JPH10315267A - 磁気浮上式鉄道用コイル成形体の製造方法 - Google Patents

磁気浮上式鉄道用コイル成形体の製造方法

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Publication number
JPH10315267A
JPH10315267A JP14092197A JP14092197A JPH10315267A JP H10315267 A JPH10315267 A JP H10315267A JP 14092197 A JP14092197 A JP 14092197A JP 14092197 A JP14092197 A JP 14092197A JP H10315267 A JPH10315267 A JP H10315267A
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coil
mold
reaction
winding coil
injection molding
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Application number
JP14092197A
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English (en)
Inventor
Masao Torii
正夫 鳥居
Katsuo Suzuki
勝雄 鈴木
Masao Suzuki
正夫 鈴木
Takeshi Fujimoto
健 藤本
Yoshifumi Itabashi
好文 板橋
Shigeya Ohama
茂也 大濱
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Railway Technical Research Institute
Zeon Corp
Mitsubishi Electric Corp
Original Assignee
Railway Technical Research Institute
Mitsubishi Electric Corp
Nippon Zeon Co Ltd
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Publication date
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 内包される巻線コイルが所定の位置に保持さ
れると共に、成形体を構成する樹脂の割れを防止し、し
かも得られる成形体の機械的強度を向上させることがで
きる磁気浮上式鉄道用コイル成形体の製造方法を提供す
ること。 【解決手段】 補強用マット20,24を、金型2,3
の内表面と巻線コイル10との隙間を埋めるように、か
つ金型2,3の内部の所定位置に巻線コイル10を保持
するように、予め賦形する工程と、前記予め賦形された
補強用マット20,24を、金型の内部に配置し、補強
用マット20,24により、巻線コイル10を、金型
2,3の内部の所定位置に保持する工程と、金型2,3
を閉じて、反応射出成形を行う工程とを有する。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、磁気浮上式鉄道用
コイル成形体に関し、さらに詳しくは、内包される巻線
コイルを所定の位置に保持することができ、しかも樹脂
層の強度が向上し、かつ残留応力の発生が抑制された磁
気浮上式鉄道用コイル成形体を製造する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】反応射出成形(RIM)法により得られ
た成形体は、機械的特性、耐衝撃特性および耐候性など
に優れ、幅広い分野への応用が提案されている。RIM
成形体の応用例として、巻線コイルの存在下にノルボル
ネン系モノマーとメタセシス触媒を含む反応液を金型内
に供給し塊状重合することにより磁気浮上式鉄道用コイ
ル成形体を製造する方法が、特開平4−168704号
公報にて提案されている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】ところが、ノルボルネ
ン系ポリマーは、成形時に、原料のノルボルネン系モノ
マーを含む塊状重合用反応液が硬化するにしたがって収
縮する。この成形収縮のために、収縮するポリマー部
と、殆ど収縮しない巻線コイル部とにアンバランスが生
じ、成形体が所定の形状にならない場合がある。また、
成形時の反応熱により温度上昇したポリマー部および巻
線コイル部が、常温まで温度降下する際に温度収縮を起
こす。その際、ポリマー部および巻線コイル部の線膨張
係数が大きく異なるため、収縮差が生じ応力として残留
する。そして、ひどい場合には、ノルボルネン系ポリマ
ーと巻線コイルとの収縮率の差やノルボルネン系ポリマ
ーの残留応力に起因して、生成した樹脂層にひび割れや
破壊を生ずる。
【0004】この防止策として、特開平4−24911
9号公報に示す技術を応用することが考えられる。この
公報では、金属挿入体と金型内表面との間に補強用繊維
を配設することが提案されている。
【0005】しかしながら、この公報の技術を応用して
磁気浮上式鉄道用コイル成形体を製造する場合、巻線コ
イルを成形体内の所定の位置に配置するために、たとえ
ばポリエチレンで構成された支持体を用いて巻線コイル
を所定位置に保持することになる。このため、長期間の
使用に際して、この支持体とノルボルネン系樹脂との界
面が剥離し、この部分より樹脂に亀裂や破壊が生ずるこ
