JP4422278B2 - 野菜移植機 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、作業部の姿勢の左右傾斜角を制御する機構を備えさせた野菜移植機の構成に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、作業部の姿勢の左右傾斜角を変更する機構を備えた作業機は公知とされ、この作業機は畝の傾斜に作業部の姿勢の傾斜を合わせることにより、例えば野菜移植機においては畝に対し野菜をまっすぐに植え付けることが可能であり、傾斜の大きい圃場での作業に有用である。また、該作業機の適宜位置に角速度センサや傾斜センサ等を設けて、該センサの検出値に応じて作業部が水平となるよう自動制御する作業機も公知とされており、これは作業部の水平を保持する必要がある作業機に有用である。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかし、作業においては一般に、作業機の作業部を水平姿勢に保持したい場合と、一定の傾斜姿勢としたい場合とがある。この場合に、従来の作業機はこの自動制御のオンオフを切り替えるためのレバーと、更に自動制御をオフとした場合に作業機の作業部の傾斜姿勢を手動で操作するためのレバーとを各別に設ける構成としていた。従って、作業部の姿勢の操作のためにオペレータは二本のレバーを操作する必要があり、この操作は複雑で理解しにくいものであった。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明の解決しようとする課題は以上の如くであり、次にこの課題を解決するための手段を説明する。
【0005】
請求項1においては、移植部(5)の左右傾斜角を制御する機構を有する野菜移植機において、一本のローリング操作レバー(120)を有し、該ローリング操作レバー(120)はその傾動操作により、機体に設けた傾斜センサや角速度センサの検出値に基づいて、コントローラがローリング駆動部である傾斜シリンダー(190)を自動的に縮退駆動させ、移植部(5)の左右傾斜姿勢が水平となるように制御する「自動制御モード」と、該移植部(5)の左右傾斜姿勢を手動で変更可能とする「手動制御モード」とに切替えを可能とし、更に、該ローリング操作レバー(120)を、前記「手動制御モード」としたときは、該ローリング操作レバー(120)を傾動操作することによって移植部(5)の姿勢の左右傾斜姿勢の変更を可能とし、該ローリング操作レバー(120)のガイドプレート(266)上の操作位置は、「自動制御モード」位置(A)と、「手動制御モード・姿勢固定」位置(B)と、「手動制御モード・左傾斜」位置(C)と、「手動制御モード・右傾斜」位置(D)とを有し、前記「自動制御モード」と「手動制御モード」の間の切替えのために、該ローリング操作レバー(120)を傾動操作する方向は前後方向とし、後方を「自動制御モード」位置(A)とし、前記「手動制御モード」とした場合において、移植部(5)の左右傾斜姿勢を変更するローリング操作レバー(120)を傾動操作する方向は、「手動制御モード・姿勢固定」位置(B)から、左右方向とし、該ローリング操作レバー(120)が、「手動制御モード・左傾斜」位置(C)と、「手動制御モード・右傾斜」位置(D)にあるときに操作力を解除した場合は、該ローリング操作レバー(120)は、前記「手動制御モード・姿勢固定」位置(B)まで復帰されるように構成し、前記ローリング操作レバー(120)を、平面視ループ状としたハンドルフレーム(1)の前後状部分(1a・1a)の間において、野菜移植機の走行のための動力の断接を行う主クラッチレバー(251)と、移植部(5)への動力の断接を行う作業クラッチレバー(252)の間に配置したことを特徴とする野菜移植機である。
【0006】
請求項2においては、請求項1記載の野菜移植機において、前記ローリング操作レバー(120)を配設する位置は、前記主クラッチレバー(251)と作業クラッチレバー(252)との中間位置より主クラッチレバー(251)寄りの位置に配置したものである。
