JP4423443B2 - インク射出型プリンタヘッド及びその製造方法 - Google Patents

インク射出型プリンタヘッド及びその製造方法 Download PDF

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Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、架橋ポリテトラフルオロエチレンポリマと他の樹脂とを用いたインク射出型プリンタヘッド及びその製造方法に関し、特に微細構造体の作製に適したインク射出型プリンタヘッド及びその製造方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
特開平8−336894号公報に、シンクロトロン放射光(SR光)を用いてポリテトラフルオロエチレン(PTFE)膜を微細加工する方法が開示されている。この方法によると、反応性ガスを用いることなく、PTFEの微細構造体を作製することができる。
【0003】
PTFEは、耐薬品性と耐熱性に優れたプラスチックであるが、放射線に対して極めて感受性が高い。放射線の吸収線量が1kGyを超えると、PTFEの機械特性が低下することから、原子力施設等の放射線環境下での利用には適さない。耐放射線性に優れた改質PTFEおよびその製造方法が、特開平6−116423号公報及び特開平7−118423号公報に開示されている。これらの公報に記載された発明によると、PTFEの結晶融点以上の温度で、酸素不存在下において1kGy以上の電離性放射線を照射することにより、耐放射線性に優れた改質PTFEを得ることができる。なお、改質PTFEは、架橋ポリテトラフルオロエチレン(架橋PTFE)とも呼ばれる。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
微細加工されたPTFEからなる薄膜は、その形状が安定しないため、取り扱いに不便である。他の部品に組み込む際には、一般的に、PTFE膜に補強部材を貼り合わせることになる。PTFE膜の表面を金属ナトリウム溶液で表面処理し、PTFEの融点近い温度まで加熱して金属板を圧着する方法が知られている。しかし、この方法を用いると、PTFE膜の表面が多孔質になり、高さ10μm程度の凹凸が生じてしまう。従って、この方法は、微細な構造体の作製には適さない。
【0005】
また、PTFE膜の表面を脱フッソ処理した後、無電界メッキと電界メッキにより金属膜を形成する方法が知られている。この方法によると、金属膜を化学エッチングによりパターニングする際に、脱フッソ処理したPTFE膜の表面が浸食され、多数の亀裂が発生する。PTFEの代わりに改質PTFEを用いても、上述の課題は残ると思われる。
【0006】
本発明の目的は、架橋テトラフルオロエチレンポリマの薄板に大きな損傷を与えることなく、架橋テトラフルオロエチレンポリマの薄板と他の部材とを用いたインク射出型プリンタヘッド及びその製造方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明の一観点によると、 架橋テトラフルオロエチレンポリマからなる薄板と、前記薄板を貫通する複数の貫通孔と、前記薄板の表面のうち、前記貫通孔の配置されていない領域に固着され、架橋テトラフルオロエチレンポリマとは異なる樹脂で形成された突起とを有するインク射出型プリンタヘッドが提供される。
【0008】
突起を他の部品の凹部にはめ込むことにより、薄板を他の部品に取り付けることができる。
【0009】
本発明の他の観点によると、 架橋テトラフルオロエチレンポリマからなる薄板の一方の表面上に、感光性樹脂膜を形成する工程と、前記感光性樹脂膜を部分的に露光し、現像することにより、該感光性樹脂膜の一部からなる樹脂部材を残す工程と、前記薄板に、部分的に放射光を照射することにより、該放射光のエネルギで薄板をエッチングし、該薄板を貫通する貫通孔を形成する工程とを有するインク射出型プリンタヘッドの製造方法が提供される。
【0010】
薄板の表面上に残った樹脂部材を他の部品の凹部にはめ込むことにより、薄板を他の部品に取り付けることができる。樹脂部材は、露光現像工程を経て作製されるため、その位置精度を容易に高めることができる。
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の第1の実施例による複合材料部品について、インク射出型プリンタヘッドに適用した場合を例にとって説明する。
【0012】
図1(A)に、第1の実施例によるインク射出型プリンタヘッドの基体50の斜視図を示し、図1(B)に、ノズル部60の斜視図を示す。
