JP2002350664A - 光導波路、光配線板、電気・光混載回路基板及び光導波路の製造方法 - Google Patents

光導波路、光配線板、電気・光混載回路基板及び光導波路の製造方法

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JP2002350664A
JP2002350664A JP2001159102A JP2001159102A JP2002350664A JP 2002350664 A JP2002350664 A JP 2002350664A JP 2001159102 A JP2001159102 A JP 2001159102A JP 2001159102 A JP2001159102 A JP 2001159102A JP 2002350664 A JP2002350664 A JP 2002350664A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 ビーム直接描画法によって母材内部で複雑な
三次元状のコア領域が容易に形成され、三次元光導波回
路の形成に適し、更に母材材料として従来のガラスや紫
外線硬化性樹脂以外のものを使用することにより成形
性、取扱性を向上すると共に製造時の作業環境の制約を
低減することができる光導波路を提供する。 【解決手段】 母材5に光波又は電磁波を集束させて照
射することにより、この集束照射領域でこの母材5の屈
折率が変化されてコア領域10が形成され、かつこのコ
ア領域10が連続して形成された光導波路に関する。光
波又は電磁波として短パルスレーザ光6が用いられ、母
材5がフッ素を構成元素に含む高分子材料からなる。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、有機材料の内部に
屈折率変化領域からなるコア領域が連続的に形成され、
光通信用部品はもとよりメタル配線に代わる光配線板お
よび光・電気混載配線板にも応用できる光導波路及びそ
の製造方法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】従来、光通信部品や光配線板等において
は、光信号伝送部分に一般に低損失の光ファイバや石英
ガラス基板上に形成された光導波路が用いられていた。
【0003】光ファイバは主に光信号を低損失で長距離
を伝送させる目的で用いられ、また光導波路は合分波機
能や電気工学効果を利用した光スイッチなど様々な光デ
バイスを作製する際に利用される。また両者の中間的存
在として、例えば通信機器間(いわゆるボード間)を光
接続するために、通常光ファイバが用いられるが、この
光ファイバを複数本まとめてシート法に埋め込み成形し
た光ファイバ配線板なども用いられつつある。
【0004】前記の光導波路の製造には、一般的にフォ
トリソグラフィーと呼ばれる写真製版技法が用いられ
る。その一例を図6に示す。
【0005】図示の例では、まず基板11が準備される
(図6(a))。基板11上に下部クラッド層12aを
スピンコート法等の方法で形成する(図6(b))。更
に下部クラッド層12a上に、クラッド層材料よりも高
い屈折率を有するコア層13をスピンコート法等の方法
で形成する(図6(c))。次にコア層13をパターニ
ングして導波路とするためにレジスト膜14をスピンコ
ート法等の方法で形成する(図6(d))。このレジス
ト膜14を導波路パターンが描画されたマスクを用いて
露光し、現像することによって所望のパターン形状を有
するレジスト膜14を残存させる(図6(e))。次
に、反応性イオンエッチング等の方法で、パターニング
されたレジスト膜14で保護されたコア層13の領域を
残してコア層13がパターニングされる(図6
(f))。そして不要になったレジスト膜14を除去し
(図6(g))、最後に上部クラッド層12bを形成す
る(図6(h))。尚、図6は、光の伝播方向に対して
垂直な面での光導波路の断面図を示している。
【0006】このように形成される光導波路では、光は
上下クラッド層12a,12bで囲まれるコア層13内
を伝播する。
【0007】このようにフォトリソグラフィー法では、
マスクによる写真製版法を用いているため、一括大量生
産に適しており、よって生産品を安価に提供できるとい
う利点があるが、光導波路を形成するために多くの工程
を経る必要があるという欠点がある。
【0008】一方、一般的ではないが、工程数が多い上
記のようなフォトリソグラフィー法の欠点を克服するた
めの手法として、光波、X線、電子線等の電磁波を細い
ビーム状にして母材に照射するビーム直接描画法があ
る。この場合、母材は照射される電磁波によって屈折率
変化が誘起されるものに限られる。この典型的な例とし
ては、紫外線で硬化する高分子材料からなる母材に紫外
線を照射するものがある。このとき母材表面の紫外線が
照射された領域が化学変化を起こして、屈折率変化が誘
起されるものである。また紫外線を集光しながら母材内
部に照射することで、集光点近傍のみで紫外線エネルギ
ー密度が大きくなるなるようにし、この結果、母材内部
に最も大きい屈折率変化が生じるようにして、母材内部
にコア層を形成することもできる(例えば特開昭46−
3342号公報等)。
【0009】また、X線や電子線などの高エネルギーの
電磁波によって母材の特定の原子結合に直接作用して屈
折率変化をもたらし、この電磁波が照射された表面に光
信号の導波路を形成する方法も開示されている(例えば
特開平6−51146号公報、特開平7−92338号
公報等)。
【0010】また、同様にビーム直接描画法に分類され
るものとしては、近年一般的に利用されるようになって
きた極短パルスレーザー光を母材内部に集光させ、この
集光点近傍で非線形光学効果を誘起して屈折率変化を誘
起し、光導波路を形成する方法も開示されている(例え
ば特開平9−311237号公報、特開平11−231
151号公報等)。
【0011】これらのビーム直接描画法では、母材表面
もしくは母材内部に直接コア領域を形成していくことが
できるため、工程数が少ない、形状の自由度が高い、更
には母材の任意の内部(深さ)にコア領域が形成できる
ため任意形状の三次元状のコア領域を形成して三次元光
導波路を作製することができる、等の長所があるが、反
面、一括生産性に劣り、このため前述のフォトリソグラ
フィー法とは相補的に利用されると考えられる。
【0012】
【発明が解決しようとする課題】上記のような従来技術
のうち、フォトリソグラフィー法にて製造される光導波
路に関しては、前述の通り、一括生産性に優れるが、工
程数が多く、またコア領域を積層成形することが困難で
あるといった問題点が存在する。
【0013】一方、ビーム直接描画法で製造される光導
波路に関しては、紫外線硬化などの化学反応を利用した
手法については、材料が紫外線硬化性物質に制限され、
また紫外線の存在する環境では製造できないため紫外線
暗室が必要となるなどの問題点がある。またX線や電子
線などの高エネルギーの電磁波を用いる方法では、母材
の表面にしかコア領域を形成できなかった。
【0014】また短パルスレーザを用いて三次元光導波
路を作製する方法では、使用可能な母材の材料としてガ
ラス(例えば特開平9−311237号公報、特開平1
1−231151号公報等)及び紫外線硬化性樹脂(例
えばJ.H.Strickeyら Opt.Lett.
