JP4419709B2 - クラッチレリーズ軸受 - Google Patents

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Description

この発明は、エンジンの回転力を任意に断続させるクラッチで使用されるクラッチレリーズ軸受に関する。
ダイヤフラムスプリング式クラッチでは、外輪、内輪、両輪間に配された玉、および両輪の端部間に配されたシール部材を備えた自動調心型クラッチレリーズ軸受をレリーズフォークとダイヤフラムスプリングとの間に配し、レリーズフォークを軸方向に移動させて軸受をダイヤフラムスプリング方向に移動させ、移動させられた内輪がダイヤフラムスプリングを押圧してプレッシャー・プレートを浮き上がらせることで、エンジンの回転力を切断するようになされている（特許文献１、特許文献２など）。
特開２００３−２２２１６２号公報 特開２００３−２２２１６３号公報
上記従来のクラッチレリーズ軸受のダイヤフラムスプリング側シール部材は、芯金および弾性シールからなり、弾性シールは、内輪に接触する主シールリップと、主シールリップよりも軸方向外側に設けられて内輪に非接触で対向する副シールリップとを有しているものとされているが、副シールリップによるラビリンスシール効果が十分でなく、そのシール性の向上が望まれている。
この発明の目的は、シール性を向上させたクラッチレリーズ軸受を提供することにある。
この発明によるクラッチレリーズ軸受は、外輪、内輪、両輪間に配された玉、および両輪の端部間に配されたシール部材を備え、レリーズフォークとダイヤフラムスプリングとの間に配されて、レリーズフォークの移動に伴って内輪がダイヤフラムスプリングを押圧することでエンジンの回転力を切断するようになされたクラッチレリーズ軸受において、ダイヤフラムスプリング側シール部材は、芯金および弾性シールからなり、弾性シールは、内輪に接触する主シールリップと、主シールリップよりも軸方向外側に設けられて内輪に非接触で対向する副シールリップとを有しており、内輪の軸方向端部に、弾性シールの副シールリップとの間のラビリンスシール効果を高めるための環状凸部が設けられていることを特徴とするものである。
外輪および内輪は、鋼板がプレスされることにより形成され、外輪は、軌道溝を有する円筒部および円筒部の反ダイヤフラムスプリング側端部に設けられた内向きフランジ部からなり、内輪は、軌道溝を有する円筒部および円筒部のダイヤフラムスプリング側端部に設けられた外向きフランジ部からなるものとされる。そして、内輪の外向きフランジ部が外輪のダイヤフラムスプリング側端部よりもダイヤフラムスプリング側に突出させられて、ダイヤフラムスプリングに当接させられる。
内輪に設けられる環状凸部の副シールリップに対向する面は、テーパ状とされていることが好ましい。
この発明のクラッチレリーズ軸受によると、内輪の軸方向端部に、弾性シールの副シールリップとの間のラビリンスシール効果を高めるための環状凸部が設けられているので、異物侵入に対しては、環状凸部と副シールリップとの間のラビリンスシール、副シールリップと内輪内径の環状凸部がない部分とのラビリンスシール、および主シールリップと内輪との接触シールの３カ所において対抗することになり、シール性を向上させることができる。
この発明の実施の形態を、以下図面を参照して説明する。
図１および図２は、この発明によるクラッチレリーズ軸受およびこれが使用されているダイヤフラム式クラッチの一部を示している。以下の説明において、左右は、図の左右をいうものとする。
図１に示すように、ダイヤフラム式クラッチ(1)は、動力伝達軸(S)が挿通されるリテーナ(2)に摺動自在に嵌合する合成樹脂製のスリーブ(3)と、このスリーブ(3)に一体的に外嵌固定される鋼板プレス製の側板(4)と、この側板(4)とでレリーズフォーク(5)を保持するためのクリップ(6)と、側板(4)の左側（したがってレリーズフォーク(5)とダイヤフラムスプリング(7)との間）に配されて、レリーズフォーク(5)の移動に伴って内輪(12)がダイヤフラムスプリング(7)を左方に押圧することでエンジンの回転力を切断するようになされたクラッチレリーズ軸受(8)とを有している。
クラッチレリーズ軸受(8)は、外輪(11)、内輪(12)、両輪間に配された玉(13)、玉(13)を保持する保持器(14)および両輪(11)(12)の左右端部間に配された左右のシール部材(15)(16)を備えている。
外輪(11)は、プレス製であり、軌道溝を有する円筒部(11a)および円筒部(11a)の右端に設けられた内向きフランジ部(11b)からなる。内輪(12)は、プレス製であり、軌道溝を有する円筒部(12a)および円筒部(12a)の左端に設けられた外向きフランジ部(12b)からなる。内輪(12)の外向きフランジ部(12b)は、外輪(11)の左端部よりも左方に突出させられて、ダイヤフラムスプリング(7)に当接させられている。外輪(11)には、径方向の調心用隙間を介してカバー(9)が外嵌されている。カバー(9)はスリーブ(3)に一体化されている。カバー(9)の左端部と外輪(11)の左端部との間に、クラッチレリーズ軸受(8)に調心抗力を付与するための波ばね(10)が介装され、この波ばね(10)によって外輪(11)が所定の弾性力でもってカバー(9)内に保持されている。
