JP4427470B2 - 炭化珪素単結晶の製造方法 - Google Patents

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本発明は、結晶中の不純物、特に硼素濃度が小さい炭化珪素単結晶の安定製造を可能にする方法に関するものである。本発明で得られる高純度炭化珪素単結晶より、加工、および研磨工程を経て製造される炭化珪素単結晶ウェハは、主として各種の半導体電子デバイス、あるいはそれらの基板として用いられる。
炭化珪素(SiC)は、優れた半導体特性を有しており、従来材であるシリコン(Si)やガリウム砒素(GaAs)等と比較して、特に耐熱性及び機械的強度等が格段に優れること等から、パワーデバイスや高周波デバイス等の各種半導体デバイス用ウェハ材料として注目されている。SiC単結晶ウェハを用いたデバイスとして、GaN系青色発光ダイオードやショットキーバリアダイオード等が既に商品化されており、また、他にも、GaN系高周波デバイス、及びMOSFETに代表される低損失パワーデバイス用の基板材料として試作に供されている。
デバイス応用に当たっては、用途に応じてウェハ材料の電気伝導度特性を制御する必要がある。そのためにはSiやGaAs等の従来半導体製造で行われているように、結晶中の不純物濃度を極力抑えた、高純度な単結晶を製造できる技術を確立することが必要であり、単結晶ウェハの電気伝導特性の精密制御を可能にする上で重要な基盤技術となっている。特に、ドナーあるいはアクセプターとなりえる不純物元素については、単結晶の電気伝導度特性に及ぼす影響が大きく、ドープ量、あるいは不純物としての混入量を精密に管理する必要がある。SiC単結晶の場合、上記不純物に該当する代表元素の1つとして硼素が挙げられる。SiC単結晶のポリタイプにもよるが硼素はSiC結晶の約2.5〜3.0電子ボルト(eV)におよぶ大きな禁制帯の中で、価電子帯直上約0.2〜0.3eV程度の比較的浅い位置にアクセプター準位を形成するため、室温でも容易にイオン化され易く、硼素原子から結晶中に放出されるホールがキャリアーとなって、電気伝導度を押し上げる作用を及ぼす。このため、高周波デバイス用途等のように、SiC単結晶ウェハとして極力小さな電気伝導度が要求される場合には、結晶中の不純物硼素濃度が高くならないような製造上の工夫が求められる。
目下のところ、デバイス製造に適した大口径を有するSiC単結晶インゴットは、改良レーリー法を基本とする昇華再結晶法によって、製造されることが一般的になっている(非特許文献1)。この昇華再結晶法の基本は、(1)SiC単結晶ウェハを種結晶として使用し、主として黒鉛からなる坩堝中に、原料となるSiC結晶粉末を充填、(2)アルゴン等の不活性ガス雰囲気中(133Pa〜13.3kPa)にて、約2000〜2400℃以上の高温に加熱、(3)原料粉末に比べ種結晶が低温側となる温度勾配が形成されるように種結晶及び原料粉末を配置、となっており、これにより原料から発生した昇華ガスが、種結晶方向へ拡散・輸送され、種結晶上で再結晶化することにより、単結晶成長が実現、の3点から構成される。
このような製造方法に立脚し、前述の観点から、結晶中の不純物硼素濃度を極力低減するためには、その製造プロセスの随所に亘って、硼素混入の可能性を注意深く逐一駆除する製造上の配慮が必要であり、その詳細は製造ノウハウとなっている。
Yu. M. Tairov and V. F. Tsvetkov, Journal of Crystal Growth, vol.52 (1981) pp.146
