JP2005339908A - 赤外線放射素子 - Google Patents

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Abstract

【課題】製造時および動作時の耐熱性を向上可能な赤外線放射素子を提供する。
【解決手段】半導体基板1の一表面側に半導体基板1よりも熱伝導率が十分に小さな断熱層2が形成されるとともに、断熱層2よりも熱伝導率および導電率それぞれが大きな層状の発熱体3が断熱層2上に形成され、発熱体3上に通電用の一対のパッド4,4が形成されており、発熱体3への通電により発熱体3を発熱させることで発熱体3から赤外線が放射される。断熱層2を構成する低抵抗の第1の多孔質半導体層の深さ方向の途中に多孔度の小さな低多孔度層22が設けられ、第1の多孔質半導体層のうち、第1の多孔質半導体層における発熱体3との界面での各微細孔2aの開口面の深さ方向への投影領域内に存在する部分が、深さ方向において第1の多孔質半導体層の多孔度を一様とするときよりも第1の多孔質半導体層の機械的強度を補強する補強構造部5を構成している。
【選択図】 図1

Description

本発明は、赤外線放射素子に関するものである。
従来から、赤外放射源を利用した各種の分析装置(例えば、赤外線ガス分析計など)が提供されているが、これらの分析装置で用いられている赤外放射源として代表的なものは、ハロゲンランプであって、大型で且つ寿命が比較的短いので、赤外線を利用してガスを検出する小型のガスセンサへの適用は難しい。なお、透光性の気密容器内に放射体としてのフィラメントを収納したハロゲンランプのような赤外放射源においては、フィラメントの形状や放射特性などを工夫することにより小型化を図ったものもあるが、気密容器を必要とするから、小型のガスセンサへの適用は難しいのが現状である。
そこで、小型化が可能な赤外放射源として、マイクロマシンニング技術を利用して形成する赤外線放射素子が各所で研究開発されている(例えば、特許文献1、2、3参照)。
ここにおいて、上記特許文献1〜3には、シリコン基板などをマイクロマシンニング技術により加工して形成した矩形枠状の支持基板の一表面側において2点間に線状の発熱体を架け渡した所謂マイクロブリッジ構造の赤外線放射素子が記載されている。なお、この種のマイクロブリッジ構造の赤外線放射素子は、線状の発熱体への通電に伴うジュール熱により発熱体から赤外線を放射させるものである。
ところで、赤外線の吸収を利用してガスを検出するガスセンサにおいて検出精度を高くするためには、赤外線放射素子から放射される赤外線の放射量を安定させ短時間で計測することが望ましく、上述のマイクロブリッジ構造の赤外線放射素子では、支持基板が矩形枠状に形成されており、線状の発熱体の周囲が空気なので、発熱体と発熱体周囲との熱容量差を大きくすることができ、発熱体へ流す電流のオンオフに高速で応答するようになっている。
しかしながら、上記特許文献1〜3に開示された赤外線放射素子では、線状の発熱体の両端に設けたパッド間へ印加する電圧のオンオフに伴う応答速度を向上させるために、発熱体の周囲を空気または真空として発熱体と周囲との熱容量の差を大きくしてあるが、発熱体が線状の形状に形成されており両端部が支持基板に支持されているだけなので、発熱体が破損したり熱により溶断したりして寿命が短くなってしまうことがあった。
そこで、上記特許文献1〜3に開示された赤外線放射素子に比べて赤外線の放射量を増大させることができるとともに長寿命化を図ることが可能な赤外線放射素子として、多孔質シリコン層のような多孔質層を利用した平面型の赤外線放射素子が提案されている。この種の平面型の赤外線放射素子は、例えば、シリコン基板の一表面側に第1の多孔質シリコン層からなる断熱層が形成されるとともに、断熱層上に第1の多孔質シリコン層よりも熱伝導率および導電率が大きな第2の多孔質シリコン層からなる層状の発熱体が形成され、発熱体上に一対のパッドが形成されている。ここにおいて、多孔質層を利用した平面型の赤外線放射素子では、発熱体の絶対温度と発熱体から放射される赤外線のピーク波長との関係がウィーンの変位則を満たしており、発熱体としての第2の多孔質シリコン層が擬似黒体を構成し、ピーク波長が4μm以上の赤外線を放射することができる。また、多孔質層を利用した平面型の赤外線放射素子は10Hz以上の高速応答性を有している。