とがある。
【0006】磁気浮上式鉄道用コイル成形体は、一般に
屋外に設置される。したがって、このコイル成形体は、
風雨に曝され、場所によっては、風雪や潮風に曝される
と言った厳しい環境下に置かれる。しかも、磁気による
鉄道車両の浮上を安定化させるためには、コイル成形体
に内包される巻線コイルの電気的特性が長期間にわたり
一定でなければならない。したがって、コイルを被覆す
る樹脂層に亀裂などが入ることは、コイルの特性を低下
させることになることから、亀裂などが入る事態を極力
防止する必要がある。
【0007】なお、コイル成形体中の巻線コイルの位置
がずれることは、コイル成形体から発生する磁力線の中
心位置がずれることになり、好ましくない。また、成形
体の表面から巻線コイルの表面が露出する事態も避けな
ければならない。したがって、磁気浮上式鉄道用コイル
成形体を製造する場合には、巻線コイルを金型内の所定
位置に保持することも重要な課題である。
【0008】なお、特開平6−325964号公報に
は、予め賦形されたマットを用いて磁気浮上式鉄道用地
上コイル成形体を製造する方法が提案されている。しか
しながら、この公報に開示された方法では、加熱架橋硬
化方式を採用しているため、次に示す課題を有してい
る。
【0009】すなわち、上記公報に開示された技術で
は、加熱架橋硬化型の樹脂を用いて、コイルを内蔵する
成形体を製造しようとしているため、金型内に射出する
時の原液は、既にある程度の分子量を持つポリマーであ
り粘性が高く、マットの隙間に良好に原液が回り込み難
く、特に大型の成形体を成形することが困難であるとい
う課題を有する。また、原液の粘度が高いことから、比
較的高圧で原液を金型内に充填する必要があると共に、
金型の型締め圧力を大きくしなければならないと言う課
題も有する。この点でも、大型の成形体を得ることを困
難にしている。さらに、この方法では、金型内へ原液を
充填後に、金型を加熱して架橋反応を起こさせる必要が
あるが、厚肉の成形体または大型の成形体を製造しよう
とする場合には、内部まで架橋反応が進行し難く、一定
品質の強度を有する成形体を得ることが困難である。
【0010】磁気浮上式鉄道用地上コイル成形体は、比
較的大型に成形する必要があり、また一定品質の強度、
耐候性および耐久性が要求される。このため、このよう
な要求を満足する磁気浮上式鉄道用地上コイル成形体の
製造方法が求められていた。
【0011】本発明の目的は、内包される巻線コイルが
所定の位置に保持されると共に、成形体を構成する樹脂
の割れを防止し、しかも大型の成形が容易で、且つ、得
られる成形体の機械的強度を向上させることができる磁
気浮上式鉄道用コイル成形体の製造方法を提供すること
にある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を達成するため
に、本発明に係る磁気浮上式鉄道用コイル成形体の製造
方法は、補強用マットを、金型の内表面と巻線コイルと
の隙間を埋めるように、かつ金型の内部の所定位置に巻
線コイルを保持するように、予め賦形する工程と、前記
予め賦形された補強用マットを、金型の内部に配置し、
補強用マットにより、巻線コイルを、金型の内部の所定
位置に保持する工程と、金型を閉じた後、反応射出成形
を行うための反応原液を供給し、金型内で重合反応させ
る工程とを有する。
【0013】(補強用マット)本発明では、補強用マッ
トとしては、予め賦形可能な補強用マットであれば特に
限定されず、アラミド繊維マット、、超高分子量ポリエ
チレン繊維マット、ポリプロピレン繊維マット、木綿マ
ット、アクリル繊維マット、ボロン繊維マット、シリコ
ンカーバイド繊維マット、アルミナ繊維マットなどが例
示され、好ましくはガラス繊維マットが用いられる。ガ
ラス繊維マットが好ましいのは、反応射出成形体と複合
化した場合に、巻線コイルの線膨張率と略同一であり、
成形後の歪みの原因となるおそれが少ないからである。
【0014】金型内に装着前の補強用マットの厚みは、
特に限定されないが、巻線コイルと金型の内表面との間
の隙間をtとした場合に、好ましくはt×(0.95〜
1.40)、さらに好ましくはt×(1.00〜1.3
5)、特に好ましくはt×(1.05〜1.30)であ
る。具体的には、隙間tは、3〜15mmであるので、
金型内に装着前の補強用マットの厚みは、好ましくは
2.85〜21mm、さらに好ましくは3〜20.25
mm、特に好ましくは3.15〜19.5mmである。
この範囲が、成形体の品質を向上させる点で好ましく、
この範囲よりも薄いと、巻線コイルの位置が安定せず、
厚すぎると、金型を型締めすることが困難になる傾向に
ある。なお、補強用マットは、金型内に装着されて型締
めされることで、厚み方向に圧縮される。
【0015】金型内における補強用マットの占有面積
は、金型の全内表面積の好ましくは60%以上、さらに
好ましくは80%以上であり、巻線コイルの周囲をほぼ
完全に覆う程度の占有面積であることが好ましい。
【0016】補強用マットを予め賦形する手段として
は、特に限定されないが、プレス加工が好ましく用いら
れる。プレス加工に用いる金型の形状は、その補強用マ
ットが装着される反応射出成形用金型の内表面形状に合
わせて作製される。なお、反応射出成形用金型自体を、
プレス加工用金型として用いることも可能である。
【0017】補強用マットは、その表面をシランカップ
リング剤等のカップリング剤で処理したものが、樹脂と
の密着性を向上させる上で好ましい。カップリング剤の
配合量は、特に制限はないが、補強マットを100重量
%とした場合に、0.05重量%以上、好ましくは0.