【0013】
図1(B)に示すように、ノズル部60は、薄板61、突起65、及び補強部材70を含んで構成される。薄板61は、改質PTFEにより形成され、その厚さは約50μmである。突起65及び補強部材70は、ポリメタクリレート(PMMA)で形成され、薄板61の一方の表面に固着されている。薄板61の表面からの高さは、たとえば50〜200μmである。
【0014】
補強部材70は、薄板61の外周に沿って配置され、薄板61の形状の安定性を高める。補強部材70に、位置合わせ用のアライメントマーク63が形成されている。アライメントマーク63は、例えば、薄板61の法線方向から見たときの形状がプラス型の凹部である。アライメントマーク63は、後に説明する製造工程において、薄板61とマスクとの位置合わせのために用いられる。
【0015】
補強部材70に囲まれた長方形の領域内の薄板61に、薄板61を貫通する複数の円形のインク吐出孔62が形成されている。複数のインク吐出孔62は、ある直線に沿って配列している。各インク吐出孔62の直径は、例えば5〜25μmである。両端の各インク吐出孔62よりもやや外側に、突起65が配置されている。突起65を薄板61の法線方向から見たときの形状は鈎型(L字型)であり、突起65は、薄板61の表面に対して垂直な側面を有する。
【0016】
図1(A)に示す基体50は、例えばセラミックスやポリマ等で形成される。基体50には、位置決め穴51及びインク吐出孔62と同数のインク収容空洞52が形成されている。位置決め穴51と突起65とが嵌合することにより、ノズル部60が基体50に固定される。位置決め穴51と突起65とが嵌合した状態で、各インク収容空洞52が、それに対応するインク吐出孔62を経由して薄板61の反対側の空間に繋がる。
【0017】
インク収容空洞52内にプリンタ用のインクが収容される。圧電素子等によってインク収容空洞52の容積を変化させることにより、インク吐出孔62を通ってインクを外部に吐出させることができる。改質PTFEは撥水性であるため、インクの残留を防止し、インクの安定した吐出を確保することができる。
【0018】
薄板61が補強部材70で補強されているため、薄板61を薄くしてもその形状を安定して維持することができる。薄板61を薄くすることは、インク吐出孔62の微細化に有効である。
【0019】
次に、図2及び図3を参照して、図1(B)に示すノズル部60の製造方法について説明する。
【0020】
図2(A)に示す改質PTFEからなる厚さ50μmの薄板61を準備する。改質PTFEの他の製造方法は、特開平6−116423号公報、特開平7−118423号公報、及び特開平7−118424号公報等に説明されている。本実施例では、約340℃まで加熱したPTFEの薄板に、照射線量100kGyの電子線を照射して薄板61を得た。電子線を照射する時には、PTFEの温度を、その融点(327℃)よりもやや高い温度とすることが好ましい。なお、上述の公報に記載されたその他の方法を用いてPTFEを改質させてもよい。PTFEに照射する放射線は、電子線に限らず、その他の電離放射線、例えばガンマ線、X線、アルファ線等でもよい。
【0021】
このようにして得られた改質PTFEの薄板61を、ナトリウムナフタレン錯体のグリコール系溶剤溶液を用いて脱フッソ処理する。
【0022】
図2(B)に示すように、薄板61の表面上にPMMA膜68を形成する。PMMA膜68の厚さが概ね200μm以下の場合には、キャスティング法によりPMMA膜68を形成することができる。以下、キャスティング法について簡単に説明する。
【0023】
薄板61の表面上に、その外周に沿ってスペーサを配置する。液状のメタクリレート(MMA)にPMMAを溶解させ、さらに重合開始剤を添加して原料液を作製する。この原料液を、薄板61の表面上に滴下する。原料液は、スペーサで堰き止められる。
【0024】
平坦な加圧面を有する加圧部材で原料液を加圧し、原料液を薄板61とスペーサと加圧面との間に閉じ込める。この状態で重合反応を起こさせることにより、スペーサの高さとほぼ等しい厚さのPMMA膜68が得られる。
【0025】
PMMA膜68の厚さが概ね200μm以上の場合には、特開平11−65111号公報の図1及びその説明部分に開示された厚いPMMA膜の作製方法を用いることが好ましい。
【0026】
図2(C)に示すように、X線マスク81を通してPMMA膜68をX線で露光する。露光光として、例えば波長0.2〜0.4nmのSR光を用いることができる。マスク81には、図1(B)に示す突起65と補強部材70に対応した遮光パターンが形成されている。なお、補強部材70に対応した遮光パターン内に、図1(B)に示すアライメントマーク63に対応した透明パターンが形成されている。
