JP4424221B2 - 赤外線放射素子及びそれを用いたガスセンサ - Google Patents

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Description

本発明は赤外線放射素子及びそれを用いたガスセンサに関するものである。
赤外放射源から放射される赤外線の吸収を測定することによる各種の分析装置(例えば、赤外線ガス分析計など)が使用されている。これらの分析装置で赤外放射源として従来用いられているのは、ハロゲンランプであり、このものは大型であって寿命が比較的短いため、赤外線を利用してガスを検出する小型のガスセンサへの適用は容易ではない。なお、透光性の気密容器内に放射体としてのフィラメントを収納したハロゲンランプのような赤外放射源を用いて、フィラメントの形状や放射特性などを改良することにより小型化を図ったものもある。しかし、気密容器が必要となるために、小型のガスセンサへの適用は容易ではない。
そこで、小型化が可能な赤外放射源として、マイクロマシンニング技術を利用して形成する赤外線放射素子が研究開発されており、特許文献1〜3には、この種のものが開示されている。ここで、特許文献1〜3では、シリコン基板などをマイクロマシンニング技術により加工して形成した矩形枠状の支持基板の一表面側において2点間に線状の発熱体を架け渡したマイクロブリッジ構造の赤外線放射素子が記載されている。なお、この種のマイクロブリッジ構造の赤外線放射素子は、線状の発熱体への通電に伴うジュール熱により発熱体から赤外線を放射させるものである。
ところで、赤外線の吸収を利用してガスを検出するガスセンサにおいて検出精度を高くするためには、赤外線放射素子から放射される赤外線の放射量を安定させ短時間で計測することが望ましい。上述のマイクロブリッジ構造の赤外線放射素子では、支持基板が矩形枠状に形成されており、線状の発熱体の周囲が空気なので、発熱体と発熱体周囲との熱容量差を大きくすることができ、発熱体へ流す電流のオンオフに高速で応答するようになっている。
これを改良した赤外線放射素子として、図17に示すものがあげられる。この赤外線放射素子は、シリコン等の支持基板1の一表面側に支持基板1よりも熱伝導率の小さい多孔質の断熱層3が形成されるとともに、断熱層3よりも熱伝導および導電率それぞれが大きな発熱体層2が、断熱層3の表面側に形成されている構造となっている。そして、発熱体層2にパッド4、4を介して通電することにより発熱させることで発熱体層2から赤外線が放射される。この赤外線放射素子は、発熱体が層状に形成されるとともに断熱層全体で支持されているので、従来のように発熱体が線状に形成されている赤外線放射素子に比べて、赤外線の放射量を増加させることができるとともに、長寿命化を図ることができる。
特開平9−153640号公報 特開2000−236110号公報 特開平10−294165号公報
ところで、図17に示す赤外線放射素子では、素子が小型であるために、発熱体層の温度は、場所によらず略一定となるために、このものから放射される赤外線の波長も略一定となる。したがって、この赤外線放射素子をガスセンサに用いた場合には、検出対象となるガスの吸収波長と、当該赤外線放射素子から放射される赤外線の波長ピークとが一致するときには、高感度のガスセンサを提供することができる。
しかしながら、検出ガスが異なるたびごとに、このガスの吸収波長に合致するように、赤外線放射素子を設計し直すことは容易ではない。さらに、複数のガスを同時に検出するには、波長可変フィルタや複数の波長フィルタが必要となり、高価格となるだけでなく、検出感度が低下するおそれがあった。
本発明は、上記の課題に鑑みなされたものであって、その目的とするところは、フィルタを用いることなく、小型・低コストで、適当な波長分布を有する赤外線放射素子と、これを用いた、複数種類のガスを同時に検出できるガスセンサを提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明の赤外線放射素子は、発熱体への通電により発熱体を発熱させることで発熱体から赤外線が放射される赤外線放射素子であって、支持基板の一表面側に支持基板よりも熱伝導率の小さい多孔質の断熱層が形成されるとともに、断熱層よりも熱伝導および導電率それぞれが大きな層状の発熱体が断熱層の表面側に形成されてなる赤外線放射素子において、発熱体に通電している時に、発熱温度が発熱体の場所によって異なるものであることを特徴している。