1〜10重量%、さらに好ましくは0.5〜5重量%で
ある。また、補強マットが吸着水を含んでいる場合に
は、反応射出用金型内に配置する前に、予め乾燥するこ
とが好ましい。
【0018】(巻線コイル)本発明では、巻線コイルと
して、磁気浮上式鉄道に用いられる巻線コイルが用いら
れる。磁気浮上式鉄道に用いられる巻線コイルは、導電
線材を巻き回した鉄心のない空芯コイルであり、線材は
通常、絶縁材料などで被覆して絶縁被覆線材を使用する
が、裸線材として裸線材の間隙を絶縁して用いても良
い。
【0019】巻線コイルに用いられる導電線材の具体例
としては、アルミニウム、銅、鉄、ニッケル、金、銀な
どの一般的な導電性材料およびその混合物が材料として
挙げられ、巻線コイルは、コスト低減、軽量化、加工性
などの理由により、アルミニウムが好ましい。
【0020】また、導電線材の断面形状は、多角形、円
形等があげられるが、加工性から矩形が好ましく、矩形
の幅1mm以上20mm以内、好ましくは3mm以上1
0mm以内、厚さ1mm以上20mm以内、好ましくは
3mm以上10mm以内である。
【0021】絶縁被覆線材の例としては、エポキシ粉体
塗装平角線、ポリエチレン粉体塗装平角線、紙巻平角
線、ノーメックス巻平角線、カプトン巻平角線、集成マ
イカ巻平角線、ガラス巻線平角線、平角ホルマール線等
があげられ、ノルボルネン系モノマーの塊状開環重合反
応を阻害しないこと及びその加工性からエポキシ粉体塗
装平角線が特に好ましい。
【0022】絶縁被覆線材の被覆厚さは、0.01mm
以上1mm以内、好ましくは0.03mm以上0.5m
m以内、更に好ましくは0.05mm以上0.1mm以
内である。
【0023】(反応射出成形)反応射出成形に用いる反
応原液としては、金型内で重合反応を起こさせるもので
あれば特に限定されないが、ウレタン系、ウレア系、ナ
イロン系、エポキシ系、不飽和ポリエステル系、フェノ
ール系および、ノルボルネン系などが挙げられるが、本
発明では、ノルボルネン系が最も好ましい。大型の成形
体を成形し易く、耐候性および耐衝撃性などの機械的強
度に特に優れているからである。金型内に射出する際に
おける反応原液の粘性は、たとえば、30°Cにおい
て、5cps〜3000cps好ましくは100cps
〜1000cps程度に、十分に低い粘性であり、大型
の成形体を成形し易い。
【0024】かかる成形においては、酸化防止剤、充填
剤、顔料、着色剤、発泡剤、難燃剤、摺動付与剤、エラ
ストマー、ジシクロペンタジエン系熱重合樹脂およびそ
の水添物など種々の添加剤を配合することにより、得ら
れるポリマーの特性を改質することができる。
【0025】酸化防止剤としては、フェノール系、リン
系、アミン系など各種のプラスチック・ゴム用酸化防止
剤がある。充填剤にはミルドガラス、タルク、炭酸カル
シウム、水酸化アルミニウム、雲母などの無機質充填剤
がある。エラストマーとしては、天然ゴム、ポリブタジ
エン、ポリイソプレン、スチレン−ブタジエン共重合体
(SBR)、スチレン−ブタジエン−スチレンブロック
共重合体(SBS)、スチレン−イソプレン−スチレン
ブロック共重合体(SIS)、エチレン−プロピレン−
ジエンターポリマー(EPDM)、エチレン酢酸ビニル
共重合体(EVA)およびこれらの水素化物などがあ
る。
【0026】添加剤は、通常、予め反応液のいずれか一
方または双方に混合しておく。
【0027】反応射出成形に用いる金型は、特に限定さ
れず、必ずしも剛性の高い高価な金属製金型を用いる必
要はなく、樹脂製金型、または単なる型枠であっても良
い。反応射出成形は、低粘度の反応液を用い、比較的低
温低圧で成形できるためである。金型内は不活性ガスで
シールし、重合反応に用いる成分類は窒素ガスなどの不
活性ガス雰囲気下で貯蔵し、かつ操作することが好まし
い。
【0028】金型温度は、金型内での反応原液の反応熱
により温度が上昇しすぎないように制御され、好ましく
は、10〜150℃、より好ましくは、30〜120
℃、さらに好ましくは、50〜100℃である。金型の
温度制御は、金型内に熱媒体用の通路を設け、熱媒体を
流通させることなどにより行うことができる。金型圧力
は通常0〜100Kgf/cm2 の範囲である。重合時
間は、適宜選択すれば良いが、通常、反応液の注入終了
後、30秒〜20分である。
【0029】(発明の作用)本発明においては、反応射
出成形前に、予め賦形された補強用マットを、金型の内
部に配置し、補強用マットにより、巻線コイルを、金型
の内部の所定位置に保持する。その状態で、反応射出成
形を行うことにより、金型内面と巻線コイルとの間の空
間に配置された補強用マットを構成する繊維間に反応原
液が良好に行き渡る。巻線コイルは、予め賦形された補
強用マットにより位置決めされているので、得られるコ
イル成形体内での位置がずれることがない。
【0030】しかも、金型内部での巻線コイルの位置決
めに際して、ポリエチレンなどで構成された支持体を用
いないので、支持体と反応射出成形樹脂との界面が剥離
することもなく、反応射出成形樹脂に亀裂や破壊が生じ
ることを有効に防止することができる。すなわち、耐久
性および耐候性に優れたコイル成形体を得ることができ
る。
【0031】さらに、本発明の方法によって得られるコ
イル成形体における反応射出成形樹脂には、補強用マッ
