JP4421023B2 - 溶融めっき金属帯のめっき付着量制御方法 - Google Patents
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Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、溶融めっき金属帯のめっき付着量制御方法に関し、特にめっき付着量変更時におけるめっき付着量制御方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来から、溶融めっき金属帯のめっき付着量は溶融めっき金属浴上に設けられた気体噴射ノズルから金属帯に付着した溶融めっき金属にガスを吹付け、過剰な溶融めっき金属を吹払する、いわゆるガスワイピング法によって制御されている。このようなガスワイピング法におけるめっき付着量制御は、通常フィードバッグ制御とフィードフォワード制御とによって行われている。フィードバッグ制御は、目標めっき付着量と実績めっき付着量との偏差量に応じて噴射ガスの圧力または気体噴射ノズルのノズル間隔を調整する制御方法である。これに対して、フィードフォワード制御はめっき付着量と、それに係る因子(噴射ガス圧力など)との関係を表すモデル式を予め設定し、めっき付着量が目標めっき付着量になるようにモデル式に基づいて因子を調整する制御方法である。
【0003】
特開平3−173756号公報には、噴射ガスの圧力をめっき付着量、ライン速度、気体噴射ノズルとストリップとの距離、気体噴射ノズル高さの関数として表すモデル式を設定し、制御系の変動状況からその系の安定度を判別し、その系が安定しているときにはその系で得られた実測値を用いてめっき付着量の補正係数をフィードバッグ補正し、その系が不安定なときにはモデル式によるフィードフォワード制御を行う制御方法が開示されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
前述のように従来から、制御系が不安定な場合、たとえばめっき付着量を変更する場合などには、フィードフォワード制御が用いられている。フィードフォワード制御では、モデル式に基づいて制御が行われる。このモデル式は近似式であり、モデル式に含まれていない不確定因子によって推定めっき付着量に誤差が生じる。この誤差が大きい場合、すなわちモデル式の精度が悪い場合には、実績めっき付着量が目標めっき付着量から外れることがあり、特に下限値を外れた場合には製品として出荷できなくなることがある。
【0005】
このような問題に対して、特許第2804430号公報には、めっき付着量変更点においてもフィードバッグ制御を行い、段階的に目標付着量を変更する方法が開示されている。しかしながらこの方法には、めっき付着量の変更に時間がかかり、めっき付着量の過剰に付着する部分が長くなるという問題がある。その結果、亜鉛などの溶融めっき金属の原単位が増大する。
【0006】
本発明の目的は、このような問題を解決し、めっき付着量変更時におけるめっき付着量の下限値割れの発生を防止することができ、かつ応答性よく迅速にめっき付着量の制御を行うことができる溶融めっき金属帯のめっき付着量制御方法を提供することである。
【0007】
【課題を解決するための手段】
本発明は、連続的に走行する金属帯を溶融めっき金属の浴中に導入してめっきし、その後、浴面から上方に引出された溶融めっき金属帯に浴面直上に設けられた一対の気体噴射ノズルから気体を吹付け、過剰に付着した溶融めっき金属を吹払してめっき付着量を予め定める目標値になるように調整する溶融めっき金属帯のめっき付着量制御方法において、
めっき付着量の変更時に、めっき付着量の制御用目標値G01を、予め定める付着量変更点よりも前方の先行材に対するめっき付着量の第1目標値G0から、めっき付着量変更点よりも後方の後行材に対するめっき付着量の第2目標値G1に変更するにあたり、
先行材の尾部または後行材の頭部の予め定める長さ領域に対するめっき付着量の第3目標値G2を、予め定める演算式によって少なくとも第1目標値G0、第2目標値G1および第2目標値の下限値GL1に基づいて設定し、
前記めっき付着量変更点が予め定める第1位置に到達したとき、めっき付着量の制御用目標値を第1目標値G0から第3目標値G2に変更し、
