以下、図面に基づき、本発明の好ましい実施の形態について説明する。
(実施の形態)
先ず、図1、図2を用いて、本実施の形態のたばこ苗移植機の構成及び動作について説明する。
図1は、本発明の実施の形態の移植機の一例としてたばこの苗を移植するたばこ苗移植機10を示す側面図であり、図2は、たばこ苗移植機10の平面図である。図2では、可動予備苗台を収納した状態を二点鎖線で示した。
尚、以下の説明では、たばこ苗移植機10の前部とは、エンジン11を配置した側のことであり、又、後部とは、操縦ハンドル16を配置した側のことであるものとする。又、操縦ハンドル16側からエンジン11側を見た作業者の右手側をたばこ苗移植機10の右側とし、左手側を左側とする。
図1、図2に示す通り、本実施の形態のたばこ苗移植機10は、機体を前進走行可能とする走行車体1と、走行車体1の後部に設けられた歩行操縦用の操縦ハンドル16と、走行車体1の後部であって操縦ハンドル16の前側に設けられた、圃場にたばこ苗を植え付ける植付装置19と、植付装置19の上方に設けられ、植付装置19にたばこ苗を供給する苗供給部31とを備えている。
又、苗供給部31の前側であって、走行車体1の左右両側には、たばこ苗を載置する左右一対の長方形状の固定予備苗台300L、300R(図2では、二点鎖線で示した)が固定配置されている。
又、不使用時には、左右一対の固定予備苗台300L、300Rの下方に、平面視で固定予備苗台300L、300Rの長手方向に沿って収納可能であり、かつ、使用時には、左右一対の固定予備苗台300L、300Rと平面視で重複しない位置に配置可能に構成された、たばこ苗を載置する左右一対の長方形状の可動予備苗台350L、350R(図2では、二点鎖線で示した)が回動可能に配置されている。
又、本実施の形態のたばこ苗移植機10は、左右前輪13及び左右後輪14が跨いで走行する畝Uに植付具28にて苗株を植え付けて苗移植作業を行うが、畝案内機構160が機体の前部に設けられており、畝Uの左右の斜面にそれぞれ左右の畝案内ローラー250が接触して、機体が畝Uに沿って走行する構成で案内する。
図3に、走行車体1の前方側から見た、畝案内機構160部分の斜視図を示す。
又、図4に畝案内機構160部分の正面図を、図5に畝案内機構160部分の平面図を、図6に畝案内機構160部分の側面図をそれぞれ示す。
左右の畝案内ローラー250は、機体前部の左右両側に各々設けられているが、左右の畝案内ローラー250の支持構造は同様の構成である。
一端が走行車体1の前部に回動自在に連結した畝案内ローラー支持アーム257の他端に案内ローラー支持ロッド254が連結し、案内ローラー支持ロッド254の下端に、畝案内ローラー250を支持するローラー回転軸支持部材252が固定支持されている。
畝案内ローラー250は、ローラー回転軸支持部材252の畝案内ローラー回転軸251によって支持されており、畝案内ローラー回転軸251を中心に回転自在に支持されている。円筒形状の畝案内ローラー250の周面が畝Uの左右一方側の斜面に接触しながら走行車体1が走行することにより、畝案内ローラー250は回転する。
畝案内ローラー支持アーム257の一端には、円筒形状の支持アーム回動軸260が設けられており、支持アーム回動軸260の両端が、畝案内機構摺動取付部262に設けられたアーム支持ブラケット263によって回動自在に支持されている。この構成により、畝案内ローラー支持アーム257は、支持アーム回動軸260の軸心を中心として回動する。
尚、走行車体1が、本発明の機体の一例にあたる。又、畝案内ローラー支持アーム257が、本発明の支持部材の一例にあたる。又、畝案内ローラー回転軸251が、本発明の第一回動軸の一例にあたる。又、支持アーム回動軸260が、本発明の第二回動軸の一例にあたる。又、畝案内機構摺動取付部262が、本発明の摺動取付部の一例にあたる。又、アーム支持ブラケット263が、本発明のブラケットの一例にあたる。
一方、両端部に左右の前輪13が連結する前輪支持フレーム41の中央部が、走行車体1の前後方向に伸びるローリング軸18に連結しており、ローリング軸18を中心として、左右の前輪13が逆方向に上下動する構成となっている。
前輪支持フレーム41は、ローリング軸18に連結するローリングシャフト268と、ローリングシャフト268の左右両側に設けられ、それぞれの端部に左右の前輪13が連結する左右の前輪支持シャフト269で構成される。
下端部に前輪13が連結した前輪支持ロッド271が、前輪支持シャフト269の一端に連結している。
前輪支持シャフト269の他端は、筒状のローリングシャフト268の内部に挿入される構造であり、前輪支持シャフト269がローリングシャフト268の内部を長手方向に摺動可能な構成となっている。ローリングシャフト268を基準とした左右の前輪支持シャフト269の左右方向の位置は、車幅調節ネジ270によって固定される。
車幅調節ネジ270で固定する位置を変更することにより、左右の前輪13間の距離を自由に調節することができる。すなわち、たばこ苗移植機10の車幅を自在に調節することができる。
尚、ローリング軸18が、本発明の機体中心軸の一例にあたり、前輪13が、本発明の車輪の一例にあたる。又、前輪支持フレーム41が、本発明のローリング部材の一例にあたる。又、前輪支持シャフト269が、本発明のローリング移動部の一例にあたる。
ローリングシャフト268の左右のそれぞれの端部に、取付棒左支持アーム272及び取付棒右支持アーム267が取り付けられており、取付棒左支持アーム272及び取付棒右支持アーム267がそれぞれ畝案内機構取付棒266の両端に連結して、畝案内機構取付棒266を支持している。
この構成により、畝案内機構取付棒266は、ローリングシャフト268と平行に支持され、ローリング軸18を中心としてローリングシャフト268の両端部が上下動すると、ローリングシャフト268との相対的な位置関係を維持しながら畝案内機構取付棒266の両端部も上下動する。
尚、畝案内機構取付棒266が、本発明の畝案内機構取付部材の一例にあたる。又、取付棒左支持アーム272が、本発明の左の取付アームの一例にあたり、取付棒右支持アーム267が、本発明の右の取付アームの一例にあたる。
前述した左右の畝案内機構摺動取付部262は、いずれも畝案内機構取付棒266に外挿される構成で、畝案内機構取付棒266の長手方向に沿って摺動可能に取り付けられている。畝案内機構固定ネジ265を締め付けることによって、畝案内機構取付棒266上における左右の畝案内機構摺動取付部262の、それぞれの左右方向の位置が固定される。
この構成により、走行車体1を基準にして、左右の畝案内機構摺動取付部262の左右方向の位置を、それぞれ独立して調節することができる。したがって、異なる畝幅に対応することができる。
畝案内機構取付棒266は、断面が六角形状であり、畝案内機構摺動取付部262が畝案内機構取付棒266に外挿される部分の内面形状も六角形状としているので、畝案内機構摺動取付部262は、畝案内機構取付棒266の回転とともに上下方向に回動する。
図6に示す通り、畝案内機構取付棒266の左端部には収納回動プレート部274が固定されている。収納回動プレート部274には収納回動ピン275が立設しており、収納回動ピン275は、取付棒左支持アーム272に設けられた収納回動用孔273に挿入されている。
収納回動ピン275は、長孔形状に形成された収納回動用孔273によって規制される範囲で移動可能であり、この構成により、畝案内機構取付棒266の回転する範囲が、収納回動ピン275及び収納回動用孔273によって所定の角度範囲に規制される。
畝案内機構取付棒266を回転させることにより、畝案内機構160を上方に上げることができる。左右の畝案内ローラー250は、いずれも畝案内機構取付棒266に支持されているので、畝案内機構取付棒266を回転させることで、左右の畝案内ローラー250を同時に上方に上げることができる。
この構成により、機体の旋回時や格納時等に、畝案内機構160を上方に上げて収納することができる。
左右の支持アーム回動軸260は、いずれの軸心も、走行車体1の左右外側に向かって下がる向きに傾斜している。又、左右の畝案内ローラー回転軸251のそれぞれの軸心も、走行車体1の左右外側に向かって下がる向きに傾斜している。すなわち、走行車体1の左右方向について、左側の支持アーム回動軸260の軸心は、左側の畝案内ローラー回転軸251の軸心と同じ側に傾斜しており、右側の支持アーム回動軸260の軸心は、右側の畝案内ローラー回転軸251の軸心と同じ側に傾斜している。
したがって、畝案内ローラー支持アーム257は、支持アーム回動軸260の軸心を中心として回動し、畝案内ローラー支持アーム257に支持されている畝案内ローラー250も同じ向きへ回動する。すなわち、畝案内ローラー250は、畝Uの斜面の法線方向へ上下動する。
左右の畝案内ローラー250は、それぞれ左右の支持アーム回動軸260に連結する左右の畝案内ローラー支持アーム257に支持されているので、畝Uの左右の斜面に対応して、それぞれ独立して畝Uの斜面の法線方向へ上下動する。左右の畝案内ローラー250が、独立して畝Uの斜面の法線方向に上下動するので、畝案内ローラー250が畝Uの斜面に適正に作用し、畝Uの斜面を崩すことを防止できる。
畝案内ローラー250を支持するローラー回転軸支持部材252は、傾斜調節ネジ253によって案内ローラー支持ロッド254に固定されるが、案内ローラー支持ロッド254の下端部に設けられた、傾斜調節ネジ253が挿入される傾斜調節孔255は長孔であり、傾斜調節ネジ253及び傾斜調節孔255によって、畝案内ローラー回転軸251の傾斜角度を調節することができる。
傾斜調節ネジ253及び傾斜調節孔255によって、畝案内ローラー回転軸251の軸心の傾斜角度を、走行車体1の左右方向について、支持アーム回動軸260の軸心の傾斜角度よりも大きく調節でき、又支持アーム回動軸260の軸心の傾斜角度よりも小さくも調節できる構成としている。
この構成により、畝Uの斜面の傾斜に合わせて畝案内ローラー回転軸251の軸心の傾斜角度を調節できるので、畝案内ローラー支持アーム257の回動によって畝案内ローラー250を適切な向きに上下動させることができる。
尚、傾斜調節ネジ253及び傾斜調節孔255が、本発明の、傾斜角度を調節する調節機構の一例にあたる。
又、畝案内ローラー支持アーム257には、長手方向に沿って回動規制プレート部258が立設している。
そして、引張式の支持アーム付勢スプリング261の両端が、それぞれ畝案内機構摺動取付部262及び回動規制プレート部258に係止されており、畝案内ローラー支持アーム257を畝U側へ付勢している。
回動規制プレート部258には、スプリング係止孔259が、畝案内ローラー支持アーム257の長手方向に沿って複数配列して設けられており、支持アーム付勢スプリング261の一端は、それらの複数のスプリング係止孔259のうちの一つのスプリング係止孔259に係止されている。
支持アーム付勢スプリング261の一端を係止するスプリング係止孔259の位置を変更することにより、畝案内ローラー支持アーム257の畝U側への付勢力を調節することができ、状況に対応して適正な畝案内が行える。
尚、支持アーム付勢スプリング261が、本発明のスプリングの一例にあたり、スプリング係止孔259が、本発明の係止部の一例にあたる。
又、畝案内機構摺動取付部262の、回動規制プレート部258と接触する位置には、U字状の切り欠き部分である回動規制部264が設けられている。
回動規制プレート部258の移動が、回動規制部264によって規制されることにより、支持アーム回動軸260の軸心を中心とした畝案内ローラー支持アーム257の回動範囲が規制される。
回動規制部264によって、畝案内ローラー支持アーム257の回動できる範囲を、支持アーム付勢スプリング261が死点越えしない範囲に規制している。
回動規制部264により、畝案内ローラー250が極端に移動することを規制でき、支持アーム付勢スプリング261を適正に作用させながら安定して畝の案内が行える。
又、案内ローラー支持ロッド254には、ローラー高さ調節ネジ256に螺合するネジ孔が長手方向に複数配列して設けられている。ローラー高さ調節ネジ256を螺合させるネジ孔の位置を変更することにより、畝案内ローラー250の高さを調節することができる。この構成により、容易に異なる高さの畝に対応することができる。
尚、回動規制部264が、本発明の規制具の一例にあたる。又、ローラー高さ調節ネジ256及びそれに螺合する案内ローラー支持ロッド254に設けられたネジ孔が、本発明の上下調節機構の一例にあたる。
尚、左側の畝案内ローラー支持アーム257と左側の前輪支持ロッド271、右側の畝案内ローラー支持アーム257と右側の前輪支持ロッド271を、それぞれロッドで連結する構成としてもよい。
畝案内ローラー支持アーム257と前輪支持ロッド271を連結することにより、畝Uに沿った畝案内ローラー250による案内に伴って前輪支持ロッド271に連結する前輪13の向きが変わるので、畝案内ローラー250の案内によって滑らかに機体の進行方向が変化する。
又、畝案内ローラー支持アーム257と前輪支持ロッド271を圧縮式のスプリングで連結する構成としてもよい。圧縮式のスプリングで連結することにより、ロッドで連結するよりも、前輪13の向きをより滑らかに変化させることができる。
又、前輪支持シャフト269と前輪支持ロッド271との連結部分を、前輪支持ロッド271が自在に回転できる構成で連結する構成としてもよい。
図7に、前輪支持ロッド271が自在に回転できる構成とした、前輪支持シャフト269と前輪支持ロッド271との連結部分の図を示す。
図7では、前輪支持ロッド271の前輪高さ調節用のピンを上下から挟み込む構成の支持ロッド固定ボス276を用いて、前輪支持ロッド271が前輪支持シャフト269を支持する構成としている。
この構成により、前輪支持ロッド271が回動自在に前輪支持シャフト269に支持されるので、畝案内ローラー250の案内に対応して、前輪13の向きが滑らかに変化できる。
又、上記では、畝案内機構160を走行車体1の前部に設ける構成としたが、側面視で、前輪13の中に畝案内ローラー250が配置される構成としてもよい。左右の前輪13の間に畝案内ローラー250を配置することで、障害物によって畝案内ローラー250が破損することを防止できる。
