JP5146975B2 - 炭化珪素単結晶および単結晶ウェハ - Google Patents

炭化珪素単結晶および単結晶ウェハ Download PDF

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Description

本発明は、半絶縁性炭化珪素単結晶及び炭化珪素単結晶ウェハに関するものである。本発明の炭化珪素単結晶ウェハは、主として各種の半導体電子デバイス、あるいはそれらの基板として用いられる。
炭化珪素(SiC)は、優れた半導体特性を有しており、従来材であるシリコン(Si)やガリウム砒素(GaAs)等と比較して、特に耐熱性及び絶縁破壊電界等が格段に優れること等から、パワーデバイスや高周波デバイス等の各種半導体デバイス用ウェハ材料として注目されている。SiC単結晶ウェハを用いたデバイスとして、GaN系青色発光ダイオードやショットキーバリアダイオード等が既に商品化されており、また、他にも、GaN系高周波デバイス、及び、MOSFETに代表される低損失パワーデバイス用の基板材料として試作に供されている。
目下のところ、デバイス製造に適した大口径を有するSiC単結晶インゴットは、改良レーリー法を基本とする昇華再結晶法によって、製造されることが一般的になっている(非特許文献1)。この昇華再結晶法の基本は、(1)SiC単結晶ウェハを種結晶として使用し、主として黒鉛からなる坩堝中に、原料となるSiC結晶粉末を充填、(2)アルゴン等の不活性ガス雰囲気中(13.3Pa〜13.3kPa)にて、約2000〜2400℃以上の高温に加熱、(3)原料粉末に比べ、種結晶が低温側となる温度勾配が形成されるように、種結晶及び原料粉末を配置、となっており、これにより原料から発生した昇華ガスが、種結晶方向へ拡散・輸送され、種結晶上で再結晶化することにより単結晶成長が実現される。
デバイス応用に当たっては、用途に応じてウェハ材料の電気伝導度特性を制御する必要がある。そのためには、SiやGaAs等の従来半導体製造で行われているように、結晶中の不純物濃度を極力抑えた、高純度な単結晶を製造できる技術を確立することが必要であり、単結晶ウェハの電気伝導特性の精密制御を可能にする上で重要な基盤技術となっている。特に、ドナーあるいはアクセプターとなり得る不純物元素については、単結晶の電気伝導度特性に及ぼす影響が大きく、ドープ量、あるいは不純物としての混入量を精密に管理する必要がある。SiC単結晶の場合、上記不純物に該当する代表元素として窒素及び硼素が挙げられる。SiC単結晶のポリタイプにもよるがSiC結晶の約2.5〜3.0電子ボルト(eV)に及ぶ大きな禁制帯の中で、窒素は浅い位置にドナー準位を、硼素は浅い位置にアクセプター準位を形成するため、室温でも容易にイオン化され易く、窒素又は硼素原子から結晶中に放出される電子又はホールがキャリアとなって、電気伝導度を押し上げる作用を及ぼす。したがって、高周波デバイス用途等のように、SiC単結晶ウェハとして極力低い電気伝導度が要求される場合には、SiC結晶中の硼素や窒素濃度は少なくとも1×1017cm−3以下に低減する必要がある。しかしながら、不純物濃度を低減しても、アクセプター準位を形成する不純物濃度とドナー準位を形成する不純物濃度の差に対応したキャリアが残存することになり、これらの機構だけでは十分低い電気伝導度に到達し得ない。そこで、十分低い電気伝導度を得るために、半導体結晶では深い準位を形成する不純物導入や原子空孔等がしばしば検討されており、SiC結晶においても様々な検討が行われてきた。
特に、原子空孔等は、不純物添加に頼ることなく深い準位が形成される可能性があることから、結晶性と低い電気伝導度の確保の点で好ましい方法と考えられる。しかし、電気伝導度に寄与する具体的な原子空孔種は特定されていない状況であった。そこで、不純物添加に頼ることなく低い電気伝導度を確保するには電気伝導度に関与する空孔種を特定、導入することが必要であった。
