JP4429962B2 - 埋設部材成形体の製造方法 - Google Patents

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この発明は、熱可塑性樹脂内に埋設部材を配置するようにした埋設部材成形体の製造方法に関するものである。
従来の埋設部材成形体の製造方法は、金型内に埋設部材である巻線したコイルを配置して、金型の内表面とコイルとの隙間を補強マットで埋めてコイルを支持する。そして、反応射出成形を行うための反応原液を供給し、金型内で重合反応させる(例えば、特許文献1参照)。
特開平10−315267号公報(第3頁、図2)
従来の埋設部材成形体の製造方法では、金型の内部に配置された補強マットで埋設部材のコイルを支持しているので、補強マットの設置が面倒であるという問題点があった。
この発明は、上述のような課題を解決するためになされたもので、埋設部材を容易に支持できる埋設部材成形体の製造方法を提供することを目的としたものである。
この発明に係わる埋設部材成形体の製造方法は、熱可塑性樹脂を充填可能なゲートが形成されると共に、外側から内側に貫通した複数のピンが外側に退出可能とした金型を所定の温度に加熱する第1の工程と、上記熱可塑性樹脂に埋設される埋設部材の上部側を含めて上記ピンで支持して上記埋設部材を上記金型内の所定の位置に保持する際に、上記埋設部材と上記ピンとの間に絶縁部材からなり上記ピンが嵌合される凹部を有する保護体を配置し、該保護体を介して上記ピンで上記埋設部材を保持する第2の工程と、ゲートから埋設部材の下部側の金型内に先に熱可塑性樹脂を充填して、埋設部材を熱可塑性樹脂で金型の上部側のピンに押圧する第3の工程と、金型内の残りの部分に熱可塑性樹脂を充填する第4の工程と、熱可塑性樹脂が固化して流動性を失う温度に低下する前に、金型の下部側のピンから順次取り出す第5の工程により行われる。
この発明の埋設部材成形体の製造方法によれば、埋設部材をピンで金型内の所定の位置に保持する際に、埋設部材とピンとの間に絶縁部材からなりピンが嵌合される凹部を有する保護体を配置し、該保護体を介してピンで埋設部材を保持し、熱可塑性樹脂を埋設部材の下部側から先に金型内に充填して埋設部材を上部側のピンに押圧し、熱可塑性樹脂が固化して流動性を失う温度に低下する前に、金型の下部側のピンから順次取り出すようにしたことにより、埋設部材の支持を容易に行うことができる。
実施の形態1.
図1は、この発明の実施の形態1により製造された埋設部材の成形体を示す平面図、図2は図1のII−II線の断面図、図3は図1のIII−III線の断面図、図4は図1のII−II線の断面に相当する部分の金型内の状態を示す説明図、及び図5は図1のIII−III線の断面に相当する部分の金型内の状態を示す説明図である。
図1〜図5において、分割可能な分割体1a、1bからなる金型1のキャビティ1c内にコイル体からなる埋設部材2が配置されている。金型1の下部には図4に示すように熱可塑性樹脂を充填可能なゲート1dが形成されている。金型1には外側から内側に貫通した複数のピン3が退出可能に上部側を含めて上下、左右側に配置されている。埋設部材2は絶縁部材からなる保護体4を介して金型1の上部側を含むピン3で支持されて、金型1のキャビティ1c内の所定の位置に保持されている。埋設部材2を支持している各ピン3は図示していない固定手段により固定されている。
次に、埋設部材成形体の製造方法について説明する。図1〜図5において、第1の工程として金型1を所定の温度に加熱して、キャビティ1c内に埋設部材2を配置する。次に第2の工程として、埋設部材2の上部側を含めて上下、左右の各ピン3で埋設部材2を支持して、埋設部材2をキャビティ1c内の所定の位置に保持する。この時、埋設部材2とピン3との間に絶縁部材からなりピンが嵌合される凹部を有する保護体4を配置し、該保護体4を介してピン3で埋設部材2を保持する。
次に第3の工程として、埋設部材2の下部側に配置されたゲート1dから所定の温度の熱可塑性樹脂を所定の射出圧力で金型1のキャビティ1c内に充填する。ここで、金型1のキャビティ1cの下部側に先に充填された熱可塑性樹脂により、埋設部材2が金型1の上部側に配置されたピン3に押圧される。続いて、第4の工程として金型1のキャビティ1cの残りの部分に熱可塑性樹脂を充填する。さらに、第5の工程として、キャビティ1c内に充填された熱可塑性樹脂が固化して流動性を失う温度に低下する前に、金型1の下部側に配置されたピン3から順次ピンを取り出す。この場合、熱可塑性樹脂の充填量、速度等により第4の工程中に第5の工程のピン3の取り出しを始めることもある。
この後、所定の冷却時間が経過してから金型1内から取り出した状態が図1に示す埋設部材成形体5である。このように製造された埋設部材成形体5は、図2及び図3埋設部
材をコイル体で示したように、コイル体の外周に熱可塑性樹脂6が所定の厚さで被覆されている。そして、ピン3を取り出した後にはシリコーンゴム(図示せず)等の絶縁部材を充填することにより、さらに絶縁性の向上を図ることができる。
以上のように、熱可塑性樹脂6を埋設部材の下部側から金型1内に充填して埋設部材2を金型1の上部側に配置されたピン3に押圧し、熱可塑性樹脂6が固化して流動性を失う温度に低下する前に、金型1の下部側に配置されたピン3から順次ピンを取り出すようにしたことにより、埋設部材2の支持を容易に行うことができる。この場合、埋設部材2の下部側に所定の圧力で充填された熱可塑性樹脂6により埋設部材2を上方に押圧しているので、熱可塑性樹脂が固化する前にピン3を取り出しても埋設部材2が重力方向に移動するのを防止できる。
実施の形態1において、埋設部材2がコイル体について説明したが、コイル体以外の電気機器やその他のものでも同様の効果を期待することができる。
実施の形態1において、ゲート1dから埋設部材2の下部側の金型1内に先に熱可塑性樹脂を充填して、埋設部材2を熱可塑性樹脂6で金型1の上部側のピン3に押圧し、熱可塑性樹脂6が固化して流動性を失う温度に低下する前に、金型1の下部側に配置されたピン3から順次取り出すようにしたものについて説明したが、他の実施例として図6の要部断面図に示すように、各ピン3の近傍の金型1に配置した熱電対等の温度センサ7でピン3近傍の熱可塑性樹脂6の温度を検知するように構成してもよい。即ち、図4及び図5に示すように、ピン3で埋設部材2を金型1内に保持した状態で熱可塑性樹脂6を充填して、各ピン3の近傍に配置した温度センサ7で各ピン3近傍の熱可塑性樹脂6の温度を検知し、熱可塑性樹脂6が固化して流動性を失う温度に近い値を検知した温度センサ7の近傍のピン3から順次取り出すことにより、熱可塑性樹脂6の温度の低下に従ってタイミング良くピン3を取り出すことができる。
さらに、他の実施例として図7に示す要部断面図のように、ピン3に熱電対等の温度センサ8を配置して各ピン3近傍の熱可塑性樹脂6の温度を検知しても同様の効果を期待することができる。
この発明の実施の形態1により製造された埋設部材の成形体を示す平面図である。 図1のII−II線の断面図である。 図1のIII−III線の断面図である。 図1のII−II線の断面に相当する部分の金型内の状態を示す説明図である。 図1のIII−III線の断面に相当する部分の金型内の状態を示す説明図である。 実施の形態1における他の実施例である要部断面図に示す。 実施の形態1における他の実施例である要部断面図に示す。
符号の説明
1 金型、1d ゲート、2 埋設部材、3 ピン、4 保護体、
5 埋設部材成形体、6 熱可塑性樹脂、7,8 温度センサ。

