JP4431841B2 - 複数針付取付具 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、壁面などに、飾り物や掲示物、壁掛け時計やタオル掛けなどの取付物を取り付けるために利用する、取り付け用具に関するものである。
【0002】
特に、薄いベニヤ板や石膏ボードなどの脆くて弱い材質の壁などに、指先や手のひらで頭部を押し付けて容易に取り付けることができて、しかも強い力や荷重が加わっても容易には抜け落ちないような構造を実現し、しかも指先を使って頭部を引き抜くことで容易に取り外すことができて、さらに取り外した後の壁などに小さな目立たない針跡しか残さない実用的で効果的な取り付け用具に関するものである。
【0003】
【従来の技術】
従来の取り付け用具は、針を1本設けた画鋲やねじ込み式のフック、複数の針を設けた取付具、木ねじなどを利用して取り付ける取付具や複数本の釘を異なった方向に傾けて1本ずつ打ち込んで取り付ける取付具などがあった。また、特願平9−23856の「物品固定具と固定具の取り外し方法」のように薄い平板を二股状にして先端を針状にしたピン体と、このピン体の二股を押し広げるための座金を組み合わせた物品固定具などがあった。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
針を1本設けた画鋲では、抜けやすいという欠点があり、特に薄いベニヤ板や石膏ボードなどの脆くて弱い材質の壁ではすぐ抜け落ちてしまうという欠点があった。また、複数本の針を設けた取付具では、壁などに取り付けるときに針が途中から曲がって刺しにくくなったり、重いものなどを吊り下げたときには抜け落ちやすいという課題があった。
【0005】
また、ねじ込み式のフックや木ねじで取り付ける取付具では、取り付けるときにフックや取付具を壁面に押しつけながら、フック自体を回転させたりドライバーで木ねじを回転させたりしてねじ込む手間が必要となるし、脆い壁などではネジ山に引っ掛かっていた壁材ごと抜けてきやすいうえに、大きな穴が開いてしまうといった問題もあった。
【0006】
複数本の釘を異なった方向に1本ずつ打ち込んで取り付ける取付具では、取付具を壁面に押さえつけながら、ばらばらになっている複数本の釘を1本ずつ打ち込む手間が必要になるのに加えて、指先では痛くて打ち込めないので金槌などの道具を使って打ち込む必要があり、取り外すときには、しっかり打ち込んだ釘が抜きにくいのに加えて複数本の釘を1本ずつ抜いていく手間が必要であるという問題があった。
【0007】
また、薄い平板を二股状にして先端を針状にしたピン体と、このピン体の二股を押し広げるための座金を組み合わせた物品固定具では、二股になっている壁などに押し刺すためのピン体が平板状に形成されていて、座金で押し広げながら壁面に強い力で押し刺す必要があるため、取付のための道具が必要になるという課題があることと、このとき壁面はピン体によって左右に押し広げられるため、ペンチ等の道具を使って取り外したときには壁面に2つの大きな横長の取り付け跡が残るという課題も生じることになる。このとき、壁などに押し刺すための針を、本発明では指で曲げることができる虫ピン等の細い針で構成しているのに対して、ピン体を強度のある曲がらない平板で針状に形成するという全く発想の異なる発明であるために生じた課題でもある。また、その他の取付具として両面テープで取り付ける取付具では、取り付け強度が弱いし、取り外すときには、取り外しにくいのに加えて、壁紙ごと取れたり粘着材が壁面に残ったりする問題があった。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明の複数針付取付具では、上部が指でも押しつけることができる形状で、下部に複数本の曲げることができて折れない針を設けた頭部と、この複数本の針が挿入できて頭部を押して針を押し入れたときに、複数本の針を斜めに曲げる穴もしくは溝を設けた構造として、針を押し入れたときに、複数本の針が斜めに傾いた状態で底部から突出する構造とした取付部とにより構成している。
【0009】
そのため、壁面等に取付部の底部を密着させた状態として頭部を押しつけるだけで、複数本の針が取付部に設けた穴もしくは溝に沿って、一度に複数本の針それぞれが曲げられながら壁面等に斜めに傾いた状態で刺さることになる。
【0010】
