本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
[実施の形態1]
図1は、この発明の実施の形態1による負荷駆動装置の概略ブロック図である。図1を参照して、負荷駆動装置100は、バッテリBと、システムリレーSMR1〜SMR3と、電圧センサー10,13と、制限抵抗11と、コンデンサC1,C2と、昇圧コンバータ12と、インバータ14と、放電抵抗18と、電流センサー24と、制御装置30とを備える。
交流モータM1は、ハイブリッド自動車または電気自動車の駆動輪を駆動するためのトルクを発生するための駆動モータである。あるいは、このモータはエンジンにて駆動される発電機の機能を持つように、そして、エンジンに対して電動機として動作し、たとえば、エンジン始動を行ない得るようなものとしてハイブリッド自動車に組み込まれるようにしてもよい。
昇圧コンバータ12は、リアクトルL1と、NPNトランジスタQ1,Q2と、ダイオードD1,D2とを含む。
システムリレーSMR1および制限抵抗11は、バッテリBの正極端子側のノードN1と昇圧コンバータ12の高電圧側のノードN2との間に直列に接続される。この場合、制限抵抗11は、ノードN1側に設けられ、システムリレーSMR1は、ノードN2側に設けられる。
システムリレーSMR2は、ノードN1と昇圧コンバータ12のリアクトルL1との間に接続される。システムリレーSMR3は、バッテリBの負極端子と昇圧コンバータ12の低圧側のノードN3との間に接続される。
コンデンサC1は、システムリレーSMR2,SMR3と昇圧コンバータ12との間に並列に接続される。リアクトルL1は、一方端がシステムリレーSMR2に接続され、他方端がNPNトランジスタQ1とNPNトランジスタQ2との中間点、すなわち、NPNトランジスタQ1のエミッタとNPNトランジスタQ2のコレクタとの間に接続される。
NPNトランジスタQ1およびQ2は、インバータ14の正母線上のノードN2と負母線上のノードN3との間に直列に接続される。NPNトランジスタQ1は、コレクタがノードN2に接続され、エミッタがNPNトランジスタQ2のコレクタに接続される。NPNトランジスタQ2は、エミッタがノードN3に接続される。各NPNトランジスタQ1,Q2のコレクタ−エミッタ間には、エミッタ側からコレクタ側へ電流を流すダイオードD1,D2がそれぞれ接続されている。
コンデンサC2は、インバータ14の正母線と負母線との間に接続される。放電抵抗18は、インバータ14の正母線と負母線との間にコンデンサC2に並列に接続される。
インバータ14は、U相アーム15と、V相アーム16と、W相アーム17とから成る。U相アーム15、V相アーム16、およびW相アーム17は、正母線と負母線との間に並列に設けられる。
U相アーム15は、直列接続されたNPNトランジスタQ3,Q4から成り、V相アーム16は、直列接続されたNPNトランジスタQ5,Q6から成り、W相アーム17は、直列接続されたNPNトランジスタQ7,Q8から成る。また、各NPNトランジスタQ3〜Q8のコレクタ−エミッタ間には、エミッタ側からコレクタ側へ電流を流すダイオードD3〜D8がそれぞれ接続されている。
各相アームの中間点は、交流モータM1の各相コイルの各相端に接続されている。すなわち、交流モータM1は、3相の永久磁石モータであり、U,V,W相の3つのコイルの一端が中点に共通接続されて構成され、U相コイルの他端がNPNトランジスタQ3,Q4の中間点に、V相コイルの他端がNPNトランジスタQ5,Q6の中間点に、W相コイルの他端がNPNトランジスタQ7,Q8の中間点にそれぞれ接続されている。
バッテリBは、ニッケル水素またはリチウムイオン等の二次電池から成る。電圧センサー10は、バッテリBから出力されるバッテリ電圧Vbを検出し、その検出したバッテリ電圧Vbを制御装置30へ出力する。
システムリレーSMR1〜SMR3は、制御装置30からの信号SE1〜SE3によりそれぞれオン/オフされる。より具体的には、システムリレーSMR1〜SMR3は、それぞれ、制御装置30からのH(論理ハイ)レベルの信号SE1〜SE3によりオンされ、L(論理ロー)レベルの信号SE1〜SE3によりオフされる。
コンデンサC1は、バッテリBから供給された直流電圧を平滑化し、その平滑化した直流電圧を昇圧コンバータ12へ供給する。
昇圧コンバータ12は、コンデンサC1から供給された直流電圧を昇圧してコンデンサC2へ供給するとともに、インバータ14から供給された直流電圧を降圧してバッテリBへ供給する。より具体的には、昇圧コンバータ12は、制御装置30からの信号PWMUによってNPNトランジスタQ2がオンされた期間に応じて直流電圧を昇圧してコンデンサC2に供給し、信号PWMUによってNPNトランジスタQ1がオンされた期間に応じて直流電圧を降圧してバッテリBを充電する。
このように、昇圧コンバータ12は、バッテリBからの直流電圧を昇圧するとともに、インバータ14からの直流電圧を降圧するので、双方向コンバータの機能を有する。
コンデンサC2は、昇圧コンバータ12からの直流電圧を平滑化し、その平滑化した直流電圧をインバータ14へ供給する。電圧センサー13は、コンデンサC2の両端の電圧、すなわち、昇圧コンバータ12の出力電圧Vm(インバータ14への入力電圧に相当する。以下同じ。)を検出し、その検出した出力電圧Vmを制御装置30へ出力する。
インバータ14は、コンデンサC2から直流電圧が供給されると制御装置30からの信号PWMIに基づいて直流電圧を交流電圧に変換して交流モータM1を駆動する。これにより、交流モータM1は、トルク指令値TRによって指定されたトルクを発生するように駆動される。
また、インバータ14は、モータ駆動装置100が搭載されたハイブリッド自動車または電気自動車の回生制動時、交流モータM1が発電した交流電圧を制御装置30からの信号PWMIに基づいて直流電圧に変換し、その変換した直流電圧をコンデンサC2を介して昇圧コンバータ12へ供給する。なお、ここで言う回生制動とは、ハイブリッド自動車または電気自動車を運転するドライバーによるフットブレーキ操作があった場合の回生発電を伴う制動や、フットブレーキを操作しないものの、走行中にアクセルペダルをオフすることで回生発電をさせながら車両を減速(または加速の中止)させることを含む。
