JP4431075B2 - 重荷重用タイヤ - Google Patents

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Description

本発明は、ビードワインド構造において、カーカスコードの吹き抜けを抑えながらビードコアの変形を抑制できビード耐久性をより向上させた重荷重用タイヤに関する。
図8(A)に示すように、タイヤの骨格をなすカーカスプライaは、通常、ビードコアb、b間を跨るプライ本体部a1の両側を、ビードコアbの周りで折り返すことにより係止している。これに対して近年、図8(B)に示す如く、前記プライ本体部a1両側の折返し部a2を、ビードコアbの周りで略一周巻した所謂ビードワインド構造のものが提案されている(例えば特許文献1、2参照)。
この構造のものは、前記プライ折返し部a2がビードコアbの周囲で途切れるため、その先端a2eにビード変形時の応力がほとんど作用せず、従って、該先端a2eを起点とした損傷を効果的に抑制できるという利点がある。
特開平11−321244号公報 特開2002−59716号公報
しかし前記構造は、プライ折返し部a2がビードコアbに巻き付いているため、ビードコアbを拘束する力が強い。そのためカーカスコードに掛かるテンション力Fによって、ビードコア廻りに強い回転モーメントMが発生し、ビードコアbに、ビードワイヤの配列崩れなどのコア変形が生じやすくなるという問題がある。又ビードコアbのビードトウ側の角部pでカーカスコードとの接触圧が強く作用し、フレッティングを起こしてコード切れを招くという可能性が生じる。
特にビードワインド構造においては、前記回転モーメントMによって、ビードコアbがその断面中心廻りで回転する向きに変形しやすい傾向にあり、その回転変形を抑制するため、ビードコアをより偏平化することが望まれが、このビードコアの偏平化は、前記ビード変形やフレッティングの発生を助長させる傾向となる。
本発明は、カーカスコードの吹き抜けを抑えながら、ビードワイヤの配列崩れなどのコア変形、及びカーカスコードのフレッティングを抑制でき、ビード耐久性をより向上しうる重荷重用タイヤを提供することを目的としている。
前記目的を達成するために、本願請求項1の発明は、トレッド部からサイドウォール部をへてビード部のビードコアに至るプライ本体部と、該プライ本体部に連なりかつ前記ビードコアの廻りをタイヤ軸方向内側から外側に折り返されたプライ折返し部とを有する1枚のカーカスプライからなるカーカスを具えた重荷重用タイヤであって、
前記プライ折返し部は、ビードコアのタイヤ軸方向内側の内の側面、タイヤ半径方向内側の内面及びタイヤ軸方向外側の外の側面に沿って湾曲する主部と、
該主部に連なり前記ビードコアのタイヤ半径方向外側の外面の近傍を前記プライ本体部に向かって傾斜してのびる副部とからなり、
かつ前記ビードコアの周囲を、厚さtaが0.5〜3.0mmかつ複素弾性率E* aが20〜70Mpaの高弾性ゴムからなる補強ゴム層により被覆するとともに、
前記ビードコアのビードワイヤと、前記カーカスプライのカーカスコードとが最も近接する近接位置において、前記ビードワイヤとカーカスコードとの間の間隙部のゴム厚さT0は0.7mm以上、しかも前記間隙部は、前記補強ゴム層とカーカスコードとの間に、複素弾性率E* bが前記補強ゴム層の複素弾性率E* aより小かつ差(E* a−E* b)を10Mpa以上とした低弾性ゴムからなるクッションゴム層を介在させたことを特徴としている。
又請求項2の発明では、前記補強ゴム層は、その少なくとも一部がタイヤ加流成形前に予め加流されたことを特徴としている。
又請求項3の発明では、前記ビードコアは、前記外面と平行な向きのコア巾WCと、前記外面と直角な向きの最大のコア厚さHCとの比HC/WCを0.4〜0.6としたことを特徴としている。