前記めっき付着量変更点が第1位置よりも走行方向下流側の予め定める第2位置に到達したとき、めっき付着量の制御用目標値G01を第3目標値G2から第2目標値G1に変更することを特徴とする溶融めっき金属帯のめっき付着量制御方法であって、
前記めっき付着量の制御は、めっき付着量とめっき付着量に係る因子との関係を表すモデル式を予め設定し、めっき付着量がめっき付着量の制御用目標値になるようにモデル式に基づいて前記因子を調整するフィードフォワード制御であって、
前記第3目標値G2は、
めっき付着量の実績値とモデル式によるめっき付着量の推定値との偏差であるモデル式の誤差εと、第1目標値G0、第2目標値G1および前記因子との関係を予め定め、
めっき付着量変更点が第1位置に到達したとき、前記因子の測定データを求め、
第1目標値G0、第2目標値G1および前記求めた因子の測定データに対応するモデル式の誤差εを前記関係から求め、さらに、
第2目標値の下限値GL1と前記求めたモデル式の誤差εとを合算する(G2=GL1+ε)ことによって設定されることを特徴とする溶融めっき金属帯のめっき付着量制御方法である。
【0008】
本発明に従えば、めっき付着量の制御用目標値GO1が第1目標値G0から第2目標値G1に変更されるにあたり、第1目標値G0から第2目標値G1に一挙に変更されないで第3目標値G2を介して段階的に変更される。これによって、第1目標値G0と第2目標値G1との差が大きいときでも、めっき付着量のオーバーシュートの発生を防止することができる。また第3目標値が予め定める演算式によって、少なくとも第1目標値G0、第2目標値G1および第2目標値の下限値GL1に基づいて設定されるので、後述のようにめっき付着量変更時におけるめっき付着量の下限値割れの発生を防止することができる。
また、めっき付着量の制御はモデル式に基づいてフィードフォワード制御によって行われるので、めっき付着量変更時に応答性よく迅速にめっき付着量の制御を行うことができる。また第3目標値G2が第2目標値の下限値GL1とモデル式の誤差εとに基づいて設定されるので、めっき付着量変更時におけるめっき付着量を第2目標値の下限値GL1以上になるように確実に制御することができる。
【0011】
また本発明は、前記第2目標値G1が前記第1目標値G0よりも大きいとき、前記第1位置は気体噴射ノズルの設置位置よりも走行方向上流側に設定され、前記第2位置は気体噴射ノズルの設置位置に設定され、
前記第2目標値G1が前記第1目標値G0以下のとき、前記第1位置は気体噴射ノズルの設置位置に設定され、前記第2位置G1は気体噴射ノズルよりも走行方向下流側に設けられためっき付着量計の設置位置に設定されることを特徴とする。
【0012】
本発明に従えば、G1>G0のとき、第1位置が気体噴射ノズルの設置位置より上流側に設定されているので、めっき付着量を調整する因子、たとえば気体の噴射圧力を変化させるのにタイムラグがあっても、付着量変更点が第2位置である気体噴射ノズルの設置位置に到達するまでに気体噴射圧力を所定値に調整することができる。これによって、気体噴射圧力の調整遅れが回避されるので、めっき付着量の第2目標値G1の下限値割れの発生を防止することができる。またG1≦G0のとき、第1位置が気体噴射ノズルの設置位置に設定されているので、付着量変更点が気体噴射ノズルの設置位置に到達してから気体噴射圧力の調整が行われる。これによって、気体噴射圧力の過度に早い調整が回避されるので、めっき付着量の第1目標値G0の下限値割れの発生を防止することができる。
【0013】
また本発明は、前記めっき付着量変更点が第1位置に到達したときに設定されるめっき付着量の制御用目標値GO1は、前記第2目標値G1が第1目標値G0よりも大きいとき、GL1<G0であればGO1=G0に設定され、G0<G2<G1であればGO1=G2=GL1+εに設定され、G2≧G1であればGO1=G1に設定され、さらに、
前記第2目標値G1が第1目標値GO以下のとき、G2≧G0であればGO1=G0に設定され、G0>G2>G1であればGO1=G2=GL1+εに設定され、G2≦G1であればGO1=G1に設定されることを特徴とする。
【0014】
本発明に従えば、めっき付着量の制御用目標値GO1は、第3目標値G2(=GL1+ε)が第1目標値G0および第2目標値G1によって規定される範囲から外れているとき、最も近接した第1目標値G0または第2目標値G1に設定されるので、めっき付着量の制御用目標値GO1の設定変更回数を減少することができる。