第16巻 p.1780〜(1991年)、M.P.J
oshiら Appl.Phys.Lett.第74巻
p.170(1999年)等)に限られ、ガラスを用い
る場合には成形性や取扱性に問題があり、また紫外線硬
化性樹脂を用いる場合には上述のように紫外線の存在す
る環境では製造できないため紫外線暗室が必要となるな
どの問題点があって、広く利用されるには至っていな
い。
【0015】本発明は上記の点に鑑みて為されたもので
あり、ビーム直接描画法によって母材内部で複雑な三次
元状のコア領域が容易に形成され、三次元光導波回路の
形成に適し、更に母材材料として従来のガラスや紫外線
硬化性樹脂以外のものを使用することにより成形性、取
扱性を向上すると共に製造時の作業環境の制約を低減す
ることができる光導波路、この光導波路からなる光配線
板及び電気・光混載回路基板、並びに光導波路の製造方
法を提供することを目的とするものである。
【0016】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1に係る
光導波路は、母材5に光波又は電磁波を集束させて照射
することにより、この集束照射領域でこの母材5の屈折
率が変化されてコア領域10が形成され、かつこのコア
領域10が連続して形成された光導波路において、光波
又は電磁波として短パルスレーザ光6が用いられ、母材
5がフッ素を構成元素に含む高分子材料からなることを
特徴とするものである。
【0017】また請求項2の発明は、請求項1におい
て、母材5が、フッ素を含むオレフィンを重合して得ら
れる高分子材料と、高分子材料を溶媒に溶解された状態
から溶媒を揮発させて成形されたもののうちの、いずれ
かであることを特徴とするものである。
【0018】また請求項3の発明は、請求項1又は2に
おいて、母材5が、集束照射領域に照射される短パルス
レーザ光6の波長域に光吸収を有さず、かつその波長の
半波長域及び1/3波長域に光吸収を有さないか、ある
いは短パルスレーザ光6の波長域から紫外線域まで光吸
収を有さないものであることを特徴とするものである。
【0019】また請求項4の発明は、請求項1乃至3の
いずれかにおいて、コア領域10を母材5内部に並列に
複数設けて成ることを特徴とするものである。
【0020】また請求項5の発明は、請求項1乃至3の
いずれかにおいて、コア領域10を、母材5内部に三次
元的に設けて成ることを特徴とするものである。
【0021】また本発明の請求項6に係る光配線板は、
請求項1乃至5のいずれかに記載の光導波路にて構成さ
れていることを特徴とするものである。
【0022】また本発明の請求項7に係る電気・光混載
回路基板は、請求項1乃至5のいずれかに記載の光導波
路にて構成されていることを特徴とするものである。
【0023】また本発明の請求項8に係る光導波路の製
造方法は、フッ素を構成元素に含む高分子材料からなる
母材5を可動台上に固定し、この母材5に向けて集光レ
ンズを通過させた短パルスレーザ光6を母材5中の任意
の箇所に集光点が配置されるように照射し、可動台もし
くは短パルスレーザ光6の照射位置及び集光レンズの配
置位置を移動させることにより母材5内部における集光
点の配置位置を一定速度で移動させて、母材5内部に連
続したコア領域10を形成することを特徴とするもので
ある。
【0024】また請求項9の発明は、請求項8におい
て、基板上にフッ素を含むオレフィンを塗布した後、重
合反応を進行させて基板上にフッ素を構成元素に含む高
分子材料の塗膜からなる母材5を形成する工程と、フッ
素を構成元素に含む高分子材料の溶媒溶解物から溶媒を
揮発させて母材5を形成する工程のうちの、いずれかの
工程を有することを特徴とするものである。
【0025】また請求項10の発明は、請求項8又は9
において、母材5が、母材5に照射される短パルスレー
ザ光6の波長域に光吸収を有さず、かつその波長の半波
長域及び1/3波長域に光吸収を有さないか、あるいは
短パルスレーザ光6の波長域から紫外線域まで光吸収を
有さないものであることを特徴とするものである。
【0026】また請求項11の発明は、請求項8乃至1
0のいずれかにおいて、短パルスレーザ光6として、パ
ルス幅が10-12秒よりも短いものを用いることを特徴
とするものである。
【0027】また請求項12の発明は、請求項8乃至1
1のいずれかにおいて、母材5中の集光点における短パ
ルスレーザ光6の強度密度を1012〜1014W/cm2
となるようにすることを特徴とするものである。
【0028】
【発明の実施の形態】以下、本発明の実施の形態を、図
1を示して説明する。
【0029】母材5はフッ素を構成元素に含む高分子材
料からなる成形体にて構成される。このとき母材5はフ
ッ素を含むオレフィンを重合して形成される合成樹脂の
成形体にて構成することができ、この場合は任意の基板
上にフッ素を含むオレフィンを塗布した後、加熱するな
どして重合反応を進行させることにより、基板上にフッ
素を構成元素に含む高分子材料の塗膜からなる母材5を
形成することができる。
【0030】このようにして形成された母材5に、短パ
