JP4418777B2 - Ag基合金からなるスパッタリングターゲット材および薄膜 - Google Patents

Ag基合金からなるスパッタリングターゲット材および薄膜 Download PDF

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Description

本発明は、Ag基合金からなるスパッタリングターゲット材、高い反射率および低電気抵抗を維持しながら耐熱性を向上させたAg基合金からなる反射膜、配線用および電極用薄膜、ならびにAg基合金からなる膜厚が50nm以下の半反射型半透過膜に関する。
CD(Compact Disc)等の光学記録媒体に使用されている反射膜や、液晶表示装置、有機EL(Electro luminescence)表示装置等に使用されている反射膜、配線膜および/または電極膜には、一般に、AlやAl基合金の薄膜が使用される場合が多い。
また、二層方式のDVD−R DL(Double Layer)等に代表される多層型光学記録媒体は、書込および読取エラーを防ぐため、記録層の下部に半反射・半透過層を有しており、該半反射・半透過層としては、例えば、AgまたはAg基合金の薄膜が使用されている。
これらの用途に使用される薄膜に対しては、低電気抵抗でありかつ熱や湿度に対して安定であることが求められる。また、反射膜として使用される場合にはさらに高い反射率も要求される。
AlやAl基合金からなる薄膜は、ある程度の反射率を有しかつ電気抵抗が低く、しかも、表層に不動態皮膜を形成するため、空気中においても安定した耐食性を有するが、Alの薄膜は、熱や湿度に弱く、またそれを改善したAl基合金の薄膜はAlと比較して電気抵抗が高くなるという欠点がある。
また、AlやAl基合金は、例えば波長が700nmの光に対する反射率が80%程度またはそれ以下であり、高反射率が要求される用途に対しては充分に満足できるものではない。
そのため、低電気抵抗や高い反射率が要求される用途、例えば、有機ELディスプレイや液晶ディスプレイに使用される反射膜、配線用または電極用薄膜や、CDやDVDに代表される光ディスク媒体に使用される反射膜、半反射型半透過膜には、高反射率を有しかつ電気抵抗が低いAgまたはAg基合金を使用することが提案されている。
光学記録媒体や液晶表示装置等は、使用条件によっては高温に曝される場合があるが、Ag薄膜は、高温状態になると膜の凝集等によりヒロックが発生し、反射率が低下するという問題がある。
また、多層型光学記録媒体や半反射型液晶ディスプレイには、照射光の一部が反射しかつ一部が透過する膜厚が1〜50nm程度の半反射型半透過膜が使用されているが、このような極薄の薄膜に対しては、熱や湿度に対する高い安定性が求められている。
本発明の主たる目的は、耐熱性を改善しつつ、高い反射率および低い電気抵抗を有し、かつ熱や湿度に対しても高い安定性を有する反射膜、配線用または電極用薄膜及び半反射型半透過膜、ならびにかかる膜の製造に有用なスパッタリングターゲット材を提供することである。
本発明者らは、上記の目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、今回、Agに、特定少量のCuとTeおよび/またはSeの2もしくは3成分を複合添加して合金化すると、Agがもつ高い反射率および低い電気抵抗を維持しつつ、耐熱性が格段に向上したAg基合金薄膜が得られること、また、In、Sn、Zn、Au、Pt、Pd、RuおよびIrの少なくとも1種を少量追加添加して合金化すると耐食性が向上すること、さらに、Ni、Fe、BiおよびPの少なくとも1種を少量追加添加して合金化すると耐熱性がさらに向上することを見出し、本発明を完成するに至った。
