JP4419466B2 - 撮影レンズ、およびカメラシステム - Google Patents
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Description
この種の従来技術では、まず、撮影レンズやカメラの振動を角速度センサによって検出する。撮影レンズは、この角速度に基づいて、被写体像の像面ブレを打ち消すのに必要なブレ補正光学系の位置(以下『目標駆動位置』という)を決定し、ブレ補正光学系をこの目標駆動位置に追従制御する。
従来、光学的ブレ補正では、角速度センサから出力されるDCオフセットやドリフトが問題となっていた。被写体像の像面ブレを正確に追跡するには、角速度センサの出力から、DCオフセットやドリフトといった余分な成分を除かなければならない。
すなわち、人間の手振れは、2〜7Hz程度の周波数成分が支配的である。一方、角速度センサの静止時出力は、およそ1Hz未満の周波数成分が支配的である。そこで移動平均やローパスフィルタを使用して、角速度センサの出力信号から低域成分を抽出することにより、DCオフセットとドリフトを推定していた。
光学的ブレ補正は、角速度に基づくフィードフォワード制御なので、角速度の検出誤差は、そのまま制御誤差となって現れる。
ところで、特許文献1および特許文献2に開示される関連技術では、画像動き信号を光学的ブレ補正に利用する。しかしながら、特許文献1および特許文献2の制御方式を、電子スチルカメラに適用する場合、次のような問題[1][2]が具体的に生じる。
また、本発明の別の目的は、上述した問題点に鑑みて、画像動き信号をフィードバックする箇所を工夫することにより、光学的ブレ補正の防振効果を高めることである。
さらに、本発明の別の目的は、上述した問題点に鑑みて、電子スチルカメラに特に好適な光学的ブレ補正の制御方式を提供することである。
本発明の撮影レンズは、カメラの撮像面に被写体像を形成する撮影レンズであって、ブレ補正光学系、振動検出部、基準値生成部、目標駆動位置演算部、および駆動部を備える。
このブレ補正光学系は、撮像面に対する被写体像の像面ブレを光学的に補正するための光学系である。
基準値生成部は、振動検出信号から低周波成分を抽出することにより、振動のない静止状態における振動検出部の出力である基準値を推定する。
目標駆動位置演算部は、振動検出信号と、推定された基準値との差から、像面ブレの原因となる振動成分を求め、振動成分に基づいてブレ補正光学系の目標駆動位置を求める。
駆動部は、ブレ補正光学系を目標駆動位置に追従制御する。
特にこのような構成において、基準値生成部は、カメラの撮像画像を解析して得られる画像動き信号を情報取得し、画像動き信号を基準値と同一スケールに換算し、基準値から減算することにより基準値を修正する。
また、低域のドリフト出力を基準値中に正確に含めるため、画像動き信号の低域成分をカットせずに、基準値にフィードバックしても良い。
また、ドリフト出力に起因する低速の画像動きを選択的に検出して、画像動き信号としても良い。
また、この進み補償は、画像動き信号の計算遅れの期間を進み補償するものであっても良い。
この撮影レンズは、上述したいずれかの撮影レンズである。
撮像部は、撮像面を有し、撮影レンズによって撮像面に形成される被写体像を撮像する。
なお好ましくは、撮影レンズと撮像部とを着脱自在に構成し、両者間で画像動き信号などの情報のやりとりを行う。
一般に、この基準値に誤差があると、振動成分の検出誤差となって撮像画像に残存ブレを生じる。本発明では、この撮像画像の残存ブレを画像動き信号として検出し、この画像動き信号を用いて基準値を修正する。このようなフィードバック作用により、基準値の誤差を確実に低減することができる。その結果、振動成分の検出誤差が確実に低減し、光学的ブレ補正の防振精度を一段と高めることができる。
[実施形態の構成説明]
図1は、光学的ブレ補正の機構を有するカメラシステム190(撮影レンズ190aを含む)を示す図である。なお、実際のカメラシステム190は、水平および垂直の2軸方向について像面ブレを補正する。しかしながら、図1では、説明を簡明にするため、光学的ブレ補正の機構を1軸分のみ記載している。
角速度センサ10は、カメラシステム190の振動を、コリオリ力などにより角速度として検出する。増幅部20は、角速度センサ10の出力を増幅する。なお、センサ出力の高周波ノイズを低減させることを目的として、ローパスフィルタを付加させてもよい。A/D変換部30は、増幅部20の出力をデジタルの角速度データに変換する。