インバータ14は、NPNトランジスタQ3〜Q8に対応して、NPNトランジスタQ3〜Q8を駆動する6個の駆動回路(図示せず)を備えており、6個の駆動回路の各々は、対応するNPNトランジスタに過電流が流れると、フェール信号を発生する。したがって、インバータ14は、6個の駆動回路の少なくとも1つの駆動回路によってフェール信号が発生されると、インバータ14が正常に動作できなくなったことを示すフェール信号FLIを制御装置30へ出力する。
放電抵抗18は、ノードN1からノードN2までの電気経路が無い場合の抵抗値(所定値)よりも高い抵抗値を有する。そして、放電抵抗18は、コンデンサC2の残留電荷を放電する。ノードN1からノードN2までの電気経路、制限抵抗11およびシステムリレーSMR1を設けることにより負荷駆動装置100の停止時等において、コンデンサC2に蓄積された電力を制限抵抗11およびシステムリレーSMR1を介してバッテリBに戻し、コンデンサC2の両端の電圧Vmがバッテリ電圧Vbまで低下した後に、コンデンサC2の残留電荷を放電抵抗18により放電できる。したがって、放電抵抗18の抵抗値をノードN1からノードN2までの電気経路が無い場合の抵抗値よりも高く設定してもコンデンサC2の残留電荷を短時間に放電可能である。そこで、放電抵抗18の抵抗値をノードN1からノードN2までの電気経路が無い場合の抵抗値よりも高く設定することにしたものである。
その結果、負荷駆動装置100の電力利用率をノードN1からノードN2までの電気経路が無い場合よりも高くできる。すなわち、負荷駆動装置100が交流モータM1を力行モードで駆動するとき、インバータ14は、放電抵抗18を介してコンデンサC2から直流電圧を受けるので、コンデンサC2に蓄積された電力の一部は、放電抵抗18により放電される。また、負荷駆動装置100が交流モータM1を回生モードで駆動するとき、インバータ14は、交流モータM1が発電した交流電圧を直流電圧に変換し、その変換した直流電圧を放電抵抗18を介してコンデンサC2に供給するので、発電電力の一部は、放電抵抗18により放電される。しかし、放電抵抗18の抵抗値は、ノードN1からノードN2までの電気経路が無い場合の抵抗値よりも高く設定されるので、交流モータM1を力行モードまたは回生モードで駆動するときの放電電力は、ノードN1からノードN2までの電気経路が無い場合の放電電力よりも減少し、負荷駆動装置100の電力利用率は、ノードN1からノードN2までの電気経路が無い場合の電力利用率よりも高くなる。
電流センサー24は、交流モータM1に流れるモータ電流MCRTを検出し、その検出したモータ電流MCRTを制御装置30へ出力する。
制御装置30は、外部に設けられたECU(Electrical Control Unit)から入力されたトルク指令値TRおよびモータ回転数MRN、電圧センサー10からのバッテリ電圧Vb、電圧センサー13からの出力電圧Vm、および電流センサー24からのモータ電流MCRTに基づいて、後述する方法により昇圧コンバータ12を駆動するための信号PWMUとインバータ14を駆動するための信号PWMIとを生成し、その生成した信号PWMUおよび信号PWMIをそれぞれ昇圧コンバータ12およびインバータ14へ出力する。
信号PWMUは、昇圧コンバータ12がコンデンサC1からの直流電圧を出力電圧Vmに変換する場合に昇圧コンバータ12を駆動するための信号である。そして、制御装置30は、昇圧コンバータ12が直流電圧を出力電圧Vmに変換する場合に、出力電圧Vmをフィードバック制御し、出力電圧Vmが指令された電圧指令Vdc_comになるように昇圧コンバータ12を駆動するための信号PWMUを生成する。また、信号PWMUは、昇圧コンバータ12がインバータ14からの直流電圧を降圧する場合に昇圧コンバータ12を駆動するための信号である。信号PWMUの生成方法については後述する。
また、制御装置30は、システムリレーSMR1〜SMR3をオン/オフするための信号SE1〜SE3を生成してそれぞれシステムリレーSMR1〜SMR3へ出力する。制御装置30がシステムリレーSMR1〜SMR3をオン/オフするシーケンスについては後述する。
図2は、図1に示す制御装置30の機能ブロック図である。図2を参照して、制御装置30は、インバータ制御手段301と、コンバータ制御手段302と、スイッチ制御手段303とを含む。
インバータ制御手段301は、外部ECUからトルク指令値TRを受け、電流センサー24からモータ電流MCRTを受け、電圧センサー13から電圧Vmを受ける。そして、インバータ制御手段301は、コンデンサC2のプリチャージが完了したことを示す信号PCHをスイッチ制御手段303から受けると、トルク指令値TR、モータ電流MCRTおよび電圧Vmに基づいて、後述する方法によって信号PWMIを生成してインバータ14へ出力する。また、インバータ制御手段301は、コンデンサC2の残留電荷を放電するための信号DCHをスイッチ制御手段303から受けると、コンデンサC2の残留電荷を交流モータM1により放電するための信号PWMI_D(信号PWMIの一種)を生成してインバータ14へ出力する。
コンバータ制御手段302は、外部ECUからトルク指令値TRおよびモータ回転数MRNを受け、電圧センサー10からバッテリ電圧Vbを受け、電圧センサー13から電圧Vmを受ける。コンバータ制御手段302は、スイッチ制御手段303からの信号PCHに応じて、トルク指令値TR、モータ回転数MRN、バッテリ電圧Vbおよび電圧Vmに基づいて、後述する方法によって信号PWMUを生成して昇圧コンバータ12へ出力する。