かくして、本発明は、AgとCuとTeおよび/またはSeを含んでなるAg基合金からなり、CuとTeおよび/またはSeを合計で0.01〜5.0at%含有しかつCuの含有量がTeおよび/またはSeの含有量以上であることを特徴とするスパッタリングターゲット材、ならびに反射膜、配線用または電極用薄膜および膜厚が50nm以下の半反射型半透過膜を提供するものである。
本発明は、また、さらにIn、SnおよびZnから選ばれる少なくとも1種の金属を0.005〜2.0at%含有する上記のAg基合金からなることを特徴とするスパッタリングターゲット材、ならびに反射膜、配線用または電極用薄膜および膜厚が50nm以下の半反射型半透過膜を提供するものである。
本発明は、また、さらにPd、Au、Pt、RuおよびIrから選ばれる少なくとも1種の金属を0.005〜2.0at%含有する上記のAg基合金からなることを特徴とするスパッタリングターゲット材、ならびに反射膜、配線用または電極用薄膜および膜厚が50nm以下の半反射型半透過膜を提供するものである。
本発明は、また、さらにFe、Ni、BiおよびPから選ばれる少なくとも1種の金属を0.005〜3.0at%含有する上記のAg基合金からなることを特徴とするスパッタリングターゲット材、ならびに反射膜、配線用または電極用薄膜および膜厚が50nm以下の半反射型半透過膜を提供するものである。
本発明は、また、さらにIn、SnおよびZnから選ばれる少なくとも1種の金属と、Pd、Au、Pt、RuおよびIrから選ばれる少なくとも1種の金属を合計で0.01〜4.0at%含有する上記のAg基合金からなることを特徴とするスパッタリングターゲット材、ならびに反射膜、配線用または電極用薄膜および膜厚が50nm以下の半反射型半透過膜を提供するものである。
本発明は、また、さらにIn、SnおよびZnから選ばれる少なくとも1種の金属と、Fe、Ni、BiおよびPから選ばれる少なくとも1種の金属を合計で0.01〜5.0at%含有する上記のAg基合金からなることを特徴とするスパッタリングターゲット材、ならびに反射膜、配線用または電極用薄膜および膜厚が50nm以下の半反射型半透過膜を提供するものである。
本発明は、また、さらにPd、Au、Pt、RuおよびIrから選ばれる少なくとも1種の金属と、Fe、Ni、BiおよびPから選ばれる少なくとも1種の金属を合計で0.01〜5.0at%含有する上記のAg基合金からなることを特徴とするスパッタリングターゲット材、ならびに反射膜、配線用または電極用薄膜および膜厚が50nm以下の半反射型半透過膜を提供するものである。
本発明は、また、さらにIn、SnおよびZnから選ばれる少なくとも1種の金属と、Pd、Au、Pt、RuおよびIrから選ばれる少なくとも1種と、Fe、Ni、BiおよびPから選ばれる少なくとも1種の金属を合計で0.015〜7.0at%含有する上記のAg基合金からなることを特徴とするスパッタリングターゲット材、ならびに反射膜、配線用または電極用薄膜および膜厚が50nm以下の半反射型半透過膜を提供するものである。
以下、本発明についてさらに詳細に説明する。なお、本明細書において、反射膜、配線用または電極用薄膜および半反射型半透過膜を総称して単に「薄膜」という。
本発明の薄膜は、基本的には、Agをベースとし、これにCuとTeおよび/またはSeの2もしくは3成分を複合添加し合金化してなる三元系のAg基合金からなるものである。複合添加されるCuとTeおよび/またはSeの含有割合は、Cu≧Teおよび/またはSeであることが重要である。Teおよび/またはSe成分の含有量がCuの含有量よりも多いと、一般に、十分な耐熱性がえられず、ヒロックの発生等により反射率の低下が大きくなる。
また、本発明の薄膜におけるCuとTeおよび/またはSeの含有量は合計で0.01〜5.0at%、好ましくは0.05〜1.5at%の範囲内とすることができる。