目標駆動位置演算部50は、角速度データから基準値を減算することにより、像面ブレの原因となる真の角速度を求める。目標駆動位置演算部50は、この真の角速度を積分することによって、撮影レンズ190aの光軸角度を求める。目標駆動位置演算部50は、この光軸角度に基づいて、目標駆動位置を決定する。この目標駆動位置は、この光軸角度における被写体像の変位を打ち消すブレ補正光学系100の位置である。
ドライバ70は、求めた駆動信号(デジタル信号)に応じて、駆動電流を駆動機構80に流す。
撮像素子150は、撮像面に形成される被写体像を撮像する。撮像画像は、不図示のモニタ画面に表示される他、動きベクトル検出部160へ出力される。
以下、発明と本実施形態との対応関係について説明する。なお、ここでの対応関係は、参考のために一解釈を例示するものであり、本発明を徒らに限定するものではない。
請求項記載の撮影レンズは、撮影レンズ190aに対応する。
請求項記載のブレ補正光学系は、ブレ補正光学系100に対応する。
請求項記載の振動検出部は、角速度センサ10に対応する。
請求項記載の基準値生成部は、基準値演算部40、および動きベクトル変換部170に対応する。
請求項記載の目標駆動位置演算部は、目標駆動位置演算部50に対応する。
請求項記載の駆動部は、駆動信号演算部60、ドライバ70、駆動機構80、および位置検出部90に対応する。
請求項記載のカメラシステムは、カメラシステム190に対応する。
請求項記載の画像動き信号は、画像動きベクトルの角速度方向の成分に対応する。
図2は、光学的ブレ補正の動作タイミングを説明する図である。
図3は、画像動きベクトルの計算手順を示す流れ図である。
図4は、光学的ブレ補正の制御動作を示す流れ図である。
以下、これらの図を参照して、本実施形態の動作を説明する。
まず、図2に示すように、撮像素子150は、所定の撮像間隔Timgで定期的に撮像画像を出力する。この撮像間隔Timgごとに、図3に示す画像動きベクトルの計算処理が実施される。以下、この画像動きベクトルの計算処理を説明する。
なお、撮像画像の全体について画像動きベクトルを求めてもよい。または、撮像画像の一部エリアについて画像動きベクトルを求めてもよい。
さらに、画像動きベクトルとしては、光学的ブレ補正の各軸方向(例えば、垂直と水平など)ごとに個別に求めてもよい。この場合、各軸方向の画像動き(フレーム間の変位など)を個々の要素とする画像動きベクトルが求まる。
また、画像動きベクトルとしては、複数の向きについて撮像画像のフレーム間変位の検出を行うことで、撮像画像の変位方向と変位量を求めてもよい。
以上のような画像動きベクトルの計算処理は、図2に示すように、撮像時点から、計算時間Tcalだけ遅れて完了する。
ステップS11: A/D変換部30は、角速度センサ10の角速度出力を、サンプリング間隔ToptでA/D変換する。
Wo′=Wo−Q・v′ ・・・(2)
ただし、Qは画像動きベクトルのフィードバックゲインである。v′は、画像動きベクトルV′の角速度方向の成分(角速度の単位に換算したもの)である。このQの値は、基準値Wo′の行き過ぎを適度に抑制し、かつ基準値Wo′の整定時間を適度に短縮するなどの観点から決定される。
一般に、基準値Wo′に誤差が生じると、光学的ブレ補正において撮像画像に残存ブレが生じる。この残存ブレを画像動きベクトルV′として検出し、上式(2)によって基準値にフィードバックすることにより、基準値Wo′の誤差を低減することができる。
基準値Wo′の誤差が低減するに従って、徐々に画像動きベクトルV′も低減する。最終的に画像動きベクトルV′がゼロと見なせるほどに小さくなると、基準値Wo′は、角速度センサ10のドリフト出力やDCオフセットを正確に含んだ値となる。
なお、光学的ブレ補正では、ブレ補正光学系100の追従性を高めるため、図2に示すように撮像間隔Timgよりも短いサンプリング間隔Toptで、目標駆動位置および基準値の更新を実行する。そのため、毎回の基準値修正のたびに、毎回新しい画像動きベクトルを使用することはできない。そこで、次回の画像動きベクトルを取得するまでの期間、一つの画像動きベクトルV′を繰り返し使用して、基準値修正を行う。
例えば、下式をもちいて、この目標駆動位置θ(Tk)の計算が行われる。