本発明の赤外線放射素子は、発熱体に通電している時に、発熱温度が発熱体の場所によって異なるものであるので、フィルタを用いることなく、小型・低コストで、適当な波長分布を有する赤外線を放射することができる。このため、この赤外線放射素子を用いたガスセンサは、複数種類のガスを同時に検出できる。
(実施形態1)
本実施形態の赤外線放射素子について図1〜3に基づいて説明する。本実施形態の赤外線放射素子は、発熱体層21、22への通電により、これを発熱させることで赤外線が放射されるものである。図1に示すように、半導体の支持基板1の厚み方向の一表面側に支持基板1よりも熱伝導率が十分に小さな断熱層3が形成され、断熱層3よりも熱伝導率および導電率それぞれが大きな層状の発熱体層21、22が断熱層3上に形成され、この上に通電用の一対のパッド(電極)4、4が形成されている。ここで、図1(b)に示すように、発熱体層21の方が、発熱体層22よりも厚さが薄くなっている。このため、単位長当りの電気抵抗値は、発熱体層22よりも発熱体層21の方が大きく、通電方向で場所によって電気抵抗値が異なる構造になっている。支持基板1として単結晶のシリコン基板(P型、低効率10Ωcm、面方位(100)、圧さ525μm)を用いており、断熱層3は、多孔質シリコン層により構成されている。また、発熱体層21、22は、タングステン薄膜により構成されており、各パッド4、4は金属材料(例えば、アルミニウムなど)により構成されている。ただし、支持基板1は、上記例の材料・形状に限定されるものではなく、また、発熱体層21、22も、上記例に限定されるものではなく、断熱層3よりも熱伝導率および導電率それぞれが大きな材料であればよい。
以下に、本実施形態の赤外線放射素子の製造方法を説明する。まず、図2に示すように、支持基板1の表面片側に下部電極5を取り付けた後に、断熱層3を形成する以外の部分をフッ素樹脂等によって被覆することにより、マスク層6を形成する。そして、このものを50wt%のフッ化水素水溶液とエタノールとを1:1で混合した電解液7に浸し、支持基板1と対向配置した白金電極8を陰極とし、下部電極5を陽極として、電源9から電流を通電することにより、陽極酸化処理をすることによって、支持基板1のシリコンを多孔質化して、断熱層3を形成する。本実施形態では、50mA/cm2の電流を約8分間通電することにより、深さ50μm、多孔度75%の断熱層3を形成している。ここで、多孔質シリコン層は、多孔度が高くなるにつれて熱伝導率および熱容量が小さくなるので、断熱層3は、支持基板1よりも熱伝導率および熱容量が小さくなっている。このために、多孔質シリコン層は、断熱層としての機能を有することになる。
次に、断熱層3上にスパッタ法により、厚さ40μmのタングステン薄膜を形成する(メタルマスク法)ことにより発熱体層21が形成され、厚さ70μmのタングステン薄膜を形成することにより発熱体層22が形成される。このとき、発熱体層21、22のそれぞれに応じた形状のメタルマスクを用いて成膜することにより、図1(a)に示す形状の発熱体層21、22を形成することができる。
さらに、メタルマスク法により、厚さ300nmのアルミニウム薄膜を支持基板1又は断熱層3上にスパッタ法で形成することにより、図1に示す形状のパッド4、4が作成される。なお、メタルマスク法以外として、リフトオフ法やエッチング法でも図1に示す形状のパッド4、4を形成することが可能である。
以下に、本実施形態の赤外線放射素子の動作について説明する。この赤外線放射素子のパッド4、4を介して発熱体層21、22に電流を通電すると、発熱体層21、22が発熱して、赤外線が放射される。ここで、発熱体層21、22の熱伝導率および導電率が断熱層3よりも大きく、しかも、発熱体層21、22が層状に形成されるとともに断熱層3全体で支持されているので、応答性に優れ、多量の赤外線の放射量を放射することができるとともに、素子としての寿命が長いものとなる。