【0015】
【発明の実施の形態】
図1は、本発明を好適に適用することのできるめっき付着量制御装置1の電気的構成を簡略化して示すブロック図である。図1には、めっき付着量制御装置1を備える連続溶融亜鉛めっき設備の主要部の概略構成も合わせて示している。連続的に走行する金属帯である鋼帯3は、ポット4に貯留されている溶融めっき金属である溶融亜鉛の浴中に導入される。浴中に導入された鋼帯3は亜鉛めっきされながら、浸漬ロール5を介して浴中を通過し、浴面から上方に引出されて下流側に搬送される。
【0016】
めっき付着量制御装置1は、一対の気体噴射ノズル6(以後、ノズルと略称する)を備える。一対のノズル6は、溶融亜鉛の浴面直上に鋼帯3を板厚方向に挟んで間隔をあけて設けられる。ノズル6には、空気圧縮機7から圧縮空気が供給管8を介して供給される。圧縮空気は、鋼帯3の表面に垂直に噴射され、鋼帯3に付着している過剰な亜鉛を吹払する。供給管8には、圧力調整弁9と圧力検出器10とが設けられている。圧力調整弁9はコントロールバルブであり、弁開度を調整して圧縮空気の噴射圧力(以後、噴射圧力と略称する)を制御する。圧力検出器10は噴射圧力Pを検出し、それを表す信号をラインL1を介して出力する。
【0017】
ノズル6には、駆動装置13およびノズル間隔測定器14が設けられている。駆動装置13は、一対のノズル6を鋼帯3の板厚方向に変位駆動し、ノズル間の間隔を調整する。ノズル間隔測定器14は、たとえば差動トランス変位計であり、ノズル間隔Dを検出し、それを表す信号をラインL2を介して出力する。
【0018】
ノズル6の鋼帯3の走行方向下流側には、速度検出器17、移動距離検出器18およびめっき付着量計19が設けられている。速度検出器17は、鋼帯3の走行速度を検出し、ラインL3を介して出力する。移動距離検出器18は、ブライドルロール20に設けられ、鋼帯3が一定長さ走行するごとにパルスを発生して鋼帯3の移動距離Mを検出し、ラインL4を介して出力する。すなわち、移動距離検出器18は鋼帯3の予め定めるめっき付着量変更点、通常鋼帯3の頭部の溶接点に形成された位置検出孔が、固定位置に設けられた孔検出器11に到達してから鋼帯3がたとえば1m走行する毎にパルスを発生して鋼帯3の孔検出器設置位置からの移動距離Mを検出する。予め定めるめっき付着量変更点は、溶接点以外に設定してもよい。めっき付着量計19は、たとえばX線付着量計であり、鋼帯3に付着しためっき付着量を検出し、それを表す信号をラインL5を介して出力する。
【0019】
めっき付着量制御装置1には、さらに演算手段21が設けられている。演算手段21は、たとえばプロセスコンピュータであり、メモリ22を有する。演算手段21には、上位コンピュータ23と前記ラインL1〜L5とが接続されている。上位コンピュータ23は、製造指令を表す信号をラインL6を介して演算手段21に出力する。製造指令には、めっき付着量の第1目標値G0、めっき付着量の第2目標値G1、第2目標値の下限値GL1などが含まれる。めっき付着量の第1目標値G0は、前記めっき付着量変更点よりも前方の先行材に対するめっき付着量の目標値であり、めっき付着量の第2目標値G1は前記めっき付着量変更点よりも後方の後行材に対するめっき付着量の目標値である。
【0020】
演算手段21は、前記各出力に応答し、たとえば噴射圧力の調整量を演算し、それを表す信号をラインL7を介して圧力調整弁9に出力する。まためっき付着量の変更時には、めっき付着量の第3目標値G2を後述のように演算し、第3目標値G2に基づいて同様に噴射圧力の調整量を演算し、それを表す信号を出力する。めっき付着量の第3目標値G2は、前記先行材の尾部または後行材の頭部の予め定める長さ領域に対するめっき付着量の目標値である。
【0021】
メモリ22には、めっき付着量と、めっき付着量に係る因子との関係を表すモデル式が格納されている。前記めっき付着量に係る因子は、噴射圧力P、ノズル間隔D、鋼帯3の走行速度V(以後、ライン速度と呼ぶことがある)、ノズル高さ、めっき浴組成、めっき浴温度およびめっき浴導入前の鋼帯3の温度などである。モデル式は、前記各因子のうちから選ばれた少なくとも1つの因子に関する操業データと、それに対応するめっき付着量との組合わせデータを多数採取し、回帰分析を行うことによって予め設定される。本発明の実施の一形態では、前記因子として噴射圧力P、ノズル間隔Dおよびライン速度Vが選ばれる。めっき付着量Gは、前記選ばれた各因子の関数として式1のように表される。また噴射圧力Pは、式1を変形して式2のように表される。本実施の形態では、式1および式2を総称してモデル式と呼ぶ。