【0027】
図3(D)に示すように、露光されたPMMA膜68を現像し、突起65及び補強部材70を残す。図1(B)に示すアライメントマーク63が、補強部材70内に形成される。
【0028】
図3(E)に示すように、薄板61の、突起65が形成された面に対向するようにマスク82を配置する。マスク82は例えば厚さ10〜20μmの銅板であり、薄板61に形成すべきインク吐出孔に対応する位置に貫通孔が形成されている。また、図1(B)のアライメントマーク63に対応する位置に、位置合わせ用のマーク(貫通孔)が形成されている。マスク82に形成された位置合わせ用のマークとアライメントマーク63とを基準として、薄板61とマスク82との位置合わせを行うことができる。マスク82を介して薄板61にSR光83を照射する。SR光83の光子密度は、例えば6×1015フォトン/s・mm2である。SR光83により薄板61がエッチングされる。
【0029】
図3(F)に示すように、薄板61を貫通するアスペクト比10程度のインク吐出孔62が形成される。突起65と同一工程で形成されたアライメントマーク63を基準にして、図3(E)のマスク82と薄板61との位置合わせを行っている。このため、突起65に対してインク吐出孔62を精度よく位置決めすることができる。また、補強部材70が突起65と同一の工程で形成されるため、補強部材70を形成するための特別の工程を設ける必要がない。
【0030】
上記第1の実施例による方法では、改質PTFEからなる薄板62に直接貫通孔を形成するため、複雑な工程を必要とせず、簡単にノズル部60を製造することができる。さらに、SR光は平行度の高い光であるため、アスペクト比(孔の径に対する孔の高さの比)の高い貫通孔の形成に適している。薄板61を薄くするとともに、SR光を用いて貫通孔を形成することにより、従来の方法では困難であった高いアスペクト比の孔を形成することが可能になる。また、SR光を用いた加工方法により、高速かつ高精度の微細加工を行うことが可能になる。特に、径が5〜25μm、アスペクト比が2〜10の貫通孔の形成に適している。さらに、一度に広い領域を加工することができるため、スループットの向上を図ることができる。
【0031】
また、上記実施例では、突起65を感光性樹脂の露光及び現像により形成している。このため、微細な突起を容易に形成することができるとともに、その位置精度を高めることができる。
【0032】
上記実施例で用いた改質PTFEは、従来の未架橋PTFEにはない種々の特徴を有している。以下、改質PTFEの特徴について説明する。
【0033】
改質PTFEに放射線を照射することにより生成するラジカル数が、未架橋PTFEに放射線を照射することにより生成するラジカル数よりも著しく多いことが、電子スピン共鳴法(ESR)により確かめられている。
【0034】
図7は、試料1〜4について、補足ラジカルの収量と、ラジカルを発生させるためのガンマ線の吸収線量との関係を示す。横軸はガンマ線の吸収線量を単位「kGy」で表し、縦軸は補足ラジカルの収量を単位「スピン/g」で表す。試料1は、放射線照射を行っていない従来の未架橋のPTFEであり、試料2〜4は、340℃に加熱したPTFEに、それぞれ電子線を100kGy、500kGy、及び3000kGyだけ照射して作製した改質PTFEである。このように準備された試料1〜4に、室温、真空雰囲気中でガンマ線を照射し、補足ラジカルの収量を測定した。
【0035】
生成したラジカル数は、各グラフの立ち上がり部の傾き(G値)で評価することができる。改質PTFE(試料2〜4)のG値は、未架橋PTFEのG値の10倍以上であることがわかる。
【0036】
図8は、試料5〜8について、破断時の伸びとガンマ線の吸収線量との関係を示す。横軸は各試料に照射したガンマ線の吸収線量を単位「kGy」で表し、縦軸は破断時の伸びを単位「%」で表す。試料5は、未架橋PTFEであり、試料6〜8は、340℃に加熱したPTFEに、それぞれ電子線を50kGy、500kGy、及び1000kGyだけ照射して作製した改質PTFEである。なお、各試料の厚さは0.5mmであり、引っ張り速度は200mm/分とした。
【0037】
図9は、上記試料5〜8について、破断時の引張強度とガンマ線の吸収線量との関係を示す。横軸は各試料に照射したガンマ線の吸収線量を単位「kGy」で表し、縦軸は破断時の引張強度を単位「MPa」で表す。
【0038】