SiC結晶の代表的な不純物である硼素は、前述のようにアクセプター準位を形成するために、結晶中に大量に混入すると電気伝導度が大幅に増加する。したがって、SiC単結晶ウェハとして低い電気伝導度が要求される場合には、SiC結晶中の硼素濃度を1×1017cm−3以下、望ましくは1×1016cm−3以下にする必要がある。しかしながら、一般的に硼素濃度が極度に抑えられたSiC単結晶を、昇華再結晶法によって製造することは容易ではない。原料中の硼素濃度で、成長結晶中の硼素濃度が決定される傾向が強い。また、一度結晶中に取り込まれた硼素はその化学的性質も類似しているため、SiC中に既に混入した硼素の除去は極めて困難である。したがって、硼素濃度が小さい結晶を製造するためには、硼素濃度の低い原料を使用する必要がある。
このような場合、単結晶の電気伝導度制御が難しくなり、特に高周波デバイス応用に重要な低電気伝導度SiC単結晶ウェハを、安定的にかつ歩留まり良く製造することが困難になる。かかる事情から硼素不純物を低減できる、工業的に有望な高純度SiC単結晶、及びその製造方法が強く望まれていた。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、硼素不純物の低い高純度SiC単結晶の製造方法を提供するものである。
本発明は、硼素不純物の低い高純度SiC単結晶の製造方法を提供するものであって、
(1)種結晶を用いた昇華再結晶法により作製される炭化珪素単結晶製造方法において、出発原料の混合及び反応させる前に少なくとも炭素原料を一旦、圧力1.3Pa以下の不活性ガス雰囲気下で温度1400℃以上2600℃以下に保持する高温熱処理を施した少なくとも1ppm以下の硼素濃度の炭素原料、及び、該炭素原料の硼素濃度より低い硼素濃度を有するシリコンを出発原料とし、出発原料の混合体もしくは一度加熱し反応させ得られた炭化珪素を含む反応体を炭化珪素単結晶の原料として用いることを特徴とする高純度炭化珪素単結晶の製造方法、
(2)前記炭素原料の硼素濃度が0.1ppm以下である(1)に記載の高純度炭化珪素単結晶の製造方法、
(3)前記炭素原料の硼素濃度が0.05ppm以下である(1)に記載の高純度炭化珪素単結晶の製造方法、
(4)前記シリコン原料の硼素濃度が0.01ppm以下である(1)〜(3)のいずれかに記載の高純度炭化珪素単結晶の製造方法、
(5)前記炭素原料の平均粒径が300μm以下である(1)〜(4)のいずれかに記載の高純度炭化珪素単結晶の製造方法、
である。
本発明によれば、少なくとも1ppm以下の硼素濃度の炭素原料、及び該炭素原料の硼素濃度より低い硼素濃度を有するシリコン原料の混合体を加熱合成して得られる炭化珪素を含む合成原料体を炭化珪素単結晶の原料として採用することで、SiC単結晶中の硼素濃度が1×1017cm−3以下である高純度SiC単結晶の製造が可能になる。また、炭素原料の粒径を300μm以下にすることでシリコン原料との反応性を確保し、結果として高純度SiC単結晶の効率的な製造が可能になる。このような高純度SiC単結晶ウェハを用いれば、電気的特性に優れた高耐圧・耐環境性電子デバイスを歩留まり良く作製することが可能になる。
上記事情を鑑み、発明者らは、昇華再結晶法において硼素が低い、高純度SiC単結晶を製造する方法を探索する中で、特に原料粉の製造プロセスに注目し、製造プロセスと硼素混入について詳しく調査した。その結果、硼素元素混入の主たる原因は主に原料自身にあることを突き止めた。したがって、発明者らは、硼素不純物の小さい結晶を製造するためには、使用する原料自身に含まれる硼素濃度が小さいことが必要であるとの結論を持つに至った。そのような原料を製造する方法として、硼素濃度の極めて小さな高純度炭素及びシリコンを用いればよい。しかしながら、一般に良く知られているように、炭素中には1ppm以上の硼素が含まれていることが多く、これらの硼素は除去が困難である。そのため、例えば、硼素混入の少ない厳選した炭素材を、ハロゲンガス雰囲気下で2000℃以上の高温を数週間にわたる長時間処理する等、極端な純化処理することで、硼素濃度の低減された炭素原料として利用可能となる。また、炭素原料は、上述のような炭素元素が主たる構成となることが、不純物低減上や合成後のSiC収率の上で好ましいが、全部又は一部に高純度炭化水素化合物を用いることも可能である。