本発明の薄膜は、また、上記三元系のAg基合金成分に、さらに、In、SnおよびZnから選ばれる少なくとも一種の金属元素(以下、「A群金属元素」という)を添加し合金化してなる四元系のAg基合金からなることができる。この四元系のAg基合金において、A群金属元素の含有量は、それぞれ、0.005〜2.0at%、好ましくは0.1〜1.5at%の範囲内とすることができる。これらのA群金属元素の添加により、得られるAg基合金の耐食性を向上させることができる。
本発明の薄膜は、また、上記三元系のAg基合金成分に、さらに、Pd、Au、Pt、RuおよびIrから選ばれる少なくとも一種の金属元素(以下、「B群金属元素」という)を添加し合金化してなる四元系のAg基合金からなることができる。この四元系のAg基合金において、B群金属元素の含有量は、それぞれ、0.005〜2.0at%、好ましくはAuは0.06〜0.4at%、Pdは0.1〜1.5at%、Ptは0.06〜0.4at%、Ruは0.01〜0.5at%そしてIrは0.01〜0.2at%の範囲内とすることができる。これらのB群金属元素の添加によっても、得られるAg基合金の耐食性を向上させることができる。
本発明の薄膜は、また、上記三元系のAg基合金成分に、さらに、Fe、Ni、BiおよびPから選ばれる少なくとも一種の金属元素(以下、「C群金属元素」という)を添加し合金化してなる四元系のAg基合金からなることができる。この四元系のAg基合金において、C群金属元素の含有量は、それぞれ、0.005〜3.0at%、好ましくは0.02〜2.0at%の範囲内とすることができる。これらのC群金属元素の添加によって、得られるAg基合金の耐熱性をさらに向上させることができる。
本発明の薄膜は、また、上記三元系のAg基合金成分に、さらに、A群金属元素とB群金属元素の両者を添加し合金化してなる五元系のAg基合金からなることもできる。この五元系のAg基合金において、A群金属元素の含有量は、それぞれ、0.005〜2.0at%、好ましくは0.1〜1.5at%の範囲内とすることができ、また、上記B群金属元素の含有量は、それぞれ、0.005〜2.0at%、好ましくはAuは0.06〜0.4at%、Pdは0.1〜1.5at%、Ptは0.06〜0.4at%、Ruは0.01〜0.5at%そしてIrは0.01〜0.2at%の範囲内とすることができる。A群金属元素とB群金属元素の両者を同時に添加することによって、得られるAg基合金の耐食性をさらに一層向上させることができる。
本発明の薄膜は、また、上記三元系のAg基合金成分に、A群金属元素とC群金属元素の両者を添加し合金化してなる五元系のAg基合金からなることもできる。この五元系のAg基合金において、A群金属元素の含有量は、それぞれ、0.005〜2.0at%、好ましくは0.1〜1.5at%の範囲内とすることができ、また、上記C群金属元素の含有量は、それぞれ、0.005〜3.0at%、好ましくは0.02〜2.0at%の範囲内とすることができる。A群金属元素とC群金属元素の両者を同時に添加することによって、得られるAg基合金の耐食性を向上させることができるとともに、耐熱性をさらに一層向上させることができる。
本発明の薄膜は、また、上記三元系のAg基合金成分に、さらに、B群金属元素とC群金属元素の両者を添加し合金化してなる五元系のAg基合金からなることもできる。この五元系のAg基合金において、B群の金属元素の含有量は、それぞれ、0.005〜2.0at%、好ましくはAuは0.06〜0.4at%、Pdは0.1〜1.5at%、Ptは0.06〜0.4at%、Ruは0.01〜0.5at%そしてIrは0.01〜0.2at%の範囲内とすることができ、また、C群の金属元素の含有量は、それぞれ、0.005〜3.0at%、好ましくは0.02〜2.0at%の範囲内とすることができる。B群金属元素とC群金属元素の両者を同時に添加することによって、得られるAg基合金の耐食性を向上させることができるとともに、耐熱性をさらに一層向上させることができる。
