JP2922136B2 - Tfe系ポリマーの微細加工方法 - Google Patents
Tfe系ポリマーの微細加工方法Info
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Description
チレン(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサ
フルオロプロピレン共重合体(FEP)、及びテトラフ
ルオロエチレン−ペルフルオロビニルエーテル共重合体
(PFA)からなる群より選ばれた1つの材料(本明細
書において、これらの材料を総称して「TFE系ポリマ
ー」と記す。)の微細加工に関する。TFE系ポリマー
は、耐熱性、耐腐食性が高く、表面摩擦が少ないため、
生化学的なマイクロマシン用材料に適している。このた
め、TFE系ポリマーを微細加工する技術が望まれてい
る。
てもゲル化するだけであり、微細成型に必要な流動性が
得られにくい。PTFEを溶かす有機溶剤もない。従っ
て、リソグラフィ及び電気沈着により鋳型を成型し、こ
の鋳型を使用して微細構造体を作製するいわゆるLIG
AプロセスによってはTFE系ポリマーを微細加工する
ことはできない。また、TFE系ポリマーは導体ではな
いため、放電加工もできない。
は、波長157nmまたは160nmの真空紫外レーザ
や超短パルスレーザを使用したアブレーションによる加
工技術が知られている(Kuper et al.Ap
pl.Phys.Lett.54(1989)及び W
ada et al.Appl.Phys.Lett.
62(1993))。
には、集光光学系によりレーザビームを局部に集光する
ため、レーザビームの側面は円錐形状になる。加工され
た凹部の側面はこの円錐形状にほぼ沿うため、高いアス
ペクト比を得ることは困難である。ここで、アスペクト
比とは、実際に加工されたパターンの最小幅に対する凹
部の深さもしくは凸部の高さの比をいう。
ムの非均一性と干渉性により、加工された表面は不均一
なものになる。さらに、レーザビームを一点に集光する
ため、大面積の加工には適さない。
大面積の加工が容易なTFE系ポリマーの微細加工技術
を提供することである。
と、放射光を、ポリテトラフルオロエチレン(PTF
E)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオロプロピ
レン共重合体(FEP)、及びテトラフルオロエチレン
−ペルフルオロビニルエーテル共重合体(PFA)から
なる群より選ばれた1つの加工対象材料の加工方法であ
って、前記加工対象材料で形成された部分を含む加工対
象物を準備する工程と、前記放射光を実質的に透過させ
る領域と、実質的に透過させない領域がパターニングさ
れたマスクを準備する工程と、前記加工対象物の少なく
とも前記加工対象材料表面を加熱する工程と、少なくと
も波長160nmの紫外線を含む放射光を、前記マスク
を介して前記加工対象物の表面に照射し、該放射光の照
射された領域に凹部もしくは貫通孔を形成する工程とを
含む加工方法が提供される。
近傍で鋭いピークを示す。つまり、波長160nmの紫
外線を含む放射光をTFE系ポリマーに照射すると、ア
ブレーションが生じる。従って、この放射光をマスクを
介してTFE系ポリマーに照射することにより、マスク
に予め形成されたパターンに応じて微細加工することが
できる。
を加熱しておくことにより、加熱しない場合に比べてよ
り少ない光子密度の放射光で高精度に微細加工すること
が可能になる。
E系ポリマーの加工方法を説明する。図1(A)は、実
施例によるTFE系ポリマー加工時の放射光、マスク及
び加工対象物の相対位置関係を示す斜視図である。シン
クロトロンに蓄積された電子の軌道1から光軸5に沿っ
てシンクロトロン放射光(SR光)2が放射される。光
軸5に沿った光源からの距離Lの位置にTFE系ポリマ
ー製の加工対象物4が配置されている。加工対象物4の
前方には、間隔Gだけ離れてマスク3が配置されてい
る。電子軌道1、加工対象物4及びマスク3は同一の真
空容器内に配置されている。
に透過させる領域と透過させない領域とが画定されてい
る。本実施例で使用したマスクは、厚さ10〜500μ
mの銅板であり、マスク面に所定のマイクロ部品のパタ
ーンが形成されている。なお、銅以外の金属を用いても
よい。
4の表面に照射される。加工対象物4の表面でSR光に
よるアブレーションが生じ、SR光が照射された部分が
剥離される。マスク3に微細なパターンを形成しておく
ことにより、加工対象物4の表面を微細に加工すること
ができる。
の加工部の断面図を示す。真空容器20内に試料保持台
14が配置されている。試料保持台14の試料保持面に
加工対象物4が保持されている。マスク3が、マスク保
持手段17により加工対象物4の前面に配置されてい
る。加工時には、図の左方からマスク3を通して加工対
象物4の表面にSR光2を照射する。
成され、内部にヒータ8が埋め込まれている。ヒータ8
のリード線が、真空容器20の壁に取り付けられたコネ
クタ21の容器内側の端子に接続されている。コネクタ
21の容器外側の端子が、電源7に接続されており、電
源7からヒータ8に電流が供給される。ヒータ8に電流
を流すことにより、加工対象物4を加熱することができ
る。
が取り付けられている。熱電対23のリード線は、リー
ド線取出口22を通して真空容器20の外部に導出さ
れ、温度制御装置9に接続されている。リード線取出口
22は、例えばハンダ付けにより気密性が保たれてい
る。温度制御装置9は、試料保持面の温度が所望の温度
になるように、電源7を制御しヒータ8を流れる電流を
調節する。
示す。試料保持台15の内部にガス流路16が形成され