ルスレーザ光6を集光レンズを通過させた後に照射する
ことにより短パルスレーザ光6を母材5の内部に集光し
て、短パルスレーザ光6の集束照射領域(集光点8)近
傍において母材5に屈折率変化領域を形成し、この集光
点8を母材5に対して相対移動させることにより母材5
内部に連続した屈折率変化領域を形成して、この屈折率
変化領域にてコア領域10を構成する。すなわち、短パ
ルスレーザ光6が集光された部分の屈折率が変化してコ
ア領域10が形成され、母材5のコア領域10以外の領
域がクラッドを構成し、コア領域10中における光の伝
達が可能となるものである。
【0031】このような集光点8における屈折率変化領
域(コア領域10)の形成は、極度にエネルギー密度が
高められた短パルスレーザ光6の照射に特有の多光子吸
収という現象を利用した、母材5内部での局所的屈折率
変化誘起によるものである。このような屈折率変化誘起
が生じる母材5材料は従来はごく限られたものであった
が、本発明では、多光子吸収による屈折率変化誘起が生
じる材料として、新たにフッ素を構成元素に含む高分子
材料を見出したものである。
【0032】この高分子材料中におけるフッ素原子の役
割は未だ明確には解明されていないが、一般にフッ素を
構成元素に含む高分子においては、炭素原子とフッ素原
子との間に非常に強固な結合を有し、また炭素原子間の
結合もフッ素原子の影響により強化された構造をもって
いるため、より安定した結合状態が存在するとしても結
合状態が遷移せずに保持される。そして多光子吸収の作
用によって一旦フッ素原子と炭素原子との間の結合や、
フッ素によって強化された炭素原子間の結合が解離する
と、解離前とは異なるより安定した結合状態で炭素−フ
ッ素間結合や炭素間結合が形成され、この結合状態が強
固に保持されることとなる。このようにフッ素を構成元
素に含む高分子においては多光子吸収によって分子構造
の変化が生じやすくなり、この分子構造が変化した部分
では電子構造に大きな変化が生じて、これが大きな屈折
率変化を誘起するものと推測される。
【0033】また、このようにフッ素を構成元素として
含有することにより、母材5が全体として強固な構造を
有することとなり、短パルスレーザ光6の照射による母
材5の熱損傷に対する耐性が向上して、より安定で効果
的な屈折率変化の誘起を行うことができる。
【0034】ここで、母材5を構成する高分子材料の物
性と、短パルスレーザ光6の波長との関係としては、母
材5が短パルスレーザ光6の波長域に光吸収を有さず、
かつその波長の半波長域及び1/3波長域に光吸収を有
さないようにすることが好ましい。母材5に短パルスレ
ーザ光6の波長での吸収や、低次の多光子吸収領域であ
る2光子(半波長域)、3光子(1/3波長域)に光吸
収を有する場合には、この光吸収は欠陥準位や色中心な
どと呼ばれる熱吸収領域によるものであることが多く、
このような光吸収が生じる場合には、多光子吸収の過程
において高次の多光子吸収によって原子間の結合の解離
が生じる前に、低次の多光子吸収によって短パルスレー
ザ光6のエネルギーが熱に変換され、母材5に熱損傷が
発生するおそれがある。すなわち、母材5が短パルスレ
ーザ光6の波長域に光吸収を有さず、かつその波長の半
波長域及び1/3波長域に光吸収を有さない場合には、
熱損傷が生じることなく、4光子や5光子等の高次の多
光子吸収によって原子間の結合の解離を発生させること
ができ、より安定で効果的な屈折率変化の誘起を行うこ
とができる。
【0035】また、このような熱吸収領域は紫外線領域
を超える領域、即ち波長200nmを超える波長域で発
生し、紫外線領域以下の領域での光吸収は光エネルギー
から熱エネルギーへの変換を伴わない吸収となるので、
母材5が短パルスレーザ光6の波長の半波長域及び1/
3波長域に光吸収を有する場合であっても、その波長域
が波長200nm以下の紫外線領域以下の領域であれ
ば、低次の光吸収による熱損傷は生じないものである。
すなわち、母材5が短パルスレーザ光6の波長域に光吸
収を有さず、短パルスレーザ光6の波長域から紫外線領
域(波長200nm)までの間に光吸収を有さない場合
には、熱損傷が生じることなく、より安定で効果的な屈
折率変化の誘起を行うことができる。
【0036】ここで、母材5が光吸収を有さない状態と
いうのは、理想的には光吸収が0、即ち透過率100%
の状態であるが、母材5の表面の凹凸や湾曲等の性状や
母材5の厚み等の影響により、微量の光吸収の発生は避
けがたい。しかし、短パルスレーザ光6の波長域におけ
る透過率が85〜100%であれば母材5が短パルスレ
ーザ光6の波長域において光吸収を有さないとすること
ができ、より好ましくは短パルスレーザ光6の波長域に
おける透過率が90〜100%であると、より確実に熱
損傷の発生を防止することができ、更に安定で効果的な
屈折率変化の誘起を行うことができる。また、短パルス
レーザ光6の波長の半波長域及び1/3波長域におい
て、短パルスレーザ光6の波長域における透過率に対し
て20%以上の透過率の減少が生じない場合には、短パ
ルスレーザ光6の波長の半波長域及び1/3波長域にお
