JP2005141083A - 光部品用材料およびその製造方法、並びに光部品 - Google Patents

光部品用材料およびその製造方法、並びに光部品 Download PDF

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文康 瀬崎
Kiyoyuki Minamimura
清之 南村
Kenji Kamata
賢司 鎌田
Kenji Kanetaka
健二 金高
Junji Nishii
準治 西井
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Abstract

【課題】 パルスレーザーの照射によって高分子材料の内部に光導波路等の光部品用材料を形成・製造する際に、従来よりも一層の効率化かつ低コスト化を図るとともに、より優れた光部品用材料を得る。
【解決手段】 少なくとも高分子材料からなる母材3に、オシレーター発振のみからなる非増幅パルスレーザー1を集光照射する。このとき、非増幅パルスレーザー1は、少なくともパルス幅が5フェムト秒〜500ピコ秒の範囲内であればよい。これにより、母材3内に他の部位とは屈折率が異なる屈折率変化部位を形成することができるだけでなく、集光点を移動させることで複雑な形状の屈折率変化部位を形成できる。その結果、高品質の光部品用材料を容易かつ低コストで製造することができる。
【選択図】 図1

Description

本発明は、パルスレーザーの集光照射によって、高分子材料からなる母材の内部に、屈折率の変化した部位を連続して形成することによって製造される各種光部品用材料とその製造方法と当該光部品用材料を用いてなる光部品とに関するものであり、特に、効率的かつ低コストで製造される光部品用材料およびその製造方法、並びに光部品に関するものである。
光通信は、通信の高速化、大容量化、長距離化等の性能向上や、通信システムの経済化、高機能化を図ることが可能であるため、近年急速に関心が高まりつつある。この光通信における重要な光部品としては、例えば、光分岐結合器(光カプラ)、光合波分波器、光アイソレータ、光ファイバーアンプ等が挙げられるが、最近では、導波路型素子(導波路型光変調器)が有望視されている。
導波路型素子は、光の強度や位相を電気信号に合わせて制御する光集積回路の一種であるため、半導体の微細加工技術を用いて各種基板上に形成できること、小型で高速、高効率で動作する素子にできること等の利点がある。
受動型の導波路型素子のうち、現在のところ最も高性能で信頼性の高いものは、ガラス製の光導波路を用いたものが挙げられる。ところが、ガラス製の光導波路を製造する場合、その過程で1000℃以上の高温とする工程を含むため、製造・加工の容易性に欠けるという問題が生じる。
そこで、例えば、特許文献1には、ガラス材料の内部にレーザー光を集光させ、その集光点を相対的に移動させることで屈折率変化をもたらす構造変化をガラス材料の内部に起こさせ、光導波路を形成する技術が開示されている。しかしながら、この技術では、ガラス材料に光導波路を形成するため、光導波路そのものにフレキシビリティーが無い、ガラス製であるため割れやすい等、汎用性に欠けるという問題が生じる。
それゆえ、最近では、ポリマー材料を用いて光導波路を形成するための検討が数多くなされており、その中でも、含フッ素ポリイミド樹脂が脚光を浴びている。含フッ素ポリイミド樹脂は、近赤外領域(1.2〜1.6μm)での光損失が小さく、また、高耐熱性、低吸湿性等の優れた物性を有しているため、これらの利点を生かせば、優れた性質を有する光導波路を製造することが可能になる。
また、レーザーの照射により高分子材料に光導波路を形成する技術の開発もなされている。例えば、特許文献2には、フォトポリマーに対してレーザーを照射することにより光導波路を形成する技術が開示されている。
さらに特許文献3には、パルスレーザーを高分子材料の内部に集光照射する技術が開示されている。この技術では、ピークパワー強度が102W/cm2以上106W/cm2以下であるパルスレーザーを用いることにより、集光照射した部位の屈折率上昇を誘起させて、該高分子材料内部に光導波路を形成している。この技術では、繰返し周波数域が1kHz以上のパルスレーザーを用いればよいとしており、このようなパルスレーザーを発振するためには、種光を発振するオシレーターと、当該種光を増幅するアンプから構成される装置を用いることが一般的である。
特開平9−311237号公報(平成9年(1997)12月2日公開) 特開平9−318831号公報(平成9年(1997)12月12日公開) 特開2002−14246号公報(平成14年(2002)1月18日公開)
しかしながら、上記従来の技術では、高分子材料を用いた光導波路をより効率的かつ低コストで製造することが不十分となっている。
まず、含フッ素ポリイミド樹脂を用いた光導波路の製造技術について見れば、この分野の技術は種々提案されているものの、何れの技術においても複雑な手法を用いている。具体的には、光導波路のパターンのレリーフ構造を作製する場合を例に挙げると、例えば、ポリイミド樹脂層の上に感光性樹脂を塗布し、その後、フォトリソグラフィーによりパターンを形成し、RIE(リアクティブイオンエッチング)等でエッチングして余分な感光性樹脂を剥離するという工程を経ることになる。このように、含フッ素ポリイミド樹脂を用いた技術では、光導波路を形成する過程に含まれる工程数が多くなり、製造工程が煩雑な上に、製造コストや歩留まりに悪影響を及ぼすという問題点を有している。
また、特許文献2に開示されている技術では、光導波路の形成される高分子材料として、光の照射により重合度が上昇して屈折率が変化するフォトポリマーを用いている。それゆえ、高分子材料の選択に汎用性がない上に、コアとクラッドとを別々に形成するためにフォトポリマーを塗布する積層工程を3回繰り返す必要性が生じる。このようにフォとポリマーを用いた技術では、工程数の増加等といったや煩雑さを招くため、上記含フッ素ポリイミド樹脂と同様の問題点を生じる。
さらに、特許文献2で用いられているレーザーは、フォトポリマーの重合度を上昇させる程度の強度であり、高分子材料に照射して屈折率を誘起させるような強度のレーザーではない。したがって、フォトポリマー以外の高分子材料に光導波路を形成することは困難となっている。
さらに、特許文献3に開示されている技術では、アンプを用いた装置でパルスレーザーを発振しているため、例えば実施例で記載しているようにパルスレーザーの繰返し周波数は200kHzという低速となっている。繰返し周波数が200kHz程度の低速であれば、パルスレーザーによる光導波路形成時の形成速度(加工スピード)が非常に小さくなり生産性が低下する。そこで、生産性を向上するために加工スピードを大きくすると、光導波路の側壁が波打つ等するため、当該光導波路の特性が低下する。
すなわち、特許文献3に開示されている技術では、安定した加工性を達成しようとすると、加工スピードが小さくなって生産性が低下し、生産性の向上を達成しようとすると、加工の安定性が劣るという問題点が生じる。
加えて、アンプを用いた装置でパルスレーザーを発振させる場合、アンプの使用により設備コストが高くなり、結果として光導波路の製造コストが高くなってしまうという問題点も生じる。
本発明は、上記課題に鑑みなされたものであって、その目的は、レーザーの照射によって高分子材料の内部に光導波路等の光部品用材料を形成・製造する際に、従来よりも一層の効率化かつ低コスト化を図ることのできる技術を提供することにある。
本発明者は、上記課題に鑑み鋭意検討した結果、光部品用材料の製造に際して、パルスレーザーの条件を適宜設定することにより、アンプを使用しないでオシレーターから発振されたのみのパルスレーザー(便宜上、非増幅パルスレーザーと称する)を用いることが可能であることを見出し、本発明を完成させるに至った。
すなわち、本発明にかかる光部品用材料は、上記の課題を解決するために、少なくとも高分子材料からなる母材にパルスレーザーを照射することによって、当該母材内に他の部位とは屈折率が異なる屈折率変化部位を形成することにより得られる光部品用材料において、パルス幅が5フェムト秒〜500ピコ秒の範囲内であり、かつ、オシレーター発振のみからなる非増幅パルスレーザーを上記母材内に集光照射することにより、上記屈折率変化部位を形成してなることを特徴としている。
上記光部品用材料においては、上記非増幅パルスレーザーが、(1)平均出力が0.01W〜30Wの範囲内、および(2)繰返し周波数が10MHz〜600MHzの範囲内という条件の少なくとも何れかを満たしていることが好ましい。また、上記非増幅パルスレーザーは、母材内に集光照射される前に、シリンドリカルレンズ、対物レンズの順で通過したものであることが好ましい。
上記光部品用材料においては、上記母材に用いられる高分子材料が、ガラス転移温度(Tg)が120℃以上であることが好ましい。また、上記高分子材料として、ポリイミド、ポリカーボネート、フッ素系脂肪族環状構造含有重合体、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリシラン、シアン酸エステル樹脂の少なくとも何れかが用いられることが好ましい。中でも、上記高分子材料として、フッ素原子を含有するポリイミドが用いられることがより好ましい。
上記光部品用材料においては、上記母材には、ラジカル反応性またはイオン反応性を示すモノマーおよび/またはオリゴマーが含まれていることが好ましい。あるいは、上記高分子材料は、その主鎖および/または側鎖に、ラジカル反応性基またはイオン反応性基を含んでいてもよいし、上記母材には、上記モノマーおよび/またはオリゴマーと、ラジカル反応性基またはイオン反応性基を含む高分子材料との双方が含まれていてもよい。上記モノマーおよび/またはオリゴマー、あるいは高分子材料は、ラジカル反応性またはイオン反応性の官能基として、その構造中に、エポキシ基、オキセタン基、シアン酸エステル基およびマレイミド基から選択される1種以上の官能基が含まれていることが好ましい。