このとき頭部を押しつける力が針を曲げる力となって、さらに取付部自体を壁面等に押しつける力として加わるため、頭部を押すだけで取付部を容易に壁面等に密着させた状態で取り付けることができるのである。
【0011】
また、頭部の上部を指などで押しつけて、複数本の針を取付部の穴もしくは溝に押し入れることができる構造としているため、頭部の下部に複数本の針を垂直に設けることにより、取付部の穴もしくは溝に複数本の針を押し入れるときに、取付部の穴もしくは溝に入る前の針が垂直の状態のまま曲りにくいようにしている。
【0012】
取付部には、頭部の複数本の針を挿入できる穴もしくは溝を、針を曲げるために斜めに傾けた構造として底部まで貫通させて設けており、この穴もしくは溝に入り込む前の針が頭部を押しても曲がらないようにするために、穴もしくは溝の上方部分を垂直に近い状態で形成すると効果的である。
【0013】
また、複数本の針を設けることにより、壁面等に複数本の針を刺して取り付けたときに荷重が各針に分散できて、1本の針の場合の数倍の強度で取り付けることができるとともに、薄いベニヤ板や石膏ボードなどの脆くて弱い材質の壁に取り付ける場合には、各針に荷重が分散されるため、壁を壊す危険性を減少できる構造としている。
【0014】
針の本数を多くした場合には、一度に刺すと大きな力が必要となるため、針の長さを変えて、頭部を押し込んだときに2本から3本ずつ順次針が刺さる構造とすることにより、針を刺しやすくできる。
【0015】
また、頭部に設けた複数本の針それぞれを、取付部に設けた穴もしくは溝に挿入して頭部を押しつけたときに、取付部の底面から複数本の針が斜めに傾いて突出して壁面等に刺さる構造としているため、複数本の針を垂直に刺す場合に比べて壁面等に刺さっている針の接触面積が大きくなり、摩擦力が増大して抜けにくくなるため、薄いベニヤ板などの場合には特に効果が大きく、細い針でも壁面等に取り付けておくための十分な摩擦力を得ることができる。
【0016】
本発明の最も重要な特徴として、3本以上ではあるが虫ピンのような指先の力で折り曲げることができる材質と細さの針を壁面などに押し刺しただけで、かなり強い力や重い荷重が取付部に加わっても簡単に引き離れたり抜け落ちたりしないという従来の常識では考えられない構造を実現するための開発に成功したこの発明の最も重要な構成要素として、壁面等に、取付部の底部を密着させた状態で複数本の針が斜めに傾いた状態で刺さる構造として、なおかつ取付部の穴もしくは溝の内壁にほぼ密接する状態で取付部の底部から壁面等の取付面に隙間を空けることなく押し刺さる構造を開発したことにより、斜めに刺さっている針に取付部の穴もしくは溝の内壁が楔状に引っ掛かる状態となっており、さらに針が穴もしくは溝の内壁にほぼ密接しているため、取付部にかなり強い力や重い荷重が加わっても針が上方に浮き上がらないように押さえ付ける効果も実現しているため、壁面等に刺さっている針を根本から曲げるだけの相当強い力を加えない限り取付部を引き抜くことができないという優れた効果を実現するとこに成功したのである。
【0017】
また、本発明のもう一つの重要な特徴として、針を3本以上設けて中心から外側にそれぞれ異なった方向に傾けた状態で複数本の針を取付部の底部から突出する構造を開発したことにより複数本の針を同時に壁面等に押し刺したときでも、頭部を押しつける力が取付部の穴もしくは溝で斜めにしかも外側に向けてそれぞれの異なる方向に分散されてそれぞれの針に加わるため、3方向以上の安定した力の分散が実現できて、取付部が一方向にずれてしまうことがなく、取付部を壁面等に密着させて動かない状態で容易に壁面等に針を押し刺すことを実現している。また、3方向以上の異なる方向で外側に傾けた状態で複数本の針を壁面等の取り付け面に押し刺すことになるため、取付部に加わる力や荷重などの負荷をそれぞれの針に分散し、壁面等の取り付け面に刺さった針の取付強度も針の本数分だけ増加することになるという効果も実現している。
【0018】
そして、一方向に揃えて斜めに曲げた状態で複数本の針が刺さる構造とした場合には、壁面等に密着させて取り付けた取付部が、複数本の針に沿って壁面から容易に離れてしまい、壁面等に刺さっている複数本の針自体も容易に抜け落ちてしまうことになるが、複数本の針を斜めにしかも異なった方向に曲げることにより、これらの問題が解決できる。
【0019】