又請求項4の発明では、前記クッションゴム層は、前記カーカスプライをなすトッピンゴムの層であることを特徴としている。
又請求項5の発明では、前記プライ折返し部は、前記副部のタイヤ半径方向外側に、スチールコードをタイヤ周方向に少なくとも1周巻き付けることにより形成された副部押さえ用の補助コード層を具えることを特徴としている。
又請求項6の発明では、前記ビード部は、前記プライ折返し部の主部に沿いその半径方向内方を通る曲線状部と、この曲線状部のタイヤ軸方向外側で前記主部と離れて半径方向外方に向かってタイヤ軸方向外側に傾斜する外片と、前記曲線状部のタイヤ軸方向内側で前記プライ本体部のタイヤ軸方向内側面に沿ってのびる内片とからなるビード補強層を具えることを特徴としている。
本明細書では、特に断りがない限り、タイヤの各部の寸法等は、タイヤを正規リムにリム組しかつ50kPaの内圧を充填した無負荷の50kPa充填状態において特定される値とする。なお前記「正規リム」とは、タイヤが基づいている規格を含む規格体系において、当該規格がタイヤ毎に定めるリムであり、例えばJATMAであれば標準リム、TRAであれば "Design Rim" 、或いはETRTOであれば "Measuring Rim"を意味する。
又複素弾性率は、粘弾性スペクトロメーターを用い、温度70℃、周波数10Hz、初期歪10%、動歪±1%として測定した値としている。
本発明は、ビードワインド構造において、 ビードコアの周囲を、所定厚さの高弾性の補強ゴム層で被覆し補強している。そのため、ビードワイヤの配列崩れ等のコア変形を抑制することができる。しかもビードワイヤとカーカスコードとが最も近接する近接位置において、該ビードワイヤとカーカスコードとの間の間隙部のゴム厚さT0を、0.7mm以上確保している。従って、前記ゴム厚さT0の確保と、その中に高弾性の補強ゴム層が介在することとの相乗作用によって、カーカスコードのフレッティングも効果的に抑制することができ、前記コア変形の抑制と相俟ってビード耐久性を向上しうる。
このとき前記間隙部に、高弾性の補強ゴム層だけしか存在しないと、荷重負荷時、特に衝撃的な荷重が作用した時、カーカスコードに吹き抜けが発生する恐れを招く。そこで本発明では、前記間隙部において、前記補強ゴム層とカーカスコードとの間に、低弾性のクッションゴム層をさらに介在させている、そのため歪みを緩和することができ、カーカスコードの吹き抜けも防止しうる。
以下、本発明の実施の一形態を、図示例とともに説明する。図1は、本願発明の重荷重用タイヤの50kPa充填状態を示す断面図、図2、3はそのビード部を拡大して示す断面図である。
図1において、重荷重用タイヤ1は、トレッド部2からサイドウォール部3をへてビード部4のビードコア5に至るカーカス6と、このカーカス6の半径方向外側かつトレッド部2の内方に配されるベルト層7とを具備して構成される。
前記ベルト層7は、スチール製のベルトコードを用いた2枚以上、好ましくは3枚以上のベルトプライから構成される。本例では、前記ベルトコードをタイヤ周方向に対して例えば60±15°の角度で配列した半径方向最内側の第1のベルトプライ7Aと、タイヤ周方向に対して例えば10〜35°の小角度で配列した第2、3のベルトプライ7B、7Cとからなる3枚構造のものを例示している。このベルト層7は、ベルトコードがプライ間で互いに交差する箇所を1箇所以上有することにより、ベルト剛性を高めトレッド部2をタガ効果を有して補強している。