上記光部品用材料においては、上記高分子材料は、その光損失が、600nm〜1600nmの範囲内にある波長の光において3dB/cm以下となっていることが好ましい。
また、上記光部品用材料の具体例としては、光導波路、グレーティング、マイクロミラー、レンズ、レンズアレイ、フルネルレンズ、フォトニック結晶の少なくとも何れかを挙げることができる。
また、本発明にかかる光部品用材料の製造方法は、少なくとも高分子材料からなる母材にパルスレーザーを照射して、当該母材内に他の部位とは屈折率が異なる屈折率変化部位を形成する工程を含む光部品用材料の製造方法において、上記パルスレーザーとして、パルス幅が5フェムト秒〜500ピコ秒の範囲内であり、かつ、オシレーター発振のみからなる非増幅パルスレーザーを用いることを特徴としている。
上記工程では、上記非増幅パルスレーザーを母材に集光照射することにより、屈折率の異なるコア層とクラッド層を形成することができる。また、上記工程では、母材内で上記非増幅パルスレーザーの集光照射点を連続的に移動させることもできる。
さらに、上記非増幅パルスレーザーとしては、(1)平均出力が0.01W〜30Wの範囲内、および(2)繰返し周波数が10MHz〜600MHzの範囲内という条件の少なくとも何れかを満たすパルスレーザーが用いられることが好ましい。
また、上記工程では、上記非増幅パルスレーザーが、1個以上の光学素子からなる光学系を通過してから母材内に集光照射されるとともに、上記光学系には、非増幅パルスレーザーの出射方向の上流側から、シリンドリカルレンズ、対物レンズの順となるようにこれらレンズが配置されていることが好ましい。
また、本発明には、上記構成の光部品用材料を用いてなる光部品も含まれる。
上記のように、本発明では、増幅されていないオシレーター発振のみからなる非増幅パルスレーザーを用いて、例えばポリイミド等の高分子材料を主成分とする母材内に、当該非増幅パルスレーザーを集光照射する。これにより母材内に屈折率変化を誘起させることができ、当該母材内に光部品用材料を製造することができる。
この方法によれば、複雑な工程を経ることなく、しかも簡単に光部品用材料を製造することができるだけでなく、レーザー発振設備も簡易な設備とすることができる。また得られる光部品用材料は、高分子材料を主体としているため、ガラス製のものと異なり、フレキシブルなものとすることができる。さらに、非増幅パルスレーザーの光軸方向に対して、母材の走査方向または母材に対する集光点の移動方向を変えることで、光導波路等の光部品用材料の形状を任意に制御することができる。それゆえ、2次元だけでなく3次元的な光導波路も容易に製造できるので、複雑な回路構造をもつ光集積回路等に適した光導波路を容易に得ることができる。
したがって、本発明では、従来よりも一層の効率的かつ低コストで光部品用材料を製造することができるだけでなく、得られる光部品材料や光部品を高品質なものとすることができるという効果を奏する。
本発明の一実施形態について図1に基づいて説明すると以下の通りであるが、本発明はこれに限定されるものではない。
本実施の形態では、本発明にかかる光部品用材料、本発明にかかる光部品用材料の製造方法、および本発明の利用(有用性)の順で、本発明を詳細に説明する。
(I)本発明にかかる光部品用材料
<光部品用材料>
本発明にかかる光部品用材料とは、例えば光通信等のように、光を用いたシステムに用いられる光部品を製造する際に用いられる素材、または光部品の構成要素となり得る基本的な部品状の材料を指す。特に本発明では、少なくとも高分子材料からなる母材の内部に、直接にパルスレーザー(レーザーパルス)を集光照射することによって、当該母材の内部に屈折率の異なる部位を形成してなる材料を指す。このような光部品用材料は、屈折率の異なる部位により、様々な機能を発揮できるようになっている。それゆえ、本発明にかかる光部品用材料には、それ単独で光部品として用いることが可能なものも含まれる。具体的には、例えば、光導波路、グレーティング(回折格子)、マイクロミラー、レンズ、レンズアレイ、フルネルレンズ、フォトニック結晶等を挙げることができるが、特に限定されるものではない。
上記光部品用材料について説明すると、まず、光導波路とは、光を一定領域内に閉じ込めて伝送する線路そのもの、または、屈折率の低い透光性の基板上に屈折率の高い部位を線状に加工することで上記光の線路を基板上に形成し、光を伝搬させる光の配線板を指す。また、上記グレーティング(回折格子)とは、格子状の光学部材で、例えば、平面または凹面の基板上に周期的な凹凸構造を持たせたものなどを挙げることができる。光の回折を利用し、分光、波長選別、または偏光等に利用することができる。マイクロミラーは、ミラーすなわち光を反射する機械要素としての鏡手段を小型化したものである。
上記レンズは、一般的なレンズのことであり、光を透過させる材質で形成され、二つの屈折表面を有する光学素子のことであるが、特に本発明におけるレンズには、光部品の一部として用いることが可能な微小なレンズも含まれる。このような微小なレンズを平面状に敷き詰めて板状またはシート状にしたものがレンズアレイである。
フルネルレンズ(フレネルレンズ)は、細い輪状に切断された扁平構造物に似たレンズであり、通常のレンズ曲面を環状に切り出し輪帯として1枚の薄いプレート上に高さを揃えて並べた構造を有している。仕上がりが良好で、厚さや重さを小さくした状態で優れた屈折効果を発揮でき、薄い成形のプラスチック板のようなものでも大きなガラス構造物と同等にすることができる。
上記フォトニック結晶とは、屈折率の異なる物質を光の波長以下(サブマイクロメートルオーダー)で規則正しく周期的に配列させた構造体を指し、数マイクロメートルの大きさでプリズムやフィルタ等の光部品を形成することが可能なものである。
なお、上記光導波路に代表される光部品用材料については、(III)の項にて、本発明の利用および有用性の具体例としてより詳細に説明する。
<光部品用材料に用いられる材質>
本発明にかかる光部品用材料に用いられる材質は、高分子材料(ポリマー材料)であれば特に限定されるものではない。具体的には、例えば、ポリイミド、ポリマレイミド、ポリアリレート、ポリカーボネート、ポリウレタン、ポリスルフィド、ポリスルホン、ポリアミド、ポリイミン、ポリ尿素、ポリシラン、ポリシラザン、ポリベンゾオキサゾール、ポリオキサジアゾール、ポリベンゾチアゾール、ポリベンズイミダゾール、ポリスチレン、ポリアクリル酸、ポリアクリル酸エステル、ポリメタクリル酸、ポリメタクリル酸エステル、ポリアクリルアミド、ポリメタクリルアミド、ポリエーテルエーテルケトン、ポリエステル、ポリシロキサン、ポリノルボルネン、ポリシラン、ポリ塩化ビニル、エポキシ樹脂、セルロース系樹脂、シリコーン樹脂、シアナートエステル樹脂、フッ素系樹脂等を挙げることができる。これらの樹脂(高分子材料)は、通常、単独で用いるが、必要に応じて2種類以上を混合したポリマーアロイとして用いてもよい。
上記の中でも、光学特性が優れている高分子材料としては、ポリイミド、ポリカーボネート、フッ素系樹脂(特にフッ素系脂肪族環構造含有重合体)、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリシラン、シアン酸エステル樹脂を好ましくが挙げることができる。
上記光学特性の優れている高分子材料の中でも、特にポリイミドが耐熱性の点で好ましい。さらに、このポリイミドは、その構造中にフッ素原子を含有しているフッ素系ポリイミドが好ましい。フッ素系ポリイミドであれば、得られる光部品用材料の光学特性や吸湿性を優れたものとすることができる。
<フッ素系ポリイミドの具体例>
本発明で好適に用いられるポリイミドとしては、次に示す式(1)または式(2)
Figure 2005141083
で表される構造を含むことが好ましい。ポリイミドにこのような構造が含まれていれば、後述するモノマーおよび/またはオリゴマーを添加した際に、その相溶性を優れたものにできるとともに、得られる光部品用材料の屈折率を向上することができる。
ポリイミドは、モノマー成分として酸二無水物およびジアミンを当モル共重合して得られるポリアミド酸(ポリアミック酸)をイミド化することにより製造することができるが、このようにモノマー成分として、酸二無水物およびジアミンを用いる場合、酸二無水物としては、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物および/またはピロメリット酸二無水物を用いることが好ましく、ジアミンとしては、2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニルを用いることが好ましい。これらモノマー成分を用いてなるポリイミドは、得られる光部品用材料の吸湿性や光学特性を優れたものとすることができるため、より好ましい。
<フッ素系脂肪族環構造含有重合体>
上記光学特性が優れている高分子材料の一つとして挙げているフッ素系脂肪族環構造含有重合体は、フッ素原子を含有する脂肪族環構造(フッ素系脂肪族環構造)を含有する高分子材料であれば特に限定されるものではない。具体的には、例えば、(1)2以上の重合性二重結合を有するフッ素系単量体を環化重合して生成する重合単位、(2)フッ素系脂肪族環構造を含有する単量体が重合して生成する重合単位から選ばれる少なくとも1種の重合単位を有する重合体を挙げることができる。
上記2以上の重合性二重結合を有するフッ素系単量体としては、具体的には、例えば、ペルフルオロ(アリルビニルエーテル)やペルフルオロ(ブテニルビニルエーテル)を挙げることができる。また、上記フッ素系脂肪族環構造を含有する単量体としては、具体的には、例えば、ペルフルオロ(2,2−ジメチル−1,3−ジオキソール)を挙げることができる。
