JP2004194475A - インバータ装置 - Google Patents

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Takashi Torii
孝史 鳥井
Kiyoe Ochiai
清恵 落合
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Toyota Motor Corp
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Abstract

【課題】放電抵抗における損失が小さいインバータ装置を提供する。
【解決手段】制御装置30は、信号PWMBを生成して昇圧コンバータ12へ出力する。昇圧コンバータ12は、信号PWMBに応じて、コンデンサC2に蓄積された電力を直流電源Bにチャージバックする。そして、コンデンサC2の両端の電圧Vmが基準値以下になると、放電手段20において、ツェナーダイオード206は、ノードN1からノードN2へ電流を流すのを停止し、NPNトランジスタ203はオフされる。そして、ノードN3上の電圧が上昇し、NPNトランジスタ202はオンされる。その結果、コンデンサC2に蓄積された電力は、放電抵抗201を介して放電される。
【選択図】 図1

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
この発明は、残留電荷の放電機能を有するインバータ装置に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
最近、環境に配慮した自動車としてハイブリッド自動車(Hybrid Vehicle)および電気自動車(Electric Vehicle)が大きな注目を集めている。そして、ハイブリッド自動車は、一部、実用化されている。
【0003】
このハイブリッド自動車は、従来のエンジンに加え、直流電源とインバータとインバータによって駆動されるモータとを動力源とする自動車である。つまり、エンジンを駆動することにより動力源を得るとともに、直流電源からの直流電圧をインバータによって交流電圧に変換し、その変換した交流電圧によりモータを回転することによって動力源を得るものである。また、電気自動車は、直流電源とインバータとインバータによって駆動されるモータとを動力源とする自動車である。
【0004】
このようなハイブリッド自動車または電気自動車は、たとえば、図7に示すようなモータ駆動装置300を搭載している(特開2002−171606号公報)。図7を参照して、モータ駆動装置300は、直流電源Bと、システムリレーSRと、昇圧コンバータ310と、コンデンサ320と、インバータ330とを備える。
【0005】
昇圧コンバータ310は、リアクトル311と、NPNトランジスタ312,313と、ダイオード314,315とを含む。
【0006】
NPNトランジスタ312,313は、インバータ330の電源ラインとアースラインとの間に直列に接続される。NPNトランジスタ312は、コレクタが電源ラインに接続され、エミッタがNPNトランジスタ313のコレクタに接続される。NPNトランジスタ313のエミッタは、アースラインに接続される。
【0007】
ダイオード314,315は、エミッタからコレクタへ電流が流れるようにそれぞれNPNトランジスタ312,313に並列に接続される。
【0008】
リアクトル311は、その一方端が直流電源Bの電源ラインに接続され、他方端がNPNトランジスタ312とNPNトランジスタ313との中間点に接続される。
【0009】
直流電源Bは、直流電圧を出力する。システムリレーSRは、制御装置(図示せず)からの制御信号によってオンされると、直流電源Bから出力された直流電圧を昇圧コンバータ12へ供給する。昇圧コンバータ12は、制御装置(図示せず)によってNPNトランジスタ312,313がオン/オフされ、直流電源Bから供給された直流電圧を昇圧して出力電圧をコンデンサ320に供給する。また、昇圧コンバータ310は、モータ駆動装置300が搭載されたハイブリッド自動車または電気自動車の回生制動時、交流モータM1によって発電され、インバータ330によって変換された直流電圧を降圧して直流電源Bへ供給する。
【0010】
コンデンサ320は、昇圧コンバータ310から供給された直流電圧を平滑化し、その平滑化した直流電圧をインバータ330へ供給する。
【0011】
インバータ330は、コンデンサ320から直流電圧が供給されると制御装置(図示せず)からの制御に基づいて直流電圧を交流電圧に変換して交流モータM1を駆動する。これにより、交流モータM1は、トルク指令値によって指定されたトルクを発生するように駆動される。また、インバータ330は、モータ駆動装置300が搭載されたハイブリッド自動車または電気自動車の回生制動時、交流モータM1が発電した交流電圧を制御装置からの制御に基づいて直流電圧に変換し、その変換した直流電圧をコンデンサ320を介して昇圧コンバータ310へ供給する。
【0012】
このように、モータ駆動装置300は、直流電源Bから出力された直流電圧を昇圧して交流モータM1を駆動するとともに、交流モータM1が発電した電力により直流電源Bを充電する。
【0013】
【特許文献1】
特開2002−171606号公報
【0014】
【特許文献2】
特開昭63−161871号公報
【0015】
【特許文献3】
特開平11−332248号公報
【0016】
【発明が解決しようとする課題】
モータ駆動装置300において交流モータM1の駆動を停止する場合、インバータ330の入力側に設けられたコンデンサ320の残留電荷を放電する必要がある。
