JP7020905B2 - 樹脂マスク剥離用洗浄剤組成物 - Google Patents

樹脂マスク剥離用洗浄剤組成物 Download PDF

Info

Publication number
JP7020905B2
JP7020905B2 JP2017251895A JP2017251895A JP7020905B2 JP 7020905 B2 JP7020905 B2 JP 7020905B2 JP 2017251895 A JP2017251895 A JP 2017251895A JP 2017251895 A JP2017251895 A JP 2017251895A JP 7020905 B2 JP7020905 B2 JP 7020905B2
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
component
mass
less
detergent composition
resin mask
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Active
Application number
JP2017251895A
Other languages
English (en)
Other versions
JP2019117331A (ja
Inventor
勲 西
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Kao Corp
Original Assignee
Kao Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Kao Corp filed Critical Kao Corp
Priority to JP2017251895A priority Critical patent/JP7020905B2/ja
Publication of JP2019117331A publication Critical patent/JP2019117331A/ja
Application granted granted Critical
Publication of JP7020905B2 publication Critical patent/JP7020905B2/ja
Active legal-status Critical Current
Anticipated expiration legal-status Critical

Links

Description

本開示は、樹脂マスク剥離用洗浄剤組成物、該洗浄剤組成物を用いた樹脂マスクの洗浄方法及び電子部品の製造方法に関する。
近年、パーソナルコンピュータや各種電子デバイスにおいては、低消費電力化、処理速度の高速化、小型化が進み、これらに搭載されるパッケージ基板などの配線は年々微細化が進んでいる。このような微細配線並びにピラーやバンプといった接続端子形成にはこれまでメタルマスク法が主に用いられてきたが、汎用性が低いことや配線等の微細化への対応が困難になってきたことから、他の新たな方法へと変わりつつある。
新たな方法の一つとして、ドライフィルムレジストをメタルマスクに代えて厚膜樹脂マスクとして使用する方法が知られている。この樹脂マスクは最終的に剥離・除去されるが、その際にアルカリ性の剥離用洗浄剤が使用される。
このような剥離用洗浄剤として、例えば、特許文献1には、多価アルコールを1~10重量%、亜硝酸塩及び/又は硼酸塩を0.1~5重量%、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤及び弗素系界面活性剤から選ばれる一つ又は二つ以上を0.001~1重量%、苛性アルカリを5~40重量%、及び残部として水から成るフォトレジスト及び/又は耐エッチング性樹脂組成物用剥離剤が記載されている。
特許文献2には、組成物の全重量の約2~55重量%の少なくとも1種類のアルカノールアミン、少なくとも1種類のモルホリン、又はこれらの混合物と、約20~94重量%の少なくとも1種類の有機溶媒と、約0.5~60重量%の水とを含むフィルム・レジストを除去するための組成物が記載されている。
特許文献3には、ICやLSI等の半導体素子や液晶パネル素子製造時のエッチングやアッシング(灰化)の後に発生する残渣物の 除去に使用する、(a)フッ素化合物、(b)分子内にエーテル結合を有する2価のアルコール化合物、(c)有機酸化合物、及び(d)水を含有してなるレジスト剥離液が記載されている。
特許文献4には、いわゆるレジスト用現像液として、エポキシ樹脂系フォトソルダーレジストの未感光部分を剥離する剥離液であって、アルカリ溶液にプロピレン系グリコールエーテルの添加剤を添加したことを特徴とする剥離液が記載されている。
特許文献5には、基板上にコーティングされるレジスト膜の縁部または基板の後面に形成される不要な膜成分のレジストを除去し、装備の腐蝕を防止するための、a)無機アルカリ化合物0.1乃至5重量%、b)有機アミン0.1乃至5重量%、c)有機溶剤0.1乃至30重量%、d)アニオン系界面活性剤及びノニオン系界面活性剤を1:5乃至25の重量比で含む界面活性剤0.01乃至5重量%、及びe)水60乃至99重量%、を含むことを特徴とするレジスト除去用シンナー組成物が記載されている。
特開2002-99100号公報 特開2014-78009号公報 特開2004-157284号公報 特開平7-140676号公報 特表2005-509693号公報
プリント基板等に微細配線を形成する上で、樹脂マスクの残存はもちろんのこと、微細配線やバンプ形成に用いられるはんだやメッキ液等に含まれる助剤等の残存を低減するため、洗浄剤組成物には高い洗浄性が要求される。樹脂マスクは、光や電子線等によって現像液に対する溶解性等の物性が変化するレジストを用いて形成されるものである。そして、レジストは、光や電子線との反応方法から、ネガ型とポジ型に大きく分けられている。ネガ型レジストは、露光されると現像液に対する溶解性が低下する特性を有し、ネガ型レジストを含む層(以下、「ネガ型レジスト層」ともいう)は、露光及び現像処理後に露光部が樹脂マスクとして使用される。ポジ型レジストは、露光されると現像液に対する溶解性が増大する特性を有し、ポジ型レジストを含む層(以下、「ポジ型レジスト層」ともいう)は、露光及び現像処理後に露光部が除去され、未露光部が樹脂マスクとして使用される。このような特性を有する樹脂マスクを使用することで、金属配線、金属ピラーやハンダバンプといった回路基板の微細な接続部を形成することができる。しかし、これら接続部形成時に使用されるメッキ処理や加熱処理等によって樹脂マスクの特性が変化し、次工程の洗浄工程において樹脂マスクを除去しにくくなってしまう。特に、ネガ型レジストは、光や電子線との反応により硬化する特性を有することから、ネガ型レジストを用いて形成された樹脂マスクは、接続部形成時に使用されるメッキ処理や加熱処理等によって必要以上に硬化が進み、洗浄工程で完全に除去できないか、あるいは、除去にかかる時間が非常に長くなることで基板や金属表面にダメージを与えてしまう。このようにメッキ処理及び/又は加熱処理された樹脂マスクは剥離しにくいため、洗浄剤組成物には高い樹脂マスク除去性が要求される。
一方、様々な分野において電子化が進みプリント基板等の生産量が増加している。さらに、利用される機器や装置の小型化、処理速度の高速化、消費電力を低減するため、配線が微細化、多層化し、剥離・洗浄工程が増加し、洗浄剤組成物の使用量も増加する傾向にある。この洗浄剤組成物の使用量の増加に伴い、洗浄剤組成物やリンス水等の廃液の排水処理負荷や廃液流入による湖沼の富栄養化も増大していることから、排水処理負荷が小さく、湖沼の富栄養化の原因となる窒素及びリンを含有せず、樹脂マスクを効率よく除去できる洗浄剤組成物が強く要望されている。しかし、前記特許文献に記載の方法では、高い樹脂マスク除去性と低い排水処理負荷の両立が難しい。