【0007】
請求項3においては、請求項2記載の野菜移植機において、前記ローリング操作レバー(120)と主クラッチレバー(251)と作業クラッチレバー(252)の三者が、略同一の高さとなるよう配設されるものである。
【0008】
【発明の実施の形態】
本発明の一実施例を、添付の図面を用いて説明する。
【0009】
図1は本発明の一実施例に係る野菜移植機の全体的な構成を示した側面図である。
【0010】
図2は同じく平面図である。
【0011】
図3は機体の昇降制御及びローリング制御を行うための構成を示した平面図である。
【0012】
本発明の歩行型野菜移植機について全体構成から説明する。
【0013】
図1、図2に示すように、機体の前部にエンジンフレーム2が配置され、該エンジンフレーム2上にエンジン4が載置され、エンジンフレーム2後部に固設したミッションケース3内にプーリー、ベルト等を介してエンジン4の動力を伝達するようにしている。前記ミッションケース3の後方に作業部たる移植部5が配置され、該移植部5の後上方に苗載台34を左右スライド自在に配置している。
【0014】
前記ミッションケース3はエンジンフレーム2後部より後方に延伸され、該延伸部分上部より後方に向けてハンドルフレーム1を突設している。該ハンドルフレーム1は前記移植部5の側方や苗載台34の下方を通過して後方に延出しており、その後端に操作部6を配設している。前記エンジン4やミッションケース3の上方及び側方は図示せぬカバーによって覆われ、機体前部の左右両側上には予備苗台30・30が載置固定される。また、前記操作部6には、主クラッチレバー251や、機体のローリング制御を行う操作具としてのローリング操作レバー120等が配置されている。
【0015】
また、図1から図3までに示すように、前記ミッションケース3の下部より走行駆動軸10・10が左右水平方向に突出され、該走行駆動軸10・10の左右外端に後走行駆動ケース12・12が上下回動可能に枢支されている。それぞれの該後走行駆動ケース12内の走行駆動軸10上にはスプロケットが固定され、支持体である後走行駆動ケース12の他側に後車軸14が軸支される。該後走行駆動ケース12の内部において後車軸14上にはスプロケットが固定され、走行駆動軸10よりスプロケット、チェーンを介して後車軸14を駆動し、該後車軸14に取り付けられた後輪である走行駆動輪16を駆動できるようにしている。
【0016】
前記エンジンフレーム2前部には筒状の支持フレーム19が左右に横架され、該支持フレーム19両端部に前輪支点軸180・180が回転自在に支持される。該前輪支点軸180・180は支持フレーム19端部より外側に突出させて、その外端には前輪支持体52・52のボス部が固設され、前輪支持体52は前輪支点軸180の軸心まわりに回動できるようにしている。前輪支持体52・52の先端にはそれぞれ前車軸199・199を片持ち支持し、該前車軸199・199に前輪15・15を支持している。
【0017】
前記前輪支点軸180にはアーム168を設け、前記後走行駆動ケース12上部に突設するブラケット182と該アーム168との間に連結ロッド90が介装される。更に、前記後走行駆動ケース12のブラケット201には上下動操作ロッド91の一端が連結され、該上下動操作ロッド91の他端が以下に説明するように昇降シリンダー184に連結されている。
【0018】
昇降シリンダー184は図3に示すように、その基部をエンジンフレーム2に固設し、ロッドを略前方に向けて配置している。該昇降シリンダー184のロッドには左右向きの支持筒185中央部が固設され、該支持筒185の両端部がエンジンフレーム2左右側面に略前後に摺動自在に支持されている。該支持筒185内部には支点軸186が枢支され、該支点軸186の左端には下方にブラケット187を突設する一方、右端には上方にブラケット188を突設し、各々のブラケット187・188にそれぞれ前記上下動操作ロッド91・91を連結している。
【0019】