【0017】
しかし、モータ駆動装置300においては、コンデンサ320は、直流電源Bから出力された直流電圧を昇圧した電圧を受けるので、コンデンサ320の両端の電圧は高い。その結果、コンデンサ320の残留電荷を放電するための放電抵抗における損失が大きくなるという問題がある。また、放電抵抗は体格が大きくなり、特に、小型化が要求される自動車用には適さない。
【0018】
そこで、この発明は、かかる問題を解決するためになされたものであり、その目的は、放電抵抗における損失が小さいインバータ装置を提供することである。
【0019】
また、この発明の別の目的は、小型化に適したインバータ装置を提供することである。
【0020】
【課題を解決するための手段および発明の効果】
この発明によれば、インバータ装置は、電圧変換器と、インバータと、インバータと、放電手段とを備える。電圧変換器は、直流電源から出力された直流電圧を出力電圧に変換する。インバータは、出力電圧に基づいて電気負荷を駆動する。コンデンサは、インバータの入力側に設けられる。放電手段は、コンデンサの両端の電圧が基準値以下になると、コンデンサの残留電荷を放電させる。
【0021】
好ましくは、放電手段は、放電抵抗と、接続手段とを含む。放電抵抗は、コンデンサの残留電荷を放電するために用いられる。接続手段は、コンデンサの両端の電圧が基準値以下になると、放電抵抗をコンデンサの両端に接続する。
【0022】
好ましくは、インバータ装置は、チャージバック手段を備える。チャージバック手段は、コンデンサの両端の電圧が基準値以下になるまでコンデンサの残留電荷を電圧変換器を介して直流電源にチャージバックする。そして、接続手段は、チャージバック手段によるチャージバックの終了後、放電抵抗をコンデンサの両端に接続する。
【0023】
好ましくは、放電手段は、インバータが駆動停止された後に残留電荷を放電させる。
【0024】
好ましくは、接続手段は、コンデンサの両端を接続する電気経路に設けられたスイッチである。
【0025】
好ましくは、放電手段は、両端に印加される電圧が高いほど抵抗値が大きい抵抗体である。
【0026】
好ましくは、電圧変換器は、一組のスイッチング素子をオン/オフ制御することにより電圧変換を行なうチョッパ回路によって構成される。
【0027】
好ましくは、電気負荷は、車両に搭載されたモータである。
この発明によるインバータ装置においては、電気負荷を駆動するインバータの入力側に設けられるコンデンサの両端の電圧が基準値以下になるまで、コンデンサに蓄積された電力は直流電源へチャージバックされる。そして、コンデンサの両端の電圧が基準値以下に低下すると、コンデンサに蓄積された電荷は、放電手段により放電される。
【0028】
したがって、この発明によれば、コンデンサの残留電荷を放電するための放電抵抗の体格を小さくできる。また、放電抵抗における損失を小さくできる。
【0029】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態について図面を参照しながら詳細に説明する。なお、図中同一または相当部分には同一符号を付してその説明は繰返さない。
【0030】
[実施の形態1]
図1を参照して、この発明の実施の形態1によるインバータ装置を備えるモータ駆動装置100は、直流電源Bと、電圧センサー10A,13と、温度センサー10Bと、システムリレーSR1,SR2と、コンデンサC1,C2と、昇圧コンバータ12と、インバータ14と、電流センサー18,24と、放電手段20と、制御装置30とを備える。
【0031】
交流モータM1は、ハイブリッド自動車または電気自動車の駆動輪を駆動するためのトルクを発生するための駆動モータである。あるいは、交流モータM1は、ハイブリッド自動車の場合にはエンジンの出力軸に対して補助的に駆動トルクを発生するための駆動モータであってもよい。あるいは、このモータはエンジンにて駆動される発電機の機能を持つように、そして、エンジンに対して電動機として動作し、たとえば、エンジン始動を行ない得るようなものとしてハイブリッド自動車に組み込まれるようにしてもよい。
【0032】
昇圧コンバータ12は、リアクトルL1と、MOSトランジスタQ1,Q2と、ダイオードD1,D2とを含む。MOSトランジスタQ1,Q2は、インバータ14の電源ラインとアースラインとの間に直列に接続される。MOSトランジスタQ1は、ドレイン端子が電源ラインに接続され、ソース端子がMOSトランジスタQ2のドレイン端子に接続される。また、MOSトランジスタQ2のソース端子は、アースラインに接続される。
【0033】
各MOSトランジスタQ1,Q2のソース端子−ドレイン端子間には、ソース端子側からドレイン端子側へ電流が流れるように、それぞれ、ダイオードD1,D2が接続されている。
【0034】
リアクトルL1は、一方端が直流電源Bの電源ラインに接続され、他方端がMOSトランジスタQ1とMOSトランジスタQ2との中間点、すなわち、MOSトランジスタQ1のソース端子とMOSトランジスタQ2のドレイン端子との間に接続される。
【0035】
インバータ14は、U相アーム15と、V相アーム16と、W相アーム17とから成る。U相アーム15、V相アーム16、およびW相アーム17は、インバータ14の電源ラインとアースラインとの間に並列に設けられる。
【0036】
U相アーム15は、直列接続されたMOSトランジスタQ3,Q4から成り、V相アーム16は、直列接続されたMOSトランジスタQ5,Q6から成り、W相アーム17は、直列接続されたMOSトランジスタQ7,Q8から成る。また、各MOSトランジスタQ3〜Q8のソース端子−ドレイン端子間には、ソース端子側からドレイン端子側へ電流を流すダイオードD3〜D8がそれぞれ接続されている。