Claims (2)

  1. 熱可塑性樹脂を充填可能なゲートが形成されると共に、外側から内側に貫通した複数のピンが外側に退出可能とした金型を所定の温度に加熱する第1の工程と、
    上記熱可塑性樹脂に埋設される埋設部材の上部側を含めて上記ピンで支持して上記埋設部材を上記金型内の所定の位置に保持する際に、上記埋設部材と上記ピンとの間に絶縁部材からなり上記ピンが嵌合される凹部を有する保護体を配置し、該保護体を介して上記ピンで上記埋設部材を保持する第2の工程と、
    上記ゲートから上記埋設部材の下部側の上記金型内に先に上記熱可塑性樹脂を充填して、上記埋設部材を上記熱可塑性樹脂で上記金型の上部側の上記ピンに押圧する第3の工程と、
    上記金型内の残りの部分に上記熱可塑性樹脂を充填する第4の工程と、
    上記熱可塑性樹脂が固化して流動性を失う温度に低下する前に、上記金型の下部側から上記ピンを順次取り出す第5の工程とからなる埋設部材成形体の製造方法。
  2. 熱可塑性樹脂を充填可能なゲートが形成されると共に、外側から内側に貫通した複数のピンが外側に退出可能とした金型を所定の温度に加熱する第1の工程と、
    上記熱可塑性樹脂に埋設される埋設部材を上記ピンで支持して上記埋設部材を上記金型内の所定の位置に保持する際に、上記埋設部材と上記ピンとの間に絶縁部材からなり上記ピンが嵌合される凹部を有する保護体を配置し、該保護体を介して上記ピンで上記埋設部材を保持する第2の工程と、
    上記ゲートから上記金型内に上記熱可塑性樹脂を充填する第3の工程と、
    上記各ピン近傍の上記熱可塑性樹脂の温度を温度センサで検知し、上記熱可塑性樹脂が固化して流動性を失う温度に近い値を検出した上記温度センサの近傍の上記ピンから順次取り出す第4の工程とからなる埋設部材成形体の製造方法。
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