また、コンバータ制御手段302は、トルク指令値TR、モータ回転数MRNおよび電圧Vmに基づいて、後述する方法によって昇圧コンバータ12が正常に動作できなくなったか否かを判定する。そして、コンバータ制御手段302は、昇圧コンバータ12が正常に動作できなくなっていると判定したとき、昇圧コンバータ12が正常に動作できなくなったことを示すフェール信号FLUを生成してスイッチ制御手段303へ出力する。
スイッチ制御手段303は、負荷駆動装置100が搭載されたハイブリッド自動車または電気自動車のイグニッションキーがオンされたことを示す信号IGONを外部ECUから受けると、Hレベルの信号SE1およびSE3を生成してそれぞれシステムリレーSMR1およびSMR3へ出力する。
また、スイッチ制御手段303は、Hレベルの信号SE1およびSE3を生成してそれぞれシステムリレーSMR1,SMR3へ出力した後、電圧センサー13からの電圧Vmが電圧センサー10からのバッテリ電圧Vbに等しいか否かを判定することにより、コンデンサC2がプリチャージされたか否かを判定する。そして、スイッチ制御手段303は、コンデンサC2がプリチャージされたと判定したとき、Hレベルの信号SE2を生成してシステムリレーSMR2へ出力し、引続いてLレベルの信号SE1を生成してシステムリレーSMR1へ出力する。また、スイッチ制御手段303は、コンデンサC2がプリチャージされたと判定したとき、コンデンサC2のプリチャージが完了したことを示す信号PCHを生成してインバータ制御手段301およびコンバータ制御手段302へ出力する。
さらに、スイッチ制御手段303は、インバータ14からフェール信号FLIを受けたとき、またはイグニッションキーがオフされたことを示す信号IGOFFを外部ECUから受けたとき、Hレベルの信号SE1を生成してシステムリレーSMR1へ出力し、引続いてLレベルの信号SE2を生成してシステムリレーSMR2へ出力する。その後、スイッチ制御手段303は、電圧Vmがバッテリ電圧Vbまで低下すると、Lレベルの信号SE1およびSE3を生成してそれぞれシステムリレーSMR1およびSMR3へ出力する。
さらに、スイッチ制御手段303は、コンバータ制御手段302からフェール信号FLUを受けたとき、Hレベルの信号SE1を生成してシステムリレーSMR1へ出力し、引続いてLレベルの信号SE2を生成してシステムリレーSMR2へ出力する。その後、スイッチ制御手段303は、電圧Vmがバッテリ電圧Vbまで低下すると、Lレベルの信号SE1およびSE3を生成してそれぞれシステムリレーSMR1およびSMR3へ出力するとともに、信号DCHを生成してインバータ制御手段301へ出力する。
図3は、図2に示すインバータ制御手段301の機能ブロック図である。図3を参照して、インバータ制御手段301は、モータ制御用相電圧演算部40と、インバータ用PWM信号変換部42とを含む。
モータ制御用相電圧演算部40は、信号PCHをスイッチ制御手段303から受け、昇圧コンバータ12の出力電圧Vm、すなわち、インバータ14への入力電圧を電圧センサー13から受け、交流モータM1の各相に流れるモータ電流MCRTを電流センサー24から受け、トルク指令値TRを外部ECUから受ける。そして、モータ制御用相電圧演算部40は、スイッチ制御手段303から信号PCHを受けると、出力電圧Vm、トルク指令値TRおよびモータ電流MCRTに基づいて、交流モータM1の各相のコイルに印加する電圧を計算し、その計算した結果をインバータ用PWM信号変換部42へ供給する。
インバータ用PWM信号変換部42は、モータ制御用相電圧演算部40から受けた計算結果に基づいて、インバータ14の各NPNトランジスタQ3〜Q8を実際にオン/オフする信号PWMIを生成し、その生成した信号PWMIをインバータ14の各NPNトランジスタQ3〜Q8へ出力する。
これにより、各NPNトランジスタQ3〜Q8は、スイッチング制御され、交流モータM1が指令されたトルクを出すように交流モータM1の各相に流す電流を制御する。このようにして、モータ駆動電流が制御され、トルク指令値TRに応じたモータトルクが出力される。
インバータ14が信号PWMIによって力行モードで駆動されるか回生モードで駆動されるかは、モータ回転数MRNおよびトルク指令値TRによって決定される。すなわち、モータ回転数を横軸にとり、トルク指令値を縦軸にとった直交座標において、モータ回転数MRNとトルク指令値TRとの関係が第1象限または第2象限に存在するとき、交流モータM1は力行モードにあり、モータ回転数MRNとトルク指令値TRとの関係が第3象限または第4象限に存在するとき、交流モータM1は、回生モードにある。したがって、モータ制御用相電圧演算部40が第1象限または第2象限に存在するモータ回転数MRNとトルク指令値TRとを外部ECUから受けたとき、インバータ用PWM信号変換部42は、インバータ14を力行モードで駆動するための信号PWMIを生成し、モータ制御用相電圧演算部40が第3象限または第4象限に存在するモータ回転数MRNとトルク指令値TRとを外部ECUから受けたとき、インバータ用PWM信号変換部42は、インバータ14を回生モードで駆動するための信号PWMIを生成する。
また、インバータ用PWM信号変換部42は、スイッチ制御手段303から信号DCHを受けると、モータ制御用相電圧演算部40からの計算結果に拘わらずコンデンサC2の残留電荷を交流モータM1で放電するための信号PWMI_Dを生成してインバータ14へ出力する。たとえば、信号PWMI_Dは、インバータ14のNPNトランジスタQ3〜Q8の全てをオンするための信号である。信号PWMI_Dは、NPNトランジスタQ3〜Q8の全てをオンするための信号に限らず、一般に、コンデンサC2の残留電荷が交流モータM1のU相コイル、V相コイルおよびW相コイルの少なくとも2つに流れるようにNPNトランジスタQ3〜Q8をオンする信号であればよい。
図4は、図2に示すコンバータ制御手段302の機能ブロック図である。図4を参照して、コンバータ制御手段302は、インバータ入力電圧指令演算部50と、フィードバック電圧指令演算部52と、デューティー比変換部54と、判定部56とを含む。