この構成により、前記昇降シリンダー184を伸縮駆動させることで、支点軸186が略前方(又は略後方)に移動し、上下動操作ロッド91・91が後方のブラケット182・182を張引して、左右の後走行駆動ケース12・12を回動させ、該後走行駆動ケース12・12に連結ロッド90・90を介して連結されている前輪支持体52・52も回動される。この結果、前輪15及び後輪16は互いに略同じ高さを保持しつつ、機体に対して図1に二点鎖線で示すように離れる方向(又は逆の近接する方向)に移動し、前後輪15・16に対し相対的に機体が上昇(下降)されて畝の高さに合わせることができるようにしている。
【0020】
また、支持筒185の前記エンジンフレーム2左側面より突出した端部には載置プレート189が固設されて、昇降シリンダー184の伸縮駆動とともに前後に移動するようにしている。前記載置プレート189上にローリング駆動部である傾斜シリンダー190の基部が固設され、該傾斜シリンダー190の伸縮ロッドが支点軸186に突設したアーム191に連結されている。
【0021】
従って、前記傾斜シリンダー190を伸縮駆動すると、アーム191を介して支点軸186が回転され、左右一側の上下動操作ロッド91が同じ側のブラケット182を張引する一方、左右他側の上下動操作ロッド91が同じ側のブラケット182の張引を緩める。従って、左右一方の前輪支持体52及び後走行駆動ケース12の傾斜角度が緩められる一方、左右他方の前輪支持体52及び後走行駆動ケース12の傾斜角度が急傾斜となり、前後輪15・16の高さを左右で互いに異ならしめて機体をローリングさせることにより、機体に取り付けられる移植部5の左右傾斜姿勢を圃場の傾斜に合わせることを可能としている。
【0022】
傾斜シリンダー190は図示せぬ油圧ポンプと電磁バルブ等を介して接続され、該電磁バルブは図示せぬコントローラに電気的に接続され、該コントローラによって開閉制御が行われる。該コントローラには、操作部6に設けられた本発明のローリング操作レバー120の傾動操作の情報が入力される。この構成により、該ローリング操作レバー120を傾動操作することにより、機体の左右姿勢を手動で変更することができる。また、該ローリング操作レバー120を後述する「自動制御モード」位置に操作すれば、上記コントローラは機体の適宜位置に設けた傾斜センサや角速度センサの検出値に基づいて傾斜シリンダー190を自動的に縮退駆動させ、機体の左右姿勢が水平となるよう自動制御する。なお、本実施例の構成のように機体全体をローリングさせて作業部たる移植部5を傾斜させる構成に限らず、機体に対して移植部5を傾斜させることで移植部5の左右傾斜姿勢を変更する構成とすることもできる。
【0023】
次に、移植部5の構成について説明する。図1、図2に示すように、前記ミッションケース3の上方に図示せぬステー等を介して横送り駆動ケース160が載置固定されている。該横送り駆動ケース160には、ミッションケース3内で減速された移植爪31の駆動と同調された動力がチェーン342・スプロケット343を介して伝達され、横送り駆動ケース160内に収納された横送り変速機構で間欠横送り変速される。
【0024】
更に、横送り駆動ケース160左側の後方に苗取爪駆動機構220が配置され、横送り駆動ケース160より図示せぬチェーンを介して横送り変速される前の移植爪駆動と同調した動力が伝達され、該苗取爪駆動機構220の右側(機体の左右中央位置)に配置する苗取爪66が苗取り駆動される。
【0025】
また、前記横送り駆動ケース160の左右両側面に平面視「L」字状に構成した筒状のL型フレーム193・193の一端がそれぞれ固設され、該L型フレーム193・193後部には直線状のパイプフレーム194・194前端を固設し、該パイプフレーム194・194は前記移植部5の上側方を通過させて移植フレームの直後方まで延出している。該パイプフレーム194・194の後端部に平面視門型の支持フレーム195の閉塞面が固設され、該支持フレーム195の開放面内に図2に示すように横送り軸85や縦送り駆動軸123、縦送り駆動ケース230が配置され、前記苗載台34がスライド自在に支持されている。