一方、シリコン原料としては、少なくともシリコン原料の不純物濃度を炭素原料の不純物濃度よりも低くすることで、高純度化炭素原料の不純物濃度を上げることなく、SiC原料粉を合成できる点で好ましい。さらに、不純物低減上、好ましくはシリコン単結晶用の原料となる超高純度シリコン・チップが挙げられる。
硼素濃度が原子数密度で1×1017cm−3以下、望ましくは1×1016cm−3以下である高純度SiC単結晶を製造する条件として、SiC原料粉の合成に使用するシリコン原料は、炭素原料の硼素不純物濃度以下とし、炭素原料の硼素濃度は少なくとも1ppm以下、好ましくは0.1ppm以下、更に望ましくは0.05ppm以下である必要がある。硼素不純物濃度が1ppmを越える炭素原料を使用すると、SiC結晶中への硼素混入濃度が過大となり、不純物濃度で1×1017cm−3を越えるために電気伝導制御が困難になる。結晶中の硼素不純物濃度を1×1016cm−3以下とするには、硼素不純物濃度が0.05ppm以下である炭素原料を使用することが望まれる。また、シリコン原料は、具体的には少なくとも0.5ppm以下、好ましくは0.01ppm以下、下限としては特に設けないが、工業上比較的容易に利用できる範囲で超高純度シリコン原料の純度から判断して0.001ppbまでの範囲とすることで、結晶中の硼素不純物濃度を1×1017cm−3以下、望ましくは1×1016cm−3以下の高純度SiC単結晶製造が実現できる。
また、炭素とシリコンとの使用比率は、通常、モル比でC:Si=1:0.9〜1:1.1とするが、望ましくはC:Si=1:0.9〜1:1である。さらに、上記の点に加えて、加熱時に炭素とシリコンとの反応速度を確保して工業的生産性をもたらしめるためには、これら原料粉の粒径に留意する必要がある。これら背景を踏まえた検討の結果、シリコン原料の粒径より、むしろ炭素原料の粒径のみをある程度細かくすることで、SiC原料合成時の反応性が高く、不純物混入量の増加も低減できることが明らかになった。また、十分な反応が進行しない場合、原料粉中にシリコン原料の残存もしくはシリコン濃度の高い領域の残存を引き起こす。シリコン濃度の高い領域が残存すると、SiC単結晶成長の昇温時に種結晶の上に好ましくないシリコン濃度の高い付着物が着き易く、この領域を基点として多結晶化する等の結晶性を著しく損なう可能性がある。このような不具合を引き起こさないためにも、炭素原料の平均粒径で300μm以下とすることが好ましい。但し、過度な微細粒を用いると、大気中に含まれる窒素等の不純物元素を吸着し易くなることから、平均粒径は少なくとも100nm以上が好ましく、より好ましくは1μm以上である。
一方、一般的に炭素粉体の粒径が小さくなると、炭素表面への窒素吸着が発生し、結晶中の窒素不純物濃度の増加を引き起こすことが明らかになった。しかしながら、この問題点は、通常、1.3Pa以下、好ましくは1.3×10−1Pa以下(ただし、下限は、工業的に比較的容易に到達できる圧力であり、例えば、1×10−2Paとする)の不活性ガス(ここで、不活性ガスとは、アルゴン、ヘリウム、ネオン、もしくはこれらの混合ガスをいう。)流中で通常、1400℃以上、望ましくは2000℃以上で、ただし、上限は、工業的に比較的容易に実施できる温度であり、2600℃とする、少なくとも5時間以上、望ましくは20時間程度熱処理することで、炭素原料中の窒素不純物を減少させることができる。