JP4424723B2 - 導電性被膜複合体 - Google Patents

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、基材上に導電性被膜を形成してなる導電性被膜複合体に関し、例えば、電子機器における電磁遮蔽、建材や自動車の赤外線遮蔽、基板やカード、チューブ等への細線や回路の形成等に有効な導電性被膜複合体に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
導電性被膜複合体は、ブラウン管の電磁遮蔽、建材や自動車の赤外線遮蔽、電子機器や携帯電話の静電気帯電防止材、回路基板やICカードの配線、樹脂に導電性を付与するためのコーティング、回路自体等の広い分野で用いられる。
【0003】
導電性被膜複合体の導電性被膜の形成方法としては従来から、例えば、基材の片面全面もしくは部分的に、金属の真空蒸着、化学蒸着、イオンスパッタリング等が行われてきた。しかしながら、これらの方法は真空系又は密閉系での作業を必要とするため、操作が煩雑なうえ、量産性に乏しく高価であるという問題があった。
【0004】
そこで、特許文献1では、金属粒子を分散媒に分散させた金属コロイド液を基材上に塗布し、加熱焼成することにより導電性被膜を得る方法が提案されている。この方法によれば、真空系又は密閉系での作業を必要とせず、簡便な操作で、安価に導電性被膜を得ることができる。
【0005】
【特許文献1】
特開2001−35255号公報(公開日2001年2月9日)
【0006】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許文献1の導電性被膜は、実用上充分な導電性を得るために200℃以上の高い温度で加熱し焼成する必要があるため、耐熱性に乏しい樹脂等の基材上に形成できないという問題があった。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたものであり、その目的は、耐熱性に乏しい基材上にも導電性被膜を形成可能で、基材との密着性に富み、電気抵抗が小さく安定した導電性を有する導電性被膜複合体を提供することにある。
【0008】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、導電性被膜を、以下のような中間層と接するように形成することにより、従来では導電性を発現させるために高い温度での加熱処理が必要なところ、加熱を必要としないか又は熱に弱い基材が変形しない温度で加熱することにより、導電性被膜複合体を得ることができることを見出した。
【0009】
すなわち、上記中間層として、基材との密着性が高く表面粗さの小さい水溶性樹脂もしくは親水性樹脂で中間層を形成することにより、安定な高導電性を示す導電性被膜複合体を形成することができることを見出し、本発明を完成するに至った。
【0010】
すなわち、上記の課題を解決するため、本発明の導電性被膜複合体は、基材上に、金属コロイド液を乾燥することにより形成される導電性被膜を積層形成してなる導電性被膜複合体において、上記導電性被膜と基材との間に、水溶性樹脂もしくは親水性樹脂からなり、JIS B 0601による十点平均表面粗さRzが3μm以下である中間層が介され、上記導電性被膜は、体積抵抗率が10×10-5Ω・cm以下であることを特徴としている。
【0011】
上記の構成によれば、真空系又は密閉系での作業を必要とせず、簡便な操作で、安価に導電性被膜を得ることができる。さらに、加熱を必要としないか熱に弱い基材が変形しない程度の温度で加熱することにより形成できるため、耐熱性に乏しい基材にも導電性被膜を形成することができる。
【0012】
本発明の導電性被膜複合体は、基材上に中間層を介して導電性被膜を形成するため、金属コロイド水溶液をはじくなど、金属コロイド水溶液を塗布することができない基材に対しても形成することが可能である。
【0013】
上記導電性被膜の主成分は、金、銀、銅、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、イリジウムおよびオスミウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属であることが好ましい。
【0014】
【発明の実施の形態】
本発明の実施の一形態について、以下に詳細に説明する。
【0015】
本発明にかかる導電性被膜複合体は、基材と、水溶性樹脂もしくは親水性樹脂からなる中間層と、金属コロイド液を塗布し乾燥することにより形成される導電性被膜とからなる。