インバータ入力電圧指令演算部50は、コンデンサC2のプリチャージが完了したことを示す信号PCHをスイッチ制御手段303から受けると、トルク指令値TRおよびモータ回転数MRNに基づいてインバータ入力電圧の最適値(目標値)、すなわち、電圧指令Vdc_comを演算し、その演算した電圧指令Vdc_comをフィードバック電圧指令演算部52および判定部56へ出力する。
フィードバック電圧指令演算部52は、電圧センサー13からの昇圧コンバータ12の出力電圧Vmと、インバータ入力電圧指令演算部50からの電圧指令Vdc_comとに基づいて、出力電圧Vmを電圧指令Vdc_comに設定するためのフィードバック電圧指令Vdc_com_fbを演算し、その演算したフィードバック電圧指令Vdc_com_fbをデューティー比変換部54へ出力する。
デューティー比変換部54は、電圧センサー10からのバッテリ電圧Vbと、電圧センサー13からの出力電圧Vmと、フィードバック電圧指令演算部52からのフィードバック電圧指令Vdc_com_fbとに基づいて、電圧センサー13からの出力電圧Vmを、フィードバック電圧指令演算部52からのフィードバック電圧指令Vdc_com_fbに設定するためのデューティー比を演算し、その演算したデューティー比に基づいて昇圧コンバータ12のNPNトランジスタQ1,Q2をオン/オフするための信号PWMUを生成する。そして、デューティー比変換部54は、生成した信号PWMUを昇圧コンバータ12のNPNトランジスタQ1,Q2へ出力する。
なお、昇圧コンバータ12の下側のNPNトランジスタQ2のオンデューティーを大きくすることによりリアクトルL1における電力蓄積が大きくなるため、より高電圧の出力を得ることができる。一方、上側のNPNトランジスタQ1のオンデューティーを大きくすることにより正母線の電圧が下がる。そこで、NPNトランジスタQ1,Q2のデューティー比を制御することで、正母線の電圧をバッテリBの出力電圧以上の任意の電圧に制御可能である。
判定部56は、電圧センサー13からの出力電圧Vmと、インバータ入力電圧指令演算部50からの電圧指令Vdc_comとに基づいて、昇圧コンバータ12が正常に動作できなくなったか否かを判定する。より具体的には、判定部56は、出力電圧Vmと電圧指令Vdc_comとの差を演算し、その演算した差が所定期間継続して所定値以上であるとき、昇圧コンバータ12は正常に動作できなくなったと判定する。そして、判定部56は、昇圧コンバータ12が正常に動作できなくなったと判定したとき、フェール信号FLUを生成してスイッチ制御手段303へ出力する。昇圧コンバータ12が正常に動作しているとき、出力電圧Vmは、徐々に電圧指令Vdc_comに近づく。しかし、昇圧コンバータ12が正常に動作できなくなったとき、出力電圧Vmと電圧指令Vdc_comとの差が所定期間継続して所定値以上になる。したがって、出力電圧Vmと電圧指令Vdc_comとの差が所定期間継続して所定値以上であるか否かを判定することにより、昇圧コンバータ12が正常に動作しているか否かを判定することにしたものである。
図5は、図1に示す負荷駆動装置100の動作を説明するためのフローチャートである。図5を参照して、一連の動作が開始されると、スイッチ制御手段303は、信号IGONを外部ECUから受けると(ステップS1)、Hレベルの信号SE1およびSE3を生成してそれぞれシステムリレーSMR1およびSMR3へ出力する。
システムリレーSMR1およびSMR3は、制御装置30からのそれぞれHレベルの信号SE1およびSE3によってオンされ、バッテリBは、制限抵抗11およびシステムリレーSMR1,SMR3を介して直流電圧をコンデンサC2に供給し、コンデンサC2をプリチャージする(ステップS2)。この場合、バッテリBは、直流電圧を制限抵抗11を介してコンデンサC2に供給するので、コンデンサC2への突入電流を防止できる。
その後、スイッチ制御手段303は、電圧センサー13からの電圧Vmが電圧センサー10からのバッテリ電圧Vbに一致するか否かを判定し(ステップS3)、電圧Vmがバッテリ電圧Vbに一致するとき、コンデンサC2がプリチャージされたと判定する。
一方、電圧Vmがバッテリ電圧Vbに一致しないとき、一連の動作はステップS10へ移行する。
スイッチ制御手段303は、コンデンサC2がプリチャージされたと判定したとき、信号PCHを生成してインバータ制御手段301およびコンバータ制御手段302へ出力する。そして、スイッチ制御手段303は、Hレベルの信号SE2を生成してシステムリレーSMR2へ出力し、引続いてLレベルの信号SE1を生成してシステムリレーSMR1へ出力する。これにより、バッテリBは、システムリレーSMR2,SMR3を介して直流電圧を昇圧コンバータ12へ供給する。
その後、コンバータ制御手段302のインバータ入力電圧指令演算部50は、スイッチ制御手段303からの信号PCHに応じて、外部ECUからのトルク指令値TRおよびモータ回転数MRNに基づいて電圧指令Vdc_comを演算してフィードバック電圧指令演算部52および判定部56へ出力する。
フィードバック電圧指令演算部52は、インバータ入力電圧指令演算部50からの電圧指令Vdc_comと、電圧センサー13からの電圧Vmとに基づいて、上述した方法によってフィードバック電圧指令Vdc_com_fbを演算してデューティー比変換部54へ出力する。そして、デューティー比変換部54は、フィードバック電圧指令Vdc_com_fb、バッテリ電圧Vbおよび電圧Vmに基づいて、上述した方法によって信号PWMUを生成して昇圧コンバータ12へ出力する。
また、インバータ制御手段301のモータ制御用相電圧演算部40は、スイッチ制御手段303からの信号PCHに応じて、外部ECUからのトルク指令値TRおよびモータ回転数MRNに基づいて、交流モータM1の各相に印加する電圧を計算し、その計算結果をインバータ用PWM信号変換部42へ出力する。インバータ用PWM信号変換部42は、モータ制御用相電圧演算部40からの計算結果に基づいて信号PWMIを生成してインバータ14へ出力する。