【0037】
各相アームの中間点は、交流モータM1の各相コイルの各相端に接続されている。すなわち、交流モータM1は、3相の永久磁石モータであり、U,V,W相の3つのコイルの一端が中点に共通接続されて構成され、U相コイルの他端がMOSトランジスタQ3,Q4の中間点に、V相コイルの他端がMOSトランジスタQ5,Q6の中間点に、W相コイルの他端がMOSトランジスタQ7,Q8の中間点にそれぞれ接続されている。
【0038】
放電手段20は、放電抵抗201と、NPNトランジスタ202,203と、抵抗204,205,207,208と、ツェナーダイオード206とを含む。
【0039】
放電抵抗201およびNPNトランジスタ202は、コンデンサC2の両端に直列に接続される。NPNトランジスタ202は、コレクタが放電抵抗201に接続され、エミッタがアースラインに接続される。
【0040】
抵抗207,208は、電源ラインとアースラインとの間に直列に接続される。抵抗205およびツェナーダイオード206は、ノードN1とアースラインとの間に直列に接続される。NPNトランジスタ203および抵抗204は、ノードN1とアースラインとの間に直列に接続される。
【0041】
NPNトランジスタ203および抵抗204は、抵抗205およびツェナーダイオード206に対して並列に接続される。NPNトランジスタ203は、エミッタがアースラインに接続され、コレクタがノードN3に接続される。そして、NPNトランジスタ203は、抵抗205とツェナーダイオード206との間のノードN2上の電圧によってオン/オフされる。また、NPNトランジスタ202は、NPNトランジスタ203と抵抗204との間のノードN3上の電圧によってオン/オフされる。
【0042】
放電手段20においては、ノードN1上の電圧VN1は、コンデンサC2の両端の電圧を抵抗207,208によって分圧した電圧であり、ツェナーダイオード206にマイナス電圧として印加される。そして、電圧VN1がツェナーダイオード206の降伏電圧VBKよりも低いとき、ツェナーダイオード206はノードN1からノードN2の方向へ電流を流さず、電圧VN1が降伏電圧VBK以上であるとき、ツェナーダイオード206はノードN1からノードN2の方向へ電流を流す。
【0043】
ツェナーダイオード206がノードN1からノードN2の方向へ電流を流さないとき、ノードN2上の電圧は、接地電圧GNDになり、NPNトランジスタ203はオフされる。そうすると、ノードN3は、アースラインから切り離され、ノードN1から抵抗204を介して電流が供給され、ノードN3上の電圧VN3は、上昇する。その結果、NPNトランジスタ202はオンされ、コンデンサC2の残留電荷は、放電抵抗201およびNPNトランジスタ202を介してアースラインに放電される。
【0044】
一方、ツェナーダイオード206がノードN1からノードN2へ電流を流すとき、ノードN2上の電圧VN2は上昇し、NPNトランジスタ203はオンされる。その結果、ノードN3上の電圧VN3は、接地電圧GNDになり、NPNトランジスタ202はオフされ、コンデンサC2の残留電荷は、放電されない。
【0045】
このように、放電手段20は、ノードN1上の電圧VN1が高いとき、すなわち、コンデンサC2の両端の電圧Vmが高いとき、コンデンサC2に蓄積された電荷を放電抵抗201およびNPNトランジスタ202を介してアースラインに放電させず、コンデンサC2の両端の電圧Vmが基準値以下になると、コンデンサC2に蓄積された電荷を放電抵抗201およびNPNトランジスタ202を介して放電させる。
【0046】
そして、基準値は、ノードN1上の電圧VN1がツェナーダイオード206の降伏電圧VBKに等しくなる電圧であり、ツェナーダイオード206の降伏電圧VBK、および抵抗207,208を調整することにより任意に設定できる。
【0047】
直流電源Bは、ニッケル水素またはリチウムイオン等の二次電池から成る。電圧センサー10Aは、直流電源Bから出力される直流電圧Vbを検出し、その検出した直流電圧Vbを制御装置30へ出力する。温度センサー10Bは、直流電源Bの温度Tbを検出し、その検出した温度Tbを制御装置30へ出力する。システムリレーSR1,SR2は、制御装置30からの信号SEによりオン/オフされる。より具体的には、システムリレーSR1,SR2は、制御装置30からのH(論理ハイ)レベルの信号SEによりオンされ、制御装置30からのL(論理ロー)レベルの信号SEによりオフされる。
【0048】
コンデンサC1は、直流電源Bから供給された直流電圧を平滑化し、その平滑化した直流電圧を昇圧コンバータ12へ供給する。
【0049】
昇圧コンバータ12は、コンデンサC1から供給された直流電圧を昇圧してコンデンサC2へ供給する。より具体的には、昇圧コンバータ12は、制御装置30から信号PWMUを受けると、信号PWMUによってMOSトランジスタQ2がオンされた期間に応じて直流電圧を昇圧してコンデンサC2に供給する。この場合、MOSトランジスタQ1は、信号PWMUによってオフされている。
【0050】
また、昇圧コンバータ12は、制御装置30から信号PWMDを受けると、コンデンサC2を介してインバータ14から供給された直流電圧を降圧して直流電源Bを充電する。
【0051】
コンデンサC2は、昇圧コンバータ12からの直流電圧を平滑化し、その平滑化した直流電圧をインバータ14へ供給する。
【0052】