又前記カーカス6は、スチール製のカーカスコード20を用いた1枚のカーカスプライ6Aからなり、具体的には図5に示すように、カーカスコード20をタイヤ周方向に対して例えば80〜90°の角度で配列したコード配列体21と、その両面を被覆するトッピングゴムの層22とから構成される。又前記カーカスプライ6Aは、前記ビードコア5、5間を跨るトロイド状のプライ本体部6aと、その両側に連なり前記ビードコア5の廻りでタイヤ軸方向内側から外側に折り返されるプライ折返し部6bとから形成される。
又前記ビードコア5は、図3に拡大して示すように、例えばスチール製のビードワイヤ5wを多段多列に巻回してなるリング状体であって、本例では、断面横長の偏平六角形状のものを例示する。ビードコア5の断面形状としては、必要に応じて、偏平矩形状も採用できる。断面が六角形状のビードコア5については、その横断面において、タイヤ半径方向内側の長片を形成する面をビードコア5の内面SLとし、タイヤ半径方向外側の長辺を形成する面をビードコア5の外面SUとする。またビードコア5の前記内面SLと前記外面SUとの間をタイヤ軸方向内側で継ぐ折れ線状の屈曲辺を形成する面をビードコア5の内の側面Siとし、反対側の屈曲辺を形成する面を外の側面Soとする。
前記内面SLは、正規リムJ(図2に示す)のリムシートJ1のシート面と略平行にのび、これによりリムとの嵌合力を広範囲に亘って高める。又前記正規リムJは、チューブレス用の15°テーパーリムであり、従って、ビードコア5の前記内外面SL、SUは、タイヤ軸方向線に対して略15°の角度で傾斜する。なお「略15°」とは、製造時の誤差を許容するものであり、15°±2゜の範囲を意味する。
次に、本発明のタイヤ1は、カーカス6の前記プライ折返し部6bが、ビードコア5の周面に巻き付けられたビードワインド構造を具える。
詳しくは、前記プライ折返し部6bは、図3に示すように、ビードコア5の前記内の側面Si、内面SL、及び外の側面Soに沿って湾曲する主部10と、該主部10に連なりビードコアの前記外面SUの近傍を前記プライ本体部6aに向かって傾斜してのびる副部11とから構成される。このとき本例では、前記プライ折返し部6bは、局部的に折り曲げて型付けした塑性変形の屈曲部を有することなく、滑らかな円弧状で湾曲する。これによってカーカスコードの強力低下が防止される。
前記副部11は、ビードコア5の前記外面SU(又はその延長線)よりも半径方向外側の部位を意味し、前記外面SUとの距離が先端11aに向かって増加する向きに傾斜している。ここで前記副部11の前記外面SUに対する角度θ(図4に示す)は、10°以上さらには15°以上が好ましく、これによりカーカスコードの曲がりの度合いを適度に緩和し、該コードのスプリングバックに起因する空気残りなどの成形不良を抑制する。なお前記角度θが大きすぎると、プライ折返し部6bの係止力が弱まり吹き抜けが生じる恐れを招き、そのために前記角度θの上限は60°以下、さらには45°以下とするのが好ましい。
このとき、前記副部11の先端11aの前記外面SUからの距離Laが、3〜10mmの範囲であるのが好ましい。前記距離Laが3mm未満では、カーカスコードの曲がりの度合いを充分緩和できない。しかも接地の際に前記副部11の先端11aに受ける衝撃が大きくなるため、該先端11aに損傷が発生しやすくなる。逆に、距離Laが10mmを超えても、前記先端11aにタイヤ変形時の応力が強く作用する傾向となるため、該先端11aに損傷が生じやすくなる。又前記先端11aのプライ本体部6aからの距離Lbは、前記先端11aがプライ本体部6aと接触してフレッティングを生じないよう1.0mm以上確保するのが好ましい。