<その他光学特性が優れている高分子材料の具体例>
上記光学特性が優れている高分子材料の一つとして挙げているシリコーン樹脂としては、シロキサン構造(−SiO−構造)を含む重合体であればよく、具体的には、例えば、ポリシロキサン、変成シリコーン樹脂、アクリルシリコーン樹脂等を挙げることができる。中でも、好ましくはシリル基含有有機樹脂を好ましく用いることができる。このシリル基含有有機樹脂は、(A)SiH基と反応性を有する炭素−炭素二重結合を1分子中に少なくとも2個含有する有機系骨格からなる有機化合物、(B)1分子中に少なくとも2個のSiH基を含有するケイ素化合物、および(C)ヒドロシリル化触媒を必須成分としてなる重合反応液を用いて重合することができる。
シリル基含有有機樹脂を挙げることができる。
上記光学特性が優れている高分子材料の一つとして挙げているその他の樹脂(ポリカーボネート、エポキシ樹脂、ポリシラン、シアン酸エステル樹脂、その他のフッ素系樹脂)については特に限定されるものではない。また、上記ポリイミド、フッ素系脂肪族環構造含有重合体、シリコーン樹脂も含めた上記各高分子材料の入手方法は特に限定されるものではなく、公知の製造方法で製造してもよいし、市販のものを用いてもよい。例えば、後述する実施例(合成例1〜3)では、酸二無水物およびジアミンを当モル共重合して得られるポリアミド酸(ポリアミック酸)を触媒・脱水材によりイミド化してフッ素系ポリイミドを合成する例を挙げているが、もちろんこれに限定されるものではない。
<高分子材料に要求される物性>
本発明で用いられる高分子材料の物性は特に限定されるものではないが、ガラス転移温度(Tg)および光損失の少なくとも一方(好ましくは両方)が所定の範囲内となっていることが好ましい。これにより、得られる光部品材料をより優れたものとすることができる。
具体的には、本発明で用いられる高分子材料のTgは120℃以上であることが好ましく、150℃以上がより好ましい。Tgが120℃より低い場合はアブレーションがおこりやすくなるため、光部品用材料を形成しにくくなる場合がある。また、Tgが120℃より低いと得られた光部品用材料において、長期の安定性に欠ける場合もある。なお、Tgの上限は特に限定されるものではなく、(II)の項で述べる条件のパルスレーザーにより屈折率が誘起できる程度のTgであればよい。
また、本発明で用いられる高分子材料の光損失は、600nm〜1600nmの範囲内にある波長の光において3dB/cm以下となっていることが好ましい。3dB/cmより大きい場合、得られる光部品または光部品用材料としては、光損失が大き過ぎて実用に耐えない場合がある。また、パルスレーザーのピーク波長近傍に光吸収があると、アブレーションが起こりやすくなるため、上記Tgの場合と同様に加工性の低下を招く場合がある。なお、光損失の下限については特に限定されるものではなく、光損失が少なければ少ない程良いことは言うまでもない。
なお、上記Tgおよび光損失の測定方法は特に限定されるものではなく、公知の方法、例えば、後述する実施例に記載されている方法等を好適に用いることができる。
<母材>
本発明では、少なくとも上記高分子材料からなっている母材にパルスレーザーを集光照射することによって、光部品用材料を製造するが、この母材の具体的な構成は特に限定されるものではない。
具体的には、母材の形状は特に限定されるものではなく、製造しようとする光部品用材料または光部品の種類に応じて適宜設定すればよい。ただし、母材の厚みは、30μm以上であることが好ましく、50μm以上であることがより好ましく、100μm以上がさらに好ましい。母材の厚みが30μmより小さい場合、表面でのアブレーションが起こりやすく、光部品用材料の加工性の低下を招く場合があるため好ましくない。なお、厚みの上限については特に限定されるものではなく、上記のように光部品用材料や光部品の種類に応じて適宜設定すればよい。
母材を構成する成分は、上記高分子材料のみであってもよいが、その他の成分を含んでいてもよい。具体的には、例えば、上記高分子材料に加えて、モノマーおよび/またはオリゴマーを含有させることができる。後述する(II)の項でも説明するが、母材にオリゴマーやモノマーを含有させることで、パルスレーザーを集光照射した部位において屈折率を増加させることができる。
上記モノマーおよび/またはオリゴマーとしては、具体的には、ラジカル反応性またはイオン反応性を示すモノマーおよび/またはオリゴマーを挙げることができる。ラジカル反応性またはイオン反応性を示すモノマーおよび/またはオリゴマーとは、上記何れかの反応性を示す官能基を有しており、重合可能な化学構造を有するモノマーか、当該モノマーが複数重合したオリゴマーであればよい。このような反応性を示すオリゴマー・モノマーを用いることで、得られる光部品用材料の屈折率をより増加させることが可能となる。
上記ラジカル反応性またはイオン反応性を示すモノマーおよび/またはオリゴマーに含まれている官能基としては、特に限定されるものではないが、具体的には、例えば、エポキシ基、オキセタン基、シアン酸エステル基およびマレイミド基から選択される一種以上の官能基を挙げることができる。すなわち、これら官能基は少なくとも1種が含まれていればよいが、2種以上含まれていてもよい。
上記オリゴマー・モノマーの具体例を挙げると、まず、マレイミド基を有するものとしては、例えば、1,2−ビスマレイミドエタン、1,3−ビスマレイミドベンゼン、1,6−ビスマレイミドヘキサン、1,4−ビスマレイミドベンゼン、2,4−ビスマレイミドトルエン、4,4’−ビスマレイミドジフェニルエーテル、4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタン、3,3’−ビスマレイミドジフェニルスルホン、4,4’−ビスマレイミドジフェニルスルホン、4,4’−ビスマレイミドジシクロヘキシルメタン、2,6−ビスマレイミドピリジン、1,3−ビス(マレイミドメチル)シクロヘキサン、3,5’−ビス(4−マレイミドフェニル)ピリジン、1,3−ビス(マレイミドメチル)ベンゼン、1,1−ビス(4−マレイミドフェニル)シクロヘキサン、1,3−ビス(ジクロルマレイミド)ベンゼン、2,2−ビス(4−マレイミドフェニル)プロパン、4,4’−ビスシトラコンイミドジフェニルメタン、1−フェニル−1,1−ビス(4−マレイミドフェニル)エタン、α,α−ビス(4−マレイミドフェニル)トルエン、3,5−ビスマレイミド−1,2,4−トリアゾール等を挙げることができるが特に限定されるものではない。また、これら化合物における水素原子の一部または全部を重水素、フッ素で置き換えたものや、これらを反応させオリゴマー化させたものも好適に用いることができる。これら化合物は単独で用いてもよいし、2種類以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
また、上記エポキシ基を有するものとしては、例えば、ビスフェノールA型エポキシ化合物、ビスフェノールF型エポキシ化合物、フェノールノボラック型エポキシ化合物、クレゾールノボラック型エポキシ化合物、グリシジルエーテル型エポキシ化合物、ナフタレン型エポキシ化合物、脂環式エポキシ化合物等を挙げることができるが特に限定されるものではない。また、これら化合物における水素原子の一部または全部を重水素、フッ素で置き換えたものも好適に用いることができる。これら化合物は単独で用いてもよいし、2種類以上を適宜組み合わせて用いてもよい。これらの中でも、屈折率の変化しやすさから脂環式エポキシ化合物がより好ましい。
また、オキセタン基を有するものとしては、例えば、3,3−ビス(クロルメチル)オキセタン、3,3−ビス(ヨードメチル)オキセタン、3,3−ビス(メトキシメチル)オキセタン、3−メチル−3−クロルメチルオキセタン、3,3−ビス(フェノキシメチル)オキセタン、3,3−ビス(アセトキシメチル)オキセタン、3,3−ビス(フルオロメチル)オキセタン、3,3−ビス(ブロモメチル)オキセタン、3,3−ジメチルオキセタン、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、1,4−{[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシ]ベンゼン、ジ[1−エチル(3−オキセタニル)] メチルエーテル、3−エチル−3−(2−エチルヘキシロキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−{[3−(トリエトキシシリル)プロポキシ]メチル}オキセタン、オキセタニルシルセスキオキサン、フェノールノボラックオキセタン等を挙げることができる特に限定されるものではない。また、これら化合物における水素原子の一部または全部を重水素、フッ素で置き換えたものや、これらを反応させオリゴマー化させたものも好適に用いることができる。これら化合物は単独で用いてもよいし、2種類以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
