JP4430823B2 - 扁平な圧延材を圧延するための圧延機に用いる支持ロールまたは中間ロール - Google Patents
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Description
本発明は、扁平な圧延材、特に板材を圧延するための圧延機に用いる支持ロールまたは中間ロールであって、当該支持ロールまたは中間ロールが円筒状のロールコアと、このロールコアと相対回動不能に結合されてロールコアを共軸的に取り囲んでいる管状の外套とからなり、この外套とロールコアとの間に油圧により軸方向に移動可能な支持体が配置されていて、この支持体がロール外套をロールコアで支えている形式のものに関する。
【0002】
現代のホットストリップミルでは断面形状と平坦度の制御が重要な役割を担っている。この場合、負と正の作業ロールベンディングは、負荷時にもロール間隙の変化を可能にする「古典的な」制御要素である。しかし、扁平な圧延材を圧延する条件は非常に多様であり、幅、厚さ、断面形状および素材も圧延速度および圧延温度と同じように変化するので、今日慣用の小さいロット数では大きい調節範囲を有する断面形状および平坦度の制御システムが存在しなければならない。この理由から、近年新しい圧延ラインではこのほかの制御要素が次第に用いられるようになった。このうち最も良く知られているのは、ならい研削された軸方向に移動可能なロールおよび互いに反対方向に旋回可能なロールの使用である。
【0003】
これらの公知のシステムは、作業ロールベンディングのほかに、断面形状調整のための少なくとも1つの別の制御要素を求める新しい圧延ラインの顧客のニーズにほぼ応えることができる。しかし、いずれのシステムも、負荷時にも調節できるようにするのには適していない。
【0004】
さらに、ならい研削されたロールは、所望の輪郭を達成するために面倒な研削加工が必要であり、しかもそのジオメトリは非常に精確でなければならないので不利である。さらに、圧延材は所定の条件のもとでは縁部と中央部とで異なって変形される。すなわち、各々のロールスタンドで異なる所定の輪郭を有するロールがロールスタンド毎に必要である。ロールの交差、いわゆる「クロッシング」では、ロールの交差角により、均等な角速度を得るためにロール駆動に通常の十字軸形自在継手を使用できないので、特別の方策が必要となる。さらに、この交差は非常に大きい軸方向力を生み、それは最大で半径方向圧延力の10%にも達し得る。その上、圧延材案内で圧延材のねじれを招くという問題が生じる。
【0005】
ドイツ特許第3414242号明細書により、冒頭に記載した特徴を有するロールが提案された。公知の外套ロールではロールコアとロール外套との間に、油圧液の供給によりロールの長手方向に移動可能な楔形リングが挿入される。この楔形リングはロール外套の内面に設けた相応に楔形に形成された相手面と対をなしていて、相応に高い油圧を加えることによってロールのクラウンを変化させ、それにより変化した圧延力や圧延材の種々異なる幅にロールを適合させることができる。しかし比較的勾配の小さい楔が、ロールコアとロール外套との間にはさまって動けなくなる傾向がある。すなわち、圧延力を加えると非常に外れにくい楔のセルフロックが発生するのである。公知の解決において楔は、ロール外套を拡張する機能を有しているので、楔面を介してロール外套に対する拡張力に変換される非常に大きい油圧が必要である。
【0006】
本発明の課題は、公知の外套ロールを改良して、公知技術の欠点を回避しながら、ロールバレル断面を広い限界内で変化させることにより、板材の圧延時の種々異なる条件に適合させ得るようにした、特に負荷時に使用可能な断面形状調整および平坦度調整のための制御要素を提供することである。
【0007】
この課題を解決するために本発明により、支持体が、ロール中央部に関して対称的に配置されてロールコアおよびロール外套の内側に対してシールされている少なくとも2個のリングピストンを備えて形成されていて、リングピストンの外周に配置されてロールの長手方向で互いに間隔を置いている複数の環状支承部からなり、これらの円筒状外面にロール外套の内面が当接可能であることを提案する。
【0008】