本発明の薄膜は、また、上記三元系のAg基合金成分に、さらに、A群金属元素とB群金属元素とC群金属元素の三者を添加し合金化してなる六元系のAg基合金からなることができる。この六元系のAg基合金において、A群金属元素の含有量は、それぞれ、0.005〜2.0at%、好ましくは0.1〜1.5at%の範囲内とすることができ、B群金属元素の含有量は、それぞれ、0.005〜2.0at%、好ましくはAuは0.06〜0.4at%、Pdは0.1〜1.5at%、Ptは0.06〜0.4at%、Ruは0.01〜0.5at%そしてIrは0.01〜0.2at%の範囲内とすることができ、そしてC群金属元素の含有量は、それぞれ、0.005〜3.0at%、好ましくは0.02〜2.0at%の範囲内とすることができる。かくして、A群金属元素とB群金属元素とC群金属元素の三者を同時に添加することによって、得られるAg基合金の耐食性および耐熱性を格段に向上させることができる。
本発明に従うAg基合金は、それ自体既知の方法に従い、例えば、AgにCuとTeおよび/またはSeを上記の量で添加し、あるいはAgにCuとTeおよび/またはSeとさらにA群金属元素、B群金属元素またはC群金属元素の1成分を上記の量で添加し、あるいはAgにCuとTeおよび/またはSeとさらにA群金属元素およびB群金属元素、A群金属元素およびC群金属元素またはB群金属元素およびC群金属元素の2成分を上記の量で添加し、あるいはAgにCuとTeおよび/またはSeとさらにA群金属元素、B群金属元素およびC群金属元素の3成分を上記の量で添加して原料配合物を調製し、それをガス炉、高周波溶解炉などの適当な金属溶解炉内で約1000〜約1200℃の温度で溶融することにより製造することができる。溶解時の炉雰囲気としては通常空気が用いられるが、必要に応じて不活性ガス雰囲気もしくは真空を使用することもできる。また、溶融状態の上記Ag基合金を適当な型に流し込むかまたは前記原料配合物を焼結してインゴットを作製し、次いでそれを熱間鍛造し、必要に応じて鍛造したインゴットを冷間または熱間圧延してAg基合金シートにした後、所定の大きさに切削することにより、本発明のスパッタリングターゲット材を作製することができる。また、本発明のスパッタリングターゲット材は、例えば、上記の如くして調製される原料配合物を型に入れ、ホットプレス法、HIP法などにより焼結することによっても作製することができる。
使用される主原料であるAgとしては、粉末状、粒状、板状、塊状等の形態で市販されているものを使用することができ、通常、純度が99.95%以上、好ましくは99.99%以上のものが好適である。また、添加元素であるCu、Te、Se、In、Sn、Zn、Au、Pd、Pt、Ru、Ir、Ni、Fe、Bi、Pとしては、粉末状、粒状、板状、塊状等の形態で市販されているものを使用することができ、通常、純度が99.9%以上、好ましくは99.95%以上のものが好適である。
本発明の薄膜は、例えば、上記の如くして成形されるスパッタリングターゲット材を、それ自体既知のスパッタリング法、例えば、高周波(FR)スパッタリング法、直流(DC)スパッタリング法、マグネトロンスパッタリング法などにより適当な基体上にスパッタリングし成膜することにより作製することができる。
本発明の薄膜は、また、例えば、ベースとなるスパッタリングターゲットを作製しそして別に他の添加金属元素の1種もしくは複数種からなるバルクチップを作製し、該バルクチップを所定の組成になるようにしてベースとなるスパッタリングターゲット上に載せたり、埋め込む等することにより複合型スパッタリングターゲット材を作製し、その複合型ターゲット材を上記のようにして基体上にスパッタリングし成膜したりすることにより作製することもできる。
あるいはまた、本発明の薄膜は、例えば、前記原料配合物の溶解インゴットやプレス成形体などを電子ビームなどにより蒸発または昇華させ、基板上に付着凝固させて薄膜を作製することからなる蒸着法のよっても作製することができる。