また、シアン酸エステル基を有するものとしては、例えば、1,3−又は1,4−ジシアノベンゼン、2−テトラブチル−1,4−ジシアノベンゼン、2,4−ジメチル−1,3−ジシアノベンゼン、2,5−ジ−テトラブチル−1,4−ジシアノベンゼン、4−クロロ−1,3−ジシアノベンゼン、1,3,5−トリシアノベンゼン、2,2’−または4,4’−ジシアノビフェニル、3,3’,5,5’−テトラメチル−4,4’−ジシアノビフェニル1,3−、1,4−、1,5−、1,6−、1,8−、2,6−又は2,7−ジシアナトナフタレン、1,3,6−トリシアナトナフタレン、4,4’−ジシアナトジフェニルメタン、ビス(3−メチル−4−シアナトフェニル)メタン、ビス(3,5−ジメチル−4−シアナトフェニル)メタン、ビス(3,5−ジブロモ−4−シアナトフェニルメタン、ビス(3,5−ジクロロ−4−シアナトフェニル)メタン、ビス(4−シアナトフェニル)エタン、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジメチル−4−シアナトフェニル)プロパン、2,2−ビス(3−メチル−4−シアナトフェニル)プロパン、4,4’−ジシアナトジフェニルチオエーテル、2,2−ビス(4−シアナトフェニル)パーフルオロプロパン、1,1−ビス(4−シアナトフェニル)エタン、2,2−ビス(3,5−ジクロロ−4−シアナトフェニル)プロパン、2,2−ビス(3,5−ジブロモ−4−シアナトフェニル)プロパン、ビス(4−シアントフェニル)ケトン、ビス(4−シアントフェニル)スルホン、トリス(4−シアナトフェニル)ホスファイトおよびトリス(4−シアントフェニル)ホスフェート等を挙げることができる特に限定されるものではない。また、これら化合物における水素原子の一部または全部を重水素、フッ素で置き換えたものや、これらを反応させオリゴマー化させたものも好適に用いることができる。これら化合物は単独で用いてもよいし、2種類以上を適宜組み合わせて用いてもよい。
<高分子材料へのラジカル反応性基・イオン反応性基の導入>
上記の例では、高分子材料とは別にモノマーおよび/またはオリゴマーを含有させて母材としていたが、本発明はこれに限定されるものではなく、同じ理由(得られる光部品用材料の屈折率を増加させるため)で高分子材料の主鎖および/または側鎖に、ラジカル反応性基またはイオン反応性基を含有させてもよい。このとき含有させるラジカル反応性基またはイオン反応性基は、上記と同様に、エポキシ基、オキセタン基、シアン酸エステル基およびマレイミド基から選択される1種以上の官能基であればよい。これら官能基の導入方法は特に限定されるものではなく、例えば、高分子材料を製造する際の原料として、上記官能基を含むモノマーを用いて重合する等の手法を挙げることができる。
<母材の作製>
母材の作製方法は特に限定されるものではなく、主成分である高分子材料に対して、必要に応じて、上述したモノマーおよび/またはオリゴマー等の副成分を配合し、所定形状に成形すればよい。高分子材料に対して上記モノマーおよび/またはオリゴマーを配合する方法、すなわち母材の作製(調製)方法としては、例えば、後述する実施例(母材作製例1〜4)に示すように、高分子材料の有機溶媒溶液を調製し、これにモノマー・オリゴマーを混合した後に所定の形状に成形する方法等を好適に用いることができるが、特に限定されるものではない。
また、高分子材料とモノマー・オリゴマーとの混合比も特に限定されるものではないが、高分子材料の総重量をWpとし、モノマー・オリゴマーの総重量をWmとした場合、Wp:Wm=1:0.01〜1の範囲内が好ましく、1:0.1〜0.5の範囲内がより好ましい。高分子材料に対するモノマー・オリゴマーの混合比(重量比)が0.01を下回ると、モノマー・オリゴマーの種類にもよるが、期待される屈折率増加の効果が十分得られない場合がある。一方、混合比が1を超えると、母材中の高分子材料の比率が低くなり過ぎて、非増幅パルスレーザーの集光照射による屈折率変化を十分に誘起できなくなる場合がある。
母材の加工形状も特に限定されるものではなく、ある程度の厚みを有するシート状に成形してもよいし、より厚みの小さいフィルム状に成形してもよいし、より厚みの大きなバルク状(塊状)や棒状等の形状に成形してもよい。成形方法も特に限定されるものではなく、公知の方法を好適に用いることができる。例えば、後述する実施例では、母材をフィルム状に成形する方法としてキャスト法を用いている。
なお、母材には、得ようとする光部品用材料または光部品の種類や用途に応じて、上記モノマーおよび/またはオリゴマー以外の材料(副成分)が含まれていてもよい。
(II)本発明にかかる光部品用材料の製造方法
本発明にかかる光部品用材料の製造方法は、上記母材にパルスレーザーを照射して、当該母材内に他の部位とは屈折率が異なる屈折率変化部位を形成する屈折率変化部位形成工程を含んでおり、この工程では、パルス幅が5フェムト秒〜500ピコ秒の範囲内であり、かつ、オシレーター発振のみからなるパルスレーザー(便宜上、非増幅パルスレーザーと称する)を用いる製造方法である。また、本発明にかかる光部品用材料は、この製造方法により得られるものである。
<非増幅パルスレーザー>
本発明で用いられる非増幅パルスレーザーとは、パルス幅が5フェムト秒〜500ピコ秒の範囲内であり、かつ、アンプによる増幅を行わず、オシレーター発振のみからなるパルスレーザーを指す。
通常、パルスレーザーの発振には、種光を発振するオシレーターと当該種光を増幅するアンプとの双方を備える構成の装置(パルスレーザー発振装置)が用いられる。しかしながら、アンプを使用するとパルスレーザーのピークパワーを大きくすることはできるものの、パルスの繰返し周波数が250kHz以下と小さくなる。このように繰返し周波数が小さくなると、例えば光導波路を製造する際には、コア層の側壁が直線状とならず波打つ等するため、当該光導波路の光伝搬損失が大きくなる。また、パルスレーザーの繰返し周波数が小さいので光部品用材料の加工スピードに劣る。そのため、光部品用材料の生産効率の低下を招く。さらに、パルスレーザー発振装置がアンプを必要とするために、当該装置、さらには光部品用材料の生産設備そのものが過大になる場合もある。
すなわち、アンプを用いて増幅するタイプのパルスレーザーを用いると、加工性、加工の安定性が低下したり、加工スピードが低下したり、得られる光部品用材料の品質が低下したりする等の問題点が生じる。
これに対して、本発明では、アンプを使用せずにオシレーター発振のみからなる非増幅パルスレーザーを用いる。これにより、上記の問題点を何れも回避し、効率的かつ低コストで高品質の光部品用材料を製造することができる。
<非増幅パルスレーザーの具体的な条件>
本発明で用いられる非増幅パルスレーザーの具体的な条件は特に限定されるものではなく、上記範囲内のパルス幅であり、かつ、オシレーター発振のみからなるパルスレーザーであればよい。その他の条件については、製造しようとする光部品材料の種類に応じて適宜設定することができる。例えば、光部品用材料の代表例である光導波路を製造する場合には、母材内に屈折率変化部位を連続して形成する必要がある。そこで、母材に照射する非増幅パルスレーザーの繰返し周波数は大きい値であることが好ましい。
具体的には、本発明において用いられる非増幅パルスレーザーの繰返し周波数は、10MHz〜600MHzの範囲内であることが好ましく、10MHz〜300MHzの範囲内であることがより好ましい。繰返し周波数が10MHz未満の場合には、例えば光導波路を製造する場合には、側壁が波打つ等するため精度良く加工することができない。また、繰り返し周波数が小さいと走引速度を落とす必要があるため、光部品用材料の種類によっては生産性が低下する。一方、繰返し周波数が300MHzより大きくなると、1パルスレーザー当りのピークパワー強度が小さくなるため、非増幅パルスレーザーの平均出力を大きくしても、母材内に屈折率変化部位を誘起させることができなくなる。
また、非増幅パルスレーザーのパルス幅については、少なくとも上述した5フェムト秒(fs)〜500ピコ秒(ps)の範囲内であればよいが、下限は10fs以上であることが好ましく、上限は500ps以下であることが好ましく、1ps以下であることがより好ましく、500fs以下であることがさらに好ましい。パルス幅が500psを超えると、所望の屈折率変化を誘起できない場合が生じたり、非増幅パルスレーザーの集光照射部近傍にアブレーションが生じたりする場合がある。一方、パルス幅が5fs未満であるようなパルスレーザー発生装置は工業的に利用可能なものは無い。
本発明者は、後述する実施例にも示すように、非増幅パルスレーザーにおいて、パルス幅を小さくして高いピーク出力を得ることで、当該非増幅パルスレーザーが母材の主成分である高分子材料固有の吸収波長以外の波長を有するものであっても、集光点において母材内に屈折率変化部位を誘起させることが可能であることを確認した。例えば、パルスレーザーのピーク波長が802nmの非増幅パルスレーザーを用いて、802nm近傍に吸収波長を有さない高分子材料を主成分とする母材内に当該非増幅パルスレーザーを集光照射した場合、集光照射点では屈折率変化部位を生じさせることができた。
さらに、非増幅パルスレーザーの平均出力については、下限が0.01W以上であることが好ましく、上限は30W未満であることが好ましく、10W未満であることがより好ましく、5W未満であることがさらに好ましい。非増幅パルスレーザーの平均出力が0.01W未満であると、集光照射部に屈折率変化部位を誘起できない場合がある。また、パルスレーザーの平均出力が30Wを超えると、集光照射部でアブレーションが生じて今ウ場合がある。
このように、本発明で用いられる非増幅パルスレーザーは、少なくともパルス幅が5フェムト秒〜500ピコ秒の範囲内であればよいが、さらには平均出力が0.01W〜30Wの範囲内、および繰返し周波数が10MHz〜300MHzの範囲内にあるという条件のうち少なくとも何れかを満たしていることが好ましい。すなわち、本発明で用いられる非増幅パルスレーザーは、次に示す(1)〜(3)の条件
(1)パルス幅が5フェムト秒〜500ピコ秒の範囲内
(2)平均出力が0.01W〜30Wの範囲内
(3)繰返し周波数が10MHz〜300MHzの範囲内
のうち、少なくとも(1)を満たしていればよいが、(1)および(2)、あるいは(1)および(3)を満たしていることが好ましく、(1)、(2)および(3)の条件を全て満たしていることが特に好ましい。
<光学系の使用>