又、上記では、固定された畝案内ローラー回転軸251を中心に畝案内ローラー250が回転する構成としたが、畝案内ローラー250と畝案内ローラー回転軸251が一体で回転する構成とし、畝案内ローラー回転軸251自体が回転する構成としてもよい。又、上記では、畝案内ローラー支持アーム257が支持アーム回動軸260と一定で回転する構成としたが、支持アーム回動軸260が畝案内機構摺動取付部262に固定されており、畝案内ローラー支持アーム257の支持アーム回動軸260との連結部を、例えば支持アーム回動軸260を内挿する形状として、固定された支持アーム回動軸260を中心として、畝案内ローラー支持アーム257が回動する構成としてもよい。
次に、図1、図2及び図8を用いて、固定予備苗台300L、300R、及び可動予備苗台350L、350Rの構成を中心に説明する。
図8に、本実施の形態のたばこ苗移植機10に設けられた固定予備苗台及び可動予備苗台の平面図を示す。図8では、可動予備苗台を収納した状態を二点鎖線で示した。
固定予備苗台300Lと300Rは、第1連結部材301と第2連結部材302によって互いに並行配置状態で連結され(図8参照)、第1連結部材301側が、前部支持部材303を介して走行車体1の上面に固定されている。又、第2連結部材302の後方近傍において、左右一対の固定予備苗台300Lと300Rの互いに対向する側壁部が、それぞれ後部支持部材304を介して走行車体1の上面であって、前部支持部材303の取り付け位置より後方に固定されている。又、左右一対の固定予備苗台300L、300Rは、走行車体1の前後方向において後下がりに傾斜している。
又、図8に示す通り、走行車体1の上面の、後部支持部材304よりも後方であって、平面視で左右一対の固定予備苗台300Lと300Rの後端部側であって走行車体1の中央位置寄りの角部において、左右一対の円筒状可動支持部材310L、310Rが立設されている。そして、その円筒状可動支持部材310L、310Rの円筒状の孔部には、略L字状に曲げられた左右一対のパイプ状部材311L、311Rの短辺側が回動可能に挿入されており、それぞれの長辺側は、可動予備苗台350Lと350Rの底面側に取り付けられている。
又、図8に示す通り、パイプ状部材311L、311Rの長辺側は、可動予備苗台350L、350Rのほぼ対角線上の位置に固定されており、可動予備苗台350Lと350Rは、図8において実線で表した状態(即ち、使用状態)においては、走行車体1の前後方向において後下がりに傾斜させるべく、パイプ状部材311L、311Rの曲げ角度は、90度より小さい鋭角に設定されている。
これにより、左右一対の可動予備苗台350L、350Rは、使用時には、走行車体1の前後方向において後下がりに傾斜しており、又、不使用時には、左右一対の円筒状可動支持部材310L、310Rを回動中心として、それぞれ矢印B、矢印Cの方向(図8参照)に手動で回動させることにより、左右一対の固定予備苗台300L、300Rの下方に収納され、その収納状態において、走行車体1の左右方向において外側に向けて下り勾配に傾斜している。
以上の構成により、左右一対の固定予備苗台300L、300R、及び左右一対の可動予備苗台350L、350Rが、それぞれ走行車体1の前後方向において後下がりに傾斜しているので、作業者は、作業時において苗が見易いので苗を取りやすく、又、左右一対の可動予備苗台350L、350Rの位置が、左右一対の固定予備苗台300L、300Rの位置よりも低い位置に配置されているので、苗を取りやすい。又、左右一対の可動予備苗台350L、350Rが、左右一対の固定予備苗台300L、300Rの下方に重ねて収納出来て、平面視で後輪14の外側に大きくはみ出ることが無いので、不使用時においてコンパクトに収納できる。
ここで再び、図1、図2及び図8に戻り、施肥機の構成について説明する。
図1、図2及び図8に示す通り、左右一対の固定予備苗台300L、300Rの後方で、苗供給部31の前方で、且つ、使用時の位置にある左右一対の可動予備苗台350L、350Rで挟まれた位置に、左右一対の施肥機400L、400Rが設けられている。左右一対の施肥機400L、400Rには、それぞれ、圃場に供給する肥料を貯留する施肥ホッパー410L、410Rと、その下部に設けられ肥料を繰り出す肥料繰り出し部420L、420Rが設けられている。
上述した通り、施肥ホッパー410L、410Rを左右の位置に分けて配置する構成としたことにより、下記の効果を発揮するものである。
即ち、施肥ホッパーを一つにしたとき、その体積が大きくなるので作業者にとって前方視界の邪魔になるが、上記構成によれば、施肥ホッパー410L、410Rが左右に分離してそれぞれの間に前方を見通せる空間があるので前方視界の邪魔にならない。又、幅の広い施肥ホッパーは肥料が詰まりやすいが上記構成によれば肥料は詰まりにくい。又、肥料繰り出し部が一つしかない構成では、肥料の繰り出し時間が長くなり、点播が出来ないが、上記構成によれば、肥料繰り出し部420L、420Rが2つ設けられているので点播が出来る。又、上記構成により肥料を2箇所に播ける。
又、図1に示す通り、左右一対の施肥機400L、400Rの内、左側の施肥機400Lの下部に取り付けられた肥料繰り出し部420Lには、植付装置19の前側に肥料を吐出する前ホース430Lが配置されており、又、左右一対の施肥機400L、400Rの内、右側の施肥機400Rの下部に取り付けられた肥料繰り出し部420Rには、植付装置19の後側に肥料を吐出する後ホース430Rが配置されている。これらの前ホース430L及び後ホース430Rの開口先端部を保持するホース保持部431が走行車体1の下部に配置されている。
又、図1、図2に示す通り、走行車体1は、前部にエンジン11及び主伝動ケース12と、走行車輪としての左右一対の前輪13及び後輪14を備え、後部には、上述した通り、植付装置19、苗供給部31及び操縦ハンドル16を備え、更に、鎮圧輪15を備えている。
このたばこ苗移植機10は、走行車体1が圃場内の畝Uを跨ぐべく、前輪13及び後輪14が畝間を走行し、畝Uの上面の左右幅方向における中央位置に植付装置19により苗株を植え付けていく構成となっている。
又、図2に示す通り、主伝動ケース12の左右端には該主伝動ケース12を基準として回動可能な走行エクステンションケース40を左右それぞれ設け、左右の走行エクステンションケース40のそれぞれの端部に走行チェーンケース20を取り付けている。したがって、エンジン11から入力される主伝動ケース12内の動力を走行チェーンケース20内に伝達する構成となっている。
走行チェーンケース20の回動先端部の左右外側には、走行車輪である左右一対の後輪14をそれぞれ取り付け、この左右一対の後輪14の駆動により機体が走行する構成となっている。したがって、主伝動ケース12は、走行車輪としての後輪14に伝動する伝動装置となっている。
又、図2に示す通り、主伝動ケース12の後端には左右方向に延びる後フレーム21を固着して設け、後フレーム21の後端面の右端部には、機体の右寄りの位置で前後方向に延びる主フレーム22を設けている。主フレーム22の後端部には操縦ハンドル16を設け、この操縦ハンドル16が主フレーム22及び後フレーム21を介して主伝動ケース12に支持された構成となっている。後フレーム21の左右一方寄り(右寄り)の位置の上面には、植付伝動ケース26の前下端部を載せて該植付伝動ケース26を固着して設けている。
又、主伝動ケース12の後部で左右方向の中央には、油圧昇降シリンダ23を設けている。この油圧昇降シリンダ23は、主伝動ケース12に取り付けられた油圧切替バルブ部24(図1参照)に固着して設けられ、主伝動ケース12に取り付けられた油圧ポンプからの油路を油圧切替バルブ部24で切り替えることにより作動する。
尚、油圧昇降シリンダ23が、本発明の昇降装置の一例にあたり、油圧切替バルブ部24が、本発明の昇降切替部の一例にあたる。
又、油圧昇降シリンダ23のシリンダロッドの後端には左右に延びる横杆43を設け、この横杆43の左右端部にそれぞれロッドとなる左側後輪昇降ロッド44及び右側後輪昇降ロッド45を連結し、左側後輪昇降ロッド44及び右側後輪昇降ロッド45の他端をそれぞれの走行エクステンションケース40に取り付けられた上側アーム40aに枢着して、横杆43と走行エクステンションケース40とが連結された構成となっている。
したがって、油圧昇降シリンダ23の伸縮により横杆43、左側後輪昇降ロッド44及び右側後輪昇降ロッド45を介して主伝動ケース12の左右の出力軸回りに走行チェーンケース20を回動し、該走行チェーンケース20の回動により後輪14が上下して走行車体1が昇降する構成となっている。
又、左側後輪昇降ロッド44が伸縮するべく該左側後輪昇降ロッド44の中途部に油圧ポンプからの油圧により作動する左右傾斜用油圧シリンダ25を設けており、該左右傾斜用油圧シリンダ25の伸縮により右側の後輪14の上下位置を基準として左側の後輪14を上下させて、畝Uの谷部の凹凸に関係なく走行車体1を所望の左右傾斜姿勢に制御する構成となっている。
尚、主伝動ケース12の右側には振り子式の左右傾斜センサー42が設けられて、この左右傾斜センサー42の検出により油圧切替バルブ部24に備えられた左右傾斜用切替バルブを介して左右傾斜用油圧シリンダ25を作動させ、走行車体1を所望の左右傾斜姿勢に制御する構成となっている。
本実施の形態の植付装置19は、苗を1個ずつ圃場の畝に植え付けるべく、主伝動ケース12内からの動力が主伝動ケース12の後側に設けた植付伝動ケース26と、その植付伝動ケース26に取り付けられた植付装置駆動ケース27を介して伝達され作動する構成になっている。
植付装置19は、先端が尖った嘴状の植付具28と該植付具28を昇降させるべく作動する昇降リンク機構29とで構成される。植付具28の先端は、植付具28の昇降動作によって、図1に示す通り、前側で下降し後側で上昇するとともに、前後方向の幅が上部よりも下部の方が大きい形状の軌跡17を描いて図中の矢印方向に繰り返し作動する。
以上の構成のもとで、本実施の形態のたばこ苗移植機10を使用しようとする作業者は、左右一対の固定予備苗台300L、300Rの下方に収納されている左右一対の可動予備苗台350L、350Rを、円筒状可動支持部材310L、310Rを中心として回動して、図8に示した位置まで展開し固定ピン(図示省略)等で一時的に固定する。そして、それら予備苗台の上に、たばこ苗を載せて、移植作業の準備を行う。
そして、走行車体1の走行と共に歩行する作業者が、作業位置S(図2参照)において、可動予備苗台350L(350R)、固定予備苗台300L(300R)に予め準備された苗を一つずつ手で掴んで、機体の走行に合わせて矢印A方向(図2参照)に回転している供給カップ33に、それぞれ入れていく。
供給カップ33の開閉蓋が、所定位置Pで開くと、供給カップ33内の苗が下方の植付具28に供給される。植付具28は、図1に示す作動の軌跡17の下死点に来た時に土中に所定深さまで突入するとともに鳥の嘴の如く左右に開いて、内部に保持されていた苗を落下して植え付ける。
そして、その植え付け位置の前方と後方にそれぞれ配置された前ホース430Lと後ホース430Rから、左右一対の肥料繰り出し部420L、420Rにてそれぞれ計量された施肥料が所定のタイミングで播かれる。
次に、苗供給部31の構成、及び苗供給部31から植付具28への苗の供給動作について説明する。
図9(a)は、苗供給部31を下から見た底面図であり、図9(b)は、苗供給部31を上から見た一部透視上面図である。
図10は、苗供給部31の取り付け構造を説明する側断面図であり、供給回転台32の回転中心を通る断面を示している。
図2に示す通り、苗供給部31は、回転台駆動ケース38からの動力が回転力伝達部材77によって伝達され、作動する。
苗供給部31は、植付装置19の上方に設けられた、上端と下端に開口を有する供給カップ33を8つ貫通させてループ状に固定配置した回転可能な供給回転台32と、略C字型の供給カップ開閉ガイド35と、供給回転台32を反時計回りに回転させる回転駆動機構78等を備えている。
供給回転台32は、図10に示す通り、外周縁部が下方に曲げられた盆状部材であって、その円形平面部の外周寄りに等間隔に開けられた8つの孔に、両端が開放された略筒状の供給カップ33がそれぞれ貫通固定されている。又、供給回転台32の中央部には、回転駆動機構78からの回転力により供給回転台32を反時計回りに回転させる回転軸が固定配置されている。
回転駆動機構78は、機体に固定された支柱39に固定されるとともに、補助プレート79に固定されている。補助プレート79は、主フレーム22に固定された補助プレート支持板132を介して主フレーム22に固定されている。
そして、図9(a)に示す通り、各供給カップ33の底部には、上下方向に可動する開閉蓋34が、それぞれ1つずつ設けられている。
又、図9(a)に示す通り、各供給カップ33の下方には、供給回転台32の矢印A方向への回転により供給カップ33が、植付具28の上方の位置である所定位置Pに来たときにのみ供給カップ33の底部の開閉蓋34が開くべく、環状の一部を切り欠いた略C字型の供給カップ開閉ガイド35が、支柱39に固定されている。尚、供給カップ開閉ガイド35は、前記所定位置P以外の位置で、開閉蓋34を下側から接触して支えて開閉蓋34が開くことを規制する。
本実施の形態のたばこ苗移植機10は、その機体の走行と共に歩行する作業者が、可動予備苗台350L(350R)、固定予備苗台300L(300R)にある苗株を一つずつ手で掴んで、機体の走行に合わせて矢印A方向に回転している供給カップ33に、それぞれ入れていく。
供給カップ33の開閉蓋34が、前記所定位置Pで開くと、供給カップ33内の苗株が下方の植付具28に供給される。植付具28は、図1に示す作動の軌跡17の下死点に来た時に土中に所定深さまで突入するとともに鳥の嘴の如く左右に開いて、内部に保持されていた苗株を落下して植え付ける。