又前記角度θは、図4に示すように、前記プライ折返し部6bがビードコア5の前記外面SU(又はその延長線)に交わる副部11の下端11bと前記先端11aとを結ぶ直線の前記外面SUに対する角度として定義する。又ビードコア5では、ビードワイヤ5wが一直線状に整一せずに上下にバラツキながら配列するなど、その外面SUが非平面をなす場合がある。係る場合には、前記外面SUに現れるビードワイヤ列のうち最もタイヤ軸方向外側に位置するビードワイヤ5woと最もタイヤ軸方向内側に位置するビードワイヤ5wiとに接する接線Kで近似する。なお前記内面SL、側面Si、側面Soも同様、各面に現れるビードワイヤ列のうちで両側に位置するビードワイヤ、即ち多角形形状の各角部Pに位置するビードワイヤに接する接線Kで近似する。
ここで、前記ビードワインド構造では、プライ折返し部6bがビードコア5に巻き付いているため、ビードコア5を拘束する力が強い。そのためカーカスコード20に掛かるテンション力によって、ビードコア廻りに強い回転モーメントが発生し、ビードコア5に、ビードワイヤ5wの配列乱れ、配列崩れなどのコア変形が生じやすくなる。又ビードコア5のビードトウ側における角部P1、P2でカーカスコードとの接触圧が強く作用し、フレッティングを起こしてカーカスコード切れを招くという可能性が生じる。
特にビードワインド構造では、前記回転モーメントにより、ビードコア5がその断面中心廻りで回転する向きに変形しやすい傾向にあり、これに引きずられてビード部4もトウ端側がリムシートから浮き上がる向きに変形するなど、エアシール性に不利となる。そこでこの回転変形を抑制するため、本例の如く、コア巾WCとコア厚さHCとの比HC/WCを0.4〜0.6の範囲に減じてビードコア5の偏平化を図ることが強く望まれる。しかしこの偏平化は、前記ビード変形やフレッティングの発生を助長させる。なお前記コア巾WCは、前記外面SUと平行な向きのビードコア5の巾を意味し、又コア厚さHCは、前記外面SUと直角な向きのビードコア5の最大厚さを意味する。
そこで本発明では、前記ビード変形やフレッティングを抑制するため、
(1) ビードコア5の周囲を、高弾性ゴムからなる補強ゴム層13(図3に示す)により被覆し;
(2) ビードワイヤ5wとカーカスコード20とが最も近接する近接位置Q(本例では前記角部P1、P2)において、前記ビードワイヤ5wとカーカスコード20との間の間隙部Gのゴム厚さT0(図6(A)、(B)に示す)を0.7mm以上確保し;
(3) 前記間隙部Gにおける、前記補強ゴム層13とカーカスコード20との間に、低弾性ゴムからなるクッションゴム層14(図6(A)、(B)に示す)を介在させている。
前記補強ゴム層13は、複素弾性率E* aが20〜70Mpaの高弾性ゴムからなり、その厚さtaを0.5〜3.0mmの範囲としている。なお前記厚さtaは、ビードコア5の各面SU、SL、Si、Soをなす各前記接線Kからの厚さを意味する。
又図6(A)、(B)に示すように、前記近接位置Qにおいて、ビードワイヤ5wとカーカスコード20との間の間隙部Gのゴム厚さT0は、0.7mm以上としている。このゴム厚さT0は、前記補強ゴム層13の厚さtaを含んだ値である。
又前記クッションゴム層14は、前記間隙部Gにおける補強ゴム層13とカーカスコード20との間に介在する。このクッションゴム層14は、複素弾性率E* bが、前記補強ゴム層13の複素弾性率E* aよりも小、かつその差(E* a−E* b)を10Mpa以上とした低弾性ゴムから形成される。本例では、前記間隙部G内のゴムが、前記補強ゴム層13とクッションゴム層14との2層である場合を例示しており、従って本例では、カーカスプライ6Aをなす前記トッピングゴムの層22が前記クッションゴム層14を構成している。
このように、ビードコア5の周囲を、所定の複素弾性率E* A、所定の厚さtaの高弾性の補強ゴム層13で被覆し補強しているため、ビードワイヤ5wの配列乱れ、配列崩れ等のコア変形を効果的に防止しうる。しかも前記近接位置Qにおいて、間隙部Gのゴム厚さT0を0.7mm以上確保している。従って、前記ゴム厚さT0の確保と、その中に高弾性の補強ゴム層13が介在することとの相乗作用によって、ビードワイヤとの擦れによるカーカスコード20のフレッティングも効果的に抑制することができ、前記コア変形の抑制と相俟ってビード耐久性を向上しうる。