【0026】
また、前記縦送り駆動ケース230は支持フレーム195開放面の左側面に固設され、該縦送り駆動ケース230前部より右側方に伝動フレーム196を突設し、該伝動フレーム196を左側のパイプフレーム194後方まで延出して両者が連結固定されている。前記伝動フレーム196内に前記横送り軸85が軸支され、該横送り軸85には、前記左側のL型フレーム193及びパイプフレーム194内に軸支した伝動軸197・198やベベルギア等を介して間欠的に横送り駆動力が伝達される。
【0027】
そして、前記横送り軸85が横送り間欠駆動され、横送り軸85上のスベリ子85aが間欠的に左右に送られる。また、この横送り間欠駆動が縦送り駆動ケース230内に入力され、縦送り変速機構で間欠駆動するタイミングをスベリ子85aの終端位置への移動時に合わせるように変速され、縦送り駆動ケース230後部の縦送り駆動軸123を間欠駆動している。
【0028】
この縦送り駆動軸123には摺動自在に苗載台34が支持され、この縦送り駆動軸123が苗載台34側に設けた駆動スプロケット126を縦送り駆動して、チェーン127を介して苗載台34上に載置される苗トレイを縦送りしている。また、前記横送り軸85上のスベリ子85aが苗載台34に設けた図示せぬフレームに係合され、横送り間欠駆動が伝達され、前記苗取爪66で苗トレイより野菜苗を取り出して移植爪31に受け継がせている。
【0029】
図1・図2に示すように、ハンドルフレーム1の前後中央位置の間に移植爪31の昇降開閉機構32が配置されている。前記ミッションケース3の後方には後述する覆土フレーム37を突出し、該覆土フレーム37の後下部に覆土輪39が配置され、前記苗取爪66によって苗トレイから苗を一つずつ移植爪31に搬送して、該移植爪31を下降して畝上で開き落下させて植え付け、覆土輪39によって両側の土を押さえつけて移植している。また、前記覆土輪39の後上方に植深調節レバー70や覆土圧調整レバー73、主変速レバー、株間変速レバー等を有する第二操作部330が配設されている。
【0030】
次に、本発明の要部をなすローリング操作レバー120について、詳細に説明する。図4は操作部の背面図、図5は同じく側面図である。また、図6はローリング操作レバーの支持構成を示した側面拡大図、図7は同じく背面拡大図である。
【0031】
野菜移植機後部に配設される上記操作部6においては図4に示すように、該ローリング操作レバー120のほか、走行のための動力の断接を行う主クラッチレバー251と、作業部たる移植部5への動力の断接を行う作業クラッチレバー252が配設され、更にはキースイッチ253やチョーク254等が配置される。
該ローリング操作レバー120の位置については図4により明らかなように、主クラッチレバー251と作業クラッチレバー252との間の位置に配設している。また、更に、主クラッチレバー251、作業クラッチレバー252、ローリング操作レバー120の三者は、略同一の高さとなるよう配設される。ローリング操作レバー120は、主クラッチレバー251と作業クラッチレバー252との中間位置より主クラッチレバー251寄りの位置に設けている。即ち、ローリング操作レバー120と主クラッチレバー251との距離L1が、ローリング操作レバー120と作業クラッチレバー252との距離L2より小さくなるようにしている(L1<L2)。
【0032】
操作部6に配設される上記ハンドルフレーム1の後部は適宜湾曲させて、左右両側の前後状部分1a・1a、及び該前後状部分1a・1aの後端を連結する左右状部分1bを有するように形成し、平面視ループ状としている。そして、該ハンドルフレーム1の前後状部分1a・1aの間に操作部支持フレーム255が横架され、該操作部支持フレーム255上に操作パネル268や後述するガイドプレート266等を設け、該操作パネル268の上にキースイッチ253を設けている。チョーク254は操作部支持フレーム255上に直接設けている。操作部支持フレーム255には前下方に向けて配置した基部フレーム256を固着し、該基部フレーム256に回動部材257をピン258にて回動自在に支持している。