図11に、本実施の形態の植付伝動ケースの側面図を示す。図12に、本実施の形態の植付装置駆動ケースの側面図を示す。図13に、本実施の形態の植付伝動ケースの断面展開平面図を示す。図14に、本実施の形態の植付クラッチの拡大平面図を示す。図15及び図16に、それぞれ本実施の形態の植付クラッチの作用説明用拡大側面図を示す。
主伝動ケース12の後面から後側へ突出する動力取出軸を突出し、該動力取出軸を介して植付伝動ケース26内に動力が入力される。植付伝動ケース26内の伝動について説明すると、図13に示す通り、前記動力取出軸と同軸上で一体回転する前後方向の入力軸193を設け、該入力軸193から一対のベベルギヤ194a、194bを介して左右方向の第一軸195へ伝動される。尚、植付伝動ケース26の直前で入力軸193上には、所定以上の負荷トルクで動力を断つ安全クラッチ196を設けており、メカロック等により植付装置19に過大な作動負荷が生じたときに安全クラッチ196により動力を断って植付装置19及び植付伝動ケース26を含む植付伝動機構の破損を防止する。第一軸195に該第一軸195と一体回転する第一駆動スプロケット197を設け、第一駆動スプロケット197から伝動チェーンである第一無端体198を介して第一従動スプロケット199へ伝動し、該第一従動スプロケット199と一体回転する左右方向の第二軸200へ伝動する。第二軸200上で且つ第一従動スプロケット199の左右一方側(左側)には、3個の駆動側ギヤ201a、201b、201cを左右に配列し、該3個の駆動側ギヤ201a、201b、201cが第二軸200と一体回転する。尚、前記複数の駆動側ギヤ201a、201b、201cは、互いのピッチ円直径を異ならせており、互いに異なる歯数に設定されている。
複数の駆動側ギヤ201a、201b、201cのうちの何れかと噛み合う単一の従動側ギヤ202を左右方向の第三軸203上に設けており、該従動側ギヤ202を第三軸203上で左右にスライドさせることにより、従動側ギヤ202が3個の駆動側ギヤ201a、201b、201cのうちの何れかと噛み合う構成で切り替えられる構成となっている。尚、第三軸203は、その軸表面に形成したスプライン204を介して従動側ギヤ202と一体回転する構成となっている。
従動側ギヤ202のスライドは、従動側ギヤ202に連繋するスライドシフタである選択機構205の左右スライドにより行われる。選択機構205は、従動側ギヤ202に連係する連係部206と、該連係部206と一体で左右方向に延びるスライド軸207を備え、スライド軸207の端部が植付伝動ケース26の左右他方側(右側)の側面から突出しており、スライド軸207の端部に切替操作グリップ208を固着している。したがって、作業者が切替操作グリップ208を左右に操作することにより、選択機構205が左右に移動して連係部206の左右位置が切り替えられ、第三軸203への伝動比が切り替えられる。この選択機構205による伝動比の切替構成は、走行速度に対する植付装置19の作動速度を変更して植付株間を変更する株間変速装置となる。スライド軸207は、第三軸203の上方で第三軸203の前端よりも後側に配置され、連係部206を含めた選択機構205は、第三軸203の上側で第三軸203よりも後側に配置されている。
第三軸203の左右一方側(左側)の端部には、第三軸203と一体回転する第二駆動スプロケット209を設け、第二駆動スプロケット209から伝動チェーンである第二無端体210を介して第二従動スプロケット211へ伝動する。該第二従動スプロケット211は、左右方向の第四軸となる揺動カム駆動軸88上で遊転する構成であり、揺動カム駆動軸88上に設けた植付クラッチ212の駆動体としての駆動側爪体213と一体で回転する。植付クラッチ212は、伝動を断つときには所定の回転位相(定位置)で停止する定位置停止クラッチであり、植付装置19の植付具28を作動する軌跡17上の上死点を越えて若干下降した位置で停止させる。植付クラッチ212は、第二従動スプロケット211の左右他方側(右側)に配置され、駆動側爪体213と噛み合う従動体としての従動側爪体214が揺動カム駆動軸88と一体回転し且つ軸方向に左右移動する構成となっており、揺動カム駆動軸88への伝動の入切をする。尚、駆動側爪体213と従動側爪体214には、互いに噛み合う4つの係合爪213aと4つの214aが各々に設けられている。
すなわち、従動側爪体214は、図14に示す通り、揺動カム駆動軸88に軸方向に左右移動自在に装着されている。そして、従動側爪体214の中央部に設けた軸孔214´には、軸方向に貫通したキー溝214bを設け、該キー溝214bが揺動カム駆動軸88に設けたキー88aに嵌合する構成となっている。したがって、従動側爪体214は、揺動カム駆動軸88と一体回転すると共に、揺動カム駆動軸88上を軸方向に左右移動自在に装着された構成となっている。
そして、植付クラッチ212の従動側爪体214の外周面には、従動側爪体214を駆動側爪体213から離して植付クラッチ212を切り、植付装置19の植付具28を上記の定位置で停止させる操作カム215を形成している。該操作カム215は、後記の接当体としての操作ピン216aが接触して揺動カム駆動軸88が矢印イ方向に回転することにより、従動側爪体214が駆動側爪体213から離れる方向に移動し、両者の係り合いを断ち植付クラッチ212を切る傾斜面215aと、従動側爪体214が駆動側爪体213から離れて植付クラッチ212が切れた後に操作ピン216aが接触して植付装置19の植付具28を上記の定位置で停止させる接当面215bとによって構成されている。
そして、上記の従動側爪体214が駆動側爪体213から離れて植付クラッチ212が切れるタイミングは、昇降リンク機構29によって植付具28がその軌跡17の最上昇位置を少し過ぎた位置に来た時にしている。したがって、植付クラッチ212は、最上昇位置を少し過ぎた植付具28の下動しようとする慣性力により確実に切れる。そして、植付クラッチ212が確実に切れた後、植付具28の下動しようとする慣性力は、操作ピン216aが接触している傾斜面215aと従動側爪体214を付勢している下記の圧縮バネである植付クラッチスプリング217の付勢力により徐々に小さくなって、操作ピン216aが接当面215bに接触して植付具28を定位置で適正に停止させる。
又、図15に示す通り、上記の操作カム215に対向する操作ピン216aを先端に設けた植付クラッチ操作機構216が、操作カム215側(前側)に突出して操作ピン216aが操作カム215に接触することにより、上記の通り、植付クラッチ212の伝動を断つ構成となっている。逆に、図16に示す通り、植付クラッチ操作機構216が操作カム215とは反対側(後側)に戻って操作カム215から離れると、従動側爪体214を駆動側爪体213側(左側)へ押し付ける植付クラッチスプリング217により、駆動側爪体213と従動側爪体214が噛み合って植付クラッチ212が伝動状態となる。
この時、従動側爪体214には、操作カム215終端部の接当面215bを設けた部位に操作カム215部位よりも外周方向に突出した円弧状の凸部215cを設けている。そして、円弧状の凸部215cは、その接当面215bの従動側爪体214が植付クラッチスプリング217により付勢されて移動する方向(植付クラッチ212が入になる方向)の後側角部を斜めに削って接当体案内斜面215dを形成している。
したがって、植付クラッチ212の伝動を入にする際に、操作ピン216aを操作カム215から離れる方向に移動させて、操作ピン216aが接当面215bの円弧状の凸部215cの接当体案内斜面215dに移動した時に、操作ピン216aが接当体案内斜面215dを滑る構成で移動して従動側爪体214が植付クラッチスプリング217により付勢されて従動側爪体214が駆動側爪体213に強制的に噛み合う構成で作用し、植付クラッチ212は適確に且つ迅速に伝動入りの状態となる。よって、操作ピン216aが接当面215bから離れて昇降リンク機構29による植付具28の下降するタイミングと植付クラッチ212の伝動入りによる駆動タイミングとが殆ど同じになり、適正に植付具28は昇降リンク機構29にて駆動作動される。
又、従動側爪体214が駆動側爪体213に噛み合って植付クラッチ212が伝動入りになった状態では、操作ピン216aは円弧状の凸部215cの従動側爪体214と反対の側面215eに対向する位置にあり、操作ピン216aが従動側爪体214の回転を阻害することはない。
然も、円弧状の凸部215cは、昇降リンク機構29によって植付具28が下降し始めて、植付具28が畝U上面に突入して畝Uに苗を植付け終えるまでの間、操作ピン216aと対向する位置にある。したがって、植付具28が畝U上面に突入して畝Uに苗を植付ける時の植付け負荷によって揺動カム駆動軸88に駆動負荷が掛かっても、操作ピン216aが円弧状の凸部215cの側面215eに対向する位置にあるので、操作ピン216aが円弧状の凸部215cの側面215eに接触して、従動側爪体214が駆動側爪体213から離れることを阻止し、植付クラッチ212の伝動が切れることが防止でき、適切な苗の移植作業が行える。
尚、植付クラッチ操作機構216は、揺動カム駆動軸88の後方で揺動カム駆動軸88よりも後側に配置されている。そして、操縦ハンドル16の左右中間位置に機体後方に向けて設けられた植付クラッチレバー161を作業者が植付けクラッチ切り方向に操作すると、植付クラッチ操作機構216の操作ピン216aが操作カム215側(前側)に突出して操作ピン216aが操作カム215に接触することにより、上記の通り、植付クラッチ212の伝動を断つ。逆に、植付クラッチレバー161を作業者が植付クラッチ入り方向に操作すると、植付クラッチ操作機構216の操作ピン216aが操作カム215とは反対側(後側)に戻って操作カム215から離れ、植付クラッチスプリング217により駆動側爪体213と従動側爪体214が噛み合って植付クラッチ212が伝動状態となる。
揺動カム駆動軸88の左右一方側(左側)の端部は、植付伝動ケース26から突出しており、植付伝動ケース26の左右一方側(左側)の側面に固着された植付装置駆動ケース27内を貫通し、さらに植付装置駆動ケース27の左右一方側(左側)の側面から突出している。植付装置駆動ケース27内において、図12に示す通り、揺動カム駆動軸88と一体回転する第三駆動スプロケット218を設け、第三駆動スプロケット218から伝動チェーンである第三無端体107を介して第三従動スプロケット220へ伝動し、第三従動スプロケット220と後述するクランクアーム駆動軸89が一体回転する。尚、クランクアーム駆動軸89は、揺動カム駆動軸88と同じ高さで揺動カム駆動軸88の後方に配置されている。又、第三無端体107の上方には、第三無端体107に接触して第三無端体107に張力を与える板ばね221を設けている。
一方、揺動カム駆動軸88の左右他方側(右側)の端部には、供給部伝動用の一対のベベルギヤ221a、221bを設けており、供給部伝動用の一対のベベルギヤ221a、221bを介して植付伝動ケース26の後側に突出する供給部用動力取出軸222へ伝動する構成となっている。供給部用動力取出軸222からの伝動により、苗供給部31が駆動回転する構成である。
植付伝動ケース26内の伝動軸の配置構成について説明すると、図11に示す通り、第一軸195よりも第二軸200を後側且つ上側に配置し、第二軸200の後方(第二軸200と略同じ高さの位置)に第三軸203を配置し、第三軸203の上方(第三軸203と略同じ前後位置)に第四軸(揺動カム駆動軸)88を配置している。そして、植付伝動ケース26は、第二軸200と第四軸88の間で第三軸203の斜め前上側で且つ植付伝動ケース26の前側上面に凹部223を形成している。
そして、エンジン11及び主伝動ケース12の上方を覆う機体カバー224を設けており、該機体カバー224の後部224aを植付伝動ケース26の凹部223に突入させて配置している。機体カバー224には、植付伝動ケース26の左右一方側(左側)で植付伝動ケース26の凹部223よりも後側に延ばした延長部224bを形成し、該延長部224bを昇降リンク機構29の前部(後述する前揺動アーム80及び左後揺動アーム81)の上方に配置している。
次に、図17及び図18に基づいて、伝動を断つときに所定の回転位相(定位置)で停止する定位置停止クラッチである植付クラッチ212の他の例を説明する。
図17は、本実施の形態の他の例の植付クラッチの拡大平面図を示し、図18は、その植付クラッチの作用説明用要部拡大平面図を示す。
この実施例に示す植付クラッチ212は、前例と同様に第二従動スプロケット211の左右他方側(右側)に配置され、駆動側爪体213と噛み合う従動側爪体214が揺動カム駆動軸88と一体回転し且つ軸方向に左右移動する構成となっており、揺動カム駆動軸88への伝動の入切をする。尚、駆動側爪体213と従動側爪体214には、互いに噛み合う4つの係合爪213aと4つの係合爪214aが各々に設けられている。
すなわち、従動側爪体214は、揺動カム駆動軸88に軸方向に左右移動自在に装着されている。そして、従動側爪体214の中央部に設けた軸孔214’には、軸方向に貫通したキー溝214bを設け、該キー溝214bが揺動カム駆動軸88に設けたキー88aに嵌合する構成となっている。従って、従動側爪体214は、揺動カム駆動軸88と一体回転すると共に、揺動カム駆動軸88上を軸方向に左右移動自在に装着された構成となっている。
そして、植付クラッチ212の従動側爪体214の外周面には、従動側爪体214を駆動側爪体213から離して植付クラッチ212を切り、植付装置19の植付具28を上記の定位置で停止させる操作カム215を形成している。該操作カム215は、後記の操作ピン216aが接触して揺動カム駆動軸88が矢印イ方向に回転することにより、従動側爪体214が駆動側爪体213から離れる方向に移動し、両者の係り合いを断ち植付クラッチ212を切る傾斜面215aと、従動側爪体214が駆動側爪体213から離れて植付クラッチ212が切れた後に操作ピン216aが接触して植付装置19の植付具28を上記の定位置で停止させる接当面215bとによって構成されている。
