被覆したものでもよい。導電性粒子が、プラスチックを核とし、この核に前記金属、金属粒子やカーボンを被覆したものや熱溶融金属粒子の場合、加熱加圧により変形性を有するので接続時に電極との接触面積が増加し接続信頼性が向上するので好ましい。また、これらの導電性粒子の表面を、さらに絶縁性の高分子樹脂などで被覆した微粒子は、導電性粒子の配合量を増加した場合の粒子同士の接触による短絡を抑制し、電極回路間の絶縁性が向上できることから、適宜これを単独あるいは導電性粒子と混合して用いてもよい。
【0022】
この導電性粒子の平均粒径は、分散性、導電性の点から2〜18μmであることが好ましい。導電性粒子の使用量は、(A)エポキシ樹脂、(B)光照射によって塩基性物質を発生する化合物、(C)1分子中にメルカプト基を1個以上有するチオール系化合物、必要に応じて用いる硬化促進剤及び必要に応じて用いるフェノキシ樹脂などの接着剤組成物100体積に対して0.1〜30体積%とすることが好ましく、0.1〜10体積%とすることがより好ましい。この値が、0.1体積%未満であると導電性が劣る傾向があり、30体積%を超えると回路の短絡が起こる傾向がある。なお、体積%は23℃の硬化前の各成分の体積をもとに決定されるが、各成分の体積は、比重を利用して重量から体積に換算することができる。
【0023】
本発明の接着剤組成物には、カップリング剤等の密着向上剤、レベリング剤などの添加剤を適宜添加してもよい。さらには、アクリレート類、メタアクリレート類などのラジカル重合性物質及び過酸化物などの活性ラジカル発生物質を含んでいてもよい。
【0024】
光照射に用いる光は、一般的に広く使用されている紫外線を用いることができ、水銀ランプ、メタルハライドランプ、無電極ランプ等で発生させることができる。
【0025】
本発明の接着剤組成物は、とりわけテープキャリアパッケージと液晶ディスプレイパネル、テープキャリアパッケージとフレキシブル回路板、あるいはICチップと基板との接着や電気回路相互の接続用に有用である。この場合に用いる接着剤組成物に必要により溶剤等を加えるなどした溶液を、フッ素樹脂フィルム、ポリエチレンテレフタレートフィルム、離形紙等の剥離性基材上に塗布し、あるいは不織布等の基材に前記溶液を含浸させて剥離性基材上に載置し、硬化促進剤の活性温度以下で乾燥し、溶剤等を除去してフィルム状とし、このフィルムの形状とした回路接続材料で使用することができる。フィルムの形状で使用すると取扱性等の点から一層便利である。
【0026】
上記溶剤としては、特に制限なく、公知のものを使用しうるが、トルエン等の芳香族炭化水素系溶剤と酢酸エチル等の酢酸エステル類を包含する含酸素系溶剤との混合溶剤が、溶解性の点で好ましい。ここに含酸素系溶剤のSP値は8.1〜10.7の範囲とすることが硬化促進剤の保護上好ましい。また溶剤の沸点は150℃以下が好ましく、60〜90℃がより好ましく、70〜80℃が特に好ましい。沸点が150℃を超すと乾燥に高温を要し硬化促進剤の活性温度に近いことから、保存安定性の低下を招く傾向があり、低温では乾燥時の作業性が低下する傾向がある。溶剤を使用する場合、その使用量は、溶液の固形分が10〜90重量%とすることが好ましい。
【0027】
以下に、本発明の接着剤組成物及びこれを用いた回路接続材料による基板同士の電極の接続の一例について説明する。接着剤組成物または回路接続材料の層を、基板上の相対時する電極間に存在させ、加熱加圧することにより両電極の接触と基板間の接着を得、電極の接続を行うことができる。電極が形成された基板として、半導体、ガラス、セラミック等の無機質、ポリイミド、ポリカーボネート等の有機物、ガラス/エポキシ樹脂複合物等が挙げられ、これらの各種組み合わせが適用できる。本発明の接着剤組成物または回路接続材料を用いると、従来困難であった、熱膨張係数が大きく異なる材質の接続が可能となることから、広範な材料の接続へ応用できる。
【0028】
本発明の接着剤組成物または回路接続材料は、比較的低温での接続が可能なため、接続時に熱応力が小さく、微細回路の接続に好適であり接続後の信頼性を飛躍的に向上でき、マージンを大きくとれるので、回路の接続作業の効率が向上し、かつ歩留まりも向上する。
【0029】
【実施例】
以下に、本発明を実施例に基づいて具体的に説明するが、本発明はこれに制限されるものではない。