一方、本発明の複数針付取付具を壁面等から取り外すときには、取付部を軽く押さえて頭部を引き抜くことにより、複数本の針に対して取付部の穴もしくは溝の内壁に沿って引き抜く力が同時に加わるため、斜めに刺した方向と逆方向にそれぞれの針を軽い力で容易にしかも複数本の針を一度に引き抜くことができて、取付部の穴もしくは溝の中に複数本の針の先端が入ったところまで引き抜くことにより、取付部を容易に取り外せるのである。
【0020】
さらに、本発明の複数針付取付具を壁面等に取り付けた後で、壁面等から取り外したとしても、壁面等には複数ではあるが、細い針の穴が残るだけなので、目立たないし補修も容易に行えるのである。
【0021】
また、複数本の針を取り外したり取り付けたりできる構造とした頭部の場合には、本発明の複数針付取付具を壁面等から取り外したときに、引き抜かれた複数本の針が曲がった状態となっていても、頭部を操作して曲がった針を取り外して、取り替え用の新しい針を頭部に取り付けて、頭部を元に戻す操作をすることにより、使用前の新品の状態に戻すことができるのである。
【0022】
取付部の穴もしくは溝から複数本の針が抜け出さないようにするために、頭部と取付部の間隔が、針の先端が取付部の穴もしくは溝の中に入り込んでいる状態より広がらないようにするために、可撓性のある紐やテープ、蛇腹などの連結部材で頭部と取付部を可動的に連結すれば、頭部と取付部が分離することがないので、保管しておくときや壁面などから本発明の複数針付取付具を取り外すときに便利である。
【0023】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の形態を説明する。
【0024】
針を虫ピンのように曲げることができて折れない材質とし、軽量物を取り付ける場合には2本から4本程度の針で構成し、重量物を取り付けたり強い力が取付物に加わる場合には5本以上の針で構成するのが効果的である。
【0025】
頭部は、複数本の針を下部に垂直に設けて、上部を平坦にするなど指で押しつけ易い形状とした構造とする。
【0026】
また、壁面等に取り付けた後に、本発明の複数針付取付具を取り外したときに、複数本設けた針が曲がった状態となっていても針の取り替えができるように、頭部にねじ込み式のキャップを設けて、キャップを外すことで頭部の穴に挿入して取り付けていた、引っ掛け部を上端に設けた針を取り外して、新しい取り替え用の針を頭部の穴に挿入してキャップを閉めることで、針の上端の引っ掛け部が押さえつけられて、針が垂直の状態でぐらつかないように固定できる構造とした頭部を利用することもできる。
【0027】
取付部には、複数本の針を挿入できる穴もしくは溝を設けているが、下方に行くに従って外側に広がるように傾けて設けることで、頭部を押す力が穴もしくは溝に沿って針を曲げて同時に取付部を壁面に押しつける力となって加わり、さらに針が斜めに壁面に刺さるときに生じる取付部を動かそうとする力が、複数本の針同志で打ち消すことになり、頭部を垂直に押し込むだけで、取付部を壁面に密着させた状態で取り付けることができるようになる。
【0028】
また、取付部に穴を設ける場合には、斜めに傾けて真っ直ぐに設ける方が製造が容易であるが、取付部の上方を垂直に近い状態にして、針が突出する底部では45°程度の傾斜として途中湾曲させた構造とする場合には、上方が狭く下方が広い円錐台のような形状の中心部材に、上方が垂直に近い状態で底面では45°程度の傾斜となるように湾曲させた溝を設けて、溝の上方を塞いで湾曲した穴と同じ構造となるような形状の外周部材を中心部材の上に被せて固定する構造とする方が製造上効果的である。
【0029】
取付部は、複数本の針を挿入して斜めに針を曲げて壁面に押し刺すための、斜めに傾けた穴もしくは溝が必ず必要になるが、その穴もしくは溝さえ設けて、取付部の底面が壁面に密着する構造であれば、取付部の形状はどの様な形状でもよいため、取付部にフックやクリップを設けたり、壁掛け時計などの取付物に取付部を一体的に設けたり、タオル掛けや手すりの取り付け部にこの取付部を設けることもできるのである。
【0030】
【実施例】
以下、本発明の実施例を図面を参照して説明する。
【0031】
図1と図2に、第1の実施例を示す。
第1の実施例では、下方部36にフック5を設けて、上方部35に4本の針2を挿入するための4個の穴4を、底部38に行くに従って外側になるように斜めに傾けて設けた構造の取付部3と、4本の針2を下部12に垂直に設けた頭部1とにより構成している。
【0032】