そして、上記の従動側爪体214が駆動側爪体213から離れて植付クラッチ212が切れるタイミングは、昇降リンク機構29によって植付具28がその軌跡17の最上昇位置を少し過ぎた位置に来た時にしている。したがって、植付クラッチ212は、最上昇位置を少し過ぎた植付具28の下動しようとする慣性力により確実に切れる。そして、植付クラッチ212が確実に切れた後、植付具28の下動しようとする慣性力は、操作ピン216aが接触している傾斜面215aと従動側爪体214を付勢している下記の植付クラッチスプリング217の付勢力により徐々に小さくなって、操作ピン216aが接当面215bに接触して植付具28を定位置で適正に停止させる。
この実施例で前記実施例と異なる点は、従動側爪体214には、係合爪214aが設けられた側と左右反対側に回転固定用の係合凸爪214cを設け、植付伝動ケース26に該係合凸爪214cと係り合い従動側爪体214を所定位置で停止させる固定側係合凸爪26aを設けた構成としていることである。
すなわち、上記操作ピン216aが接当面215bに接触して植付具28を定位置で停止させる時に、従動側爪体214が矢印ロ方向に移動してその係合凸爪214cが固定側の植付伝動ケース26の固定側係合凸爪26aに係り合う構成としており、植付具28は設定位置で確実に且つ適正に停止する。
そして、植付クラッチレバー161を植付けクラッチ切り方向に操作すると、植付クラッチ操作機構216の操作ピン216aが操作カム215側(前側)に突出して操作ピン216aが操作カム215に接触することにより、上記の通り、植付クラッチ212の伝動を断つ。逆に、植付クラッチレバー161を植付けクラッチ入り方向に操作すると、植付クラッチ操作機構216の操作ピン216aが操作カム215とは反対側(後側)に戻って操作カム215から離れ、植付クラッチスプリング217により駆動側爪体213と従動側爪体214が噛み合って植付クラッチ212が伝動状態となる。
又、従動側爪体214の係合爪214aは、高く突出した高係合爪214a−1と低く突出した低係合爪214a−2の二段に形成されている。これにより、植付クラッチレバー161を植付けクラッチ入り方向に操作すると、植付クラッチ操作機構216の操作ピン216aが操作カム215とは反対側(後側)に戻って操作カム215から離れ、植付クラッチスプリング217に付勢されて従動側爪体214が駆動側爪体213側(矢印ハ方向)に移動するが、駆動側爪体213の係合爪213a間に従動側爪体214の高く突出した高係合爪214a−1が嵌り込むまでは、従動側爪体214の係合凸爪214cが固定側の植付伝動ケース26の固定側係合凸爪26aに係り合った状態を維持し植付具28は設定位置で停止した状態で維持される。従って、植付クラッチレバー161を植付けクラッチ入り方向に操作した時、植付クラッチ212が伝動状態になる前に植付具28が自重にて作動してしまう事態を回避できる。
そして、駆動側爪体213の係合爪213a間に従動側爪体214の高く突出した高係合爪214a−1が嵌り込むと、従動側爪体214の係合凸爪214cと固定側の植付伝動ケース26の固定側係合凸爪26aとの係り合いが外れて植付具28は可動状態となり、引き続き、駆動側爪体213の係合爪213a間に従動側爪体214の低く突出した低係合爪214a−2も嵌り込むと、駆動側爪体213の係合爪213aと従動側爪体214の係合爪214aが確実に噛み合って植付クラッチ212が伝動状態となる。
従って、駆動側爪体213の係合爪213a間に従動側爪体214の高く突出した高係合爪214a−1が嵌り込むと、従動側爪体214の係合凸爪214cと固定側の植付伝動ケース26の固定側係合凸爪26aとの係り合いが外れて植付具28は可動状態となり、その後、駆動側爪体213の係合爪213a間に従動側爪体214の低く突出した低係合爪214a−2も嵌り込むと、駆動側爪体213の係合爪213aと従動側爪体214の係合爪214aが確実に噛み合って植付クラッチ212が伝動状態となるので、従動側爪体214の係合凸爪214cと固定側の植付伝動ケース26の固定側係合凸爪26aとが係り合い固定状態で駆動側爪体213の係合爪213aと従動側爪体214の係合爪214aが噛み合って植付クラッチ212が伝動状態となることが防止できて、伝動機構が破損することを防止できる。
次に、株間変速装置の変速操作装置の他の例を説明する。
図19は、本実施の形態の他の例の株間変速及び副変速操作の作用を説明する植付伝動ケースの要部断面展開平面図を示す。
前記の例では、切替操作グリップ208を左右に操作することにより、選択機構205が左右に移動して連係部206の左右位置が切り替えられて従動側ギヤ202を第三軸203上で左右にスライドさせることにより、従動側ギヤ202が3個の駆動側ギヤ201a、201b、201cのうちの何れかと噛み合う構成で切り替えて株間変速操作を行う例を示したが、図19に示す例では、株間変速操作と主伝動ケース12の走行速と作業速を切り替える副変速操作が1つの操作レバー280で行える構成としている。
すなわち、操縦ハンドル16近くに設けた操作グリップ280aを後部に設け、前端部を主伝動ケース12の右側壁にボルトにて固定して設けたL字型支持片281の先端部に設けた貫通孔281aに貫通して回動自在に支持している。尚、該貫通孔281aは、操作レバー280が左右方向操作できるべく操作レバー280前端の直径よりも少し大きくしている。
そして、操作レバー280の前部でL字型支持片281の直ぐ後方位置には上方に向けて延設した副変速操作アーム282の基部を溶接固着し、該副変速操作アーム282の上端部を主伝動ケース12の右側壁から突出して設けた副変速操作レバー283に連結している。したがって、操縦ハンドル16の近くに居る作業者が操作レバー280の操作グリップ280aを握って回動操作すると、副変速操作アーム282の上部が矢印ニ−ホ方向に操作され、それに連携して副変速操作レバー283が押し引き操作され、操作レバー280の操作グリップ280aを水平にした時に副変速は走行速(高速)に変速され、操作レバー280の操作グリップ280aを上向きで垂直にした時に副変速は作業速(低速)に変速される構成としている。
又、操作レバー280の中途部には植付伝動ケース26側に向けて延設した株間変速アーム284の基部を溶接固着して設け、該株間変速アーム284の先端部に設けた円弧状長孔284aに上記連係部206を左右移動させるシフトロッド285を連結している。
尚、円弧状長孔284aは、操作レバー280の軸心を中心とした円弧となっており、該円弧状長孔284aにシフトロッド285内に固定のピン285aが挿入されている構成となっている。したがって、走行速と作業速を切り替える副変速操作を行うべく、操作レバー280の操作グリップ280aを握って回動操作しても、シフトロッド285は左右移動せず株間変速はされない。
株間変速を行うときには、操作レバー280の操作グリップ280aを握って操作レバー280を左右方向操作すると、シフトロッド285が左右移動して株間変速される。又、操作レバー280の上方位置で操作グリップ280aの前方位置には、株間変速操作位置が分るべく株間変速操作位置表示ラベル286が植付伝動ケース26の側壁に固定して設けられており、該株間変速操作位置表示ラベル286は機体後方の操縦ハンドル16側から見える構成で配置され、且つ、副変速を作業速(低速)に操作した時に変速操作レバー280の操作グリップ280aは上向き垂直状になっているので、作業者は株間変速操作位置表示ラベル286に対する操作グリップ280aの位置で容易に株間変速操作位置が認識できて操作性が良い。
次に、図1に示したたばこ苗移植機10の植付装置19の詳細な構成及び動作について説明する。
図20及び図21に、それぞれ植付装置19の、左前方から見た斜視図及び右後方から見た斜視図を示す。又、図22に、植付装置19の側面図を示す。
植付装置19は、図20〜図22に示す通り、上部に形成した開口から苗株を受けて左右に開閉可能な先端が尖ったカップ状の植付具28と、この植付具28を昇降駆動する、植付装置駆動ケース27に設けられた昇降リンク機構29とから構成される。
尚、植付具28は、先端が尖ったカップ状の下部が閉じた状態で内部に苗株を保持して、植付け軌跡17の最下端で左右に開いて畝内で苗株を植付ける一般的な構成である。供給回転台32から落下してくる苗株が確実に植付具28内に入るべく、植付具28上部には、苗ガイド108が取り付けられている。
本実施の形態の昇降リンク機構29は、植付装置駆動ケース27の左側において、上端が揺動カム駆動軸88に回動自在に枢支され、下端が下前軸91にて回動自在に連結支持板94に連結された前揺動アーム80と、植付装置駆動ケース27を基準として回動自在な上後軸90に上端が固定され、下端が下後軸93にて回動自在に連結支持板94に連結されて、前揺動アーム80と前後に平行に設けられた左後揺動アーム81を備える。又、上後軸90は、他端が植付装置駆動ケース27の右側へ突出しており、植付装置駆動ケース27の右側において、右後揺動アーム99の上端が固定されている。
植付装置駆動ケース27は、植付伝動ケース26から出力される動力を伝達し、左側に突出して設けた揺動カム駆動軸88、及び植付装置駆動ケース27を貫通して左右両側に突出して設けたクランクアーム駆動軸89を駆動する。
又、連結支持板94の上軸92と下後軸93に前端がそれぞれ回動自在に枢支され、後端がそれぞれ植付具28の回動上軸95と回動下軸96に回動自在に連結された平行な上アーム82及び左下アーム83を備える。植付装置駆動ケース27の右側には、右後揺動アーム99の下端部分に前端が回動自在に枢支され、後端が植付具28の右側に回動自在に連結された右下アーム97を備える。
右下アーム97は、左下アーム83と平行に配置され、左下アーム83及び右下アーム97に両端がそれぞれ回動自在に枢支された左右連結棒98によって、左下アーム83と連結されている。
植付装置駆動ケース27から右側に突出して設けたクランクアーム駆動軸89に基部が固着されて回転するクランクアーム85と、クランクアーム85の先端に設けた回動連結軸106に回動自在に一端が枢支され、他端が左右連結棒98の途中部分に連結された連結アーム86を備える。左右連結棒98は、連結アーム86を基準として回動自在に連結されている。
又、植付装置駆動ケース27から左側に突出して設けた揺動カム駆動軸88に固定されて回転する揺動駆動カム84を備え、揺動駆動カム84の周縁部に接触する構成で、左後揺動アーム81の上後軸90寄りの途中部分に回動自在に回動ローラー87が設けられている。
又、植付伝動ケース26に設けられた支持ピンと左後揺動アーム81の下端部との間に設けられて、前揺動アーム80及び左後揺動アーム81を機体前方に向けて付勢し、揺動駆動カム84と回動ローラー87を接触させる引張バネ167(図23(a)参照)を備えている。
又、植付具28の開閉動作に使用するカウンターアーム104が、上アーム82の一端が連結されている回動上軸95に、回動自在に軸支されている。
又、開閉アーム101が、上アーム82の他端が連結されている上軸92に、回動自在に軸支されており、開閉アーム101とカウンターアーム104が、連結ロッド103により連結されている。カウンターアーム104には、ピン105が立設しており、植付具28のホルダー部分に連結する開閉ロッド231に設けられた孔が遊嵌している。
又、揺動駆動カム84とともに揺動カム駆動軸88に固定されて回転する開閉駆動カム100が設けられており、開閉駆動カム100の周縁部に接触する構成で、開閉アーム101上に開閉用ローラー102が設けられている。揺動カム駆動軸88の回転にしたがって開閉駆動カム100が回転することにより、開閉用ローラー102を介して開閉アーム101に所定のタイミングで作用させる。
この構成により、本実施の形態の植付装置19は、植付動作時において、たばこ苗移植機10が停止しているときに、先端が軌跡17を描く構成で動作する。
次に、本実施の形態の植付装置19の動作について説明する。
図23(a)〜図23(d)は、植付動作中の各位置における植付装置19の側面図を示している。図23(a)は、上死点における側面図を示し、図23(c)は、下死点における側面図を示している。図23(b)は、上死点から下死点に向けて下降している際の側面図を示し、図23(d)は、下死点から上死点に向けて上昇している際の側面図を示している。
揺動カム駆動軸88が回転することにより、揺動カム駆動軸88に固定されている揺動駆動カム84は揺動カム駆動軸88とともに回動し、揺動駆動カム84と接触する回動ローラー87を介して左後揺動アーム81及び前揺動アーム80が前後に揺動する。このとき、上後軸90によって左後揺動アーム81と連結している右後揺動アーム99も、左後揺動アーム81とともに前後に揺動する。
一方、クランクアーム駆動軸89が回転することにより、クランクアーム駆動軸89に固定されているクランクアーム85がクランクアーム駆動軸89とともに回動し、連結アーム86及び左右連結棒98を介して左下アーム83及び右下アーム97が上下に揺動し、左下アーム83とともに上アーム82も上下に揺動する。
したがって、前揺動アーム80、左後揺動アーム81及び右後揺動アーム99と、上アーム82、左下アーム83及び右下アーム97は、いずれも平行リンク機構であるから、植付具28は垂直方向を向いた姿勢を維持してその下端が植付け軌跡17を描いて作動し、植付具28内に受け入れられた苗株を適正な姿勢で畝Uに植付けることができる。
尚、本実施の形態の植付装置19は、図22に示す通り、植付具28において、左下アーム83が連結する回動下軸96の位置を、上アーム82が連結する回動上軸95よりも前方に配置している。
回動下軸96を回動上軸95よりも前方に配置したことにより、植付具28が下降した際に、上アーム82と左下アーム83との間隔が狭まることを抑制できる。
この構成としたことにより、植付具28が下死点付近にあるとき、上アーム82と左下アーム83との間隔を広く維持できるので、植付状態においてガタつきがなく安定した植え付けが行なえる。
苗が植付具28に供給される位置、すなわち植付具28が作動する軌跡17の上死点付近にあるときの、揺動駆動カム84が回動ローラー87と接触している位置における揺動駆動カム84の径の変化は小さく為るべく、又、苗を植え付ける位置、すなわち植付具28が下死点付近にあるときの、揺動駆動カム84が回動ローラー87と接触している位置における揺動駆動カム84の径の変化は大きく為るべく、揺動駆動カム84の形状及び揺動駆動カム84が揺動カム駆動軸88に固定される向きが設定されている。