トが含有してあるので、コイル成形体の機械的強度も向
上する。
【0032】さらにまた、本発明の方法では、金型内で
重合反応を生じさせる反応射出成形を採用しているた
め、金型内に充填する反応原液の粘性を低く設定するこ
とができ、特に大型の成形体を良好に成形することがで
きる。また、得られる成形体の耐久性、耐衝撃性などの
機械的強度を向上させることができる。さらに、反応射
出成形であることから、自己の発熱により重合反応が進
行し、金型への充填後に金型を加熱する必要はなく、厚
肉のまたは大型の成形体でも、内部まで反応が進行し、
成形体の強度を一様にすることができ、また寸法精度も
向上する。
【0033】したがって、本発明に係る製造方法により
得られたコイル成形体は、磁気浮上式鉄道用として好適
に用いることができる。
【0034】
【発明の実施の形態】以下、本発明を、図面に示す実施
形態に基づき説明する。
【0035】図1は本発明の1実施形態に係る磁気浮上
式鉄道用コイル成形体の概略斜視図、図2は図1に示す
コイル成形体を製造する際に用いる金型の要部断面図、
図3は予め賦形された補強用マットの一例を示す概略斜
視図である。
【0036】図1に示すように、本実施形態では、磁気
浮上式鉄道用地上コイルとして用いられる磁気浮上式鉄
道用コイル成形体パネル30を製造する方法について説
明する。コイル成形体パネル30には、たとえば複数の
巻線コイル10が内蔵してあり、超電導磁石を搭載した
車両が当該コイルを通過すると、電磁誘導作用により電
流が誘起され、各巻線コイル10にはパネル面に対して
略垂直な電磁力を発生することが可能になっている。
【0037】本実施形態では、図1に示すパネル30
を、以下に示す方法で製造する。
【0038】図2に示すように、本実施形態で用いる金
型は、上金型3と下金型2とを有し、それらの割面相互
が組み合わされることにより、内部にパネル状のキャビ
ティ4が形成されるようになっている。
【0039】本実施形態では、下金型2には、巻線コイ
ル10の配置数に対応して、凸部5が形成してある。凸
部5を形成するのは、巻線コイル10が存在する部分
と、存在しない部分とで、反応射出成形樹脂層の厚みを
略均一とし、成形性を向上させて成形体の歪量を低減さ
せると共に、パネルの軽量化を図るためである。
【0040】本実施形態の下金型2および上金型3は、
たとえば切削アルミニウム製金型で構成される。これら
金型2,3には、図示省略してあるが、熱媒体が流通す
るための通路が形成してあり、金型2,3の温度調節が
可能になっている。
【0041】図1,2に示す巻線コイル10は、本実施
形態では、アルミニウムなどの金属線材で構成され、金
属線材を矩形あるいはレーストラック形状に横50mm
以上1000mm以内、縦50mm以上1000mm以
内の巻き型に、1巻以上50巻以内、好ましくは5巻以
上30巻以内、より好ましくは10巻以上20巻以内巻
き回したものをそのまま、あるいは、2段以上10段以
内重ねたものを、0.1mm以上3mm以内、好ましく
は0.5mm以上2mm以内の距離をもって、2組重ね
ることにより得られる単位コイルを8の字状に繋げた形
状を有する。
【0042】金属線材の断面形状は、本実施形態では、
加工性から矩形が採用され、矩形の幅1mm以上20m
m以内、好ましくは3mm以上10mm以内、厚さ1m
m以上20mm以内、好ましくは3mm以上10mm以
内である。
【0043】本実施形態の巻線コイル10は、図2に示
すように、金型2,3の内部に配置された補強用マット
20,24により、金型2,3の内部の所定位置に位置
決めされて保持される。
【0044】補強用マット20,24は、本実施形態で
は、ガラス繊維マットで構成してある。ガラス繊維マッ
トを構成するガラス繊維の繊維径は、特に限定されない
が、0.5〜100μm程度が好ましい。ガラス繊維マ
ットは、所定の形状を保持することができるものであれ
ば、織布でも不織布であっても良い。
【0045】金型内に装着前の補強用マット20,24
の厚みは、図2に示すように、巻線コイル10と金型
2,3の内表面との間の隙間をtとした場合に、t×
(1.05〜1.30)である。より具体的には、金型
内に装着前の補強用マット20,24の厚みは、3.1
5〜19.5mmである。また、巻線コイル10と金型
2,3の内表面との隙間tは、3〜15mmである。な
お、図2に示すように、補強用マット20,24は、金
型2,3内に装着されて型締めされることで、厚み方向
に圧縮される。
【0046】特に本実施形態では、下金型2の内表面に
接する側の補強用マット20を、図3に示すように、下
金型2の内表面と巻線コイル10との隙間を埋めるよう
に、かつ下金型2の内部の所定位置に巻線コイル10を
保持するように、予め賦形してある。賦形手段として
は、たとえばプレス加工が用いられ、シート状の補強マ
ット10をプレス加工により、たとえば図3に示す形状
に賦形する。
【0047】図3に示すように、この補強マット10に
は、図2に示す下金型2の凸部5に対応する位置で、筒
状突起22が賦形してある。各筒状突起22の周囲に、
巻線コイル10が位置決めされて保持される。なお、図
3に示す補強マット10の外縁には、金型2,3のキャ
ビティ内壁面に沿った立壁23が前記筒状突起22と同