そこで、本開示は、樹脂マスク除去性に優れ、排水処理負荷の小さい、樹脂マスク剥離用洗浄剤組成物、該洗浄剤組成物を用いた樹脂マスクの洗浄方法及び基板の製造方法を提供する。
本開示は、一態様において、無機アルカリ(成分A)、多価アルコール(成分B)、成分B以外の有機溶剤(成分C)及び水(成分D)を含有し、成分Cのハンセン溶解度パラメータの座標が、δd=17.5、δp=5.0、δh=11.5を中心とする半径1.5MPa0.5の球の範囲内であり、洗浄剤組成物の使用時における成分Dの含有量が80質量%以上である、樹脂マスク剥離用洗浄剤組成物に関する。
本開示は、一態様において、樹脂マスクが付着した被洗浄物を本開示に係る洗浄剤組成物で洗浄する工程を含む、樹脂マスクの洗浄方法に関する。
本開示は、一態様において、樹脂マスクが付着した被洗浄物を本開示に係る洗浄剤組成物で洗浄する工程を含む、電子部品の製造方法に関する。
本開示は、一態様において、本開示に係る洗浄剤組成物の、電子部品の製造への使用に関する。
本開示によれば、一態様において、樹脂マスク除去性に優れ、排水処理負荷の小さい、樹脂マスク剥離用洗浄剤組成物を提供できる。
本開示は、無機アルカリ(成分A)、多価アルコール(成分B)、特定のハンセン溶解度パラメータを有する成分B以外の有機溶剤(成分C)及び水(成分D)を含有する洗浄剤組成物を用いることで、低い排水処理負荷であっても、樹脂マスク、特にメッキ処理及び/又は加熱処理された樹脂マスクを効率よく除去できるという知見に基づく。また、洗浄剤組成物中に窒素含有化合物及びリン含有化合物を含有させないことで、湖沼等の富栄養化を抑制できるという知見に基づく。
すなわち、本開示は、一態様において、無機アルカリ(成分A)、多価アルコール(成分B)、成分B以外の有機溶剤(成分C)及び水(成分D)を含有し、成分Cのハンセン溶解度パラメータの座標が、δd=17.5、δp=5.0、δh=11.5を中心とする半径1.5MPa0.5の球の範囲内であり、洗浄剤組成物の使用時における成分Dの含有量が80質量%以上である、樹脂マスク剥離用洗浄剤組成物(以下、「本開示に係る洗浄剤組成物」ともいう)に関する。本開示によれば、樹脂マスク除去性に優れ、排水処理負荷の小さい、洗浄剤組成物を提供できる。よって、本開示に係る洗浄剤組成物は、低い排水処理負荷であっても、樹脂マスク、特に、メッキ処理及び/又は加熱処理された樹脂マスクを効率よく除去できる。そして、本開示に係る洗浄剤組成物を用いることによって、高い収率で高品質の電子部品が得られうる。さらに、本開示に係る洗浄剤組成物を用いることによって、微細な配線パターンを有する電子部品を効率よく製造できる。
本開示に係る洗浄剤組成物における効果の作用メカニズムの詳細は不明な部分があるが、以下のように推定される。
一般に、樹脂マスクの剥離は、洗浄剤組成物の成分が樹脂マスクに浸透し、樹脂マスクが膨潤することによる界面ストレスに起因すると考えられている。本開示に係る洗浄剤組成物では、無機アルカリ(成分A)と水(成分D)が樹脂マスクに浸透することにより、樹脂マスクに配合されているアルカリ可溶性樹脂の解離を促進し、さらに電荷反発を起こすことによって樹脂マスクの剥離を促進する。無機アルカリ(成分A)と水(成分D)が樹脂マスクに浸透する際に、界面活性剤や水溶性溶剤が存在すると浸透性が向上する場合がある。水(成分D)の存在下で、多価アルコール(成分B)と特定のハンセン溶解度パラメータを有する有機溶剤(成分C)は複合体を形成し、この複合体が基板表面と樹脂マスクとの間に作用することで、基板-樹脂間の密着力が低下してさらに樹脂マスクの剥離を促進し、樹脂マスク除去性が格段に向上するものと推定される。
また、本開示に係る洗浄剤組成物が、多価アルコール(成分B)と特定のハンセン溶解度パラメータを有する有機溶剤(成分C)を特定の比率で含有する場合、それらの複合体と樹脂マスクの樹脂成分との相溶性が高くなり、樹脂マスクと水との界面において効果的な剥離作用が発揮され、樹脂マスク除去性がより向上すると推定される。
さらに、多価アルコール(成分B)と特定のハンセン溶解度パラメータを有する有機溶剤(成分C)の複合体が樹脂マスクに効率的に作用するため、本開示に係る洗浄剤組成物の使用時における成分Dの水の含有量を多くでき、洗浄剤組成物中の有機物含有量を低減でき、排水処理負荷の増大を抑制できると推定される。これにより、効率よくかつ高い清浄度で基板上に微細な回路(配線パターン)の形成が可能になると考えられる。
但し、本開示はこのメカニズムに限定して解釈されなくてもよい。
本開示において樹脂マスクとは、エッチング、メッキ、加熱等の処理から物質表面を保護するためのマスク、すなわち、保護膜として機能するマスクである。樹脂マスクとしては、一又は複数の実施形態において、露光又は現像工程後のレジスト層、露光及び現像の少なくとも一方の処理が施された(以下、「露光及び/又は現像処理された」ともいう)レジスト層、あるいは、硬化したレジスト層が挙げられる。樹脂マスクを形成する樹脂材料としては、一又は複数の実施形態において、フィルム状の感光性樹脂、又は、レジストフィルムが挙げられる。レジストフィルムは汎用のものを使用できる。
[成分A:無機アルカリ]
本開示に係る洗浄剤組成物は、無機アルカリ(成分A)を含む。成分Aは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
成分Aとしては、例えば、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化リチウム、水酸化カルシウム、炭酸ナトリウム、炭酸カリウム、珪酸ナトリウム及び珪酸カリウムから選ばれる1種又は2種以上の組合せが挙げられ、樹脂マスク除去性向上の観点から、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム及び炭酸カリウムから選ばれる1種又は2種以上の組合せが好ましく、水酸化ナトリウム及び水酸化カリウムの少なくとも一方がより好ましい。
本開示に係る洗浄剤組成物の使用時における成分Aの含有量は、樹脂マスク除去性向上の観点から、0.1質量%以上が好ましく、0.3質量%以上がより好ましく、0.5質量%以上が更に好ましく、1質量%以上がより更に好ましく、2質量%以上がより更に好ましく、そして、樹脂マスク除去性向上及び金属腐食抑制の観点から、15質量%以下が好ましく、10質量%以下がより好ましく、7質量%以下が更に好ましく、5質量%以下がより更に好ましい。より具体的には、成分Aの含有量は、0.1質量%以上15質量%以下が好ましく、0.3質量%以上10質量%以下がより好ましく、0.5質量%以上7質量%以下が更に好ましく、1質量%以上5質量%以下がより更に好ましく、2質量%以上5質量%以下がより更に好ましい。
本開示において「洗浄剤組成物の使用時における各成分の含有量」とは、洗浄時、すなわち、洗浄剤組成物の洗浄への使用を開始する時点での各成分の含有量をいう。
[成分B:多価アルコール]
本開示に係る洗浄剤組成物は、多価アルコール(成分B)を含む。成分Bは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。多価アルコールとは、分子内に水酸基を2個以上有する化合物をいう。成分Bの水酸基数は、2個以上であって、樹脂マスク除去性の観点から、2個以上6個以下が好ましく、2個以上5個以下がより好ましく、2個以上4個以下が更に好ましい。成分Bの炭素数は、特に限定されなくてもよく、樹脂マスク除去性の観点から、1個以上20個以下が好ましく、2個以上10個以下がより好ましく、3個以上6個以下が更に好ましい。