本発明で用いられる非増幅パルスレーザーは、各種光学系を介して母材に照射することができる。通常、オシレーター発振されたパルスレーザーは対物レンズで集光した後に母材内に照射されるので、光学系には少なくとも対物レンズが含まれていればよいが、対物レンズの前段に各種光学素子を組み込んでもよい。このような光学素子としては、アキシコンレンズやシリンドリカルレンズ等の各種レンズを挙げることができる。これらレンズはそれぞれを1枚のみ用いてもよいし、複数枚を併用してもよいし、またそれぞれを組み合わせて用いてもよい。複数枚用いる場合は、焦点距離等の光学特性が異なるものを併用してもよい。
また、光学系には対物レンズが含まれていなくてもよい。すなわち、オシレーター発振された非増幅パルスレーザーを、上記アキシコンレンズおよび/またはシリンドリカルレンズを1枚以上含む光学系を通過させてから対物レンズで絞り、母材に集光照射してもよいが、対物レンズを使用せずに母材に直接集光照射してもよい。
このように、レンズ等の光学素子を組み込んだ光学系を通過させて成形した非増幅パルスレーザーを用いることによって、集光照射部の焦点形状を所望の形状に制御することができるという利点がある。例えば、上述してきた光導波路を製造する場合には、光導波路の断面縦横比を制御することが可能となる。
光部品用材料として光導波路を製造する場合について、より具体的な例を挙げて説明する。すなわち、光学系が2枚のシリンドリカルレンズを含んでいる縮小光学系であり、用いる非増幅パルスレーザーが、母材内に集光照射される前に、シリンドリカルレンズ、対物レンズの順で通過して成形される場合を例に挙げる。このとき、当該光学系においては、(1)2枚のシリンドリカルレンズは互いに焦点距離が異なっており、(2)2枚のシリンドリカルレンズ間の距離が、各シリンドリカルレンズの焦点距離の和より3mm短くなるように設定されている。これら2枚のシリンドリカルレンズを通過した非増幅パルスレーザーを、対物レンズで絞った後に母材内に集光照射し、非増幅パルスレーザーの光軸に対して母材を移動させることにより光導波路を形成(製造)する。この場合、光導波路の断面アスペクト比は、シリンドリカルレンズを含む縮小光学系を使用しない場合に比べて小さくすることができる。
このように、屈折率変化部位形成工程では、製造する光部品用材料の種類に応じて、母材内に集光照射する前に、1個以上の光学素子からなる光学系を通過して成形される非増幅パルスレーザーを用いることができる。好ましい一例としては、光導波路を製造する場合には、非増幅パルスレーザーの出射方向の上流側から、シリンドリカルレンズ、対物レンズの順となるようにこれらレンズが配置されている光学系を挙げることができる。
ここで、対物レンズを用いる場合には、当該対物レンズのN.A.(Numerical Aperture:開口数)を特定の範囲内に設定することが好ましい。具体的には、N.A.の下限は0.10を超えることが好ましく、0.40以上とすることが好ましい。また、N.A.の上限は1.50未満であることが好ましく、0.90以下であることが好ましい。対物レンズのN.A.を1.5以上とすると油浸レンズを用いても困難である。一方、対物レンズのN.A.を0.1以下とすると、例えば光導波路の場合、光導波路の断面形状が数百μmと大きくなり、光を効率良く導波できなくなってしまう。
また、厳密な意味で光学素子とは異なるが光ファイバー等を利用してもよい。例えば、光導波路を製造する場合には、光ファイバーを介して非増幅パルスレーザーを母材に集光照射してもよい。
具体的には、例えば、非増幅パルスレーザーを光ファイバーへ導入し、当該光ファイバーにおける非増幅パルスレーザーの出射端を母材に接続しておく。このとき、光ファイバー内を伝搬してきた非増幅パルスレーザーを母材に照射することで、照射部の屈折率上昇が誘起されるように設定する。この場合、光ファイバーから非増幅パルスレーザーが連続して照射されることによって、パルスレーザーは自己集束効果により光軸に平行に連続した光導波路を自己成長させるかたちで製造することができる。この場合、光ファイバーと光導波路とのアライメントの必要が無いため有用である。
<非増幅パルスレーザーの集光照射条件>
本発明にかかる光部品用材料の製造方法では、前述したように、非増幅パルスレーザーを母材内に集光照射して、当該母材内に他の部位とは屈折率が異なる屈折率変化部位を形成する屈折率変化部位形成工程を含んでおり、このとき用いられる非増幅パルスレーザーは上述したような条件を適宜満たしていればよいが、当該非増幅パルスレーザーを母材に集光照射する際の条件としても特に限定されるものではなく、製造しようとする光部品用材料または光部品の種類によって適宜設定すればよい。もちろん、非増幅パルスレーザーを集光照射する際の好ましい条件は存在する。
具体的には、まず、非増幅パルスレーザーの集光照射による母材(高分子材料)の屈折率の変化率は、0.05%〜3%の範囲内であることが好ましく、0.15%〜2%の範囲内であることがより好ましい。屈折率の変化率が0.05%未満である場合には、非増幅パルスレーザーの未照射の部位(屈折率が変化していない部位)と屈折率変化部位との屈折率差が小さすぎて光部品用材料として十分な特性を発揮できない場合がある。屈折率の変化率が3%を超えると、母材内にクラックなどの欠陥が生じる場合がある。
また、非増幅パルスレーザーの集光点におけるピークパワー強度は、その下限が103 W/cm2 以上であることが好ましく、107 W/cm2 以上であることがより好ましい。一方、ピークパワー強度の上限は1015W/cm2 未満であることが好ましい。
一般に、パルスレーザーが、照射対象の高分子材料の固有吸収波長に一致する波長を有している場合でも、固有吸収強度は弱い。そのため、集光点において103 W/cm2 以上のピークパワー強度が確保される場合には、高分子材料に屈折率変化を誘起することが可能になる。屈折率変化が誘起される現象のメカニズムは不明であるが、光導波路やグレーティング、フォトニック結晶等の光部品用材料の製造に有効に利用されている。したがって、集光点におけるピークパワー強度の下限は103 W/cm2 以上であることが好ましい。一方、集光点におけるピークパワー強度が1015W/cm2 以上になると、高分子材料(母材)にアブレーションが生じたり、集光照射部の高分子材料が劣化したりする等の問題が発生する場合がある。それゆえ、母材の主成分である高分子材料や、製造しようとする光部品用材料の特性に応じて、適切なピークパワー強度を設定することが必要である。
さらに、母材に対する非増幅パルスレーザーの具体的な照射手法については、製造しようとする光部品用材料の種類等に応じて適切な手法を採用すればよいが、例えば、光導波路を製造する場合には、母材内で上記非増幅パルスレーザーの集光点(集光照射点)を連続的に移動させればよい。あるいは、非増幅パルスレーザーの集光点に対し母材を連続的に移動させてもよい。すなわち、非増幅パルスレーザーの具体的な照射手法としては、上記集光点を固定して母材を移動させてもよいし、母材を固定して集光点を移動させてもよい。また、それぞれを移動または固定させる手段としては特に限定されるものではなく、公知の手段を用いればよい。
上記光導波路の製造の場合には、非増幅パルスレーザーの集光点を直線状に連続移動させたが、集光点の相対的な連続移動のさせ方はこれに限定されるものではない。例えば、フルネルレンズを製造する場合には、母材上で円環状に集光点を連続移動させればよい。また、レンズアレイやグレーティング、フォトニック結晶等を製造する場合には、微細な屈折率変化部位を連続して形成できるように、非増幅パルスレーザーの集光照射位置やタイミングを制御すればよい。
上記のように、非増幅パルスレーザーを母材に集光照射することにより、集光照射された部位が屈折率変化部位となる一方、集光照射されていない部位は、屈折率が変化していない部位(屈折率未変化部位)のまま残る。これにより、屈折率の異なる層が形成され、その結果、屈折率変化部位がコア層となり、屈折率未変化部位はクラッド層となる。それゆえ、光部品用材料を製造する場合に、コア層およびクラッド層を別々に形成する必要がなくなり、製造プロセスを簡素化することができる。したがって、例えば、光導波路の場合、一つの母材において、コア層としたい部分に非増幅パルスレーザーを集光照射し、例えば非増幅パルスレーザーの光軸に対して母材を走査(移動)させることによって、2次元または3次元の光導波路を容易に作成することができる。
<本発明で用いられるパルスレーザー発振装置の一例>
上述した各条件も含めて本発明で用いられるパルスレーザー発振装置の一例について、説明すると、例えば、図1に示すような概略構成の装置を例示することができる。
すなわち、図1に示すように、本発明で用いられるパルスレーザー発振装置はオシレーター10と光学系9とを少なくとも備えている構成であればよいが、さらに、光学系9に含まれる照射光学系を移動させて、非増幅パルスレーザー1を母材3に照射するときに、集光点の位置を母材3に対して相対的に移動させるための照射光学系可動部11や、試料台5、これらの動作や非増幅パルスレーザー1の発振を制御する図示しない制御系等を備えており、この試料台5が移動させる試料台可動部12を備えていることが好ましい。照射光学系可動部11および試料台可動部12は、何れか一方のみを備えていてもよいし、双方を備えていてもよい。
上記試料台5、光学系9、オシレーター10、照射光学系可動部9、試料台可動部12等の各手段や部材の具体的な構成は特に限定されるものではなく、公知の構成を用いることができる。なお、後述する実施例では、オシレーター10としてはレーザーダイオード(LD)励起のTi:Al23レーザーからなる構成が例示されているが、もちろんこれに限定されるものではない。
<その他の工程>
本発明にかかる光部品用材料の製造方法では、その製造過程に上記屈折率変化部位形成工程を含んでいれば良いが、その他の工程を含んでいてもよい。具体的には、例えば、屈折率変化部位形成工程の後に、母材を加熱する加熱工程を挙げることができる。