このとき前記間隙部Gに高弾性の補強ゴム層13だけしか存在しないと、荷重負荷時、特に衝撃的な荷重が作用した時、カーカスコード20に吹き抜けが発生する恐れを招く。しかし前記間隙部Gにおいて、低弾性のクッションゴム層14をさらに介在させているため歪みを緩和でき、カーカスコードの吹き抜けも同時に防止することができる。
なお前記複素弾性率E* aが20Mpa未満、及び厚さtaが0.5mm未満では、ビードコア5への補強、保護が過小となり、コア変形及びフレッティングの抑制が不充分となる。なお前記ゴム厚さT0が0.7mm未満でもフレッティングの抑制が不充分となる。逆に複素弾性率E* aが70Mpaを超えると、走行時に、まわりのゴムにひずみが集中するため、吹き抜け傾向となるという不利があり、厚さtaが3.0mmを超えると、余分なゴムが使用されることとなるなど不必要にコストが上昇する。又差(E* a−E* b)が10Mpa未満でも、カーカスコードの吹き抜けが生じやすくなる。
このような観点から、前記複素弾性率E* aは、その下限値を20Mpa以上とするのが好ましく、又上限値を70Mpa以下とするのが好ましい。又厚さtaはその下限値を0.3mm以上とするのが好ましく、又上限値を3.0mm以下とするのが好ましい。又前記差(E* a−E* b)の下限値は20Mpa以上であるのが好ましい。なお差(E* a−E* b)の上限値は、60Mpa以下が好ましく、これをこえると、走行時に、まわりのゴムにひずみが集中して吹き抜け傾向となる。従って、より好ましくは、差は50Mpa以下である。又ゴム厚さT0上限値は、前記理由により2.0mm以下とするのが好ましい。なおクッションゴム層14の厚さtbは、0.1mm以上あるのが吹き抜け防止の観点から好ましい。
ここでタイヤ加流成型時、加流ストレッチによって、カーカスコード20とビードコア5との間には強い圧力が作用するため、前記間隙部Gにおける前記ゴム厚さT0を0.7mm以上確保するのが難しい。そこで、タイヤ加流成形に先駆け、前記補強ゴム層13において、少なくとも前記近接位置Qに対応する部分を、加流(半加流を含む)しておくことが好ましい。なお前記加流(半加流を含む)の方法として、電子線を用いるEBR照射などが好適であるが、例えばビードコア5を被覆した状態で補強ゴム層13の全体を加熱により加流しても良い。
次に、本例では図3に示すように、前記副部11を拘束し、カーカスコード20のスプリングバックを防止するため、前記副部11のタイヤ半径方向外側に、副部押さえ用の補助コード層17を形成している。
この補助コード層17は、スチール製の補助コード(スチールコード)17wを、タイヤ周方向に1周以上巻き付けた巻回体からなり、好ましくは2〜6周螺旋状に巻回することにより、副部11へのタガ締め効果を高める。これにより、カーカスコード20に型付けを施すことなくスプリングバックを抑制でき、型付けに起因するコード強力の低下を防止しつつ、副部11を意図した形状に安定して保持することができる。
補助コード17wとしては、コード強力が2000〜4000Nのものが好ましく、2000N未満の場合、充分なタガ締め効果を発揮させるために、コード周回数を大とする必要があり生産性を損ねやすい。逆にコード強力が4000Nを超えると、補助コード17wが硬すぎて、巻き付け作業性を損ねる傾向となる。補助コード17wには、予めその周囲をトレッドゴムで被覆したゴム引きコードが使用される。なお補助コード17wに有機繊維コードを用いた場合、例えば加硫中の圧力及び熱によってコードが比較的大きく伸びてしまい、副部11を意図した形状に安定して保持することができなくなる。なお前記補助コード層17は、そのタイヤ軸方向内端と、前記副部11の先端11aとの間の該副部11に沿った距離Lcを1〜10mmとするのが好ましく、1mm未満では、前記副部11が補助コード層17から外れてしまい、補助コード層17のタガ締め効果が発揮されない。又10mmを越えても、前記先端11a側の拘束力が不十分となって前記距離La、角度θが不安定となる。