特開平9−153640号公報(段落番号〔0027〕、〔0028〕、図2参照) 特開2000−236110号公報(段落番号〔0017〕、〔0018〕、〔0019〕、図1、図2参照) 特開平10−294165号公報(段落番号〔0014〕、〔0015〕、図1参照)
ところで、上述の多孔質層を利用した平面型の赤外線放射素子では、低消費電力化を図るために発熱体の抵抗を断熱層の抵抗に比べてより低くすることが望ましく、陽極酸化処理にてシリコン基板の一表面側に第1の多孔質シリコン層、第2の多孔質シリコン層を連続的に形成してから、第2の多孔質シリコン層にイオン注入を行って活性化アニールを行うことで低抵抗の発熱体を形成することが考えられる。
しかしながら、本願発明者らは、第2の多孔質シリコン層にイオン注入を行って活性化アニールを行うプロセスを採用した場合には、活性化アニールを行う際の熱歪によって第1の多孔質シリコン層や第2の多孔質シリコン層が破壊されてしまうことがあり、歩留まりが低下してしまうという知見を得た。また、上述の平面型の赤外線放射素子では、動作時の熱歪みによっても第2の多孔質シリコン層が破損してしまうことがあるという知見を得た。
本発明は上記事由に鑑みて為されたものであり、その目的は、製造時および動作時の耐熱性を向上可能な赤外線放射素子を提供することにある。
請求項1の発明は、基板の一表面側に形成され基板よりも熱伝導率の小さな多孔質層からなる断熱層と、断熱層上に形成され断熱層よりも熱伝導率および導電率それぞれが大きな発熱体とを備え、発熱体への通電により発熱体を発熱させることで発熱体から赤外線が放射される赤外線発光素子であって、断熱層は、深さ方向において多孔質層の多孔度を一様とするときよりも多孔質層の機械的強度を補強する補強構造部を有することを特徴とする。
この発明によれば、多孔質層からなる断熱層が補強構造部を有していることにより、製造時や動作時の耐熱性が向上し、製造時や動作時の熱歪によって断熱層が破損するのを防止することができるので、製造歩留まりの向上および信頼性の向上を図れる。
請求項2の発明は、請求項1の発明において、前記多孔質層は、前記深さ方向の途中に多孔度の小さな低多孔度層が設けられ、前記多孔質層のうち、前記多孔質層における前記発熱体との界面での各微細孔の開口面の深さ方向への投影領域内に存在する部分が、前記補強構造部を構成していることを特徴とする。
この発明によれば、低多孔度層の一部が前記補強構造部を構成することになるので、前記多孔質層の形成時に深さ方向の途中に低多孔度層を形成することにより前記補強構造部を形成することができる。
請求項3の発明は、請求項1の発明において、前記多孔質層は、前記深さ方向において前記基板に近づくにつれて多孔度が徐々に小さくなるように形成され、前記多孔質層のうち、前記多孔質層における前記発熱体との界面での各微細孔の開口面の深さ方向への投影領域内に存在する部分が、前記補強構造部を構成していることを特徴とする。
この発明によれば、前記多孔質層の深さ方向において多孔度が連続的に変化しているので、前記多孔質層の深さ方向において多孔度がステップ的に変化している場合に比べて前記断熱層の破損をより確実に防止することができる。
請求項4の発明は、請求項1の発明において、前記多孔質層は、前記深さ方向において前記基板近くの部位の多孔度を他の部位に比べて小さくしてあり、前記多孔質層のうち、前記多孔質層における前記発熱体との界面での各微細孔の開口面の深さ方向への投影領域内に存在する部分が、前記補強構造部を構成していることを特徴とする。
この発明によれば、前記多孔質層において多孔度が他の部位に比べて小さい前記基板近くの部位が前記補強構造部を構成することになるので、前記断熱層の破壊が起こりやすい前記基板近くの部位を補強することができ、前記断熱層が製造時や動作時の熱歪によって破壊されるのを防止することができる。