【0016】
上記導電性被膜複合体は、基材上に中間層を形成し、その上に金属コロイド液を乾燥させることで導電性被膜を形成することで得ることができる。上記導電性被膜は、金属コロイド水溶液を塗布等により表面に存在させるようにし、加熱焼成をしないか、熱に弱い基材が変形しない温度で焼成することにより形成される。
【0017】
本発明によれば、導電性被膜を製造する際に加熱を必要としないか又は熱に弱い基材が変形しない温度で加熱すればよいので、比較的熱に弱い基材を使用することができる。
【0018】
すなわち、通常では導電性を発現させるために高い温度での加熱処理が必要なところ、加熱を必要としないか又は熱に弱い基材が変形しない温度で加熱することにより、導電性被膜複合体を得ることができる。
【0019】
上記中間層に積層して低温で形成した導電性被膜が高温で加熱焼成した被膜に比べ遜色のない導電性を示す理由は必ずしも明白ではないが、導電性に悪影響を及ぼす成分が水系溶媒とともに中間層に吸収され、金属粒子同士があたかも高温焼成した場合と同等の接触状態になるためと推定される。
【0020】
ここで、金属コロイド液より形成される導電性被膜を、少なくとも多孔質の無機フィラーを含有する中間層と接するように形成することによっても、加熱を必要としないか又は熱に弱い基材が変形しない温度で加熱することで導電性被膜複合体を得ることができる。
【0021】
これに対し、本実施形態では、基材との密着性が高く表面粗さの小さい水溶性樹脂もしくは親水性樹脂で中間層を形成することにより、上記のように多孔質の無機フィラーを含有する中間層を用いる構成と比べて、さらに安定な高導電性を示す導電性被膜複合体を形成することができることを見出した。
【0022】
すなわち、中間層を水溶性もしくは親水性の樹脂で形成することにより、多孔質の無機フィラーを含有する樹脂で形成する場合に比して、基材と中間層との密着が良好になり、中間層の表面の凹凸が少なくなる。
【0023】
したがって、導電性被膜は、凹凸の少ない中間層表面に接するように形成されるため、導電性被膜自体についても凹凸の少ないものとすることができ、高導電性を示す。
【0024】
また、中間層を水溶性もしくは親水性の樹脂で形成することにより、中間層が、金属コロイドの媒体である水もしくは水性媒体と親和性を有することになるので、金属コロイド液を例えば塗布し乾燥する等の処理により形成された導電性被膜と中間層とを強く密着させることができる。
【0025】
これによっても、導電性被膜表面の凹凸が少なくなるため、安定した高い導電性を示す導電性被膜複合体を得ることができる。
【0026】
上記基材としては特に限定されず、例えば、紙やPET(ポリエチレンテレフタレート)製シート、ポリカーボネ−ト等比較的熱に弱い基材;アルミナ焼結体、フェノール樹脂、ガラスエポキシ樹脂、ガラス等からなる基材;ガラス、樹脂、セラミックス等からなる建材;樹脂やセラミックス等で表面が形成された電子機器等を挙げることができる。
【0027】
本発明において、中間層に用いる水溶性樹脂もしくは親水性樹脂としては、例えば、ポリビニルアルコール、シリル変性ポリビニルアルコール、アニオン変性ポリビニルアルコール、カチオン変性ポリビニルアルコール、完全又は部分けん化のポリビニルアルコール、アセトアセチル化ポリビニルアルコール、カルボキシル変性ポリビニルアルコール、オレフィン変性ポリビニルアルコール等のポリビニルアルコール類;カチオン化澱粉、両性澱粉、酸化澱粉、酵素変性澱粉、熱化学変性澱粉、エステル化澱粉、エーテル化澱粉等の澱粉類;カルボキシメチルセルロース、ヒドロキシエチルセルロース、カチオン化ヒドロキシエチルセルロース等のセルロース誘導体;カゼイン、ゼラチン、大豆蛋白、アルブミン、アラビアゴム、アルギン酸ソーダ等の天然樹脂;メラミン樹脂、尿素蛋白、ポリウレタン樹脂、不飽和ポリエステル樹脂、塩化ビニル−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルブチラール、アルキッド樹脂等の溶剤可溶性の合成樹脂;ポリ酢酸ビニル、スチレン−(メタ)アクリル酸エステル共重合体、酢酸ビニル−(メタ)アクリル酸(エステル)共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリビニルピロリドン、ポリエステル、ポリスチレン、ポリ(メタ)アクリルアミド、(メタ)アクリルアミド系共重合体、スチレン−イソプレン共重合体、エチレン−プロピレン共重合体、ポリビニルエーテル、エピクロルヒドリン系樹脂、エポキシ系樹脂、ポリエチレンイミン系樹脂、ポリアミド系樹脂;無水マレイン酸樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、メチルメタクリレート−ブタジエン共重合体等の共役ジエン系共重合体ラテックス;(メタ)アクリル酸エステルの重合体又は共重合体、(メタ)アクリル酸の重合体又は共重合体等のアクリル系重合体ラテックス;エチレン−酢酸ビニル共重合体等のビニル系重合体ラテックス;これらの各種重合体ラテックスにアニオン性基及び/又はカチオン性基が付与された官能基含有変性重合体ラテックス類等を挙げることができる。