そして、昇圧コンバータ12は、制御装置30からの信号PWMUによってバッテリBからの直流電圧を昇圧してコンデンサC2へ供給する。コンデンサC2は、昇圧コンバータ12からの直流電圧を平滑化してインバータ14へ供給する。インバータ14は、コンデンサC2からの直流電圧を制御装置30からの信号PWMIによって交流電圧に変換して交流モータM1を駆動する。すなわち、インバータ14は、交流モータM1を力行モードで駆動する。
また、負荷駆動装置100が搭載されたハイブリッド自動車または電気自動車の回生制動時、交流モータM1は、交流電圧を発電する。インバータ14は、交流モータM1が発電した交流電圧を制御装置30からの信号PWMIによって直流電圧に変換してコンデンサC2に供給する。
コンデンサC2は、インバータ14からの直流電圧を平滑化して昇圧コンバータ12へ供給し、昇圧コンバータ12は、コンデンサC2からの直流電圧を制御装置30からの信号PWMUによって降圧してバッテリBを充電する。
このようして、負荷駆動装置100は、バッテリBとコンデンサC2との間で電圧変換を行ない、交流モータM1を力行モードまたは回生モードで駆動する(ステップS4)。
その後、コンバータ制御手段302の判定部56は、電圧指令Vdc_comと電圧Vmとの差が所定期間継続して所定値以上であるか否かを判定することにより、昇圧コンバータ12が正常に動作できなくなったか否かを判定する(ステップS5)。
昇圧コンバータ12が正常に動作できなくなったと判定されたとき、一連の動作はステップS9へ移行する。ステップS5において、電圧指令Vdc_comと電圧Vmとの差が所定値よりも小さいとき、判定部56は、昇圧コンバータ12は正常であると判定する。
そして、スイッチ制御手段303は、フェール信号FLIをインバータ14から受けたか否かを判定することにより、インバータ14が正常に動作できなくなったか否かを判定する(ステップS6)。そして、スイッチ制御手段303は、フェール信号FLIをインバータ14から受けると、インバータ14が正常に動作できなくなったと判定する。その後、一連の動作はステップS8へ移行する。
一方、ステップS6において、スイッチ制御手段303は、インバータ14からフェール信号FLIを受けないとき、インバータ14は正常であると判定する。そして、スイッチ制御手段303は、外部ECUから信号IGOFFを受けたか否かを判定する(ステップS7)。スイッチ制御手段303が信号IGOFFを受けないとき、ステップS4〜ステップS7が繰返し実行される。
ステップS6においてインバータ14が正常に動作できなくなったと判定されたとき、またはステップS7において信号IGOFFを受けたと判定されたとき、スイッチ制御手段303は、Hレベルの信号SE1を生成してシステムリレーSMR1へ出力し、引続いてLレベルの信号SE2を生成してシステムリレーSMR2へ出力する。
そうすると、システムリレーSMR1は、Hレベルの信号SE1に応じてオンされ、システムリレーSMR2は、Lレベルの信号SE2に応じてオフされる。そして、コンデンサC2に蓄積された電力は、システムリレーSMR1および制限抵抗11を介してバッテリBへ戻され、コンデンサC2の両端の電圧Vmは低下する。
その後、スイッチ制御手段303は、電圧Vmがバッテリ電圧Vbまで低下すると、Lレベルの信号SE1およびSE3を生成してそれぞれシステムリレーSMR1およびSMR3へ出力する。そして、システムリレーSMR1およびSMR3は、それぞれ、Lレベルの信号SE1およびSE3に応じてオフされる。
そうすると、コンデンサC2の残留電荷は、放電抵抗18を介して放電される(ステップS8)。
一方、ステップS5において、昇圧コンバータ12が正常に動作できなくなったと判定されたとき、判定部56は、フェール信号FLUを生成してスイッチ制御手段303へ出力する。スイッチ制御手段303は、コンバータ制御手段302からのフェール信号FLUに応じて、Hレベルの信号SE1を生成してシステムリレーSMR1へ出力し、引続いてLレベルの信号SE2を生成してシステムリレーSMR2へ出力する。
そうすると、システムリレーSMR1は、Hレベルの信号SE1に応じてオンされ、システムリレーSMR2は、Lレベルの信号SE2に応じてオフされる。そして、コンデンサC2に蓄積された電力は、システムリレーSMR1および制限抵抗11を介してバッテリBへ戻され、コンデンサC2の両端の電圧Vmは低下する。
その後、スイッチ制御手段303は、電圧Vmがバッテリ電圧Vbまで低下すると、Lレベルの信号SE1およびSE3を生成してそれぞれシステムリレーSMR1およびSMR3へ出力するとともに、信号DCHを生成してインバータ制御手段301へ出力する。
そうすると、システムリレーSMR1およびSMR3は、それぞれ、Lレベルの信号SE1およびSE3に応じてオフされる。そして、インバータ制御手段301のインバータ用PWM信号変換部42は、スイッチ制御手段303からの信号DCHに応じて、信号PWMI_Dを生成してインバータ14へ出力する。インバータ14は、制御装置30からの信号PWMI_Dに応じて、コンデンサC2の残留電荷を交流モータM1に供給する。
これにより、コンデンサC2の残留電荷は、放電抵抗18および交流モータM1により放電される(ステップS9)。
さらに、ステップS3において、電圧Vmが電圧Vbに不一致であるとき、すなわち、コンデンサC2のプリチャージが完了しないとき、ノードN1からノードN2までの電気経路に断線が生じていると判定される(ステップS10)。
そして、ステップS8、ステップS9およびステップS10のいずれかの後、一連の動作は終了する。
上述したように、負荷駆動装置100においては、イグニッションキーがオンされたことを示す信号IGONを外部ECUから受けると、システムリレーSMR1およびSMR3をオンして制限抵抗11を介してコンデンサC2をバッテリ電圧Vbまでプリチャージする(ステップS1,S2参照)。したがって、負荷駆動装置100の起動時、突入電流を防止してコンデンサC2をプリチャージできるとともに、システムリレーSMR1の溶着を防止できる。