時に一体成形される。
【0048】図2に示すように、予め賦形された補強用
マット20を、金型2,3の内部に配置し、補強用マッ
ト20により、巻線コイル10を、金型2,3の内部の
所定位置に保持し、その上を他の補強用マット24で覆
い、金型2,3を型締めした後、反応射出成形を行う。
なお、金型内に巻線コイル10を配置する前に、巻線コ
イル10を、予めオーブンなどで30〜100°C程度
に加熱しておいても良い。
【0049】(ノルボルネン系モノマー)本実施形態で
は、反応射出成形として、ノルボルネン系モノマーを用
いた反応射出成形を行う。本実施形態において使用する
モノマーは、ノルボルネン環を有するものであればいず
れでも良いが、耐熱性に優れた成形体が得られることか
ら、三環体以上の多環ノルボルネン系モノマーを用いる
ことが好ましい。
【0050】ノルボルネン系モノマーの具体例として
は、ノルボルネン、ノルボルナジエン等の二環体;ジシ
クロペンタジエン、ジヒドロジシクロペンタジエン等の
三環体;テトラシクロドデセン等の四環体;トリシクロ
ペンタジエン等の五環体;テトラシクロペンタジエン等
の七環体;これらのメチル、エチル、プロピル、ブチル
などのアルキル、ビニル等のアルケニル、エチリデン等
のアルキリデン、フェニル、トリル、ナフチル等のアリ
ール等の置換体;更にこれらのエステル基、エーテル
基、シアノ基、ハロゲン原子などの極性基を有する置換
体などが例示される。これらのモノマーは、1種以上を
組み合わせて用いても良い。入手が容易であり、反応性
に優れ、得られる樹脂成形体の耐熱性に優れる点から、
三環体、四環体、あるいは五環体のモノマーが好まし
い。また、三環体以上のモノマーの含有量は、全モノマ
ー中、1〜50重量%、好ましくは2〜30重量%であ
ることが、反応射出成形時の反応原液の流動性と、成形
後の成形体の強度とが高度にバランスし、特に大型の成
形体の成形が容易になり好ましい。
【0051】また、生成する開環重合体は熱硬化型とす
ることが好ましく、そのためには、上記ノルボルネン系
モノマーの中でも、ジシクロペンタジエン、トリシクロ
ペンタジエン、テトラシクペンタジエン等の反応性の二
重結合を二個以上有する架橋性モノマーを少なくとも含
むものが用いられる。全ノルボルネン系モノマー中の架
橋性モノマーの割合は、通常、10重量%以上、好まし
くは30重量%以上である。
【0052】なお、本発明の目的を損なわない範囲で、
ノルボルネン系モノマーと開環共重合し得るシクロブテ
ン、シクロペンテン、シクロペンタジエン、シクロオク
テン、シクロドデセン等の単環シクロオレフィン等を、
コモノマーとして用いても良い。
【0053】(メタセシス触媒)本発明においてノルボ
ルネン系モノマーを重合するのに好適に用いられる触媒
は、メタセシス触媒である。メタセシス触媒は、RIM
法でノルボルネン系モノマーを開環重合できるものであ
れば特に限定されず、公知のもので良い。例えば、六塩
化タングステン、トリドデシルアンモニウムモリブデー
ト、トリ(トリデシル)アンモニウムモリブデート等の
有機モリブデン酸、アンモニウム酸等のモリブデン酸有
機アンモニウム塩等が用いられ、特に、モリブデン酸有
機アンモニウム塩が好ましい。
【0054】メタセシス触媒の使用量は、反応液全体で
使用するモノマー1モルに対し、通常、0.01ミリモ
ル以上、好ましくは0.1ミリモル以上、且つ50ミリ
モル以下、好ましくは20ミリモル以下である。メタセ
シス触媒の使用量が少なすぎると重合活性が低すぎて反
応に時間がかかるため生産効率が悪く、使用量が多すぎ
ると反応が激しすぎるため型内に十分に充填される前に
硬化したり、触媒が析出し易くなり均質に保存すること
が困難になる。メタセシス触媒は、通常、モノマーに溶
解して用いるが、RIM法による成形体の性質を本質的
に損なわれない範囲であれば、少量の溶剤に懸濁させ溶
解させた上で、モノマーと混合することにより、析出し
にくくしたり、溶解性を高めて用いても良い。
【0055】(活性剤および活性調節剤)本発明におい
ては、メタセシス共触媒とも言われる活性剤をメタセシ
ス触媒と共に用いてRIM成形を行う。活性剤はRIM
法でノルボルネン系モノマーを開環重合できるメタセシ
ス触媒を活性化できるものであれば特に限定されず、公
知のもので良い。例えば、特開昭58−127728号
公報、特開平4−226124号公報、特開昭58−1
29013号公報および特開平6−145247号公報
に示すように、アルキルアルミニウム、アルキルアルミ
ニウムハライド、アルコキシアルキルアルミニウムハラ
イド、アリールアルキルアルミニウムハライドなどの有
機アルミニウム化合物、有機スズ化合物などが挙げられ
る。これらの活性剤は、それぞれ単独でまたは二種以上
を組み合わせて用いられる。
【0056】活性剤の使用量は、特に限定されないが、
通常、反応液全体で使用するメタセシス触媒1モルに対
して、0.1モル以上、好ましくは1モル以上、かつ1
00モル以下、好ましくは10モル以下である。活性剤
を用いないか、または活性剤の使用量が少なすぎると、
重合活性が低すぎて反応に時間がかかるため生産効率が
悪くなる。また逆に、使用量が多すぎると、反応が激し
すぎるため型内に十分に充填される前に硬化することが