(参考例1)エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エピコート828、油化シェルエポキシ株式会社製商品名、エポキシ当量184)50gを、重量比でトルエン/酢酸エチル=50/50の混合溶剤に溶解して、固形分40重量%の溶液とした。硬化促進剤として、光照射によって塩基性物質を発生する化合物である1−(4−モルホリノベンゾイル)−1−ベンジル−1−ジメチルアミノプロパン(イルガキュア369、チバスペシャリティケミカルズ社製商品名)を2.0g用いた。
【0030】
フェノキシ樹脂として、ビスフェノールA、ビスフェノールF(1/1)とエピクロロヒドリンから合成したビスフェノールA、F共重合型フェノキシ樹脂(平均分子量20,000)50gを重量比でトルエン(沸点110.6℃、SP値8.90)/酢酸エチル(沸点77.1、SP値9.10)=50/50の混合溶剤に溶解して、固形分40重量%の溶液としこれを用いた。導電性粒子として、ポリスチレンを核とする粒子の表面に、厚み0.2μmのニッケル層、このニッケル層の外側に、厚み0.02μmの金層を設けた平均粒径10μm、比重2.0の粒子を作製しこれを用いた。
【0031】
導電性粒子を除いて上記成分を配合した溶液(固形分でエポキシ樹脂50g、硬化促進剤2.0g、フェノキシ樹脂50g)に、導電性粒子を3体積%配合分散させ、厚み80μmのフッ素樹脂フィルムに塗工装置を用いて塗布し、70℃、10分の熱風乾燥によりフッ素樹脂フィルム上に厚みが25μmの接着剤組成物からなるフィルム状の回路接続材料を作製した。次いで、回路接続材料のフィルムをフッ素樹脂フィルムから剥離した。このフッ素樹脂フィルムから剥離した回路接続材料のフィルムは、室温で十分な柔軟性を有し、また40℃で240時間放置してもフィルムの性質、硬化性に変化がほとんどなく、良好な保存安定性を示した。
【0032】
(実施例2)エポキシ樹脂として、ビスフェノールA型エポキシ樹脂(エピコート828、油化シェルエポキシ株式会社製商品名、エポキシ当量184)50gを、重量比でトルエン/酢酸エチル=50/50の混合溶剤に溶解して、固形分40重量%の溶液としこれを用いた。ポリチオールとしては、ペンタエリスリチオール(SH当量50)を13.5g用いた。硬化促進剤としては、光照射によって塩基性物質を発生する化合物である1−(4−モルホリノベンゾイル)−1−ベンジル−1−ジメチルアミノプロパン(イルガキュア369、チバスペシャリティケミカルズ社製商品名)を2.0g用いた。
【0033】
フェノキシ樹脂として、ビスフェノールA、ビスフェノールF(1/1)とエピクロルヒドリンから合成したビスフェノールA、F共重合型フェノキシ樹脂(平均分子量20,000)50gを重量比でトルエン/酢酸エチル=50/50の混合溶剤に溶解して、固形分40重量%の溶液としこれを用いた。導電性粒子としては、ポリスチレンを核とする粒子の表面に、厚み0.2μmのニッケル層、このニッケル層の外側に、厚み0.02μmの金層を設けた平均粒径10μm、比重2.0の粒子を作製しこれを用いた。
【0034】
導電性粒子を除いて上記成分を配合した溶液(固形分でエポキシ樹脂50g、ポリチオール13.5g、硬化促進剤2.0g、フェノキシ樹脂50g)に、導電性粒子を3体積%配合分散させ、厚み80μmのフッ素樹脂フィルムに塗工装置を用いて塗布し、70℃、10分の熱風乾燥によりフッ素樹脂フィルム上に厚みが25μmのフィルム状の回路接続材料を作製した。このフィルムは、室温で十分な柔軟性を有し、また40℃で240時間放置してもフィルムの性質、硬化性には変化がほとんどなく、良好な保存安定性を示した。
【0035】
(実施例3)硬化促進剤を、光照射によって塩基性物質を発生する化合物である1−(4−モルホリノベンゾイル)−1−ベンジル−1−ジメチルアミノプロパン(イルガキュア369)2.0gに代えて、1−(4−メチルチオベンゾイル)−1−メチル−1−モルホリノエタン(イルガキュア907、チバスペシャリティケミカルズ製商品名)2.0gとして作製した他は、実施例2と同様にしてフィルムを作製した。
【0036】
(実施例4)硬化促進剤を、光照射によって塩基性物質を発生する化合物である1−(4−モルホリノベンゾイル)−1−ベンジル−1−ジメチルアミノプロパン(イルガキュア369)2.0g及びノバキュア3941(旭化成工業株式会社製商品名、イミダゾール変性体を核とし、その表面をポリウレタンで被覆してなる平均粒径5μmのマイクロカプセル型硬化促進剤を液状ビスフェノールF型エポキシ樹脂中に分散してなるマスターバッチ型硬化促進剤)を2.0g用いた他は、実施例2と同様にしてフィルムを得た。
【0037】
(実施例5)