請求項5の発明は、請求項4の発明において、前記多孔質層における前記基板近くの部位は、前記深さ方向において前記基板に近づくにつれて多孔度が徐々に小さくなっていることを特徴とする。
この発明によれば、前記深さ方向において前記基板に近づくにつれて多孔度をステップ的に変化させた場合に比べて前記断熱層の破損をより確実に防止することができる。
請求項6の発明は、請求項1の発明において、前記多孔質層の各微細孔それぞれの内面に沿って酸化膜が形成され、各酸化膜が前記補強構造部を構成していることを特徴とする。
この発明によれば、前記多孔質層を各微細孔の内面に沿って形成された酸化膜によって補強することができるので、前記断熱層を構成する前記多孔質層の多孔度を一様とすることができ、多孔質層の形成が容易になる。
請求項1の発明では、多孔質層からなる断熱層が補強構造部を有していることにより、製造時や動作時の耐熱性が向上し、製造時や動作時の熱歪によって断熱層が破損するのを防止することができるので、製造歩留まりの向上および信頼性の向上を図れるという効果がある。
(実施形態1)
本実施形態の赤外線放射素子Aは、図1に示すように、半導体基板1の一表面(図1の上面)側に半導体基板1よりも熱伝導率が十分に小さな断熱層2が形成されるとともに、断熱層2よりも熱伝導率および導電率それぞれが大きな層状の発熱体3が断熱層2上に形成され、発熱体3上に通電用の一対のパッド(電極)4,4が形成されており、発熱体3への通電により発熱体3を発熱させることで発熱体3から赤外線が放射される。ここに、断熱層2および発熱体3は、それぞれ多孔質半導体層により構成されている(以下では、断熱層2を構成する多孔質半導体層を第1の多孔質半導体層と称し、発熱体3を構成する多孔質半導体層を第2の多孔質半導体層と称す)が、多孔質半導体層は、多孔度が高くなるにつれて熱伝導率および熱容量が小さくなり、例えば、熱伝導率が168〔W/(m・K)〕、熱容量が1.67×10〔J/(m・K)〕の単結晶のシリコン基板を陽極酸化して形成される多孔度が60%の多孔質シリコン層は、熱伝導率が1〔W/(m・K)〕、熱容量が0.7×10〔J/(m・K)〕であることが知られている。また、各パッド4,4は金属材料(例えば、タングステン、アルミニウム、金など)により形成されている。なお、第1の多孔質半導体層は、多孔度が高い高多孔度層21と多孔度が低い低多孔度層22とが交互に積層された構造を有しており、高多孔度層21の多孔度と第2の多孔質半導体層の多孔度とを同じ値に設定してある。また、本実施形態では、半導体基板1が基板を構成し、第2の多孔質半導体層が多孔質層を構成している。
本実施形態の赤外線放射素子Aは、発熱体3から放射される赤外線のピーク波長をλ(μm)、発熱体3の絶対温度をT(K)とすれば、ピーク波長λは、
λ=2898/T
となり、発熱体3の絶対温度Tと発熱体3から放射される赤外線のピーク波長λとの関係がウィーンの変位則を満たしている。要するに、本実施形態の赤外線放射素子Aでは、発熱体3としての第2の多孔質半導体層が擬似黒体を構成しており、図示しない外部電源からパッド4,4間に印加する電圧を調整することにより、発熱体3に発生するジュール熱を変化させることができて、発熱体3から放射される赤外線のピーク波長λを変化させることができる。なお、本実施形態の赤外線放射素子Aでは、例えば、一対のパッド4,4間に300V程度の電圧を印加することによりピーク波長λが3μm〜4μmの赤外線を放射させることが可能であり、パッド4,4間に印加する電圧を適宜調整することにより、ピーク波長が4μm以上の赤外線を放射させることも可能である。
なお、本実施形態の赤外線放射素子Aでは、半導体基板1として、主表面(上記一表面)が(100)面で抵抗率が100Ωcmの単結晶のp形シリコン基板を用いており、第1の多孔質半導体層および第2の多孔質半導体層をそれぞれ多孔質シリコン層により構成してある。また、本実施形態の赤外線放射素子Aでは、断熱層2および発熱体3の形成前の半導体基板1の厚さを625μm、陽極酸化処理により形成する断熱層2の厚さを50μm、陽極酸化処理により形成する発熱体3の厚さを1μm、パッド4の厚さを0.1μmとしてあるが、これらの厚さは一例であって特に限定するものではない。