また、負荷駆動装置100においては、昇圧コンバータ12またはインバータ14が正常に動作できなくなったとき(「異常時」という。以下同じ)、またはイグニッションキーがオフされたとき、システムリレーSMR1およびSMR3をオンして制限抵抗11を介してコンデンサC2に蓄積された電力をバッテリBへ戻す。そして、コンデンサC2の両端の電圧Vmがバッテリ電圧Vbまで低下すると、放電抵抗18または放電抵抗18および交流モータM1によりコンデンサC2の残留電荷が放電される(ステップS5〜S9参照)。
したがって、コンデンサC2への突入電流の発生およびシステムリレーSMR1の溶着を防止する制限抵抗11を利用してコンデンサC2に蓄積された電力をバッテリBへ戻し、コンデンサC2の両端の電圧Vmを短時間に低下させることができる。
また、コンデンサC2の両端の電圧Vmがバッテリ電圧Vbまで低下した後に、コンデンサC2の残留電荷が放電抵抗18により放電されるので、放電抵抗18の抵抗値を高く設定してもコンデンサC2の残留電荷を短時間に放電できるとともに、負荷駆動装置100の通常動作時における電力利用効率を高くできる。より詳細には、負荷駆動装置100がハイブリッド自動車または電気自動車に搭載された場合、負荷駆動装置100は、通常動作時、バッテリBに充電された充電電力により交流モータM1を駆動してハイブリッド自動車または電気自動車の駆動輪を駆動する。そして、放電抵抗18の抵抗値は高く設定されているので、交流モータM1の駆動中、放電抵抗18による放電量は少ない。したがって、充電走行距離を長くできる。
また、負荷駆動装置100が回生モードで交流モータM1を駆動したとき、インバータ14は、交流モータM1により発電された交流電圧を直流電圧に変換し、昇圧コンバータ12は、インバータ14からの直流電圧を降圧してバッテリBを充電する。この場合も、放電抵抗18による放電量を少なくできる。したがって、エネルギー回収率を高くできる。
このように、負荷駆動装置100においては、電力を有効に利用できるとともに、コンデンサC2の残留電荷を短時間に放電可能である。
なお、制御装置30における負荷駆動装置100の制御は、実際にはCPU(Central Processing Unit)によって行なわれ、CPUは、図5に示すフローチャートの各ステップを備えるプログラムをROM(Read Only Memory)から読出し、その読出したプログラムを実行して図5に示すフローチャートに従って負荷駆動装置100の動作を制御する。したがって、ROMは、図5に示すフローチャートの各ステップを備えるプログラムを記録したコンピュータ(CPU)読み取り可能な記録媒体に相当する。
また、ノードN1からノードN2までの経路は、昇圧コンバータの高電圧側をバッテリの正極側に接続する「電気経路」を構成する。
コンバータ制御手段302およびスイッチ制御手段303は、「制御手段」を構成する。
さらに、上記においては、システムリレーSMR1およびSMR3をオンしてコンデンサC2に蓄積された電力をバッテリBへ戻した後、コンデンサC2の残留電荷を放電抵抗により放電するタイミングは、コンデンサC2の両端の電圧VmがバッテリVbまで低下したときであると説明したが、この発明においては、これに限らず、電圧Vmがバッテリ電圧Vbよりも高い電圧Vb+αに達すると、コンデンサC2の残留電荷を放電抵抗18により放電するようにしてもよい。そして、αは、放電抵抗18による放電時間がノードN1からノードN2までの電気経路が無い場合の放電時間と同程度になる値に設定される。
[実施の形態2]
図6は、実施の形態2による負荷駆動装置の概略ブロック図である。図6を参照して、負荷駆動装置100Aは、負荷駆動装置100の放電抵抗18を可変抵抗器28に代え、制御装置30を制御装置30Aに代えたものであり、その他は、負荷駆動装置100と同じである。
可変抵抗器28は、正母線と負母線との間にコンデンサC2に並列に接続される。制御装置30Aは、負荷駆動装置100の制御装置30の機能に加え、可変抵抗器28の抵抗値を所定値よりも高く設定するための信号RS1と、可変抵抗器28の抵抗値を所定値以下に設定するための信号RS2とを生成し、その生成した信号RS1またはRS2を可変抵抗器28へ出力する。なお、所定値は、ノードN1からノードN2までの電気経路が無い場合の放電抵抗の抵抗値である。
図7は、図6に示す制御装置30Aの機能ブロック図である。図7を参照して、制御装置30Aは、制御装置30に抵抗制御手段304を追加したものであり、その他は、制御装置30と同じである。なお、制御装置30Aにおいては、コンバータ制御手段302の判定部56は、生成したフェール信号FLUをスイッチ制御手段303および抵抗制御手段304へ出力する。
抵抗制御手段304は、外部ECUから信号IGONを受けると、信号RS1を生成して可変抵抗器28へ出力する。また、抵抗制御手段304は、外部ECUから信号IGOFFを受けたとき、またはインバータ14からフェール信号FLIを受けたとき、またはコンバータ制御手段302からフェール信号FLUを受けたとき、信号RS2を生成して可変抵抗器28へ出力する。
すなわち、抵抗制御手段304は、負荷駆動装置100Aの起動時、可変抵抗器28の抵抗値を所定値よりも高く設定し、負荷駆動装置100Aの停止時、または昇圧コンバータ12もしくはインバータ14が正常に動作できなくなった時、可変抵抗器28の抵抗値を低く設定する。
図8は、図6に示す負荷駆動装置100Aの動作を説明するためのフローチャートである。図8に示すフローチャートは、図5に示すフローチャートのステップS1とステップS2との間にステップS1Aを挿入し、ステップS8およびS9をそれぞれステップS8AおよびS9Aに代えたものであり、その他は、図5に示すフローチャートと同じである。