図8及び図9からわかるように、改質PTFEは、従来の未架橋PTFEと比べて、ガンマ線を照射された後でも比較的高い機械的強度を維持している。SR光照射によってPTFEを加工すると、マスクで遮光されていた領域にも弱められたSR光が照射される。このSR光により、加工後のPTFEの機械的強度が低下する。改質PTFEを用いることにより、SR光の照射に起因する機械的強度の低下を抑制することができる。
【0039】
図10は、未架橋PTFEに、温度−196℃、室温、及び温度340℃で電子線を照射した試料の結晶化熱量ΔHcを示す。横軸は電子線の吸収線量を単位「kGy」で表し、縦軸は結晶化熱量を単位「J/g」で表す。図中の菱形、三角、及び丸記号は、それぞれ温度−196℃、室温、及び温度340℃で電子線を照射した試料の結晶化熱量の測定値を示す。
【0040】
温度−196℃、及び室温で電子線を照射した試料の結晶化熱量は、電子線の吸収線量の増加に従って急激に増加し、約80J/gでほぼ一定になる。これに対し、温度340℃で電子線を照射した試料の結晶化熱量は、電子線の吸収線量を増加させるに従って、一旦は増加するがその後減少する。結晶化熱量の減少は、架橋が生じて網目構造が構築され、結晶化が阻害されるようになったためと考えられる。結晶化熱量の増加は、電子線の照射によって分子鎖が切断され、分子鎖同士が配列しやすくなったためと考えられる。
【0041】
図10から、試料の結晶化熱量を測定することにより、未架橋PTFEと改質PTFEとの区別を行うことが可能であると考えられる。例えば、結晶化熱量が15J/g以下のものは、改質PTFEといってよいであろう。
【0042】
図11は、PTFE(未架橋のものと架橋したものを含む)の光透過率の波長依存性を示す。横軸は波長を単位「nm」で表し、縦軸は光透過率を単位「%」で表す。なお、測定対象の試料の厚さは、0.5mmであり、測定環境は大気である。図中の各曲線に付された数値は、PTFEを架橋させるために照射した電子線の吸収線量を表す。なお、電子線照射時のPTFEの温度は340℃である。PTFEを架橋させるために照射する電子線の吸収線量が増加するに従って、光透過率が大きくなっていることがわかる。試料の光透過率を測定することにより、未架橋PTFEと改質PTFEとを区別することができるであろう。例えば、波長500nmの光に対する厚さ0.5mmのPTFE板の透過率が20%以上であれば、改質PTFEといえるであろう。
【0043】
厚さ0.5mmの試料の透過率が20%であるということは、試料を構成する材料の吸光係数が約14cm-1であることに相当する。従って、波長500nmの光に対する吸光係数が14cm-1以下であれば改質PTFEといえるであろう。
【0044】
図12は、340℃の未架橋PTFEに、電子線を10MGyだけ照射して作製した改質PTFEを、高分解能19F固体NMR測定した結果を示す。横軸はケミカルシフトを単位「PPM」で表す。図中の上段及び下段のグラフは、それぞれ試料を12kHz及び15kHzで回転させながら測定したものである。また、記号*は、CF2基のメインピークのサイドバンドを表す。ピークa、d及びiは、架橋構造に由来するものであり、未架橋PTFEの測定結果には現れない。従って、高分解能19F固体NMR測定によっても、未架橋PTFEと改質PTFEとを区別することが可能である。
【0045】
次に、図4及び図5を参照して、上記第1の実施例で使用されるSR光を用いた加工装置について説明する。
【0046】
図4(A)は、SR光を用いた加工装置の概略図である。シンクロトロンに蓄積された電子の軌道1から光軸5に沿ってSR光2が放射される。光軸5に沿った光源からの距離Lの位置に加工対象物4が配置されている。加工対象物4の前方には、間隔Gだけ離れてマスク3が配置されている。電子軌道1、加工対象物4及びマスク3は同一の真空容器内に配置されている。
【0047】
マスク3には、SR光を実質的に透過させる領域と透過させない領域とが画定されている。なお、実質的に透過させる領域とは、加工対象物を加工するのに十分な強さのSR光を透過させる領域を意味し、実質的に透過させない領域とは、その領域をSR光が透過しないか、または透過したとしても透過光が加工対象物を加工しない程度の強さまで弱められるような領域を意味する。
【0048】
SR光2は、マスク3を介して加工対象物4の表面に照射される。加工対象物4の表面でSR光によるエッチングが生じ、SR光が照射された部分が剥離される。マスク3に微細なパターンを形成しておくことにより、加工対象物4の表面を微細に加工することができる。
【0049】
図4(B)は、加工部の断面図を示す。真空容器20内に試料保持台14が配置されている。試料保持台14の試料保持面に加工対象物4が保持されている。マスク3が、マスク保持手段17により加工対象物4の前面に配置されている。マスク3を加工対象物4の表面に密着させてもよいし、ある間隔を隔てて配置してもよい。加工時には、図の左方からマスク3を通して加工対象物4の表面にSR光2を照射する。