電圧センサー13は、コンデンサC2の両端の電圧Vm、すなわち、昇圧コンバータ12の出力電圧(インバータ14の入力電圧に相当する。)を検出し、その検出した電圧Vmを制御装置30へ出力する。
【0053】
インバータ14は、コンデンサC2から直流電圧が供給されると制御装置30からの信号PWMIに基づいて直流電圧を交流電圧に変換して交流モータM1を駆動する。これにより、交流モータM1は、トルク指令値TRによって指定されたトルクを発生するように駆動される。また、インバータ14は、モータ駆動装置100が搭載されたハイブリッド自動車または電気自動車の回生制動時、交流モータM1が発電した交流電圧を制御装置30からの信号PWMCに基づいて直流電圧に変換し、その変換した直流電圧をコンデンサC2を介して昇圧コンバータ12へ供給する。なお、ここで言う回生制動とは、ハイブリッド自動車または電気自動車を運転するドライバーによるフットブレーキ操作があった場合の回生発電を伴う制動や、フットブレーキを操作しないものの、走行中にアクセルペダルをオフすることで回生発電をさせながら車両を減速(または加速の中止)させることを含む。
【0054】
電流センサー18は、直流電源Bを充電するときの電流BCRTを検出し、その検出した電流BCRTを制御装置30へ出力する。電流センサー24は、交流モータM1に流れるモータ電流MCRTを検出し、その検出したモータ電流MCRTを制御装置30へ出力する。
【0055】
制御装置30は、外部に設けられたECU(Electrical Control Unit)から入力されたトルク指令値TRおよびモータ回転数MRN、電圧センサー10Aからの直流電圧Vb、電圧センサー13からの出力電圧Vm、および電流センサー24からのモータ電流MCRTに基づいて、後述する方法により昇圧コンバータ12を駆動するための信号PWMUとインバータ14を駆動するための信号PWMIとを生成し、その生成した信号PWMUおよび信号PWMIをそれぞれ昇圧コンバータ12およびインバータ14へ出力する。
【0056】
信号PWMUは、直流電源Bからの直流電圧Vbを出力電圧Vmに変換する場合に昇圧コンバータ12を駆動するための信号である。そして、制御装置30は、昇圧コンバータ12が直流電圧Vbを出力電圧Vmに変換する場合に、出力電圧Vmをフィードバック制御し、出力電圧Vmが指令された電圧指令Vdccomになるように昇圧コンバータ12を駆動するための信号PWMUを生成する。信号PWMUの生成方法については後述する。
【0057】
また、制御装置30は、ハイブリッド自動車または電気自動車が回生制動モードに入ったことを示す信号RGEを外部ECUから受けると、交流モータM1で発電された交流電圧を直流電圧に変換するための信号PWMCを生成してインバータ14へ出力する。この場合、インバータ14のMOSトランジスタQ3〜Q8は、信号PWMCによってスイッチング制御される。これにより、インバータ14は、交流モータM1で発電された交流電圧を直流電圧に変換して昇圧コンバータ12へ供給する。
【0058】
さらに、制御装置30は、ハイブリッド自動車または電気自動車が回生制動モードに入ったことを示す信号RGEを外部ECUから受けると、インバータ14から供給された直流電圧を降圧するための信号PWMDを生成し、その生成した信号PWMDを昇圧コンバータ12へ出力する。これにより、交流モータM1が発電した交流電圧は、直流電圧に変換され、降圧されて直流電源Bに供給される。
【0059】
さらに、制御装置30は、モータ駆動装置100が搭載されたハイブリッド自動車または電気自動車が停止されると、イグニッションキーがオフされたことを示す信号IGOFFを外部ECUから受ける。そして、制御装置30は、信号IGOFFを受けると、電圧センサー13からの電圧Vmと電圧センサー10Aからの電圧Vbとに基づいて、電圧Vmが電圧Vbとの間で所定の関係を満たすとき、コンデンサC2に蓄積された電力を直流電源Bにチャージバックするように昇圧コンバータ12を制御する。
【0060】
なお、コンデンサC2に蓄積された電力を直流電源Bにチャージバックする場合、制御装置30は、昇圧コンバータ12がコンデンサC2の両端の電圧Vmを降圧して直流電源Bに供給するための信号PWMBを生成して昇圧コンバータ12へ出力する。コンデンサC2に蓄積された電力をチャージバックする場合の条件および詳細な動作については後述する。
【0061】
さらに、制御装置30は、システムリレーSR1,SR2をオン/オフするための信号SEを生成してシステムリレーSR1,SR2へ出力する。
【0062】
図2は、制御装置30の機能ブロック図である。図2を参照して、制御装置30は、モータトルク制御手段301と、電圧変換制御手段302とを含む。
【0063】
モータトルク制御手段301は、トルク指令値TR(車両におけるアクセルペダルの踏み込み度合い、ハイブリッド車両においてはエンジンの動作状態をも考慮しながらモータに与えるべきトルク指令を演算して得られている)、直流電源Bから出力された直流電圧Vb、モータ電流MCRT、モータ回転数MRNおよび出力電圧Vmに基づいて、交流モータM1の駆動時、後述する方法により昇圧コンバータ12のMOSトランジスタQ1,Q2をオン/オフするための信号PWMUと、インバータ14のMOSトランジスタQ3〜Q8をオン/オフするための信号PWMIとを生成し、その生成した信号PWMUおよび信号PWMIをそれぞれ昇圧コンバータ12およびインバータ14へ出力する。
【0064】
電圧変換制御手段302は、回生制動時、ハイブリッド自動車または電気自動車が回生制動モードに入ったことを示す信号RGEを外部ECUから受けると、交流モータM1が発電した交流電圧を直流電圧に変換するための信号PWMCを生成してインバータ14へ出力する。