また、SiC原料合成時に用いる坩堝容器として黒鉛坩堝を用いる場合は、坩堝から高温時に発生する窒素不純物も懸念されることから、同様な熱処理を、炭素原料の熱処理と同時もしくは別々に行うことで、窒素不純物混入を防ぐことができる。加えて、SiC単結晶成長時に用いる黒鉛坩堝も、同様な熱処理を行うことが望ましい。更に窒素不純物混入を抑制するには、混合体を加熱合成する直前にも下記のような加熱減圧処理条件で行うことが好ましい。加熱減圧処理とは、坩堝容器に入れた混合体を、1.3Pa以下、好ましくは1.3×10−1Pa以下(ただし、下限は、工業的に比較的容易に到達できる圧力であり、例えば、1×10−2Paとする)の不活性ガス流中で、通常、900℃以上1100℃以下で、好ましくは1100℃において少なくとも0.5時間以上、望ましくは2時間程度熱処理することを指す。この加熱減圧処理後に、アルゴン等の不活性ガスで大気圧水準(例えば,50kPa以上120kPa以下)まで圧力を戻すことで、原料の加熱合成処理を行うことが可能である。加熱合成処理の温度は、通常、1400℃以上2600℃以下とする。また、このような熱処理を行うことで、SiC結晶中への窒素不純物混入濃度も低減され、窒素不純物濃度で5×1016cm−3を越えなくなり、電気伝導制御がさらに容易になる。
高純度SiC単結晶は、現在デバイス応用が有望視されている3C、4H及び6Hポリタイプのいずれにおいても有効である。また、結晶の口径が大型化すると、使用するSiC原料も増加するため、本発明は大口径SiC単結晶成長に効果的であり、特に、口径が50mm以上の場合に大きな効果が得られる。単結晶ウェハの口径としては、通常、50mm以上である。上限としては、工業的に到達できれば特に制限はされないが、通常、300mmである。そのような結晶から、通常の加工及び研磨プロセスを経て製造される単結晶ウェハは、高純度SiC単結晶ウェハの歩留まりが高いため、製造コストの大幅削減が可能になり、安価で高純度かつ高品質なウェハ供給が可能になる。
以下に、本発明の実施例について説明する。
参考例1)
炭素原料として、ハロゲンガス中で2000℃以上の熱処理を行った高純度炭素粉体を、シリコン原料として、シリコン単結晶引き上げ用純度99.999999999%のシリコンチップを用いた。炭素原料及びシリコン原料の硼素濃度は、GDMS(グロー放電質量分析)測定でそれぞれ0.11ppm、0.001ppm以下であった。シリコンチップは、主に数mmから十数mmの大きさであり、高純度炭素粉体の平均粒度は45μmであった。これら炭素原料及びシリコン原料をそれぞれ65.9g及び154.1gに秤量し、軽く混練した後に黒鉛容器に入れた。黒鉛容器は、予め0.013Paのアルゴンガス減圧下で高周波加熱炉で約2200℃に加熱し、14時間保持する処理を行っておいた。シリコン原料及び炭素原料の混合体の入った黒鉛容器を電気加熱炉に入れ、一旦0.01Paまで真空引きした後、純度として99.9999%以上のアルゴンガスで置換して、炉内圧力を80kPaとした。この炉内圧力を調整しながら1420℃に昇温した後に、その温度で2時間維持した。さらに、引き続いて1850℃まで加熱し、その温度で2時間維持した後、室温へ降温した。得られた原料粉の一部を粉砕し、X線回折測定を行った。SiCのメインピーク強度を100%とした場合、炭素(C)の強度比は3.0%であり、珪素(Si)の強度比は0.2%以下であった。
