JP4431642B2 - 感光性レジスト用現像液組成物 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は感光性レジストの現像液組成物に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、プリント配線板製造、金属精密加工、構造体形成の分野において、エッチング、メッキ、保護膜作成等の目的でパターン形成を行う工程において、感光性レジストの未露光部を除去するために用いられる現像液としては、炭酸ナトリウム水溶液や特開平6−175372号公報記載の現像液組成物等のアルカリ系現像液、1,1,1−トリクロロエタン等の塩素系有機溶剤系現像液、トルエン、キシレン、ブチルセロソルブ、N−メチル−2−ピロリドン、特開平5−216242号公報記載の現像液組成物、特開平6−194847号公報記載の現像液組成物、特開平8−171213号公報記載の現像液組成物等の有機溶剤を用いる有機溶剤系現像液などがある。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
従来の感光性レジスト用現像液は以下のような課題がある。
【0004】
アルカリ系現像液は、特に高い耐薬品性や耐熱性を必要とする感光性レジスト中にはカルボキシル基等のアルカリ可溶性基を含まないかあるいは含有量が少ないため、未露光部の感光性樹脂を溶解することができないので使用することができないという問題がある。
【0005】
塩素系有機溶剤系現像液において1,1,1−トリクロロエタンは優れた現像性を有するもののオゾン層破壊や地下水汚染等の環境問題を有している。
【0006】
有機溶剤系現像液は可燃性であるため、引火爆発の危険性を有する。また溶解力が強く、光硬化したパターンの膨潤、アンダーカット、剥離等の問題を有し、特に精密なパターンの形成に問題がある。また水洗時に十分に取り除くことができずに光硬化したパターンに残渣が残る問題がある。
【0007】
本発明の目的はこれらの課題を解決し、光硬化部分の膨潤やアンダーカット、剥離や未露光部の現像残渣を生じることなく精密なパターン形成が可能で環境破壊や安全性上の問題のない現像液を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題の解決は液状組成物に対する摂氏20度における水の溶解度が3から30重量%であって、1−ペンタノール、2−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル、シクロヘキサノール、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジアセテートからなる群より選ばれた1種以上の液状組成物と、
N−メチル−2−ピロドリン、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドからなる群より選ばれた1種以上の化合物と、
水とを含む現像液組成物により達成できる。
【0009】
【発明の実施の形態】
液状組成物に対する水の溶解度とは液状組成物に対して水の溶解量が飽和状態となりそれ以上水が溶解しなくなる濃度である。溶解度は温度により変化するが、本発明で液状組成物に対する水の溶解度を定義する温度を摂氏20度としたのは、一般的に組成物の溶解度を比較する場合に用いられる温度が摂氏20度であるためで、本現像液組成物の製造温度、使用温度等を制限するものではない。
【0010】
本発明の現像液組成物に用いる液状組成物に対する摂氏20度における水の溶解度は3から30重量%であり、好ましくは5から25重量%、特に好ましくは10から20重量%である。水の溶解度が3重量未満の場合は添加できる水の量が少なく安全上問題である。また現像後の水洗で十分に取り除けず、残渣がパターンに付着する問題がある。水の溶解度が30重量%を越えると液状化合物の溶解力が強く、光硬化したパターンの膨潤、アンダーカット、剥離等の問題が生じる。また液状組成物自体の吸水力が強いため水洗時に水が光硬化したパターンにもしみこみ、膨潤、剥離、アンダーカットを生じる問題がある。即ち本発明の現像液組成物は水の溶解度を制御する事により水洗に伴う、残渣やパターンの膨潤、剥離、アンダーカット等を抑制することができる。
【0011】
摂氏20度における水の溶解度が3から30重量%である液状組成物の例としては1−ブタノール、2−ブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル、シクロヘキサノール、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジアセテート、3−メチル−3−メトキシブチルアセテート、ブチルラクテート等があげられる。これらの化合物は単独あるいは任意の割合で混合して用いられる。また溶解度が3重量%未満の液状化合物と30重量%を越える化合物も溶解度が3から30重量%になるように混合して用ることができる。溶解度が3重量%未満の液状化合物の例としては、ヘキサン、ヘプタン、オクタン、ベンゼン、トルエン、キシレン、ジエチルエーテル、ブチルアセテート、エチレングリコールモノブチルエーテルアセテート、ジエチレングリコールジブチルエーテル等があげられる。溶解度が30重量%を越える液状化合物の例としてはメタノール、エタノール、2−プロパノール、エチレングリコール、ジエチエレングリコール、トリエチレングリコール、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、アセトン、メチルエチルケトン等があげられる。
【0012】