以下、本実施形態の赤外線放射素子Aの製造方法について説明する。
まず、半導体基板1の他表面(図1の下面)側に陽極酸化処理時に用いる通電用電極(図示せず)を形成した後、半導体基板1の上記一表面側における発熱体3の形成予定部位および断熱層2の形成予定部位を陽極酸化処理にて多孔質化することで第2の多孔質半導体層、第1の多孔質半導体層を順次形成する多孔質化工程を行う。ここにおいて、陽極酸化処理では、電解液として55wt%のフッ化水素水溶液とエタノールとを1:1で混合した混合液を用い、半導体基板1を主構成とする被処理物を処理槽に入れられた電解液に浸漬し、通電用電極を陽極、半導体基板1の上記一表面側に対向配置された白金電極を陰極として、電源から陽極と陰極との間に所定の電流密度の電流を流すことにより第2の多孔質半導体層と第1の多孔質半導体層とを連続的に形成している。ただし、第2の多孔質半導体層および第1の多孔質半導体層における各高多孔度層21それぞれの形成時には所定の電流密度を比較的大きな値(例えば、50mA/cm)とし、第1の多孔質半導体層における各低多孔度層22それぞれの形成時には所定の電流密度を比較的小さな値(例えば、5mA/cm)としてある。なお、本実施形態では、50mA/cmの電流密度の電流を流す時間の合計時間を8分に設定し、5mA/cmの電流密度の電流を流す時間を1つの低多孔度層22に対して3分に設定してあるが、これらの電流密度や時間は特に限定するものではない。
上述の多孔質化工程の後、半導体基板1の上記一表面側における発熱体3の形成予定部位(つまり、第2の多孔質半導体層)を低抵抗化する低抵抗化工程を行う。ここにおいて、低抵抗化工程では、半導体基板1の上記一表面側から第2の多孔質半導体層へ不純物イオンを注入するイオン注入工程を行ってから、第2の多孔質半導体層へ注入された不純物イオンを活性化するアニール工程を行うことにより、低抵抗化された第2の多孔質半導体層からなる発熱体3を形成している。なお、低抵抗化工程では、イオン注入条件として、イオン種をリン、加速電圧を50kV、ドーズ量を1×1015cm−2とし、アニール条件として、雰囲気ガスを窒素、アニール温度を1000℃、アニール時間を30分としてあるが、イオン注入条件、アニール条件はいずれも一例であって、特に限定するものではない。
上述の低抵抗化工程の後、メタルマスクなどを利用して蒸着法などによって金属材料(例えば、タングステン、アルミニウムなど)からなるパッド4を形成するパッド形成工程を行うことによって、赤外線放射素子Aが完成する。
なお、上述の製造方法では、多孔質化工程の後に低抵抗化工程を行っているが、低抵抗化工程を多孔質化工程よりも先に行うようにしてもよく、この場合の低抵抗化工程として熱拡散工程を採用してもよい。また、多孔質化工程の前に半導体基板1の上記一表面上に低抵抗の半導体薄膜(例えば、n形アモルファスシリコン薄膜、n形シリコンエピタキシャル層など)を各種のCVD法や、スパッタ法、レーザアブレーション法、エピタキシャル成長法などにより成膜し、半導体薄膜を多孔質化工程において多孔質化することで発熱体3を形成するようにしてもよい。また、上述の製造方法では、半導体基板1の上記一表面側の全面にイオン注入を行っているが、発熱体3の形成予定領域以外の部位を酸化シリコン膜やレジスト膜などのマスク層によってマスキングしてからイオン注入を行うようにしてもよいことは勿論である。
以上説明した本実施形態の赤外線放射素子Aは、断熱層2を構成する第1の多孔質半導体層の深さ方向の途中に多孔度の小さな低多孔度層22が設けられ、第1の多孔質半導体層のうち、第1の多孔質半導体層における発熱体3との界面での各微細孔2aの開口面の深さ方向への投影領域内に存在する部分が、深さ方向において第1の多孔質半導体層の多孔度を一様とするときよりも第1の多孔質半導体層の機械的強度を補強する補強構造部5を構成している。