得られた原料粉を使用し、種結晶を用いる通常の昇華再結晶法によって、直径50mm、ポリタイプが4Hである単結晶を作製した。図1に、使用した成長炉及び坩堝等々の概略図を示す。黒鉛坩堝(3)中にSiC原料(2)を充填し、その上部対向面にポリタイプが4H型の単結晶種結晶基板(1)を据え付けてあり、黒鉛坩堝を高周波コイル(7)により加熱させて、原料粉末を昇華させ、種結晶基板上に結晶成長させる方法である。雰囲気ガスとして、純度として99.9999%以上のアルゴンガスを、種結晶にはポリタイプが4H型を使用した。黒鉛坩堝は、予め0.01Paのアルゴンガス減圧下で、高周波加熱炉で約2200℃に加熱し、20時間保持する処理を行っている。この黒鉛坩堝に前述の原料粉を充填し、種結晶を所定の位置に装着して、炉内圧力を1.3×10Paに調整し、約2000℃以上の高温状態にして結晶成長を実施した。このときの結晶成長速度は約1mm/時である。このように得られた単結晶(結晶A)を成長方向に垂直な面内に平行にスライス切断し、種結晶から5mm、10mm、15mmの位置から、厚さ約0.6mmのウェハを切り出した。さらに、各ウェハのほぼ中心位置から12mm角の正方形試料を切り出し、二次イオン質量分析装置(SIMS)により、結晶中の硼素濃度を決定した。表1中の結晶A欄にその分析結果を示す。また、比較例として、炭素原料としてGDMS測定で硼素濃度2.6ppmの市販炭素粉体を用いて製造された結晶Bについても、炭素粉体以外はすべて同一条件で作製し、評価を実施した。
参考例の低硼素炭素原料を用いた結晶Aでは、結晶のほぼ全体積に亘って硼素濃度が1×1016cm−3を下回っているが、結晶Bでは、全体積に亘って1×1017cm−3を越えている。このように、本参考例の製造方法を採用することにより、結晶のほぼ全体積に亘って1×1016cm−3以下である高純度なSiCを得ることができる。
参考例2)
炭素原料として、ハロゲンガス中で2000℃以上の温度で加熱する熱処理を行った高純度炭素粉体を、シリコン原料として、シリコン単結晶引き上げ用純度99.999999999%のシリコンチップを用いた。炭素原料及びシリコン原料の硼素濃度は、GDMS(グロー放電質量分析)測定でそれぞれ0.13ppm、0.001ppm以下であった。シリコンチップは、主に数mmから十数mmの大きさであり、高純度炭素は、粉体の平均粒度が異なる2種類の粉体(平均粒径63μm(炭素原料I)及び500μm(炭素原料II))を用いた。これら炭素原料及びシリコン原料をそれぞれ74.9g及び175.1gに秤量し、軽く混練した後に、黒鉛容器に入れた。黒鉛容器は、予め0.013Paのアルゴンガス減圧下で、高周波加熱炉で約2200℃に加熱し、14時間保持する高温熱処理を行った。シリコン原料及び炭素原料の混合体の入った黒鉛容器を電気加熱炉に入れ、0.01Paまで真空引きした後、純度として99.9999%以上のアルゴンガスで置換して、炉内圧力を80kPaとした。この炉内圧力を調整しながら、1420℃に昇温した後に、その温度で2時間維持した。さらに、引き続いて1850℃まで加熱し、その温度で2時間維持した後、室温へ降温した。
炭素原料I又は炭素原料IIから得られた原料粉体(それぞれ原料粉I及び原料粉IIとする)を粉砕し、X線回折強度比により、合成されたSiCのメインピーク強度を100%としたときの残留するSi、Cの相対強度比を比較した。表2にその結果を示す。
300μm以下の炭素原料を用いた原料粉Iでは、SiCに対するX線強度比が、原料粉IIと比較して大きく、本発明である300μm以下の炭素原料を用いることで、CとSiとの反応が促進され、SiCが効率的に合成されていることが示されている。
得られた原料粉Iを使用し、参考例1と同様な条件で結晶成長を実施した。このようにして得られた単結晶(結晶I)と、原料粉IIから同様な方法で製造した単結晶(結晶II)とを成長方向に垂直な面内に平行にスライス切断し、種結晶から5mm、10mm、15mmの位置から厚さ約0.6mmのウェハを切り出した。さらに、各ウェハのほぼ中心位置から12mm角の正方形試料を切り出し、二次イオン質量分析装置(SIMS)により結晶中の硼素濃度を決定した。表3にその分析結果を示す。このように、300μm以下の炭素原料粉を採用することにより、シリコン原料との反応性を確保し、結果として高純度SiC単結晶の効率的な製造が可能になることが確認できた。