揺動駆動カム84の形状及び揺動カム駆動軸88に固定される向きをこの通りに構成することにより、植付具28の先端の移動速度を、苗を植え付けるときよりも、苗を供給するときを極めて遅くすることができる。
又、上死点及び下死点では、クランクアーム85と連結アーム86が、鉛直方向で直線状に重なる位置となり、かつ、前揺動アーム80、左後揺動アーム81及び右後揺動アーム99と平行になる構成としている。従って、苗が植付具28に供給されるとき、すなわち植付具28が上死点付近にあるときと、苗を植え付ける位置、すなわち植付具28が下死点付近にあるときの、クランクアーム85の回転による連結アーム86の上下方向の位置の変化は小さく為るべく、クランクアーム85の向きが設定されている。この構成により、植え付け動作時に、植付具28の先端によって、ループ状の軌跡17を描かせる構成で動作させ、上死点付近(苗が供給される位置)における植付具28の移動速度が、下死点(苗が植え付けられる位置)における移動速度よりも遅くなる構成としている。したがって、移植対象物を、より確実に植付具28に供給させることができる。
又、植付具28の先端が移植対象物を植え付ける位置に存在するときでは、クランクアーム85及び連結アーム86は、直線状に重なるので、クランクアーム85による上下動と、連結アーム86の傾きによる上下動が一致し、植付具28の動きを速くできる。又、植付具28の先端が移植対象物を植え付ける位置に存在するときでは、クランクアーム85が、前揺動アーム80、左後揺動アーム81及び右後揺動アーム99と互いに平行となるので、前揺動アーム80、左後揺動アーム81及び右後揺動アーム99の上下動が少なくなり、クランクアーム85及び連結アーム86による上下動で、植付具28をより速く移動させることができる。
さらに、植付具28の先端によって描かれる軌跡17が、植え付けるときの前後の幅が最大と為るべく、すなわち植付具28の上下動する幅の中心よりも下部で前後の幅が最大となる構成としている。植付具28の先端の上下動する幅の中心位置よりも下方の位置で、静軌跡17の前後幅が最大となるので、移植機走行時の動軌跡は、直線的に上下する軌跡となり、移植対象物をきれいに植え付けることができる。
又、植付装置19の上アーム82、左下アーム83及び右下アーム97からなる平行状のリンク機構を、1つのクランクアーム85により動作させている。一軸のクランクアーム85で駆動するべく、伝動系のガタによる植付不具合を抑制することができる。
又、上記昇降リンク機構29を、揺動駆動カム84によって前後移動させている。揺動駆動カム84を用いる構成なので、植付具28の先端が描く軌跡17の前後幅を自由に設定することができる。
又、揺動駆動カム84に接触する回動ローラー87を、左後揺動アーム81の長手方向の中央位置よりも上後軸90に近い位置、すなわち前揺動アーム80の支点である揺動カム駆動軸88に近い位置に配置しているので、揺動駆動カム84の支点との距離を短くでき、揺動駆動カム84を小さくできる。揺動駆動カム84を小さくできるので、植付装置19の小型化を図ることができる。
又、植付具28の先端が描く静軌跡となる軌跡17は、下死点付近で円形状となっているので、たばこ苗移植機10の走行を加味した動軌跡は、下死点付近では直線的に上下する軌跡となり、苗株等の移植対象物をきれいに植え付けることができる。さらに、植付具28の先端が描く軌跡17を、植え付け深さの範囲で円形状と為るべく、調整するのが望ましい。植付具28が土中に突入する範囲で円形状の静軌跡とすることにより、植穴を小さくすることができる。
又、植付具28の先端が描く軌跡17を、植え付け深さよりも上方では前後幅が小さくなる形状としたことにより、植付具28が上昇するときの前側への移動量を大きくでき、植付具28の先端が、植え付けた苗株等を引っ掛けない構成にできる。
又、引張バネ167により左後揺動アーム81へ斜め前上方への引き上げ力を与えているので、植付具28が植付位置へ向けて下降するときに、植付具28の自重により植付具28が急激に降下して軌跡17上での植付具28の作動速度が不適正となることを防止できる。又、引張バネ167による前記引き上げ力は、植付具28の自重に抗して下死点から植付具28が上昇することをアシストするので、植付具28を安定して動作させることができる。
又、クランクアーム85を、右側方から見た図21において反時計回りに回動させることにより、植付具28が作動するループ状の軌跡17を基準としてクランクアーム85が逆方向に回転することになるので、軌跡17の上死点付近における植付具28の移動速度を遅くさせ易く構成できる。上死点付近における植付具28の移動速度を遅くすることで、より確実に苗を植付具28へ供給させることができる。
下死点付近では、前揺動アーム80、左後揺動アーム81及び右後揺動アーム99が、前方から後方へ向けて動作するのに対応して、クランクアーム85の先端の回動連結軸106は、後方から前方へ向けて回動する。前揺動アーム80、左後揺動アーム81及び右後揺動アーム99が、クランクアーム85と対向して動作するので、植付具28の上下動の速度が速くなる構成にでき、植え付けの株間が変化しても機体の走行を加味した土中における植付具28先端の動軌跡の変化は小さい。
又、下死点付近において、クランクアーム85と連結アーム86が鉛直方向又は鉛直方向に近い方向で一直線上になるので、クランクアーム85による上下動と連結アーム86の傾きによる上下動が一致するので、植付具28の上昇速度を速くできる。
さらに、下死点付近において、前揺動アーム80、左後揺動アーム81及び右後揺動アーム99が、クランクアーム85及び連結アーム86と平行に為らせることで、前揺動アーム80、左後揺動アーム81及び右後揺動アーム99の上下動が少なくなり、クランクアーム85及び連結アーム86による上下動により、植付具28をより速く上昇させることができる。
図24は、植付装置駆動ケース27における各駆動軸の配置位置を説明する図であり、機体の左側方から見た図を示している。
図24に示す通り、本実施の形態の植付装置19では、揺動カム駆動軸88とクランクアーム駆動軸89が、略同じ高さの位置に配置されている。そして、植付装置駆動ケース27を左右に貫通している上後軸90は、揺動カム駆動軸88及びクランクアーム駆動軸89の中心位置同士を結ぶ直線よりも下方の位置に配置されている。
植付伝動ケース26から植付装置駆動ケース27へ伝達される駆動力は、揺動カム駆動軸88へ伝達される。そして、植付装置駆動ケース27内において、伝動チェーン107を介して、揺動カム駆動軸88の駆動力がクランクアーム駆動軸89へも伝達される。
伝動チェーン107は、植付装置駆動ケース27内において、上後軸90の軸周りを周回するが、上後軸90は、揺動カム駆動軸88及びクランクアーム駆動軸89の中心位置同士を結ぶ直線よりも下方の位置に配置されているので、伝動チェーン107が緩んでも上後軸90に当たることが無く、駆動力を安定してクランクアーム駆動軸89へ伝達できる。又、この通りに配置したことにより、揺動カム駆動軸88、クランクアーム駆動軸89及び上後軸90を、コンパクトに配置することができる。
次に、植付具28を開閉させる開閉機構とその動作について説明する。
植付具28の開閉動作に使用するカウンターアーム104を、上アーム82の一端(後端)に設けた回動上軸95に、回動自在に設けている。又、上アーム82の他端(前端)に設けた上軸92に、開閉アーム101を回動自在に設けており、開閉アーム101とカウンターアーム104を連結ロッド103により連結している。又、カウンターアーム104には、ピン105を設けている。
又、揺動駆動カム84とともに揺動カム駆動軸88に固定されて回転する開閉駆動カム100を設けており、開閉駆動カム100の周縁部に接触する開閉用ローラー102を、開閉アーム101に回動自在に設けている。揺動カム駆動軸88の回転に伴って開閉駆動カム100が回転することにより、開閉用ローラー102を介して開閉アーム101を作動させる。
植付具28の開閉動作については、カウンターアーム104が連結ロッド103を介して開閉アーム101と並行して動作し、開閉アーム101は、開閉用ローラー102を介して開閉駆動カム100によって動作する。よって、簡易な形状の開閉駆動カム100によって開閉タイミングと開閉量を高精度で設定できる。
図25は、機体の後方から見た植付具28の先端部が移動する軌跡を説明する図である。
植付具28に備えるホルダー291を、左ホルダー291L及び右ホルダー291Rで構成し、左ホルダー291Lを左側部材109Lに一体で固着し、右ホルダー291Rを右側部材109Rに一体で固着している。左ホルダー291Lは前後方向の左支点軸225回りに回動し、右ホルダー291Rは前後方向の右支点軸226回りに回動する構成であり、植付具28の左右方向中央位置に設けた連動用軸227により、左ホルダー291Lと右ホルダー291Rを連結している。又、左ホルダー291Lと一体で設けた回動操作アーム228に、上下方向に延びる開閉ロッド231を連結し、カウンターアーム104のピン105を開閉ロッド231に連結している。尚、左ホルダー291Lと右ホルダー291Rの間には開閉用スプリング230を設けており、該開閉用スプリング230のスプリング力により、左側部材109Lと右側部材109Rが互いに左右方向内側に押圧され、植付具28の下部が閉じる構成となっている。又、開閉用スプリング230のスプリング力により、開閉用ローラー102ひいては開閉アーム101が開閉駆動カム100側(上側)に押し付けられる。
揺動カム駆動軸88の回転と共に開閉駆動カム100が回転すると、開閉用ローラー102が開閉駆動カム100の周縁形状にしたがって移動し、開閉アーム101が揺動する。開閉アーム101の揺動に伴って、連結ロッド103が前後方向に作動し、カウンターアーム104が回動し、開閉ロッド231が上下方向に作動し、回動操作アーム228を介して左ホルダー291Lを回動するとともに連動用軸227を介して右ホルダー291Rを回動し、左ホルダー291Lと右ホルダー291Rを背反的に互いに左右対称位置へ回動させて植付具28の下部を開閉する。具体的には、連結ロッド103の前側への作動に伴って、開閉ロッド231を上側へ作動し、植付具28の下部を開く。尚、植付具28の上昇時、開閉駆動カム100の外周の局所的な突起部により、植付具28の下部を一時的に大きく開く構成としている。
図23(a)及び図23(b)に示す位置では、開閉用ローラー102には開閉駆動カム100が接触していないので、上死点及び上死点から下降する位置では、植付具28の下部が閉じた状態が維持されている。
図23(c)の下死点の位置において、開閉用ローラー102に開閉駆動カム100が接触し始め、下死点から上昇する図23(d)の位置では、開閉用ローラー102に開閉駆動カム100が接触し続ける状態となる。
したがって、植付具28は、下降して下死点に至るまでは、下部が閉じた状態が維持され、下死点の位置で下部が開き始め、下死点からは下部が開いた状態のまま上昇し始める。すなわち、軌跡17の上死点付近から下降する行程では、植付具28の下部が閉じた状態となり、下死点で植付具28の下部が開き、下死点から上昇する行程では植付具28の下部が開いた状態となる。
この通り、上アーム82が連結されている回動上軸95に軸支したカウンターアーム104が、上アーム82及び左下アーム83の昇降位置によることなく、連結ロッド103を介して開閉アーム101と並行動作し、この開閉アーム101は、開閉用ローラー102を介して開閉駆動カム100によって動作制御される。したがって、簡易な形状の開閉駆動カム100によって開閉タイミングと開閉量の高精度の制御が可能となる。
尚、開閉駆動カム100を、クランクアーム85を駆動するクランクアーム駆動軸89に固定し、クランクアーム85と一体に回転する構成としてもよい。
又、本実施の形態では、上アーム82の連結支点軸である上軸92に開閉アーム101を取り付けているので、簡単な構成となっている。尚、連結ロッド103が、昇降リンク機構29の昇降位置に拘らず、上アーム82及び左下アーム83と平行であるので、開閉駆動カム100により植付具28の開き量を高精度で設定できる。又、開閉アーム101及びカウンターアーム104を何れも上アーム82の回動支点軸に連結した構成としているので、連結ロッド103が上アーム82に沿って配置され、コンパクトな構成となっている。又、開閉駆動カム100を、揺動駆動カム84とともに前揺動アーム80の回動支点軸である揺動カム駆動軸88に取り付けているので、簡単な構造となっている。
又、連結ロッド103の、カウンターアーム104との連結部分にターンバックル等の調節ネジを設けて、その調節ネジにより、開閉アーム101とカウンターアーム104間の連結ロッド103の長さを調節できる構成としてもよい。この位置に調節ネジを設けることにより、植付具28の後方から、植付具28の開き量を調節することができる。
図22に示す通り、本実施の形態の植付装置19では、植付具28側の開閉用出力アーム(カウンターアーム104)の回動半径L1を、植付装置駆動ケース27側の開閉用入力アーム(開閉アーム101)の回動半径L2よりも小さくしている。
カウンターアーム104の回動半径L1を開閉アーム101の回動半径L2よりも小さくしたことで、開閉アーム101の上軸92回りの回動角度よりも大きな回動角度で、カウンターアーム104が回動上軸95回りに回動する。
したがって、従来よりも小さな開閉アーム101の回動角度で、植付具28を開閉させることができる。
又、植付具28を開閉させる開閉アーム101の回動変位量を小さくできるので、開閉用ローラー102を移動させる開閉駆動カム100の周囲形状を、半径の変化量が小さな形状にでき、開閉駆動カム100を小型にすることができる。
又、カウンターアーム104を短くできるので、苗ガイド108を低くして、供給回転台32の位置を低くすることができる。又、昇降リンク機構29のストロークを長くして植付具28の上下動の幅を大きくすることができる。