成分Bとしては、例えば、メタンジオール、エチレングリコール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、2,2-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,3-ペンタンジオール、1,4-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール及びネオペンチルグリコール等の2価のアルコール(ジオール);グリセリン、1,2,3-ブタントリオール、1,2,4-ブタントリオール、トリメチロールエタン及びトリメチロールプロパン等の3価のアルコール(トリオール);ジグリセロール、ペンタエリスリトール、トレイトール及び1,2,3,4-ブタンテトラオール等の4価のアルコール(テトラオール);キシリトール等の5価のアルコール;マンニトール及びソルビトール等の6価のアルコール;ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、ジグリセロール等の多価アルコールを脱水縮合した多量体;及び、ポリビニルアルコール等の不飽和モノアルコールの縮合体;から選ばれる1種又は2種以上の組合せが挙げられる。これらの中でも、樹脂マスク除去性向上の観点から、ジオール、トリオール及びテトラオールから選ばれる1種又は2種以上の組合せが好ましく、エチレングリコール、1,2-プロパンジオール、1,3-プロパンジオール、1,2-ブタンジオール、1,3-ブタンジオール、1,4-ブタンジオール、1,2-ペンタンジオール、1,3-ペンタンジオール、1,4-ペンタンジオール、1,5-ペンタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、ネオペンチルグリコール、グリセリン、トリメチロールエタン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、及びジグリセロールから選ばれる1種又は2種以上の組合せがより好ましく、1,2-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、1,5-ペンタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジエチレングリコール、ジプロピレングリコール、及びジグリセロールから選ばれる1種又は2種以上の組合せが更に好ましく、1,2-プロパンジオール、1,3-ブタンジオール、2-メチル-1,3-プロパンジオール、グリセリン、トリメチロールプロパン、ペンタエリスリトール、ジエチレングリコール、及びジグリセロールから選ばれる1種又は2種以上の組合せがより更に好ましく、1,2-プロパンジオール、グリセリン、ペンタエリスリトール、及びジエチレングリコールから選ばれる1種又は2種以上の組合せがより更に好ましく、1,2-プロパンジオール、グリセリン、及びペンタエリスリトールから選ばれる1種又は2種以上の組合せがより更に好ましい。
本開示に係る洗浄剤組成物の使用時における成分Bの含有量は、樹脂マスク除去性向上の観点から、0.1質量%以上が好ましく、0.2質量%以上がより好ましく、0.3質量%以上が更に好ましく、0.5質量%以上がより更に好ましく、0.8質量%以上がより更に好ましく、そして、樹脂マスク除去性向上及び排水処理負荷低減の観点から、7質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、3質量%以下が更に好ましく、2質量%以下がより更に好ましく、1.2質量%以下がより更に好ましい。より具体的には、成分Bの含有量は、0.1質量%以上7質量%以下が好ましく、0.2質量%以上5質量%以下がより好ましく、0.3質量%以上3質量%以下が更に好ましく、0.5質量%以上2質量%以下がより更に好ましく、0.8質量%以上1.2質量%以下がより更に好ましい。
本開示に係る洗浄剤組成物における成分Bに対する成分Aの質量比(A/B)は、樹脂マスク除去性向上の観点から、1以上が好ましく、2以上がより好ましく、3以上が更に好ましく、4以上がより更に好ましく、そして、保存安定性及び排水処理負荷を低減する観点から、50以下が好ましく、30以下がより好ましく、20以下が更に好ましく、10以下がより更に好ましい。より具体的には、質量比(A/B)は、1以上50以下が好ましく、2以上30以下がより好ましく、3以上20以下が更に好ましく、4以上10以下がより更に好ましい。
本開示に係る洗浄剤組成物における成分Cに対する成分Bの質量比(B/C)は、樹脂マスク除去性向上の観点から、1以上が好ましく、1.2以上がより好ましく、1.5以上が更に好ましく、1.8以上がより更に好ましく、2以上がより更に好ましく、そして、同様の観点から、10以下が好ましく、8以下がより好ましく、7以下が更に好ましく、6以下がより更に好ましい。より具体的には、質量比(B/C)は、1以上10以下が好ましく、1.2以上8以下がより好ましく、1.5以上7以下が更に好ましく、1.8以上6以下がより更に好ましく、2以上6以下がより更に好ましい。
[成分C:有機溶剤]
本開示に係る洗浄剤組成物は、成分B以外の有機溶剤(成分C)を含む。成分Cは、1種単独で用いてもよいし、2種以上を併用してもよい。
本開示において、成分Cのハンセン溶解度パラメータの座標は、δd=17.5、δp=5.0、δh=11.5を中心とする半径1.5MPa0.5の球の範囲内である。本開示に係る洗浄剤組成物が2種以上の有機溶剤(以下、「混合有機溶剤」ともいう)を含む場合、混合有機溶剤全体のハンセン溶解度パラメータは上記範囲内でなくてもよく、混合有機溶剤中に上記範囲内のハンセン溶解度パラメータを有する有機溶剤が少なくとも1種含まれていれば、本開示の効果は発揮されうる。
ここで、ハンセン溶解度パラメータ (Hansen solubility parameter)(以下、「HSP」ともいう)とは、Charles M. Hansenが1967年に発表した、物質の溶解性の予測に用いられる値であって、「分子間の相互作用が似ている2つの物質は、互いに溶解しやすい」との考えに基づくパラメータである。HSPは以下の3つのパラメータ(単位:MPa0.5)で構成されている。
δd:分子間の分散力によるエネルギー
δp:分子間の双極子相互作用によるエネルギー
δh:分子間の水素結合によるエネルギー
これら3つのパラメータは3次元空間(ハンセン空間)における座標とみなすことができ、2つの物質のHSPをハンセン空間内に置いたとき、2点間の距離が近ければ近いほど互いに溶解しやすいことを示している。化学工業2010年3月号(化学工業社)等に詳細な説明があり、パソコン用ソフト「HSPiP:Hansen Solubility Parameters in Practice」等を用いることで各種物質のハンセン溶解度パラメータを得ることができる。本開示は、このパソコン用ソフト「HSPiP:Hansen Solubility Parameters in Practice」を用いて得られたハンセン溶解度パラメータを用いている。成分Cが2種以上の混合有機溶剤である場合、混合有機溶媒としてのHSPの距離については、「HSPiP:Hansen Solubility Parameters in Practice」の混合有機溶剤のHSP算出機能を用いて算出できる。