本発明の薄膜は、さらに、例えば、上記の如くして得られるAg基合金からなるインゴットまたはシートを用い、それ自体既知の方法に従い、Ag基合金を適当な基体上に蒸着またはメッキし成膜することによっても作製することができる。
膜厚が50nm以下、好ましくは1〜30nmの半反射型半透過膜は、例えば、上記のスパッタリング法や蒸着法による成膜において、スパッタリングや蒸着の時間または出力などを制御することによって形成される膜の厚さをコントロールすることにより作製することができる。
また、本発明の薄膜から配線膜または電極膜の作製は、例えば、上記のスパッタリング法や蒸着法による成膜を、フォトエッチング法やフォトマスク法と組み合わせることにより行うことができる。
かくして得られるAg基合金から構成される薄膜は、Agが本来もつ高い反射率および低電気抵抗を維持しつつ、従来のAgに比べて耐熱性が格段に向上している。
したがって、本発明のAg基合金から構成される薄膜は、例えば、高反射率および低電気抵抗が要求されるCDやDVDに代表される光ディスク媒体の反射膜として、また、液晶表示装置や有機EL表示装置などの反射膜、配線膜または電極膜として、さらに半反射型液晶表示装置や多層型光学記録媒体用として、あるいはまた二層方式のDVD−R DL(Double Layer)等に代表される多層型光学記録媒体の半反射・半透過層として有利に使用することができる。
Ag−Cu−Te/Seの三元系のAg基合金は、耐硫化性やハロゲン元素に対する耐食性はAgと同程度であるが、A群金属元素および/またはB群金属元素をさらに含んでなる四元系または五元系のAg基合金は、耐食性がAgに比べてはるかに向上しており、したがって、使用条件下によっては耐食性が要求されるCDやDVDに代表される光学記録媒体および液晶表示や有機EL表示装置などの反射膜、配線膜または電極膜として有利に使用することができる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に説明する。
AgにCuTe化合物を1.5at%添加しガス炉にて溶解、鋳造し、インゴットを作製し、熱間鍛造を行った後、φ4インチに切削することによりスパッタリングターゲット材を作製した。
作製したスパッタリングターゲット材の分析結果を表1に示す。
Figure 0004418777
作製したスパッタリングターゲット材をガラス板上に膜厚が200nmとなるように高周波(RF)スパッタリング法により成膜し、評価用薄膜サンプル(サンプルNo.1−1)とした。
また、上記のスパッタリングターゲット材上に所定量の表2に示すバルクチップを1つまたは複数載せ、複合ターゲットを作製した。さらに、Agターゲット上に75at%Cu−25at%Se合金チップを載せ、複合ターゲットを作製した。これら複合ターゲットをガラス板上に膜厚が200nmとなるように高周波(RF)スパッタリング法により成膜し、実施例用薄膜サンプル(サンプルNo.1−2〜1−17)とした。薄膜サンプルの一部を採り、ガラス基板上の薄膜を硝酸で溶液化し、ICP発光分光分析装置にて分析した。その結果を表3に示す。
Figure 0004418777
他方、Agターゲット上にTeチップまたはTe/Cu合金チップを載せて作製した複合ターゲットから上記と同様にして比較例用薄膜サンプル(サンプルNo.1−4、1−5)を作製した。また、Ag、99at%Ag−1at%Cuまたは99.5at%Ag−0.5at%Pd合金ターゲット材から上記と同様にして比較例用薄膜サンプル(サンプルNo.1−1〜1−3)を作製した。これらのサンプルについても上記と同様にして分析を行った。その結果も表3に示す。
Figure 0004418777
前記において、分析用に作製した薄膜サンプル以外に、性能試験用としてターゲット材の位置を動かさずに膜厚が130nmの薄膜サンプルを同時に作製した。