次に本例では、ビード部4に、略U字状のビード補強層15を形成している。このビード補強層15は、スチールコードをタイヤ周方向線に対して例えば15〜60゜の角度で配列したコードプライからなり、図2に示すように、前記プライ折返し部6bの主部10に沿いその半径方向内方を通る曲線状部15Aと、この曲線状部15Aのタイヤ軸方向外側で前記主部10と離れて半径方向外方に向かってタイヤ軸方向外側に傾斜する外片15oと、前記曲線状部15Aのタイヤ軸方向内側で前記プライ本体部6aのタイヤ軸方向内側面に沿ってのびる内片15iとからなる断面U字状をなす。なおビード補強層15のスチールコードのタイヤ周方向に対する傾斜の向きは、前記プライ折返し部6bにおけるカーカスコード6wのタイヤ周方向に対する傾斜の向きと相違する。従って、前記曲線状部15Aにおいては、カーカスコード20と交差することにより剛性が高まり、前記ビードコア5の回転変形を抑制する効果を高める。
ここで、ビード部4がブレーキ熱の蓄熱等により過度に温度上昇した場合には、荷重負荷時、熱で軟化したビード内のゴムがリムフランジとの間で押し圧されてビードトウ側に移動する傾向となる。そしてこの移動に引きずられ、プライ折返し部6bの吹き抜け方向への位置ズレが顕著となり、熱ビード耐久性が低下する。このとき、前記外片15oは、前記ビードトウ側へのゴム移動を遮蔽する効果があり、これによって吹き抜け方向への位置ズレを抑制し、熱ビード耐久性を高めうる。そのためには、前記外片15oの外端のビードベースラインBLからの半径方向高さHoを25mm以上確保することが必要であり、それ未満では前記効果が期待できない。
他方、前記内片15iは、荷重負荷時のビード部4の倒れ込みを抑える効果があり、特にその外端のビードベースラインBLからの半径方向高さHiを、前記外片15oの高さHoより大とすることにより、前記外片15oの外端での応力集中を減じ、前記外片15oの外端での損傷を効果的に抑制しうる。そのために、前記高さの差(Hi−Ho)は、2mm以上確保するのが好ましい。なお前記内片15iは、前記プライ本体部6aに隣接して保護されるため、その外端に作用する応力は小であり、Hi>Hoとした場合にも、内片15iの外端での損傷は起こりにくい。
しかし、前記高さHi、Hoが高すぎると、内外片15i、15oの外端がより変形が大きいサイドウォール部3側に近づくため、損傷の発生傾向となり、かつ軽量化に不利となる。従って前記高さHiの上限値は57mm以下、又前記高さHoの上限値は55mm以下であるのが好ましい。
次に本例では、前記副部11の半径方向外側には、プライ本体部6aと前記外片15oとの間を通ってタイヤ半径方向外側に先細状でのびるビードエーペックス16が配されている。本例では、ビードエーペックス16は、タイヤ半径方向内側に配される内のエーペックス部16aと、その外側に配される外のエーペックス部16bとから形成される。なお内外のエーペックス部16a、16bは、前記副部11の内端からプライ本体部6aに向かって傾斜する境界線jによって区分される。