本開示における成分CのHSPの座標は、下記のように表現することもできる。すなわち、成分CのHSPの座標を(δdB、δpB、δhB)としたとき、該成分CのHSPの座標(δdB、δpB、δhB)と成分座標X(δd=17.5、δp=5.0、δh=11.5)との距離(単位:MPa0.5)が下記式を満たすものとすることができる。
距離=[(δdB-17.5)2+(δpB-5.0)2+(δhB-11.5)20.5
≦1.5MPa0.5
成分Cとしては、成分CのHSPの座標と成分座標Xとの距離が上記式を満たす有機溶剤であれば特に限定されなくてもよく、例えば、プロピレングリコールフェニルエーテル(距離:0.32MPa0.5)、エチレングリコールモノベンジルエーテル(距離:1.18MPa0.5)、エチレングリコールモノn-ヘキシルエーテル(距離:1.50MPa0.5)等のグリコールエーテル;1-メチルシクロヘキサノール(距離:1.19MPa0.5)、3-メチルシクロヘキサノール(距離:1.08MPa0.5)、4-メチルシクロヘキサノール(距離:0.59MPa0.5)等のモノアルキルアルコール;1-フェニル-1-プロパノール(距離:1.39MPa0.5)、2-フェニル-1-プロパノール(距離:1.37MPa0.5)等の芳香族アルコール;等から選ばれる1種又は2種以上の組合せが挙げられる。樹脂マスク除去性向上の観点からは、プロピレングリコールフェニルエーテル、エチレングリコールモノベンジルエーテル、エチレングリコールモノn-ヘキシルエーテル、1-フェニル-1-プロパノール及び2-フェニル-1-プロパノールから選ばれる1種又は2種以上の組合せが好ましく、プロピレングリコールフェニルエーテル及びエチレングリコールモノベンジルエーテルの少なくとも一方がより好ましい。括弧内の数値は、成分CのHSPの座標と成分座標Xとの距離(単位:MPa0.5)を示す。
本開示における成分Cは、引火による火災リスク低減の観点から、沸点が高いことが好ましく、例えば、成分Cの沸点は、160℃以上が好ましく、250℃以上がより好ましい。本開示において成分Cは、濃縮性の観点から、水への溶解度が高いことが好ましく、例えば、成分Cの水100mLに対する溶解度は、0.3g以上が好ましい。
本開示に係る洗浄剤組成物の使用時における成分Cの含有量は、樹脂マスク除去性向上の観点からは、0.01質量%以上が好ましく、0.05質量%以上がより好ましく、0.1質量%以上が更に好ましく、0.2質量%以上がより更に好ましく、そして、排水処理負荷を低減する観点から、3質量%以下が好ましく、2質量%以下がより好ましく、1質量%以下が更に好ましく、0.5質量%以下がより更に好ましい。より具体的には、成分Cの含有量は、0.01質量%以上3質量%以下が好ましく、0.05質量%以上2質量%以下がより好ましく、0.1質量%以上1質量%以下が更に好ましく、0.2質量%以上0.5質量%以下がより更に好ましい。
本開示に係る洗浄剤組成物における成分Cに対する成分Aの質量比(A/C)は、1以上60以下であって、樹脂マスク除去性向上の観点から、1.1以上が好ましく、1.2以上がより好ましく、1.5以上が更に好ましく、2以上がより更に好ましく、3以上がより更に好ましく、5以上がより更に好ましく、10以上がより更に好ましく、15以上がより更に好ましく、そして、保存安定性及び排水処理負荷を低減する観点から、50以下が好ましく、40以下がより好ましく、30以下が更に好ましく、20以下がより更に好ましい。より具体的には、質量比(A/C)は、1以上60以下であって、1.1以上50以下が好ましく、1.2以上40以下がより好ましく、1.5以上30以下が更に好ましく、2以上20以下がより更に好ましく、3以上20以下がより更に好ましく、5以上20以下がより更に好ましく、10以上20以下がより更に好ましく、15以上20以下がより更に好ましい。
[成分D:水]
本開示に係る洗浄剤組成物は、水(成分D)を含む。成分Dとしては、イオン交換水、RO水、蒸留水、純水、超純水が使用されうる。
本開示に係る洗浄剤組成物の使用時における成分Dの含有量は、80質量%以上であって、樹脂マスク除去性向上の観点から、85質量%以上が好ましく、90質量%以上がより好ましく、95質量%以上が更に好ましく、そして、同様の観点から、99質量%以下が好ましく、98質量%以下がより好ましく、97質量%以下が更に好ましい。より具体的には、成分Dの含有量は、80質量%以上99質量%以下が好ましく、85質量%以上99質量%以下がより好ましく、90質量%以上98質量%以下が更に好ましく、95質量%以上97質量%以下がより更に好ましい。
[任意成分]
本開示に係る洗浄剤組成物は、前記成分A~D以外に、必要に応じて任意成分を含有することができる。任意成分としては、通常の洗浄剤に用いられうる成分を挙げることができ、例えば、キレート剤、増粘剤、分散剤、防錆剤、塩基性物質、界面活性剤、高分子化合物、可溶化剤、酸化防止剤、防腐剤、消泡剤、抗菌剤等が挙げられる。本開示に係る洗浄剤組成物の使用時における任意成分の合計含有量は、0質量%以上2質量%以下が好ましく、0質量%以上1.5質量%以下がより好ましく、0質量%以上1.3質量%以下が更に好ましく、0質量%以上1質量%以下がより更に好ましい。
本開示に係る洗浄剤組成物中の成分B、及び成分C及び任意成分由来の有機物の総含有量は、排水処理負荷を低減する観点から、10質量%以下が好ましく、3質量%以下がより好ましく、2質量%以下が更に好ましく、1質量%以下がより更に好ましく、0.5質量%以下がより更に好ましく、そして、樹脂マスク除去性向上の観点から、0.01質量%以上が好ましく、0.05質量%以上がより好ましく、0.1質量%以上が更に好ましい。より具体的には、前記有機物の総含有量は、0.01質量%以上10質量%以下が好ましく、0.01質量%以上3質量%以下がより好ましく、0.05質量%以上2質量%以下が更に好ましく、0.1質量%以上1質量%以下がより更に好ましく、0.1質量%以上0.5質量%以下がより更に好ましい。
本開示に係る洗浄剤組成物は、排水処理負荷を低減し、排水域の富栄養化を抑制する観点から、窒素含有化合物及びリン含有化合物を実質的に含まないことが好ましい。本開示において「実質的に含まない」とは、本開示に係る洗浄剤組成物中の窒素含有化合物及びリン含有化合物の合計含有量が0.1質量%未満であることをいう。本開示に係る洗浄剤組成物中の窒素含有化合物及びリン含有化合物の合計含有量は、排水処理負荷を低減し、排水域の富栄養化を抑制する観点から、0.05質量%以下が好ましく、0.01質量%以下がより好ましく、0質量%が更に好ましい。窒素含有化合物としては、洗浄剤組成物として従来から広く用いられている窒素含有化合物が挙げられ、例えば、アミン及びその塩、アンモニア、並びにアンモニウム塩から選ばれる少なくとも1種又は2種以上の組合せが挙げられる。前記アミンとしては、例えば、モノエタノールアミン、ジエタノールアミン等のアミノアルコールが挙げられる。前記アンモニウム塩としては、例えば、テトラメチルアンモニウムヒドロキシド(TMAH)等の4級アンモニウム塩を挙げることができる。リン含有化合物としては、洗浄剤組成物として従来から広く用いられているリン含有化合物が挙げられ、例えば、リン酸及びその塩、ピロリン酸、ポリリン酸、メタリン酸等の縮合リン酸及びその塩などの無機リン酸、並びに有機リン酸、リン酸エステルから選ばれる少なくとも1種又は2種以上の組合せが挙げられる。
[洗浄剤組成物の製造方法]
本開示に係る洗浄剤組成物は、前記成分A~D及び必要に応じて上述の任意成分を公知の方法で配合することにより製造できる。例えば、本開示に係る洗浄剤組成物は、少なくとも前記成分A~Dを配合してなるものとすることができる。したがって、本開示は、少なくとも前記成分A~Dを配合する工程を含む、洗浄剤組成物の製造方法に関する。本開示において「配合する」とは、成分A~D及び必要に応じてその他の成分を同時に又は任意の順に混合することを含む。本開示に係る洗浄剤組成物の製造方法において、各成分の好ましい配合量は、上述した本開示に係る洗浄剤組成物の各成分の好ましい含有量と同じとすることができる。