植付具28は、下部が左側部材109L及び右側部材109Rで構成されており、植付具28が下降した際に、左側部材109L及び右側部材109Rの各先端部が離間して開き、苗株を植え付ける。
図25では、左側部材109Lの先端部の軌跡を破線で示し、右側部材109Rの先端部の軌跡を二点差線で示している。
左側部材109L及び右側部材109Rは、植付具28の下死点付近で開いて苗株を植え付け、その後、開いたまま上昇し、供給回転台32から苗株が供給される前に閉じて、次の苗株が植付具28内に供給される。
植付装置19は、開閉駆動カム100の周囲形状を変化させることにより、植付具28の開閉タイミング及び開閉速度を自由に調節することができる。
左側部材109L及び右側部材109Rが開く際、それらの先端部には、左右方向への速度成分とともに上向きの速度成分が生じる。一方、植付具28全体には、昇降リンク機構29によって、下死点に至るまでは下向きの速度成分が生じている。
本実施の形態では、植付具28が開く際に、左側部材109L及び右側部材109Rの各先端部分に生じる上向きの速度成分と、植付具28の開閉の動きをしない部分、例えば回動上軸95や回動下軸96の取り付け部分における下向きの速度成分が等しく為るべく、すなわちそれらの速度成分が相殺されるべく、開閉駆動カム100の形状及び揺動カム駆動軸88への取り付け角度を設定している。
植付具28が開く際には、左側部材109L及び右側部材109Rの各先端部分における上下方向の速度成分はゼロとなるので、左側部材109L及び右側部材109Rの各先端部分は、圃場面を基準として水平に移動することになる。
したがって、左側部材109L及び右側部材109Rの各先端部分が開くことによって圃場面に平らな穴が形成され、苗株をきれいに植えつけることができる。
図26は、機体の後方から見た植付具28の右側部材109Rの先端部の軌跡を示したグラフである。
図26において、植付具28の開き量を最大にしたときの右側部材109Rの先端部の軌跡を実線で示し、開き量を最小にしたときの右側部材109Rの先端部の軌跡を破線で示している。
図示していない左側部材109Lの先端部は、右側部材109Rの先端部と左右対称の軌跡を描く構成で移動する。
図26に示す通り、植付具28が開く際には、右側部材109Rの先端部は上下方向の位置変化がほとんど無く移動するので、右側部材109Rの先端部及び左側部材109Lの先端部によって、圃場にほぼ平らな穴が形成される。
尚、植付具28が下降していき、左側部材109L及び右側部材109Rの各先端部分が圃場面に接触した以降は、植付具28の下方への移動により圃場からの抵抗を受け、左側部材109L及び右側部材109Rが開く向きへの移動が助勢される。この圃場から受ける助勢力を考慮して、左側部材109L及び右側部材109Rの各先端部分における上下方向の速度成分が理論的にゼロとなるタイミングよりも遅いタイミング及び速度で植付具28を開く構成とすることにより、実際に圃場に平らな穴を形成することができる。
つまり、圃場から受ける助勢力を考慮して、植付具28の先端部分が圃場に突入する際に、植付具28が開く際の左側部材109L及び右側部材109Rの各先端部分の上向きに生じる速度成分を、植付具28の開閉の動作をしない部分の下向きの速度成分よりも小さく設定することで、実際に圃場に平らな穴を形成することができる。
植付具28が開きながら左側部材109L及び右側部材109Rの各先端部分が圃場へ押し込まれるので、植付具28内から苗株が放れやすい。
図27は、植付動作時の、本実施の形態の植付具28の、上下動速度、前後動速度、及び上下動速度と前後動速度を合成した絶対速度を示したグラフである。
図27では、植付具28の、上下動速度を破線で示し、前後動速度を一点鎖線で示し、それらを合成した絶対速度を実線で示している。
図27より、植付具28の絶対速度は、下死点では速いが、上死点では非常に遅くなっていることがわかる。つまり、植付具28は、下死点付近では、比較的早く移動しているが、上死点では、ゆっくりと移動しており停止に近い状態になっている。
つまり、供給カップ33から苗株が供給される上死点付近では、植付具28の速度が非常に遅くなっているので、供給カップ33から確実に苗株を供給させることができる。
尚、上死点付近では、前後方向の前後動速度が10mm/s以下になる時間が0.21秒あり、供給カップ33から確実に苗株を供給できる時間であることを確認できた。これにより、従来の間欠植付機構が不要にできる。
図28(a)〜図28(c)は、植付動作時における、本実施の形態の植付具28の、たばこ苗移植機10が停止しているときの静軌跡、及びたばこ苗移植機10が走行しているときの動軌跡を示している。それぞれ、静軌跡を一点差線で示し、動軌跡を実線で示している。
図28(a)〜図28(c)に示す動軌跡は、たばこ苗移植機10の走行速度を変えて株間を変えたものであり、それぞれ、株間を40cm、50cm及び60cmとしたときを示している。
図28(a)〜図28(c)より、動軌跡は、株間50cmで、下死点から75mmでの軌跡のラップ代は4.9mmであり、又、株間40cm及び60cmでは、19.1mm及び20.2mmであり、問題なく植え付け可能であることを確認できた。
又、上死点では、X方向変位が10mm以下になる時間が0.21秒であり、供給カップ33から確実に苗株を供給できる停止時間であることを確認できた。
よって、植付具28の上死点での移動速度を小さく(停止時間を大きく)できるので、植付具28への伝動比を変更するだけで種々の株間で適正な動軌跡により植え付けることができる。
以上により、このたばこ苗移植機10は、エンジン11から主伝動ケース12を介して走行推進体へ伝動するとともに、該主伝動ケース12から植付伝動ケース26を介して植付装置19へ伝動する構成とし、該植付伝動ケース26を、該主伝動ケース12の後側に配置すると共に、前側上面に凹部223を形成して構成し、該エンジン11及び該主伝動ケース12の上方を覆う機体カバー224の後部224aを、該凹部223に突入させている。
よって、機体カバー224の後部224aを植付伝動ケース26の凹部223に突入させて後寄りに位置させることができるので、機体の前後長を短縮して機体をコンパクトに構成できると共に、機体カバー224により植付伝動ケース26の前下部を含めて機体の構造物を有効に覆うことができ、降雨等から機体の構造物を的確に遮ることができて、機体の耐久性が向上する。
又、植付装置19を、植付具28と、該植付具28を昇降させる昇降リンク機構29で構成し、昇降リンク機構29を植付伝動ケース26の左右一方側に配置し、機体カバー224には、植付伝動ケース26の前記左右一方側で植付伝動ケース26の凹部223よりも後側に延ばした延長部224bを形成し、該延長部224bを昇降リンク機構29の上方に配置している。
よって、機体カバー224の延長部224bにより、昇降リンク機構29を含めて機体の構造物を有効に覆うことができ、降雨等から昇降リンク機構29を含む機体の構造物を的確に遮ることができて、機体の耐久性が向上する。又、作動する昇降リンク機構29に作業者が触れることを防止でき、安全性が向上する。
又、植付伝動ケース26内には、左右方向の第一軸195と、該第一軸195から伝動される左右方向の第二軸200と、該第二軸200から伝動される左右方向の第三軸203と、該第三軸203から伝動される左右方向の第四軸88を設け、第一軸195よりも第二軸200を後側且つ上側に配置し、第二軸200の後方に第三軸203を配置し、第三軸203の上方に第四軸88を配置し、第二軸200と第四軸88の間で第三軸203の斜め前上側に、凹部223を形成している。
よって、植付装置19への伝動に適させるべく高位に第四軸88を配置しながら、植付伝動ケース26の前下部を機体カバー224の直下に位置させることができて、植付伝動ケース26の凹部223を機体カバー224の位置に合わせて合理的に形成でき、機体カバー224により植付伝動ケース26の前下部を含めて機体の構造物を有効に覆うことができる。
又、第一軸195から第一無端体198を介して第二軸200へ伝動し、第二軸200から互いに噛み合う駆動側ギヤ201及び従動側ギヤ202を介して第三軸203へ伝動し、第三軸203から第二無端体210を介して第四軸88へ伝動する構成とし、歯数を異ならせて駆動側ギヤ201を複数設け、複数の駆動側ギヤ201のうち伝動する駆動側ギヤ201を選択する選択機構を、第三軸203から後側に配置し、植付装置19への伝動を入切する植付クラッチ212を第四軸88上に設け、植付クラッチ212を操作する植付クラッチ操作機構216を、第四軸88から後側に配置している。
よって、選択機構205を、第三軸203から後側に配置するとともに、植付クラッチ操作機構216を第四軸88から後側に配置したので、選択機構205及び植付クラッチ操作機構216が機体カバー224よりも後側に離れて配置され、選択機構205及び植付クラッチ操作機構216を機体カバー224が邪魔にならずに配置でき、選択機構205及び植付クラッチ操作機構216のメンテナンスも容易になる。
又、植付装置19へ移植対象物を一個ずつ供給する苗供給部31を設け、第四軸88の植付クラッチ212及び第二無端体210よりも左右一方側から植付装置19へ伝動し、第四軸88の植付クラッチ212及び第二無端体210よりも左右他方側から苗供給部31へ伝動する構成としている。
よって、植付装置19と苗供給部31への伝動機構を、第四軸88上で植付クラッチ212及び第二無端体210の左右に振り分けて配置でき、伝動機構を合理的且つコンパクトに配置することができ、伝動機構の簡素化及び機体のコンパクト化を図ることができる。
次に、本実施の形態のたばこ苗移植機10における、圃場面を基準として機体の高さを一定に制御する機構の構成及び動作について説明する。
図29に、たばこ苗移植機10の機体の高さを制御する連繋機構部分の側面図を示す。たばこ苗移植機10は、畝U上面の高さをそれぞれ独立して検出する左側接地位置検出体36及び右側接地位置検出体37を備えているが、図29は、左側接地位置検出体36の図示を省略して、たばこ苗移植機10の左側方から右側接地位置検出体37を見た側面図を示している。
又、図30(a)に、天秤連結ステー51の側面図を示し、図30(b)に天秤連結ステー51の平面図を示す。図31(a)に、天秤50の正面図を示し、図31(b)に天秤50の平面図を示す。図32(a)に、油圧ロッド55の側面図を示し、図32(b)に、油圧ロッド55の平面図を示す。図33(a)に、右側接地位置検出体37の側面図を示し、図33(b)に、左側接地位置検出体36の側面図を示す。
又、図34に、機体高さ制御の連繋機構の各部の接続関係の説明に使用する平面図を示す。
図30(b)に示す通り、天秤連結ステー51は、直角に折り曲げ加工された円柱状の連結ステー丸軸部61の途中に、連結ステー丸軸部61の軸方向を基準として垂直な面と為るべく、板状の連結ステー板部60の一端部分に連結ステー丸軸部61が貫通されて溶接により固着されている。そして、連結ステー丸軸部61の折り曲げられた側の軸部と連結ステー板部60は、図30(a)に示す通り、側面視でV字形状と為るべく構成されている。又、連結ステー板部60のもう一方の端部に筒状の油圧ロッド連結部62が立設している。
連結ステー丸軸部61の連結ステー板部60が固着された側の軸部分は、その軸方向が機体の左右方向と為るべく、図29に示す右側接地体支持バー59の先端部分に回動自在に軸支され、又、その軸部分は、右側接地位置検出体37の回動軸となる。
図31(a)及び図31(b)に示す通り、天秤50は、長い円柱状の天秤ロッド部63と、短い円筒状の天秤ボス部64で構成される。天秤ロッド部63の長手方向の中央部分に、天秤ロッド部63の長手方向を基準として天秤ボス部64の円筒形状の高さ方向が直角の向きとなる構成で、天秤ロッド部63の外周面が溶接して固着されている。
右側接地位置検出体37には、図33(a)及び図34に示す通り、圃場面に接する湾曲した右側接地板70の、圃場面に接する面とは反対側の面の前方右側に右側天秤連結板71及び右側回動軸支板72が立設している。
右側天秤連結板71及び右側回動軸支板72には、右側回動軸孔174が形成されており、これらの2つの右側回動軸孔174に、天秤連結ステー51の連結ステー丸軸部61が通されて、連結ステー丸軸部61を中心に、右側接地板70が上下に回動する。
又、右側天秤連結板71の上部には、天秤50の天秤ロッド部63の一端部分が係り合う右側長溝孔173が形成されている。
左側接地位置検出体36には、図33(b)及び図34に示す通り、圃場面に接する湾曲した左側接地板65の、圃場面に接する面とは反対側の面の前方右側に左側天秤連結板66及び左側回動軸支板67が立設している。
左側天秤連結板66及び左側回動軸支板67には、左側回動軸孔169が形成されている。左側接地体支持バー54の先端部分に固定された、機体の左右方向に延びる接地体回動軸52が、これらの2つの左側回動軸孔169に通されて、接地体回動軸52を中心に、左側接地板65が上下に回動する。
又、左側天秤連結板66の上部には、天秤50の天秤ロッド部63の他端部分が係り合う左側長溝孔168が形成されている。
図32(a)及び図32(b)に示す通り、油圧ロッド55の一端には、油圧ロッド55の長手方向と直角の向きに連結ステー接続軸75が設けられており、他端には、回動ステー56と連結する回動ステー連結孔76が形成されている。
図34に示す通り、連結ステー接続軸75が油圧ロッド連結部62の筒状内に挿入されることにより、油圧ロッド55が天秤連結ステー51と回動可能に連結される。
尚、図34では、天秤50及び天秤50に係り合う連結ステー丸軸部61の軸部分の記載は省略している。
連結ステー丸軸部61の折れ曲がった軸部分、すなわち側面視で連結ステー板部60とV字形状をなす軸部分に、天秤50の天秤ボス部64が挿入され、連結ステー丸軸部61の軸方向に天秤50が摺動可能となっている。又、天秤50の天秤ロッド部63の両端部が、左側接地位置検出体36の左側長溝孔168及び右側接地位置検出体37の右側長溝孔173に係り合い、それぞれの端部がそれらの長溝孔168、173内を移動可能となっている。