十分低い電気伝導度すなわち半絶縁性を実現するには、空孔とキャリア濃度の関係から|n−n|<nを満たす必要があると考えられている。ここで、n、n及びnは、ドナー濃度、アクセプター濃度及び電気伝導度に関与する空孔濃度である。この式を満足するには、ドナー濃度及びアクセプター濃度を共に低減する必要があり、ドナー濃度に寄与する窒素不純物濃度やアクセプター濃度に寄与する硼素やアルミニウムの不純物濃度低減が求められる。しかし、現実には、窒素不純物や硼素不純物はSiC原料や黒鉛坩堝等から混入し易く、不純物濃度低減は困難である。特に、窒素は、大気中にも含まれることからより混入し易く、SiC単結晶中の不純物濃度では、窒素不純物濃度が硼素不純物濃度より上回ることが多く、結果的にn−n<nを満たす必要がある。この状況は、空孔種においても影響を与えることを意味している。つまり、ドナー濃度が高い状況であることから、さまざまな空孔種の内、空孔の荷電子状態がマイナス、つまり電子を受け取ることができる条件が付与される。加えて、空孔種に求められる条件として、特に熱的に安定であることが重要である。というのも、空孔の種類によっては熱処理によって大幅に減少するものもあり、SiC単結晶ウェハ上には、デバイス形成に必要な各種の膜の成膜工程で加熱処理する必要があるからである。それゆえ、熱処理に対してウェハの電気伝導度の変化を防止する上でも、熱処理で減少し難い空孔種であることも同時に強く望まれていた。加えて空孔の種類によっては熱処理によって大幅に減少するものが知られていることから、空孔種に求められる条件として熱的な安定性は重要であった。
Yu. M. Tairov and V. F. Tsvetkov, Journal of Crystal Growth, Vol.52 (1981) pp.146
前述のように、電気伝導度の低減に寄与する空孔種の内、求められる条件として下記の2つが挙げられる。1つは、窒素不純物濃度が硼素不純物濃度より上回ることが多いことから、空孔の荷電子状態がマイナスであること。もう1つは、熱処理に対してウェハの電気伝導度の変化を防止する上でも、熱処理で減少し難い空孔種であることである。その理由としては、SiC単結晶ウェハ上にはデバイス形成に必要な各種の膜の成膜工程で加熱処理する際に、その熱処理によるウェハの電気伝導度の変化を防止する必要があるからである。これら条件を全て満たす空孔種の特定、導入を必要としていた。
本発明は、上記事情に鑑みてなされたものであり、特定された空孔種の存在により、熱処理に対しても電気伝導度の変化し難い半絶縁性SiC単結晶及び半絶縁性SiC単結晶ウェハを提供するものである。
本発明は、半絶縁性SiC単結晶及び半絶縁性SiC単結晶ウェハを提供するものであって、
(1) 室温で1×10Ωcm以上の電気抵抗率と、液体窒素沸点温度(77K)以下において陽電子寿命測定での陽電子平均寿命が155psよりも長寿命となる結晶領域を含み、陽電子寿命で同定できる原子空孔が、複数集合した空孔クラスター、及び、空孔対(2重空孔)の内1種以上を含むことを特徴とする半絶縁性炭化珪素単結晶、
(2) 前記炭化珪素単結晶の窒素濃度が硼素濃度を上回る領域を有する上記(1)に記載の半絶縁性炭化珪素単結晶、
) 前記炭化珪素単結晶の窒素濃度が1×1017cm−3以下の領域を有する上記()に記載の半絶縁性炭化珪素単結晶、
) 前記炭化珪素単結晶の硼素濃度が5×1016cm−3以下の領域を有する上記()又は()に記載の半絶縁性炭化珪素単結晶、
) 前記炭化珪素単結晶の窒素濃度と硼素濃度の差が3×1016cm−3以下の領域を有する上記()〜()のいずれかに記載の半絶縁性炭化珪素単結晶、
) 前記炭化珪素単結晶のポリタイプが4H又は6Hである上記(1)〜()のいずれかに記載の半絶縁性炭化珪素単結晶、
) 上記(1)〜()のいずれかに記載の炭化珪素単結晶を加工、研磨してなる半絶縁性炭化珪素単結晶ウェハ、
) 前記単結晶ウェハの口径が50mm以上である上記()に記載の半絶縁性炭化珪素単結晶ウェハ、
である。
本発明によれば、空孔対を含む空孔クラスターを有することで、窒素濃度が硼素濃度より上回る状態でも電気伝導率の低減が図れ、加えて、熱処理に対しても電気伝導度の変化し難い半絶縁性SiC単結晶が得られる。このSiC単結晶から加工、研磨されたSiC単結晶ウェハを用いれば、電気的特性に優れた高耐圧・耐環境性電子デバイスを歩留まり良く作製することが可能になる。