ている。ガス流路16に所望の温度のガスを流してガス
と加工対象物4との熱交換を行わせ、加工対象物を所望
の温度に維持することができる。
光の波長について考察する。図2は、PTFEの光吸収
スペクトルを示す。図2(A)に示すように、放射光の
エネルギが増加すると、吸収は減少する傾向にある。さ
らに、104eV(波長0.1nm)の吸収係数は10
2eVの吸収の10−4倍程度と非常に少ないので、波
長0.1nm以下の放射光はPTFE加工にほとんど効
果がない。
吸収はエネルギ7.7eV(波長160nm)近傍で大
きなピークがあるので、PTFE加工用の放射光には波
長160nmの紫外線を含んでいることが好ましい。
細加工を行った結果について説明する。赤外領域からX
線領域までの連続した波長分布を持つSR光を用い、厚
さ1.5mmのシート状のPTFEを加工した。加工対
象物4と光源との距離Lは3mである。
ルで洗浄し、試料保持台に保持する。微細パターンが形
成されたマスク3を加工対象物4の前方に約0.5mm
の間隔をおいて配置する。
真空容器内を7×10−7Paになるまで排気する。そ
の後、PTFEシートを加熱し温度を200℃に維持す
る。SR光を加工対象物4に照射する。SR光の光子密
度は、加工対象物表面において1.5×1015フォト
ン/s・mm2、照射時間は10分である。
トの加工部の拡大写真のスケッチである。図3(A)
は、最小線幅約100μmの格子状パターンのマスクを
用いて貫通孔を形成したPTFEシートを示す。貫通孔
の側面はPTFEシート表面に対してほぼ垂直に切り立
ち、格子状に残されたPTFE部分の線幅は、厚さ方向
に開してほぼ一定になっている。この場合、PTFEシ
ート表面における最小線幅に対する厚さの比(アスペク
ト比)は約15になる。
状パターンのマスクを用いて微細加工したPTFEシー
トを示す。最小線幅を10μmとしても、良好な加工が
できることがわかる。このように、上記条件でPTFE
表面にSR光を照射することにより、線幅が100μm
以下の微細な加工を行うことができる。
光を照射し、良好な加工部側面を得るためには、PTF
Eシート表面における光子密度を3×1015フォトン
/s・mm2以上にする必要があった。これに対し、P
TFEシートを加熱することにより、約1/2の光子密
度のSR光で良好な加工部側面を得ることができた。
光子密度を1.5×1015フォトン/s・mm2 とした
場合を説明したが、他の光子密度を有するSR光を照射
してもよい。滑らかな加工部表面を得るためには、加工
対象物表面における光子密度を1.5×1015フォトン
/s・mm2 以上とすることが好ましい。光子密度を高
くすれば、加工速度を速くすることができる。
TFEシートの温度を200℃とした場合を説明した
が、50℃〜250℃としてもよい。なお、より好まし
くは150℃〜220℃の温度範囲とする。
グラフィ技術を用いたレジスト膜のパターニングとを同
一のマスクを用いて行ったところ、レジスト膜のパター
ニングとほぼ同等の加工精度でPTFEを加工すること
ができた。
傾斜するため、開口部の大きさがPTFEシートの厚さ
に依存し、PTFEシートが厚くなるに従って開口部も
大きくなる。このため、大きなアスペクト比を得ること
が困難である。これに対し、SR光で加工すると、貫通
孔の側面が表面に対してほぼ垂直になるため、容易に大
きなアスペクト比を有する凹部もしくは貫通孔を形成す
ることができる。
との間隔Gを0.5mmとした場合について説明した
が、間隔Gはその他の大きさとしてもよい。ただし、間
隔Gが大きすぎると、SR光の回折により加工対象物上
の像がぼける。このため、微細なパターンを形成するこ
とができなくなる。一方、間隔Gが小さすぎると、加工
部からマスクへ熱が伝達し易くなり、マスクに加工汚れ
が付着し易くなる。各種実験結果から、加工対象物4と
マスク3との間隔Gは0.3〜0.5mmの範囲が好ま
しいと考えられる。
回り込まないように、加工部近傍の空間から差動排気す
ることが好ましい。また、発生するガス量に応じて、ガ
スが電子軌道内に回り込まない程度の排気量とすること
が好ましい。
い形状を有する。例えば、本実施例で使用したシンクロ
トロンでは、光源から3mの位置におけるビームサイズ
は、縦方向が約3mm、横方向が約30mmである。こ
のため、横方向に比較的広い範囲を同時に加工すること
ができる。縦方向に広い範囲を加工するためには、加工
対象物4とマスク3を同時に縦方向(図1のZ方向)に
移動すればよい。
移動機構を示す。試料保持台14は、その試料保持面が
SR光2の光軸(Y方向)に対してほぼ垂直になるよう
に駆動機構10に取り付けられている。試料保持台14
の試料保持面に加工対象物4が取り付けられており、加
工対象物4の表面から間隔Gを隔ててマクス3が取り付
けられている。
び13が取り付けられている。ハンドル11を回転すれ
ば、試料保持台14が図の上下方向(Z方向)に移動す
る。ハンドル11をステッピングモータで回転すること
により、ステージを所望の一定速度でZ方向に移動する
ことができる。
試料保持台14はそれぞれ紙面に垂直な方向(X方向)
及びY方向に移動する。ハンドル12、13により試料
保持台14のX及びY方向の位置を微調整することがで
きる。
ッピングモータでハンドル11を回転させると、加工対
象物4がZ方向に移動し、比較的大きな面積を容易に加
工することができる。
本発明はこれらに制限されるものではない。例えば、種
々の変更、改良、組み合わせ等が可能なことは当業者に
自明であろう。
TFE系ポリマーを微細に加工することができる。ま
た、大面積の加工、アスペクト比の大きな貫通孔もしく
は凹部の形成も容易に行うことができる。微細加工した