このとき針2は、虫ピンのように比較的容易に曲げることができて、折れない材質で構成する。
【0033】
第1の実施例では、壁面に飾り物や衣服などを吊り下げるときに利用するためのフック5を有した複数針付取付具を示しており、取付部3の上方部35に設けた4個の穴4に、頭部1の下部12に設けた4本の針2を挿入した状態で、壁面の取り付け位置に取付部3を押し当てて頭部1を押し込むだけで、壁面に4本の針2を一度にしかも斜めに傾けて押し刺すことができて、取付部3を壁面に取り付けることができる。
【0034】
そして、取付部3の下方部36に設けているフック5に、飾り物や衣服などを吊り下げて利用することができる。
【0035】
飾り物や衣服などの重い物をフック5に吊り下げても、4本の針2で荷重を分散できるので、壁面にかかる負担も減少できるし、4本の針2を外側に広げた状態で壁面に対して斜めに刺し込んでいるため、針2も抜けにくいし、取付部3に設けた穴4の内壁が4本の針2に引っ掛かった状態となっているため、フック5を設けた取付部3が極めて抜け落ちにくい。
【0036】
一方、第1の実施例を壁面から取り外すときには、取付部3を軽く押さえて頭部1を垂直に引き抜くことで、4本の針2が取付部3に設けた穴4の内壁に沿って針2を刺した方向とは逆方向に引き抜けることになり、軽い力で容易に4本の針2を一度に引き抜くことができて、容易に第1の実施例の複数針付取付具を壁面から取り外すことができるのである。
【0037】
図3に、第2の実施例を示す。
第2の実施例では、取付部3の下方部36に、紙などを挟み込むためのクリップ6を設けており、取付部3の上方部35には、3個の穴4を底部38に行くに従って外側になるように傾けて設けて、しかも穴4が上部37では広く底部38に行くに従って狭くなる構造で設けている。
【0038】
頭部1に設けた3本の針2を取付部3に挿入するとき、取付部3に設けた穴4の上部37側が広くなっているので針2が挿入しやすい。
【0039】
さらに、頭部1を指などで押し入れたときに、針2は穴4の内壁の下面に押し付けられる状態で曲がりながら進み、針4の太さと同じくらいの大きさの底部38の穴4から突出し、壁面に押し刺さることになるため、取付部3に設けた穴4の内壁が3本の針2に引っ掛かった状態となるため、クリップ6を設けた取付部3が極めて抜け落ちにくい。
【0040】
そのため、クップ6に強いバネ63を使ってクリップ挟持部62に多少重いものでも挟み込めるようにした場合には、クリップ押圧部61に強い力を加える必要があるが、片手でクリップ押圧部61を強く押しても取付部3が動かないので、安全かつ簡単に利用できる。
【0041】
図4と図5に、第3の実施例を示す。
第3の実施例では、円錐台に近い形状で外周を湾曲させた中心部材31の側壁に、針2を通すための溝32を3か所に設けて、中心部材31の側壁に密着させて外周部材33を接合することで、中心部材31に設けた溝32が、針を通す穴と同じ構造となるように取付部3を構成している。
【0042】
さらに、外周部材33の外壁に、ハンガーのフックや額縁の紐などを引っ掛けることができる環状溝34を設けている。
【0043】
また、頭部1は、針2を取り替えられる構造としており、ねじ込み式構造としている頭部キャップ部13を回して取り外し、頭部穴15に挿入して取り付けている引っ掛け部21を設けた針2を頭部基部14から引き抜いて、新しい針2を頭部穴15に挿入した後、頭部キャップ部13を回して締めつけることで針2の引っ掛け部21を押しつけて針2を固定できる構造としている。
【0044】
針を通す穴は、上方が垂直で下方が45°程度の角度として、途中滑らかに湾曲する構造とすれば、頭部を押しつけたときに穴に入る前の針が曲がりにくくなり、穴の途中で針が引っ掛かることなく円滑に曲げることができて、壁面に45°程度の角度で刺さることで適度に刺しやすく抜けにくくできるので良いのだが、針の太さに近い小さな穴を途中で湾曲させて設けるのは難しいため、第3の実施例で中心部材31の側壁の上部37を垂直にして底部38を45°にして途中滑らかに湾曲させて、側壁の上部37から下部38に溝32を設けることで、容易に製造できるのである。
【0045】
図6に、第4の実施例を示す。
第4の実施例では、タオルなどを掛けておくための壁面取り付け用ハンガーの取り付け手段として、ハンガー部7の両端2か所に取付部3を一体的に設けている。
【0046】