上記事情を鑑み、発明者らは、昇華再結晶法において、熱処理に対しても電気伝導度の変化し難い半絶縁性SiC単結晶を探索する中で、特に空孔対等に注目し、空孔対と電気伝導度について詳しく調査した。その結果、二重空孔の存在が電気伝導度の低減に重要であることを新たに見出した。ここで、半絶縁性とは、室温において1×10 Ωcm以上を示すものであり、好ましくは1×1012Ωcm以上であり、上限値としては1×1040Ωcmが挙げられる。また、室温とは、通常20℃を示すこととする。
電気伝導度の低減には、一般的にドナーあるいはアクセプターを補償できる深い準位の形成が有効であり、その候補として原子空孔等の空孔欠陥が検討されてきた。SiC単結晶の場合、Si空孔及びC空孔等が挙げられるが、これらの検出方法としてはESR(電子スピン共鳴法)や陽電子消滅法等がある。中でも、陽電子消滅法は、主に陽電子が空孔部分に捕獲されることで、その空孔種を反映した消滅時間(陽電子消滅寿命)を示し、空孔種の同定等も可能となる。文献によると、SiCバルク自身の陽電子消滅寿命は136〜146ps、C空孔は142〜155ps、Si空孔は185〜194psとされ、更に大きな空孔クラスターでは、例えば、空孔対(VsiVc)等はおよそ210〜230psであり、より長い消滅寿命時間であると報告されている(Silicon Carbide, W. J. Choyke, H. Matsunami, G. Pensl (Eds.), Springer, ISSN 1439−2674 (2003))。更に、その他の空孔種として4重空孔(2VsiVc)、6重空孔(3VsiVc)や8重空孔(4VsiVc)等が挙げられ、陽電子消滅寿命としては更に長寿命であり、それぞれ250〜260ps、280〜290ps、及び320〜330psと考えられている。
観測された陽電子寿命スペクトルを基にして陽電子消滅寿命が得られるが、このスペクトル全体から求めた平均寿命は、SiCバルク陽電子寿命を含めた平均値となっており、通常、改良レーリー法で作製されるSiC単結晶の場合、SiCバルクの強度が強いことが一般的である。このように、空孔種の存在によって平均寿命は長寿命化するが、寿命時間の短いバルクとの平均値であり、得られた平均寿命は、通常空孔種の陽電子寿命よりも短くなる傾向にある。
今回、特に電気伝導度の低いSiC単結晶を陽電子消滅法による測定を行ったところ、電気伝導度の低いSiC単結晶において、Si空孔やC空孔とは異なる長い寿命を有することが初めて確認することができた。さらに、これは電気伝導度の比較的高いSiC単結晶では観測されないことがドナー濃度が高い範囲で判明しており、電気伝導度の低いSiC単結晶特有のものと結論付けられる。平均寿命が155psを越える結果から判断して、C空孔と言った短い寿命を持つ単純な原子空孔ではなく、Si空孔もしくは空孔対等の空孔が複数集合した空孔クラスター(空孔対を含む)の存在を示している。また、これら陽電子消滅測定を行った試料について、二次イオン質量分析装置(SIMS)により結晶中の不純物元素濃度を測定したところ、電気伝導度の低い試料において、全て窒素濃度が硼素濃度より高い濃度を示しており、電気伝導度の低減にはマイナス荷電状態となる空孔の存在が必要である。そのため、現在のところ観測結果からプラスの荷電状態しか見出されていないC空孔は、電気伝導度の低減に直接的に関与するものではないことがわかる。一方、Si空孔は1600℃以上の熱処理で消失するとされており(Mat. Res. Soc. Symp., Vol.640, H1.2.1)、電気伝導度の低いSiC単結晶の1600℃、30分以上の熱処理を行ったところ、電気伝導度はほとんど変化しないことが確認された。この結果から判断して、電気伝導度の低減に対しては、Si空孔の寄与より、むしろ熱的に安定とされる空孔対による寄与であると言える。このような詳細な検討を踏まえて、空孔対を含めた空孔クラスターの存在が深い準位を形成し、キャリアを供給する余剰なドナーあるいはアクセプターを補償することで、電気伝導度が低い単結晶となると結論付けるに至ったものである。つまり、空孔対を含めた空孔クラスターの存在により電気伝導率の低減が図れ、加えて、熱処理に対しても電気伝導度の変化し難い半絶縁性SiC単結晶が得られる。
このように、電気伝導率の低減には空孔対又は空孔クラスターの存在が重要であり、これらの観測は陽電子消滅方法が有効である。この陽電子消滅方法のSiC単結晶試料の測定温度については、少なくとも温度擾乱の少ない環境で測定する点からも、液体窒素沸点温度(77K)近傍又はそれ以下の低温において行うものとするが、下限値として工業的に比較的容易に到達できる液体ヘリウム沸点温度(4.2K)とする。また、Si空孔やC空孔と言った原子空孔も空孔クラスターと同時に存在することは可能であり、存在することの方が通常である。