【0065】
また、電圧変換制御手段302は、回生制動時、信号RGEを外部ECUから受けると、インバータ14から供給された直流電圧を降圧するための信号PWMDを生成し、その生成した信号PWMDを昇圧コンバータ12へ出力する。このように、昇圧コンバータ12は、直流電圧を降圧するための信号PWMDにより電圧を降圧させることもできるので、双方向コンバータの機能を有するものである。
【0066】
さらに、電圧変換制御手段302は、イグニッションキーがオフされたことを示す信号IGOFFを外部ECUから受けると、電流センサー18からの電流BCRTの積算値と温度センサー10Bからの温度Tbとに基づいて、直流電源Bの残容量を求める。そして、電圧変換制御手段302は、信号IGOFF、直流電源Bの残容量、電圧センサー13からの電圧Vm、および電圧センサー10Aからの電圧Vbに基づいて、コンデンサC2に蓄積された直流電圧をチャージバックさせるときのチャージバック条件を満たすか否かを判定し、チャージバック条件を満たすとき、コンデンサC2に蓄積された直流電圧をチャージバックさせるための信号PWMBを生成して昇圧コンバータ12へ出力する。チャージバック条件については後述する。
【0067】
図3は、モータトルク制御手段301の機能ブロック図である。図3を参照して、モータトルク制御手段301は、モータ制御用相電圧演算部40と、インバータ用PWM信号変換部42と、インバータ入力電圧指令演算部50と、コンバータ用デューティー比演算部52と、コンバータ用PWM信号変換部54とを含む。
【0068】
モータ制御用相電圧演算部40は、昇圧コンバータ12の出力電圧Vm、すなわち、インバータ14への入力電圧を電圧センサー13から受け、交流モータM1の各相に流れるモータ電流MCRTを電流センサー24から受け、トルク指令値TRを外部ECUから受ける。そして、モータ制御用相電圧演算部40は、これらの入力される信号に基づいて、交流モータM1の各相のコイルに印加する電圧を計算し、その計算した結果をインバータ用PWM信号変換部42へ供給する。
【0069】
インバータ用PWM信号変換部42は、モータ制御用相電圧演算部40から受けた計算結果に基づいて、実際にインバータ14の各MOSトランジスタQ3〜Q8をオン/オフするための信号PWMIを生成し、その生成した信号PWMIをインバータ14の各MOSトランジスタQ3〜Q8へ出力する。
【0070】
これにより、各MOSトランジスタQ3〜Q8は、スイッチング制御され、交流モータM1が指令されたトルクを出力するように交流モータM1の各相に流す電流を制御する。このようにして、モータ駆動電流が制御され、トルク指令値TRに応じたモータトルクが出力される。
【0071】
一方、インバータ入力電圧指令演算部50は、トルク指令値TRおよびモータ回転数MRNに基づいてインバータ入力電圧の最適値(目標値)を演算し、その演算した最適値をコンバータ用デューティー比演算部52へ出力する。
【0072】
コンバータ用デューティー比演算部52は、電圧センサー10Aから出力された直流電圧Vb(「バッテリ電圧Vb」とも言う。)に基づいて、電圧センサー13からの入力電圧Vmを、インバータ入力電圧指令演算部50から出力される最適値に設定するためのデューティー比を演算する。
【0073】
コンバータ用PWM信号変換部54は、コンバータ用デューティー比演算部52からのデューティー比に基づいて昇圧コンバータ12のMOSトランジスタQ1,Q2をオン/オフするための信号PWMUを生成し、その生成した信号PWMUを昇圧コンバータ12へ出力する。
【0074】
なお、昇圧コンバータ12の下側のMOSトランジスタQ2のオンデューティーを大きくすることによりリアクトルL1における電力蓄積が大きくなるため、より高電圧の出力を得ることができる。一方、上側のMOSトランジスタQ1のオンデューティーを大きくすることにより電源ラインの電圧が下がる。そこで、MOSトランジスタQ1,Q2のデューティー比を制御することで、電源ラインの電圧を直流電源Bの出力電圧以上の任意の電圧に制御可能である。
【0075】
コンデンサC2に蓄積された電力を直流電源Bにチャージバックさせるときのチャージバック条件について説明する。チャージバック条件は、
(1)イグニッションキーがオフされていること
(2)直流電源Bの残容量が所定量以下であること
(3)コンデンサC2の両端の電圧Vmと直流電源Bの出力電圧Vbとの電圧差Vm−Vbが所定値α以上であること
の全ての条件が満たされることである。
【0076】
チャージバックの1つの条件である「イグニッションキーがオフされていること」は、制御装置30が外部ECUから信号IGOFFを受けることによって満たされる。
【0077】
また、チャージバックの場合の1つの条件である「直流電源Bの残容量が所定量以下であること」は、電流センサー18からの電流BCRTを積算した積算値と、温度センサー10Bからの直流電源Bの温度Tbとに基づいて直流電源Bの現在の容量SOC(State Of Charge)を求めることにより判定される。
【0078】
より具体的には、電圧変換制御手段302は、電流センサー18からの電流BCRTを積算し、その積算値に基づいて直流電源Bの現在の容量SOCを推定する。そして、電圧変換制御手段302は、積算した積算値を温度センサー10Bからの温度Tbによって補正することにより直流電源Bの残容量を検出し、残容量が所定量以下であるか否かを判定する。
【0079】