公知の解決ではたいてい縁部が拡張されるのに対し、提案された解決では中央範囲でバレルを薄くできる。
【0009】
提案された解決は、上記の公知技術におけるようにロール外套の拡張は行われないので、負荷時の調節に適している。支承部を担持しているリングピストンを軸方向に移動させることにより、ロールの全長を基準にした位置が変化するので、それぞれの調節位置、ひいてはロール外套の支持作用に応じて、ロールの「硬い」構成もしくは「軟らかい」構成が生じる。考えられる最も単純な形式では、リングピストンが支承部と共にそれぞれ軸方向最終位置に移動し、場合によってはそこでストッパによって固定できる。ロール中央部の範囲にリングピストンが位置決めされる最終位置は、支持された「硬い」ロールを生じる。リングピストンがロールの縁部範囲の近傍で位置決めされる最終位置は、「軟らかい」ロールを生じる。リングピストンの運動は、回転接続路によりロールコアを通って導入される油圧油によって行われる。
【0010】
本発明の構成において、リングピストンが一種の入れ子式ピストンとして形成されていて、それら自体が独立に操作可能なリングピストンを担持しており、これらのリングピストンに互いに間隔を置いた別の環状支承部が形成されており、これらの支承部と他方のリングピストン上に配置されている支承部との間隔と、ロールの長手方向延在を基準とした位置とが、リングピストンを動かすことによって可変であるようにした。
【0011】
このようにすることによって、たとえば板幅2000mmに対して硬く調整されたロールにおいて、ロール外套は10ないし12個の支承部を介してロールコア上に支持される。これらの支承部は、2つの載設体の中央において支承部のほぼ等しい間隔が約110mmとなるように調整されている。ロール外套の寸法を相応に設定すると、4000tの負荷においてバレル中央で2mmのたわみを達成できる。
【0012】
同じロールの「軟らかい」調整において、支承部の間で約1350mmの支間が調整される。相応に寸法設定した場合、ロールのバレル中央におけるたわみは4000tの負荷で約6mmである。この例から明らかなように、等しい負荷とリングピストンの異なる調整において、少なくとも2種類のクラウンを調整することが可能である。この場合、微調整は従来用いられている作業ロールベンディングによって行うことがができる。最初に挙げたリングピストン上で軸方向に移動可能で、独立に制御可能なリングピストンによって本発明を拡大すると任意の数の中間位置が可能となり、リングピストンも、ひいては支承部もロール中央部に対して非対称的に調整できる。この目的のために、リングピストンに対する任意の中間位置を通過できる供給油量の調量器を使用する。
【0013】
FEM調査の結果、作業ロール上の圧延力分布は単純化すると延伸荷重に等しいが、支持ロール上の支持力分布は別の推移を有することが分かった。支持力は板の縁部を起点として中央部に向かって上昇し、板幅の約3分の1で最大に達する。この最大値は板幅の約3分の2まで維持され、それから再びゼロに下降する。調査の結果によると、荷重の3分の2は支持ロールの中央部分で支持されなければならない。
【0014】
この知見に基づき本発明の別の特徴に従い、少なくとも4個、好ましくは10ないし12個の支承部が少なくとも2ないし4個のリングピストンにロールの全長にわたって対称的に配設されており、ロールの中央範囲で隣接している支承部の間隔が、縁部に向かって大きくなる間隔よりも小さく選択されていることを提案する。つまり、ロールの中央範囲では荷重が大きいので間隔は比較的小さいが、縁部に向かって比較的大きい値に増大し、それによってロールに対して調和の取れたたわみ曲線を達成できる。
【0015】
このようにすることによって、従来よりも大きい量の調節範囲を利用できる。なぜならば、経験により、作業ロールおよび圧延材に移行する際に大部分が失われることを前提とするからである。おおよそ、支持ロールにおけるクラウンの約3分の1が圧延材に受容されることを前提とする。本発明により達成可能な値約1.3mmはたいていの場合に十分であり、有効ロールベンディングと組み合わせれば改造されたロールスタンドにおいても有用な制御要素である。
【0016】