本開示においてpHは、必要により、硝酸、硫酸等の無機酸;オキシカルボン酸、多価カルボン酸、アミノポリカルボン酸、アミノ酸等の有機酸;及びそれらの金属塩やアンモニウム塩、アンモニア、アミン等の成分A以外の塩基性物質を適宜、所望量で配合することで調整することができる。
本開示に係る洗浄剤組成物は、分離や析出等を起こして保管安定性を損なわない範囲で成分Dの水の量を減らした濃縮物として調製してもよい。洗浄剤組成物の濃縮物は、輸送及び貯蔵の観点から、希釈倍率3倍以上の濃縮物とすることが好ましく、保管安定性の観点から、希釈倍率10倍以下の濃縮物とすることが好ましい。洗浄剤組成物の濃縮物は、使用時に成分A~Dが上述した含有量(すなわち、洗浄時の含有量)になるよう水で希釈して使用することができる。さらに洗浄剤組成物の濃縮物は、使用時に各成分を別々に添加して使用することもできる。本開示において濃縮液の洗浄剤組成物の「使用時」又は「洗浄時」とは、洗浄剤組成物の濃縮物が希釈された状態をいう。
本開示に係る洗浄剤組成物が濃縮物である場合、洗浄剤組成物の濃縮物中の成分Aの含有量は、樹脂マスク除去性向上の観点から、1質量%以上が好ましく、2質量%以上がより好ましく、5質量%以上が更に好ましく、そして、金属腐食抑制及び保存安定性の観点から、40質量%以下が好ましく、30質量%以下がより好ましく、20質量%以下が更に好ましい。より具体的には、洗浄剤組成物の濃縮物中の成分Aの含有量は、1質量%以上40質量%以下が好ましく、2質量%以上30質量%以下がより好ましく、5質量%以上20質量%以下が更に好ましい。
本開示に係る洗浄剤組成物が濃縮物である場合、洗浄剤組成物の濃縮物中の成分Bの含有量は、樹脂マスク除去性向上の観点から、1質量%以上が好ましく、2質量%以上がより好ましく、3質量%以上が更に好ましく、そして、保存安定性及び排水処理負荷を低減する観点から、20質量%以下が好ましく、15質量%以下がより好ましく、10質量%以下が更に好ましい。より具体的には、洗浄剤組成物の濃縮物中の成分Bの含有量は、1質量%以上20質量%以下が好ましく、2質量%以上15質量%以下がより好ましく、3質量%以上10質量%以下が更に好ましい。
本開示に係る洗浄剤組成物が濃縮物である場合、洗浄剤組成物の濃縮物中の成分Cの含有量は、樹脂マスク除去性向上の観点から、0.1質量%以上が好ましく、0.2質量%以上がより好ましく、0.5質量%以上が更に好ましく、そして、保存安定性及び排水処理負荷を低減する観点から、10質量%以下が好ましく、5質量%以下がより好ましく、2質量%以下が更に好ましい。より具体的には、洗浄剤組成物の濃縮物中の成分Cの含有量は、0.1質量%以上10質量%以下が好ましく、0.2質量%以上5質量%以下がより好ましく、0.5質量%以上2質量%以下が更に好ましい。
本開示に係る洗浄剤組成物が濃縮物である場合、洗浄剤組成物の濃縮物中の成分Dの含有量は、樹脂マスク除去性向上及び洗浄剤組成物を安定化する観点から、50質量%以上が好ましく、60質量%以上がより好ましく、70質量%以上が更に好ましく、そして、同様の観点から、95質量%以下が好ましく、90質量%以下がより好ましく、85質量%以下が更に好ましい。より具体的には、洗浄剤組成物の濃縮物中の成分Dの含有量は、50質量%以上95質量%以下が好ましく、60質量%以上90質量%以下がより好ましく、70質量%以上85質量%以下が更に好ましい。
[被洗浄物]
本開示に係る洗浄剤組成物は、一又は複数の実施形態において、樹脂マスクが付着した被洗浄物の洗浄に使用されうる。被洗浄物としては、例えば、電子部品及びその製造中間物が挙げられる。電子部品としては、例えば、プリント基板、ウエハ、銅板及びアルミニウム板等の金属板から選ばれる少なくとも1つの部品が挙げられる。前記製造中間物は、電子部品の製造工程における中間製造物であって、樹脂マスク処理後の中間製造物を含む。樹脂マスクが付着した被洗浄物の具体例としては、例えば、樹脂マスクを使用した半田付けやメッキ処理(銅メッキ、アルミニウムメッキ、ニッケルメッキ等)等の処理を行う工程を経ることにより、配線や接続端子等が基板表面に形成された電子部品等が挙げられる。
本開示に係る洗浄剤組成物は、一又は複数の実施形態において、洗浄効果の点から、樹脂マスク、あるいは、メッキ処理及び/又は加熱処理された樹脂マスクが付着した被洗浄物の洗浄に好適に用いられうる。樹脂マスクとしては、例えば、ネガ型樹脂マスクでもよいし、ポジ型樹脂マスクでもよく、本開示の効果が発揮されやすい点からは、ネガ型樹脂マスクが好ましい。ネガ型樹脂マスクとしては、例えば、露光及び/又は現像処理されたネガ型ドライフィルムレジストが挙げられる。本開示においてネガ型樹脂マスクとは、ネガ型レジストを用いて形成されるものであり、例えば、露光及び/又は現像処理されたネガ型レジスト層が挙げられる。本開示においてポジ型樹脂マスクとは、ポジ型レジストを用いて形成されるものであり、例えば、露光及び/又は現像処理されたポジ型レジスト層が挙げられる。
[樹脂マスク洗浄方法]
本開示は、一態様において、樹脂マスクが付着した被洗浄物を本開示に係る洗浄剤組成物に接触させることを含む、樹脂マスクの洗浄方法に関する(以下、本開示に係る洗浄方法ともいう)。本開示に係る洗浄方法は、樹脂マスクが付着した被洗浄物を本開示に係る洗浄剤組成物で洗浄する工程を有する。被洗浄物としては、上述した被洗浄物を挙げることができる。被洗浄物に本開示に係る洗浄剤組成物を接触させる方法、又は、被洗浄物を本開示に係る洗浄剤組成物で洗浄する方法としては、例えば、洗浄剤組成物を入れた洗浄浴槽内へ浸漬することで接触させる方法や、洗浄剤組成物をスプレー状に射出して接触させる方法(シャワー方式)、浸漬中に超音波照射する超音波洗浄方法等が挙げられる。本開示に係る洗浄剤組成物は、希釈することなくそのまま洗浄に使用できる。本開示に係る洗浄方法は、洗浄剤組成物に被洗浄物を接触させた後、水でリンスし、乾燥する工程を含むことが好ましい。本開示に係る洗浄方法であれば、樹脂マスク、特にメッキ処理及び/又は加熱処理された樹脂マスクを効率よく除去できる。本開示に係る洗浄方法は、本開示に係る洗浄剤組成物の洗浄力が発揮されやすい点から、本開示に係る洗浄剤組成物と被洗浄物との接触時に超音波を照射することが好ましく、その超音波は比較的高周波数であることがより好ましい。前記超音波の照射条件は、同様の観点から、例えば、26~72kHz、80~1500Wが好ましく、36~72kHz、80~1500Wがより好ましい。
[電子部品の製造方法]
本開示に係る電子部品の製造方法は、一態様において、樹脂マスクが付着した被洗浄物を本開示に係る洗浄剤組成物で洗浄する工程を含む。被洗浄物としては、上述した被洗浄物を挙げることができる。本開示に係る電子部品の製造方法は、本開示に係る洗浄剤組成物を用いて洗浄を行うことにより、金属の腐食を抑制しながら、電子部品に付着した樹脂マスクを効果的に除去できるため、信頼性の高い電子部品の製造が可能になる。さらに、本開示に係る洗浄方法を行うことにより、電子部品に付着した樹脂マスクの除去が容易になることから、洗浄時間が短縮化でき、電子部品の製造効率を向上できる。
[キット]