いて光吸収を有さないとすることができ、あるいは短パ
ルスレーザ光6の波長域から紫外線域までの各波長域に
おいて、短パルスレーザ光6の波長域における透過率に
対して20%以上の透過率の減少が生じない場合には短
パルスレーザ光6の波長域から紫外線域まで光吸収を有
さないとすることができるものであり、この場合に安定
で効果的な屈折率変化の誘起を行うことができるもので
ある。
【0037】また、短パルスレーザ光6としては、その
パルス幅が10-12秒以下のものを用いることが好まし
い。このパルス幅よりも長いパルス幅のパルスレーザ光
を用いると、母材5中においてレーザ光からエネルギー
を得て高エネルギー状態にある電子が熱を放出して緩和
してしまう過程が起こり易くなって多光子吸収が起こり
にくくなり、母材5に熱損傷が生じると共に安定で効果
的な屈折率変化の誘起を行うことが困難となるおそれが
ある。この短パルスレーザ光6のパルス幅の下限は特に
制限はされないが、実用上の下限は10-15秒である。
【0038】また、短パルスレーザ4のエネルギーの強
度密度は、母材5中の短パルスレーザ4の集光点8にお
いて、1012〜1014W/cm2となるようにすること
が好ましい。エネルギーの強度密度がこの範囲に満たな
いと多光子吸収を起こすための十分なエネルギーが得ら
れにくくなり、またエネルギーの強度密度がこの範囲を
超えるとエネルギーの熱変換が生じやすくなって母材5
の熱損傷が発生しやすくなる。
【0039】具体的な母材5の材料と短パルスレーザ4
との組み合わせは、後述する実施例において示す。
【0040】図1は、本発明における光導波路の製造方
法の一形態を示すものである。
【0041】母材5は上記のようにフッ素を含むオレフ
ィンを重合して形成される合成樹脂の成形体にて構成さ
れているものであり、基板1上にフッ素を含むオレフィ
ンを塗布した後、加熱することにより重合反応を進行さ
せて、約100μm程度の薄膜状に形成される。
【0042】この母材5が形成が配置された基板1はス
テージ9上に固定される。このステージ9は3軸方向
(XYZ方向)に連続一定速度で移動可能に形成されて
いる可動台である。
【0043】そして、この母材5に向けて、短パルスレ
ーザ光6を照射する。このとき短パルスレーザ光6は、
光源と母材5との間に集光レンズ7を配置することによ
り、集光レンズ7を通過した後に母材5に照射するもの
とし、このとき、集光レンズ7にて集光された短パルス
レーザ光6の集光点8は、母材5内部の任意の所定箇所
に配置されるようにする。
【0044】この短パルスレーザ光6の集光点8では、
短パルスレーザ光6のエネルギーの強度密度が十分に高
められて、多光子吸収が生じることとなり、屈折率変化
が誘起される。この状態でステージ9を一方向に移動さ
せると、集光点8は母材5内部において母材5に対して
相対的に移動し、母材5内における集光点8の軌跡にお
いて屈折率変化が誘起されて、連続したコア領域10が
形成されるものである。
【0045】ここで、上記の説明では母材5内における
集光点8の移動を、ステージ9を移動させて集光点8に
対して母材5を移動させることにより行っているが、短
パルスレーザ光6及び集光レンズ7を移動させることに
より母材5に対して集光点8を移動させても良い。
【0046】また、母材5内における集光点8の移動幅
は、集光レンズ7の作動距離等の装置構成によって制限
されるが、ステージ9の水平面方向だけでなく、短パル
スレーザ光6の光軸方向、即ちステージ9に対して垂直
な方向にも移動させることができ、母材5内において集
光点8を任意の方向に移動させて、種々の形状を有する
コア領域10を形成することができるものである。
【0047】例えば、複数のコア領域10を並列に形成
すると、例えば光導波路を信号伝送用途に使用すること
により大量の情報を光信号にて一方向に伝送することが
できる。
【0048】また、母材5内には一方向のコア領域10
のみを形成するだけでなく、母材5の横方向、縦方向、
厚み方向、斜め方向などの、任意の種々の方向のコア領
域10を複数形成することもでき、またコア領域10を
一平面上のみに形成するだけでなく、母材5内における
複数層の領域にそれぞれ形成して複数のコア領域10が
母材5内で積層して形成されるようにするなど、コア領
域10を母材5内部における任意の箇所に形成すること
ができる。このようにコア領域10を母材5内に三次元
的に形成すると、光信号を任意の複数方向に伝送する複
数のコア領域10が母材5内に高密度に設けられた光導
波路を形成することができる。
【0049】上記のような本発明の光導波路は、光信号
を伝送するための光配線板として形成すると、例えば通
信機器間(ボード間)を光接続するために利用すること
ができる。このように光配線板を形成するにあたって
は、母材5中に複数のコア領域10を並列に形成すると
大量の情報を光信号にて一方向に伝送することができ
る。またコア領域10は母材5内に任意の形状に形成す
ることができるため、曲線状の軌跡を有するコア領域1
0を形成することにより、限られたスペース内において
任意の方向に光信号を伝送する光回路基板を形成するこ