機体の左右方向に延びる接地体回動軸52が、左側接地体支持バー54に固定されており、又、連結ステー丸軸部61の回動軸となる軸部分が、接地体回動軸52と同軸の位置に右側接地体支持バー59に回動自在に軸支されているので、左右方向の同軸を中心として、左側接地位置検出体36、右側接地位置検出体37及び天秤連結ステー51が回動する。
尚、左側接地位置検出体36及び右側接地位置検出体37が、本発明の左右の接地体の一例にあたる。又、接地体回動軸52及び連結ステー丸軸部61が、それぞれ本発明の接地体回動軸の一例にあたる。又、天秤連結ステー51が、本発明の連動アームの一例にあたる。
回動ステー56は、主フレーム22に設けられた回動ステー軸58を中心に自在に回動する構成で取り付けられている。油圧ロッド55は、一端に設けられた連結ステー接続軸75が天秤連結ステー51の油圧ロッド連結部62に連結し、他端に形成された回動ステー連結孔76によって回動ステー56の一端に連結している。
さらに、回動ステー56の他端が連結ロッド57に連結し、連結ロッド57の他端が、油圧切替バルブ部24に連結している。
連結ロッド57の上下動に対応して、油圧切替バルブ部24に備えられた昇降制御用切替バルブを介して油圧昇降シリンダ23が作動し、左右後輪14が昇降する。
尚、油圧ロッド55、回動ステー56及び連結ロッド57が、本発明の中間連結部の一例にあたる。
次に、この通りに構成された機体の高さを一定に制御する機構の動作について説明する。
苗株の植え付け作業の際に、畝U上面が機体に近づくと、畝U上面に沿って左側接地板65及び右側接地板70が押し上げられ、畝U上面が機体から遠ざかると、畝U上面に沿って左側接地板65及び右側接地板70が下がる。
ここでは、畝U上面が機体に近づいて、左側接地板65及び右側接地板70が押し上げられたときの動作について説明する。
図29において、左側接地板65及び右側接地板70が押し上げられると、左側接地位置検出体36及び右側接地位置検出体37は、左右方向に同軸の接地体回動軸52及び連結ステー丸軸部61を中心として反時計方向に回動する。
左側接地位置検出体36及び右側接地位置検出体37が反時計方向に回動すると、両端が左側長溝孔168及び右側長溝孔173に係り合っている天秤ロッド部63に機体前方への力が加わり、天秤50に機体前方への力が加わることにより、天秤ボス部64に貫通している連結ステー丸軸部61に機体前方への力が加わり、天秤連結ステー51が、左右方向に配置された連結ステー丸軸部61を中心として反時計方向に回動する。
天秤連結ステー51が反時計方向に回動すると、油圧ロッド55を機体前方に移動する力が加わり、油圧ロッド55の他端に連結された回動ステー56が、回動ステー軸58を中心として時計方向に回動する。回動ステー56が時計方向に回動すると、回動ステー56の他端に連結された連結ロッド57が上方に移動する。
連結ロッド57が上方に移動すると、連結ロッド57の他端に連結した油圧切替バルブ部24が、昇降制御用切替バルブを介して油圧昇降シリンダ23を作動させ、左右後輪14が下降する。
左右後輪14が下降することにより、畝U上面を基準として機体が上昇し、機体と畝U上面との距離を一定に保つことができる。
苗株の植え付け作業の際に、畝U上面が機体から遠ざかったときには、畝U上面に沿って左側接地板65及び右側接地板70が下がって、図29において左側接地位置検出体36及び右側接地位置検出体37が時計方向に回動し、畝U上面が機体に近づく上記の動作のときとは逆に動作する。つまり、このときは、連結ロッド57が下方に移動し、油圧切替バルブ部24が、昇降制御用切替バルブを介して油圧昇降シリンダ23を作動させ、左右後輪14を上昇させる。すなわち、このときには、畝U上面を基準として機体が下降して、機体と畝U上面との距離が一定に保たれる。
この通りに制御することにより、機体を基準として畝U上面が近づいたり遠ざかったりしたときでも、機体と畝U上面との距離が一定に保たれるので、苗株の植え付けが深過ぎたり浅過ぎたりしない構成にできる。
尚、左側接地体支持バー54及び右側接地体支持バー59は、機体に固定され左右方向に配置されたフレーム支持軸73に取り付けられており、植付深さロッド53と一体となってフレーム支持軸73を中心に回動可能になっている。植付深さロッド53を前後に回動させることにより、左側接地体支持バー54及び右側接地体支持バー59も一体となって回動し、左側接地体支持バー54及び右側接地体支持バー59の先端部の上下位置を変更できる。そして、左側接地体支持バー54及び右側接地体支持バー59の回動位置に対応して、左側接地体支持バー54及び右側接地体支持バー59の先端部に固定された接地体回動軸52及び軸支された連結ステー丸軸部61の上下位置が変化する。
尚、植付深さロッド53が、本発明の植付深さ調節アームの一例にあたる。又、フレーム支持軸73が、本発明の、上動ストッパーを兼用している、深さ調節アームの回動中心となる軸の一例にあたる。
したがって、植付深さロッド53の回動位置を前後に調節することにより、左側接地位置検出体36及び右側接地位置検出体37の回動中心軸の上下位置を変更できるので、植え付け対象物の植え付け深さに対応して、機体と畝U上面との間の一定とする距離を調節することができる。
又、図29及び図33(a)に示す通り、右側天秤連結板71の後方上部には、3つの荷重規定孔74が縦に並んで形成されており、後端がフレーム支持軸73に固定された右側引張スプリング69の前端が、いずれかの荷重規定孔74に係止されている。
右側引張スプリング69により、図29において右側接地位置検出体37を時計回りに回動する付勢力が加わる。右側引張スプリング69の前端を係止する荷重規定孔74の位置を変更することにより、右側接地位置検出体37に加わる付勢力が変化する。つまり、右側引張スプリング69の前端を係止する荷重規定孔74の位置に対応して、右側接地位置検出体37の圃場への接地荷重を調節することができる。そして、右側接地位置検出体37の接地荷重の調節に対応して、昇降制御の制御感度が変化する。
左側接地位置検出体36についても同様に、左側天秤連結板66の後方上部に、3つの荷重規定孔74が縦に並んで形成されており、後端がフレーム支持軸73に固定された左側引張スプリング68の前端が、いずれかの荷重規定孔74に係止されており、左側接地位置検出体36の圃場への接地荷重を調節できる構成となっている。
次に、圃場が荒れて土塊がある等で、左側接地位置検出体36及び右側接地位置検出体37の一方のみが、機体から畝U上面までの距離の変化を検知したときの動作について説明する。
ここでは、その一例として、左側接地板65側の機体に対する畝U上面の位置は変化せず、右側接地板70側の畝U上に土塊があったときの動作について説明する。
右側接地板70が接している畝Uの右側に土塊があると、その土塊に沿って右側接地板70が押し上げられ、図29において、右側接地位置検出体37のみが、左右方向に配置された連結ステー丸軸部61を中心として反時計方向に回動する。
右側接地位置検出体37が反時計方向に回動すると、右側接地位置検出体37の右側長溝孔173に係り合っている天秤ロッド部63の一端部分に機体前方への力が加わり、天秤50に機体前方への力が加わる。このとき、左側接地位置検出体36は回動しないので、左側接地位置検出体36の左側長溝孔168に係り合っている天秤ロッド部63の他端側には前方へ移動させる力が加わらない。天秤50の天秤ボス部64は、天秤ロッド部63の両端の中央位置に固着されているので、天秤ボス部64は、天秤ロッド部63の右側の一端部分の移動距離の半分の距離を移動する。
したがって、天秤ボス部64に貫通している連結ステー丸軸部61には、天秤ロッド部63の右側の一端部分の移動距離の半分の距離に対応した機体前方への力が加わる。そして、その機体前方への力に対応して、天秤連結ステー51が、左右方向に配置された連結ステー丸軸部61を中心として反時計方向に回動する。
天秤連結ステー51が反時計方向に回動すると、油圧ロッド55を機体前方に移動する力が加わり、油圧ロッド55の他端に連結された回動ステー56が、回動ステー軸58を中心として時計方向に回動する。回動ステー56が時計方向に回動すると、回動ステー56の他端に連結された連結ロッド57が上方に移動する。このときの連結ロッド57の上方への移動量は、天秤ロッド部63の右側の一端部分の移動距離の半分の距離に対応した移動量となる。
連結ロッド57の上方への移動量に対応して、連結ロッド57の他端に連結した油圧切替バルブ部24が、昇降制御用切替バルブを介して油圧昇降シリンダ23を作動させ、左右後輪14を下降させることにより、畝U上面を基準として機体が上昇する。
このとき、畝U上面を基準として機体が上昇する移動量は、左側接地位置検出体36で検知された上下方向の畝Uに近づいた変化量の半分となる。
この通り、本実施の形態の機体の高さを一定に制御する連繋機構では、左側接地位置検出体36及び右側接地位置検出体37のそれぞれで検出された上下動の変化量を平均化した変化量分に対応して、機体が昇降するべく制御される。左右に配置した2つの左側接地位置検出体36及び右側接地位置検出体37による検出を平均化して圃場面を検出するので、畝U上に土塊があっても機体が大きく上下に変動することなく安定した昇降制御が行え、昇降制御の適正化が図れる。
又、本実施の形態の機体の高さを一定に制御する連繋機構は、図29に示す通り、天秤50を、左側接地位置検出体36及び左側接地位置検出体37と、それらの接地体回動軸52、61よりも上の位置の左側長溝孔168及び右側長溝孔173で連結し、天秤50の位置が、左側接地位置検出体36及び左側接地位置検出体37の上下動の位置に対応して変化する構成としている。そして、両端が左側接地位置検出体36及び左側接地位置検出体37に連結する天秤ロッド部63の中央位置にある天秤ボス部64で天秤連結ステー51の連結ステー丸軸部61に連結し、回動軸52、61よりも上の位置で、天秤連結ステー51が油圧ロッド55に連結する構成としているので、連繋機構全体として小型の構成となっている。
又、図29に示す通り、側面視において、左側接地位置検出体36及び左側接地位置検出体37に連結する天秤連結ステー51の位置は、油圧ロッド55に連結するV字形状の一端である油圧ロッド連結部62と、天秤ボス部64に連結する連結ステー丸軸部61の軸部分との間に配置している。
尚、本実施の形態では、振り子式の左右傾斜センサー42を設けて、この左右傾斜センサー42の検出により左右傾斜用油圧シリンダ25を作動させ走行機体を左右水平に維持する構成における動作について説明したが、これに限らず例えば、左右傾斜センサー42を備えずに、左右傾斜用油圧シリンダ25を作業者自身が手動でコントロールするマニュアル式のローリング調節レバーを備える構成としてもよい。
次に、図1に示したたばこ苗移植機10の押さえ具上下動機構の詳細な構成及び動作について説明する。
たばこ苗移植機10は、圃場に敷かれているマルチフィルムが浮き上がらなくするべく押さえる押さえ具110を備えている。
図35に、本実施の形態の押さえ具上下動機構部分の側面図を示す。又、図36(a)に、押さえ具110の平面図を示し、図36(b)に、押さえ具110と左右の接地位置検出体36、37との位置関係を説明する平面図を示す。図35、図36(a)及び図36(b)は、押さえ具上下動機構に関連する部分のみを示し、それ以外の部分の図示は省略している。図35では、機体の側面側から見た位置関係をわかり易く説明するべく、植付深さロッド53の部分を破線で示している。
本実施の形態の押さえ具110は、植付具28の上下動に同期して上下動する。押さえ具110は、植付具28によって苗株を圃場に植え付ける際に下降して、苗株が植え付けられるときにマルチフィルムを畝側に押さえ付ける。
押さえ具110は、2本の棒状の押さえ部材119と、それらの押さえ部材119の前端を共通に固定する押さえ具支持アーム111を備える。押さえ具支持アーム111は、リフトロッド連結部118で、押さえ具リフトロッド112の下端部に連結している。
尚、押さえ具支持アーム111が、本発明の上下回動アームの一例にあたる。
後端に2本の押さえ部材119が固定された押さえ具支持アーム111は、平面視で左側接地位置検出体36と右側接地位置検出体37の間に配置され、押さえ部材119が上下に可動するべく、前端が機体フレームに回動自在に取り付けられている。そして、棒状の押さえ具支持アーム111の後端に固定支持された2本の押さえ部材119は、左側接地位置検出体36及び右側接地位置検出体37の後方に配置されている。
又、2本の押さえ部材119は、図36(b)に示す通り、平面視で植付具28の左右に配置されており、それらの後端は、植付具28側、すなわち内側に向いている。
又、2本の押さえ部材119は、図35に示す通り、それらの後端はR形状で上方を向いている。
この構成により、押さえ部材119が圃場に敷かれたマルチフィルムを押さえる際に、押さえ部材119の先端がマルチフィルムに突き刺さることを防止でき、マルチフィルムを破りにくくできる。
又、押さえ部材119を樹脂でコーティングすることにより、さらにマルチフィルムを破りにくくすることができる。
押さえ具支持アーム111は、押さえ具支持アーム111の途中部分に設けられているリフトロッド連結部118で、上方に向けて設けた押さえ具リフトロッド112の基部が回動自在に連結されている。
押さえ具リフトロッド112は、その上方に押さえ具リフトピン120が立設しており、押さえ具リフトピン120が、押さえ具リフトアーム113の先端部の上面部分に係り合っている。押さえ具リフトアーム113の他端は、植付装置駆動ケース27の側面に突出した押さえ具リフトアーム支持軸114に回動自在に枢着されている。
又、植付装置駆動ケース27から左側に突出したクランクアーム駆動軸89に固定されて回転する押さえ具駆動カム115を備えている。押さえ具リフトアーム113のアームの途中部分に回動自在に設けられている押さえ具回動ローラー116が押さえ具駆動カム115の周縁部に接触する構成で配置されており、押さえ具リフトピン120によって押さえ具リフトアーム113に係り合っている押さえ具リフトロッド112は、押さえ具回動ローラー116が押さえ具駆動カム115に接触する位置に対応して上方に引き上げられる。