さらに、本発明によるロールのたわみ値を計算すると、ロールは硬い調整において中実に形成されたロールよりわずか0.2mmだけ多くたわむにすぎないことが分かる。このことは、ロールコアと外套から形成される支持ロールも、なおも十分な剛性を有することを意味する。
【0017】
本発明の好適な構成において、ロール中央部のすぐ両側に対称的に配置されているリングピストンが、それらの引き出された最終位置において端面で互いに衝合可能であることを提案する。これは、ロール中央部の範囲で隣接しているリングピストンがそれらの中央最終位置を達成するために、自動調心的に互いに当接するまで油圧液で負荷されることを意味する。
【0018】
本発明の特に有利な構成において、ロール中央部でロールコアおよび/またはロール外套の内側に、断面が屋根形の垂直テーパからなるダブルテーパ状の環状支持面が配置されていて、この環状支持面が、リングピストンの中央最終位置で当該リングピストンの相応にテーパ状に面取りされた端部と対応していることを提案する。この提案により、システムの小さい軸方向距離で締めたり緩めたりすることが可能となり、約10°またはそれ以上の垂直テーパのために、冒頭に記載した公知技術であり得るように自動ロックが生じることはない。リングピストンのテーパ状に形成された端部は「硬い」調整においてのみ使用され、互いに接するテーパ面が中央範囲でロール外套を支え、「組み立てられた」外套ロールから実用的に一体的なロールを作り出す。
【0019】
もちろん、この解決においても、リングピストンの油圧を高めることによって、ロール外套とリングピストンとの間のテーパ状対を中央部における外套の拡張に用い、こうすることによって硬い調整において圧延力に基づく外套のたわみを補償することが考えられる。しかし、ダブルテーパ状の環状支持面の主要な意義は、基礎リングピストンの「硬い」調整において、つまりロールの中央部において中央のロール外套を支持することである。
【0020】
本発明の別の構成により、ロール外套は、リングピストンを取り囲んでいる基部と、交換可能な消耗部とから組み立てることができる。この場合、焼きばめにより外套を基部に固定し、または除去可能な被覆をロール外套に設けることも考えられる。
【0021】
本発明の有利な構成において、滑り特性を改善して消耗を最小化するために、孔内の滑り面が窒化されており、リングピストンが外側に青銅表面を備えている。同じ理由から、本発明の別の特徴により、油圧液として潤滑油を使用することを提案する。なぜならば、一方ではリングピストンの調節に必要な圧力は、公知技術による解決が求める圧力に比べて小さく(約30bar)、他方では使用された潤滑油が滑り特性を促進するからである。
以下に、本発明の実施例を図面に基づき詳しく説明する。
【0022】
唯一の図面に1で示された本発明による支持ロールは、ロールコア2と、略示された円筒ころ軸受3に支承されたロール頸部4と、ロールコア2と相対回動不能に結合されたロール外套5とからなる。ロールコアによるロール外套5の連行は、スリーブ6によって保証されている。スリーブ6は、8で略示されたロール頸部の歯部と7でかみ合っている。図示された実施例における支持ロール1は、基部5aと交換可能な消耗部5bとから組み立てられた二部分からなるロール外套5を備えている。ロール外套はもちろん一体的であることもできる。以下に単純化して5で示すロール外套と、ロールコア2との間には、本発明により請求されるリングピストン9と、その上に配置された別のリングピストン10とが、互いに独立に軸方向に移動できるように配置されている。図面の上半分ではこれらのリングピストンは「硬い」支持ロールが生じるように移動しており、下半分に示された位置ではリングピストンは「軟らかい」支持ロールを生じる。
【0023】