該回動部材257は図5・図6に示す如く側面視で略三角形となるよう形成して、その前下部にはアウタ受け部257aを、前方上部にはワイヤ張引部257bをそれぞれ形成し、後上部は上述の如くピン258にて操作部支持フレーム255に枢支するとともに、更に後上方へ延出させて上記ローリング操作レバー120を支持するレバー基部257cを設けている。上記ワイヤ張引部257bには開口を設けて平面視直角に折曲されたピン259を挿通し、該ピン259に第一のワイヤ260の一端を固定している。該第一のワイヤ260はローリング制御の手動制御モードと自動制御モードとを選択的に切り替えるためのワイヤとされ、機体前方に延出されて上記傾斜シリンダー190を縮退制御するためのコントローラに接続される。該第一のワイヤ260はアウタチューブ261内を挿通され、アウタチューブ261の一端は、前記基部フレーム256に形成したアウタ受け部256aに固定される。
【0033】
上記回動部材257のレバー基部257cにおいてはその一部を折曲して、該折曲した舌片257dには開口を設け、該開口に前記ローリング操作レバー120の基部を挿通して、回動自在に支持している。ローリング操作レバー120は中途部分を折曲させて、先端を後上方に延出させている。この構成により、該ローリング操作レバー120は上記レバー基部257cの舌片257dの開口を中心として回動することにより機体左右方向への傾動を可能とし、更に該ローリング操作レバー120を支持する回動部材257が上記ピン258を中心として回動することにより機体前後方向への傾動を可能としている。
【0034】
ローリング操作レバー120の上記折曲部分近傍には、ワイヤ張引アーム120aの基端を固設している。該ワイヤ張引アーム120aは左右一側方向に延出してその先端に第二のワイヤ262を連結し、ローリング操作レバー120の左右傾動操作に応じて一体的に揺動して該第二のワイヤ262を張引するように構成している。この第二のワイヤ262は、ローリング制御を手動制御モードとしたときに機体(移植部5)の左右傾斜姿勢を手動で変更するためのワイヤとされ、機体前方に延出されて上記傾斜シリンダー190を縮退制御するためのコントローラに接続される。第二のワイヤ262はアウタチューブ263内を挿通され、該アウタチューブ263は回動部材257の前記アウタ受け部257aに固定される。
【0035】
更にローリング操作レバー120の基端側には、レバー戻し部材264が取り付けられる。このレバー戻し部材264は、筒状の基部264a、並びに、該基部264aに固着された戻しアーム264b、係止アーム264c及び規制片264dによりなり、該基部264aをローリング操作レバー120に遊嵌させて相対回転自在としている。上記戻しアーム264bの先端には左右水平方向に配置したレバー戻しバネ265の一端を連結して引張り方向の付勢力を常時加える一方、係止アーム264cの先端は上記ローリング操作レバー120のワイヤ張引アーム120aに係止させている。この構成により、ローリング操作レバー120をその左右中央位置(図4に符号Bで示す位置)から機体右方向(図4の位置Dに向かう方向)に傾動操作した場合は、ワイヤ張引アーム120aが回動し、係止アーム264cにより該ワイヤ張引アーム120aに係止されているレバー戻し部材264が回動して、該レバー戻し部材264の戻しアーム264bの先端がレバー戻しバネ265を張引する。従って、該状態から操作力を解除すれば、上記レバー戻しバネ265の引張力がレバー戻し部材264に作用し、該レバー戻し部材264の係止アーム264cがワイヤ張引アーム120aを押動するので、ローリング操作レバー120は機体左方向に戻される。そしてローリング操作レバー120が左右中央位置Bに戻ると、レバー戻し部材264の上記規制片264dが図7に示すように上記回動部材257の端部に接当するので、それ以上ローリング操作レバー120に対してレバー戻しバネ265の引張力が作用することはない。
【0036】