これらは単独で用いられても良く、2種以上が併用されても良い。
【0028】
上記中間層には、添加剤として界面活性剤、増粘剤、消泡材、抑泡剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤等を製造条件、要求性能に応じて適宜使用しても構わない。
【0029】
上記中間層は、上記水溶性樹脂もしくは親水性樹脂からなる塗工液を基材上に塗布し、乾燥することにより得られる。
【0030】
上記中間層の形成態様としては特に限定されず、例えば、基材上に上記塗工液を塗布すればよい。上記塗工液を塗布する方法としては特に限定されず、例えば、スプレーコーター、ブレードコーター、エアーナイフコーター、ロールコーター、リバースロールコーター、バーコーター、カーテンコーター、ダイスロットコーター、グラビアコーター、チャンプレックスコーター、ブラシコーター、ツーロール、メータリングブレード式のサイズプレスコーター、ゲートロールコーター、ビルブレードコーター、ショートドウェルコーター等の塗工装置や、プレウェット法、フロート法、スクイズロール方式、ドクターバー方式等の通常の含浸装置を用いる方法を挙げることができる。
【0031】
上記塗工液を基材に塗工した後常温にて乾燥、又は、必要に応じて加熱して乾燥し、中間層を得ることができる。
【0032】
上記塗工液としては、インクジェット記録紙用の材料として公知のものを使用することもできる。従って、中間層の上にインクジェットプリンタによって自在に描画することができる。
【0033】
基材上に中間層を形成することで、金属コロイド水溶液をはじくなど、金属コロイド水溶液を直接塗布できない基材にも導電性被膜を形成することが可能となる。
【0034】
基材上に中間層を形成する際、それでも基材と中間層との濡れ性が悪い場合には、基材を表面処理し、濡れ性を向上させることができる。表面処理方法としては、公知の手法を用いることができ、例えば、物理的に表面を荒らす方法;プラズマ処理、オゾン処理、コロナ処理等の乾式化学処理法;クロム酸混液、濃硫酸、濃塩酸中に浸漬させる方法;シランカップリング剤やチタネートカップリング剤による湿式化学処理等を挙げることができる。これらの方法は単独で用いられても良く、2種以上が併用されても良い。
【0035】
上記中間層の表面粗さ(Rz)としては、JIS B 0601による十点表面粗さが、3μm以下であることが必要である。3μmを超えると導電性が低く不安定になる。より好ましくは、1μm以下である。
【0036】
上記中間層の厚さは、3〜150μmであることが好ましい。3μm未満であると、金属コロイド液の媒体である水を充分に吸収せず、形成した導電性被膜の導電性が低くなる傾向がある。また、あまりに厚いと基材を曲げたときにクラックが入るおそれがあるため、より好ましい下限値は5μmであり、より好ましい上限値は100μmである。
【0037】
上記導電性被膜は、金属コロイド水溶液を塗布等により表面に存在させるようにし、加熱焼成をしないか、熱に弱い基材が変形しない温度で焼成することにより形成される。
【0038】
上記金属コロイド水溶液は、金属粒子、それに吸着する分散剤、及び、分散媒からなる。
【0039】
上記金属粒子としては特に限定されず、金、銀、銅、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、オスミウム等からなるものを挙げることができる。これらの中でも、金、銀、銅、白金、パラジウムが好ましく、より好ましくは金、銀である。これらの金属は単独で用いられても良く、2種以上が併用されても良い。
【0040】
特に、銀を用いる場合には、銀とその他の金属を併用することが望ましい。銀を用いると、その金属コロイド溶液を用いて形成される導電性被膜の導電率が良好となるが、マイグレーションの問題を考慮する必要が生じる。銀とその他の金属を併用することにより、上記マイグレーションが起こりにくくなる。上記その他の金属としては、金、銅、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、イリジウム、オスミウム等を挙げることができる。中でも、金、銅、白金、パラジウムが好適である。