ともできる。
【0050】また、光導波路は、電気配線が形成された
配線板と積層一体化することにより、電気・光混載回路
基板を構成することができる。この電気・光混載回路基
板は、光素子と電気素子とを搭載することによって、電
気的処理と光信号処理とが併用される装置をコンパクト
に構成することができ、特にコア領域10が母材5内に
三次元的に設けられた光導波路を用いると、高集積の電
気・光混載回路基板を構成することができる。
【0051】このような電気・光混載回路基板は、例え
ば上記の図1に示す光導波路の製造工程において、基板
1として銅ポリイミド配線板に回路形成を施して電気配
線を形成するなどした配線板を用いるなどして製造する
ことができ、この場合は基板である配線板に光導波路が
積層成形された電気・光混載回路基板を得ることができ
る。
【0052】
【実施例】(実施例1)フッ素を構成元素に含む高分子
材料としては、デュポン株式会社製の全フッ素アモルフ
ァス高分子テフロンAF(商品名、以下「テフロンA
F」という)を用いた。このテフロンAFは下記構造式
(a)を有する高分子化合物であり、式中のx及びyの
値はx/y=65/35〜70/30の範囲となってい
る。
【0053】
【化1】
【0054】本実施例では、まずデュポン株式会社から
販売されているテフロンAFの溶剤溶解物を、周囲に側
壁を立設したガラス基板上に深さ1〜2mmになるよう
に流し込み、このガラス基板をホットプレート上で空気
雰囲気下、70℃で10時間加熱し、更に約3℃/分の
昇温速度で112℃まで昇温してから、112℃に維持
した状態で3時間加熱し、更に約3℃/分の昇温速度で
165℃まで昇温した後、165℃に維持した状態で1
0分間加熱することによって、溶剤を揮発させ、厚み約
100μmの母材5を形成した。
【0055】この母材5をガラス基板から剥離させた
後、別の清浄なガラス製の基板1上に粘着テープにて固
定し、基板1をステージ9上にセットすることにより母
材5を基体1を介してステージ9上に配置した。
【0056】次に、連続発振のアルゴンレーザにて励起
されたモードロックTi:サファイアレーザを短パルス
レーザ光6の光源として、波長800nm、パルス幅1
50fs(フェムト秒)、繰り返し周波数20kHz、
パルス強度600kW/パルスの短パルスレーザ光6を
母材5に向けて照射した。このとき光源と母材5との間
には集光レンズ7として20倍の光学顕微鏡用対物レン
ズを配置して、母材5内部に直径約2μmの集光点8を
形成したものであり、このときの集光点8における短パ
ルスレーザ光6のエネルギーの強度密度は約2×1013
W/cmとなった。
【0057】この状態で、ステージ9を一方向に100
00μm/sの速度で移動させて、母材5内部にコア領
域10を形成し、光導波路1を得た。
【0058】このように形成された光導波路1の、コア
領域10の軌跡と直交する断面における屈折率変化を、
顕微楕円偏光解析法により測定した結果を図2に示す。
この結果によれば、コア領域10の径は約2μmに形成
され、屈折率変化はその中心部において最大となって、
母材5のコア領域10が形成されてない領域(クラッ
ド)に比べて、屈折率が約0.03大きくなっており、
コア領域10における屈折率の分布はこの中心部から周
囲に向かうに従って屈折率が徐々に減少する、いわゆる
GI(Graded Index)型分布をしている。
この中心部における屈折率は、屈折率変化前の屈折率
(1.314)に対して約2%の上昇率で増大している
ものである。
【0059】また、このように形成された光導波路に
は、熱損傷に起因する空隙の発生などの異常はみられ
ず、熱損傷が起こっていないものであり、本実施例にお
いて、短パルスレーザ光6の集光点8でのエネルギーの
強度密度を上記の条件よりも増大させると、光導波路中
に若干の熱損傷が生じて空隙が形成された。またステー
ジ9の移動速度をあまりにも遅くした場合は、熱の蓄積
に起因すると推定される母材5の溶解が発生した。この
ステージ9の移動速度、すなわち母材5中における集光
点8の移動速度の、母材5が溶解しない範囲の下限値
は、レーザ光強度、繰り返し周波数、集光状態等の条件
の変化によって変動するものであって特定の値を提示す
ることはできないが、実施例1の条件においては、移動
速度が100μm/s以上であると、母材5の溶解が生
じないものであった。
【0060】(実施例2)フッ素を構成元素に含む高分
子材料としては、旭硝子株式会社製の全フッ素化アモル
ファス高分子サイトップ(商品名、以下「サイトップ」
という)を用いた。このサイトップは下記構造式(b)
を有する高分子化合物であり、式中のxは0又は1、y
は0又は1、zは0、1又は2であり、nの値は500
00〜100000の範囲である。
【0061】
【化2】
【0062】本実施例では、まず旭硝子株式会社から販
売されているサイトップの溶剤溶解物を、周囲に側壁を
立設したガラス基板上に深さ1〜2mmになるように流
し込み、このガラス基板まず真空容器内に封入して減圧
脱泡した後、ホットプレート上で空気雰囲気下、約0.