本発明にかかる製造方法では、非増幅パルスレーザーを集光照射して屈折率変化部位を形成した後、母材(高分子材料)を加熱することにより、屈折率変化部位が消失することなく耐熱安定性が向上するため好ましい。また、加熱により、コア層とクラッド層との屈折率差が増加する場合もあり、この点からも好ましい。
この加熱工程では、加熱温度は、通常、母材に含まれるモノマー・オリゴマーが硬化する温度範囲内であればよく、具体的には、100℃〜250℃の範囲内であればよいが、特に限定されるものではない。モノマー・オリゴマーが硬化する温度は、例えばDSC(示差走査熱量測定)を用いて熱分析することにより、発熱反応を始める温度を確認することができる。
また、加熱工程を行う環境は、特に限定されるものではないが、光導波路の損失を少なくする点から、窒素、ヘリウム等の不活性ガス雰囲気中、または真空中で行うことが好ましい。
(III)本発明の利用(有用性)
本発明にかかる光部品用材料は、上記製造方法により得られるものである。すなわち、本発明にかかる光部品用材料は、(I)の項でも述べたように、少なくとも高分子材料からなる母材に、パルス幅が5フェムト秒〜500ピコ秒の範囲内であり、かつ、オシレーター発振のみからなる非増幅パルスレーザーを集光照射することにより、当該母材内に屈折率変化部位を形成してなるものである。
光部品用部材としては、前記(I)の項で説明したように、例えば、光導波路、グレーティング(回折格子)、マイクロミラー、レンズ、レンズアレイ、フルネルレンズ、フォトニック結晶等が挙げられる。これらの中でも応用範囲の広い光導波路を代表例として、本発明の利用(有用性)をより具体的に説明する。
<光導波路製造の具体例>
前述したように、光導波路は、光の伝送線路または光の配線板であり、通常は、光の配線板として製造すればよい。そのため、本発明では、非増幅パルスレーザーの集光照射により、母材内に線状のコア層(屈折率変化部位)を2次元的または3次元的に形成して、周囲の屈折率未変化部位をクラッド層とし、母材自体を基板として用いればよい。
さらに、本発明では、光導波路は基板上に積層されて形成されてもよい。このとき用いられる基板としては、可撓性がほとんど無い板状であってもよいし、可撓性を有するフィルム状であってもよいし、その中間的なものであってもよく、特に限定されるものではない。用いられる材料としても特に限定されるものではなく、具体的には、例えば、シリコンウエハー、金属基板、セラミック基板、高分子基板等を挙げることができる。
高分子基板の材質としても特に限定されるものではないが、例えば、ポリイミド樹脂、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリケトン系樹脂、ポリスルホン系樹脂、ポリフェニレンエーテル樹脂、ポリオレフィン樹脂、ポリスチレン樹脂、ポリフェニレンスルフィド樹脂、フッ素樹脂、ポリアリレート樹脂、液晶ポリマー樹脂、エポキシ樹脂、シアナート樹脂等を挙げることができる。この中でも、耐熱性の点や光導波路となる高分子材料(母材)との接着性、線膨張係数が近いなどの点からポリイミド樹脂、エポキシ樹脂、シアナート樹脂が好ましく用いられる。
上記光導波路の製造方法は特に限定されるものではなく、上述した非増幅パルスレーザーを例えば平板状の母材に集光照射する屈折率変化部位形成工程を実施すればよい。このとき、平板状の母材に予め上記基板を積層してもよいし、光導波路を形成してから上記基板を積層してもよい。さらに、必要に応じて、光導波路や基板を複数層積層してもよい。
このときの積層方法についても特に限定されるものではなく、従来公知の方法を用いることができる。具体的には、例えば、光導波路と基板とを直接接着剤を介さないで積層することも可能であるし、接着剤を介して積層することも可能である。接着剤を使用する方法においては、当該接着剤として熱可塑性ポリイミドを用いることが好ましい。これにより耐熱性、接着性をより優れたものとすることができる。特に、光導波路の材料(母材の主成分である高分子材料)や基板材料にポリイミドを用いる場合、接着性が良好で線膨張係数の差が小さいため、反りを少なくできる等の利点があるため好ましい。接着剤として好適に用いることのできる熱可塑性ポリイミドとしては、例えば、特開2002−322276号公報(平成14年(2002)年11月8日公開)や特開2000−256536号公報(平成12年(2000)年9月19日公開)、特開2000−109645号公報(平成12年(2000)年4月18日公開)等に開示されているものを、接着性の点で特に好ましく用いることができる。
また、本発明にかかる光導波路においては、基板上に電気配線を設けてもよい。すなわち、上記基板に予め電気配線を公知の方法で形成して電気配線基板としておき、当該電気配線基板上に母材を積層して光導波路を形成するか、光導波路を形成した母材を電気配線基板に積層してもよい。このように、光導波路と電気配線とが一つの積層板上に配置することによって、得られる積層基板を光電気混合基板(光電気混載基板)として用いることができる。
さらに、光ファイバーと光導波路との接続における相互位置トレランスは、通常±数μmと厳しいが、このような接続にも本発明を好適に用いることができる。具体的には、光導波路の端部のみについて、非増幅パルスレーザーの集光照射を複数回行って、当該光導波路の端部をテーパー状に拡大しておく。これによって、相互位置トレランスを大きくできるため、光導波路と光ファイバーとの接続を容易とすることができる。
また、積層微小リング共振器に組み込まれている光導波路部は、リング状かつ積層された構成となっている。本発明にかかる製造方法を用いれば、リング状の光導波路コアを自由度高く形成することができる。さらに、直線状の光導波路とリング状の光導波路を一括して形成することも可能である。
<その他の光部品用材料の具体例>
本発明にかかる光部品用材料としては、上記光導波路に限定されるものではなく、グレーティング(回折格子)、マイクロミラー、微小レンズやレンズアレイ、フルネルレンズ、またはフォトニック結晶等も挙げることができ、これら光部品用材料も、上記光導波路と同様の方法で製造することが可能である。
例えば、グレーティングは、板状等に形成された母材に非増幅パルスレーザーを集光照射することで格子状の屈折率変化部位を形成することにより製造することが可能である。グレーティングは、光通信において波長フィルタ等に用いられ、またCD光学系におけるピックアップ等にも用いられている。
マイクロミラーは、母材においてマイクロミラーを形成したい位置に非増幅パルスレーザーを集光照射させることで製造することができる。例えば、光ファイバーからの入力光を受光素子へ導く場合、90°光路変換などの光路変換技術が要求され、これにマイクロミラーが用いられる。本発明では、マイクロミラーを所望の箇所に容易に形成できることから、光電気混合基板の製造において工程数の低減、加工時間の短縮、加工コストの低減といった利点があり、極めて有用である。
微小レンズもマイクロミラーと同様に、母材の任意の位置に非増幅パルスレーザーを集光照射させることで製造することができる。レンズアレイは微小レンズを形成する工程を周期的に繰り返せばよい。特にレンズアレイは、液晶ディスプレイにおいて各画素の光を集光することができるため、液晶プロジェクターの用途等に広く用いることができる。
フルネルレンズも基本的に上記と同様の方法で製造することができる。すなわち、例えば薄い平板状の母材に対して、非増幅パルスレーザーを集光照射させ、集光点を円環状に連続移動させればよい。1回の集光点の連続移動を数回繰返し、同心円状に配置される屈折率変化部位を複数形成すればよい。
フォトニック結晶は、異なる屈折率媒質が多次元周期的に配列された人工構造であるので、これもレンズアレイ等と同様、非増幅パルスレーザーの母材への集光照射を周期的に繰り返すことで製造することが可能である。このフォトニック結晶は、光の伝搬を高度に制御可能であることから、超小型光集積回路等の次世代の光デバイスへの応用が期待されるため、本発明は次世代光デバイスの研究開発にも応用することができる。
<本発明を用いて得られる光部品>
本発明を用いて得られる光部品とは、本発明にかかる製造方法を用いて得られる上記光部品用材料を用いてなるものである。このような光部品としては、特に限定されるものではないが、例えば、光通信に用いられる様々な部品(光通信用部品、光通信用光学素子)を挙げることができる。具体的には、例えば、光分岐結合器(光カプラ)、光合波分波器(光合分波器)、光アイソレータ、リングカプラ、光ファイバーアンプ、導波路型素子(導波路型光変調器)等が挙げられる。これら光部品は光部品用材料である上記光導波路等を用いて製造することができる。
中でも、特に導波路型素子は、光の強度や位相を電気信号に合わせて制御する光集積回路の一種であり、半導体の微細加工技術を用いて各種基板上に形成できること、小型で高速、高効率で動作する素子にできること等の利点があるため、本発明の用途の一つとして非常に有望である。
以下、実施例および図2〜4に基づいて本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例によって何ら限定されるものではなく、その要旨を変更しない範囲において適宜変更して実施することが可能である。
〔実施例で用いた原料等〕
以下の実施例で用いた各原料等とその入手先を以下に示す。これら原料等は市販品を必要に応じて精製して使用した。
・2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル:セントラルガラス社製
・ピロメリット酸二無水物:和光純薬社製
・2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン酸二無水物:・クラリアントジャパン社製