そして、車両の運転者がクラッチペダルを踏込むことにより、レリーズフォーク(5)が揺動されて側板(4)を左方に押圧し、これに伴なってクラッチレリーズ軸受(8)の内輪(12)がダイヤフラムスプリング(7)の傾斜が反対になる方向にこれを押圧してクラッチプレートがフライホイールから離反することで、エンジンからの回転駆動力が遮断される。また、クラッチレリーズ軸受(8)の外輪(11)は、波ばね(10)によって所定の弾性力でカバー(9)内に保持されていることにより、ダイヤフラムスプリング(7)に対して自動的に径方向の調心が行われる。
図２に拡大して示すように、左のシール部材すなわちダイヤフラムスプリング側シール部材(15)は、芯金(21)および弾性シール(22)からなる。
弾性シール(22)は、内輪(12)の円筒部(12a)の内径に接触する主シールリップ(22a)と、主シールリップ(22a)よりも軸方向外側に設けられて内輪の円筒部(12a)の内径に非接触で対向する副シールリップ(22b)とを有している。
内輪(12)の円筒部(12a)の軸方向端部のうち弾性シール(22)の副シールリップ(22b)よりも左方にある部分は、これよりも右方にある部分よりもその径が大きくなされており、これにより、内輪(12)の円筒部(12a)と副シールリップ(22b)との間のラビリンスシール効果を高めるための環状凸部(23)が形成されている。環状凸部(23)の副シールリップ(22b)に対向する面（右面）(23a)は、テーパ状とされており、これにより、副シールリップ(22b)は、隙間Ａを有している径方向のラビリンスシールに加えて、隙間Ｂを有している斜め方向のラビリンスシールを内輪(12)の円筒部(12a)との間に形成している。これらの隙間Ａおよび隙間Ｂを小さくすることで、異物侵入に対しては、環状凸部(23)と副シールリップ(22b)との隙間Ｂのラビリンスシール、副シールリップ(22b)と内輪(12)の円筒部(12a)の環状凸部がない部分との隙間Ａのラビリンスシール、および主シールリップ(22a)と内輪(12)の円筒部(12a)との接触シールの３カ所において対抗することになり、シール性を向上させることができる。
右のシール部材すなわち反ダイヤフラムスプリング側シール部材(16)も、芯金(24)および弾性シール(25)からなる。
芯金(24)は、外輪(11)の内向きフランジ部(11b)に当接させられている円板部(24a)、円板部(24a)の内周縁部から軸方向内方（左方）かつ径方向内方にのびるシール接着部(24b)、および円板部(24a)の外周縁部から軸方向内方（左方）かつ径方向外方にのび弾性変形可能な嵌入部(24c)を有している。
弾性シール(25)は、内輪(12)の円筒部(12a)の右端部に軸方向（右方）から対向する主シールリップ(25a)および内輪(12)の円筒部(12a)の右端部に径方向から対向する副シールリップ(25b)を有している。
外輪(11)の円筒部(11a)の右端部には、芯金(24)の嵌入部(24c)が嵌め入れられる環状溝(26)が形成されている。芯金(24)の嵌入部(24c)は、嵌め入れ前の外径が環状溝(26)の径よりも大きく形成されており、径方向内方に弾性変形させられてこの環状溝(26)に嵌め合わせられている。環状溝(26)の左側面(26a)は、環状溝(26)に弾性変形させられて嵌め入れられた嵌入部(24c)の方向とほぼ直交するように形成されており、これにより、芯金(24)には、嵌入部(24c)の方向（右方かつ径方向内方）の力が作用し、この力を受けて芯金(24)の円板部(24a)が外輪(11)の内向きフランジ部(11b)に当接させられている。
図１は、この発明によるクラッチレリーズ軸受の１実施形態を示す縦断面図である。 図２は、この発明によるクラッチレリーズ軸受のシール部の詳細な構成を示す拡大縦断面図である。
符号の説明
(5) レリーズフォーク
(7) ダイヤフラムスプリング
(8) クラッチレリーズ軸受
(11) 外輪
(12) 内輪
(13) 玉
(15) 左のシール部材（ダイヤフラムスプリング側シール部材）
(16) 右のシール部材
(21) 芯金
(22) 弾性シール
(22a) 主シールリップ
(22b) 副シールリップ
(23) 環状凸部

Claims (1)

  1. 外輪、内輪、両輪間に配された玉、および両輪の端部間に配されたシール部材を備え、レリーズフォークとダイヤフラムスプリングとの間に配されて、レリーズフォークの移動に伴って内輪がダイヤフラムスプリングを押圧することでエンジンの回転力を切断するようになされたクラッチレリーズ軸受において、
    ダイヤフラムスプリング側シール部材は、芯金および弾性シールからなり、弾性シールは、内輪に接触する主シールリップと、主シールリップよりも軸方向外側に設けられて内輪に非接触で対向する副シールリップとを有しており、内輪の軸方向端部に、弾性シールの副シールリップとの間のラビリンスシール効果を高めるための環状凸部が設けられていることを特徴とするクラッチレリーズ軸受。
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