本開示は、本開示に係る洗浄方法及び本開示に係る電子部品の製造方法のいずれかに使用するためのキット(以下、「本開示に係るキット」ともいう)に関する。本開示に係るキットとしては、例えば、成分Aを含有する溶液(第1液)と、成分B及び成分Cを含有する溶液(第2液)とを、相互に混合されない状態で含み、第1液及び第2液の少なくとも一方は、成分Dをさらに含有し、第1液及び第2液が使用時に混合されるキット(2液型洗浄剤組成物)が挙げられる。第1液及び第2液の各々には、必要に応じて上述した任意成分が含まれていてもよい。本開示に係るキットによれば、樹脂マスク除去性に優れ、排水処理負荷の小さい、洗浄剤組成物が得られうる。
以下に、実施例により本開示を具体的に説明するが、本開示はこれらの実施例によって何ら限定されるものではない。
1.有機溶剤(成分C、非成分C)の物性(HSPの座標及び距離)について
有機溶剤のHSPの座標(δd1、δp1、δh1)は、パソコン用ソフトウエア「HSPiP:Hansen Solubility Parameters in Practice」を用いて算出した。そして、有機溶剤のHSPの座標(δd1、δp1、δh1)と成分座標(δd=17.5、δp=5.0、δh=11.5)との距離を下記式により算出した。算出結果を表1に示す。
距離=[(δd1-17.5)2+(δp1-5.0)2+(δh1-11.5)20.5
Figure 0007020905000001
2.洗浄剤組成物の調製(実施例1~14、参考例1~4及び比較例1~3)
[実施例1~14、参考例1~4及び比較例1~3の洗浄剤組成物の調製]
500mLガラスビーカーに有効分換算で水酸化ナトリウム(成分A)20.0g、プロピレングリコール(成分B)2.5g、プロピレングリコールフェニルエーテル(成分C)1.0g及び水(成分D)476.5gを添加し、それを攪拌して均一に混合することにより、実施例1の洗浄剤組成物を調製した。
そして、実施例2~14、参考例1~3及び比較例1~3の洗浄剤組成物を、実施例1と同様の方法により、成分A~D以外の成分を含む場合はそれらも同時に配合し、表2に示す有効分になる組成比で調製した。各洗浄剤組成物の各成分の含有量(質量%)及び質量比を表2に示した。
実施例1~14、参考例1~4及び比較例1~3の洗浄剤組成物の各成分としては下記のものを使用した。
(成分A)
水酸化ナトリウム[関東化学株式会社製、鹿特級、固形分48質量%]
水酸化カリウム[関東化学株式会社製、鹿特級、固形分48質量%]
(成分B)
1,2-プロパンジオール[東京化成工業株式会社製]
1,3-ブタンジオール[東京化成工業株式会社製]
1,5-ペンタンジオール[東京化成工業株式会社製]
2-メチル-1,3-プロパンジオール[東京化成工業株式会社製]
ジエチレングリコール[和光純薬工業株式会社製]
2,2-ジメチル-1,3-プロパンジオール[東京化成工業株式会社製]
グリセリン[花王株式会社製、精製グリセリン]
トリメチロールプロパン[東京化成工業株式会社製]
ペンタエリスリトール[東京化成工業株式会社製]
ジグリセロール[ナカライテスク株式会社製]
(非成分B)
1-ブタノール[東京化成工業株式会社製]
テトラヒドロフルフリルアルコール[東京化成工業株式会社製]
1-ペンタノール[東京化成工業株式会社製]
シクロペンタノール[東京化成工業株式会社製]
(成分C)
プロピレングリコールフェニルエーテル[日本乳化剤株式会社製、フェニルプロピレングリコール(PhFG)、HSPの座標δd1:17.4、δp1:5.3、δh1:11.5、HSPの距離:0.32(MPa)0.5
エチレングリコールモノベンジルエーテル[日本乳化剤株式会社製、ベンジルグリコール(BzG)、HSPの座標δd1:17.8、δp1:5.9、δh1:12.2、HSPの距離:1.18(MPa)0.5
(非成分C)
2-フェノキシエタノール[東京化成工業株式会社製、HSPの座標δd1:17.8、δp1:5.7、δh1:14.3、HSPの距離:2.90(MPa)0.5
(成分D)
水[オルガノ株式会社製純水装置G-10DSTSETで製造した1μS/cm以下の純水]
3.洗浄剤組成物の評価
調製した実施例1~14、参考例1~4及び比較例1~3の洗浄剤組成物の樹脂マスク除去性を評価した。
[テストピースの作製]
ダイレクトイメージング(直接描画)用感光性フィルム(日立化成株式会社製、フォテック RD-1215、ネガ型ドライフィルムレジスト)をガラスエポキシ多層基板(日立化成株式会社製、MCL-E-679FG)の表面に下記条件でラミネートし、選択的に露光処理して露光部を硬化した後(露光工程)、現像処理することで未露光部を除去し(現像工程)、レジストパターン(下記3つのパターン形状のネガ型樹脂マスク)を有する基板を得た。そして、前記現像処理で未露光部が除去された領域を銅メッキ処理することで、テストピース(4cm×4.5cm)を得た。
(1)ラミネート:クリーンローラー(株式会社レヨーン工業製、RY-505Z)及び真空アプリケータ(ローム&ハース社製、VA7024/HP5)を用いてローラー温度50℃、ローラー圧1.4Bar、処理時間30秒で行う。
(2)露光:プリント基板用直接描画装置(株式会社SCREENグラフィックアンドプレシジョンソリューションズ製、Mercurex LI-9500)を用い、露光量15mJ/cm2で露光を行う。
(3)パターン形状:下記の3パターン
塗りつぶしパターン(ベタ):30μm×30μm以上の面積を有する部分
縞状パターン1:ライン幅Lとライン間隔Sとの比(L/S)=20μm/20μmの縞状パターン
縞状パターン2:L/S=15μm/15μmの縞状パターン
(4)現像:基板用現像装置(揚博科技株式会社製、LT-980366)、30℃の1質量%炭酸ナトリウム水溶液を用いて、スプレー圧0.2MPa、47秒間で、未露光部の樹脂マスクを除去する。
[洗浄試験](実施例1~14、参考例1~4及び比較例1~3)
100mLガラスビーカーに、実施例1~14、参考例1~4及び比較例1~3の各洗浄剤組成物を100g添加して60℃に加温し、回転子(フッ素樹脂(PTFE)、φ8mm×25mm)を用いて回転数400rpmで撹拌した状態で、テストピースを3分間浸漬する。そして、100mLガラスビーカーに水を100g添加したすすぎ槽へ浸漬してすすいだ後、自然乾燥する。
[樹脂マスク除去性評価1(剥離時間)]
洗浄試験を行い、目視にて、塗りつぶしパターン(ベタ)が完全にテストピースから剥離するまでの時間(秒)を測定する。結果を表2に示す。
[樹脂マスク除去性評価2(剥離性)]
光学顕微鏡「デジタルマイクロスコープVHX-2000」(株式会社キーエンス製)を用いて、洗浄試験を行った後のテストピースの各部位に残存する樹脂マスクの有無を300倍に拡大して目視確認し、樹脂マスク除去性を評価する。各縞状パターン1~2の中で、完全に除去できた縞状パターンのL/Sの値を計測し、下記評価基準で評価した結果を表2に示す。
<評価基準>
1:すべての縞状パターンが完全剥離できた
2:縞状パターン1のみ完全剥離できた
3:いずれの縞状パターンも剥離できなかった
Figure 0007020905000002
上記表2に示すとおり、実施例1~14の洗浄剤組成物は、成分B及びCを含まない比較例1、成分Cを含まない比較例2~3に比べて、樹脂マスクの剥離性が向上していた。実施例1~14の洗浄剤組成物は、成分Bを含まない参考例1~4に比べて、剥離時間を短くすることができた。すなわち、実施例1~14の洗浄剤組成物は、樹脂マスク除去性に優れていることがわかった。
本開示を用いることにより、排水処理負荷を大きくすることなく、樹脂マスクを効率よく除去できる。よって、本開示の洗浄剤組成物は、電子部品の製造工程で用いられる洗浄剤組成物として有用であり、樹脂マスクが付着した電子部品の洗浄工程の短縮化及び製造される電子部品の性能・信頼性の向上が可能となり、半導体装置の生産性を向上できる。