本発明の現像液組成物はN−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドからなる群より選ばれた1種以上の化合物を混合することにより感光性レジストの溶解速度が速くなり現像時間の短縮が可能となる。N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドからなる群より選ばれた1種以上の化合物の含有量は1〜20重量%が好ましい。特に好ましくは3〜15重量%、さらに好ましくは4〜8重量%である。含有量が1重量%未満の場合は溶解速度を速めることができず、現像時間が長くなり、生産性上好ましくない。含有量が20重量%を越える場合、溶解力が高くなりすぎ、光硬化したパターンの膨潤、アンダーカット、剥離等の問題が生じる。
【0013】
本発明の現像液組成物は水を混合する。水を混合することにより引火爆発の危険性を防止する安全上の利点がある。混合する水の量は好ましくは摂氏20度における水の溶解度が3から30重量%である液状組成物に対する水の溶解量が飽和となる量あるいは飽和とならない範囲である。
【0014】
本発明の現像液組成物は蒸留して再利用することができる。蒸留して再利用することにより、現像後の現像液組成物の廃棄処分が不必要となり環境上好都合である。蒸留は常圧蒸留、減圧蒸留等の既存の蒸留方法が用いられる。
【0015】
本発明の感光性レジスト用現像液組成物は市販されている感光性レジストに使用できる。感光性レジストとして例えばサンノプコ社製ノプコキュアF−1040m、ノプコキュアF702、ノプコキュアF−1520などの感光性ドライフィルムレジスト、ノプコキュアL−1020、ノプコキュアL−7020などの液状レジストがある。
【0016】
本発明の現像液を用いる方法は、スプレー法、超音波法、浸せき揺動法等の既存の方法を用いることができる。現像の温度は特に限定しない。一般的には室温から摂氏50の間で使用される。現像後は水による水洗を行うことが好ましい。
【0017】
【実施例】
次に、実施例により本発明を詳細に説明するが、本発明はこれらによって限定されるものではない。表1に示す配合比で現像液組成物を作成し、現像性の評価を行った。現像性評価ピースとしてサンノプコ社製ドライフィルム型感光性レジストであるノプコキュアF−1040を銅張り積層板にラミネートし線幅/線間=50/50μmのフォトマスクを通して露光したものを用いた。このテストピースに対して表1の現像液組成物を用い温度30℃、圧力3kg/cm2の条件でスプレー方式で現像した。そして水スプレーで水洗した後、80℃のオーブンで30分乾燥した後50倍の顕微鏡で観察して硬化部のパターンの剥離、アンダーカット、未露光部の現像残渣の評価を行った。なお、実施例5は参考例5と、実施例7は参考例7と読み替えることとする。
【0018】
現像性の評価結果と最小現像時間、現像液組成物の引火性の評価結果を表1に示す。最小現像時間は現像性評価において未露光の評価用テストピースを現像した場合に感光性レジストの全量を溶解するのに必要な最小時間を測定した。引火性の評価は消防法危険物の評価基準に従って行った。
現像性は以下の基準で判定した。
○:硬化部のパターン剥離、アンダーカット、未露光部の現像残渣なし。
△:現像残渣がある。
×:硬化部のパターンの剥離、アンダーカットがある。
最低限贈時間は以下の基準で判定した。
○:3分未満
×:3分以上
引火性は以下の基準で判定した。
○:引火性なし
×:引火性あり
【0019】
【表1】
【0020】
実施例1に示す現像液組成物を現像性評価後に5mmHgの減圧下で120℃で蒸留して回収率90%で精製物を得た。水分を所定の10重量%に調整した後に現像性の評価を行ったところ、蒸留前と同等の現像性を示した。
実施例1に示す現像液組成物は5mmHgの減圧下で120℃で蒸留して精製した。水分を所定の10重量%に調整した後に現像性の再評価を行ったところ、蒸留前と同等の現像性を示した。
【0021】
【発明の効果】
本発明の現像液組成物は感光性レジストの光硬化部分の膨潤やアンダーカット、剥離や未露光部の現像残渣を生じることなく精密な細線パターン形成が可能な現像液である。かつ引火爆発性のない現像液やオゾン層破壊や地下水汚染のない現像液を提供できるので安全上や環境上問題もない。このため本発明の現像液組成物はプリント配線板製造時に用いられるめっきレジスト、エッチングレジスト、ソルダーレジスト、層間絶縁剤などのほか、金属精密加工用レジスト、構造体形成レジストの現像液として好適である。
Claims (3)
- 液状組成物に対する摂氏20度における水の溶解度が3から30重量%であって、1−ペンタノール、2−ペンタノール、2−メチル−1−ブタノール、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル、シクロヘキサノール、プロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、トリプロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノフェニルエーテル、ジプロピレングリコールジメチルエーテル、プロピレングリコールジアセテートからなる群より選ばれた1種以上の液状組成物と、
N−メチル−2−ピロドリン、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドからなる群より選ばれた1種以上の化合物と、
水とを含む現像液組成物。 - N−メチル−2−ピロリドン、γ−ブチロラクトン、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミドからなる群より選ばれた1種以上の化合物の含有量が1から20重量%である請求項1記載の現像液組成物。
- 請求項1または2記載の現像液組成物を現像後に蒸留精製して再使用することを特徴とする現像方法。
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