本実施形態の赤外線放射素子に周波数が数10Hzの矩形波の交流電流を通電すると、発熱体層21、22は発熱・冷却が繰り返されることになり、過熱されることがなくなる。このとき、電気抵抗値が大きい発熱体層21の方が、電気抵抗値の小さい発熱体22よりも、発熱量が大きくなるので、発熱体層21の温度変化は図3(a)のように到達温度が高温となり、発熱体層22の温度変化は図3(b)のように到達温度が低温となる。
ここで、発熱体層21、22から放射される赤外線のピーク波長λは、発熱体層21、22の温度に依存し、ピーク波長をλ(μm)、発熱体層21、22の温度をT(K)とすれば、ピーク波長λは、λ=2898/Tとなる。したがって、この赤外線放射素子からは、発熱体層21から波長の比較的短い赤外線と、発熱体層22から波長の比較的長い赤外線との2種類の波長の赤外線が放射されることになる。このため、図17に示す従来のものと比べて、本実施形態の赤外線放射素子は、放射される赤外線の波長の分布が広いものとなっている。
以上より、本実施形態の赤外線放射素子は、発熱体への通電により発熱体を発熱させることで発熱体から赤外線が放射される赤外線放射素子であって、支持基板の一表面側に支持基板よりも熱伝導率の小さい多孔質の断熱層が形成されるとともに、断熱層よりも熱伝導および導電率それぞれが大きな層状の発熱体が断熱層の表面側に形成されてなる赤外線放射素子において、発熱体に通電している時に、発熱温度が発熱体の場所によって異なるものであるので、放射される赤外線の波長が広い分布を有するものとなる。このために、フィルタを用いることなく、小型・低コストで、適当な波長分布を有する赤外線を放射することができる。また、この赤外線放射素子を用いたガスセンサは、複数種類のガスを同時に検出できる。
また、本実施形態の赤外線放射素子は、発熱体の電気抵抗値が、通電方向で場所によって異なるので、発熱体に通電している時に、発熱温度が発熱体の場所によって異なるものとすることができる。
さらに、本実施形態の赤外線放射素子をガスセンサとして用いることにより、複数種類のガスの吸収波長の赤外線を放射して吸収状態を測定することが可能となり、複数種類のガスを同時に検出できる。また、複数種類のガスに対応したガスセンサを提供することができるので、検出するガスの種類が変化しても、対応する赤外線放射素子の設計をやり直すことが不要となり、設計時間の短縮を図ることができる。
本実施形態の赤外線放射素子は、発熱体層の厚さを変化させることによって、その電気抵抗値を通電方向で場所によって異なるものとしているが、これに限られるものではない。例えば、図4に示すように、発熱体層を導電率の大きい材料からなる部分23と、導電率の小さい材料からなる部分24とからなる構造とすることにより、発熱体の電気抵抗値を通電方向で場所によって異なるものとすることができる。ここで、発熱体の導電率を変えるには、その材料を変えて成膜することによって可能である。このような発熱体層は、発熱体層の部分ごとに分けてスパッタで成膜することにより、形成することができる。また、発熱体としてシリコンのような半導体材料を用いて、材料のドーパント濃度を変化させることにより、導電率を変化させて、発熱体の電気抵抗値を通電方向で場所によって異なるものとすることができる。
また、図5に示すように、発熱体層を幅の狭い部分25と、幅の広い部分26とからなる構造とすることにより、発熱体の電気抵抗値を通電方向で場所によって異なるものとすることができる。ここで、凸形状のメタルマスクを用いて、スパッタによりタングステン膜を成膜することにより、図5(a)に示すような凸形状の発熱体層を形成することができる。なお、メタルマスクを用いる方法以外にも、フォトリソグラフィによりレジストパターンを形成した上に発熱体層を成膜して、不要な発熱体層の部分をレジストとともにリフトオフする方法や、先に全面に発熱体層を形成した後に、不要な発熱体層の部分をエッチングによって除去する方法によっても、図5(a)に示す形状の発熱体層25、26を形成することが可能である。