・4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタン:三井化学社製
・ジ[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテル:東亜合成社製
・ジメチルアセトアミド:和光純薬社製
・ジメチルホルムアミド:和光純薬社製
・イソプロパノール:和光純薬社製
・β−ピコリン:和光純薬社製
・無水酢酸:和光純薬社製
〔屈折率の測定〕
非増幅パルスレーザーを母材に集光照射したときに、当該集光点(集光照射部)近傍の屈折率の測定は以下の条件の測定法によった。
・屈折率測定法:ビームプロファイル反射率測定法による。
・測定波長:675nm
・ビームスポット径:1μm
・測定装置:高精度膜厚計Opti−Probe2000(サーマウェーブ社製)
〔合成例1:ポリイミドIの合成〕
窒素雰囲気下の容器中で2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル(3.20g、10mmol)をジメチルホルムアミド(36.9g)に溶解した。次に、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物(2.22g、5.0mmol)とピロメリット酸二無水物(1.09g、5.0mmol)とをさらに加えて容器を氷冷しながら1時間撹拌した。その後、室温で3時間攪拌して、ポリアミド酸I溶液(固形分15重量%)を得た。
このポリアミド酸I溶液にβ−ピコリン0.93g(10mmol)と無水酢酸6.13g(60mmol)とを加えよく撹拌した後、この溶液を100℃に保ちさらに4時間撹拌した。攪拌後の溶液をイソプロパノールに展開し、白色の固体を得た。さらに当該白色の固体をジメチルホルムアミド(50g)に溶解させた後、イソプロパノールに展開して、白色の固体を得た。当該白色の固体を60℃、24時間の条件で真空乾燥し、ポリイミドIを得た。
〔合成例2:ポリイミドIIの合成〕
窒素雰囲気下の容器中で2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル(1.60g、5mmol)および4,4’−ジアミノジフェニルエーテル(1.00g、5mmol)をジメチルホルムアミド(36.9g)に溶解した。次に、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物(4.44g、10.0mmol)をさらに加えて容器を氷冷しながら1時間撹拌した。その後、室温で3時間攪拌して、ポリアミド酸II溶液(固形分15重量%)を得た。
この溶液にβ−ピコリン0.93g(10mmol)と無水酢酸6.13g(60mmol)とを加えよく撹拌した後、溶液を100℃に保ちさらに4時間撹拌した。攪拌後の溶液をイソプロパノールに展開し、白色の固体を得た。さらに当該白色の固体をジメチルホルムアミド(50g)に溶解させた後、イソプロパノールに展開して、白色の固体を得た。当該白色の固体を60℃、24時間の条件で真空乾燥し、ポリイミドIIを得た。
〔合成例3:ポリイミドIIIの合成〕
窒素雰囲気下の容器中で2,2’−ビス(トリフルオロメチル)−4,4’−ジアミノビフェニル(1.60g、5mmol)およびp−フェニレンジアミン(0.54g、5mmol)をジメチルホルムアミド(36.9g)に溶解した。次に、2,2−ビス(3,4−ジカルボキシフェニル)ヘキサフルオロプロパン二無水物(4.44g、10.0mmol)をさらに加えて容器を氷冷しながら1時間撹拌した。その後、室温で3時間攪拌して、ポリアミド酸III溶液(固形分15重量%)を得た。
この溶液にβ−ピコリン0.93g(10mmol)と無水酢酸6.13g(60mmol)とを加えよく撹拌した後、溶液を100℃に保ちさらに4時間撹拌した。攪拌後の溶液をイソプロパノールに展開し、白色の固体を得た。さらに当該白色の固体をジメチルホルアミド(50g)に溶解させた後、イソプロパノールに展開して、白色の固体を得た。当該白色の固体を60℃、24時間の条件で真空乾燥し、ポリイミドIIIを得た。
〔母材作製例1:フィルムIの成形〕
合成例1で得られたポリイミドIを母材の高分子材料として用いた。すなわち、ポリイミドIを固形分濃度20重量%となるようにジメチルホルムアミドに溶解させてポリイミド溶液とした。この溶液2gに、ラジカル反応性またはイオン反応性を示すモノマーとして4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタン0.04gを添加し、均一になるまで攪拌した。
攪拌後の溶液をガラス基板上にキャストし、真空中にて、40℃・3時間、さらに60℃・3時間、さらに80℃・3時間の条件で加熱することにより溶媒を除去した。これにより、母材としての厚さ200μmのフィルムIを得た。
〔母材作製例2:フィルムIIの成形〕
合成例2で得られたポリイミドIIを母材の高分子材料として用いた。すなわち、ポリイミドIIを固形分濃度20重量%となるようにジメチルホルムアミドに溶解させてポリイミド溶液とした。この溶液2gに、ラジカル反応性またはイオン反応性を示すモノマーとして4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタン0.2gを添加し、均一になるまで攪拌した。
攪拌後の溶液をガラス基板上にキャストし、真空中にて、40℃・3時間、さらに60℃・3時間、さらに80℃・3時間の条件で加熱することにより溶媒を除去した。これにより、母材としての厚さ300μmのフィルムIIを得た。
〔母材作製例3:フィルムIIIの成形〕
合成例3で得られたポリイミドIIIを母材の高分子材料として用いた。すなわち、ポリイミドIIIを固形分濃度20重量%となるようにジメチルホルムアミドに溶解させてポリイミド溶液とした。この溶液2gに、ラジカル反応性またはイオン反応性を示すモノマーとして4,4’−ビスマレイミドジフェニルメタン0.2gを添加し、均一になるまで攪拌した。
攪拌後の溶液をガラス基板上にキャストし、真空中にて、40℃・3時間、さらに60℃・3時間、さらに80℃・3時間の条件で加熱することにより溶媒を除去した。これにより、母材としての厚さ300μmのフィルムIIIを得た。
〔母材作製例4:フィルムIVの成形〕
母材作成例1と同じく合成例1で得られたポリイミドIを母材の高分子材料として用いた。すなわち、ポリイミドIを固形分濃度20重量%となるようにジメチルホルムアミドに溶解させてポリイミド溶液とした。この溶液2gに、ラジカル反応性またはイオン反応性を示すモノマーとしてジ[1−エチル(3−オキセタニル)]メチルエーテル0.2gを添加し、均一になるまで攪拌した。
攪拌後の溶液をガラス基板上にキャストし、真空中にて、40℃・3時間、さらに60℃・3時間、さらに80℃・3時間の条件で加熱することにより溶媒を除去した。これにより、母材としての厚さ300μmのフィルムIVを得た。
〔実施例1〕
母材3としてフィルムIを選択し、図2に示すように、非増幅パルスレーザー1を対物レンズ2(40倍、0.75N.A.)で集光して母材3に対して照射した。この非増幅パルスレーザー1は、レーザーダイオード(LD)励起のTi:Al23レーザーからなるオシレーターより発振されたものであり、アンプにより増幅されていない。その条件は、パルス幅が150fs、繰返し周波数が82MHz、ピーク波長が802nm、平均出力が400mWとなっている。
母材3(フィルムI)内に集光点4(図中円で囲んで示す)が生じるように非増幅パルスレーザー1を集光照射させると、集光点4の屈折率が上昇した。そこで、試料台5を連続的に直線移動することにより、図3に示すように、母材3(フィルムI)内に直線状の屈折率変化部位すなわち光導波路6を安定的に形成することができた。
また、母材3内に形成された光導波路6の端部を研磨し、光導波路6の断面近傍の屈折率を測定したところ、非照射部分の屈折率は1.585であるのに対して、光導波路6すなわち屈折率変化部位の屈折率は、最も高い部分で1.589となっており、屈折率の上昇は0.25%となった。また、光導波路6における屈折率の分布は、当該光導波路6の断面の中央ほど屈折率が高くなっていた。すなわち得られた光導波路6はグレーデッド・インデックス型であった。
得られた光導波路6は、コア層とクラッド層との間に明確な界面が存在しないことから界面損失が極めて少なく、光集積回路等における微細な光導波路の形成方法としての活用が期待される。また手で曲げると屈曲するため、ガラス材料では無理な多様な形態を取ることが可能である。
〔実施例2〕
母材としてフィルムIIを選択した以外は実施例1と同様にして、フィルムIIに長さ10mmの直線状の屈折率変化部位を形成した。
波長1.55μmの光をシングルモードファイバーで導光して、当該屈折率変化部位の一方の端から上記光を入射させ、もう一方の端から出射された光の強度をCCDカメラ(浜松ホトニクス社製、近赤外スペクトル観察用CCDカメラ)で撮影してニヤフィールドパターンを観察した。得られたニヤフィールドパターンから、シングルモード導波であることがわかり、該屈折率変化部位が光導波路になっていることを確認した。
〔実施例3〕
母材としてフィルムIIIを選択した以外は実施例1と同様にして、フィルムIIIに長さ10mmの直線状の屈折率変化部位を形成した。
さらに、実施例2と同様にして当該屈折率変化部位のニヤフィールドパターンを観察したところ、シングルモード導波であることがわかり、当該屈折率変化部位が光導波路になっていることを確認した。
〔実施例4〕
母材としてフィルムIVを選択した以外は実施例1と同様にして、フィルムIVに長さ10mmの直線状の屈折率変化部位を形成した。
さらに、実施例2と同様にして当該屈折率変化部位のニヤフィールドパターンを観察したところ、シングルモード導波であることがわかり、当該屈折率変化部位が光導波路になっていることを確認した。