本例では、前記内のエーペックス部16aは、その複素弾性率E* cが20MPa以上であり、荷重負荷時のプライ本体部6aの倒れ込みによって生じる歪をビードコア5の外面SUで受け止める。なお複素弾性率E* cが70MPaを超えると、この部分の弾性が過度に高められる結果、前記外片15oの外端付近に歪の集中を招き、損傷を生じさせるおそれがあるため好ましくない。このような観点より、前記複素弾性率E* cの下限値は25MPa以上、さらには30MPa以上がより好ましく、又上限値は65MPa以下、さらには60MPa以下がより好ましい。
また前記外のエーペックス部16bの複素弾性率E* dは、前記内のエーペックス部16aより小であって、特に好ましくは複素弾性率E* dは、3MPa以上、さらには3.5MPa以上とするのが望ましい。又上限値については、7MPa以下、さらには5MPa以下が望ましい。前記複素弾性率E* dが3MPa未満であると、内のエーペックス部16aとの弾性率差が大きくなりすぎ、前記境界線j付近からの損傷が発生し易くなる傾向があり、逆に7MPaを超えると、ビード部4全体の剛性が高くなりすぎ、外のエーペックス部16bの外端付近での損傷が発生し易くなる傾向があり好ましくない。
次に、図7(A)、(B)に、ビード部4の他の例を示す。図において、前記近接位置Qにおける前記間隙部G内のゴムが、前記補強ゴム層13とクッションゴム層14とを含む3層以上、本例では3層構造のものを例示している。
具体的には、補強ゴム層13と、カーカスプライ6Aの前記トッピングゴムの層22と、その間の中間層23とからなり、この中間層23は、本例では前記補強ゴム層13の周囲を被覆している。本例では、前記トッピングゴムの層22が前記クッションゴム層14を構成している。又中間層23は、その複素弾性率E* eと前記複素弾性率E* aとの差(E* a−E* e)が10Mpaより小であって、トッピングゴムの層22と補強ゴム層13との弾性差を緩和し、その層間剥離を抑制する。又必要に応じ、前記中間層23によってクッションゴム層14を構成しても良く、斯かる場合には、トッピングゴムの層22の複素弾性率E* fと前記複素弾性率E* aとの差(E* a−E* f)は10Mpaより小である。
なお前記差(E* a−E* e)、或いは差(E* a−E* f)が10Mpa以上の場合には、E* b≠E* e、E* b≠E* fの時にも、トッピングゴムの層22及び中間層23は、ともにクッションゴム層14を構成している、即ちクッションゴム層14が2層構造をなすと考えられる。なお補強ゴム層13も前記20〜70Mpaの範囲であれば、複層構造を採用することができる。又補強ゴム層13と、ビードワイヤ5wとの間に、前記20〜70Mpaの範囲外の複素弾性率を有するビードワイヤ用トッピングゴムの層を介在させても良い。
以上、本発明の特に好ましい実施形態について詳述したが、本発明は図示の実施形態に限定されることなく、種々の態様に変形して実施しうる。
図1の基本構造を有しかつ表1の仕様の重荷重用タイヤ(タイヤサイズ11R22.5)を試作するとともに、ビード耐久性、及びコア変形を評価した。表1に記載以外は、実施的に同仕様である。
(1)ビード耐久性:
ドラム試験機を用い、タイヤを、リム(7.50×22.5)、規格内圧(700kPa)、規格荷重の3倍(27.25kN×3)の条件下にて速度20km/hで走行させ、ビード部に損傷が発生するまでの走行時間を測定した。評価は、比較例1の走行時間を100とした指数で表示した。数値が大きいほど良好である。
(2)コア変形:
上記耐久テスト後にタイヤを解体し、ビードワイヤの配列乱れ、配列崩れ等のビードコアの変形の有無を観察した。
(3)吹き抜け:
上記耐久テスト後にタイヤを解体し、吹き抜けの有無を観察した。
Figure 0004431075
表の如く、実施例品は、ビードコアの変形を抑え、かつビード耐久性を大幅に向上しうると同時に、カーカスコードの吹き抜けを抑制しうるのが確認できる。