作製した薄膜サンプルの組成の分析値は、上記表3に記載のとおりであり、また、作製した薄膜サンプルの反射率は、実施例および比較例ともに、600〜700nmの波長域で95%以上であった。
耐熱性試験
各薄膜サンプルの反射率を測定後、大気中200℃または250℃の温度で1時間熱処理した後、再度反射率を測定し、熱処理前後の反射率の変化率を下記式(1)により算出した。反射率は測定波長400nmまたは700nmの値を用いた。以下の試験においても同様。

変化率(%)=100−(試験後の反射率/試験前の反射率×100) (1)

200℃×1時間熱処理時の耐熱性試験の結果を表4にそして250℃×1時間熱処理時の試験結果を表5に示す。
Figure 0004418777
Figure 0004418777
表4および表5の結果によれば、本発明に従う実施例1−1〜1−17の薄膜は200℃×1時間およびの250℃×1時間のいずれの条件下でも反射率がほとんど変化せず優れた耐熱性を有している。これに対し、比較例1−1〜1−5の薄膜はいずれも200℃×1時間の条件下ですでに反射率が大きく変化し、250℃×1時間の条件下では反射率の変化率がさらに大きくなっており、耐熱性に劣っていることがわかる。
また、表4および表5の結果から、CuおよびTeの単独添加(比較例1−2、1−4)またはTe>Cuの添加(比較例1−5)では十分な耐熱性が確保できていないことがわかる。
恒温恒湿試験
各薄膜サンプルの反射率を測定した後、80℃、95%RH(相対湿度)の恒温恒湿器に入れ、96時間(4日間)放置した後、再度反射率を測定し、試験前後の反射率の変化率を前記式(1)により算出した。その結果を表6に示す。
Figure 0004418777
表6によれば、実施例1−1〜1−17の薄膜は、反射率が短波長側で若干変化したが、その変化率は3%以内であって極めて小さく、耐湿性に優れていることがわかる。これに対し、比較例1−1および1−3〜1−5の薄膜は短波長側及び長波長側のいずれにおいても反射率の変化率が大きく、耐湿性が悪く、また、比較例1−2の薄膜は、実施例の薄膜と比較して特に短波長側での反射率の変化が大きく、耐湿性に劣っていることがわかる。
耐硫化性試験
前記と同様にしてガラス基板上に実施例1−2〜1−4ならびに比較例1−1、1−2および1−4の薄膜(膜厚130nm)を形成せしめ、その薄膜の反射率を測定した後、0.01%硫化ナトリウム(NaS)水溶液中に1時間浸漬し、再度反射率を測定し、試験前後の反射率の変化率を前記式(1)により算出した。その結果を表7に示す。
Figure 0004418777
耐塩素性試験
前記と同様にしてガラス基板上に実施例1−5〜1−9および比較例1−1の薄膜(膜厚130nm)を形成せしめ、その薄膜の反射率を測定した後、3%塩化ナトリウム(NaCl)水溶液中に10分浸漬し、再度反射率を測定し、試験前後の反射率の変化率を前記式(1)により算出した。その結果を表8に示す。
Figure 0004418777
電気抵抗の測定
前記と同様にしてガラス基板上に実施例1−1〜1−17の薄膜(膜厚150nm)を形成せしめ、形成直後の薄膜の電気抵抗を直流四端子法にて測定した。
なお、薄膜の厚さはガラス基板と薄膜の段差を粗さ計にて測定し、幅はノギスで測定し、それらの測定結果から断面積を割り出した。また、電圧測定端子間の距離はノギスで測定した。各薄膜サンプルの抵抗(Ω)を測定した後、断面積および電圧測定端子間の距離から電気抵抗を下記式により算出した。

電気抵抗=抵抗(Ω)×断面積/電圧測定端子間の距離

その結果を表9に示す。
Figure 0004418777
表9に示すように、本発明のAg基合金からなる薄膜は低い電気抵抗を有している。
安定性試験
膜厚が1〜50nm程度の、入射光を一部を反射しかつ一部を透過させるような薄膜は、ほとんど光が透過しない膜厚が80nm以上の薄膜に比べて、熱や湿度に対する影響をさらに受けやすく、膜が凝集し粒子状となり、反射率が低下し、透過率が増大しやすい。そこで、膜厚が20nm近傍の薄膜の熱に対する安定性試験を行った。