一方、ワイヤ張引アーム120aに一端を連結された上記第二のワイヤ262は、その他端に戻しバネを取り付けている(図外)。この構成により、ローリング操作レバー120を機体左方向(図4の位置Cに向かう方向)に傾動操作した場合は、ワイヤ張引アーム120aは上記と反対方向に回動して上記第二のワイヤ262の一端を張引する。従って、該状態から操作力を解除すれば、上記図外の戻しバネの弾発力が第二のワイヤ262を介してワイヤ張引アーム120aに作用し、ローリング操作レバー120は左右中央位置Bに戻される。
【0037】
上記操作部支持フレーム255にはガイドプレート266が固設されており、該ガイドプレート266にはガイド孔267を欠切して、該ガイド孔267内に上記ローリング操作レバー120を挿通させている。このガイド孔267は図7に示すように、機体左右方向に形設した左右部分267aと、該左右部分267aの中央から機体後方に向けて延出した前後部分267bと、該前後部分267bの端部から機体右方向に延出した部分267cにより構成し、ローリング操作レバー120を五つの操作位置、即ち、(1)「自動制御モード」位置A、(2)「自動制御モード・ロック」位置A’、(3)「手動制御モード・姿勢固定」位置B、(4)「手動制御モード・左傾斜」位置C、(5)「手動制御モード・右傾斜」位置Dにおくことができるように構成している。
【0038】
上記ガイド孔267の左右部分267aには、機体左側から順に「手動制御モード・左傾斜」位置C、「手動制御モード・姿勢固定」位置B、「手動制御モード・右傾斜」位置Dを並べて配しており、ローリング操作レバー120を機体前方側に傾動して該左右方向部分267aに入り込ませたときは「手動制御モード」となり、該状態から該ローリング操作レバー120を左に傾動すると機体(移植部5)が左傾斜し、右に傾動すると右傾斜するように構成している。また、ローリング操作レバー120を「手動制御モード・姿勢固定」位置Dにおくと、ローリング操作レバー120を上記前後部分に入り込ませながら後方に傾動させて「自動制御モード」位置Aにおくことが可能で、該位置Aに操作したときは機体の姿勢は左右水平となるよう自動制御される。即ち、ローリング操作レバー120を前後方向(矢視Y方向)に傾動操作することで「自動制御モード」「手動制御モード」の切替えを可能とし、更に「手動制御モード」においてはローリング操作レバー120を前記方向と垂直である左右方向(矢視X方向)に傾動操作することで機体(移植部5)の左右傾斜姿勢を操作可能に構成しているのである。なお、上記「自動制御」位置Aから更にローリング操作レバー120を機体右側に傾動して「自動制御モード・ロック」位置A’におくことにより、ローリング操作レバー120をロックして機体姿勢の上記自動制御状態が確実に保持されるようにすることもできる。
【0039】
また、ローリング操作レバー120には上述のように上記レバー戻しバネ265及び第二のワイヤ262に取り付けられている図外の戻しバネによる付勢力を作用させているため、「手動制御モード」においてローリング操作レバー120が「左傾斜」位置C又は「右傾斜」位置Dにあるときに操作力を解除した場合は、該付勢力によってローリング操作レバー120は「姿勢固定」位置Bまで戻されることとなる。
【0040】
【発明の効果】
本発明は、以上のように構成したので、以下に示すような効果を奏する。
【0041】
請求項1に示す如く、移植部(5)の左右傾斜角を制御する機構を有する野菜移植機において、一本のローリング操作レバー(120)を有し、該ローリング操作レバー(120)はその傾動操作により、機体に設けた傾斜センサや角速度センサの検出値に基づいて、コントローラがローリング駆動部である傾斜シリンダー(190)を自動的に縮退駆動させ、移植部(5)の左右傾斜姿勢が水平となるように制御する「自動制御モード」と、該移植部(5)の左右傾斜姿勢を手動で変更可能とする「手動制御モード」とに切替えを可能とし、更に、該ローリング操作レバー(120)を、前記「手動制御モード」としたときは、該ローリング操作レバー(120)を傾動操作することによって移植部(5)の姿勢の