(実施例
炭素原料として、ハロゲンガス中で2000℃以上の熱処理を行った高純度炭素粉体を、シリコン原料として、シリコン単結晶引き上げ用純度99.999999999%のシリコンチップを用いた。炭素原料は、単結晶成長に用いる黒鉛坩堝と共に、予め0.013Paのアルゴンガス減圧下、高周波加熱炉で約2200℃に加熱し、15時間保持する処理を行っておいた。事前処理後の炭素原料及びシリコン原料の硼素濃度は、GDMS(グロー放電質量分析)測定でそれぞれ0.11ppm、0.001ppm以下であった。シリコンチップは、主に数mmから十数mmの大きさであり、高純度炭素粉体の平均粒度は92μmであった。これら炭素原料及びシリコン原料をそれぞれ65.9g及び154.1gに秤量し、軽く混練した後に、混合粉を先述の黒鉛坩堝に充填した。シリコン原料及び炭素原料の混合体の入った黒鉛容器を電気加熱炉に入れ、一旦0.01Paまで真空引きした後、純度として99.9999%以上のアルゴンガスで置換して炉内圧力を80kPaとした。この炉内圧力を調整しながら、1420℃まで加熱し、2時間維持した後に、更に1900℃まで加熱し、3時間維持し、降温した。
得られた原料粉Eを使用し、参考例1と同様な条件で結晶成長を実施した。このように得られた単結晶(結晶E)を成長方向に垂直な面内に平行にスライス切断し、種結晶から5mm、10mm、15mmの位置から厚さ約0.6mmのウェハを切り出した。さらに、各ウェハのほぼ中心位置から12mm角の正方形試料を切り出し、二次イオン質量分析装置(SIMS)により結晶中の窒素濃度及び硼素濃度を決定した。また、比較例として、炭素原料を予め熱処理しなかった炭素粉体を用いて製造された結晶Fについても、同様な評価を実施した。
表4にその分析結果を示す。結晶E及び結晶Fいずれの試料においても、硼素濃度は1×1016cm−3以下となる高純度なSiC結晶が得られたことがわかる。加えて、本発明の事前熱処理した炭素原料を用いた結晶Eでは、ほぼ全面に亘って窒素濃度が5×1016cm−3を下回っているが、結晶Fでは、5×1016cm−3を越えている。本発明の製造方法を採用することにより、窒素不純物濃度も十分に低減できることが示された。
本発明で用いる単結晶成長装置の一例を示す構成図である。
符号の説明
1 種結晶(SiC単結晶)、
2 SiC原料、
3 黒鉛坩堝、
4 二重石英管(水冷式)、
5 断熱材、
6 真空排気装置、
7 高周波加熱コイル、
8 高周波加熱炉。

Claims (5)

  1. 種結晶を用いた昇華再結晶法により作製される炭化珪素単結晶製造方法において、出発原料の混合及び反応させる前に少なくとも炭素原料を一旦、圧力1.3Pa以下の不活性ガス雰囲気下で温度1400℃以上2600℃以下に保持する高温熱処理を施した少なくとも1ppm以下の硼素濃度の炭素原料、及び、該炭素原料の硼素濃度より低い硼素濃度を有するシリコン原料との混合体を加熱合成して得られる炭化珪素を含む合成原料体を炭化珪素単結晶の原料として用いることを特徴とする高純度炭化珪素単結晶の製造方法。
  2. 前記炭素原料の硼素濃度が0.1ppm以下である請求項1に記載の高純度炭化珪素単結晶の製造方法。
  3. 前記炭素原料の硼素濃度が0.05ppm以下である請求項1に記載の高純度炭化珪素単結晶の製造方法。
  4. 前記シリコン原料の硼素濃度が0.01ppm以下である請求項1〜3のいずれかに記載の高純度炭化珪素単結晶の製造方法。
  5. 前記炭素原料の平均粒径が300μm以下である請求項1〜4のいずれかに記載の高純度炭化珪素単結晶の製造方法。
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