TFE系ポリマーを使用して、生化学用のマイクロマシ
ンを作製することが可能になる。
する時の、放射光、マスク及び加工対象物の配置を示す
斜視図、及びTFE系ポリマー加工装置の加工部の断面
図である。
を示すグラフである。
加工部の拡大写真をスケッチした図である。
る。
Claims (6)
- 【請求項1】 放射光を、ポリテトラフルオロエチレン
(PTFE)、テトラフルオロエチレン−ヘキサフルオ
ロプロピレン共重合体(FEP)、及びテトラフルオロ
エチレン−ペルフルオロビニルエーテル共重合体(PF
A)からなる群より選ばれた1つの加工対象材料の加工
方法であって、 前記加工対象材料で形成された部分を含む加工対象物を
準備する工程と、 前記放射光を実質的に透過させる領域と、実質的に透過
させない領域がパターニングされたマスクを準備する工
程と、 前記加工対象物の少なくとも前記加工対象材料表面を加
熱する工程と、 少なくとも波長160nmの紫外線を含む放射光を、前
記マスクを介して前記加工対象物の表面に照射し、該放
射光の照射された領域に凹部もしくは貫通孔を形成する
工程とを含む加工方法。 - 【請求項2】 前記放射光を照射する工程は、前記加工
対象物の表面で光子密度が1.5×1015フォトン/
s・mm2以上となる放射光を照射する請求項1に記載
の加工方法。 - 【請求項3】 前記放射光を照射する工程は、前記マス
クと前記加工対象物の表面との間に厚さ0.3〜0.5
mmの間隙ができるように前記マスクを配置して放射光
を照射する請求項1または2に記載の加工方法。 - 【請求項4】 前記放射光の光軸に垂直な断面は、一方
向に長く、 前記放射光を照射する工程は、前記加工対象物に放射光
を照射しつつ、前記加工対象物及び前記マスクをその相
対位置を保ったまま、前記放射光の光軸に垂直でかつ前
記一方向と交わる方向に移動する請求項1〜3のいずれ
かに記載の加工方法。 - 【請求項5】 前記加熱する工程が、前記加工対象材料
表面を50℃〜250℃に加熱する請求項1〜4のいず
れかに記載の加工方法。 - 【請求項6】 前記加熱する工程が、前記加工対象材料
表面を150℃〜220℃に加熱する請求項5に記載の
加工方法。
Priority Applications (3)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
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US08/578,960 US5730924A (en) | 1994-12-28 | 1995-12-27 | Micromachining of polytetrafluoroethylene using radiation |
DE19549052A DE19549052C2 (de) | 1994-12-28 | 1995-12-28 | Mikrobearbeitung von Polytetrafluoräthylen unter Verwendung von Synchrotronstrahlung |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP14612795A JP2922136B2 (ja) | 1995-06-13 | 1995-06-13 | Tfe系ポリマーの微細加工方法 |
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Publication Number | Publication Date |
---|---|
JPH08336894A JPH08336894A (ja) | 1996-12-24 |
JP2922136B2 true JP2922136B2 (ja) | 1999-07-19 |
Family
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Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP14612795A Expired - Fee Related JP2922136B2 (ja) | 1994-12-28 | 1995-06-13 | Tfe系ポリマーの微細加工方法 |
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Families Citing this family (2)
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---|---|---|---|---|
JP4567302B2 (ja) * | 2003-07-01 | 2010-10-20 | 住友重機械工業株式会社 | 微細構造体の製造方法 |
JP2007088288A (ja) * | 2005-09-22 | 2007-04-05 | Sumitomo Electric Ind Ltd | 回路基板、その製造方法及び多層回路基板 |
-
1995
- 1995-06-13 JP JP14612795A patent/JP2922136B2/ja not_active Expired - Fee Related
Non-Patent Citations (1)
Title |
---|
「岩波理化学辞典 第3版」(昭46−12−5)、岩波書店 |
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---|---|
JPH08336894A (ja) | 1996-12-24 |
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