C=f・(1+β)2/K ・・・(3)
θ(Tk)=θ(Tk-1)+C・[W(Tk)−Wo′] ・・・(4)
ただし、fは焦点距離、βは撮影倍率、θ(Tk-1)は前回の目標駆動位置、W(Tk)は最新の角速度データ、およびKはブレ補正係数である。なお、ブレ補正係数Kは、下式に基づいて予め実測しておく。
K=(被写体像の変位)/(ブレ補正光学系100の変位)
図5は、本実施形態の光学的ブレ補正のシミュレーション結果を示す図である。
図5Aに示す基準値には、画像動きベクトルをフィードバックすることによって、角速度センサ10のDCオフセットやドリフト出力が正確に含まれる。特に、従来の移動平均では修正不可能であったドリフト出力の位相遅れなどを正確に修正することができる。
さらに、画像動きベクトルの更新間隔は粗いため、画像動きベクトルの計算処理に伴うシステム負荷は非常に小さい。
なお、上述した実施形態において、図7のステップS21に示すように、画像動きベクトルを進み補償してもよい。
例えば、下式を用いて、進み補償を施した画像動きベクトルVnow′を求めることが可能である。
Vnow′=Vnow+S・[Vnow−Vpre]・・(5)
ただし、Vnowは最新の画像動きベクトル、Vpreは前回の画像動きベクトル、およびSは定数である。
この定数Sを調整することによって、例えば、図2に示す計算時間Tcalの分だけ、画像動きベクトルを進み補償することができる。この場合、計算時間Tcalの無駄時間を位相補償して、基準値の修正精度を一段と高めることが可能になる。
20 増幅部
30 A/D変換部
40 基準値演算部
50 目標駆動位置演算部
60 駆動信号演算部
80 駆動機構
90 位置検出部
100 ブレ補正光学系
102 鏡筒
150 撮像素子
160 動きベクトル検出部
170 動きベクトル変換部
190 カメラシステム
190a 撮影レンズ
Claims (6)
- カメラの撮像面に被写体像を形成する撮影レンズであって、
前記撮像面における前記被写体像の像面ブレを光学的に補正するためのブレ補正光学系と、
振動を検出して振動検出信号を出力する振動検出部と、
前記振動検出信号から低周波成分を抽出することにより、前記振動のない静止状態における前記振動検出部の出力である基準値を推定する基準値生成部と、
前記振動検出信号と、推定された前記基準値との差から、前記像面ブレの原因となる振動成分を求め、前記振動成分に基づいて前記ブレ補正光学系の目標駆動位置を求める目標駆動位置演算部と、
前記ブレ補正光学系を前記目標駆動位置に追従制御する駆動部とを備え、
前記基準値生成部は、前記カメラの撮像画像を解析して得られる画像動き信号を情報取得し、前記画像動き信号を前記基準値と同一スケールに換算し、前記基準値から減算することにより前記基準値を修正する
ことを特徴とする撮影レンズ。 - 請求項1に記載の撮影レンズにおいて、
前記基準値生成部は、前記画像動き信号を前記基準値にフィードバックすることにより、前記基準値が前記振動検出部のドリフト出力を含むように、前記基準値を修正する
ことを特徴とする撮影レンズ。 - 請求項1ないし請求項2のいずれか1項に記載の撮影レンズにおいて、
前記基準値生成部は、前記撮影レンズの焦点距離および撮影倍率に基づいて、前記画像動き信号を前記基準値と同一スケールに換算する
ことを特徴とする撮影レンズ。 - 請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載の撮影レンズにおいて、
前記基準値生成部が前記基準値の修正値を更新する周期は、前記目標駆動位置の更新周期よりも遅く設定される
ことを特徴とする撮影レンズ。 - 請求項1ないし請求項4のいずれか1項に記載の撮影レンズにおいて、
前記画像動き信号の位相を進み補償する位相補償部を有し、
前記基準値生成部は、進み補償された前記画像動き信号に基づいて、前記基準値を修正する
ことを特徴とする撮影レンズ。 - 請求項1ないし請求項5のいずれか1項に記載の撮影レンズと、
前記撮影レンズにより撮像面に形成される被写体像を撮像する撮像部と、
前記撮像部から撮像画像を取得して前記撮像画像の時間軸の変化を検出し、前記被写体像の撮像面に対する動きを画像動き信号として前記撮影レンズへ出力する動き検出部と
を備えたことを特徴とするカメラシステム。
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