電流センサー18からの電流BCRTを積算した積算値を温度により補正するのは次の理由による。直流電源Bの出力電圧Vbおよび容量SOCは、図4に示す関係を満たす。すなわち、出力電圧Vbと容量SOCとの関係は、直流電源Bの温度Tbによって曲線k1〜k3のように変化する。特に、容量SOCが満充電量の20〜80%になるときの電圧Vbと容量SOCとの関係は直流電源Bの温度Tbによって大きく変化する。したがって、電流BCRTを積算した積算値は、電流BCRTが直流電源Bから流れ出るときは直流電源Bから放電された容量を意味し、電流BCRTが直流電源Bに供給されるときは直流電源Bが充電された容量を意味するので、積算値から推定した現在の容量SOCが満充電量の20〜80%の範囲に入るとき、その推定した現在の容量SOCが曲線k1〜k3のいずれの曲線上にあるかを温度Tbによって補正する必要があるからである。この場合、積算値から推定した現在の容量SOCを温度Tbにより補正することは、積算値が直流電源Bに充放電された容量を意味するので、積算値を補正することに相当する。
【0080】
電圧変換制御手段302は、図4に示す電圧Vbと容量SOCとの曲線k1〜k3を保持しており、電流センサー18からの電流BCRTを積算し、その積算した積算値を温度Tbによって補正して直流電源Bの残容量を求める。そして、電圧変換制御手段302は、その求めた残容量が所定量以下であるか否かを判定する。
【0081】
電圧変換制御手段302は、電圧センサー13からの電圧Vmと電圧センサー10Aからの電圧Vbとの差が所定値α以上であるか否かを判定するが、所定値αは、コンデンサC2に蓄積された電力を有効利用できない程度に決定される。また、所定値αは、電圧センサー10Aと電圧センサー13との誤差に相当するように決定されてもよい。
【0082】
なお、電圧変換制御手段302は、コンデンサC2の両端の電圧Vmが直流電源Bの出力電圧Vbよりも所定値α以上であると判定したとき、コンデンサC2に蓄積された電力を直流電源Bにチャージバックすることにしたのは、放電抵抗201による損失の少ない放電を実現するために有効利用可能な電力だけを直流電源Bにチャージバックすることにしたものである。
【0083】
また、直流電源Bの残容量が所定値以下であることがチャージバック条件の1つであるが、直流電源Bの残容量が所定値以下ではないと判定された場合でも、直流電源Bの容量を大きくし、コンデンサC2に蓄積された電力を吸収するようにできるので、イグニッションキーがオフされると、通常、上述したチャージバック条件は満たされる。
【0084】
上述したように、電圧変換制御手段302は、コンデンサC2の両端の電圧Vmが直流電源Bの出力電圧Vbよりも所定値α以上であるとき、コンデンサC2に蓄積された電力を直流電源Bにチャージバックする。
【0085】
再び、図1を参照して、モータ駆動装置100における全体動作について説明する。全体の動作が開始されると、制御装置30は、Hレベルの信号SEを生成してシステムリレーSR1,2へ出力し、システムリレーSR1,2がオンされる。直流電源Bは、直流電圧VbをシステムリレーSR1,SR2を介して昇圧コンバータ12へ出力する。
【0086】
電圧センサー10Aは、直流電源Bから出力される直流電圧Vbを検出し、その検出した直流電圧Vbを制御装置30へ出力する。また、電圧センサー13は、コンデンサC2の両端の電圧Vmを検出し、その検出した電圧Vmを制御装置30へ出力する。さらに、電流センサー18は、直流電源Bから流出または流入する電流BCRTを検出して制御装置30へ出力し、温度センサー10Bは直流電源Bの温度Tbを検出して制御装置30へ出力する。さらに、電流センサー24は、交流モータM1に流れるモータ電流MCRT1を検出して制御装置30へ出力する。そして、制御装置30は、外部ECUからトルク指令値TR、およびモータ回転数MRNを受ける。
【0087】
そうすると、制御装置30は、電圧Vm,Vb、モータ電流MCRT、トルク指令値TRおよびモータ回転数MRNに基づいて、上述した方法により信号PWMIを生成し、その生成した信号PWMIをインバータ14へ出力する。また、制御装置30は、電圧Vm,Vb、モータ電流MCRT、トルク指令値TR、およびモータ回転数MRNに基づいて、上述した方法により昇圧コンバータ12のMOSトランジスタQ1,Q2をスイッチング制御するための信号PWMUを生成し、その生成した信号PWMUを昇圧コンバータ12へ出力する。
【0088】
そうすると、昇圧コンバータ12は、信号PWMUに応じて、直流電源Bからの直流電圧Vbを昇圧し、その昇圧した直流電圧をコンデンサC2に供給する。そして、インバータ14は、コンデンサC2によって平滑化された直流電圧を制御装置30からの信号PWMIによって交流電圧に変換して交流モータM1を駆動する。これによって、交流モータM1は、トルク指令値TRによって指定されたトルクを発生する。
【0089】
また、モータ駆動装置100が搭載されたハイブリッド自動車または電気自動車の回生制動時、制御装置30は、外部ECUから信号RGEを受け、その受けた信号RGEに応じて、信号PWMCを生成してそれぞれインバータ14へ出力し、信号PWMDを生成して昇圧コンバータ12へ出力する。
【0090】
そうすると、インバータ14は、交流モータM1が発電した交流電圧を信号PWMCに応じて直流電圧に変換し、その変換した直流電圧をコンデンサC2を介して昇圧コンバータ12へ供給する。そして、昇圧コンバータ12は、コンデンサC2からの直流電圧を受け、その受けた直流電圧を信号PWMDによって降圧し、その降圧した直流電圧を直流電源Bに供給する。これにより、交流モータM1によって発電された電力が直流電源Bに充電される。
【0091】