【0041】
上記分散媒としては、水及び/又は水溶性溶剤が好ましい。分散媒として水及び/又は水溶性溶剤を用いることにより、金属コロイド液を焼成して導電性被膜を製造する際、溶剤臭が強くならず、環境にも悪影響が少ない。
【0042】
上記コロイド液は分散剤を含有するようにすることができる。上記分散剤としては、分散媒に溶解し分散効果を示すものであれば特に限定されず、例えば、クエン酸三ナトリウム、クエン酸三カリウム、クエン酸三リチウム、リンゴ酸二ナトリウム、酒石酸二ナトリウム、グリコール酸ナトリウム等のイオン性化合物;ドデシルベンゼンスルホン酸ナトリウム、オレイン酸ナトリウム、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、パーフルオロアルキルエチレンオキシド付加物等の界面活性剤;ゼラチン、アラビアゴム、アルブミン、ポリエチレンイミン、ポリビニルセルロース類等の高分子物質等を挙げることができる。これらの分散剤は単独で用いられても良く、2種以上が併用されても良い。
【0043】
上記中間層上に金属コロイド水溶液を塗布する方法としては特に限定されず、例えば、ディッピング、スクリーン印刷、スプレー方式、バーコード法、スピンコート法、インクジェット法、ディスペンサー法、刷毛による塗布等を挙げることができる。
【0044】
上記導電性被膜複合体を、基材を痛めず、変形しない条件下でさらに加熱して熟成することもできる。上記加熱方法としては、特に限定されず、例えば、オーブン中で加熱する方法の他、誘電加熱法、高周波加熱法等を挙げることができる。
【0045】
上記導電性被膜は、金属コロイド液を高温で加熱焼成して得た導電性被膜に比べて遜色のない導電性を示し、ブラウン管の電磁波遮蔽、建材又は自動車の赤外線遮蔽、電子機器や携帯電話の静電気帯電防止材、回路基板やICカードの配線、樹脂に導電性を付与するためのコーティング、回路自体等に用いることができる。
【0046】
【実施例】
以下、実施例および比較例により、本発明をさらに詳細に説明するが、本発明はこれらにより何ら限定されるものではない。
【0047】
〔実施例1〕
(1)中間層の形成
ポリビニルアルコール(PVA−117、クラレ(株)製)を10重量%になるように水に溶解させて、塗工液を作成した。上記塗工液を、ガラスに乾燥時の厚さが約40μmとなるように、バーコーターにより塗工した。その後塗工した中間層を、100℃、10分の条件で乾燥し、中間層を形成した。
【0048】
(2)金属コロイド液の作製
分散剤としてクエン酸ナトリウム二水和物(和光純薬工業(株)製)17.0gと還元剤としてタンニン酸(和光純薬工業(株)製)0.70gとを水280gに溶解させた水溶液に、10Nの水酸化ナトリウム水溶液3mlを加え、次いで室温雰囲気中でマグネティックスターラーにより撹拌しながら硝酸銀(和光純薬工業(株)製)1.97gを含む水溶液3mlを滴下して銀粒子を含む溶液を得た。得られた銀粒子を含む溶液を限外濾過器(ADVANTEC(株)製、ウルトラフィルターQ0500)を用いて脱塩した。CM−20S(東亜電波工業(株)製)で測定した濾液の電導度が、100μS/cm以下になるまで脱塩を繰り返した後20mlまで濃縮し、この濃縮液を3000rpmで10分間遠心分離した。このとき、下層の沈殿と上層の分散液に分離するが、この上層の分散液を銀コロイド水溶液として採取した。
【0049】
(3)導電性被膜複合体の形成
中間層上に銀コロイド水溶液を刷毛で塗布し、常温で乾燥した。薄い導電性被膜を得るために、1回の塗布と乾燥を行い、導電性被膜複合体を形成した。得られた導電性被膜の厚さは、導電性被膜の重量を金属の比重で除し、更に導電性被膜の幅及び長さで除して求めた。
【0050】
〔実施例2〕
基材にコロナ処理したPET製シートを用いた以外は、実施例1と同様にして、導電性被膜を形成した。
【0051】
次に、上記実施例に対する比較例について説明する。
【0052】
〔比較例1〕
中間層の形成において、ポリビニルアルコール(PVA−117、クラレ(株)製)と多孔質炭酸カルシウム(カルライトKT、(株)白石中央研究所製)を100重量部:150重量部の割合で配合し、20重量%になるように水を溶解させて塗工液を作製した。上記塗工液をPET製シートに、乾燥時の厚さが約40μmになるように、バーコーターにより塗工し、その後、上記のように塗工した中間層を、100℃、10分の条件で乾燥し、中間層を形成した。それ以外は、実施例1と同様にして導電性被膜を形成した。