ポリチオールをペンタエリスリチオール13.5gに代えて、トリメルカプトメチルプロパン(SH当量60.7)16.4gとして作製した他は、実施例2と同様にしてフィルムを得た。このフィルムは、実施例2と同等な保存安定性を有していた。
【0038】
(比較例1)
ポリチオールをペンタエリスリチオール13.5gから、ポリチオール−エステル樹脂(アデカハードナーEH317、旭電化工業株式会社製商品名、SH当量140)37gに変更した他は、実施例2と同様にしてフィルムを作製した。
【0039】
(比較例2)
ポリチオールをペンタエリスリチオール13.5gから、水酸基を有するポリチオール・エーテル樹脂(アデカハードナーEH310、旭電化工業株式会社製商品名、SH当量190)50gに変更した他は、実施例2と同様にしてフィルムを作製した。
【0040】
(比較例3)
ポリチオールをペンタエリスリチオール13.5gから、2,2′−(エチレンジチオ)ジエタンチオール(SH当量107)28.9gに変更した他は、実施例2と同様にしてフィルムを作製した。
【0041】
(比較例4)
硬化促進剤をノバキュア3941(旭化成工業株式会社製商品名)を2.0g用いた他は、実施例2と同様にしてフィルムを作製した。
【0042】
〔接着強度、接続抵抗の測定〕
参考例1、実施例2〜5、比較例1〜3で作製した、厚みが25μmのフィルム状の回路接続材料を用いて、ライン幅50μm、ピッチ100μm、厚み18μmの銅回路を500本有するフレキシブル回路板(FPC)同士を110℃、2MPaで20秒間加熱加圧して幅2mmにわたり接続した。この時、あらかじめ一方のFPC上に、フッ素樹脂フィルムに形成した回路接続材料のフィルム面を貼り付けた後、70℃、0.5MPaで5秒間加熱加圧して仮接続し、その後、フッ素樹脂フィルムを剥離し、回路接続材料からなるフィルム面に、高圧水銀ランプを有する紫外線照射装置(ウシオ電機株式会社製)を用いて2.0J/cm2の紫外線を照射した。その後にもう一方のFPCと接続し接続体を得た。この接続体の隣接回路間の抵抗値を、接続後の初期と、85℃、85%RHの高温高湿槽中に500時間保持した後にマルチメータで測定した。抵抗値は隣接回路間の抵抗150点の平均で示した。
【0043】
また、この接続体の接着強度をJIS−Z0237に準じて90度剥離法で測定し評価した。ここで、接着強度の測定装置は東洋ボールドウィン株式会社製テンシロンUTM−4(剥離速度50mm/min、25℃)を使用した。
接続体の接着強度、接続抵抗の測定結果を表1に示した。
【0044】
【表1】
【0045】
参考例1、実施例2〜5で得られた接続体は、110℃で良好な短時間接続性を示し、接着強度も十分な強度に達した。また、接続体の初期の接続抵抗も低く、高温高湿試験後の抵抗の上昇もわずかであり、高い耐久性を合わせ持つことが分かった。これらに対して、チオールを使用しない比較例1〜3では、接続体の接着強度が大幅に低下し、満足な接続体とはならず、接続抵抗が大幅にばらつき測定できなかった。また(B)光照射によって塩基性物質を発生する化合物を用いない比較例4では、110℃での短時間接続が行えなかった。
【0046】
【発明の効果】
本発明の接着剤組成物は、加熱による基板の膨張を抑止できる硬化条件の、100〜120℃での硬化により、高信頼性の接続を可能とするものである。さらに導電性粒子を含むことによって、微細電極を有する回路同士の接続を可能とする。さらには、接着剤組成物をフィルム化した回路接続材料は、取扱性に優れ、接着剤組成物または回路接続材料を用いて接続した接続体は、接続信頼性に優れる。
Claims (6)
- (A)エポキシ樹脂、(B)光照射によって塩基性物質を発生する化合物、及び(C)下記一般式(1)で表されるポリチオールを必須として含有する接着剤組成物であって、
(B)光照射によって塩基性物質を発生する化合物がα−アミノアセトフェノン骨格を有する化合物である接着剤組成物。
- (A)エポキシ樹脂100重量部に対して、(B)光照射によって塩基性物質を発生する化合物を0.01〜30重量部配合する請求項1に記載の接着剤組成物。
- 請求項1又は2に記載の接着剤組成物に、さらに導電性粒子を含む接着剤組成物。
- 請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の接着剤組成物の形態をフィルム状とした回路接続材料。
- 請求項1ないし請求項3のいずれか一項に記載の接着剤組成物を用いて接続された接続体。
- 請求項4に記載の回路接続材料を用いて接続された接続体。
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