壁面取り付け用ハンガーの場合、比較的大きな力が加わることが想定されるため、ハンガー部7の両端に設ける取付部3の穴4は6個ずつ設けて、それぞれの取付部3に対応する2個の頭部1に設ける針2も同じく6本設けている。
【0047】
従来は、木ねじや両面テープで壁面取り付け用ハンガーを取り付けていたが、木ねじの場合には、取り付ける手間がかかり、取り外したときに大きな穴が開いてしまうという問題があったし、両面テープの場合には取り付け強度が弱いし、取り外したときに粘着材が残ったり壁紙ごとはがれたりする問題があった。
【0048】
しかし、第4の実施例では、左右の頭部1を片手で押し込むだけで簡単に取り付けられるし、左右6本ずつの針2で荷重を分散しながら取付部3を押さえ付けているので、かなりの荷重がハンガー部7に加わっても、本実施例の壁面取り付け用ハンガーが壁面から外れることがないし、頭部1を引き抜くだけで簡単に取り外しができるし、取り外しても壁面に左右6個の針2の小さな穴が開いているだけなので、目立たないし補修も簡単に行えるのである。
【0049】
また、薄い壁や脆い材質の壁などの場合には、木ねじで止めるときの強度よりも強い強度で取り付けることが可能である。
【0050】
さらに、壁面に刺さる針2の間隔や角度を変えることにより、壁面取り付け用ハンガーに加わる荷重の許容量を加減できるし、針2の本数を変えたりすることで、手すりなどのかなり強い力が加わる物の取り付けにも利用できる。
【0051】
図7に、第5の実施例を示す。
第5の実施例では、壁掛け時計8の上部に、6個の穴4を設けた取付部3を一体的に設けて、頭部1にも6本の針2を設けた構成としている。
【0052】
そのため、従来壁掛け時計を取り付けるときには、木ねじなどを壁面に取り付けてから、壁掛け時計の引っ掛け部を引っ掛けて取り付けていたが、第5の実施例を利用すれば、取り付け位置の壁面に壁掛け時計8を片手で押さえておいて、もう一方の手で頭部1を押しつけることで簡単に取り付けることができる。
【0053】
また、壁掛け時計8の上部に可動的に取付部3を連結した構造とすれば、取付部3を多少傾いた状態で取り付けても、壁掛け時計8は垂直の状態になるようにできる。
【0054】
図8に、第6の実施例を示す。
第6の実施例では、取付部3の穴4から頭部1に設けた針2の先端が抜け出ないように、穴4の中に針2の先端が入り込んだ状態で止まるように、可動的に頭部1と取付部3を連結部材9で連結している。
【0055】
そのため、商品として販売するときも、針2が取付部3の穴4から抜け落ちない状態で販売できるし、壁面等に取り付けた第6の実施例を取り外すときでも、針2の先端が取付部3の穴4の中にある状態で取り外しができるので、安全に利用できるし、頭部1もしくは取付部3の一方がなくなって利用できなくなることも防げる。
【0056】
【発明の効果】
本発明の複数針付取付具では、抜け落ちにくくて取れにくく取り付けることが可能であるが、反面取り付けやすくて取り外し易いという理想的な取付具を実現している。
【0057】
本発明の複数針付取付具では、複数本の針を壁面等に刺して取り付けるため、取付部に加わる取付物などの荷重や、取付部を壁面等から剥がそうとする力が複数本の針に分散されるため、薄いベニヤ板や石膏ボードなどの脆くて弱い材質の壁に取り付けた場合でも、壁を壊す危険性が減少できる。
【0058】
そして、複数本の針が壁面に刺さるのに加えて、斜めに傾けて針を刺すので、壁面に刺さっている部分の針の面積が大きくなり、薄い壁でも摩擦力が強くなって抜けにくくなる。
【0059】
さらに、取付部を壁面等から剥そうとしたときに、壁面等に対して斜めに刺さっている針が取付部の穴もしくは溝の内壁に密着しているため、複数本の針が取付部の複数か所の穴もしくは溝の内壁を押さえつけている状態となっているため、壁面等に密着した取付部を容易に剥がすことができない構造としているため、かなり重い物でも壁面等が破損しない範囲であれば、壁面等に対して取れないように取り付けることができる。
【0060】
また、頭部を指先で押しつけることで、取付部に設けた穴もしくは溝の内壁に沿って、複数本の針が同時にそれぞれ異なった方向に曲がりながら壁面等に刺さることになるため、本発明の複数針付取付具の壁面等への取り付けが、指先だけで、しかも押し付けるだけの簡単な操作で取り付けることができるのである。
【0061】