【0050】
試料保持台14は、例えばセラミックで形成され、内部にヒータ8が埋め込まれている。ヒータ8のリード線が、真空容器20の壁に取り付けられたコネクタ21の容器内側の端子に接続されている。コネクタ21の容器外側の端子が、電源7に接続されており、電源7からヒータ8に電流が供給される。ヒータ8に電流を流すことにより、加工対象物4を加熱することができる。
【0051】
試料保持台14の試料保持面に熱電対23が取り付けられている。熱電対23のリード線は、リード線取出口22を通して真空容器20の外部に導出され、温度制御装置9に接続されている。リード線取出口22は、例えばハンダ付けにより気密性が保たれている。温度制御装置9は、試料保持面の温度が所望の温度になるように、電源7を制御しヒータ8を流れる電流を調節する。
【0052】
図4(C)は、試料保持台の他の構成例を示す。試料保持台15の内部にガス流路16が形成されている。ガス流路16に所望の温度のガスを流してガスと加工対象物4との熱交換を行わせ、加工対象物を所望の温度に維持することができる。
【0053】
図5は、加工対象物4とマスク3のZ方向移動機構を示す。試料保持台14は、その試料保持面がSR光2の光軸(Y方向)に対してほぼ垂直になるように駆動機構10に取り付けられている。試料保持台14の試料保持面に加工対象物4が取り付けられており、加工対象物4の表面から間隔Gを隔ててマスク3が取り付けられている。
【0054】
駆動機構10には、ハンドル11、12及び13が取り付けられている。ハンドル11を回転すれば、試料保持台14が図の上下方向(Z方向)に移動する。ハンドル11をステッピングモータで回転することにより、ステージを所望の一定速度でZ方向に移動することができる。
【0055】
また、ハンドル12、13を回転すれば、試料保持台14はそれぞれ紙面に垂直な方向(X方向)及びY方向に移動する。ハンドル12、13により試料保持台14のX及びY方向の位置を微調整することができる。
【0056】
SR光2を加工対象物4に照射しつつステッピングモータでハンドル11を回転させると、加工対象物4がZ方向に移動し、比較的大きな面積を有する部分を容易に加工することができる。
【0057】
次に、図6を参照して、第2の実施例によるインク射出型プリンタヘッドについて説明する。図1に示す第1の実施例では、ノズル部60に突起65が設けられ、基体50に位置決め穴51が設けられていた。第2の実施例では、その逆にノズル部側に位置決め穴が設けられ、基体側に突起が設けられている。
【0058】
図6(A)は、基体の斜視図を示し、図6(B)は、ノズル部の斜視図を示す。図6(B)に示すように、改質PTFEからなる薄板90に複数のインク吐出孔92が形成されている。インク吐出孔92は、ある直線に沿って配列している。両端のインク吐出孔92のやや外側に鈎型の位置決め穴91が形成されている。インク吐出孔92及び位置決め穴91は、SR光を用いたエッチングにより形成することができる。
【0059】
図6(A)に示すように、基体95に2つの突起96が形成されている。突起96は、ノズル部の位置決め穴91に嵌合する。さらに、基体95には、インク収容空洞97が形成されている。インク収容空洞97とインク吐出孔92との位置関係は、図1に示す第1の実施例の場合と同様である。
【0060】
第2の実施例の場合、薄板90が補強部材で補強されていない。薄板90が比較的薄い場合には第1の実施例のように補強部材を配置することが好ましいが、薄板90が比較的厚く補強の必要がない場合には、第2の実施例の構成とすることが可能である。
【0061】
以上、第1及び第2の実施例では、ノズル部の薄板を改質PTFEで形成する場合を説明したが、他の改質テトラフルオロエチレンポリマで形成してもよい。使用可能な改質テトラフルオロエチレンポリマとして、改質テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピレン共重合体(改質FEP)及び改質テトラフルオロエチレン−ペルフルオロビニルエーテル共重合体(改質PFA)が挙げられる。
【0062】
また、上記実施例では、改質テトラフルオロエチレンポリマの薄板をSR光でエッチングする場合を説明したが、加工対象物をエッチングする波長及び光子密度を持つ放射光であれば、他の放射光を用いてもよい。
【0063】