Claims (11)

  1. 無機アルカリ(成分A)、多価アルコール(成分B)、成分B以外の有機溶剤(成分C)及び水(成分D)を含有し、
    成分Cのハンセン溶解度パラメータの座標が、δd=17.5、δp=5.0、δh=11.5を中心とする半径1.5MPa0.5の球の範囲内であり、
    洗浄剤組成物の使用時における成分Dの含有量が80質量%以上であり、
    窒素含有化合物及びリン含有化合物の合計含有量が0.01質量%以下である、樹脂マスク剥離用洗浄剤組成物。
  2. 洗浄剤組成物の使用時における成分Aの含有量が0.1質量%以上15質量%以下であり、
    洗浄剤組成物の使用時における成分Bの含有量が0.1質量%以上7質量%以下であり、
    洗浄剤組成物の使用時における成分Cの含有量が0.01質量%以上3質量%以下である、請求項1に記載の洗浄剤組成物。
  3. 成分Bが水酸基を2以上4以下有する多価アルコールである、請求項1又は2に記載の洗浄剤組成物。
  4. 成分Bと成分Cの質量比(成分B/成分C)が1以上10以下である、請求項1から3のいずれかに記載の洗浄剤組成物。
  5. 洗浄剤組成物中の有機物の総含有量が、10質量%以下である、請求項1から4のいずれかに記載の洗浄剤組成物。
  6. 樹脂マスクが、露光及び現像の少なくとも一方の処理が施されたネガ型ドライフィルムレジストである、請求項1からのいずれかに記載の洗浄剤組成物。
  7. 樹脂マスクが付着した被洗浄物を請求項1からのいずれかに記載の洗浄剤組成物で洗浄する工程を含む、樹脂マスクの洗浄方法。
  8. 被洗浄物が、電子部品の製造中間物である、請求項に記載の洗浄方法。
  9. 樹脂マスクが付着した被洗浄物を請求項1からのいずれかに記載の洗浄剤組成物で洗浄する工程を含む、電子部品の製造方法。
  10. 請求項1からのいずれかに記載の洗浄剤組成物の、電子部品の製造への使用。
  11. 請求項又はの洗浄方法及び請求項に記載の電子部品の製造方法のいずれかに使用するためのキットであって、
    請求項1からのいずれかに記載の洗浄剤組成物を構成する成分A~Dのうち、成分Aを含有する第1液と、成分B及び成分Cを含有する第2液とを相互に混合されない状態で含み、
    前記第1液及び前記第2液の少なくとも一方は、成分Dを更に含有する、キット。
JP2017251895A 2017-12-27 2017-12-27 樹脂マスク剥離用洗浄剤組成物 Active JP7020905B2 (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017251895A JP7020905B2 (ja) 2017-12-27 2017-12-27 樹脂マスク剥離用洗浄剤組成物