ある。活性剤は、モノマーに溶解して用いるが、RIM
法による成形体の性質を本質的に損なわない範囲であれ
ば、少量の溶剤に懸濁させた上で、モノマーと混合する
ことにより、析出しにくくしたり、溶解性を高めて用い
ても良い。
【0057】本発明においては、一般に、上記活性剤に
活性調節剤を併用する。活性調節剤を併用することによ
って、反応速度や、反応液の混合から反応開始までの時
間、反応活性などを変化させることができる。
【0058】活性調節剤としては、メタセシス触媒を還
元する作用を持つ化合物などが用いられ、活性調節剤と
しては、アルコール類、ハロアルコール類、エステル
類、エーテル類、ニトリル類などが例示される。この中
で、たとえばアルコール類の具体例としては、n−プロ
パノール、n−ブタノール、n−ヘキサノール、2−ブ
タノール、イソブチルアルコール、イソプロプルアルコ
ール、t−ブチルアルコールなどが挙げられ、ハロアル
コール類の具体例としては、1,3−ジクロロ−2−プ
ロパノール、2−クロロエタノール、1−クロロブタノ
ールなどが挙げられる。
【0059】活性調整剤の添加量は、用いる化合物によ
って変わり、一様ではない。
【0060】(その他の任意成分)所望により、酸化防
止剤、充填剤、顔料、着色剤、発泡剤、摺動付与剤、難
燃化剤、可燃剤、エラストマー、ジシクロペンタジエン
系熱重合樹脂およびその水添物など種々の添加剤を反応
原液に配合することができ、それにより得られるRIM
製品の特性を改質することができる。酸化防止剤として
は、フェノール系、リン系、アミン系などの各種のプラ
スチック・ゴム用酸化防止剤が例示され、充填剤として
は、ガラス、タルク、炭酸カルシウム、雲母等の無機質
充填剤が例示される。
【0061】また、反応原液の粘度調節の目的で、反応
原液にエラストマーを配合しても良い。用いられるエラ
ストマーとしては、天然ゴム、ポリブタジエン、ポリイ
ソプレン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレンー
ブタジエン−スチレンブロック共重合体、スチレンーイ
ソプレン−スチレン共重合体、エチレンープロピレン−
ジエン系ポリマーなどのジエン系エラストマーや、エチ
レン−酢酸ビニル共重合体、およびこれらの水素化物な
どが例示される。好ましくはジエン系エラストマー、よ
り好ましくはブタジエン系エラストマー、特に好ましく
はスチレンとブタジエンのブロック共重合体やシスー
1、4−ポリブタジエンを用いる。これらのエラストマ
ーを反応原液に添加することにより、得られる成形体の
耐衝撃性も向上する。エラストマーの添加量は、反応原
液の30°Cの粘度が通常5cps以上、好ましくは5
0cps以上、かつ1000cps以下、好ましくは5
00cps以下の範囲になるように適宜選択される。
【0062】これらの添加剤は、予め反応原液のいずれ
か一方、または双方に混合しておくか、あるいは金型の
キャビティに入れておけば良い。
【0063】(反応原液)本実施形態で用いられる反応
原液としては、ノルボルネン系モノマー、メタセシス触
媒、活性剤、活性調節剤および任意成分を、2液以上に
分けて調整したものが用いられる。これらの反応原液
は、1液のみでは塊状重合しないが、全ての液を混合す
ると各成分が所定の割合となり、ノルボルネン系モノマ
ーが塊状重合する。
【0064】たとえば、ノルボルネン系モノマー、メタ
セシス触媒、および任意成分からなる液と、ノルボルネ
ン系モノマー、活性剤、活性調節剤および任意成分から
なる液は、それぞれそのままでは重合しない。2液に含
まれる各成分の総量が本実施形態における各成分の使用
量であれば、この2液はそれぞれ本実施形態で用いられ
る反応原液であり、両者を混合すると反応して塊状重合
する。
【0065】作業性の良いように、通常2液の反応原液
を用いて塊状重合させているが、3液以上の反応原液を
用いても良い。反応原液の混合後に、ノルボルネン系モ
ノマー中にその他の成分が十分に拡散できるように、通
常、どの反応原液にもノルボルネン系モノマーが含有さ
れており、その他の成分は、ノルボルネン系モノマー中
に溶解、または分散していることが好ましいが、ノルボ
ルネン系モノマーが含有されていない反応原液があって
も良い。また、ノルボルネン系モノマー、メタセシス触
媒、活性剤の三者を一つの反応原液に含有させると塊状
重合が開始するので、通常、メタセシス触媒と活性剤を
一つの反応原液に含有させることはない。
【0066】なお、反応原液はメタセシス触媒等の失活
を防ぐためなどの理由で、通常、窒素ガス等の不活性ガ
ス雰囲気下で行われることが好ましい。
【0067】(塊状重合)本実施形態においては、図2
に示すように、金型内の所定の位置に、補強用マット2
0,24を介して、巻線コイル10を配し、金型2,3
の内面と巻線コイル10との間の空間(補強用マットを
構成する繊維間の隙間を含む)に、上記のように2液以
上の反応原液を混合した反応液を射出する。
【0068】本実施形態において、反応原液を混合する
方法としては、ミキシング・ヘッドで瞬間的に混合させ
る方法が一般的である。この場合、攪拌原液を収めた容
器は別々の流れの供給源となる。ミキシング・ヘッドと
しては、衝突混合装置、ダイナミックミキサーやスタテ
ィックミキサーなどの低圧注入機などが使用できる。成