【0053】
〔比較例2〕
導電性被膜の形成において、厚い導電性被膜を得るために、中間層上に刷毛による銀コロイド水溶液の塗布と乾燥とを5回繰り返した以外は、比較例1と同様にして導電性被膜を形成した。
【0054】
〔比較例3〕
PET製シートの上に中間層を形成する代わりに、コロナ処理を施したPET製シートに直接、銀コロイド水溶液の塗布と乾燥を行い、所望の厚さの導電性被膜を得るために、銀コロイド水溶液の塗布と乾燥を繰り返し行った以外は実施例1と同様にして導電性被膜を形成した。
【0055】
実施例1〜2、及び、比較例1〜3で得られた導電性被膜について以下のように密着性、中間層の表面粗さ、被膜の導電性の評価を行った。
【0056】
(密着性)
導電性被膜にメンディングテープ(3M社製スコッチテープ、810−1−18)を貼り、消しゴムで擦ることにより導電性被膜とテープの間の空気を抜いて密着させ、60秒後にメンディングテープを剥離した。
【0057】
(中間層の表面粗さ)
表面粗さの測定は、JIS B 0601に基づいて行った。
【0058】
中間層を形成したものの中間層の表面粗さ(Rz)を表面粗さ計により測定した。比較例3のように、中間層がない場合は、基材の表面粗さを測定した。
【0059】
(被膜の導電性)
被膜の電気抵抗をダブルブリッジ2769(横河M&C社製)により測定し、体積抵抗率を下記式を用いて算出した。
ρv=RWT/L
ρv:体積抵抗率(Ω・cm)
R:測定端子間の被膜の電気抵抗(Ω)
W:測定端子間の被膜の幅(cm)
T:測定端子間の被膜の厚さ(cm)
L:測定端子間の被膜の長さ(cm)
ただし、比較例1の被膜の体積定抵抗率は測定可能範囲の上限を超えていた。
【0060】
実施例1〜2及び、比較例1〜3で得られた被膜について、密着性、中間層の表面粗さ、被膜の導電性の評価の結果を表1に示す。総合評価は、密着性が良好で、体積抵抗率が10×10-5Ω・cm以下のものを○とし、そうでないものを×とした。
【0061】
【表1】
Figure 0004424723
【0062】
表1に示した結果より、基材上に中間層を設け、その上に導電性被膜を形成することにより、基材−中間層間および中間層−導電性被膜間の密着性が向上することがわかった。
【0063】
さらに、表1に示した結果より、基材との密着性を有する水溶性樹脂もしくは親水性樹脂からなる中間層を設けることにより、加熱無しもしくは低温加熱で、安定で高い導電性を示す導線性被膜が得られることがわかった。
【0064】
特に、中間層を水溶性樹脂もしくは親水性樹脂で形成することにより、中間層の表面粗さが小さな値となることがわかる。このことが、充分高い導電性に寄与しているのではないかと推定される。
【0065】
【発明の効果】
以上のように、本発明の導電性被膜複合体は、基材上に、金属コロイド液を乾燥することにより形成される導電性被膜を積層形成してなる導電性被膜複合体において、上記導電性被膜と基材との間に、水溶性樹脂もしくは親水性樹脂からなり、JIS B 0601による十点平均表面粗さRzが3μm以下である中間層が介され、上記導電性被膜は、体積抵抗率が10×10-5Ω・cm以下である構成である。
【0066】
これにより、真空系又は密閉系での作業を必要とせず、簡便な操作で、安価に導電性被膜を得ることができるという効果を奏する。さらに、加熱を必要としないか熱に弱い基材が変形しない程度の温度で加熱することにより形成できるため、耐熱性に乏しい基材にも導電性被膜を形成することができるという効果を奏する。

Claims (2)

  1. 基材上に、金属コロイド液を乾燥することにより形成される導電性被膜を積層形成してなる導電性被膜複合体において、
    上記導電性被膜と基材との間に、水溶性樹脂もしくは親水性樹脂からなり、JIS B 0601による十点平均表面粗さRzが3μm以下である中間層が介され、
    上記導電性被膜は、上記中間層と接するように形成されており、体積抵抗率が10×10−5Ω・cm以下であることを特徴とする導電性被膜複合体。
  2. 上記導電性被膜の主成分が、金、銀、銅、白金、パラジウム、ロジウム、ルテニウム、イリジウムおよびオスミウムからなる群より選ばれる少なくとも1種の金属であることを特徴とする請求項1記載の導電性被膜複合体。
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