7℃/分の昇温速度で200℃まで昇温してから、20
0℃に維持した状態で1時間加熱することにより溶剤を
揮発させ、厚み約100μmの母材5を形成した。
【0063】この母材5をガラス基板から剥離させた
後、別の清浄なガラス製の基板1上に粘着テープにて固
定し、基板1をステージ9上にセットすることにより母
材5を基体1を介してステージ9上に配置した。
【0064】次に、この母材5に対して、実施例1と同
様の条件で短パルスレーザ光6を照射したところ、実施
例1の場合と同様に、屈折率が変化したコア領域10が
形成されて、光導波路が得られた。
【0065】(比較例)フッ素化したエポキシ樹脂(三
井化学株式会社製;「テクモアVG3101」)50重
量部と、硬化剤(セントラル硝子株式会社製;「BIS
−AF」)32.2重量部と、両者の反応を促進させる
ための触媒(トリフェニルホスフィン)0.72重量部
と、溶剤であるメチルエチルケトン10重量部とを混合
した後、周囲に側壁を立設したガラス基板上に深さ3m
mになるように流し込み、このガラス基板をホットプレ
ート上で空気雰囲気下、90℃で1時間加熱した後、1
50℃で3時間加熱し、更に220℃で3時間加熱する
ことにより、厚み約2mmの母材5を形成した。
【0066】この母材5をガラス基板から剥離させた
後、別の清浄なガラス製の基板1上に粘着テープにて固
定し、基板1をステージ9上にセットすることにより母
材5を基体1を介してステージ9上に配置した。
【0067】次に、この母材5に対して、実施例1と同
様の条件で短パルスレーザ光6を照射したところ、コア
領域10の形成は確認されず、内部に微細な空隙が形成
された。
【0068】また、短パルスレーザ光6のエネルギーの
強度密度を徐々に下げていっても、空隙が形成されなく
なるだけで、コア領域10が形成されなかった。
【0069】(ラマン分光分析)屈折率変化が何に起因
するものかを調査するために、実施例1における母材5
に対して、短パルスレーザ光6の照射前後において顕微
ラマン分光分析を行い、得られたラマンスペクトルを比
較した。この結果を図3に示す。図中のAは、短パルス
レーザ光6の照射前におけるスペクトル、Bは短パルス
レーザ光6の照射後におけるスペクトル、Cは両スペク
トルの差分をそれぞれ示すものである。また図中にはス
ペクトルのピークに、ピークの起源となる分子基及びそ
の振動モード(ν:伸縮振動、δ:変角振動)を付して
いるが、これらは確定されたものではなく、文献(S.
Eltayebら、J.Ramman Spec. 第
27巻、p.111〜126(1996年))を参考に
比定されたものである。
【0070】この結果によれば、短パルスレーザ光6の
照射によって、νC−C及びδCF 2においてピークの
減少がみられた。またδCF3のピークについてはピー
ク強度自体には大きな変化はないものの、ややブロード
ニングすると共に若干高周波側へシフトしており、差分
Cによって短パルスレーザ光6の照射後の変化が確認さ
れる。また、短パルスレーザ光6の照射後には、新たに
νC=Oに起因すると推定されるピークも出現してい
る。
【0071】このような結果により、母材5には、短パ
ルスレーザ光6の照射によって、高分子内の結合状態の
変化が生じ、これが大きな屈折率の変化を誘起している
と考えられる。
【0072】(光吸収スペクトル測定)実施例1,2及
び比較例にて用いられた各母材5につき、光吸収スペク
トルを測定し、各波長領域での光の透過率を調査した。
実施例1,2の結果を図4(a)(b)に、比較例の結
果を図5にそれぞれ示す。
【0073】図示の結果によれば、図4(a)に示され
る実施例1での母材5、及び図4(b)に示される実施
例2での母材5では、短パルスレーザ光6の波長領域で
ある800nmでの透過率が90%以上であって、光吸
収が生じておらず、またこの800nmの波長領域から
紫外線領域である200nmの領域に亘る各波長領域で
は、短パルスレーザ光6の波長領域における透過率より
も20%以上の透過率の減少は生じなかったものであ
り、短パルスレーザ光6の波長領域の半波長領域である
400nmの領域や、1/3波長領域である267nm
の領域における透過率の減少は、20%を超えるもので
はなかった。
【0074】それに対して、図5に示される比較例での
母材5では、短パルスレーザ光6の波長領域である80
0nmでの透過率が80%近くになって、光吸収が生じ
ており、またより短波長領域となるに従って透過率が急
激に減少し、短パルスレーザ光6の波長領域の半波長領
域である400nmの領域や、1/3波長領域である2
67nmの領域における透過率は非常に低いものとなっ
た。
【0075】以上の結果により、実施例1,2のように
母材5が短パルスレーザ光6の波長域に光吸収を有さ
ず、かつその波長の半波長域及び1/3波長域に光吸収
を有さないか、あるいは短パルスレーザ光6の波長域か
ら紫外線域まで光吸収を有さないものであれば、多光子
吸収の作用によって屈折率変化が誘起されてコア領域1
0が良好に形成されると共に熱損傷が生じなくなり、比
較例のように母材5が短パルスレーザ光6の波長域に光
吸収を有し、また波長の半波長域や1/3波長域、ある
いは短パルスレーザ光6の波長域から紫外線域まで光吸
収が生る場合には低次の光子吸収により熱変換が生じ、