本発明の重荷重用タイヤの実施形態を示す断面図である。 そのビード部を拡大して示す断面図である。 そのビード部の主要部をさらに拡大して示す断面図である。 ビードコアの外面を説明する断面図である。 カーカスプライを説明する略断面図である。 (A)は、近接位置におけるビードワイヤとカーカスコードとの間の間隙部を拡大して示す断面図、(B)はそのA−A線断面図である。 (A)は、他の実施例における間隙部を拡大して示す断面図、(B)はそのA−A線断面図である。 (A)、(B)は従来技術を説明する断面図である。
符号の説明
2 トレッド部
3 サイドウォール部
4 ビード部
5 ビードコア
5w ビードワイヤ
6A カーカスプライ
6a プライ本体部
6b 折返し部
10 主部
11 副部
13 補強ゴム層
14 クッションゴム層
15 ビード補強層
15A 曲線状部
15i 内片
15o 外片
17 補助コード層
20 補助コード層
22 トッピンゴムの層
G 間隙部
Q 近接位置
Si 内の側面
So 外の側面
SL 内面
SU 外面

Claims (6)

  1. トレッド部からサイドウォール部をへてビード部のビードコアに至るプライ本体部と、該プライ本体部に連なりかつ前記ビードコアの廻りをタイヤ軸方向内側から外側に折り返されたプライ折返し部とを有する1枚のカーカスプライからなるカーカスを具えた重荷重用タイヤであって、
    前記プライ折返し部は、ビードコアのタイヤ軸方向内側の内の側面、タイヤ半径方向内側の内面及びタイヤ軸方向外側の外の側面に沿って湾曲する主部と、
    該主部に連なり前記ビードコアのタイヤ半径方向外側の外面の近傍を前記プライ本体部に向かって傾斜してのびる副部とからなり、
    かつ前記ビードコアの周囲を、厚さtaが0.5〜3.0mmかつ複素弾性率E* aが20〜70Mpaの高弾性ゴムからなる補強ゴム層により被覆するとともに、
    前記ビードコアのビードワイヤと、前記カーカスプライのカーカスコードとが最も近接する近接位置において、前記ビードワイヤとカーカスコードとの間の間隙部のゴム厚さT0は0.7mm以上、しかも前記間隙部は、前記補強ゴム層とカーカスコードとの間に、複素弾性率E* bが前記補強ゴム層の複素弾性率E* aより小かつ差(E* a−E* b)を10Mpa以上とした低弾性ゴムからなるクッションゴム層を介在させたことを特徴とする重荷重用タイヤ。
  2. 前記補強ゴム層は、その少なくとも一部がタイヤ加流成形前に予め加流されたことを特徴とする請求項1記載の重荷重用タイヤ。
  3. 前記ビードコアは、前記外面と平行な向きのコア巾WCと、前記外面と直角な向きの最大のコア厚さHCとの比HC/WCを0.4〜0.6としたことを特徴とする請求項1又は2記載の重荷重用タイヤ。
  4. 前記クッションゴム層は、前記カーカスプライをなすトッピンゴムの層であることを特徴とする請求項1〜3の何れかに記載の重荷重用タイヤ。
  5. 前記プライ折返し部は、前記副部のタイヤ半径方向外側に、スチールコードをタイヤ周方向に少なくとも1周巻き付けることにより形成された副部押さえ用の補助コード層を具えることを特徴とする請求項1〜4の何れかに記載の重荷重用タイヤ。
  6. 前記ビード部は、前記プライ折返し部の主部に沿いその半径方向内方を通る曲線状部と、この曲線状部のタイヤ軸方向外側で前記主部と離れて半径方向外方に向かってタイヤ軸方向外側に傾斜する外片と、前記曲線状部のタイヤ軸方向内側で前記プライ本体部のタイヤ軸方向内側面に沿ってのびる内片とからなるビード補強層を具えることを特徴とする請求項1〜5の何れかに記載の重荷重用タイヤ。
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