しかして、本実施形態の赤外線放射素子Aでは、断熱層2が深さ方向において多孔度を一様とするときよりも機械的強度を補強する補強構造部5を有しており、製造時や動作時の耐熱性が向上し、製造時や動作時の熱歪によって断熱層2が破損するのを防止することができるので、製造歩留まりの向上および信頼性の向上を図れる。また、低多孔度層22の一部が補強構造部5を構成することになるので、第1の多孔質半導体層の形成時に深さ方向の途中に低多孔度層22を形成することにより補強構造部5を形成することができる。
(実施形態2)
本実施形態の赤外線放射素子Aの基本構成は実施形態1と略同じであり、図2に示すように、断熱層2および補強構造部5の構造が相違し、他の構成は実施形態1と同じなので、説明を省略する。
本実施形態の赤外線放射素子Aにおける断熱層2は、深さ方向において半導体基板1に近づくにつれて多孔度が徐々に小さくなるように形成され、断熱層2を構成する第1の多孔質半導体層のうち、第1の多孔質半導体層における発熱体3との界面での各微細孔2aの開口面の深さ方向への投影領域内に存在する部分が、深さ方向において第1の多孔質半導体層の多孔度を一様とするときよりも第1の多孔質半導体層の機械的強度を補強する補強構造部5を構成している。
しかして、本実施形態の赤外線放射素子Aでは、第1の多孔質半導体層の深さ方向において多孔度が連続的に変化しているので、第1の多孔質半導体層の深さ方向において多孔度がステップ的に変化している場合に比べて断熱層2の破損をより確実に防止することができる。
本実施形態の赤外線放射素子Aの製造方法は実施形態1にて説明した製造方法と略同じであって、多孔質化工程において、第1の多孔質半導体層の形成時に電流密度を徐々に小さくしていけばよく、所定時間(例えば、10分間)かけて電流密度を比較的大きな電流密度(例えば、100mA/cm)から比較的小さな電流密度(例えば、5mA/cm)まで小さくしていけばよい。
なお、本実施形態の赤外線放射素子Aでは、断熱層2の多孔度が深さ方向において連続的に小さくなっているが、深さ方向の途中に実施形態1と同様の低多孔度層22を設けた構造を採用してもよい。
(実施形態3)
本実施形態の赤外線放射素子Aの構成構成は実施形態1と略同じであり、図3に示すように、断熱層2および補強構造部5の構造が相違し、他の構成は実施形態1と同じなので説明を省略する。
本実施形態の赤外線放射素子Aにおける断熱層2は、深さ方向において半導体基板1近くの部位の多孔度を他の部位に比べて小さくしてあり、断熱層2を構成する第1の多孔質半導体層のうち、第1の多孔質半導体層における発熱体3との界面での各微細孔2aの開口面の深さ方向への投影領域内に存在する部分が、深さ方向において第1の多孔質半導体層の多孔度を一様とするときよりも第1の多孔質半導体層の機械的強度を補強する補強構造部5を構成している。
しかして、本実施形態の赤外線放射素子Aでは、第1の多孔質半導体層において多孔度が他の部位に比べて小さい半導体基板1近くの部位が補強構造部5を構成することになるので、断熱層2の破壊が起こりやすい半導体基板1近くの部位を補強することができ、断熱層2が製造時や動作時の熱歪によって破壊されるのを防止することができる。ここにおいて、第1の多孔質半導体層における半導体基板1近くの部位は、深さ方向において半導体基板1に近づくにつれて多孔度が徐々に小さくなるように形成されているので、深さ方向において半導体基板1に近づくにつれて多孔度をステップ的に変化させた場合に比べて断熱層2の破損をより確実に防止することができる。
なお、本実施形態の赤外線放射素子Aにおいても、実施形態1と同様に、深さ方向の途中に低多孔度層22を設けた構造を採用してもよい。
(実施形態4)
本実施形態の赤外線放射素子Aの基本構成は実施形態1と略同じであり、図4に示すように、発熱体3、断熱層2および補強構造部5の構造が相違し、他の構成は実施形態1と同じなので説明を省略する。
本実施形態の赤外線放射素子Aにおける断熱層2は、各微細孔2aそれぞれの内面に沿って薄い酸化膜(本実施形態では、シリコン酸化膜)6が形成され、各酸化膜6が補強構造部5を構成している。なお、酸化膜6は発熱体3を構成する低抵抗の第2の多孔質半導体層の微細孔の内面にも連続して形成されている。