充分な量の空孔クラスターが存在する場合、陽電子消滅による寿命測定で、平均寿命自身が155ps以上である。しかし、陽電子消滅方法による平均寿命は、Si空孔やC空孔と言った原子空孔の存在量によっても変化し、155psを下回る場合もある。この場合でも、空孔クラスターの有無は平均寿命ではなく、測定データから2成分以上の寿命成分でフィッティング解析(Silicon Carbide、W.J.Choyke,H.Matsunami.G.Pensl(Eds.).Springer,ISSN 1439−2674(2003)574頁に記載の(23.2)式)することで、寿命成分の分離が可能である点を踏まえて、その寿命成分の内、1つでもSi空孔の寿命とされる185〜194psを越えるものがある場合、空孔対を含めた空孔クラスターの存在を示していると考える。また、空孔クラスターは、複数の原子空孔の集合体であるが、この内、電気伝導率の低減に寄与する可能性のある候補の1つとして空孔対(原子空孔対VsiVc)が挙げられる。また、電気伝導率の低減に必要な空孔クラスター濃度もしくは空孔対濃度は、少なくとも1×1015cm−3以上、望ましくは1×1016cm−3以上である。加えて、ここでの空孔クラスター濃度とは、空孔対濃度を含めた濃度とする。また、このような空孔クラスターもしくは空孔対を積極的に導入する方法としては、結晶成長温度の高温化、結晶成長速度の高速化等の手段が挙げられる。
また、充分な電気伝導率の低減を図るには、空孔クラスターの存在に加えて、キャリアを形成するドナーあるいはアクセプターを可能な限り低減させておくことが重要で、原因となる不純物元素の混入低減が有効である。ドナーとなるキャリアを形成する代表的な不純物元素は窒素等が挙げられ、同様に、アクセプターとなる代表的な不純物元素は硼素等が挙げられる。充分な電気伝導度の低減を実現するには、不純物窒素濃度は1×1017cm−3以下であること、硼素濃度が5×1016cm−3以下であることが望ましく、窒素濃度と硼素濃度の差が3×1016cm−3以下であることがより望ましい。加えて、最も望ましくは、窒素濃度が硼素濃度を上回ることであり、この場合、より効果的に電気伝導率の低減を導くこととなる。また、他の不純物元素として、バナジウム元素はキャリアを捕獲する深い準位を形成するとされており、電気伝導度の更なる低減につながることから、SiC単結晶へのバナジウム元素の添加混入も可能である。
空孔クラスターの存在するSiC単結晶は、現在デバイス応用が有望視されている4H又は6Hポリタイプのいずれにおいても有効であり、また、結晶口径の大型化、特に口径が50mm以上の結晶から、通常のワイヤーソーやダイアモンド砥粒等を用いた加工及び研磨プロセスを経て製造される単結晶ウェハに対しても、デバイス形成プロセスで行われる熱処理に対しても電気伝導度の変化が生じ難く、安定した半絶縁性が得られる。その結果、当該SiC単結晶上に作製した各種デバイスの歩留まりも高くでき、製造コストの大幅削減が可能になる。なお、口径の上限は特に規定するものではないが、300mm以下を目安とするものである。
以下に、本発明の実施例について説明する。
(実施例)
種結晶を用いる通常の昇華再結晶法によって、直径50mm、ポリタイプが4Hである単結晶(インゴットI、インゴットII)を作製した。図1に、使用した成長炉及び坩堝等の概略図を示す。黒鉛坩堝(3)中にSiC原料(2)を充填し、その上部対向面にポリタイプが4H型の単結晶種結晶基板(1)を据え付けてあり、黒鉛坩堝を高周波コイル(7)により加熱させて、原料粉末から昇華させ、種結晶基板上に結晶成長させる方法である。雰囲気ガスとして純度99.9999%以上のアルゴンガスを使用した。また、SiC原料(2)に含まれる窒素濃度及び硼素濃度を二次イオン質量分析装置(SIMS)によって測定したところ、それぞれ8×1015cm−3、1.5×1016cm−3であった。