また、この赤外線放射素子では、発熱体層25、26の幅の水準を2水準としているが、3水準以上としてもよい。さらに、図6に示すように、通電方向に対して幅を連続的に変化させた発熱体層27としてもよい。なお、このような形状の発熱体層27は、スパッタで成膜する時のメタルマスクを発熱体層27に合わせた形状とすることにより、形成することができる。
(実施形態2)
本実施形態の赤外線放射素子について図7〜9に基づいて説明する。この赤外線放射素子の構造は、実施形態1のものとほぼ同じである。図7に示すように、発熱体層2の構造は従来例と同じであるが、断熱層31、32の構造が従来例や実施形態1のものと異なっているので、この部分について主に説明する。
本実施形態の赤外線放射素子は、図7に示すように、断熱層31の多孔度と、断熱層32の多孔度が異なっている構造となっている。このために、断熱層の見かけの熱伝導率が断熱層の場所によって異なり、結果として断熱性が場所によって異なることになる。
本実施形態の赤外線放射素子の製造方法について、実施形態1と異なる断熱層31、32の形成方法を主に説明する。なお、支持基板1の材料・形状は実施形態1と同じである。最初に図8(a)に示すように、断熱層32の部分をマスク層6で被覆して、陽極酸化処理をして断熱層31を形成する。具体的には、100mA/cm2の電流を約10分間通電することにより、深さ50μm、多孔度75%である断熱層31が形成される。この後に、図8(b)に示すように、断熱層31の部分をマスク層6で被覆して、再度、陽極酸化処理をすることにより断熱層32を形成する。具体的には、10mA/cm2の電流を約50分間通電することにより、深さ50μm、多孔度40%である断熱層32が形成される。ここで、多孔度の大きい断熱層の領域31では、見かけの熱伝導率が小さくなり、断熱性が大きくなる。これに対して、多孔度の小さい断熱層の領域32では、見かけの熱伝導率が大きくなり、断熱性が小さくなる。
この後に、実施形態1と同様にして、図7に示す形状の発熱体層2をタングステン薄膜で形成する。さらに、同様に、アルミニウム薄膜でスパッタ等によりパッド4、4を形成することによって、本実施形態の赤外線放射素子が得られる。
この赤外線放射素子の発熱体層2に交流電流を通電すると、実施形態1と同様にして、赤外線が放射される。前述したように、この赤外線放射素子の発熱体層2の熱応答性が速いので、周期的に加熱させた場合には、熱伝導によって発熱体層2全体が一定になるよりも、発熱体層2が局所的に加熱・冷却される方が速くなる。ここで、多孔度性の大きな断熱層31の上の発熱体層2は、断熱層の断熱性が大きいために、図9(a)に示すように、温度上昇が大きくなり、到達温度が高くなる。一方、多孔度性の小さな断熱層32の上の発熱体層2は、断熱層の断熱性が小さいために、温度の追従性が低く、図9(b)に示すように、温度上昇が小さくなり、到達温度は、断熱層31と比べると低くなる。したがって、この赤外線放射素子からは、断熱層31上の発熱体層2の部分から波長の比較的短い赤外線と、断熱層32上の発熱体層2から波長の比較的長い赤外線との2種類の波長の赤外線が放射されることになる。このため、図17に示す従来のものと比べて、本実施形態の赤外線放射素子は、放射される赤外線の波長の分布が広いものとなっている。
本実施形態の赤外線放射素子は、断熱層の多孔度が、当該断熱層上の発熱体の通電方向に対して、場所によって異なるので、発熱体に通電している時に、発熱温度が発熱体の場所によって異なるものとすることができる。このため、放射される赤外線の波長が広い分布を有するものとなり、フィルタを用いることなく、小型・低コストで、適当な波長分布を有する赤外線を放射することができる。また、この赤外線放射素子を用いたガスセンサは、複数種類のガスを同時に検出できる。