しかして、本実施形態の赤外線放射素子Aでは、第1の多孔質半導体層を各微細孔2aの内面に沿って形成された薄い酸化膜6によって補強することができるので、断熱層2を構成する第1の多孔質半導体層の多孔度を一様とするような条件(一定の電流密度)で多孔質化することができ、第1の多孔質半導体層の形成が容易になる。
酸化膜6の形成方法としては、熱酸化法も考えられるが、熱酸化法を採用した場合には微細孔2aの内面に沿って薄い酸化膜6が均一に形成されず微細孔2aにおいて表面近傍の浅い領域に厚い酸化膜が形成されてしまう傾向があるので、薄い酸化膜6を微細孔2aの内面の全体に亙って均一に形成するには、電気化学的な酸化方法や、酸化性ガスを利用したプラズマ酸化法、オゾンによる酸化法などを採用することが望ましい。ここにおいて、電気化学的な酸化方法を採用する場合には、フッ化水素水溶液とエタノールとの混合液を電解液として用いた多孔質化工程の終了後に、電解液を硫酸溶液に変更して連続的に処理することが可能となる。電気化学的な酸化方法の一例としては、電解液として1Mの硫酸溶液を用い、陽極酸化処理と同様に、通電用電極を陽極、半導体基板1の上記一表面側に対向配置された白金電極を陰極として、電源から陽極と陰極との間に所定の電流密度(例えば、2mA/cm)の電流を流し、陽極と陰極との間のポテンシャルが通電開始時の値から20Vだけ上昇した時点で処理を終了すればよい。
ところで、上記各実施形態では、半導体基板1の材料としてSiを採用しているが、半導体基板1の材料はSiに限らず、例えば、Ge,SiC,GaP,GaAs,InPなどの陽極酸化処理による多孔質化が可能な他の半導体材料でもよい。
実施形態1における赤外線放射素子の概略断面図である。 実施形態2における赤外線放射素子の概略断面図である。 実施形態3における赤外線放射素子の概略断面図である。 実施形態4における赤外線放射素子の概略断面図である。
符号の説明
A 赤外線放射素子
1 半導体基板
2 断熱層
2a 微細孔
3 発熱体
4 パッド
5 補強構造部
21 高多孔度層
22 低多孔度層

Claims (6)

  1. 基板の一表面側に形成され基板よりも熱伝導率の小さな多孔質層からなる断熱層と、断熱層上に形成され断熱層よりも熱伝導率および導電率それぞれが大きな発熱体とを備え、発熱体への通電により発熱体を発熱させることで発熱体から赤外線が放射される赤外線発光素子であって、断熱層は、深さ方向において多孔質層の多孔度を一様とするときよりも多孔質層の機械的強度を補強する補強構造部を有することを特徴とする赤外線放射素子。
  2. 前記多孔質層は、前記深さ方向の途中に多孔度の小さな低多孔度層が設けられ、前記多孔質層のうち、前記多孔質層における前記発熱体との界面での各微細孔の開口面の深さ方向への投影領域内に存在する部分が、前記補強構造部を構成していることを特徴とする請求項1記載の赤外線放射素子。
  3. 前記多孔質層は、前記深さ方向において前記基板に近づくにつれて多孔度が徐々に小さくなるように形成され、前記多孔質層のうち、前記多孔質層における前記発熱体との界面での各微細孔の開口面の深さ方向への投影領域内に存在する部分が、前記補強構造部を構成していることを特徴とする請求項1記載の赤外線放射素子。
  4. 前記多孔質層は、前記深さ方向において前記基板近くの部位の多孔度を他の部位に比べて小さくしてあり、前記多孔質層のうち、前記多孔質層における前記発熱体との界面での各微細孔の開口面の深さ方向への投影領域内に存在する部分が、前記補強構造部を構成していることを特徴とする請求項1記載の赤外線放射素子。
  5. 前記多孔質層における前記基板近くの部位は、前記深さ方向において前記基板に近づくにつれて多孔度が徐々に小さくなっていることを特徴とする請求項4記載の赤外線放射素子。
  6. 前記多孔質層の各微細孔それぞれの内面に沿って酸化膜が形成され、各酸化膜が前記補強構造部を構成していることを特徴とする請求項1記載の赤外線放射素子。
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