G = f1(P,D,V) …(1)
P = f2(G,D,V) …(2)
【0022】
さらにメモリ22には、前記モデル式の誤差εと、第1目標値G0、第2目標値G1、噴射圧力P、ノズル間隔Dおよびライン速度Vとの関係を表す回帰式(以後、誤差関数と呼ぶ)が格納されている。誤差関数は、めっき付着量変更時に第1目標値G0、第2目標値G1、噴射圧力P、ノズル間隔Dおよびライン速度Vに関する操業データと、それに対応するモデル式の誤差εとの組合わせデータを多数採取し、回帰分析を行うことによって予め設定される。
【0023】
回帰分析に用いるモデル式の誤差εのデータは次のようにして求められる。▲1▼鋼帯3のめっき付着量変更点近傍、すなわち先行材の尾部または後行材の頭部に誤差測定点を定め、▲2▼誤差測定点がノズル6の設置位置に到達したときの噴射圧力P、ノズル間隔Dおよびライン速度Vを測定し、▲3▼これらの測定データを式1に代入してめっき付着量の推定値Gnを求め、▲4▼誤差測定点がめっき付着量計19の設置位置に到達したときにめっき付着量を測定してめっき付着量の実測値Gfbを求め、▲5▼前記求めためっき付着量の実測値Gfbとめっき付着量の推定値Gnとの偏差を算出する。
【0024】
モデル式の誤差εは、第1目標値G0、第2目標G1、噴射圧力P、ノズル間隔Dおよびライン速度Vの関数として式3のように表される。また具体的な回帰式は、たとえば式4のように表される。
ε=f3(G0,G1,P,D,V) …(3)
ε=k1・(G0−G1)+k2・G1+k3・P+k4・D+k5・V…(4)
ここで、k1〜k5は回帰係数である。
【0025】
図2は、本発明の実施の一形態であるめっき付着量の制御方法を説明するためのフローチャートである。ステップa1では、上位コンピュータ23から第1目標値G0、第2目標値G1、第2目標値の下限値GL1の指令が発令される。ステップa2では、めっき付着量の制御用目標値GO1(以後、制御用目標値と呼ぶ)が第1目標値G0に設定されるとともに(GO1=G0)、予め定める第1および第2位置が設定される。
【0026】
本実施の形態では、第1および第2位置は、第1目標値G0と第2目標値G1との大小関係によって異なる位置に設定される。すなわち、G1>G0のとき、前記第1位置はノズル6の設置位置よりも走行方向上流側の予め定める位置に設定され、前記第2位置はノズル6の設置位置に設定される。前記第1位置は、噴射圧力の変更に要する時間に基づいて設定される。またG1≦G0のとき、前記第1位置はノズル6の設置位置に設定され、前記第2位置はめっき付着量計19の設置位置に設定される。
【0027】
ステップa3では、前記噴射圧力P、ノズル間隔D、ライン速度Vおよび移動距離Mの測定データが採取される。ステップa4では、噴射圧力Pの調整が行われる。この処理は、第1目標値G0および前記採取したノズル間隔Dおよびライン速度Vを式2に代入して噴射圧力の目標値Prefを求め、前記求めた噴射圧力の目標値Prefと噴射圧力Pとに基づいてPID制御によって噴射圧力調整量を求め、前記求めた噴射圧力調整量に基づいて圧力調整弁9の弁開度を調整することによって行われる。
【0028】
ステップa5では、めっき付着量変更点が第1位置に到達したか否かが判断される。この判断が否定であれば、ステップa4に戻り、付着量制御が続けられる。この判断が、肯定であれば、ステップa6に移る。ステップa6では、めっき付着量変更時の制御用目標値GO1の設定、すなわち前記めっき付着量変更点が第1位置に到達したときに設定される制御用目標値(以後、中間制御用目標値GO1と呼ぶ)の設定が行われる。中間制御用目標値GO1の設定は、前記第3目標値G2を予め定める演算式によって次のようにして求め、前記求めた第3目標値に基づいて後述のようにして行われる。第3目標値G2の算出は、指令値である第1および第2目標値G0、G1と、前記測定した噴射圧力P、ノズル間隔Dおよびライン速度Vとを式4に代入してモデル式の誤差εを求め、式5に基づいて指令値である第2目標値の下限値GL1と前記求めたモデル式の誤差εとを加算することによって求められる。前記予め定める演算式は、式4および式5から成る。