ところで、赤外線放射素子の断熱層を場所によって断熱層の多孔度が異なるように形成する方法としては、上述した方法に限るものではない。例えば、図10、11に示すように、断熱層の一部34を、格子状に単結晶シリコンを残存させたものとすることがあげられる。この赤外線放射素子は、支持基板1を図12に示すように、多孔度を小さくする領域34を、格子状のマスク層6で被覆して、陽極酸化処理することで得られる。陽極酸化処理によって、マスク層6で被覆されていない部分は、全体が多孔質シリコン化されて、通常の断熱層33となる。一方、格子状マスク層6で被覆された部分34では、マスク層6で被覆された部分は、単結晶シリコンの状態が保持される部分1’となり、マスク層6で被覆されていない部分は、多孔質シリコン化された部分3’となり、両者が混在した状態となる。この結果として、断熱層34の多孔度は、平均値としては小さくなり、断熱層33と比較すると実質的な断熱性が小さくなる。さらに、実施形態1と同様にして、図11に示す形状の発熱体層2をタングステン薄膜で形成する。さらに、同様に、アルミニウム薄膜でスパッタ等によりパッド4、4を形成することによって、本実施形態の赤外線放射素子が得られる。
この図11に示す赤外線放射素子は、上述した赤外線放射素子と機能としては同じ効果を奏するが、陽極酸化処理が一度のみですることが可能となり、生産性が向上する。
(実施形態3)
本実施形態の赤外線放射素子について図13、14に基づいて説明する。この赤外線放射素子の構造は、実施形態1のものとほぼ同じである。図13に示すように、発熱体層2の構造は従来例と同じであるが、断熱層の構造が異なっている。この部分について主に説明する。
本実施形態の赤外線放射素子は、図13(b)に示すように、断熱層37の厚さが連続的に変化した形状となっている。このために、断熱層37上に形成されている発熱体層2の通電方向に対して、断熱層37の熱伝導状態である断熱性が場所によって異なることになる。
本実施形態の赤外線放射素子の製造方法について、実施形態1と異なる断熱層37の形成方法を主に説明する。なお、支持基板1の材料・形状は実施形態1と同じである。この支持基板1を図14(a)に示すように、支持基板1の裏面の一部のみに下部電極5を取り付けたものを、実施形態1と同様にして、マスク層6で被覆して、同じ電解液6、白金電極8を用いて、電源9から電流を通電させる。こうすることにより、支持基板1の中で下部電極5付近のみの電流密度が大きくなるので、下部電極5に対向する部分では、陽極酸化が進行して、シリコンの多孔質化が進行する。一方、下部電極5から離れるほど支持基板1の中を通電する電流密度は小さくなるので、陽極酸化の進行は抑制される。この結果として、断熱層37として、陽極酸化が進行する部分の多孔質シリコン層の厚さは厚くなり、陽極酸化が抑制される部分の多孔質シリコン層の厚さは薄くなり、図13(b)に示すような、厚さが連続的に変化した形状を有する断熱層37が形成される。
ここで、図14(b)に示すように、下部電極5を支持基板1の裏面の略全面として、白金電極8を陽極酸化領域の端部に配置する構成で陽極酸化処理をしてもよい。この構成であっても、陽極酸化処理に支持基板1の内部を通電する電流密度は不均一となり、下部電極5側の支持基板1の陽極酸化は進行し、逆側では陽極酸化は抑制される。この結果として、図13(b)に示すように、厚さが連続的に変化した形状を有する断熱層37が形成される。
この後に、実施形態1と同様にして、図13に示す形状の発熱体層2をタングステン薄膜で形成する。さらに、同様に、アルミニウム薄膜でスパッタ等によりパッド4、4を形成することによって、本実施形態の赤外線放射素子が得られる。
この赤外線放射素子の発熱体層2に交流電流を通電すると、実施形態1と同様にして、赤外線が放射される。このとき、多孔質シリコンが厚い断熱層37では、断熱性が大きいために、この上の発熱体層2の温度は高くなり、多孔質シリコンが薄い断熱層37では、断熱性が小さいために、この上の発熱体層2の温度は低くなる。この結果として、発熱体層2から放射される赤外線の波長は、一定とはならず、温度に応じた分布を有することになる。つまり、赤外線放射素子としては、放射赤外線の強度の波長依存性のピークは平坦となり、放射赤外線の波長に対して放射強度の差をより小さくすることができる。
本実施形態の赤外線放射素子は、断熱層の熱伝導状態が、通電方向で場所によって異なるので、発熱体に通電している時に、発熱温度が発熱体の場所によって異なるものとすることができる。このため、放射される赤外線の波長が広い分布を有するものとなり、フィルタを用いることなく、小型・低コストで、適当な波長分布を有する赤外線を放射することができる。また、この赤外線放射素子を用いたガスセンサは、複数種類のガスを同時に検出できる。