図8を参照して、ステップS1の後、抵抗制御手段304は、信号IGONに応じて信号RS1を生成して可変抵抗器28へ出力する。そして、可変抵抗器28の抵抗値は所定値よりも高く設定される(ステップS1A)。その後、上述したステップS2〜ステップS7およびステップS10が実行される。
ステップS6においてインバータ14が正常に動作できなくなったと判定されたとき、またはステップS7において信号IGOFFを受けたと判定されたとき、スイッチ制御手段303は、Hレベルの信号SE1を生成してシステムリレーSMR1へ出力し、引続いてLレベルの信号SE2を生成してシステムリレーSMR2へ出力する。
そうすると、システムリレーSMR1は、Hレベルの信号SE1に応じてオンされ、システムリレーSMR2は、Lレベルの信号SE2に応じてオフされる。そして、コンデンサC2に蓄積された電力は、システムリレーSMR1および制限抵抗11を介してバッテリBへ戻され、コンデンサC2の両端の電圧Vmは低下する。
その後、スイッチ制御手段303は、電圧Vmがバッテリ電圧Vbまで低下すると、Lレベルの信号SE1およびSE3を生成してそれぞれシステムリレーSMR1およびSMR3へ出力する。そして、システムリレーSMR1およびSMR3は、それぞれ、Lレベルの信号SE1およびSE3に応じてオフされる。また、抵抗制御手段304は、インバータ14からのフェール信号FLIに応じて信号RS2を生成して可変抵抗器28へ出力する。
そうすると、コンデンサC2の残留電荷は、抵抗値が所定値以下に低下した可変抵抗器28を介して放電される(ステップS8A)。
一方、ステップS5において、昇圧コンバータ12が正常に動作できなくなったと判定されたとき、判定部56は、フェール信号FLUを生成してスイッチ制御手段303へ出力する。スイッチ制御手段303は、コンバータ制御手段302からのフェール信号FLUに応じて、Hレベルの信号SE1を生成してシステムリレーSMR1へ出力し、引続いてLレベルの信号SE2を生成してシステムリレーSMR2へ出力する。
そうすると、システムリレーSMR1は、Hレベルの信号SE1に応じてオンされ、システムリレーSMR2は、Lレベルの信号SE2に応じてオフされる。そして、コンデンサC2に蓄積された電力は、システムリレーSMR1および制限抵抗11を介してバッテリBへ戻され、コンデンサC2の両端の電圧Vmは低下する。
その後、スイッチ制御手段303は、電圧Vmがバッテリ電圧Vbまで低下すると、Lレベルの信号SE1およびSE3を生成してそれぞれシステムリレーSMR1およびSMR3へ出力するとともに、信号DCHを生成してインバータ制御手段301へ出力する。また、抵抗制御手段304は、コンバータ制御手段302からのフェール信号FLUに応じて信号RS2を生成して可変抵抗器28へ出力する。
そうすると、システムリレーSMR1およびSMR3は、それぞれ、Lレベルの信号SE1およびSE3に応じてオフされる。そして、インバータ制御手段301のインバータ用PWM信号変換部42は、スイッチ制御手段303からの信号DCHに応じて、信号PWMI_Dを生成してインバータ14へ出力する。インバータ14は、制御装置30Aからの信号PWMI_Dに応じて、コンデンサC2の残留電荷を交流モータM1に供給する。
これにより、コンデンサC2の残留電荷は、交流モータM1および抵抗値が所定値以下に低下した可変抵抗器28により放電される(ステップS9A)。
このように、負荷駆動装置100Aにおいては、起動時および通常動作時、可変抵抗器28の抵抗値は所定値よりも高く設定され、停止時または昇圧コンバータ12もしくはインバータ14が正常に動作できなくなった時、可変抵抗器28の抵抗値は所定値以下に設定される。
したがって、コンデンサC2の残留電荷を短時間に放電できるともに、負荷駆動装置100Aの通常動作時における電力利用効率をより高くできる。
なお、制御装置30Aにおける負荷駆動装置100Aの制御は、実際にはCPUによって行なわれ、CPUは、図8に示すフローチャートの各ステップを備えるプログラムをROMから読出し、その読出したプログラムを実行して図8に示すフローチャートに従って負荷駆動装置100Aの動作を制御する。したがって、ROMは、図8に示すフローチャートの各ステップを備えるプログラムを記録したコンピュータ(CPU)読み取り可能な記録媒体に相当する。
また、可変抵抗器28は、「放電抵抗」を構成する。
その他は、実施の形態1と同じである。
[実施の形態3]
図9は、実施の形態3による負荷駆動装置の概略ブロック図である。図9を参照して、負荷駆動装置100Bは、負荷駆動装置100の放電抵抗18を削除し、制御装置30を制御装置30Bに代えたものであり、その他は、負荷駆動装置100と同じである。
制御装置30Bは、負荷駆動装置100の制御装置30の機能に加え、コンデンサC2の残留電荷を放電するように昇圧コンバータ12を制御する機能を有する。
図10は、図9に示す制御装置30Bの機能ブロック図である。図10を参照して、制御装置30Bは、制御装置30のコンバータ制御手段302をコンバータ制御手段302Aに代えたものであり、その他は、制御装置30と同じである。なお、制御装置30Bにおいては、スイッチ制御手段303は、電圧Vmがバッテリ電圧Vbまで低下すると、信号DCHを生成してインバータ制御手段301またはコンバータ制御手段302Aへ出力する。
コンバータ制御手段302Aは、制御装置30のコンバータ制御手段302の機能に加え、スイッチ制御手段303からの信号DCHに応じてコンデンサC2の残留電荷を放電するように昇圧コンバータ12を制御する機能を有する。
図11は、図10に示すコンバータ制御手段302Aの機能ブロック図である。図11を参照して、コンバータ制御手段302Aは、コンバータ制御手段302のデューティー比変換部54をデューティー比変換部54Aに代えたものであり、その他は、コンバータ制御手段302と同じである。