コア領域10が形成されにくくなると共に熱損傷が生じ
やすくなることが推論される。
【0076】
【発明の効果】本発明の請求項1に係る光導波路は、母
材に光波又は電磁波を集束させて照射することにより、
この集束照射領域でこの母材の屈折率が変化されてコア
領域が形成され、かつこのコア領域が連続して形成され
た光導波路において、光波又は電磁波として短パルスレ
ーザ光が用いられ、母材がフッ素を構成元素に含む高分
子材料からなるため、ビーム直接描画法によって母材内
部で複雑な三次元状のコア領域が容易に形成され、三次
元光導波回路の形成に適し、更に母材材料としてフッ素
を構成元素に含む高分子材料を用いていることから、成
形性、取扱性を向上すると共に製造時に紫外線暗室が必
要とされるなどといった製造環境の制約がないものであ
る。
【0077】また請求項2の発明は、請求項1におい
て、母材が、フッ素を含むオレフィンを重合して得られ
る高分子材料と、高分子材料を溶媒に溶解された状態か
ら溶媒を揮発させて成形されたもののうちの、いずれか
であるため、母材成形時の成形性が高く、薄膜状のもの
から厚肉状のものまで任意形状に容易に成形することが
できるものである。
【0078】また請求項3の発明は、請求項1又は2に
おいて、母材が、集束照射領域に照射される短パルスレ
ーザ光の波長域に光吸収を有さず、かつその波長の半波
長域及び1/3波長域に光吸収を有さないか、あるいは
短パルスレーザ光の波長域から紫外線域まで光吸収を有
さないものであるため、コア領域形成時に短パルスレー
ザ光のエネルギーの熱変換が生じにくくなり、光導波路
内に熱損傷が生じることなく、より安定で効果的な屈折
率変化が誘起されたコア領域が形成されるものである。
【0079】また請求項4の発明は、請求項1乃至3の
いずれかにおいて、コア領域を母材内部に並列に複数設
けるため、光導波路を信号伝送用途に使用することによ
り大量の情報を光信号にて一方向に伝送することができ
るものである。
【0080】また請求項5の発明は、請求項1乃至3の
いずれかにおいて、コア領域を、母材内部に三次元的に
設けるため、光信号を任意の複数方向に伝送する複数の
コア領域を高密度に形成することができるものである。
【0081】また本発明の請求項6に係る光配線板は、
請求項1乃至5のいずれかに記載の光導波路にて構成さ
れているため、通信機器間等の装置間を光接続するため
に利用することができるものである。
【0082】また本発明の請求項7に係る電気・光混載
回路基板は、請求項1乃至5のいずれかに記載の光導波
路にて構成されているため、電気的処理と光信号処理と
が併用される装置をコンパクトに構成することができる
ものである。
【0083】また本発明の請求項8に係る光導波路の製
造方法は、フッ素を構成元素に含む高分子材料からなる
母材を可動台上に固定し、この母材に向けて集光レンズ
を通過させた短パルスレーザ光を母材中の任意の箇所に
集光点が配置されるように照射し、可動台もしくは短パ
ルスレーザ光の照射位置及び集光レンズの配置位置を移
動させることにより母材内部における集光点の配置位置
を一定速度で移動させて、母材内部に連続したコア領域
を形成するため、ビーム直接描画法によって母材内部に
複雑な三次元状のコア領域を容易に形成することができ
て、三次元光導波回路の形成に適し、更に母材材料とし
てフッ素を構成元素に含む高分子材料を用いていること
から、成形性、取扱性を向上すると共に製造時に紫外線
暗室が必要とされるなどといった製造環境の制約がない
ものである。
【0084】また請求項9の発明は、請求項8におい
て、基板上にフッ素を含むオレフィンを塗布した後、重
合反応を進行させて基板上にフッ素を構成元素に含む高
分子材料の塗膜からなる母材を形成する工程と、フッ素
を構成元素に含む高分子材料の溶媒溶解物から溶媒を揮
発させて母材を形成する工程のうちの、いずれかの工程
を有するため、母材の成形性が高く、薄膜状のものから
厚肉状のものまで任意形状の光導波路を容易に成形する
ことができるものである。
【0085】また請求項10の発明は、請求項8又は9
において、母材が、母材に照射される短パルスレーザ光
の波長域に光吸収を有さず、かつその波長の半波長域及
び1/3波長域に光吸収を有さないか、あるいは短パル
スレーザ光の波長域から紫外線域まで光吸収を有さない
ものであるため、コア領域形成時に短パルスレーザ光の
エネルギーの熱変換が生じにくくなり、光導波路内に熱
損傷が生じることなく、より安定で効果的な屈折率変化
が誘起されたコア領域を形成することができるものであ
る。
【0086】また請求項11の発明は、請求項8乃至1
0のいずれかにおいて、短パルスレーザ光として、パル
ス幅が10-12秒よりも短いものを用いるため、コア領
域形成時に短パルスレーザ光のエネルギーの熱変換が生
じにくくなり、光導波路内に熱損傷が生じることなく、
より安定で効果的な屈折率変化が誘起されたコア領域を
形成することができるものである。
【0087】また請求項12の発明は、請求項8乃至1
1のいずれかにおいて、母材中の集光点における短パル
スレーザ光の強度密度を1012〜1014W/cm2とな
るようにするため、コア領域形成時に短パルスレーザ光
のエネルギーの熱変換が生じにくくなると共に屈折率変
化の誘起が安定して生じ、より安定で効果的な屈折率変