G2 = GL1 + ε …(5)
【0029】
図3は、めっき付着量変更時における演算手段21の中間制御用目標値GO1の設定動作を示すフローチャートである。ステップs1では、第2目標値G1が第1目標値G0よりも大きいか否かが判断される。この判断が肯定でG1>G0であれば、ステップs2に移り、(GL1+α)>G0であるか否かが判断される。ここでαは、予め定めるめっき付着量の余裕値であり、たとえば10g/m2に設定される。この判断が否定で、G0≧GL1+αであれば、図4(1)に示すように第2目標値G1とその下限値GL1との差が大きいので、第1位置T1において制御用目標値GO1を変更しなくても第2目標値G1の下限値割れは生じない。したがって、中間制御用目標値GO1は、ステップs3においてGO1=G0に設定される。
【0030】
ステップs2における判断が肯定で、GL1+α>G0のときはステップs4に移る。ステップs4では、G1>G2>G0であるか否かが判断される。この判断が肯定であれば、図4(2)に示すように中間制御用目標値GO1は、ステップs5においてGO1=G2=GL1+εに設定される。この場合、めっき付着量の制御用目標値GO1は階段状に増加するので、めっき付着量のオーバーシュートの発生を防止することができる。ステップs4の判断が否定で、G1<G2であれば、図4(3)に示すように、第1位置T1における制御用目標値の変更量(G2−G0)が過大になり、制御系の安定性が損なわれるおそれがあるので、中間制御用目標値GO1はステップs6においてGO1=G1に設定される。
【0031】
前記ステップs1における判断が否定で、G1≦G0であれば、ステップs7に移る。ステップs7では、G0>G2>G1であるか否かが判断される。この判断が肯定であれば、図5(1)に示すように、中間制御用目標値GO1はステップs8においてGO1=G2=GL1+εに設定される。この場合、めっき付着量の制御用目標値GO1は階段状に減少する。したがって、図4(2)のときと同様にめっき付着量のオーバーシュートの発生を防止することができる。
【0032】
ステップs7における判断が否定であれば、ステップs9に移る。ステップs9ではG0≦G2であるか否かが判断される。この判断が肯定でG0≦G2であれば、図5(2)に示すように第2位置T3であるめっき付着量計19の設置位置における制御用目標値の変更量(G2−G1)が過大になり、制御系の安定性が損なわれるおそれがあるので、中間制御目標値GO1はステップs10においてGO1=G0に設定される。
【0033】
ステップs9における判断が否定で、G1≧G2であれば、図5(3)に示すように第1位置T2であるノズル6の設置位置における制御用目標値の変更量(G0−G2)が過大になり、制御系の安定性が損なわれるおそれがあるので、中間制御用目標値GO1はステップs11においてGO1=G1に設定される。
【0034】
再び図2を参照して、ステップa7では噴射圧力Pの調整が行われる。この処理は、ステップa6で設定した中間制御用目標値GO1に基づいて前記ステップa4と同様の方法で行われる。ステップa8では、めっき付着量変更点が第2位置に到達したか否かが判断される。この判断が否定であれば、ステップa7に戻り、めっき付着量制御が続けられる。この判断が肯定であれば、ステップa9に移り、めっき付着量の制御用目標値GO1が第2目標値G1に設定変更される。(GO1=G1)ステップa10では、噴射圧力Pの調整がステップa9で設定した制御用目標値GO1=G1に基づいて前記ステップa4およびステップa7と同様の方法で行われる。このようにして、本実施の形態の1サイクルのめっき付着量の制御が終了する。
【0035】
このように、中間制御用目標値GO1の設定が第2目標値の下限値GL1と、モデル式の誤差εとに基づいて行われるので、第2目標値G1の下限値割れの発生を防止することができる。また第1および第2位置における制御用目標値の変更量が第1目標値G0と第2目標値G1との偏差より大きく、過大になるときには、中間制御用目標値GO1が最も近接した第1目標値G0または第2目標値G1になるように設定されるので、制御系の安定性を向上することができる。さらにこの場合には、制御用目標値の変更回数を減少することができるので、制御を簡素化することができる。また、めっき付着量の制御がモデル式に基づいて噴射圧力Pを調整するフィードフォワード制御によって行われるので、通常時はもとよりめっき付着量変更時であっても応答性よく迅速にめっき付着量の制御を行うことができる。したがって、亜鉛の過剰に付着した部分が短くなり、亜鉛原単位を減少することができる。