形体のべたつきを抑制するなどの目的で、室温における
ポットライフが数分以下の混合液となる反応原液の組み
合わせを用いる場合は、反応原液の混合から型内への充
填終了までの時間が長いと充填終了前に塊状重合が終了
し、所定の形状の成形体が得られないことがあるため衝
突混合装置を用いることが好ましい。それに対し、室温
におけるポットライフが数分以上に及ぶ混合液となる反
応原液の組み合わせを用いる場合は、反応液の混合後、
予備加熱した型内へ数回に亘って射出、あるいは注入し
てもよく、また、連続的に注入しても良いので、装置を
軽装化することができ、低圧で操作可能であり、大型や
肉厚の成形体が製造できる。更に充填材の充填量が多い
場合などは注入スピードを遅くすることにより型内に均
一に反応液を充填させることが可能となる低圧注入機を
用いることが望ましい。
【0069】なお、上記のRIM工程は、触媒の失活な
どの問題を避けるために、型内をN2 などの不活性ガス
をパージするなどしてイナート雰囲気にすることも可能
である。
【0070】反応射出成形に際し、金型2,3の温度
は、反応熱により温度が過度に上昇しないように、好ま
しくは、10〜150℃、より好ましくは、30〜12
0℃、さらに好ましくは、50〜100℃の温度に制御
される。金型2,3の型締め圧力は通常0〜100kg
f/cm2 の範囲である。重合時間は、適宜選択すれば
良いが、通常、反応液の注入終了後、30秒〜20分で
ある。
【0071】本実施形態では、上記のような反応射出成
形により、巻線コイル10が一体となった磁気浮上式鉄
道用コイル成形体パネル30(図1参照)を得ることが
できる。このパネル30は、磁気浮上式鉄道用地上コイ
ルとして好適に用いることができる。
【0072】特に本実施形態の方法では、反応射出成形
時において、反応射出成形前に、予め賦形された補強用
マット20および24を、金型2,3の内部に配置し、
補強用マット20および24により、巻線コイル10
を、金型2,3の内部の所定位置に保持する。その状態
で、反応射出成形を行うことにより、金型内面と巻線コ
イル10との間の空間に配置された補強用マット20お
よび24を構成する繊維間に反応原液が良好に行き渡
る。巻線コイル10は、予め賦形された補強用マット2
0により位置決めされているので、得られるコイル成形
体30内での位置がずれることがない。
【0073】しかも、金型2,3内部での巻線コイル1
0の位置決めに際して、ポリエチレンなどで構成された
支持体などを用いないので、支持体と反応射出成形樹脂
との界面が剥離することもなく、反応射出成形樹脂に亀
裂や破壊が生じることを有効に防止することができる。
すなわち、耐久性および耐候性に優れたコイル成形体3
0を得ることができる。
【0074】さらに、本実施形態の方法によって得られ
るコイル成形体30における反応射出成形樹脂には、補
強用マット20,24が含有してあるので、コイル成形
体30の機械的強度も向上する。なお、上記のようにし
て得られたノルボルネン系モノマーの開環重合体から成
る反応射出成形樹脂は、それ自体でも、優れた機械的強
度、耐衝撃性および耐候性を具備している。
【0075】したがって、本実施形態に係る製造方法に
より得られたコイル成形体30は、磁気浮上式鉄道用地
上コイルとして好適に用いることができる。
【0076】なお、本発明は、上述した実施形態に限定
されるものではなく、本発明の範囲内で種々に改変する
ことができる。
【0077】たとえば本発明の方法により得られる磁気
浮上式鉄道用コイル成形体の具体的形状としては、図1
に示す実施形態の形状に限定されず、種々の形状のもの
が考えられる。その形状に合わせて、補強用マットの形
状も賦形される。
【0078】
【実施例】以下、本発明をさらに具体化した実施例に基
づき、比較例と比較して説明するが、本発明は、これら
の実施例に限定されない。なお、以下の実施例および比
較例において、部や%は、断わりのない限り重量基準で
ある。
【0079】実施例1 キャビティの大きさが、876mm×982mm×50
mmである切削アルミニウム製金型を準備した。この金
型の内部に、予め図3に示す形状に賦形したキャビ型用
ガラス繊維マット(旭ファイバーグラス社製、M501
7)から成る補強用マット20をセットし、その上に巻
線コイル10を配置し、更に、同様に予め賦形したコア
型用ガラスマット24を巻線コイル10上に配した後、
型2,3を閉じ、反応射出成形を行った。
【0080】金型に装着前の補強用マット20および2
4の厚みは、8.5mmであった。金型を型締めした後の
補強用マット20および24の厚みは、7.2mmであっ
た。
【0081】巻線コイル10としては、本実施例では、
幅8.5mmおよび厚み6.2mmの矩形のエポキシ粉
体塗装アルミニウム製線材で構成されるものを用いた。
線材は、矩形形状に横273mm縦263mmの巻き型
に、24巻で巻き回しし、それを2段重ねたものを、
0.5mmの空隙をもって、2組重ねることにより得ら
れる単位コイルを8の字状に繋げて、巻線コイルとし
た。
【0082】反応射出成形に際しては、ジシクロペンタ
ジエン(DCP)90%と、トリシクロペンタジエン1
0%とから成るノルボルネン系モノマーを2つの容器に
入れ、一方にはモノマーに対しジエチルアルミニウムク