デューティー比変換部54Aは、デューティー比変換部54の機能に加え、スイッチ制御手段303から信号DCHを受けると、フィードバック電圧指令演算部52からのフィードバック電圧指令Vdc_com_fbに拘わらず、コンデンサC2の残留電荷を放電するように昇圧コンバータ12を制御するための信号PWMU_D(信号PWMUの一種)を生成して昇圧コンバータ12へ出力する。
たとえば、信号PWMU_Dは、NPNトランジスタQ1のベースに印加する電圧を通常動作よりも低くしてNPNトランジスタQ1を流れる電流を制限するとともに、NPNトランジスタQ2をオフする信号である。
図12は、図9に示す負荷駆動装置100Bの動作を説明するためのフローチャートである。図12に示すフローチャートは、図5に示すフローチャートのステップS8およびS9をそれぞれステップS8BおよびステップS9Bに代えたものであり、その他は、図5に示すフローチャートと同じである。
ステップS6においてインバータ14が正常に動作できなくなったと判定されたとき、またはステップS7において信号IGOFFを受けたと判定されたとき、スイッチ制御手段303は、Hレベルの信号SE1を生成してシステムリレーSMR1へ出力し、引続いてLレベルの信号SE2を生成してシステムリレーSMR2へ出力する。
そうすると、システムリレーSMR1は、Hレベルの信号SE1に応じてオンされ、システムリレーSMR2は、Lレベルの信号SE2に応じてオフされる。そして、コンデンサC2に蓄積された電力は、システムリレーSMR1および制限抵抗11を介してバッテリBへ戻され、コンデンサC2の両端の電圧Vmは低下する。
その後、スイッチ制御手段303は、電圧Vmがバッテリ電圧Vbまで低下すると、Lレベルの信号SE1およびSE3を生成してそれぞれシステムリレーSMR1およびSMR3へ出力する。そして、システムリレーSMR1およびSMR3は、それぞれ、Lレベルの信号SE1およびSE3に応じてオフされる。また、スイッチ制御手段303は、信号DCHを生成してコンバータ制御手段302Aへ出力する。
コンバータ制御手段302Aのデューティー比変換部54Aは、信号DCHに応じて信号PWMU_Dを生成して昇圧コンバータ12へ出力する。
そうすると、昇圧コンバータ12は、制御装置30Bからの信号PWMU_Dに応じて、直流電流をコンデンサC2からリアクトルL1の方向へNPNトランジスタQ1を介して流し、コンデンサC2の残留電荷を放電する(ステップS8B)。
一方、ステップS5において、昇圧コンバータ12が正常に動作できなくなったと判定されたとき、コンバータ制御手段302Aの判定部56は、フェール信号FLUを生成してスイッチ制御手段303へ出力する。スイッチ制御手段303は、コンバータ制御手段302Aからのフェール信号FLUに応じて、Hレベルの信号SE1を生成してシステムリレーSMR1へ出力し、引続いてLレベルの信号SE2を生成してシステムリレーSMR2へ出力する。
そうすると、システムリレーSMR1は、Hレベルの信号SE1に応じてオンされ、システムリレーSMR2は、Lレベルの信号SE2に応じてオフされる。そして、コンデンサC2に蓄積された電力は、システムリレーSMR1および制限抵抗11を介してバッテリBへ戻され、コンデンサC2の両端の電圧Vmは低下する。
その後、スイッチ制御手段303は、電圧Vmがバッテリ電圧Vbまで低下すると、Lレベルの信号SE1およびSE3を生成してそれぞれシステムリレーSMR1およびSMR3へ出力するとともに、信号DCHを生成してインバータ制御手段301へ出力する。
そうすると、システムリレーSMR1およびSMR3は、それぞれ、Lレベルの信号SE1およびSE3に応じてオフされる。そして、インバータ制御手段301のインバータ用PWM信号変換部42は、スイッチ制御手段303からの信号DCHに応じて、信号PWMI_Dを生成してインバータ14へ出力する。インバータ14は、制御装置30Bからの信号PWMI_Dに応じて、コンデンサC2の残留電荷を交流モータM1に供給する。
これにより、コンデンサC2の残留電荷は、交流モータM1により放電される(ステップS9B)。
このように、負荷駆動装置100Bは、停止時、または昇圧コンバータ12もしくはインバータ14が正常に動作できなくなった時、放電抵抗を用いずにコンデンサC2の残留電荷を昇圧コンバータ12または交流モータM1により放電する。
したがって、負荷駆動装置100Aの通常動作時における電力利用効率をより高くできるとともに、放電抵抗を設けずにコンデンサC2の残留電荷を放電できる。
なお、制御装置30Bにおける負荷駆動装置100Bの制御は、実際にはCPUによって行なわれ、CPUは、図12に示すフローチャートの各ステップを備えるプログラムをROMから読出し、その読出したプログラムを実行して図12に示すフローチャートに従って負荷駆動装置100Bの動作を制御する。したがって、ROMは、図12に示すフローチャートの各ステップを備えるプログラムを記録したコンピュータ(CPU)読み取り可能な記録媒体に相当する。
その他は、実施の形態1と同じである。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
10,13 電圧センサー、11 制限抵抗、12 昇圧コンバータ、14 インバータ、15 U相アーム、16 V相アーム、17 W相アーム、18 放電抵抗、24 電流センサー、28 可変抵抗器、30,30A,30B 制御装置、40 モータ制御用相電圧演算部、42 インバータ用PWM信号変換部、50 インバータ入力電圧指令演算部、52 フィードバック電圧指令演算部、54,54A デューティー比変換部、56 判定部、100,100A,100B 負荷駆動装置、301 インバータ制御手段、302,302A コンバータ制御手段、303 スイッチ制御手段、304 抵抗制御手段、C1,C2 コンデンサ、L1 リアクトル、B バッテリ、M1 交流モータ、N1〜N3 ノード、SMR1〜SMR3 システムリレー、Q1〜Q8 NPNトランジスタ、D1〜D8 ダイオード。