インゴットIは、炉内圧力を4×10Paに調整し、約2000℃以上の高温状態にして結晶成長を実施した。このときの結晶成長速度は約0.9mm/時である。このように得られた単結晶を成長方向に垂直な面内に平行にスライス切断し、種結晶から11mmの位置から厚さ約0.6mmのウェハ(ウェハI)を切り出した。
また、比較のため作製したインゴットIIは、炉内圧力を2.7×10Paに調整し、約2000℃以上の高温状態にして結晶成長を実施した。このときの結晶成長速度は約0.3mm/時である。このように得られた単結晶を成長方向に垂直な面内に平行にスライス切断し、種結晶から12mmの位置から厚さ約0.6mmのウェハ(ウェハII)を切り出した。
さらに、各ウェハのほぼ中心位置から12mm角の正方形試料を切り出し、77Kに冷却した状態で陽電子消滅測定を行い、陽電子寿命評価をおこなった。その後、同一試料を用いて室温での電気抵抗率を測定した。表1に、ウェハIとウェハII試料における陽電子平均寿命、電気抵抗率の測定結果を示す。
この実施例では、ウェハIから切り出した試料が155psを超えており、さらに陽電子消滅寿命測定データから2成分の寿命成分でフィッティング解析を行ったところ、2つの寿命は142psと222psであった。この点から、本発明の空孔クラスターを含むSiC単結晶試料であり、特に222psの寿命成分が分離されていて、この値が空孔対の陽電子寿命に近いことから空孔対を含むSiC単結晶試料であると判断できる。また、この試料では、電気抵抗率も1×10 Ωcm以上であることが確認できる。逆に、ウェハIIから切り出した試料では、平均寿命が155ps以下であり、十分な空孔クラスターを有していないと判断されるが、やはり電気抵抗率も1×10 Ωcm未満と小さいことがわかる。
ウェハIから切り出した試料について、二次イオン質量分析装置(SIMS)による結晶中の窒素及び硼素濃度を測定したところ、窒素及び硼素濃度は、それぞれ2.5×1016cm−3、1.2×1016cm−3であり、窒素濃度は1×1017cm−3以下、硼素濃度も5×1016cm−3以下で、かつ、窒素濃度と硼素濃度の差が3×1016cm−3以下で、窒素濃度が硼素濃度を上回っていることがわかる。なお、念のため、アクセプターになり得るアルミニウム濃度を測定したところ、6×1014cm−3であった。
また、ウェハIから切り出した試料を真空度1.3×10−3Paで1650℃30分の熱処理を行った後に電気抵抗率を測定したところ、室温において7.9×10Ωcmであり、ほとんど変化しなかった。
このように、本発明で述べたように、空孔クラスターの存在が認められるSiC単結晶試料においては、熱処理に対しても電気伝導度の変化し難い半絶縁性を示すことが明らかとなった。
本発明で用いる単結晶成長装置の一例を示す構成図である。
符号の説明
1…種結晶(SiC単結晶)、
2…SiC粉末原料、
3…グラファイト坩堝、
4…二重石英管(水冷式)、
5…断熱材、
6…真空排気装置、
7…高周波加熱コイル。

Claims (8)

  1. 室温で1×10Ωcm以上の電気抵抗率と、液体窒素沸点温度(77K)以下において陽電子寿命測定での陽電子平均寿命が155psよりも長寿命となる結晶領域を含み、陽電子寿命で同定できる原子空孔が、複数集合した空孔クラスター、及び、空孔対(2重空孔)の内1種以上を含むことを特徴とする半絶縁性炭化珪素単結晶。
  2. 前記炭化珪素単結晶の窒素濃度が硼素濃度を上回る領域を有する請求項1に記載の半絶縁性炭化珪素単結晶。
  3. 前記炭化珪素単結晶の窒素濃度が1×1017cm−3以下の領域を有する請求項に記載の半絶縁性炭化珪素単結晶。
  4. 前記炭化珪素単結晶の硼素濃度が5×1016cm−3以下の領域を有する請求項又はに記載の半絶縁性炭化珪素単結晶。
  5. 前記炭化珪素単結晶の窒素濃度と硼素濃度の差が3×1016cm−3以下の領域を有する請求項のいずれかに記載の半絶縁性炭化珪素単結晶。
  6. 前記炭化珪素単結晶のポリタイプが4H又は6Hである請求項1〜のいずれかに記載の半絶縁性炭化珪素単結晶。
  7. 請求項1〜のいずれかに記載の炭化珪素単結晶を加工、研磨してなる半絶縁性炭化珪素単結晶ウェハ。
  8. 前記単結晶ウェハの口径が50mm以上である請求項に記載の半絶縁性炭化珪素単結晶ウェハ。
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