前記と同様にしてガラス基板上に実施例1−1〜1−17の薄膜(膜厚20nm)を形成せしめ、大気中80℃の温度で240時間熱処理し、熱処理前後の反射率および透過率を測定し、その測定値から下記式(2)により、反射率および透過率の変化率を算出した。

反射率および透過率の変化率(%)=[((100−(試験後の反射率/試験前
の反射率))1/2×100+((100−(試験後の透過率/試験前の透過
率))1/2×100] (2)

その結果を表10に示す。
Figure 0004418777
また、膜厚が20nm近傍の薄膜の湿度に対する安定性を試験した。
前記と同様にしてガラス基板上に実施例1−1〜1−17および比較例1−1〜1−5の薄膜(膜厚20nm)を形成せしめ、その薄膜を60℃および90%RH(相対湿度)の恒温恒湿器に入れ、120時間放置し、試験前後の反射率および透過率を測定し、その測定値から前記式(2)により反射率および透過率の変化率を算出した。その結果を表11に示す。
Figure 0004418777

Claims (11)

  1. AgとCuとTeおよび/またはSeよりなるAg基合金からなり、CuとTeおよび/またはSeを合計で0.01〜5.0at%含有しCuの含有量がTeおよび/またはSeの含有量以上であり、残部がAgおよび不可避不純物よりなることを特徴とするスパッタリングターゲット材。
  2. Ag基合金がさらにIn、SnおよびZnから選ばれる少なくとも1種の金属を0.005〜2.0at%添加してなるものであることを特徴とする請求項1に記載のスパッタリングターゲット材。
  3. Ag基合金がさらにPd、Au、Pt、RuおよびIrから選ばれる少なくとも1種の金属を0.005〜2.0at%添加してなるものであることを特徴とする請求項1に記載のスパッタリングターゲット材。
  4. Ag基合金がさらにFe、Ni、BiおよびPから選ばれる少なくとも1種の金属を0.005〜3.0at%添加してなるものであることを特徴とする請求項1に記載のスパッタリングターゲット材。
  5. Ag基合金がさらにIn、SnおよびZnから選ばれる少なくとも1種の金属と、Pd、Au、Pt、RuおよびIrから選ばれる少なくとも1種の金属を合計で0.01〜4.0at%添加してなるものであることを特徴とする請求項1に記載のスパッタリングターゲット材。
  6. Ag基合金がさらにIn、SnおよびZnから選ばれる少なくとも1種の金属と、Fe、Ni、BiおよびPから選ばれる少なくとも1種の金属を合計で0.01〜5.0at%添加してなるものであることを特徴とする請求項1に記載のスパッタリングターゲット材。
  7. Ag基合金がさらにPd、Au、Pt、RuおよびIrから選ばれる少なくとも1種の金属、Fe、Ni、BiおよびPから選ばれる少なくとも1種の金属を合計で0.01〜5.0at%添加してなるものであることを特徴とする請求項1に記載のスパッタリングターゲット材。
  8. Ag基合金がさらにIn、SnおよびZnから選ばれる少なくとも1種の金属と、Pd、Au、Pt、RuおよびIrから選ばれる少なくとも1種と、Fe、Ni、BiおよびPから選ばれる少なくとも1種の金属を合計で0.015〜7.0at%添加してなるものであることを特徴とする請求項1に記載のスパッタリングターゲット材。
  9. 請求項1〜8のいずれか1項に記載のAg基合金からなる反射膜。
  10. 請求項1〜8のいずれか1項に記載のAg基合金からなる配線用または電極用薄膜。
  11. 請求項1〜8のいずれか1項に記載のAg基合金からなる膜厚が50nm以下の半反射型半透過膜。
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