一方、本発明の複数針付取付具を壁面から取り外すときには、頭部を引き抜くだけで、取付部の穴もしくは溝の内壁に沿って複数本の針を引き抜く力が加わるため、容易にしかも一度に複数本の針を引き抜くことができ、取付部の穴もしくは溝の中に複数本の針の先端が入ったところで取り外しができることになるため、工具などを使わないで指先だけで、頭部を引き抜くだけの簡単な操作で取り外すことができるのである。
【0062】
また、頭部と取付部を紐やテープ、蛇腹などの連結部材で可動的に連結して、頭部を引き抜いたときに複数本の針の針先が取付部の穴もしくは溝の中に入ったときに連結部材が伸びきる構造としておけば、複数本の針が取付部の穴もしくは溝から抜けることを防げるため、次に使うときに便利だし、頭部と取付部の間に詰め物をしておけば、保管中に針先が取付部の穴もしくは溝から突出することを防げて安全である。
【0063】
また、複数本の針を細くできるので、本発明の複数針付取付具を取り外した後の壁面等には、複数ではあるけれども小さな穴が開くだけなので、ねじ込み式のフックや木ねじで取り付けた場合に比べれば、取り外した後の痕跡が非常に小さく目立たないため、新築の家などでも気軽に取り付けができるし、取り外したあとの補修も比較的容易に行える。
【0064】
本発明の複数針付取付具では、壁面等に刺すための複数本の針を設けた頭部と、取付物などを壁面等へ取り付けるための取付部とにより構成しているため、取付部を様々な形状で構成しても、頭部の複数本の針を挿入できて斜めに傾けた穴もしくは溝さえ設ければ良いので、壁掛け時計や壁面取り付け用ハンガーなどに一体的に取付部を設けることで、壁面等への簡単な取り付け手段として利用することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1の実施例の平面図を示す。
【図2】本発明の第1の実施例の断面図を示す。
【図3】本発明の第2の実施例の断面図を示す。
【図4】本発明の第3の実施例の平面図を示す。
【図5】本発明の第3の実施例の断面図を示す。
【図6】本発明の第4の実施例の平面図を示す。
【図7】本発明の第5の実施例の平面図を示す。
【図8】本発明の第6の実施例の斜視図を示す。
【符号の説明】
1 頭部
11 上部
12 下部
13 頭部キャップ部
14 頭部基部
15 頭部穴
2 針
21 引っ掛け部
3 取付部
31 中心部材
32 溝
33 外周部材
34 環状溝
35 上方部
36 下方部
37 上部
38 底部
4 穴
5 フック
6 クリップ
61 クリップ押圧部
62 クリップ挟持部
63 バネ
7 ハンガー部
8 壁掛け時計
9 連結部材
Claims (6)
- 上部を指で押しつけることができる形状とし、指の力で曲げることができて折れない針を3本以上抜け落ちない状態で下部に設けた構造とした頭部と、この3本以上の針(以下「複数本の針」という。)の太さと同程度の内径で複数本の針をつかえることなく挿入できる穴もしくは上方を塞いで穴状に構成した溝(以下「穴もしくは溝」という。)を、取付部の上部ではほぼ垂直状態で、下部に行くにしたがって中心から外側にそれぞれ異なった方向に傾いた状態で底部に貫通させて設けた取付部とにより構成し、複数本の針を取付部の上部から挿入して、頭部を押して複数本の針を押し入れたときに、複数本の針を中心から外側にそれぞれ異なった方向に傾いた状態で斜めに曲げて、しかも針が斜めに傾いた状態で底部から突出する構造とした複数針付取付具。
- 請求項1において、頭部に設けた複数本の針を、取付部に設けた穴もしくは溝に挿入した状態で、取付部の穴もしくは溝から複数本の針が抜けて外れないように、頭部と取付部とを可動的に連結した請求項1記載の複数針付取付具。
- 請求項1および請求項2における頭部を、複数本の針を頭部から取り外して新しい針を取り付けることができる構造とした請求項1および請求項2記載の複数針付取付具。
- 取付部に、物を吊り下げることができるフックを設けた、請求項1および請求項2および請求項3記載の複数針付取付具。
- 取付部に、物をはさむことができるクリップを設けた、請求項1および請求項2および請求項3記載の複数針付取付具。
- 壁面などに取り付けて利用する物の構成部分として取付部を設けた、請求項1および請求項2および請求項3記載の複数針付取付具。
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