以上実施例に沿って本発明を説明したが、本発明はこれらに制限されるものではない。例えば、種々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者に自明であろう。
【0064】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によると、改質テトラフルオロエチレンポリマからなる薄板に突起が形成されている。この突起を他の部品の凹部に嵌合させることにより、薄板を他の部品に取り付けることができる。
【0065】
薄板の材料として改質PTFEを用いると、従来の未架橋PTFEを用いる場合に比べて、耐放射線性を高めることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】第1の実施例によるインク射出型プリンタヘッドの基体とノズル部の斜視図である。
【図2】第1の実施例によるインク射出型プリンタヘッドのノズル部の製造方法を説明するための薄板の断面図(その1)である。
【図3】第1の実施例によるインク射出型プリンタヘッドのノズル部の製造方法を説明するための薄板の断面図(その2)である。
【図4】実施例で使用されるSR光を用いた加工装置の概略図及び加工対象物を支持する部分の断面図である。
【図5】実施例で使用されるSR光を用いた加工装置に配置された駆動機構の正面図である。
【図6】第2の実施例によるインク射出型プリンタヘッドの基体とノズル部の斜視図である。
【図7】補足ラジカルの収量と、ラジカルを発生させるためのガンマ線の吸収線量との関係を示すグラフである。
【図8】破断時の伸びとガンマ線の吸収線量との関係を示すグラフである。
【図9】破断時の引張強度とガンマ線の吸収線量との関係を示すグラフである。
【図10】未架橋PTFEに、温度−196℃、室温、及び温度340℃で電子線を照射した試料の結晶化熱量を示すグラフである。
【図11】PTFE(未架橋のものと架橋したものを含む)の光透過率の波長依存性を示すグラフである。
【図12】340℃の未架橋PTFEに、電子線を10MGyだけ照射して作製した改質PTFEを、高分解能19F固体NMR測定した結果を示すグラフである。
【符号の説明】
1 電子軌道
2 SR光
3 マスク
4 加工対象物
5 光軸
7 電源
8 ヒータ
9 温度制御装置
10 駆動機構
11、12、13 ハンドル
14、15 試料保持台
16 ガス流路
17 マスク保持手段
20 真空容器
21 コネクタ
22 リード線取出口
23 熱電対
50 基体
51 位置決め穴
52 インク収容空洞
60 ノズル部
61 薄板
62 インク吐出孔
63 アライメントマーク
65 突起
68 PMMA膜
70 補強部材
80、83 SR光
81、82 マスク
90 薄板
91 位置決め穴
95 基体
96 突起
97 インク収容空洞

Claims (6)

  1. 架橋テトラフルオロエチレンポリマからなる薄板と、前記薄板を貫通する複数の貫通孔と、前記薄板の表面のうち、前記貫通孔の配置されていない領域に固着され、架橋テトラフルオロエチレンポリマとは異なる樹脂で形成された突起とを有するインク射出型プリンタヘッド
  2. さらに、前記突起と同一の材料で形成され、前記薄板の表面のうち、前記貫通孔及び突起の配置されていない領域に固着され、前記薄板の形状安定性を高める補強部材を有する請求項1に記載のインク射出型プリンタヘッド
  3. 前記補強部材及び突起が、ポリメチルメタクリレートで形成されている請求項2に記載のインク射出型プリンタヘッド
  4. 架橋テトラフルオロエチレンポリマからなる薄板の一方の表面上に、感光性樹脂膜を形成する工程と、前記感光性樹脂膜を部分的に露光し、現像することにより、該感光性樹脂膜の一部からなる樹脂部材を残す工程と、前記薄板に、部分的に放射光を照射することにより、該放射光のエネルギで薄板をエッチングし、該薄板を貫通する貫通孔を形成する工程とを有するインク射出型プリンタヘッドの製造方法。
  5. 前記複数の貫通孔を形成する工程が、前記薄板に残された樹脂部材を基準にして、前記貫通孔に対応したパターンを有するマスクと前記薄板との位置合わせを行う工程と、前記マスクを介して前記薄板に放射光を照射する工程とを含む請求項4に記載のインク射出型プリンタヘッドの製造方法。
  6. 架橋テトラフルオロエチレンポリマからなる薄板と、前記薄板を貫通する微細孔と、前記薄板に形成された位置決め用の孔と、前記位置決め用の孔に勘合する突起が形成され、該突起を前記位置決め用の孔にはめ込むことによって前記薄板に固定された基体とを有するインク射出型プリンタヘッド
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