化が誘起されたコア領域を形成することができるもので
ある。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施の形態の一例を示す概念図であ
る。
【図2】実施例1の光導波路の断面の屈折率変化を顕微
楕円偏光解析法に測定した結果を示すグラフである。
【図3】実施例1における短パルスレーザ光照射前の母
材と、短パルスレーザ光照射後の母材に対して、ラマン
分光測定を行った結果を示すグラフであり、Aは短パル
スレーザ光照射前の母材のスペクトル、Bは短パルスレ
ーザ光の照射後の母材のスペクトル、Cのは両スペクト
ルの差分である。
【図4】 (a)は実施例1、(b)は実施例2におけ
る各母材の、光透過スペクトルの測定結果を示すグラフ
である。
【図5】 比較例における母材の、光透過スペクトルの
測定結果を示すグラフである。
【図6】 (a)乃至(h)は、フォトリソグラフィー
法による従来の光導波路の各製造工程を示す断面図であ
る。
【符号の説明】
5 母材 6 短パルスレーザ光 8 集光点 10 コア領域
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き Fターム(参考) 2H047 KA04 KB09 PA02 PA03 PA11 PA22 PA28 QA05 TA43 4E068 DA00 DB07 5E338 AA00 BB75 CC10 EE60

Claims (12)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 母材に光波又は電磁波を集束させて照射
    することにより、この集束照射領域でこの母材の屈折率
    が変化されてコア領域が形成され、かつこのコア領域が
    連続して形成された光導波路において、光波又は電磁波
    として短パルスレーザ光が用いられ、母材がフッ素を構
    成元素に含む高分子材料からなることを特徴とする光導
    波路。
  2. 【請求項2】 母材が、フッ素を含むオレフィンを重合
    して得られる高分子材料と、高分子材料を溶媒に溶解さ
    れた状態から溶媒を揮発させて成形されたもののうち
    の、いずれかであることを特徴とする請求項1に記載の
    光導波路。
  3. 【請求項3】 母材が、集束照射領域に照射される短パ
    ルスレーザ光の波長域に光吸収を有さず、かつその波長
    の半波長域及び1/3波長域に光吸収を有さないか、あ
    るいは短パルスレーザ光の波長域から紫外線域まで光吸
    収を有さないものであることを特徴とする請求項1又は
    2に記載の光導波路。
  4. 【請求項4】 コア領域を母材内部に並列に複数設けて
    成ることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記載
    の光導波路。
  5. 【請求項5】 コア領域を、母材内部に三次元的に設け
    て成ることを特徴とする請求項1乃至3のいずれかに記
    載の光導波路。
  6. 【請求項6】 請求項1乃至5のいずれかに記載の光導
    波路にて構成されていることを特徴とする光配線板。
  7. 【請求項7】 請求項1乃至5のいずれかに記載の光導
    波路にて構成されていることを特徴とする電気・光混載
    回路基板。
  8. 【請求項8】 フッ素を構成元素に含む高分子材料から
    なる母材を可動台上に固定し、この母材に向けて集光レ
    ンズを通過させた短パルスレーザ光を母材中の任意の箇
    所に集光点が配置されるように照射し、可動台もしくは
    短パルスレーザ光の照射位置及び集光レンズの配置位置
    を移動させることにより母材内部における集光点の配置
    位置を一定速度で移動させて、母材内部に連続したコア
    領域を形成することを特徴とする光導波路の製造方法。
  9. 【請求項9】 基板上にフッ素を含むオレフィンを塗布
    した後、重合反応を進行させて基板上にフッ素を構成元
    素に含む高分子材料の塗膜からなる母材を形成する工程
    と、フッ素を構成元素に含む高分子材料の溶媒溶解物か
    ら溶媒を揮発させて母材を形成する工程のうちの、いず
    れかの工程を有することを特徴とする請求項8に記載の
    光導波路の製造方法。
  10. 【請求項10】 母材が、母材に照射される短パルスレ
    ーザ光の波長域に光吸収を有さず、かつその波長の半波
    長域及び1/3波長域に光吸収を有さないか、あるいは
    短パルスレーザ光の波長域から紫外線域まで光吸収を有
    さないものであることを特徴とする請求項8又は9に記
    載の光導波路の製造方法。
  11. 【請求項11】 短パルスレーザ光として、パルス幅が
    10-12秒よりも短いものを用いることを特徴とする請
    求項8乃至9のいずれかに記載の光導波路の製造方法。
  12. 【請求項12】 母材中の集光点における短パルスレー
    ザ光の強度密度を1012〜1014W/cm2となるよう
    にすることを特徴とする請求項8乃至11のいずれかに
    記載の光導波路の製造方法。
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