リングピストン9はその青銅化された表面で、外套とロールコア2の窒化された面上を滑動し、図示されない仕方でロールコアに対しても、ロール外套の内面に対してもシールされている。図示されない回転接続路および供給孔11もしくは12を通って油圧媒体、この場合は潤滑油を供給することにより、リングピストン9はロール中央部の各々の側で移動可能であり、それによって全体がA〜Kで示されている支承部の位置を変更できる。同様に油圧油で負荷することによって、リングピストン9上で滑動するように案内されていて、同様にロール外套5の内面に対してシールされているリングピストン10の調整を変更することができ、その支承部も位置に関して支持ロール1の全長にわたって可変である。実施例に示された支持ロールは全体として10個の支承部A〜Kを有している。これらの支承部は、それぞれリングピストン9もしくは10の環状突起によって形成されて、円筒形の外面を有しており、これらの外面がロール外套5の円筒形の内面に当接して支持する。支持ロール1の中央範囲に直接隣接している支承部EおよびFは垂直テーパを備えている。この垂直テーパは、ロール外套5の内面に形成されている屋根形のダブルテーパ15に当接可能である。図面の上半分に示されている移動したリングピストン9の最終位置において、リングピストン9のテーパ状の端部はダブルテーパ面15に当接し、それにより「硬い」仕様の支持ロール1を支える。これは、支持ロール1の中央範囲が直接ロールコア2に対して支持されることによって行われる。図面の下半分では、リングピストン9が引き戻されて、ダブルテーパ15が自由になり、それによって支持ロール1は「軟らかく」変形できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明による支持ロールの概略図である。
Claims (7)
- 扁平な圧延材を圧延するための圧延機に用いる支持ロールまたは中間ロールであって、当該支持ロールまたは中間ロールが円筒状のロールコア(2)と、このロールコアと相対回動不能に結合されてロールコアを共軸的に取り囲んでいる管状のロール外套(5)とからなり、このロール外套とロールコアとの間に油圧により軸方向に移動可能な支持体が配置されていて、これらの支持体がロール外套(5)をロールコア(2)に対して支持しており、前記支持体が、ロール中央部に関して対称的に配置されてロール外套(5)の内側およびロールコア(2)に対してシールされている少なくとも2個のリングピストン(9)を備えて形成されていて、リングピストン(9)の外周に配置されてロール(1)の長手方向で互いに間隔を置いている複数の環状支承部(A〜K)からなり、これらの支承部にロール外套(5)の内面が当接可能である形式のものにおいて、
前記リングピストン(9)が入れ子式ピストンとして形成されていて、それら自体が独立に制御可能なリングピストン(10)を担持しており、これらのリングピストンに互いに間隔を置いた別の環状支承部(A〜K)が形成されており、これらの支承部(A〜K)と他方のリングピストン(9、10)上に配置されている支承部(A〜K)との間隔と、ロール(1)の長手方向延在を基準とした位置とが、リングピストン(9、10)を変位させることによって可変であることを特徴とする支持ロールまたは中間ロール。 - 少なくとも4個の支承部(A〜K)が少なくとも2個のリングピストン(9、10)にロール(1)の全長にわたって対称的に配設されており、ロール(1)の隣接している支承部(A〜K)の間隔が、ロールの中央範囲から縁部に向かって大きくなることを特徴とする、請求項1記載の支持ロールまたは中間ロール。
- 10ないし12個の支承部が配設されていることを特徴とする請求項2記載の支持ロールまたは中間ロール。
- リングピストン(9)が、ロール中央部のすぐ両側に対称的に配置されており、これらリングピストン(9)は、中央部の最終位置に移動するときに、対向するリングピストンの端面が互いに近づくように移動可能であることを特徴とする、請求項1記載の支持ロールまたは中間ロール。
- ロール中央部でロールコア(2)および/またはロール外套(5)の内側には、断面が略三角形状の環状支持面(15)が配置されていて、この環状支持面(15)が、リングピストン(9)が中央部の最終位置に移動したときに、当該リングピストン(9)のテーパ状に面取りされた端部と対応していることを特徴とする、請求項1記載の支持ロールまたは中間ロール。
- ロール外套(5)が、リングピストン(9、10)と対応している基部(5a)と、交換可能な消耗部(5b)とから組み立てられていることを特徴とする、請求項1記載の支持ロールまたは中間ロール。
- 油圧液として潤滑油を使用することを特徴とする、請求項1記載の支持ロールまたは中間ロール。
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