左右傾斜姿勢の変更を可能とし、該ローリング操作レバー(120)のガイドプレート(266)上の操作位置は、「自動制御モード」位置(A)と、「手動制御モード・姿勢固定」位置(B)と、「手動制御モード・左傾斜」位置(C)と、「手動制御モード・右傾斜」位置(D)とを有し、前記「自動制御モード」と「手動制御モード」の間の切替えのために、該ローリング操作レバー(120)を傾動操作する方向は前後方向とし、後方を「自動制御モード」位置(A)とし、前記「手動制御モード」とした場合において、移植部(5)の左右傾斜姿勢を変更するローリング操作レバー(120)を傾動操作する方向は、「手動制御モード・姿勢固定」位置(B)から、左右方向とし、該ローリング操作レバー(120)が、「手動制御モード・左傾斜」位置(C)と、「手動制御モード・右傾斜」位置(D)にあるときに操作力を解除した場合は、該ローリング操作レバー(120)は、前記「手動制御モード・姿勢固定」位置(B)まで復帰されるので、作業部の左右傾斜姿勢の自動制御と手動制御の切替え、及び、手動制御時の作業部の左右傾斜姿勢の変更を一本のレバーで行うことができ、オペレータは二本のレバーを持ち替える必要が無くなる。従って、操作方法が理解しやすく簡単な作業機を提供できる。
【0042】
また、作業部の左右傾斜姿勢の自動制御と手動制御の切替え、及び、手動制御時の作業部の左右傾斜姿勢の変更を一本のローリング操作レバー(120)で行うことができる。また、四つの操作位置の切替えで作業部の左右傾斜姿勢の操作が十分にできることとなり、簡素な操作方法をオペレータに提供できる。
【0043】
また、「手動制御モード・左傾斜」位置(C)と、「手動制御モード・右傾斜」位置(D)にあるときに操作力を解除した場合は、該ローリング操作レバー(120)は、前記「手動制御モード・姿勢固定」位置(B)まで復帰される、作業部の左右傾斜姿勢を手動制御する場合において、作業部を傾斜させたい場合はローリング操作レバー(120)を左右の操作位置におけばよく、所望の傾斜姿勢になった時にローリング操作レバー(120)から手を離せば、該ローリング操作レバー(120)は「手動制御モード・姿勢固定」位置(B)まで戻って作業部の姿勢が固定される。従って、前記手動制御時における作業部の左右傾斜姿勢の変更を、より直感的に理解できる容易な操作方法にて行うことができる。
【0044】
また、前記「自動制御モード」と「手動制御モード」の間の切替えのために前記ローリング操作レバー(120)を傾動操作する方向は、機体の前後方向であるので、制御モードの切替え操作の方向と、手動制御モードにおける作業部の左右傾斜姿勢の変更操作の方向が垂直であるから、オペレータはこの二つの操作を整理して的確に覚えることが可能であり、二つの操作を取り違えたり、混同するおそれが少なくなる。
【0045】
また、前記「手動制御モード」とした場合における、移植部(5)の左右傾斜姿勢を変更するために、該ローリング操作レバー(120)を傾動操作する方向は、機体左右方向であるので、手動制御モードにおいて、作業部を左に傾けたい場合はレバーを左に傾動し、右に傾けたい場合はレバーを右に傾動するというような、直感的でわかりやすい操作構成が採用できる。これは操作の容易、作業性の向上を意味する。
【0046】
また、前記ローリング操作レバー(120)を、平面視ループ状としたハンドルフレーム(1)の前後状部分(1a・1a)の間において、野菜移植機の走行のための動力の断接を行う主クラッチレバー(251)と、移植部(5)への動力の断接を行う作業クラッチレバー(252)の間に配置したので、作業時に頻繁に利用する姿勢操作レバーをオペレータの近くに配設する構成であるから、操作性を良好とすることができる。
【0047】
請求項2に示す如く、請求項1記載の野菜移植機において、前記ローリング操作レバー(120)を配設する位置は、前記主クラッチレバー(251)と作業クラッチレバー(252)との中間位置より主クラッチレバー(251)寄りの位置に配置したので、一般にオペレータは作業時において畝間の溝を歩行することとなり、これはオペレータは作業時には主クラッチレバー寄りの位置に立つことを意味する。従って、主クラッチレバー寄りの位置に姿勢操作レバーを配設することによって、オペレータの近くに該姿勢操作レバーが位置することとなって、操作性の更に良好な作業機を提供できる。