ロリド(DEAC)を40モル濃度、1,3−ジクロロ
−2−プロパノール(dcPrOH)48モル濃度に成
るように添加した(A液)。他方には、モノマーに対
し、トリ(トリデシル)アンモニウムモリブデートを1
0ミリモル濃度となるように添加すると共に、ビニルノ
ルボルネン6%を添加した(B液)。これらA液および
B液は、それぞれAタンクおよびBタンクに貯留した。
【0083】これらタンクから液温が各々25°Cの同
容量のA液およびB液を、金型のキャビティ内に混合し
て注入し、金型温度を約50°Cに設定して約10分程
度経過した後、金型内から巻線コイルが一体化された反
応射出成形体を取り出した。
【0084】この成形体中の巻線コイルの位置を渦電流
式変位センサーにより評価したところ、すべての測定箇
所で設定値に対し公差2mm以内に納まっていた。
【0085】さらに、このコイル成形体を曲げ疲労試験
機にセットし、38kNで1.4×106回の繰り返し
荷重をかけた後に、表面状態を観察したところ割れや亀
裂などは確認されなかった。
【0086】比較例1 ガラス繊維マットから成る補強用マット20,24を予
め賦形しなかった以外は実施例1と同様に反応射出成形
を行った。
【0087】得られたコイル成形体を実施例1と同様に
試験を行ったところ、巻線コイルの位置は、一部設定値
に対し最大3.5mmの誤差が確認され、位置精度が非
常に悪いものとなった。なお、疲労試験の結果では割れ
や亀裂などは確認されなかった。
【0088】比較例2 8の字状に組んだ巻線コイルの直線部8箇所に、直径1
5mm高さ7mmのポリエチレン製の支持体を両面テー
プで張り付けて金型にセットすることにより、巻線コイ
ルの位置決めを行った以外は実施例1と同様に反応射出
成形を行った。なお、ガラス繊維マットの支持体に接す
る部分には予め直径15mmの穴を開けた。
【0089】得られたコイル成形体を実施例1と同様に
試験を行ったところ、巻線コイルの位置は設定値に対し
公差2mm以内に納まっていたが、疲労試験の結果、ポ
リエチレン樹脂からなる支持体と反応射出成形樹脂との
界面部分の剥離が観察された。
【0090】比較例3 ガラス繊維マットを予め賦形しなかった以外は、比較例
2と同様に成形を行った。
【0091】得られたコイル成形体を、実施例1と同様
に試験を行ったところ巻線コイルの位置精度に最大3.
5mmの誤差が確認され、疲労試験の結果でも、ポリエ
チレン樹脂からなる支持体と反応射出成形樹脂との界面
部分に剥離が観察された。
【0092】
【発明の効果】以上説明してきたように、本発明に係る
磁気浮上式鉄道用コイル成形体の製造方法によれば、内
包される巻線コイルを所定の位置に保持することができ
ると共に、成形体を構成する樹脂の割れを防止し、しか
も得られるコイル成形体の機械的強度を向上させること
ができる。また、本発明の方法では、金型内で重合反応
を生じさせる反応射出成形を採用しているため、特に大
型のコイル成形体を良好に成形することができる。ま
た、反応射出成形であることから、自己の発熱により重
合反応が進行し、金型への充填後に金型を加熱する必要
はなく、厚肉のまたは大型のコイル成形体でも、内部ま
で反応が進行し、コイル成形体の強度を一様にすること
ができ、また寸法精度も向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】図1は本発明の1実施形態に係る磁気浮上式鉄
道用コイル成形体の概略斜視図である。
【図2】図2は図1に示すコイル成形体を製造する際に
用いる金型の要部断面図である。
【図3】図3は予め賦形された補強用マットの一例を示
す概略斜視図である。
【符号の説明】 2… 下金型 3… 上金型 4… キャビティ 10… 巻線コイル 20,24… 補強用マット
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 鈴木 勝雄 神奈川県川崎市川崎区夜光一丁目2番1号 日本ゼオン株式会社総合開発センター内 (72)発明者 鈴木 正夫 東京都国分寺市光町二丁目8番地38 財団 法人鉄道総合技術研究所内 (72)発明者 藤本 健 東京都国分寺市光町二丁目8番地38 財団 法人鉄道総合技術研究所内 (72)発明者 板橋 好文 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内 (72)発明者 大濱 茂也 東京都千代田区丸の内二丁目2番3号 三 菱電機株式会社内

Claims (1)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 補強用マットを、金型の内表面と巻線コ
    イルとの隙間を埋めるように、かつ金型の内部の所定位
    置に巻線コイルを保持するように、予め賦形する工程
    と、 前記予め賦形された補強用マットを、金型の内部に配置
    し、補強用マットにより、巻線コイルを、金型の内部の
    所定位置に保持する工程と、 金型を閉じた後、反応射出成形を行うための反応原液を
    供給し、金型内で重合反応させる工程とを有する磁気浮
    上式鉄道用コイル成形体の製造方法。
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