【0036】
またG1>G0のとき、第1位置がノズル6の設置位置より上流側に設定されているので、噴射圧力を変化させるのにタイムラグがあっても、付着量変更点が第2位置であるノズル6の設置位置に到達するまでに噴射圧力を所定値に調整することができる。これによって、噴射圧力の調整遅れが回避されるので、めっき付着量の第2目標値の下限値割れの発生を防止することができる。またG1≦G0のとき、第1位置がノズル6の設置位置に設定されているので、付着量変更点がノズル6の設置位置に到達してから噴射圧力の調整が行われる。これによって、噴射圧力の過度に早い調整が回避されるので、めっき付着量の第1目標値G0の下限値割れの発生を防止することができる。また、第2位置が付着量計19の設置位置に設定されているので、めっき付着量の第2目標値G1への変更を円滑に行うことができる。
【0037】
以上述べたように、本実施の形態では、めっき付着量変更点が第1位置に到達したとき、中間制御用目標値GO1が第3目標値G2の大きさに応じて第1〜第3目標値G0,G1,G2のうちのいずれか1つの目標値に設定変更されるように構成されているけれども、本発明の実施の他の形態として、めっき付着量変更点が第1位置に到達したとき、中間制御用目標値GO1を第3目標値G2の大きさにかかわらず、常に第3目標値G2に設定変更するように構成してもよい。この場合、中間制御用目標値GO1が常に第2目標値の下限値GL1とモデル式の誤差εとに基づいて設定されるので、第2目標値の下限値割れの発生をさらに確実に防止することができる。
【0038】
また本実施の形態では、モデル式に基づいて噴射圧力Pを調整してめっき付着量を制御するように構成されているけれども、ノズル間隔Dを調整してめっき付着量を制御するように構成してもよく、両者を調整してめっき付着量を調整するように構成してもよい。また本実施の形態では、第3目標値が第2目標値の下限値GL1とモデル式の誤差εとに基づいて設定されているけれども、この構成に限定されるものではなく、操業実績に基づいて決定される予め定める値に設定してもよい。また第1および第2位置を本実施の形態とは別の位置に設定してもよい。
【0039】
【発明の効果】
以上のように請求項1記載の本発明によれば、めっき付着量の制御用目標値GO1が第1目標値G0から第2目標値G1に変更されるにあたり、第1目標値G0から第2目標値G1に一挙に変更されないで、第3目標値G2を介して段階的に変更されるので、めっき付着量変更点におけるめっき付着量のオーバーシュートの発生を防止することができる。また第3目標値が予め定める演算式によって、少なくとも第1目標値G0、第2目標値G1および第2目標値の下限値GL1に基づいて設定されるので、めっき付着量変更時におけるめっき付着量の下限値割れの発生を防止することができ、めっき付着量の制御はモデル式に基づいてフィードフォワード制御によって行われるので、めっき付着量変更時に応答性よく迅速にめっき付着量の制御を行うことができる。また第3目標値G2が第2目標値の下限値GL1とモデル式の誤差εとに基づいて設定されるので、めっき付着量変更時におけるめっき付着量を第2目標値の下限値GL1以上になるように確実に制御することができる。
【0041】
また請求項2記載の本発明によれば、第1および第2位置が適正に設定されているので、めっき付着量の下限値割れを防止することができる。
【0042】
また請求項3記載の本発明によれば、めっき付着量の制御用目標値GO1は第3目標値G2が第1目標値G0および第2目標値G1によって規定される範囲から外れているとき、最も近接した第1目標値G0または第2目標値G1に設定されるので、めっき付着量の制御用目標値GO1の設定変更回数を減少することができる。したがって制御を簡素化することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明を好適に適用することのできるめっき付着量制御装置1の電気的構成を簡略化して示すブロック図である。