母材として異なるフィルムI〜IVを用いた上記実施例1〜4の結果を次の表1にまとめて示す。なお、表1におけるポリイミド:モノマーの重量比については、ポリイミド溶液の固形分濃度は何れの実施例でも20重量%であるため、ポリイミド重量を0.4gとして計算している。また、屈折率変化部位(光導波路)の形成については、形成できた場合を○として評価している。
Figure 2005141083
表1の結果から明らかなように、本発明にかかる製造方法を用いれば、ポリイミドの種類やフィルムの違いに関わらず、良好に光導波路(光部品用材料)を製造できることが分かる。
〔実施例5〕
母材3としてフィルムIを選択し、図4に示すように、非増幅パルスレーザー1を、光学系9を通過させて集光してから母材3に対して照射した。光学系9は、焦点距離100mmのシリンドリカルレンズ7と焦点距離50mmのシリンドリカルレンズ8とを、シリンドリカルレンズ7・8間の距離を147mmになるようにして、実施例1と同じ対物レンズ2(20倍、0.5N.A.)の手前に組み込んだものとした。したがって、上記非増幅パルスレーザー1は、シリンドリカルレンズ7・8を通過した後に対物レンズ2で集光されて母材3(フィルムI)に照射した。
なお、本実施例で用いた非増幅パルスレーザーは実施例1と同じく、レーザーダイオード(LD)励起のTi:Al23レーザーからなるオシレーターより発振されたものであり、アンプにより増幅されていない。その条件は、パルス幅は150fs、繰返し周波数は82MHz、ピーク波長は802nm、平均出力400mWとなっている。
母材3(フィルムI)内に集光点4(図中円で囲んで示す)が生じるように非増幅パルスレーザー1を集光照射させると、集光点4の屈折率が上昇した。そこで、試料台5を連続的に直線移動することにより、図3に示すように、母材3(フィルムI)内に直線状の屈折率変化部位すなわち光導波路6を安定的に形成することができた。
また、実施例1と同じく母材3内に形成された光導波路6の端部を研磨し、光導波路6の断面近傍の屈折率を測定したところ、非照射部分の屈折率は1.585であるのに対して、光導波路6すなわち屈折率変化部位の屈折率は、最も高い部分で1.590となっており、屈折率の上昇は0.3%となった。
また、光導波路6の断面を光学顕微鏡で観察し、光導波路の縦横比(縦横比:縦長さ/横長さ)を算出した。シリンドリカルレンズ7・8を使用した場合の縦横比を、実施例1で得られた光導波路6の断面の縦横比で除した値は2となった。この結果から、非増幅レーザー1を集光照射する場合に、シリンドリカルレンズ7・8を用いれば、光導波路6の断面の縦横比を制御できることがわかった。また、光導波路6の屈折率分布は、実施例1と同じくその断面の中央ほど屈折率が高いグレーデッド・インデックス型であった。
〔比較例1〕
母材としてフィルムIを選択し、実施例1と同様にパルスレーザーを対物レンズで集光して母材(フィルムI)に照射した。このパルスレーザーは、アルゴンレーザ励起のTi:Al23からなるオシレーターより発振されたパルスレーザーを増幅して得られたパルスレーザーである。その条件は、パルス幅が150fs、繰返し周波数が200KHz、ピーク波長が802nm、平均出力が200mWとなっており、光学フィルタによって平均出力100mWに減衰させたものである。
母材(フィルムI)内に集光点が生じるように上記パルスレーザーを集光照射させたところ、集光点近傍でアブレーションが起こり、屈折率変化部位を形成することができなかった。
母材として同じフィルムIを用いた実施例1・5および比較例1の結果を次の表2にまとめて示す。なお、表2における屈折率変化部位の形成については、形成できた場合を○とし、できなかった場合を×として評価している。
Figure 2005141083
表2の結果から明らかなように、アンプで増幅した比較例では、良好に光部品用材料が製造できないのに対して、非増幅パルスレーザーを用いれば、良好に光導波路(光部品用材料)を製造することができ、さらに必要に応じて光学系にシリンドリカルレンズを加えることで、望ましい特性の光部品用材料を製造できることが分かる。
このように、本発明では、少なくとも高分子材料からなる母材に、アンプで増幅していない非増幅パルスレーザーを集光照射することにより、光導波路等の光部品用材料を製造することができる。それゆえ、本発明は、高分子材料を光部品用材料に加工する樹脂産業や、素材産業に利用できるだけでなく、具体的な光部品を製造する光学機器関連の産業や、光電子関連の機器に関わる電子機器関連の産業、さらには光通信に関わる通信産業等に広く応用することができる。
本発明にかかる光部品用材料の製造に用いられるパルスレーザー発振装置の概要を示す模式図である。 母材に非増幅パルスレーザーを集光照射した状態を示す簡易断面図である。 母材内に形成された直線状の光導波路(屈折率変化部位)の一例を示す斜視図である。 シリンドリカルレンズを光学系に組み込んで、母材に非増幅パルスレーザーを集光照射した状態を示す簡易断面図である。
符号の説明
1 パルスパルスレーザー
2 対物レンズ
3 母材
4 集光点
5 試料台
6 光導波路
7・8 シリンドリカルレンズ
9 光学系
10 オシレーター
11 照射光学系可動部
12 試料台可動部

Claims (18)

  1. 少なくとも高分子材料からなる母材にパルスレーザーを照射することによって、当該母材内に他の部位とは屈折率が異なる屈折率変化部位を形成することにより得られる光部品用材料において、
    パルス幅が5フェムト秒〜500ピコ秒の範囲内であり、かつ、オシレーター発振のみからなる非増幅パルスレーザーを上記母材内に集光照射することにより、上記屈折率変化部位を形成してなることを特徴とする光部品用材料。
  2. 上記非増幅パルスレーザーは、平均出力が0.01W〜30Wの範囲内、および繰返し周波数が10MHz〜600MHzの範囲内にあるという条件の少なくとも何れかを満たしていることを特徴とする請求項1に記載の光部品用材料の製造方法。
  3. 上記非増幅パルスレーザーは、母材内に集光照射される前に、シリンドリカルレンズ、対物レンズの順で通過したものであることを特徴とする請求項1または2に記載の光学部品用材料。
  4. 上記母材に用いられる高分子材料は、ガラス転移温度(Tg)が120℃以上であることを特徴とする請求項1、2または3に記載の光部品用材料。
  5. 上記高分子材料として、ポリイミド、ポリカーボネート、フッ素系脂肪族環状構造含有重合体、エポキシ樹脂、シリコーン樹脂、ポリシラン、シアン酸エステル樹脂の少なくとも何れかが用いられることを特徴とする請求項1ないし4の何れか1項に記載の光部品用材料。
  6. 上記高分子材料として、フッ素原子を含有するポリイミドが用いられることを特徴とする請求項5に記載の光部品用材料。
  7. 上記母材には、ラジカル反応性またはイオン反応性を示すモノマーおよび/またはオリゴマーが含まれていることを特徴とする請求項1ないし6の何れか1項に記載の光部品用材料。
  8. 上記モノマーおよび/またはオリゴマーは、その構造中に、エポキシ基、オキセタン基、シアン酸エステル基およびマレイミド基から選択される1種以上の官能基が含まれていることを特徴とする請求項7に記載の光部品用材料。
  9. 上記高分子材料は、その主鎖および/または側鎖に、ラジカル反応性基またはイオン反応性基を含んでいることを特徴とする請求項1ないし8の何れか1項に記載の光部品用材料。
  10. 上記ラジカル反応性基またはイオン反応性基が、エポキシ基、オキセタン基、シアン酸エステル基およびマレイミド基から選択される1種以上の官能基であることを特徴とする請求項9記載の光部品用材料。
  11. 上記高分子材料は、その光損失が、600nm〜1600nmの範囲内にある波長の光において3dB/cm以下となっていることを特徴とする請求項1ないし10の何れか1項に記載の光部品用材料。
  12. 光導波路、グレーティング、マイクロミラー、レンズ、レンズアレイ、フルネルレンズ、フォトニック結晶の少なくとも何れかであることを特徴とする請求項1ないし11の何れか1項に記載の光部品用材料。
  13. 少なくとも高分子材料からなる母材にパルスレーザーを照射して、当該母材内に他の部位とは屈折率が異なる屈折率変化部位を形成する工程を含む光部品用材料の製造方法において、
    上記パルスレーザーとして、パルス幅が5フェムト秒〜500ピコ秒の範囲内であり、かつ、オシレーター発振のみからなる非増幅パルスレーザーを用いることを特徴とする光部品用材料の製造方法。
  14. 上記工程では、上記非増幅パルスレーザーを母材に集光照射することにより、屈折率の異なるコア層とクラッド層を形成することを特徴とする請求項13に記載の光部品用材料の製造方法。
  15. 上記工程では、母材内で上記非増幅パルスレーザーの集光照射点を連続的に移動させることを特徴とする請求項13または14に記載の光部品用材料の製造方法。
  16. 上記非増幅パルスレーザーとしては、平均出力が0.01W〜30Wの範囲内、および繰返し周波数が10MHz〜600MHzの範囲内にあるという条件の少なくとも何れかを満たすパルスレーザーが用いられることを特徴とする請求項13、14または15に記載の光部品用材料の製造方法。
  17. 上記工程では、上記非増幅パルスレーザーが、1個以上の光学素子からなる光学系を通過してから母材内に集光照射されるとともに、
    上記光学系には、非増幅パルスレーザーの出射方向の上流側から、シリンドリカルレンズ、対物レンズの順となるようにこれらレンズが配置されていることを特徴とする請求項13ないし16の何れか1項に記載の光部品用材料の製造方法。
  18. 請求項1ないし12の何れかに記載の光部品用材料を用いてなる光部品。
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