押さえ具駆動カム115は、図20に示す通り、左下アーム83と右下アーム97の間に配置されている。押さえ具駆動カム115を、左下アーム83と右下アーム97の間に配置することで、押さえ具上下動機構の構成を小型にすることができる。
植付装置駆動ケース27に、押さえ具リフトロッド112を通す丸孔が設けられたストッパー117が固定されている。
又、押さえ具リフトロッド112の上部には、押さえ部材119の最下位置を規定する下動ストッパーピン121が取り付けられている。下動ストッパーピン121がストッパー117の上面に接触することにより、その位置よりも押さえ具リフトロッド112が下降しなくするべく規制され、そのときの押さえ部材119の位置が、上下動する押さえ部材119の最下位置となる。これにより、押さえ部材119が下がり過ぎて圃場に敷かれたマルチフィルムを破ってしまうことを防止することができる。
押さえ具リフトロッド112の、下動ストッパーピン121を取り付ける位置を変更することにより、押さえ部材119の上下動の下限の位置を調節することができる。
又、取り付け位置を変更できる下動ストッパーピン121をストッパー117の上面に設けたことにより、押さえ部材119の下限位置の調節の際に、無理な作業姿勢を強いられることなく、押さえ具リフトロッド112の上端側の高さ位置で容易に操作することができる。
尚、押さえ具リフトロッド112及び下動ストッパーピン121を合わせた構成が、本発明の下限位置調節部材の一例にあたる。
又、植付深さロッド53によって、左側接地位置検出体36及び右側接地位置検出体37の回動中心軸である連結ステー丸軸部61の上下位置を変更するが、図35及び図36(b)に示す通り、押さえ具支持アーム111を、この植付深さロッド53の回動支点であるフレーム支持軸73の下側に配置している。
押さえ部材119が、畝上の硬い土塊などに当たったときには、押さえ部材119が上方へ押し上げられる。その際、押さえ具支持アーム111が押し上げられるが、押さえ具支持アーム111がフレーム支持軸73に接触することにより、押さえ具110の上方への移動が、その位置で規制される。したがって、押さえ具支持アーム111がフレーム支持軸73に接触する位置が、押さえ部材119が移動できる上限の位置となり、押さえ部材119の上方への移動が規制される。すなわち、フレーム支持軸73が、押さえ部材119の上方への移動を規制するストッパーの機能を兼ねている。
押さえ部材119の上方への移動が規制されることにより、押さえ具110が極端に上方へ移動することを防止し、安定して圃場に敷かれたマルチフィルムを押さえることができる。
次に、この通りに構成された押さえ具上下動機構の動作について説明する。
クランクアーム駆動軸89の回転とともに、押さえ具駆動カム115が回転し、押さえ具駆動カム115の周縁部の形状の変化に対応して、押さえ具リフトアーム113が押さえ具リフトアーム支持軸114を中心として回動する。
押さえ具リフトアーム113の回動に伴い、押さえ具リフトアーム113の先端に係り合う押さえ具リフトロッド112が上下動する。そして、押さえ具リフトロッド112の上下動に対応して、押さえ具支持アーム111を介して押さえ部材119が上下動する。
押さえ具駆動カム115は、植付具28を昇降させる昇降リンク機構29の上下動を制御するクランクアーム85を駆動するクランクアーム駆動軸89とともに回転するので、押さえ具110は、植付具28の昇降動作に同期して上下動する。
植付具28の昇降動作に対する押さえ具110の上下動のタイミングは、押さえ具駆動カム115の周囲形状により自由に設定することができる。
植付具28が上昇位置にあるとき、すなわち苗株が供給カップ33から植付具28へ供給されるときは、押さえ具110も上方へ持ち上げる構成とし、植付具28が下降して植え付け位置にあるときは、押さえ具110を圃場面に敷かれたマルチフィルムを押さえる位置まで下降する位置と為らせる。
この通り、植付具28を上下動させる駆動軸であるクランクアーム駆動軸89によって押さえ具上下動機構を作動させる構成としたので、植付具28と押さえ具110が同じ駆動軸で駆動されて両者に駆動タイミングの誤差が生じることが少なくなり、苗株を植え付ける適切なタイミングでマルチフィルムを畝側に押さえ付けることができる。
尚、図36(a)及び図36(b)に示す2本の押さえ部材119の押さえ具支持アーム113への取り付け角度を調節可能とし、植付具28の開き量に対応して2本の押さえ部材119がなす角度を変更できる構成としてもよい。
図37は、本実施の形態におけるたばこ苗移植機10の一変形例のローリング調節レバーの説明に使用する概略平面図である。
又、図38(a)は、ローリング調節レバー部分の概略平面図を示し、図38(b)は、左右傾斜用切替バルブ部分の概略平面図を示している。
図37に示すたばこ苗移植機10では、ローリング調節レバー47を、操縦ハンドル16を持ったときに左手で容易に操作できる操縦ハンドル16の部分に設けている。
ローリング調節レバー47と左右傾斜用切替バルブ46は、傾斜用調節ケーブル48を介して接続される。尚、図37では、傾斜用調節ケーブル48の図示を省略している。
ローリング調節レバー47は、手で操作するのに使用する操作レバー部127と、操作レバー部127の途中から直角方向に延びる構成で形成された調節アーム部128により構成される。操縦ハンドル16に設けられたローリングレバー支軸126に、操作レバー部127の調節アーム部128に連結する部分が回動自在に軸支されている。
操作レバー部127の手で操作する側とは反対側の端部は、一端が操縦ハンドル16に固定された中立戻しスプリング125に接続されており、中立戻しスプリング125により引っ張られる構成となっている。操作レバー部127を手で操作した後、操作レバー部127から手を離すと、ローリング調節レバー47は、中立戻しスプリング125の付勢力により、傾斜操作をしない中立の位置に戻る。
調節アーム部128の先端には、傾斜用調節ケーブル48の一端が連結されている。
ローリングレバー支軸126を中心にして操作レバー部127を手で回動させることにより、調節アーム部128の先端も回動し、それに対応して、傾斜用調節ケーブル48が長手方向に移動する。そして、その傾斜用調節ケーブル48の長手方向の移動量が、傾斜用調節ケーブル48の他端側へ伝達される。
尚、ローリング調節レバー47は、中立状態のときに、調節アーム部128に連結する傾斜用調節ケーブル48の一端部分の向きが、操作レバー部127の長手方向の向きと平行になる構成で配置されている。この通りに配置することにより、傾斜用調節ケーブル48のブレを抑制できる。又、調節アーム部128が操作レバー部127を基準として直角に配置されているので、この通りに配置することにより、ローリング調節レバー47をコンパクトに収めることができる。
傾斜用調節ケーブル48の他端は、図38(b)に示す通り、左右傾斜用切替バルブ46に一端が連結した傾斜バルブ連結バー130の他端に連結されている。
傾斜用調節ケーブル48の他端部分には、内部を傾斜用調節ケーブル48が通る構成で配置されたローリング用押しスプリング129が設けられている。ローリング用押しスプリング129の一端は、機体に固定されたスプリング固定部131に固定されており、傾斜用調節ケーブル48の傾斜バルブ連結バー130との連結部分を、スプリング固定部131を基準として常に引き離す方向に付勢している。
次に、ローリング調節レバー47の操作によるローリング動作について説明する。
図38(a)において、操作レバー部127を反時計方向に回動させると、調節アーム部128の先端も反時計方向に回動し、傾斜用調節ケーブル48は、ローリング調節レバー47側に引っ張られる。このときは、中立戻しスプリング125の付勢力及びローリング用押しスプリング129の各付勢力に抗して操作レバー部127が操作されることになる。
傾斜用調節ケーブル48がローリング調節レバー47側へ引っ張られると、傾斜用調節ケーブル48の他端は、図38(b)において紙面に向かって右側に移動する。傾斜バルブ連結バー130の、傾斜用調節ケーブル48と連結している端部が右に移動するので、左右傾斜用切替バルブ46は反時計方向に回動し、その左右傾斜用切替バルブ46の回動に対応して左右傾斜用油圧シリンダ25が作動し、例えば機体が右側に傾く。
図38(a)において、操作レバー部127を時計方向に回動させたときには、調節アーム部128の先端も時計方向に回動し、傾斜用調節ケーブル48は、ローリング調節レバー47側で緩む。このとき、中立戻しスプリング125の付勢力に抗して操作しているので中立戻しスプリング125による付勢力は作用しないが、ローリング用押しスプリング129の付勢力によって、ローリング調節レバー47は、左右傾斜用切替バルブ46側へ引っ張られる。
傾斜用調節ケーブル48が左右傾斜用切替バルブ46側へ引っ張られると、傾斜用調節ケーブル48の他端は、図38(b)において紙面に向かって左側に移動する。傾斜バルブ連結バー130の、傾斜用調節ケーブル48と連結している端部が左に移動するので、左右傾斜用切替バルブ46は時計方向に回動し、その左右傾斜用切替バルブ46の回動に対応して左右傾斜用油圧シリンダ25が作動し、例えば機体が左側に傾く。
尚、本実施の形態では、中立戻しスプリング125として、ローリング用押しスプリング129よりも付勢力が強いものを使用している。
これにより、左右傾斜用切替バルブ46をスムーズに操作することができ、かつ、操作レバー部127から手を離したときに中立位置に素早く戻る。中立戻しスプリング125及びローリング用押しスプリング129として付勢力が同等のものを使用すると、左右傾斜用切替バルブ46の操作にガタつきが生じ易くなってしまう。
この通り、マニュアル式のローリング調節レバー47を備えたことにより、走行機体を例えば、作業位置側である左側に傾斜させることができるので、可動予備苗台350L(350R)、固定予備苗台300L(300R)に載せられた苗株が常に作業者側に集まって来るので、作業者が、苗株を供給カップ33に補給する作業がし易くなる。
尚、上記では、助勢スプリングとして、傾斜用調節ケーブル48を左右傾斜用切替バルブ46へ引っ張るべくローリング用押しスプリング129を用いたが、傾斜用調節ケーブル48と傾斜バルブ連結バー130との連結部分を前方から引っ張る引張スプリングを用いてもよい。
又、本実施の形態のたばこ苗移植機10に、接地スタンドを備えさせてもよい。
図39(a)は、跳ね上げ式の接地スタンド142を備えたときの、接地スタンド142の取り付け部分の側面図である。接地時の接地スタンド142を実線で示し、収納時の接地スタンド142を二点差線で示している。図39(b)は、接地スタンド142の取り付け部分の平面図である。
図40(a)は、接地スタンド142の機体の左から見た側面図を示し、図40(b)は、機体の前方から見た正面図を示す。
接地スタンド142は、左スタンドバー147、右スタンドバー148、接地スタンドバー149及びスタンド被係止軸146により構成される。
平行に配置された左スタンドバー147及び右スタンドバー148の端部に、左スタンドバー147及び右スタンドバー148を基準として直角の向きに接地スタンドバー149が固定されている。接地スタンドバー149は、図40(b)に示す通り、正面から見てL字型となる構成で、左スタンドバー147及び右スタンドバー148を基準として機体の左右中央側に偏位した位置に固定されている。
これは、左スタンドバー147及び右スタンドバー148が支持される主フレーム22が機体の右寄りに配置されているのに対応して、接地スタンドバー149を機体の左右の中央位置に配置する構成としているからである。すなわち、本実施の形態では、接地スタンドバー149は、左スタンドバー147及び右スタンドバー148の端部から機体の左側に延びる構成で配置されている。
接地スタンド142は、機体後方の主フレーム22の後ろ上がり部分に固定された2枚のスタンド支持プレート143に挟まれて支持される。
スタンド支持プレート143には、スタンド支持軸145を支持する孔と、スタンド被係止軸146を係止する2つの切り欠き144が形成されており、スタンド支持軸145が2枚のスタンド支持プレート143を連結している。
左スタンドバー147及び右スタンドバー148は、スタンド被係止軸146によって連結されており、スタンド支持軸145が貫通するスタンド支持用孔150が形成されている。スタンド支持用孔150は、長孔であり、スタンド支持軸145のスタンド支持用孔150内における位置はスタンド支持用孔150の長軸方向に相対的に移動可能であり、スタンド支持軸145とスタンド被係止軸146の間隔が変化できる構成となっている。
スタンド支持軸145及びスタンド被係止軸146間は、スタンド係止スプリング140で連結されており、スタンド係止スプリング140は、スタンド被係止軸146をスタンド支持軸145側へ引き寄せるべく付勢している。
スタンド支持軸145が2枚のスタンド支持プレート143に形成されたスタンド支持用孔150を貫通することにより、接地スタンド142は、スタンド支持プレート143によって回動自在に支持され、スタンド係止スプリング140の付勢力によってスタンド支持プレート143に設けられた2つの切り欠き144の位置でスタンド被係止軸146が係止されることにより、接地スタンド142は、接地位置及び収納位置で仮固定される。
図39(a)に示す通り、収納時には、接地スタンド142は、主フレーム22の後ろ上がり部分に沿う姿勢で収納される。
この構成としたことにより、接地スタンド142を接地位置と収納位置にワンタッチで切り替えることができる。又、跳ね上げ方向を後方としたことにより、かがむことなく接地スタンド142を操作できる。
尚、ここでは、各スタンド支持プレート143に、2つの切り欠き144を設けて接地位置及び収納位置で仮固定されることとしたが、切り欠きを3つ以上設けて、接地スタンド142が3つ以上の所定の位置で仮固定される構成としてもよい。