さらに、モータ駆動装置100が搭載されたハイブリッド自動車または電気自動車が停止されたとき、制御装置30は、外部ECUから信号IGOFFを受け、その受けた信号IGOFFに応じて、上述した方法によって、チャージバック条件を満たすか否かを判定する。
【0092】
そして、制御装置30は、チャージバック条件を満たすと判定した場合、インバータ14を停止するとともに、信号PWMBを生成して昇圧コンバータ12へ出力し、コンデンサC2に蓄積された電力を直流電源Bにチャージバックする。
【0093】
この場合、コンデンサC2の両端の電圧Vmが直流電源Bの両端の電圧Vbよりも高いとき、ツェナーダイオード206は、ノードN1からノードN2へ電流を流すので、コンデンサC2に蓄積された電荷は、放電抵抗201を介して放電されない。
【0094】
そして、コンデンサC2の両端の電圧Vmが直流電源Bの両端の電圧Vbに一致する程度に低下すると(すなわち、チャージバックが完了すると)、ツェナーダイオード206は、ノードN1からノードN2へ電流を流さず、上述した動作によって、NPNトランジスタ202は、オンされる。その結果、放電手段20は、コンデンサC2に蓄積された電力を放電させる。
【0095】
このように、この発明においては、コンデンサC2に蓄積された電力の直流電源Bへのチャージバックが完了すると、放電手段20によりコンデンサC2に残留した残留電荷を放電することを特徴とする。
【0096】
また、NPNトランジスタ202は、コンデンサC2に蓄積された電力の直流電源Bへのチャージバックが完了すると、放電抵抗201をコンデンサC2の両端に接続することを特徴とする。
【0097】
なお、この場合、制御装置30は、Lレベルの信号SEを生成してシステムリレーSR1,SR2へ出力し、システムリレーSR1,SR2をオフさせる。また、制御装置30は、昇圧コンバータ12も停止させる。
【0098】
この発明においては、NPNトランジスタ202は、放電抵抗201をコンデンサC2の両端に接続する「接続手段」を構成する。
【0099】
また、MOSトランジスタQ1,Q2および電圧変換制御手段302は、コンデンサC2の両端の電圧Vmが基準値以下になるまでコンデンサC2の残留電荷を昇圧コンバータ12を介して直流電源Bにチャージバックする「チャージバック手段」を構成する。
【0100】
さらに、昇圧コンバータ12、コンデンサC2、インバータ14および制御装置30は、「インバータ装置」を構成する。
【0101】
さらに、交流モータM1は、「電気負荷」を構成する。
上記においては、コンデンサC2に蓄積された電力を直流電源Bにチャージバックする場合、昇圧コンバータ12のMOSトランジスタQ1をオン/オフしてチャージバックすると説明したが、この発明においては、これに限らず、MOSトランジスタQ1をオンしたまま、すなわち、オンデューティーを100%に保持してコンデンサC2に蓄積された電力を直流電源Bにチャージバックしてもよい。
【0102】
また、上記においては、交流モータが1個の場合について説明したが、この発明は、これに限らず、複数の交流モータを駆動するモータ駆動装置についても適用可能である。その場合、複数の交流モータに対応して設けられた複数のインバータは、コンデンサC2の両端に並列に接続される。そして、複数のインバータの各々は、コンデンサC2を介して昇圧コンバータ12から受けた出力電圧Vmを交流電圧に変換して対応する交流モータを駆動する。
【0103】
さらに、昇圧コンバータ12およびインバータ14を構成するスイッチング素子は、MOSトランジスタに限られるものではなく、NPNトランジスタであってもよい。
【0104】
さらに、コンデンサC2に蓄積された電荷を放電手段20により放電する場合、システムリレーSR1,SR2はオフされるが、システムリレーSR1,SR2をオフするタイミングは、タイマーによる時間管理、コンデンサC2の両端の電圧Vmの検出、およびチャージバックするときの電流BCRTの検出等のいずれの方法を用いてもよい。
【0105】
すなわち、制御装置30は、信号PWUBを昇圧コンバータ12へ出力してからの時間をタイマーにより計測し、その計測した時間が所定時間に達すると、Lレベルの信号SEを生成してシステムリレーSR1,SR2へ出力する。
【0106】
また、制御装置30は、電圧センサー13からの電圧Vmが基準値以下に達すると、Lレベルの信号SEを生成してシステムリレーSR1,SR2へ出力する。
【0107】
さらに、制御装置30は、電流センサー18からの電流BCRTが基準値以下になると、Lレベルの信号SEを生成してシステムリレーSR1,SR2へ出力する。チャージバックが完了する直前には、コンデンサC2の両端の電圧Vmが直流電源Bの両端の電圧Vbまで低下し、チャージバックしているときの電流BCRTが殆ど流れなくなるので、電流BCRTが基準値以下になったか否かを判定することによりチャージバックの完了を検知できるからである。
【0108】
実施の形態1によれば、インバータ装置は、交流モータを駆動するインバータの入力側に設けられたコンデンサの両端の電圧が所定値以下になると、コンデンサの残留電荷を放電させる放電手段を備えるので、コンデンサの残留電荷を放電するための放電抵抗の体格を小さくできる。また、放電抵抗における損失を小さくできる。
【0109】
[実施の形態2]
図5を参照して、実施の形態2によるインバータ装置を備えるモータ駆動装置100Aは、モータ駆動装置100の放電手段20を放電手段20Aに代えたものであり、その他は、モータ駆動装置100と同じである。
【0110】