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017251895A JP7020905B2 (ja) 2017-12-27 2017-12-27 樹脂マスク剥離用洗浄剤組成物

Publications (2)

Publication Number Publication Date
JP2019117331A JP2019117331A (ja) 2019-07-18
JP7020905B2 true JP7020905B2 (ja) 2022-02-16

Family

ID=67305263

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017251895A Active JP7020905B2 (ja) 2017-12-27 2017-12-27 樹脂マスク剥離用洗浄剤組成物

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP7020905B2 (ja)

Families Citing this family (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPWO2022270333A1 (ja) 2021-06-24 2022-12-29

Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001142231A (ja) 1999-11-15 2001-05-25 Asahi Kasei Corp シャドウマスク製造に用いるフォトレジスト用剥離剤
JP2001215735A (ja) 2000-02-04 2001-08-10 Jsr Corp レジスト用剥離液組成物、剥離方法及び回路基板
JP2005509693A (ja) 2001-11-13 2005-04-14 サムスン エレクトロニクス カンパニー リミテッド シンナー組成物
US20110195573A1 (en) 2010-02-08 2011-08-11 Tokyo Ohka Kogyo Co., Ltd. Cleaning liquid for lithography and method for forming wiring
JP2018041033A (ja) 2016-09-09 2018-03-15 花王株式会社 樹脂マスク剥離用洗浄剤組成物

Family Cites Families (1)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JPS63121848A (ja) * 1986-11-11 1988-05-25 Ube Ind Ltd 電着塗料膜の剥離用組成物

Patent Citations (5)

* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
JP2001142231A (ja) 1999-11-15 2001-05-25 Asahi Kasei Corp シャドウマスク製造に用いるフォトレジスト用剥離剤
JP2001215735A (ja) 2000-02-04 2001-08-10 Jsr Corp レジスト用剥離液組成物、剥離方法及び回路基板
JP2005509693A (ja) 2001-11-13 2005-04-14 サムスン エレクトロニクス カンパニー リミテッド シンナー組成物
US20110195573A1 (en) 2010-02-08 2011-08-11 Tokyo Ohka Kogyo Co., Ltd. Cleaning liquid for lithography and method for forming wiring
JP2018041033A (ja) 2016-09-09 2018-03-15 花王株式会社 樹脂マスク剥離用洗浄剤組成物

Also Published As

Publication number Publication date
JP2019117331A (ja) 2019-07-18

Similar Documents

Publication Publication Date Title
JP6860276B2 (ja) 樹脂マスク剥離用洗浄剤組成物
JP7057653B2 (ja) 樹脂マスク剥離用洗浄剤組成物
JP7291704B2 (ja) 洗浄方法
JP7020905B2 (ja) 樹脂マスク剥離用洗浄剤組成物
TWI795433B (zh) 用於移除乾膜光阻的剝離組成物及使用所述組成物的剝離方法
JP2019112498A (ja) 樹脂マスク剥離洗浄方法
JP6824719B2 (ja) ネガ型樹脂マスク剥離用洗浄剤組成物
JP7132214B2 (ja) 樹脂マスク剥離用洗浄剤組成物
WO2021210599A1 (ja) 基板の洗浄方法
WO2022114110A1 (ja) 樹脂マスク剥離用洗浄剤組成物
JP2022043812A (ja) 樹脂マスク剥離用洗浄剤組成物
JP2023111873A (ja) 樹脂マスクの剥離方法
JP2023172703A (ja) 洗浄方法
JP2024068140A (ja) 半導体基板用処理液
WO2022050386A1 (ja) 基板の洗浄方法
WO2024096077A1 (ja) 半導体基板用処理液
CN114008539A (zh) 清洗方法
JP2024049897A (ja) 洗浄方法
TW201811997A (zh) 用於含鋁之微電子基板的清潔組合物

Legal Events

Date Code Title Description
A621 Written request for application examination

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A621

Effective date: 20200910

A977 Report on retrieval

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A971007

Effective date: 20210624

A131 Notification of reasons for refusal

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A131

Effective date: 20210706

A521 Request for written amendment filed

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A523

Effective date: 20210901

TRDD Decision of grant or rejection written
A01 Written decision to grant a patent or to grant a registration (utility model)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A01

Effective date: 20220201

A61 First payment of annual fees (during grant procedure)

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: A61

Effective date: 20220203

R151 Written notification of patent or utility model registration

Ref document number: 7020905

Country of ref document: JP

Free format text: JAPANESE INTERMEDIATE CODE: R151