また、本実施形態の赤外線放射素子の断熱層は、厚さが連続的に変化している構成となっているが、これに限られるものではない。例えば、図15に示すように、断熱層を厚さの厚い部分35と、厚さの薄い部分36とかなる構造とすることもできる。ここで、最初に図8(a)に示すように、断熱層36の部分をマスク層6で被覆して、陽極酸化処理をして断熱層35を形成した後に、図8(b)に示すように、断熱層35の部分をマスク層6で被覆して、処理時間を短くする電流値を小さくして、陽極酸化処理をすることにより断熱層36を形成することによって、このような断熱層の厚さが段階的に異なるものを作成することができる。
(実施形態4)
本実施形態の赤外線放射素子について図16に基づいて説明する。この赤外線放射素子の構造は、図5に示す実施形態1の他の赤外線放射素子とほぼ同じである。通電方向で発熱体層の電気抵抗値が変化する部分、すなわち発熱体層の幅が変化する部分の断熱層の熱伝導率が、他の部分の断熱層の熱伝導率よりも大きくなっている構造が異なっている。この部分について主に説明する。
この赤外線放射素子の発熱体層28、29の形状は、図16(a)に示すように、図5に示す赤外線放射素子ものと同じ形状であり、上面視で凸形状をしていて、通電方向に対して幅が狭い部分28と幅の広い部分29とからなっている。そして、発熱体層28と29の接合部の下部に位置している断熱層3”は単結晶シリコンとなっている。一方、他の断熱層の部分38、39は、多孔質シリコンであるために、断熱層の部分3”の熱伝導率は、断熱層の他の部分38、39の熱伝導率よりも大きくなっている。
本実施形態の赤外線放射素子の製造方法は、図5に示す実施形態とほぼ同じである。ただし、陽極酸化処理で断熱層3を陽極酸化処理によって形成するときに、支持基板1の表面を被覆するマスク層6の形状が、この断熱層38、39の形状となっていることが、異なっている。このようなマスク層を用いて、陽極酸化処理することにより、多孔質シリコン化する部分38、39を形成することができる。この結果として、発熱体層28と29との接合部の下部に位置している断熱層3”のみを単結晶シリコンとして、他の断熱層38、39を多孔質シリコンとすることができる。
この赤外線放射素子の発熱体層28、29に交流電流を通電すると、実施形態1と同様にして、赤外線が放射される。このとき、同様にして発熱体層の幅が狭い部分28の温度変化は、図9(a)のようになり、発熱体層の幅が広い部分29の温度変化は、図9(b)のようになる。ここで、発熱体層28の方が発熱体層29と比べて高温となる時は、発熱体層28からの熱は、熱伝導率の大きい断熱層3”を通じて、発熱体層29よりも支持基板1の方に伝わることになる。このために、発熱体層29の温度上昇が実施形態1と比べて抑制されることになる。また、逆に、発熱体層29の方が発熱体層28と比べて高温となる時は、発熱体層29からの熱は、熱伝導率の大きい断熱層3”を通じて、発熱体層28よりも支持基板1の方に伝わることになる。このために、発熱体層28の温度上昇が実施形態1と比べて抑制されることになる。
以上の効果により、本実施形態の赤外線放射素子は、実施形態1の赤外線放射素子と比較して、発熱体層の温度分布がさらに大きくなり、より広い波長の分布を有する赤外線が放射されることになる。
発熱体の電気抵抗値が変化する部分の下部の断熱層の熱伝導率が、他の部分の断熱層の熱伝導率よりも大きいので、発熱体に通電している時に、発熱温度が発熱体の場所によってさらに異なるものとすることができる。このため、放射される赤外線の波長がより広い分布を有するものとなり、フィルタを用いることなく、小型・低コストで、適当な波長分布を有する赤外線を放射することができる。また、この赤外線放射素子を用いたガスセンサは、複数種類のガスを同時に検出できる。