【図2】本発明の実施の一形態であるめっき付着量の制御方法を説明するためのフローチャートである。
【図3】めっき付着量変更時における演算手段21の中間制御用目標値GO1の設定動作を示すフローチャートである。
【図4】G1>G0のときにおける付着量変更点の位置とめっき付着量の制御用目標値GO1との関係を示すグラフである。
【図5】G1≦G0のときにおける付着量変更点の位置とめっき付着量の制御用目標値GO1との関係を示すグラフである。
【符号の説明】
1 めっき付着量制御装置
3 鋼帯
6 気体噴射ノズル
9 圧力調整弁
10 圧力検出器
11 孔検出器
14 ノズル間隔測定器
17 速度検出器
18 移動距離検出器
19 めっき付着量計
21 演算手段
22 メモリ
23 上位コンピュータ
Claims (3)
- 連続的に走行する金属帯を溶融めっき金属の浴中に導入してめっきし、その後、浴面から上方に引出された溶融めっき金属帯に浴面直上に設けられた一対の気体噴射ノズルから気体を吹付け、過剰に付着した溶融めっき金属を吹払してめっき付着量を予め定める目標値になるように調整する溶融めっき金属帯のめっき付着量制御方法において、
めっき付着量の変更時に、めっき付着量の制御用目標値G01を、予め定める付着量変更点よりも前方の先行材に対するめっき付着量の第1目標値G0から、めっき付着量変更点よりも後方の後行材に対するめっき付着量の第2目標値G1に変更するにあたり、
先行材の尾部または後行材の頭部の予め定める長さ領域に対するめっき付着量の第3目標値G2を、予め定める演算式によって少なくとも第1目標値G0、第2目標値G1および第2目標値の下限値GL1に基づいて設定し、
前記めっき付着量変更点が予め定める第1位置に到達したとき、めっき付着量の制御用目標値を第1目標値G0から第3目標値G2に変更し、
前記めっき付着量変更点が第1位置よりも走行方向下流側の予め定める第2位置に到達したとき、めっき付着量の制御用目標値G01を第3目標値G2から第2目標値G1に変更することを特徴とする溶融めっき金属帯のめっき付着量制御方法であって、
前記めっき付着量の制御は、めっき付着量とめっき付着量に係る因子との関係を表すモデル式を予め設定し、めっき付着量がめっき付着量の制御用目標値になるようにモデル式に基づいて前記因子を調整するフィードフォワード制御であって、
前記第3目標値G2は、
めっき付着量の実績値とモデル式によるめっき付着量の推定値との偏差であるモデル式の誤差εと、第1目標値G0、第2目標値G1および前記因子との関係を予め定め、
めっき付着量変更点が第1位置に到達したとき、前記因子の測定データを求め、
第1目標値G0、第2目標値G1および前記求めた因子の測定データに対応するモデル式の誤差εを前記関係から求め、さらに、
第2目標値の下限値GL1と前記求めたモデル式の誤差εとを合算する(G2=GL1+ε)ことによって設定されることを特徴とする溶融めっき金属帯のめっき付着量制御方法。 - 前記第2目標値G1が前記第1目標値G0よりも大きいとき、前記第1位置は気体噴射ノズルの設置位置よりも走行方向上流側に設定され、前記第2位置は気体噴射ノズルの設置位置に設定され、
前記第2目標値G1が前記第1目標値G0以下のとき、前記第1位置は気体噴射ノズルの設置位置に設定され、前記第2位置G1は気体噴射ノズルよりも走行方向下流側に設けられためっき付着量計の設置位置に設定されることを特徴とする請求項1記載の溶融めっき金属帯のめっき付着量制御方法。 - 前記めっき付着量変更点が第1位置に到達したときに設定されるめっき付着量の制御用目標値G01は、前記第2目標値G1が第1目標値G0よりも大きいとき、GL1<G0であればG01=G0に設定され、G0<G2<G1であればG01=G2=GL1+εに設定され、G2≧G1であればG01=G1に設定され、さらに、
前記第2目標値G1が第1目標値G0以下のとき、G2≧G0であればG01=G0に設定され、G0>G2>G1であればG01=G2=GL1+εに設定され、G2≦G1であればG01=G1に設定されることを特徴とする請求項1または2に記載の溶融めっき金属帯のめっき付着量制御方法。
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