放電手段20Aは、コンデンサC2の両端に並列に接続される。放電手段20Aは、両端に印加される電圧が高くなるとともに抵抗値が高くなり、両端に印加される電圧が低くなるとともに抵抗値が低くなる抵抗体から成る。すなわち、放電手段20Aを構成する抵抗値は、図6に示すような抵抗と電圧との関係を有する。
【0111】
したがって、コンデンサC2の両端の電圧Vmが所定値よりも高いとき、コンデンサC2に蓄積された電荷は、放電手段20Aにより殆ど放電されない。そして、コンデンサC2に蓄積された電力が直流電源Bにチャージバックされ、コンデンサC2の両端の電圧Vmが所定値以下に低くなると、コンデンサC2に蓄積された電荷は、放電手段20Aを介して放電される。
【0112】
その他は、実施の形態1と同じである。
実施の形態2によれば、インバータ装置は、交流モータを駆動するインバータの入力側に設けられたコンデンサの両端の電圧が所定値以下になると、コンデンサの残留電荷を放電させる放電手段を備えるので、コンデンサの残留電荷を放電するための放電抵抗の体格を小さくできる。また、放電抵抗における損失を小さくできる。
【0113】
この発明は、上述した実施の形態に記載した内容以外にも、種々のハイブリッド自動車または電気自動車に適用できることは言うまでもない。たとえば、コンデンサC2に対して複数のインバータおよびモータを並列に接続し、それぞれのモータ(またはモータジェネレータ)を独立に駆動するようにしてもよい。この場合、1つのモータを後輪駆動用として用い、他のモータを前輪駆動用として用いてもよい。また、遊星ギア機構を用いたハイブリッド自動車としては、1つのモータジェネレータを遊星ギア機構のサンギアに接続し、エンジンを遊星ギア機構のキャリアに接続し、もう1つのモータジェネレータをリングギアに接続するものも公知であるが、この発明を、このようなハイブリッド自動車にも適用できる。
【0114】
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は、上記した実施の形態の説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
【図面の簡単な説明】
【図1】実施の形態1におけるモータ駆動装置の概略ブロック図である。
【図2】図1に示す制御装置の機能ブロック図である。
【図3】図2に示すモータトルク制御手段の機能を説明するための機能ブロック図である。
【図4】図1に示す直流電源の出力電圧と電池容量との関係図である。
【図5】実施の形態2によるモータ駆動装置の概略ブロック図である。
【図6】図5に示す放電手段における電圧と抵抗との関係図である。
【図7】従来のモータ駆動装置の概略ブロック図である。
【符号の説明】
10A,13 電圧センサー、10B 温度センサー、12,310 昇圧コンバータ、14,330 インバータ、15 U相アーム、16 V相アーム、17 W相アーム、18,24 電流センサー、20 放電手段、30 制御装置、40 モータ制御用相電圧演算部、42 インバータ用PWM信号変換部、50 インバータ入力電圧指令演算部、52 コンバータ用デューティー比演算部、54 コンバータ用PWM信号変換部、100,100A,300 モータ駆動装置、201 放電抵抗、202,203,312,313 NPNトランジスタ、204,205,207,208 抵抗、206 ツェナーダイオード、301 モータトルク制御手段、302 電圧変換制御手段、B 直流電源、SR1,SR2 システムリレー、C1,C2,320 コンデンサ、L1,311 リアクトル、Q1〜Q8 MOSトランジスタ、D1〜D8,314,315 ダイオード、M1 交流モータ。

Claims (8)

  1. 直流電源から出力された直流電圧を出力電圧に変換する電圧変換器と、
    前記出力電圧に基づいて電気負荷を駆動するインバータと、
    前記インバータの入力側に設けられたコンデンサと、
    前記コンデンサの両端の電圧が基準値以下になると、前記コンデンサの残留電荷を放電させる放電手段とを備えるインバータ装置。
  2. 前記放電手段は、
    前記コンデンサの残留電荷を放電するための放電抵抗と、
    前記コンデンサの両端の電圧が前記基準値以下になると、前記放電抵抗を前記コンデンサの両端に接続する接続手段とを含む、請求項1に記載のインバータ装置。
  3. 前記コンデンサの両端の電圧が前記基準値以下になるまで前記コンデンサの残留電荷を前記電圧変換器を介して前記直流電源にチャージバックするチャージバック手段をさらに備え、
    前記接続手段は、前記チャージバック手段によるチャージバックの終了後、前記放電抵抗を前記コンデンサの両端に接続する、請求項1または請求項2に記載のインバータ装置。
  4. 前記放電手段は、前記インバータが駆動停止された後に前記残留電荷を放電させる、請求項1または請求項2に記載のインバータ装置。
  5. 前記接続手段は、前記コンデンサの両端を接続する電気経路に設けられたスイッチである、請求項3または請求項4に記載のインバータ装置。
  6. 前記放電手段は、両端に印加される電圧が高いほど抵抗値が大きい抵抗体である、請求項1に記載のインバータ装置。
  7. 前記電圧変換器は、一組のスイッチング素子をオン/オフ制御することにより電圧変換を行なうチョッパ回路によって構成される、請求項1から請求項6のいずれか1項に記載のインバータ装置。
  8. 前記電気負荷は、車両に搭載されたモータである、請求項1から請求項7のいずれか1項に記載のインバータ装置。
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