実施形態1の赤外線放射素子であり、(a)は上面図で、(b)は断面図である。 実施形態1の赤外線放射素子の断熱層を形成する電解装置の断面図である。 実施形態1の赤外線放射素子の時間と温度を示す図である。 実施形態1の他の赤外線放射素子であり、(a)は上面図で、(b)は断面図である。 実施形態1の別の赤外線放射素子であり、(a)は上面図で、(b)は断面図である。 実施形態1の別の赤外線放射素子であり、(a)は上面図で、(b)は断面図である。 実施形態2の赤外線放射素子であり、(a)は上面図で、(b)は断面図である。 実施形態2の赤外線放射素子の断熱層を形成する電解装置の断面図である。 実施形態2の赤外線放射素子の時間と温度を示す図である。 実施形態2の他の赤外線放射素子の断熱層であり、(a)は上面図で、(b)は断面図である。 実施形態2の他の赤外線放射素子であり、(a)は上面図で、(b)は断面図である。 実施形態2の他の赤外線放射素子の断熱層を形成する電解装置の断面図である。 実施形態3の赤外線放射素子であり、(a)は上面図で、(b)は断面図である。 実施形態3の赤外線放射素子の断熱層を形成する電解装置の断面図である。 実施形態3の他の赤外線放射素子であり、(a)は上面図で、(b)は断面図である。 実施形態4の赤外線放射素子であり、(a)は上面図で、(b)は断面図である。 従来例の赤外線放射素子であり、(a)は上面図で、(b)は断面図である。
符号の説明
1、1” 支持基板
2、21〜29 発熱体層
3、31〜39 断熱層
4 パッド
5 下部電極
6 マスク層
7 電解液
8 白金電極
9 電源

Claims (5)

  1. 発熱体層への通電により発熱体層を発熱させることで発熱体層から赤外線が放射される赤外線放射素子であって、支持基板の一表面側に支持基板よりも熱伝導率の小さい多孔質の断熱層が形成されるとともに、断熱層よりも熱伝導および導電率それぞれが大きな材料の薄膜より構成される発熱体層が断熱層の表面側に形成されてなる赤外線放射素子において、発熱体層に通電している時に、発熱体層からの発熱量が発熱体層の面方向の場所によって異なることにより発熱温度が発熱体層の場所によって異なるものであり、前記発熱体層の電気抵抗値が、発熱体層の材料または厚さが異なることにより通電方向で発熱体層の場所によって異なることを特徴とする赤外線放射素子。
  2. さらに前記発熱体層の電気抵抗値が変化する部分の下部の断熱層の厚さまたは多孔度が他の部分の断熱層とは異なることにより、発熱体層の電気抵抗値が変化する部分の下部の断熱層の熱伝導率が、他の部分の断熱層の熱伝導率よりも大きいことを特徴とする請求項1に記載の赤外線放射素子。
  3. 発熱体層への通電により発熱体層を発熱させることで発熱体層から赤外線が放射される赤外線放射素子であって、支持基板の一表面側に支持基板よりも熱伝導率の小さい多孔質の断熱層が形成されるとともに、断熱層よりも熱伝導および導電率それぞれが大きな材料の薄膜より構成される発熱体層が断熱層の表面側に形成されてなる赤外線放射素子において、発熱体層に通電している時に、発熱体層からの発熱量が発熱体層の面方向の場所によって異なることにより発熱温度が発熱体層の場所によって異なるものであり、前記断熱層の熱伝導状態が、断熱層の厚さが異なることにより発熱体層の場所によって異なることを特徴とする赤外線放射素子。
  4. 発熱体層への通電により発熱体層を発熱させることで発熱体層から赤外線が放射される赤外線放射素子であって、支持基板の一表面側に支持基板よりも熱伝導率の小さい多孔質の断熱層が形成されるとともに、断熱層よりも熱伝導および導電率それぞれが大きな材料の薄膜より構成される発熱体層が断熱層の表面側に形成されてなる赤外線放射素子において、発熱体層に通電している時に、発熱体層からの発熱量が発熱体層の面方向の場所によって異なることにより発熱温度が発熱体層の場所によって異なるものであり、前記断熱層の熱伝導状態が、断熱層の多孔度が異なることにより発熱体層の場所によって異なることを特徴とする赤外線放射素子。
  5. 赤外放射源から赤外線を所定空間へ放射させて所定空間内の検知対象ガスでの赤外線の吸収を利用して検知対象ガスを検出するガスセンサであって、赤外放射源として請求項1乃至請求項のいずれかに記載の赤外線放射素子を備えてなることを特徴とするガスセンサ。

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