【0047】
請求項3に示す如く、請求項3においては、請求項2記載の野菜移植機において、前記ローリング操作レバー(120)と主クラッチレバー(251)と作業クラッチレバー(252)の三者が、略同一の高さとなるよう配設されるので、作業時に操作するレバーを持ち替えやすいので、操作性が更に良好となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本発明の一実施例に係る野菜移植機の全体的な構成を示した側面図。
【図2】 同じく平面図。
【図3】 機体の昇降制御及びローリング制御を行うための構成を示した平面図。
【図4】 操作部の背面図。
【図5】 同じく側面図。
【図6】 ローリング操作レバーの支持構成を示した側面拡大図。
【図7】 同じく背面拡大図。
【符号の説明】
5 移植部(作業部)
120 ローリング操作レバー(レバー、姿勢操作レバー)
A 「自動制御モード」位置
B 「手動制御モード・姿勢固定」位置
C 「手動制御モード・左傾斜」位置
D 「手動制御モード・右傾斜」位置
Claims (3)
- 移植部(5)の左右傾斜角を制御する機構を有する野菜移植機において、一本のローリング操作レバー(120)を有し、該ローリング操作レバー(120)はその傾動操作により、機体に設けた傾斜センサや角速度センサの検出値に基づいて、コントローラがローリング駆動部である傾斜シリンダー(190)を自動的に縮退駆動させ、移植部(5)の左右傾斜姿勢が水平となるように制御する「自動制御モード」と、該移植部(5)の左右傾斜姿勢を手動で変更可能とする「手動制御モード」とに切替えを可能とし、更に、該ローリング操作レバー(120)を、前記「手動制御モード」としたときは、該ローリング操作レバー(120)を傾動操作することによって移植部(5)の姿勢の左右傾斜姿勢の変更を可能とし、該ローリング操作レバー(120)のガイドプレート(266)上の操作位置は、「自動制御モード」位置(A)と、「手動制御モード・姿勢固定」位置(B)と、「手動制御モード・左傾斜」位置(C)と、「手動制御モード・右傾斜」位置(D)とを有し、前記「自動制御モード」と「手動制御モード」の間の切替えのために、該ローリング操作レバー(120)を傾動操作する方向は前後方向とし、後方を「自動制御モード」位置(A)とし、前記「手動制御モード」とした場合において、移植部(5)の左右傾斜姿勢を変更するローリング操作レバー(120)を傾動操作する方向は、「手動制御モード・姿勢固定」位置(B)から、左右方向とし、該ローリング操作レバー(120)が、「手動制御モード・左傾斜」位置(C)と、「手動制御モード・右傾斜」位置(D)にあるときに操作力を解除した場合は、該ローリング操作レバー(120)は、前記「手動制御モード・姿勢固定」位置(B)まで復帰されるように構成し、前記ローリング操作レバー(120)を、平面視ループ状としたハンドルフレーム(1)の前後状部分(1a・1a)の間において、野菜移植機の走行のための動力の断接を行う主クラッチレバー(251)と、移植部(5)への動力の断接を行う作業クラッチレバー(252)の間に配置したことを特徴とする野菜移植機。
- 請求項1記載の野菜移植機において、前記ローリング操作レバー(120)を配設する位置は、前記主クラッチレバー(251)と作業クラッチレバー(252)との中間位置より主クラッチレバー(251)寄りの位置に配置したことを特徴とする野菜移植機。
- 請求項2記載の野菜移植機において、前記ローリング操作レバー(120)と主クラッチレバー(251)と作業クラッチレバー(252)の三者が、略同一の高さとなるよう配設されることを特徴とする野菜移植機。
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